• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F02C
管理番号 1351261
審判番号 不服2018-3427  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-09 
確定日 2019-05-31 
事件の表示 特願2015-517260「ガスタービン制御システムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月19日国際公開、WO2013/188033、平成27年7月30日国内公表、特表2015-521705、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)5月14日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理2012年6月14日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続は以下のとおりである。
平成28年5月9日 :手続補正書の提出
平成29年3月28日(発送日) :拒絶理由通知書
平成29年6月22日 :意見書の提出
平成29年11月14日(発送日):拒絶査定
平成30年3月9日 :審判請求書の提出
平成30年11月20日(発送日):拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」という。)
平成31年2月15日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成29年11月7日付け(発送日:平成29年11月14日)拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1ないし20に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2007/0089423号明細書
2.米国特許出願公開第2010/0146978号明細書

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願の請求項1ないし20に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明20」という。)は、平成31年2月15日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
吸入空気を受けるように構成された吸入口を備え、動力を発生するために燃料を燃焼させるように構成されたガスタービンであって、
前記吸引口またはその上流で冷やされた空気を生成するために前記吸入空気の温度を低下させるように構成されたチリングアセンブリと、
第1の圧縮空気供給物を生成するために前記冷やされた空気を圧縮するように構成された低圧圧縮機と、
冷却された空気供給物を生成するために前記第1の圧縮空気供給物を冷却するように構成された中間冷却器と、
第2の圧縮空気供給物を生成するために前記冷却された空気供給物を圧縮するように構成された高圧圧縮機であり、前記中間冷却器が前記低圧圧縮機と前記高圧圧縮機との間に直列方式で配置される、高圧圧縮機と、
前記動力を発生するために前記第2の圧縮空気供給物が存在する中で前記燃料を燃焼させるように構成された燃焼器と
を備えるガスタービンと、
空気が冷却されない場合に前記中間冷却器における第1の予想される凝結物の量を決定し、かつ前記第1の予想される凝結物の量よりも少ない第2の予想される凝結物の量に対応する温度に前記冷やされた空気を生成するために前記チリングアセンブリの動作を制御するようにプログラムされた制御システムと、
を備える、ガスタービンシステム。
【請求項2】
前記第2の予想される凝結物の量が、前記中間冷却器においてほぼ凝結がないことに対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガスタービンは、前記冷やされた空気が前記低圧圧縮機によって圧縮される前に、前記冷やされた空気から水分を排出するように構成された水分分離器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガスタービンが、前記チリングアセンブリと前記低圧圧縮機との間に配置され、前記冷やされた空気から粒子を除去するように構成されたフィルタアセンブリを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ガスタービンが、負荷を駆動するように構成された少なくとも1つのタービンを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記負荷が、発電機を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記吸入空気の1つまたは複数のパラメータを測定するように、かつ前記制御システムへ前記測定したパラメータを伝達するように構成された1つまたは複数のセンサを備えるセンサシステムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のセンサが、温度センサおよび湿度センサを含み、前記1つまたは複数のパラメータが、温度レベルおよび湿度レベルを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御システムが、前記第1の予想される凝結物の量および第2の予想される凝結物の量を決定するために、前記測定した温度レベルおよび湿度レベルならびに湿度線図を利用するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
ガスタービンシステムの吸入口またはその上流で吸入空気を冷却するように構成されたチリングシステム、低圧圧縮機、高圧圧縮機、および前記低圧圧縮機と前記高圧圧縮機との間に直列方式で配置され、前記低圧圧縮機からの圧縮された空気を冷却するように構成された中間冷却器を備えるガスタービンシステムと、
前記チリングシステムにつなげられ、前記吸入空気の1つまたは複数のパラメータに基づいて空気が冷却されない場合に前記中間冷却器における予想される凝結物の量を決定し、かつ前記中間冷却器における前記予想される凝結物の量よりも少ない量に対応する温度まで前記吸入空気の絶対湿度を低下させるために前記チリングシステムを制御するようにプログラムされた制御システムと、
を備える、システム。
【請求項11】
前記制御システムが、前記中間冷却器において実質的に凝結がないことに合致する温度まで前記吸入空気の前記絶対湿度を低下させるように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記吸入空気の前記1つまたは複数のパラメータを測定するように、かつ前記制御システムへ前記測定したパラメータを伝達するように構成された1つまたは複数のセンサを備えるセンサシステムを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のセンサが、温度センサおよび湿度センサを含み、前記吸入空気の前記1つまたは複数のパラメータが、温度レベルおよび湿度レベルを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御システムが、前記中間冷却器における前記予想される凝結物の量を決定するために、前記測定した温度レベルおよび湿度レベルならびに湿度線図を利用するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ガスタービンシステムを制御するための方法であって、
タービン吸入空気の少なくとも1つのパラメータを受信するステップと、
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、空気が冷却されない場合に、吸入空気チリングシステムの下流でかつ低圧圧縮機と高圧圧縮機との間に直列方式で配置された中間冷却器における予想される凝結物の量を決定するステップと、
前記中間冷却器において実質的に予想される凝結がないことに対応する前記タービン吸入空気の所望の温度を決定するステップと、
前記所望の温度まで前記タービン吸入空気を冷やすために前記吸入空気チリングシステムを制御するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのパラメータが、前記タービン吸入空気の温度レベルおよび湿度レベルを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記中間冷却器において実質的に予想される凝結がないことに対応する前記タービン吸入空気の前記所望の温度を決定するステップが、湿度線図を参照するサブステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記所望の温度まで前記タービン吸入空気を冷やすために前記吸入空気チリングシステムを制御するステップが、前記吸入空気チリングシステムの熱交換器全体を通って循環する冷却剤の温度を制御するサブステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ガスタービンシステムの運転全体を通して前記タービン吸入空気の前記少なくとも1つのパラメータを測定するためにセンサシステムを制御するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記中間冷却器が、フィン型熱交換器を備える、請求項15に記載の方法。」

第5 当審拒絶理由(特許法第36条第6項第2号(明確性))の判断
平成31年2月15日の手続補正により、当該補正前の請求項1の「前記中間冷却器における第1の予想される凝結レベル決定するように、かつ前記第1の予想される凝結レベルから低下した第2の予想される凝結レベルに対応する温度の前記冷やされた空気を生成するために前記チリングアセンブリの動作を制御するようにプログラムされた制御システム」について、「空気が冷却されない場合に前記中間冷却器における第1の予想される凝結物の量を決定し、かつ前記第1の予想される凝結物の量よりも少ない第2の予想される凝結物の量に対応する温度に前記冷やされた空気を生成するために前記チリングアセンブリの動作を制御するようにプログラムされた制御システム」と補正された結果、「第1の予想される凝結レベル」及び「第2の予想される凝結レベル」が意図するものが明確になるとともに、「制御システム」の機能が明確になった。
同様に、請求項10について、平成31年2月15日の手続補正により「制御システム」の機能が明確となり、請求項15についても、「空気が冷却されない場合に、吸入空気チリングシステムの下流でかつ低圧圧縮機と高圧圧縮機との間に直列方式で配置された中間冷却器における予想される凝結物の量を決定するステップ」の機能が明確になった。
したがって、この拒絶の理由は解消した。

第6 原査定(特許法第29条第2項(進歩性))についての判断
1 引用文献、引用発明等
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献1(米国特許出願公開第2007/0089423号明細書)には、「GAS TURBINE ENGINE SYSTEM AND METHOD OF OPERATING THE SAME」に関して、図面(特にFIG.2、FIG.3を参照。)とともに以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。

ア「[0003]Generally, in a gas turbine engine system, air is compressed in a compressor or a multi-stage compressor. Compressed air is mixed with fuel such as propane, natural gas, kerosene, jet fuel, or the like and combusted in a combustion chamber. Exhaust gas generated due to combustion is used to drive a turbine, which may be used to generate power or effectuate rotation. During warm days, the gas turbine's performance may be reduced due to elevated air temperature at an inlet of the compressor. The engine efficiency may be enhanced by intercooling air between the compressor stages. Traditionally, cooling towers are used to perform intercooling of air between the compressor stages. 」
(当審仮訳)
「[0003]一般的に、ガスタービンエンジンシステムでは、空気は、圧縮機または多段圧縮機で圧縮される。圧縮空気は、プロパン、天然ガス、灯油、ジェット燃料などの燃料と混合されて燃焼室で燃焼される。燃焼により発生する排気ガスは、電力を生成したり、回転をもたらすタービンを駆動するために使用される。暖かい日の間、ガスタービンの性能は、圧縮機の入口での昇温により減少される。エンジン効率は、圧縮段階の間で空気を中間冷却することによって高めることができる。伝統的に、冷却塔は、圧縮段の間で空気の中間冷却を行うために使用される。」

イ「[0019]Referring now to FIG.2, a gas turbine engine system 10 is illustrated in accordance with another exemplary embodiment of the present invention. In the illustrated embodiment, a chiller 32 is coupled to the low-pressure compressor 16 and configured to cool the inlet air supplied to the low-pressure compressor 16. Typically, gas turbine engine systems produces output horsepower that is proportional to combustion air mass flow. If the inlet air temperature is high, power output is substantially reduced. Engine output may be improved by reducing the temperature of inlet air at the low-pressure compressor inlet to increase the air density. When the gas turbine engine is used in a power plant, the increased engine output increases the power generation capacity. Inlet air chilling in accordance with the aspects of the present invention, is utilized to increase the power output during warmer days when maximum engine performance is required.

[0020] As known to those skilled in the art, in one example, the chiller 32 reduces the operating temperature of the inlet air. In the illustrated embodiment, an air dryer 34 is provided to an upstream side of the chiller 32. In one example, the dryer 34 includes a plurality of coalescing filters 36, and a membrane 38. The coalescing filter 36 may include a filter element provided inside a housing. The filter element may generally include an inner coalescing layer and an outer coarse drainage layer. Coalescing is a process in which liquid aerosols and droplets are removed from gas. The inner coalescing layer captures the fine liquid aerosols and droplets from the gas passed through the filter element. The fine liquid aerosols and droplets together form large droplets within the filter element. The large droplets are forced through the filter element and then drained into the housing of the filter 36 by gravity effect. The inlet air is passed through the membrane 38 to further remove moisture from the air. The membrane 38 may be a fiber membrane or a texture membrane as known to those skilled in the art. The membrane 38 is adapted to lower the dew point of inlet air to facilitate the removal of water vapor. The low-pressure compressor 16 draws the cooled inlet air from the chiller 32 and compresses the air to a first pressure. As a result, the temperature of air is increased due to compression. In another exemplary embodiment, the air dryer 34 may be provided between the chiller 32 and the low-pressure compressor 16. In yet another exemplary embodiment, the air dryer 34 may be provided between the low-pressure compressor 16 and the intercooler 26. As result, condensation of water vapor is prevented when the compressed air is further cooled inside the inter-cooler 26.

[0021] As discussed previously, during operation of the system 10, the compressed air flows through the intercooler 26 such that the temperature of air is reduced prior to delivery into the high-pressure compressor 18. Liquid natural gas is utilized to facilitate inter-cooling of the compressed air between the low-pressure compressor 16 and the high-pressure compressor 18. The cooled compressed air from the intercooler 26 is fed to the high-pressure compressor 18. The high-pressure compressor 18 is configured to compress the cooled air to a second pressure that is higher than the first pressure.」
(当審仮訳)
「[0019]図2を参照すると、ガスタービンエンジンシステム10が本発明の別の例示的実施形態に従って示されている。図示の実施形態では、冷却装置32が低圧圧縮機16へ結合され、冷却された吸気を低圧圧縮機16に供給するように構成される。典型的には、ガスタービンエンジンシステムは、燃焼空気の質量流量に比例する出力馬力を生成している。入口の空気温度が高い場合には、電力出力が実質的に低減される。エンジンの出力は、空気密度を増大させるため、低圧圧縮機入口での吸気の温度を低下させることによって改善される。ガスタービンエンジンは、発電所で使用されるとき、増加されたエンジン出力は、発電容量を増大させる。本発明の態様による入口空気の冷却は、暖かい日の間で最大のエンジン性能が要求されるとき、電力出力を増加させるために利用される。
[0020]当業者に知られているように、一実施例においては、冷却装置32は、吸入空気の作動温度を低下させる。図示の実施形態では、冷却装置32の上流側に乾燥機34が設けられる。一例では、乾燥機34は、凝集フィルタ36と、膜38を含む。凝縮フィルタ36は、ハウジング内に設けられたフィルタエレメントを含む。フィルタエレメントは、概して内部の凝集層と外部の粗い排水層を含む。凝集は、液体エアロゾルと液滴がガスから除去される処理である。内部の凝集層は、フィルタエレメントを通過したガスから微細な液体エアロゾルおよび液滴を捕捉する。微細な液体エアロゾルと液滴は、フィルタエレメント内で大きな液滴を形成する。大きな液滴はフィルタ要素を通って送り込まれ、次いで、重力によってフィルタ36のハウジング内に排出される。入口空気は、空気から水分を除去するために膜38を通過する。当業者に知られているように、膜38は、繊維膜または繊維構造の膜であってもよい。膜38は、水蒸気を除去することで吸気の露点を低下させるように構成されている。低圧圧縮機16は、冷却器32からの冷却された吸気を引き込み、空気を第1の圧力に圧縮する。その結果、空気の温度は圧縮により上昇する。別の例示的な実施形態では、空気乾燥器34は、冷却器32と低圧圧縮機16との間に設けられていてもよい。さらに別の例示的な実施形態では、空気乾燥機34は、低圧圧縮機16と中間冷却器との間に設けられてもよい。その結果、圧縮された空気が中間冷却器26内で更に冷却されるとき、水蒸気の凝縮が防止される。
[0021]前述のように、システム10の動作中、圧縮空気は、中間冷却器26を通って流れ、これにより、空気の温度は高圧圧縮機18へ送るために低下される。液体天然ガスは、低圧圧縮機16と高圧圧縮機18との間の圧縮空気の中間冷却を促進するために利用される。中間冷却器26からの冷却された圧縮空気は、高圧圧縮機18に供給される。高圧圧縮機18は、冷却空気を第1の圧力よりも高い第2の圧力に圧縮するように構成される。

ウ「[0028]A working fluid pump 15 is utilized to pump the cooled intermediate working fluid through the chiller 32, intercooler 26, and the heater 13. In the illustrated embodiment, the cooled intermediate working fluid is utilized to cool the inlet air via the chiller 32. Also, the cooled intermediate working fluid facilitates cooling of compressed air exiting the low-pressure compressor 16 via the intercooler 26. A plurality of distribution valves 17, 19 are provided in the flow paths extending between heat exchanger 46, chiller 32, intercooler 26, and the heater 13. The distribution valves 17, 19 are configured to control the flow of cooled intermediate working fluid through the chiller 32, intercooler 26, and the heater 13. The cooled intermediate working fluid is heated via the chiller 32, intercooler 26, and the heater 13.

[0029] A control unit 21 is communicatively coupled to the distribution valves 17, 19, and the pump 15. The control unit 21 controls the operation of the valves and the pump 15 based on the ambient air temperature, mass flow of the LNG to be gasified and the gas turbine operating conditions. The control unit 21 may include a processor having hardware circuitry and/or software that facilitates the processing of signals from a sensor (not shown) configured to detect temperature of ambient air. As will be appreciated by those skilled in the art, the processor may comprise a microprocessor, a programmable logic controller, a logic module or the like.」
(当審仮訳)
「[0028]作動流体ポンプ15は冷却装置32、中間冷却器26、およびヒータ13を通過して冷却された中間作動流体を圧送するのに使用される。図示の実施形態では、冷却された中間作動流体は冷却装置32を経由した吸気を冷却するために使用される。また、冷却された中間作動流体は、中間冷却器26を経由して低圧圧縮機16を出る圧縮空気の冷却を容易にする。分配弁17、19は、熱交換器46、冷却装置32、中間冷却器26、および加熱器13との間を延びる流路に設けられる。分配弁17、19は、冷却装置32、中間冷却器26、および加熱器13を通して冷却された中間作動流体の流れを制御するように構成される。冷却された中間作動流体は、冷却装置32、中間冷却器26、および加熱器13を介して加熱される。
[0029]制御部21は、分配弁17、19およびポンプ15に通信可能に接続される。制御部21は、周囲空気温度、ガス化されるLNGの質量流量及びガスタービン運転条件に基づいてバルブの作動とポンプ15を制御する。制御部21は、周囲の空気の温度を検出するセンサ(図示せず)からの信号の処理を容易にするハードウェア回路および/またはソフトウェアを有するプロセッサを含むことができる。当業者には理解されるように、プロセッサは、マイクロプロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ、論理モジュールなどを含んでもよい。」

エ 上記イの記載事項及び図2の図示内容からみて、ガスタービンエンジンシステム10が冷却された吸気を受けるように構成された吸入口又は吸引口を備えていることは明らかである。

オ 上記イの記載事項及び図2の図示事項からみて、低圧圧縮機16、中間冷却器26及び高圧圧縮機18は直列に配置されているといえる。

以上から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「吸入空気を受けるように構成された吸入口を備え、動力を発生するために燃料を燃焼させるように構成されたガスタービンエンジンシステム10であって、
前記吸引口またはその上流で冷やされた空気を生成するために前記吸入空気の温度を低下させるように構成された冷却装置32と、
前記冷やされた空気を第1の圧力に圧縮するように構成された低圧圧縮機16と、
冷却された空気供給物を生成するために前記第1の圧力に圧縮された空気の温度は低下されるように構成された中間冷却器26と、
冷却空気を第1の圧力よりも高い第2の圧力に圧縮するように構成された高圧圧縮機18であり、前記中間冷却器26が前記低圧圧縮機16と前記高圧圧縮機18との間に直列方式で配置される、高圧圧縮機18と、
前記動力を発生するために前記第2の圧力に圧縮された冷却空気が存在する中で前記燃料を燃焼させるように構成された燃焼器と
を備えるガスタービンシステム10。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献2(米国特許出願公開第2010/0146978号明細書)には、図面(特に、FIG.1を参照。)とともに次の事項が記載されている。

ア「[0014]The gas turbine base load control system 100 also may include an inlet chilling system 210. The inlet chilling system 210 may include a weatherhood 220. The weatherhood 220 may prevent weather elements, such as rain, snow, etc., from entering the compressor 120. The inlet chilling system 210 also may include an inlet filter 230. The inlet air filter 230 also may prevent foreign objects and debris in the incoming air stream from entering the compressor 120.

[0015]The incoming air stream then may pass through an inlet chilling coil system 240 . The inlet chilling coil system 240 may be in communication with a source of cold water 250 via a temperature control valve (TCV) 260. The water flow rate through the inlet chilling coil system 240 may be regulated by adjusting the position of the TCV 260. Varying the water flow rate through the inlet coil system 240 will vary the temperature of the air steam passing therethrough. Specifically, the incoming air passes through the inlet chilling coil system 240 and is cooled to a desired intake temperature before entering the compressor 120. The inlet chilling coil system 240 may include any type of heat exchange device therein.

[0016]The inlet chilling system 210 also may include a temperature controller 270. The temperature controller 270 may be a conventional microprocessor or the like. The temperature controller 270 may be in communication with an intake system temperature sensor 280. The intake system temperature sensor 280 may be positioned upstream of the inlet chilling coil system 240 so as to determine the temperature of the incoming airflow. The temperature controller 270 also may be in communication with a compressor inlet temperature sensor 290. The compressor inlet temperature sensor 290 may be positioned upstream of the compressor 120. The compressor inlet temperature sensor 290 may determine the temperature of the airflow as the airflow leaves the inlet chilling coil system 240 and enters the compressor 120. Likewise, the temperature controller 270 may be in communication with a humidity sensor 300. The humidity sensor 300 also senses the humidity of the airflow leaving the inlet chilling coil system 240 and entering the compressor 120.

[0017]The temperature controller 270 also may be in communication with the generator controller 190 so as to determine the load on the gas turbine engine 110 in general and the generator 150 in specific. The temperature controller 270 thus may modulate the temperature control valve 260 based upon the sensed temperatures, humidity, load, and other types of data and based upon the temperature/load commands as described below.

[0018]In use, the gas turbine base load controller system 100 may begin at base load, i.e., at full load, with the inlet chilling system 210 operating to maintain the compressor inlet air temperature at a fixed temperature, generally about 50°Fahrenheit (about 10°Celsius). As such, the inlet temperature at the compressor 120 may be initially set by the temperature controller 270 to be at a minimum temperature (MinT). Likewise, the inlet guide vanes 160 may be set to a base load position.」
(当審仮訳)
「[0014]ガス・タービン・ベース負荷制御システム100は、入口冷却装置210を含むことができる。冷却装置210は、雨除け220を含むことができる。雨除け220は、雨、雪、その他などの気象要素が圧縮機120に流入することを予防する。吸気冷却装置210は更に、吸気フィルタ230を含むことができる。吸気口空気フィルタ230はまた、流入空気流中の異物及び塵が圧縮機120に流入することを防止する。
[0015]それから、流入空気流は、入口冷却コイル装置240を通過する。入口冷却コイル装置240は、温度制御弁(TCV)260を介して冷水の供給源250と連通することができる。入口冷却コイル装置240を通る水流の量は、TCV260の位置を調整することによって調節することができる。入口コイル装置240を通る水の流量の変化は、そこを通過する空気流の温度を変化する。具体的には、吸気は、入口冷却コイル装置240を通過し、圧縮機120に流入する前で所望の入口温度に冷却される。入口冷却コイル装置240は、内部に任意のタイプの熱交換装置を含むことができる。
[0016]入口冷却装置210はまた、温度制御装置270を含むことができる。温度制御装置270は、従来のマイクロプロセッサなどであってもよい。温度制御装置270は、吸気温度センサ280と通信することができる。吸気温度センサ280は、入口冷却コイル装置240の上流に配置され、流入空気流の温度を決定する。温度制御装置270は、圧縮機入口温度センサ290と通信することができる。圧縮機入口温度センサ290は、圧縮機120の上流に配置することができる。圧縮機入口温度センサ290は、入口冷却コイル装置240を出て、圧縮機120に流入するときの空気流の温度を決定することができる。同様に、温度制御装置270は、湿度センサ300と通信することができる。湿度センサ300は、入口冷却コイル装置240を出て、圧縮機120に流入するときの空気流の湿度を検知する。
[0017]温度コントローラ270は発電機コントローラ190と通信することができ、それにより一般的にはガスタービンエンジン110の負荷、特別な場合は、発電機150の負荷を決定する。温度コントローラ270は、感知された温度、湿度、荷重、他のタイプのデータに基づいて、そして、以下に説明するような温度/負荷指令に基づいて、温度調節バルブ260を調節することができる。
[0018]使用時には、ガス・タービン・ベース負荷制御システム100は、ベース負荷(たとえば全負荷)において圧縮機入口空気温度を一定温度、一般には約50°F(約10°C)で維持するように動作する吸気冷却システム210とともに開始することができる。このように、圧縮機120の入口温度は、最小温度(MinT)のときに温度制御部270によって初期設定される。同様に、入口案内翼160は、ベース負荷位置に設定される。」

以上から、上記引用文献2には次の事項が記載されていると認められる。

「温度制御装置270は圧縮機入口温度センサ290、湿度センサ300と通信することができる点。」

2 対比・判断
(1)本願発明1
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「冷却装置32」はその機能、構成および技術的意義からみて前者の「チリングアセンブリ」に相当し、以下同様に、「低圧圧縮機16」は「低圧圧縮機」に、「中間冷却器26」は「中間冷却器」に、「高圧圧縮機18」は「高圧圧縮機」に、「ガスタービンエンジンシステム10」は「ガスタービン」及び「ガスタービンシステム10」にそれぞれ相当する。
そして、後者の「冷やされた空気を第1の圧力に圧縮する」はその機能、構成および技術的意義からみて前者の「第1の圧縮空気供給物を生成するために前記冷やされた空気を圧縮する」に相当する。そして、後者の「冷やされた空気を第1の圧力に圧縮する」ことで得られるものは前者の「第1の圧縮空気供給物」に相当するものといえる。そうすると、後者の「冷却された空気供給物を生成するために前記第1の圧力に圧縮された空気の温度は低下される」は前者の「冷却された空気供給物を生成するために前記第1の圧縮空気供給物を冷却する」に相当する。
同様に、後者の「冷却空気を第1の圧力よりも高い第2の圧力に圧縮する」は前者の「第2の圧縮空気供給物を生成するために前記冷却された空気供給物を圧縮する」に相当する。そうすると、後者の「冷却空気を第1の圧力よりも高い第2の圧力に圧縮する」ことで得られるものは、前者の「第2の圧縮空気供給物」に相当するといえる。

したがって、両者は、
「吸入空気を受けるように構成された吸入口を備え、動力を発生するために燃料を燃焼させるように構成されたガスタービンであって、
前記吸引口またはその上流で冷やされた空気を生成するために前記吸入空気の温度を低下させるように構成されたチリングアセンブリと、
第1の圧縮空気供給物を生成するために前記冷やされた空気を圧縮するように構成された低圧圧縮機と、
冷却された空気供給物を生成するために前記第1の圧縮空気供給物を冷却するように構成された中間冷却器と、
第2の圧縮空気供給物を生成するために前記冷却された空気供給物を圧縮するように構成された高圧圧縮機であり、前記中間冷却器が前記低圧圧縮機と前記高圧圧縮機との間に直列方式で配置される、高圧圧縮機と、
前記動力を発生するために前記第2の圧縮空気供給物が存在する中で前記燃料を燃焼させるように構成された燃焼器と
を備えるガスタービン。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
前者は、「空気が冷却されない場合に前記中間冷却器における第1の予想される凝結物の量を決定し、かつ前記第1の予想される凝結物の量よりも少ない第2の予想される凝結物の量に対応する温度に前記冷やされた空気を生成するために前記チリングアセンブリの動作を制御するようにプログラムされた制御システム」を備えているのに対し、後者はかかる構成を備えていない点。

相違点1について検討する。
引用発明は、中間冷却器26における凝結物の量に基づいて冷却装置32の動作を制御するものではない。また、引用文献1には、このような制御を行うことは記載されておらず、示唆もない。そして、引用発明において、相違点にかかる本願発明1の発明特定事項を当業者の通常の創作能力の範囲で容易に想到することができるとする技術常識或いは周知技術を見出すこともできない。
そうすると、引用発明に基いて、上記相違点1にかかる本願発明1の発明特定事項を容易になし得ることはできない。

ここで、原査定における本願発明1の拒絶の理由ではない引用文献2の記載事項について、念のためにその内容を確認すると、
引用文献2の記載事項は「温度制御装置270は圧縮機入口温度センサ290、湿度センサ300と通信することができる点。」である。

すなわち、引用文献2の記載事項は、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を備えていない。
してみると、このような相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を備えていない引用文献2の記載事項を引用発明に適用しても、上記相違点1にかかる本願発明1の発明特定事項にはならない。
そうすると、引用発明及び引用文献2の記載事項を総合しても、上記相違点1にかかる本願発明1の発明特定事項を容易になし得るとはいえない。

したがって、本願発明1は、引用発明、又は引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)本願発明2ないし本願発明9について
本願の特許請求の範囲における請求項2ないし9は、請求項1の記載を直接又は間接的に、かつ、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく引用して記載されたものであるから、本願発明2ないし本願発明9は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。

したがって、本願発明2ないし本願発明9は、本願発明1と同様の理由により、引用発明、又は引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)本願発明10ないし本願発明14について
本願発明10と引用発明とを対比すると、両者は、以下の相違点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点2]
前者は、「チリングシステムにつなげられ、前記吸入空気の1つまたは複数のパラメータに基づいて空気が冷却されない場合に前記中間冷却器における予想される凝結物の量を決定し、かつ前記中間冷却器における前記予想される凝結物の量よりも少ない量に対応する温度までに前記吸入空気の絶対湿度を低下させるために前記チリングシステムを制御するようにプログラムされた制御システム」を備えているのに対し、後者はかかる構成を備えていない点。

相違点2について検討する。
相違点1において検討したように、引用発明は、中間冷却器26における凝結物の量に基づいて冷却装置32の動作を制御するものではない。また、引用文献1には、このような制御を行うことは記載されておらず、示唆もない。そして、引用発明において、相違点1にかかる本願発明1の発明特定事項を当業者の通常の創作能力の範囲で容易に想到することができるとする技術常識或いは周知技術を見出すこともできない。
そうすると、相違点1における検討と同様に、引用発明に基いて、上記相違点2にかかる本願発明1の発明特定事項を容易になし得るとはいえない。
また、引用文献2の記載事項についても、相違点1において検討した通りである。

したがって、本願発明10は、引用発明、又は引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

そして、本願の特許請求の範囲における請求項11ないし14は、請求項10の記載を直接又は間接的に、かつ、請求項10の記載を他の記載に置き換えることなく引用して記載されたものであるから、本願発明11ないし本願発明14は、本願発明10の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明11ないし本願発明14は、本願発明10と同様の理由により、引用発明、又は引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(4)本願発明15ないし本願発明20について
本願発明15と引用発明とを対比すると、両者は、以下の相違点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点3]
前者は、「少なくとも1つのパラメータに基づいて、空気が冷却されない場合に、吸入空気チリングシステムの下流でかつ低圧圧縮機と高圧圧縮機との間に直列方式で配置された中間冷却器における予想される凝結物の量を決定するステップと、
前記中間冷却器において実質的に予想される凝結がないことに対応する前記タービン吸入空気の所望の温度を決定するステップと、
前記所望の温度まで前記タービン吸入空気を冷やすために前記吸入空気チリングシステムを制御するステップ」を備えているのに対し、後者はかかる構成を備えていない点。

相違点3について検討する。
相違点1において検討したように、引用発明は、中間冷却器26における凝結物の量に基づいて冷却装置32の動作を制御するものではない。また、引用文献1には、このような制御を行うことは記載されておらず、示唆もない。そして、引用発明において、相違点1にかかる本願発明1の発明特定事項を当業者の通常の創作能力の範囲で容易に想到することができるとする技術常識或いは周知技術を見出すこともできない。
そうすると、相違点1における検討と同様に、引用発明に基いて、上記相違点3にかかる本願発明15の発明特定事項を容易になし得るとはいえない。
また、引用文献2の記載事項についても、相違点1において検討した通りである。

したがって、本願発明15は、引用発明、又は引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

そして、本願の特許請求の範囲における請求項16ないし20は、請求項15の記載を直接又は間接的に、かつ、請求項15の記載を他の記載に置き換えることなく引用して記載されたものであるから、本願発明16ないし本願発明20は、本願発明15の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明16ないし本願発明20は、本願発明15と同様の理由により、引用発明、又は引用発明及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

(5)小括
上述のとおり、本願発明1ないし20は、当業者が原査定における引用文献1及び2に基いて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、当審が通知した理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-05-20 
出願番号 特願2015-517260(P2015-517260)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F02C)
P 1 8・ 537- WY (F02C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 孔徳  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 水野 治彦
金澤 俊郎
発明の名称 ガスタービン制御システムおよび方法  
代理人 小倉 博  
代理人 田中 拓人  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ