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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C07K
管理番号 1351274
審判番号 不服2017-16322  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-02 
確定日 2019-05-09 
事件の表示 特願2014-546031「芳香族カチオン性ペプチドおよびその使用」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月13日国際公開、WO2013/086020、平成27年 3月12日国内公表、特表2015-507611〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年12月5日(パリ条約による優先権主張 2011年12月9日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年10月5日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成29年4月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年6月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年11月2日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成29年11月2日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年11月2日付の手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1と、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1は、それぞれ次のとおりのものである。
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

から成る群から選択された芳香族カチオン性ペプチド。」
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下、「本願補正発明」という。)
「【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】

【表1-6】

から成る群から選択された芳香族カチオン性ペプチド。」

2 補正の適否
本件補正は、請求項1に択一的に記載された「芳香族カチオン性ペプチド」の選択肢のうち、D-Arg-Dmt-D-Lys-Phe-NH_(2)、D-Arg-Dmt-Lys-NH_(2)、D-Arg-Dmt-NH_(2)、D-Arg-Phe-Lys-NH_(2)、D-Arg-Trp-Lys-NH_(2)、D-Arg-Tyr-Lys-NH_(2)、Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)、Dmt-Lys-NH_(2)およびDmt-Lys-Phe-NH_(2)を削除するものであるから、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について以下に検討する。

(1)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2011/139992号(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。なお、英語で記載されているので、当審による翻訳文で示す。(下線は当審にて付したものである。)
ア 「1.以下から成る群から選択される芳香族カチオン性ペプチド:
D-Arg-Tyr-Lys-Phe-NH_(2)
D-Arg-Dmt-D-Lys-Phe-NH_(2)
D-Arg-Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)
Phe-D-Arg-D-Phe-Lys-NH_(2)
Phe-D-Arg-Phe-D-Lys-NH_(2)
・・・
Dmt-Lys-Phe-NH_(2)
Lys-Dmt-D-Arg-NH_(2)
Phe-Lys-Dmt-NH_(2)
D-Arg-Phe-Lys-NH_(2)
D-Arg-Cha-Lys-NH_(2)
D-Arg-Trp-Lys-NH_(2)
Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)
Dmt-Lys-NH_(2)
Lys-Phe-NH_(2)
D-Arg-Cha-Lys-Cha-NH_(2)
D-Nle-Dmt-Ahe-Phe-NH_(2)
D-Nle-Cha-Ahe-Cha-NH_(2)
式中、Chaはシクロヘキシルアラニンであり、Nleはノルロイシンであり、さらにAheは2-アミノ-ヘプタン酸である。」(第54頁第3行?第55頁第4行)
イ 「本明細書に開示する芳香族カチオン性ペプチドは、酸化性損傷及び細胞死に関連する治療の応用で有用である。その必要がある哺乳動物に投与したとき、本ペプチドはミトコンドリアに局在し、前記器官の構造的完全性及び機能を改善する。その必要がある対象動物への本ペプチドの投与は、ミトコンドリア透過性の変遷を受けるミトコンドリア数を減少させ、細胞及び組織に対する酸化性損傷のレベルを低下させ、さらにミトコンドリアのATP合成速度を増加させる。」(段落[0003])
ウ 「芳香族カチオン性ペプチドの合成
本明細書に開示する芳香族カチオン性ペプチドは、当分野で周知の任意の方法によって合成できる。」(段落[0148]の第1?2行)
エ 「図3Aは、芳香族カチオン性ペプチドLys-Dmt-D-Arg-NH_(2)のHPLC解析を示す。図3Bは、芳香族カチオン性ペプチドLys-Dmt-D-Arg-NH_(2)のMS解析を示す。」(段落[0020]?[0021])
オ 「図4Aは、芳香族カチオン性ペプチドPhe-Lys-Dmt-NH_(2)のHPLC解析を示す。図4Bは、芳香族カチオン性ペプチドPhe-Lys-Dmt-NH_(2)のMS解析を示す。」(段落[0022]?[0023])
カ 「図12Aは、芳香族カチオン性ペプチドLys-Phe-NH_(2)のHPLC解析を示す。図12Bは、芳香族カチオン性ペプチドLys-Phe-NH_(2)のMS解析を示す。」(段落[0038]?[0039])
キ 「図13Aは、芳香族カチオン性ペプチドD-Arg-Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)のHPLC解析を示す。図13Bは、芳香族カチオン性ペプチドD-Arg-Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)のMS解析を示す。」(段落[0040]?[0041])
ク 「

」(図3)
なお、摘記は省略するが、図4、図12?13にも、図3と同様に各芳香族カチオン性ペプチドのHPLC解析およびMS解析が示されている。

(2)引用発明
ア 上記(1)ア?エ、クに照らすと、引用文献1には、次のとおりの発明が記載されているといえる。
「Lys-Dmt-D-Arg-NH_(2)である芳香族カチオン性ペプチド。」(以下、「引用発明1」という。)
イ 上記(1)ア?ウ、オに照らすと、引用文献1には、次のとおりの発明が記載されているといえる。
「Phe-Lys-Dmt-NH_(2)である芳香族カチオン性ペプチド。」(以下、「引用発明2」という。)
ウ 上記(1)ア?ウ、カに照らすと、引用文献1には、次のとおりの発明が記載されているといえる。
「Lys-Phe-NH_(2)である芳香族カチオン性ペプチド。」(以下、「引用発明3」という。)
エ 上記(1)ア?ウ、キに照らすと、引用文献1には、次のとおりの発明が記載されているといえる。
「D-Arg-Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)である芳香族カチオン性ペプチド。」(以下、「引用発明4」という。)

(3)対比・判断
ア 本願補正発明と引用発明1とを対比すると、両者は共に「芳香族カチオン性ペプチド」であるところ、引用発明1の化学構造「Lys-Dmt-D-Arg-NH_(2)」は、本願補正発明の選択肢の一つとして【表1-6】の4番目に記載された化学構造「Lys-Dmt-D-Arg-NH_(2)」と一致する。
したがって、本願補正発明は、引用発明1と同一である。
イ 本願補正発明と引用発明2とを対比すると、両者は共に「芳香族カチオン性ペプチド」であるところ、引用発明2の化学構造「Phe-Lys-Dmt-NH_(2)」は、本願補正発明の選択肢の一つとして【表1-6】の19番目に記載された化学構造「Phe-Lys-Dmt-NH_(2)」と一致する。
したがって、本願補正発明は、引用発明2と同一である。
ウ 本願補正発明と引用発明3とを対比すると、両者は共に「芳香族カチオン性ペプチド」であるところ、引用発明3の化学構造「Lys-Phe-NH_(2)」は、本願補正発明の選択肢の一つとして【表1-6】の7番目に記載された化学構造「Lys-Phe-NH_(2)」と一致する。
したがって、本願補正発明は、引用発明3と同一である。
エ 本願補正発明と引用発明4とを対比すると、両者は共に「芳香族カチオン性ペプチド」であるところ、引用発明4の化学構造「D-Arg-Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)」は、本願補正発明の選択肢の一つとして【表1-1】の24番目に記載された化学構造「D-Arg-Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)」と一致する。
したがって、本願補正発明は、引用発明4と同一である。
オ 上記ア?エのとおり、択一的に記載された本願補正発明は、その選択肢の中に引用文献1に記載された発明と同一の発明を包含するものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、第159条第1項で準用する第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年11月2日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年4月11日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

から成る群から選択された芳香族カチオン性ペプチド。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2011/139992号(上記第2の2(1)の「引用文献1」である。)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

3 引用文献およびその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1およびその記載事項は、前記第2の2(1)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は「芳香族カチオン性ペプチド」であって、選択肢として、「Lys-Dmt-D-Arg-NH_(2)」(【表1-4】の27番目)、「Phe-Lys-Dmt-NH_(2)」(【表1-4】の42番目)、「Lys-Phe-NH_(2)」(【表1-4】の30番目)および「D-Arg-Dmt-Lys-D-Phe-NH_(2)」(【表1-1】の25番目)を含むものである。そして、これらを選択した場合は引用文献1に記載された発明と同一であることは、上記第2の2で判断したとおりである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、その余について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-11-26 
結審通知日 2018-12-03 
審決日 2018-12-14 
出願番号 特願2014-546031(P2014-546031)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C07K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 戸来 幸男  
特許庁審判長 中島 庸子
特許庁審判官 長井 啓子
小暮 道明
発明の名称 芳香族カチオン性ペプチドおよびその使用  
代理人 浅井 賢治  
代理人 弟子丸 健  
代理人 市川 さつき  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 星野 貴光  
代理人 服部 博信  
代理人 山崎 一夫  
代理人 箱田 篤  
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