• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C11D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C11D
管理番号 1351331
審判番号 不服2018-6395  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-09 
確定日 2019-05-08 
事件の表示 特願2016-572378「苦味剤を含む組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月11日国際公開、WO2015/134827、平成29年 6月 1日国内公表、特表2017-514003〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年3月6日〔パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年3月7日(US)米国〕を国際出願日とする出願であって、
平成29年9月4日付けの拒絶理由通知に対し、平成29年12月7日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされ、
平成29年12月27日付けの拒絶査定に対し、平成30年5月9日付けで審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年5月9日付け手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成30年5月9日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1.補正の内容
平成30年5月9日付け手続補正(以下「第2回目の手続補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
単位用量洗剤組成物であって、
a.少なくとも1つの区画(前記少なくとも1つの区画は液体組成物を含み、前記液体組成物は可塑化溶媒を含む);
b.水溶性フィルム(前記水溶性フィルムは可塑剤を含み、かつ前記水溶性フィルムは80%?99%加水分解されているポリビニルアルコールであるポリマーを含む);及び c.苦味剤
を含む、単位用量洗剤組成物。」
との記載を、補正後の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
単位用量洗剤組成物であって、
a.少なくとも1つの区画(前記少なくとも1つの区画は液体組成物を含み、前記液体組成物は可塑化溶媒を含み、前記可塑化溶媒は水、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記液体組成物はアニオン性界面活性剤を更に含む);
b.水溶性フィルム(前記水溶性フィルムは可塑剤を含み、前記可塑剤は水、グリセロール、ジエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物を含み、かつ前記水溶性フィルムは80%?99%加水分解されているポリビニルアルコールであるポリマーを含む);及び
c.苦味剤
を含む、単位用量洗剤組成物。」
との記載に改める補正を含むものである。

2.補正の適否
(1)はじめに
上記請求項1についての補正は、補正前の「a.少なくとも1つの区画(前記少なくとも1つの区画は液体組成物を含み、前記液体組成物は可塑化溶媒を含む);」との記載部分を、補正後の「a.少なくとも1つの区画(前記少なくとも1つの区画は液体組成物を含み、前記液体組成物は可塑化溶媒を含み、前記可塑化溶媒は水、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記液体組成物はアニオン性界面活性剤を更に含む);」との記載(補正箇所に下線を付す。)に改める補正を含むものである。
そして、当該補正により補正前の「可塑化溶媒」の種類が特定のものに限定されるとともに、補正前の「液体組成物」が「アニオン性界面活性剤」を更に含むものに限定されることから、当該補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とする補正に該当するといえる。
そこで、補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について検討する。

(2)引用文献2及びその記載事項
本願の優先日(2014年3月7日)前の2014年2月20日に頒布された刊行物であって、原査定において引用文献2として引用された「国際公開第2014/026855号」には、和訳にして、次の記載がある。

摘記2a:請求項1
「1.剤および水溶性包装材料を含有する水溶性パッケージであって、該水溶性包装材料は、1,000?200,000の苦味値を有する苦味剤を、少なくとも部分的に含有する、水溶性パッケージ。」

摘記2b:第3頁第7行?第4頁第8行
「水溶性包装材料は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを含有することが好ましい。…
ポリビニルアルコールは、通常、直接の合成ルートは不可能であるためポリビニルアセテートの加水分解により製造される。このことは、ポリビニルアセテートコポリマーから同様にして製造されるポリビニルアルコールコポリマーにもあてはまる。水溶性包装材料の少なくとも1つの層が、70?100mol-%、好ましくは80?90mol-%、特に好ましくは81?89mol-%、特に82?88mol-%の加水分解度を有するポリビニルアルコールを含有する場合、好ましい。…
フィルム材料がさらなる添加剤を含有することが好ましくあり得る。フィルム材料は、例えば、柔軟剤、例えばジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、またはこれらの混合物を含有し得る。…
本発明の水溶性パッケージの水溶性包装材料において使用するのに適当な水溶性フィルムは、例えば、MonoSol LLCより、M8630、C8400またはM8900の商品名のもとで市販されているフィルムである。」

摘記2c:第4頁第13行?第5頁第15行
「1,000?200,000の苦味値を有する苦味剤を、例えば、水溶性包装材料の外表面に適用してよく、または、水溶性包装材料中に含有させてよい。…
1,000?200,000の苦味値を有する苦味剤は、例えば印刷、スプレーまたは塗布により適用され得る。…
あるいは、水溶性包装材料の外表面への適用のために、1,000?200,000の苦味値を有する苦味剤が水溶性包装材料のフィルム材料中に組み込まれていてもよい。」

摘記2d:第8頁第1?15行
「水溶性パッケージの種々のチャンバー中に含有される剤は、同一の組成を有してよい。少なくとも2つのチャンバーを有する水溶性パッケージにおいて、該剤は、少なくとも1つの原料に関して、または、1つの原料の含量に少なくとも関して異なる組成を好ましくは有する。
該剤は、水溶性包装材料の構造的一体性を破壊しない原料を含有する。使用される剤が液状または固体状の洗浄または清浄剤である場合、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白アクチベーター、漂白触媒、酵素、酵素安定化剤、電解質、pH調整剤、香料、香料担体、蛍光剤、染料、ヒドロトロープ、発泡防止剤、シリコーン油、再付着防止剤、灰色化防止剤、縮み防止剤、防しわ剤、染料移り防止剤、抗菌活性物質、非水性溶媒、殺菌剤、防かび剤、酸化防止剤、防腐剤、腐食防止剤、帯電防止剤、苦味剤、アイロンがけ助剤、防虫剤および含浸剤、乳白剤、スキンケア活性物質、膨潤剤および滑り止め剤、柔軟化成分、充填剤、およびUV吸収剤の群から選択される1種またはそれ以上の物質を含有し得る。」

摘記2e:第11頁第14?21行
「あるいは、1,000?200,000の苦味値を有する苦味剤を少なくとも部分的に含有するフィルムを、(a)好ましくは、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコールコポリマーを、単独で含有するかまたは少なくとも1種の追加の水溶性ポリマーと組み合わせて含有する水溶性ポリマーと、溶媒、1,000?200,000の苦味値を有する苦味剤および場合によりさらなる添加剤とを合わせて、マトリックスを形成させ、(b)少なくとも部分的に、1,000?200,000の苦味値を有する苦味剤を含有する水溶性フィルムを、該マトリックスの押し出しにより得ることにより得てよい。」

摘記2f:第11頁第22行?第12頁第26行
「以下において2つの例示的態様を参照し、本発明をより詳細に説明する。
液状の洗浄または清浄剤が充填されたチャンバーを有する水溶性パッケージを製造するために、まず、既知の常套の方法および工程を用いて、液状の洗浄または清浄剤を製造した。表1に、液状の洗浄または清浄剤E1の組成を示す。

表1:液状の洗浄または清浄剤E1〔全ての量を、組成物に基づく重量%活性物質にて示す〕
原料 E1
C_(10)-C_(13)アルキルベンゼンスルホン酸 21
8EOを有するC_(13)-C_(15)オキソアルコール 22.5
C_(12-18)脂肪酸 17.5
グリセリン 13
1,2-プロパンジオール 13.5
エタノール 3.26
ホスホネート 0.3
モノエタノールアミン 6.4
染料、酵素(セルラーゼ、アミラーゼ & 0.8
プロテアーゼ)、蛍光増白剤、香料
水 1.74

例示的態様1
液状の洗浄または清浄剤E1を含有する水溶性パッケージを製造するために、76μmの厚みを有するタイプM 8630(Monosol製)のフィルムを真空により空洞中に引いて、突出部を形成した。続いて、該突出部を30mLの液状の洗浄または清浄剤E1で充填した。剤を充填した該突出部をポリビニルアルコール、ポリ乳酸、1,2-プロパンジオール、およびグリセリンを含有し、76μmの厚みを有するフィルムの第2の層で覆った後、第1および第2の層を共にシールした。シーリング温度は150℃であり、シーリング持続は1.1秒であった。
次いで、水溶性パッケージの外表面全体に、両面に均一に、サッカロースオクタアセテートを含有する水性媒体を噴霧器を用いてスプレーした。水溶性パッケージあたりのサッカロースオクタアセテートの量は、2000ppmであった。該液体は、5秒以内に水溶性包装材料に吸収された。」

(3)引用文献2に記載された発明
引用文献2には、摘記2aの摘示のとおり「剤および水溶性包装材料を含有する水溶性パッケージであって、該水溶性包装材料は、1,000?200,000の苦味値を有する苦味剤を、少なくとも部分的に含有する、水溶性パッケージ。」が記載されている。
そして、上記「水溶性パッケージ」の例示的態様を示すものとして、引用文献2には、摘記2fの摘示のとおり「表1:液状の洗浄または清浄剤E1」の「組成物に基づく重量%」での組成における「C_(10)-C_(13)アルキルベンゼンスルホン酸 21」と「グリセリン 13」と「1,2-プロパンジオール 13.5」と「水 1.74」の記載、及び「例示的態様1」の「液状の洗浄または清浄剤E1を含有する水溶性パッケージを製造するために、76μmの厚みを有するタイプM 8630(Monosol製)のフィルムを真空により空洞中に引いて、突出部を形成した。続いて、該突出部を30mLの液状の洗浄または清浄剤E1で充填した。剤を充填した該突出部をポリビニルアルコール、ポリ乳酸、1,2-プロパンジオール、およびグリセリンを含有し、76μmの厚みを有するフィルムの第2の層で覆った後、第1および第2の層を共にシールした。…次いで、水溶性パッケージの外表面全体に、両面に均一に、サッカロースオクタアセテートを含有する水性媒体を噴霧器を用いてスプレーした。水溶性パッケージあたりのサッカロースオクタアセテートの量は、2000ppmであった。該液体は、5秒以内に水溶性包装材料に吸収された。」との記載にあるとおりの「例示的態様1」の「水溶性パッケージ」が記載されている。
ここで、当該「例示的態様1」の「水溶性パッケージ」の「水溶性包装材料」は「第1および第2の層を共にシール」したものであって、その「第2の層」を構成する「フィルム」に「ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、1,2-プロパンジオール、およびグリセリン」が含有されていることから、当該「第1および第2の層を共にシール」してなる「水溶性包装材料」の中には、その全体として「ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、1,2-プロパンジオール、およびグリセリン」が含有されているといえる。
また、摘記2bの「水溶性包装材料は、ポリビニルアルコール…を含有する…ポリビニルアルコールは…ポリビニルアセテートの加水分解により製造される。…特に82?88mol-%の加水分解度を有するポリビニルアルコールを含有する場合、好ましい。」との記載からみて、当該「例示的態様1」の「ポリビニルアルコール」は「特に82?88mol-%の加水分解度を有する場合、好ましい」ものとして記載されているといえる。

してみると、引用文献2には、
『C_(10)-C_(13)アルキルベンゼンスルホン酸21重量%、グリセリン13重量%、1,2-プロパンジオール13.5重量%、及び水1.74重量%を含有する剤(液状の洗浄または清浄剤E1)30mlを、ポリビニルアルコール(特に82?88mol-%の加水分解度を有する場合、好ましい)、ポリ乳酸、1,2-プロパンジオール、およびグリセリンを含有する水溶性包装材料(それぞれ76μmの厚みを有するフィルムの第1および第2の層を共にシールしたもの)の突出部に充填した水溶性パッケージであって、該水溶性包装材料は、水溶性パッケージあたり2000ppmの量のサッカロースオクタアセテート(苦味剤)を含有する、水溶性パッケージ。』についての発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。

(4)対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。

ア.補正発明の「液体組成物」=引用発明の「液状の剤E1」
引用発明の「C_(10)-C_(13)アルキルベンゼンスルホン酸21重量%、グリセリン13重量%、1,2-プロパンジオール13.5重量%、及び水1.74重量%を含有する剤(液状の洗浄または清浄剤E1)30ml」は、
引用発明の「C_(10)-C_(13)アルキルベンゼンスルホン酸21重量%」が、補正発明の「アニオン性界面活性剤」に対応し、
引用発明の「グリセリン13重量%、1,2-プロパンジオール13.5重量%、及び水1.74重量%」が、補正発明の「可塑化溶媒を含み、前記可塑化溶媒は水、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択され」に対応し、
引用発明の「液状の洗浄または清浄剤E1」という「液状」の「剤」が、補正発明の「液体組成物」に対応し、
引用発明の「…を含有する剤(液状の洗浄または清浄剤E1)30ml」が、補正発明の「前記液体組成物は…を含み、…前記液体組成物は…を更に含む」に対応するから、
補正発明の「前記液体組成物は可塑化溶媒を含み、前記可塑化溶媒は水、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記液体組成物はアニオン性界面活性剤を更に含む」に相当する。

イ.補正発明の「水溶性フィルム」=引用発明の「水溶性包装材料」
引用発明の「ポリビニルアルコール(特に82?88mol-%の加水分解度を有する場合、好ましい)、ポリ乳酸、1,2-プロパンジオール、およびグリセリンを含有する水溶性包装材料(それぞれ76μmの厚みを有するフィルムの第1および第2の層を共にシールしたもの)」は、
引用発明の「1,2-プロパンジオール、およびグリセリン」が、補正発明の「可塑剤を含み、前記可塑剤は水、グリセロール、ジエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物を含み」に対応し、
引用発明の「ポリビニルアルコール(特に82?88mol-%の加水分解度を有する場合、好ましい)」が、補正発明の「80%?99%加水分解されているポリビニルアルコール」に対応し、
引用発明の「…を含有する水溶性包装材料(…76μmの厚みを有するフィルムの第1および第2の層…)」が、補正発明の「水溶性フィルム(前記水溶性フィルムは…を含み、…を含む」に対応するから、
補正発明の「b.水溶性フィルム(前記水溶性フィルムは可塑剤を含み、前記可塑剤は水、グリセロール、ジエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物を含み、かつ前記水溶性フィルムは80%?99%加水分解されているポリビニルアルコールであるポリマーを含む」に相当する。

ウ.補正発明の「区画」と「単位用量洗剤組成物」=引用発明の「突出部」と「水溶性パッケージ」
引用発明の「剤(液状の洗浄または清浄剤E1)30mlを、…水溶性包装材料(それぞれ76μmの厚みを有するフィルムの第1および第2の層を共にシールしたもの)の突出部に充填した水溶性パッケージ」は、
引用発明の30mlの剤が充填される「突出部」が、補正発明の「少なくとも1つの区画」に対応し、
引用発明の「液状の…剤E1…を、…水溶性包装材料…の突出部に充填した」が、補正発明の「少なくとも1つの区画(前記少なくとも1つの区画は液体組成物を含み」に対応し、
引用発明の「水溶性パッケージ」が、その「30ml」という一回量包装でパウチされ、補正発明の「単位用量洗剤組成物」に対応するから、
補正発明の「a.少なくとも1つの区画(前記少なくとも1つの区画は液体組成物を含…む);…を含む、単位用量洗剤組成物。」に相当する。

エ.補正発明の「苦味剤」=引用発明の「苦味剤」
引用発明の「該水溶性包装材料は、…サッカロースオクタアセテート(苦味剤)を含有する」における「苦味剤」は、その特性・機能等からみて、補正発明の「苦味剤」と差異があるものとはいえない(摘記2a、2c、2e参照)。加えて、引用発明の「サッカロースオクタアセテート(苦味剤)」が、補正発明を限定する補正後の本願請求項6の「苦味剤が…オクタアセチルスクロース…から選択される」に合致する苦味剤であるから、これは、補正発明の「c.苦味剤を含む、単位用量洗剤組成物」に相当する。

オ.一致点及び相違点
してみると、補正発明と引用発明は、両者とも『単位用量洗剤組成物であって、a.少なくとも1つの区画(前記少なくとも1つの区画は液体組成物を含み、前記液体組成物は可塑化溶媒を含み、前記可塑化溶媒は水、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記液体組成物はアニオン性界面活性剤を更に含む);b.水溶性フィルム(前記水溶性フィルムは可塑剤を含み、前記可塑剤は水、グリセロール、ジエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物を含み、かつ前記水溶性フィルムは80%?99%加水分解されているポリビニルアルコールであるポリマーを含む);及びc.苦味剤を含む、単位用量洗剤組成物。』という点において一致し、両者に相違する点はない。
したがって、補正発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

カ.進歩性について
仮に、引用発明の「ポリビニルアルコール(特に82?88mol-%の加水分解度を有する場合、好ましい)」について、引用文献2の「例示的態様1」の具体例における「ポリビニルアルコール」の「加水分解度」が明示されていない点において、補正発明と相違するとしても、引用文献2(摘記2b)には、用いる「ポリビニルアルコール」の「加水分解度」を「82?88mol-%」の範囲にするのが特に好ましいと記載されているので、この点については当業者が容易に想到し得たものと認められ、補正発明に格別予想外の効果があるとも認められない。
したがって、補正発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

キ.審判請求人の主張について
平成30年5月9日付けの審判請求書の第6頁第6?13行において、審判請求人は「特定の理論に縛られることを望むものではありませんが、苦味剤は、フィルムの外側と液体洗剤の内部の間で移動する傾向があると本願発明者らは考えています。液体組成物とフィルム間の、フィルムの化学的性質、可塑化溶媒および苦味剤を、慎重にバランスをとることによって、この移動の程度は減少または制御されうることを本願発明者らは見出したのです。すなわち、本願発明は、単位用量洗剤組成物において、フィルムに配合した苦味剤が内部へ移動し、その結果、経年により表面付近に存在する苦味剤が減少することを抑制するという効果を発揮するものです。」との主張をしている。
しかしながら、当該「特定の理論」や「苦味剤」が「フィルムの外側と液体洗剤の内部の間で移動する傾向」については、補正発明の発明特定事項として反映されているものではないから、上記主張は補正発明の特許性の存否に関係がない。
そして、本願明細書の段落0122?0127に記載された実施例1?3の具体例のものは、実施例1の「M8779フィルム」や、実施例2の「水溶性フィルム」や、実施例3の「パウチ」の具体的な内容が明らかにされていないので、これら実施例1?3の具体例が補正発明の具体例に相当するとはいえず、これら実施例1?3の具体例が格別の効果を示すことを裏付ける実験データ等の記載も存在しないので、補正発明の発明特定事項を満たすもの全てが上記「フィルムに配合した苦味剤が内部へ移動し、その結果、経年により表面付近に存在する苦味剤が減少することを抑制するという効果を発揮」する範囲にあるとはいえない。
また、仮に補正発明に何らかの効果があるとしても、引用発明は、本願明細書の段落0126の「実施例3-スプレー式」に合致した方法で、苦味剤を水溶性包装材料に吸収させてなるものであるから、補正発明と引用発明とに構成上の差異がない以上、補正発明に引用発明で発揮される効果と異なる異質な効果があるとは認められない。

3.まとめ
以上総括するに、上記請求項1についての補正は、独立特許要件違反があるという点において特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反する。
このため、その余のことを検討するまでもなく、第2回目の手続補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、〔補正の却下の決定の結論〕のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
第2回目の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に記載された発明(以下「本1発明」ともいう。)は、平成29年12月7日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は「この出願については、平成29年9月4日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、2によって、拒絶をすべきものです。」というものである。
そして、平成29年9月4日付け拒絶理由通知書には、理由1として「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」との理由と、理由2として「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」との理由が示されるとともに、その「記」には「●理由1(新規性)について・請求項1-5、7-10、12、14-22、24/引用文献1-2 ●理由2(進歩性)について・請求項1-24/引用文献1-2」との指摘がなされている。
また、原査定の備考欄には『引用文献1-2には、液状洗浄剤と、苦味剤を含有する水溶性包装材料とを構成成分とする1または2?5の多区画を有する水溶性パッケージが記載されており、当該液状洗浄剤にも苦味剤等を含有できること、当該苦味剤としてデナトリウムベンゾエート(安息香酸デナトリウム)、サッカロースオクタアセテート、グリコキシド、イソプレノイド、アルカノイド、アミノ酸、およびそれらの混合物等が使用できること、当該水溶性パッケージの好適なものとして82?88mol%の加水分解度を有するポリビニルアルコール等が使用され、型注入(押出)やWETコーティング(キャストプロセス)等により成形されること、当該水溶性パッケージの具体例には、LAS等の界面活性剤と、本願所定範囲の含有量を満たすグリセロール、1,2-プロパンジオール及び水等(本願の可塑化溶媒に相当)とを含む液状洗浄剤とを、グリセロール(可塑剤)及び約0.2質量%のデナトリウムベンゾエート等の苦味剤を含むポリビニルアルコール水溶性包装材料に充填されたもの、又は、苦味剤を含まない当該水溶性包装材料の表面に水等で希釈された苦味剤が噴霧されたもの等が、20℃の水中で容易に溶解することや、大気環境下で12週間放置後に手で触っても苦味剤が皮膚へ転移しないこと等も記載されている(引用文献1の特許請求の範囲、第2頁第6行-第9頁第24行、表1、実施例等、引用文献2の特許請求の範囲、第2頁第8行-第13頁第19行、表1、実施形態1-2参照)。』との指摘がなされている。

3.引用文献2及びその記載事項並びに引用文献2に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2及びその記載事項は、前記『第2 2.(2)』の項に示したとおりであり、引用文献2には、前記『第2 2.(3)』の項に示したとおりの「引用発明」が記載されている。

4.対比・判断
前記『第2 2.(1)』の項に示したように、補正発明は、本1発明の発明特定事項を限定的に減縮したものであって、本1発明は、補正発明を包含するものと認められるから、前記『第2 2(4)オ』の項に示したのと同様の理由により、本1発明は、引用文献2に記載された発明であり、また、前記『第2 2(4)カ』の項に示したのと同様の理由により、本1発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本1発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、また、本1発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、原査定に誤りはなく、その余の理由について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-11-30 
結審通知日 2018-12-04 
審決日 2018-12-17 
出願番号 特願2016-572378(P2016-572378)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C11D)
P 1 8・ 121- Z (C11D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 林 建二  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 天野 宏樹
木村 敏康
発明の名称 苦味剤を含む組成物  
代理人 永井 浩之  
代理人 朝倉 悟  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 小島 一真  
代理人 中村 行孝  
代理人 出口 智也  
代理人 前川 英明  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ