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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1351360 |
審判番号 | 不服2018-7945 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-06-08 |
確定日 | 2019-05-07 |
事件の表示 | 特願2013-97901号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月20日出願公開、特開2014-217527号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年5月7日の出願であって、平成29年2月13日付けの拒絶理由通知に対し、同年4月20日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月16日付けの最後の拒絶理由通知に対し、同年10月23日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年3月8日付けで平成29年10月23日付け手続補正を却下するとともに、拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、平成30年6月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の概要 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1において、「表示処理手段」が「特定可能に表示」する「変化後の価値」に係る事項を補正することを主旨とするものであり、本件補正前と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。 (本件補正前:平成29年4月20日付け手続補正) 「【請求項1】 識別情報の変動表示を行い、表示結果を導出表示する変動表示手段と、前記変動表示に伴って複数種類の遊技演出から所定の遊技演出を選択して実行する遊技演出実行手段とを備える遊技機であって、 前記遊技演出の種類に対応する価値を記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶されている価値に基づいて所定の集計期間に実行される遊技演出の価値を集計する集計手段と、 前記集計手段により集計された価値および当該価値に関連付けられた遊技演出を特定可能とする表示処理を実行する表示処理手段と、 を備え、 前記遊技演出実行手段は、価値に関連付けられた遊技演出と、価値を変化させる価値変化演出を行い、 前記表示処理手段は、前記価値変化演出において、変化前の価値を特定可能に表示した後、変化させる価値と変化後の価値を特定可能に表示する、 ことを特徴とする遊技機。」 (本件補正後:平成30年6月8日付け手続補正) 「【請求項1】 識別情報の変動表示を行い、表示結果を導出表示する変動表示手段と、前記変動表示に伴って複数種類の遊技演出から所定の遊技演出を選択して実行する遊技演出実行手段とを備える遊技機であって、 前記遊技演出の種類に対応する価値を記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶されている価値に基づいて所定の集計期間に実行される遊技演出の価値を集計する集計手段と、 前記集計手段により集計された価値および当該価値に関連付けられた遊技演出を特定可能とする表示処理を実行する表示処理手段と、 を備え、 前記遊技演出実行手段は、価値に関連付けられた遊技演出と、価値を変化させる価値変化演出を行い、 前記表示処理手段は、前記価値変化演出において、変化前の価値を特定可能に表示した後、変化させる価値と、該変化させる価値の近傍に配置された変化後の価値と、を特定可能に表示する、 ことを特徴とする遊技機。」 2.補正の適否 (以下では、本件補正後や本件補正前を単にそれぞれ「補正後」や「補正前」ともいう。) 補正後の請求項1は、実質的に変更とならない特定事項を除き、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「変化後の価値」について、「該変化させる価値の近傍に配置された」と特定することにより、補正前の請求項1に記載の「前記表示処理手段」が「特定可能に表示」する「変化後の価値」の配置態様を限定するものである。 そして、補正前の請求項1に記載された発明と、補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、願書に最初に添付された明細書の段落【0316】の記載に基づいており、いわゆる新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記「1.本件補正の概要」において示した次に特定されるとおりのものである。 (A?Gについては、発明特定事項を分説するため当審で付した。) 「A 識別情報の変動表示を行い、表示結果を導出表示する変動表示手段と、前記変動表示に伴って複数種類の遊技演出から所定の遊技演出を選択して実行する遊技演出実行手段とを備える遊技機であって、 B 前記遊技演出の種類に対応する価値を記憶する記憶手段と、 C 前記記憶手段に記憶されている価値に基づいて所定の集計期間に実行される遊技演出の価値を集計する集計手段と、 D 前記集計手段により集計された価値および当該価値に関連付けられた遊技演出を特定可能とする表示処理を実行する表示処理手段と、 を備え、 E 前記遊技演出実行手段は、価値に関連付けられた遊技演出と、価値を変化させる価値変化演出を行い、 F 前記表示処理手段は、前記価値変化演出において、変化前の価値を特定可能に表示した後、変化させる価値と、該変化させる価値の近傍に配置された変化後の価値と、を特定可能に表示する、 G ことを特徴とする遊技機。」 (2)刊行物に記載された事項 (2-1)刊行物1 原査定の拒絶の理由において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004?351131号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ア 「【0033】 [遊技機の電気的構成] 本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路を示すブロック図を図2に示す。」 イ 「【0061】 副制御回路200は、表示制御手段としてのサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、ワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250、スピーカ46から発生させる音声に関する制御を行う音声制御回路230、保留ランプ34a?34d、装飾ランプ36a及び36bを含むランプ132の制御を行うランプ制御回路240から構成されている。 【0062】?【0070】 (省略) 【0071】 表示制御回路250は、表示制御手段としての画像データプロセッサ(以下、VDPと称する)212、各種の画像データを記憶する画像データROM216、画像データを画像信号として変換するD/Aコンバータ218、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路220から構成されている。」 ウ 「【0112】 [期待値算出テーブルの説明] また、本実施形態においてプログラムROM208には、特定演出パターンに対応した期待値を算出するための期待値算出テーブルが記憶されている。つまり、この期待値算出テーブルは、特定の表示態様となる指標を示す期待値が記憶されたものである。この期待値算出テーブルについて図8を用いて説明する。尚、この期待値とは、液晶表示装置32において識別情報が特定の表示態様となる指標を示すパラメータである。また、特定演出パターンとは、期待値が対応付けられた演出パターンである。更には、ロングリーチ変動パターン、フラッシュリーチ変動パターンの期待値における括弧内の数値は、該当する変動パターンに発展する前の演出パターン種別に対応する期待値を加算した期待値である。更にまた、この期待値算出テーブルが記憶されたプログラムROM208は、パラメータ記憶手段に相当する。 【0113】 期待値算出テーブルは、特定演出パターンの種別に対応する期待値が設定され記憶されている。 【0114】 具体的には、ノーマルリーチ変動パターン、ロングリーチ変動パターン、フラッシュリーチ変動パターン、全回転変動パターン、イナズマ予告演出パターン、ドンちゃん予告演出パターン、コンドル群予告演出パターン、ドンちゃん群予告演出パターン、スペシャルリーチ音予告演出パターン、ランプフラッシュ予告演出パターンがそれぞれ期待値と対応付けられている。また、特定演出パターンには、連続予告が実行された後、リーチ態様が実行される連続予告後リーチ演出パターンも期待値と対応付けられている。尚、連続予告とは、特定の表示態様が導出表示される特別図柄ゲーム以前の特別図柄ゲームより特定の予告演出を連続して行うことをいい、例えば、特別なキャラクタを特別図柄ゲーム毎に連続して出現させる等をいう。」 エ 「【0130】 [特別図柄ゲームの説明] 上述した構成により実行される特別図柄ゲームについて図9を用いて説明する。 【0131】 図9(a)に示すように、識別情報の可変表示が開始された場合に、特定演出パターンであるランプフラッシュ演出パターンが実行される。この場合には、装飾ランプ36a、36bが高速で点滅するランプ演出パターンが実行されるとともに、ランプフラッシュ演出パターンに対応する個別の期待値である20ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示される。また、総期待値は、0ポイントであったが、個別の期待値である20ポイントを加算し、20ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される。 【0132】 そして、所定の時間が経過した後には、図9(b)に示すように、イナズマフラッシュ予告演出パターンが実行される。この場合には、液晶表示装置32の表示領域32aの中央にイナズマが表示される演出パターンが実行されるとともに、イナズマフラッシュ予告演出パターンに対応する個別の期待値である3ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示される。また、総期待値は、20ポイントであったが、個別の期待値である3ポイントを加算し、23ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される。 【0133】 そして、所定の時間が経過した後には、図9(c)に示すように、左列、右列に対応する識別情報が「7」として導出表示され、ノーマルリーチ変動パターンが実行される。この場合には、ノーマルリーチ変動パターンに対応する個別の期待値である5ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示される。また、総期待値は、23ポイントであったが、個別の期待値である5ポイントを加算し、28ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される。 【0134】 そして、所定の時間が経過した後には、図9(d)に示すように、ドンちゃん群予告演出パターンが実行される。この場合には、液晶表示装置32の表示領域32aの右から左にかけてうちわを持った多数のキャラクタが横切る演出パターンが実行されるとともに、ドンちゃん群予告演出パターンに対応する個別の期待値である25ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示される。また、総期待値は、28ポイントであったが、個別の期待値である25ポイントを加算し、53ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される。 【0135】 そして、所定の時間が経過した後には、図9(e)に示すように、ノーマルリーチ変動パターンから発展してロングリーチ変動パターンが実行される。この場合には、ロングリーチ変動パターンに対応する個別の期待値である10ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示される。また、総期待値は、53ポイントであったが、個別の期待値である10ポイントを加算し、63ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される。」 オ 「【0224】 [表示制御処理] 表示制御処理において、サブCPU206は、導出図柄指定コマンド、変動パターン指定コマンド、演出パターンを示すデータ、演出パターンに対応する個別の期待値を示すデータ、総期待値を示すデータ等に基づいて、液晶表示装置32の表示領域32aにおける左列、中列、右列のそれぞれに対応する識別情報画像を導出表示するためのデータ、演出パターンを示すデータ、演出パターンに対応する個別の期待値を示すデータ、をVDP212に供給する。 【0225】 このように、サブCPU206は、VDP212に対して、各種のデータを供給することにより、図9に示すように、選択された演出パターンを実行させることとなる。また、サブCPU206は、VDP212に対して、各種のデータを供給することにより、図9に示すように、特定演出パターンに対応した期待値に応じた表示を、その選択された特定演出パターンが実行される度に行わせることとなる。 【0226】 VDP212は、サブCPU206からのデータに基づいて、識別情報を示す識別情報画像データ、背景画像データ、演出用画像データ(図9における個別の期待値を示す画像データ、総記憶値を示す画像データ、演出パターンを表す画像データを含む。)、普通図柄を示す普通図柄画像データ等、各種の画像データを画像データROM216から読み出し、重ね合わせて、液晶表示装置32の表示領域32a上に表示を行う。 【0227】 このように、VDP212は、図9に示すように、特定演出パターンに対応した個別の期待値と総期待値との表示を、その選択された特定演出パターンが実行される度に行う。つまり、特定演出パターンに対応した期待値に応じた表示を、その選択された特定演出パターンが実行される度に行う。もちろん、識別情報の可変表示、選択された演出パターンの表示も行う。尚、表示制御処理を実行するサブCPU206、VDP212は、識別情報の可変表示制御を行う表示制御手段、演出パターン実行手段、総パラメータ表示手段、個別パラメータ表示手段の一例として採用されている。また、液晶表示装置32は、演出パターン実行手段の一例として採用されている。」 カ 「【0270】 更には、本実施形態においては、識別情報の可変表示に伴う演出パターンが実行される毎に加算する期待値を更新して表示するように構成したが、本発明はこれに限らず、他の態様であってもよく、例えば、今までに実行された演出パターンに対応する期待値を履歴表示するように構成してもよい。」 キ 上記ア?カの記載事項から、以下の認定事項が導かれる。 (ア)上記ア【0033】には、「パチンコ遊技機10」が記載されている。 上記イ【0061】より、「パチンコ遊技機10」は、「表示制御手段としてのサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、...、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250」を備えているといえる。 上記オ【0224】及び【0225】には、「サブCPU206」は、「導出図柄指定コマンド、変動パターン指定コマンド」に基づいて、「液晶表示装置32の表示領域32aにおける左列、中列、右列のそれぞれに対応する識別情報画像を導出表示するためのデータ、演出パターンを示すデータ」を「VDP212に供給」し、「VDP212に対して」、「選択された演出パターンを実行させ」ることが記載されている。 上記イ【0071】には、「表示制御回路250」は、「表示制御手段としての画像データプロセッサ(以下、VDPと称する)212」を備えることが記載されており、上記オ【0226】には、「VDP212は、サブCPU206からのデータに基づいて、識別情報を示す識別情報画像データ、...、演出用画像データ...等、...を画像データROM216から読み出し、...液晶表示装置32の表示領域32a上に表示を行う」ことが記載されており、上記オ【0227】には、「VDP212」は、「識別情報の可変表示、選択された演出パターンの表示」を行うことが記載されている。 そうすると、刊行物1には、 「表示制御手段としてのサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250を備える、パチンコ遊技機10であって、 前記サブCPU206は、導出図柄指定コマンド、変動パターン指定コマンドに基づいて、前記液晶表示装置32の表示領域32aにおける左列、中列、右列のそれぞれに対応する識別情報画像を導出表示するためのデータ、演出パターンを示すデータを前記表示制御回路250のVDP212に供給し、 前記VDP212は、前記サブCPU206からのデータに基づいて、識別情報を示す識別情報画像データ、演出用画像データ等を画像データROM216から読み出し、前記液晶表示装置32の表示領域32a上で識別情報の可変表示や選択された演出パターンの表示を行うものである、パチンコ遊技機10」 が記載されているといえる。 (イ)上記ウ【0112】には、「プログラムROM208には、特定演出パターンに対応した期待値を算出するための期待値算出テーブルが記憶されている」と記載されており、「特定演出パターンとは、期待値が対応付けられた演出パターンである」と記載されている。 上記ウ【0113】には、「期待値算出テーブルは、特定演出パターンの種別に対応する期待値が設定され」たものであることが記載されている。 上記ウ【0114】には、「ノーマルリーチ変動パターン、ロングリーチ変動パターン、フラッシュリーチ変動パターン、全回転変動パターン、イナズマ予告演出パターン、ドンちゃん予告演出パターン、コンドル群予告演出パターン、ドンちゃん群予告演出パターン、スペシャルリーチ音予告演出パターン、ランプフラッシュ予告演出パターンがそれぞれ期待値と対応付けられている」と記載されている。 そうすると、刊行物1には、「ノーマルリーチ変動パターン、ロングリーチ変動パターン、フラッシュリーチ変動パターン、全回転変動パターン、イナズマ予告演出パターン、ドンちゃん予告演出パターン、コンドル群予告演出パターン、ドンちゃん群予告演出パターン、スペシャルリーチ音予告演出パターン、ランプフラッシュ予告演出パターンが、特定演出パターンとしてそれぞれ期待値と対応付けられており、前記特定演出パターンの種別に対応した期待値を算出するための期待値算出テーブルが前記プログラムROM208に記憶されている」ことが記載されているといえる。 (ウ)上記エ【0131】には、「識別情報の可変表示が開始された場合に、特定演出パターンであるランプフラッシュ演出パターンが実行され」、「装飾ランプ36a、36bが高速で点滅するランプ演出パターンが実行されるとともに、ランプフラッシュ演出パターンに対応する個別の期待値である20ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示され」、「総期待値」は、「ランプフラッシュ演出パターン」が実行される前の「0ポイント」に「ランプフラッシュ演出パターンに対応する個別の期待値である20ポイント」を「加算し」た「20ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される」ことが記載されている。 上記エ【0132】には、「所定の時間が経過した後」、「イナズマフラッシュ予告演出パターンが実行され」、「液晶表示装置32の表示領域32aの中央にイナズマが表示される演出パターンが実行されるとともに、イナズマフラッシュ予告演出パターンに対応する個別の期待値である3ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示され」、「総期待値」は、「イナズマフラッシュ予告演出パターン」が実行される前の「20ポイント」に「イナズマフラッシュ予告演出パターンに対応する個別の期待値である3ポイント」を「加算し」た「23ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される」ことが記載されている。 上記エ【0133】には、「所定の時間が経過した後」、「左列、右列に対応する識別情報が「7」として導出表示され、ノーマルリーチ変動パターンが実行され」、「ノーマルリーチ変動パターンに対応する個別の期待値である5ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示され」、「総期待値」は、「ノーマルリーチ変動パターン」が実行される前の「23ポイント」に「ノーマルリーチ変動パターンに対応する個別の期待値である5ポイント」を「加算し」た「28ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される」ことが記載されている。 上記エ【0134】には、「所定の時間が経過した後」、「ドンちゃん群予告演出パターンが実行され」、「液晶表示装置32の表示領域32aの右から左にかけてうちわを持った多数のキャラクタが横切る演出パターンが実行されるとともに、ドンちゃん群予告演出パターンに対応する個別の期待値である25ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示され」、「総期待値」は、「ドンちゃん群予告演出パターン」が実行される前の「28ポイント」に「ドンちゃん群予告演出パターンに対応する個別の期待値である25ポイント」を「加算し」た「53ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される」ことが記載されている。 上記エ【0135】には、「所定の時間が経過した後」、「ノーマルリーチ変動パターンから発展してロングリーチ変動パターンが実行され」、「ロングリーチ変動パターンに対応する個別の期待値である10ポイントが液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示され」、「総期待値」は、「ロングリーチ変動パターン」が実行される前の「53ポイント」に「ロングリーチ変動パターンに対応する個別の期待値である10ポイント」を「加算し」た「63ポイントとして液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される」ことが記載されている。 上記オ【0224】及び【0225】には、「サブCPU206」は、「演出パターンを示すデータ」を「VDP212に供給」し、「VDP212に対して」、「選択された演出パターンを実行させ」ることが記載されている。 上記オ【0226】には、「VDP212は、サブCPU206からのデータに基づいて、...演出用画像データ(図9における個別の期待値を示す画像データ、総記憶値を示す画像データ、演出パターンを表す画像データを含む。)、...を画像データROM216から読み出し、重ね合わせて、液晶表示装置32の表示領域32a上に表示を行う」と記載されており、上記オ【0227】には、「VDP212」は、「特定演出パターンに対応した個別の期待値と総期待値との表示を、その選択された特定演出パターンが実行される度に行う」と記載されている。 以上のことから、刊行物1には、 「識別情報の可変表示が開始された場合、選択された特定演出パターンが実行される度に、サブCPU206は、特定演出パターンを示すデータをVDP212に供給し、 VDP212は、サブCPU206からのデータに基づいて、当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示するようにし、当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイントを総期待値として、液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示するようにする」ことが記載されているといえる。 (エ)上記カ【0270】には、「今までに実行された演出パターンに対応する期待値を履歴表示する」ことが記載されている。 ク 上記(ア)?(エ)の認定事項を総合すれば、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (a?gは本件補正発明の分説に対応させて当審で付した。) [引用発明] 「a 表示制御手段としてのサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250を備える、パチンコ遊技機10であって、 前記サブCPU206は、導出図柄指定コマンド、変動パターン指定コマンドに基づいて、前記液晶表示装置32の表示領域32aにおける左列、中列、右列のそれぞれに対応する識別情報画像を導出表示するためのデータ、演出パターンを示すデータを前記表示制御回路250のVDP212に供給し、 前記VDP212は、前記サブCPU206からのデータに基づいて、識別情報を示す識別情報画像データ、演出用画像データ等を画像データROM216から読み出し、前記液晶表示装置32の表示領域32a上で識別情報の可変表示や選択された演出パターンの表示を行うものであり、 b ノーマルリーチ変動パターン、ロングリーチ変動パターン、フラッシュリーチ変動パターン、全回転変動パターン、イナズマ予告演出パターン、ドンちゃん予告演出パターン、コンドル群予告演出パターン、ドンちゃん群予告演出パターン、スペシャルリーチ音予告演出パターン、ランプフラッシュ予告演出パターンが、特定演出パターンとしてそれぞれ期待値と対応付けられており、前記特定演出パターンの種別に対応した期待値を算出するための期待値算出テーブルが前記プログラムROM208に記憶されており、 c、d、e、f 識別情報の可変表示が開始された場合、選択された特定演出パターンが実行される度に、サブCPU206は、特定演出パターンを示すデータをVDP212に供給し、 VDP212は、サブCPU206からのデータに基づいて、当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示するようにし、当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイントを総期待値として、液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示するようにし、今までに実行された演出パターンに対応する期待値を履歴表示するようにした、 g パチンコ遊技機10。」 (2-2)刊行物2 原査定の拒絶の理由において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009?201532号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 ア 「【0079】 [第2実施例] 第2実施例では、信頼度を決定する要因として、変動コマンドではなく、サブ制御装置83側で決定された各種演出内容を用いる構成であり、これ以外は第1実施例と略同様の構成である。そのため、第1実施例と同一部品には同一符号を付してその説明を省略し、異なる点について述べる。 【0080】 図19は、サブ制御装置83が主制御装置80から送られる変動コマンドに基づいて詳細な演出内容を決定する詳細指定にて選ばれた各種演出と信頼度に用いられるポイントとの対応図である。この例ではキャラ予告、ステップアップ予告、リーチでのポイントの振り分けを表わしている。 図20では、特殊な組み合わせとして、キャラ予告、ステップアップ予告、リーチ予告で特定の組み合わせの時のみ対応したポイントが記されている。例えば、特殊組み合わせナンバー1のキャラAは図19の図を参照するとポイント10である。ロングリーチもポイント10であり、本来ならば信頼度としては10+10で20が表示される(後述するが本実施例では各ポイントを加算して信頼度として表示する)構成なのだが、この組み合わせは特殊組み合わせに設定されており、表示される信頼度のポイントとしては40となる。 また、特殊組み合わせに指定されることにより信頼度が大幅に上がるものだけでなく、特殊組み合わせナンバー5のように下がってしまうものも設定されている。」 イ 「【0098】 [変形例] 以上、述べてきた実施例において、以下の機能を付加する構成も考えられる。 図29は、遊技者が遊技を行っていない待機期間中などに、記憶していた信頼度を、演出内容の履歴と共に一覧表示するものである。 信頼度や演出内容の記憶については、図30の一例のように、信頼度報知有効表示95中に(S273)、演出ボタン67が操作されて(S274:yes)信頼度報知表示96が開始されたとき(S279)に信頼度、演出内容を記憶する(S310)ことが考えられる。このようにすれば、遊技者が実際に知りたい信頼度だけが記憶させることができ、図29にあるポイント履歴表示も有用な情報のみが一覧表示されることになる。」 ウ 図29 エ 上記ア及びイの記載事項及び上記ウの図示内容より、刊行物2には、以下の技術事項(以下、「刊行物2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 [刊行物2記載事項] 「主制御装置80から送られる変動コマンドに基づいて、サブ制御装置83側で選ばれた各種演出内容と信頼度を決定し、各種演出と信頼度に用いられるポイントとの対応図により、各演出内容に対応したポイントを加算して信頼度として表示する際に、遊技者が遊技を行っていない待機時間中などに、記憶していた信頼度を、ポイント履歴表示として、演出内容の履歴と共に一覧表示させるものであり、例えば、演出内容がキャラ予告A、キャラBカットイン、SPリーチの組合せであり、信頼度の加算ポイントが38である場合には、「演出内容」の欄に「キャラ予告A:キャラBカットイン:SPリーチ」と表示させるとともに、上記「演出内容」の欄の表示に対応させて、「ポイント」の欄に「38」と表示させるようにするパチンコ機50。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 なお、見出しは(a)?(g)とし、本件補正発明の分説に対応させている。 (a)引用発明の「パチンコ遊技機10」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。 また、引用発明の「識別情報の可変表示」は、本件補正発明の「識別情報の変動表示」に相当し、引用発明の「識別情報画像を導出表示する」ことは、本件補正発明の「表示結果を導出表示する」ことに相当する。 そして、引用発明では、「サブCPU206」が、「前記液晶表示装置32の表示領域32aにおける左列、中列、右列のそれぞれに対応する識別情報画像を導出表示するためのデータ、演出パターンを示すデータを前記表示制御回路250のVDP212に供給し」、「VDP212」が、「識別情報を示す識別情報画像データ、演出用画像データ等を画像データROM216から読み出し、前記液晶表示装置32の表示領域32a上で識別情報の可変表示や選択された演出パターンの表示を行う」から、引用発明の「サブCPU206」、「VDP212」及び「液晶表示装置32」は、本件補正発明の「変動表示手段」に相当する。 引用発明の「選択された演出パターン」は、本件補正発明の「複数種類の遊技演出から」「選択」された「所定の遊技演出」に相当し、引用発明では、「サブCPU206」が、「演出パターンを示すデータを前記表示制御回路250のVDP212に供給し」、「VDP212」が、「演出用画像データ等を画像データROM216から読み出し、前記液晶表示装置32の表示領域32a上で...選択された演出パターンの表示を行うもの」であるから、引用発明の「サブCPU206」及び「VDP212」は、本件補正発明の「遊技演出実行手段」に相当する。 したがって、引用発明の構成aの「表示制御手段としてのサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250を備える、パチンコ遊技機10であって、前記サブCPU206は、導出図柄指定コマンド、変動パターン指定コマンドに基づいて、前記液晶表示装置32の表示領域32aにおける左列、中列、右列のそれぞれに対応する識別情報画像を導出表示するためのデータ、演出パターンを示すデータを前記表示制御回路250のVDP212に供給し、前記VDP212は、前記サブCPU206からのデータに基づいて、識別情報を示す識別情報画像データ、演出用画像データ等を画像データROM216から読み出し、前記液晶表示装置32の表示領域32a上で識別情報の可変表示や選択された演出パターンの表示を行うものであ」ることは、本件補正発明の構成Aの「識別情報の変動表示を行い、表示結果を導出表示する変動表示手段と、前記変動表示に伴って複数種類の遊技演出から所定の遊技演出を選択して実行する遊技演出実行手段とを備える遊技機」に相当する。 (b)引用発明では、「ノーマルリーチ変動パターン、ロングリーチ変動パターン、フラッシュリーチ変動パターン、全回転変動パターン、イナズマ予告演出パターン、ドンちゃん予告演出パターン、コンドル群予告演出パターン、ドンちゃん群予告演出パターン、スペシャルリーチ音予告演出パターン、ランプフラッシュ予告演出パターンが、特定演出パターンとしてそれぞれ期待値と対応付けられて」いるから、引用発明の「期待値」は、本件補正発明の「遊技演出の種類に対応する価値」に相当する。 また、引用発明では、「前記特定演出パターンの種別に対応した期待値を算出するための期待値算出テーブルが前記プログラムROM208に記憶されて」いるから、引用発明の「プログラムROM208」は、本件補正発明の「前記遊技演出の種類に対応する価値を記憶する記憶手段」に相当する。 したがって、引用発明の構成bの「ノーマルリーチ変動パターン、ロングリーチ変動パターン、フラッシュリーチ変動パターン、全回転変動パターン、イナズマ予告演出パターン、ドンちゃん予告演出パターン、コンドル群予告演出パターン、ドンちゃん群予告演出パターン、スペシャルリーチ音予告演出パターン、ランプフラッシュ予告演出パターンが、特定演出パターンとしてそれぞれ期待値と対応付けられており、前記特定演出パターンの種別に対応した期待値を算出するための期待値算出テーブルが前記プログラムROM208に記憶されて」いることは、本件補正発明Bの「前記遊技演出の種類に対応する価値を記憶する記憶手段」を備えることに相当する。 (c)引用発明の「当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイントを総期待値」とすることは、本件補正発明の「遊技演出の価値を集計する」ことに相当する。 また、引用発明では、「識別情報の可変表示が開始された場合、選択された特定演出パターンが実行される度に」、「加算した合計ポイント」を「総期待値」としているから、識別情報の可変表示が開始されてから、当該特定演出パターンが実行されたまでの間が、本件補正発明の「所定の集計期間」に相当する。 さらに、「当該特定演出パターンに対応する個別の期待値」は、「プログラムROM208」に記憶されている「特定演出パターンの種別に対応した期待値を算出するための期待値算出テーブル」に基づいて算出されていることは明らかである。 そして、引用発明では、「サブCPU206」が「特定演出パターンを示すデータをVDP212に供給し」、「VDP212は、サブCPU206からのデータに基づいて」、「当該特定演出パターンに対応する個別の期待値」や「総期待値」を表示するようにしているから、引用発明の「サブCPU206」は、「当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイント」を「総期待値」とする集計処理を行っているといえる。 したがって、引用発明の構成cの「識別情報の可変表示が開始された場合、選択された特定演出パターンが実行される度に、サブCPU206は、特定演出パターンを示すデータをVDP212に供給し、VDP212は、サブCPU206からのデータに基づいて、当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示するようにし、当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイントを総期待値として、液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示するように」することは、本件補正発明の構成Cの「前記記憶手段に記憶されている価値に基づいて所定の集計期間に実行される遊技演出の価値を集計する集計手段」を備えることに相当する。 (d)引用発明の「当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイント」は、本件補正発明の「前記集計手段により集計された価値」に相当するところ、引用発明では、「VDP212」が、「サブCPU206からのデータに基づいて」、上記「合計ポイントを総期待値として」、「液晶表示装置32の表示領域32a」に表示しており、引用発明の「サブCPU206」及び「VDP212」が、上記表示に係る処理を実行しているといえる。 したがって、本件補正発明の構成Dと引用発明の構成dとは、「前記集計手段により集計された価値を特定可能とする表示処理を実行する表示処理手段」を備える点で共通する。 (e)引用発明において、「当該特定演出パターンに対応する個別の期待値」の表示は、「選択された特定演出パターンが実行される度に」行われることから、引用発明では、「個別の期待値」に関連付けられた「特定演出パターン」が実行されており、これは本件補正発明の「価値に関連付けられた遊技演出」を行うことに相当する。 また、引用発明では、「当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイントを総期待値として」表示されるところ、「当該特定演出パターン」の実行される前と後とで、表示される「総期待値」が「加算」により変化しているから、このことは、本件補正発明の「価値を変化させる価値変化演出」を行うことに相当する。 そして、引用発明では、「特定演出パターン」の実行、「個別の期待値」や「総期待値」の表示に係る処理が、「サブCPU206」及び「VDP212」により行われているから、引用発明の「サブCPU206」及び「VDP212」は、価値に関連付けられた遊技演出と、価値を変化させる価値変化演出を行っているといえる。 したがって、引用発明の構成eの「識別情報の可変表示が開始された場合、選択された特定演出パターンが実行される度に、サブCPU206は、特定演出パターンを示すデータをVDP212に供給し、 VDP212は、サブCPU206からのデータに基づいて、当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示するようにし、当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイントを総期待値として、液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示するように」することは、本件補正発明の構成Eの「前記遊技演出実行手段は、価値に関連付けられた遊技演出と、価値を変化させる価値変化演出を行」うことに相当する。 (f)引用発明の「当該特定演出パターンが実行される前の総期待値」は、本件補正発明の「変化前の価値」に相当し、引用発明の「当該特定演出パターンに対応する個別の期待値」は、本件補正発明の「変化させる価値」に相当し、引用発明の「当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイント」は、本件補正発明の「変化後の価値」に相当する。 また、上記(e)において検討したとおり、引用発明では、「当該特定演出パターン」の実行される前と後とで表示される「総期待値」が「加算」により変化しているから、引用発明の「サブCPU206」及び「VDP212」は、「当該特定演出パターン」の実行前に、変化前の「総期待値」を特定可能に表示するための処理を実行し、その後、「当該特定演出パターン」の実行により、変化分である「個別の期待値」と変化後の「総期待値」とを特定可能に表示するための処理を実行しているといえる。 したがって、本件補正発明の構成Fと引用発明の構成fとは、「前記表示処理手段は、前記価値変化演出において、変化前の価値を特定可能に表示した後、変化させる価値と、変化後の価値と、を特定可能に表示する」ことで共通する。 (g)引用発明の構成gの「パチンコ遊技機10。」は、本件補正発明の構成Gの「遊技機。」に相当する。 上記(a)?(g)の対比により、本件補正発明と引用発明とは、 「A 識別情報の変動表示を行い、表示結果を導出表示する変動表示手段と、前記変動表示に伴って複数種類の遊技演出から所定の遊技演出を選択して実行する遊技演出実行手段とを備える遊技機であって、 B 前記遊技演出の種類に対応する価値を記憶する記憶手段と、 C 前記記憶手段に記憶されている価値に基づいて所定の集計期間に実行される遊技演出の価値を集計する集計手段と、 D’ 前記集計手段により集計された価値を特定可能とする表示処理を実行する表示処理手段と、 を備え、 E 前記遊技演出実行手段は、価値に関連付けられた遊技演出と、価値を変化させる価値変化演出を行い、 F’ 前記表示処理手段は、前記価値変化演出において、変化前の価値を特定可能に表示した後、変化させる価値と、変化後の価値と、を特定可能に表示する、 G 遊技機。」 である点で一致し(以下、「一致点」という。)、 以下の相違点1及び2で相違する。 [相違点1] 「表示処理手段」により「実行」される「表示処理」において、本件補正発明では、「前記集計手段により集計された価値」及び「当該価値に関連付けられた遊技演出」を特定可能とするのに対して(構成D)、引用発明では、そのような構成を備えているか明らかではない点。 [相違点2] 「表示処理手段」が「価値変化演出において」「特定可能に表示する」「変化後の価値」について、本件補正発明では、「該変化させる価値の近傍に配置」されるのに対して(構成F)、引用発明では、そのような特定がされていない点。 (4)判断 上記相違点1及び2について検討する。 (4-1)相違点1について 上記刊行物2記載事項には、「各種演出と信頼度に用いられるポイントとの対応図により、各演出内容に対応したポイントを加算して信頼度として表示する」ことが開示されており、この「各演出内容に対応したポイントを加算して信頼度として表示する」ことは、本件補正発明の「集計された価値」を「特定可能とする表示処理を実行する」ことに相当する。 また、上記刊行物2記載事項では、「信頼度を、ポイント履歴表示として、演出内容の履歴と共に一覧表示させるものであり、例えば、演出内容がキャラ予告A、キャラBカットイン、SPリーチの組合せであり、信頼度の加算ポイントが38である場合には、「演出内容」の欄に「キャラ予告A:キャラBカットイン:SPリーチ」と表示させるとともに、上記「演出内容」の欄の表示に対応させて、「ポイント」の欄に「38」と表示させるように」しており、加算ポイント「38」に関連付けされた演出内容を特定可能なように表示しているから、このことは、本件補正発明の「当該価値に関連付けられた遊技演出を特定可能とする表示処理を実行する」ことに相当する。 ここで、引用発明及び上記刊行物2記載事項は、いずれも、遊技機において実行される演出内容に対応する期待値や信頼度をポイントとして加算し、当該加算ポイントを表示するものである点で共通しており、引用発明においては、「今までに実行された演出パターンに対応する期待値を履歴表示するように」しているから、この「履歴表示」する際に、上記刊行物2記載事項の「ポイント履歴表示として、演出内容の履歴と共に一覧表示させる」技術を適用して、加算された総期待値及び当該総期待値に関連付けられた特定演出パターンを特定可能とする表示処理を実行するようにして、上記相違点1に係る本件補正発明の構成Dを得ることは、当業者ならば容易になし得たことである。 (4-2)相違点2について 遊技機において実行される演出内容に対応する期待値や信頼度をポイントとして加算し、当該加算ポイントを表示する際に、変化前のポイントを表示した後、変化分のポイントと変化後のポイントとを特定可能に表示し、該変化後のポイントは、該変化分のポイントの近傍に配置されるようにすることは、例えば、特開2010-35765号公報の段落【0105】?【0109】、図面【図21】?【図23】(総撃破数表示部130に表示される総撃破数が、撃破数表示部105に表示される撃破数の近傍に配置されている)や、特開2012-245070号公報の段落【0341】、図面【図34】(演出レベル1における演出ポイントの合計ポイントが、付与ポイントの近傍に配置されて表示されている)に記載されているように本願出願前に周知の技術である。 したがって、引用発明において、「当該特定演出パターンに対応する個別の期待値」及び「当該特定演出パターンが実行される前の総期待値に当該特定演出パターンに対応する個別の期待値を加算した合計ポイント」を表示する際に、上記周知の技術を採用して、上記「加算した合計ポイント」を上記「個別の期待値」の近傍に配置するようにして、上記相違点2に係る本件補正発明の構成Fを得ることは、当業者ならば容易になし得たことである。 ここで、審判請求書において、請求人は、 「ここで、引用文献1の段落0132及び図9には、個別の期待値が液晶表示装置32の表示領域32aの下方に表示され、総期待値は液晶表示装置32の表示領域32aの上方に表示される遊技機が開示されています。 また、引用文献3の段落0077には、『ハズレの場合も経験値を10獲得できるので、画面には「経験値10」獲得の文字が表示され、画面下段に表示されていた「経験値0/100」の文字は「経験値10/100」に変化する。(略)当りの場合は経験値を50獲得できるので、画面には「経験値50獲得」の文字が表示され、画面下段に表示されていた「経験値0/100」の文字は「経験値50/100」に変化する。』と記載されております。また、引用文献3の図19では、「経験値10獲得」や「経験値100獲得」という表示を行う位置が異なる一方で、「経験値10/100」や「経験値0/110」という表示を行う位置は一定(画面下段)となっています。 即ち、引用文献1?3の何れにも、「変化前の価値を特定可能に表示した後、変化させる価値と、該変化させる価値の近傍に配置された変化後の価値と、を特定可能に表示する、」に相当する構成を備えた遊技機について記載されておらず、示唆もされておりません。 また、引用文献1に開示されている遊技機や、引用文献3に開示されている遊技機では、「変化させる価値」の表示位置と「変化後の価値」の表示位置が離れており、短い間隔で連続して遊技演出が実行された場合に、遊技者は、「変化させる価値」と「変化後の価値」との関係を把握し難くなり、価値変化演出の演出効果が低下してしまうという問題があります。これに対して本願発明1では、「変化前の価値を特定可能に表示した後、変化させる価値と、該変化させる価値の近傍に配置された変化後の価値と、を特定可能に表示する、」という一連の表示処理が実行されることにより、短い間隔で連続して遊技演出が実行された場合であっても、遊技者は、「変化させる価値」と「変化後の価値」との関係を一見して把握することが可能であり、価値変化演出の演出効果を高めることができます。 即ち、本願発明1は、このような構成の相違、および、相違する構成から得られる特有の効果に基づいて、たとえ当業者であっても引用文献1?3に記載された発明から容易に想到し得る発明ではないと考えられます。」と主張している(下線は当審にて付した。)。 しかしながら、上記「(4-2)相違点2について」で検討したように、遊技機において実行される演出内容に対応する期待値や信頼度をポイントとして加算し、当該加算ポイントを表示する際に、変化前のポイントを表示した後、変化分のポイントと変化後のポイントとを特定可能に表示し、該変化後のポイントは、該変化分のポイントの近傍に配置されるようにすることは、周知の技術であって、引用発明において、上記周知の技術を採用して、上記「加算した合計ポイント」を上記「個別の期待値」の近傍に配置するようにして、上記相違点2に係る本件補正発明の構成Fを得ることは、当業者ならば容易になし得たことである。 そして、請求人が主張する上記効果についても、引用発明、上記刊行物2記載事項及び上記周知の技術から当業者が予測可能な範囲内のものにすぎず、格別顕著なものであるということはできないから、請求人の上記主張を採用することはできない。 よって、本件補正発明は、引用発明、上記刊行物2記載事項、及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4.むすび 以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記第2において述べたとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年4月20日に提出された手続補正書により補正された、上記第2の1.で本件補正前として記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 識別情報の変動表示を行い、表示結果を導出表示する変動表示手段と、前記変動表示に伴って複数種類の遊技演出から所定の遊技演出を選択して実行する遊技演出実行手段とを備える遊技機であって、 前記遊技演出の種類に対応する価値を記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶されている価値に基づいて所定の集計期間に実行される遊技演出の価値を集計する集計手段と、 前記集計手段により集計された価値および当該価値に関連付けられた遊技演出を特定可能とする表示処理を実行する表示処理手段と、 を備え、 前記遊技演出実行手段は、価値に関連付けられた遊技演出と、価値を変化させる価値変化演出を行い、 前記表示処理手段は、前記価値変化演出において、変化前の価値を特定可能に表示した後、変化させる価値と変化後の価値を特定可能に表示する、 ことを特徴とする遊技機。」 2.原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 というものである。 引用文献1.特開2004-351131号公報 引用文献2.特開2009-201532号公報 3.引用文献に記載された事項 上記引用文献1及び引用文献2は、それぞれ、「第2 本件補正についての補正の却下の決定」の「3.独立特許要件」の「(2)刊行物に記載された事項」において引用した刊行物1及び刊行物2であり、上記引用文献1には、「(2-1)刊行物1」において示したとおりの「引用発明」が記載されており、上記引用文献2には、「(2-2)刊行物2」において示したとおりの「刊行物2記載事項」が記載されていると認められる。 4.対比・判断 本願発明は、実質的に変更とならない特定事項を除き、本件補正発明の構成Fの「変化後の価値」について、「該変化させる価値の近傍に配置された」との特定を省いたものであるから、本願発明と引用発明とを対比すると、「第2 本件補正についての補正の却下の決定」の「3.独立特許要件」の「(3)対比」において示した一致点において一致し、相違点1において相違する。 しかしながら、「第2 本件補正についての補正の却下の決定」の「3.独立特許要件」の「(4)判断」の「(4-1)相違点1について」で検討したとおり、引用発明に上記刊行物2記載事項を適用して、上記相違点1に係る本願発明の構成を得ることは、当業者ならば容易になし得たことである。 そして、本願発明の奏する効果についても、引用発明及び上記刊行物2記載事項から当業者が予測可能な範囲内のものにすぎない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び上記刊行物2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-02-26 |
結審通知日 | 2019-03-05 |
審決日 | 2019-03-18 |
出願番号 | 特願2013-97901(P2013-97901) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 智也、貝沼 憲司 |
特許庁審判長 |
瀬津 太朗 |
特許庁審判官 |
濱野 隆 田邉 英治 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 富崎 元成 |