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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61B
管理番号 1351384
異議申立番号 異議2018-700560  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-10 
確定日 2019-03-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6259382号発明「電子カセッテ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6259382号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。 特許第6259382号の請求項4及び6ないし8に係る特許を維持する。 特許第6259382号の請求項1ないし3、5、9及び10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6259382号の請求項1ないし10に係る特許(以下「本件特許」ということがある。)についての出願は、平成26年9月22日に特許出願され、平成29年12月15日にその特許権の設定登録がされ、平成30年1月10日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1ないし10に係る特許に対し、同年7月10日に特許異議申立人 齋藤 好輝(以下「申立人」という。) により特許異議の申立てがされ、当審は、同年10月3日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年11月30日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行い、本件訂正請求に対して、申立人は、平成31年2月4日に意見書(以下「申立人意見書」という。)を提出した。


第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容

本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、請求項1ないし10を一群の請求項として訂正することを求めるものであり、その具体的内容は、以下の訂正事項1ないし9のとおりである。

(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(訂正事項2)
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(訂正事項3)
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(訂正事項4)
特許請求の範囲の請求項4について、請求項1との引用関係を解消するとともに、「被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、
前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、少なくとも前記側面の1つと前記背面との間に形成され、前記側面および前記背面に対して傾斜した傾斜面を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、
前記傾斜面に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部と、
前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、非導電性材料で形成されたカバーと、
を備え、
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜面と平行となるように配置され、
前記筐体は、導電性材料で形成され、
前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、
前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、
前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に伸びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、
前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がない電子カセッテ。」に訂正する。

請求項4の訂正に伴い、請求項4を直接又は間接的に引用する請求項6、7及び8も同様に訂正する。

(訂正事項5)
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(訂正事項6)
特許請求の範囲の請求項6に係る「請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子カセッテ」を、「請求項4に記載の電子カセッテ」に訂正する。

請求項6の訂正に伴い、請求項6を直接又は間接的に引用する請求項7及び8も同様に訂正する。

(訂正事項7)
特許請求の範囲の請求項7に係る「請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子カセッテ」を、「請求項4または6に記載の電子カセッテ」に訂正する。

請求項6の訂正に伴い、請求項6を直接又は間接的に引用する請求項7及び8も同様に訂正する。

(訂正事項8)
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

(訂正事項9)
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

2 一群の請求項について

訂正前の請求項1ないし請求項10は、上記訂正事項1に係る請求項1の記載を請求項2ないし請求項10がそれぞれ直接又は間接的に引用しているものであるから一群の請求項であり、上記訂正事項1ないし9は、この一群の請求項について訂正を請求するものと認められる。
よって、本件訂正は、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1ないし3、5、8及び9について

訂正事項1ないし3、5、8及び9は、それぞれ特許請求の範囲の請求項1ないし3、5、9及び10を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許についての出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項4について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項4は、訂正前の請求項4が、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3を引用して特定されるものであったのを、引用関係を解消して独立形式の請求項とするとともに、
(ア)「前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、非導電性材料で形成されたカバー」を備えること、
(イ)「前記筐体は、導電性材料で形成され」ていること、及び
(ウ)「前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に伸びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がない」こと
を発明特定事項として追加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、及び、同ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

訂正事項4により追加された発明特定事項である上記ア(ア)ないし(ウ)(以下「特定事項(ア)」などという。)について検討する。
(ア)特定事項(ア)は、訂正前の請求項5の「前記アンテナ用開口部を塞ぐカバーを備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子カセッテ」との記載、及び、明細書段落【0043】の「カバー73は、電波透過性を有する樹脂等の非導電性材料で形成されている。カバー73は、アンテナ用開口部66と同一形状および同一サイズであり、アンテナ用開口部66に隙間なく嵌合される。」との記載に基づくものである。
(イ)特定事項(イ)は、明細書段落【0026】の「筐体16は例えば電磁波を遮蔽する金属(アルミやマグネシウムおよびこれらの合金等)やカーボン等の導電性材料で形成され、電子カセッテ10への電磁ノイズの侵入、および電子カセッテ10から外部への電磁ノイズの放射を防止する電磁シールドとしても機能する。」との記載に基づくものである。
(ウ)特定事項(ウ)は、訂正前の請求項9の「前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電子カセッテ」との記載、訂正前の請求項10の「前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に延びて前記側面の一部を覆う側板部とを有する請求項9に記載の電子カセッテ」との記載、及び、明細書段落【0054】の「側面23ではなく傾斜面65にアンテナ用開口部66を形成しているので、図6に示すように、側板部59でアンテナ用開口部66が塞がれることはない。」との記載に基づくものである。
よって、訂正事項4は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項4は、上記アで示したように、特許請求の範囲の請求項4を他の請求項の記載を引用しないものとするとともに減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項6及び7について

訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項6が引用する請求項の記載を、訂正前の「請求項1ないし5のいずれか1項」から「請求項4」に減縮し、訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項7が引用する請求項の記載を、訂正前の「請求項1ないし6のいずれか1項」から「請求項4又は6」に減縮するものであるから、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

4 むすび

以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。


第3 訂正後の本件発明

本件訂正により請求項1ないし3、5、9及び10は削除された。そして、本件訂正後の請求項4及び6ないし8に係る発明(以下それぞれ請求項の番号に対応して「本件発明4」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項4及び6ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(本件発明4)
「【請求項4】
被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、
前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、少なくとも前記側面の1つと前記背面との間に形成され、前記側面および前記背面に対して傾斜した傾斜面を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、
前記傾斜面に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部と、
前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、非導電性材料で形成されたカバーと、
を備え、
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜面と平行となるように配置され、
前記筐体は、導電性材料で形成され、
前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、
前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、
前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に伸びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、
前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がない電子カセッテ。」

(本件発明6)
「【請求項6】
前記側面と前記傾斜面の境界である第1境界と、前記背面と前記傾斜面の境界である第2境界との間の距離である前記傾斜面の幅が、前記前面および前記背面と直交する前記筐体の厚み方向における前記側面の幅よりも広い請求項4に記載の電子カセッテ。」

(本件発明7)
「【請求項7】
撮影台のホルダに着脱自在にセット可能である請求項4又は6のいずれか1項に記載の電子カセッテ。」

(本件発明8)
「【請求項8】
前記ホルダは、前記前面を覆う前板部と、
前記前板部と対向し、前記背面を覆う背板部とを有する請求項7に記載の電子カセッテ。」


第4 取消理由通知に記載した取消理由について

1 取消理由の概要

訂正前の請求項1ないし10に係る特許に対して、当審が平成30年10月3日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)請求項1ないし10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

具体的には、以下のとおりである。
ア 訂正前の請求項1ないし4、6ないし9に係る発明は、筐体の側面と背面との間に前記側面及び背面に対して傾斜した傾斜面を形成し、前記傾斜面に電波を透過させるためのアンテナ用開口部を形成する旨は特定されているが、筐体を電磁波を遮蔽する導電性材料で形成すること、アンテナ用開口部に電波透過性を有する樹脂等の非導電性材料で形成されたカバーを嵌合すること、及び、ある長さの側板部を有する外付けグリッドを装着しても、前記側板部でアンテナ用開口部が塞がれないような構成にすることは特定されていないから、課題を解決するための手段が反映されているとはいえない。

イ 訂正前の請求項5に係る発明は、筐体の側面と背面との間に前記側面及び背面に対して傾斜した傾斜面を形成し、前記傾斜面に電波を透過させるためのアンテナ用開口部を形成する旨は特定されているが、筐体を電磁波を遮蔽する導電性材料で形成すること、及び、ある長さの側板部を有する外付けグリッドを装着しても、前記側板部でアンテナ用開口部が塞がれないような構成にすることは特定されておらず、また、アンテナ用開口部を塞ぐカバーを備えることは特定されているが、前記カバーが電波透過性を有する樹脂等の非導電性材料で形成されていることは特定されていないから、課題を解決するための手段が反映されているとはいえない。

ウ 訂正前の請求項10に係る発明は、筐体の側面と背面との間に前記側面及び背面に対して傾斜した傾斜面を形成し、前記傾斜面に電波を透過させるためのアンテナ用開口部を形成する旨は特定されているが、筐体を電磁波を遮蔽する導電性材料で形成すること、及び、アンテナ用開口部に電波透過性を有する樹脂等の非導電性材料で形成されたカバーを嵌合することは特定されておらず、また、外付けグリッドが、天板部の端縁に設けられ、電子カセッテの筐体の前面側から背面側に延びて側面の一部を覆う側板部を有する旨は特定されているが、前記側板部でアンテナ用開口部が塞がれないような構成にすることは特定されていないから、課題を解決するための手段が反映されているとはいえない。

(2)請求項1ないし3、5ないし10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

2 甲第1号証の記載

甲第1号証:特開2009-103609号公報(以下「甲1」という。)

(1)甲1には、以下の記載がある(下線は当審で付加した。)。
(甲1-ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、カセッテ型放射線画像固体検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病気診断等を目的として、X線画像に代表される、放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。
【0003】
こうした医療用の放射線画像は、従来スクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、近年は、放射線画像のデジタル化が実現されており、例えば、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体層が形成された輝尽性蛍光体シートに蓄積させた後、この輝尽性蛍光体シートをレーザ光で走査し、これにより輝尽性蛍光体シートから発光される輝尽光を光電変換して画像データを得るCR(Computed Radiography)装置が広く普及している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。」

(甲1-イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のように、現在普及しているCR用のカセッテは従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに従ったサイズとなっており、ブッキーテーブル等もJIS規格サイズに合わせて作られている。このため、FPDについても、このJIS規格サイズに従ったカセッテに収納した形で用いることができれば、施設に設置されている既存の設備をFPDを用いた撮影に利用することができ、撮影手段としてFPDを導入する際の設備投資を最小限度に抑えることができる。
【0014】
しかしながら、特許文献5や特許文献6に記載されている構成では、筐体内部に高剛性部材や緩衝部材を配置しているため、検出器の筐体(ハウジング)の厚み(放射線入射方向の厚さ)を小さくすることが困難であるとともに、全体の重量も増加する結果となる。重量が増加すると、技師が検出器を持ち運ぶ際に負担となるのみでなく、検出器を誤って落下させた際の落下衝撃が増大する。このため内部に衝撃緩和構造体や空間スペースが必要となり、検出器のサイズが一層大型化するという悪循環となるとの問題がある。
【0015】
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、画像データのデジタル化を達成するとともに、FPDであって、検出器全体の剛性(強度)を確保しつつ、CR用のカセッテとの互換性を有し、ポータブル撮影をすることが可能なカセッテ型放射線画像固体検出器を提供することを目的とするものである。」

(甲1-ウ)「【0029】
図1(a)は、本実施形態におけるカセッテ型放射線画像固体検出器(以下「カセッテ型検出器」と称する。)の斜視図である。また、図1(b)は、図1(a)のカセッテ型検出器の矢視A方向から見た正面図である。
【0030】
本実施形態におけるカセッテ型検出器1は、カセッテ型のフラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:以下「FPD」と称する。)であり、カセッテ型検出器1は、照射された放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器ユニット2(図4等参照)と、この検出器ユニット2を内部に収納するハウジング3とを備えている。
【0031】
図2は、本実施形態におけるハウジング3の分解斜視図である。図2に示すように、ハウジング3は、底面部41と側壁部42を有してほぼ箱型に形成されカセッテ型検出器1を撮影に用いる際に放射線入射側となる側に開口部48を有するバック部材4と、カセッテ型検出器1の放射線入射側に配置されたフロント部材5とを備えている。
【0032】
フロント部材5は、略矩形状に形成された放射線入射面部51と、この放射線入射面部51と一体的に構成された側壁部(曲げ立ち上がり部)52とを備えており、バック部材4と同様にほぼ箱型に形成されている。フロント部材5は、カセッテ型検出器1を撮影に用いる際に放射線入射側と反対側に開口部56を有し、バック部材4の開口部48を塞ぐ蓋として機能する。
【0033】
ハウジング3は、バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となるようになっている。バック部材4とフロント部材5との接合手法は特に限定されず、例えばねじ止めすることにより接合してもよいし、接着固定してもよい。
【0034】
本実施形態において、ハウジング3の放射線入射方向の厚さは、最大で16mmとなるように構成されている。なお、ハウジング3の放射線入射方向の厚さ寸法は最大で16mmに限定されないが、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(15mm+1mmであり、かつ15mm-2mm)の範囲内に収まる寸法であることが好ましい。CR用のカセッテやブッキーテーブル等、既存の装置のほとんどがこのスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズに合わせて作られているため、ハウジング3の寸法をJIS規格サイズに合わせることにより、カセッテ型のFPDであるカセッテ型検出器1による撮影を行う場合でも既存の設備を利用することができる。」

(甲1-エ)「【0037】
ハウジング3を構成する部材のうち、少なくともフロント部材5は、カーボン繊維等を含む放射線透過率の高い材料によって形成されている。その形成手法は特に限定されないが、例えば、カーボン繊維にエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を含浸させたシートであるカーボンプリプレグ(カーボン板の材料)をフロント部材5の形状に成型された型の上に積層し、これを高温高圧で焼き固めることにより、所望の形状とすることができる。
【0038】
また、本実施形態において、バック部材4は、例えばアルミニウム、マグネシウムのような軽金属で形成されている。なお、バック部材4を形成する材料は特に限定されず、例えばフロント部材5と同様にカーボン繊維等を含む材料によって形成されていてもよい。なお、フロント部材5やバック部材4の板厚は、例えばそれぞれ2mmとされる。
【0039】
バック部材4の長尺方向に直交する側の一端には、図2に示すように、側面から裏面にかけてバック側切り欠き部43が設けられており、フロント部材5の長尺方向に直交する側の一端であって、このバック側切り欠き部43に対応する側壁部52の位置には、フロント側切り欠き部53が設けられている。
【0040】
バック側切り欠き部43及びフロント側切り欠き部53の幅寸法は、後述する充電池25(図4等参照)の幅寸法よりも大きいことが好ましい。また、フロント側切り欠き部53はフロント部材5の端部から中央部に向かって8mm切り欠かれている。なお、フロント側切り欠き部53をフロント部材5の端部から中央部に向かってどの程度切り欠くかは特に限定されないが、6mm以上であることが好ましく、8mm以上であればさらに好ましい。
【0041】
本実施形態において、ハウジング3は、バック部材4とフロント部材5とを接合すると、バック側切り欠き部43とフロント側切り欠き部53とによって、後述する充電池25を出し入れ可能な取出し口31が形成されるようになっている。
【0042】
また、ハウジング3は、この取出し口31に嵌め込まれる蓋部材8を備えており、取出し口31に蓋部材8を嵌め込むことによってハウジング3の内部は密閉された空間となる。本実施形態において、蓋部材8は、例えば非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成されている。
【0043】
図3(a)は、図2における蓋部材8を矢視B方向から見た平面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるC-C断面図である。図2及び図3(b)に示すように、蓋部材8は、バック側切り欠き部43に対応する側面部81及び下面部82とからなり、取出し口31の形状に合わせて側面視ほぼL字状となっている。なお、蓋部材8の形状はここに例示したものに限定されず、例えばコ字状等であってもよい。この場合には、フロント側切り欠き部及びバック側切り欠き部の形状もこれに対応する形状とする。
【0044】
図3(a)に示すように、蓋部材8の下面部82の側端面にはガイド用凸部83が設けられており、バック側切り欠き部43には、図2に示すように、このガイド用凸部83を案内するガイド用溝44が設けられている。蓋部材8は、ガイド用凸部83をガイド用溝44に沿ってスライドさせることにより取出し口31に嵌め込まれるように構成されている。なお、蓋部材8を取出し口31に嵌め込む構成は、ここに例示したものに限定されない。例えば、蓋部材の下面部とバック部材、又は上面部とフロント部材とをヒンジを介して接続し、ヒンジの軸を中心に蓋部材を回動させることにより取出し口に対して蓋部材が開閉可能となるように構成してもよい。
【0045】
また、蓋部材8の側面部81には、カセッテ型検出器1と外部の機器との間で無線により情報の送受信を行うためのアンテナ装置9が埋め込まれている。
【0046】
図2及び図3(a),(b)に示すように、アンテナ装置9には金属からなる平板状の一対の放射板91,92と、一対の放射板91,92を連結し、当該一対の放射板91,92に対して給電する給電部93とが設けられている。
【0047】
本実施形態において、一対の放射板91,92のうち、一方の放射板91は、正面視形状が台形となるように形成されており、他方の放射板92は、正面視形状がほぼ円形となるように形成されている。そして、給電部93は、一方の放射板91の上底部の略中央に接続されるとともに、他方の放射板92の一部と接続されている。給電部93によって連結されることで、一対の放射板91,92の間には、所定の間隙が形成されている。
【0048】
なお、アンテナ装置9の種類・形状は、ここに例示したものに限定されない。また、アンテナ装置9は蓋部材8の側面部81に埋め込まれている場合に限定されず、蓋部材8の外側や内側に貼付されていてもよい。ただし、アンテナ装置9は、金属やカーボン等の導電性材料からなる導電性部材に近接した位置に設けると受信感度や受信利得が低下することから、カーボン等の導電性材料で形成されているフロント部材5や金属等で形成されている各種電子部品22(図4等参照)からできるだけ離れた位置に設けることが好ましい。少なくとも6mm以上離れていることが好ましく、8mm以上であればさらに好ましい。
【0049】
この点、本実施形態では、蓋部材8の側面部81に設けられたアンテナ装置9は、カーボン繊維等の導電性材料を含んで形成されているフロント部材5から8mm以上離れた位置に配置されており、受信感度や受信利得が維持されている。」

(甲1-オ)「【0056】
また、検出器ユニット2には、外部装置との間で各種信号の送受信を行う通信部(図示せず)が設けられている。通信部は、例えば、検出パネル21から出力された画像信号を前述のアンテナ装置9を介して外部装置に転送したり、外部装置から送信される撮影開始信号等をアンテナ装置9を介して受信するようになっている。
【0057】
また、基台24上であって、検出器ユニット2をハウジング3の内部に収納した際に取出し口31に対応する位置には、カセッテ型検出器1を構成する複数の駆動部(例えば、後述する走査駆動回路16(図12参照)、信号読出し回路17(図12参照)、通信部(図示せず)、記憶部(図示せず)、充電量検出部(図示せず)、インジケータ55、検出パネル21等)に電力を供給する電力供給部として充電池25が設けられている。」

(甲1-カ)「【0094】
カセッテ型検出器1を撮影に使用する場合には、例えば、撮影対象である患者をベッドに寝かせ、ベッドと患者の身体との間にシンチレータ層211の設けられている側を上にしてカセッテ型検出器1を差し込み、撮影を行う。また、カセッテ型検出器1を既存のCR用のカセッテによる撮影の際に用いられるブッキーテーブル等にセットして使用することも可能である。
【0095】
特に、カセッテ型検出器1をベッドと患者の身体との間にシンチレータ層211の設けられている側を上にして差し込んで撮影を行うような場合、図5等に示したように、カセッテ型検出器1の放射線入射面部51が検出パネル21の第1のガラス基材214から離間する方向に凸となるように構成されており、本実施形態のように、放射線入射面部51と側壁部52とが一体的に形成されて放射線入射面部51の側壁部52との各稜角近傍部が曲面状に形成されていれば、カセッテ型検出器1をベッドと患者の身体との間に差し込み易くなる。
・・・
【0099】
以上のように、本実施形態によれば、ハウジング3の放射線入射方向の厚さが最大で16mmであり、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズの範囲内に収まる寸法であるため、カセッテ型のFPDであるカセッテ型検出器1による撮影を行う場合でもCR用のカセッテ用に設けられているブッキーテーブル等、既存の装置、設備を利用することができる。」

(甲1-キ)「【0109】
また、本実施形態では、アンテナ装置9が、導電性材料で形成されている部材(フロント部材5)から8mm以上離れた位置に配置されているので、アンテナ装置9の受信感度や受信利得を高く維持することができる。」

(甲1-ク)「【0110】
なお、本実施形態においては、ハウジング3がバック部材4とフロント部材5とから構成されている場合を例としたが、ハウジング3の構成はこれに限定されない。
【0111】
例えば、図14に示すように、ハウジング6が中空の筒状部材61とその両端部を閉塞する蓋部材62とから構成されているものでもよい。この場合、ハウジング6を構成する筒状部材61は、例えば、心材(型)の上にカーボン繊維を巻回して放射線入射面部611となる部分と側壁部612となる部分を構成し、放射線入射面部611の側壁部612との各稜角近傍部が曲面状になるように形状を整え、巻回したカーボン繊維の上に熱硬化性樹脂を流した上で、高温高圧で焼き固めることにより成型し、その後心材を抜き取ることによって形成する。
【0112】
ハウジング6をこのような構成とする場合には、一方の蓋部材62に電源スイッチ46、充電用端子45、インジケータ55及びアンテナ装置9を設ける。この場合、ハウジング6のうち筒状部材61についてはカーボン繊維によって一体的に形成することができるため、繋ぎ目がなく剛性及び密閉性の高いものとすることができるとともに、製造工程の簡易化を図ることができる。
【0113】
また、以下、図1(b)に示したカセッテ型検知器1の正面図と同様にカセッテ型検知器の変形例を正面図を示して説明する。
【0114】
本実施形態では、フロント部材5の放射線入射面部51の側壁部52との各稜角近傍部が曲面状に形成されている場合について説明したが、例えば図15に示すように、放射線入射面部51と側壁部52とを一体的に形成し、放射線入射面部51を側壁部52との各稜角近傍部から全面的に曲面状に形成することも可能である。
【0115】
この場合も、放射線入射面部51は第1のガラス基材214から離間する方向に凸とされるため、そのアーチ型構造により例えば患者の体重等の外部からの負荷による力がその面方向に分散され、撓みや変形を生じにくくなり、検出器全体の剛性(強度)が確保される。
【0116】
また、例えば図16に示すように、フロント部材5の放射線入射面部51だけでなく、バック部材4の底面部41の側壁部42との各稜角近傍部も曲面状に形成することも可能である。さらに、図示を省略するが、バック部材4の底面部41を、その側壁部42との各稜角近傍部から全面的に曲面状に形成することも可能である。
【0117】
このように形成して底面部42を第2のガラス基材213から離間する方向に凸とすることで、カセッテ型検知器を、放射線入射面51側からの押圧力のみならず底面部41側からの押圧力に対しても撓みや変形を生じにくくすることが可能となり、検出器全体の剛性(強度)が確保される。」

(甲1-ケ)「【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1(a)は、本実施形態に係るカセッテ型検出器を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のカセッテ型検出器の矢視A方向から見た正面図である。
【図2】本実施形態におけるハウジングの分解斜視図である。
【図3】図3(a)は、蓋部材を図2における矢視B方向から見た正面図であり、図3(b)は、図3(a)のC-C断面図である。
【図4】図1(a)に示すカセッテ型検出器の内部構成を示す概略図である。
【図5】図4のD-D断面図である。
【図6】図4のE-E断面図である。
【図7】図4のF-F断面図である。
【図8】本実施形態における検出パネルを示す平面図である。
【図9】図8に示す検出パネルを矢視G方向から見た側面図である。
【図10】図8に示す検出パネルのH-H断面図である。
【図11】信号検出部を構成する光電変換部の1画素分の等価回路構成図である。
【図12】図11に示す光電変換部を二次元に配列した等価回路構成図である。
【図13】放射線入射面部を平板状に形成したカセッテ型検出器の例を示す斜視図である。
【図14】図1(a)に示すカセッテ型検出器の一変形例を示す斜視図である。
【図15】図1(a)に示すカセッテ型検出器の一変形例を示す正面図である。
【図16】図1(a)に示すカセッテ型検出器の一変形例を示す正面図である。」

(甲1-コ)【図1】




(甲1-サ)【図2】




(甲1-シ)【図3】




(甲1-ス)【図4】




(甲1-セ)【図7】




(甲1-ソ)【図16】




(2)甲1に記載された発明

(甲1-カ)の「カセッテ型検出器1を撮影に使用する場合には、例えば、撮影対象である患者をベッドに寝かせ、ベッドと患者の身体との間にシンチレータ層211の設けられている側を上にしてカセッテ型検出器1を差し込み、撮影を行う。(【0094】)」との記載によれば、「カセッテ型検出器1」は「患者」を「撮影対象」すなわち「被写体」とした撮影に使用されるものであり、その際、(甲1-ア)に記載された背景技術のように「被写体を透過した放射線(【0003】)」を検出することは明らかである。

(甲1-エ)の「アンテナ装置9は蓋部材8の側面部81に埋め込まれている場合に限定されず、蓋部材8の外側や内側に貼付されていてもよい。(【0048】)」との記載から、蓋部材8の側面部81の内側にアンテナ装置9が貼付された態様が読み取れる。

(甲1-ク)の「以下、図1(b)に示したカセッテ型検知器1の正面図と同様にカセッテ型検知器の変形例を正面図を示して説明する。(【0113】)・・・例えば図16に示すように、フロント部材5の放射線入射面部51だけでなく、バック部材4の底面部41の側壁部42との各稜角近傍部も曲面状に形成することも可能である。(【0116】)」、及び(甲1-ケ)の「【図16】図1(a)に示すカセッテ型検出器の一変形例を示す正面図である。」との記載に鑑みれば、甲1の記載から、(甲1-ウ)ないし(甲1-キ)に記載された、図1(a)に示されたカセッテ型検出器に対して、バック部材4の底面部41の側壁部42との各稜角近傍部を曲面状に形成するように変更を加えた態様のカセッテ型検出器が読み取れる。

そうすると、(甲1-ア)ないし(甲1-ソ)の記載から、甲1には、

「 被写体を透過した放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器ユニット2と、この検出器ユニット2を内部に収納するハウジング3とを備えているカセッテ型検出器1であって、
ハウジング3は、底面部41と側壁部42を有してほぼ箱型に形成されカセッテ型検出器1を撮影に用いる際に放射線入射側となる側に開口部48を有するバック部材4と、カセッテ型検出器1の放射線入射側に配置されたフロント部材5とを備え、
フロント部材5は、カーボン繊維を含む放射線透過率の高い材料によって形成され、バック部材4は、アルミニウム、マグネシウムのような軽金属で形成されており、
フロント部材5は、略矩形状に形成された放射線入射面部51と、この放射線入射面部51と一体的に構成された側壁部52とを備えており、バック部材4と同様にほぼ箱型に形成され、カセッテ型検出器1を撮影に用いる際に放射線入射側と反対側に開口部56を有し、バック部材4の開口部48を塞ぐ蓋として機能し、
ハウジング3は、バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となるようになっており、
バック部材4の底面部41の側壁部42との各稜角近傍部は曲面状に形成され、
バック部材4の長尺方向に直交する側の一端には、側面から裏面にかけてバック側切り欠き部43が設けられ、フロント部材5の長尺方向に直交する側の一端であって、このバック側切り欠き部43に対応する側壁部52の位置には、フロント側切り欠き部53が設けられ、バック部材4とフロント部材5とを接合すると、バック側切り欠き部43とフロント側切り欠き部53とによって、充電池25を出し入れ可能な取出し口31が形成されるようになっており、
また、ハウジング3は、この取出し口31に嵌め込まれる蓋部材8を備えており、蓋部材8は、非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成され、
蓋部材8の側面部81の内側には、カセッテ型検出器1と外部の機器との間で無線により情報の送受信を行うためのアンテナ装置9が貼付されており、検出パネル21から出力された画像信号をアンテナ装置9を介して外部装置に転送したり、外部装置から送信される撮影開始信号等をアンテナ装置9を介して受信するようになっており、蓋部材8の側面部81に設けられたアンテナ装置9は、カーボン繊維等の導電性材料を含んで形成されているフロント部材5から8mm以上離れた位置に配置されており、受信感度や受信利得が維持されている、カセッテ型検出器1。」

の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

3 当審の判断

(1)特許法第36条第6項第1号に係る取消理由について

ア 本件訂正により、本件発明4は、「前記筐体は、導電性材料で形成され」、「前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、非導電性材料で形成されたカバー」「を備え」、「前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に伸びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がない」ことを発明特定事項として含むものとなった。
そのため、本件発明4は、課題を解決するための手段が反映されていないとはいえない。

イ 本件発明6ないし8は、本件発明4の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明4と同様に課題を解決するための手段が反映されていないとはいえない。

ウ 本件訂正により請求項1ないし3、5、9及び10は削除されたため、本件訂正前の請求項1ないし3、5、9及び10に係る取消理由の対象となる請求項は存在しない。

エ 申立人は、申立人意見書において、本件発明4及び6ないし8は、外付けグリッドの側板部の寸法が特定されていないから、外付けグリッドの側板部がアンテナ用開口部を塞がないことを満たす電子カセッテの外延を規定できず、課題を解決することができないものである旨主張している。
しかしながら、本件発明4及び6ないし8では、外付けグリッドの側板部は電子カセッテの筐体側面の一部を覆うものであることが特定されているとともに、アンテナ用開口部は筐体の側面及び背面に対して傾斜した傾斜面に少なくとも一部分が形成されていることが特定されていることから、外付けグリッドの側板部によりアンテナ用開口部の全体が塞がれることはないものと認められる。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
また、申立人は、申立人意見書において、本件発明4及び6ないし8は、外付けグリッドの天板部及び側板部が導電性部材で構成されていることが特定されていないから、課題を解決することができないものである旨も主張している。
当該主張は特許異議の申立て時には主張されていなかった取消理由ではあるが、当審の見解を示すと、外付けグリッドの側板部がアンテナ用開口部を塞がないことによって電波の出射又は入射が確保されるのであるから、外付けグリッドが導電性部材で構成されていることが特定されていないことをもって、本件発明4及び6ないし8が課題を解決することができないものであるとはいえない。

(2)特許法第29条第1項第3号に係る取消理由について

ア 本件発明6ないし8について

(ア)本件発明6ないし8は、本件発明4の発明特定事項を全て含むものであるから、本件発明4と甲1発明とを対比する。

a 甲1発明の「被写体を透過した放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器ユニット2」は、本件発明4の「被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部」に相当する。

b 甲1発明の「フロント部材5」の「放射線入射面部51」は、本件発明4の「前記放射線が入射する前面」に相当する。

c 甲1発明の「バック部材4」は「ほぼ箱型に形成され」、「フロント部材5は」「放射線入射面部51と一体的に構成された側壁部52とを備えており、バック部材4と同様にほぼ箱型に形成され、」「バック部材4の開口部48を塞ぐ蓋として機能し、」「バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となる」ことから、甲1発明において「放射線入射面部51」と「底面部41」とが、互いに向かい合う位置関係にあることは明らかである。
よって、引用発明の「底面部41」は、本件発明4の「前記前面と対向する背面」に相当する。

d 甲1発明の「フロント部材5は」「ほぼ箱型に形成され、」「放射線入射面部51」は「略矩形状に形成され」ていることから、「この放射線入射面部51と一体的に構成された側壁部52」は、矩形の各辺に対応した4つの部分からなることは明らかである。
また、「フロント部材5は」「バック部材4の開口部48を塞ぐ蓋として機能し、」「バック部材4とフロント部材5とを接合することにより一体となる」ことから、「バック部材4」の「側壁部42」が「フロント部材5」の「側壁部52」と同様に矩形の各辺に対応した4つの部分からなり、「フロント部材5」の「側壁部52」と接合することは明らかである。
よって、甲1発明の「側壁部52」及び「側壁部42」は、本件発明4の「4つの側面」に相当する。

e 甲1発明の「底面部41の側壁部42との各稜角近傍部は曲面状に形成され」ていることから、「底面部41の各稜角近傍部」は、「底面部41」の中心部分及び「側壁部42」と異なる角度を有した面である。
よって、甲1発明の「曲面状に形成され」た「底面部41の側壁部42との各稜角近傍部」は、本件発明4の「少なくとも前記側面の1つと前記背面との間に形成され、前記側面および前記背面に対して傾斜した傾斜面」に相当する。

f 甲1発明の「検出器ユニット2を内部に収納するハウジング3」は、本件発明4の「前記画像検出部を収容し」た「筐体」に相当する。

g 上記bないしfの対比から、甲1発明は、本件発明4の「前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、少なくとも前記側面の1つと前記背面との間に形成され、前記側面および前記背面に対して傾斜した傾斜面を有する筐体」に相当する構成を備えている。

h 甲1発明の「蓋部材8」は「ハウジング3」に「形成される」「取出し口31に嵌め込まれる」ものであるから、「蓋部材8の側面部81の内側に」「貼付され」た「アンテナ装置9」が、「ハウジング3」の内側にあることは明らかである。
また、甲1発明の「アンテナ装置9」は、「無線により情報の送受信を行うための」ものであるから、「電波」を送受信するものであることは、技術的に明らかである。
よって、甲1発明の「ハウジング3」に「形成される」「取出し口31に嵌め込まれる」「蓋部材8の側面部81の内側に」「貼付され」、「無線により」「検出パネル21から出力された画像信号を」「外部装置に転送」する「アンテナ装置9」は、本件発明4の「前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナ」に相当する。

i 甲1発明の「バック側切り欠き部43」は「側面から裏面にかけて」「設けられ」ることから、「曲面状に形成され」た「底面部41の」「稜角近傍部」にも設けられていることは明らかである。
また、甲1発明の「蓋部材8の側面部81に設けられたアンテナ装置9は、カーボン繊維等の導電性材料を含んで形成されているフロント部材5から8mm以上離れた位置に配置されており、受信感度や受信利得が維持されている」ことから、「蓋部材8」が「嵌め込まれる」「充電池25を出し入れ可能な取出し口31」が、「アンテナ装置9」の電波を透過させる機能を有していることは明らかである。
よって、甲1発明の「非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成され」た「蓋部材8」が「嵌め込まれ」た「充電池25を出し入れ可能な取出し口31」は、本件発明4の「前記傾斜面に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部」に相当する。

j 上記iを踏まえると、甲1発明の「取出し口31に嵌め込まれる」「非導電性のプラスチック等の非導電性の材料によって形成され」た「蓋部材8」は、本件発明4の「前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、非導電性材料で形成されたカバー」に相当する。

k 甲1発明の「アンテナ装置9が」「取出し口31に嵌め込まれる」「蓋部材8の側面部81の内側に」「貼付されて」いることと、本件発明4の「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜面と平行となるように配置され」ていることとは、「前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され」ている点で共通する。

l 甲1発明の「ハウジング3」の「フロント部材5は、カーボン繊維を含む放射線透過率の高い材料によって形成され、バック部材4は、アルミニウム、マグネシウムのような軽金属で形成されて」いることは、本件発明4の「前記筐体は、導電性材料で形成され」ていることに相当する。

m 甲1発明の「カセッテ型検出器1」は、「被写体を透過した放射線を検出しデジタル画像データとして取得する検出器ユニット2」を備えていることから、本件発明4の「電子カセッテ」に相当する。

n 上記aないしmを踏まえると、本件発明4と甲1発明とは、

「 被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、
前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、少なくとも前記側面の1つと前記背面との間に形成され、前記側面および前記背面に対して傾斜した傾斜面を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、
前記傾斜面に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部と、
前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、非導電性材料で形成されたカバーと、
を備え、
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、
前記筐体は、導電性材料で形成された、電子カセッテ。」

の発明である点において一致し、次の2点において相違する。

(相違点1)
前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置されたアンテナが、本件発明4においては、「前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜面と平行となるように配置され」ているのに対し、甲1発明においては、「取出し口31」の中心に位置していることは特定されておらず、「蓋部材8の側面部81の内側に」「貼付されて」いることから、設置面が側壁部42と平行となるように配置されている点。

(相違点2)
本件発明4は、「前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に伸びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がない」ことが特定されているのに対し、甲1発明は、そのような特定がされていない点。

(イ)上記相違点1及び2は、実質的な相違点であるから、本件発明4は甲1発明と同一ではない。
よって、本件発明4は甲1に記載された発明ではない。
そうすると、本件発明4の発明特定事項を全て含む本件発明6ないし8も、甲1に記載された発明ではない。

イ 本件訂正により請求項1ないし3、5、9及び10は削除されたため、本件訂正前の請求項1ないし3、5、9及び10に係る取消理由の対象となる請求項は存在しない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえず、また、本件発明6ないし8は、同法第29条第1項第3号に該当しない。
よって、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項4及び6ないし8に係る特許を取り消すことはできない。


第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1 申立人は、特許異議申立書において、申立て理由3として、本件訂正前の請求項1ないし10に係る発明は、甲1に記載の発明及び甲第2ないし6号証(以下甲号証の番号に対応して「甲2」などという。)に記載の事項から当業者が容易に発明することができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張している。
また、側板部を有する着脱可能なグリッドの周知例として、申立人意見書とともに甲第7号証(以下「甲7」という。)を追加で提出している。

甲1:特開2009-103609号公報
甲2:米国特許出願公開第2014/0270092号明細書
甲3:特開2012-182791号公報
甲4:特開2011-112923号公報
甲5:特開2014-57831号公報
甲6:登録実用新案第3137548号公報
甲7:特開2011-50736号公報

2 甲2ないし甲7の記載事項

(1)甲2の記載事項

甲2は、「ELECTRONIC CASSETTE(電子カセッテ)」に関する文献であって、その段落[0030]、[0033]、[0042]、[0044]、[0048]、[0049]、[0051]及び[0073]、並びにFIG.3ないし5の記載から、
「筐体11内に、パネル部30と、無線通信用の電波を発生するアンテナ及び発振回路などを有する通信部42を含む回路部31とを備えた画像検出部10を配置した電子カセッテにおいて、側面と背面との間に、筐体11とは別部材で、側面及び背面に対して傾斜した面で構成された面取部を形成すること」(以下「甲2技術的事項」という。)
が記載されているものと認められる。

(2)甲3の記載事項
甲3は、「巻き付き基板を有する多素子アンテナ構造」に関する文献であって、段落【0002】ないし【0004】、【0012】、【0016】から【0019】、【0024】及び【0039】、並びに【図1】、【図2】及び【図5】の記載から、
「デバイスの縁部を形成する湾曲部とデバイスの背面を形成する相対的に平坦な部分とを有する筐体を備えた、タブレットコンピュータのような相対的に薄型の電子デバイスにおいて、誘電体材料から形成され、湾曲した縁部と同様に湾曲した面を有するアンテナ窓を設け、平坦な面及びその反対側の湾曲面を有するキャリアにアンテナ共振素子基板を巻き付け、前記キャリアの平坦な上面がディスプレイカバーガラスの平坦な内面に当接し、前記キャリアの湾曲した下面が前記アンテナ窓の対応する湾曲面に当接するように装着すること」(以下「甲3技術的事項」という。)
が記載されているものと認められる。

(3)甲4の記載事項

甲4は、「放射線画像撮影装置」に関する文献であって、段落【0013】ないし【0022】、及び【0024】ないし【0029】、並びに【図1】及び【図2】の記載から、
「無線送受信用アンテナを放射線画像センサの放射線入射面とは反対の面に配置した電子カセッテにおいて、筐体の側面及び背面であって前記無線送受信用アンテナが配置されている近傍に、前記側面及び背面が共有する稜線部を残した形状でアンテナ開口を設けること」(以下「甲4技術的事項」という。)
が記載されているものと認められる。

(4)甲5の記載事項

甲5は、「放射線撮影システムおよびこれに用いられる信号中継装置」に関する文献であって、段落【0047】及び【図1】の記載から、
「(1)フイルムカセッテやIPカセッテ用の既存の立位及び臥位の撮影台に着脱自在にセットできる電子カセッテと、(2)前記撮影台が電子カセッテの前面部に対向する部分及び背面部に対向する部分を有すること」(以下「甲5技術的事項」という。)
が記載されているものと認められる。

(5)甲6の記載事項

甲6は、「カバー付き散乱X線除去用グリッド」に関する文献であって、段落【0008】、並びに【図1】及び【図2】の記載から、
「散乱X線除去用グリッドの周辺部にキャップ状のフレームを装備し、前記キャップ状のフレームによりX線用カセットを保持すること」(以下「甲6技術的事項」という。)
が記載されているものと認められる。

(6)甲7の記載事項

甲7は、「グリッド・アセンブリ位置決め回路及び同回路を含む検出器アセンブリ」に関する文献であって、段落【0012】、【0027】及び【0028】、並びに【図5】及び【図6(A)】ないし【図6(C)】の記載から、
「X線を検出する可搬型検出器に取り付けるX線グリッド・アセンブリにおいて、グリッド・ホルダの周囲に複数のタブを設け、可搬型検出器のケース側面に設けられたスロットにスナップ嵌めされるように構成すること」(以下「甲7技術的事項」という。)
が記載されているものと認められる。

3 本件発明4について

上記第4の3(2)ア(ア)で検討したとおり、本件発明4と甲1発明とは、上記相違点1及び2で相違する。
そこで、上記相違点1について検討する。
甲3技術的事項は、湾曲面を有するキャリアにアンテナ共振素子基板を巻き付け、前記キャリアの湾曲した下面がアンテナ窓の対応する湾曲面に当接するように装着することを開示しているが、タブレットコンピュータのような相対的に薄型の電子デバイスに関するものであり、甲1発明のカセッテ型検出器とは技術分野が異なるものである。
よって、甲3技術的事項を甲1発明に採用する動機付けがあるとは認められない。
甲4技術的事項は、電子カセッテにおいて、筐体の側面及び背面であって前記無線送受信用アンテナが配置されている近傍に、前記側面及び背面が共有する稜線部を残した形状でアンテナ開口を設けることを開示しているが、無線送受信用アンテナの設置面が側面及び背面に対して傾斜した傾斜面と平行となるように配置することを開示するものではない。
甲2技術的事項、甲5ないし甲7技術的事項も、アンテナの設置面が側面及び背面に対して傾斜した傾斜面と平行となるように配置することを開示するものではない。
そうすると、甲1ないし甲7に接した当業者といえども、上記相違点1に係る本件発明4の発明特定事項を容易に想到することができたとはいえない。
したがって、上記相違点2について検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明及び甲2技術的事項ないし甲7技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本件発明6ないし8について

本件発明6ないし8は、本件発明4の発明特定事項を全て含むものであるところ、本件発明4が甲1発明及び甲2技術的事項ないし甲7技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことは、上記3で検討したとおりであるから、本件発明6ないし8も本件発明4と同じ理由により、甲1発明及び甲2技術的事項ないし甲7技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5 本件訂正により請求項1ないし3、5、9及び10は削除されたため、本件訂正前の請求項1ないし3、5、9及び10に係る特許異議申立理由の対象となる請求項は存在しない。

6 小括
以上のとおりであるから、本件発明4及び6ないし8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
よって、申立人の申立て理由3によっては、本件請求項4及び6ないし8に係る特許を取り消すことはできない。


第6 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項4及び6ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項4及び6ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項1ないし3、5、9及び10は上記のとおり本件訂正により削除されたことにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1ないし3、5、9及び10に係る特許についての申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
被写体を透過した放射線に基づき前記被写体の放射線画像を検出する画像検出部と、
前記画像検出部を収容し、前記放射線が入射する前面、前記前面と対向する背面、および4つの側面を有する筐体であり、少なくとも前記側面の1つと前記背面との間に形成され、前記側面および前記背面に対して傾斜した傾斜面を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、少なくとも前記放射線画像を電波で無線送信するためのアンテナと、
前記傾斜面に少なくとも一部が形成され、前記電波を透過させるためのアンテナ用開口部と、
前記アンテナ用開口部を塞ぎ、かつ、非導電性材料で形成されたカバーと、
を備え、
前記アンテナは、前記アンテナ用開口部と対向する位置に配置され、前記アンテナ用開口部の中心に位置し、かつ設置面が前記傾斜面と平行となるよう配置され、
前記筐体は、導電性材料で形成され、
前記放射線が前記被写体を透過する際に発生する散乱線を除去する外付けグリッドが着脱自在に取り付け可能であり、
前記外付けグリッドは、前記前面を覆う天板部と、
前記天板部の端縁に設けられ、前記前面側から前記背面側に伸びて前記側面の一部を覆う側板部とを有し、
前記側板部は、前記アンテナ用開口部を塞がない電子カセッテ。
【請求項5】(削除)
【請求項6】
前記側面と前記傾斜面の境界である第1境界と、前記背面と前記傾斜面の境界である第2境界との間の距離である前記傾斜面の幅が、前記前面および前記背面と直交する前記筐体の厚み方向における前記側面の幅よりも広い請求項4に記載の電子カセッテ。
【請求項7】
撮影台のホルダに着脱自在にセット可能である請求項4又は6に記載の電子カセッテ。
【請求項8】
前記ホルダは、前記前面を覆う前板部と、
前記前板部と対向し、前記背面を覆う背板部とを有する請求項7に記載の電子カセッテ。
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-02-15 
出願番号 特願2014-193132(P2014-193132)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A61B)
P 1 651・ 121- YAA (A61B)
P 1 651・ 113- YAA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安田 明央  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
渡戸 正義
登録日 2017-12-15 
登録番号 特許第6259382号(P6259382)
権利者 富士フイルム株式会社
発明の名称 電子カセッテ  
代理人 特許業務法人小林国際特許事務所  
代理人 特許業務法人小林国際特許事務所  

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