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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C09J 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C09J 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C09J 審判 全部申し立て 2項進歩性 C09J |
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管理番号 | 1351397 |
異議申立番号 | 異議2018-700273 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-04-03 |
確定日 | 2019-03-25 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6207109号発明「粘着剤層、及び粘着フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6207109号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正することを認める。 特許第6207109号の請求項1?5に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6207109号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成24年12月17日に特許出願された特願2012-274796号の一部を、平成28年8月19日に特願2016-161450号として新たに特許出願したものであって、平成29年9月15日に特許権の設定登録がされ、同年10月4日にその特許公報が発行され、その請求項1?5に係る発明の特許に対し、平成30年4月3日に阿部治美(以下「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 特許異議の申立て後の手続の経緯は次のとおりである。 平成30年 5月28日付け 取消理由通知 同年 7月26日 訂正請求書・意見書(特許権者) 同年 8月 2日付け 訂正請求があった旨の通知 同年 9月 5日 意見書(特許異議申立人) 同年 9月27日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年12月 5日 訂正請求書・意見書(特許権者) 同年12月11日付け 訂正請求があった旨の通知 なお、特許異議申立人は、平成30年12月11日付けの訂正請求があった旨の通知に対して、指定した期間内に何ら応答をしていない。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 平成30年7月26日付けの訂正請求は特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされるところ、同年12月5日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は「特許第6207109号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?5について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下の訂正事項1のとおりである(なお、訂正した箇所に下線を付す。)。 (1)訂正事項1 訂正前の請求項1に 「アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層において、 前記アクリル系ポリマーが、 (A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種以上の合計100重量部に対して、 (B)窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?50重量部と、 (C)カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?2重量部、及び、ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?5重量部と、 を共重合させた重量平均分子量20万?200万の共重合体からなり、 前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種以上の合計100重量部のうち、メチルアクリレートのモノマーを20?60重量部の割合で含有してなり、 前記粘着剤組成物が、前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種以上の合計100重量部に対して、前記(D)架橋剤を0.01?5重量部の割合で含有してなることを特徴とする粘着剤層。」とあるのを、 「アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物(但し、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含有するものを除く)を架橋してなる粘着剤層において、 前記アクリル系ポリマーが、 (A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、 (B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?20重量部と、 (C)カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?2重量部、及び、ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?5重量部と、 を共重合させた重量平均分子量20万?200万の共重合体からなり、 前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部のうち、メチルアクリレートのモノマーを20?60重量部の割合で含有してなり、 前記(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーが、N,N-ジアルキル置換アミノ基又はN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー、N-ビニル置換ラクタム類、N-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群から選択された化合物であり、 前記粘着剤組成物が、前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、前記(D)架橋剤を0.01?5重量部の割合で含有してなることを特徴とする粘着剤層。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2から5も同様に訂正される。)。 2 訂正の適否 (1)訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「粘着剤組成物」を「粘着剤組成物(但し、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含有するものを除く)」として、訂正前の「粘着剤組成物」の範囲から「分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含有するもの」を除外して限定し、 訂正前の請求項1の「アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種以上」との記載(3箇所)の各々を「アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上」との記載に各々限定し、 訂正前の請求項1の「(B)窒素含有ビニルモノマー」を「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」であって「前記(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーが、N,N-ジアルキル置換アミノ基又はN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー、N-ビニル置換ラクタム類、N-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群から選択された化合物」であるものに限定すると同時に、その含有量を訂正前の「5?50重量部」から「5?20重量部」に限定するものであるから、 特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 (2)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 上記(1)で述べたように、訂正事項1は「特許請求の範囲の減縮」のみを目的とするものであるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 (3)新規事項の有無 訂正事項1のうちの「(但し、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含有するものを除く)」との限定をする訂正は、本件特許明細書の段落0040?0044に記載された実施例1?3のものが、いずれも分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含有しない粘着剤組成物を使用していることを根拠とするものであり、 訂正事項1のうちの「アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上」との限定をする訂正は、同段落0040?0044に記載された実施例1?3のものが、いずれもアルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上を使用していることを根拠とするものであり、 訂正事項1のうちの(B)成分の種類を「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」であって「前記(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーが、N,N-ジアルキル置換アミノ基又はN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー、N-ビニル置換ラクタム類、N-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群から選択された化合物」であるものに限定する訂正は、同段落0026の「前記窒素含有ビニルモノマーとしては、後述する(C)の化合物と区別可能とするため、水酸基を含有しないものが好ましく、水酸基およびカルボキシル基を含有しないものがより好ましい。このようなモノマーとしては、上に例示したモノマー、例えば、N,N-ジアルキル置換アミノ基やN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムなどのN-ビニル置換ラクタム類;N-(メタ)アクリロイルモルホリンなどのN-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類が好ましい。」との記載を根拠とするものであり、 訂正事項1のうちの(B)成分の含有量を「5?20重量部」に限定する訂正は、同段落0040?0044に記載された実施例1?3のものにおいて、実施例3のものが上限値の20重量部の(B)成分を使用していることを根拠とするものであるから、 これらの限定をする訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (4)一群の請求項について 訂正事項1に係る訂正前の請求項1?5について、その請求項2?5はそれぞれ請求項1を直接又は間接に引用しているものであるから、訂正前の請求項1?5に対応する訂正後の請求項1?5は特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。 したがって、訂正事項1による本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してなされたものである。 (5)訂正の適否のまとめ 以上のとおり、訂正事項1による本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された請求項1?5に係る発明(以下「本1発明」?「本5発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物(但し、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含有するものを除く)を架橋してなる粘着剤層において、 前記アクリル系ポリマーが、 (A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、 (B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?20重量部と、 (C)カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?2重量部、及び、ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?5重量部と、 を共重合させた重量平均分子量20万?200万の共重合体からなり、 前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部のうち、メチルアクリレートのモノマーを20?60重量部の割合で含有してなり、 前記(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーが、N,N-ジアルキル置換アミノ基又はN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー、N-ビニル置換ラクタム類、N-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群から選択された化合物であり、 前記粘着剤組成物が、前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、前記(D)架橋剤を0.01?5重量部の割合で含有してなることを特徴とする粘着剤層。 【請求項2】 前記粘着剤層の厚さが1μm?20μmであり、厚さが5μmの時の粘着力が4.0(N/25mm)以上であり、前記粘着剤層の屈折率が1.47?1.50であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤層。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の粘着剤層が、離型フィルムの片面に形成されてなり、離型フィルム/粘着剤層/離型フィルムの構成であることを特徴とする粘着フィルム。 【請求項4】 基材の片面上に、請求項1又は2に記載の粘着剤層が積層されてなることを特徴とする粘着フィルム。 【請求項5】 光学フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1又は2に記載の粘着剤層が積層されてなる粘着剤層付き光学フィルム。」 第4 特許異議申立て及び取消理由通知の概要について 1.特許異議申立人の証拠と主張の概要 特許異議申立人は、証拠として以下の甲第1号証?甲第5号証(以下「甲1」?「甲5」ともいう。)を提出し、以下の理由1?3により、本件特許の請求項1?5に係る特許を取り消す旨の決定がなされるべきものであるとの主張をしている。 甲第1号証:特開2012-196953号公報 甲第2号証:特開2009-126929号公報 甲第3号証:特開2008-214572号公報 甲第4号証:特開2014-114351号公報 甲第5号証:特開2003-329837号公報(平成30年9月5日付けの意見書に添付して提出) 理由1:特許法第29条第1項第3号(請求項1?5) 理由2:特許法第29条第2項(請求項1?5) 理由3:特許法第36条第4項第1号及び第6項(請求項1?5) なお、甲第4号証は、本願出願日前に頒布された刊行物ではない。 2.取消理由通知の概要 訂正前の請求項1?5に係る特許に対して平成30年5月28日付けで特許権者に通知した取消理由1?5の要旨、及び平成30年7月26日付けの訂正請求による訂正後の請求項1?5に係る特許に対して平成30年9月27日付けで特許権者に通知した取消理由3(上記平成30年5月28日付けで特許権者に通知した取消理由3と同じ)の要旨は、次のとおりである。 〔取消理由1〕本件特許の請求項1?5に係る発明は、本件出願日前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。 〔取消理由2〕本件特許の請求項1?5に係る発明は、本件出願日前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1?3に記載された発明に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 〔引用刊行物一覧〕 刊行物1:特開2012-196953号公報(甲1に同じ。) 刊行物2:特開2009-126929号公報(甲2に同じ。) 刊行物3:特開2008-214572号公報(甲3に同じ。) 〔取消理由3〕本件特許の特許請求の範囲の記載が下記(あ)?(え)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。 〔取消理由4〕本件特許の発明の詳細な説明の記載が下記(お)の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に適合するものではない。 〔取消理由5〕本件特許の特許請求の範囲の記載が下記(お)の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。 (あ)本1発明の「(B)窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?50重量部」につき、実施例に記載されている窒素含有ビニルモノマーの使用量は、下限値が10重量部であり、上限値が20重量部であるから、本1発明で規定する範囲は広範に過ぎる。 (い)本1発明の「(C)…ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?5重量部」につき、実施例に記載されているヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの使用量は、いずれの場合も0.5重量部であるから、本1発明で規定する範囲は広範に過ぎる。 (う)本1発明の「(D)架橋剤を0.01?5重量部の割合で含有してなる」につき、実施例に記載されている架橋剤の使用量は、下限値が0.3重量部であり、上限値が1.0重量部であるから、本1発明で規定する範囲は広範に過ぎる。 (え)本1発明の「(B)窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上」につき、窒素含有ビニルモノマーとの規定は、その構造中に窒素とビニル基が含有されていればよいとした極めて漠然としたものであるから、実施例で使用している(B)群のモノマーに対して広範に過ぎる。 (お)本1発明の「アクリル系ポリマー」の原料モノマーにつき、例えば「水酸基を有するアクリルアミド」等のモノマーは、(B)の窒素含有ビニルモノマーと(C)のヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの両方に該当するから、明確ではない。 第5 当審の判断 1.取消理由通知の理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について (1)刊行物1?3の記載事項 上記刊行物1には、次の記載がある。 摘記1a:請求項1、5及び9?10 「【請求項1】光学フィルムの少なくとも片面に粘着剤層が形成されてなる粘着剤付き光学フィルムであって、該粘着剤層は、 (A)(A-1)下式(I) 【化1】 (式中、R_(1)は水素原子又はメチル基を表し、R_(2)は炭素数1?10のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1?14のアルキル基を表す) で示される(メタ)アクリル酸エステル80?96重量%、 (A-2)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体1?15重量%、 (A-3)下式(II) 【化2】 (式中、R_(3)は水素原子又はメチル基を表し、R_(4)はアルキル基を表し、mは1?8の整数を表す) で示されるN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド0.1?5重量%、及び (A-4)極性官能基を有する不飽和単量体0.5?5重量% を含む単量体混合物から得られる共重合体であるアクリル樹脂100重量部、 (B)有機カチオンを有するイオン性化合物0.3?12重量部、並びに (C)架橋剤0.1?5重量部 を含有する粘着剤組成物から形成されていることを特徴とする粘着剤付き光学フィルム。… 【請求項5】前記極性官能基を有する不飽和単量体(A-4)は、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及びエポキシ環からなる群より選ばれる極性官能基を有する請求項1?4のいずれかに記載の粘着剤付き光学フィルム。… 【請求項9】粘着剤層の表面に剥離フィルムが貼着されている請求項1?8のいずれかに記載の粘着剤付き光学フィルム。 【請求項10】請求項1?8のいずれかに記載の粘着剤付き光学フィルムが、その粘着剤層側でガラス基板に積層されてなることを特徴とする光学積層体。」 摘記1b:段落0008、0023、0052及び0103 「【0008】本発明の課題は、帯電防止性が付与されるとともに、ガラスに貼合したときに車載用途などを想定した過酷な環境下での試験においても剥れが発生しない、耐久性に優れる粘着剤層が光学フィルムの表面に設けられた粘着剤付き光学フィルムを提供し、それをガラス基板に積層して耐久性に優れる光学積層体とすることにある。本発明者らは、かかる課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、(メタ)アクリル酸エステルを主要な成分とし、分子内に芳香環を有する不飽和単量体、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び極性官能基を有する不飽和単量体の少なくとも4成分を共重合させて得られるアクリル樹脂に、イオン性化合物及び架橋剤を配合して粘着剤組成物とし、この組成物を光学フィルムの表面に粘着剤層として設けるのが有効であることを見出し、本発明に到達した。… 【0023】これらの粘着剤付き光学フィルムを構成する光学フィルムは、偏光板及び位相差フィルムの少なくとも一方を含むことが有利である。粘着剤付き光学フィルムを構成する粘着剤層の表面には、剥離フィルムを貼着して、使用時までその粘着剤表面を保護するのが通例である。… 【0052】(メタ)アクリル酸エステル(A-1)、芳香環を有する不飽和単量体(A-2)、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド(A-3)、及び極性官能基を有する不飽和単量体(A-4)を含む単量体混合物から得られる共重合体であるアクリル樹脂(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが50万?200万の範囲にあることが好ましい。… 【0103】粘着剤層の厚みは特に限定されないが、通常は30μm以下であるのが好ましく、また10μm以上であるのが好ましく、さらに好ましくは10?20μmである。」 摘記1c:段落0110 「【0110】[重合例1]冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応容器に、溶媒としての酢酸エチル81.8部、単量体(A-1)としてのアクリル酸ブチル68.4部及びアクリル酸メチル20.0部、単量体(A-2)としてのアクリル酸2-(2-フェノキシエトキシ)エチル8.0部、単量体(A-3)としてのN-(メトキシメチル)アクリルアミド2.0部、並びに、単量体(A-4)としてのアクリル酸2-ヒドロキシエチル1.0部及びアクリル酸0.6部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。…得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが146万、Mw/Mnが3.7であった。これをアクリル樹脂Aとする。」 摘記1d:段落0131?0132及び0140 「【0131】[実施例1?13及び比較例1?2](a)粘着剤の製造 重合例1?13で調製したアクリル樹脂の20%酢酸エチル溶液を用い、それぞれの固形分100部に対し、イオン性化合物及び架橋剤“コロネートL”をそれぞれ表2に示す量、そしてシラン系化合物“KBM-403”を0.5部混合し、さらに固形分濃度が13%となるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物とした。なお、上述のとおり、架橋剤“コロネートL”は、固形分濃度75%の酢酸エチル溶液であるが、表2に示す添加量は、固形分(有効成分)の量である。 【0132】(b)粘着剤付き光学フィルムの作製 上の各粘着剤組成物を、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名“PLR-382050”、リンテック(株)から入手;セパレーターと呼ぶ)の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して、シート状粘着剤を得た。次いで、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの片面にトリアセチルセルロースからなる厚さ80μmの保護フィルムが積層され、もう一方の面にシクロオレフィン系樹脂からなる厚さ70μm の位相差フィルム〔温度40℃、相対湿度90%における透湿度は42g/(m^(2)・24hr)〕が積層された3層構造の偏光板のシクロオレフィン系樹脂フィルム面に、上で得たシート状粘着剤のセパレーターと反対側の面(粘着剤面)をラミネーターにより貼り合わせたのち、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間養生して、粘着剤付き偏光板を作製した。… 【0140】【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 例 No. アクリル樹脂 … 架橋剤添加量(部)^(*) … ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例1 A … 0.40 … … ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ^(*)…架橋剤の添加量は、アクリル樹脂100部に対する値 」 上記刊行物2には、次の記載がある。 摘記2a:請求項1 「【請求項1】水酸基を有するアクリルアミド及び/またはメタアクリルアミドと、アクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルとが少なくとも共重合されてなる共重合体ポリマーと、 イオン性化合物からなる帯電防止剤とが含有されてなることを特徴とする粘着剤組成物。」 摘記2b:段落0008 「【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、エージング時間が短く生産性に優れ、良好な帯電防止性能を有する粘着層を形成することができる粘着剤組成物およびこれを備えた光学部材、表面保護シートを提供することを目的とする。」 摘記2c:段落0024及び0034 「【0024】本実施形態の粘着剤組成物を光学部材に用いる場合には、水酸基を有する(メタ)アクリルアミドは、ベースポリマー全質量中に0.1?5質量%含有されることが好ましい。ベースポリマー全質量中における水酸基を有する(メタ)アクリルアミドの含有量が0.1質量%未満であると、帯電防止性能を向上させる効果が十分に得られない恐れがある。また、水酸基を有する(メタ)アクリルアミドの含有量が5質量%を超えると、耐久性が不十分となる恐れがある。… 【0034】また、ベースポリマーには、上記の水酸基を有する(メタ)アクリルアミドと、(メタ)アクリレート以外の成分として、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分としては、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物などの凝集力・耐熱性向上成分や、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N-アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類等の接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分などを用いることができる。その他の成分は1種または2種以上併用して用いることができる。」 上記刊行物3には、次の記載がある。 摘記3a:段落0005及び0014 「【0005】…ところで、上記のような表示装置に使用される粘着剤としてアクリル系樹脂からなる粘着剤が広汎に使用されている。…また、少量ではあるが、(メタ)アクリル酸を共重合させることにより、伸び、破断強度、1000%モジュラスを全体として高く保つことができる。… 【0014】本発明は、液晶表示装置などに使用される機能性光学フィルムを貼着する際に有用な、新規光学フィルム用粘着剤および該粘着剤を用いた粘着加工光学フィルムを提供することを目的としている。」 (2)刊行物1に記載された発明 摘記1aの「【請求項1】光学フィルムの少なくとも片面に粘着剤層が形成されてなる粘着剤付き光学フィルムであって、該粘着剤層は、(A)(A-1)下式(I)…式中、R_(1)は水素原子又はメチル基を表し、R_(2)は炭素数1?10のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1?14のアルキル基を表す…で示される(メタ)アクリル酸エステル80?96重量%、(A-2)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体1?15重量%、(A-3)下式(II)…で示されるN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド0.1?5重量%、及び(A-4)極性官能基を有する不飽和単量体0.5?5重量%を含む単量体混合物から得られる共重合体であるアクリル樹脂100重量部、(B)有機カチオンを有するイオン性化合物0.3?12重量部、並びに(C)架橋剤0.1?5重量部を含有する粘着剤組成物から形成されていることを特徴とする粘着剤付き光学フィルム。…【請求項5】前記極性官能基を有する不飽和単量体(A-4)は、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及びエポキシ環からなる群より選ばれる極性官能基を有する請求項1?4のいずれかに記載の粘着剤付き光学フィルム。」との記載、及び 摘記1bの「(メタ)アクリル酸エステル(A-1)、芳香環を有する不飽和単量体(A-2)、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド(A-3)、及び極性官能基を有する不飽和単量体(A-4)を含む単量体混合物から得られる共重合体であるアクリル樹脂(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが50万?200万の範囲にあることが好ましい。」との記載からみて、刊行物1には、 「(A)(A-1)炭素数1?14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル80?96重量%、(A-2)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体1?15重量%、(A-3)N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド0.1?5重量%、及び(A-4)極性官能基を有する不飽和単量体0.5?5重量%を含む単量体混合物から得られる共重合体であるアクリル樹脂100重量部、(B)有機カチオンを有するイオン性化合物0.3?12重量部、並びに(C)架橋剤0.1?5重量部を含有する粘着剤組成物から形成されている粘着剤層であって、前記極性官能基を有する不飽和単量体(A-4)は、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及びエポキシ環からなる群より選ばれる極性官能基を有し、前記アクリル樹脂(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが50万?200万の範囲にある粘着剤層。」についての発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 (3)対比 本1発明と甲1発明とを対比する。 共重合体からなるアクリル系ポリマーを得るための単量体について、甲1発明の共重合体であるアクリル樹脂を得るための単量体である「(A-1)炭素数1?14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル」は、本1発明の「アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマー」に相当し、 甲1発明の「(A-3)N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド」と、本1発明の「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上」とは、両者とも「窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上」である点で共通し、 甲1発明の「(A-4)極性官能基を有する不飽和単量体」及び「前記極性官能基を有する不飽和単量体(A-4)は、遊離カルボキシル基、水酸基…からなる群より選ばれる極性官能基を有」する構成について、 甲1発明の「カルボキシル基」及び「ヒドロキシル基」は、いずれも極性官能基であり、甲1発明の「不飽和単量体」は「ビニルモノマー」といえることから、甲1発明の(A-4)の構成と、本1発明の(C)の「カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上」及び「ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上」の構成は、両者とも「極性官能基を有する共重合性ビニルモノマー」の構成を有する点で共通する。 次に、甲1発明の「(A)(A-1)炭素数1?14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル80?96重量%…を含む単量体混合物から得られる共重合体であるアクリル樹脂100重量部、…並びに(C)架橋剤0.1?5重量部を含有する粘着剤組成物から形成されている粘着剤層」の構成について、 当該(A)のアクリル樹脂中の(A-1)の炭素数1?14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの80?96重量%を100重量部とした場合に、(C)の架橋剤の含有量のとり得る値の範囲は、0.1÷96×100?5÷80×100重量部の範囲、すなわち、0.104?6.25重量部の範囲に換算されるので、 甲1発明の(A)の「アクリル樹脂100重量部」と(C)の「架橋剤0.1?5重量部」を含有する構成及びこれらを含有する「粘着剤組成物から形成されている粘着剤層」の構成と、本1発明の「前記粘着剤組成物が、前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、前記(D)架橋剤を0.01?5重量部の割合で含有してなる」及び「アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層」とは、両者とも「前記粘着剤組成物が、前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの合計100重量部に対して、前記(D)架橋剤を0.104?5重量部の割合で含有してなる」及び「アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層」という点で重複する。 さらに、甲1発明の「(A)(A-1)炭素数1?14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル80?96重量%、…(A-3)N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド0.1?5重量%、及び(A-4)極性官能基を有する不飽和単量体0.5?5重量%を含む単量体混合物から得られる共重合体であるアクリル樹脂」の構成について、 当該(A-1)の80?96重量%を100重量部とした場合に、(A-3)の含有量のとり得る値の範囲は0.1÷96×100?5÷80×100重量部=0.104?6.25重量部の範囲に換算され、(A-4)の含有量のとり得る値の範囲は0.5÷96×100?5÷80×100重量部=0.521?6.25重量部の範囲に換算される。 また、本件発明の「(C)カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?2重量部、及び、ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?5重量部」と、甲1発明の「(A-4)遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及びエポキシ環からなる群より選ばれる極性官能基を有する不飽和単量体0.521?6.25重量部」とは、「カルボキシル基」及び「ヒドロキシル基」は、いずれも極性官能基であり、甲1発明の上記「不飽和単量体」は「ビニルモノマー」といえることから、「極性官能基を有する共重合性ビニルモノマー」である点で共通する。 そうすると、甲1発明の(A)の「(A-1)炭素数1?14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル80?96重量%」、「(A-3)N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド0.1?5重量%」及び「(A-4)極性官能基を有する不飽和単量体0.5?5重量%」を含む単量体混合物から得られる「共重合体であるアクリル樹脂」の構成と、本1発明の「前記アクリル系ポリマーが、(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?20重量部と、(C)カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?2重量部、及び、ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?5重量部と、を共重合させた」の構成は、両者とも「前記アクリル系ポリマーが、 (A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの合計100重量部に対して、 (B)窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?6.25重量部と、 (C)極性官能基を有する共重合性ビニルモノマー0.521?5重量部と、を共重合させた」という点において共通する。 そして、甲1発明の「前記アクリル樹脂(A)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが50万?200万の範囲にある」は、本1発明の「前記アクリル系ポリマーが…を共重合させた重量平均分子量20万?200万の共重合体からなり」に相当する。 してみると、本1発明と甲1発明は、両者とも「アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層において、 前記アクリル系ポリマーが、 (A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの合計100重量部に対して、 (B)窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?6.25重量部と、 (C)極性官能基を有する共重合性ビニルモノマー0.521?5重量部と、 を共重合させた重量平均分子量20万?200万の共重合体からなり、 前記粘着剤組成物が、前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの合計100重量部に対して、前記(D)架橋剤を0.104?5重量部の割合で含有してなる粘着剤層。」という点において一致し、次の相違点1?4の4つの点において相違する。 相違点1:本1発明は「アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層」において「分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含有するものを除く」のに対して、甲1発明は「(A-2)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含む点。 相違点2:窒素含有ビニルモノマーが、本1発明は「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」であって「前記(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーが、N,N-ジアルキル置換アミノ基又はN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー、N-ビニル置換ラクタム類、N-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群から選択された化合物」であるのに対して、甲1発明は「(A-3)N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド」である点。 相違点3:アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーが、本1発明は「前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部のうち、メチルアクリレートのモノマーを20?60重量部の割合で含有」してなるのに対して、甲1発明は「少なくとも2種以上」のモノマーを含有しておらず、少なくとも2種以上の合計100重量部のうち「メチルアクリレートのモノマーを20?60重量部の割合で含有」することは規定されない点。 相違点4:「極性官能基を有する共重合性ビニルモノマー」について、 (相違点4-1)極性官能基が、本1発明では「カルボキシル基」及び「ヒドロキシル基」と特定されているのに対し、甲1発明では「遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及びエポキシ環からなる群より選ばれ」たものである点、及び、 (相違点4-2)含有量について、本1発明は「カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上」について「0.1?2重量部」及び「ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上」について「0.1?5重量部」と、それぞれ特定されているのに対し、甲1発明は「遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及びエポキシ環からなる群」の「遊離カルボキシル基」と「水酸基」の含有量が不明な点。 (4)判断 ア.相違点1について 刊行物1には、「本発明の課題は、帯電防止性が付与されるとともに、ガラスに貼合したときに車載用途などを想定した過酷な環境下での試験においても剥れが発生しない、耐久性に優れる粘着剤層が光学フィルムの表面に設けられた粘着剤付き光学フィルムを提供し、それをガラス基板に積層して耐久性に優れる光学積層体とすることにある。本発明者らは、かかる課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、(メタ)アクリル酸エステルを主要な成分とし、分子内に芳香環を有する不飽和単量体、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド及び極性官能基を有する不飽和単量体の少なくとも4成分を共重合させて得られるアクリル樹脂に、イオン性化合物及び架橋剤を配合して粘着剤組成物とし、この組成物を光学フィルムの表面に粘着剤層として設けるのが有効であることを見出し、本発明に到達した。」(【0008】)と記載され、「粘着剤層の形成に用いられるアクリル樹脂(A)は、前記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステル(A-1)を80?96重量%、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体(A-2)を1?15重量%、前記式(II)で示されるN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド(A-3)を0.1?5重量%、及び極性官能基を有する不飽和単量体(A-4)を0.5?5重量%の割合で含む単量体混合物から得られる共重合体である。これらの少なくとも4成分を所定割合で共重合させることにより、そのアクリル樹脂(A)を主成分とする粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する光学フィルムは、耐湿熱性、80℃前後の温度における耐久性、及び耐ヒートショック性を維持しながら、特に100℃前後の高温における耐久性が高められる。」(【0044】)と記載されており(当審注:下線は当審が付与した。)、しかも、刊行物1に記載の発明の効果が実証されている実施例1?13において使用されているアクリル樹脂の重合例1?11は、(A-2)の成分を8.0重量%の割合で含有するもののみである。 そうすると、甲1発明の粘着剤層を構成する単量体において「(A-2)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体」は必須のものであって、これを除くことには阻害事由があるといえるから、上記相違点1に係る本1発明の発明特定事項について当業者が容易に想到できるとはいえない。 イ.相違点2について 刊行物2、3には、アクリル系ポリマーを構成する単量体について、「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」を用いることは記載も示唆もされていない。以下、詳細に検討する。 刊行物2の段落0008及び0024(摘記2b及び2c)には「エージング時間が短く生産性に優れ、良好な帯電防止性能を有する粘着層を形成することができる粘着剤組成物」の提供という課題を解決するために「水酸基を有する(メタ)アクリルアミド」を「ベースポリマー全質量中に0.1?5質量%含有」させるという発明が記載されている。しかしながら、当該「水酸基を有する(メタ)アクリルアミド」は、ヒドロキシル基を有しているという点において、本1発明の「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」に該当しない。 また、刊行物2の段落0034(摘記2c)には、そのベースポリマーに「水酸基を有する(メタ)アクリルアミド」以外の成分として「アミド基含有モノマー」や「アミノ基含有モノマー」や「N-アクリロイルモルホリン」等の接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分などを「その他の成分」として用いることができることについての記載がなされている。しかしながら、刊行物2には、当該「アミド基含有モノマー」等の「その他の成分」を甲1発明の「N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド」に置き換えて用いることの動機付けとなる記載がない。また、仮に、「N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド」に置き換えたとしても、当該「その他の成分」を本1発明のように「5?20重量部」という含有量で用いることについての記載もない。 次に、刊行物3の段落0005及び0014(摘記3a)には「液晶表示装置などに使用される機能性光学フィルムを貼着する際に有用な、新規光学フィルム用粘着剤」の提供を課題とする発明に関連して「(メタ)アクリル酸を共重合させることにより、伸び、破断強度、1000%モジュラスを全体として高く保つことができる」ことが従来知られていたことが記載されているものの、刊行物3には、本1発明の「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」についての記載がない。 したがって、刊行物2、3の記載を参酌したとしても、上記相違点2の構成に係る本1発明の発明特定事項について、当業者が容易に想到できるとはいえない。 (5)理由1及び2のまとめ 以上のとおり、本1発明と甲1発明は、上記相違点1及び2において実質的に相違しており、これらの相違点が実質的な差異ではないといえる事情も見当たらないので、本1発明は、刊行物1(甲1)に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえない。 また、相違点1及び2について当業者が容易に想到することができるとはいえないので、相違点3及び4について検討するまでもなく、本1発明は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。 そして、本2?本5発明は、本1発明を直接又は間接に引用するものであるから、同様の理由により、その新規性ないし進歩性を否定することはできない。 したがって、取消理由通知において示した理由1及び2には理由がなく、本1発明?本5発明に係る特許が、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるとはいえないから、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものであるとすることはできない。 2.取消理由通知の理由3(サポート要件)について (1)理由3(あ)について 理由3の(あ)の記載不備についての指摘は、本1発明の「(B)窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?50重量部」につき、実施例に記載されている窒素含有ビニルモノマーの使用量は、下限値が10重量部であり、上限値が20重量部であるから、本1発明で規定する範囲は広範に過ぎるということを趣旨とするものであるところ、訂正後の請求項1の関連記載は「(B)…5?20重量部」に改められ、なおかつ、本件特許明細書の実施例1?3及び参考例1?3の実験結果により、下限値が5重量部であり、上限値が20重量部である場合に、厚さ5μmの粘着剤層の粘着力が4.0N/25mm以上であり、密着性、及び耐久性にも優れていることが裏付けられているから、上記(あ)の記載不備は解消している。 したがって、取消理由通知において示した理由3(あ)には理由がない。 (2)理由3(い)について 理由3の(い)の記載不備についての指摘は、本1発明の「(C)…ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?5重量部」につき、実施例に記載されているヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの使用量は、いずれの場合も0.5重量部であるから、本1発明で規定する範囲は広範に過ぎるということを趣旨とするものであるところ、本1発明の課題は、配合比の最適化を図るものではなく、本1発明の「0.1?5重量部」という範囲が広範に過ぎるといえる技術常識の存在などの具体的な根拠も見当たらないから、上記(い)に記載不備があるとはいえない。 したがって、取消理由通知において示した理由3(い)には理由がない。 (3)理由3(う)について 理由3の(う)の記載不備についての指摘は、本1発明の「(D)架橋剤を0.01?5重量部の割合で含有してなる」につき、実施例に記載されている架橋剤の使用量は、下限値が0.3重量部であり、上限値が1.0重量部であるから、本1発明で規定する範囲は広範に過ぎるということを趣旨とするものであるところ、本1発明の課題は、配合比の最適化を図るものではなく、本1発明の「0.01?5重量部」という範囲が広範に広範に過ぎるといえる技術常識の存在などの具体的な根拠も見当たらないから、上記(う)に記載不備があるとはいえない。 したがって、取消理由通知において示した理由3(う)には理由がない。 (4)理由3(え)について 理由3の(え)の記載不備についての指摘は、本1発明の「(B)窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上」につき、窒素含有ビニルモノマーとの規定は、その構造中に窒素とビニル基が含有されていればよいとした極めて漠然としたものであるから、実施例で使用している(B)群のモノマーに対して広範に過ぎるということを趣旨とするものであるところ、訂正後の請求項1の関連記載は「前記(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーが、N,N-ジアルキル置換アミノ基又はN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー、N-ビニル置換ラクタム類、N-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群から選択された化合物であ」るものに改められ、なおかつ、これらのものが課題解決に好ましい範囲のものであることの説明が本件特許明細書の段落0026に記載されているので、上記(え)の記載不備は解消している。 したがって、取消理由通知において示した理由3(え)には理由がない。 (5)まとめ 以上のとおり、取消理由通知において示した理由3には理由がなく、本件特許の請求項1並びに当該請求項1を直接又は間接に引用する請求項2?5の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではないとはいえない。 したがって、本1発明?本5発明に係る特許が、特許法第36条第6項の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであるとはいえないから、同法第113条第1項第4号の規定により取り消されるべきものであるとすることはできない。 3.取消理由通知の理由4(実施可能要件)及び理由5(明確性要件)について 理由4及び5の記載不備についての指摘は、本1発明の「アクリル系ポリマー」の原料モノマーにつき、例えば「水酸基を有するアクリルアミド」等のモノマーは、(B)の窒素含有ビニルモノマーと(C)のヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの両方に該当するから、明確ではないということを趣旨とするものであるところ、訂正後の請求項1の関連記載は「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」に改められたので、その記載不備は解消している。 したがって、取消理由通知において示した理由4及び5には理由がなく、本1発明?本5発明に係る特許が、特許法第36条第4項第1号又は第6項の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであるとはいえないから、同法第113条第1項第4号の規定により取り消されるべきものであるとすることはできない。 4.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 特許異議申立人の主張する理由1及び3の各々は、取消理由通知の〔理由1〕及び〔理由3?5〕として採用している。 そこで、特許異議申立人の主張する理由2のうち、取消理由通知の〔理由2〕で採用しなかった特許異議申立理由について以下検討する。 (1)甲第3号証を主引用例とした主張について 特許異議申立書の第24頁第19行?第25頁第4行において、特許異議申立人は「甲第3号証に記載された発明を構成する「アクリル系共重合体」は、…本件特許発明1を構成する「(B)窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?50重量部」について記載がされていないこと以外は同様であり、…「光学フィルム用粘着剤」を構成する「アクリル系共重合体」に使用する原料モノマーに「窒素含有ビニルモノマーを特定量」使用することは、甲第1号証及び甲第2号証に記載されており、当業者にとって格別のことではなく、…用途に応じて適宜な量にすることも、甲第2号証に記載されているように、当業者にとって格別のことではない。」と主張する。 しかしながら、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明の窒素含有ビニルモノマーは、それぞれ「N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド」及び「水酸基を有するアクリルアミド及び/またはメタクリルアミド」であるから、甲第1号証及び甲第2号証には、本1発明の「N,N-ジアルキル置換アミノ基又はN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー、N-ビニル置換ラクタム類、N-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群」から選択された「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」について記載がない。このため、甲第1又は2号証に記載の技術を参酌したとしても、本1発明?本5発明を当業者が容易に想到できるとはいえない。 (2)甲第4号証について 甲第4号証の段落0061には「n-ブチルアクリレート65質量部、メチルアクリレート30質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート5質量部を酢酸エチルに溶解し、重合を行い、質量平均分子量(Mw)70万のアクリル共重合体(4)を得た」ことが記載されているところ、特許異議申立書の第27頁第6?8行の「甲第4号証は、本件の出願日(平成24年12月17日)直前の平成24年12月7日に特許出願された、先願に関するものであり、本件の出願時における当業者の技術常識を示すためのものである。」との主張を参酌したとしても、甲第4号証には、本1発明の「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマー」について記載がない。このため、甲第4号証に記載の技術を仮に参酌したとしても、本1発明?本5発明を当業者が容易に想到できるとはいえない。 (3)甲第5号証について 平成30年9月5日付けの意見書の第4頁第12?23行において、特許異議申立人は「新たに提示した刊行物5(甲第5号証)に記載されているように、…N元素含有モノマーとして、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド…等…を用いること…上記した共重合モノマーを0.5?12重量部の割合で使用することは公知であり…その量を特定の範囲とすることは、当業者の設計事項に過ぎない。」と主張している。 そして、甲第5号証には、アクリル系ポリマー溶液を「ブチルアクリレート(95重量部)、N,N’-ジメチルアクリルアミド(4重量部)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(1重量部)、およびアゾビスイソブチロニトリル(0.2重量部)を酢酸エチル溶媒中、60℃で7時間反応させ」(【0085】の「実施例2」)て得ることが記載され、アクリル系ポリマーを構成する単量体について、「(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルポリマー」(N,N’-ジメチルアクリルアミド)を用いることが記載されているといえる。 しかしながら、該「N,N’-ジメチルアクリルアミド」について、「アクリル系ポリマーには、N元素を有するモノマーユニット等を導入することができる。N元素含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、…等があげられる。」(【0019】)と記載され、「N,N’-ジメチルアクリルアミド」は、アクリル系ポリマーを構成するモノマーのうち、N元素含有モノマーについて例示されているものに過ぎず、甲第5号証に記載されたアクリル系ポリマーを構成する単量体の中から、特に、「N,N’-ジメチルアクリルアミド」を選択して、甲1発明のアクリル系ポリマーを構成する単量体として用いる動機付けは見出すことができない。 しかも、上記実施例2では、アクリル系ポリマーを構成する他の単量体が、「ブチルアクリレート」と「2-ヒドロキシエチルアクリレート」であり、甲1発明の「アクリル樹脂」を構成する単量体と異なることからも、甲第5号証に記載された「N,N’-ジメチルアクリルアミド」を、甲1発明のアクリル系ポリマーを構成する単量体として用いる動機付けは見出すことができない。 このため、甲第5号証に記載の技術を参酌したとしても、本1発明?本5発明を当業者が容易に想到できるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、本1発明?本5発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、この他に本1発明?本5発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 アクリル系ポリマーと、架橋剤とを含有する粘着剤組成物(但し、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環を有する不飽和単量体を含有するものを除く)を架橋してなる粘着剤層において、 前記アクリル系ポリマーが、 (A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、 (B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーの少なくとも1種以上を5?20重量部と、 (C)カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?2重量部、及び、ヒドロキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種以上を0.1?5重量部と、 を共重合させた重量平均分子量20万?200万の共重合体からなり、 前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部のうち、メチルアクリレートのモノマーを20?60重量部の割合で含有してなり、 前記(B)ヒドロキシル基を含有しない窒素含有ビニルモノマーが、N,N-ジアルキル置換アミノ基又はN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー、N-ビニル置換ラクタム類、N-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類からなる化合物群から選択された化合物であり、 前記粘着剤組成物が、前記(A)アルキル基の炭素数がC1?C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、前記(D)架橋剤を0.01?5重量部の割合で含有してなることを特徴とする粘着剤層。 【請求項2】 前記粘着剤層の厚さが1μm?20μmであり、厚さが5μmの時の粘着力が4.0(N/25mm)以上であり、前記粘着剤層の屈折率が1.47?1.50であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤層。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の粘着剤層が、離型フィルムの片面に形成されてなり、離型フィルム/粘着剤層/離型フィルムの構成であることを特徴とする粘着フィルム。 【請求項4】 基材の片面上に、請求項1又は2に記載の粘着剤層が積層されてなることを特徴とする粘着フィルム。 【請求項5】 光学フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1又は2に記載の粘着剤層が積層されてなる粘着剤層付き光学フィルム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-03-11 |
出願番号 | 特願2016-161450(P2016-161450) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(C09J)
P 1 651・ 113- YAA (C09J) P 1 651・ 537- YAA (C09J) P 1 651・ 536- YAA (C09J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田澤 俊樹 |
特許庁審判長 |
川端 修 |
特許庁審判官 |
木村 敏康 天野 宏樹 |
登録日 | 2017-09-15 |
登録番号 | 特許第6207109号(P6207109) |
権利者 | 藤森工業株式会社 |
発明の名称 | 粘着剤層、及び粘着フィルム |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 田▲崎▼ 聡 |
代理人 | 大浪 一徳 |
代理人 | 田▲崎▼ 聡 |
代理人 | 貞廣 知行 |
代理人 | 貞廣 知行 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 大浪 一徳 |