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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F16D
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  F16D
審判 全部申し立て 2項進歩性  F16D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F16D
管理番号 1351414
異議申立番号 異議2018-700151  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-22 
確定日 2019-03-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6184873号発明「電気モータで作動可能なドラムブレーキモジュール」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6184873号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-18〕について訂正することを認める。 特許第6184873号の請求項1ないし18に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6184873号の請求項1?18に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2012年2月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年2月2日 (DE)ドイツ連邦共和国、2011年2月2日 (DE)ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成29年8月4日にその特許権の設定登録がされ、同年8月23日に特許掲載公報が発行され、その後、その請求項1?18に係る特許に対して、平成30年2月22日に特許異議申立人山田宏基(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年5月15日付けで取消理由(以下「第1回取消理由」という。)が通知され、その指定期間内である同年7月19日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して同年9月10日に異議申立人から意見書が提出され、更に同年10月24日付けで取消理由(以下「第2回取消理由」という。)が通知され、その指定期間内である同年12月13日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。
なお、当審は、平成31年1月16日付けで、特許権者により訂正の請求があった旨を異議申立人に通知したが、指定期間内に異議申立人から意見書の提出はなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成30年12月13日の訂正の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
なお、平成30年7月19日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「このスピンドル装置は、少なくとも1のブレーキシュー(6a,b)上の作動具(5)に係合する」とあるのを、
「このスピンドル装置は、少なくとも1のブレーキシュー(6a,b)に結合したレバーアームに連結する柔軟な作動具(5)に係合し、前記ドラムブレーキモジュール(1)は液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備える」に訂正する。(下線は、特許権者が付与。以下同様。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に、「ギアハウジング(8)が、スピンドル装置(9)を収容する接続片(23)を備える」とあるのを、
「ギアハウジング(8)が、スピンドル装置(9)を収容し、アンカープレート(2)と接続する接続片(23)を備える」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9に、「レバー(40)」とあるのを、
「作動具(5)に連結するレバーアーム(40)」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10に、「レバー(40)」とあるのを、
「レバーアーム(40)」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11に、「レバー(40)」とあるのを、
「レバーアーム(40)」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項12に、「レバー(40)」とあるのを、
「レバーアーム(40)」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項13に、「レバー(40)」とあるのを、
「レバーアーム(40)」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項18に、「アクチュエータ(3)をそのオリジナル位置に戻すため、このアクチュエータは、少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ」とあるのを、
「アクチュエータ(3)をそのオリジナル位置に戻すため、このアクチュエータのスピンドル装置(9)は、少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ」に訂正する。

本件訂正は、一群の請求項〔1-18〕に対してされたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1において、作動具について、「少なくとも1のブレーキシュー(6a,b)上の作動具(5)」であることを特定していたところ、
訂正後の請求項1において、作動具について、「少なくとも1のブレーキシュー(6a,b)に結合したレバーアームに連結する柔軟な作動具(5)」であることを限定するとともに、「ドラムブレーキモジュール(1)」について、「液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備える」との事項を追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)の段落【0038】の「レバーギアは少なくとも1の所定の弾性的なレバーアーム40を備え、このレバーアームは一方において作動具5に、他方においてブレーキシュー6a,bに関節結合され、レバーアーム40は予め規定(pre-defined)されたばね特性曲線を有する。」、及び段落【0024】の「作動具5の柔軟性により」との記載に、このスピンドル装置が、「少なくとも1のブレーキシュー(6a,b)に結合したレバーアームに連結する柔軟な作動具(5)に係合し」ていることが開示されており、また、段落【0040】の「ドラムブレーキモジュール1が液圧操作(hydraulic actuation)と共に自動車ブレーキシステムに組み込まれた場合、電気機械的アクチュエータは単独で電気機械的駐車ブレーキの機能だけを発揮し、サービスブレーキ機能は原則的に液圧方式で行われ」との記載に、「ドラムブレーキモジュール(1)」について、「液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備える」ことが開示されているから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項4において、「接続片(23)」が「スピンドル装置(9)を収容する」ことを特定していたところ、
訂正後の請求項4において、「接続片(23)」が「スピンドル装置(9)を収容」しさらに、「アンカープレート(2)と接続する」ことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、本件特許明細書等の段落【0036】の「ギアハウジング8の接続片23とアンカープレート2との間を取外し可能に取付固定する」との記載記載からみて、「接続片(23)」が、「アンカープレート(2)と接続する」ことは明らかな事項であるから、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である。

(3)訂正事項3?7について
訂正事項3は、訂正前の請求項9において、「レバー(40)」とあったのを「レバーアーム(40)」とすることにより、本件特許明細書等の段落【0038】等の「レバーアーム(40)」との記載に整合させるものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするとともに、訂正後の請求項9において、「レバーアーム(40)」が「作動具(5)に連結する」ことを特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項4?7は、訂正前の請求項10?13において、「レバー(40)」とあったのを、訂正後の請求項10?13において、「レバーアーム(40)」とすることにより、本件特許明細書等の段落【0038】等の「レバーアーム(40)」との記載に整合させるものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

また、「レバーアーム(40)」は、上述のとおり本件特許明細書等の段落【0038】等に記載されており、「レバーアーム(40)」が「作動具(5)に連結する」ことは、本件特許明細書等の段落【0038】の「レバーギアは少なくとも1の所定の弾性的なレバーアーム40を備え、このレバーアームは一方において作動具5に、他方においてブレーキシュー6a,bに関節結合され」との記載から導き出せるので、訂正事項3?7は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である。

(4)訂正事項8について
訂正事項8は、「少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ」るものが、訂正前の請求項18においては、「アクチュエータ(3)」であることを特定していたところ、訂正後の請求項18においては、「アクチュエータ(3)」の「スピンドル装置(9)」であることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、本件特許明細書等の段落【0045】の「アクチュエータ3は、ブレーキ作用を実行するために、ブレーキ作動方向に操作される。この結果、スピンドル装置が図1-4で、又は、図6に示すように、レバー50が、1又は複数のばね部材61の弾性的な予め形成された付勢力に抗して、作動具5に必要な引張力Fsが形成されるように、軸方向に移動される。」、及び同段落【0047】の「駐車ブレーキ作用を解除するため、アクチュエータ3が解放方向に逆に作用される。各解放作用は、弾性戻し変形-少なくとも1の予応力を付与されたばね部材61-で支えられており、したがって、特に急速な態様で実行される。レバーアーム40の弾性戻し変形、又は、他の弾性部材が基本的には同じ態様で解除プロセスを支える。」との記載からみて、「少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ」るものが、「アクチュエータ(3)」の「スピンドル装置(9)」であることは、当業者にとって明らかな事項であるから、訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である。

(5)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?18〕について訂正を認める。

第3 本件発明
上述のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1?18に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明18」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?18に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
回転ドライブの回転運動をブレーキドラム内でアンカープレート(2)の内面(13)に配置されたブレーキシュー(6a,b)の並進駆動運動(B)に変換する、ドライブナット(14)を備える回転並進コンバータを作動するため、アンカープレート(2)の外面(12)に取付け固定された電気機械的アクチュエータ(3)を備え、前記内面はアクチュエータ(3)から離隔配置されており、前記ブレーキシューがブレーキドラムの方向に作動運動を行うことが可能な、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)であって、
前記回転並進コンバータの前記ドライブナット(14)が、制動力を支えるため、前記アンカープレート(2)の外面(12)上で軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されており、前記ドライブナット(14)は、ギアハウジング(8)内で回転可能に取付けられた態様でかつ軸方向に移動可能な態様で装着されたスピンドル装置(9)を駆動し、このスピンドル装置は、少なくとも1のブレーキシュー(6a,b)に結合したレバーアームに連結する柔軟な作動具(5)に係合し、前記ドラムブレーキモジュール(1)は液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備えることを特徴とする、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール。
【請求項2】
少なくとも1のベアリング(15)が、アンカープレート(2)とドライブナット(14)との間の力の流れ内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項3】
前記ベアリングは、溝付ボールベアリング又はアキシャルベアリングとして具体化されることを特徴とする、請求項2に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項4】
ギアハウジング(8)が、スピンドル装置(9)を収容し、アンカープレート(2)と接続する接続片(23)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項5】
前記接続片(23)は、アンカープレート(2)の貫通オリフィス(24)に対して中央となる態様で配置され、特に、前記接続片は少なくとも部分的に貫通オリフィス(24)を介して係合することを特徴とする、請求項4に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項6】
少なくとも1のシール装置が、アクチュエータ(3)内に外部媒体が侵入するのを防止するために、作動具(5)の領域に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項7】
前記シール装置は、所定位置に取付け配置された少なくとも1のベースボディ(27)と、所定位置に実質的に取付け配置された少なくとも1のシールリップとを備え、このシールリップは、ギアハウジング(8)と作動具(5)との間の間隙をシールすることを特徴とする、請求項6に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項8】
弾性部、転動型ベローズ又は折畳みベローズ(28)が、ベースボディ(27)とシールリップとの間に設けられ、この弾性部、転動型ベローズ又は折畳みベローズ(28)は、作動具(5)の駆動ストロークを弾性的な態様で補償することを特徴とする、請求項6又は7に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項9】
作動具(5)に連結するレバーアーム(40)が、所定の弾性のある態様で具体化されていることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項10】
弾性変形を変化させるために、レバーアーム(40)に1又は複数のストッパ(42)が配置されることを特徴とする、請求項9に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項11】
前記ストッパ(42)は、レバーアーム(40)上の別個の突起部として具体化されることを特徴とする、請求項10に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項12】
予応力部材(41)がレバーアーム(40)に配置されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項13】
レバーアーム(40)は、弾性的に予応力状態で設けられることを特徴とする、請求項10-12のいずれか1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項14】
アダプタ(10)が、アクチュエータ(3)とアンカープレート(2)との間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項15】
回転並進コンバータの駐車ブレーキロック装置及び/又は無電流セルフロック装置が、アクチュエータ(3)に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能な、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項16】
転動型ボディが、ドライブナット(14)とスピンドル装置(9)との間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項17】
ギアハウジング(8)又はモータ(7)は、雄コネクタ又は雌コネクタとして具体化される少なくとも1の電気インターフェース(60)を備え、このインターフェースは電子制御ユニット(63)及び/又は電気スイッチに対する電気接続部を形成するために用いられる、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項18】
アクチュエータ(3)をそのオリジナル位置に戻すため、このアクチュエータのスピンドル装置(9)は、少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ、又は、直列に接続された複数のばね部材により予応力を与えられることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。」

第4 取消理由の概要
1 第1回取消理由について
訂正前の請求項1?18に係る特許に対して、当審が平成30年5月15日付けで特許権者に通知した第1回取消理由の要旨は、次のとおりである。
<引用刊行物>
甲第1号証:特開2003-28215号公報
甲第2号証:米国特許出願公開第2009/0260929号明細書
甲第3号証:独国特許出願公開第102007002907号明細書
甲第4号証:特開2000-264186号公報
甲第5号証:特表2000-507333号公報
甲第6号証:特開2006-336868号公報
甲第7号証:国際公開第92/21542号

(1)取消理由1(新規性)
本件特許の請求項1?8、14、15、17及び18に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

請求項1?4、6?8、14、15及び18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1?4、6?8、14、15及び18に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
請求項1?8、14、15、17及び18に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるから、請求項1?8、14、15、17及び18に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。

(2)取消理由2(進歩性)
本件特許の請求項1、14、16及び17に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1?7号証に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

請求項14及び17に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項14及び17に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
請求項16に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
請求項1に係る発明は、甲第3号証に記載された発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)取消理由3(サポート要件)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項18について
「このアクチュエータは、少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ、又は、直列に接続された複数のばね部材により予応力を与えられること」の、アクチュエータが予応力を与えられることについては、本件特許明細書の発明の詳細な説明に明確に記載されていない。

(4)取消理由4(明確性)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
ア 請求項4について
「接続片」が何と接続されるものであるか記載されておらず、当該接続片の技術的意味が明確でない。

イ 請求項9?13について
「レバー」が果たす役割は不明であり、また、当該レバーが、何と係合するものであるかについて記載されておらず、当該レバーの技術的意味が明確でない。

(5)取消理由5(実施可能要件)
本件特許は、明細書及び図面が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
本件特許明細書の発明の詳細な説明は、請求項9?13及び18に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確に記載されているとはいえない。
請求項9?13の「レバーアーム40」、及び請求項18の「ばね部材(40)」が、どのような構造で、どのように設けられ、どのような作用を奏するのか、明確でない

2 第2回取消理由について
平成30年7月19日の訂正請求による訂正後の請求項1?18に係る特許に対して、当審が平成30年10月24日付けで特許権者に通知した第2回取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由1(サポート要件)
本件特許は、特許請求の範囲の請求項1、及び請求項1を引用する請求項2?18の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に「電気機械的駆動装置及び液圧/機械的駆動装置は互いに平行に配置される」と記載されているが、【図1】?【図6】には、「電気機械的駆動装置」(電気機械的アクチュエータ(3))と、「液圧/機械的駆動装置」(液圧方式で行われるサービスブレーキ)とが、互いに平行になっているものは示されていない。

(2)取消理由2(明確性)
本件特許は、特許請求の範囲の請求項1、及び請求項1を引用する請求項2?18の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1の「電気機械的駆動装置」及び「液圧/機械的駆動装置」は、何を示しているのか明確でない。

第5 当審の判断
1 第1回取消理由について
(1)取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について
ア 本件発明1について
(ア)甲第1号証を主引例として
甲第1号証の図3において、出力軸21のうちウォーム部21dより左側に位置する部分の全てを、以下「出力軸21の先端側部分」という。
甲第1号証(特に段落【0001】、【0003】、【0004】、【0019】?【0028】、【0040】?【0044】、【0057】及び【図1】?【図3】を参照。)には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「回転ドライブの回転運動をドラム2内でバックプレート3のドラム側の面3aに配置されたブレーキシュー4、5の並進駆動運動に変換する、第2減速ギヤ27を備える出力部23を作動するため、バックプレート3の反ドラム側の面3bに取付け固定されたブレーキアクチュエータ20を備え、
前記ドラム側の面3aはブレーキアクチュエータ20から離隔配置されており、
前記ブレーキシュー4、5がドラム2の方向に作動運動を行うことが可能な、
駆動モータ22で作動可能である、ドラム型の車両用電動ブレーキ装置1であって、
前記出力部23の前記第2減速ギヤ27が、前記バックプレート3の反ドラム側の面3b上で軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されており、
前記第2減速ギヤ27は、ハウジング24内で回転可能に取付けられた態様でかつ軸方向に移動可能な態様で装着されたウォーム部21dを駆動し、
このウォーム部21dは、ブレーキシュー4に結合した作動レバー11に連結する、ガイド部16に係合し、
駆動モータ22で作動可能である、ドラム型の車両用電動ブレーキ装置。」

本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「ドラム2」は、本件発明1の「ブレーキドラム」に相当する。
以下同様に、「バックプレート3」は、「アンカープレート(2)」に、
「ドラム側の面3a」は、「内面(13)」に、
「反ドラム側の面3b」は、「外面(12)」に、
「ブレーキシュー4、5」は、「ブレーキシュー(6a,b)」に、
「第2減速ギヤ27」は、「ドライブナット(14)」に、
「出力部23」は、「回転並進コンバータ」に、
「ブレーキアクチュエータ20」は、「電気機械的アクチュエータ(3)」に、
「駆動モータ22」は、「電気モータ」に、
「ドラム型の車両用電動ブレーキ装置1」は、「自動車用ドラムブレーキモジュール(1)」に、
「ハウジング24」は、「ギアハウジング(8)」に、
「ウォーム部21d」は、「スピンドル装置(9)」に、
「ガイド部16」は、「作動具(5)」に、
「ブレーキシュー4に結合した作動レバー11」は、「少なくとも1つのブレーキシュー(6a,b)に結合したレバーアーム」に、それぞれ相当する。

甲1発明では、「出力部23の前記第2減速ギヤ27が、前記バックプレート3の反ドラム側の面3b上で軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されて」いるから、これによって、「制動力を支える」役割を果たしているといえる。

以上のことから、本件発明1と甲1発明とは次の点で一致する。
「回転ドライブの回転運動をブレーキドラム内でアンカープレートの内面に配置されたブレーキシューの並進駆動運動に変換する、ドライブナットを備える回転並進コンバータを作動するため、アンカープレートの外面に取付け固定された電気機械的アクチュエータを備え、前記内面はアクチュエータから離隔配置されており、前記ブレーキシューがブレーキドラムの方向に作動運動を行うことが可能な、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュールであって、
前記回転並進コンバータの前記ドライブナットが、制動力を支えるため、前記アンカープレートの外面上で軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されており、前記ドライブナットは、ギアハウジング内で回転可能に取付けられた態様でかつ軸方向に移動可能な態様で装着されたスピンドル装置を駆動し、このスピンドル装置は、少なくとも1のブレーキシューに結合したレバーアームに連結する作動具に係合し、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点1A]
作動具について、本件発明1においては、「柔軟な作動具(5)」であるのに対して、
甲1発明においては、ガイド部16は、柔軟ではない点。

[相違点1B]
本件発明1においては、「前記ドラムブレーキモジュール(1)は液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備える」との構成を備えているのに対して、
甲1発明においては、かかる構成を備えていない点。

a 特許法第29条第1項第3号(新規性)について
上記相違点1Aは、作動具が柔軟であるかどうかに関して異なるから、実質的な相違点である。
また、上記相違点1Bは、液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備えるかどうかに関して異なるから、実質的な相違点である。
そして、上記相違点1A及び相違点1Bに係る本件発明1の構成については、甲第1号証に記載ないし記載されているに等しいとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明)ということはできない。

b 特許法第29条第2項(進歩性)について
事案に鑑みて、相違点1Bについて先に検討する。
本件特許明細書等の「ドラムブレーキモジュール1が液圧操作(hydraulic actuation)と共に自動車ブレーキシステムに組み込まれた場合、電気機械的アクチュエータは単独で電気機械的駐車ブレーキの機能だけを発揮し、サービスブレーキ機能は原則的に液圧方式で行われ、いずれの場合も、更に、ピストンを有する少なくとも1のホイールブレーキシリンダが設けられ、更に、支持装置11と組み合わされるのが好ましい自動調整装置が設けられる。」(段落【0040】)との記載からみて、本件発明1における「液圧方式で行われるサービスブレーキ」は、車両走行時に用いられる液圧式のブレーキであることは、当業者であれば明らかな事項である。
甲第1号証には「[通常ブレーキモード]このモードは、車両走行時及び車両停車時に実行されるモードである。」(段落【0040】)、「そして、コントローラ40は、ブレーキ操作量が増加すると駆動モータ22を回転させ、ピニオン25、ギヤ26,27を介して出力軸部27aを矢印A方向に回転させて、出力軸21を没入させる。すると、作動レバー11によって各ブレーキシュー4,5がスプリング7,8の付勢力に抗して拡張され、各ブレーキシュー4,5がドラム2の内周面2aに対して圧接する。つまり、ブレーキ装置1の制動力が増加する。」(段落【0041】)、「一方、ブレーキ操作量が減少すると、コントローラ40は駆動モータ22を回転させ、出力軸部27aを矢印B方向に回転させて、出力軸21を突出させる。すると、作動レバー11によって各ブレーキシュー4,5がスプリング7,8の付勢力によって戻され、各ブレーキシュー4,5がドラム2の内周面2aに対して離間する方向に移動する。つまり、ブレーキ装置1の制動力が減少する。」(段落【0042】)、「[駐車ブレーキモード]このモードは、車両駐車時に実行されるモードである。」(段落【0044】)、及び「(7)規制ギヤ32や切替用モータ31とにより、ブレーキシュー4,5をドラム2の内周面2aに圧接した状態で維持することができる。つまり、駐車ブレーキを掛けることができるので、従来より用いられた周知のワイヤ方式の駐車ブレーキ機構を排除することができる。従って、ワイヤの取り回す煩雑な作業を省略することができる。」(段落【0057】)と記載されており、これらの記載によれば、甲1発明は、車両走行時と車両駐車時の双方において作動させるブレーキである。
そうすると、甲1発明は、車両走行時と車両駐車時の双方において作動させるブレーキであるから、さらに車両走行時に用いられる液圧式のブレーキ、すなわち「前記ドラムブレーキモジュール(1)は液圧方式で行われるサービスブレーキ機能」との構成を備えることについては、必要性がないから、動機付けがあるとはいえない。
また、甲1発明のような車両走行時と車両駐車時の双方において作動させるブレーキを備えるものにおいて、更に「前記ドラムブレーキモジュール(1)は液圧方式で行われるサービスブレーキ機能」との構成を備えることが、甲第2?7号証に示唆されているものではなく、周知の事項であると認める証拠があるものでもない。
したがって、上記相違点1Bに係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、相違点1Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲第2?7号証に記載された発明並びに周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

c 小括
以上のことから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明)ということはできないし、また、甲1発明、甲第2?7号証に記載された発明並びに周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたともいえない。

(イ)甲第2号証を主引例として
甲第2号証のFig.2において、バッキングプレート20の上側面を、以下「内面」といい、バッキングプレート20の下側面を、以下「外面」という。
甲第2号証(特に段落[0001]、[0028]?[0031]、[0038]?[0041]、[0045]、[0046]、[0062]、及びFig.1?3を参照。)には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「回転ドライブの回転運動をドラムインハットブレーキローターブレーキのドラム部分内でバッキングプレート20の内面に配置されたブレーキシュー22、24の並進駆動運動に変換する、プルロッド88及びスピンドルナット86を作動するため、バッキングプレート20の外面に固定されたアダプタ16に取付けられる電動アクチュエータユニット14を備え、
前記内面は電動アクチュエータユニット14から離隔配置されており、
前記ブレーキシューがドラムの方向に作動運動を行うことが可能な、
電動機80で作動可能である、車両用ドラムインハットディスクブレーキアセンブリ12であって、
前記スピンドルナット86が、前記バッキングプレート20の外面上で軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されており、
前記スピンドルナット86は、電動アクチュエータユニット14の筐体内で回転可能に取付けられた態様でかつ軸方向に移動可能な態様で装着されたプルロッド88を駆動し、
このプルロッド88は、ブレーキシュー22、24に結合した第1の部材42及び第2の部材44に連結する、第3の部材46に係合し、
電動機80で作動可能である、車両用ドラムインハットディスクブレーキアセンブリ12。」

本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「ドラムインハットブレーキローターブレーキのドラム部分」は、本件発明1の「ブレーキドラム」に相当する。
以下同様に、「バッキングプレート20」は、「アンカープレート(2)」に、
「内面」は、「内面(13)」に、
「外面」は、「外面(12)」に、
「ブレーキシュー22、24」は、「ブレーキシュー(6a,b)」に、
「スピンドルナット86」は、「ドライブナット(14)」に、
「プルロッド88及びスピンドルナット86」は、「回転並進コンバータ」に、
「電動アクチュエータユニット14」は、「電気機械的アクチュエータ(3)」に、
「電動機80」は、「電気モータ」に、
「車両用ドラムインハットディスクブレーキアセンブリ12」は、「自動車用ドラムブレーキモジュール(1)」に、
「電動アクチュエータユニット14の筐体」は、「ギアハウジング(8)」に、
「プルロッド88」は、「スピンドル装置(9)」に、
「第3の部材46」は、「作動具(5)」に、
「第1の部材42及び第2の部材44」は、「レバーアーム」に、それぞれ相当する。

本件発明1においては、「アンカープレート(2)の外面(12)に取付け固定された電気機械的アクチュエータ(3)を備え」ており、当該電気機械的アクチュエータ(3)は、アダプタ10を用いて取付けられている(特に、本件特許明細書等の【請求項14】及び【図2a】を参照。)。
一方、甲2発明においては、電動アクチュエータユニット14は、アダプタ16を用いて取付けられている。
そうすると、甲2発明の「バッキングプレート20の外面に固定されたアダプタ16に取付けられる電動アクチュエータユニット14」は、本件発明1の「アンカープレート(2)の外面(12)に取付け固定された電気機械的アクチュエータ(3)」に相当する。

甲2発明では、「スピンドルナット86が、前記バッキングプレート20の外面上で軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されて」いるから、これによって、「制動力を支える」役割を果たしているといえる。

以上のことから、本件発明1と甲2発明とは次の点で一致する。
「回転ドライブの回転運動をブレーキドラム内でアンカープレートの内面に配置されたブレーキシューの並進駆動運動に変換する、ドライブナットを備える回転並進コンバータを作動するため、アンカープレートの外面に取付け固定された電気機械的アクチュエータを備え、前記内面はアクチュエータから離隔配置されており、前記ブレーキシューがブレーキドラムの方向に作動運動を行うことが可能な、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュールであって、
前記回転並進コンバータの前記ドライブナットが、制動力を支えるため、前記アンカープレートの外面上で軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されており、前記ドライブナットは、ギアハウジング内で回転可能に取付けられた態様でかつ軸方向に移動可能な態様で装着されたスピンドル装置を駆動し、このスピンドル装置は、少なくとも1のブレーキシューに結合したレバーアームに連結する作動具に係合し、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点2A]
作動具について、本件発明1においては、「柔軟な作動具(5)」であるのに対して、
甲2発明においては、第3の部材46は、柔軟ではない点。

[相違点2B]
本件発明1においては、「前記ドラムブレーキモジュール(1)は液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備える」との構成を備えているのに対して、
甲2発明においては、かかる構成を備えているか否か明らかでない点。

a 特許法第29条第1項第3号(新規性)について
上記相違点2Aは、作動具が柔軟であるかどうかに関して異なるから、実質的な相違点である。
また、上記相違点2Bは、液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備えるかどうかに関して異なるから、実質的な相違点である。
そして、上記相違点2A及び相違点2Bに係る本件発明1の構成については、甲第1号証に記載ないし記載されているに等しいとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明(甲2発明)ということはできない。

b 特許法第29条第2項(進歩性)について
相違点2Aについて検討する。
甲第2号証のFig.2及び3を参照すると、ブレーキシュー作動リンクアセンブリ26は、第1の部材42、第2の部材44及び第3の部材46から構成されており、第3の部材46は、プルロッド88のクレビス式端部材98と連結される穴66Aと、第2部材44の穴60Aと連結される穴64Aを有する板状の部材であること、並びに電動アクチュエータユニット14の作動によってプルロッド88がスピンドルナット86の方向に引かれると、第3の部材46が引っ張られ、これにより第2の部材44がブレーキシュー22を外側へ広げ、更に第1の部材42がブレーキシュー24を外側に広げることがわかる。
そして、甲第2号証には、「As can be seen in this embodiment,the third member 46 at the connection between the yoke 98 of the pull rod 88 of the second member'44 of the park brake shoes actuation link assembly 26 allows or enables the pull rod 88 to actuated in and out (i.e.,pulled generally perpendicular/straight to the shoes as indicated by arrow 100) and the link assembly 26 to move generally back and forth with the wrap of the shoes while reducing or preventing the torque load from the“brake shoe wrap”from being transmitted into the pull rod 88. 」{本実施の形態に示すように、駐車ブレーキシュー作動リンクアセンブリ26の第2の部材’44のプルロッド88のヨーク98の間の連結部である第3の部材46によって、プルロッド88を出し入れすることができる(すなわち、矢印100に示されるように、プルロッド88を、通常、シューに対して垂直/真っ直ぐに引くことができる。)。また、第3の部材46によって、“ブレーキシューラップ”によるトルク荷重を低減しながら、または“ブレーキシューラップ”によるトルク荷重がプルロッド88に伝わるのを防ぎながら、リンクアセンブリ26をシューをラップしつつ、左右に動かすことができる。}([0046]。訳は、異議申立人作成の「甲第2号証の抄訳文」による。)と記載されており、当該記載によれば、第3の部材46は、プルロッド88をシューに対して垂直/真っ直ぐに引くため、及びブレーキシューラップとの関係で、主要な役割を果たすものである。
ここで、甲第2号証のFig.2を参照すると、スピンドルナット86の回転によりプルロッド88が軸方向に移動するためには、スピンドルナット86の回転とともにプルロッド88が軸線回りに回転しないように、いわゆる共回りを防止する必要があるところ、プルロッド88自体が共回りを防止するための構成を有しているとは認められず、プルロッド88が板状の第3の部材46を介して第2の部材44に接続されていることから、プルロッド88の共回りを防止していると解され、甲2発明の第3の部材46を単純に柔軟なものにすると、プルロッド88の共回りを防止することができなくなる。
また、甲第3号証(特に[0030]を参照。)には、引張ケーブルの引張運動により駐車ブレーキを作動させることが開示され、甲第4号証(特に段落【0027】及び【図2】を参照。)には、ケーブル240の引張力によりレバー230を回動させてブレーキシュー210aを拡張させることが開示され、また、甲第7号証(特に5ページ1?15行、及びFIG.1を参照。)には、ケーブル50によりブレーキリンク40を回動させることが開示されている。
しかし、上記各号証に記載のケーブルは、ケーブルの軸回りの回転を防止できるものではなく、いずれも単純に引っ張るだけのものにすぎないから、たとえ甲2発明の第3の部材46を、これらのケーブルに置換したとしても、プルロッド88の共回りを防止できるものではなく、プルロッド88をシューに対して垂直/真っ直ぐに引くことができるものでもない。
また、ブレーキシュー作動リンクアセンブリ26は、第1の部材42、第2の部材44及び第3の部材46から構成され、これら三つの部材により「リンク」をなしているから、仮に第3の部材46を板状の部材から柔軟な部材に変更すると、「リンク」としての作用を奏さなくなるから、動機付けがあるとはいえない。
更に、甲2発明において、第3の部材を柔軟なものとすることが、甲第1及び3?7号証に示唆されているものではなく、周知の事項であると認める証拠があるものでもない。
以上のことから、上記相違点2Aに係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

次に、相違点2Bについて検討する。
甲2発明は、ドラムインハットディスクブレーキに関する発明で、そのドラム部分は駐車ブレーキとして用いられるものであって、液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備えるものではない。
また、甲2発明のようなドラムインハットディスクブレーキにおいて、更にドラム部に「液圧方式で行われるサービスブレーキ機能」を備えることが、甲第1及び3?7号証に示唆されているものではなく、周知の事項であると認める証拠があるものでもない。
したがって、上記相違点2Bに係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

よって本件発明1は、甲2発明、甲第1及び3?7号証に記載された発明並びに周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

c 小括
以上のことから、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明(甲2発明)ということはできないし、また、甲2発明、甲第1及び3?7号証に記載された発明並びに周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたともいえない。

(ウ)甲第3号証を主引例として
甲第3号証のFig.5において、駆動軸80の中心軸を基準として、駐車ブレーキユニット74の半径方向外側にある部材であって、エキスパンディングロック76とベローズ52との間にある部材が「ブレーキシュー」であり、また、駆動軸80の中心軸を中心とした環状の部材であって、ベローズ52と第1ハウジング部材14(同号証のFig.4を参照。)との間にある部材が「アンカープレート」であることは、当業者であれば明らかな事項である。
ここで、同Fig.5において、アンカープレートの車輪ハブ86側の面を、以下「内面」といい、また、アンカープレートの駆動軸80側の面を、以下「外面」という。

甲第3号証の駐車ブレーキユニットは、ドラムブレーキとして設計されたものであるから(甲第3号証の段落[0013]及び[0022]を参照。)、ブレーキドラムを備えていることは明らかである。
甲第3号証のFig.5を参照すると、アクチュエータ装置10は、アンカープレートよりも車体内側において、アンカープレート以外のものに設置板72により取付けられていることがわかる。

甲第3号証(特に[0001]、[0005]、[0008]、[0013]、[0020]?[0032]、並びにFig.1、4及び5を参照。)には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「回転ドライブの回転運動をブレーキドラム内でアンカープレートの内面に配置されたブレーキシューの並進駆動運動に変換する、ギアスピンドル26を備えるギアスピンドル26及びギアナット40からなる部材を作動するため、アンカープレートよりも車体内側において、アンカープレート以外のものに設置板72により取付け固定されたアクチュエータ装置10を備え、
前記内面はアクチュエータ装置10から離隔配置されており、
前記ブレーキシューがドラムの方向に作動運動を行うことが可能な、
電気モータで作動可能である、駐車ブレーキユニット74を操作するためのアクチュエータ装置10であって、
前記ギアスピンドル26が、前記アンカープレートよりも車体内側において軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されており、
前記ギアスピンドル26は、ハウジング部材14内で回転可能に取り付けられた態様でかつ軸方向に移動可能な態様で装着されたギアナット40を駆動し、
このギアナット40は、ブレーキシューに結合したエキスパンディングロック76に連結するフレキシブルな引張ケーブル46を有する伝達アセンブリ44に係合する、
電気モータで作動可能である、駐車ブレーキユニット74を操作するためのアクチュエータ装置10。」

本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明の「ブレーキドラム」は、本件発明1の「ブレーキドラム」に相当する。
以下同様に、「アンカープレート」は、「アンカープレート(2)」に、
「内面」は、「内面(13)」に、
「外面」は、「外面(12)」に、
「ブレーキシュー」は、「ブレーキシュー(6a,b)」に、
「ギアスピンドル26及びギアナット40からなる部材」は、「回転並進コンバータ」に、
「アクチュエータ装置10」は、「電気機械的アクチュエータ(3)」に、
「電気モータ」は、「電気モータ」に、
「駐車ブレーキユニット74」及び「アクチュエータ装置10」は、「自動車用ドラムブレーキモジュール(1)」に、
「ハウジング部材14」は、「ギアハウジング(8)」に、
「フレキシブルな引張ケーブル46を有する伝達アセンブリ44」は、「柔軟な作動具(5)」に、それぞれ相当する。

甲3発明では、「ギアスピンドル26が、前記アンカープレートよりも車体内側において軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されて」いるから、これによって、「制動力を支える」役割を果たしているといえる。

甲3発明の「ギアスピンドル26」及び本件発明1の「ドライブナット(14)」は、いずれも電気モータにより回転するものであるから、甲3発明の「ギアスピンドル26」と、本件発明1の「ドライブナット(14)」とは、「第1の回転部材」という限りにおいて共通する。
また、甲3発明の「ギアナット40」及び本件発明1の「スピンドル装置(9)」は、いずれも前記第1の回転部材の回転により直動するものであるから、甲3発明の「ギアナット40」と、本件発明1の「スピンドル装置(9)」とは、「第2の直動部材」という限りにおいて共通する。

甲3発明の「エキスパンディングロック76」と、本件発明1の「レバーアーム」とは、「ブレーキシューを作動させる部材」という限りにおいて共通する。

以上のことから、本件発明1と甲3発明とは次の点で一致する。
「回転ドライブの回転運動をブレーキドラム内でアンカープレートの内面に配置されたブレーキシューの並進駆動運動に変換する、第1の回転部材を備える回転並進コンバータを作動するため、固定された電気機械的アクチュエータを備え、前記内面はアクチュエータから離隔配置されており、前記ブレーキシューがブレーキドラムの方向に作動運動を行うことが可能な、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュールであって、
前記回転並進コンバータの前記第1の回転部材が、制動力を支えるため、軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されており、前記第1の回転部材は、ギアハウジング内で回転可能に取付けられた態様でかつ軸方向に移動可能な態様で装着された第2の直動部材を駆動し、この第2の直動部材は、少なくとも1のブレーキシューに結合したブレーキシューを作動させる部材に連結する柔軟な作動具に係合し、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール。」

一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点3A]
電気機械式アクチュエータに関して、本件発明1においては、電気機械式アクチュエータは、「アンカープレート(2)の外面(12)に取付け固定」されているのに対して、
甲3発明においては、アクチュエータ装置10は、アンカープレートの外面ではなく、アンカープレートよりも車体内側において、アンカープレート以外のものに設置板72により取付け固定されている点。

[相違点3B]
本件発明1においては、「前記ドラムブレーキモジュール(1)は液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備える」との構成を備えているのに対して、
甲3発明においては、かかる構成を備えているか否か明らかでない点。

[相違点3C]
第1の回転部材に関して、本件発明1においては、「ドライブナット(14)」であり、「前記アンカープレート(2)の外面(12)上」で支持されているのに対して、
甲3発明においては、「ギアスピンドル26」であり、アンカープレートの外面上ではなく、アンカープレートよりも車体内側において支持されている点。
また、第2の直動部材に関して、本件発明1においては、「スピンドル装置(9)」であるのに対して、
甲3発明では「ギアナット40」である点。

[相違点3D]
ブレーキシューを作動させる部材に関して、本件発明1においては、「レバーアーム」であるのに対して、
甲3発明においては、「エキスパンディングロック76」である点。

相違点3Aについて検討する。
甲第3号証のFig.4及び5を参照すると、アクチュエータ装置10は、第2ハウジング部材16と第2ハウジング部材16よりも細い径の第1ハウジング部材14との間の設置板72、及び第1ハウジング部材14に接続されたベローズ52を備えていること、ベローズ52はアンカープレートを貫通していることがわかる。
また、甲第3号証には、「Ferner erkennt man eine an dem Gehaeuseteil 14 schraeg angeordnete Anlageplatte 72,mit der eine Montage in einer bestimmten Sollstellung erreicht wird.」{さらに、ハウジング部材14に斜めに配置された設置板72が見て取れ、この設置板を用いて特定の目標位置への組み付けが行われる。}([0028]。ウムラウトは「e」を付けて代用した。以下同様。)(訳は、異議申立人作成の「甲第3号証の抄訳文」による。以下同様。)、及び「Die schraege Anbringung der Aktuatoreinrichtung 10 fuehrt dazu,dass saemtliche weiteren fahrzeugrandnahen Komponenten,wie eine Antriebswelle 80 sowie Aufhaengungskomponenten 82 und 84 ohne jegliche Umkonstruktion angeordnet werden koennen」([0029]。){アクチュエータ装置10の斜めの取付けによって、駆動軸80およびサスペンションコンポーネント82、84など、車輪に近い他のコンポーネントを全部、なんらの設計変更し直しもなく配置することができる。}と記載されており、当該記載並びに上記Fig.4及び5の図示内容によれば、駆動軸80およびサスペンションコンポーネント82、84など、車輪に近い他のコンポーネントの配置をそのままにして、アクチュエータ装置10が設置板72により組み付けられているといえる。
甲3発明においては、駆動軸80及びサスペンションコンポーネント82、84等との位置関係から、アクチュエータ装置10の組み付けが決められているから、アクチュエータ装置10をアンカープレートの外面に取付け固定することが、単なる設計変更ということはできず、動機付けもない。
また、甲3発明のような駆動軸及びサスペンションコンポーネント等と干渉しないようにアンカープレート以外のものに設置板により取付けられているアクチュエータ装置を備えるものにおいて、このアクチュエータ装置をアンカープレートの外面に取付け固定することが、甲第1、2、4?7号証に示唆されているものではなく、周知の事項であると認める証拠があるものでもない。
したがって、上記相違点3Aに係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
よって、相違点3B?3Dについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明、甲第1、2及び4?7号証に記載された発明並びに周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(エ)小括
以上のことから、本件発明1は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第1?7号証に記載された発明並びに周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

イ 本件発明2?18について
本件発明2?18は、本件発明1を引用し、本件発明1をさらに限定したものであるから、本件発明1と同様に、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第1?7号証に記載された発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2)取消理由3(サポート要件)について
訂正前の請求項18の「このアクチュエータは、少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ、又は、直列に接続された複数のばね部材により予応力を与えられること」との記載は、本件訂正により、「このアクチュエータのスピンドル装置(9)は、少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ、又は、直列に接続された複数のばね部材により予応力を与えられること」と訂正された。
そして、当該事項は、前記「第2 2(4)」に記載したように、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内での訂正であり、アクチュエータ3が予応力を与えられることは、本件特許明細書等の段落【0045】の「アクチュエータ3は、ブレーキ作用を実行するために、ブレーキ作動方向に操作される。この結果、スピンドル装置が図1-4で、又は、図6に示すように、レバー50が、1又は複数のばね部材61の弾性的な予め形成された付勢力に抗して、作動具5に必要な引張力Fsが形成されるように、軸方向に移動される。」、及び同段落【0047】の「駐車ブレーキ作用を解除するため、アクチュエータ3が解放方向に逆に作用される。各解放作用は、弾性戻し変形-少なくとも1の予応力を付与されたばね部材61-で支えられており、したがって、特に急速な態様で実行される。レバーアーム40の弾性戻し変形、又は、他の弾性部材が基本的には同じ態様で解除プロセスを支える。」との記載からみて、本件特許明細書等の発明の詳細な説明に記載されているといえる。
よって、取消理由3は解消した。

(3)取消理由4(明確性)について
ア 本件発明4について
本件訂正により、訂正前の請求項4の「接続片23」との記載は、「アンカープレート(2)と接続する接続片(23)。」と訂正された。
これにより、接続片23がアンカープレート2と接続することが特定され、本件発明4は明確となった。

イ 本件発明9?13について
本件訂正により、訂正前の請求項9の「レバー(40)」との記載は、「作動具(5)に連結するレバーアーム(40)」と訂正され、また、訂正前の請求項10?13の「レバー(40)」との記載は、「レバーアーム(40)」と訂正された。
これにより、レバーアーム40が作動具5に連結することが特定され、本件発明9、及び請求項9の記載を直接または間接的に引用する本件発明10?13は明確となった。

ウ 小括
以上のことから、本件発明4、及び9?13は明確となったから、取消理由4は解消した。

(4)取消理由5(実施可能要件)について
ドラム式パーキングブレーキにおいては、一般に、レバーにより、ブレーキシューを作動させる機構、及びブレーキシューを閉じる方向に戻すバネが設けられていることは、当業者にとって技術常識である。
そして、本件特許明細書等の【図5b】及び【図6】を参酌すれば、レバーアーム40は2又状に形成され、一方は弾性機能を有し、これによりばね部材40として機能し、他方が一方の弾性変形を止めるストッパ機能を有していることがわかるから、駐車ブレーキを作動させる際に、まず弾性機能を有する部分を撓ませながらブレーキを作動させ、ストッパに当接した後は2又状が一体となってブレーキを作動させることは、当業者であれば明らかな事項である。
また、本件特許明細書等の【図5a】及び【図5b】の上の図、【図5b】の下の図、並びに【図5c】及び【図6】は、それぞれ異なる実施例に関する図であることがわかる。
以上のことから、本件発明9?13の「レバーアーム40」及び本件発明18の「ばね部材(40)」の構造について、並びに「レバーアーム40」及び「ばね部材(40)」が、どのように設けられ、どのような作用を奏するかについては、当業者であれば明らかな事項である。
よって、取消理由5は解消した。

2 第2回取消理由について
取消理由1及び2は、平成30年7月19日の訂正の請求に基づく請求項1、及び請求項1を引用する請求項2?18に対するものであったところ、本件訂正により、平成30年7月19日の訂正の請求は取り下げられたとみなされ、本件訂正後の請求項1には第2回取消理由で指摘した事項はなくなった。
これにより、本件発明1、及び本件発明1を引用する本件発明2?18は、発明の詳細な説明に記載された発明になるとともに、明確となったから、取消理由1及び2は解消した。

第6 むすび
以上のとおりであるから、第1回取消理由及び第2回取消理由の通知に記載した取消理由、並びに異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1?18に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ドライブの回転運動をブレーキドラム内でアンカープレート(2)の内面(13)に配置されたブレーキシュー(6a,b)の並進駆動運動(B)に変換する、ドライブナット(14)を備える回転並進コンバータを作動するため、アンカープレート(2)の外面(12)に取付け固定された電気機械的アクチュエータ(3)を備え、前記内面はアクチュエータ(3)から離隔配置されており、前記ブレーキシューがブレーキドラムの方向に作動運動を行うことが可能な、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)であって、
前記回転並進コンバータの前記ドライブナット(14)が、制動力を支えるため、前記アンカープレート(2)の外面(12)上で軸方向に固定されかつ回転可能な態様で支持されており、前記ドライブナット(14)は、ギアハウジング(8)内で回転可能に取付けられた態様でかつ軸方向に移動可能な態様で装着されたスピンドル装置(9)を駆動し、このスピンドル装置は、少なくとも1のブレーキシュー(6a,b)に結合したレバーアームに連結する柔軟な作動具(5)に係合し、前記ドラムブレーキモジュール(1)は液圧方式で行われるサービスブレーキ機能を備えることを特徴とする、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール。
【請求項2】
少なくとも1のベアリング(15)が、アンカープレート(2)とドライブナット(14)との間の力の流れ内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項3】
前記ベアリングは、溝付ボールベアリング又はアキシャルベアリングとして具体化されることを特徴とする、請求項2に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項4】
ギアハウジング(8)が、スピンドル装置(9)を収容し、アンカープレート(2)と接続する接続片(23)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項5】
前記接続片(23)は、アンカープレート(2)の貫通オリフィス(24)に対して中央となる態様で配置され、特に、前記接続片は少なくとも部分的に貫通オリフィス(24)を介して係合することを特徴とする、請求項4に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項6】
少なくとも1のシール装置が、アクチュエータ(3)内に外部媒体が侵入するのを防止するために、作動具(5)の領域に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項7】
前記シール装置は、所定位置に取付け配置された少なくとも1のベースボディ(27)と、所定位置に実質的に取付け配置された少なくとも1のシールリップとを備え、このシールリップは、ギアハウジング(8)と作動具(5)との間の間隙をシールすることを特徴とする、請求項6に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項8】
弾性部、転動型ベローズ又は折畳みベローズ(28)が、ベースボディ(27)とシールリップとの間に設けられ、この弾性部、転動型ベローズ又は折畳みベローズ(28)は、作動具(5)の駆動ストロークを弾性的な態様で補償することを特徴とする、請求項6又は7に記載の電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項9】
作動具(5)に連結するレバーアーム(40)が、所定の弾性のある態様で具体化されていることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項10】
弾性変形を変化させるために、レバーアーム(40)に1又は複数のストッパ(42)が配置されることを特徴とする、請求項9に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項11】
前記ストッパ(42)は、レバーアーム(40)上の別個の突起部として具体化されることを特徴とする、請求項10に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項12】
予応力部材(41)がレバーアーム(40)に配置されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項13】
レバーアーム(40)は、弾性的に予応力状態で設けられることを特徴とする、請求項10-12のいずれか1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項14】
アダプタ(10)が、アクチュエータ(3)とアンカープレート(2)との間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項15】
回転並進コンバータの駐車ブレーキロック装置及び/又は無電流セルフロック装置が、アクチュエータ(3)に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能な、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項16】
転動型ボディが、ドライブナット(14)とスピンドル装置(9)との間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項17】
ギアハウジング(8)又はモータ(7)は、雄コネクタ又は雌コネクタとして具体化される少なくとも1の電気インターフェース(60)を備え、このインターフェースは電子制御ユニット(63)及び/又は電気スイッチに対する電気接続部を形成するために用いられる、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
【請求項18】
アクチュエータ(3)をそのオリジナル位置に戻すため、このアクチュエータのスピンドル装置(9)は、少なくとも1の弾力的に予応力を付与されたばね部材(61,40)により常時弾性的な態様で解放方向に弾性的な態様で予応力を与えられ、又は、直列に接続された複数のばね部材により予応力を与えられることを特徴とする、請求項1に記載の、電気モータで作動可能である、自動車用ドラムブレーキモジュール(1)。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-03-19 
出願番号 特願2013-552210(P2013-552210)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (F16D)
P 1 651・ 536- YAA (F16D)
P 1 651・ 537- YAA (F16D)
P 1 651・ 121- YAA (F16D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 竹村 秀康  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 小関 峰夫
内田 博之
登録日 2017-08-04 
登録番号 特許第6184873号(P6184873)
権利者 コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー
発明の名称 電気モータで作動可能なドラムブレーキモジュール  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 峰 隆司  
代理人 飯野 茂  
代理人 飯野 茂  
代理人 森川 元嗣  
代理人 峰 隆司  
代理人 森川 元嗣  
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