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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G04B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G04B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G04B
管理番号 1351417
異議申立番号 異議2018-700654  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-06 
確定日 2019-04-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6275299号発明「調整可能な補助的な温度補償システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6275299号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-15〕について訂正することを認める。 特許第6275299号の請求項3、5-15に係る特許を維持する。 特許第6275299号の請求項1、2、4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6275299号の請求項1?15に係る特許についての出願は、平成29年2月21日(パリ条約による優先権主張2016年3月7日、欧州特許庁)に出願され、平成30年1月19日にその特許権の設定登録がされ、平成30年2月7日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1?15に係る特許について、平成30年8月6日に特許異議申立人一條淳により特許異議の申立てがされ、当審は、平成30年10月24日に取消理由を通知した(発送日:同年同月31日)。特許権者は、その指定期間内である平成31年1月29日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求は、一群の請求項〔1?15〕に対して請求されたものであり、本件訂正請求による訂正の内容は、以下の訂正事項1?14のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。なお、訂正後の請求項6は請求項5を引用するものであって、請求項6の記載自体は訂正されていない。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記ハブ(11、31、51)にマウントされる
ことを特徴とする請求項1に記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と記載されているのを、
「少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記ハブ(11、31、51)にマウントされる
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記固定用デバイスは、前記ハブ(11、31、51)と前記リム(14、34、54)の間に調整可能な位置合わせ手段を有し、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)の影響を調整することが可能になり、
前記調整可能な位置合わせ手段は、前記ハブ(11、31、51)と前記バイメタル細長材デバイスの前記第1の端との間の半径方向の距離を変えるように構成している
ことを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と記載されているのを、
「少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記固定用デバイスは、前記ハブ(11、31、51)と前記リム(14、34、54)の間に調整可能な位置合わせ手段を有し、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)の影響を調整することが可能になり、
前記調整可能な位置合わせ手段は、前記ハブ(11、31、51)と前記バイメタル細長材デバイスの前記第1の端との間の半径方向の距離を変えるように構成している
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記少なくとも1つの第1の細長材は、ケイ素ベースの材料である
ことを特徴とする請求項1?6のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と記載されているのを、
「前記少なくとも1つの第1の細長材は、ケイ素ベースの材料である
ことを特徴とする請求項3、5、6のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と訂正する。
キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に、
「前記少なくとも1つの第2の細長材は、金属ベースの材料である
ことを特徴とする請求項1?7のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と記載されているのを、
「前記少なくとも1つの第2の細長材は、金属ベースの材料である
ことを特徴とする請求項3、5?7のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と訂正する。
ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9に、
「前記バイメタル細長材デバイスは、周囲温度と周囲圧力の条件の下で、曲がったバンドを形成する
ことを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と記載されているのを、
「前記バイメタル細長材デバイスは、周囲温度と周囲圧力の条件の下で、曲がったバンドを形成する
ことを特徴とする請求項3、5?8のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と訂正する。
ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に、
「前記ブロックは、前記少なくとも第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材の端のうちの1つと一体化された部品を形成しており、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)の影響を増加させる
ことを特徴とする請求項1?9のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と記載されているのを、
「前記ブロックは、前記少なくとも第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材の端のうちの1つと一体化された部品を形成しており、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)の影響を増加させる
ことを特徴とする請求項3、5?9のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と訂正する。
コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項11に、
「前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、さらに、前記バイメタル細長材デバイスの重さを補償するために釣り合いおもりを有する
ことを特徴とする請求項1?10のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と記載されているのを、
「少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、さらに、前記バイメタル細長材デバイスの重さを補償するために釣り合いおもりを有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と訂正する。
サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項12に、
「前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、複数の調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有する
ことを特徴とする請求項1?11のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と記載されているのを、
「前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、複数の調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有する
ことを特徴とする請求項3、5?11のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」と訂正する。
シ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項13に、
「前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの長手方向と交差する方向に延在しており、曲がっている
ことを特徴とする請求項1?12のいずれかに記載のバランス車。」と記載されているのを、
「少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの長手方向と交差する方向に延在しており、曲がっている
ことを特徴とするバランス車。」と訂正する。
ス 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項14に、
「前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの一方の側において2つの突き出ている部分を有する
ことを特徴とする請求項1?13のいずれかに記載のバランス車。」と記載されているのを、
「前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの一方の側において2つの突き出ている部分を有する
ことを特徴とする請求項3、5?13のいずれかに記載のバランス車。」と訂正する。
セ 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項15に、
「補償機能付きバランスばね(3)を有する共振器(1)であって、
前記補償機能付きバランスばね(3)は、請求項1?14のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)に接続されている
ことを特徴とする共振器(1)。」と記載されているのを、
「補償機能付きバランスばね(3)を有する共振器(1)であって、
前記補償機能付きバランスばね(3)は、請求項3、5?14のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)に接続されている
ことを特徴とする共振器(1)。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び一群の請求項
ア 訂正事項1、2、4について
訂正事項1、2、4は、特許請求の範囲の請求項1、2、4を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1、2、4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすものである。
さらに、訂正事項1、2、4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
イ 訂正事項3について
訂正事項3は、請求項3が、訂正前は請求項1の記載を引用していた記載を、その内容を変更することなく請求項1の記載を引用しない形へと書き替えるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
また、訂正事項3は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすものである。
さらに、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
ウ 訂正事項5、10、12について
訂正事項5は、請求項5が、訂正前は請求項1?4の記載を引用していたのを、請求項1のみを引用することとし、さらに、請求項1の記載を引用していた記載を、その内容を変更することなく請求項1の記載を引用しない形へと書き替えるものである。
また、訂正事項10は、請求項11が、訂正前は請求項1?10の記載を引用していたのを、請求項1のみを引用することとし、さらに、請求項1の記載を引用していた記載を、その内容を変更することなく請求項1の記載を引用しない形へと書き替えるものである。
同様に、訂正事項12は、請求項13が、訂正前は請求項1?12の記載を引用していたのを、請求項1のみを引用することとし、さらに、請求項1の記載を引用していた記載を、その内容を変更することなく請求項1の記載を引用しない形へと書き替えるものである。
よって、訂正事項5、10、12は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものでもある。
また、訂正事項5、10、12は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすものである。
さらに、訂正事項5、10、12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
エ 訂正事項6?9、11、13、14について
訂正事項6?9、11、13、14は、訂正事項1により特許請求の範囲の請求項1、2、4が削除されることに伴い、特許請求の範囲の請求項7?10、12、14、15のそれぞれが請求項1、2、4を引用しないように訂正するものである。
よって、訂正事項6?9、11、13、14は、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項6?9、11、13、14は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすものである。
さらに、訂正事項6?9、11、13、14は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。
オ 一群の請求項
訂正前の請求項1?15は、請求項2?15が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。よって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項、並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?15〕について訂正することを認める。

3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項3、5?15に係る発明(以下それぞれ「本件発明3」、「本件発明5」?「本件発明15」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項3、5?15に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
(1)本件発明3
「少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記ハブ(11、31、51)にマウントされる
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(2)本件発明5
「少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記固定用デバイスは、前記ハブ(11、31、51)と前記リム(14、34、54)の間に調整可能な位置合わせ手段を有し、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)の影響を調整することが可能になり、
前記調整可能な位置合わせ手段は、前記ハブ(11、31、51)と前記バイメタル細長材デバイスの前記第1の端との間の半径方向の距離を変えるように構成している
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(3)本件発明6
「前記調整可能な位置合わせ手段には、半径方向の空欠部があり、これによって、前記ハブ(11、31、51)と前記リム(14、34、54)の間の位置を選択することが可能になる
ことを特徴とする請求項5に記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(4)本件発明7
「前記少なくとも1つの第1の細長材は、ケイ素ベースの材料である
ことを特徴とする請求項3、5、6のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(5)本件発明8
「前記少なくとも1つの第2の細長材は、金属ベースの材料である
ことを特徴とする請求項3、5?7のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(6)本件発明9
「前記バイメタル細長材デバイスは、周囲温度と周囲圧力の条件の下で、曲がったバンドを形成する
ことを特徴とする請求項3、5?8のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(7)本件発明10
「前記ブロックは、前記少なくとも第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材の端のうちの1つと一体化された部品を形成しており、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)の影響を増加させる
ことを特徴とする請求項3、5?9のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(8)本件発明11
「少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、さらに、前記バイメタル細長材デバイスの重さを補償するために釣り合いおもりを有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(9)本件発明12
「前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、複数の調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有する
ことを特徴とする請求項3、5?11のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。」
(10)本件発明13
「少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの長手方向と交差する方向に延在しており、曲がっている
ことを特徴とするバランス車。」
(11)本件発明14
「前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの一方の側において2つの突き出ている部分を有する
ことを特徴とする請求項3、5?13のいずれかに記載のバランス車。」
(12)本件発明15
「補償機能付きバランスばね(3)を有する共振器(1)であって、
前記補償機能付きバランスばね(3)は、請求項3、5?14のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)に接続されている
ことを特徴とする共振器(1)。」

4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1、2、4、7?10、12、14、15に係る特許に対して、当審が平成30年10月24日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
ア 理由1(新規性)
請求項1、2、4、8?10、12、14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、2、4、8?10、12、14に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
イ 理由2(進歩性)
請求項1、2、4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2、4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
請求項7に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
請求項8?10、12、14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、もしくは甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項8?10、12、14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
請求項15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された周知技術に基いて、もしくは甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明並びに甲第3号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)甲号証の記載
ア 甲第1号証(米国特許第168583号明細書)
甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。原文の引用の後に日本語訳を記載する。日本語訳は特許異議申立人の抄訳文及び当審による。(下線は当審による。以下同様。)
(ア)「The object of this invention is to provide a practically reliable and efficient means of compensating the irregularities caused by the discrepancy between the two ratios just referred to, and thereby to secure a balance that will vibrate uniformly at all temperatures.
The invention consists in a balance constructed with adjustably-loaded auxiliary bows, attached near the extreme ends of the balance-arms, or to any part of the arc-shaped sections of the balance, the said bows being adjustable, and so arranged that their expansion or contraction, from changes in temperature, will throw their loaded extremities radially to or from, as the case may be, the axis of the balance to the extent required to make the moment of inertia in the balance correspond to the changed tension or elasticity of the spring, whereby the desired object is effectually secured.」(明細書第1頁左欄第24?43行)
(本発明の目的は、いま述べた2つの比の間の食い違いによって生じる不規則性を補償するための、実用的に信頼でき、かつ効果的な手段を提供すること、これにより、すべての温度において一様に振動するてんぷを確実に得ることにある。
本発明は、調整可能に荷重のかかった補助弓を用いて組み立てられたてんぷからなる。該補助弓は、該てんぷのアームの末端の近くに、又は、該てんぷの円弧状の部分の任意の箇所に、取り付けられている。該補助弓は調整可能である。該補助弓は、温度変化に起因して該補助弓が膨張又は収縮することにより、バネの変化した張力又は弾性に該てんぷの慣性モーメントが見合った大きさになる程度まで、該補助弓の荷重のかかった端部が、温度が上がるか下がるかに応じ、該てんぷの軸に径方向に近づくか、又は、該てんぷの軸から径方向に遠ざかるように、配置されている。これにより、所望の目的を、効率よく達成できる。)
(イ)「Figure 1 is a plan or face view, on an enlarged scale, of a watch-balance made according to my invention. Fig. 2 is an obverse view of the same. Fig. 3 is a transverse sectional view in the line x of Figs. 1 and 2.
A A are the balance-arms, upon the outer extremity of each of which is a curved section, B, each section being attached at one of its extremities to the outer end of one of the balance-arms A. Each section, moreover, is, as nearly as may be, arranged concentric with the axis or pivotal point a of the balance-arms, the two sections forming opposite circumferential portions of the balance, as a complete device, with intervals g between them. The sections are made in the manner usual for primary compensation, so termed? that is to say, of an outer layer of brass and an inner layer of steel, the two united in a manner well known in the art of watch manufacture.」(明細書第1頁左欄第44行?右欄第15行)
(図1は、拡大したスケールにおける、私の発明に則って作られたてんぷの平面図(正面図)である。図2は、同じものを反対側から見た図である。図3は、図1、2の線xにおける横断面図である。
AAは、てんぷのアームである。各々のてんぷのアームの外側の端部には、曲線状の部分Bがある。曲線状の部分Bの各々は、その一方の端部において、てんぷのアームの一つAの外側の末端に取り付けられている。各部分は、さらに、てんぷのアームの軸、言い換えると、回転中心aに関して、できるだけ同心円状に近い形に配置されている。これらの2つの部分が、てんぷの互いに反対側にある円周の一部を形成して、てんぷは完成した装置となる。これらの2つの部分の間には、間隔gが空いている。これらの部分は、所謂、第一次的な補償のため、通常行われる方法で作られる。すなわち、外側の層が真鍮で、内側の層が鋼鉄で作られ、これら2つの層が、時計製造の技術でよく知られた方法で結合される。)
(ウ)「Upon the outer end of each of the balance-arms, opposite the inner or fixed extremity of the adjacent section B, is a bow, C, each bow being attached to the end of the arm supporting it by a pivot, f, or other means, permitting the adjustment of the bow with its outer or free end at a greater or less distance from the axis of the balance-arm. The pivot or other joint, whereby each bow is attached in place, is made of such snugness or tightness as to normally hold the bow in any position to which it may be turned, and yet to permit such turning or adjustment of the bows around their points of attachment to the balance-arm as may be required.」(明細書第1頁右欄第34?48行)
(てんぷのアームの各々の外側の末端の、隣接する部分Bの内側の端部、言い換えれば、固定された端部の反対側には、弓Cがある。弓Cの各々は、該アームの末端に取り付けられており、旋回軸fその他の手段により支持されている。これにより、該弓のより外にある側の末端、言い換えれば、固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整することが可能である。所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部は、しっかりと、言い換えれば、きつく作られている。これにより、該旋回軸その他の接合部は、該弓を回転して移動できる任意の位置に、通常時は該弓を固定することが可能であるし、かつ、必要に応じ、該てんぷのアームに該弓を取り付けた点の周りに、該弓を回転、言い換えれば、調整することも可能となっている。)
(エ)「Each of the bows is formed, like the sections, of a layer of steel united to a layer of brass, but the layer of brass forms the inner portion of each of the bows, so that a rise of temperature, through the greater expansion of the brass, will tend, as it were, to straighten the bows. Each bow has its outer or free end loaded by a large-headed screw, n, which may be screwed in or out, as the case may require, to adjust the load to any desired effect or preponderance upon the aforesaid free end of the bow.」(明細書第2頁左欄第4?15行)
(各弓は、円弧状の部分と同様、真鍮の層に結合された鋼鉄の層で形成される。しかし、真鍮の層は、各弓の内側の部分を形成する。その結果、温度が上昇すると、真鍮がより大きく膨張するので、あたかも弓が真っ直ぐになろうとする。各弓の、より外にある側の末端、言い換えると、固定されていない末端には、大きなネジ頭を持つネジnによって、荷重がかかっている。ネジnは、必要な場合には、ねじ込んだり戻したりできる。これにより、該弓の前記固定されていない末端において、荷重を調整し、任意の所望の効果、あるいは、優位性を得ることができる。)
(オ)「Therefore, if the bows be adjusted within the circumferential line of the balance, the straightening of the bows, as described, from an increase of temperature, will throw their free or loaded end inward toward the axis of the balance, which will diminish the moment of inertia, and thus, by supplementing or adding to the primary compensation afforded by the sections B, will provide an auxiliary compensation for the irregularity caused by the difference between the ratio of change in the energy of the spring, arising from the same change in temperature; and inasmuch as the bows may be adjusted upon their pivots or points of attachment to the balance, and inasmuch as the screws n, with which they are loaded, may be adjusted to give greater sweep to the free ends of the said bows, the secondary compensation arising from the action of the bows, as just hereinbefore described, may be readily made to exactly correct or supply the deficiencies of the primary compensation afforded by the sections B.」(明細書第2頁左欄第24行?右欄第5行(当審注:明細書第2頁右欄第3行の「deficiences」は「deficiencies」の誤記とした。))
(したがって、弓がてんぷの円周線上で調整される場合、上述したように、温度の上昇から弓が真っ直ぐになろうとし、弓の自由端又は荷重端をてんぷの軸線に向かって内方に投げ出す。このことは、慣性モーメントを減少させ、結果として、部分Bによって与えられる一次補償を補足または補強して、温度変化が同じでもバネのエネルギーの変化率の違いによって引き起こされる不規則性の補助補償を提供する。弓のてんぷへの取付点である旋回軸は調整され、荷重がかけられたネジnはその弓の自由端により大きな動きを与えるから、上述したような弓の動きから生じる二次的な補償は、容易に、部分Bによって与えられる一次補償の欠陥を正確に補正し、不足分を供給する。)

(カ)図1、2より、てんぷのアームAは、回転中心aを軸としてそこから径方向に延び、弓C及びネジnは、曲線状の部分Bによって定められる空間内において取り付けられていることが見て取れる。

上記記載より、甲第1号証には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「てんぷのアームAAと、各々のてんぷのアームの外側の端部にある曲線状の部分Bを有するてんぷ((イ)より)であって、
曲線状の部分Bの各々は、その一方の端部において、てんぷのアームの一つAの外側の末端に取り付けられ、てんぷのアームの軸、回転中心aに関して、できるだけ同心円状に近い形に配置されて、これらの2つの部分が、てんぷの互いに反対側にある円周の一部を形成し((イ)より)、
てんぷのアームの各々の外側の末端には弓Cがあり、弓Cの各々は、該アームの末端に、旋回軸fその他の手段により支持されており、該弓のより外にある側の固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整することが可能であり、所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部は、該弓を回転して移動できる任意の位置に調整することも可能となっており((ウ)より)、
てんぷのアームAは、回転中心aを軸としてそこから径方向に延び、弓C及びネジnは、曲線状の部分Bによって定められる空間内において取り付けられ((カ)より)、
曲線状の部分Bは、第一次的な補償のため、外側の層が真鍮で、内側の層が鋼鉄で作られ、これら2つの層が結合され((イ)より)、
各弓は、円弧状の部分と同様、真鍮の層に結合された鋼鉄の層で形成され、真鍮の層は各弓の内側の部分を形成し、温度が上昇すると真鍮がより大きく膨張するのであたかも弓が真っ直ぐになろうとし、各弓の、より外にある側の固定されていない末端には、大きなネジ頭を持つネジnによって、荷重がかかっており((エ)より)、
調整可能である補助弓は、温度変化に起因して膨張又は収縮することにより、バネの変化した張力又は弾性に該てんぷの慣性モーメントが見合った大きさになる程度まで、該補助弓の端部が、温度が上がるか下がるかに応じ、該てんぷの軸に径方向に近づくか、又は、該てんぷの軸から径方向に遠ざかるように配置され、これにより、2つの比の間の食い違いによって生じる不規則性を補償し、すべての温度において一様に振動するてんぷを確実に得((ア)より)、
弓がてんぷの円周線上で調整される場合、温度の上昇から弓が真っ直ぐになろうとし、弓の自由端をてんぷの軸線に向かって内方に投げ出すと、慣性モーメントを減少させ、結果として、部分Bによって与えられる一次補償を補足または補強して、温度変化が同じでもバネのエネルギーの変化率の違いによって引き起こされる不規則性の補助補償を提供する((オ)より)、
てんぷ。」

イ 甲第2号証(特開2014-163784号公報)
甲第2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0014】
(2)本発明に係る温度補償型てんぷでは、前記第1部材は、前記第2部材よりも径方向内側に配置されるとともに、セラミックス材料により前記連結部材と一体に形成され、前記第1部材及び前記第2部材のうち、少なくとも前記第1部材における径方向に沿う厚さが、前記固定端側から前記自由端側に向かうに従い漸次薄くなっていてもよい。
この構成によれば、シリコン等のセラミック材料により連結部材及び第1部材を形成することで、フォトリソグラフィ技術等の半導体プロセスを用いててんぷを作成することができる。この場合、機械加工等によって連結部材や第1部材を作成するのに比べて、形状の自由度が高く、高精度なてんぷを提供できる。また、簡便且つ効率良く形成できるので、製造効率を向上さらに高め易い。
そして、第1部材及び第2部材のうち、少なくとも第1部材を、固定端側から自由端側に向けて漸次薄く形成することで、脆性材料であるセラミックス材料によって第1部材を形成した場合であっても、固定端側において強度を確保した上で、半径変化量を確保できる。」
「【0037】
ところで、上記したようにバイメタル部50は、図4及び図5に示すように、第1部材60と第2部材61とが径方向に重なって積層されることで形成されているが、これらは熱膨張率の異なる材料で形成されている。
【0038】
具体的には、径方向の内側に位置する第1部材60は、低熱膨張材料であるセラミックス材料、本実施形態ではシリコン(Si)で形成されている。一方、径方向の外側に位置する第2部材61は、第1部材60よりも熱膨張率が大きい高熱膨張材料であって、且つ電鋳可能な金属材料、本実施形態では金(Au)で形成されている。
従って、温度上昇した場合には、第1部材60よりも第2部材61の方が熱膨張するので、バイメタル部50は、固定端50Aを基点として自由端50Bが径方向の内側に向けて移動するように屈曲変形する。」

上記記載より、甲第2号証には以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「温度補償型てんぷにおいて(【0014】)、バイメタル部50を(【0037】)、径方向の内側に位置する第1部材60を低熱膨張材料であるシリコン、径方向の外側に位置する第2部材61を、第1部材60よりも熱膨張率が大きい高熱膨張材料である金で形成し、温度上昇した場合には、第1部材60よりも第2部材61の方が熱膨張するので、バイメタル部50は、固定端50Aを基点として自由端50Bが径方向の内側に向けて移動するように屈曲変形する(【0038】)、温度補償型てんぷ(【0014】)。」

ウ 甲第3号証(国際公開第2008/029158号)
甲第3号証には、明細書第3頁第6?22行に下記のように記載されるように、補償機能付きのバランスばねに関する周知技術が記載されている。原文の引用の後に日本語訳を記載する。日本語訳は当審による。
「WO 2004/008259 describes balance spring materials which enable the thermal and magnetic effects to be greatly reduced or eliminated, thereby permitting greater precision. In particular, this publication disclosed selecting materials which would permit a change in period ΔT caused by a rise in temperature of 1℃ to tend to zero. ΔT can be written as

where α_(1) is the coefficient of thermal expansion of the balance wheel, α_(2) is the coefficient of thermal expansion of the balance spring and δE/ E is the thermoelastic coefficient of the balance spring. WO 2004/008259 described materials with small values for α_(1) and α_(2) (e.g. less than 6×10^(-6) K^(-1) ) and a small value for δE/ E , which permitted ΔT to be reduced more readily.」
(当審訳:国際公開第2004/008259号は、熱的及び磁気的効果を大幅に低減又は除去することを可能にするバランスばね材料を記載しており、これにより、より高い精度が得られる。特に、この公報には、1℃の温度上昇によって引き起こされるΔTの変化が0になる傾向がある材料を選択することが開示されている。ΔTは、以下のように書くことができる。

ここでα_(1)は、バランス車の熱膨張係数であり、α_(2)は、バランスばねの熱膨張係数であり、δE/Eは、バランスばねの熱弾性係数である。国際公開第2004/008259号は、α_(1)とα_(2)が小さく(例えば6×10^(-6)K^(-1)より小さい)、δE/Eが小さく、ΔTをより容易に低減することを可能にする材料を開示する。)

(3)当審の判断
本件発明3、5?15のうち、独立形式の請求項に係る発明である本件発明3、5、11、13は、全て、取消理由の対象でない。
また、本件発明3、5?15のうち、引用形式の請求項に係る発明である本件発明6?10、12、14、15は、取消理由の対象でない本件発明3、5、11、13のいずれかを、さらに減縮した発明である。
したがって、本件発明3、5?15は、甲第1号証に記載された発明ではない。
また、本件発明3、5?15は、甲第1号証?甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第36条第6項第2号、第1号
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、以下の旨の主張をしている。
(ア)請求項1に記載の「アームに対する前記温度補償システムの方向」とは、「温度補償システム」において規定されるどの部分の向きを指すのか、「アーム」において規定されるどの部分を基準としたときの向きを指すのか、明確でない。
(イ)請求項1では「温度補償システム」は「リムによって定められる空間内においてマウントされ」ているところ、【0015】の「リム14によって定められる空間内で、すなわち、リム14の内径によって定められる空間内・・・」という記載からすると、「温度補償システム」は実質的にリム14によって囲まれる円形状の平面内でマウントされていることになるが、請求項1では「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」範囲につき何ら限定がないから、「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」とは、アームに対する方向を変えた温度補償システムが、実質的にリム14によって囲まれる円形状の平面から外に飛び出してしまう場合も含むのか否か、明確でない。
(ウ)上記(イ)の点につき、「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」という事項に、アームに対する方向を変えた温度補償システムが、実質的にリム14によって囲まれる円形状の平面から外に飛び出してしまう場合も含むとすると、かかる事項は発明の詳細な説明には記載されていない。
また、「バランス車15は、好ましいことに、リム14によって定められる空間内で、すなわち、リム14の内径によって定められる空間内で、又はリムの非常に近くで、マウントされた、調整可能な補助的な温度補償システム13を有しており、これによって、同じ体積/同じ寸法構成内において、バランス車15の温度補償を調整することが可能になる。」(【0015】)という効果を奏さないから、「このような補償機能付きバランスばねの製造には、多くの利点があるが、いずれの製造プロセスを用いても課題がある。すなわち、バランスばねがケイ素プレートから切断されるステージには、非常に低いレベルの幾何学的なばらつきが発生し、このばらつきは、各タイプのムーブメントに対して同様な動作を提供する必要があるような補償機能付きバランスばねの場合においては、依然として無視できないほど大きい。」(【0003】)、「本発明の目的は、調整可能な温度補償機能を備えて、ばね仕掛けバランスらせん状共振器の部品の製造における差を修正するようなバランス車を提案することによって、上記の問題の一部又はすべてを緩和することである。」(【0004】)という課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。

イ 当審の判断
(ア)独立形式の請求項に係る発明である本件発明3、5、11、13における「少なくとも1つのアームによってハブに接続されたリムを有するバランス車」という記載から、「アーム」は、「リム」を「ハブに接続」するためのものであるから、「アーム」は、「バランス車」において径方向に延在するものであるといえる。
一方で、本件特許明細書の「【0017】図2に示す第1の実施形態において、調整可能な補助的な温度補償システム13は、バランス車15のアーム12の1つにマウントされる。・・・【0019】また、固定用デバイス19は、調整可能な補助的な温度補償システム13の影響を調整する方法をさらに最適化するために、調整可能な方向決め手段を有する。図2における例において、調整可能な方向決め手段は、半径方向の空欠部18にマウントされた回転軸22を有する。この回転軸22によって、調整可能な補助的な温度補償システム13の基礎17の回転Rによって、バランス車15のアーム12に対する当該調整可能な方向決め手段の角度の選択が可能になる。・・・【0022】したがって、アームにおける半径方向の空欠部18における調整可能な補助的な温度補償システム13の・・・回転Rを調整することによって、温度変動の関数としたバランス車15の慣性の所定の調整を選択することができる。・・・【0026】図3に示す第2の実施形態において、調整可能な補助的な温度補償システム33は、2つの足部46を用いてバランス車35のハブ31にマウントされる。・・・【0028】また、固定用デバイス39は、調整可能な補助的な温度補償システム33の影響を調整する方法をさらに最適化するために調整可能な方向決め手段を有する。図3における例において、調整可能な方向決め手段は、足部46の間の半径方向の空欠部38にマウントされる回転軸42を有し、これによって、調整可能な補助的な温度補償システム33の基礎37の回転Rによって足部46に対する角度を選択することが可能になる。・・・【0031】したがって、足部46の半径方向の空欠部38内における調整可能な補助的な温度補償システム33の・・・回転Rを調整することによって、温度変動の関数としたバランス車35の慣性の所定の調整を選択することができる。」という記載を参照すると、「温度補償システム」は、「アーム12」の「空欠部18にマウントされた回転軸22」によって回転するか、「足部46を用いてハブ31にマウントされ」て「足部46の間の空欠部38にマウントされる回転軸42」によって回転するか、にかかわらず、「回転Rを調整することによってバランス車の慣性の所定の調整を選択する」ためのものであり、バランス車の「慣性」を調整するということからすれば、「温度補償システム」がバランス車の平面内において回転し、バランス車において「温度補償システム」が径方向の位置を変えることで、バランス車の慣性(モーメント)を調整することが、技術的な特徴であると認められる。
そうすると、請求項に記載される「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」とは、バランス車において「温度補償システム」が径方向の位置を変えるために、「温度補償システム」がバランス車の平面内において径方向(アームが延在する方向)との相対的な向きを変えるように回転することを意味しているといえる。
したがって、「アームに対する前記温度補償システムの方向」とは、「温度補償システム」の、バランス車の平面内における径方向(アームが延在する方向)との相対的な向きであって、上記ア(ア)の、「温度補償システム」において規定されるどの部分の向きを指すのか、「アーム」において規定されるどの部分を基準としたときの向きを指すのか、という点が文言上特定されていなくても、「アームに対する前記温度補償システムの方向」という記載は明確である。
よって、特許異議申立人が主張する上記ア(ア)の特許異議申立理由は、採用することができない。

(イ)請求項の記載では、「温度補償システム」は「リムによって定められる空間内においてマウントされ」ると特定されているが、本件特許明細書の「【0007】・・・温度補償システムは、前記少なくとも1つのアーム、又はバランス車のハブやリムにマウントされる。・・・【0017】図2に示す第1の実施形態において、調整可能な補助的な温度補償システム13は、バランス車15のアーム12の1つにマウントされる。・・・【0026】図3に示す第2の実施形態において、調整可能な補助的な温度補償システム33は、2つの足部46を用いてバランス車35のハブ31にマウントされる。・・・【0061】最後に、上で説明したように、調整可能な補助的な温度補償システムを、アーム又はバランス車のハブにマウントすることができる。しかし、代わりに、バランス車のリム上、すなわち、バランス車のリムの内径又は外径上に、調整可能な補助的な温度補償システムをマウントしても構わない。」という記載を参照すると、「・・・にマウントされる」とは、単に取り付ける箇所のことを意味しているものと解されるから、「温度補償システム」が「リムによって定められる空間内においてマウントされ」ることも、「温度補償システム」が「リムによって定められる空間内において」取り付けられていることを特定しているに過ぎない。
そうすると、「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」にあたって、仮に、アームに対する方向を変えた温度補償システムの、取り付け箇所の反対の先端部付近が、「リムによって定められる空間内」から外に飛び出してしまったとしても、「温度補償システム」が「リムによって定められる空間内においてマウントされ」(取り付けられ)ていることと矛盾しない。
したがって、請求項における、「温度補償システム」は「リムによって定められる空間内においてマウントされ」、「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」という記載は、「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」範囲の限定が無くとも、相容れない記載というわけではなく、明確である。
よって、特許異議申立人が主張する上記ア(イ)の特許異議申立理由は、採用することができない。

(ウ)「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」範囲については、本件特許明細書の発明の詳細な説明に具体的な記載は無く、任意な事項であると認められるから、発明の詳細な説明に、アームに対する方向を変えた温度補償システムが、実質的にリム14によって囲まれる円形状の平面から外に飛び出してしまう場合が記載されていないからといって、そのことをもって、アームに対する方向を変えた温度補償システムが、実質的にリム14によって囲まれる円形状の平面から外に飛び出してしまう場合も含む本件発明3、5?15が、発明の詳細な説明に記載されていないとはいえない。
また、【0015】の記載も、上記(イ)の「マウント」の意味からいえば、「温度補償システム13」が「リム14によって定められる空間内で」「マウントされ」ていれば、(「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」にあたって、仮に、アームに対する方向を変えた温度補償システムの、取り付け箇所の反対の先端部付近が、「リムによって定められる空間内」から外に飛び出してしまったとしても、)同じ体積/同じ寸法構成内において、バランス車15の温度補償を調整することが可能になる、というものに過ぎない。
さらに、【0004】に記載される課題は、(「温度補償システム」が「リムによって定められる空間内においてマウントされ」ていることではなく、)「アームに対する前記温度補償システムの方向を変える」ことで解決できており、本件発明3、5?15は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではない。
よって、特許異議申立人が主張する上記ア(ウ)の特許異議申立理由は、採用することができない。

(2)特許法第29条第1項第3号、第2項
ア 本件発明3
(ア) 特許異議申立書において主張されている特許異議申立理由
本件発明3は、調整可能な補助的な温度補償システムが、バランス車のハブにマウントされるのに対し、引用発明は、調整可能な補助弓(C)等が、てんぷのアーム(A)にマウントされる点で相違する。
前記相違点に係る構成につき、甲第1号証には上記4(2)ア(ア)及び(ウ)に記載のとおり、以下の記載がある。
「本発明は、調整可能に荷重のかかった補助弓を用いて組み立てられたてんぷからなる。該補助弓は、該てんぷのアームの末端の近くに、又は、該てんぷの円弧状の部分の任意の箇所に、取り付けられている。」
「弓Cの各々は、該アームの末端に取り付けられており、旋回軸fその他の手段により支持されている。これにより、該弓のより外にある側の末端、言い換えれば、固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整することが可能である。」
前記相違点に係る構成につき、甲第1号証には、補助弓(C)等を、てんぷの中央部にマウントしてはいけない積極的な理由は述べられていないため、上記前半の、補助弓(C)等の取り付けられる箇所の記載は、あくまで例示であって、てんぷの中央部にマウントすることも許容されていると解される。また、補助弓(C)等は、上記後半にあるとおり、より外にある側の末端(固定されていない末端)の、てんぷの軸からの距離が可変であれば足りるのであって、このことは、補助弓(C)等をてんぷの中央部にマウントすることによっても実現可能である。したがって、甲第1号証に接した当業者にとっては、甲第1号証に開示されている上記の内容に基づき、補助弓(C)等をてんぷの中央部にマウントさせ、前記相違点に係る構成に想到することは困難ではない。

(イ)当審の判断
a 本件発明3と引用発明(上記4(2)ア)とを対比する。
(a)引用発明では、「てんぷのアームAは、回転中心aを軸としてそこから径方向に延び」るから、引用発明における「てんぷのアームA」のうち、「回転中心a」近傍の部分が本件発明3の「ハブ」に相当し、その他の部分が本件発明3の「アーム」に相当する。
そうすると、引用発明における、「てんぷのアームの一つAの外側の末端に取り付けられ」る「曲線状の部分B」は、本件発明3における、「少なくとも1つのアームによってハブに接続されたリム」に相当する。
そして、引用発明における、そのような、「てんぷのアームAAと、各々のてんぷのアームの外側の端部にある曲線状の部分Bを有するてんぷ」は、本件発明3の「少なくとも1つのアームによってハブに接続されたリムを有するバランス車」に相当する。

(b)引用発明における「弓C」は、「温度変化に起因して膨張又は収縮することにより、バネの変化した張力又は弾性に該てんぷの慣性モーメントが見合った大きさになる程度まで、該補助弓の端部が、温度が上がるか下がるかに応じ、該てんぷの軸に径方向に近づくか、又は、該てんぷの軸から径方向に遠ざかるように配置され」ているところ、引用発明の「弓C」は、「調整することが可能であり、所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部は、該弓を回転して移動できる任意の位置に調整することも可能となって」いるから、てんぷの温度補償に関して調整可能なものであるといえる。
また、引用発明の「弓C」は、「部分Bによって与えられる一次補償を補足または補強して、温度変化が同じでもバネのエネルギーの変化率との違いによって引き起こされる不規則性の補助補償を提供する」ことに寄与するものであるから、温度補償に関して補助的なものであるといえる。
そして、引用発明では「弓C及びネジnは、曲線状の部分Bによって定められる空間内において取り付けられ」るから、引用発明における、「弓C」、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部」、及び、「各弓の、より外にある側の固定されていない末端」に螺合している「ネジn」は、本件発明3における、「前記バランス車の温度補償を調整するように構成して」いる、「前記リムによって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム」に相当する。

(c)引用発明における「弓C」は、「真鍮の層に結合された鋼鉄の層で形成され、真鍮の層は各弓の内側の部分を形成し、温度が上昇すると真鍮がより大きく膨張するのであたかも弓が真っ直ぐになろうとする」から、引用発明の「弓C」における、「真鍮の層」と「鋼鉄の層」が、本件発明3における、「異なる膨脹係数を有し」、「バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合して」いる、「少なくとも1つの第1の細長材」と「少なくとも1つの第2の細長材」に相当する。
そして、引用発明における、「真鍮の層に結合された鋼鉄の層で形成され、真鍮の層は各弓の内側の部分を形成し、温度が上昇すると真鍮がより大きく膨張するのであたかも弓が真っ直ぐになろうとする」、「弓C」が、本件発明3の「少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイス」に相当する。

(d)さらに、引用発明では、「弓Cの各々は、該アームの末端に、旋回軸fその他の手段により支持されており、該弓のより外にある側の固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整することが可能であ」るところ、引用発明における、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部」は、本件発明3の「前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイス」に相当する。
また、引用発明における、「各弓の、より外にある側の固定されていない末端」に螺合している「ネジn」は、本件発明3の「前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロック」に相当する。
そして、引用発明における「弓C」は、「アームの末端に、旋回軸fその他の手段により支持されて」いる側の末端から、「ネジn」が螺合している「より外にある側の固定されていない末端」までの間に、延在しているといえ、このことは、本件発明3における「前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在して」いることに相当する。

(e)引用発明では、「弓Cの各々は、該アームの末端に、旋回軸fその他の手段により支持されて」いるところ、「弓C」が「旋回軸f」周りで回転すると、「アーム」に対する「弓C」の方向が変わるといえるから、引用発明における、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部は、該弓を回転して移動できる任意の位置に調整することも可能となって」いることは、本件発明3における「前記固定用デバイスは、前記バランス車の前記少なくとも1つのアームに対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する」ことに相当する。

b そうすると、本件発明3と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「少なくとも1つのアームによってハブに接続されたリムを有するバランス車であって、
当該バランス車は、前記リムによって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システムを有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システムは、前記バランス車の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システムは、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車の前記少なくとも1つのアームに対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
バランス車。」
(相違点)
(相違点1)
本件発明3は、「前記調整可能な補助的な温度補償システムは、前記バランス車の前記ハブにマウントされる」のに対して、引用発明における、「弓C」(補助弓)、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部」、及び、「各弓の、より外にある側の固定されていない末端」に螺合している「ネジn」については、「補助弓は、該てんぷのアームの末端の近くに、又は、該てんぷの円弧状の部分の任意の箇所に、取り付けられている」(上記4(2)ア(ア))点。

c 相違点1について検討する。
甲第1号証の「弓Cの各々は、該アームの末端に取り付けられており、旋回軸fその他の手段により支持されている。これにより、該弓のより外にある側の末端、言い換えれば、固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整することが可能である。」という記載(上記4(2)ア(ウ))の下線部を参照すると、引用発明において、弓Cを、てんぷのアームの末端の近くに、又は、てんぷの円弧状の部分に、取り付けるのは、弓Cのより外にある側の末端(固定されていない末端)のてんぷの軸からの距離を調整するために、選択されているといえる。仮に、弓Cを、「てんぷのアームA」の「回転中心a」近傍の部分に取り付けると、弓Cのより外にある側の末端(固定されていない末端)のてんぷの軸からの距離を調整できる範囲を(弓Cを、てんぷのアームの末端の近くに、又は、てんぷの円弧状の部分に、取り付けるのと比較して)大きくできないことは、甲第1号証の図1、2からも明らかである。そうすると、弓Cのより外にある側の末端(固定されていない末端)のてんぷの軸からの距離を調整する目的からすると、調整できる範囲が大きい、弓Cを、てんぷのアームの末端の近くに、又は、てんぷの円弧状の部分に、取り付ける設計から、調整できる範囲が小さい、弓Cを、「てんぷのアームA」の「回転中心a」近傍の部分に取り付ける設計へと変更することには、阻害要因があるといえる。
よって、甲第1号証には、弓Cを、「てんぷのアームA」の「回転中心a」近傍の部分に取り付ける設計へと変更する動機づけを見出せず、本件発明3は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、特許異議申立人が主張する上記(ア)の特許異議申立理由は、採用することができない。
また、本件発明3の相違点1に係る構成は、甲第2号証、甲第3号証にも記載されていない。

イ 本件発明5
(ア) 特許異議申立書において主張されている特許異議申立理由
本件発明5は「調整可能な位置合わせ手段」を有し、ハブとバイメタル細長材デバイスの第1の端との間の半径方向の距離を変えるように構成しているのに対し、引用発明は「調整可能な位置合わせ手段」を有していない点で相違する。
前記相違点に係る構成につき、甲第1号証には上記4(2)ア(ウ)に記載のとおり、以下の記載がある。
「弓Cの各々は、該アームの末端に取り付けられており、旋回軸fその他の手段により支持されている。これにより、該弓のより外にある側の末端、言い換えれば、固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整することが可能である。」
前記相違点に係る構成につき、甲第1号証には、より外にある側の末端(固定されていない末端)の、てんぷの軸からの距離を変えることで、補助弓(C)等を調整するとの技術思想が開示されているのであり、甲第1号証に接した当業者が、当該技術思想に係る記載に示唆を受けて、甲第1号証に記載された、旋回軸(f)を用いて補助弓(C)を面内で回転する手段に代えて、補助弓(C)を同じく面内で並進運動させる手段を設けて、前記相違点に係る構成に想到することは困難ではない。

(イ)当審の判断
a 本件発明5と引用発明とを対比すると、本件発明3と本件発明5の共通する部分については、上記ア(イ)aに記載したとおりであり、本件発明5と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「少なくとも1つのアームによってハブに接続されたリムを有するバランス車であって、
当該バランス車は、前記リムによって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システムを有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システムは、前記バランス車の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システムは、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車の前記少なくとも1つのアームに対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
バランス車。」
(相違点)
(相違点2)
本件発明5は、「前記固定用デバイスは、前記ハブと前記リムの間に調整可能な位置合わせ手段を有し、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システムの影響を調整することが可能になり、前記調整可能な位置合わせ手段は、前記ハブと前記バイメタル細長材デバイスの前記第1の端との間の半径方向の距離を変えるように構成している」のに対して、引用発明における「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部」は、「てんぷのアームの各々の外側の末端」にあって、「所定の位置」を半径方向に移動させることは記載されていない点。

b 相違点2について検討する。
引用発明は、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部は、該弓を回転して」、「該弓のより外にある側の固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整する」ものであって、「旋回軸その他の接合部」が「各弓を取り付ける」「所定の位置」を半径方向に移動させることで、「該弓のより外にある側の固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたり」調整する技術思想は示唆されていない。
また、甲第1号証の図1、2を参照する限り、引用発明の「旋回軸」(f)は、「てんぷのアームの各々の外側の末端」に「てんぷのアーム」(A)と一体で形成されており、引用発明において、弓Cを「取り付ける」「所定の位置」を、「てんぷのアームA」の「回転中心a」近傍の部分と「てんぷのアームの各々の外側の末端」の間に調整できる余地はない。
よって、引用発明において、「該弓のより外にある側の固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたり」調整するに際し、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部」が「該弓を回転」させることに代えて、「旋回軸その他の接合部」が「各弓を取り付ける」「所定の位置」を半径方向に移動させるようにすることに動機づけを見出せず、本件発明5は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、特許異議申立人が主張する上記(ア)の特許異議申立理由は、採用することができない。
また、本件発明5の相違点2に係る構成は、甲第2号証、甲第3号証にも記載されていない。

ウ 本件発明11
(ア) 特許異議申立書において主張されている特許異議申立理由
本件発明11は、調整可能な補助的な温度補償システムが、バランス車のハブにマウントされ、さらに、前記バイメタル細長材デバイスの重さを補償するために釣り合いおもりを有するのに対し、引用発明は、調整可能な補助弓(C)等が、てんぷのアーム(A)にマウントされる点、補助弓(C)の重さを補償するための釣り合いおもりに相当する部材を有していない点で相違する。
前記相違点に係る構成につき、当業者にとって、片持ちの形態で部材を設けるときに当該部材の重さのバランスを取るため、釣り合いおもりを設けることは、技術的常識に属する。よって、甲第1号証に接した当業者が、前記相違点に係る構成に想到することは、本件特許優先日に容易であった。

(イ)当審の判断
a 本件発明11と引用発明とを対比すると、本件発明3と本件発明11の共通する部分については、上記ア(イ)aに記載したとおりであり、本件発明11と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「少なくとも1つのアームによってハブに接続されたリムを有するバランス車であって、
当該バランス車は、前記リムによって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システムを有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システムは、前記バランス車の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システムは、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車の前記少なくとも1つのアームに対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
バランス車。」
(相違点)
(相違点3)
本件発明11は、「前記調整可能な補助的な温度補償システムは、さらに、前記バイメタル細長材デバイスの重さを補償するために釣り合いおもりを有する」のに対して、引用発明では、「真鍮の層に結合された鋼鉄の層で形成され、真鍮の層は各弓の内側の部分を形成し、温度が上昇すると真鍮がより大きく膨張するのであたかも弓が真っ直ぐになろうとする」「弓C」の重さを補償するための釣り合いおもりを有していない点。

b 相違点3について検討する。
引用発明では、「調整可能である補助弓は、温度変化に起因して膨張又は収縮することにより、バネの変化した張力又は弾性に該てんぷの慣性モーメントが見合った大きさになる程度まで、該補助弓の端部が、温度が上がるか下がるかに応じ、該てんぷの軸に径方向に近づくか、又は、該てんぷの軸から径方向に遠ざかるように配置され、これにより、2つの比の間の食い違いによって生じる不規則性を補償」するものである。そして、引用発明における、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部は、該弓を回転して」、「該弓のより外にある側の固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整する」ことについても、「該弓のより外にある側の固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたり」することは、「該補助弓の端部が」、「該てんぷの軸に径方向に近づくか、又は、該てんぷの軸から径方向に遠ざかる」ことと同じで、「バネの変化した張力又は弾性に該てんぷの慣性モーメントが見合った大きさになる」ためのものである。
しかしながら、引用発明において、「弓C」の重さを補償するための釣り合いおもりを設けると、その釣り合いおもりも、てんぷの慣性モーメントに影響を与え得、さらにその釣り合いおもりにも温度変化に起因する膨張又は収縮があり得るから、引用発明における、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部」が「該弓を回転」させたり、「調整可能である補助弓」が「温度変化に起因して膨張又は収縮」したりすることにより、「バネの変化した張力又は弾性に該てんぷの慣性モーメントが見合った大きさになる」という本来の目的に対して、悪影響を与えるおそれがあるといえる。
そうすると、仮に、片持ちの形態で部材を設けるときに当該部材の重さのバランスを取るため、釣り合いおもりを設けることが、技術常識であったとしても、「所定の位置に各弓を取り付ける旋回軸その他の接合部は、該弓を回転して」、「該弓のより外にある側の固定されていない末端の、てんぷの軸からの距離を、より大きくしたり、より小さくしたりして、該弓を調整」し、「調整可能である補助弓は、温度変化に起因して膨張又は収縮することにより、バネの変化した張力又は弾性に該てんぷの慣性モーメントが見合った大きさになる程度まで、該補助弓の端部が、温度が上がるか下がるかに応じ、該てんぷの軸に径方向に近づくか、又は、該てんぷの軸から径方向に遠ざかるように配置され、これにより、2つの比の間の食い違いによって生じる不規則性を補償」する引用発明において、てんぷの慣性モーメントに影響を与え得、さらに温度変化に起因する膨張又は収縮があり得る釣り合いおもりを、設けることに動機づけを見出すことはできない。
よって、本件発明11は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、特許異議申立人が主張する上記(ア)の特許異議申立理由は、採用することができない。
また、本件発明11の相違点3に係る構成は、甲第2号証、甲第3号証にも記載されていない。

エ 本件発明13
(ア) 特許異議申立書において主張されている特許異議申立理由
本件発明13は、「前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの長手方向と交差する方向に延在しており、曲がっている」のに対し、引用発明は、「ネジ(n)」(のネジ頭)が「補助弓(C)」の長手方向と交差する方向に延在しておらず、曲がってもいない点で相違する。
前記相違点に係る構成につき、ブロックを前記バイメタル細長材デバイスと接する曲線に延在させることは、当業者が必要に応じて行う適宜設計可能な事項である。よって、甲第1号証に接した当業者が、前記相違点に係る構成に想到することは、本件特許優先日に容易であった。

(イ)当審の判断
a 本件発明13と引用発明とを対比する。
(a)本件発明3と本件発明13の共通する部分については、上記ア(イ)aに記載したとおりである。

(b)上記ア(イ)a(d)に記載したように、引用発明における「弓C」は、「アームの末端に、旋回軸fその他の手段により支持されて」いる側の末端から、「ネジn」が螺合している「より外にある側の固定されていない末端」までの間に、延在しているところ、その「ネジn」は、甲第1号証の図1、2から明らかなように、「ネジn」が螺合している「各弓の、より外にある側の固定されていない末端」において、「弓C」が延在している方向と交差する方向に延在して「弓C」と螺合しているといえる。
そうすると、引用発明において、「ネジn」が、「各弓の、より外にある側の固定されていない末端」において、「弓C」が延在している方向と交差する方向に延在して「弓C」と螺合していることは、上記ア(イ)a(d)を踏まえると、本件発明13における、「前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの長手方向と交差する方向に延在して」いることに相当する。

b そうすると、本件発明13と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「少なくとも1つのアームによってハブに接続されたリムを有するバランス車であって、
当該バランス車は、前記リムによって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システムを有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システムは、前記バランス車の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システムは、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車の前記少なくとも1つのアームに対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
バランス車であって、
前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの長手方向と交差する方向に延在している
バランス車。」
(相違点)
(相違点4)
本件発明13は、「前記ブロックは」、「曲がっている」のに対して、引用発明における「ネジn」は、曲がっていない点。

c 相違点4について検討する。
引用発明における「ネジn」について、甲第1号証には、「ネジnは、必要な場合には、ねじ込んだり戻したりできる。これにより、該弓の前記固定されていない末端において、荷重を調整し、任意の所望の効果、あるいは、優位性を得ることができる。」(上記4(2)ア(エ))と記載されており、「ネジn」のねじ部を曲がったもので構成すると、「ネジn」を「ねじ込んだり戻したり」するのに支障があるから、「ネジn」を曲がったもので構成することに動機づけを見出すことはできず、ブロックを前記バイメタル細長材デバイスと接する曲線に延在させることは当業者が必要に応じて行う適宜設計可能な事項であるということはできない。
よって、本件発明13は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、特許異議申立人が主張する上記(ア)の特許異議申立理由は、採用することができない。
また、本件発明13の相違点4に係る構成は、甲第2号証、甲第3号証にも記載されていない。

オ 本件発明6?10、12、14、15
特許異議申立人は、特許異議申立書において、
本件発明6は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件発明7は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件発明8?10、12、14は、甲第1号証に記載された発明であるか、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、
本件発明15は、甲第1号証?甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。
しかしながら、本件発明6?10、12、14、15は、上記本件発明3、5、11、13のいずれかをさらに減縮した発明である。
したがって、本件発明6?10、12、14、15は、本件発明3の相違点1に係る構成、本件発明5の相違点2に係る構成、本件発明11の相違点3に係る構成、または本件発明13の相違点4に係る構成、のいずれかと同一の構成を備えるものであるから、本件発明3、5、11、13のいずれかと同じ理由により、当業者であっても、甲第1号証に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
また、本件発明3の相違点1に係る構成、本件発明5の相違点2に係る構成、本件発明11の相違点3に係る構成、本件発明13の相違点4に係る構成は、甲第2号証、甲第3号証にも記載されていないから、本件発明6?10、12、14、15は、当業者であっても、甲第1号証?甲第3号証に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項3、5?15に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項3、5?15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1、2、4に係る特許は、上記のとおり訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項1、2、4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】
少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記ハブ(11、31、51)にマウントされる
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記固定用デバイスは、前記ハブ(11、31、51)と前記リム(14、34、54)の間に調整可能な位置合わせ手段を有し、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)の影響を調整することが可能になり、
前記調整可能な位置合わせ手段は、前記ハブ(11、31、51)と前記バイメタル細長材デバイスの前記第1の端との間の半径方向の距離を変えるように構成している
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項6】
前記調整可能な位置合わせ手段には、半径方向の空欠部があり、これによって、前記ハブ(11、31、51)と前記リム(14、34、54)の間の位置を選択することが可能になる
ことを特徴とする請求項5に記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1の細長材は、ケイ素ベースの材料である
ことを特徴とする請求項3、5、6のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2の細長材は、金属ベースの材料である
ことを特徴とする請求項3、5?7のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項9】
前記バイメタル細長材デバイスは、周囲温度と周囲圧力の条件の下で、曲がったバンドを形成する
ことを特徴とする請求項3、5?8のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項10】
前記ブロックは、前記少なくとも第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材の端のうちの1つと一体化された部品を形成しており、これによって、前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)の影響を増加させる
ことを特徴とする請求項3、5?9のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項11】
少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、さらに、前記バイメタル細長材デバイスの重さを補償するために釣り合いおもりを有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項12】
前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、複数の調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有することを特徴とする請求項3、5?11のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)。
【請求項13】
少なくとも1つのアーム(12、32、52)によってハブ(11、31、51)に接続されたリム(14、34、54)を有するバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
当該バランス車(5、15、35、35’、35”、55)は、前記リム(14、34、54)によって定められる空間内においてマウントされた調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)を有し、
前記調整可能な補助的な温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の温度補償を調整するように構成しており、
前記温度補償システム(13、33、33_(1)、33_(2)、33_(1)’、33_(2)’、53)は、少なくとも1つの第1の細長材と少なくとも1つの第2の細長材を有するバイメタル細長材デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第1の端と一体化された部品を形成する固定用デバイスと、
前記バイメタル細長材デバイスの第2の端と一体化された部品を形成するブロックとを有し、
前記少なくとも1つの第1の細長材と前記少なくとも1つの第2の細長材はそれぞれ、異なる膨脹係数を有し、
前記バイメタル細長材デバイスの曲がりが温度の関数として変わることを確実にするように互いに接合しており、
前記バイメタル細長材デバイスは、第1の端と第2の端の間に延在しており、
前記固定用デバイスは、前記バランス車(5、15、35、35’、35”、55)の前記少なくとも1つのアーム(12、32、52)に対する前記温度補償システムの方向を変えるように構成している調整可能な方向決め手段を有する
ことを特徴とするバランス車(5、15、35、35’、35”、55)であって、
前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの長手方向と交差する方向に延在しており、曲がっている
ことを特徴とするバランス車。
【請求項14】
前記ブロックは、前記バイメタル細長材デバイスの一方の側において2つの突き出ている部分を有する
ことを特徴とする請求項3、5?13のいずれかに記載のバランス車。
【請求項15】
補償機能付きバランスばね(3)を有する共振器(1)であって、
前記補償機能付きバランスばね(3)は、請求項3、5?14のいずれかに記載のバランス車(5、15、35、35’、35”、55)に接続されている
ことを特徴とする共振器(1)。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-03-25 
出願番号 特願2017-29758(P2017-29758)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G04B)
P 1 651・ 121- YAA (G04B)
P 1 651・ 537- YAA (G04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤田 憲二  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 清水 稔
中村 説志
登録日 2018-01-19 
登録番号 特許第6275299号(P6275299)
権利者 モントレー ブレゲ・エス アー
発明の名称 調整可能な補助的な温度補償システム  
代理人 山川 茂樹  
代理人 山川 茂樹  
代理人 山川 政樹  
代理人 山川 政樹  
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