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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
管理番号 1351438
異議申立番号 異議2019-700141  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-02-22 
確定日 2019-05-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6379051号発明「中空型電子デバイス封止用シート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6379051号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6379051号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成27年1月23日に出願され、平成30年8月3日にその特許権の設定登録がされ、平成30年8月22日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、平成31年2月22日に特許異議申立人栗原喜子により、特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許第6379051号の請求項1及び2に係る特許は、特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)。
「【請求項1】
セパレータと熱硬化性封止用シートとを有し、
前記セパレータの厚み(mm)と25℃における引張弾性率(N/mm^(2))との積が、200N/mm以上であり、
前記熱硬化性封止用シートの50℃?100℃の範囲内における最低溶融粘度が100kPa・s以上であることを特徴とする中空型電子デバイス封止用シート。
【請求項2】
前記セパレータの厚みが50μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の中空型電子デバイス封止用シート。」

第3 申立理由の概要
特許異議申立人栗原喜子(以下「異議申立人」という。)は、本件特許の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証(特開2004-7051号公報)に記載された発明であり、また、甲第1号証、甲第2号証(松浦章、他三名、労働省指定通信教育 材料力学 第8版 職業訓練法人日本技能教育開発センター、平成4年5月1日発行)、甲第3号証(製品設計知識 プラスチック強度設計における引張特性と曲げ特性の使い方 https://seihin-sekkei.com/blog-pla-think-19/)及び甲第4号証(特開2003-32075号公報)に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本件特許出願日前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号及び同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張する。

第4 甲号証の記載
1.甲第1号証
甲第1号証には、「封止用部材およびこれを用いた表面弾性波装置の製造方法」に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(1)「【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の第1の実施の形態の封止用部材は、表面弾性波素子を、熱プレス成形により中空樹脂封止する際に用いられるもので、未硬化樹脂シートと基材とが粘着等により一体化され、特に熱プレス成形時に、上記基材は上記未硬化樹脂シートより曲げ剛性が高く、かつ上記未硬化樹脂シートと基材との一体化が維持されるものである。
本実施の形態の封止用部材は、熱プレス成形時、未硬化樹脂シートは上記基材と一体化されており、かつ未硬化樹脂シート単独のものより剛性が高いので、熱プレス時に封止用部材の「たわみ」が防止され、熱プレス初期に、配線基板と未硬化樹脂シートが接触して、表面弾性波素子と未硬化樹脂シートの間に空気層を閉じこめ、その状態で硬化して、そこに大きなボイドが残存するという現象を防止することができる。」

(2)「【0016】
本実施の形態に係わる基材の曲げ剛性は、熱プレス時において上記未硬化樹脂シートより高い剛性を有するものが用いられる。
なお、上記未硬化樹脂シートとしてエポキシ樹脂を用い、上記基材を樹脂封止後除去する場合は、上記エポキシ樹脂と難接着性の材料、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチルトリフルオロエチレン)等の樹脂シートや、ガラスクロス等を用いたFRP(繊維強化プラスチック)が好適に用いられる。
【0017】
上記基材の曲げ剛性は熱プレス時において、0.01?50kg・mmであるのが望ましく、0.01kg・mm未満では、熱プレス初期に未硬化樹脂シートのたわみ量が大きくなり、未硬化樹脂シートの一部が配線基板に接触して空気層を閉じ込めて硬化する可能性が増し、成形後ボイドの抑制効果が得られにくくなる。
一方、曲げ剛性が50kg・mmを越えると、基材の膜厚が厚くなり熱抵抗が大きくなるので硬化時間が長くなったり、硬化が不均一になる傾向が増す。
・・・(中略)・・・
【0019】
また、本実施の形態に係わる未硬化樹脂シートの熱プレス時の粘度は、5000?100000Pa・sであることが望ましい。5000Pa・s未満では、樹脂が表面弾性波素子と配線基板間の隙間から侵入して、励振電極まで到達し中空維持が困難となり特性が劣化する。また、100000Pa・sを越えるとボイドの残存量が増して、樹脂と配線基板の接着不良を起こし易くなる。
また、上記未硬化樹脂シートの硬化物の弾性率は、5?800kg/mm^(2)であるのが望ましい。弾性率が800kg/mm^(2)を越えると、温度サイクルが加わる場合、封止樹脂に起因する熱応力が大きくなり、表面弾性波素子に歪を与え、特性が劣化したり、樹脂と表面波素子との界面または樹脂と配線基板との界面で、剥離や樹脂クラックが生じるなど、不具合を起こしやすい。
一方、熱応力面からは、弾性率は小さいほど望ましいものの、5kg/mm^(2)未満になると、構造体としての強度が弱くなるため、ハンドリング性が悪くなる。」

(3)「【0022】
その後、ガラスクロス強化PTFE{0.2mm厚、曲げ剛性0.3kg・mm(150℃で測定)}を基材として用い、これにエポキシ樹脂系の未硬化樹脂シート7{0.5mm厚、曲げ剛性0.0001kg・mm(室温で測定)}を設けた上記実施の形態1の封止用部材18を用意し、封止用部材18の未硬化樹脂シート7を表面弾性波素子10側にして配置し{図1(c)}、封止用部材18と配線基板20を熱プレス機を用いてプレス熱板9により成形し表面弾性波素子10を樹脂封止する{図1(d)}。
プレス条件は、120℃?180℃、硬化時間10分?2時間、プレス圧力5?40kg/cm^(2)とする。
【0023】
樹脂封止後、ダイシングソーによりダイシング位置50で切断して樹脂パッケージ毎に切り離して表面弾性波装置を得る{図1(d)}。
なお、図1は封止用部材18を除去した後個片の装置に切り離した場合を示すが、封止用部材の基材が製品サイズ、特性または信頼性への支障をきたさない場合は除去する必要はない。
一方、使用する平板状配線基板は、ガラスエポキシ基板などの有機系基板材料でもアルミナなどのセラミック基板でもよく、製造工程の自由度が向上する。
上記のように、本実施の形態の表面弾性波装置の製造方法により、中空部を確保して表面弾性波素子を一括で樹脂封止でき、容易に表面弾性波装置を製造できる。また、ボイドの残存が抑制され、信頼性に優れた表面弾性波装置を得ることができる。」

・上記(1)によれば、封止用部材は、基材と未硬化樹脂シートとを有するものである。
・上記(2)によれば、未硬化樹脂シートは、エポキシ樹脂を用いたものである。また、基材は、樹脂封止後除去するものである。
・上記(3)によれば、未硬化樹脂シートを表面弾性波素子側に配置して、熱プレスによって当該表面弾性波素子を樹脂封止するものである。また、封止用部材は、中空部を確保して表面弾性波素子を樹脂封止するものである。

上記摘示事項及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

「樹脂封止後除去する基材とエポキシ樹脂の未硬化樹脂シートとを有し、中空部を確保した表面弾性波素子を樹脂封止する封止用部材。」

2.甲第2号証
甲第2号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。

(1)「このように,EIは曲げに対する変形の程度をあらわすもので,曲げこわさ(flexural rigidity)といいます。」(第16-111ページ第4行及び第5行)

(2)「

」(第16-112ページ表1番号1)

上記(1)及び(2)によれば、甲第2号証には、「曲げこわさをEIと表し、I(mm^(4))をbh^(3)/12と表す」技術的事項が記載されている。

3.甲第3号証
甲第3号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(1)「引張試験で測定したヤング率が引張弾性率、曲げ試験で測定したヤング率が曲げ弾性率である。両者の違いについては後述する。」(2.ヤング率)

(2)「<引張特性>
引張特性は図5のような試験で測定し、計算式で算出した応力とひずみを応力?ひずみ曲線にプロットすることによって導く。
・・・(中略)・・・
<曲げ特性>
曲げ特性は図6のような3点曲げ試験で測定し、計算式および応力?ひずみ曲線にプロットすることによって導く。」(4.引張特性と曲げ特性の測定方法)

(3)「プラスチックの物性表には引張特性、曲げ特性の両者が掲載されていることは既に述べた。引張特性と曲げ特性では試験方法や算出方法が異なるものの、求めているヤング率や材料の強さは同じもののようにも思える。」(5.強度設計における注意点)

(4)「表2は実際の材料における引張特性と曲げ特性の比較である。同じ材料でも引張と曲げで異なった値を示すことが分かる。

」(5.強度設計における注意点)

上記(1)ないし(3)によれば、引張弾性率及び曲げ弾性率は、試験方法及び算出方法が異なる。
上記(4)によれば、引張弾性率及び曲げ弾性率は、同じ材料でも異なった値を示す。

上記摘示事項及び図面を総合勘案すると、甲第3号証には、「引張弾性率及び曲げ弾性率は、試験方法及び算出方法が異なり、また、同じ材料でも異なった値を示す」技術的事項が記載されている。

4.甲第4号証
甲第4号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

「【0035】第1の実施の形態で示したように、弾性表面波素子2の表面とダイパッド4との隙間は数十μmであるので、この隙間に封止樹脂6が侵入するかどうかは、封止樹脂6の溶融粘度、成形時の封止樹脂6の加圧力、弾性表面波素子2の輪郭部とIDT1までの距離などに依存する。そのため、それらが適正でない場合には、IDT1の領域に封止樹脂6が侵入する可能性がある。一方、一般の封止樹脂6であれば、弾性表面波素子2とダイパッド4との隙間を数μm以内とすれば、隙間に封止樹脂6は侵入しない。」

上記段落[0035]によれば、甲第4号証には、「弾性表面波素子の表面とダイパッドとの隙間に封止樹脂が侵入するかどうかは、封止樹脂の溶融粘度に依存する」技術的事項が記載されている。

第5 当審の判断
1.特許法第29条第1項第3号について
(1)請求項1に係る発明について
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。

ア.本件特許発明1の「セパレータ」は、封止用シートにSAWチップを埋め込んだ後、該封止用シートから剥離するものである(本件特許明細書段落[0064]ないし[0067]、図4及び5参照)。よって、甲1発明の「樹脂封止後除去する基材」は、本件特許発明1の「セパレータ」に相当する。

イ.甲1発明の「エポキシ樹脂の未硬化樹脂シート」は、熱硬化性のものといえるから、本件特許発明1の「熱硬化性封止用シート」に相当する。

ウ.甲1発明の「中空部を確保した表面弾性波素子」は、本件特許発明1の「中空型電子デバイス」に相当する。

エ.甲1発明の「樹脂封止する封止用部材」は、上記ア.及びイ.のとおり、「セパレータ」及び「熱硬化性封止用シート」に相当する構成を備えているから、本件特許発明1の「封止用シート」に相当する。

オ.本件特許発明1は「前記セパレータの厚み(mm)と25℃における引張弾性率(N/mm^(2))との積が、200N/mm以上であ」るのに対し、甲1発明にはその旨の特定はされていない。

カ.本件特許発明1は「前記熱硬化性封止用シートの50℃?100℃の範囲内における最低溶融粘度が100kPa・s以上である」のに対し、甲1発明にはその旨の特定はされていない。

そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは、
「セパレータと熱硬化性封止用シートとを有する中空型電子デバイス封止用シート」の点で一致し、
以下の点で相違する。

<相違点1>
本件特許発明1は「前記セパレータの厚み(mm)と25℃における引張弾性率(N/mm^(2))との積が、200N/mm以上であ」るのに対し、甲1発明にはその旨の特定はされていない。

<相違点2>
本件特許発明1は「前記熱硬化性封止用シートの50℃?100℃の範囲内における最低溶融粘度が100kPa・s以上である」のに対し、甲1発明にはその旨の特定はされていない。

ここで、相違点1について、異議申立人は、特許異議申立書にて以下の主張をしている。
「まず、相違点1について検討すると、甲1発明は、基材について曲げ剛性で特定している。
ここで、曲げ剛性は、甲第2号証に記載されているように、曲げ剛性率E(N/mm^(2))と断面二次モーメントI(mm^(4))を掛け合わせたものであり、下記式(1)で定義される値である。
曲げ剛性(N・mm^(2))=E(N/mm^(2))×I(mm^(4)) (式1)
また甲1発明では、曲げ剛性の単位として「kg・mm」が使用されているが(例えば、請求項1)、1Nは1kg・m/s^(2)であること、甲第1号証では重力加速度9.8m/s^(2)を考慮せずに質量単位系として検討することから、曲げ剛性の単位として正しくは「kg・mm^(2)」であるといえる。
よって、下記検討については、曲げ剛性の単位として「kg・mm^(2)」を用いて説明する。
次いで、上記甲第2号証の記載を参酌すると、上記式(1)における断面二次モーメントIは、bh^(3)/12と表すことができる。ここで、bは断面の中立軸に平行な辺の長さすなわち(柱やフィルムの)幅(mm)、hは同じく垂直な辺の長さすなわち高さあるいは厚み(mm)である。
上記式(1)において、断面二次モーメントIとしてbh^(3)/12を代入すると、下記式(2)として表すことができる。
曲げ剛性(kg・mm^(2))=E×bh^(3)/12 式(2)
一方、本件特許発明1に記載の、セパレータにおける厚みh(mm)と25℃における引張弾性率E’(N/mm^(2))との積(以下、セパレータ特性という。)は、下記式(3)として表すことができる(E’は異議申立人が追記した。)。
セパレータ特性(N/mm)
=セパレータの厚みh(mm)×引張弾性率E’(N/mm^(2)) 式(3)
ここで、上記式(3)の右辺に(断面二次モーメントI/断面二次モーメントI=1)を掛け、式を変形すると、次の式(4)のように表すことができる。
セパレータ特性=E’×h×(I/I)
=(E’I)×h/I
=(E’I)×(h/(bh^(3)/12)) 式(4)
また、甲第3号証に記載の如く、「引張試験で測定したヤング率が引張弾性率、曲げ試験で測定したヤング率が曲げ弾性率である。」であることから、本件特許発明1における引張弾性率E’は、上記式(1)における曲げ弾性率Eと同等のものであることが理解できる。
してみると上記式(4)における、右辺第1項目のE’Iは上記式(1)で示した曲げ剛性と同等のものであるといえるから、上記式(4)は下記式(5)、(6)として表すことができる。
セパレータ特性=曲げ剛性EI×(12/幅b×厚みh^(2)) 式(5)
曲げ剛性=(セパレータ特性×幅b×厚みh^(2))/12 式(6)
次に、本件特許明細書の値を式(6)に代入して、曲げ剛性への変換を行う。
・・・(中略)・・・
上記の結果より、本件特許発明1のセパレータにおいて、厚み(mm)と25℃における引張弾性率(N/mm^(2))との積(セパレータ特性)として実施例の値を代入し、曲げ剛性に変換すると、本件特許発明1のセパレータの曲げ剛性値は0.031?0.075kg・mm^(2)となり、甲1発明における基材の曲げ剛性の範囲(0.01?50kg・mm^(2))に含まれることが理解できる。
してみると、本件特許発明1に係るセパレータにおいて、厚み(mm)と25℃における引張弾性率(N/mm^(2))との積が200N/mm以上であれば、甲1発明の基材の曲げ剛性の範囲を満足することは明らかである。」

そこで、異議申立人の主張を検討する。甲第3号証(上記「第4 3.」参照)には、「引張弾性率及び曲げ弾性率は、試験方法及び算出方法が異なり、また、同じ材料でも異なった値を示す」と記載されている。したがって、引張弾性率を曲げ弾性率と同等のものとする異議申立人の主張は失当であり、本件特許明細書の値を代入した場合に、必ずしも本件特許発明1のセパレータにおいて、厚み(mm)と25℃における引張弾性率(N/mm^(2))との積が200N/mm以上であれば、甲1発明の基材の曲げ剛性の範囲を満足することは明らかであるとは断言できない。よって、相違点1は甲第1号証に記載された事項とはいえず、異議申立人の主張を採用することはできない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。

(2)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に対して、さらにセパレータの厚みが50μm以上であるという技術的事項を追加したものである。よって、(1)に示した理由と同様の理由により、請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。

2.特許法第29条第2項について
(1)請求項1に係る発明について
相違点1について検討すると、相違点1に係る本件特許発明1のセパレータの厚み(mm)と25℃における引張弾性率(N/mm^(2))との積が200N/mm以上であるという構成は、甲第1号証ないし甲第4号証には記載されておらず、本件特許出願前において周知技術であるともいえない。
また、相違点1に係る本件特許発明1のセパレータの厚み(mm)と25℃における引張弾性率(N/mm^(2))との積が200N/mm以上であるという構成によって、電子デバイスの埋め込み時に、熱硬化性封止用シートの天面に凹凸が生じることを抑制することができるという格別顕著な効果を得られることを、当業者が予測し得たとは到底認められない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第4号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に対して、さらにセパレータの厚みが50μm以上であるという技術的事項を追加したものである。よって、(1)に示した理由と同様の理由により、請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第4号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1及び2に係る発明を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び2に係る発明を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-04-18 
出願番号 特願2015-11009(P2015-11009)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (H01L)
P 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 豊島 洋介  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 國分 直樹
佐々木 洋
登録日 2018-08-03 
登録番号 特許第6379051号(P6379051)
権利者 日東電工株式会社
発明の名称 中空型電子デバイス封止用シート  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  

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