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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A23L |
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管理番号 | 1351460 |
異議申立番号 | 異議2019-700086 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-02-06 |
確定日 | 2019-05-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6371497号発明「容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6371497号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6371497号の請求項1?6に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成25年2月4日(優先権主張 平成24年6月22日)の出願であって、平成30年7月20日にその特許権の設定登録がされ、同年8月8日にその特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、平成31年2月6日に筧田 博章(以下「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件発明1」などともいう。)である。 「【請求項1】 もち種ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉であるもち種架橋澱粉を含有し、かつ、HLB10以上のショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、前記もち種架橋澱粉で粘性を付けた流動状食品である容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品(ただし、冷凍食品を除く)。 【請求項2】 もち種架橋澱粉が、コーン、米、及びイモからなる群より選ばれた1種以上に由来する、請求項1記載の食品。 【請求項3】 前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が0.01?1質量%である、請求項1又は2に記載の食品。 【請求項4】 もち種架橋澱粉の含有量が0.05?10質量%である、請求項1?3のいずれか1項に記載の食品。 【請求項5】 さらに、未加工澱粉を含有する請求項1?4のいずれか1項に記載の食品。 【請求項6】 レトルト食品である、請求項1?5のいずれか1項に記載の食品。」 第3 申立理由の概要 特許異議申立人は、甲第1?甲第6号証を提出し、本件発明1?6は、甲第1号証(主引用例)に記載された発明、甲第2?甲第6号証に記載された事項及び周知の技術的事項に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張する。 そして、甲第1?甲第6号証(以下「甲1」などという。)として、以下のものが挙げられている。 甲1:特開昭63-22148号公報 甲2:特開2012-139126号公報 甲3:特開2012-135267号公報 甲4:特開2011-130号公報 甲5:FOOD INNOVATION ?食品用製品一覧表? Ver.9 10'05、日澱化學株式会社 甲6:松谷化学工業株式会社、菅野祥三、加工でん粉の基礎知識と現状について、2010年3月、独立行政法人農畜産業振興機構のホームページ、最終更新日2010年5月10日、https://www.alic.go.jp/joho-d/joho07_000055.htmlを印刷したもの 第4 甲各号証の記載及び引用発明 1 甲各号証の記載 (1)甲1(特開昭63-22148号公報) 1a)「アミロペクチンを主体としてなる澱粉2-8重量%、油脂5-25重量%、糖類30-60重量%、乳化剤0.05-1.0重量%、安定剤としてキサンタンガム0.05-0.3重量%、及び呈味物質と水とを含有する均一混合物を調製し、これをUHT処理することを特徴とする高粘性フィリングの製造方法。」(特許請求の範囲) 1b)「本発明者らは、上記の問題点に鑑み、昨今の多様化、複合化、和洋折衷化の嗜好変化を加味し、カスタードクリームタイプで、更に保形性、風味及び食感に優れ、汎用性の高い素材を提供すべく検討を重ねた結果・・・」(2頁左上欄12?16行) 1c)「従って、本発明では、もち米澱粉、ワキシーコーンスターチに代表される実質的にアミロペクチンからなる澱粉、あるいは分画して得られたアミロペクチンが用いられる。 また必要に応じて、これらの澱粉をエステル化、エーテル化、リン酸架橋、酸化、酵素処理、α化、熱処理等の化学的、物理的処理を施したものを使用することができる。」(2頁右上欄17行?左下欄4行) 1d)「上記澱粉の添加量は2-8重量%が適切である。2重量%に満たないと、フィリングとしての粘性を維持できず、8重量%を越えると、粘性が極めて高くなる・・・」(2頁左下欄5?8行) 1e)「上記糖類の添加量は30-60重量%が適切である。30重量%に満たないと、澱粉、呈味物質の風味上のバランスが崩れ呈味が劣り、60重量%を越えると、UHT処理によっても澱粉のα化が促進されず流動状を呈してしまう。」(2頁右下欄10?14行) 1f)「本発明に使用される乳化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理された化工レシチンなどが挙げられ、これらの中から一種又は二種以上を適宜選択して使用できる。」(2頁右下欄15?20行) 1g)「上記乳化剤の添加量は0.05-1.0重量%が適切である。」(3頁左上欄1?2行) 1h)「上記キサンタンガムの添加量は0.05-0.3重量%が適切である。0.05重量%に満たないと、保形性が弱く、クリーミーな食感が得られず・・・」(3頁左上欄14?17行) 1i)「本発明では上記の成分を混合して均一混合物を調製し、これをUHT処理する。このUHT処理は腐敗の原因となる微生物の滅菌を目的の一つとするが、主たる目的は均一混合物の加熱加工手段であり、UHT処理を均一混合物調製後に行うことによってのみ始めて本発明の高粘性フィリングを得ることができる。」(3頁右上欄13?19行) 1j)「実施例1 上昇融点30℃の大豆硬化油15重量%を70℃で加熱溶解し、これにレシチン0.2重量%を70℃で加熱溶解し、油相を調製した。 別に、蔗糖脂肪酸エステル(HLB14)0.3重量%、もち米澱粉(島田化学工業製モチライススターチ)3重量%、化工澱粉(王子ナショナル製インスタントピュアフロ:原料ワキシーコーンスターチ)2重量%。上白糖10重量%、マルトース10重量%、ソルビトール10重量%、還元澱粉糖化物(日研化学製エスイー100)10重量%、キサンタンガム0.15重量%、呈味物質として柚子果肉ペースト5.0重量%、及び卵黄2.0重量%を水33.35重量%に分散させ水相を調製した。 上記水相を40℃に加熱した後上記の油相と混合し、この混合物をプロペラ攪拌機でゆるやかに混合攪拌しながら、約50℃に保持して30分間均一混合を施した。次に、該均一混合物を、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(アルファラバル社製)を通して140℃で殺菌した後、急冷して高粘性フィリングを得た。 この高粘性フィリングは、無菌条件下に10℃で40日間保存しても油分離、水分離は認められなかった。また、この高粘性フィリングを、背割りパン、シュー、ドラ焼き、大福にフィリングし、25℃で24時間保存したが、保形性が良く、また食感が良く、生地とよくマッチしていた。」(4頁左上欄6行?右上欄13行) (2)甲2(特開2012-139126号公報) 2a)「【0010】 油脂及び澱粉質を含む加熱殺菌済流動状食品は、油脂、澱粉質及び水分を含み、これらによって風味と物性が付与された流動状食品で、加熱殺菌処理が施されたものである。流動状食品としてはカレーソース、シチュー、ベシャメルソース、ホワイトソース等の各種ソース、ポタージュ等の各種スープ、クリーム系等のスプレッド、フィリング、ドレッシング、タレ、濃縮ペーストが挙げられ、本発明は特にカレーソースに有用である。流動状食品は油脂及び澱粉質を含むルウを水や牛乳で溶きのばしたソース等として調製することができる。本発明は特に粘度(60℃、B型粘度計)が300?10000cp、好ましくは500?3000cp、さらに好ましくは500?1500cpの流動状食品に有用である。」 (3)甲3(特開2012-135267号公報) 3a)「【請求項8】 前記粘性食品がカレーソース、シチューソース、ハヤシソース、パスタソース、ベシャメルソース、ホワイトソース、ポタージュスープ、フィリング及びスプレッドからなる群から選択された1つ以上である請求項1?7のいずれか1項に記載の具材入り粘性食品の製造方法。」 3b)「【0027】 本発明に用いられる粘性食品は澱粉及び水を含有し、これらにより粘性が付与された食品組成物である。必要に応じて油脂を含有する。通常はカレーソース、シチューソース、ハヤシソース、パスタソース、ベシャメルソース、ホワイトソースなどの各種ソース、ポタージュなどの各種スープなどの形態や、パンのための詰め物(フィリング)、クリーム系などのスプレッドの形態であるがこれらには限定されない。本発明を各種ソースに適用することが有用である。」 (4)甲4(特開2011-130号公報) 4a)「【0007】 本発明では、例えば、カレーソース、ホワイトソース、シチュー、ハヤシライスソース、パスタソース、デミグラソース等のソース類、コーンスープ、ポタージュースープ等のスープ類、カレーフィリング等のような加熱調理済み食品又はこれらに具材が含まれている加熱調理済み食品の製造において、乾燥状態での粒度と硬さ(最大荷重)を調整した馬鈴薯粉砕物を前記加熱調理済み食品中に加えることで、加熱調理やレトルト処理を行っても煮崩れずにやや弾力のある適度な粒状感(つぶつぶ感)を有する食品を提供することができる。」 (5)甲5(FOOD INNOVATION ?食品用製品一覧表? Ver.9 10'05、日澱化學株式会社) 5a)「デリカ E-7 ・・・ 用途:タレ、ソース類の増粘安定 フィリング等、ペースト状食品の食感改良及び品質安定」(1.加熱糊化タイプの項) 5b)「MXPP ・・・ 用途:フィリング等、ペースト状食品の食感改良及び品質安定 冷凍食品、レトルト食品の品質改良」(1.加熱糊化タイプの項) 5c)「スターチ No.100 ・・・ 用途:フィリング等、ペースト状食品の食感改良及び品質安定」(1.加熱糊化タイプの項) 5d)「平成20年10月1日、食品衛生法施工規則の一部を改正する省令が交付され、次の加工でん粉11品目については、食品添加物として取り扱われることとなりました。 ・・・ ・ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン」(加工でん粉の添加物指定についての項) (6)甲6(松谷化学工業株式会社、菅野祥三、加工でん粉の基礎知識と現状について、2010年3月、独立行政法人農畜産業振興機構のホームページ、最終更新日2010年5月10日、https://www.alic.go.jp/joho-d/joho07_000055.htmlを印刷したもの) 6a)「 」(表1) 2 引用発明 上記摘示1a?1j、特に摘示1jの記載からみて、甲1には、 「蔗糖脂肪酸エステル(HLB14)、もち米澱粉を含有する混合物を、UHT滅菌装置を通して140℃で殺菌して得られる高粘性フィリング」の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 第5 当審の判断 1 本件発明1について (1)対比・判断 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「蔗糖脂肪酸エステル(HLB14)」は、本件発明1の「HLB10以上のショ糖脂肪酸エステル」に相当する。 甲1発明の「もち米澱粉」は、もち種澱粉である限りにおいて、本件発明1の「もち種澱粉」と一致する。 また、摘示1dの記載からみて、甲1発明は、澱粉により粘性を付与したものといえ、さらに、甲1発明は、「UHT滅菌装置を通して140℃で殺菌して得られる高粘性フィリング」であり、これらは、本件発明1の「前記もち種澱粉で粘性を付けた」ことに相当し、「加熱殺菌処理済食品」に相当する。 そして、甲1発明は、冷凍食品ではない。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、 「もち種澱粉を含有し、かつ、HLB10以上のショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、前記もち種澱粉で粘性を付けた食品である加熱殺菌処理済食品(ただし、冷凍食品を除く)。」である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 食品について、本件発明1が、「流動状」であるのに対し、甲1発明は、流動状とはされていない点 <相違点2> もち種澱粉について、本件発明1が、「もち種ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉」であるのに対し、甲1発明は、「もち米澱粉」である点 <相違点3> 加熱殺菌処理済食品について、本件発明1が、「容器に充填・密封された」とされているのに対し、甲1発明は、容器に充填・密封されたとはされていない点 上記相違点1?3について検討する。 <相違点1>について 甲1発明のフィリングは、「保形性が良」いとされているから(摘示1b、1j)、流動状であるとは認められない。 また、甲1には、「保形性・・・に優れ」(摘示1b)ることが記載され、さらに、「60重量%を越えると、UHT処理によっても澱粉のα化が促進されず流動状を呈してしまう」(摘示1e)、「0.05重量%に満たないと、保形性が弱く」なる(摘示1h)ことが記載され、流動状となることを避け、保形性が必要であると解される記載がある。 してみると、甲2?甲6に記載された事項及び本件優先日における周知の技術的事項を参酌しても、保形性が良い甲1発明のフィリングをあえて流動状とする動機付けは見出せず、甲1発明のフィリングを流動状とすることが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 <相違点2>について 甲1には、澱粉をエステル化、エーテル化、リン酸架橋、酸化、酵素処理、α化、熱処理等の化学的、物理的処理を施したものを使用することができることが記載されているが(摘示1c)、「もち種ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉」を用いることについては記載されていない。 一方、甲6には、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンがエーテル化、エステル化処理されたものであることが記載されており(摘示6a)、甲5及び甲6には、加工澱粉として「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン」が記載されているから(摘示5d、6a)、「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン」は加工澱粉として周知であるといえる。 しかしながら、甲1には、澱粉の化学的、物理的処理について、ヒドロキシプロピル化に対応するエーテル化、リン酸架橋の他にも、エステル化、酸化、酵素処理、α化、熱処理等が記載されており、また、ヒドロキシプロピル化することは甲1には記載がないから(なお、甲6の記載をみても甲1に記載の「エーテル化」が「ヒドロキシプロピル化」と同義であるとはいえない。)、たとえ甲5及び甲6に記載されるように、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンが周知の加工澱粉であったとしても、甲1に記載されたさまざまな化学的、物理的処理のうちから、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋を選択した上で、甲1発明における「もち米澱粉」をヒドロキシプロピル化リン酸架橋したものとすることが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 そして、甲2?甲4に記載された事項、本件優先日における周知の技術的事項を考慮しても、甲1発明における「もち米澱粉」をヒドロキシプロピル化リン酸架橋したものとすることが当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。 <相違点3>について 甲1発明のフィリングは、10℃で40日間保存されるものであるところ(摘示1j)、一般に、フィリング等の食品を保存する場合に容器に充填し、密閉することは、本件優先日における周知・慣用技術である。 してみると、甲1発明のフィリングを「容器に充填・密封された」ものとすることは当業者が容易になし得た事項である。 以上のとおり、<相違点3>に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるといえるものの、<相違点1>及び<相違点2>に係る本件発明1の技術的事項を採用することは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえないから、その効果について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明、甲2?甲6に記載された事項及び周知の技術的事項に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはえいない。 したがって、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえず、本件発明1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第113条第1項第2号に該当して、取り消されるべきものであるとすることはできない。 2 本件発明2?6について 本件発明2?6はいずれも本件発明1を引用するものであって、本件発明1の発明特定事項全てをその発明特定事項とする発明であるから、本件発明1が甲1に記載された発明、甲2?甲6に記載された事項及び周知の技術的事項に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはえいない以上、本件発明2?6も甲1に記載された発明、甲2?甲6に記載された事項及び周知の技術的事項に基いて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、本件発明2?6は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえず、本件発明2?6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第113条第1項第2号に該当して、取り消されるべきものであるとすることはできない。 3 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、甲1には 「 また、前記フィリングにおいて、 上記特許異議申立人の主張する発明は、上記第4、1、(1)で示した、摘示1a、1c、1d、1f、1g、1i、1jにおける甲1の記載に基づくもの、すなわち、上記各摘示の各所の記載事項を組み合わせたものと解されるが、当該発明は、甲1にそのとおりに記載されているものではなく、かつ、上記各所の記載事項には、一般的な事項と具体例における事項とが混在し、また「必要に応じて」とされる事項も存在するから、甲1にそれらを組み合わせた発明が、まとまりのある発明として記載されているとはいえない。 したがって、特許異議申立人の主張はその前提において誤りがある。 さらに、特許異議申立人は、「流動状食品にフィリングが含まれることは、当該技術分野における技術常識である」、「「もち米澱粉、ワキシーコーンスターチに代表されるアミロペクチンからなる澱粉」は、「もち種」に属する澱粉である。「澱粉をエーテル化、リン酸架橋等の化学的、物理的処理を施した」ことは、澱粉を「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋」することに相当する」と主張するが、甲1発明のフィリングが流動状であるとは認められないこと、甲1に「もち種ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉」を用いることについては記載されていないことは、いずれも上記1で述べたとおりである。 したがって、上記特許異議申立人の主張は採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1?6に係る特許は、特許異議申立人が申立てた理由及び証拠によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件発明1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-05-08 |
出願番号 | 特願2013-19673(P2013-19673) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(A23L)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高山 敏充 |
特許庁審判長 |
村上 騎見高 |
特許庁審判官 |
冨永 保 瀬下 浩一 |
登録日 | 2018-07-20 |
登録番号 | 特許第6371497号(P6371497) |
権利者 | ハウス食品グループ本社株式会社 |
発明の名称 | 容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 浅井 賢治 |
代理人 | 服部 博信 |
代理人 | 山崎 一夫 |
代理人 | 市川 さつき |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 箱田 篤 |