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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C01B |
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管理番号 | 1351681 |
審判番号 | 訂正2019-390020 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2019-02-07 |
確定日 | 2019-04-22 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5808106号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5808106号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許は、発明の名称を「屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有するコロイダルシリカ及びその製造方法」とする特許第5808106号(以下、「本件特許」という。)であって、平成21年9月1日(優先権主張 平成20年9月26日 日本)を国際出願日とする特願2010-530800号の請求項1?9に係る発明について、平成27年9月18日に特許権の設定登録がなされたものである。 その後、本件特許に対し、平成31年2月7日に本件訂正審判の請求がなされた。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 1 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?3について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 2 訂正の内容 本件訂正審判に係る特許請求の範囲の訂正の内容は、以下に示すとおりのものである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。 (1)請求項1?3からなる一群の請求項に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「ケイ酸アルキルを原料として得られるコロイダルシリカであって、 屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有し、 固体^(29)Si-CP/MAS-NMRスペクトルを測定し、コロイダルシリカ由来ピークの合計強度を100とした場合のSi(OH)_(0)のピーク強度比が40以上であり、 屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、走査型電子顕微鏡で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中の30%以上であり、 固体^(29)Si-CP/MAS-NMRスペクトルによりOH基を近傍に持つ^(29)Siを検出して、内部標準ピーク面積値で規格化した3ピークの合計面積であるピーク面積値が15以下であり、 1)ナトリウム、2)カルシウム及びマグネシウムからなる群から選ばれるアルカリ土類金属並びに3)鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、鉛、銀、マンガン及びコバルトからなる群から選ばれる重金属類の含有量がそれぞれ1重量ppm以下である、 ことを特徴とするコロイダルシリカ。」とあるのを、 「ケイ酸アルキルの加水分解液を原料として得られるコロイダルシリカであって、 屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有し、 固体^(29)Si-CP/MAS-NMRスペクトルを測定し、コロイダルシリカ由来ピークの合計強度を100とした場合のSi(OH)_(0)のピーク強度比が40以上であり、 屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、走査型電子顕微鏡で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中の30%以上であり、 固体^(29)Si-CP/MAS-NMRスペクトルによりOH基を近傍に持つ^(29)Siを検出して、内部標準ピーク面積値で規格化した3ピークの合計面積であるピーク面積値が15以下であり、 1)ナトリウム、2)カルシウム及びマグネシウムからなる群から選ばれるアルカリ土類金属並びに3)鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、鉛、銀、マンガン及びコバルトからなる群から選ばれる重金属類の含有量がそれぞれ1重量ppm以下である、 ことを特徴とするコロイダルシリカ。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、並びに、請求項1及び請求項2の記載を引用する請求項3についても同様に訂正する)。 第3 当審の判断 1 請求項1?3に係る訂正(訂正事項1)について (1)一群の請求項について 請求項1?3は、訂正事項1を含む本件訂正前の請求項1を請求項2が引用し、同請求項1及び2を請求項3が引用しているから、一群の請求項である。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第3項に規定する要件を満たすものである。 (2)訂正の目的の適否について 本件訂正前の請求項1で、「ケイ酸アルキルを原料として得られるコロイダルシリカ」としていたものを、本件訂正後の請求項1で「ケイ酸アルキルの加水分解液を原料として得られるコロイダルシリカ」とする訂正は、訂正前の請求項1に係る発明におけるコロイダルシリカの原料を限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3)新規事項の追加の有無について 本件特許の願書に添付した明細書の段落【0112】には、「加水分解液でなく、TMOSを直接フィードする方法では、pHは同様に低下するが異形化は起こらない。TMOSを事前に加水分解し、加水分解液とすることが必須である事が分かる。」と記載されていることから、本件特許発明において、ケイ酸アルキルの一種であるテトラメチルオルトシリケート(TMOS)の加水分解液が原料とされていたことは明らかである。 してみると、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項に規定する要件を満たすものである。 (4)特許請求の範囲の実質的拡張又は変更の存否について 訂正事項1は、上記(2)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項に規定する要件を満たすものである。 (5)独立特許要件の充足について 訂正前の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明は拒絶理由を発見しないとして特許されたものであり、また、原料について、ケイ酸アルキルを、その加水分解液に限定することで、新たな拒絶理由が生じるものではないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明も、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項に規定する要件を満たすものである。 第4 結び 以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第3項、及び、同条第5項?第7項までの規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ケイ酸アルキルの加水分解液を原料として得られるコロイダルシリカであって、 屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有し、 固体^(29)Si-CP/MAS-NMRスペクトルを測定し、コロイダルシリカ由来ピークの合計強度を100とした場合のSi(OH)_(0)のピーク強度比が40以上であり、 屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、走査型電子顕微鏡で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中の30%以上であり、 固体^(29)Si-CP/MAS-NMRスペクトルによりOH基を近傍に持つ^(29)Siを検出して、内部標準ピーク面積値で規格化した3ピークの合計面積であるピーク面積値が15以下であり、 1)ナトリウム、2)カルシウム及びマグネシウムからなる群から選ばれるアルカリ土類金属並びに3)鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、鉛、銀、マンガン及びコバルトからなる群から選ばれる重金属類の含有量がそれぞれ1重量ppm以下である、 ことを特徴とするコロイダルシリカ。 【請求項2】 前記ケイ酸アルキルは、テトラメチルオルトシリケートである、請求項1に記載のコロイダルシリカ。 【請求項3】 請求項1又は2に記載のコロイダルシリカを含む研磨剤。 【請求項4】 1)アルカリ触媒及び水を含むpH9?12の母液を調製する工程及び 2)ケイ酸アルキルを加水分解して得られる加水分解液を前記母液に添加する工程 を含むコロイダルシリカの製造方法であって、 前記加水分解液を前記母液に添加する工程は、 A)混合液のpHが7未満となるまで前記加水分解液を添加する工程1 B)混合液のpHが7以上となるまでアルカリ水溶液を添加する工程2及び C)混合液のpHを7以上に維持しながら前記加水分解液を添加する工程3 を順に有し、 前記母液に予め種粒子を添加することなく工程1?3が実施され、 前記コロイダルシリカは、ケイ酸アルキルを原料として得られ、屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有し、 固体^(29)Si-CP/MAS-NMRスペクトルを測定し、コロイダルシリカ由来ピークの合計強度を100とした場合のSi(OH)_(0)のピーク強度比が40以上であり、 屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子の含有量は、走査型電子顕微鏡で観察した20万倍での任意の視野内の粒子個数中の30%以上であり、 固体^(29)Si-CP/MAS-NMRスペクトルによりOH基を近傍に持つ^(29)Siを検出して、内部標準ピーク面積値で規格化した3ピークの合計面積であるピーク面積値が15以下であり、 1)ナトリウム、2)カルシウム及びマグネシウムからなる群から選ばれるアルカリ土類金属並びに3)鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅、亜鉛、鉛、銀、マンガン及びコバルトからなる群から選ばれる重金属類の含有量がそれぞれ1重量ppm以下である、 ことを特徴とする製造方法。 【請求項5】 前記ケイ酸アルキルは、テトラメチルオルトシリケートである、請求項4に記載の製造方法。 【請求項6】 前記加水分解を無触媒下で行う、請求項4又は5に記載の製造方法。 【請求項7】 工程1において、混合液のpHが6以上7未満となるまで前記加水分解液を添加する、請求項4?6のいずれかに記載の製造方法。 【請求項8】 工程1及び工程3において、前記加水分解液を前記母液に添加する添加速度が41gシリカ/時/kg母液以下である、請求項4?7のいずれかに記載の製造方法。 【請求項9】 混合液のpHが7未満である時間が0.5?5時間となるように工程1及び工程2を実施する、請求項8に記載の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2019-03-28 |
結審通知日 | 2019-04-01 |
審決日 | 2019-04-12 |
出願番号 | 特願2010-530800(P2010-530800) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(C01B)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
大橋 賢一 |
特許庁審判官 |
後藤 政博 蛭田 敦 |
登録日 | 2015-09-18 |
登録番号 | 特許第5808106号(P5808106) |
発明の名称 | 屈曲構造及び/又は分岐構造を持つシリカ二次粒子を含有するコロイダルシリカ及びその製造方法 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |