• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1351816
審判番号 不服2018-8541  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-21 
確定日 2019-06-04 
事件の表示 特願2014- 5015号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月23日出願公開、特開2015-131042号、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年1月15日の出願であって、平成29年8月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月26日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年3月19日付け(謄本送達日:同年同月27日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年6月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成29年10月26日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載の事項によりそれぞれ特定されるものと認められるところ、請求項1ないし4に係る発明(以下、本願の請求項1ないし4に係る発明をそれぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
枠体に対して取り換え可能に組み付けられている遊技盤ユニットの遊技面が枠体に対して開閉可能にヒンジ結合されたガラス枠によって覆われている遊技機であって、
遊技盤ユニットには、遊技者側に向かってガラス枠の前方に張り出す装飾体が枠体に対して閉じ状態のガラス枠の一部を挟み込み可能に組み付けられており、
装飾体は、装飾体自身が、ヒンジ結合によるガラス枠の開閉を妨げることがないように、ガラス枠の一部を挟み込んだ進出状態から退行状態に切り替え可能に遊技盤ユニットに組み付けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機であって、
遊技盤ユニットは、遊技面を有する遊技盤と、遊技盤に発射された遊技球を案内するレール飾りと、から構成されており、
装飾体は、レール飾りに対してブラケットを介して組み付けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機であって、
遊技盤ユニットは、遊技面を有する遊技盤から構成されており、
装飾体は、遊技盤に対してブラケットを介して組み付けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1?3に記載の遊技機であって、
装飾体を進出状態にロックするロック機構が備えられていることを特徴とする遊技機。」

第3 原査定の概要
原査定の概要は以下のとおりである。
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2006-110246号公報

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2006-110246号公報(平成18年4月27日出願公開、以下「引用例」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図面とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために審決で付した。以下同じ。)。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、スロットマシン、パチロット遊技機等の各種の遊技機に関するものである。」

(2)「【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の遊技機を具体化した各実施形態について説明する。最初に、第一の実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」と称する)1について説明する。パチンコ機1は、内部の遊技球払い出し機構を利用して遊技球の貸し出しを行うCR機と称されるタイプのパチンコ機であり、図1に示すように、カードユニット20が隣接配置され且つ電気的に接続されている。カードユニット20は、予め金額情報が記録された価値媒体としての図示しないプリペイドカードを投入可能なカード投入口21を有し、プリペイドカードから金額情報の読み出し及び書き込みが可能となっている。
【0032】
パチンコ機1は、図1乃至図4に示すように、外枠2と、その外枠2の前部に設けられ外枠2の一側部にて開閉可能に支持され且つ遊技領域14を有する本体枠3とを備えている。外枠2は、パチンコ機1のベースとなる枠であり、板材により全体として矩形状に構成され、本体枠3を矩形開口内にて開閉可能に支持している。また、外枠2前面下部には、合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂からなり、前方へ突出形成された左右一対の脚状部67a,67aを有する下部装飾部材67が取り付けられている。また、左右一対の脚状部67a,67aの下面には弾性体としてのゴム部材67c,67cが取り付けられており、脚状部67a,67aがゴム部材67c,67cにてパチンコ機1が載置される床面(遊技機島台の載置面)に当接するように設けられている。尚、本実施の形態では、外枠2は木製であって、上下方向の長さは808mm、左右方向の長さは520mmとなっている。また、脚状部67a,67aが、本発明の本体延設部を構成するものである。
・・・略・・・
【0034】
本体枠3には、後述する下皿ユニット51を除く本体枠3の前面側を覆うように、ガラス扉枠4が本体枠3左端の垂直軸心回りに開閉自在に設けられている。さらに、本体枠3には、装飾枠60が本体枠3上端の水平軸心回りに開閉自在に設けられている。尚、ガラス扉枠4が本発明の窓枠を構成するものであり、装飾枠60を除き、外枠2、本体枠3及
びガラス扉枠4を主要構成とするパチンコ機1の全ての部分が、本発明の遊技機本体を構成するものである。
【0035】
本体枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、図5に示すように、遊技盤5が着脱可能に装着されている。なお、遊技盤5は、その周縁部が本体枠3の裏側に当接した状態で取り付けられており、図5では、遊技盤5の前面部の略中央部分だけが本体枠3の前面側に露出した状態となっている。この遊技盤5の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは451mmとなっている。また、遊技盤5には、ルータ加工が施されることによって複数の開口部が形成されており、各開口部には、普通入賞チャッカー6、可変入賞装置7、作動チャッカー8、スルーチャッカー10等が配設されている。」

(3)「【0051】
次に、装飾枠60について、図10乃至図13を参照しつつ説明する。装飾枠60は、合成樹脂の成形加工により四方連携状に形成され且つ背面の各コーナー近傍(4箇所)に立脚部60fが突設された装飾枠本体60Aと、鋼材やアルミダイキャスト等の金属材料によりガラス扉枠4の窓部41を囲むフレーム状に形成され且つ装飾枠本体60Aの立脚部60fに取り付け固定されるベース部材60Bとを備え、ガラス扉枠4の窓部41の隠蔽を回避しつつ、ガラス扉枠4の前側表面の略全域を立ち上がった状態で覆うよう構成されている。ここで、図10(a)は、装飾枠本体60Aの正面図であり、(b)は装飾枠本体60A上部の張出し部61を透視して示す正面図である。また、図11(a)は、ベース部材60Bを示す正面図である。尚、装飾枠本体60Aは、各コーナー近傍(4箇所)に突設された立脚部60fにおいてベース部材60B前面に固定される。具体的には、装飾枠本体60Aの各立脚部60fにネジ孔60gが形成され、ビス60hを背面側からベース部材60Bの各コーナー(4箇所)に形成された取り付け孔60eを通してネジ孔60gに螺着することによって装飾枠本体60Aがベース部材60Bに固定される(図11(c)参照)。
・・・略・・・
【0060】
また、ベース部材60B上端には、折り曲げ板形状のヒンジ65が左右一対に取り付けられており、装飾枠60はヒンジ65を介して本体枠3に対して水平軸心回りに(すなわち、上下に)開閉自在に枢着されている。尚、ヒンジ65はベース部材60B上端に配設されているが、これに代えて上部の左右両側面に配設してもよい。ここで、図12は、装飾枠60が上方へ開放されて水平姿勢となった状態を示している。また、図13(a)は、装飾枠60を上方に開放すると共にガラス扉枠4を左側へ開放し、この状態で装飾枠60をガラス扉枠4の上端で支持させることにより、装飾枠60を開放位置に保持した様子を示す図である。具体的には、図13(b)に示すように、ベース部材60B背面に係合突起60dが、ガラス扉枠4上端に係合突起60dに整合する係合凹部4aがそれぞれ形成され、係合突起60dと係合凹部4aとが係合することにより、上方に開放された装飾枠60がガラス扉枠4上端に載置された状態が保持される。
・・・略・・・
【0062】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、本体枠3を外枠2側へ閉じ、更にガラス扉枠4及び装飾枠60を本体枠3側へそれぞれ閉じることにより、装飾枠60の膨出部63より延設された装飾枠延設部64,64と外枠2の下部装飾部材67より延設された脚状部67a,67aとが互いに当接し、膨出部63が装飾枠延設部64,64及び脚状部67a,67aを介して外枠2にて下方から支持される支持構造が形成されるので、簡単な構造で確実に膨出部63の強度(特に、下向きの力に対する強度)を高めることができる。よって、遊技者が膨出部63に肘を突く等の動作を行って上体の体重を掛けた場合にも膨出部63が破損することを防止できる。さらに、膨出部63に掛かる荷重が支持構造を介して本体側(外枠2)にて分担されるため、装飾枠60の本体枠3に対する取り付け部分に過大な荷重が掛かることが防止され、ヒンジ65が破損することを防止することができる。また、上述した支持構造によって強度が増大されることにより、装飾枠60において膨出部63やその他の立体的装飾をさらに大型化することが可能となり、これにより優れた視覚的効果が発揮される。具体的には、遊技ホールにおいて遊技者の興味を惹きつけて当該パチンコ機1の選択を促したり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果を発揮することが期待される。尚、下部装飾部材67の左右に設けられた脚状部67a,67aの中間に空間が形成されるため、遊技球を貯留するための貯留箱(いわゆるドル箱)を遊技機島台上でパチンコ機1の手前中央に載置することができる。
【0063】
また、装飾枠60がガラス扉枠4側へ突設された立脚部60fを有するので、装飾枠60がガラス扉枠4から立ち上がった構造が形成され、ガラス扉枠4と装飾枠60との二段構成からなる立体的装飾を容易に形成することができる。そして、装飾領域が拡大されることにより、遊技ホールにおいて遊技者の注目を集めたり、遊技の雰囲気を盛り上げる等の効果が発揮される。また、装飾枠60が四方連携状に形成されることによって、遊技機前面の少なくとも一部を構成する装飾枠60において強度を確保することができるので、製品輸送やホール設置に伴う作業負荷や遊技ホールで遊技者が装飾枠に手を置いたり乱暴な扱いをするなどの行為によって装飾枠60が破損することを確実に防止可能である。
・・・略・・・
【0067】
また、装飾枠60が立脚部60fにおいてガラス扉枠4から立ち上がっているので、ガラス扉枠4の形状に拘らずに開閉可能な構造を実現することができる。すなわち、装飾枠60がガラス扉枠4を略密着状に覆う構造では、装飾枠60を円滑に開閉可能とするためにガラス扉枠4の形状(例えば、突出部分の高さや形状)が制約されるが、装飾枠60が立脚部60fのみにおいてガラス扉枠4から立ち上がる本実施形態の構造では、ガラス扉枠4上に適宜設けられたポイントに立脚部60fを当接させればよいので、ガラス扉枠4の形状に関する自由度が極めて高い。また、装飾枠60とガラス扉枠4との独立性が高いため、装飾枠60をこじ開ける等の不正が試みられた場合でも、ガラス扉枠4には影響が及ばないので、ガラス扉枠4が有する遊技領域41への不正なアクセスに対する防止機能が損なわれることがない。また、装飾枠60がガラス扉枠4から立ち上がっているため、ヒンジ機構等の配設スペースを容易に確保でき、開閉可能な構造を容易に実現することができる。さらに、装飾枠60を四方連携状とすることにより強度が確保されているので、装飾枠60の開閉による破損を防止できる。」

(4)「【図2】

・・・略・・・
【図10】

・・・略・・・
【図12】

【図13】



2 引用発明
上記1(1)ないし(4)から、引用例には、実施形態として、次の発明が記載されているものと認められる。なお、aないしdについては、後述する本願発明1のAないしDに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 外枠2と、その外枠2の前部に設けられ外枠2の一側部にて開閉可能に支持され且つ遊技領域14を有する本体枠3(【0032】)と、本体枠3の後側であって、本体枠3左端の垂直軸心回りに開閉自在に設けられているガラス扉枠4の奥に、本体枠3の裏側に周縁部が当接した状態で着脱可能に取り付けられた遊技盤5(【0034】、【0035】)を備えたパチンコ遊技機1(【0031】)であって、
b 本体枠3上端の水平軸心回りに開閉自在に設けられ(【0034】)、ガラス扉枠4側へ突設された立脚部60fを有し(【0063】)、ガラス扉枠4の前側表面の略全域を立ち上がった状態で覆うよう構成され(【0051】)、ガラス扉枠4上に適宜設けられたポイントに立脚部60fを当接させ、立脚部60fのみにおいてガラス扉枠4から立ち上がるようにして設けられた装飾枠60(【0067】)をさらに備え、
c 装飾枠60を上方に開放し水平姿勢となった状態とすると共にガラス扉枠4を左側へ開放し、この状態で装飾枠60をガラス扉枠4の上端で支持させることにより、装飾枠60を開放位置に保持することを可能とした(【0060】)、
d パチンコ遊技機1(【0031】)。」(以下「引用発明」という。)

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1を再掲すると以下のとおりである。なお、記号AないしDは、分説するため合議体が付した。
「A 枠体に対して取り換え可能に組み付けられている遊技盤ユニットの遊技面が枠体に対して開閉可能にヒンジ結合されたガラス枠によって覆われている遊技機であって、
B 遊技盤ユニットには、遊技者側に向かってガラス枠の前方に張り出す装飾体が枠体に対して閉じ状態のガラス枠の一部を挟み込み可能に組み付けられており、
C 装飾体は、装飾体自身が、ヒンジ結合によるガラス枠の開閉を妨げることがないように、ガラス枠の一部を挟み込んだ進出状態から退行状態に切り替え可能に遊技盤ユニットに組み付けられている
D ことを特徴とする遊技機。」

以下、本願発明1と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(d)は、本願補正発明のAないしDに対応させている。

(a)(d)引用発明の「遊技領域14」、「ガラス扉枠4」及び「パチンコ遊技機1」は、それぞれ本願発明の「遊技面」、「ガラス枠」及び「遊技機」に相当する。
また、引用発明は、「ガラス扉枠4」(ガラス枠)が「本体枠3」左端の垂直軸心回りに開閉自在に設けられ、「遊技盤5」が「ガラス扉枠4」(ガラス枠)の奥に、「本体枠3」の裏側に着脱可能に取り付けられているものである。
そうすると、引用発明において、「ガラス扉枠4」(ガラス枠)は、「本体枠3」に対して開閉可能にヒンジ結合されているといえるのであるから、引用発明の「本体枠3」は、本願発明1の「枠体」に相当するといえる。また、引用発明において、「遊技盤5」は、「本体枠3」(枠体)に対して着脱可能に取り付けられているから、引用発明の「遊技盤5」は、本願発明1の「遊技盤ユニット」に相当するといえる。
そうしてみると、引用発明の特定事項aは、本願発明1の特定事項Aに相当する。
(b)引用発明において、「装飾枠60」は、立脚部60fを突設し、ガラス扉枠4(ガラス枠)の前側表面の略全域を立ち上がった状態で覆うよう構成され、ガラス扉枠4上の適宜設けられたポイントに立脚部60fを当接させ、すなわち挟み込み可能としている。
そうすると、引用発明の「装飾枠60」は、本願発明1の「遊技者側に向かってガラス枠の前方に張り出す装飾体」に相当し、また、引用発明の特定事項bは、本願発明1の特定事項Bにおける「装飾体が枠体に対して閉じ状態のガラス枠の一部を挟み込み可能に組み付けられて」いるとの特定事項を備えるといえる。
そうしてみると、引用発明の特定事項bと、本願発明1の特定事項Bとは、「B’遊技者側に向かってガラス枠の前方に張り出す装飾体が枠体に対して閉じ状態のガラス枠の一部を挟み込み可能に組み付けられており、」である点で一致する。
(c)引用発明の装飾枠60(装飾体)は、上方に開放し水平姿勢となった状態にさせた際に、ガラス扉枠4(ガラス枠)を左側へ開放し、この状態で装飾枠60をガラス扉枠4の上端で支持させることにより、装飾枠60を開放位置に保持することを可能としたものである。
そうすると、引用発明は、装飾枠60(装飾体)自身が、ガラス扉枠4(ガラス枠)の開閉を妨げることがないように、ガラス扉枠4(ガラス枠)を挟み込んだ進出状態から退行状態に切り替え可能に組み付けられているといえる。
そうしてみると、引用発明の特定事項cと、本願発明1の特定事項Cとは、「C’装飾体は、装飾体自身が、ヒンジ結合によるガラス枠の開閉を妨げることがないように、ガラス枠の一部を挟み込んだ進出状態から退行状態に切り替え可能に組み付けられている」である点で一致する。

イ 上記アからみて、本願発明1と引用発明とは、
「A 枠体に対して取り換え可能に組み付けられている遊技盤ユニットの遊技面が枠体に対して開閉可能にヒンジ結合されたガラス枠によって覆われている遊技機であって、
B’遊技者側に向かってガラス枠の前方に張り出す装飾体が枠体に対して閉じ状態のガラス枠の一部を挟み込み可能に組み付けられており、
C’装飾体は、装飾体自身が、ヒンジ結合によるガラス枠の開閉を妨げることがないように、ガラス枠の一部を挟み込んだ進出状態から退行状態に切り替え可能に組み付けられている
D 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点(特定事項B、C)
「装飾体」が「組み付けられて」いるのが、
本願発明1では、「遊技盤ユニット」であるのに対し、
引用発明では、遊技盤5(遊技盤ユニット)ではなく、本体枠3(枠体)である点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
ア 引用例には、装飾枠60(装飾体)の組み付け対象として、本体枠3(枠体)が記載されているだけであり、装飾枠60(装飾体)を遊技盤5(遊技盤ユニット)に組み付けることの記載も示唆もなく動機付けもない。
イ このように、引用例に記載された事項を考慮しても、引用発明において、遊技盤5(遊技盤ユニット)に、装飾枠60(装飾体)を組み付けるようになすことは当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
ウ そして、本願の明細書の【0006】に記載されているように、本願発明1により、「遊技盤ユニットを別の遊技盤ユニットに交換すると、装飾体も別の装飾体に交換されることとなる。そのため、ガラス枠の交換を伴うことがなくても、遊技盤ユニットのみを交換(遊技盤ユニットを別の遊技盤ユニットに交換)すると、遊技機の全体のイメージが変わり映えする。したがって、この交換の効果を遊技者に対して十分に伝えることができる。」というものであり、目的、課題及び効果の点で、本願発明における遊技盤ユニットに装飾体を組み付ける技術的意義を有するものである。
エ 以上のとおりであるから、上記相違点は実質的な相違点であり、本願発明1は、引用発明と同一ではなく、引用例に記載された発明ではない。
また、引用例には、上記相違点に係る事項が開示されてなく、しかも、当該事項が想到容易であるともいえないから、本願発明1は、当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものではない。

2 本願発明2ないし4について
本願発明1が、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえないのであるから、本願発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加した本願発明2ないし4も同様に、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-05-20 
出願番号 特願2014-5015(P2014-5015)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 福田 知喜  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 鉄 豊郎
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人岡田国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ