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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H03G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03G
管理番号 1351884
審判番号 不服2018-1557  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-05 
確定日 2019-05-22 
事件の表示 特願2016-559828「容量性プログラマブル利得増幅器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 8日国際公開、WO2015/153141、平成29年 6月 8日国内公表、特表2017-515359〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)3月19日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2014年4月1日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年12月 9日 :手続補正書の提出
平成28年12月12日 :手続補正書の提出
平成29年 4月27日付け:拒絶理由の通知
平成29年 8月 9日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 9月28日付け:拒絶査定
平成30年 2月 5日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出

第2 平成30年2月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年2月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項20の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。
「 装置であって、
演算増幅器と、
第1のキャパシタに結合された第1のスイッチと、ここで、前記第1のスイッチは、前記演算増幅器の入力電圧信号を受信するために、または前記演算増幅器の出力電圧信号を受信するために前記第1のキャパシタの第1の端子を選択的に結合するように構成され、ここにおいて、前記第1のキャパシタの第2の端子は、前記演算増幅器の入力端子に非選択的に結合される、
第2のキャパシタに結合された第2のスイッチと、ここで、前記第2のスイッチは、前記入力電圧信号を受信するために、または前記出力電圧信号を受信するために前記第2のキャパシタの第1の端子を選択的に結合するように構成され、ここにおいて、前記第2のキャパシタの第2の端子は、前記演算増幅器の前記入力端子に非選択的に結合される、
を備え、
前記演算増幅器の前記入力端子に結合され、前記入力電圧信号を受信するために結合される入力キャパシタと、
前記演算増幅器の前記出力電圧信号を受信するために結合され、前記演算増幅器の前記入力端子に結合されるフィードバックキャパシタと、をさらに備え、
前記演算増幅器の利得は、前記入力キャパシタと前記フィードバックキャパシタとに基づいて調整され、
前記演算増幅器の前記利得が増加される場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは前記入力キャパシタに結合され、前記利得が減少される場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは前記フィードバックキャパシタに結合される、装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年8月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項20の記載は次のとおりである。
「 装置であって、
演算増幅器と、
第1のキャパシタに結合された第1のスイッチと、ここで、前記第1のスイッチは、前記演算増幅器の入力電圧信号を受信するために、または前記演算増幅器の出力電圧信号を受信するために前記第1のキャパシタの第1の端子を選択的に結合するように構成され、ここにおいて、前記第1のキャパシタの第2の端末は、前記演算増幅器の入力端子に非選択的に結合される、
第2のキャパシタに結合された第2のスイッチと、ここで、前記第2のスイッチは、前記入力電圧信号を受信するために、または前記出力電圧信号を受信するために前記第2のキャパシタの第1の端子を選択的に結合するように構成され、ここにおいて、前記第2のキャパシタの第2の端子は、前記演算増幅器の前記入力端子に非選択的に結合される、
を備え、
前記演算増幅器の前記入力端子に結合され、前記入力電圧信号を受信するために結合される入力キャパシタと、
前記演算増幅器の前記出力電圧信号を受信するために結合され、前記演算増幅器の前記入力端子に結合されるフィードバックキャパシタと、をさらに備え、
前記演算増幅器の利得は、前記入力キャパシタと前記フィードバックキャパシタとに基づいて調整される、装置。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項20に記載されていた「第1のキャパシタの第2の端末」を「第1のキャパシタの第2の端子」と補正(以下、「第1の補正」という。)するとともに、「前記演算増幅器の前記利得が増加される場合、前記第1のキャパシタおよび第2のキャパシタは前記入力キャパシタに結合され、前記利得が減少される場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは前記フィードバックキャパシタに結合される」との記載を追加するもの(以下、「第2の補正」という。)である。
第1の補正は、特許法第17条の2第5項第3号に規定する誤記の訂正を目的とするものに該当する一方、第2の補正は、本件補正前の請求項20に記載された発明を特定するために必要な事項である「演算増幅器の利得」について、「前記演算増幅器の前記利得が増加される場合、前記第1のキャパシタおよび第2のキャパシタは前記入力キャパシタに結合され、前記利得が減少される場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは前記フィードバックキャパシタに結合される」との限定を付加するものであり、補正前の請求項20に記載された発明と補正後の請求項20に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする内容を含むものである。

そこで、本件補正後の請求項20に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2004/0217815号明細書(公開日:2004年11月4日、以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

(ア)「[0004] Up to now, as shown in FIG.8, a conventional variable gain amplifier for amplifying an input signal with a geometrically controlled gain in accordance with an n-bit digital control signal includes: an operational amplifier;(2^(n+1))capacitors in each of which one terminal is connected to an reverse input terminal of the operational amplifier; and switches for connecting the other terminals of (2^(n-1)) of the capacitors to an input terminal or an output terminal. The switches are controlled in accordance with an output of an n-bit decoder.」

(当審訳:「従来nビットのデジタル制御信号に従い入力信号を等比級数的に利得制御し増幅するための可変利得増幅器は、たとえば図8に示すように、演算増幅器と、それぞれの一方の端子を演算増幅器の反転入力端子に接続した(2^(n+1))個のキャパシタと、そのうちの(2^(n-1))個のキャパシタの他方の端子を入力端子または出力端子につなぎ変えるスイッチとを含む。各スイッチは、nビットデコーダの出力に従って制御される。」)

(イ)「[0005] Here, more specifically, it is assumed that a variable gain amplifier geometrically controls input and output gains between 0.5 times to 4 times using an 8-bit digital signal. If the total capacitance is 10 pF, capacitance fixedly connected between the input terminal and the reverse input terminal of the operational amplifier will be 3.3333 pF, capacitance fixedly connected between the output terminal and the reverse input terminal of the operational amplifier will be 2 pF, capacitance whose connection is first switched from the output terminal to the input terminal will be 0.0181 pF, and capacitor whose connection is finally switched from the output terminal to the input terminal will be 0.0131 pF. Therefore, a ratio between the fixedly connected capacitance and the capacitance whose connection is switched becomes 100 times or more, so that it is hard to realize these capacitances with high precision. In addition, the number of capacitors switched between the input terminal and the output terminal and the number of switches becomes 255. Therefore, even when the variable gain amplifier is realized, an increase in layout area is caused.」

(当審訳:「ここで具体的に、入出力ゲインを0.5倍から4倍まで8ビットのデジタル信号で等比級数的に制御する可変利得増幅器を考えてみる。容量の合計を10pFとすれば、入力端子と演算増幅器の反転入力端子との間に固定的に接続する容量は3.3333pF、出力端子と演算増幅器の反転入力端子との間に固定的に接続する容量は2pF、最初に出力端子から入力端子につなぎ変える容量は0.0181pF、最後に出力端子から入力端子につなぎ変える容量は0.0131pFとなる。このように固定的に接続した容量と接続を変更する容量の比は100倍以上になり、精度良く実現することが困難である。また、入出力端子間でつなぎ変えるキャパシタの数とスイッチの数は255個にもなる。したがって、可変利得増幅器を実現する場合もレイアウト面積の増大をまねく。」)

(ウ)当該説明に関連して、以下の図面が記載されている。


[FIG.8]

イ 上記ア(ア)?ア(ウ)の記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

(ア)上記ア(ア)、ア(ウ)には、入力端子1と出力端子3を含み、演算増幅器4を備え、入力端子1と演算増幅器の反転入力端子との間に接続されるキャパシタ、出力端子3と演算増幅器の反転入力端子の間に接続されるキャパシタ、及び、演算増幅器の反転入力端子とスイッチに接続される複数のキャパシタを備えた回路が記載されており、該回路は、上記ア(ア)で記載される可変利得増幅器である。

(イ)上記ア(ア)、ア(ウ)の記載から、上記(ア)のスイッチは、対応するキャパシタの他方の端子を入力端子1または出力端子3につなぎ変えるものであり、該対応するキャパシタの一方の端子は演算増幅器の反転入力端子に接続されている。

(ウ)上記ア(ア)?ア(ウ)の記載より、上記(ア)のスイッチの他方の端子を入力端子1または出力端子3につなぎ変えることにより、利得を可変としている。


ウ 上記ア、イから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 可変利得増幅器であって、
演算増幅器と、
複数のキャパシタにそれぞれ接続されたスイッチと、ここで、前記スイッチは、対応するキャパシタの他方の端子を入力端子または前記演算増幅器の出力端子につなぎ変えるものであり、ここにおいて、複数のキャパシタの一方の端子は、前記演算増幅器の反転入力端子に接続されている、
を備え、
前記演算増幅器の前記反転入力端子に接続され、入力端子と接続されるキャパシタと、
前記演算増幅器の前記出力端子と接続され、前記演算増幅器の前記反転入力端子に接続されるキャパシタと、をさらに備え、
利得制御される、可変利得増幅器。」


(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
a.引用発明の「可変利得増幅器」は、装置として構成できるものであるから、本件補正発明の「装置」に相当する。

b.引用発明の「演算増幅器の反転入力端子」は、演算増幅器が持つ入力端子の1つであるから、本件補正発明の「演算増幅器の入力端子」に含まれる。

c.引用発明は「複数のキャパシタ」と対応する「スイッチ」を備えるものであるから、少なくとも、「第1のキャパシタ」と「第2のキャパシタ」を備え、対応する「第1のスイッチ」および「第2のスイッチ」を備えるものである。

d.引用発明の「接続」は、本件補正発明の「結合」に相当する。

e.引用発明の、「スイッチ」は、「対応するキャパシタの他方の端子を入力端子または演算増幅器の出力端子につなぎ変える」について、「入力端子」とつなぐことは、演算増幅器の入力電圧信号を受信するためであり、「演算増幅器の出力端子」につなぐことは、演算増幅器の出力電圧信号を受信するためであることは、明らかである。

f.引用発明の「キャパシタの他方の端子」「キャパシタの一方の端子」は、本件補正発明の「キャパシタの第1の端子」「キャパシタの第2の端子」に相当する。

g.引用発明の、スイッチにより「つなぎ変える」ことは、引用発明のスイッチは、対応するキャパシタの他方の端子を入力端子または演算増幅器の出力端子につなぎ変えるものであるから、その接続は選択的であり、本件補正発明の「選択的に結合する」ことに相当する。また、複数のキャパシタの一方の端子が「演算増幅器の反転入力端子に接続されている」ことは選択的でないことから、本件補正発明の「前記演算増幅器の入力端子に非選択的に結合される」ことに相当する。

h.引用発明の「利得」は、可変利得増幅器が備える、演算増幅器とキャパシタにより得られるものであり、本件補正発明における、演算増幅器の「利得」に相当する。
また、引用発明の「利得」は、「入力端子と接続されるキャパシタ」と、「前記演算増幅器の前記出力端子と接続されるキャパシタ」と、「つなぎ変えられる前記複数のキャパシタ」に依存することが明らかである。
そして、引用発明の「入力端子と接続されるキャパシタ」、「前記演算増幅器の前記出力端子と接続され」る「キャパシタ」は、それぞれ本件補正発明の「入力電圧信号を受信するために結合される入力キャパシタ」、「演算増幅器の前記出力電圧信号を受信するために結合され」る「フィードバックキャパシタ」に相当するから、引用発明の「利得」は、少なくとも、本件補正発明と同様に、「前記入力キャパシタと前記フィードバックキャパシタとに基づいて調整され」るといえる。

i.引用発明において、可変利得増幅器が利得制御されることと、本件補正発明の「前記演算増幅器の前記利得が増加される場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは前記入力キャパシタに結合され、前記利得が減少される場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは前記フィードバックキャパシタに結合される」ことは、「前記演算増幅器の前記利得が増加される、または前記利得が減少される」という点で一致する。


イ よって、本件補正発明と引用発明は、
「 装置であって、
演算増幅器と、
第1のキャパシタに結合された第1のスイッチと、ここで、前記第1のスイッチは、前記演算増幅器の入力電圧信号を受信するために、または前記演算増幅器の出力電圧信号を受信するために前記第1のキャパシタの第1の端子を選択的に結合するように構成され、ここにおいて、前記第1のキャパシタの第2の端子は、前記演算増幅器の入力端子に非選択的に結合される、
第2のキャパシタに結合された第2のスイッチと、ここで、前記第2のスイッチは、前記入力電圧信号を受信するために、または前記出力電圧信号を受信するために前記第2のキャパシタの第1の端子を選択的に結合するように構成され、ここにおいて、前記第2のキャパシタの第2の端子は、前記演算増幅器の前記入力端子に非選択的に結合される、
を備え、
前記演算増幅器の前記入力端子に結合され、前記入力電圧信号を受信するために結合される入力キャパシタと、
前記演算増幅器の前記出力電圧信号を受信するために結合され、前記演算増幅器の前記入力端子に結合されるフィードバックキャパシタと、をさらに備え、
前記演算増幅器の利得は、前記入力キャパシタと前記フィードバックキャパシタとに基づいて調整され、
前記演算増幅器の前記利得が増加される、または前記利得が減少される、装置。」

である点で一致し、以下の点で相違している。

「相違点」
「前記演算増幅器の前記利得が増加される、または前記利得が減少される」ことについて、本件補正発明では、「利得が増加される場合、第1のキャパシタおよび第2のキャパシタは入力キャパシタに結合され、利得が減少される場合、第1のキャパシタおよび第2のキャパシタはフィードバックキャパシタに結合される」のに対して、引用発明においては、その特定がない点。

(4)判断
[相違点]について
引用発明において、「スイッチ」により「入力端子」に「つなぎ変え」られたキャパシタは、「入力端子と接続されるキャパシタ」である入力キャパシタと結合されたキャパシタである。
また、「スイッチ」により「演算増幅器の出力端子」に「つなぎ変え」られたキャパシタは、「前記演算増幅器の前記出力端子と接続され」たキャパシタであるフィードバックキャパシタと結合されたキャパシタである。
そして、入力キャパシタとフィードバックキャパシタを備える演算増幅器において、演算増幅器の利得は、入力キャパシタの容量とフィードバックキャパシタの容量の比により決定され、入力キャパシタの容量を大きくする、あるいは、フィードバックキャパシタの容量を小さくすることにより、その利得が増大すること、逆に、入力キャパシタの容量を小さくする、あるいは、フィードバックキャパシタの容量を大きくすることにより、その利得が減少することは、技術常識である。
したがって、引用発明において、利得を増加させる場合に、入力キャパシタの容量をより大きくするために、複数のキャパシタのすべてを入力端子と接続するようにつなぎ変えること、利得を減少させる場合に、入力キャパシタンスの容量をより小さくするために、複数のキャパシタのすべてを演算増幅器の出力端子と接続するようにつなぎ変えることは、当業者が適宜なし得る事項にすぎない。

そして、本件補正発明の作用効果も、上記引用発明から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものということはできない。

よって、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年2月5日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年 8月 9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項20に係る発明は、その請求項20に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
ここで、「第1のキャパシタの第2の端末」は「第1のキャパシタの第2の端子」の誤記であると認め、その請求項20に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりであると認める(下線は当審が付与。)。

「 装置であって、
演算増幅器と、
第1のキャパシタに結合された第1のスイッチと、ここで、前記第1のスイッチは、前記演算増幅器の入力電圧信号を受信するために、または前記演算増幅器の出力電圧信号を受信するために前記第1のキャパシタの第1の端子を選択的に結合するように構成され、ここにおいて、前記第1のキャパシタの第2の端子は、前記演算増幅器の入力端子に非選択的に結合される、
第2のキャパシタに結合された第2のスイッチと、ここで、前記第2のスイッチは、前記入力電圧信号を受信するために、または前記出力電圧信号を受信するために前記第2のキャパシタの第1の端子を選択的に結合するように構成され、ここにおいて、前記第2のキャパシタの第2の端子は、前記演算増幅器の前記入力端子に非選択的に結合される、
を備え、
前記演算増幅器の前記入力端子に結合され、前記入力電圧信号を受信するために結合される入力キャパシタと、
前記演算増幅器の前記出力電圧信号を受信するために結合され、前記演算増幅器の前記入力端子に結合されるフィードバックキャパシタと、をさらに備え、
前記演算増幅器の利得は、前記入力キャパシタと前記フィードバックキャパシタとに基づいて調整される、装置。」


2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項20に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:米国特許出願公開第2004/0217815号明細書

3 引用文献の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「演算増幅器の利得」についての「前記演算増幅器の前記利得が増加される場合、前記第1のキャパシタおよび第2のキャパシタは前記入力キャパシタに結合され、前記利得が減少される場合、前記第1のキャパシタおよび前記第2のキャパシタは前記フィードバックキャパシタに結合される」との限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項は、前記第2[理由]2(3)から明らかなように、本願発明と引用発明との間に差異はない。

よって、本願発明は、引用発明、すなわち、引用文献1に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-12-11 
結審通知日 2018-12-18 
審決日 2019-01-08 
出願番号 特願2016-559828(P2016-559828)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H03G)
P 1 8・ 113- Z (H03G)
P 1 8・ 575- Z (H03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 義昭  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 富澤 哲生
衣鳩 文彦
発明の名称 容量性プログラマブル利得増幅器  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 岡田 貴志  
代理人 福原 淑弘  
代理人 井関 守三  
代理人 中丸 慶洋  

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