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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C08L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C08L |
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管理番号 | 1352190 |
審判番号 | 不服2018-7223 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-05-28 |
確定日 | 2019-06-06 |
事件の表示 | 特願2016-187316「自動車内外装部品」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日出願公開、特開2017- 14527〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年3月30日に出願された特願2012-82156号の一部を新たな特許出願として平成28年9月26日に出願された特許出願であって、平成29年6月13日付けで拒絶理由が通知され、同年10月5日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年11月24日付けで拒絶理由(最後)が通知され、平成30年1月24日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、同年3月7日付けで同年1月24日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定がされ、これに対して、同年5月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 平成30年5月28日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年5月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正は、平成29年10月5日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の、 「【請求項1】 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂と、着色剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを含む樹脂組成物からなる自動車内外装部品であって、 前記ポリカーボネート樹脂における前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が50モル%?70モル%であり、 前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が80℃以上、145℃以下であり、 前記樹脂組成物が、アルカリ土類金属化合物を含み、 前記樹脂組成物から成形された成形体(厚み3mm)のJIS Z 8729によるL^(*)値が30以下であり、 前記樹脂組成物における着色剤が、無機顔料、有機顔料および有機染料からなる群より選ばれる少なくとも一つであり、該着色剤を2種以上を用いており、該着色剤がポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.05重量部?5重量部であり、ヒンダードアミン系光安定剤が0.001重量部?5重量部であることを特徴とする自動車内外装部品。 【化1】 【請求項2】 前記ポリカーボネート樹脂が、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車内外装部品。 【請求項3】 前記ポリカーボネート樹脂における前記シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位が30モル%?50モル%であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車内外装部品。 【請求項4】 前記ポリカーボネート樹脂における前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位とのモル比率が50/50?70/30であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車内外装部品。 【請求項5】 前記着色剤が無機顔料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車内外装部品。 【請求項6】 前記ヒンダードアミン系光安定剤が、分子量1000以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車内外装部品。」 を、 「【請求項1】 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂と、着色剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを含む樹脂組成物からなる自動車内外装部品であって、 前記ポリカーボネート樹脂における前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が50モル%?70モル%であり、 前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が80℃以上、145℃以下であり、 前記樹脂組成物が、アルカリ土類金属化合物を含み、 前記樹脂組成物から成形された成形体(厚み3mm)のJIS Z 8729によるL^(*)値が30以下であり、 温度63℃、相対湿度50%の条件下、インナーフィルターとして石英を、アウターフィルターとして#500のフィルターを取り付けた水平式メタリングランプから波長300nm?400nmの放射強度が1.5kWとなるように発生させた光を100時間照射して耐候試験を行った場合に、前記耐候試験後の前記成形体におけるJIS Z 8729による波長400nmから700nmまでの反射率の平均値から、前記耐候試験前の前記成形体におけるJIS Z 8729による波長400nmから700nmまでの反射率の平均値を差し引いた値が0.01以下であり、 前記樹脂組成物における着色剤が、無機顔料、有機顔料および有機染料からなる群より選ばれる少なくとも一つであり、該着色剤を2種以上用いており、該着色剤がポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.05重量部?5重量部であり、ヒンダードアミン系光安定剤が0.001重量部?5重量部であることを特徴とする自動車内外装部品。 【化1】 【請求項2】 前記ポリカーボネート樹脂が、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車内外装部品。 【請求項3】 前記ポリカーボネート樹脂における前記シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位が30モル%?50モル%であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車内外装部品。 【請求項4】 前記ポリカーボネート樹脂における前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位とのモル比率が50/50?70/30であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車内外装部品。 【請求項5】 前記着色剤が無機顔料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車内外装部品。 【請求項6】 前記ヒンダードアミン系光安定剤が、分子量1000以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車内外装部品。」 とするものである(下線は補正箇所であり、当審で付した。)。 2 本件補正の目的について (1)本件補正の内容 本件補正は、下記補正事項1及び2を内容とするものである。 <補正事項1> 本件補正前の請求項1に記載の、自動車内外装部品を構成する樹脂組成物について、「温度63℃、相対湿度50%の条件下、インナーフィルターとして石英を、アウターフィルターとして#500のフィルターを取り付けた水平式メタリングランプから波長300nm?400nmの放射強度が1.5kWとなるように発生させた光を100時間照射して耐候試験を行った場合に、前記耐候試験後の前記成形体におけるJIS Z 8729による波長400nmから700nmまでの反射率の平均値から、前記耐候試験前の前記成形体におけるJIS Z 8729による波長400nmから700nmまでの反射率の平均値を差し引いた値が0.01以下であり」と特定する。 <補正事項2> 本件補正前の請求項1に記載の、着色剤について、「2種以上を用いており」と特定していたのを、「2種以上用いており」と特定する。 (2)補正事項1についての検討 補正事項1は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項(以下、「発明特定事項」という。)である、自動車内外装部品を構成する樹脂組成物について、その特性を、発明の詳細な説明における実施例の記載(段落【0064】及び【表1】など)を根拠として限定するものである。 そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決すべき課題は同一である。 そうすると、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (3)補正事項2についての検討 補正事項2は、「該着色剤を2種以上を用いており」と特定していたのを、「該着色剤を2種以上用いており」と特定するものであるから、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当する。 3 独立特許要件について 上記2(2)で述べたとおり、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記第2 1に記載したとおりのものである。 (2)発明の詳細な説明の記載事項 発明の詳細な説明には、以下のとおりの記載がある(下線は当審で付した。)。 ア 「【背景技術】 【0002】 自動車業界においては、自動車内装に対するユーザのニーズが多様化し、例えば、内装樹脂部品に対し漆黒調、メタリック調、木目調、ファブリック調等の加飾が施されるようになってきている。このような樹脂加飾部品の中でとりわけ市場要求の高いものの一つとして、漆黒調の樹脂加飾部品がある。 漆黒調の樹脂加飾部品は、近年、環境問題やコストなどの観点から、樹脂部品の着色に際しては、所謂、塗料による塗装から、樹脂に混合した着色剤( 染顔料) のみで製品に求められる色調を発現する方法が求められている。特に、製品に高級感、重厚感を持たせることから、深みと清澄感のある、漆塗りと同等の漆黒性への要求が近年、特に高まっており、それに伴い、染顔料着色性に優れた樹脂が求められている。 【0003】 このような要求に対し、各種樹脂に対して、染顔料を含有することを特徴とする樹脂組成物や、これを成形してなる樹脂成型品が提案されている(特許文献1-4等)。 しかし、自動車内外装部品に要求される特性は、着色性だけでなく、例えば、日中屋外で紫外線を含んだ太陽光に常時さらされたり、また夏季の車内温度の上昇等、過酷な環境条件にさらされるため、耐候性が求められる。また、衝突時には乗員や歩行者を負傷させないため、部品の破壊面が延性破壊する様、耐衝撃性が求められる。さらに、自動洗車機等を使った洗車時やオーディオやナビゲーションシステム等のスイッチ操作時に爪やアクセサリー類により表面に傷が付きづらいことが望まれている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2007-176972号公報 【特許文献2】特開2009-35691号公報 【特許文献3】特開2005-132970号公報 【特許文献4】特開2009-67970号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 従来、樹脂組成物の成形品における深みと清澄感のある漆黒性と、耐熱性、耐候性及び耐衝撃性を兼ね備えた自動車内装部品は得られないという課題があった。 本発明の目的は、上記従来の課題を解消し、深みと清澄感のある漆黒性があり、同時に耐熱性、耐候性及び耐衝撃性も兼ね備えた自動車内外装部品を提供することにある。」 イ 「【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂と、着色剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを含む樹脂組成物からなる自動車内外装部品であって、前記樹脂組成物における着色剤、ヒンダードアミン系安定剤が特定量であれば、該自動車内外装品として深みと清澄感のある漆黒性があり、同時に耐熱性、耐候性及び耐衝撃性を満足することを見出し、本発明に到達した。」 ウ 「【発明を実施するための形態】 【0013】 以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。 <ポリカーボネート樹脂> 本発明に使用するポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。 【0014】 【化2】 【0015】 上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、成形性、耐熱性、耐衝撃性、表面硬度、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。 【0016】 上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、環状エーテル構造を有するため、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤等を用いたり、窒素雰囲気下で取り扱うことが好ましい。イソソルビドが酸化されると、蟻酸等の分解物が発生する場合がある。例えば、これら分解物を含むイソソルビドをポリカーボネート樹脂の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂及び樹脂組成物の着色を招く可能性があり、又、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られない場合もある。 【0017】 一方、シクロヘキサンジメタノールとしては、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、入手の容易さより1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。1,4-シクロヘキサンジメタノールには、シス体とトランス体の異性体があり、シス体とトランス体の比率は、30/70?0/100が好ましく、入手の容易さより40/60?70/30がより好ましい。 【0018】 本発明に使用するポリカーボネート樹脂は前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂とすることにより、耐熱性、耐衝撃性が良好であるポリカーボネート樹脂となり、着色剤、ヒンダードアミン系光安定剤を含む樹脂組成物とすると更に耐候性に優れ、自動車内外装品として実用的に長期間安定した物性を保てる製品となることができる。」 エ 「【実施例】 【0056】 以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。 (1)還元粘度の測定 ポリカーボネート樹脂のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t_(0)と溶液の通過時間tから次式より相対粘度η_(rel)を求め、 η_(rel)=t/t_(0) 相対粘度から次式より比粘度η_(sp)を求めた。 η_(sp)=(η-η_(0))/η_(0)=η_(rel)-1 比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度η_(sp)/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。 【0057】 (2)耐熱性(荷重たわみ温度) 樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC-75SX)により引張試験用ダンベル型試験片を成形した。その後ダンベル型試験片より切削により荷重たわみ温度測定用試験片とした。該重たわみ温度測定用試験片を用いて、荷重たわみ温度をISO 75に準拠して測定した。荷重は1.80MPaで測定した。自動車内外装部品としては、荷重たわみ温度が少なくとも80℃以上必要で、より好ましくは90℃以上必要である。 【0058】 (3)面衝撃試験 樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC-75SX)により100mm×100mm×2mmtのシートとした。該シートをISO 6603-2に準拠し、高速パンクチャー衝撃試験機(島津製作所社製 ハイドロショットHITS-P10)により、試験温度23℃及び-20℃において、衝撃エネルギーの測定及び破壊形態を観察した。尚、試験速度は4.4m/s、打ち抜きストライカーの径はΦ20mm、先端形状は半球状、ロードセル容量10kN、押え治具の穴径はΦ40mmのものを使用した。 【0059】 (4)シャルピー衝撃試験 樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC-75SX)により引張試験用ダンベル型試験片を成形した。その後ダンベル型試験片より切削によりシャルピー衝撃試験用試験片とした。該シャルピー衝撃試験用試験片をJIS K-7111に準拠し、23℃にてノッチ付き試験片を用いて、シャルピー衝撃試験機により測定した(単位:kg-cm/cm^(2))。 【0060】 (5)表面硬度 樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC-75SX)により100mm×100mm×2mmtのシートを成形した。該シートをJIS K 5600に準拠し、表面測定器(新東科学株式会社製:トライポギア タイプ14DR)により、下記条件で表面硬度を測定した。 【0061】 荷重 750g 測定スピード30mm/min 測定距離 7mm 鉛筆として三菱鉛筆製 UNI を用いた。 鉛筆硬度としては4H,3H,2H,H,F,HB,B、2B,3B,4Bを用いた。 5回測定し、2回以上、傷がついた鉛筆硬度のひとつ柔らかい硬度を測定物質の鉛筆硬度とした。 【0062】 (6)漆黒性(L^(*)値) 樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC-75SX)により90mm×50mm×3mmtのシートを成形した。該シートを使用し、JIS Z 8729に準拠し、倉敷紡績社製分光色差計COLOR-7xにてL^(*)値を測定した。この値が小さいほど黒色性が高いと言える。 【0063】 (7)反射率 樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC-75SX)により90mm×50mm×3mmtのシートを成形した。樹脂組成物の反射率は、JIS Z 8729に準拠し、該シートを使用し、倉敷紡績社製分光色差計COLOR-7xにて測定した。反射率は、波長400nmから700nmの10nm毎に測定し、平均値を求め反射率とした。 【0064】 (8)耐候試験(試験前後の反射率の差) スガ試験機社製メタリングウェザーメーターM6Tを用いて、63℃、相対湿度50%の条件下、光源として水平式メタリングランプを、インナーフィルターとして石英を、またランプの周囲にアウターフィルターとして#500のフィルターを取り付け、波長300nm?400nmの放射照度1.5kw/m^(2)になるように設定し、得られた射出成形板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の正方形の面に対して、100時間照射処理を行った。樹脂組成物の反射率は、JIS Z 8729に準拠し、平板状成形品(90mm×50mm×3mmt)を使用し、倉敷紡績社製分光色差計COLOR-7xにて測定した。反射率は、波長400nmから700nmの10nm毎に測定し、平均値を求めた。試験前後の反射率の差は、試験後の反射率から試験前の反射率を引いて求めた。 【0065】 [製造例1]ポリカーボネート樹脂(A-1)の製造 撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(ISB)と1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)および酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.6/0.4/1.00/1.3×10^(-6)になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005体積%?0.001体積%)。続いて熱媒で内容物の加温を行った。内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にした。内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を、還流冷却器に導いた。還流冷却器で凝縮した成分を重合反応装置に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。 【0066】 上記重合反応装置でオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼および上記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温および減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。その後、20分かけて内温228℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で復圧し、重合反応装置出口より溶融状態のポリカーボネート共重合体を得た。 【0067】 更に3つのベント口および注水設備を供えた二軸押出機に連続的に前記溶融状態のポリカーボネート共重合体を供給し、該ポリカーボネート共重合体100重量部に対して、酸化防止剤としてAO-1:イルガノックス1010(BASF・ジャパン株式会社製)を0.1重量部、AO-2:アデカスタブ2112(株式会社ADEKA製)を0.05重量および離型剤としてユニスターE-275(日油株式会社製)0.3重量部を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮したのち、ペレタイザーによりペレット化を行い、ポリカーボネート樹脂(A-1)を得た。 【0068】 [製造例2] ポリカーボネート樹脂(A-2)の製造 製造例1において、ISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を0.7/0.3/1.00/1.3×10^(-6)に変えた以外は、製造例1と同様に行った。 [製造例3] ポリカーボネート樹脂(A-3)の製造 製造例1において、ISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を0.5/0.5/1.00/1.3×10^(-6)に変えた以外は、製造例1と同様に行った。 ポリカーボネート樹脂(A-4):三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ノバレックス7022AR ヒンダードアミン系光安定剤(C-1):BASF・ジャパン社製 チヌビン770DF 【0069】 [実施例1]: 製造例1で得たポリカーボネート樹脂(A-1)100.45重量部と、着色剤としてPigment White 6を0.015重量部、Pigment Red 101を0.0.012重量部、Pigment Brown 24を0.005重量部、Pigment Blue 29を0.02重量部及びPigment Black 7を0.12重量部とヒンダードアミン系光安定剤(C-1)0.05重量部をスクリュー径20mmの単軸押出機に導入し、シリンダー温度220℃で混練し、ペレタイザーによりペレット化を行った。得られたペレットを、乾燥機で85℃、6時間乾燥した。 【0070】 乾燥したペレットをシリンダー温度:260℃、金型:70℃で型締め力75トン射出成形機(東芝機械株式会社製EC-75SX)でシリンダー温度220℃、金型温度:60℃で100mm×100mm×2mmtのシート及び90mm×50mm×3mmtのシートを成形した。また、引張試験用ダンベル型試験片を成形した。その後ダンベル型試験片より切削により荷重たわみ温度測定用試験片及びシャルピー衝撃試験用試験片を得た。測定結果を表1に示す。 【0071】 [実施例2]: 製造例2で得たポリカーボネート樹脂(A-2)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。測定結果を表1に示す。 [実施例3]: 製造例3で得たポリカーボネート樹脂(A-3)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。測定結果を表1に示す。 【0072】 [比較例1]: ポリカーボネート樹脂(A-4)100重量部と、着色剤としてPigment White 6を0.015重量部、Pigment Red 101を0.0.012重量部、Pigment Brown 24を0.005重量部、Pigment Blue 29を0.02重量部及びPigment Black 7を0.12重量部をスクリュー径20mmの単軸押出機に導入し、シリンダー温度220℃で混練し、ペレタイザーによりペレット化を行った。得られたペレットを、乾燥機で120℃、5時間乾燥した。 【0073】 乾燥したペレットをシリンダー温度:290℃、金型:80℃で型締め力75トン射出成形機(東芝機械株式会社製EC-75SX)でシリンダー温度290℃、金型温度:80℃で100mm×100mm×2mmtのシート及び90mm×50mm×3mmtのシートを成形した。また、引張試験用ダンベル型試験片を成形した。その後ダンベル型試験片より切削により荷重たわみ温度測定用試験片及びシャルピー衝撃試験用試験片を得た。測定結果を表1に示す。 【0074】 【表1】 」 (3)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)についての判断 ア サポート要件について 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(平成17年(行ケ)第10042号、「偏光フィルムの製造法」事件)。そこで、この点について、以下に検討する。 イ 本願補正発明の課題について 発明の詳細な説明には、「本発明の目的は、上記従来の課題を解消し、深みと清澄感のある漆黒性があり、同時に耐熱性、耐候性及び耐衝撃性も兼ね備えた自動車内外装部品を提供することにある。」(上記適示(2)ア段落【0005】)と記載されている。 この記載からすると、本願補正発明の課題は、「深みと清澄感のある漆黒性があり、同時に耐熱性、耐候性及び耐衝撃性も兼ね備えた自動車内外装部品を提供する」ことであると理解される。 ウ ポリカーボネート樹脂の構造単位について 本願補正発明におけるポリカーボネート樹脂の構造単位について、以下に検討する。 本願補正発明のポリカーボネート樹脂は、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を50モル%?70モル%有するものであり、残りの30モル%?50モル%の構造単位は任意である。 一方、発明の詳細な説明には、「一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂と、着色剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを含む樹脂組成物からなる自動車内外装部品であって、前記樹脂組成物における着色剤、ヒンダードアミン系安定剤が特定量であれば、該自動車内外装品として深みと清澄感のある漆黒性があり、同時に耐熱性、耐候性及び耐衝撃性を満足することを見出し」たこと(上記摘示(2)イ)、及び、「本発明に使用するポリカーボネート樹脂は前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂とすることにより、耐熱性、耐衝撃性が良好であるポリカーボネート樹脂とな」ること(上記摘示(2)ウの段落【0018】)が記載されており、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂とすることにより、上記課題が解決されることが記載されているといえる。また、発明の詳細な説明には、「本発明に使用するポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である」とも記載されており(摘示(2)ウの段落【0013】)、本件補正発明におけるポリカーボネート樹脂が、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むものであることが見てとれる。 そして、実際、実施例でも、そのようなものが記載されており、実施例におけるポリカーボネート樹脂として、イソソルビド(ISB:一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に相当)に由来する構造単位及び1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)に由来する構造単位を、モル%で、それぞれ、60及び40(実施例1)、70及び30(実施例2)、並びに50及び50(実施例3)の比率とするものが記載されている(上記摘示(2)エ)。そして、上記課題を解決できたことがデータと共に記載されている。 これに対して、発明の詳細な説明には、ポリカーボネート樹脂の上記残りの30モル%?50モル%の構造単位に、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含まないものは一切記載されていないし、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含み、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含まないポリカーボネート樹脂であっても上記課題を解決できることは記載されていないし、そのような本願出願時の技術常識もない。 そうすると、発明の詳細な説明には、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を50モル%?70モル%有し、残りの30モル%?50モル%の構造単位に、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含まないポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる自動車内外装部品は、実質的に記載されていない。 エ 耐候試験前後の反射率の差について 本願補正発明は、自動車内外装部品が「温度63℃、相対湿度50%の条件下、インナーフィルターとして石英を、アウターフィルターとして#500のフィルターを取り付けた水平式メタリングランプから波長300nm?400nmの放射強度が1.5kWとなるように発生させた光を100時間照射して耐候試験を行った場合に、前記耐候試験後の前記成形体におけるJIS Z 8729による波長400nmから700nmまでの反射率の平均値から、前記耐候試験前の前記成形体におけるJIS Z 8729による波長400nmから700nmまでの反射率の平均値を差し引いた値が0.01以下であ」ると特定されている。 この発明特定事項に関して、発明の詳細な説明に記載されているのは、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を50モル%?70モル%有し、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂、特定の5種類の着色剤、特定のヒンダードアミン系光安定剤(及び特定の2種類の酸化防止剤)を特定量で含む、実施例1?3の樹脂組成物について、段落【0064】の「耐候試験(試験前後の反射率の差)」を行ったところ、上記反射率の差が0.01であったとの結果が得られたということのみであり(上記摘示(3)エの表1)、それ以外に、発明の詳細な説明には、上記反射率の差が0.01以下である樹脂組成物からなる自動車内外装部品は一切記載されていない。 そして、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を50モル%?70モル%有するポリカーボネート樹脂において、残りの30モル%?50モル%の構造単位として、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を有せず、他の任意の構造単位を有するポリカーボネート樹脂であっても、本願補正発明の上記課題を解決することが、本願出願時の当業者の技術常識であったとはいえない。 そうすると、発明の詳細な説明には、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を50モル%?70モル%有し、残りの30モル%?50モル%の構造単位に、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂、特定の着色剤及びヒンダードアミン系光安定剤を特定量で含む樹脂組成物からなる自動車内外装部品以外に、上記反射率の差が0.01以下となるものは記載されていない。 オ 審判請求人の主張について 請求人は、平成30年5月28日提出の審判請求書において、本件補正発明の発明特定事項を全て具備することにより、深みと清澄感のある漆黒性があり、同時に耐熱性、耐候性及び耐衝撃性も兼ね備えた自動車内外装部品を提供するという上記課題を解決する旨を主張する。 しかしながら、一般式(1)で表されるジヒドロシキ化合物に由来する構造単位が50モル%?70モル%であり、残りの30モル%?50モル%の構造単位にシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含まないポリカーボネート樹脂を用いた樹脂組成物は、上記第2 3(3)ウで述べたように、発明の詳細な説明に実質的に記載されていない。また、請求人は、実施例とは異なる具体例を提出したり、これまで考慮されていなかった技術常識を示したりして、上記残りの30モル%?50モル%の構造単位にシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含まないポリカーボネート樹脂を用いる樹脂組成物であっても、本件補正発明において特定されたガラス転移温度や反射率の平均値の差を有し、上記課題を解決することを、当業者が認識できるように説明していない。 これらのことから、請求人の上記主張を採用することはできない。 カ 小括 以上のとおり、本願補正発明は、発明の詳細な説明の記載により当業者が本願補正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないし、また、その記載や示唆がなくとも当業者が本願出願時の技術常識に照らしたとしても本願補正発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。 よって、本願補正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでない。 (4)特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)についての判断 本願補正発明は、「温度63℃、相対湿度50%の条件下、インナーフィルターとして石英を、アウターフィルターとして#500のフィルターを取り付けた水平式メタリングランプから波長300nm?400nmの放射強度が1.5kWとなるように発生させた光を100時間照射して耐候試験を行った場合に、前記耐候試験後の前記成形体におけるJIS Z 8729による波長400nmから700nmまでの反射率の平均値から、前記耐候試験前の前記成形体におけるJIS Z 8729による波長400nmから700nmまでの反射率の平均値を差し引いた値が0.01以下であ」ると特定されている。 一方、発明の詳細な説明には、ポリカーボネート樹脂として、イソソルビド(ISB:一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に相当)に由来する構造単位を50、60及び70モル%及び1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)に由来する構造単位を50、40及び30モル%からなるものを用いて、上記耐候試験前後の反射率の差が0.01である樹脂組成物が記載されている(上記摘示(2)オの段落【0065】、【0068】及び【表1】)。しかしながら、ポリカーボネート樹脂の構造単位について、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含みかつシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含まないポリカーボネート樹脂を用いて、上記耐候試験前後の反射率の差が0.01未満である樹脂組成物を製造することや、そのための指針は一切記載されていないし、これが本願出願時の技術常識であったと解することもできない。 また、本件補正発明は、「ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が80℃以上、145℃以下であ」ることも発明特定事項としているが、このガラス転移温度に基づき、上記残りの30モル%?50モル%の構造単位を特定して、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を50モル%?70モル%有し、ガラス転移温度が80℃以上145℃以下であるポリカーボネート樹脂を合成して、これを含む樹脂組成物からなる自動車内外装部品を製造することは、当業者といえども困難であると解される。 したがって、発明の詳細な説明は、当業者が本願補正発明を製造することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 (5)したがって、本願は、特許法第36条第6項第1号及び同法同条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 4 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 当審の判断 1 本願発明 上記第2のとおり、本件補正は却下されたから、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成29年10月5日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂と、着色剤と、ヒンダードアミン系光安定剤とを含む樹脂組成物からなる自動車内外装部品であって、 前記ポリカーボネート樹脂における前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が50モル%?70モル%であり、 前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が80℃以上、145℃以下であり、 前記樹脂組成物が、アルカリ土類金属化合物を含み、 前記樹脂組成物から成形された成形体(厚み3mm)のJIS Z 8729によるL^(*)値が30以下であり、 前記樹脂組成物における着色剤が、無機顔料、有機顔料および有機染料からなる群より選ばれる少なくとも一つであり、該着色剤を2種以上を用いており、該着色剤がポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.05重量部?5重量部であり、ヒンダードアミン系光安定剤が0.001重量部?5重量部であることを特徴とする自動車内外装部品。 【化1】 」 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、「この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。」というものである。 3 発明の詳細な説明の記載事項 発明の詳細な説明の記載事項は、上記第2 3(2)で摘示したとおり、本願補正発明において検討したのと同じである。 4 本願発明の特許法第36条第6項第1号(サポート要件)についての判断 本願発明の課題は、第2 3(3)イで述べたとおり、本願補正発明の課題と同様であると理解される。 そして、発明の詳細な説明には、第2 3(3)ウで述べたとおり、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を50モル%?70モル%有するポリカーボネート樹脂がシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を有しない場合についてまで、本願発明の上記課題を解決することができるものであるとはいえない。 したがって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえず、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 むすび 以上のとおり、平成29年10月5日に提出された手続補正書により補正された本願の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願は特許を受けることができない。 原査定の理由は妥当なものである。 したがって、他の請求項についてさらに検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-03-25 |
結審通知日 | 2019-03-26 |
審決日 | 2019-04-09 |
出願番号 | 特願2016-187316(P2016-187316) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(C08L)
P 1 8・ 537- Z (C08L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤井 勲 |
特許庁審判長 |
大熊 幸治 |
特許庁審判官 |
井上 猛 近野 光知 |
発明の名称 | 自動車内外装部品 |
代理人 | 特許業務法人あいち国際特許事務所 |