ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08G 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08G |
---|---|
管理番号 | 1352301 |
異議申立番号 | 異議2018-700106 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-02-09 |
確定日 | 2019-05-10 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6177331号発明「ベンジルアルコールを有さないエポキシ樹脂に基づく硬化性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6177331号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?18〕について,訂正することを認める。 特許第6177331号の請求項1、4、8?9、11?18に係る特許を維持する。 特許第6177331号の請求項2?3、5?7、10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6177331号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?18に係る特許についての出願は、2013年8月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年9月7日 欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、平成29年7月21日にその特許権の設定登録がされ、同年8月9日にその特許公報が発行され、その後、平成30年2月9日付けで、その請求項1?18に係る発明の特許に対し、特許異議申立人 鯨田 雅信(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。そして、その後の経緯は以下のとおりである。 平成30年 4月25日付け:取消理由通知 同年 8月 6日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 同年 8月10日付け:訂正請求があった旨の通知 同年 9月 7日 :申立人による意見書の提出 同年10月29日付け:取消理由通知(決定の予告) 平成31年 1月29日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 同年 2月 5日付け:訂正請求があった旨の通知 同年 3月 7日 :申立人による意見書の提出 申立人の証拠方法は、以下のとおりである。 甲第1号証:英国特許出願公開第911,221号明細書 甲第2号証:Technical Data Sheet EPON^(TM) Resin 828,HEXION,2015年3月6日発行 甲第3号証:総説 エポキシ樹脂 第2巻 基礎編II,エポキシ樹脂技術協会,2003年11月19日発行,45-54頁,168-185頁 甲第4号証:特開2011-213983号公報 甲第5号証:特開2008-7636号公報 甲第6号証:総説 エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I,エポキシ樹脂技術協会,2003年11月19日発行,25-36頁 また、当審が職権により新たに採用した証拠は、以下のとおりである。 甲第7号証:総説 エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I,エポキシ樹脂技術協会,2003年11月19日発行,123-146頁 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 平成31年 1月29日付け訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである。下線は訂正箇所を示す。(平成30年8月6日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。) また、本件訂正前の請求項2?18は、訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件訂正前の請求項1?18は、一群の請求項であり、本件訂正請求は、一群の請求項〔1?18〕に対して請求されたものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「少なくとも1つのエポキシ樹脂と少なくとも1つの硬化剤とを含有する硬化性組成物であり、 前記硬化剤が、式(I)又は(II) 【化1】 [式中、R_(1)及びR_(2)が、それぞれ独立して、式 -(CH_(2))_(x)-NH_(2)を有する置換基の群から選択され、かつxが、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4である]の化合物である、前記組成物。」 を、 「少なくとも1つのエポキシ樹脂と少なくとも1つの硬化剤とを含有する室温硬化性組成物であり、前記硬化剤が、5-アミノメチル-2-フルフリルアミンであり、前記組成物が、N-アミノエチルピペラジン、m-フェニレンビス(メチルアミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、及びポリアミノアミドを含む硬化剤の群からの少なくとも1つの他の、少なくとも2つ以上の第一級及び/又は第二級アミン基を含有する硬化剤を含み、かつ前記組成物がベンジルアルコールを含まない、前記組成物。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2?3、5?7、10を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4の「請求項1から3までのいずれか1項に記載の」を、「請求項1に記載の」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8の「請求項1から7までのいずれか1項に記載の」を、「請求項1又は4に記載の」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9の「請求項1から8までのいずれか1項に記載の」を、「請求項1、4又は8に記載の」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項11の「請求項1から10までのいずれか1項に記載の」を、「請求項1、4、8又は9に記載の」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項12の「請求項1から11までのいずれか1項に記載の」を、「請求項1、4、8、9又は11に記載の」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項13、14の「請求項1から12までのいずれか1項に記載の」を、「請求項1、4、8、9、11又は12に記載の」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項15、17、18の「請求項1から13までのいずれか1項に記載の」を、「請求項1、4、8、9、又は11から13までのいずれか1項に記載の」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「硬化性組成物」を「室温硬化性組成物」に限定し、「硬化剤」を、「5-アミノメチル-2-フルフリルアミン」に限定し、さらに、訂正前の請求項1に「前記組成物が、N-アミノエチルピペラジン、m-フェニレンビス(メチルアミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、及びポリアミノアミドを含む硬化剤の群からの少なくとも1つの他の、少なくとも2つ以上の第一級及び/又は第二級アミン基を含有する硬化剤を含み、かつ前記組成物がベンジルアルコールを含まない」という限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲(以下、「本件明細書等」という。)の請求項3、7、10、段落【0007】、【0018】及び【0029】に記載されているから、この訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2?3、5?7、10を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3?9について 訂正事項3?9は、上記訂正事項2により、請求項2?3、5?7、10が削除されたことに伴い、それらの請求項の記載を引用しないものとするものであり、また、上記訂正事項1により、請求項1が減縮されていることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。 そして、訂正事項3?9は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 申立人の主張について 申立人は、平成31年3月7日付け意見書において、本件訂正について以下のとおり主張する。 「本件特許明細書中には、訂正後の請求項1で規定された特定の硬化剤の選択肢の組み合わせからなる群については記載がありません。すなわち、上記訂正は、他の硬化剤として、段落0018、0029に記載の硬化剤のうち、「イソホロンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン」等を含めず、上記特定の硬化剤からなる群とする、という新たな技術的事項を導入するものです。」(同意見書第2頁下から第6行?第3頁第1行) しかしながら、訂正事項1の「N-アミノエチルピペラジン、m-フェニレンビス(メチルアミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、及びポリアミノアミド」なる化合物はそれぞれ、本件明細書等の段落【0018】及び【0029】に、他の硬化剤として記載されており、また、それらを【0018】及び【0029】に記載されている化合物の中から選択して記載したとしても、これにより、新たな技術的事項を導入しないものであることは明らかであるから、訂正事項1は、上記第2の2(1)に示したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 よって、申立人の上記主張は採用しない。 4 小括 以上のとおり、訂正事項1?9は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 また、特許異議の申立ては、訂正前の全ての請求項に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?18〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められたので、本件特許の請求項1?18に係る発明(以下、順に「本件訂正発明1」のようにいい、総称して「本件訂正発明」という。)は、それぞれ、平成31年1月29日付けで提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?18に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも1つのエポキシ樹脂と少なくとも1つの硬化剤とを含有する室温硬化性組成物であり、前記硬化剤が、5-アミノメチル-2-フルフリルアミンであり、前記組成物が、N-アミノエチルピペラジン、m-フェニレンビス(メチルアミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、及びポリアミノアミドを含む硬化剤の群からの少なくとも1つの他の、少なくとも2つ以上の第一級及び/又は第二級アミン基を含有する硬化剤を含み、かつ前記組成物がベンジルアルコールを含まない、前記組成物。 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 【請求項4】 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル、及び脂環式タイプを基礎とするエポキシ樹脂を含む群から選択されている、請求項1に記載の組成物。 【請求項5】(削除) 【請求項6】(削除) 【請求項7】(削除) 【請求項8】 前記組成物中に含まれる全ての硬化剤の合計に対する、前記組成物中に含まれる全てのエポキシ樹脂の合計の化学量論比が、0.7?1.3である、請求項1又は4に記載の組成物。 【請求項9】 前記組成物中の硬化剤の合計に対する、前記組成物中のエポキシ樹脂の合計の化学量論比が、0.9?1.1である、請求項1、4又は8に記載の組成物。 【請求項10】(削除) 【請求項11】 さらに、有機酸又は第三級アミンの群からの少なくとも1つの反応促進剤を含有する、請求項1、4、8又は9に記載の組成物。 【請求項12】 さらに、一官能性又は多官能性の室温で液体であるエポキシ化合物の群からの少なくとも1つの反応性希釈剤を含有する、請求項1、4、8、9又は11に記載の組成物。 【請求項13】 さらに、顔料、充填剤及び/又は添加剤を含有する、請求項1、4、8、9、11又は12に記載の組成物。 【請求項14】 請求項1、4、8、9、11又は12に記載の組成物でコーティングした表面。 【請求項15】 請求項1、4、8、9、又は11から13までのいずれか1項に記載の組成物を含有するコーティング材料を表面に塗布することを含む、表面をコーティングする方法。 【請求項16】 前記表面が、金属、鉱物基材、プラスチック、ラッカー、ポリマーコンクリート、接着剤、繊維複合材、封かん材又は含浸剤を含む表面である、請求項15に記載の方法。 【請求項17】 金属、鉱物基材、プラスチック、ラッカー、ポリマーコンクリート、接着剤、繊維複合材、封かん材の表面保護としての、又は含浸剤としての、請求項1、4、8、9、又は11から13までのいずれか1項に記載の組成物の使用。 【請求項18】 請求項1、4、8、9、又は11から13までのいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化することにより得られる組成物。」 第4 当審の判断 1 取消理由通知の概要 当審が通知した平成30年10月29日付け取消理由通知<決定の予告>の要旨は、以下のとおりである。 「本件特許発明1?4、8?9、11?18は、甲第1号証に記載された発明及び甲第1?5、7号証に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであって、同法第113条第2号に該当し、それらの特許は取り消すべきものであると判断する。」(以下、「取消理由1」という。) 2 取消理由1についての当審の判断 (1)甲号証の記載 ア 甲第1号証の記載事項及び甲第1号証に記載された発明 甲第1号証(以下、「甲1」という。)には以下の事項が記載されている。(下線は、当審による。以下同じ。) (ア) 「This invention relates to substituted furans. In brief, this invention provides the new compounds: 2,5-bis(aminomethyl)-furan ・・・(中略)・・・ The compounds are useful as intermediates in forming other compounds, as monomers in forming polymeric compounds, and as reactants with other polymers to form complex polymeric resins.」(第1頁第11-15行、第22-26行) (当審訳:この発明は、置換フランに関する。要するに、この発明は、新しい化合物:2,5-ビス(アミノメチル)フラン・・・(中略)・・・を提供する。化合物は、他の化合物を形成する中間体として、ポリマー化合物を形成するモノマーとして、また、複合ポリマー樹脂を形成する、他のポリマーとの反応物として有用である。) (イ) 「0.3g. 2,5-bis(aminomethyl)-furan and 2g. Epon 828(bis-diglycidoxy diphenyl propane) were mixed at room temperature. A sheet of the resulting resin was post-cured at 100℃. for 8 hours. A stiff brown sheet was formed, suitable for electrical insulation, laminating adhesives,etc.」(第3頁第46-52行) (当審訳:0.3gの2,5-ビス(アミノメチル)-フラン及び2gのEpon 828(ビス-ジグリシドキシ ジフェニル プロパン)は室温で混合された。得られた樹脂のシートは、100℃で、8時間ポストキュアされた。硬い褐色のシートが形成され、電気絶縁、ラミネート接着剤などに適している。) そうすると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 <甲1発明> 「0.3gの2,5-ビス(アミノメチル)-フラン及び2gのEpon 828(ビス-ジグリシドキシ ジフェニル プロパン)が室温で混合され、樹脂のシートが得られる混合物。」 イ 甲第2号証の記載事項 甲第2号証(以下、「甲2」という。)には、以下の事項が記載されている。 「EPON^(TM) Resin 828 is an undiluted clear difunctional bisphenol A/epichlorohydrin derived liquid epoxy resin. When cross-linked or hardened with appropriate curing agents, very good mechanical, adhesive, dielectric and chemical resistance properties are obtained. Because of this versatility, EPON Resin 828 has become a standard epoxy resin used in formulation ,fabrication and fusion technology. 」(第1頁第6-9行) (当審訳:EPON(登録商標)Resin 828は、希釈されていない透明な二官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導液体エポキシ樹脂である。適切な硬化剤で架橋又は硬化させると、非常に良好な機械的特性、接着性、誘電特性、耐薬品性が得られる。この汎用性のために、EPON Resin 828 は配合、製造及び融合技術で使用される標準的なエポキシ樹脂となった。) 「 」(第1頁) (当審訳 ) ウ 甲第3号証の記載事項 甲第3号証(以下、「甲3」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア) 「1.5 希釈剤 エポキシ樹脂とは一般的に1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、化学構造あるいは分子量により液状から固形まで多種多様のタイプが製品化されている。実際に使用するに当たっては、液状エポキシ樹脂のほとんどは粘度が高く作業性が悪い。たとえば、自然環境下で使用する場合、特に冬期は低温によりさらに高粘度になり攪拌脱泡などの作業性が悪くなる。また、温度管理ができる状態でも、低粘度の方が流動性、成型加工性などに優れる。この作業性を改善する方法として有効な手段が、希釈剤による粘度の低下である。 希釈剤を大別すると端末にエポキシ基を有する反応性希釈剤と、反応に寄与しない非反応性希釈剤に分類できる。」(第45頁第1?9行) (イ) 「 」(第45頁) (ウ) 「 」(第46頁) (エ) 「 」(第47頁) (オ) 「 」(第50頁) (カ) 「 」(第53頁) エ 甲第4号証の記載事項 甲第4号証(以下、「甲4」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【0033】 本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に低粘度で作業性に優れるエポキシ樹脂組成物とするために、種々の希釈剤を併用することもできる。このとき用いることができる希釈剤としては、特に限定されるものではなく、反応性希釈剤、非反応性希釈剤のいずれを用いても良い。目的とするエポキシ樹脂組成物の粘度、用途、硬化物の所望の物性等によって、適宜選択することが好ましい。希釈剤を併用する際はビスフェノール型エポキシ樹脂と反応性希釈剤(b2)との混合物とするのが好ましい。 【0034】 前記反応性希釈剤は、低温での硬化促進作用の向上にも寄与するものであり、例えば、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、バーサティック酸グリシジルエステル、α-オレフィンエポキサイド、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、メチルフェノールグリシジルエーテル、エチルフェノールグリシジルエーテル、プロピルフェノールグリシジルエーテル等のアルキルフェノールグリシジルエーテル等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用して用いても良い。 【0035】 これらの反応性希釈剤のうちでは、エポキシ基を含有するものが好ましく、さらには、上記アルキルフェノールグリシジルエーテルが低粘度で、希釈効果を発揮でき、組成物のハイソリッド化(すなわち、組成物中の固形分濃度が高く、低溶剤含量となり、少ない塗装回数で塗膜の厚膜化を図ることができること)を図ることができる点から好ましい。」 オ 甲第5号証の記載事項 甲第5号証(以下、「甲5」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【0052】 (他の成分) 本発明の塗料組成物には、必要に応じて、他の合成樹脂類、非反応性希釈剤、反応性希釈剤、体質顔料、防錆顔料、着色顔料、沈降防止剤、揺変剤、湿潤剤、反応促進剤、脱水剤等の通常塗料に用いられる添加剤等を加えることができる。 【0053】 (塗料組成物) 本発明の塗料組成物は、通常のエポキシ樹脂塗料システムと同様に、エポキシ樹脂を主体とする主剤成分と、それを架橋変化させるための硬化剤成分とからなる、いわゆる二液混合型の塗料システムである。この場合、主剤成分と、硬化剤成分とは、通常は、予め二つの成分として別々の容器に保存され、使用の直前に混合されて用いられる。」 カ 甲第7号証の記載事項 甲第7号証(以下、「甲7」という。)には、以下の事項が記載されている。 (ア) 「3.2 ポリアミンおよび変性ポリアミン 3.2.1 ポリアミンの種類と性質 重付加型のエポキシ硬化剤として代表的なポリアミンについて述べる。脂肪族アミン、脂環式アミンは常温でエポキシ樹脂と反応し強靱で接着性や物性に優れた硬化物が得られるため、土木建築や塗料分野などで重用されている。ポリアミンはそのまま使用されることは希で作業性改善や低刺激化、さらには機械物性などを改善するために変性されるが、基本的な特性は原料ポリアミンによるところが大きい。近年幾つかのアミンが市販されているが価格面や化審法登録の問題もあった。現在ではそれらの問題も徐々に解消され、さらにアミンブラッシングや耐候性に優れる商品の開発が盛んに進められるようになってきた。芳香族ポリアミンは変色の問題など解決されないところがあり用途が限定される。また分子内に3級アミンをもつポリアミンを市販されているが、他ポリアミンと併用され性能改質剤として使われることが多い。市販されている代表的なポリアミンを表1に示す。」(第123頁第1-11行) (イ) 「 」(第124頁) (ウ) 「 」(第125頁) (エ) 「3.2.2 変性ポリアミンの種類と性能 変性アミン系硬化剤は原料アミンの選択およびさまざまな変性方法の組み合わせと変性度合により、多くのものが得られる。各メーカーから多くの変性アミン系硬化剤が市販されており、目的、用途に応じて使い分けられている。以下に代表的な変性方法について述べる。 a)カルボン酸による変性(ポリアミノアミド、アミノアミド) 通常,カルボン酸とポリアミンとの脱水縮合反応により合成される。アミド結合と多くのアミノ基を有する化合物でポリアミノアミドと称される。その原料、組成割合により粘度、アミン価、反応性の異なる多くの生成物を得ることができる。 ポリアミノアミドは、エポキシ樹脂に対する配合割合の許容範囲が広く、分子量が大きいものは皮膚刺激性が小さいという特長がある。」(第128頁第1-10行) (オ) 「h)配合技術による変性 化学的変化のみならず、混合という物理的手段で変性された硬化剤により硬化速度の調整や硬化物の性質を改良することが行われている。 (i)アミン化合物の混合 単一の硬化剤で要求性能を発現できない場合、複数のアミン化合物を混合する手段が用いられることがある。以下にその例を示す。 ・長鎖の脂肪族モノあるいはジアミンを他のアミン化合物に混合し硬化物の可撓性を向上させる。 ・疎水性のアミン化合物と親水性のアミン化合物の混合により水に対する親和性を調整し湿潤面接着性、あるいはパテ剤として適性向上を図る。 ・トリエチレンテトラミンとトリエタノールアミンの混合物のようにポリアミンにヒドロキシル化3級アミンを混合することにより可使時間の延長と低硬化発熱性を図る。 ・固体の芳香族アミンを共融混合物にすることにより、凝固点降下を図り液体とする。一般的なものにm?PDA60?75%、DDM40?25%共有混合物がある。 ・硬化速度を増すために3級アミン化合物を硬化促進剤として混合する。 ・変性アミン類の粘度、硬化速度および粘度調整のために低分子量アミンを混合する。」(第138頁下から第29-15行) (カ) 「(ii)アミン化合物以外の第三成分の混合 アミン化合物以外のエポキシ樹脂と反応性を持たない化合物も硬化速度の調整、塗膜の表面状態の改良、粘度の低減、柔軟性の付与を目的に、あらかじめ硬化剤中に混合される場合がある。 硬化促進剤として一般的に混合使用されるものに、フェノール、アルキルフェノール、ビスフェノールA、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルアルコールなどのフェノール、アルコール類、そしてサリチル酸に代表される有機酸、およびトリフェニルフォスファイト、BF3、BF3-アミン錯体などがある。これらのうち酸性化合物はアミン化合物との塩の形成によりアミン化合物と空気中の炭酸ガスや水分との反応を抑制し、塗膜の表面状態の改善にも寄与する。 次のような樹脂/硬化剤の組み合わせに対する促進剤の研究がある。エポキシ樹脂としてレゾルシノールのジグリシジルエーテル100部と1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル12部との混合物を、硬化剤として3,9-ビス(3-アミノプロピル)2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン100部とメタキシレンジアミン100部の混合物を使用し、エポキシ樹脂100部に硬化剤34.4部、エポキシ基に対して促進剤を10モル官能基%添加した系の20℃におけるゲル化時間を測定したもので、その結果を表5に示す。塩素置換カルボン酸、塩素置換フェノール、ニトロ置換フェノール、メルカプタンの効果が大きい。実用的には、下記の理由で、硬化剤・メタクレゾール混合物が最も優れているとしている。 (1)メタクレゾール(融点:約12℃)は、常温で容易に硬化剤と混合できる。 (2)硬化剤・メタクレゾール混合物の粘度が低く、粘度の経時増加率が小さい。 (3)使用できる温度の下限が近い。 (4)0℃以下での上記硬化剤の固化を防止できる。 (5)エポキシ樹脂の反応性を促進させることができる。 ベンジルアルコール、フタル酸エステル、液状芳香族樹脂(キシレン樹脂など)などの液体は希釈剤として硬化剤成分の粘度低減、可撓性向上に寄与する。 これらエポキシ基との反応性を持たない非反応性希釈剤は、その可塑化効果により硬化反応が停止に至るガラス化を遅らせるため、エポキシ基の反応率を向上させることができる。しかし、過剰な添加は、硬化物表面への非反応性希釈剤の移行(ブリーディング)、機械的化学的性質の低下を起こすため適切な添加割合を選択する必要がある。」(第138頁下から第14行-第140頁第13行) (2)対比及び判断 ア 本件訂正発明1について (ア)対比 甲1発明の「2,5-ビス(アミノメチル)-フラン」は、甲1の上記(1)ア(ア)の記載事項からみて、Epon 828の硬化剤であると解され、また、「2,5-ビス(アミノメチル)-フラン」は、表記上の違いがあるものの、「5-アミノメチル-2-フルフリルアミン」と同一のものであるから、甲1発明の「2,5-ビス(アミノメチル)-フラン」は、本件訂正発明1の「硬化剤」及び「硬化剤が、5-アミノメチル-2-フルフリルアミン」に相当する。 甲1発明の「Epon 828(ビス-ジグリシドキシ ジフェニル プロパン)」は、甲2にも記載されるとおり、エポキシ樹脂であるから、本件訂正発明1の「エポキシ樹脂」に相当する。 甲1発明の「混合物」は、室温で混合されて樹脂のシートが得られることから、本件訂正発明1の「室温硬化性組成物」に相当する。 また、甲1の記載を参照すると、2,5-ビス(アミノメチル)-フランとEPON 828を混合したものに「ベンジルアルコール」を含むことは記載されていないことから、甲1発明の「混合物」は、「ベンジルアルコールを含まない」との構成を備えるということができる。 そうすると、両者は、 「少なくとも1つのエポキシ樹脂と少なくとも1つの硬化剤とを含有する室温硬化性組成物であり、前記硬化剤が、5-アミノメチル-2-フルフリルアミンであり、かつ前記組成物がベンジルアルコールを含まない、前記組成物。」との点で一致し、以下の相違点1で相違する。 <相違点1> 本件訂正発明1は、「前記組成物が、N-アミノエチルピペラジン、m-フェニレンビス(メチルアミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、及びポリアミノアミドを含む硬化剤の群からの少なくとも1つの他の、少なくとも2つ以上の第一級及び/又は第二級アミン基を含有する硬化剤を含み、」と特定するのに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。 (イ)判断 上記相違点1について検討する。 本件訂正発明1は、エポキシ樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物において、ベンジルアルコールを使用せずに、できるだけ少ない初期粘度、十分に高い硬度及び高い反応率が1?7日以内で室温で得られることを目的として(本件明細書【0006】?【0011】)、硬化剤を「5-アミノメチル-2-フルフリルアミン」に特定するとともに、「前記組成物が、N-アミノエチルピペラジン、m-フェニレンビス(メチルアミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、及びポリアミノアミドを含む硬化剤の群からの少なくとも1つの他の、少なくとも2つ以上の第一級及び/又は第二級アミン基を含有する硬化剤を含み、」と特定したものである。 これに対して、甲1には、「2,5-ビス(アミノメチル)-フラン」なる化合物が、他のポリマーと反応して複合ポリマー樹脂となることが示され(甲1の摘記(ア))、また、甲1発明では、Epon 828(ビス-ジグリシドキシ ジフェニル プロパン)なるエポキシ樹脂に2,5-ビス(アミノメチル)-フランを混合することによって樹脂のシートが得られる(甲1の摘記(イ))ことから、甲1発明の混合物が、室温において少なくとも一部が硬化するものと解されるものの、最終的には、得られたシートを、高温においてポストキュアしている(甲1の摘記(イ))ことから、室温で硬化して最終生成物を得ようとするものではない。 ここで、エポキシ樹脂に使用する硬化剤として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ノルボルネンジアミン、イソフォロンジアミン、1,3-ビスシクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンポリアミン、N-アミノエチルピペラジン、ポリアミノアミドなどの1級又は2級アミン基を有する硬化剤は、甲7の摘記(イ)、(ウ)、(エ)からみて、周知の技術的事項と認められる。また、単一の硬化剤で要求性能を発現できない場合、複数のアミン化合物を混合する手段が用いられることは、甲7の摘記(オ)からみて、周知の技術的事項と認められる。 しかしながら、甲1には、エポキシ樹脂と、硬化剤として5-アミノメチル-2-フルフリルアミンとを含む室温硬化性組成物は記載されているが、上述のとおり、該組成物はあくまで、室温において一部が硬化するものの、室温で硬化して最終生成物を得ようとするものではないから、室温での硬化によって、反応性、硬度等の要求性能を発現するという目的は記載も示唆もされていないといえる。してみると、甲1発明において、さらにジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ノルボルネンジアミン、イソフォロンジアミン、1,3-ビスシクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンポリアミン、N-アミノエチルピペラジン、ポリアミノアミドなどの1級又は2級アミン基を有する硬化剤を混合することにより、室温での硬化によって要求性能を発現しようとすることには、何ら動機付けがない。 また、甲3?5のいずれをみても、甲1発明において、さらにジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ノルボルネンジアミン、イソフォロンジアミン、1,3-ビスシクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンポリアミン、N-アミノエチルピペラジン、ポリアミノアミドなどの1級又は2級アミン基を有する硬化剤を混合することを動機付ける根拠も見出せない。 したがって、本件訂正発明1は、甲1発明と、甲1?5,7の記載及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件訂正発明4、8?9、11?18について 本件訂正発明4、8?9、11?18は、本件訂正発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記ア(イ)で述べたものと同様の理由により、甲1発明と、甲1?5、7の記載及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)申立人の主張について 申立人は、平成31年3月7日付け意見書において、「5-アミノメチル-2-フルフリルアミンを含有するエポキシ樹脂組成物に、さらに、特定の硬化剤を配合することによって、特に高い反応率が得られることについて、明細書又は図面に記載されておらず、かつ、明細書又は図面の記載から当業者が推論でき」ない点、「本件明細書には、5-アミノメチル-2-フルフリルアミンを含有するエポキシ樹脂組成物に、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを配合するよりも、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを配合する方が高い反応率が達成されることについて記載も示唆も」ない点、「本件明細書には、5-アミノメチル-2-フルフリルアミンを含有するエポキシ樹脂組成物に、イソホロンジアミンを配合するよりも、特定の硬化剤を配合する方が高い反応率が達成されることについて記載も示唆も」ない点から、本件特許権者が意見書で主張する効果は、明細書に記載されておらず、かつ、明細書又は図面の記載から当業者が推論できないから、進歩性の判断に際し、その効果を参酌すべきではなく、また、本件特許権者は、自ら、特定の硬化剤を併用することは周知の事項であると認めているから、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載され発明に、周知技術を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。 しかしながら、上記第4の2(2)ア(イ)で述べたとおり、5-アミノメチル-2-フルフリルアミンを含有するエポキシ樹脂組成物に、特定の他の硬化剤を配合することには動機付けがなく、そうである以上、それによる効果を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、申立人の上記主張は、採用することができない。 (4)小括 よって、取消理由1は、理由がない。 第5 特許異議申立書に記載された取消理由1以外の申立理由について (1)申立人が申立書で主張する申立理由のうち、取消理由1以外のものは、以下のとおりである。 (申立理由2)本件発明1?4、7?9、14、15及び18は甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (申立理由3)本件発明16、17は、甲1の記載と、甲4、甲第6号証(以下、「甲6」という。)の記載及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、これらの発明に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)当審の判断 本件訂正発明1は、上記2(2)ア(ア)で示したとおり、甲1発明に対し、相違点1を有し、これは実質的な相違点であるので、甲1に記載された発明でない。また、本件訂正発明4、8?9、14、15、18は、本件訂正発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、同様に、甲1に記載された発明でない。 本件訂正発明2?3、7は、本件訂正により削除されたので、申立理由2のうち本件訂正発明2?3、7に係るものは、対象となる請求項が存在しない。 そして、本件訂正発明16、17は、上記2(2)イで示したとおり、甲1発明と、甲1?5、7の記載及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでなく、さらに甲6をみても、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)小括 よって、申立理由2及び3は、理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正発明1、4、8?9、11?18に係る特許は、上記取消理由1、申立理由2及び3のいずれによっても、取り消すことはできない。 また、他に本件訂正発明1、4、8?9、11?18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件訂正発明2?3、5?7、10は削除されたので、本件訂正発明2?3、5?7、10に係る異議申立ては却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも1つのエポキシ樹脂と少なくとも1つの硬化剤とを含有する室温硬化性組成物であり、前記硬化剤が、5-アミノメチル-2-フルフリルアミンであり、前記組成物が、N-アミノエチルピペラジン、m-フェニレンビス(メチルアミン)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリオキシアルキレンアミン、及びポリアミノアミドを含む硬化剤の群からの少なくとも1つの他の、少なくとも2つ以上の第一級及び/又は第二級アミン基を含有する硬化剤を含み、かつ前記組成物がベンジルアルコールを含まない、前記組成物。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF-ジグリシジルエーテル、及び脂環式タイプを基礎とするエポキシ樹脂を含む群から選択されている、請求項1に記載の組成物。 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 前記組成物中に含まれる全ての硬化剤の合計に対する、前記組成物中に含まれる全てのエポキシ樹脂の合計の化学量論比が、0.7?1.3である、請求項1又は4に記載の組成物。 【請求項9】 前記組成物中の硬化剤の合計に対する、前記組成物中のエポキシ樹脂の合計の化学量論比が、0.9?1.1である、請求項1、4又は8に記載の組成物。 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 さらに、有機酸又は第三級アミンの群からの少なくとも1つの反応促進剤を含有する、請求項1、4、8又は9に記載の組成物。 【請求項12】 さらに、一官能性又は多官能性の室温で液体であるエポキシ化合物の群からの少なくとも1つの反応性希釈剤を含有する、請求項1、4、8、9又は11に記載の組成物。 【請求項13】 さらに、顔料、充填剤及び/又は添加剤を含有する、請求項1、4、8、9、11又は12に記載の組成物。 【請求項14】 請求項1、4、8、9、11又は12に記載の組成物でコーティングした表面。 【請求項15】 請求項1、4、8、9、又は11から13までのいずれか1項に記載の組成物を含有するコーティング材料を表面に塗布することを含む、表面をコーティングする方法。 【請求項16】 前記表面が、金属、鉱物基材、プラスチック、ラッカー、ポリマーコンクリート、接着剤、繊維複合材、封かん材又は含浸剤を含む表面である、請求項15に記載の方法。 【請求項17】 金属、鉱物基材、プラスチック、ラッカー、ポリマーコンクリート、接着剤、繊維複合材、封かん材の表面保護としての、又は含浸剤としての、請求項1、4、8、9、又は11から13までのいずれか1項に記載の組成物の使用。 【請求項18】 請求項1、4、8、9、又は11から13までのいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化することにより得られる組成物。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-04-26 |
出願番号 | 特願2015-530342(P2015-530342) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(C08G)
P 1 651・ 113- YAA (C08G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤代 亮 |
特許庁審判長 |
近野 光知 |
特許庁審判官 |
武貞 亜弓 海老原 えい子 |
登録日 | 2017-07-21 |
登録番号 | 特許第6177331号(P6177331) |
権利者 | エボニック デグサ ゲーエムベーハー |
発明の名称 | ベンジルアルコールを有さないエポキシ樹脂に基づく硬化性組成物 |
代理人 | 久野 琢也 |
代理人 | バーナード 正子 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | バーナード 正子 |
代理人 | 久野 琢也 |