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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23D
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23D
管理番号 1352306
異議申立番号 異議2018-700740  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-12 
確定日 2019-05-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6299985号発明「テンパリングタイプチョコレート用油脂」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6299985号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、5について訂正することを認める。 特許第6299985号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6299985号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?5に係る特許についての出願は、2014年10月1日(優先権主張2013年10月6日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成30年3月9日にその特許権の設定登録がされ、平成30年3月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年9月12日に特許異議申立人 上田 佳代子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、平成30年11月27日に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である平成31年1月22日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、本件訂正請求に対して、申立人は、平成31年3月7日に意見書を提出した。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?5について訂正すること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものであって、本件訂正の内容は以下のとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における「構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が5?50%である」の記載を「構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%である」と訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1における「チョコレート用油脂」の記載を「チョコレート用油脂(但し気泡含有油脂性菓子用を除く)」と訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4における「請求項1乃至3に記載のチョコレート用油脂」の記載を「請求項1乃至3のいずれか一項に記載のチョコレート用油脂」と訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4における「チョコレート」の記載を「チョコレート(但し気泡含有油脂性菓子を除く)」と訂正する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5における「構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が5?50%である」の記載を「構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%である」と訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5における「チョコレート」の記載を「チョコレート(但し気泡含有油脂性菓子を除く)」と訂正する。

なお、本件訂正請求は、一群の請求項〔1?4〕及び請求項5に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1に記載のチョコレート用油脂の構成脂肪酸中の飽和脂肪酸含量の数値範囲をより狭い数値範囲に限定するもの(訂正後の請求項1を引用する訂正後の請求項2?4においても同様)であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、特許明細書等における明細書の段落【0011】の「本発明のランダムエステル交換油の原料となる油脂の構成脂肪酸中の飽和脂肪酸は5?50%である必要があり、好ましくは20?50%、より好ましくは25?45%、さらに好ましくは30?40%である。」との記載における下限値「30」%に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、上記(ア)のとおり特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、請求項1に記載の「チョコレート用油脂」から「気泡含有油脂性菓子用」を除くものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、請求項1に記載の「チョコレート用油脂」から「気泡含有油脂性菓子用」を除くものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、上記(ア)のとおり特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的について
訂正事項3は、請求項4において、先行する請求項1?3を選択的に引用することを明らかにしたものであるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、上記(ア)のとおり、請求項4について明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、上記(ア)のとおり、請求項4について明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
エ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的について
訂正事項4は、請求項4に記載の「チョコレート」から「気泡含有油脂性菓子」を除くものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、請求項1に記載の「チョコレート」から「気泡含有油脂性菓子」を除くものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、上記(ア)のとおり特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
オ 訂正事項5について
訂正事項5は、上記アの訂正事項1についての検討を踏まえると、同様の理由により、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
カ 訂正事項6について
訂正事項6は、上記エの訂正事項4についての検討を踏まえると、同様の理由により、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?4〕、5について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
訂正特許請求の範囲の記載は以下のとおりであり、本件訂正後の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸、不飽和:オレイン酸)を主要成分として含有する油脂に、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油を、0.3?15%配合してなるテンパリングタイプのチョコレート用油脂(但し気泡含有油脂性菓子用を除く)。
【請求項2】
前記パーム分別軟質部油脂のヨウ素価が60?75である請求項1に記載のチョコレート用油脂。
【請求項3】
マロニルイソフラボン配糖体を5?50ppm含有することを特徴とする請求項1に記載のチョコレート用油脂。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のチョコレート用油脂を配合してなるチョコレート(但し気泡含有油脂性菓子を除く)。
【請求項5】
1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸、不飽和:オレイン酸)を主要成分として含有する油脂に、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油を、0.3?15%配合してなるテンパリングタイプのチョコレート用油脂を配合することで、チョコレート(但し気泡含有油脂性菓子を除く)の風味を増強及び持続させる方法。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1?5に係る特許に対して、当審が平成30年11月27日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。なお、取消理由は、申立人が主張する全ての申立理由を含み、その証拠方法も全て採用したものである。
(1)取消理由1(新規性)
本件発明1、2、4及び5は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明であって、特許法29条1項3号に掲げる発明に該当するから、本件特許の請求項1、2、4及び5に係る特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)取消理由2(進歩性)
本件発明1?5は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1?5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(3)取消理由3(サポート要件)
本件特許の請求項1?5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(4)取消理由4(明確性要件)
本件特許の請求項1?5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。


●取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について
ア 引用刊行物
(ア)特開2008-142019号公報(申立人より提出された甲第1号証であって、以下、「甲1」という。)
(イ)特開2001-103930号公報(申立人より提出された甲第2号証であって、以下、「甲2」という。)
(ウ)特開2004-105116号公報(申立人より提出された甲第3号証であって、以下、「甲3」という。)
(エ)「油脂・脂質の基礎と応用 -栄養・健康から工業まで-」、社団法人日本油化学会、平成17年4月1日、第1版、189頁(申立人より提出された甲第4号証であって、以下、「甲4」という。)
(オ)特開2009-247316号公報(申立人より提出された甲第5号証であって、以下、「甲5」という。)

イ 本件発明1、2、4及び5について
本件発明1、2、4及び5は、それぞれ甲1に記載された発明とは、構成上の相違はないのであるから、本件発明1、2、4及び5は、それぞれ甲1に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に掲げる発明に該当する。
仮に、甲1に記載された発明のチョコレートに含まれる油脂を「チョコレート用油脂」といえないとしても、チョコレートに含まれる油脂である以上、このような油脂を配合してチョコレート用とする程度のことは、当業者が適宜なし得ることであるから、本件発明1、2、4及び5は、それぞれ甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 本件発明3について
本件発明3は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

●理由3(サポート要件)について
・請求項1?5
・備考
本件特許の明細書における発明の発明の詳細な説明を参酌すると、本件発明1?5の課題は、「本発明の目的は、自然なチョコレート本来の風味(乳味、甘味、カカオ風味等)を増強及び持続させることができるチョコレート用油脂とそれを配合したチョコレートを提供すること」であると認められる(段落【0006】)。
チョコレートの風味は、通常、配合される油脂の影響を受ける。従って、チョコレートの風味は、油脂の種類、油脂を構成する脂肪酸やトリグリセリドの組成によって変わるものである。
そして、本件特許発明の実施例によると、ランダムエステル交換油としては、飽和脂肪酸含量が35%であってヨウ素価が68であるパーム分別軟質部油脂のランダムエステル交換油(実験例2)が使用された例が記載されているのみであって、他のランダムエステル交換油が使用された例は示されておらず、本件発明1?5の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、本件発明1?5は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

●取消理由4(明確性)について
・請求項1?5
・備考
本件特許の請求項1及び5には、「1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸、不飽和:オレイン酸)を主要成分として含有する油脂」と記載されているが、1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド油脂は、油脂においてどの程度(何%)含有すれば主要成分といえるのか、明細書の記載及び技術常識を参酌しても理解できない。
したがって、本件発明1及び5は、不明確であり、本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2?4も、同様に不明確である。

2 甲1?5について
(1)甲1について
ア 甲1の記載
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲1には、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】
油分中に、SUS(S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、U:炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸、以下同じ)で表されるトリグリセリドを40?90質量%、及び、USUで表されるトリグリセリドを0.5?2.3質量%含有することを特徴とする気泡含有油脂性菓子。
【請求項2】
上記USUで表されるトリグリセリドの起源として、USUで表されるトリグリセリドを7?15質量%含有するエステル交換油を用いたことを特徴とする請求項1記載の気泡含有油脂性菓子。
【請求項3】
上記USUで表されるトリグリセリドを7?15質量%含有するエステル交換油が、沃素価が52?70のパーム分別油90?100質量%及び10?20℃で液状の油脂0?10質量%からなる油脂配合物をランダムエステル交換したエステル交換油であることを特徴とする請求項1又は2記載の気泡含有油脂性菓子。
【請求項4】
請求項1?3の何れかに記載の気泡含有油脂性菓子を製造する方法であって、油分中に、SUSで表されるトリグリセリドを40?90質量%、及び、USUで表されるトリグリセリドを0.5?2.3質量%含有するチョコレート生地を溶解し、テンパリングした後に含気させ、冷却することを特徴とする気泡含有油脂性菓子の製造方法。」

(イ)「【0013】
以下、本発明の気泡含有油脂性菓子について好ましい実施形態に基づき詳細に述べる。
本発明の気泡含有油脂性菓子の構成成分であるSUSで表されるトリグリセリドは、炭素数16以上の飽和脂肪酸残基がグリセリンの1位と3位に結合しており、炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸残基がグリセリンの2位に結合しているトリグリセリドである。ここでいう炭素数16以上の飽和脂肪酸とは具体的には、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、炭素数16?20のモノ不飽和脂肪酸としては、パルミトオレイン酸、オレイン酸、カドレン酸等が挙げられる。
【0014】
本発明の気泡含有油脂性菓子は、油分中に、上記のSUSで表されるトリグリセリドを40?90質量%(以下、単に「%」と略す)、好ましくは45?80%、より好ましくは50?75%含有する。SUSで表されるトリグリセリドが40%よりも少ないと、得られる気泡含有油脂性菓子の口どけが悪くなり、90%よりも多いと製造時にチョコレート生地が硬くなりすぎ、起泡性が悪化し、微細な気泡が得られなくなる。
【0015】
上記SUSで表されるトリグリセリドの起源としては、カカオ脂、あるいは、パーム油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、マンゴー脂、及びこれらの分別油、エステル交換油などのカカオ代用脂を用いる。
また、市販のビターチョコレート、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート等を使用することもできる。
【0016】
一方、本発明の気泡含有油脂性菓子の構成成分であるUSUで表されるトリグリセリドは、炭素数16以上の飽和脂肪酸残基がグリセリンの2位に結合しており、炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸残基がグリセリンの1位と3位とに結合しているトリグリセリドである。ここでいう炭素数16以上の飽和脂肪酸とは具体的には、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、炭素数16?20のモノ不飽和脂肪酸としては、パルミトオレイン酸、オレイン酸、カドレン酸等が挙げられる
【0017】
本発明のチョコレート生地は、油分中に、上記のUSUで表されるトリグリセリドを0.5?2.3%、好ましくは0.5?2.0%、より好ましくは1.0?1.6%含有する。USUで表されるトリグリセリドの含有量が0.5%未満、又は2.3%を超えると、得られる気泡含有油脂性菓子が軟化してしまいあっさりした軽い後口が得られないことに加え、気泡の粒径が微細にならない問題がある。
【0018】
なお、上記のUSUで表されるトリグリセリドとは、天然には殆ど存在せず、豚脂や人乳中の一部にOPO(sn-1,3-dioleoyl-2-palmitoyl glycerol)が存在するのみである。
【0019】
上記のUSUで表されるトリグリセリドは、天然に存在するUSUで表されるトリグリセリドでも構わないし、又は分別により純度を上げたものでも構わない。また、SSSで表されるトリグリセリドとUUUで表されるトリグリセリド、又は、UUUで表されるトリグリセリドと脂肪酸及び/又は脂肪酸低級アルコールエステルに由来するS(炭素数16以上の飽和脂肪酸)をエステル交換し、さらに蒸留や分別によりUSUで表されるトリグリセリドの純度を上げたもの等、どのような方法によって得られたものでも構わない。
【0020】
本発明では、上記USUで表されるトリグリセリドの起源として、USUで表されるトリグリセリドを7?15%、好ましくは7?10%含有するエステル交換油を使用することが、チョコレート生地の粘度が起泡に適したものとなる点で好ましい。
【0021】
上記のエステル交換油としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加、分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられるが、チョコレート生地への混合性が良好である点、さらには、より微細な気泡が得られる点で、ヨウ素価が52?70、好ましくは53?67のパーム分別油90?100%、好ましくは92?100%、及び、10?20℃、好ましくは0?20℃で液状の油脂0?10%、好ましくは0?8%からなる油脂配合物をランダムエステル交換したエステル交換油を使用することが好ましい。
【0022】
ここで、ヨウ素価が52未満のパーム分別油を用いると、高融点油脂の生成により気泡含有油脂性菓子の口融けが悪くなってしまう。また、ヨウ素価が70を超えるパーム分別油を用いると、微細な気泡が得られないおそれがあることに加え、気泡含有油脂性菓子が軟らかくなりすぎ保型性が極端に悪化してしまうおそれがある。
【0023】
なお、上記油脂配合物中に必要に応じ使用する10?20℃で液状の油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等が挙げられる。ここで、油脂配合物中で10%を超えて配合した場合には、微細な気泡が得られないおそれがあることに加え、気泡含有油脂性菓子が軟らかくなりすぎ保型性が極端に悪化してしまうおそれがある。
【0024】
また、上記エステル交換の反応は、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよいが、化学的触媒又は位置選択性のない酵素を用いたランダムエステル反応であることが好ましい。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記位置選択性のない酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes) 属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus) 属、ムコール(Mucor) 属、ペニシリウム(Penicillium) 属等に由来するリパーゼが挙げられる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹脂あるいはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
【0025】
なお、気泡含有油脂性菓子における油分含量は好ましくは32?45%、より好ましくは34?40%となる量とすることが、良好な油性感が得られ、且つ、製造時に起泡性が良好である点で好ましい。なお、上記油分含量には、下記任意成分に含まれる油分も含むものである。
【0026】
また、本発明の油脂性菓子には、任意成分として一般にチョコレートに使用する、カカオマスやココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、糖類、乳化剤、香料、色素、水性成分等の原料をとくに制限なく使用することができる。
本発明の油脂性菓子中におけるこれらの任意成分の含有量は、好ましくは合計で98%以下、さらに好ましくは合計で60?98%である。」

(ウ)「【0035】
〔製造例1〕エステル交換油Aの製造
ヨウ素価55のパーム軟部油にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行なった後、脱色(白土3%、85℃、9.3×10^(2)Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×10^(2)Pa以下の減圧下)を行い、USUで表されるトリグリセリドを8.8%含有するエステル交換油Aを得た。」

(エ)「【0036】
〔製造例2〕エステル交換油Bの製造
ヨウ素価55のパーム軟部油92重量部と、大豆油(0?20℃で液状)8重量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽でエステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48hr)、脱色(白土3%、85℃、1.3×10^(3)Paの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、水蒸気吹き込み量;対油3%、1.3×10^(2)Paの減圧下、60分間)を行い、USUで表されるトリグリセリドを7.9%含有するエステル交換油Bを得た。」

(オ)「【0037】
〔製造例3〕エステル交換油Cの製造
ヨウ素価65のパーム軟部油10kgを原料油脂として、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽でエステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48hr)、脱色(白土3%、85℃、1.3×10^(3)Paの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、水蒸気吹き込み量;対油3%、1.3×10^(2)Paの減圧下、60分間)を行い、USUで表されるトリグリセリドを9.1%含有するエステル交換油Cを得た。」

(カ)「【0038】
〔製造例4〕エステル交換油Dの製造
ヨウ素価55のパーム軟部油55重量部と大豆油(0?20℃で液状)45重量部を溶解、混合した油脂配合物にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行なった後、脱色(白土3%、85℃、9.3×10^(2)Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×10^(2)Pa以下の減圧下)を行い、USUで表されるトリグリセリドを4.3%含有するエステル交換油Dを得た。」

(キ)「【0039】
〔製造例5〕エステル交換油Eの製造
ヨウ素価55のパーム軟部油90重量部と、ハイエルシンナタネの極度硬化油10重量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽でエステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48hr)、脱色(白土3%、85℃、1.3×10^(3)Paの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、水蒸気吹き込み量;対油3%、1.3×10^(2)Paの減圧下、60分間)を行い、USUで表されるトリグリセリドを8.0%含有するエステル交換油Eを得た。」

(ク)「【0042】
〔実施例1〕
ココアバター(SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)15質量部、カカオマス(油分含有量55%、SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)20質量部を55℃に加温して溶解し、全脂粉乳(油分含有量25%)16質量部、砂糖43.5質量部、レシチン0.5質量部を、練り合わせてペースト状とし、ロール掛けした。ここで55℃に加温して溶解したエステル交換油A5質量部を加えてコンチングして、チョコレート生地を得た。このチョコレート生地をテンパリングした後、25℃に調温し、卓上ミキサーを使用して、比重が0.8となるまでビーターを使用してホイップし、直径10mmの丸口金をセットした絞り袋を使用して、直径10mm、長さ30mmのストロー状に絞り出し、5℃で1時間冷却・固化させ、本発明の起泡含有油脂性菓子を得た。このとき、気泡含有油脂性菓子は、油分中にSUSで表されるトリグリセリドを63%、USUで表されるトリグリセリドを1.3%含有するものであった。」

(ケ)「【0043】
〔実施例2〕
エステル交換油Aに代えて、エステル交換油Bを使用した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、本発明の気泡含有油脂性菓子を得た。このとき、気泡含有油脂性菓子は、油分中にSUSで表されるトリグリセリドを63%、USUで表されるトリグリセリドを1.1%含有するものであった。」

(コ)「【0044】
〔実施例3〕
エステル交換油Aに代えて、エステル交換油Cを使用した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、本発明の気泡含有油脂性菓子を得た。このとき、気泡含有油脂性菓子は油分中にSUSで表されるトリグリセリドを63%、USUで表されるトリグリセリドを1.3%含有するものであった。」

(サ)「【0045】
〔実施例4〕
エステル交換油Aに代えて、エステル交換油Dを使用した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、本発明の気泡含有油脂性菓子を得た。このとき、気泡含有油脂性菓子は油分中にSUSで表されるトリグリセリドを63%、USUで表されるトリグリセリドを0.6%含有するものであった。」

(シ)「【0046】
〔実施例5〕
エステル交換油Aに代えて、エステル交換油Eを使用した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、本発明の気泡含有油脂性菓子を得た。このとき、気泡含有油脂性菓子は油分中にSUSで表されるトリグリセリドを63%、USUで表されるトリグリセリドを1.1%含有するものであった。」

(ス)「【0051】
〔実施例8〕
エステル交換油Aの半分量をイリッペ脂(SUSで表されるトリグリセリド含有量91%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)に代えた以外は実施例1と同様の配合・製法で、本発明の気泡含有油脂性菓子を得た。このとき、気泡含有油脂性菓子は油分中にSUSで表されるトリグリセリドを65%、USUで表されるトリグリセリドを0.6%含有するものであった。」

イ 上記アの記載から分かること
(ア)上記ア(ア)の「請求項4」及び上記ア(ク)の記載によれば、甲1には、チョコレート生地をテンパリングした後に含気させて得られる気泡含有油脂性菓子が記載されていることが分かる。

(イ)上記ア(エ)、(オ)及び(キ)に記載された、エステル交換油B、C及びEは、エステル交換反応において、「選択的」という特定がないことから、特別な反応条件を要する選択的エステル交換反応ではなく、非選択的エステル交換反応(ランダムエステル交換反応)により得られるものであることは明らかである。この点、上記ア(ア)の「請求項3」において、「ランダムエステル交換油」との記載があり、エステル交換油B、C及びEがその実施例に関するものであること、また、上記ア(イ)の段落【0024】において、「・・・上記エステル交換の反応は、・・・位置選択性のない酵素を用いたランダムエステル反応であることが好ましい。」との記載があることや後記(5)イの甲5の記載から分かる事項からみても明らかである。

(ウ)上記ア(ウ)?(ス)の記載によれば、実施例1?5、8に係る気泡含有油脂性菓子は、ココアバター(SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)15質量部、カカオマス(油分含有量55%、SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)20質量部、全脂粉乳(油分含有量25%)16質量部、砂糖43.5質量部、レシチン0.5質量部と、次のaないしfに示す所定質量部の油脂のいずれかを配合したものであることが分かる。
a エステル交換油A(ヨウ素価55のパーム軟部油に、非選択的エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
b エステル交換油B(ヨウ素価55のパーム軟部油92重量部と大豆油8重量部との混合油に、リパーゼQLC(名糖産業(株)製)を用いて、エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
c エステル交換油C(ヨウ素価65のパーム軟部油に、リパーゼQLC(名糖産業(株)製)を用いて、エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
d エステル交換油D(ヨウ素価55のパーム軟部油55重量部と大豆油45重量部との混合油に、非選択的エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
e エステル交換油E(ヨウ素価55のパーム軟部油90重量部と、ハイエルシンナタネの極度硬化油10重量部との混合油に、リパーゼQLC(名糖産業(株)製)を用いて、エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
f エステル交換油A(ヨウ素価55のパーム軟部油に、非選択的エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)2.5質量部及びイリッペ脂2.5質量部

(エ)上記ア(イ)の段落【0013】及び【0016】の記載によれば、SUSで表されるトリグリセリド及びUSUで表されるトリグリセリドにおいて、モノ不飽和脂肪酸としてオレイン酸が例示されている。

ウ 甲1発明
上記ア及びイを総合して整理すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「ココアバター(SUS(S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、U:炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸、以下同じ)で表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)15質量部、カカオマス(油分含有量55%、SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)20質量部、全脂粉乳(油分含有量25%)16質量部、砂糖43.5質量部、レシチン0.5質量部と、次のaないしfに示す油脂のいずれかを配合したチョコレート生地をテンパリングした後に含気させて得られる気泡含有油脂性菓子。
a エステル交換油A(ヨウ素価55のパーム軟部油に、非選択的エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
b エステル交換油B(ヨウ素価55のパーム軟部油92重量部と大豆油8重量部との混合油に、リパーゼQLC(名糖産業(株)製)を用いて、エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
c エステル交換油C(ヨウ素価65のパーム軟部油に、リパーゼQLC(名糖産業(株)製)を用いて、エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
d エステル交換油D(ヨウ素価55のパーム軟部油55重量部と大豆油45重量部との混合油に、非選択的エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
e エステル交換油E(ヨウ素価55のパーム軟部油90重量部と、ハイエルシンナタネの極度硬化油10重量部との混合油に、リパーゼQLC(名糖産業(株)製)を用いて、エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)5質量部
f エステル交換油A(ヨウ素価55のパーム軟部油に、非選択的エステル交換反応を行うことで得られるエステル交換油)2.5質量部及びイリッペ脂2.5質量部」

エ 甲1発明2
甲1には、甲1発明を得る方法に係る次の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されていると認めることができる。
「甲1発明の気泡含有油脂性菓子を得る方法。」

(2)甲2について
ア 甲2の記載
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲2には、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】 大豆由来のマロニルイソフラボン配糖体及び/又はイソフラボン配糖体を添加したイソフラボン化合物強化食品。」

(イ)「【0002】
【従来の技術】従来、大豆にはイソフラボン化合物としてダイジン、グリシチン、ゲニスチン、アセチルダイジン及びアセチルゲニスチンあるいはこれらのアグリコンとしてダイゼイン、グリシテイン、ゲニステインが含有され、そしてこれらにはエストロゲン作用、抗菌作用、抗酸化作用、制ガン作用をはじめとして多くの薬理効果があることが確認されている。
・・・
【0004】・・・このマロニルイソフラボン配糖体は水に溶け易く、またそれ自身抗酸化作用があり、またその構造の類似性から上記したような薬理効果が期待され、また入浴剤の有効成分としての利用も期待されるものである。」

(ウ)「【0018】この様にして得られたイソフラボン化合物を各種食品、例えば豆腐、豆乳飲料等の大豆加工食品をはじめ、飲料、パン、菓子、アイスクリーム等に添加する。添加は各種食品の製造工程の任意の時期でよく、また添加量はイソフラボン配糖体として10?10,000ppm、好ましくは50?5,000ppmである。こうすることによりイソフラボン化合物強化食品が得られる。」

イ 甲2記載の技術事項
上記アによれば、甲2には、「菓子等にマロニルイソフラボン配糖体を10?10,000ppm添加すること。」(以下、「甲2記載の技術事項」という。)が記載されている。

(3)甲3について
ア 甲3の記載
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲3には、次の記載がある。
(ア)「【0027】
実施例1
25Lの密閉反応器に、ヨウ素価54.6、ジアシルグリセロール含量6.8重量%、ジアシルグリセロールのヨウ素価59.9の、パームオレインを15kgおよびニッケル触媒SO-550(堺化学(株)製)(ニッケル含量20重量%)を15g投入し、反応温度:100℃、水素分圧:2.5×10^(4) Paで8時間硬化反応を行った。・・・これらの分析によって得られた分析値を表1に示す。」

(イ)「【0028】
実施例2
1.5Lの密閉反応器に、ヨウ素価63.5、ジアシルグリセロール含量7.5重量%、ジアシルグリセロールのヨウ素価64.5の、パームオレインを15kgおよびニッケル触媒SO-550(堺化学(株)製)(ニッケル含量20重量%)を15g投入し、反応温度:100℃、水素分圧:2.5×10^(4) Paで12時間硬化反応を行った。・・・これらの分析によって得られた分析値を表1に示す。」

(ウ)「【0032】
【表1】



イ 甲3の記載から分かる事項
上記ア(ア)及び(ウ)の記載によれば、実施例1のヨウ素価54.6のパームオレインは、表1の実施例1の原料油に相当し、その飽和脂肪酸含有量は43.6%(39.1+4.5)であることが分かる。

また、上記ア(イ)及び(ウ)の記載によれば、実施例2のヨウ素価63.5のパームオレインは、表1の実施例2の原料油に相当し、その飽和脂肪酸含有量は37.9%(34.1+3.8)であることが分かる。

(4)甲4について
ア 甲4の記載
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲4には、次の記載がある。


」(189ページ)

イ 甲4の記載から分かる事項
上記アの記載によれば、大豆油の飽和脂肪酸含有量は14.4%(10.4+4)であることが分かる。

(5)甲5について
ア 甲5の記載
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲5には、次の記載がある。
「【0045】
〈実施例2〉
沃素価52.1のパーム油75質量%と、沃素価1.5、融点68.0℃で炭素数18?20の飽和脂肪酸を89.5質量%含有する大豆極度硬化油25質量%との配合油10kgを、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽でランダムエステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48hr)、脱色(白土3%、85℃、9.3×10^(2)Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×10^(2)Pa以下の減圧下)を行い、エステル交換油脂A2を得た。」

イ 甲5の記載から分かる事項
上記アの記載によれば、リパーゼQLC(名糖産業(株)製)を用いたエステル交換反応は、ランダムエステル交換反応であることが分かる。

3 当審の判断
(1)取消理由1(特許法第29条第1項第3号)及び取消理由2(特許法第29条第2項)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
・後者において、aないしfに示す油脂に係るエステル交換油AないしEにおける構成脂肪酸中の飽和脂肪酸含有量について検討する。
上記2(3)イの甲3の記載から分かる事項によれば、ヨウ素価54.6のパームオレイン(パーム軟部油)の飽和脂肪酸含有量は43.6%であるから、甲1発明におけるヨウ素価55のパーム軟部油の飽和脂肪酸含有量は43.6%と大きく異ならないといえる。
また、上記2(3)イの甲3の記載から分かる事項によれば、ヨウ素価63.5のパームオレイン(パーム軟部油)の飽和脂肪酸含有量は37.9%であるから、甲1発明におけるヨウ素価65のパーム軟部油の飽和脂肪酸含有量は37.9%と大きく異ならないといえる。
また、上記2(4)イの甲4の記載から分かる事項によれば、大豆油の飽和脂肪酸含有量は14.4%である。
さらに、ハイエルシンナタネの極度硬化油は水素添加することにより不飽和脂肪酸の全てを飽和脂肪酸にしたものであるから、ハイエルシンナタネの極度硬化油の飽和脂肪酸含有量は100%である。
そして、エステル交換油Aは、ヨウ素価55のパーム軟部油100重量部を原料とし、エステル交換油Bは、ヨウ素価55のパーム軟部油92重量部と大豆油8重量部を原料とし、エステル交換油Cは、ヨウ素価65のパーム軟部油100重量部を原料とし、エステル交換油Dは、ヨウ素価55のパーム軟部油55重量部と大豆油45重量部を原料とし、エステル交換油Eは、ヨウ素価55のパーム軟部油90重量部とハイエルシンナタネの極度硬化油10重量部を原料とする。
そうすると、エステル交換油AないしEは、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸がそれぞれ順に44%、41%、38%、30%、49%である油脂を原料としたランダムエステル交換油といえる。
そして、エステル交換油AないしEは、それぞれ順にヨウ素価55のパーム軟部油、ヨウ素価55のパーム軟部油、ヨウ素価65のパーム軟部油、ヨウ素価55のパーム軟部油、ヨウ素価55のパーム軟部油を原料とするものであり、前者のランダムエステル交換油が、ヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたことについて、その範囲内のものといえる。
したがって、後者におけるエステル交換油AないしEは、前者の「構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油」に相当する。

・後者に含まれる態様において、aないしeに示す油脂を配合したものは、ココアバター15質量部、油分含有量が55%のカカオマス20質量部、油分含有量が25%の全脂粉乳16質量部、エステル交換油5質量部が配合されていることから、含まれる油脂の含有量は35%(15+20×0.55+16×0.25+5)である。
してみると、後者に含まれる態様において、aないしeに示す油脂を配合したものに含まれる油脂中のエステル交換油の含有量は14%(5÷35×100)である。
また、後者に含まれる態様において、fに示す油脂を配合したものは、エステル交換油が半量の2.5質量部になっているので、含まれる油脂中のエステル交換油の含有量は7%(2.5÷35×100)である。
したがって、後者の「aないしfに示す油脂のいずれかを配合」することは、前者の「構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油を、0.3?15%配合」することに相当する。

・後者の「ココアバター(SUS(S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、U:炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸、以下同じ)で表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)15質量部、カカオマス(油分含有量55%、SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)20質量部、全脂粉乳(油分含有量25%)16質量部」に含まれる油分は、SUSで表されるトリグリセリドの含有量が少なくとも72%(=(15×0.83+20×0.55×0.83)÷30)であるから、前者の「1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸、不飽和:オレイン酸)を主要成分として含有する油脂」とは、「1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸)を主要成分として含有する油脂」という限りにおいて一致する。

・後者の「ココアバター(SUS(S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、U:炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸、以下同じ)で表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)15質量部、カカオマス(油分含有量55%、SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)20質量部、全脂粉乳(油分含有量25%)16質量部」に含まれる油分と「aないしfに示す油脂のいずれか」を合わせた油分は、前者の「テンパリングタイプのチョコレート用油脂(但し気泡含有油脂性菓子用を除く)」に、「テンパリングタイプのチョコレートに配合される油脂」という限りにおいて一致する。

そうすると、両者の間で、次の一致点及び相違点が認められる。
[一致点]
「1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸)を主要成分として含有する油脂に、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油を、0.3?15%配合してなるテンパリングタイプのチョコレートに配合される油脂。」

[相違点1-1]
「1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド」の不飽和トリグリセリドについて、本件発明1は、「オレイン酸」であるのに対して、甲1発明は、「オレイン酸」に特定するものではない点(以下、「相違点1-1」という。)。

[相違点1-2]
チョコレートに配合される油脂が、本件発明1は、「テンパリングタイプのチョコレート用油脂(但し気泡含有油脂性菓子用を除く)」であるのに対して、甲1発明は、「ココアバター(SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)15質量部、カカオマス(油分含有量55%、SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)20質量部、全脂粉乳(油分含有量25%)16質量部」に含まれる油分と「aないしfに示す油脂のいずれか」を合わせた油分である点(以下、「相違点1-2」という。)。

(イ)判断
上記相違点1-2について検討する。
甲1発明のテンパリングタイプのチョコレートには「油分」が含まれるものの、この「油分」のみを取り出してテンパリングタイプのチョコレート用油脂とすることは、甲1には何ら記載ないし示唆はされておらず、本件特許の優先日前に技術常識であるとはいえないから、甲1発明の「油分」に着目して、これをテンパリングタイプのチョコレート用油脂とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
また、甲1発明の「油分」は、気泡含有油脂性菓子に適したものとして油脂組成が定められたものであるから、気泡含有油脂性菓子用を除くチョコレート用とすることも、当業者は容易に想到し得ない。
そうすると、甲1発明において、上記相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

そして、本件発明1は、上記相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項を備えることにより、本件特許明細書の段落【0009】に記載された「本発明のテンパリングタイプハードバターは無味無臭であるにもかかわらず、チョコレートに同時に配合されているカカオマス、ココア、ココアバター、粉乳、砂糖などに由来する、自然でチョコレート本来の風味の発現を増強すると共に、口中でその風味が持続しやすい」という効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、上記アの本件発明1の検討を踏まえると、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明3について
甲2記載の技術事項は、「菓子等にマロニルイソフラボン配糖体を10?10,000ppm添加すること。」であって、本件発明1の発明特定事項を示すものではない。
そうすると、本件発明3は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、上記アの本件発明1の検討を踏まえると、甲1発明及び甲2記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明4について
(ア)対比
本件発明4と甲1発明とを、上記(1)アの対比を踏まえて対比する。
後者の「チョコレート生地をテンパリングした後に含気させて得られる気泡含有油脂性菓子」は、前者の「チョコレート(但し気泡含有油脂性菓子を除く)」に、「チョコレート」という限りにおいて一致する。
そして、両者の間で次の一致点及び相違点が認められる。
[一致点]
「油脂を配合してなるチョコレート。」

[相違点4-1]
配合される油脂が、本件発明4は、「請求項1乃至3のいずれか一項に記載のチョコレート用油脂」であるのに対して、甲1発明は、「ココアバター(SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)15質量部、カカオマス(油分含有量55%、SUSで表されるトリグリセリド含有量83%、USUで表されるトリグリセリド含有量0%)20質量部、全脂粉乳(油分含有量25%)16質量部」に含まれる油分と「aないしfに示す油脂のいずれか」を合わせた油分である点(以下、「相違点4-1」という。)。

[相違点4-2]
チョコレートについて、本件発明4は、「気泡含有油脂性菓子を除く」としているのに対して、甲1発明は、「気泡含有油脂性菓子」である点(以下、「相違点4-2」という。)。

(イ)判断
上記相違点4-2について検討する。
甲1発明の「油分」は、気泡含有油脂性菓子に適したものとして油脂組成が定められたものであるから、甲1発明を、上記相違点4-2に係る本件発明4の発明特定事項のように、気泡含有油脂性菓子用を除くチョコレートとすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本件発明4は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 本件発明5について
(ア)対比
本件発明5と甲1発明2とを、上記(1)アの対比を踏まえて対比すると、両者の間で次の相違点が認められる。
[相違点5-1]
本件発明5は、「1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸、不飽和:オレイン酸)を主要成分として含有する油脂に、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油を、0.3?15%配合してなるテンパリングタイプのチョコレート用油脂を配合することで、チョコレート(但し気泡含有油脂性菓子を除く)の風味を増強及び持続させる方法。」であるのに対して、甲1発明2は、「甲1発明の気泡含有油脂性菓子を得る方法。」である点(以下、「相違点5-1」という。)。

(イ)判断
上記相違点5-1について検討する。
甲1発明2における「甲1発明の気泡含有油脂性菓子」の「油分」は、気泡含有油脂性菓子に適したものとして油脂組成が定められたものであるから、当該「油分」を配合することで、気泡含有油脂性菓子を除くチョコレートの風味を増強及び持続させることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本件発明5は、甲1発明2ではなく、また、甲1発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

カ まとめ
上記ア?オのとおりであるから、本件発明1、2、4及び5は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではなく、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
また、本件発明3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
したがって、本件特許の請求項1?5に係る特許は、取消理由1及び取消理由2により取り消すことができない。

(2)取消理由3(特許法第36条第6項第1号)について
本件訂正後の請求項1及び5において、「構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油」となり、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の範囲が限定された。
これにより、本件特許発明の実施例として、飽和脂肪酸含量が35%であってヨウ素価が68であるパーム分別軟質部油脂のランダムエステル交換油(実験例2)が使用された例が記載されているのみであるとしても、本件発明1?5に示されたランダムエステル交換油の範囲は、実施例と比べて広すぎるものではないから、本件特許の明細書に記載された「本発明の目的は、自然なチョコレート本来の風味(乳味、甘味、カカオ風味等)を増強及び持続させることができるチョコレート用油脂とそれを配合したチョコレートを提供すること」(段落【0006】)との課題を本件発明1?5が解決できないとはいえない。
したがって、本件発明1?5は、発明の詳細な説明に記載したものといえるから、本件特許の請求項1?5に係る特許は、取消理由3により取り消すことができない。

(3)取消理由4(特許法第36条第6項第2号)について
特許権者が平成31年1月22日付け意見書とともに乙第1号証として提出した特開2008-22744号公報の段落【0002】には、「カカオバターは、菓子類、特にチョコレート菓子の原料として用いられる最も高価な植物性油脂の代表的なものであり、従来からカカオバターに類似し且つ相溶性のあるカカオバター代用脂(CBE)の製造に多大な努力が払われてきた。カカオバターは、含有するトリアシルグリセリドの約80%以上がPOP(1,3-ジパルミトイル-2-オレオイルグリセリン)、POSt(2-オレオイルパルミトイルステアロイルグリセリン)、StOSt(1,3-ジステアロイル-2-オレオイルグリセリン)といった対称型、すなわちSUS型(S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸)のトリアシルグリセリドであるという特有の組成を持つため、CBEもPOP、POSt、StOStといったSUS型のトリアシルグリセリドを主成分とする。」と記載されているように、チョコレートの原料として用いられるカカオバターやその同等油脂であるCBEが、SUS型のトリアシルグリセリド、すなわち、1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリドを主成分とすることは本件特許の優先日前に技術常識である。
本件発明1?5において、当該技術常識を考慮すると、「1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸、不飽和:オレイン酸)を主要成分として含有する油脂」が、1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリドをどの程度含有しているかが具体的に特定されていないとしても、カカオバターやCBEにおける1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリドと同程度の割合で含有されるものであると認識することができる。
したがって、本件発明1?5は明確であるから、本件特許の請求項1?5に係る特許は、取消理由4により取り消すことができない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸、不飽和:オレイン酸)を主要成分として含有する油脂に、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油を、0.3?15%配合してなるテンパリングタイプのチョコレート用油脂(但し気泡含有油脂性菓子用を除く)。
【請求項2】
前記パーム分別軟質部油脂のヨウ素価が60?75である請求項1に記載のチョコレート用油脂。
【請求項3】
マロニルイソフラボン配糖体を5?50ppm含有することを特徴とする請求項1に記載のチョコレート用油脂。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のチョコレート用油脂を配合してなるチョコレート(但し気泡含有油脂性菓子を除く)。
【請求項5】
1,3-ジ飽和?2不飽和トリグリセリド(飽和:炭素数16?22の飽和脂肪酸、不飽和:オレイン酸)を主要成分として含有する油脂に、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸が30?50%であるヨウ素価55?75のパーム分別軟質部油脂を原料としたランダムエステル交換油を、0.3?15%配合してなるテンパリングタイプのチョコレート用油脂を配合することで、チョコレート(但し気泡含有油脂性菓子を除く)の風味を増強及び持続させる方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-05-08 
出願番号 特願2015-540524(P2015-540524)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A23D)
P 1 651・ 121- YAA (A23D)
P 1 651・ 537- YAA (A23D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小金井 悟  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 大屋 静男
槙原 進
登録日 2018-03-09 
登録番号 特許第6299985号(P6299985)
権利者 不二製油株式会社
発明の名称 テンパリングタイプチョコレート用油脂  

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