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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 特29条の2  A61K
管理番号 1352333
異議申立番号 異議2018-701017  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-12-13 
確定日 2019-06-14 
異議申立件数
事件の表示 特許第6368830号発明「固形医薬組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6368830号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6368830号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成27年3月27日を出願日(以下、「原出願日」という。)とする特願2015-65447号の一部を平成28年10月28日に新たな出願(特願2016-212130号)とし、さらにその一部を平成29年6月15日(以下、「出願日」という。)に新たな出願(特願2017-117771号)としたものであり、平成30年7月13日にその特許権の設定登録がされ、平成30年8月1日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、平成30年12月13日に特許異議申立人 板倉昭夫(以下、「申立人1」という。)が、平成31年2月1日に特許異議申立人 山田友則(以下、「申立人2」という。)が、特許異議の申立てを行った。

第2 本件特許発明

特許第6368830号(以下、「本件特許」という。)の特許請求の範囲の請求項1?5に係る特許に係る発明は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
(A)オンジエキス、及び、(B)含水ニ酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物を含有する、生薬成分として、オンジエキスのみを含む固形医薬組成物(デキストリンを配合するものを除く)。
【請求項2】
(A)オンジエキス、及び、(B)含水ニ酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物を含有する、生薬成分として、オンジエキスのみを含む固形医薬組成物(オンジエキス、デキストリンおよびケイ酸化合物からなる粉末を含むものを除く)。
【請求項3】
さらに、カルメロース(カルボキシメチルセルロース)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルメロースナトリウム)、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)、及びカルメロースカリウム(カルボキシメチルセルロースカリウム)から選択されるセルロース化合物または結晶セルロースを含有する、請求項1または2に記載の固形医薬組成物。
【請求項4】
生薬成分として、オンジエキスのみを含み、(A)オンジエキスに(B)含水ニ酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物を配合して固形形態に成型することを特徴とする、(A)オンジエキスを含有する医薬組成物の変色抑制方法(医薬組成物中にデキストリンを配合させる方法を除く)。
【請求項5】
生薬成分として、オンジエキスのみを含み、(A)オンジエキスに(B)含水ニ酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物を配合して固形形態に成型することを特徴とする、(A)オンジエキスを含有する医薬組成物の変色抑制方法(オンジエキス、デキストリン、およびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く)。」

以下、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?5に係る発明を、それぞれ「本件特許発明1」?「本件特許発明5」といい、これらをまとめて「本件特許発明」ということもある。

第3 申立理由の概要

(1)申立人1の申立理由及び証拠

(1-1)申立理由
・申立理由1A(特許法第29条第1項第3号)
本件特許発明1?5は、本件特許の出願日前に日本国内において頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものであり、本件特許発明3に係る特許は同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

・申立理由1B(特許法第29条第2項:甲第1号証?甲第7号証に基づく進歩性欠如)
本件特許発明1?5は、本件特許の出願日前に日本国内において頒布された甲第1号証?甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明1?5に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

・申立理由1C(特許法第29条の2)
本件特許発明1?5は、本件特許の原出願日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特許出願の当初明細書(甲第8号証及び甲第9号証)に記載された発明と同一である。しかも、本件特許発明1?5の発明者が、その原出願日前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許発明1及び2の原出願時において、本件特許の出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、本件特許発明1?5は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明1?5に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

・申立理由1D(特許法第36条第6項第2号:明確性)
(1D-1)請求項1の「固形医薬組成物(デキストリンを配合するものを除く)」という記載は、本件特許明細書の段落[0015]の記載と矛盾しており、整合性がとれておらず、不明確である。
(1D-2)請求項2の「固形医薬組成物(オンジエキス、デキストリンおよびケイ酸化合物からなる粉末を含むものを除く)」という記載は、本件特許明細書の段落[0016]の記載と矛盾し、整合性がとれておらず、不明確である。
(1D-3)請求項4の「変色抑制方法(医薬組成物中にデキストリンを配合させる方法を除く)」という記載は、本件特許明細書の段落[0015]の記載と矛盾し、整合性がとれておらず、不明確である。
(1D-4)請求項4の「変色抑制方法(医薬組成物中にデキストリンを配合させる方法を除く)」という記載は、「変色抑制」について、具体的にどのような基準で効果の有無を判断するのか当業者が内容を理解することができず、不明確である。
(1D-5)請求項5の「変色抑制方法(オンジエキス、デキストリン、およびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く)」という記載は、本件特許明細書の段落[0016]の記載と矛盾し、整合性がとれておらず、不明確である。
(1D-6)請求項5の「変色抑制方法(オンジエキス、デキストリン、およびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く)」という記載は、「変色抑制」について、具体的にどのような基準で効果の有無を判断するのか当業者が内容を理解することができず、不明確である。
よって、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、本件特許発明1?5に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

・申立理由1E(特許法第36条第6項第1号)
当業者は、本件特許の出願時の技術常識を参酌しても、本件特許発明1?5の範囲全体にわたり、発明が解決すべき課題が解決されていることを推認できるとはいえないので、本件特許の請求項1及び2に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定されるサポート要件を満たしていない。
よって、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないので、本件特許発明1?5に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

・申立理由1F(特許法第36条第4項第1号)
本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明1?5について、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえないので、特許法第36条第4項第1号に規定される実施可能要件を満たしていない。
よって、この出願は、特許請求の範囲の記載が第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないので、本件特許発明1?5に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(1-2)申立人1が提出した証拠
・甲第1号証:特開2013-32346号公報
・甲第2号証:特開2014-214125号公報
・甲第3号証:特開2013-53144号公報
・甲第4号証:特開平8-337532号公報
・甲第5号証:特開平9-110708号公報
・甲第6号証:特開2009-73778号公報
・甲第7号証:特開2009-227658号公報
・甲第8号証:特願2015-231564号(特開2016-108327号公報)(出願日:平成27年11月27日、優先日:平成26年12月5日)
・甲第9号証:特願2017-4042号(特開2017-61576号公報)(原出願日:平成27年11月27日、優先日:平成26年12月5日)

以下、甲第1号証、甲第2号証・・・をそれぞれ甲1、甲2・・・のように省略して記載する。

(2)申立人2の申立理由及び証拠

(2-1)申立理由(特許法第29条第2項:甲第1号証?甲第8号証に基づく進歩性欠如)
本件特許発明1?5は、本件特許の出願日前に日本国内において頒布された甲第1号証?甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明1?5に係る特許は同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

(2-2)申立人2が提出した証拠

・甲第1号証:韓国公開特許第10-2014-0059532号公報及びその部分翻訳文
・甲第2号証:「単味生薬のエキス製剤の開発に関するガイドライン」(案)の概要、平成26年9月1日、厚生労働省医薬食品局審査管理課
インターネット<URL:
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000137790
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000137791 >
・甲第3号証:特開2012-140420号公報
・甲第4号証:特開2011-178690号公報
・甲第5号証:特開平11-43440号公報
・甲第6号証:特開2014-166994号公報
・甲第7号証:特開昭55-92313号公報
・甲第8号証:特開2010-111589号公報

以下、申立人1が提出した甲1、甲2号証・・・と区別するために、申立人2が提出した甲第1号証、甲第2号証・・・をそれぞれ甲1’、甲2’・・・のように省略して記載する。

第4 申立人1が提出した証拠に記載されている事項

申立人1が提出した甲1?9には、以下の事項が記載されている。

(1)甲1(特開2013-32346号公報)には以下の記載がある。

(1a)「【請求項1】
生薬エキスまたは漢方エキスと吸着剤とを含む固形製剤であって、前記吸着剤が、吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含む固形製剤。
【請求項2】
第1の吸着剤がケイ酸カルシウムであり、第2の吸着剤が、軽質無水ケイ酸およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1種の吸着剤である、請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
第1の吸着剤と第2の吸着剤との割合が、前者/後者=20/80?90/10(質量比)である請求項1または2記載の固形製剤。
【請求項4】
生薬エキスが、ナンテンジツエキス、キキョウエキス、ショウキョウエキス、及びチンピエキスから選択された少なくとも一種の軟エキスである請求項1?3のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項5】
生薬エキスまたは漢方エキスが水分含有量20?40質量%の軟エキスである請求項1?4のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項6】
生薬エキスまたは漢方エキス100質量部に対して吸着剤の総量が10?45質量部である請求項1?5のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項7】
さらに解熱鎮痛剤を含む請求項1?6のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項8】
さらに、結合剤、賦形剤、崩壊剤および矯味剤から選択された少なくとも1つの成分を含有する請求項1?7のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項9】
散剤、顆粒剤又は錠剤の形態である請求項1?8のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項10】
吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含む吸着剤と、生薬エキスまたは漢方エキスとを湿式造粒する固形製剤の製造方法。
【請求項11】
生薬エキスまたは漢方エキスを、吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含む吸着剤に吸着させて湿式造粒し、造粒物のケーキング及び/又は変色を防止する方法。」(【請求項1】?【請求項11】)

(1b)「本発明の目的は、ケーキング(固化)および製剤の変色を有効に抑制できる生薬製剤(または漢方製剤)及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、生薬エキスまたは漢方エキス(特に軟エキス)に由来する成分の含有量が高くても、固化または変色を抑制できる組成物(造粒物など)及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、高湿度下で保存しても、流動性低下の抑制のみならず、変色を抑制できる生薬製剤(または漢方製剤)及びその製造方法を提供することにある。」(【0009】?【0011】)

(1c)「【0014】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、吸着量の高い第1の吸着剤(ケイ酸カルシウムなど)と、この第1の吸着剤よりも吸着量の低い第2の吸着剤(軽質無水ケイ酸など)との複数の吸着剤を用いると生薬エキスまたは漢方エキス(複数の軟エキスなど)を大量に原料として用いても、ケーキング(固化)を有効に防止でき、外観変化を起こしにくい固形製剤が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、(1)本発明の固形製剤(医薬組成物)は、生薬エキスまたは漢方エキスと吸着剤とを含む固形製剤であって、前記吸着剤が、吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含んでいる。(2)第1の吸着剤がケイ酸カルシウムを含み、第2の吸着剤が、軽質無水ケイ酸およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1種の吸着剤を含んでいてもよく、(3)第1の吸着剤と第2の吸着剤との割合は、前者/後者=20/80?90/10(質量比)程度であってもよい。(4)生薬エキスは、ナンテンジツエキス、キキョウエキス、ショウキョウエキス、及びチンピエキスから選択された少なくとも一種のエキスであってもよく、(5)生薬エキスまたは漢方エキスは、水分含有量20?40質量%の軟エキスであってもよく、(6)生薬エキスまたは漢方エキスの100質量部に対する吸着剤の総含有量は10?45質量部程度であってもよい。(7)固形製剤(医薬組成物)は、さらに解熱鎮痛剤を含んでいてもよい。また、(8)固形製剤(医薬組成物)は、さらに、結合剤、賦形剤、崩壊剤、矯味剤(甘味剤)から選択された少なくとも1つの成分を含有していてもよい。さらに、(9)固形製剤(医薬組成物)は、散剤、顆粒剤又は錠剤の形態であってもよい。」(【0014】?【0015】)

(1d)「【0018】
本発明では、第1及び第2の吸着剤を用いるため、固形製剤において、吸湿性を有する生薬エキスまたは漢方エキスを用いても、ケーキング(固化)を有効に抑制できる。特に、生薬エキスまたは漢方エキス(特に軟エキス)に由来する生薬成分の含有量が高くても、少量の吸着剤で製剤の固化を抑制できる。さらに、高湿度下で保存しても、流動性のみならず、安定性も高く変色又は着色を抑制できる。さらには、本発明の方法では、攪拌造粒法などの簡単な造粒法により、前記優れた特性を有する固形製剤を得ることができる。」(【0018】)

(1e)「【0019】
生薬エキスとは、生薬原末から水、エタノールのような有機溶媒またはその混合物を用いてエキスを抽出させたものをいう。また、生薬エキスは、生薬原末から抽出したエキスの濃縮エキスまたは複数の生薬から抽出したエキスまたはその混合物であってもよい。
【0020】
生薬エキスに用いられる生薬の種類は、植物性の生薬のみならず動物性又は鉱物性の生薬であってもよく、特に制限されないが、日本薬局方に記載されている生薬が好ましく、例えば、アセンヤク、イレイセン(威霊仙)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウギ(黄耆)、オウゴン(黄岑)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ、カンキョウ(乾姜)、カッコン(葛根)、カッコウ、カロニン、カノコソウ、カンゾウ(甘草)、カミツレ、キキョウ(桔梗)、キクカ(菊花)、キジツ(枳実)、キョウニン(杏仁)、キョウカツ、クジン(苦参)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ゲンチアナ、コウカ(紅花)、コウブシ(香附子)、コウベイ、コウボク(厚朴)、ゴオウ、ゴシツ(牛膝)、ゴシュユ(呉茱萸)、ゴボウシ(牛蒡子)、ゴミシ(五味子)、サイコ(柴胡)、サイシン(細辛)、サンシシ(山梔子)、サンシュユ(山茱萸)、サンショウ(山椒)、サンザシ(山査子)、サンズコン(山豆根)、サンソウニン(酸棗仁)、サンヤク(山薬)、サンナ(山奈)、ジオウ(地黄)、シオン、シャクヤク、ジャコウ、ショウマ(升麻)、シツリシ、シャゼンシ、シャゼンソウ、シャジン(シュクシャ(縮砂))、獣胆(ユウタンを含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、ジコッピ(地骨皮)、シコン、セキサン(石蒜)、セッコウ(石膏)、セネガ、センコツ(川骨)、ゼンコ(前胡)、センキュウ、センブリ、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、ダイオウ(大黄)、タイソウ、チクジョ、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チョレイ(猪苓)、チンピ(陳皮)、テンナンショウ(天南星)、トウガシ(冬瓜子)、トウキ(当帰)、トウニン(桃仁)、トコン、トチュウ、ナンテンジツ、ニンジン(人参)、ニンドウ(忍冬)、バイモ、バクモンドウ、ハッカ(薄荷)、ハンゲ(半夏)、ビャクシ、ビャクシャク、ビャクジュツ(白朮)、ビワヨウ(枇杷葉)、ビンロウジ(檳榔子)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、マオウ(麻黄)、マシニン(麻子仁)、モッコウ(木香)、ヨクイニン、リュウガンニク(竜眼肉)、リョウキョウ(良姜)、リュウコツ(竜骨)、リュウタン(竜胆)、レンニク(蓮肉)、レンギョウ(連翹)などが例示できる。」(【0019】?【0020】)

(1f)「【0030】
[吸着剤]
本発明では、前記吸着剤として、吸着能の高い第1の吸着剤と、第1の吸着剤よりも吸着能の低い第2の吸着剤とを用いる。このような吸着剤を組み合わせて用いると、多量の生薬エキスまたは漢方エキスを用いた製剤であっても、少量の吸着剤で製剤のケーキングを防止できる。しかも、吸着能の高い第1の吸着剤を多量に用いると、外観変化(着色または変色)を生じる場合があるが、そのような場合であっても、第1の吸着剤と第2の吸着剤とを組み合わせることにより、外観変化を有効に防止できる。
【0031】
吸着剤の吸着能とは、吸油量とも称され、その吸着剤の多孔質中に液体を保持できる能力を意味する。吸着剤の吸着能(吸油量)は、亜麻仁油を用いてJIS K 5101などに従って測定できる。第1の吸着剤の吸着能は、例えば、4?6ml/g、好ましくは4.2?5.8ml/g、さらに好ましくは4.5?5.5ml/g、特に4.7?5.3ml/g程度であってもよい。このような第1の吸着剤としては、例えば、ケイ酸カルシウムなどが例示できる。このケイ酸カルシウムは、多孔質であり、式 2CaO・3SiO_(2)・mSiO_(2)・nH_(2)O(式中、1<m<2、2<n<3である)で表すことができる。第1の吸着剤(ケイ酸カルシウム)の平均粒子径は、1?100μm(例えば、5?50μm)程度であってもよい。
【0032】
第2の吸着剤の吸着能は、第1の吸着剤よりも吸着能が低く、例えば、2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満、好ましくは2.2?3.8ml/g、さらに好ましくは2.3?3.7ml/g、特に2.5?3.5ml/g程度であってもよい。このような第2の吸着剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが例示できる。これらの第2の吸着剤は多孔質であり、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい第2の吸着剤は軽質無水ケイ酸である。第2の吸着剤(軽質無水ケイ酸など)の平均粒子径は、0.01?250μm(例えば、1?10μm)程度であってもよい。」(【0030】?【0032】)

(1g)「【0037】
[担体又は添加剤]
本発明の組成物は、さらに、担体(結合剤、賦形剤、崩壊剤から選択された少なくとも1つの成分)を含有していてもよい。
【0038】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、D-ソルビトール、エリスリトール、キシリトールなどの糖アルコール、乳糖、ブドウ糖、果糖、白糖、粉末還元麦芽糖水アメなどの糖類、結晶セルロース、粉末セルロース、デンプン類(バレイショデンプン、トウモロコシデンプンなど)、デキストリン、β-シクロデキストリン、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、沈降性炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、乳酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、タルク、カオリンなどが例示できる。賦形剤としては、糖類、結晶セルロース、デンプン類、無水リン酸水素カルシウムなどを用いる場合が多い。賦形剤の使用量は、活性成分及び吸着剤の全量100質量部に対して、1?100質量部、好ましくは3?75質量部、さらに好ましくは5?50質量部程度であってもよい。なお、第1及び/又は第2の吸着剤を賦形剤として機能させることができるため、賦形剤は必ずしも必要ではない。そのため、賦形剤の使用量は、活性成分及び吸着剤の全量100質量部に対して、0?30質量部、好ましくは3?20質量部(例えば、5?10質量部)程度であってもよい。」(【0037】?【0038】)

(1h)「【0040】
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、クロスポビドン、デンプン類(トウモロコシデンプンなど)、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン、アルギン酸、ベントナイトなどが例示できる。崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、クロスポビドン、デンプン類などを用いる場合が多い。崩壊剤の使用量は、活性成分及び吸着剤の全量100質量部に対して、1?30質量部、好ましくは3?25質量部、さらに好ましくは5?20質量部(例えば、5?15質量部)程度であってもよい。」(【0040】)

(1i)「【0047】
実施例1?3、比較例1、2の散剤をガラス瓶に収容して25℃及び63%RHの条件下で、開栓状態で4日間保存した。保存後の製剤に関して、外観変化とケーキングを調べた。外観変化はスペクトロフォトメーターCM-3500d(コニカミノルタ製色差計)を用いて色差(ΔE*)を測定した。ケーキングは、以下の基準で、瓶を傾斜させたときの散剤の流動性で確認した。結果を以下の表1に示す。
-:ケーキングなし(流動性良好)
+:ケーキングあり(振動を与えるとほぐれる)
++:ケーキングあり(振動を与えてもほぐれない)
【0048】
【表1】

【0049】
上記の結果より、ケイ酸カルシウムと軽質無水ケイ酸を併用して用いれば、生薬エキス又は漢方エキスの含有率が高くても、医薬製剤の外観変化及びケーキングを抑制できることが分かる。」(【0047】?【0048】)

(2)甲2(特開2014-214125号公報)には以下の記載がある。
(2a)「【請求項1】
吸湿性物質、流動化剤及び崩壊剤を含む錠剤の製造方法であって、
(1)吸湿性物質を乾式造粒法で造粒する工程、
(2)前記工程(1)で得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤を造粒する工程、及び
(3)前記工程(2)で得られた造粒物を打錠する工程、を有することを特徴とする錠剤の製造方法。
【請求項2】
前記工程(2)が、
(2-1)前記工程(1)で得られた造粒物と流動化剤とを混合し、これを造粒する前造粒工程、及び(2-2)前記前造粒工程(2-1)で得られた前造粒物に、更に流動化剤と崩壊剤とを混合して混合物を得、次いで該混合物を造粒する仕上げ造粒工程、を有するものである、請求項1記載の錠剤の製造方法。
【請求項3】
前記吸湿性物質が、漢方エキス、生薬エキス及び植物抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質である、請求項1又は2に記載の錠剤の製造方法。
【請求項4】
前記流動化剤が、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分である、請求項1?3いずれかに記載の錠剤の製造方法。
【請求項5】
前記崩壊剤が、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びクロスポビドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分である、請求項1?4のいずれかに記載の錠剤の製造方法。」(【請求項1】?【請求項5】)

(2b)「【0026】
(1)吸湿性物質を乾式造粒法で造粒する工程
本発明の製造方法は、工程(1)として、吸湿性物質を乾式造粒法で造粒する工程を有する。乾式造粒工程により、吸湿性物質の粒子径を大きくできる。そして、次工程(2)により、吸湿性物質からなる造粒物の表面を流動化剤と崩壊剤とで被覆でき、崩壊性が良好な錠剤を得ることができる。」(【0026】)

(2c)「【0027】
(1-1) 吸湿性物質
本発明が対象とする吸湿性物質は、特に制限されない。例えば、錠剤の製造工程の環境下で、水分を吸収し易い物質が挙げられる。尚、本発明の錠剤では、吸湿性物質を有効成分とすることができる。有効成分とは、人体に投与又は摂取された後に、体内で意図される生理作用又は薬理活性を発揮する物質であり、その意味で機能性物質とも称される。
【0028】
吸湿性物質として、例えば、生薬の乾燥粉末又は生薬エキス、漢方(生薬の混合物)の乾燥粉末及び漢方エキス、植物抽出物等が挙げられる。
【0029】
吸湿性物質として、生薬の乾燥粉末又は生薬エキス、並びに、漢方又は漢方エキスが好ましい。漢方が生薬粉末の場合は、生薬をそのまま粉砕することで得られる。生薬粉末とは、生薬をそのまま粉砕することで得られる粉末である。
【0030】
生薬工キスは、生薬原末から、水、エタノール等の有機溶媒、その混合溶媒を用いてエキスを抽出し(浸出液)、濃縮、乾燥又は粉末化させたもの(エキス末)で、乾燥エキスと呼ばれる。乾燥エキスとは、抽出エキスを例えばスプレードライして粉末状に加工した粉末である。生薬エキスは、生薬原末から抽出したエキス末単独でも良く、単独のエキス末の混合物或いは複数の生薬から抽出したエキス末であっても良い。
【0031】
漢方エキスは、生薬原末(主には生薬原末の混合物)から、水、エタノール等の有機溶媒、その混合溶媒を用いてエキスを抽出し(浸出液)、濃縮、乾燥又は粉末化させたもの(エキス末)で、乾燥エキスと呼ばれる。乾燥エキスについては前記した通りである。漢方エキスは、生薬のエキス末の混合物でも良く、複数の生薬から抽出したエキス末であっても良い。
【0032】
生薬の種類は、特に制限されず、日本薬局方に記載されている生薬が好ましい。例えば、アセンヤク、イレイセン(威霊仙)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウギ(黄耆)、オウゴン(黄岑)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ、カンキョウ(乾姜)、カッコン(葛根)、カッコウ、カロニン、カノコソウ、カンゾウ(甘草)、カミツレ、キキョウ(桔梗)、キクカ(菊花)、キジツ(枳実)、キョウニン(杏仁)、キョウカツ、クジン(苦参)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ゲンチアナ、コウカ(紅花)、コウブシ(香附子)、コウベイ、コウボク(厚朴)、ゴオウ、ゴシツ(牛膝)、ゴシュユ(呉茱黄)、ゴボウシ(牛蒡子)ヘ ゴミシ(五味子)、サイコ(柴胡)、サイシン(細辛)、サンシシ(山梔子)、サンシュユ(山茱萸)、サンショウ(山根)、サンザシ(山査子)、サンズコン(山豆根)、サンソウニン(酸棗仁)、サンヤク(山薬)、サンナ(山奈)、ジオウ(地黄)、シオン、シャクヤク、ジャコウ、ショウマ(升麻)、シツリシ、シャゼンシ、シャゼンソウ、シャジン(シュクシャ(縮砂))、獣胆(ユウタンを含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、ジコッピ(地骨皮)、シコン、セキサン(石蒜)、セッコウ(石膏)、セネガ、センコツ(川骨)、ゼンコ(前胡)、センキュウ、センブリ、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、ダイオウ(大黄)、タイソウ、チクジョ、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チョレイ(猪苓)、チンピ(陳皮)、テンナンショウ(天南星)、トウガシ(冬瓜子)、トウキ(当帰)、トウニン(桃仁)、トコン、トチュウ、ナンテンジツ、ニンジン(人参)、ニンドウ(忍冬)、バイモ、バクモンドウ、ハッカ(薄荷)、`ハンゲ(半夏)、ビャクシ、ビャクシャク、ビャクジュツ(白朮)、ビワヨウ(枇杷葉)、ビンロウジ(檳榔子)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、マオウ(麻黄)、マシニン(麻子仁)、モッコウ(木香)、ヨクイニン、リュウガンニク(竜眼肉)、リョウキョウ(良姜)、リュウコツ(竜骨)、リュウタン(竜胆)、レンニク(蓮肉)、レンギョウ(連翹)等が例示できる。
・・・
【0036】
本発明の錠剤は、前記吸湿性物質を1種含むものであってもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて含むものであってもよい。
【0037】
吸湿性物質は、吸湿により錠剤の崩壊性を悪化させるという理由から、漢方エキス、生薬エキス及び植物抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることが好ましい。」(【0027】?【0037】)

(2d)「【0053】
(2-1) 流動化剤
本発明における流動化剤とは、吸湿性物質の吸湿による物性変化を抑制するための成分を指す。流動化剤としては、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、結晶セルロース、酸化チタン、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウム造粒物等が挙げられる。
【0054】
本発明の錠剤は、前記流動化剤を1種含むものであってもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて含むものであってもよい。
【0055】
流動化剤としては、吸湿性物質(エキス末等)の吸湿による物性変化を抑制することができるという理由から、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分であることがより好ましい。これらの流動化剤は、1種単独で用いても良く、また2種以上を任意に組み合わせても良い。
【0056】
(2-2) 崩壊剤
崩壊剤の種類としては、特に制限されず、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等のデンプン類、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)等のセルロース類、グアーガム、アジピン酸、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、クロスポビドン、ベントナイト等が挙げられる。
【0057】
本発明の錠剤は、前記崩壊剤を1種含むものであってもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて含むものであってもよい。
【0058】
崩壊剤としては、より崩壊時間を短縮できるという理由から、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びクロスポビドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分であることが好ましい。」(【0053】?【0058】)

(2e)「【0117】
実施例
吸湿性物質として、漢方エキスを用いて、錠剤を製造した。
【0118】
(1)錠剤の調製に用いた成分(処方)
処方を表1及び2に示した。滑沢剤は打錠前に添加した。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

」(【0117】?【0120】)

(2f)「【0123】
(2)錠剤の製造
(2-1)工程(1)乾式造粒法
・・・
【0125】
本発明の第一及び第二の製造方法では、吸湿性物質(漢方エキス)を、乾式造粒法で造粒した(図1及び2の工程(1))。
【0126】
上記造粒工程で得られた造粒物を、20メッシュ通過(850μm程度以下)目開き125μm保持で整粒(解砕・篩過)し、造粒物を次の造粒工程に供した。
【0127】
(2-2)工程(2)造粒工程
造粒法として攪拌造粒法を採用した。攪拌造粒工程を表5に示した。
・・・
【0129】
本発明の第一の製造方法は、前記工程(1)で得られた造粒物と流動化剤(軽質無水ケイ酸)と崩壊剤(クロスカルメロースNa)との混合物を攪拌造粒した(図1の工程(2))。
【0130】
本発明の第二の製造方法は、前記工程(1)で得られた造粒物と流動化剤(軽質無水ケイ酸)との混合物を攪拌造粒した(図2の前造粒工程(2-1))。前造粒工程では、流動化剤を、配合比率で9質量%添加した。次いで前記前造粒工程(2-1)で得られた前造粒物に、更に流動化剤(軽質無水ケイ酸)と崩壊剤(クロスカルメロースNa)とを混合して混合物を得た。次いで該混合物を攪拌造粒した(図2の仕上げ造粒工程(2-2))。仕上げ造粒工程では、流動化剤を、配合比率で1質量%添加した。第二の製造方法は、第一の製造方法の攪拌造粒工程(2)が、前造粒工程(2-1)及び仕上げ造粒工程(2-2)に分かれた製造方法である。前造粒工程での流動化剤の配合量:仕上げ造粒工程での流動化剤の配合量=9:1である。
【0131】
上記造粒工程で得られた造粒物を、目開き1000μmの丸篩にかけて整粒し、当該丸篩を通過した整粒物を打錠工程に供した。」(【0123】?【0131】)

(2g)「(3)従来の錠剤の製造
従来の錠剤の製造方法を表7に示した(図3)。
・・・
【0136】
吸湿性物質(漢方エキス)、流動化剤(軽質無水ケイ酸)及び崩壊剤(クロスカルメロースNa)を混合し、これを攪拌造粒した。次いで、造粒物を整粒し、整粒物を得た。これに滑沢剤(ステアリン酸Mg)を添加して、単発式打錠機を用いて打錠し、錠剤を得た。」(【0134】?【0136】)

(2h)「【0137】
(4)評価試験:崩壊試験(日本薬局方)
上記で製造した錠剤(6個)について、日本薬局方(第十六改正)記載の崩壊試験法に従って崩壊時間を測定した。錠剤6個のうち、最も崩壊時間の遅い時間を崩壊時間とした。
【0138】
従来技術の製造方法で製造した錠剤の崩壊時間は、38分であった。
【0139】
本発明の第一の製造方法で製造した錠剤の崩壊時間は、18分であった。錠剤は、局所的に崩壊が進み、ややいびつな形状に変化しながら小さくなっていった。
【0140】
本発明の第二の製造方法で製造した錠剤の崩壊時間は、16分であった。錠剤は、表面が全体的に均一に崩壊していき、錠剤の形状のまま徐々に小さくなっていった。崩壊については、第一の製造方法に比べて、第二の製造方法で製造した錠剤の方が速かった。
【0141】
<考察>
本発明の製造方法によれば、錠剤中に漢方エキス、生薬エキス等の吸湿性物質の含有率が高くても、崩壊性が大きく損なわれない錠剤を調製することができた。更に、崩壊時間の遅延やばらつきが有意に抑えられた錠剤となった。
【0142】
先ず、吸湿性物質を乾式造粒することにより、吸湿性物質の粒子径を大きくでき(工程(1)、16メッシュ通過115メッシュ保持の造粒物)、次いで、得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤とを造粒することにより、吸湿性物質の表面を流動化剤と崩壊剤とで被覆できた(工程(2))。その結果、得られた造粒物を打錠して、錠剤にすることにより(工程(3))、崩壊性が良好な錠剤を得ることができた。また、錠剤中の吸湿性物質(有効成分)に偏析の発生が有意に抑制され、錠剤は均一な外観を有する錠剤となった。」(【0137】?【0142】)

(2i)「【図1】


」 (【図1】)

(2j)「【図2】

」 (【図2】)

(2k)「【図3】

」 (【図3】)

(3)甲3(特開2013-53144号公報)には以下の記載がある。

(3a)「【請求項1】
カノコソウと、アスコルビン酸、グルタミン酸およびオンジからなる群から選択される少なくとも1種以上を含有する鎮静剤組成物。
【請求項2】
カノコソウエキス1重量部に対して、アスコルビン酸、グルタミン酸およびオンジエキスの合計が0.01?1重量部である請求項1に記載の鎮静剤組成物。」(【請求項1】及び【請求項2】)

(3b)「【0001】
本発明はカノコソウを含有する鎮静剤組成物に関する。具体的には本発明は、カノコソウを含有する鎮静用の医薬品または食品組成物に関する。」(【0001】)

(3c)「【0002】
現代社会はIT機器の普及により、肉体労働は減少する一方で、高度な知的および/または精神作業や、一日中同じ姿勢でパソコン画面を見たりするようなVDT(Visual Display Terminal)作業等の増加により、精神的ストレスや頭脳疲労等が増加して労働環境上、大きな問題となってきている。厚生労働省の「平成20年技術革新と労働に関する実態調査」によると、労働者の内87.5%がVDT作業に従事しており、その内34.6%が精神的な疲労やストレスを感じると回答している。
【0003】
このような作業等による、精神的ストレスやいらいら感を鎮めるために、従来、天然由来で安心して使用できる漢方薬、カノコソウ等のハーブを配合した生薬製剤、テアニンやγ-アミノ酪酸(GABA)を配合した機能性または健康食品が用いられている。しかし、それらの作用は緩和であるため、より効きめのある天然由来の鎮静用組成物が求められている。
・・・
【0005】
抗酸化剤であるアスコルビン酸は、副腎皮質機能への関与(ストレス反応の防止)が記載(例えば、非特許文献1参照)されていることから、抗ストレス作用が示唆される。また、オンジ(遠志)には、拘束水浸ストレス胃潰瘍形成抑制作用が記載(例えば、非特許文献1参照)されていることから、抗ストレス作用が示唆される。更に、グルタミン酸誘導体であるテアニンが抗ストレス作用を有することが報告(例えば、特許文献1参照)されていることから、グルタミン酸の抗ストレス作用が示唆される。しかし、アスコルビン酸、オンジおよびグルタミン酸のいずれも、単独で強い鎮静効果を示すという報告はなく、更に、精神ストレス等を改善する薬効成分としては一般的には採用されていない。
・・・
【0009】
以上、カノコソウと、アスコルビン酸、グルタミン酸および/又はオンジを含有する鎮静剤組成物は知られていない。」(【0002】?【0009】)

(3d)「【0012】
これまでの鎮静用組成物は作用が緩和であった。本発明の課題は、安全かつ、より効きめの高い鎮静用組成物を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく長年にわたり鋭意研究を進めてきた。その結果、カノコソウに、アスコルビン酸、グルタミン酸またはオンジを併用することで、これらをそれぞれ単独で使用した場合に比べて、著しく鎮静効果が増強された製剤を得ることができ、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0014】
本発明の組成物は、安全な特定の生薬、アミノ酸、またはビタミンから成り、かつ鎮静効果がすぐれており極めて有用である。」(【0012】?【0014】)

(3e)「【0019】
本発明におけるオンジ(遠志)は、第15改正日本薬局方収載のオンジおよびオンジ末、さらにはオンジエキスを含み、好ましくはオンジエキスである。
本発明におけるオンジエキスとしては、ヒメハギ属のイトヒメハギ(Polygala tenuifolia)の根から水やエタノール等の有機溶媒により抽出した抽出物を使用することができる。
【0020】
本発明の鎮静剤は、カノコソウエキスに加え、アスコルビン酸、グルタミン酸、オンジエキスからなる群から選択される少なくとも1種以上を有効成分として含有し、カノコソウエキスの重量比1に対して、アスコルビン酸、グルタミン酸、オンジエキスの合計の重量比が0.01?1である。より好ましい重量比は、カノコソウエキス1に対して、アスコルビン酸、グルタミン酸、オンジエキスの合計が0.1?1である。」(【0019】?【0020】)

(3f)「【0024】
本発明の鎮静剤は、有効成分あるカノコソウエキスおよびアスコルビン酸、グルタミン酸、オンジエキスに、例えば乳糖、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の不活性な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等の慣用の添加剤を配合して、慣用の方法例えば第十五改正日本薬局方に記載の方法と同様にして、前記のような固形剤に製剤化することができる。また、砂糖、人工甘味料、有機酸、防腐剤などを用いて慣用の方法で液剤にすることもできる。これらには、必要に応じて、着色剤、香料、矯味剤、矯臭剤等を更に配合してもよい。」(【0024】)

(3g)「【0026】
(製造例)
本発明は下記のような処方例にて、公知の錠剤の製法を用い錠剤に製することが可能であるが、これに限定されるものではない。更に必要に応じて、セラック、ステアリン酸、カルナウバロウなどを用いてコーティングすることも可能である。

」(【0026】)

(4)甲4(特開平8-337532号公報)には以下の記載がある。

(4a)「【請求項1】気道粘液分泌促進作用を有する生薬と気道粘液粘稠度調整剤および/または気道粘膜潤滑剤とを配合することを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】気道粘液粘稠度調整剤が気道粘液溶解剤または気道粘液硬化剤である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】気道粘液分泌促進作用を有する生薬がセネガ、キキヨウ、オンジ、シオンの少なくとも1種である請求項1記載の医薬組成物。」(【請求項1】?【請求項3】)

(4b)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、喀痰に優れた作用を有する医薬組成物に関する。さらに詳しくは、適用範囲の広い喀痰作用をもつ鎮咳去痰用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】咳は、主に気道に侵入した異物やそれに反応して生じた過剰な分泌物によって引き起こされ、異物の侵入を防ぎ、気道粘液を痰となして喀出させることにより気道を浄化するいわば生体の反射的な防衛反応のひとつとされている。
・・・
【0004】こうした咳・痰症状だけでは重大な疾患に結び付くことは少ないにしても、時には睡眠を妨げたり、食事摂取に障害を与えて精神的・肉体的消耗の要因となり、また他の呼吸器や循環器の病気に増悪に影響したりすることがあるので、できるだけ早くすっきりと取り除いてやることが重要であるとされている。
・・・湿性咳における咳・痰症状は、痰を速やかにすっきりと取り除けば、不愉快でかつ呼吸するのもつらい症状から解放され、通常の生活活動度に復帰できる場合が多いので、中枢に作用するような麻薬性の強い鎮咳剤などを配合した薬剤ではなく、安心して服用できかつ咳・痰症状がすっきり緩解するような治療効果の高い配合薬剤が待ち望まれている。
【0005】
【問題を解決するための手段】咳・痰症状に対して、鎮咳を優先するのではなく、不愉快な痰を速やかに取り去る(去痰)ことにより咳・痰症状をすっきりと緩解することができ、かつ副作用の少ない安全性の高い医薬組成物を提供する目的で、本発明者らは鋭意検討した結果本発明を完成した。すなわち、本発明は
1)気道粘液分泌促進作用を有する生薬と気道粘液粘稠度調整剤および/または気道粘膜潤滑剤とを配合することを特徴とする医薬組成物、
2)気道粘液粘稠度調整剤が気道粘液溶解剤または気道粘液硬化剤である上記1)記載の医薬組成物、
3)気道粘液分泌促進作用を有する生薬がセネガ、キキヨウ、オンジ、シオンの少なくとも1種である上記1)記載の医薬組成物、
4)気道粘液溶解剤がN-アセチルL-システイン、L-メチルシステイン、L-エチルシステイン、カルボシステイン、セラペプターゼ、ブロメラインおよびこれらの薬理学的に許容されうる塩の少なくとも1種である上記2)または3)記載の医薬組成物、
5)気道粘液硬化剤がN-アセチルノイラミン酸(アセノイラム酸ナトリウム)である請求項2または3記載の医薬組成物、
6)気道粘膜潤滑剤がアンブロキソールまたはその薬理学的に許容されうる塩である上記1),3),4)または5)記載の医薬組成物および
7)鎮咳去痰用組成物である上記1)記載の医薬組成物に関する。」(【0001】?【0005】)

(4c)「【0006】本発明は鎮咳作用に重きを置くのではなく、痰を喀出し易くしてかつ喀出を促す作用を付加してやることによってより去痰を確実にし、結果として咳も速やかに鎮静化させる組成物である。その配合組成物は痰の喀出に優れた作用を有し、かつ安全性の高い生薬(例えばセネガ、キキョウ、オンジ、シオンなど)を少なくとも1種含み、これに1種もしくは2種以上の粘膜潤滑剤および/または気道粘液粘稠度調整剤として、痰の性状により1種もしくは2種以上の気道粘液硬化剤あるいは気道粘液溶解剤を、好ましくは3者を配合することを特徴とするものである。本発明組成物に用い得る気道粘液分泌促進作用を有する生薬としては、例えば和漢薬百科図鑑(保育社発行)あるいは中薬大辞典等に収載されている気道粘液分泌促進作用を有する生薬等が挙げられ、セネガ、キキョウ、オンジ、シオンなどが好ましく用いられる。これらの生薬のなかでも、抹消性の気道粘液分泌促進作用が主体となるものが好ましい。」(【0006】)

(4d)「【0014】製剤の調製にあたっては、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、コーティング剤、徐放化剤など、希釈剤や賦形剤を用いることができる。・・・より具体的には、賦形剤として、乳糖、コーンスターチ、マンニトール、D-ソルビトール、結晶セルロース、エリスリトール、白糖など、結合剤としてはヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、α化デンプンなど、崩壊剤にはカルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、架橋化ポリビニルピロリドンなど、・・・吸着剤には合成ケイ酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸などを配合することができる。
・・・
【0015】散剤、細粒剤、顆粒剤などの粉粒体製剤(定量噴霧吸入器(MDI)や粉末吸入器(DPD)なども含む)では飛散性、付着性などの性状を考慮して適宜目的とする製剤の調製を行うことができ、例えば、粉体の嵩、飛散性、付着性、吸湿性、帯電性、ぬれ、溶解性等の物性、粒子の粒度(粒径)、表面積、形状などの性質を考慮して製剤となすことが好ましい。」(【0014】?【0015】)

(4e)「【0016】
【実施例】以下、本発明に関していくつかの好ましい配合例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記配合例においては、特にことわらない限り、各成分の配合量は成人1日量を示し、前述の常法に従い製剤化するものとする。
・・・
〔配合例 2〕
オンジ乾燥エキス 300 mg(原生薬換算量 2,000 mg)
キキョウ乾燥エキス 150 mg(原生薬換算量 1,000 mg)
シオン乾燥エキス 300 mg(原生薬換算量 2,000 mg)
アセノイラム酸ナトリウム 4 mg
上記配合組成物は、できるだけ局所に適用しやすい製剤の形態がよい。例えばチュアブルやトローチのような固形製剤やシロップとして調剤することが望ましい。
【0017】〔配合例 3〕
セネガ乾燥エキス 500 mg(原生薬換算量 3,333 mg)
キキョウ乾燥エキス 500 mg(原生薬換算量 3,333 mg)
オンジ乾燥エキス 500 mg(原生薬換算量 5,000 mg)
塩酸アンブロキソール 45 mg
上記配合組成物を、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、あるいは液剤として調剤する。
・・・
〔配合例 5〕
シオン乾燥エキス 750 mg(原生薬換算量 5,000 mg)
オンジ乾燥エキス 100 mg(原生薬換算量 1,000 mg)
キキョウ乾燥エキス 450 mg(原生薬換算量 3,000 mg)
塩酸L-エチルシスティン(腸溶性)200mg
ブロメライン(腸溶性) 40mg(32,000ブロメライン単位) 塩酸アンブロキソール 50mg
上記配合組成物を、錠剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤として調剤する。
・・・
【0018】〔配合例 6〕
オンジ乾燥エキス 30 mg(原生薬換算量 300 mg)
シオン乾燥エキス 45 mg(原生薬換算量 300 mg)
アセノイラム酸ナトリウム 2mg
塩酸アンブロキソール 50mg
上記成分配合組成物を、ネブライザー吸入もしくは粉末吸入による局所投与形態で用いる。
・・・
〔配合例 7〕
セネガ乾燥エキス 150 mg(原生薬換算量 1,000 mg)
キキョウ乾燥エキス 100 mg(原生薬換算量 1,000 mg)
オンジ乾燥エキス 100 mg(原生薬換算量 666 mg)
シオン乾燥エキス 150 mg(原生薬換算量 1,000 mg)
カルボシステイン 30mg
塩酸アンブロキソール 50mg
上記成分配合組成物は、トローチ剤やチュアブル錠に製剤するのが適当である。
・・・
【0020】〔製造例1〕チュアブル錠
I粒
セネガ乾燥エキス 150 mg
キキョウ乾燥エキス 100 mg
オンジ乾燥エキス 100 mg
シオン乾燥エキス 150 mg
結晶セルロース 500 mg
コーンスターチ 540 mg
マンニトール 3321.9 mg
H P C -L 256 mg
アスパルテーム 5.1 mg
均一に混合した後、常法に従い造粒し、均一な顆粒とする。
II粒
カルボシステイン 30 mg
塩酸アンブロキソール 10 mg
結晶セルロース 150 mg
コーンスターチ 300 mg
マンニトール 2417 mg
H P C -L 90 mg
アスパルテーム 3 mg
均一に混合した後、常法に従い造粒し、均一な顆粒とする。
I粒 5123 mg
II粒 3000 mg
コーンスターチ 252 mg
ステアリン酸マグネシウム25 mg
均一に混合した後、常法に従い打錠し、1錠1400mgの錠剤を製剤する。」(【0016】?【0020】)

(5)甲5(特開平9-110708号公報)には以下の記載がある。

(5a)「【請求項1】 (a)一種または二種以上の滋養強壮用生薬
(b)ビタミンB群、ニコチン酸アミド、ビオチン、クエン酸鉄アンモニウム、パントテン酸カルシウムおよびカフェインからなる群より選ばれる一種または二種以上の成分および
(c)ステビア
を配合した製剤であって、製剤中の苦味成分含量とステビアの配合比が、苦味成分含量1重量部に対してステビア0.001重量部?0.1重量部の範囲であることを特徴とする滋養強壮用生薬配合製剤。
【請求項2】 滋養強壮用生薬が、インヨウカク、オウゴン、オキソアミジン(ニンニク)、オンジ、カイクジン、カシュウ、ガラナ、コウジン、ゴオウ、ゴカヒ(シゴカ)、ゴミシ、ニンジン、サイコ、ジャショウシ、ショウキョウ、トウキ、ムイラプアマ、ユウタン、ヨクイニン、リュウノウ、リュウタンおよびロクジョウからなる群より選ばれる一種または二種以上である請求項1記載の滋養強壮用生薬配合製剤。」
(【請求項1】及び【請求項2】)

(5b)「【0004】
【課題が解決しようとする課題】本発明の目的は、滋養強壮用生薬配合製剤の服用感を改善することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するために、種々の甘味料を用い検討を重ねた結果、甘味成分としてステビアを用い、苦味を有する滋養強壮用生薬配合製剤中に特定の配合割合で配合すると、服用感がよい製剤が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、(a)一種または二種以上の滋養強壮用生薬(b)ビタミンB群、ニコチン酸アミド、ビオチン、クエン酸鉄アンモニウム、パントテン酸カルシウムおよびカフェインからなる群より選ばれる一種または二種以上の成分および(c)ステビアを配合した製剤であって、製剤中の苦味成分含量とステビアの配合比が、苦味成分含量1重量部に対してステビア0.001重量部?0.1重量部の範囲であることを特徴とする滋養強壮用生薬配合製剤である。
【0007】本発明において用いる滋養強壮用生薬とは、アキョウ、インチンコウ、ウイキョウ、ウヤク、オウギ、オウセイ、オウバク、オウレン、カイバ、ガジュツ、カンゾウ、キキョウ、クコシ、クジン、ケイヒ、ケツメイシ、コウカ、ゴウカイ、コウブシ、ココツ、ゴシュユ、コトウニン、サフラン、サンシュユ、サンザシ、サンショウ、サンソウニン、サンヤク、ジオウ、ジコッピ、シコン、シベット、シャクヤク、シャジン(ツリガネニンジン)、ジュウヤク、ジュクジオウ、シュクシャ、ジョテイシ、シンキク、ジンコウ、サイヨウサンザシ、セキナアヨウ、セッコク、センキュウ、センソ、ダイオウ、タイソウ、タイチジャコウソウ、タクシャ、チョウジ、チョレイ、チンピ、テンモンドウ、トウジン、トウチュウカソウ、トウニン、トウヒ、トシシ、トチュウ、ニクジュヨウ、バイジツ、ハクジュツ、バクモンドウ、ハゲキ、ハブ、ハンピ、ビャクジュツ、フクボンシ、ブクリョウ、ベニバナ、ボウフウ、ホコツシ、ボタンピ、マタタビ、モッコウ、ヤクチ、リュウガンニク、リュウコツ、レイヨウカク、レンニクからなる群より選ばれる一種または二種以上であり、このうち苦味を有するインヨウカク、オウゴン、オキソアミジン(ニンニク)、オンジ、カイクジン、カシュウ、ガラナ、コウジン、ゴオウ、ゴカヒ(シゴカ)、ゴミシ、ニンジン、サイコ、ジャショウシ、ショウキョウ、トウキ、ムイラプアマ、ユウタン、ヨクイニン、リュウノウ、リュウタンおよびロクジョウからなる群より選ばれる一種または二種以上を用いた場合には服用感の改善効果が大きく、オキソアミジン(ニンニク)、ゴオウ、ゴカヒ(シゴカ)、ニンジン、サイコ、ムイラプアマおよびロクジョウからなる群より選ばれる一種または二種以上用いた場合には服用感の改善効果が最も大きい。」(【0004】?【0007】)

(5c)「【0009】本発明の製剤は、前記有効成分の他、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤などを混合して常法により、顆粒剤、散剤、カプセル剤、錠剤、ドライシロップ剤、液剤などの経口製剤とすることができる。
【0010】賦形剤としては、例えばマンニトール、キシリトール、ソルビトール、ブドウ糖、白等、乳糖、結晶セルロース、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルボキシルメチルスターチナトリウム、デキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、カルボキシビニルポリマー、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどが挙げられる。 崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム・A型(アクチゾル)、デンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン等が挙げられる。」(【0009】?【0010】)

(5d)「【0017】
【発明の効果】本発明により、(1)熱に強く酸に対して比較的安定で、(2)安全性が高く、安心して使用でき、(3)甘味の質がマイルドで後味が少なく、(4)非発酵性であり、(5)熱処理によって褐変作用を起こさない、優れた服用感を有する滋養強壮用生薬配合製剤を提供することが可能になった。従って、本発明の滋養強壮用生薬配合製剤は滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後・胃腸障害(虚弱)・食欲不振・血色不良・冷え症・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給などの予防または治療に有用である。」(【0017】)

(5e)「【0022】実施例5

上記薬剤とステビア(15mg)、D-ソルビトール液、安息香酸、クエン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および蒸留水を混合し、50ml液剤とした。」(【0022】)

(6)甲6(特開2009-73778号公報)には以下の記載がある。

(6a)「【請求項1】
グルクロノラクトンと、多孔性粒子とを含有することを特徴とする、固形製剤。
【請求項2】
前記多孔性粒子が、二酸化ケイ酸、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは軽質酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の固形製剤。
【請求項3】
前記グルクロノラクトンは、造粒粒子として前記固形製剤に含有されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の固形製剤。
【請求項4】
チュアブル錠または口腔内崩壊錠であることを特徴とする、請求項1?3のいずれか1項に記載の固形製剤。」(【請求項1】?【請求項4】)

(6b)「【0001】
本発明はグルクロノラクトン含有固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活の中で、「疲れた」「だるい」等肉体疲労を感じる原因の一つは、体内に有害物質や老廃物が蓄積されるためである。肝臓にはこの有害物質や老廃物を分解し、体外へ排出するための代謝・解毒作用があり、必要な栄養分を補給して早く疲労を改善することが、毎日の健康を維持するためには大切である。肝臓に作用し、代謝機能を整え、滋養強壮効果の高い成分に、グルクロノラクトンがある。
前記グルクロノラクトンを含有する錠剤または顆粒剤の多くが、経時変化により変色することが知られている。このような変色の発生は、グルクロノラクトンの効能・効果には影響はしないものの、商品イメージやコンプライアンスを低下させる原因となる。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、チュアブル錠や口腔内崩壊錠のように口中で速やかに崩壊または溶解させる場合には、錠剤等に被覆層を設けることができず、直ちに特許文献1の技術を用いることができない。また、既存の手法ではグルクロノラクトンの変色を効果的に防止することができない。
本発明は、経時変化による変色を防止できる、グルクロノラクトン含有固形製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述のように、グルクロノラクトンを含有するチュアブル錠や口腔内崩壊剤とするには経時変化による変色が大きな問題となる。
そこで、上記状況を鑑みて検討した結果、グルクロノラクトン含有固形製剤の経時変化による変色は、水分の吸湿に起因するとの推測に至った。前記推定に基づきグルクロノラクトン含有固形製剤の変色防止について検討を重ねた結果、グルクロノラクトン含有固形製剤が、組成中に多孔性粒子を含有することによって、グルクロノラクトンの変色が特異的に防止されることを見い出し、本発明に至った。
【0005】
本発明の固形製剤は、グルクロノラクトンと、多孔性粒子とを含有することを特徴とし、前記多孔性粒子が、二酸化ケイ酸、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは軽質酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。本発明の固形製剤は、前記グルクロノラクトンは、造粒粒子として前記固形製剤に含有されていることが好ましく、本発明の固形製剤は、チュアブル錠または口腔内崩壊錠であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、経時変化による変色を防止できる、グルクロノラクトン含有固形製剤を提供することができる。」(【0001】?【0006】)

(6c)「【0010】
<崩壊剤>
崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。それぞれの中で1種または2種以上を組み合わせても良い。これらの崩壊剤の中で、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムが崩壊性の観点から好ましく、最も好ましいのはクロスポビドンである。
崩壊剤の配合量は特に限定されることはなく、口腔内での崩壊性、崩壊時の舌触り等を考慮して決定することができる。固形製剤中、0.5?40%、好ましくは1?30%、さらに好ましくは3?20%である。」(【0010】)

(6d)「【0040】
【表1】

」(【0040】)

(6e)「【0041】
【表2】

」(【0041】)

(7)甲7(特開2009-227658号公報)には以下の記載がある。

(7a)「【請求項1】
比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上にアカルボースを吸着させた組成物を含有することを特徴とする錠剤。
【請求項2】
比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上と無水リン酸水素カルシウムの混合物にアカルボースを吸着させた組成物を含有することを特徴とする錠剤。
【請求項3】
比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびこれらの混合物から選択される請求項1、2記載の錠剤。
【請求項4】
比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上をアカルボース1質量部に対して、0.1?1質量部の割合で含有する請求項1?3のいずれかに記載の錠剤。
【請求項5】
比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上と無水リン酸水素カルシウムの配合比が、重量比で1:0.1?1:20である請求項2?4記載の錠剤。
【請求項6】
比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上と無水リン酸水素カルシウムの混合物をアカルボース1質量部に対して、0.3?2質量部の割合で含有する請求項2?5のいずれかに記載の錠剤。」
(【請求項1】?【請求項6】)

(7b)「【0002】
アカルボースは腸管内において炭水化物の消化・吸収に関与するα-アミラーゼ及びα-グルコシダーゼ(スクラーゼ,マルターゼ等)の活性を阻害することにより食後の血糖上昇を抑制する作用を有しており、食後過血糖を改善する目的で用いられている。
【0003】
アカルボース原薬は吸湿性が強いことが知られており、吸湿すると含量低下、変色を起こし取扱いが大変困難であった。そこで、特開昭58-46013号公報では、アカルボースなどのグリコシド水解酵素抑制剤に殿粉並びにステアリン酸マグネシウム等を配合し、水分含有量が調製物の6重量%以下とした薬剤調製物とすることによりアカルボースの分解を防止し、保存安定性を改善することが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記調製物と同様の処方構成を有する錠剤を20℃、相対湿度75%及び30℃、相対湿度90%の条件下で4週間保存したところ、成分含量に変化はないものの、錠剤の変色が認められたことが報告されている(医学と薬学32(3)597-601,1994)。
【0005】
このため、アカルボースを含有する錠剤は、大気中の水分との接触を極力回避しなければならず、保管の際には、医療現場だけでなく、患者にも吸湿に注意するよう指導を行う必要があった。」(【0002】?【0005】)

(7c)「【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、アカルボースを特定の吸着剤に吸着することにより、上記目的を達成し得ることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は(1)比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上にアカルボースを吸着させた組成物を含有することを特徴とする錠剤、(2)比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上と無水リン酸水素カルシウムの混合物にアカルボースを吸着させた組成物を含有することを特徴とする錠剤、(3)比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびこれらの混合物から選択される(1)、(2)記載の錠剤、(4)比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上をアカルボース1質量部に対して、0.1?1質量部の割合で含有する(1)?(3)のいずれかに記載の錠剤、(5)比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上と無水リン酸水素カルシウムの配合比が、重量比で1:0.1?1:20である(2)?(4)記載の錠剤、(6)比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上と無水リン酸水素カルシウムの混合物をアカルボース1質量部に対して、0.3?2質量部の割合で含有する(2)?(5)のいずれかに記載の錠剤に関する。
【発明の効果】
【0010】
比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上にアカルボースを吸着させた組成物を含有する本発明の錠剤は、製造中におけるケーキングを防止し、さらに高湿度条件下でも錠剤の変色、相互付着、容器への付着が改善され安定である。そのため、保管時に格別の配慮をする必要もない。
【0011】
さらに、比表面積が50m2/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上と無水リン酸水素カルシウムの混合物にアカルボースを吸着させた組成物を含有する錠剤は、前記混合物中の各成分の混合割合を調節することにより所望の錠剤硬度を得ることができる。このため、分割錠や口腔内崩壊錠などに応用することも可能になる。」(【0008】?【0011】)

(7d)「【0016】
上記多孔性吸着剤は、医薬上許容される物質であれば特に限定されないが、例えばメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等が挙げられ、これらは、1種または2種以上混合してもよい。
【0017】
さらに、本発明は上記多孔性吸着剤と無水リン酸水素カルシウムの混合物にアカルボースを吸着させることによっても湿度に対する安定性を改善することができ、その場合は各成分の混合割合を調節することにより所望の錠剤硬度を得ることができる。
【0018】
また本発明は上記多孔性吸着剤又は上記混合物に他の任意の吸着剤を加えることもできる。ここで他の任意の吸着剤とは、医薬上許容される物質であれば特に限定されないが、具体例として結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、デキストリン、二酸化ケイ素等が挙げられる。」(【0016】?【0018】)

(7e)「【0034】
【表1】

」(【0034】)

(7f)「【0035】
【表2】

」(【0035】の【表2】)


(8)甲第8号証:特願2015-231564号(特開2016-108327号公報)(出願日:平成27年11月27日、優先日:平成26年12月5日)には以下の記載がある。

(8a)「【請求項1】
オンジエキス、及びクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を含有し、オンジエキスの含有量が固形組成物全体に対し10質量%以上であることを特徴とする固形組成物。
【請求項2】
さらに、結晶セルロース及び/又は軽質無水ケイ酸を含む、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
固形組成物が内服用である、請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項4】
固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、請求項1?3のいずれかに記載の固形組成物。
【請求項5】
オンジエキスを含有する固形組成物の変色を抑制するために、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を使用する方法。
【請求項6】
クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を添加することによって、オンジエキス含有固形組成物の変色を抑制する方法。」(【請求項1】?【請求項6】)

(8b)「【0004】
本発明の目的は、経時的な色の変化を抑制した、オンジエキスを含有する固形組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、オンジエキスと特定のセルロース系崩壊剤を含有する固形組成物は、経時的な変色が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)オンジエキス、及びクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を含有し、オンジエキスの含有量が固形組成物全体に対し10質量%以上であることを特徴とする固形組成物、
(2)さらに、結晶セルロース及び/又は軽質無水ケイ酸を含む、(1)に記載の固形組成物、
(3)固形組成物が内服用である、(1)又は(2)に記載の固形製剤、
(4)固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、(1)?(3)のいずれかに記載の固形組成物、
(5)オンジエキスを含有する固形組成物の変色を抑制するために、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を使用する方法、
(6)クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を添加することによって、オンジエキス含有固形組成物の変色を抑制する方法、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、長期にわたって変色が抑制されたオンジエキス含有固形組成物の提供が可能となった。」(【0004】?【0007】)

(8c)「【0009】
本発明のオンジエキスは、第16改正日本薬局方収載のオンジ(ヒメハギ属のイトヒメハギ(Polygala tenuifolia)の根)から水やエタノール等の有機溶媒により抽出したオンジエキス、又はエキスを粉末化したオンジエキス末等を使用することができる。市販品としては、例えばオンジ乾燥エキス(アルプス薬品工業)、オンジエキス-A(日本粉末薬品)、オンジエキス(常盤植物化学)等を使用できる。
【0010】
本発明の固形組成物において、オンジエキスの含有量は、固形組成物全体の10質量%以上であり、好ましくは14質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。固形組成物中に10質量%以上配合すると、固形組成物の変色が目立つようになるからである。また上限は90質量%である。また、原生薬換算で、本発明の固形組成物中に250mg以上、好ましくは330mg以上、より好ましくは500mg以上である。
【0011】
本発明の特定のセルロース系崩壊剤とは、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを意味する。セルロース系崩壊剤の含有量は、発明の効果の点から、オンジエキス1質量部に対し0.1?2質量部が好ましく、0.3?2質量部が更に好ましい。また、本発明の固形組成物全体の3質量%?90質量%が好ましく、10質量%?70質量%が更に好ましい。クロスカルメロースナトリウムとしては、粒状のものでも粉末状のものであってもよく、市販品としては、例えばアクジゾル(ワイケイエフ)や、キッコレート(三栄源エフ・エフ・アイ)等が使用できる。カルメロースカルシウムとしては、例えば市販品のカルメロースカルシウム(ニチリン化学)やE.C.G-505(五徳薬品)等が使用できる。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは粒状のものでも粉末状のものであってもよく、市販品としては、例えば市販品のL-HPC-LH21(信越化学工業)等が使用できる。
また、本発明の固形組成物に、さらに結晶セルロース及び/又は軽質無水ケイ酸を配合すると、本発明の変色抑制の効果の点からより好ましいものとなる。結晶セルロースの配合量は、本発明の固形組成物中、1?70質量%が好ましい。また、軽質無水ケイ酸の配合量は、本発明の固形組成物中、1?70質量%が好ましい。」(【0009】?【0011】)

(8d)「【0015】
【表1】

」(【0015】)

(8e)「【0023】
【表3】

」(【0023】)

(9)甲9:特願2017-4042号(特開2017-61576号公報)(原出願日:平成27年11月27日、優先日:平成26年12月5日)には以下の記載がある。

(9a)「【請求項1】
オンジエキス、及びクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を含有し、オンジエキスの含有量が固形組成物全体に対し10質量%以上であることを特徴とする固形組成物。
【請求項2】
さらに、結晶セルロース及び/又は軽質無水ケイ酸を含む、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
固形組成物が内服用である、請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項4】
固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、請求項1?3のいずれかに記載の固形組成物。
【請求項5】
オンジエキスを含有する固形組成物の変色を抑制するために、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を使用する方法。
【請求項6】
クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を添加することによって、オンジエキス含有固形組成物の変色を抑制する方法。」(【請求項1】?【請求項6】)

(9b)「【0004】
本発明の目的は、経時的な色の変化を抑制した、オンジエキスを含有する固形組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、オンジエキスと特定のセルロース系崩壊剤を含有する固形組成物は、経時的な変色が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)オンジエキス、及びクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を含有し、オンジエキスの含有量が固形組成物全体に対し10質量%以上であることを特徴とする固形組成物、
(2)さらに、結晶セルロース及び/又は軽質無水ケイ酸を含む、(1)に記載の固形組成物、
(3)固形組成物が内服用である、(1)又は(2)に記載の固形製剤、
(4)固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、(1)?(3)のいずれかに記載の固形組成物、
(5)オンジエキスを含有する固形組成物の変色を抑制するために、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を使用する方法、
(6)クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を添加することによって、オンジエキス含有固形組成物の変色を抑制する方法、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、長期にわたって変色が抑制されたオンジエキス含有固形組成物の提供が可能となった。」(【0004】?【0007】)

(9c)「【0009】
本発明のオンジエキスは、第16改正日本薬局方収載のオンジ(ヒメハギ属のイトヒメハギ(Polygala tenuifolia)の根)から水やエタノール等の有機溶媒により抽出したオンジエキス、又はエキスを粉末化したオンジエキス末等を使用することができる。市販品としては、例えばオンジ乾燥エキス(アルプス薬品工業)、オンジエキス-A(日本粉末薬品)、オンジエキス(常盤植物化学)等を使用できる。
【0010】
本発明の固形組成物において、オンジエキスの含有量は、固形組成物全体の10質量%以上であり、好ましくは14質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。固形組成物中に10質量%以上配合すると、固形組成物の変色が目立つようになるからである。また上限は90質量%である。また、原生薬換算で、本発明の固形組成物中に250mg以上、好ましくは330mg以上、より好ましくは500mg以上である。
【0011】
本発明の特定のセルロース系崩壊剤とは、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを意味する。セルロース系崩壊剤の含有量は、発明の効果の点から、オンジエキス1質量部に対し0.1?2質量部が好ましく、0.3?2質量部が更に好ましい。また、本発明の固形組成物全体の3質量%?90質量%が好ましく、10質量%?70質量%が更に好ましい。クロスカルメロースナトリウムとしては、粒状のものでも粉末状のものであってもよく、市販品としては、例えばアクジゾル(ワイケイエフ)や、キッコレート(三栄源エフ・エフ・アイ)等が使用できる。カルメロースカルシウムとしては、例えば市販品のカルメロースカルシウム(ニチリン化学)やE.C.G-505(五徳薬品)等が使用できる。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは粒状のものでも粉末状のものであってもよく、市販品としては、例えば市販品のL-HPC-LH21(信越化学工業)等が使用できる。
また、本発明の固形組成物に、さらに結晶セルロース及び/又は軽質無水ケイ酸を配合すると、本発明の変色抑制の効果の点からより好ましいものとなる。結晶セルロースの配合量は、本発明の固形組成物中、1?70質量%が好ましい。また、軽質無水ケイ酸の配合量は、本発明の固形組成物中、1?70質量%が好ましい。」(【0009】?【0011】)

(9d)「【0015】
【表1】

」(【0015】)

(9e)「【0023】
【表3】

」 (【0023】)
066】)

第5 申立人2が提出した証拠に記載されている事項

申立人2が提出した甲1’?8’には以下の事項が記載されている(原文が外国語である場合は日本語訳で記載する)。

(1)甲1’(韓国公開特許第10-2014-0059532号公報)には以下の記載がある。

(1’a)「請求項1:(a)オンジに水及び炭素数1?4の低級アルコールから選択される1種または混合物を添加して、加熱、抽出した後、オンジ抽出物を製造する段階;及び(b)前記段階(a)で得たオンジ抽出物に精製水を添加して希釈した後、限外濾過装置に通過させて限外濾過したオンジ抽出物を得る段階;を含むことを特徴とするアセチルコリン分解酵素阻害用オンジ抽出物の製造方法。」(請求項1)

(1’b)「請求項7:請求項1の方法により製造されたアセチルコリン分解酵素阻害用オンジ抽出物を含むことを特徴とする痴呆予防または治療用薬学的組成物。」(請求項7)

(1’c)「一方、前記本発明のオンジ抽出物を含む薬学的組成物は、組成物の全重量に対してオンジ抽出物を0.1?80重量%で含むのが望ましいが、これに限定されない。」(【0054】)

(1’d)「本発明の組成物は、薬剤の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。」(【0055】)

(1’e)「本発明による組成物は、それぞれ通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤・・・の形態で剤形化して用いることができる。本発明の組成物に含むことができる担体、賦形剤及び希釈剤には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、ポリビニールピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油を挙げることができる。」(【0056】)

(1’f)「製剤化する場合には、通常用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤等の希釈剤または賦形剤を使用して調剤される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顕粒剤、カプセル剤などが含まれて、このような固形製剤は本発明の組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調剤される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。」(【0057】)

(2)甲2’(単味生薬のエキス製剤の開発に関するガイドライン(案))には以下の記載がある。

(2’a)「第1章 緒言
本ガイドラインは、単味生薬のエキス製剤の開発を行うに当たって、標準煎剤と生薬エキスとの同等性を確認するための比較試験方法や一般用エキス製剤の製造販売承認申請において設定すべき生薬エキスの製造方法、規格及び試験方法等に関する事項を示すものである。」(第2頁)

(2’b)「第2章 用語
本ガイドラインで使用する用語は以下の意味で用いる。
原料生薬:漢方製剤や生薬製剤等(エキス製剤を含む)の原料として利用される生薬。
単味生薬:複数の組み合わせとしてではなく、単独で利用される場合の生薬。
煎剤:生薬を常水で煎じて調製した抽出液。
・・・
生薬エキス:生薬の煎剤を濃縮した中間製品。
・・・
エキス製剤:生薬エキスより製剤された最終製品。」(第2頁)

(2’c)「3 標準煎剤に関する資料
(1)下記(3)の調製方法により製された煎剤(以下「標準煎剤」という。)に関し、少なくとも3ロット以上、1ロット3回以上の指標成分の定量を行うこと。
・・・
(3)標準煎剤は上記(1)で試験したロットの原料生薬を用いて、次の調製方法により製する。
(1)煎剤での服用が指示されている生薬の標準煎剤の調製方法は、生薬毎に設定することを原則とするが、通例、下記の表に示す通り、1日量の生薬量に指定倍量の常水を加え、30分以上かけて指定倍量まで煎じ、温時、布ごしする。
・・・
表 生薬と煎じ方
煎じて服用 オンジ(120→80)
・・・
煎じ方については以下のとおり。
(60→40)とは、「約60倍量の水で約40倍量まで煎じる」の意味 である。」(第3頁)

(2’d)「第4章 単味生薬のエキス製剤の製造販売承認申請におけるエキスの製造方法、規格及び試験項目に係る留意事項
1 製造方法に関する事項
以下の項目について記載する。
・・・
(10)その他
殺菌方法については、必要に応じて、方法を記載する。
賦形剤の添加については、エキス剤の性状を担保する目的で適切な
賦形剤(デキストリン等)を添加することができる。その目的及び
内容を記載する。」(第4?5頁)

(2’e)「第5章 単味生薬製剤承認基準
・・・
5 オンジ
【用法及び用量】
大人(15歳以上)は1日量5gを、水約600mLをもって煮て
約400mLに煮詰め、かすをこして取り去り、食前又は食間3回に
分服する。
【効能又は効果】
高齢者の記憶力の改善」(第10頁)

(3)甲3’(特開2012-140420号公報)には以下の記載がある。

(3’a)「【請求項1】
塩基性医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加することを特徴とし、ロキソプロフェンナトリウムはその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩を含有する、均質に混和された固形製剤。」(【請求項1】)

(3’b)「【請求項4】
塩基性医薬品添加物が、メタケイ酸アルミン酸マグネシム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及びケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上である、請求項1?3のいずれか1項に記載の固形製剤。」(【請求項4】)

(3’c)「【0007】
本発明者らは、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩を含む物理混和物を調製後、保存中に経時的に色調・性状の変化とともにブロムヘキシン塩酸塩の含量低下が発生する問題があることを見出した。一般的に、これらの変化を回避するためには、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩を接触(混和)させないこと、例えば、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩を、各々別顆粒に配合するか、或いは乾燥剤を挿入する必要があり、製造時間や製造操作の煩雑さ、及び製造コストの問題点があった。したがって、本発明の課題は、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物及びブロムヘキシン塩酸塩が均質に混和された固形製剤で、乾燥剤の挿入を行わなくとも製剤の色調・性状の変化及びブロムヘキシン塩酸塩の含量低下がない、安定な固形製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく製剤の研究を重ねた結果、塩基性の医薬品添加物及び/又は含水二酸化ケイ素を添加するごとにより、ロキソプロフェンナトリウムはその水和物、及びブロムヘキシン塩酸塩が均質に配合された組成物であっても、当該組成物の色調・性状の変化がなく、かつブロムヘキシン塩酸塩の含量低下が抑制されるという驚くべき結果を見出し、本発明を完成させるに至った。」(【0007】?【0008】)

(3’d)「色調変化は;A:変色なし、B:わずかな変色、C:変色あり、D:著しい変色、の4段階で評価した。」(【0042】)

(3’e)「 【0047】
【表3】

」(【0047】)

(3’f)「【0048】
【表4】

」(【0048】)

(4)甲4’(特開2011-178690号公報)には以下の記載がある。

(4’a)「【請求項1】
サラシア属植物抽出物、二酸化ケイ素、およびカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を含む組成物。
【請求項2】
組成物全体に対して、カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を0.5重量%以上含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物全体に対して、二酸化ケイ素を0.25?0.75重量%含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
カルボキシメチルセルロースまだはその金属塩が、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムから選択される、請求項1?3のいずれか1項に記載の組成物。
・・・
【請求項6】
錠剤または顆粒である、請求項1?5のいずれか1項に記載の組成物。」(【請求項1】?【請求項6】)

(4’b)「【0006】
食品、医薬品などの原料としてサラシア属植物成分を使用する場合、サラシア属植物の抽出物を濃縮、乾燥し、粉末化して得られるサラシアエキス末などを使用することができる。サラシアエキス末などのサラシア属植物の抽出物はサラシア属植物が有する種々の薬効成分を含んでおり、健康食品、機能性食品などの原料として好ましく用いることができる。しかし、サラシア属植物抽出物は酸化されやすく、サラシア属植物抽出物を含む食品は保存中に酸化による変色が生じる場合がある。また、サラシアエキス末は吸湿性が高く、吸湿により粘着性が高まる性質を有するため、サラシアエキス末を成分とした食品では保存中の吸湿による品質の低下が生じやすく、特に、サラシアエキス末を成分とした錠剤では、保存中に錠剤の崩壊性が低下する点が問題となる。その一方で、サラシア属植物成分を効率的に摂取するためには、サラシア属植物抽出物を高含量で含む食品、医薬品の開発が望まれている。
【0007】
また、サラシア属植物抽出物の酸化や吸湿を防止し、組成物の保存安定性を高めるために二酸化ケイ素を組成物に配合した場合、二酸化ケイ素が組成物の結合性を低下させることも問題となる。例えば、上記組成物を錠剤の形態とする場合、十分な保存安定性を得るために二酸化ケイ素の含量を高めると、錠剤硬度が不十分となる点が問題であった。」(【0007】)
【0008】
本発明の目的は、食品または医薬品として使用されるサラシア属植物抽出物を含む組成物であって、保存安定性が高く、特に長期保存による変色および崩壊時間延長が抑制された組成物を提供することである。当該組成物は十分な結合性を有し、適度な硬度を有する錠剤とすることにも適している。
【0009】
本発明者は、上記の課題解決のために鋭意研究を進めたところ、サラシア属植物抽出物を、カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩、および二酸化ケイ素と共に配合することにより、高度な保存安定性を有する組成物を調製することができることを見出し、本発明を完成させた。」(【0006】?【0009】)

(4’c)「【0013】
サラシア属植物抽出物を含有する本発明の組成物は、保存安定性が高く、特に長期保存による変色および崩壊性低下が抑制されており、さらに十分な結合性を有するため、適切な硬度を有する錠剤の製造に適しているという優れた性質を有する。」(【0013】)

(4’d)「【0019】
本発明で使用されるカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩としては、例えばカルボキシメチルセルロースならびにそのナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩など、およびそれらの混合物が挙げられ、カルボキシメチルセルロースとその金属塩を併用してもよい。特に、カルボキシメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースカルシウムを好ましく使用することができ、または両者を併用することも好ましい。カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩は、食品添加物または医薬品原料として使用できるものであれば特に限定されず、例えばエーテル化度は0.45?1.0(mo1/C 6)を使用することができる。具体的には、NS-300(ニチリン化学工業株式会社製)、E.C.G-505(ニチリン化学工業株式会社製)、E.C.G-FA(ニチリン化学工業株式会社製)などを使用することができる。
・・・
【0021】
本発明で使用される二酸化ケイ素としては、食品添加物または医薬品添加物として使用されるものであれば特に限定されない。本発明の1つの態様において、二酸化ケイ素として、平均粒径が15μm以下の二酸化ケイ素を使用することができる。具体的には、アエロジル200、アエロジル200FAD(登録商標、日本アエロジル株式会社製)、カープレックス#67、カープレックスFPS-500(登録商標、DSL.ジャパン株式会社製)などを使用することができる。」(【0019】?【0021】)

(4’e)「【0035】
試験に使用したサラシアエキス末は、以下の方法で調製することができるサラシア・キネンシス水抽出物を粉末化することにより調製した。サラシア・キネンシスの幹の部分を5mm角に裁断したチップ(1kg)に熱水(20kg)を加え、98℃で120分攬絆抽出した。得られた抽出液を、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮(濃縮温度45℃、Brix=30になるまで)し、濃縮液を凍結乾燥させて本発明のサラシア・キネンシス抽出物(98.5g)を得た。
【0036】
また、その他の成分として、結晶セルロース(セオラスFD301、旭化成ケミカルズ株式会社製)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Caと称する、E.C.G一FA、ニチリン化学工業株式会社製)、二酸化ケイ素(アエロジル200FAD、日本アエロジル株式会社製)、ステアリン酸マグネシウム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を使用した。」(【0035】?【0036】)

(4’f)「【0042】
【表1】

」(【0042】)

(4’g)「【0043】
【表2】

」(【0043】)

(4’h)「【0044】
【表3】

」(【0044】)

(4’i)「【0045】
【表4】

」(【0045】)

(5)甲5’(特開平11-43440号公報)には以下の記載がある。

(5’a)「【請求項1】 下記式(I)
【化1】

で表される化合物を有効成分とする脳機能改善剤。

【請求項2】 下記式(II)
【化2】

で表される化合物を有効成分とする脳機能改善剤。

【請求項3】 下記式(III)
【化3】

で表される化合物を有効成分とする脳機能改善剤。
【請求項4】 下記式(IV)
【化4】

で表される化合物を有効成分とする脳機能改善剤。
【請求項5】 下記式(V)
【化5】

で表される化合物を有効成分とする脳機能改善剤。
【請求項6】 請求項1ないし5に記載の化合物を少なくとも2種以上含むことを特徴とする脳機能改善剤。
【請求項7】 オンジおよびセネガより調製したサポニン含むことを特徴とする脳機能改善剤。」(【請求項1】?【請求項7】)

(5’b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脳神経細胞群のコリンアセチルトランスフェラーゼ(以下ChATと略することもある)発現および神経成長因子(以下NGFと略することもある)産生促進作用を有し、アルツハイマー病や老人性痴呆症を中心とする脳疾患に有用な脳機能改善剤に関するものである。
・・・
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、痴呆症治療薬としての脳機能改善剤を開発すべく鋭意検討を行っており、ChAT発現およびNGF産生促進作用を有する物質の探索を行ってきた結果、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の化合物で表されるある種のサポニンに、ChAT発現およびNGF産生促進作用があることを見出し、本発明を完成させた。」(【0001】?【0008】)

(5’c)「【0015】前記の式(I)?(V)で表される本発明の化合物は、例えば以下のようにして得ることができる。すなわち、各式の化合物含有生薬であるオンジ(P olygalae Radix)、その原植物であるpolygala te nuifolia Willd.またはセネガ(Senega)、またはその原植物であるPolygala senega L.、またはその他の同属植物をメタノール、エタノール、ブタノールなどの低級アルコール、クロロホルム等の有機溶媒または水で抽出し、溶媒を留去した後、抽出エキスにつきシリカゲルカラムクロマトグラフイーなどを行うことにより各式の化合物を得ることができる。」(【0015】)

(5’d)「【0048】次に、本発明による請求項1?7に記載の脳機能改善剤の投与量および製剤化について説明する。請求項1?7に記載の化合物もしくは混合物はそのまま、あるいは慣用の製剤担体と共に動物および人に投与することができる。投与形態としては、特に限定がなく、必要に応じて適宜選択して使用され、経口剤としては例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤などが挙げられ、非経口剤としては注射剤、座剤などが挙げられる。」(【0048】)

(5’e)「【0049】経口剤としての所期の効果を発揮するためには、患者の年齢、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人で式(I)?(V)で表される化合物もしくは混合物の重量として1mg?5gを一日数回に分けての服用が適当と思われる。経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類などを用いて常法に従って製造される。この種の製剤には、前記のごとく賦形剤の他に、適宜、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。」(【0049】)

(5’f)「【0050】結合剤としては、例えばデンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。」(【0050】)

(5’g)「【0051】界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルペート80などが挙げられる。滑沢剤としては、例えばタルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。流動性促進剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。」(【0051】)

(5’h)「実施例1
(1)コーンスターチ 44.0g
(2)結晶セルロース 40.0g
(3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0g
(4)軽質無水ケイ酸 0.5g
(5)ステアリン酸マグネシウム 0.5g
(6)請求項1?7に記載の化合物もしくは混合物 10.0g
計 100.0g
【0056】上記の処方に従って(1)?(6)を均一に混合し、打錠機にて圧縮成型して一錠200mgの錠剤を得た。」(【0055】?【0056】)

(5’i)「実施例4
(1)コーンスターチ 34.5g
(2)ステアリン酸マグネシウム 50.0g
(3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0g
(4)軽質無水ケイ酸 0.5g
(5)請求項1?7に記載の化合物もしくは混合物 10.0g
計 100.0g
【0062】上記の処方に従って(1)?(5)を均一に混合し、圧縮成型機にて圧縮成型後、粉砕機により粉砕し、篩い分けして顆粒剤を得た。」(【0061】?【0062】)

(5’j)「 実施例2
(1)結晶セルロース 84.5g
(2)ステアリン酸マグネシウム 0.5g
(3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0g
(4)請求項1?7に記載の化合物もしくは混合物 10.0g
計 100.0g
【0058】上記の処方に従って(1)、(4)および(2)の一部を均一に混合し、圧縮成型した後、粉砕し、(3)および(2)の残量を加えて混合し、打錠機にて圧縮成型して一錠200mgの錠剤を得た。」(【0057】?【0058】)

(5’k)「実施例3
(1)結晶セルロース 49.5g
(2)10%ヒドロキシプロピルセルロースエタノール溶液35.0g
(3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0g
(4)ステアリン酸マグネシウム 0.5g
(5)請求項1?7に記載の化合物もしくは混合物 10.0g
計 100.0g
【0060】上記の処方に従って(1)、(2)および(5)を均一に混合し、常法によりねつ和し、押し出し造粒機により造粒し、乾燥・粉砕した後、(3)および(4)を混合し、打錠機にて圧縮成型して、一錠200mgの錠剤を得た。」(【0059】?【0060】)

(5’l)「実施例5
(1)結晶セルロース 55.0g
(2)10%ヒドロキシプロピルセルロースエタノール溶液35.0g
(3)請求項1?7に記載の化合物もしくは混合物 10.0g
計 100.0g
【0064】上記の処方に従って(1)?(3)を均一に混合し、ねつ和した。押し出し造粒機により造粒後、乾燥し、篩い分けして顆粒剤を得た。」(【0063】?【0064】)

(5’m)「実施例6
(1)コーンスターチ 89.5g
(2)軽質無水ケイ酸 0.5g
(3)請求項1?7に記載の化合物もしくは混合物 10.0g
計 100.0g
【0066】上記の処方に従って(1)?(3)を均一に混合し、200mgを2号カプセルに充填した。」(【0065】?【0066】)

(6)甲6’(特開2014-166994号公報)には以下の記載がある。

(6’a)「【請求項1】
(A)漢方エキス、及び、(B)ポリ酢酸ビニルを含有する固形製剤。
【請求項2】
(A)漢方エキスが、防已黄耆湯、葛根湯、葛根湯加川キュウ辛夷、小青竜湯、当帰芍薬散、加味帰脾湯、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸料加ヨク苡仁、補中益気湯、防風通聖散、牛車腎気丸、杞菊地黄丸、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、桂枝加朮附湯、桂枝加苓朮附湯、十全大補湯、疎経活血湯、芍薬甘草湯、桂枝人参湯、桃核承気湯、甘草瀉心湯、抑肝散、抑肝散加芍薬黄連、麦門冬湯、五苓散、五虎湯、六君子湯および越婢加朮湯からなる群から選択される少なくとも1種の漢方エキスである請求項1記載の固形製剤。
・・・
【請求項5】
固形製剤が、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のいずかである請求項1?4のいずれかの固形製剤。
・・・
【請求項7】
ポリ酢酸ビニルを含有することを特徴とする、漢方エキスを含有する固形製剤の変色抑制剤。」(【請求項1】?【請求項7】)

(6’b)「【0003】
一般的に漢方エキスの変色の原因は、エキスの高い吸湿性にあると考えられており、その変色の原因となる吸湿を抑制する方法としては、例えば、製造場所や保管場所における温湿度の徹底した管理が挙げられ、実際の製造現場においてもそのような管理が行われている。」(【0003】)

(6’c)「【0005】
一方、漢方エキスを配合した製剤における吸湿の抑制方法としては、特許文献1?3等、漢方エキスに種々の医薬品添加剤を配合することが知られている。しかし、漢方エキス製剤のべたつきを抑制し、その製剤における崩壊性、硬度、耐摩損度等の改善が図られているに止まっており、よりデリケートに影響を受けやすい変色の改善にまでは至っておらず、なお漢方エキスの変色を抑えることには課題を残していた。」(【0005】)

(6’d)「【0009】
本発明の課題は、簡便な方法により、上記課題を有する漢方エキスを含有する固形製剤の変色を抑制し、長期にわたり安定性に優れた漢方エキスを含有する固形製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、漢方エキスの変色を抑制するべく鋭意検討したところ、(A)漢方エキスと(B)ポリ酢酸ビニルとを固形製剤中に含有させることにより、漢方エキスを含有する固形製剤の変色が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
具体的には本発明は、以下の固形製剤等を提供するものである。
[項1](A)漢方エキス、及び、(B)ポリ酢酸ビニルを含有する固形製剤。」(【0009】?【0011】)
)

(7)甲7’(特開昭55-92313号公報)には以下の記載がある。

(7’a)「(1)ペレット状グラニユールに作られていることを特徴とするサポニン抽出製品。
・・・
(4)特許請求の範囲(1)?(3)のいずれかに記載の発明において、そのグラニユールがさらさらして実際上吸湿性のないものであることを特徴とするサポニン抽出製品。」(請求項1?請求項4)

(7’b)「この発明は、サポニン抽出製品およびその製法にかかるものである。
サポニンは泡立て性を持つ配糖体である。
自然界で、サポニンはいろいろな植物の含有成分として広く分布している。・・・
一例として、シヤボンの木(学名quillayae saponaria)からサポニンが得られる。
・・・
ジプソフイラサポニンはradix saponariaから得られるもので、これまた一般に粉末状とされた原料抽出物とされる。」(2頁右上欄16行?3頁左上欄11行)

(7’c)「サポニン粉末が強い吸湿性を示すことも大きな難点である。すなわち湿気が作用すると、だんごになりやすいのである。だんごになつてしまったサポニンは使いにくいため、苦情のもととなることがしばしばである。」(第3頁右上欄第8行?12行)

(7’d)「この発明で課題とすることは、微粉のないサポニン抽出製品であって、在来の粉末どおりのサポニン含有量であり、扱いやすくて、特別な注意を払わずとも空気に触れて変質することなどなしに保存できる、というもの、を提供することである。
この課題は、ペレット状グラニュールに作られたサポニン抽出製品、によって解決される。」(第3頁右上欄第13行?20行)

(8)甲8’(特開2010-111589号公報)には以下の記載がある。

(8’a)「【請求項1】
(A)クレマスチンフマル酸塩と、(B)クロスカルメロース又はその塩と、(C)アスコルビン酸又はその塩とを含有し、(C)/(B)で表される質量比が3?20であることを特徴とするクレマスチンフマル酸塩含有固形製剤。
・・・
【請求項3】
さらに、(D)二酸化ケイ素を含有する請求項1又は2記載の固形製剤。」(【請求項1】?【請求項3】)

(8’b)「【0010】
(B)クロスカルメロース又はその塩
クロスカルメロース又はその塩を配合することで崩壊性を改善することができる。クロスカルメロース又はその塩としては、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、中でもクロスカルメロースナトリウムが好ましい。なお、クロスカルメロースナトリウムとは、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
・・・
【0015】
(D)二酸化ケイ素
含水二酸化ケイ素が好適に用いられる。二酸化ケイ素を配合することにより、アスコルビン酸の配合により固形製剤が褐変することを抑制することができる。褐変抑制によって糖衣等の被覆がない錠剤とすることが可能となるため、口腔内崩壊錠又はチュアブル錠としても好適に使用可能である。(D)成分の含有量は、固形製剤中1?10質量%が好ましく、2?6質量%がより好ましく、2?4質量%がさらに好ましい。含有量が1質量%未満だと、アスコルビン酸の褐変を抑制する効果が不十分となる場合があり、10質量%を超えると、流動性が悪く、含有量の均一性がとれなくなる場合がある。
【0016】
本発明の固形製剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、固形製剤に用いる任意の成分を配合することができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。任意成分としては、他の薬物、賦型剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、酸味剤、コーティング剤、香料等が挙げられる。」(【0010】?【0016】)

(8’c)
「【0018】
賦型剤としては、結晶セルロース、乳糖、コーンスターチ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、マンニトール、エリスリトール等、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デキストリン、デンプン、アルファー化デンプン等、崩壊剤としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム等、甘味剤としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等、酸味剤としてはクエン酸等、コーティング剤としては、フィルムコーティング(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等)、糖衣等が挙げられる。」(【0018】)

(8’d)「【0029】
【表1】

【0030】
(4)褐変抑制試験(二酸化ケイ素の褐変抑制効果)
錠剤及び乾燥剤をガラス瓶に入れて栓を閉め、50℃・75%RHにて静置した。2週間経過後ガラス瓶から錠剤を取り出し、錠剤の色の変化を測定した。具体的には、色差計(ミノルタ、分光測色計)にて錠剤表面のb値を測定した。保存前後のb値の差が5未満(差がわからないレベル)を○、5以上(差がわかるレベル)を×とした。
【0031】
【表2】

」(【0029】?【0031】)

第6 当合議体の判断
当合議体は、申立人1及び2による申立理由はいずれも理由がないと判断した。以下、その判断の理由を説示する。

1.申立人1による申立理由についての判断

(1)申立理由1A(甲1及び甲2に基づく新規性欠如)
申立理由1Aは、本件特許発明1?5は、甲1及び甲2に記載された発明であるという新規性欠如を主張するものである。

(1-1)甲1(特開2013-32346号公報)に記載された発明

(1-1-1)甲1第1発明(固形製剤)

甲1の請求項2を引用する請求項8の記載(摘記(1a))からみて、甲1には、「生薬エキスまたは漢方エキスと吸着剤とを含む固形製剤であって、前記吸着剤が、吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含む固形製剤であって、
第1の吸着剤がケイ酸カルシウムであり、第2の吸着剤が、軽質無水ケイ酸およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1種の吸着剤であり、
さらに、結合剤、賦形剤、崩壊剤および矯味剤から選択された少なくとも1つの成分を含有する固形製剤。」(以下、「甲1第1発明(固形製剤)」という。)が記載されていると認める。

(1-1-2)甲1第2発明(方法)

甲1には、生薬エキスまたは漢方エキスを、吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含む吸着剤に吸着させて湿式造粒し、造粒物のケーキング及び/又は変色を防止する方法(摘記(1a)の請求項11)において、第1の吸着剤としてケイ酸カルシウムを用い、第2の吸着剤として軽質無水ケイ酸およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1種の吸着剤を用いること、上記造粒物は固形製剤の製造に用いられるものであること、そして、上記方法によって固形製剤のケーキング及び/又は変色が防止できることが記載されている(摘記(1b)?(1d)、(1f)及び(1i))。
そうすると、甲1には、「生薬エキスまたは漢方エキスを、吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含む吸着剤に吸着させて湿式造粒して得られた造粒物を用いることにより、固形製剤のケーキング及び/又は変色を防止する方法であって、第1の吸着剤がケイ酸カルシウムであり、第2の吸着剤が軽質無水ケイ酸およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1種の吸着剤である、方法。」の発明(以下、「甲1第2発明(方法)」という。)が記載されていると認める。

(1-2) 本件特許発明と甲1に記載された発明との対比・判断

(1-2-1)本件特許発明1と甲1第1発明(固形製剤)との対比・判断

本件特許発明1のオンジエキスは生薬エキスであり、甲1第1発明(固形製剤)は固形医薬組成物であるので、本件特許発明1と甲1第1発明とは、「生薬エキス及び軽質無水ケイ酸を含有する固形医薬組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明1では、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を含み、「デキストリンを配合するものを除く」ことが特定されているのに対し、甲1第1発明(固形製剤)ではこのような特定がされていない点。

甲1には、生薬エキスに用いられる生薬として多種類の生薬が列挙されており、当該多種類の生薬の一つとして「オンジ(遠志)」が記載されている(摘記(1e)の【0020】)。
しかし、甲1には、甲1第1発明の生薬エキスとして1種類の生薬エキスのみを用いることは記載されていない。甲1の実施例(摘記(1i))の製剤では、ナンテンジツエキス、キキョウエキス、ショウキョウエキス及びチンピエキスという4種類の生薬エキスの混合物が用いられており、甲1には、1種類の生薬エキスのみを用いた実施例や、オンジエキスのみを用いた実施例の記載はない。
そうすると、甲1には、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を用いることが実質的に記載されているとはいえない。
よって、相違点1は実質的な相違点であるので、本件特許発明1は甲1に記載された発明ではない。

(1-2-2) 本件特許発明2と甲1第1発明(固形製剤)との対比・判断

本件特許発明2と甲1第1発明(固形製剤)とは、「生薬エキス及び軽質無水ケイ酸を含有する固形医薬組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点2)本件特許発明2では、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を含み、「オンジエキス、デキストリンおよびケイ酸化合物からなる粉末を含むものを除く」ことが特定されているのに対し、甲1第1発明(固形製剤)では、このような特定がされていない点。

上記(1-2-1)で説示したように、甲1には、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を用いることが実質的に記載されているとはいえないので、相違点2は実質的な相違点であり、本件特許発明2は甲1に記載された発明ではない。

(1-2-3) 本件特許発明3と甲1第1発明(固形製剤)との対比・判断

本件特許発明3と甲1第1発明(固形製剤)とは、「生薬エキス及び軽質無水ケイ酸を含有する固形医薬組成物。」である点で一致し、上記(1-2-1)で説示した相違点1または上記(1-2-2)で説示した相違点2に加えて、さらに以下の点で相違する。

(相違点3)本件特許発明3では、「さらに、カルメロース(カルボキシメチルセルロース)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルメロースナトリウム)、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)、カルメロースカリウム(カルボキシメチルセルロースカリウム)から選択されるセルロース化合物または結晶セルロースを含有する」ことが特定されているのに対し、甲1第1発明(固形製剤)ではこのような特定がされていない点。

甲1には、さらに用いてもよい賦形剤または崩壊剤の例として、本件特許発明3に記載の成分に相当するカルメロースナトリウム、カルメロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム(カルメロースカルシウム)、クロスカルメロースナトリウム、及び結晶セルロースが記載され(摘記(1g)及び(1h))、甲1の実施例(摘記(1i))では結晶セルロースが用いられている。
しかし、上記(1-2-1)及び(1-2-2)で説示したように、甲1には、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を用いることが実質的に記載されているとはいえず、上記(1-2-1)で説示した相違点1及び上記(1-2-2)で説示した相違点2がいずれも実質的な相違点であるので、本件特許発明3は甲1に記載された発明ではない。

(1-2-4)本件特許発明4と甲1第2発明(方法)との対比・判断

本件特許発明4の「オンジエキス」及び甲1第2発明(方法)の「生薬エキスまたは漢方エキス」はいずれも生薬成分である。また、甲1第2発明(方法)の「固形製剤のケーキング/又は変色を防止する方法」は「医薬組成物の変色抑制方法」を含む方法であり、甲1第2発明(方法)の「湿式造粒して得られた造粒物を用いる」という工程は、「固形形態に成型する」工程を含む工程であるといえる。
そうすると、本件特許発明4と甲1第2発明(方法)とは、「生薬成分に、軽質無水ケイ酸を配合して固形形態に成型する工程を含む、生薬成分を含有する医薬組成物の変色抑制方法。」の発明である点で一致し、下記の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明4では、生薬成分としてオンジエキスのみを含み、「医薬組成物中にデキストリンを配合させる方法を除く」ことが特定されているのに対し、甲1第2発明(方法)ではこのような特定がされていない点。

甲1には、生薬エキスに用いられる生薬として多種類の生薬が列挙されており、当該多種類の生薬の一つとして「オンジ(遠志)」が記載されている(摘記(1e)の【0020】)。
しかし、甲1には、甲1第2発明の生薬エキスとして1種類の生薬エキスのみを用いることは記載されていない。甲1の実施例(摘記(1i))の製剤では、ナンテンジツエキス、キキョウエキス、ショウキョウエキス及びチンピエキスという4種類の生薬エキスの混合物が用いられており、甲1には、オンジエキスを用いた実施例の記載はない。
そうすると、甲1には、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を用いることが実質的に記載されているとはいえない。
よって、相違点1は実質的な相違点であるので、本件特許発明4は甲1に記載された発明ではない。

(1-2-5) 本件特許発明5と甲1第2発明(方法)との対比・判断

本件特許発明5と甲1第2発明(方法)とは、「生薬成分に、軽質無水ケイ酸を配合して固形形態に成型する工程を含む、生薬成分を含有する医薬組成物の変色抑制方法。」の発明である点で一致し、下記の点で相違する。

(相違点2)本件特許発明5では、生薬成分としてオンジエキスのみを含み、「オンジエキス、デキストリンおよびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く」ことが特定されているのに対し、甲1第2発明(方法)では、このような特定がされていない点。

上記(1-2-4)で説示したように、甲1には、生薬成分として「オンジエキスのみ」を用いることが実質的に記載されているとはいえず、相違点2は実質的な相違点であるので、本件特許発明5は甲1に記載された発明ではない。

(1-3)甲2(特開2014-214125号公報)に記載された発明

(1-3-1)甲2第1発明(製造方法)

甲2には、請求項1(摘記(2a))に、
「吸湿性物質、流動化剤及び崩壊剤を含む錠剤の製造方法であって、(1)吸湿性物質を乾式造粒法で造粒する工程、(2)前記工程(1)で得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤を造粒する工程、及び(3)前記工程(2)で得られた造粒物を打錠する工程、を有することを特徴とする錠剤の製造方法。」(以下、当該製造方法を「製造方法1」という。)が記載され、また、請求項2(摘記(2a))に、
「吸湿性物質、流動化剤及び崩壊剤を含む錠剤の製造方法であって、(1)吸湿性物質を乾式造粒法で造粒する工程、(2)前記工程(1)で得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤を造粒する工程、及び(3)前記工程(2)で得られた造粒物を打錠する工程、を有することを特徴とする錠剤の製造方法であって、工程(2)が、(2-1)前記工程(1)で得られた造粒物と流動化剤とを混合し、これを造粒する前造粒工程、及び(2-2)前記前造粒工程(2-1)で得られた前造粒物に、更に流動化剤と崩壊剤とを混合して混合物を得、次いで該混合物を造粒する仕上げ造粒工程、を有するものである、錠剤の製造方法。」(以下、当該製造方法を「製造方法2」という。)が記載されている。
そして、甲2には、「製造方法1」または「製造方法2」という特定の製造方法を用いることにより、漢方エキス、生薬エキス等の吸湿性物質の吸湿による錠剤の崩壊性への悪影響を抑制できることが記載され(摘記(2b)、(2c)及び(2h))、甲2の実施例には、吸湿性物質として清心蓮子飲乾燥エキスを用いて「製造方法1」または「製造方法2」により製造された錠剤は、同じ成分を用いて従来技術の製造方法により製造された錠剤と比較して、錠剤中の吸湿性物質の含有率が高くても、崩壊性が大きく損なわれず、崩壊時間の遅延やばらつきか有意に抑えられたことが記載されている(摘記(2e)?(2k))。
以上の記載から、甲2には、「吸湿性物質である生薬エキス、流動化剤及び崩壊剤を含む錠剤の製造方法であって、(1)吸湿性物質を乾式造粒法で造粒する工程、(2)前記工程(1)で得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤を造粒する工程、及び(3)前記工程(2)で得られた造粒物を打錠する工程、を有することを特徴とする錠剤の製造方法であって、当該製造方法は、吸湿性物質の吸湿による錠剤の崩壊性への悪影響を避ける方法である、製造方法。」の発明(以下、「甲2第1発明(製造方法)」という。)が、記載されていると認める。

(1-3-2)甲2第2発明(錠剤)

甲2には、上記(1-3-1)で説示した甲2第1発明(製造方法)の製造方法によって製造された錠剤である、「(1)吸湿性物質である生薬エキスを乾式造粒法で造粒する工程、(2)前記工程(1)で得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤を造粒する工程、及び(3)前記工程(2)で得られた造粒物を打錠する工程、を有することを特徴とする錠剤の製造方法によって製造された、吸湿性物質である生薬エキス、流動化剤及び崩壊剤を含有する錠剤。」の発明(以下、「甲2第2発明(錠剤)」という。)が記載されていると認める。

(1-4)本件特許発明と甲2第2発明(錠剤)との対比・判断

(1-4-1) 本件特許発明1と甲2第2発明(錠剤)との対比・判断

本件特許発明1の「オンジエキス」及び甲2第2発明(錠剤)の「吸湿性物質である生薬エキス」はいずれも生薬エキスであり、甲2第2発明(錠剤)の錠剤は固形医薬組成物であるので、本件特許発明1と甲2第2発明(錠剤)とは、「生薬エキスを含有する固形医薬組成物」の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明1では、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を含み、(B)成分として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を含み、「デキストリンを配合するものを除く」ことが特定されているのに対し、甲2第2発明(錠剤)では、このような特定がされていない点。

甲2には、吸湿性物質である生薬エキスは生薬原末から抽出したエキス末単独でも良いことが記載され(摘記(2b)の【0030】)、多種類列挙された生薬の一つとして「オンジ(遠志)」が記載されている(摘記(2b)の【0032】)。
また、甲2には、流動化剤について、「本発明における流動化剤とは、吸湿性物質の吸湿による物性変化を抑制するための成分を指す。流動化剤としては、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、結晶セルロース、酸化チタン、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウム造粒物等が挙げられる。
【0054】
本発明の錠剤は、「前記流動化剤を1種含むものであってもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて含むものであってもよい」ことが記載されており(摘記(2d))、甲2の実施例では、流動化剤として軽質無水ケイ酸(本件特許発明1の(B)成分)が用いられている(摘記(2e))。
しかし、甲2の実施例では、吸湿性物質として清心蓮子飲乾燥エキスが用いられており(摘記(2e))、吸湿性物質として単独の生薬エキスを用いた実施例や、「オンジエキスのみ」を用いた実施例の記載はない。
そうすると、甲2には、吸湿性物質として「オンジエキスのみ」を用い、かつ、流動化剤として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」(本件特許発明1の(B)成分)を組み合わせて用いることが実質的に記載されているとはいえない。
よって、相違点1は実質的な相違点であり、本件特許発明1は甲2に記載された発明ではない。

(1-4-2) 本件特許発明2と甲2第2発明(錠剤)との対比・判断

本件特許発明2と甲2第2発明(錠剤)とは、「生薬エキスを含有する固形医薬組成物」の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点2)本件特許発明2では、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を含み、(B)成分として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を含み、「オンジエキス、デキストリンおよびケイ酸化合物からなる粉末を含むものを除く」ことが特定されているのに対し、甲2第2発明(錠剤)ではこのような特定がされていない点。

上記(1-4-1)で説示したように、甲2には、吸湿性物質として「オンジエキスのみ」を用い、かつ、流動化剤として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」(本件特許発明1の(B)成分)を組み合わせて用いることが実質的に記載されているとはいえず、相違点2は実質的な相違点であるので、本件特許発明2は甲2に記載された発明ではない。

(1-4-3) 本件特許発明3と甲2第2発明(錠剤)との対比・判断

本件特許発明3と甲2第2発明(錠剤)とは、「生薬エキスを含有する固形医薬組成物」の発明である点で一致し、上記(1-4-1)で説示した相違点1または上記(1-4-2)で説示した相違点2に加えて、さらに以下の点で相違する。

(相違点3)本件特許発明3では、「さらに、カルメロース(カルボキシメチルセルロース)、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルメロースナトリウム)、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)、カルメロースカリウム(カルボキシメチルセルロースカリウム)から選択されるセルロース化合物または結晶セルロースを含有する」ことが特定されているのに対し、甲2第2発明(錠剤)ではこのような特定がされていない点。

甲2には、「崩壊剤としては、より崩壊時間を短縮できるという理由から、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びクロスポビドンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分であることが好ましい」こと(摘記(2d)の【0058】)が記載され、甲2の実施例では、崩壊剤として「クロスカルメロースNa」(クロスカルメロースナトリウム:本件特許発明3に記載の成分)が用いられている(摘記(2e))。
しかし、上記(1-4-1)及び(1-4-2)で説示したように、甲2には、吸湿性物質として「オンジエキスのみ」を用い、かつ、流動化剤として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」(本件特許発明1の(B)成分)を組み合わせて用いることが実質的に記載されているとはいえず、上記(1-4-1)で説示した相違点1及び上記(1-4-2)で説示した相違点2がいずれも実質的な相違点であるので、本件特許発明3は甲2に記載された発明ではない。

(1-4-4)本件特許発明4と甲2第1発明(製造方法)との対比・判断

本件特許発明4の「オンジエキス」及び甲2第1発明(製造方法)の「吸湿性物質である生薬エキス」はいずれも生薬成分であり、甲2第1発明の製造方法は「吸湿性物質の吸湿による錠剤の崩壊性への悪影響を避ける方法」である。
そして、甲2第1発明(製造方法)の「(1)吸湿性物質を乾式造粒法で造粒する工程、(2)前記工程(1)で得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤を造粒する工程、及び(3)前記工程(2)で得られた造粒物を打錠する工程」は、「固形形態に成型する」工程を含む工程であるといえる。
そうすると、本件特許発明4と甲2第1発明(製造方法)とは、「生薬成分を含有する医薬組成物を固形形態に成型する工程を含む、方法」の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明4では、生薬成分として「オンジエキスのみ」を含むこと、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を配合して固形形態に成型する(B)工程を有すること、「デキストリンを配合させる方法を除く」こと、及び「オンジエキスを含有する医薬組成物の変色抑制方法」であることが特定されているが、甲2第1発明(製造方法)ではこのような特定がされていない点。

甲2には、吸湿性物質である生薬エキスは生薬原末から抽出したエキス末単独でも良いことが記載され(摘記(2b)の【0030】)、多種類列挙された生薬の一つとして「オンジ(遠志)」が記載されている(摘記(2b)の【0032】)。
また、甲2には、流動化剤について、「流動化剤としては、吸湿性物質(エキス末等)の吸湿による物性変化を抑制することができるという理由から、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分であることがより好ましい」こと(摘記(2d)の【0055】)が記載され、甲2の実施例では、流動化剤として軽質無水ケイ酸(本件特許発明4に記載の成分)が用いられている(摘記(2e))。
しかし、甲2の実施例では吸湿性物質として清心蓮子飲乾燥エキスが用いられており(摘記(2e))、吸湿性物質として単独の生薬エキスを用いた実施例や、「オンジエキスのみ」を用いた実施例の記載はないのであるから、甲2には、吸湿性物質として「オンジエキスのみ」を用い、かつ、流動化剤として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」(本件特許発明4の(B)工程で用いる成分)を配合して固形形態に成型する工程を有する製造方法が、実質的に記載されているとはいえない。
そして、甲2には、上記(1-3-1)で説示した「製造方法1」または「製造方法2」という特定の製造方法を用いることによって、漢方エキス、生薬エキス等の吸湿性物質の吸湿による錠剤の崩壊性への悪影響を避けることができることが記載されているが(摘記(2b)及び(2c))、上記吸湿性物質の吸湿による変色を抑制できることは記載されておらず、上記吸湿性物質を含有する錠剤の変色抑制について試験した実施例の記載もないのであるから、甲2には、生薬成分としてオンジエキスのみを含有する医薬組成物の変色抑制方法が記載されているとはいえない。
よって、相違点1は実質的な相違点であるので、本件特許発明4は甲2に記載された発明ではない。

(1-4-5)本件特許発明5と甲2第1発明(製造方法)との対比・判断

本件特許発明5と甲2第1発明(製造方法)とは、「生薬成分を含有する医薬組成物を固形形態に成型する工程を含む、方法」の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点2)本件特許発明5では、生薬成分として「オンジエキスのみ」を含むこと、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を配合して固形形態に成型する(B)工程を有すること、「オンジエキス、デキストリンおよびケイ酸化合物からなる粉末を得る工程を含むものを除く」こと、及び「オンジエキスを含有する医薬組成物の変色抑制方法」であることが特定されているが、甲2第1発明(製造方法)では、このような特定がされていない点。

上記(1-4-4)で説示したように、甲2には、吸湿性物質として「オンジエキスのみ」を用い、かつ、流動化剤として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」(本件特許発明4に記載の成分)を配合して固形形態に成型する工程を有する製造方法が実質的に記載されているとはいえず、生薬成分としてオンジエキスのみを含有する医薬組成物の変色抑制方法が記載されているともいえないので、相違点3は実質的な相違点であり、本件特許発明5は甲2に記載された発明ではない。

(1-5)以上のように、本件特許発明1?5は、甲1及び甲2に記載された発明ではないので、申立理由1A(甲1及び甲2に基づく新規性欠如)は認められない。

(2)申立理由1B(甲1?甲7に基づく進歩性欠如)

申立理由1Bは、本件特許発明1?5について、甲1を主引用例とする甲1及び甲3?甲7に記載された事項に基づく進歩性欠如、及び、甲2を主引用例とする甲2及び甲3?甲7に記載された事項に基づく進歩性欠如を主張するものである。
そこで、まず、甲1を主引用例とする進歩性欠如について判断し、次に甲2を主引用例とする進歩性欠如について判断する。

(2-1)本件特許発明1?3と甲1第1発明(固形製剤)との対比・判断

(2-1-1)甲1第1発明(固形製剤)は、上記(1-1-1)で説示した、
「生薬エキスまたは漢方エキスと吸着剤とを含む固形製剤であって、前記吸着剤が、吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含む固形製剤であって、
第1の吸着剤がケイ酸カルシウムであり、第2の吸着剤が、軽質無水ケイ酸およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1種の吸着剤であり、
さらに、結合剤、賦形剤、崩壊剤および矯味剤から選択された少なくとも1つの成分を含有する固形製剤。」の発明である。
そして、上記(1-2-1)?(1-2-3)で説示したように、本件特許発明1?3と甲1第1発明(固形製剤)とは、「生薬エキス及び軽質無水ケイ酸を含有する固形医薬組成物。」である点で一致するが、本件特許発明1?3では、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を含むことが特定されているのに対し、甲1第1発明(固形製剤)ではこのような特定がされていない点で少なくとも相違する。
上記(1-2-1)で説示したように、甲1には、生薬エキスに用いられる生薬として多種類の生薬が列挙されており、当該多種類の生薬の一つとして「オンジ(遠志)」が記載されているが(摘記(1e)の【0020】)、甲1第1発明(固形製剤)の生薬エキスとして1種類の生薬エキスのみを用いることは記載されていない。また、甲1の実施例(摘記(1i))の製剤では、ナンテンジツエキス、キキョウエキス、ショウキョウエキス及びチンピエキスという4種類の生薬エキスの混合物が用いられており、甲1には、1種類の生薬エキスのみを用いた実施例や、オンジエキスのみを用いた実施例の記載はない。
そうすると、甲1に「オンジ(遠志)」が記載されていることを考慮しても、甲1に記載された事項から、甲1第1発明(固形製剤)の生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を用いることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。
そこで、甲1に記載された事項に加えて、さらに甲3?甲7に記載された事項及び本件特許の原出願日当時の技術常識(以下、「技術常識」という。)から、甲1第1発明(固形製剤)の生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を用いることを当業者が容易に想到し得たといえるのかについて、検討する。

(2-1-2)本件特許発明1?3の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤」という。)が調製工程または保存において変色することを抑制するという課題(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」という。)の解決手段として用いられた成分である(本件特許明細書の【0007】?【0011】)。

(2-1-3)甲3(特開2013-53144号公報)には、カノコソウと、アスコルビン酸、グルタミン酸およびオンジからなる群から選択される少なくとも1種以上を含有する鎮静剤組成物(摘記(3a))が記載され、実施例では、カノコソウエキス及びオンジエキス、軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)及びクロスカルメロースナトリウム(本件特許発明3に記載の成分)を用いて錠剤を製造した実施例が記載されている(摘記(3g))。
しかし、甲3の「カノコソウに、アスコルビン酸、グルタミン酸またはオンジを併用することで、これらをそれぞれ単独で使用した場合に比べて、著しく鎮静効果が増強された製剤を得ることができた」こと(摘記(3d)の【0013】)という記載からみて、甲3には、生薬成分としてオンジエキスのみを用いた「オンジ単味生薬エキス製剤」は記載されておらず、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載もない。
そして、甲3の「軽質無水ケイ酸」(本件特許発明の(B)成分)及び「クロスカルメロースナトリウム(本件特許発明3に記載の成分)は、あくまでも、慣用の添加剤として用いられた成分にすぎず、甲3には、これらの成分が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段にもなるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。

(2-1-4)甲4(特開平8-337532号公報)には、気道粘液分泌促進作用を有する生薬であるセネガ、キキヨウ、オンジ、シオンの少なくとも1種と、気道粘液粘稠度調整剤および/または気道粘膜潤滑剤とを配合することを特徴とする医薬組成物(摘記(4a))について、当該医薬組成物としてチュアブル錠、トローチ錠、錠剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤という固形医薬組成物が記載されている(摘記(4e))。
また、甲4には、製剤の調製にあたっては、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤など、希釈剤や賦形剤を用いることができること、具体的な賦形剤の例として結晶セルロース(本件特許発明3の成分)が記載され、崩壊剤の例としてカルメロースカルシウムやクロスカルメロースナトリウム(本件特許発明3の成分)が記載され、吸着剤の例として軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)が記載されている(摘記(4d))。
しかし、甲4には、生薬成分としてオンジエキスのみを用いることは記載されておらず、甲4の配合例及び製造例では、すべて複数種の生薬エキスが用いられているので、甲4に、「オンジ単味生薬エキス製剤」が記載されているとはいえない。
また、甲4の製造例1(チュアブル錠)では結晶セルロースが用いられているが軽質無水ケイ酸は用いられていないので、甲4に、結晶セルロース(本件特許発明3の成分)と軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)を組み合わせて用いることが実質的に記載されているとはいえない。
そして、甲4には、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はない。
甲4の結晶セルロース、カルメロースカルシウムやクロスカルメロースナトリウム、及び軽質無水ケイ酸は、あくまでも、通常使用される賦形剤、崩壊剤、及び吸着剤として用いられた成分にすぎず、甲4には、これらの成分が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段にもなるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。

(2-1-5)甲5(特開平9-110708号公報)には、(a)一種または二種以上の滋養強壮用生薬、(b)ビタミンB群、ニコチン酸アミド、ビオチン、クエン酸鉄アンモニウム、パントテン酸カルシウムおよびカフェインからなる群より選ばれる一種または二種以上の成分および、(c)ステビアを配合した製剤であって、製剤中の苦味成分含量とステビアの配合比が、苦味成分含量1重量部に対してステビア0.001重量部?0.1重量部の範囲であることを特徴とする滋養強壮用生薬配合製剤であって、滋養強壮用生薬が、インヨウカク、オウゴン、オキソアミジン(ニンニク)、オンジ、カイクジン、カシュウ、ガラナ、コウジン、ゴオウ、ゴカヒ(シゴカ)、ゴミシ、ニンジン、サイコ、ジャショウシ、ショウキョウ、トウキ、ムイラプアマ、ユウタン、ヨクイニン、リュウノウ、リュウタンおよびロクジョウからなる群より選ばれる一種または二種以上である滋養強壮用生薬配合製剤(摘記(5a))について記載されている。
そして、甲5には、必要に応じて使用できる公知の添加剤である賦形剤の例として結晶セルロース(本件特許発明3の成分)、軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)が記載され、崩壊剤の例としてカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及び結晶セルロース(本件特許発明3の成分)が記載され(摘記(5c))、上記滋養強壮用生薬配合製剤が「熱処理によって褐変作用を起こさない」こと(摘記(5d))が記載され、実施例5においてオンジエキスを含む処方例(摘記(5e))が記載されている。
しかし、上記処方例は、オンジエキスとオンジエキス以外の複数種の生薬エキスとを組み合わせて用いた「液剤」の処方例であり、生薬エキスとしてオンジエキスのみを用いた固形医薬組成物の処方例ではないので、甲5には、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を用いた「オンジ単味生薬エキス製剤」が実質的に記載されているとはいえない。
また、甲5には、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はなく、軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)と、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及び結晶セルロース(本件特許発明3の成分)を組み合わせて用いることが実質的に記載されているとはいえない。
甲5の軽質無水ケイ酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及び結晶セルロースは、あくまでも、甲5で使用できる公知の添加剤として記載された成分にすぎず、甲5には、これらの成分が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段にもなるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。

(2-1-6)甲6(特開2009-73778号公報)には、グルクロノラクトンと、多孔性粒子とを含有することを特徴とする固形製剤であって、前記多孔性粒子が、二酸化ケイ酸、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウムまたは軽質酸化アルミニウムから選ばれる1種または2種以上である、固形製剤が記載され(摘記(6a))、上記含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸は本件特許発明1?3の(B)成分である。
そして、甲6には、上記固形製剤は経時変化による変色を防止できる製剤であること(摘記(6b)の【0003】)、使用できる崩壊剤の例として、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム(本件特許発明3の成分)が記載され(摘記(6c))、甲6の実施例2、6及び8では軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)、実施例1、2、4、5、7及び8では結晶セルロース(本件特許発明3の成分)、実施例1、2、4、5、7及び8ではカルメロース(本件特許発明1?3の(B)成分)が用いられている。
しかし、甲6には、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はない。
甲6の含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カロメロース、及び及び結晶セルロースは、あくまでも、グルクロノラクトン含有固形製剤の変色防止という課題の解決手段として記載された成分であり、甲6には、これらの成分が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段としても用いられるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。

(2-1-7)甲7(特開2009-227658号公報)には、比表面積が50m^(2)/g以上である多孔性吸着剤の1種又は2種以上にアカルボースを吸着させた組成物を含有することを特徴とする錠剤であって、上記多孔性吸着剤がメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびこれらの混合物から選択されることが記載され(摘記(7a))、上記軽質無水ケイ酸及び含水二酸化ケイ素は本件特許発明1?3の(B)成分である。
また、甲7には、上記錠剤は高湿度下でも錠剤の変色が改善され安定であること(摘記(7c)の【0010】)、他に使用できる任意の吸着剤の例として、結晶セルロース、及びカルメロースカルシウム(本件特許発明3の成分)が記載され、甲7の実施例1?6では、結晶セルロース(本件特許発明3の成分)、カルメロースカルシウム(本件特許発明3の成分)、及び軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)が用いられている。
しかし、甲7には、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はない。
甲7の含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸(本件特許発明の(B)成分)、結晶セルロース、及びカルメロースカルシウム(本件特許発明3の成分)は、あくまでも、アカルボースを含有する錠剤について、製造中のケーキングを防止し、さらに高湿度条件下でも錠剤の変色、相互付着、容器やの付着を改善するという課題の解決手段として記載された成分であり、甲7には、これらの成分が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段としても用いられるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。

(2-1-8)上記(2-1-1)?(2-1-7)で説示したように、甲1及び甲3?甲7のいずれにも、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段は記載されておらず、甲1第1発明(固形製剤)の吸着剤である軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)が、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段として用いる成分であるという技術常識はない。
そうすると、甲1に記載された事項に加えて、さらに甲3?甲7に記載された事項及び技術常識を参酌しても、甲1第1発明(固形製剤)の生薬エキスとして、甲1で多種類列挙されている生薬エキスの中から、あえて「オンジエキスのみ」を選択して、甲1第1発明(固形製剤)の吸着剤である軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)と組み合わせて用いることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

(2-1-9)以上のとおりであるから、当業者が、甲1(主引用例)、甲3?甲7に記載された事項及び技術常識から、本件特許発明1?3を容易に想到し得たとはいえない。

(2-2)本件特許発明4及び5と甲1第2発明(方法)との対比・判断

甲1第2発明(方法)は、上記(1-1-2)で説示した、
「生薬エキスまたは漢方エキスを、吸着能が4?6ml/gである第1の吸着剤と、吸着能が2ml/g以上であり、かつ4ml/g未満である第2の吸着剤とを含む吸着剤に吸着させて湿式造粒して得られた造粒物を用いることにより、固形製剤のケーキング及び/又は変色を防止する方法であって、第1の吸着剤がケイ酸カルシウムであり、第2の吸着剤が軽質無水ケイ酸およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムから選択された少なくとも1種の吸着剤である、方法。」の発明である。
そして、上記(1-2-4)及び(1-2-5)で説示したように、本件特許発明4及び5と甲1第2発明(方法)とは、「生薬成分を含有する医薬組成物を固形形態に成型する工程を含む、方法」の発明である点で一致するが、本件特許発明4及び5では、生薬成分として「オンジエキスのみ」を含むこと、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を配合して固形形態に成型する(B)工程を有すること、及び「オンジエキスを含有する医薬組成物の変色抑制方法」であることが特定されているが、甲1第2発明ではこのような特定がされていない点で少なくとも相違する。
これに対し、上記(2-1)で説示したように、甲1に記載された事項に加えて、さらに甲3?甲7に記載された事項及び技術常識を参酌しても、甲1第2発明(方法)の生薬エキスとして、甲1で多種類列挙されている生薬エキスの中から、あえて「オンジエキスのみ」を選択して、甲1第2発明(方法)の吸着剤である軽質無水ケイ酸(本件特許発明4及び5の(B)工程で用いる成分)と組み合わせて用いることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
以上のとおりであるから、当業者が、甲1(主引用例)、甲3?甲7に記載された事項及び技術常識から、本件特許発明4及び5を容易に想到し得たとはいえない。

(2-3)本件特許発明1?3と甲2第2発明(錠剤)との対比・判断

甲2第2発明(錠剤)は、上記(1-3-2)で説示した、
「(1)吸湿性物質である生薬エキスを乾式造粒法で造粒する工程、(2)前記工程(1)で得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤を造粒する工程、及び(3)前記工程(2)で得られた造粒物を打錠する工程、を有することを特徴とする錠剤の製造方法によって製造された、吸湿性物質である生薬エキス、流動化剤及び崩壊剤を含有する錠剤。」の発明である。
そして、上記(1-4-1)?(1-4-3)で説示したように、本件特許発明1?3と甲2第2発明(錠剤)とは、「生薬エキスを含有する固形医薬組成物」の発明である点で一致するが、本件特許発明1?3では、生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を含むこと、(B)成分として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を含むこと、「デキストリンを配合するものを除く」ことが特定されているのに対し、甲2第2発明(錠剤)ではこのような特定がされていない点で少なくとも相違する。
これに対し、上記(1-4-1)で説示したように、甲2には、吸湿性物質である生薬エキスは生薬原末から抽出したエキス末単独でも良いことが記載され(摘記(2b)の【0030】)、多種類列挙された生薬の一つとして「オンジ(遠志)」が記載されている(摘記(2b)の【0032】)。
また、甲2には、流動化剤について、「本発明における流動化剤とは、吸湿性物質の吸湿による物性変化を抑制するための成分を指す。流動化剤としては、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、結晶セルロース、酸化チタン、水酸化アルミナマグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウム造粒物等が挙げられる。
【0054】
本発明の錠剤は、「前記流動化剤を1種含むものであってもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて含むものであってもよい」ことが記載されており(摘記(2d))、甲2の実施例では、流動化剤として軽質無水ケイ酸(本件特許発明1の(B)成分)が用いられている(摘記(2e))。
しかし、甲2の実施例では、吸湿性物質として清心蓮子飲乾燥エキスが用いられており(摘記(2e))、吸湿性物質として単独の生薬エキスを用いた実施例や、「オンジエキスのみ」を用いた実施例の記載はなく、甲2には、吸湿性物質として「オンジエキスのみ」を用い、かつ、流動化剤として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」(本件特許発明1の(B)成分)を組み合わせて用いることが実質的に記載されているとはいえないので、甲2に記載された事項から、甲2第2発明(錠剤)の生薬エキスとして「オンジエキスのみ」を用い、かつ、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」(本件特許発明1?3の(B)成分)を用いることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
また、上記(2-1-2)で説示したように、本件特許発明1?3の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤」という。)が保存中に吸湿や酸化によって変色することを抑制するという課題(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」という。)の解決手段として用いられた成分であるが(本件特許明細書の【0007】?【0011】)、甲2には、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段は記載されていない。
そして、上記(2-1-3)?(2-1-7)で説示したように、甲3?甲7のいずれにも、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段は記載されていないのであるから、甲2の記載に加えて、さらに甲3?甲7に記載された事項及び技術常識を参酌しても、甲2に記載された含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分)が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段として用いられる成分であることを、当業者が認識できるとはいえない。
そうすると、当業者が、甲2、甲3?甲7に記載された事項及び技術常識から、甲2第2発明(錠剤)の生薬エキスとして、甲2に記載された多種類の生薬エキスの中から、あえて「オンジエキスのみ」を選択し、かつ、甲2に記載された流動化剤から含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸を選択して用いることを、容易に想到し得たとはいえない。
以上のとおりであるから、当業者が、甲2(主引用例)、甲3?甲7の記載及び技術常識から、本件特許発明1?3を容易に想到し得たとはいえない。

(2-4)本件特許発明4及び5と甲2第1発明(製造方法)との対比・判断

甲2第1発明(製造方法)は、上記(1-3-1)で説示した、
「吸湿性物質である生薬エキス、流動化剤及び崩壊剤を含む錠剤の製造方法であって、(1)吸湿性物質を乾式造粒法で造粒する工程、(2)前記工程(1)で得られた造粒物と、流動化剤及び崩壊剤を造粒する工程、及び(3)前記工程(2)で得られた造粒物を打錠する工程、を有することを特徴とする錠剤の製造方法であって、当該製造方法は、吸湿性物質の吸湿による錠剤の崩壊性への悪影響を避ける方法である、製造方法。」の発明である。
そして、上記(1-4-4)及び(1-4-5)で説示したように、本件特許発明4及び5と甲2第1発明(製造方法)とは、「生薬成分を含有する医薬組成物を固形形態に成型する工程を含む、方法」の発明である点で一致するが、本件特許発明4及び5では、生薬成分として「オンジエキスのみ」を含むこと、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を配合して固形形態に成型する(B)工程を有すること、及び「オンジエキスを含有する医薬組成物の変色抑制方法」であることが特定されているが、甲2第1発明(製造方法)ではこのような特定がされていない点で少なくとも相違する。
これに対し、上記(2-3)で説示したように、甲2、甲3?甲7のいずれにも「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段は記載されておらず、甲2、甲3?甲7の記載及び技術常識から、甲2第1発明(製造方法)の生薬エキスとして、甲2に記載の多種類の生薬エキスの中から、あえて「オンジエキスのみ」を選択して、かつ、甲2第1発明(製造方法)の流動化剤として、甲2に記載の含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸を組み合わせて用いて、甲2第1発明(製造方法)を「オンジエキスを含有する医薬組成物の変色抑制方法」にすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
以上のとおりであるから、当業者が、甲2、甲3?甲7に記載された事項及び技術常識から、本件特許発明4及び5容易に想到し得たとはいえない。

(2-5)本件特許発明による効果について

本件特許明細書には、本件特許発明による効果について、以下の記載がある。

「【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0031】
1.オンジエキスの乾燥物の製造方法
本試験例では、以下のようにして取得したオンジエキスの乾燥物を用いた。5?10mm程度に裁断されたオンジの根の乾燥物2kgに、95℃の水を30kg加え、60分間攪拌抽出した。次いで固液分離し得られた抽出液を、ロータリーエバポレーターを用いて60℃以下で減圧濃縮し、濃縮液をスプレードライすることでオンジエキスの乾燥物500(g)を得た。
【0032】
2.固形医薬組成物の製造方法
前述の通り得られたオンジエキスの乾燥物、ケイ酸化合物(含水ニ酸化ケイ素:「カープレックス#80」(DSLジャパン株式会社製)、軽質無水ケイ酸:「アドソリダー101」(フロイント産業株式会社製)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:「ノイシリン」(富士化学工業株式会社製))、セルロース化合物(カルメロースカルシウム:「ECG505」(ニチリン化学工業社製)、結晶セルロース:「セオラスPH-101」(旭化成株式会社製))、及びステアリン酸マグネシウム:「ステアリン酸マグネシウム 植物性」(太平化学産業株式会社製)を後述する表1に従って秤量後に混合し、卓上型標準プレス機(エヌピーシーシステム株式会社製)とそれに対応した臼と杵を用いて5kNの圧力で圧縮成型し、直径9mm、重量300mgの錠剤(比較例1?3、実施例1?5)を得た。以上のように得られた錠剤形態の組成物を以下の試験に供した。表中の各成分の含有量の単位は重量(mg)である。
【0033】
3.試験方法
前記の通りに調製した錠剤形態の組成物(各製剤について6錠ずつ、1錠300mg)を、スクリュー管(「硼珪酸ガラス(褐色 NO.6)」日本電気硝子製)に充填・密閉して、温度50℃・湿度60%の環境下に1週間保存し、保存前後で錠剤の変色具合を確認した。変色具合の評価は、製造直後(保存前)の錠剤と、保存後の錠剤の色差を測定することにより実施した。色差(ΔE*ab)は、コニカミノルタ製の分光測色計CM-700dを用いて測定した。色差の数値が小さいほど、保存後の錠剤と保存前の錠剤の色の差が少ないことを示し、変色抑制効果が高いことを意味する。評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示されるように、オンジエキスを含む錠剤において、含水ニ酸化ケイ素または軽質無水ケイ酸を含まない場合には著しく変色したが(比較例1?3)、含水ニ酸化ケイ素を含む場合には変色が顕著に抑制されていた(実施例1?3)。さらに、含水ニ酸化ケイ素に加えてカルメロースカルシウムを含有させた場合(実施例4)には、カルメロースカルシウムを含有しない場合(実施例1)に比べて変色が一層抑制された。また、実施例2の含水ニ酸化ケイ素を、軽質無水ケイ酸に置き換えた場合においてもオンジエキスの変色が有意に抑制された(実施例5)。一方、意外なことに、同じケイ酸化合物であっても、含水ニ酸化ケイ素に代えてメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いた場合は、オンジエキスの変色に対する抑制効果は確認されなかった(比較例3)。
【0036】
処方例1?9
前述の通り得られたオンジエキスの乾燥物を用いて、表2に示す処方に従い、下記の各成分を混合し、卓上型標準プレス機(エヌピーシーシステム株式会社製)とそれに対応した臼と杵を用いて5kNの圧力で圧縮成型し、直径9mm、重量300mgの錠剤(処方例1?9)を得た。含水ニ酸化ケイ素:「カープレックス#80」(DSLジャパン株式会社製)、軽質無水ケイ酸:「アドソリダー101」(フロイント産業株式会社製)、カルメロースカルシウム:「ECG505」(ニチリン化学工業株式会社製)、クロスカルメロースナトリウム:「キッコレート ND-200」(ニチリン化学工業株式会社製)、結晶セルロース:「セオラスPH- 101」(旭化成株式会社製)、トウモロコシデンプン:「トウモロコシデンプンST-C」(日澱化学株式会社社製)、ステアリン酸マグネシウム:「ステアリン酸マグネシウム 植物性」(太平化学産業株式会社製)、タルク:「タルク原末「マルイシ」」(丸石製薬株会社製)。得られた医薬組成物は、いずれも前述の実施例と同様に変色の抑制効果に優れていた。表中の各成分の含有量の単位は重量(mg)である。
【0037】
【表2】



上記のように、本件特許明細書の実施例(【0030】?【0037】)には、実施例4に、含水二酸化ケイ素(本件特許発明1?3の(B)成分、本件特許発明4及び5の(B)工程で用いる成分)、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム:本件特許発明3の成分)及び結晶セルロース(本件特許発明3の成分)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤が記載され、実施例5に、軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分、本件特許発明4及び5の(B)工程で用いる成分)及び結晶セルロース(本件特許発明3の成分)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤が記載されている。
さらに、実施例4及び5では、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、及びカルメロースカルシウムを用いない比較例1、カルメロースカルシウムは用いるが含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸を用いない比較例2、カルメロースカルシウムを用いず、含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸のかわりにメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いた比較例3よりも、優れた変色抑制効果が得られたことが記載されている(【0033】?【0035】、【表1】)。
実施例4及び5に加えて、本件特許明細書には、含水二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルメロースナトリウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例1)、含水二酸化ケイ素、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例2、4及び7)、含水二酸化ケイ素及びカルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例3)、含水二酸化ケイ素及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例5及び6)、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例8)について、上記実施例と同様に優れた変色抑制効果が得られたことが記載されている(【0036】?【0037】、【表2】)。
そして、上記(2-1)?(2-4)で説示したように、甲1?7のいずれにも、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段として本件特許発明の「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることは記載されておらず、そのような技術常識があるともいえないのであるから、本件特許発明による優れた変色抑制効果は、甲1?甲7に記載された事項及び技術常識から当業者が予測できない顕著な効果であるといえる。

(2-6)以上のとおりであるから、本件特許発明1?5は、甲1及び甲3?甲7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。また、本件特許発明1?5は、甲2及び甲3?甲7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

(3)申立理由1C(特許法第29条の2)
申立理由1Cは、本件特許発明1?5は、本件特許の原出願日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特許出願の当初明細書(甲第8号証及び甲第9号証)に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許発明1?5の発明者が、その原出願日前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許発明1及び2の原出願時において、本件特許の出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、本件特許発明1?5は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明1?5に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである、というものである。

(3-1)甲8(特願2015-231564号(特開2016-108327号公報、出願日:平成27年11月27日、優先日:平成26年12月5日)における、特許請求の範囲の請求項1?6に係る発明(摘記(8a))は以下のとおりである。

「【請求項1】
オンジエキス、及びクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を含有し、オンジエキスの含有量が固形組成物全体に対し10質量%以上であることを特徴とする固形組成物。
【請求項2】
さらに、結晶セルロース及び/又は軽質無水ケイ酸を含む、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
固形組成物が内服用である、請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項4】
固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、請求項1?3のいずれかに記載の固形組成物。
【請求項5】
オンジエキスを含有する固形組成物の変色を抑制するために、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を使用する方法。
【請求項6】
クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を添加することによって、オンジエキス含有固形組成物の変色を抑制する方法。」(請求項1?6)

また、甲9(特願2017-4042号(特開2017-61576号公報、原出願日:平成27年11月27日、優先日:平成26年12月5日)における、特許請求の範囲の請求項1?6に係る発明(摘記(9a))は以下のとおりである。なお、甲9は甲8を原出願とする分割出願である。

「【請求項1】
オンジエキス、及びクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を含有し、オンジエキスの含有量が固形組成物全体に対し10質量%以上であることを特徴とする固形組成物。
【請求項2】
さらに、結晶セルロース及び/又は軽質無水ケイ酸を含む、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
固形組成物が内服用である、請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項4】
固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、請求項1?3のいずれかに記載の固形組成物。
【請求項5】
オンジエキスを含有する固形組成物の変色を抑制するために、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を使用する方法。
【請求項6】
クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を添加することによって、オンジエキス含有固形組成物の変色を抑制する方法。」(請求項1?6)

(3-2)甲8及び甲9の国内優先権基礎出願に最初に添付された明細書等に記載された発明

甲8の出願日(平成27年11月27日)すなわち甲9の原出願日(平成27年11月27日)は、本件特許の原出願日(平成27年3月27日)よりも後である。
そして、甲8及び甲9は平成26年12月5日を出願日とする特願2014-246787号を国内優先権基礎出願(以下、「基礎出願X」ともいう。)とするものである。
そこで、基礎出願Xに最初に添付された明細書等(以下、「基礎出願Xの当初明細書等」という。)に記載された発明について検討する。

基礎出願Xの当初明細書等には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
オンジエキス末、及びクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を含有し、オンジエキス末の含有量が固形組成物全体に対し10質部%以上であることを特徴とする固形組成物。
【請求項2】
固形組成物が内服用である、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、請求項1又は2に記載の固形組成物。
【請求項4】
オンジエキス末を含有する固形組成物の変色を抑制するために、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を使用する方法。
【請求項5】
クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を添加することによって、オンジエキス末含有固形組成物の変色を抑制する方法。」(請求項1?5)

「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、経時的な色の変化を抑制した、オンジエキス末を含有する固形組成物
を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、オンジエキス末と特定のセルロース系崩壊剤を含有する固形組成物は、経時的な変色が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)オンジエキス末、及びクロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を含有し、オンジエキス末の含有量が固形組成物全体に対し10質部%以上であることを特徴とする固形組成物、
(2)固形組成物が内服用である、(1)に記載の固形製剤、
(3)固形組成物が錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤である、(1)又は(2)に記載の固形組成物、
(4)オンジエキス末を含有する固形組成物の変色を抑制するために、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を使用する方法、
(5)クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤を添加することによって、オンジエキス末含有固形組成物の変色を抑制する方法、である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、長期にわたって変色が抑制されたオンジエキス末含有固形組成物の提供が可能となった。」(【発明の概要】?【0007】)

「【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のオンジエキス末は、第16改正日本薬局方収載のオンジ(ヒメハギ属のイトヒメハギ(Polygala tenuifolia)の根)から水やエタノール等の有機溶媒により抽出した抽出物を使用することができる。市販品としては、例えばオンジ乾燥エキス(アルプス薬品工業)等が使用できる。
【0010】
本発明の固形組成物において、オンジエキス末の含有量は、固形組成物全体の10質量%以上であり、好ましくは30質量%以上である。固形組成物中に10質量%以上配合すると、固形組成物の変色が目立つようになるからである。また上限は90質量%である。
【0011】
本発明の特定のセルロース系崩壊剤とは、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを意味する。セルロース系崩壊剤の含有量は、発明の効果の点から、オンジエキス末1質量部に対し0.1?2質量部が好ましく、0.3?2質量部が更に好ましい。また、本発明の固形組成物全体の3質量%?90質量%が好ましく,10質量%?70質量%が更に好ましい。クロスカルメロースナトリウムとしては、粒状のものでも粉末状のものであってもよく、市販品としては、例えばアクジゾル(ワイケイエフ)や、キッコレート(三栄源エフ・エフ・アイ)等が使用できる。カルメロースカルシウムとしては、例えば市販品のカルメロースカルシウム(ニチリン化学)やE.C.G-505(五徳薬品)等が使用できる。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは粒状のものでも粉末状のものであってもよく、市販品としては、例えば市販品のL-HPC-LH21(信越化学工業)等が使用できる。
【0012】
本発明の固形組成物とは、2成分以上の成分により構成される常温で固体状の組成物をいい、例えば、混合することにより得られる粉末、造粒により得られる造粒物、粉末や造粒物を打錠することにより得られる錠剤などを挙げることができる。剤型としては、錠剤、顆粒剤、散剤、チュアブル錠剤、口腔内崩壊錠又はドライシロップ剤等を挙げることができ、特にこれらに限定されるものではない。また、その製造方法は、医薬品の製剤化における一般的な方法で製造することができ、本発明の効果を損なわない範囲で製剤製造時に一般的に配合される成分を適宜配合することができる。オンジエキス末及び特定のセルロース系崩壊剤を配合し、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤等を混合して常法により製造することができる。」(【発明を実施するための形態】?【0012】)

「【実施例】
【0013】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本説明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
以下表1の成分を各配合比に従い秤量し、ビニール袋内で混合した後、篩を通してオンジエキス末含有粉体を調製した。
【0014】
(試験例)
実施例1?3及び比較例1?3について25℃60%RH条件下で24時間静置したのち、2gずつガラスビンに入れて密閉し、65℃条件下で3日保存した。保存後の粉体について、それぞれ製造直後品との色差ΔE^(*)(ab)について分光式光度計(SE6000 日本電色工業製)を用いて測定した。結果を、表1及び図1に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
表1及び図1より明らかなように、オンジエキス末を含む固形組成物は変色した(比較例1)。本発明のセルロース系崩壊剤を含む実施例1?3の固形組成物は、デンプン系の崩壊剤を配合した比較例2、3の固形組成物と比べて、経時的な色の変化は抑制された。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明により、オンジエキス末を高濃度含有していても、経時的な変色が抑制された、商品価値の高いオンジエキス末配合の固形組成物の提供が可能となった。 」 (【実施例】?【0017】)

上記のように、基礎出願Xの当初明細書等には、オンジ単味生薬エキス製剤、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題、及びその解決手段として「クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種のセルロース系崩壊剤」を用いることが記載されている。
しかし、基礎出願Xの当初明細書等には、本件特許発明1?3の(B)成分及び本件特許発明4及び5の工程(B)の成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることは記載されておらず、基礎出願Xに記載の請求項1?5に係る発明において、さらに「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることが自明であるともいえない。

(3-3)上記(3-1)で説示した甲8の請求項1?6に係る発明のうち、請求項2に係る発明である「さらに、結晶セルロース及び/または軽質無水ケイ酸を含む、請求項1に記載の発明」、及び請求項2を引用する請求項3、4に係る発明はいずれも「軽質無水ケイ酸」を含む発明であるが、上記(3-2)で説示した基礎出願Xの当初明細書等に記載された事項からみて、これらの発明は基礎出願Xの当初明細書等に記載された発明ではないのであるから、これらの発明に特許法第29条の2の規定は適用されない(要すれば、特許法第41条第2項及び第3項を参照。)。
また、上記(3-1)で説示した甲9の請求項1?6に係る発明のうち、請求項2に係る発明である「さらに、結晶セルロース及び/または軽質無水ケイ酸を含む、請求項1に記載の発明」、及び請求項2を引用する請求項3、4に係る発明はいずれも「軽質無水ケイ酸」を含む発明であるが、上記(3-2)で説示した基礎出願Xの当初明細書等に記載された事項からみて、これらの発明は基礎出願Xの当初明細書等に記載された発明ではないのであるから、これらの発明には特許法第29条の2の規定は適用されない(要すれば、特許法第41条第2項及び第3項を参照。)。
そして、基礎出願Xの当初明細書等には、さらに本件特許発明1?3の(B)成分及び本件特許発明4及び5の工程(B)の成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることを発明特定事項とする発明は記載されておらず、当該発明特定事項が自明であるともいえない。

(3-4)以上のとおりであるから、(B)成分として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を含有することを必須の発明特定事項とする本件特許発明1?3、及び、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を配合して固形形態に成型することを特徴とする工程(B)を必須の発明特定事項とする本件特許発明4及び5は、甲8及び甲9を根拠として、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

(4)申立理由1D(特許法第36条第6項第2号:明確性)

(4-1)申立理由1D(明確性)の主旨は、以下のとおりである。
(1D-1)請求項1の「固形医薬組成物(デキストリンを配合するものを除く)」という記載は、本件特許明細書の段落[0015]の記載と矛盾しており、整合性がとれておらず、不明確である。
(1D-2)請求項2の「固形医薬組成物(オンジエキス、デキストリンおよびケイ酸化合物からなる粉末を含むものを除く)」という記載は、本件特許明細書の段落[0016]の記載と矛盾し、整合性がとれておらず、不明確である。
(1D-3)請求項4の「変色抑制方法(医薬組成物中にデキストリンを配合させる方法を除く)」という記載は、本件特許明細書の段落[0015]の記載と矛盾し、整合性がとれておらず、不明確である。
(1D-4)請求項4の「変色抑制方法(医薬組成物中にデキストリンを配合させる方法を除く)」という記載は、「変色抑制」について、具体的にどのような基準で効果の有無を判断するのか当業者が内容を理解することができず、不明確である。
(1D-5)請求項5の「変色抑制方法(オンジエキス、デキストリン、およびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く)」という記載は、本件特許明細書の段落[0016]の記載と矛盾し、整合性がとれておらず、不明確である。
(1D-6)請求項5の「変色抑制方法(オンジエキス、デキストリン、およびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く)」という記載は、「変色抑制」について、具体的にどのような基準で効果の有無を判断するのか当業者が内容を理解することができず、不明確である。
よって、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、本件特許発明1?5に係る特許は、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(4-2)上記(1D-1)?(1D-3)及び(1D-5)について

本件特許明細書の段落【0015】には「吸着剤としては、薬学的に許容されるものである限り特に制限されず、例えば、デキストリン、テンプン、ゼラチン及びケイ酸カルシウム等が挙げられる。」と記載され、段落【0016】には「添加剤としては前述と同様に、例えば、デキストリン、デンプン、ゼラチン及びケイ酸カルシウム等が挙げられ、」と記載されている。
しかし、これらの記載における「デキストリン」は、あくまでも、使用できる吸着剤または添加剤の例として挙げられた成分にすぎず、本件特許発明で使用することが必須である成分として記載されたものではない。
そして、当業者は、請求項1の「固形医薬組成物(デキストリンを配合するものを除く)」という記載、請求項2の「固形医薬組成物(オンジエキス、デキストリンおよびケイ酸化合物からなる粉末を含むものを除く)」という記載、請求項4の「変色抑制方法(医薬組成物中にデキストリンを配合させる方法を除く)」という記載、及び請求項5の「変色抑制方法(オンジエキス、デキストリン、およびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く)」という記載から、本件特許発明1及び2はデキストリンを含有しないこと、及び本件特許発明4及び5はデキストリンを含む工程を有しないことを容易に理解できることは明らかであるから、これらの記載はいずれも明確である。

(4-3)上記(1D-4)及び(1D-6)について

本件特許発明4及び5の変色抑制方法は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む、いわゆる「オンジ単味生薬エキス製剤」の変色抑制方法について特定したものである。
そして、本件特許明細書の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」ともいう。)には、「オンジ単味生薬エキス製剤」の変色抑制方法について、
「 【0033】
3.試験方法
前記の通りに調製した錠剤形態の組成物(各製剤について6錠ずつ、1錠300mg)を、スクリュー管(「硼珪酸ガラス(褐色 NO.6)」日本電気硝子製)に充填・密閉して、温度50℃・湿度60%の環境下に1週間保存し、保存前後で錠剤の変色具合を確認した。変色具合の評価は、製造直後(保存前)の錠剤と、保存後の錠剤の色差を測定することにより実施した。色差(ΔE*ab)は、コニカミノルタ製の分光測色計CM-700dを用いて測定した。色差の数値が小さいほど、保存後の錠剤と保存前の錠剤の色の差が少ないことを示し、変色抑制効果が高いことを意味する。評価結果を表1に示す。
【0034】


のように、変色抑制の試験方法や評価結果が具体的に記載されているので、当業者は、上記記載を参酌すれば、本件特許発明4及び5における「変色抑制」の基準、及び効果の有無を容易に理解できるといえる。
そして、発明の詳細な説明の実施例(【0030】?【0037】)には、実施例4に、含水二酸化ケイ素(本件特許発明1?3の(B)成分、本件特許発明4及び5の(BB)工程で用いる成分)、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム:本件特許発明3の成分)及び結晶セルロース(本件特許発明3の成分)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤が記載され、実施例5に、軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分、本件特許発明4及び5の(B)工程で用いる成分)及び結晶セルロース(本件特許発明3に記載の成分)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤が記載されている。
また、実施例4及び5では、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、及びカルメロースカルシウムを用いない比較例1、カルメロースカルシウムは用いるが含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸を用いない比較例2、カルメロースカルシウムを用いず、含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸のかわりにメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いた比較例3よりも、優れた変色抑制効果が得られたことが記載されている(【0033】?【0035】、【表1】)。
さらに、実施例4及び5に加えて、本件特許明細書には、含水二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルメロースナトリウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例1)、含水二酸化ケイ素、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例2、4及び7)、含水二酸化ケイ素及びカルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例3)、含水二酸化ケイ素及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例5及び6)、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例8)について、上記実施例と同様に優れた変色抑制効果が得られたことが記載されている(【0036】?【0037】、【表2】)。
このような実施例の記載を参酌すれば、当業者は、本件特許発明4及び5の変色抑制方法により、「オンジ単味生薬エキス製剤」について優れた変色抑制効果が得られたことを理解できるといえる。
以上のように、当業者は、発明の詳細な説明の記載を参酌すれば、本件特許発明4及び5における「変色抑制」という記載の基準、及び効果の有無を容易に理解でき、実際に「オンジ単味生薬エキス製剤」について優れた変色抑制効果が得られたことを理解できるといえる。

(4-4)以上のとおりであるから、申立人1が主張する上記(1D-1)?(1D-6)はいずれも認められず、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているといえる。

(5)申立理由1E(特許法第36条第6項第1号)及び申立理由1F(特許法第36条第4項第1号)

申立理由1E(特許法第36条第6項第1号)は、技術常識を参酌しても、本件特許発明1?5の範囲全体にわたり、発明が解決すべき課題が解決されていることを推認できるとはいえないので、本件特許の請求項1及び2に記載された発明は、特許法第36条第6項第1号に規定されるサポート要件を満たしていないというものであり、申立理由1F(特許法第36条第4項第1号)は、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明1?5について、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえないので、特許法第36条第4項第1号に規定される実施可能要件を満たしていない、というものである。
ここで、本件特許発明が解決すべき課題は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤」という。)が調製工程または保存において変色することを抑制するという課題(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」という。)であり、その解決手段として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」(本件特許発明1?3の(B)成分、本件特許発明4及び5の(B)工程で用いる成分)が用いられていると解される(発明の詳細な説明の【0002】?【0010】)。
そして、発明の詳細な説明の実施例(【0030】?【0037】)には、実施例4に、含水二酸化ケイ素(本件特許発明1?3の(B)成分、本件特許発明4及び5の(B)工程で用いる成分)、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム:本件特許発明3の成分)及び結晶セルロース(本件特許発明3の成分)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤が記載され、実施例5に、軽質無水ケイ酸(本件特許発明1?3の(B)成分、本件特許発明4及び5の(B)工程で用いる成分)及び結晶セルロース(本件特許発明3に記載の成分)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤が記載されている。
また、実施例4及び5では、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、及びカルメロースカルシウムを用いない比較例1、カルメロースカルシウムは用いるが含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸を用いない比較例2、カルメロースカルシウムを用いず、含水二酸化ケイ素や軽質無水ケイ酸のかわりにメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いた比較例3よりも、優れた変色抑制効果が得られたことが記載されている(【0033】?【0035】、【表1】)。
さらに、実施例4及び5に加えて、本件特許明細書には、含水二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム(架橋カルメロースナトリウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例1)、含水二酸化ケイ素、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例2、4及び7)、含水二酸化ケイ素及びカルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)を用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例3)、含水二酸化ケイ素及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例5及び6)、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、カルメロースカルシウム(カルボキシメチルセルロースカルシウム)及び結晶セルロースを用いたオンジ単味生薬エキス製剤(処方例8)について、上記実施例と同様に優れた変色抑制効果が得られたことが記載されている(【0036】?【0037】、【表2】)。
このように、発明の詳細な説明には、本件特許発明1?5によって「オンジ単味生薬エキス製剤」について優れた変色抑制効果が得られたという結果を示す多種類の実施例及び処方例が具体的に記載されているのであるから、当業者は、上記実施例及び処方例の記載を参酌すれば、本件特許発明1?5の範囲全体にわたって、本件特許発明が解決すべき「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」が解決できることを理解できるといえる。また、発明の詳細な説明は、本件特許発明1?5について、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。

(6)以上(1)?(5)のとおりであるから、申立人1による申立理由はいずれも認められない。

2.申立人2による申立理由についての判断

申立人2による申立理由(特許法第29条第2項)は、本件特許発明1?5に対し、甲1’または甲2’を主引用例として、甲1’?甲8’に基づく進歩性欠如を主張するものである。
そこで、まず甲1’を主引用例とする進歩性欠如について判断し、次に甲2’を主引用例とする進歩性欠如について判断する。

(1)甲1’を主引用例とする進歩性欠如について

(1-1)甲1’(韓国公開特許第10-2014-0059532号公報)に記載された発明

甲1’には、摘記(1’a)及び(1’b)からみて、
「(a)オンジに水及び炭素数1?4の低級アルコールから選択される1種または混合物を添加して、加熱、抽出した後、オンジ抽出物を製造する段階;及び(b)前記段階(a)で得たオンジ抽出物に精製水を添加して希釈した後、限外濾過装置に通過させて限外濾過したオンジ抽出物を得る段階;を含むことを特徴とするアセチルコリン分解酵素阻害用オンジ抽出物の製造方法により製造されたアセチルコリン分解酵素阻害用オンジ抽出物を含む、痴呆予防または治療用薬学的組成物」)の発明(以下、「甲1’発明」という。)が記載されていると認める。

(1-2)本件特許発明1と甲1’発明との対比・判断

甲1’発明の「アセチルコリン分解酵素阻害用オンジ抽出物」及び「痴呆予防または治療用薬学的組成物」は、それぞれ本件特許発明1の「オンジエキス」及び「医薬組成物」に相当するので、本件特許発明1と甲1’発明とを対比すると、両発明は「生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物」の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明1では「固形医薬組成物」に特定されているのに対し、甲1’発明では「固形医薬組成物」に特定されていない点。

(相違点2)本件特許発明1では(B)成分として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を含有すること、デキストリンを配合するものを除くことが特定されているのに対し、甲1’発明ではこのような特定はされていない点。

(1-2-1)相違点1について

甲1’には、甲1’発明を錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などの固形製剤に製剤化することが記載されているので(摘記(1’e)及び(1’f))、甲1’発明を「固形医薬組成物」にすることは、当業者が当然想起する事項であるといえる。

(1-2-2)相違点2について

(1-2-2-1)本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤」という。)が調製工程または保存において変色することを抑制するという課題(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」という。)の解決手段として用いられた成分である(本件特許明細書の【0007】?【0011】)。

(1-2-2-2)甲1’には、甲1’発明の製剤化について、「薬剤の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる」こと(摘記(1’d))、及び「製剤化する場合には、通常用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤等の希釈剤または賦形剤を使用して調剤される」こと(摘記(1’f))が記載されているので、当業者は、甲1’発明を「固形医薬組成物」にする際に、通常用いられる賦形剤等を当然に使用するといえる。
しかし、甲1’には、甲1’発明が含むことができる担体、賦形剤及び希釈剤として、セルロース、メチルセルロース、結晶セルロースというセルロース化合物が記載されているが(摘記(1’e))、本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることは記載されておらず、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載もない。
そこで、甲1’に記載された事項に加えて、さらに甲3’?甲8’に記載された事項、及び本件特許の原出願日当時の技術常識(以下、「技術常識」という。)から、当業者が甲1’発明で「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることを容易に想到しえたといえるのかについて判断する。

(1-2-2-3)甲3’(特開2012-140420号公報)には、ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩が均質に混和された固形製剤について、当該固形製剤の調製後、保存中に経時的に色調・性状の変化とともにブロムヘキシン塩酸塩の含量低下が発生することを防止するという課題があること(摘記(3’c)の【0007】)、当該課題の解決手段として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸カルシウム、及び含水二酸化ケイ素のいずれかを固形製剤に用いたところ、当該固形製剤の色調・性状の変化がなく、かつブロムヘキシン塩酸塩の含量低下が抑制されたことが記載されている(摘記(3’a)?(3’f))。そして、上記「含水二酸化ケイ素」は本件特許発明1の(B)成分に相当する。
しかし、甲3’には、「オンジ単味生薬エキス製剤」、及び「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はない。
そして、甲3’の「含水二酸化ケイ素」は、あくまでも、「ロキソプロフェンナトリウム又はその水和物とブロムヘキシン塩酸塩が均質に混和された固形製剤」という特定の固形医薬組成物が有する課題の解決手段として記載されており、「含水二酸化ケイ素」を用いることが「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段にもなるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。

(1-2-2-4)甲4’(特開2011-178690号公報)には、単味生薬エキス製剤に相当するサラシア属植物抽出物を含む組成物について、サラシア属植物抽出物の酸化や吸湿を防止し、組成物を保存安定性を高めるという課題を解決するために、サラシアエキス末を含有する固形医薬組成物に二酸化ケイ素、及びカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を使用したところ、上記組成物の保存安定性が高くなり、特に長期保存による変色および崩壊性低下が抑制されたことが記載されている(摘記(4’a)?(4’i))。
ここで、甲4’には上記「二酸化ケイ素」が「含水二酸化ケイ素」及び/または「軽質無水ケイ酸」であるという記載はなく、「二酸化ケイ素」、「含水二酸化ケイ素」及び「軽質無水ケイ酸」は、医薬品添加剤としては別種類の添加剤として扱われているので(要すれば、「医薬品添加物事典 2007」、日本医薬品添加剤協会、2009年11月6日発行の第2刷、70頁の「含水二酸化ケイ素」の項目、97頁の「軽質無水ケイ酸」、及び201頁の「二酸化ケイ素」の項目を参照。)、甲4’には「カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩」(本件特許発明3の成分)を用いることは記載されているが、本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素」及び/または「軽質無水ケイ酸」を用いることが記載されているとはいえない。
仮に、甲4’の「二酸化ケイ素」が「含水二酸化ケイ素」及び/または「軽質無水ケイ酸」を意味するとしても、甲4’には、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はない。
甲4’の「二酸化ケイ素」及び「カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩」は、あくまでも、サラシア属植物抽出物(サラシアエキス末)を含む特定の単味生薬エキス製剤が有する課題の解決手段として記載されており、甲4’には、これらの成分が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段にもなるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。
また、甲4’の実施例では結晶セルロース(本件特許発明3の成分)が用いられているが(摘記(4’c)?(4’f))、甲4’には、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はないのであるから、甲4’の結晶セルロースが「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段として用いられた成分であるとはいえず、結晶セルロースが「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段になるという技術常識があるともいえない。

(1-2-2-5)甲5’(特開平11-43440号公報)には、式(I)?(V)のいずれかで表される化合物を有効成分とする脳機能改善剤(摘記(5’a))が記載され、上記式(I)?(V)のいずれかで表される化合物は、オンジの抽出エキスからシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより単離して得られた、ChAT発現およびNGF産生促進作用を有する、オンジサポニンと称される化合物である(摘記(5’b)及び(5’c))。そして、甲5’の実施例1?6には、上記オンジサポニンを含む固形医薬組成物である錠剤、顆粒剤、カプセル剤が記載されている(摘記(5’h)?(5’m))。
ここで、医薬品製剤の分野における「エキス剤」とは、通例、粗末とした生薬に適当な浸出剤を加えて浸出した浸出液を、ろ過し、適当な方法で濃縮又は乾燥して得られたものであり、主成分含量の規定があるものは、その一部をとり、定量し、必要に応じて適当な賦形剤を加えて、規定の含量に調節することは、技術常識である(要すれば「第十四改正 日本薬局方 2001年3月30日、「製剤総則 4.エキス剤」の項目を参照。)。一方、本件特許明細書には、本件特許発明のオンジエキスの具体的な抽出条件を特定する記載はないが、本件特許発明のオンジエキスとして、オンジの抽出エキスから単離工程を経て得られた成分を用いることや、オンジの抽出エキスから単離して得られたChAT発現およびNGF産生促進作用を有する特定の化合物を用いるという記載はない。
そうすると、仮に、本件特許発明のオンジエキスが甲5’のオンジサポニンを含むとしても、当該オンジエキスが甲5’のオンジサポニン以外の化合物も含むことは明らかであるので、甲5’のオンジサポニンは本件特許発明のオンジエキスには相当しないので、甲5’に「オンジ単味生薬エキス製剤」が記載されているとはいえない。また、甲5’には、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はない。
そして、甲5’の実施例1の錠剤(摘記(5’h))、実施例4の顆粒剤(摘記(5’i))及び実施例6のカプセル剤(摘記(5’m))は、軽質無水ケイ酸(本件特許発明1の(B)成分)を含有する固形医薬組成物であり、甲5’の実施例2の錠剤(摘記(5’j))、実施例3の錠剤(摘記(5’k))及び実施例5の顆粒剤(摘記(5’l))は結晶セルロース(本件特許発明3に記載の成分)を含有する固形医薬組成物であるが、上記「軽質無水ケイ酸」及び「結晶セルロース」は、あくまでも通常の流動性促進剤(摘記(5’g))及び結合剤(摘記(5’f))として用いられた成分であり、甲5’には、これらの成分が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段にもなるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。

(1-2-2-6)甲6’(特開2014-166994号公報)には、一般に漢方エキスの変色の原因はエキスの高い吸湿性にあると考えられていること(摘記(6’b))、漢方エキスを配合した製剤における吸湿による変色を抑制する方法として種々の医薬品添加剤を配合することが記載されている(摘記(6’c))。
そして、甲6’には、漢方エキス製剤として「防已黄耆湯、葛根湯、葛根湯加川キュウ辛夷、・・・六君子湯および越婢加朮湯からなる群から選択される少なくとも1種の漢方エキス」という複数種の生薬エキスを含む製剤が記載され(摘記(6’a)の【請求項2】)、漢方エキス製剤の吸湿による変色を抑制するという課題の解決手段として「ポリ酢酸ビニル」を用いることが記載されている(摘記(6’a)及び(6’d))。
しかし、甲6’には、単独の生薬エキスを含む単味生薬エキス製剤は記載されておらず、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載はない。

(1-2-2-7)甲7’(特開昭55-92313号公報)には、サポニン粉末が示す強い吸湿性によって、サポニンが「だんご」の状態になりやすく、サポニンが空気に触れて変質しやすいので、このような変質を防止するという課題があることが記載されている(摘記(7’c)及び(7’d))。
しかし、甲7’には、サポニンとして具体的にシャボンの木(学名quillayae saponin)から得られたサポニンやradix saponariaから得られたジプソフイラサポニン等が記載されているが(摘記(7’b))、オンジサポニンは記載されていない。そして、甲7’には、上記課題を、サポニンをペレットグラニュール製品にすることにより解決したことが記載されているが(摘記(7’a)?(7’d))、本件特許発明の(B)成分及び結晶セルロースを用いて解決することは記載されていない。
このように、甲7’には、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段の記載はない。

(1-2-2-8)甲8’(特開2010-111589号公報)には、アルコルビン酸の配合により生じるクレマスチンフマル酸塩を含有する固形製剤の褐変を抑制するという課題を解決するために、「含水二酸化ケイ素」(本件特許発明1の(B)成分)が好適に用いられることが記載され(摘記(8’a)、賦型剤(賦形剤)の例として「結晶セルロース」(本件特許発明3に記載の成分)が記載され(摘記(8’c))、甲8’の実施例では「含水二酸化ケイ素」及び「結晶セルロース」が用いられている(摘記(8’d))。
しかし、甲8’には、「オンジ単味生薬エキス製剤」、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段の記載はない。
甲8’の含水二酸化ケイ素及び結晶セルロースは、あくまでも、クレマスチンフマル酸塩及びアルコルビン酸を含有する特定の固形医薬組成物の変色を抑制する手段として用いられており、甲8’には、これらの成分が「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段にもなるという記載はなく、そのような技術常識があるともいえない。

(1-2-2-9)以上のように、甲1’(主引用例)、及び甲3’?甲8’のいずれにも、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」、及びその解決手段として本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることは記載されておらず、そのような技術常識があるともいえない。
そして、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」が医薬製剤の分野で通常用いられる成分であることを考慮しても、医薬製剤分野で通常用いられる成分には多種多様な成分が存在するのであるから(例えば、甲1’の摘記(1’e)及び(1’f)、甲5’の摘記(5’e)?(5’g)を参照。)、甲1’発明を固形医薬組成物にする際に、本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることを、甲1’(主引用例)、及び甲3’?甲8’に記載された事項及び技術常識から当業者が容易に想到しえたとはいえない。

(1-2-2-10)以上のとおりであるから、当業者は、甲1’(主引用例)、及び甲3’?甲8’に記載された事項から本件特許発明1を容易に想到しえたとはいえない。

(1-3)本件特許発明2及び3と甲1’発明との対比・判断

本件特許発明2及び3と甲1’発明とは、「生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物」の発明である点で一致するが、本件特許発明2及び3では、(B)成分として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を含有することが特定されているのに対し、甲1’発明ではこのような特定はされていない点で少なくとも相違する。
そうすると、上記(1-2)で説示した本件特許発明1と同様に、当業者は、甲1’(主引用例)、及び甲3’?甲8’に記載された事項から本件特許発明2及び3を容易に想到しえたとはいえない。

(1-4)本件特許発明4と甲1’発明との対比・判断

甲1’発明の「アセチルコリン分解酵素阻害用オンジ抽出物」及び「痴呆予防または治療用薬学的組成物」は、それぞれ本件特許発明4の「オンジエキス」及び「医薬組成物」に相当するので、本件特許発明1と甲1’発明とを対比すると、両発明は「生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物、またはその変色抑制方法」の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明4は、(A)オンジエキスに(B)含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物を配合して固形形態に成型することを特徴とする、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法(医薬組成物にデキストリンを配合させる方法を除く)の発明であるのに対し、甲1’発明は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の発明であり、上記(B)工程を含む、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法の発明ではない点。

本件特許発明4の(B)工程で用いる成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤」という。)が調製工程または保存において変色することを抑制するという課題(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」という。)の解決手段として用いられた成分である(本件特許明細書の【0007】?【0011】)。
これに対し、上記(1-2-2)で説示したように、甲1’(主引用例)、及び甲3’?甲8’のいずれにも、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」、及びその解決手段として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることは記載されておらず、そのような技術常識があるともいえない。
そして、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」が医薬製剤の分野で通常用いられる成分であることを考慮しても、医薬製剤分野で通常用いられる成分には多種多様な成分が存在するのであるから(例えば、甲1’の摘記(1’e)及び(1’f)、甲5’の摘記(5’e)?(5’g)を参照。)、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を配合して固形形態に成型する(B)工程を用いて、甲1’発明を、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法にすることを、甲1’(主引用例)、甲3’?甲8’に記載された事項及び技術常識から当業者が容易に想到しえたとはいえない。
よって、当業者は、甲1’(主引用例)、及び甲3’?甲8’に記載された事項から本件特許発明4を容易に想到しえたとはいえない。

(1-5)本件特許発明5と甲1’発明との対比・判断

本件特許発明5と甲1’発明とは、「生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物、またはその変色抑制方法」の発明である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点2)本件特許発明5は、(A)オンジエキスに(B)含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物を配合して固形形態に成型することを特徴とする、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法(オンジエキス、デキストリン、およびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く)の発明であるのに対し、甲1’発明は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の発明であり、上記(B)工程を含む、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法の発明ではない点。

上記(1-4)で説示したように、甲1’発明を、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法にすることを、甲1’(主引用例)、甲3’?甲8’に記載された事項及び技術常識から当業者が容易に想到しえたとはいえないのであるから、当業者は、甲1’(主引用例)、及び甲3’?甲8’に記載された事項から本件特許発明5を容易に想到しえたとはいえない。

(2)甲2’を主引用例とする進歩性欠如について

(2-1)甲2’(「単味生薬のエキス製剤の開発に関するガイドライン」)に記載された発明

甲2’は、単味生薬、すなわち複数の組み合わせとしてではなく、単独で利用される場合の生薬のエキス製剤について、単味生薬のエキス製剤の開発を行うに当たって、標準煎剤と生薬エキスとの同等性を確認するための比較試験方法や一般用エキス製剤の製造販売承認申請において設定すべき生薬エキスの製造方法、規格及び試験方法等に関する事項を示すものである(摘記(2’a)及び(2’b))。
そして、甲2’には、具体的にオンジ標準煎剤の調製方法(摘記(2’c))、及びオンジの単味生薬エキス製剤承認基準(摘記(2’e))が記載されているので、甲2’には「オンジ単味生薬エキス製剤」の発明(以下、「甲2’発明という。」が記載されていると認める。

(2-2)本件特許発明1と甲2’発明との対比・判断

本件特許発明1と甲2’発明とを対比すると、甲2’発明の「オンジ単味生薬エキス製剤」は「生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物」に相当するので、両発明は「生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明1では(B)成分として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を含有すること、「デキストリンを配合するものを除く」ことが特定されているのに対し、甲2’発明ではこのような特定はされていない点。

甲2’には、オンジ単味生薬エキス以外の成分について、「賦形剤の添加については、エキス剤の性状を担保する目的で適切な賦形剤(デキストリン等)を添加することができる」という記載はあるが(摘記(2’d))、本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を添加することは記載されておらず、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」及びその解決手段についての記載もない。
そして、上記(1-2-2-3)?(1-2-2-8)で説示したように、甲3’?甲8’のいずれにも、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」、及びその解決手段として本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることは記載されておらず、そのような技術常識があるともいえない。
そして、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」が医薬製剤の分野で通常用いられる成分であることを考慮しても、医薬製剤分野で通常用いられる成分には多種多様な成分が存在するのであるから(例えば、甲1’の摘記(1’e)及び(1’f)、甲5’の摘記(5’e)?(5’g)を参照。)、甲2’発明で、さらに本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることを、甲2’(主引用例)、甲3’?甲8’に記載された事項、及び技術常識から当業者が容易に想到しえたとはいえない。
以上のとおりであるから、当業者は、甲2’(主引用例)、及び甲3’?甲8’に記載された事項から本件特許発明1を容易に想到しえたとはいえない。

(2-3)本件特許発明2及び3と甲2’発明との対比・判断

本件特許発明2及び3と甲2’発明とは、「生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物」である点で一致するが、本件特許発明2及び3では、(B)成分として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を含有することが特定されているのに対し、甲2’発明ではこのような特定はされていない点で少なくとも相違する。
上記(2-2)で説示したように、甲2’発明で、さらに本件特許発明1の(B)成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることを、甲2’(主引用例)、甲3’?甲8に記載された事項、及び技術常識から当業者が
容易に想到しえたとはいえないのであるから、当業者は、甲2’(主引用例)、及び甲3’?甲8’に記載された事項から本件特許発明2及び3を容易に想到しえたとはいえない。

(2-4)本件特許発明4と甲2’発明との対比・判断

本件特許発明4と甲2’発明とを対比すると、甲2’発明の「オンジ単味生薬エキス製剤」は「生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物」に相当するので、両発明は「生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物、またはその変色抑制方法」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明4は、(A)オンジエキスに(B)含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物を配合して固形形態に成型することを特徴とする、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法(医薬組成物にデキストリンを配合させる方法を除く)の発明であるのに対し、甲2’発明は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物の発明であり、上記(B)工程を含む、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法の発明ではない点。

本件特許発明4の(B)工程で用いる成分である「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤」という。)が調製工程または保存において変色することを抑制するという課題(以下、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」という。)の解決手段として用いられた成分である(本件特許明細書の【0007】?【0011】)。
これに対し、上記(2-2)で説示したように、甲2’(主引用例)、及び甲3’?甲8’のいずれにも、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」、及びその解決手段として「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることは記載されておらず、そのような技術常識があるともいえない。
そして、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」が医薬製剤の分野で通常用いられる成分であることを考慮しても、医薬製剤分野で通常用いられる成分には多種多様な成分が存在するのであるから(例えば、甲1’の摘記(1’e)及び(1’f)、甲5’の摘記(5’e)?(5’g)を参照。)、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を配合して固形形態に成型する(B)工程を用いて、甲2’発明を生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法にすることを、甲2’(主引用例)、甲3’?甲8’に記載された事項及び技術常識から当業者が容易に想到しえたとはいえない。
よって、当業者は、甲2’(主引用例)、甲1’及び甲3’?甲8’に記載された事項から本件特許発明4を容易に想到しえたとはいえない。

(2-5)本件特許発明5と甲2’発明との対比・判断

本件特許発明5と甲2’発明とは、「生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物、またはその変色抑制方法」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)本件特許発明5は、(A)オンジエキスに(B)含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物を配合して固形形態に成型することを特徴とする、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法(オンジエキス、デキストリン、およびケイ酸化合物を含む粉末を得る工程を含むものを除く)の発明であるのに対し、甲2’発明は、生薬成分としてオンジエキスのみを含む固形医薬組成物の発明であり、上記(B)工程を含む、生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法の発明ではない点。

上記(2-4)で説示したように、「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を配合して固形形態に成型する(B)工程を用いて、甲2’発明を生薬成分としてオンジエキスのみを含む医薬組成物の変色抑制方法にすることを、甲2’(主引用例)、甲3’?甲8’に記載された事項及び技術常識から当業者が容易に想到しえたとはいえないのであるから、当業者は、甲2’(主引用例)、及び甲3’?甲8’に記載された事項から本件特許発明5を容易に想到しえたとはいえない。

(3)本件特許発明による効果について

本件特許発明による効果については、上記「1.(2)(2-5)」で説示したとおりであり、上記(1)及び(2)で説示したように、甲1’?甲8’のいずれにも、「オンジ単味生薬エキス製剤の変色抑制という課題」の解決手段として本件特許発明の「含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸からなる群から選択される少なくとも一種のケイ酸化合物」を用いることは記載されておらず、そのような技術常識があるともいえないのであるから、本件特許発明による優れた変色抑制効果は、甲1’?甲8’に記載された事項及び技術常識から当業者が予測できない顕著な効果であるといえる。

(4)以上のとおりであるから、本件特許発明1?5は、甲1’?甲8’に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえないので、申立人2による申立理由は認められない。

第7 むすび

したがって、申立人1及び申立人2による特許異議申立ての理由及び証拠によって、本件特許の請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-06-04 
出願番号 特願2017-117771(P2017-117771)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A61K)
P 1 651・ 113- Y (A61K)
P 1 651・ 536- Y (A61K)
P 1 651・ 537- Y (A61K)
P 1 651・ 16- Y (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鳥居 福代  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 前田 佳与子
淺野 美奈
登録日 2018-07-13 
登録番号 特許第6368830号(P6368830)
権利者 小林製薬株式会社
発明の名称 固形医薬組成物  
代理人 小野 誠  
代理人 城山 康文  
代理人 川嵜 洋祐  
代理人 岩瀬 吉和  
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