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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  A47L
管理番号 1352339
異議申立番号 異議2019-700126  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-02-14 
確定日 2019-06-14 
異議申立件数
事件の表示 特許第6378895号発明「吸込口体およびそれを備えた電気掃除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6378895号の請求項1、3、4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第6378895号の請求項1-4に係る特許についての出願は、平成26年2月27日の出願であって、平成30年8月3日にその特許権の設定登録がなされ、平成30年8月22日に特許掲載公報が発行された。
これに対して、特許異議申立人松野洋より、平成31年2月14日に、本件請求項1、3、4に係る発明の特許について特許異議の申立てがなされたものである。


2.本件発明
特許第6378895号の請求項1-4の特許に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」、「本件発明2」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1-4に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
掃除機本体に延長パイプを介して接続される電気掃除機の吸込口体であって、集塵開口部を有する吸込口本体と、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ支持部とを備え、
前記延長パイプ支持部は、床面を掃除する通常の使用状態において前記延長パイプの床面に対する俯角が予め定められた角度範囲内にあるときは、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ可動部と、前記延長パイプ可動部の一端が挿入可能な半開口部からなる延長パイプ規制部とを備え、
前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記延長パイプ可動部を回動させたとき、前記延長パイプ可動部の一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制し、
前記延長パイプ可動部は、第1可動パイプおよび第2可動パイプを備え、
前記第1可動パイプは、前記吸込口本体の後部に接続され、前記吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能に前記吸込口本体に支持され、
前記第2可動パイプは、前記第1可動パイプの後部に接続され、前記第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりに回動可能に前記第1可動パイプに支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え、
前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記第1可動パイプおよび前記第2可動パイプを回動させたとき、前記第2可動パイプの一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制することを特徴とする吸込口体。
【請求項2】
掃除機本体に延長パイプを介して接続される電気掃除機の吸込口体であって、集塵開口部を有する吸込口本体と、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ支持部とを備え、
前記延長パイプ支持部は、床面を掃除する通常の使用状態において前記延長パイプの床面に対する俯角が予め定められた角度範囲内にあるときは、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ可動部と、前記延長パイプ可動部の一端が挿入可能な半開口部からなる延長パイプ規制部とを備え、
前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記延長パイプ可動部を回動させたとき、前記延長パイプ可動部の一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制し、
前記延長パイプ可動部は、第1可動パイプ、第2可動パイプおよび第3可動パイプを備え、
前記第1可動パイプは、前記吸込口本体の後部に接続され、前記吸込口本体に対し縦方向に回動可能に前記吸込口本体に支持され、
前記第2可動パイプは、前記第1可動パイプの後部に接続され、前記第1可動パイプの中心軸まわりに回動可能に前記第1可動パイプに支持され、
前記第3可動パイプは、前記第2可動パイプの後部に接続され、前記第2可動パイプに直交する予め定められた方向に回動可能に支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え、
前記延長パイプ規制部は、前記第3可動パイプが略垂直方向を向くように前記第1可動パイプ、前記第2可動パイプおよび前記第3可動パイプを回動させたとき、前記第3可動パイプの前記吸込口本体に対する前方および横方向への回動を係止する係止構造を有することを特徴とする吸込口体。
【請求項3】
前記延長パイプ可動部は、前記延長パイプの自立状態を前記延長パイプ支持部および前記可動パイプ間の係合により保持する係合構造を有する請求項1または2に記載の吸込口体。
【請求項4】
請求項1?3のいずれか1つに記載の吸込口体と、掃除機本体と、前記吸込口体および前記掃除機本体を着脱可能に接続する延長パイプとを備え、
前記掃除機本体は、前記吸込口体から前記延長パイプを介して空気を吸引する電動送風機および吸引した空気から塵埃を分離して集塵する集塵部を内蔵する電気掃除機。」


3.特許異議申立理由の概要
特許異議申立人松野洋は、本件請求項1、3、4に係る特許を取り消すべきものとする旨の特許異議を申立て、証拠として、特開2007-152034号公報(以下、「甲第1号証」という。)、特開平11-276389号公報(以下、「甲第2号証」という。)、国際公開第2013/139364号(以下、「甲第3号証」という。)、特開2012-5546号公報(以下、「甲第4号証」という。)、特開2006-34593号公報(以下、「甲第5号証」という。)、特開2011-212044号公報(以下、「甲第6号証」という。)、特開2012-24496号公報(以下、「甲第7号証」という。)、特開2013-165924号公報(以下、「甲第8号証」という。)、特開2000-217755号公報(以下、「甲第9号証」という。)、特開2001-169982号公報(以下、「甲第10号証」という。)、米国特許出願公開2003/0145422号明細書(以下、「甲第11号証」という。)を提出し、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明に甲第2?6号証記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明3は、甲第1号証に記載された発明に甲第2?7号証記載の事項を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明に甲第2?10号証記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたもの(以下、上記3つの主張を「理由1」という。)であり、又は本件発明1は、甲第11号証に記載された発明に甲第1?10号証記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明3は、甲第11号証に記載された発明に甲第1?10号証記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明4は、甲第11号証に記載された発明に甲第1?10号証記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたもの(以下、上記「又は」以降の3つの主張を「理由2」という。)であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許を取り消すべきものと主張している。


4.理由1について
(1)甲第1?10号証
甲第1号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
a「【請求項1】
吸込口本体と、
一端が前記吸込口本体に接続されるとともに、他端が掃除機本体に連通される延長管に着脱自在に係止される接続管とを具備し、
この接続管は、前記吸込口本体に対して上下に傾動可能な傾動管と、この傾動管に接続され前記吸込口本体に対して左右に回動可能な回動管と、被清掃面に対する前記傾動管の傾動角度が所定角度のときに下方への傾動を規制する傾動規制手段と、前記傾動管の傾動角度が前記所定角度より大きい状態で前記延長管と前記接続管との係止を解除する解除手段とを備え、
前記傾動管の傾動角度が前記所定角度以上では前記回動管の回動を規制する回動規制手段を設けた
ことを特徴とする電気掃除機の吸込口体。
【請求項2】
前記回動管は前記吸込口本体に回動可能に設けられるとともに、前記傾動管は前記回動管に傾動可能に設けられ、
前記回動規制手段は、前記傾動管に設けられた係合部と前記吸込口本体に設けられた被係合部との係合により、前記回動管の回動を規制する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機の吸込口体。
【請求項3】
前記傾動管は前記吸込口本体に傾動可能に設けられるとともに、前記回動管は前記傾動管に回動可能に設けられ、
前記回動規制手段は、前記回動管に設けられた係合部と前記吸込口本体に設けられた被係合部との係合により、前記回動管の回動を規制する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機の吸込口体。
【請求項4】
前記解除手段は、前記傾動管に設けられた操作部の上面を押圧して前記延長管と前記接続管との係止を解除する押圧部を前記吸込口本体に備え、
前記係合部は前記操作部を挟んで一対設けられるとともに、前記操作部に対して前記押圧部の押圧方向と反対方向に突出して設けられた
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電気掃除機の吸込口体。」

b「図1において、符号1で示す電気掃除機は、掃除機本体2と、吸塵ホース3と、延長管4と、吸込口体5を備えている。
掃除機本体2は、内部に電動送風機6を備えている。この電動送風機6は、電源コード21により給電される。そして、この電動送風機6の前方には、集塵室22内に集塵袋23が設けられている。この集塵袋23は、掃除機本体の上面に開閉可能に設けられた蓋体24により集塵室22内に着脱可能となっており、電動送風機の駆動の際、吸込まれた空気から塵埃を分離する。掃除機本体2の前部には吸込口25が穿設されており、掃除機本体2の外側と集塵室22とを連通可能としている。」(【0009】-【0010】)

c「延長管4は、上流側端部が吸込口体5に着脱可能に接続され、下流側端部が前記吸塵ホース3に着脱可能に接続されるものであり、掃除機本体が電源に接続されているとき、手元操作部の操作スイッチをユーザーが操作することにより、吸込口本体50の吸込面51(図15参照)の吸込口25から含塵空気が吸引され、接続管60、延長管4、手元操作パイプ32、ホース本体31を経由してこの含塵空気が送られて、掃除機本体2の集塵室22内の集塵袋23に塵埃が集められる。
吸込口体5は、吸込口本体50と、接続管60とで構成されており、この接続管60に延長管4が着脱可能とされている。
吸込口本体50は、図15、図16に示すように、上ケース52Aと下ケース52Bとの前方下部に吸込口25が形成されている。吸込口25の上方には、図示しないモーターによって回転するブラシ53Aを備えた回転清掃体53が配設されており、回転清掃体53の奥に空気を集める吸気室54が形成されている。吸気室54の後方は接続管60の接続管吸込口55の通路に連なっている。吸込口本体50の後部には、接続管60が水平方向に延びる吸込口本体部の進退方向としてのX軸の軸回り方向に回転可能に取り付けられている。吸込口本体50の後部には一対の脚部56が形成されており、一対の脚部56の間に後部車輪57が回転自在に支持されている。
図6は接続管60の構成を示す。接続管60は、前述の上ケース52Aと下ケース52Bの間に固定される接続管吸込口55と、この接続管吸込口55の後部にX軸の軸回りに回転可能な回動接続管61(回動管)と、回動接続管61の下部を覆う回動接続管下カバー62と、回動接続管61に接続される傾動接続管63(傾動管)と、傾動接続管63の上部を覆う傾動接続管上カバー64と、傾動接続管63の前端部下端部と回動接続管下カバー62の隙間を塞ぐシャッター65と、延長管4との接続分離を行うための揺動部材66(解除手段)とを備えている。
接続管吸込口55は、図6に示すように、傾動接続管63の内部通路と吸気室54側とを接続する漏斗形状の管とされ、接続管吸込口55の後部に回動接続管61がX軸回りに回転可能に取り付けられる。回動接続管61の下部には回動接続管下カバー23が取り付けられ、回動接続管61と回動接続管下カバー62との間に傾動接続管63の前端部が保持される。回動接続管下カバー62の上部には、上端部に半円形の軸受凹部62Aが形成された軸受板部62Bが形成されており、この軸受凹部62Aに傾動接続管63の前端部の回転軸部63Aが保持される。
シャッター65の上端部も同様に回転軸部63Aに当接する凹部65Aを備えている。シャッター65は回動接続管下カバー62の球面状内面と隙間をつくらずに密着しつつ回転するように球面状に形成されている。シャッター65の後部内側には傾動接続管63の前端部下面に形成された凸部63B(図15参照)に掛け止められる凸部65B(図15参照)が形成されており、傾動接続管63が回転軸部63A(Y軸中心)を中心として傾動することに伴って、凸部63Bが凸部65Bを掛止した状態で、シャッター65は回転軸部63Aを中心として回転する。回転軸部63AはX軸に直交するY軸の中心として機能する。傾動接続管63の前端部下面63C(図15参照)は、シャッター65との隙間から空気を吸い込まないように、シャッター65の内面に密着する球面状の凸形表面形状を有している。」(【0013】-【0018】)

d「傾動接続管63の前側上面部には、傾動接続管上カバー64を取り付ける装着面63Fが形成されており、装着面63Fに傾動接続管上カバー64が取り付けられる。傾動接続管63の装着面63Fの後方は接続筒部63Gとされている。接続筒部63Gは吸込口体5に対する延長管4の装着時に延長管4の内部に挿入される。装着面63Fには揺動部材66の揺動軸66Bを支持するリブ63Hが一対突設されている。一対のリブ63Hは、傾動接続管63の長手方向に互いに平行に延びており、一対のリブ63Hの間に揺動部材66が配設される。一対のリブ63Hの上部には半円形状の凹部24Iが形成されており、この凹部63Iに揺動部材66の中央部近傍左右に形成された揺動軸66Bが保持される。一対のリブ63Hの外側には、揺動軸66Bの軸方向へのスライドを規制するストッパー63Kがそれぞれ突設されている。」(【0024】)

e「傾動接続管63の前部側面には、図13に示すように、第1突起63U(傾動規制手段)と第2突起63Vが形成されている。第1突起63Uは、回動接続管61の突起部61Cの内側に形成した突起部61G(傾動規制手段)(図6参照)と当接することによって、傾動接続管63をX軸に対して90°近傍に起立させた状態を維持できるようになっている。すなわち、これら第1突起63Uと突起部61Gとにより、傾動規制手段を構成している。第2突起63Vはシャッター65の端部と当接して傾動接続管63を起立状態からX軸側に倒すときに、シャッター65を吸込口本体50側に傾動させる。
図12は、揺動部材66を示す。揺動部材66は延長管4を傾動接続管63に結合させるためのものであり、揺動部材66の延長管4側の先端部に鈎状の爪部66Dが形成され、揺動部材66の吸込口本体50側の先端部に押圧ボタン部66Aが形成されている。揺動部材66と後述する被掛止板部73(図7、図15参照)とは吸込口体5と延長管4とを接続して固定するロック機構を構成している。」(【0026】-【0027】)

f「図8及び9に示すように、吸込口本体50の上ケース52Aには、被係合部としての回動規制部材100(回動規制手段)が取り付けられている。この回動規制部材100は、中央部に切欠きを有した長方形の板状に形成され、上ケース52Aの中央部、且つ、回動接続管61の上方位置に設けられている。回動規制部材100の長手方向両端部には、図示しない爪部が吸込口本体50の上ケース52Aに向けて下方に伸びて形成されており、上ケース52Aには、この爪部と係合する溝状孔部(図示省略)が形成されている。そして、前記爪部がこの溝上孔部と嵌合することにより、回動規制部材100は吸込口本体50に固定される。
回動規制部材100の中央部には、左右方向一対に設けられた切欠き101、102(被係合部、回動規制手段)及びこれら切欠き101、102の間に設けられた突部103(押圧部、解除手段)が形成されている。この切欠き101、102は、前述した突出部64D、64Dが係合可能となるように、突出部64Dより一回り大きい幅寸法を有し、また、傾動接続管63が吸込口本体50前方に最大に回動した状態で突出部64Dを収容可能な奥行き寸法を有している。
切欠き101、102を形成する面のうち、吸込口本体50の左右方向外側に位置する面101A、102Bは、突出部64Dの側面のうち外側面に位置する当接面64Da、64Db(回動規制手段)と突き当て可能な被当接面101A、102B(回動規制手段)となっている。この被当接面101A、102Bは、図2及び図15に示すように、傾動接続管63床面に対して約90°の状態となった状態において、回動接続管61が左方向に回動した際には当接面64Daと突き当たり、あるいは、回動接続管61が右方向に回動した際には当接面64Dbと突き当たることで、傾動接続管63が約90°の状態から左右方向に倒れるのを防止している。
突部103は、回動規制部材100が上ケース52Aに取り付けられた状態で、吸込口本体50の後方に向けて突出しており、側面103Aは、図3及び図16に示すように傾動接続管63が床面に対して前方に90°以上傾いた状態となった際に、押圧ボタン部66Aを押圧する押圧面103A(解除手段)を有している。」(【0034】-【0037】)

g「次に、吸込口体5が入り込めないような狭所や、吸込口体5を持ち上げて掃除しづらい高所などを清掃する場合であるが、使用者は、吸込口本体50の吸込面51が床面に着いた状態で、握り部33を把持したまま延長管4を床面に対して前方に約90°の状態となるまで傾ける(図2、図15参照)。
この際、図2及び図15に示すように、揺動部材66の押圧ボタン部66Aが回動規制部材100の押圧面103Aに押されるが、この状態から更に延長管4を前方に傾けると、揺動部材66は揺動軸66Bを中心に揺動し、被掛止板部73から爪部66Dが外される(図3、図16参照)。そして、この状態で延長管4を傾動接続管63から上方に引き上げると、爪部66Dが被掛止板部73を乗り越えて接続筒部63Gから延長管4が引き抜かれ、延長管4と吸込口体5とが分離する(図4参照)。そして使用者は、このようにして吸込口体5から分離された延長管4の先端に設けられた補助清掃体80を使用して、目的の狭所や高所の掃除を行う。
一方、延長管4が分離された傾動接続管63は、延長管4を介した使用者による支持を失うため、コイルスプリング66Cの作用により吸込口本体50に対して後方向に倒れようとするが、この後方向への倒れは、傾動接続管63の第1突起63Uと回動接続管61の突起部22Cとの当接によって規制され、前述した被掛止部73から爪部66Dが外された状態(換言すれば、傾動接続管63と延長管4との係止が解除されたときの状態)よりも若干下方に倒れた位置に保たれる。さらにまた、傾動接続管63は、回動接続管61の作用により吸込口本体50に対して左右方向のいずれかに倒れようとする。この際、例えば吸込口本体50の前後方向に対して右側に倒れようとすると、図9に示すように、突出部64Dの当接面64Dbと回動規制部材100の被当接面102Bとが当接して倒れは防止される。また、左側に倒れようとすると、当接面64Daと被当接面102Aとが当接して倒れが防止される。すなわち、吸込口体5は、延長管4が引き抜かれた後でも図2及び図15に示した状態に保たれる。」(【0040】-【0042】)

h「また、吸込口本体50に回動接続管61、傾動接続管63をこの順にそれぞれ設け、吸込口本体50には回動規制部材100を、傾動接続管63にはこの前記回動規制部材100に係合する突出部61をそれぞれ設け、これら吸込口本体50と傾動接続管63との間で回動接続管61の回動を規制する構成としたので、換言すれば、回動規制手段を、回動接続管61とこの回動接続管61を直接支持する部材との間に設ける構成を避けて、傾動接続管63とこの傾動接続管63を直接支持しない吸込口本体50との間に設ける構成としたので、傾動接続管63の傾動が所定角度以上の場合に限り、回動接続管61の回動を規制することができ、床面清掃中の電気掃除機1の操作性が向上する。
さらに、突出部64Dを押圧ボタン部66Aを挟んでそれぞれ一対設けるとともに、突出部64の上面部64Do、64Doを押圧ボタン部66Aの押圧方向と反対方向に突出して設けたので、床面掃除時などに、傾動接続管63を吸込口本体50や障害物等に誤ってぶつけても、押圧ボタン部66Aよりも先に突出部64Dがこれら吸込口本体50や障害物等に接触するため、掃除中に誤って押圧ボタン部66Aが押されて吸込口体5から延長管4が抜かれるのを防止することができる。しかも、この抜け防止手段は、回動規制手段の一部である突出部64Dを利用したものであるから、別途部材を設けて防止手段とするのに比べて構成を簡略化できる。」(【0047】-【0048】)

上記a、b及び図面から判断して、掃除機本体に延長管を介して接続される吸込口体が示されている。
上記c及び図面から判断して、吸込口体は吸込口本体と接続管を備え、吸込口本体には吸込口が形成され、接続管は、吸込口本体に対して上下に傾動可能で左右に回動可能であることが示されている。
上記f及び図面から判断して、接続管は、床面掃除時に接続管の傾動が床面に対し所定角度以上にならない場合、吸込口本体に対して上下に傾動可能で左右に回動可能であることが示されている。
上記f及び図面から判断して、傾動接続管の前側上面部に設けられた傾動接続管上カバーの一対の突出部と係合可能な吸込口本体の切欠きを備える回動規制手段が示されている。
上記e,f及び図面から判断して、回動規制手段は、傾動接続管が床面に対して約90°の状態となったとき、傾動接続管上カバーの一対の突出部と切欠きの係合により、傾動接続管が左右方向に倒れるのを防止している。
上記g及び図面から判断して、傾動接続管が床面に対して前方に90°以上傾いた状態となったとき、延長管を傾動接続管に結合させる揺動部材の押圧ボタン部を回動規制手段の一対の切欠きの間の押圧部が押圧して、延長管と傾動接続管の結合を解除している。
上記c及び図面から判断して、接続管が、回動接続管と傾動接続管を備えている。
上記c及び図面から判断して、回動接続管は、吸込口本体の上ケースと下ケースの間に固定される接続管吸込口の後部にX軸の軸回りに回転可能に取り付けられている。
上記c及び図面から判断して、傾動接続管は、回動接続管の後部に接続され、傾動接続管はX軸に直交するY軸の軸回りに回転可能に回動接続管に設けられ、延長管を内部に挿入する接続筒部を後方に備えている。

上記記載事項からみて、甲第1号証には、
「掃除機本体に延長管を介して接続される吸込口体であって、吸込口が形成される吸込口本体と、前記吸込口本体に対して上下に傾動可能で左右に回動可能である接続管を備え、
前記接続管は、床面掃除時に前記接続管の傾動が床面に対し所定角度以上にならない場合、前記吸込口本体に対して上下に傾動可能で左右に回動可能な回動接続管と傾動接続管を備え、
前記傾動接続管の前側上面部に設けられた傾動接続管上カバーの一対の突出部が係合可能な前記吸込口本体の切欠きを備える回動規制手段を備え、
前記回動規制手段は、前記傾動接続管が床面に対して約90°の状態となったとき、前記傾動接続管上カバーの一対の前記突出部と前記切欠きの係合により、前記傾動接続管が左右方向に倒れるのを防止し、
前記傾動接続管が床面に対して前方に90°以上傾いた状態となったとき、前記延長管を前記傾動接続管に結合させる揺動部材の押圧ボタン部を前記回動規制手段の一対の前記切欠きの間の押圧部が押圧して、前記延長管と前記傾動接続管の結合を解除し、
前記接続管は、前記回動接続管と前記傾動接続管を備え、
前記回動接続管は、前記吸込口本体の上ケースと下ケースの間に固定される接続管吸込口の後部にX軸の軸回りに回転可能に取り付けられ、
前記傾動接続管は、前記回動接続管の後部に接続され、前記傾動接続管は前記X軸に直交するY軸の軸回りに回転可能に前記回動接続管に設けられ、前記延長管を内部に挿入する接続筒部を後方に備え、
前記回動規制手段は、前記傾動接続管が床面に対して約90°の状態となったとき、前記傾動接続管上カバーの一対の前記突出部と前記切欠きの係合により、前記傾動接続管が左右方向に倒れるのを防止する吸込口体。」
との発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

甲第2号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「図2(b)に示したように、把手4が垂直方向になるように立ち上げると、垂直方向からやや前傾した状態で前方方向への前記揺動限界位置となり、自立状態のバランスが保たれると同時に、図5(a)に示すように、前記連結部10に形成された嵌入部13、13の平行面13a、13aが吸塵ノズル5上の一対の保持部12、12間に嵌入され、保持部12の平面に嵌入部の平面が一致して嵌入状態が保持されるので自立状態が安定し、掃除機1に身体が触れた程度のことでは嵌入部13が保持部12から抜け出すことはなく、掃除機1が倒れたりすることがない。」(【0018】)

甲第3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている(翻訳は当審による)。
「Figures 2a - 2c show a nozzle 200 of an upright vacuum cleaner according to an embodiment of the present invention. The nozzle 200 is pivotally connected to the lower end of the main body 20 (only the lower end of the main body is shown in Figures 2a - 2c, the rest of the main body 20 is omitted for not obscuring the figures). To the nozzle 200, a support 250 is mounted, preferably to the rear part (or side) 210 of the nozzle 200, i.e. preferably to the same side of the nozzle 200 as the main body 20 is mounted. Optionally, the support 250 may be mounted to a portion 220 protruding from the nozzle 200.
In the present embodiment, the support 250 is pivotally mounted to the nozzle 200 by means of a hinge 230, such that the support 250 is vertically pivotal (i.e., pivotal in a plane substantially perpendicular to the underlying surface, or in other words, in a plane substantially parallel with the longitudinal direction of the vacuum cleaner being in an upright parking position). The support 250 may for example comprise two pivotal legs 251 , each connected by the hinges 230 to the nozzle 200 (or protruding portion 220), and optionally interconnected by a cross bar 252. Further, the support 250 may be provided with wheels 255, preferably arranged at the distal ends of the legs 251.
The support 250 is pivotal between a projected state (shown in Figures 2a and 2c) and a retracted state (shown in Figure 2b). In the projected state, the support 251 projects from the nozzle 200, preferably backwards (i.e. out from the rear part 210 of the nozzle 200), wherein outer supporting points of the vacuum cleaner against the underlying surface are formed by the wheels 255 (or distal ends) of the support 250 and the front part of the nozzle 200. Hence, a support area for the vacuum cleaner is defined by the boundaries interconnecting these outer supporting points. When the main body 20 is in an upright position and the support 250 is in a projected state (as shown in Figure 2a), the line of gravity of the vacuum cleaner will be within said support area and the vacuum cleaner will thus be able to stand in a self standing position without any need of additional support. Preferably, the vacuum cleaner may comprise locking means 270 for fixing the main body 20 relative to the nozzle 200 in the upright position. The locking means 270 may be formed by protrusions on the nozzle 200 and matching recesses 21 may be arranged on the main body 20 (as shown in Figure 2c) for snap locking the main body 20 in the upright position. When the support 250 is in its retracted state, it is arranged along the outside (or outer surface) of the nozzle 200, as shown in Figure 2b. For example, the legs 251 may be arranged along the sides of the nozzle 200 and the cross bar 252 may be arranged along the underside of the nozzle 200. When the support 250 is in its retracted state, it forms an integral part of the nozzle 200 and is therefore less obstructing during cleaning. 」(第7頁7行-第8頁15行)
「図2a-図2cは、本発明の実施の形態に係るアプライト型真空掃除機のノズル200を示している。ノズル200は、本体20の下端に枢着されている(図2a-2cに本体の下端部のみ示されている、本体20の残りの部分は、図面を不明瞭にしないために省略される)。ノズル200には、支持体250が、ノズル200の後部(又は側部)210に取り付けられる。支持体250は本体20が取り付けられるのと同じノズル200の側面にある。任意選択的に、支持体250は、ノズル200から突出部220に取り付けることができる。
本実施形態では、支持体250はヒンジ230によってノズル200に回動可能に取り付けられ、支持部材250が上下に自由に揺動する(すなわち、基礎となる面に対して実質的に垂直な平面内で旋回、即ち、真空掃除機が直立位置での長手方向と実質的に平行な平面内で)。支持体250は、例えばヒンジ230によってノズル200(又は凸部220)に接続され、場合により横棒252によって相互接続されている2本の回動可能な脚部251を含んでも良い。また、支持体250は、好ましくは脚部251の遠位端部に配置された車輪255を備えてもよい。
支持体250は突出した状態(図2Aおよび図2Cに示す)と引込状態(図2Bに示す)との間を枢動する。突出状態では、支持部251は、ノズル200から、好ましくは後ろ向き(すなわちノズル200の後方部分210から)に突出して、下面に対する電気掃除機の外側の支持点は、支持体250の車輪255(または遠位端)とノズル200の前方部分により形成されている。従って、真空掃除機のための支持領域は、これらの外側支持点を相互接続する境界によって定義される。本体20が直立位置にあり、支持体250は突出した状態(図2(a)に示すように)にあるときに、真空掃除機の重心線が前記支持領域内にあり、真空掃除機は、付加的支持体の必要なく自立位置に立つことができる。好ましくは、真空掃除機は、本体20を、ノズル200に関して直立位置にロックするための手段270を含むことができる。係止手段270は、ノズル200上の突起によって形成することができ、本体20を直立位置にスナップ係止するための凹部21は、本体20上に配置されてもよい(図2Cに示される)。支持体250が格納状態にある場合には、ノズル200の外部(または外面)に沿って配置され、図2(b)に示すようになる。例えば、脚部251は、ノズル200の側部に沿って配置することができ、クロスバー252は、ノズル200の下側に沿って配置されてもよい。支持体250が格納状態にある場合には、ノズル200の一体部分を形成し、掃除中の障害が少ない。」

甲第4号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「前記ノズル3は、図3?5に示すように、扁平なノズル本体13と、このノズル本体13の後部に起伏方向に揺動可能に連結された接続管14とを有して構成されている。また、前記ノズル本体13の上面13Aの後部であって、前記ノズル本体13の左右方向の中央に、上向きの凸部15が設けられ、この凸部15の後側の上面から後面にかけて開口部16が形成されている。さらに、前記接続管14は受け接続口6に着脱可能に挿入される接続管部17と、この接続管部17の下部にやや屈曲して設けられて前記開口部16に接続される接続管14の基端となる短管部18とを有する。そして、前記ノズル本体13の前下部には、吸引口19が左右方向に形成されている。また、この吸引口19と前記開口部16とを連通するように、貫通経路20が設けられている。なお、この貫通経路20は、前方の前記吸込口19から後方の前記開口部16に向けて次第に高くなるように、傾斜して設けられている。さらに、前記開口部16に、前記接続管14の短管部18が連通している。なお、前記接続管部17の外周には、接続される前記受け接続口6に外嵌する外管21が設けられている。また、前記ノズル本体13の後下部の左右両側には、床面22上を転動する車輪23が設けられている。更に、前記吸引口19のやや後部に、ブラシ部24が設けられている。
そして、前記開口部16に、前記接続管部17の短管部18が揺動可能に連結されている。この連結について説明する。なお、この説明では、図4の姿勢に基づいて、前後及び上下を規定する。前記開口部16の前端縁には、凹状の第一の円弧面25が形成されている。また、前記開口部16の底面から後端縁にかけて、前記第一の円弧面25と対向するように、凹状の第二の円弧面26が形成されている。なお、前記第一の円弧面25の曲率半径より、前記第二の円弧面26の曲率半径は大きく形成されている。そして、前記短管部18の下部前側には、前記第一の円弧面25に対して摺動可能に当接する第三の円弧面27が形成される。また、前記短管部18の後側には、間接的に前記第二の円弧面26側と摺動可能に当接する第四の円弧面28が形成される。なお、本実施例では、前記第二の円弧面26と第四の円弧面28との間に、円弧面部材29が摺動自在に介在している。前記第四の円弧面28の下端縁部には、後方、即ち前記貫通経路20と反対側に向けて掛部30が設けられると共に、前記第四の円弧面28と隣接する前記円弧面部材29の上端縁部には、前方、即ち前記貫通経路20側に向けて受部31が設けられる。そして、この受部31は、前記掛部30に掛かるように構成される。即ち、図4に示すように、前記接続管14を立てた状態では、前記第四の円弧面28の下端と、前記開口部16の後端との間に開口が生じるが、前記受部31が前記掛部30に掛かることによって、前記円弧面部材29が前記接続管14に吊り下げられるので、前記第四の円弧面28の下端と前記開口部16の後端との間の開口が前記円弧面部材29によって塞がれる。一方、図5に示すように、前記接続管14を後方に最大限倒した状態では、前記掛部30と受部31とが離れ、前記第四の円弧面28と、円弧面部材29と、前記第二の円弧面26とが重なった状態となる。即ち、この状態では、前記円弧面部材29は、前記開口部16から前記ノズル本体13内に収容される。なお、前記接続管14及び円弧面部材29は、前記ノズル本体13に対し、前記第一の円弧面25及び第三の円弧面27の中心を回動中心32として揺動可能となるように設けられる。」(【0018】-【0019】)

甲第5号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「102は本体部91と接続継手100のロック手段で、本体部91の上ケース93の上面に、係合溝104の開口部を接続継手100側に向けて立設されたコ字状の係合部103と、接続継手100に係合部103の係合溝104に対向して突設された係合突部105とからなり、係合突部105の幅(厚み)W2は、係合部103の係合溝104の幅W1より若干大きく(厚く)形成されている。
上記のように構成した床ブラシ90において、接続継手100を前後あるいは左右方向に移動させると、継手湾曲上壁101aと継手湾曲下壁101bが継手基体95の基体湾曲壁96の内壁に沿って自在に回動する。なお、接続継手100の基端部が基体湾曲壁96の上端部に当接すると、回動が停止する(回動限界)。
そして、接続継手100を前面側(本体部91側)に倒すと、係合突部105が係合部103の係合溝104に圧入され、接続継手100は破線で示すように、垂直状態より若干前面側に傾いた状態でロックされ、その位置に保持される。
以上床ブラシ90について説明したが、床ブラシ90は図示のものに限定するものではなく、他の構造のものであってもよい。またコ字状の係合部103と、これに圧入される係合突部105とによりロック手段102を構成した場合を示したが、ロック手段102はこれに限定するものではなく、他の構造のものであってもよい。」(【0034】-【0036】)

甲第6号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「図7は、図1の床用ノズル30のノズル部の可動状況を示す側面図である。本図では掃除機本体1に延長管20と床用ノズル30を接続して、床等を掃除する際に最も稼働させる方向、即ち掃除機本体1を床面と垂直な面内で床面との角度を傾斜させる方向(傾動方向)の移動範囲を示す図である。ノズル部32は、水平位置から最傾位置まで約60度傾けることができる。本実施例では、この傾き角が約60度近くになった場合に、ノズル部32が連通管31に対して傾動方向と略垂直方向に移動(又は回動)できないように固定される。このノズル部32の傾動方向と略垂直方向に移動(又は回動)を制限するのが連通管31に一体的に形成された凸状の突起部31eであり、この突起部31eがノズル部32に形成された後述する切欠部と嵌合する。
図8は、図1の床用ノズル30の外観を示す斜視図であり斜め上方から見た図である。本図から理解できるように、連通管31の屈曲部31cの円周方向の1箇所には凸部となる突起部31eが形成され、ノズル部32の上ケース33には凹部となる切欠部33bが形成される。このようにノズル部32が最大角で傾動している時には、床用ノズル30の前後方向に延びる中心軸を中心に回動できないようにノズル部32が連通管31に対して保持される。この保持状態は、図1で示す自立時には延長管20が床用ノズル30に対して方向Aに分力が作用するので、ノズル部32が最傾位置にとどまるように力が作用する。この結果、図1に示すように掃除機本体1を延長管20と床用ノズル30を用いて自立させた状態において、ノズル部32が左右に回動してしまうことを防ぐことができるので安定して自立させることができる。」(【0045】-【0046】)

甲第7号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「連結部21は、例えば図7及び図14等に示すように連結管22と、第1回動部材24と、第2回動部材31を備えている。
連結管22は、合成樹脂製であって、吸込みヘッド12の後部でかつ幅方向中央部に配設され、その水平な中心軸線A(図13参照)は前後方向に延びている。連結管22は、その前縁22a(図14参照)を上ケース14の部材取付け部15と下ケース16の部材取付け部18に凹凸嵌合して前後方向に位置決めされているとともに、回転できないように部材取付け部15,18で挟まれている。この連結管22の前後両端は夫々開口されていて、その前端開口は吸込み開口17に対し図6等に示すように後側から臨んで連通している。連結管22の後部は上ケース14から後方に突出されている。
第1回動部材24は、合成樹脂製であって、連結管22の後部外周に回転可能に取付けられている。したがって、第1回動部材24は水平に配設された連結管22の中心軸線Aの周りに回転可能であり、言い換えれば、吸込み口体11を正面から見て左右方向に回動可能である。この第1回動部材24は後向きに一体に突出された一対の接続腕部25を有している。これら接続腕部25の長手方向中間部に、図14及び図18に示すように半円形の第1軸受部位26が夫々一体に突設されている。
更に、一対の接続腕部25の根元部間にわたる部位はガイド部位27として用いられていて、このガイド部位27は図7等に示すように連結管22の上部後端を覆っている。ガイド部位27は連結管22の内周面上部に連続するガイド面27a(図16参照)を有している。このガイド面27aは後述の軸受部を中心に描かれる円弧状の面で形成されている。
第2回動部材31は合成樹脂により図14に示されるように略U字形状に成形されている。この第2回動部材31は、第1軸受部位26が突出された側(掃除機の標準的な使用状態では接続腕部25の下側)から第1回動部材24に組み合わされていて、この第2回動部材31を通ってねじ込まれたねじで第1回動部材24に連結されている。こうして連結された第1回動部材24と第2回動部材31とは、吸込み口体11を正面から視認した状態で左右方向に回動可能な回転体を構成している。」(【0023】-【0027】)
「接続管35の前側部位35aは、連結部21の第1回動部材24と第2回動部材31の内側に納められた状態で、一対の枢軸部37に外側から嵌合された第1軸受部位26及び第2軸受部位32により形成された前記軸受部に支持されている。それにより、接続管35は、吸込みヘッド12に回動可能に取付けられている。これら一対の枢軸部37を通る軸線B(図15参照)は、第2回動部材31が接続腕部25の下側に配設された状態を平面視した場合に、前記中心軸線Aと直交する関係にある。
この接続管35は、第2回動部材31が接続腕部25の下側に配設された状態(掃除機の標準的な使用状態)で、前記軸受部を中心に上下方向に回動され、図6及び図7に示した第1位置と図12及び図13に示した第2位置とにわたって回動可能である。
第1位置とは連結部21に対して接続管35が略直角となるように倒立された位置を指している。接続管35が上向きに回動されて第1位置に配設された状態では、後述するクランプ39の押圧ボタン部39aが第2回動部材31に後方から当接されるとともに、接続管35の前側部位35aが図6及び図7に示すように連結部21の連結管22の内部にその後側から挿入されるようになっている。
吸込み口体11は、接続管35を第1位置に保持する仮止め手段として保持突起51と保持凸部52を備えている。保持突起51(図15参照)は、接続管35の前側部位35aの一側壁外面に一体に突設されている。保持凸部52(図14及び図18参照)は左右の接続腕部25の内の一方の先端部に他方の接続腕部に向けて一体に突設されている。
接続管35が第2位置又は第3位置から上向きに回動されて第1位置に達する直前、及び第1位置から第2位置又は第3位置に向けて接続管35が下向きに回動された場合に、接続腕部25の弾性変形及びこの変形に基づく節度感を伴って、保持突起51は保持凸部52を乗り越え可能である。接続管35が第1位置に配置された状態で、保持突起51は保持凸部52に前側から引っ掛かって係合された状態にあり、この引っ掛かりによって接続管35が自立するように第1位置に仮止めされる。」(【0038】-【0042】)

甲第8号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「本実施の形態に係るキャニスタ型電気掃除機60は、掃除機本体61、吸引ホース62、手元操作部63、吸引延長管64、および吸込具10を備えている。」(【0107】)
「掃除機本体61の内部には吸引モータおよび集塵室が設けられており、吸引モータの動作により吸引力が発生し、吸引ホース62、吸引延長管64を介して吸込具10の吸込口111に吸引力が発生する。また、掃除機本体61の内部には、電源コードが引き出し可能に収納されている。」(【0109】)

甲第9号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「図7において、1は掃除機本体で、この掃除機本体1は、上面を開口した下部本体ケース2a、および、この下部本体ケース2aの後部上面を閉塞する上部本体ケース2bが、前面を含む周縁にバンパ3を挟持して接合されて前側上面を開口した本体ケース2を有している。そして、掃除機本体1は、本体ケース2の前側上面を開閉自在に閉塞する蓋体4を回動自在に軸支している。」(【0015】)
「そして、掃除機本体1内には、図示しない電動送風機が収容される電動送風機室が後側に区画形成され、この電動送風機の吸込側に連通しかつ上方が開放して蓋体4にて開閉され集塵フィルタを収容する図示しない集塵室が前側に区画形成されている。さらに、掃除機本体1の前側には、集塵室に臨んで開口しホース8が着脱可能に接続される接続口9が形成されている。
また、ホース8は、可撓なホース本体11と、このホース本体11の一端に設けられ掃除機本体1の接続口9に着脱可能に差し込み接続される接続管12と、ホース本体11の他端に設けられ延長管13を介して吸込口本体14が接続される把持部15とにて構成されている。そして、把持部15には、電動送風機の駆動状態を設定操作する各種スイッチ16,16を有した操作手段17が配設されている。」(【0017】-【0018】)
「また、ケース体24の後部中央には、一対の軸支部27,27間に位置して連通管50が配設されている。この連通管50は、上部ケース22のケース覆部37の連結管部40に回転自在に嵌着された軸支部としての継手部51と、一端を他端が上下方向に回動自在に継手部51に軸支された連通管部52とを備えている。」(【0025】)

甲第10号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「図12において、1は掃除機本体で、この掃除機本体1は、上面を開口した下部本体ケース2a、および、この下部本体ケース2aの後部上面を閉塞する上部本体ケース2bが、前面を含む周縁にバンパ3を挟持して接合されて前側上面を開口した本体ケース2を有している。そして、掃除機本体1は、本体ケース2の前側上面を開閉自在に閉塞する蓋体4を回動自在に軸支している。」(【0013】)
「そして、掃除機本体1内には、図示しない電動送風機が収容される電動送風機室が後側に区画形成され、この電動送風機の吸込側に連通しかつ上方が開放して蓋体4にて開閉され集塵フィルタを収容する図示しない集塵室が前側に区画形成されている。さらに、掃除機本体1の前側には、集塵室に臨んで開口しホース8が着脱可能に接続される接続口9が形成されている。
また、ホース8は、可撓なホース本体11と、このホース本体11の一端に設けられ掃除機本体1の接続口9に着脱可能に差し込み接続される接続管12と、ホース本体11の他端に設けられ延長管13を介して吸込口本体14が接続される把持部15とにて構成されている。そして、把持部15には、電動送風機の駆動状態を設定操作する各種スイッチ16,16を有した操作手段17が配設されている。」(【0015】-【0016】)
「また、ケース体24の後部中央には、一対の軸支部27,27間に位置して連通管51が配設されている。この連通管51は、連結管部42の軸支管部43に回転自在に嵌着された回動管としての継手部52と、一端を他端が上下方向に回動自在に継手部52に軸支された連通管部53とを備えている。」(【0024】)


(2)対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「延長管」、「吸込口」、「接続管」、「回動接続管」、「回転可能」、「傾動接続管」、「接続筒部」は、本件発明1の「延長パイプ」、「集塵開口部」、「延長パイプ可動部」、「第1可動パイプ」、「回動可能」、「第2可動パイプ」、「延長パイプ接続部」に相当する。

甲1発明の「掃除機本体に延長管を介して接続される吸込口体」は、本件発明1の「掃除機本体に延長パイプを介して接続される電気掃除機の吸込口体」に相当する。
甲1発明の「吸込口が形成される吸込口本体」は、本件発明1の「集塵開口部を有する吸込口本体」に相当する。

甲1発明の接続管は回動接続管と傾動接続管を備え、床面掃除時に接続管の傾動が床面に対し所定角度以上にならない場合、延長管を吸込口本体に対して上下に傾動可能で左右に回動可能に支持する接続管となるから、甲1発明の「前記接続管は、床面掃除時に前記接続管の傾動が床面に対し所定角度以上にならない場合、前記吸込口本体に対して上下に傾動可能で左右に回動可能な回動接続管と傾動接続管を備え」は、本件発明1の「床面を掃除する通常の使用状態において前記延長パイプの床面に対する俯角が予め定められた角度範囲内にあるときは、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ可動部」を備えることに相当する。
甲1発明の「前記傾動接続管の前側上面部に設けられた傾動接続管上カバーの一対の突出部が係合可能な前記吸込口本体の切欠きを備える回動規制手段」は、傾動接続管に設けられた前記傾動接続管上カバーの一対の突出部が吸込口本体の切欠きに係合可能であるから、傾動接続管の一端が吸込口本体の半開口部に挿入可能といえ、本件発明1の「前記延長パイプ可動部の一端が挿入可能な半開口部からなる延長パイプ規制部」に相当する。
そうすると、甲1発明は延長パイプ可動部と延長パイプ規制部を備えることとなるから、甲1発明の「前記接続管は、床面掃除時に前記接続管の傾動が床面に対し所定角度以上にならない場合、前記吸込口本体に対して上下に傾動可能で左右に回動可能な回動接続管と傾動接続管を備え、前記傾動接続管の前側上面部に設けられた傾動接続管上カバーの一対の突出部が係合可能な前記吸込口本体の切欠きを備える回動規制手段を備え」は、本件発明1の「前記延長パイプ支持部は、床面を掃除する通常の使用状態において前記延長パイプの床面に対する俯角が予め定められた角度範囲内にあるときは、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ可動部と、前記延長パイプ可動部の一端が挿入可能な半開口部からなる延長パイプ規制部とを備え」に相当する。
更に、甲1発明は、吸込口体が延長パイプ支持部を備えるから、「前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ支持部」を備えることとなる。

甲1発明において、X軸の軸回りは、吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりを意味するから、甲1発明の「前記回動接続管は、前記吸込口本体の上ケースと下ケースの間に固定される接続管吸込口の後部にX軸の軸回りに回転可能に取り付けられ」は、本件発明1の「前記第1可動パイプは、前記吸込口本体の後部に接続され、前記吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能に前記吸込口本体に支持され」に相当する。
甲1発明において、X軸に直交するY軸の軸回りは、吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸に直交する予め定められた軸まわりを意味するから、甲1発明の「前記傾動接続管は、前記回動接続管の後部に接続され、前記傾動接続管は前記X軸に直交するY軸の軸回りに回転可能に前記回動接続管に設けられ、前記延長管を内部に挿入する接続筒部を後方に備え」は、本件発明1の「前記第2可動パイプは、前記第1可動パイプの後部に接続され、前記第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりに回動可能に前記第1可動パイプに支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え」に相当する。

甲1発明の「前記回動規制手段は、前記傾動接続管が床面に対して約90°の状態となったとき、前記傾動接続管上カバーの一対の前記突出部と前記切欠きの係合により、前記傾動接続管が左右方向に倒れるのを防止し、前記傾動接続管が床面に対して前方に90°以上傾いた状態となったとき、前記延長管を前記傾動接続管に結合させる揺動部材の押圧ボタン部を前記回動規制手段の一対の前記切欠きの間の押圧部が押圧して、前記延長管と前記傾動接続管の結合を解除し」は、延長パイプ規制部である回動規制手段が、傾動接続管が床面に対して約90°の状態となったとき、前記傾動接続管の一端が吸込口本体の半開口部に係合により、横方向への前記傾動接続管の回動を規制しているから、本件発明1の「前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記延長パイプ可動部を回動させたとき、前記延長パイプ可動部の一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制し」と、「前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記延長パイプ可動部を回動させたとき、前記延長パイプ可動部の一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制し」の点で一致する。
同様に、甲1発明の「前記回動規制手段は、前記傾動接続管が床面に対して約90°の状態となったとき、前記傾動接続管上カバーの一対の前記突出部と前記切欠きの係合により、前記傾動接続管が左右方向に倒れるのを防止する」は、本件発明1の「前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記第1可動パイプおよび前記第2可動パイプを回動させたとき、前記第2可動パイプの一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制する」と、「前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記第1可動パイプおよび前記第2可動パイプを回動させたとき、前記第2可動パイプの一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制する」の点で一致する。


したがって、両者は、
「掃除機本体に延長パイプを介して接続される電気掃除機の吸込口体であって、集塵開口部を有する吸込口本体と、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ支持部とを備え、
前記延長パイプ支持部は、床面を掃除する通常の使用状態において前記延長パイプの床面に対する俯角が予め定められた角度範囲内にあるときは、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ可動部と、前記延長パイプ可動部の一端が挿入可能な半開口部からなる延長パイプ規制部とを備え、
前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記延長パイプ可動部を回動させたとき、前記延長パイプ可動部の一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制し、
前記延長パイプ可動部は、第1可動パイプおよび第2可動パイプを備え、
前記第1可動パイプは、前記吸込口本体の後部に接続され、前記吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能に前記吸込口本体に支持され、
前記第2可動パイプは、前記第1可動パイプの後部に接続され、前記第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりに回動可能に前記第1可動パイプに支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え、
前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記第1可動パイプおよび前記第2可動パイプを回動させたとき、前記第2可動パイプの一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制する吸込口体。」の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
延長パイプ規制部に関し、本件発明1は、吸込口本体に対する前方および横方向への延長パイプ可動部の回動を規制するのに対し、甲1発明は、吸込口本体に対する横方向への延長パイプ可動部の回動を規制するが、傾動接続管が床面に対して前方に90°以上傾いた状態となったとき、延長管を前記傾動接続管に結合させる揺動部材の押圧ボタン部を回動規制手段の一対の前記切欠きの間の押圧部が押圧して、前記延長管と前記傾動接続管の結合を解除する点。


(3)判断
甲1発明は、傾動接続管が床面に対して約90°の状態となったとき、傾動接続管上カバーの一対の突出部と切欠きの係合により、前記傾動接続管が左右方向に倒れるのを防止するが、前記傾動接続管は床面に対して前方に90°以上傾いた場合、押圧部が押圧ボタン部を押圧して延長管と傾動接続管の結合を解除するもので、分離された前記延長管の先端に設けられた補助清掃体を使用して、目的の狭所や高所の掃除を行うものである。
そうすると、前記傾動接続管が床面に対して約90°の状態となったとき、前記傾動接続管上カバーの一対の突出部と切欠きの係合により、前記傾動接続管が左右方向に倒れるのを防止した際に、前方への回動を規制すると、前方に90°以上傾いて押圧部が押圧ボタン部を押圧して前記延長管と前記傾動接続管の結合を解除することができなくなるから、一対の突出部と切欠きの係合を用いて前記傾動接続管を前方に90°以上の傾き及び左右方向の傾きを防止する構成とすることには阻害要因がある。
そうであれば、甲第2?6号証記載の事項を検討するまでもなく、甲1発明の回動規制手段を吸込口本体に設け、回動接続管と傾動接続管(延長パイプ可動部)の回動の規制を吸込口本体に対する前方および横方向への回動の規制とすることは、当業者が容易に考えられたものとすることはできない。

したがって、本件発明1は、甲1発明に甲第2?6号証記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。本件請求項3、4は本件請求項1の従属項であるから、本件発明1が甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできないので、本件発明3、4も同様に当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。なお、本件請求項2に係る発明の特許については特許異議の申立がなされていない。


5.理由2について
(1)甲第1?11号証
甲第1号証?甲第10号証の記載事項は「4.(1)」に記載のとおりである。

甲第11号証には、図面とともに以下の事項が記載されている(翻訳は当審による)。
A「[0017] Referring now in detail to the drawings, FIG. 1 shows a front brush attachment device having a multi-component housing 1 in the form of a suction head. Housing 1 has a bottom dish 2 , an upper part 3 connected with bottom dish 2 in a fixed manner, and a cover 4 that extends over upper part 3 . Housing 1 contains a brush roller chamber 5 , which is open on the bottom side, and a suction duct 6 feeding into brush roller chamber 5 . Suction duct 6 and brush roller chamber 5 are formed by the walls of upper part 3 and bottom dish 2 . A brush roller 7 is supported in a rotating manner in brush roller chamber 5 . Brush roller 7 is driven by an electric motor 8 via a toothed belt 9 .
[0018] A connector device connects a vacuum cleaner to housing 1 . The connector device is a rotating and tilting joint 10 . Rotating and tilting joint 10 has a tilting joint piece 11 , which is inserted in suction duct 6 . Rotating and tilting joint 10 also has a short, rotatable joint tube 12 that is connected with tilting joint piece 11 with rotational mobility. Short, rotatable joint tube 12 is an angled tube. Pivoting it upward moves it into a locked position at a stop surface 13 on housing 1 . Tilting joint piece 11 is supported in housing 1 in a rotating manner and rotates about an axle 14 aligned transversely in relation to suction duct 6 . Tilting joint piece 11 has the shape of a short pipe and comprises a cylindrical peripheral surface. Housing 1 is sealed against the cylindrical peripheral surface. Tilting joint piece 11 comprises a cylindrical connector piece 25 , on which short, rotating joint tube 12 is mounted in a rotating manner.
[0019] Upper part 3 and cover 4 comprise cavities 24 , which are adapted to the range of swivel of rotating and tilting joint 10 and are rounded on the sides. A protrusion 15 projecting from the rounded area of cavity 24 is molded onto cover 4 . In the locked position, protrusion 15 engages a corresponding recess 16 located on the periphery of short, rotatable joint tube 12 , securing joint tube 12 against rotation. A spring-loaded locking lever 17 is supported on housing 1 . In the locked position, locking lever 17 engages a shoulder 18 located on the cylindrical periphery of tilting joint piece 11 , thereby preventing the movement of tilting joint piece 11 . However, tilting joint piece 11 is only in the fully upright position when protrusion 15 and recess 16 engage. This prevents spring-loaded locking lever 17 from engaging shoulder 18 until protrusion 15 and recess 16 engage, simultaneously locking rotating and tilting joint 10 from tilting and rotating.
[0020] FIG. 1 shows that locking lever 17 is substantially U-shaped and supported on upper part 3 of housing 1 in a rotating manner. Journal pins 19 are molded on the legs of locking lever 17 and clipped into fork-shaped bearings 20 of upper part 3 . A switching surface 21 is molded at the end of one of the legs, and acted upon from below by a pressure spring 22 supported on upper part 3 . A locking tooth 23 is molded onto the bridge of U-shaped locking lever 17 and guided through a slot-like aperture of upper part 3 . In the locked position, locking tooth 23 locks onto shoulder 18 of rotating and tilting joint 10 . 」
「[0017]ここで図面を詳細に参照する。図1は吸引ヘッドの形態の多部品からなるハウジング1を有する前方ブラシ取付け装置を示している。ハウジング1は、底皿2と、底皿2に固定的に接続された上部3と、上部3を越えて延びたカバー4を有する。ハウジング1は、底面が開いているブラシローラ室5と、ブラシローラ室5内に供給する吸引ダクト6を有する。吸引ダクト6とブラシローラ室5は上部3と、底皿2の壁によって形成されている。ブラシローラ室5内にブラシローラ7が旋回可能に支持されている。ブラシローラ7は、歯付ベルト9を介して電気モータ8によって駆動される。
[0018]コネクタ装置は、電気掃除機をハウジング1に接続する。コネクタ装置は、回転・傾動ジョイント10である。回転・傾動ジョイント10は、吸引ダクト6が挿入されている傾動ジョイント片11を有する。回転・傾動ジョイント10は回転運動可能な傾動ジョイント片11と接続されている短い回転接続管12を有している。短い回転接続管12は、角度を付けられた管である。上方にそれを回転させると、ハウジング1の係止面13で係止位置に移動する。傾動ジョイント片11は、ハウジング1内に旋回可能に支持されており、吸引ダクト6に対して横方向に整列した軸14の周りを回転する。傾動ジョイント片11は、短い管状の形状を有し、円筒形の周面を有している。ハウジング1は、円筒状の周面に対してシールされている。傾動ジョイント片11は円筒状のコネクタ部25を有し、その上に短い回転接続管12は、回転するように装着されている。
[0019]上部3とカバー4はキャビティ24を備え、キャビティ24は回転・傾動ジョイント10の旋回範囲に適合しており、両側に丸みを帯びている。キャビティ24の丸みを帯びた部分から突出した凸部15は、カバー4上に成形される。ロック位置において、凸部15は、短い回転接続管12の外周に配置された対応する凹部16に係合し、接続管12が回転しないように固定する。ハウジング1に、ばね式の係止レバー17が支持されている。ロック位置において、係止レバー17は、傾動ジョイント片11の円筒状外周上に位置する肩部18と係合し、それによって傾動ジョイント片11の移動を防止する。しかし、凸部15と凹部16とが係合したときにのみ、傾動ジョイント片11は完全に直立した位置にある。このことは、凸部15と凹部16とが係合するまで、ばね付勢される係止レバー17が肩部18と係合するのが防止され、同時に回転・傾動ジョイント10の傾斜及び回転がロックされることを防止する。
[0020]図1は、係止レバー17は実質的にU字形であり、ハウジング1の上部3に回転自在に支持されることを示している。ジャーナルピン19は係止レバー17の脚部に成形され、上部3のフォーク状軸受20内に止められる。切換面21は、脚部の一方の端部に成形され、上部3に支持された圧力ばね22によって下方から作用される。係止歯部23はU字型の係止レバー17のブリッジ上に成形され、上部3のスロット状開口を通って案内される。ロックされた位置において、係止歯部23は回転・傾動ジョイント10の肩部18に固定される。」

上記[0017]及び図面から判断して、前方ブラシ取付け装置はハウジング1と回転・傾動ジョイント10を備えている。
上記[0018]及び図面から判断して、回転・傾動ジョイント10は電気掃除機をハウジングに接続するから、回転・傾動ジョイント10に延長パイプが接続されることとなるので、掃除機本体に延長パイプを介して接続されるハウジングと回転・傾動ジョイント10が示されている。
上記[0017]、[0018]及び図面から判断して、底面が開いているブラシローラ室5を有するハウジングと、回転運動可能な傾動ジョイント片11と短い回転接続管12を有している回転・傾動ジョイント10が示されている。
上記[0018]、[0019]及び図面から判断して、ハウジング1に対して傾動ジョイント片11は縦方向に回動可能であり、短い回転接続管12は横方向に回動可能であるから、ロック位置に至るまでは、延長パイプをハウジングに対し縦方向および横方向に回動可能に支持し、ロック位置において、キャビティ24と係合して傾斜及び回転がロックされる、回転・傾動ジョイント10が示されている。
上記[0019]及び図面から判断して、ロック位置において、カバー4のキャビティ24に成形される凸部15と短い回転接続管12の外周に配置された対応する凹部16とが係合したときに、短い回転接続管12は回転しないように固定され、凸部15と凹部16が係合したときにのみ、傾動ジョイント片11は完全に直立し、ハウジング1の上部3に支持されるばね付勢される係止レバー17と傾動ジョイント片11の肩部18が係合し、傾動ジョイント片11の移動が防止され、ハウジングに対する傾斜及び回転がロックされる回転・傾動ジョイント10が示されている。
上記[0018]及び図面から判断して、傾動ジョイント片11は、ハウジングの後部に接続され、ハウジングに対して横方向に整列した軸14の回りに回動可能にハウジングに支持されている。
上記[0018]及び図面から判断して、短い回転接続管12は、傾動ジョイント片11の後部に接続され、傾動ジョイント片11の軸14に直交する予め定められた軸まわりに回動可能に傾動ジョイント片11に支持され、延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備えている。

上記記載事項からみて、甲第11号証には、
「掃除機本体に延長パイプを介して接続される前方ブラシ取付け装置であって、底面が開いているブラシローラ室5を有する前記ハウジング1と、回転運動可能な傾動ジョイント片11と短い回転接続管12を有している回転・傾動ジョイント10を備え、
前記回転・傾動ジョイント10は、ロック位置に至るまでは、前記延長パイプを前記ハウジング1に対し縦方向および横方向に回動可能に支持し、前記ロック位置において、キャビティ24と係合して傾斜及び回転がロックされ、
前記回転・傾動ジョイント10は、前記ロック位置において、カバー4のキャビティ24に成形される凸部15と短い回転接続管12の外周に配置された対応する凹部16とが係合したときに、前記短い回転接続管12は回転しないように固定され、前記凸部15と前記凹部16が係合したときにのみ、前記傾動ジョイント片11は完全に直立し、前記ハウジング1の上部3に支持されるばね付勢される係止レバー17と傾動ジョイント片11の肩部18が係合し、前記傾動ジョイント片11の移動が防止され、ハウジングに対する傾斜及び回転がロックされ、
前記回転・傾動ジョイント10は、回転運動可能な前記傾動ジョイント片11と接続されている前記短い回転接続管12を有し、
前記傾動ジョイント片11は、前記ハウジング1の後部に接続され、前記ハウジング1に対して横方向に整列した軸14の回りに回動可能に前記ハウジング1に支持され、
前記短い回転接続管12は、前記傾動ジョイント片11の後部に接続され、前記傾動ジョイント片11の軸14に直交する予め定められた軸まわりに回動可能に前記傾動ジョイント片11に支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え、
前記回転・傾動ジョイント10は、前記ロック位置において、前記凸部15と前記凹部16とが係合したときにのみ、前記傾動ジョイント片11は完全に直立し、前記ばね付勢される係止レバー17と前記肩部18が係合し、前記ハウジング1に対する傾斜及び回転がロックされる前方ブラシ取付け装置。」
との発明(以下、「甲11発明」という。)が記載されている。


(2)対比
そこで、本件発明1と甲11発明とを対比すると、甲11発明の「前方ブラシ取付け装置」、「底面が開いているブラシローラ室5」、「ハウジング1」、「回転運動可能な前記傾動ジョイント片11」又は「傾動ジョイント片11」、「短い回転接続管12」は、本件発明1の「電気掃除機の吸込口体」又は「吸込口体」、「集塵開口部」、「吸込口本体」、「第1可動パイプ」、「第2可動パイプ」に相当する。

甲11発明の「掃除機本体に延長パイプを介して接続される前方ブラシ取付け装置」は、本件発明1の「掃除機本体に延長パイプを介して接続される電気掃除機の吸込口体」に相当する。
甲11発明の「底面が開いているブラシローラ室5を有する前記ハウジング1」は、本件発明1の「集塵開口部を有する吸込口本体」に相当する。
甲11発明の「前記回転・傾動ジョイント10は、回転運動可能な前記傾動ジョイント片11と接続されている前記短い回転接続管12を有し」は、本件発明1の「前記延長パイプ可動部は、第1可動パイプおよび第2可動パイプを備え」に相当する。

甲11発明の回転・傾動ジョイント10は傾動ジョイント片11、短い回転接続管12を備えるので、甲11発明の「前記回転・傾動ジョイント10は、ロック位置に至るまでは、前記延長パイプを前記ハウジング1に対し縦方向および横方向に回動可能に支持し」は、通常使用時に傾動ジョイント片11、短い回転接続管12が縦方向および横方向に回動可能であるから、本件発明1の「床面を掃除する通常の使用状態において前記延長パイプの床面に対する俯角が予め定められた角度範囲内にあるときは、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ可動部」を備えることに相当する。
甲11発明の「前記ロック位置において、キャビティ24と係合して傾斜及び回転がロックされ」は、半開口部のキャビティ24に回転・傾動ジョイント10が挿入可能を意味するから、本件発明1の「前記延長パイプ可動部の一端が挿入可能な半開口部からなる延長パイプ規制部」を備えることに相当する。
そうすると、甲11発明は延長パイプ可動部と延長パイプ規制部を備えることとなるから、甲11発明の「前記回転・傾動ジョイント10は、ロック位置に至るまでは、前記延長パイプを前記ハウジング1に対し縦方向および横方向に回動可能に支持し、前記ロック位置において、キャビティ24と係合して傾斜及び回転がロックされ」は、本件発明1の「前記延長パイプ支持部は、床面を掃除する通常の使用状態において前記延長パイプの床面に対する俯角が予め定められた角度範囲内にあるときは、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ可動部と、前記延長パイプ可動部の一端が挿入可能な半開口部からなる延長パイプ規制部とを備え」に相当する。
更に、甲11発明は、吸込口体(前方ブラシ取付け装置)が延長パイプ支持部を備えるから、「前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ支持部」を備えることとなる。

甲11発明の「前記回転・傾動ジョイント10は、前記ロック位置において、カバー4のキャビティ24に成形される凸部15と短い回転接続管12の外周に配置された対応する凹部16とが係合したときに、前記短い回転接続管12は回転しないように固定され、前記凸部15と前記凹部16が係合したときにのみ、前記傾動ジョイント片11は完全に直立し、前記ハウジング1の上部3に支持されるばね付勢される係止レバー17と傾動ジョイント片11の肩部18が係合し、前記傾動ジョイント片11の移動が防止され、ハウジングに対する傾斜及び回転がロックされ」は、キャビティ24と回転・傾動ジョイント10が係合されると、回転・傾動ジョイント10はロックされ傾動ジョイント片11は完全に直立し、ハウジングに対する傾斜及び回転がロックされるから、本件発明1の「前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記延長パイプ可動部を回動させたとき、前記延長パイプ可動部の一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制し」に相当する。
同様に、甲11発明の「前記回転・傾動ジョイント10は、前記ロック位置において、前記凸部15と前記凹部16とが係合したときにのみ、前記傾動ジョイント片11は完全に直立し、前記ばね付勢される係止レバー17と前記肩部18が係合し、前記ハウジング1に対する傾斜及び回転がロックされる」は、本件発明1の「前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記第1可動パイプおよび前記第2可動パイプを回動させたとき、前記第2可動パイプの一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制する」に相当する。

甲11発明の「前記傾動ジョイント片11は、前記ハウジング1の後部に接続され、前記ハウジング1に対して横方向に整列した軸14の回りに回動可能に前記ハウジングに支持され」と、本件発明1の「前記第1可動パイプは、前記吸込口本体の後部に接続され、前記吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能に前記吸込口本体に支持され」は、「前記第1可動パイプは、前記吸込口本体の後部に接続され、前記吸込口本体の所定方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能に前記吸込口本体に支持され」の点で一致する。
甲11発明の「前記短い回転接続管12は、前記傾動ジョイント片11の後部に接続され、前記傾動ジョイント片11の軸14に直交する予め定められた軸まわりに回動可能に前記傾動ジョイント片11に支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え」と、本件発明1の「前記第2可動パイプは、前記第1可動パイプの後部に接続され、前記第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりに回動可能に前記第1可動パイプに支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え」は、「前記第2可動パイプは、前記第1可動パイプの後部に接続され、予め定められた軸まわりに回動可能に前記第1可動パイプに支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え」の点で一致する。

したがって、両者は、
「掃除機本体に延長パイプを介して接続される電気掃除機の吸込口体であって、集塵開口部を有する吸込口本体と、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ支持部とを備え、
前記延長パイプ支持部は、床面を掃除する通常の使用状態において前記延長パイプの床面に対する俯角が予め定められた角度範囲内にあるときは、前記延長パイプを前記吸込口本体に対し縦方向および横方向に回動可能に支持する延長パイプ可動部と、前記延長パイプ可動部の一端が挿入可能な半開口部からなる延長パイプ規制部とを備え、
前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記延長パイプ可動部を回動させたとき、前記延長パイプ可動部の一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制し、
前記延長パイプ可動部は、第1可動パイプおよび第2可動パイプを備え、
前記第1可動パイプは、前記吸込口本体の後部に接続され、前記吸込口本体の所定方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能に前記吸込口本体に支持され、
前記第2可動パイプは、前記第1可動パイプの後部に接続され、前記第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりに回動可能に前記第1可動パイプに支持され、前記延長パイプを着脱可能に接続する延長パイプ接続部を後部に備え、
前記延長パイプ規制部は、前記延長パイプが床面に対し略垂直方向を向くように前記第1可動パイプおよび前記第2可動パイプを回動させたとき、前記第2可動パイプの一端と前記半開口部との係合により、前記吸込口本体に対する前方および横方向への前記延長パイプ可動部の回動を規制する吸込口体。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
第1可動パイプに関し、本件発明1は、吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能であるのに対し、甲11発明は、ハウジングに対して横方向に整列した軸14の回りに回動可能である点。
〔相違点2〕
第2可動パイプに関し、本件発明1は、第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりに回動可能であるのに対し、甲11発明は、傾動ジョイント片11の軸14に直交する予め定められた軸まわりに回動可能である点。


(3)判断
相違点1?2について
傾動ジョイント片11の回転方向を吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりにするには、円筒形状の傾動ジョイント片11を90°回転させ、傾動ジョイント片11の吸込口本体側の開口部を円筒周面から円筒の端面に置換し、ハウジングに対して横方向に整列した軸14を支持する部材は、傾動ジョイント片11の前後で吸込口本体の前後方向に置換しなければならず、軸14を支持する吸込口本体側円筒端面は開口となり、軸14を支持できないこととなるから、吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能とすることには動機付けが無い。
更に、傾動ジョイント片11の後部に接続した短い回転接続管12の回転方向を第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりにするには、傾動ジョイント片11と短い回転接続管12の接続を切り離し、傾動ジョイント片11を90°回転させ、短い回転接続管12を傾動ジョイント片11の後部に接続した上でハウジングに対し前方に回動可能にしなければならず、この様な短い回転接続管12の構成の変更を示唆する記載がなく、当該変更が周知の事項でもないので、短い回転接続管12の回転方向を第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりにする動機付けがない。

そうであれば、甲第1?10号証記載の事項を検討するまでもなく、甲11発明の傾動ジョイント片11(第1可動パイプ)を吸込口本体の前後方向に伸びる予め定められた軸まわりに回動可能とし、短い回転接続管12(第2可動パイプ)を第1可動パイプに直交する予め定められた軸まわりに回動可能することは、当業者が容易に考えられたものとすることはできない。

したがって、本件発明1は、甲11発明に甲第1?10号証記載の事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。本件請求項3、4は本件請求項1の従属項であるから、本件発明1が甲11発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできないので、本件発明3、4も同様に当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。なお、本件請求項2に係る発明の特許については特許異議の申立がなされていない。


6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立の理由及び証拠によっては本件発明1、3、4の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、3、4の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-06-04 
出願番号 特願2014-37057(P2014-37057)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (A47L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石井 茂  
特許庁審判長 久保 竜一
特許庁審判官 窪田 治彦
堀川 一郎
登録日 2018-08-03 
登録番号 特許第6378895号(P6378895)
権利者 シャープ株式会社
発明の名称 吸込口体およびそれを備えた電気掃除機  
代理人 野河 信太郎  
代理人 金子 裕輔  
代理人 冨田 雅己  
代理人 甲斐 伸二  
代理人 稲本 潔  

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