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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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判定2018600018 | 審決 | 特許 |
判定2019600004 | 審決 | 特許 |
判定2019600001 | 審決 | 特許 |
判定2018600029 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 判定 同一 属する(申立て成立) A61M |
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管理番号 | 1352348 |
判定請求番号 | 判定2019-600005 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2019-02-05 |
確定日 | 2019-06-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第5687170号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面及び説明書に示す「マイクロニードルパッチ収納容器」は、特許第5687170号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する。 |
理由 |
第1 請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、イ号図面及び説明書に示すマイクロニードルパッチ収納容器(以下「イ号物件」という。)は、特許第5687170号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。(当審注:判定請求書の請求の趣旨の欄には、「イ号図面及び説明書に示すマイクロニードルパッチ収納容器は、特許第5687170号発明の技術的範囲に属する、との判定を求める。」と記載されているところ、判定請求書の「5 請求の理由」の欄の記載からみて、「イ号図面及び説明書に示すマイクロニードルパッチ収納容器は、特許第5687170号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する、との判定を求める。」であることは明らかであるので、上記のとおり認定した。) 第2 手続の経緯及び本件特許発明 1 手続の経緯 平成23年 9月22日 本件特許の出願(特願2011-225328号) 平成26年 7月 2日付け 拒絶理由通知 平成26年 9月 4日 意見書・手続補正書の提出 平成27年 1月30日 設定登録 平成27年11月 2日 訂正審判の請求(訂正2015-390119号) 平成28年 1月15日 訂正審決の確定 平成31年 2月 5日 本件判定請求 平成31年 2月19日付け 手続補正指令 平成31年 2月27日 手続補正書の提出 平成31年 3月 5日付け 被請求人(株式会社ウェーブコーポレーション)宛て判定請求書副本の送達通知 平成31年 3月 6日付け 被請求人(株式会社ウェーブコーポレーション)宛て手続補正書副本の送付通知 上記判定請求書副本の送達通知及び手続補正書副本の送付通知を行い、請求人の判定請求に対して期間を指定して答弁書を提出する機会を与えたが、被請求人からは応答がなかった。 2 本件特許発明 本件判定の請求に係る特許発明は、特許第5687170号の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)であり、平成28年1月15日に確定した訂正審決(訂正2015-390119)の審決公報の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められ、その構成は、判定請求書の記載に倣って、構成要件ごとに分説(以下「構成要件(A)」などという。)して記載すると次のとおりである。 (A)周辺部より窪んだ1個若しくは複数個の底面と、 (B)該底面と該周辺部をつなぐ側面と、 (C)該底面から突出した底面凸部を有し、 (D)該底面凸部は柔軟性あるマイクロニードルパッチの離型シートに対応する位置に存在し、 (E)該柔軟性あるマイクロニードルパッチの離型シート部分を該各底面の該底面凸部により保持し、 (F)該周辺部と該底面凸部との間に該底面が存在する (G)マイクロニードルパッチ収納容器。 3 本件特許発明の目的及び効果等 本件特許発明は、マイクロニードルパッチが、「その製造後流通過程を経て使用されるまでの間、衛生的でかつその薬効を損なわないように保持される」(段落【0009】)ことを目的とし、マイクロニードルパッチ収納容器を上記構成を有するものとし、それにより、「マイクロニードルパッチは離型シートの部分で保持され、マイクロニードル部分は容器のいかなる部分とも接触しない。マイクロニードルパッチが柔軟なシートであるとしても、開封するときまで衛生的に保持できる。」(段落【0023】)という効果を奏するものと認められる。 第3 イ号物件 1 本件の判定請求書(3ページ)の5(4)には、「イ号図面の説明」として、次の事項が記載されている。 「(4)イ号図面の説明 以下の説明に示す通り、イ号は、本件特許発明に則して記載すると、次のとおりのものである。 (a)周辺部(1)より窪んだ1個の底面(2)と、 (b)該底面(2)と該周辺部(1)をつなぐ側面(3)と、 (c)該底面(2)から突出した底面凸部(4)を有し、 (d)該底面凸部(4)は柔軟性あるマイクロニードルパッチ(10)の保護シート(13)に対応する位置に存在し、 (e)該柔軟性あるマイクロニードルパッチ(10)の保護シート(13)部分を該各底面(2)の該底面凸部(4)により保持し、 (f)該周辺部(1)と該底面凸部(4)との間に該底面(2)が存在する (g)マイクロニードルパッチ収納容器。 (a)の説明 イ号図面及び説明書ならびに甲第3号証に見られるとおり、イ号は「周辺部(1)より窪んだ1個の底面(2)」を有している。 (b)の説明 イ号図面及び説明書ならびに甲第3号証に見られるとおり、イ号は「該底面(2)と該周辺部(1)をつなぐ側面(3)」を有している。 (c)の説明 イ号図面及び説明書ならびに甲第3号証に見られるとおり、イ号は「該底面(2)から突出した底面凸部(4)」を有している。 (d)の説明 イ号図面及び説明書ならびに甲第3号証に見られるとおり、イ号は「該底面凸部(4)は柔軟性あるマイクロニードルパッチ(10)の保護シート(13)に対応する位置に存在」している。なお、保護シートは、甲第3号証の【使用方法】に「周りの白い保護シートをはがし、」と記載されているように、本件特許発明における粘着面に付される離型シート(甲第1号証、段落【0009】)と同義である。 (e)の説明 イ号図面及び説明書ならびに甲第3号証に見られるとおり、イ号は「該柔軟性あるマイクロニードルパッチ(10)の保護シート(13)部分を該各底面(2)の該底面凸部(4)により保持」している。保護シートは、上記(d)と同様に、本件特許発明における離型シートと同義である。 (f)の説明 イ号図面及び説明書ならびに甲第3号証に見られるとおり、イ号は「該周辺部(1)と該底面凸部(4)との間に該底面(2)が存在」している。 (g)の説明 イ号図面及び説明書ならびに甲第3号証に見られるとおり、イ号は「マイクロニードルパッチ収納容器」である。」 2 判定請求書に添付された「イ号図面及び説明書」には、次の事項が記載されている。 なお、判定請求書の「5 請求の理由」の「(1)判定請求の必要性」には、次のとおり記載されている。 「本件判定請求に係る特許発明「マイクロニードルパッチ収納容器」(甲第1号証)の特許権者(判定請求人コスメディ制約株式会社)は、株式会社ウェーブコーポレーション(被請求人)がイ号図面及び説明書で示すマイクロニードルパッチ収納容器を使用したスパトリートメント(Spa treatment)ホワイト マイクロパッチ(White Micro Patch)(甲第3号証:イ号物品)を製造販売していることを確認した。」 この記載及び上記第1の「請求の趣旨」を踏まえると、「イ号図面及び説明書」は、甲第3号証のイ号物品:スパトリートメント(Spa treatment)ホワイト マイクロパッチ(White Micro Patch)を示すものであるといえる。 3 イ号物品の包装体 甲第3号証として提出されたイ号物品である、スパトリートメント(Spa treatment)ホワイト マイクロ パッチ(White Micro Patch)の包装体には、次のとおり記載されている。 「【使用方法】 ●洗顔後、化粧水で整えた後、お顔の水分がなくなってからご使用ください。 ●シート中央の突起部分にふれないように、周りの白い保護シートをはがし、お顔の気になる部分へのせて、シートの上から軽く押しあてるように密着させてください。(後略)」 この記載事項から、イ号物品は、シート中央の突起部分の周りに、白い保護シートを有するといえる。また、シートは、顔の部分にのせて上から軽く押しあてるように密着するものであることから、柔軟なものであることは明らかである。さらに、保護シートは、はがせるようになっていることから、剥離シートとして機能するものであることも明らかである。 4 イ号物品 甲第3号証として提出されたイ号物品から、次の事項が看取される。なお、図番は、上記1の「イ号図面及び説明書」のイ号図面において請求人が付与した図番を援用する。 (あ)イ号物品は、容器であり、シート(10)を収容するものである。 (い)イ号物品は、円形の外縁部及び該外縁部から立ち上がる第1の側面と、該第1の側面につながる上面部(1)と、該上面部(1)から窪んだ、一辺の一部に半円状の膨らみを有する略正方形状の輪郭の1個の底面部(2)を有している。 (う)イ号物品は、該底面部(2)と該上面部(1)をつなぐ第2の側面(3)を有している。 (え)イ号物品は、該底面部(2)から突出した、一対の対向する円弧状の第1の凸部(4)を有している。 (お)イ号物品の該凸部(4)は、シート(10)中央の突起部分の周りの白い保護シート(13)に対応する位置に存在している。 (か)イ号物品の該シート(10)中央の突起部分の周りの白い保護シート(13)の一部分が該底面部(2)の該第1の凸部(4)に載置されている。 (き)イ号物品の該上面部(1)と該第1の凸部(4)との間には該底面部(2)及び該底面部(2)よりも高いが該第1の凸部(4)よりも低い第2の凸部が存在する。 5 上記1ないし4を整理すると、イ号物件は、次の構成(以下、「構成(a)」などという。)を具備するものである。 「(a)円形の外縁部及び該外縁部から立ち上がる第1の側面と、該第1の側面につながる上面部(1)と、該上面部(1)から窪んだ、一辺の一部に半円状の膨らみを有する略正方形状の輪郭の1個の底面部(2)と、 (b)該底面部(2)と該上面部(1)をつなぐ第2の側面(3)と、 (c)該底面部(2)から突出した、一対の対向する円弧状の第1の凸部(4)を有し、 (d)該凸部(4)は、柔軟なシート(10)中央の突起部分の周りの白い保護シート(13)に対応する位置に存在し、 (e)該柔軟なシート(10)中央の突起部分の周りの白い保護シート(13)の一部分を該底面部(2)の該第1の凸部(4)に載置し、 (f)該上面部(1)と該第1の凸部(4)との間には該底面部(2)及び該底面部(2)よりも高いが該第1の凸部(4)よりも低い第2の凸部が存在する、 (g)該シート(10)を収容する容器。 」 第4 対比・判断 1 構成要件の充足性について イ号物件が、本件特許発明の構成要件を充足するか否かについて、検討する。 (1)構成要件(A)について イ号物件は、「円形の外縁部及び該外縁部から立ち上がる第1の側面と、該第1の側面につながる上面部(1)と、該上面部(1)から窪んだ、一辺の一部に半円状の膨らみを有する略正方形状の輪郭の1個の底面部(2)」という構成(a)を有する。 そして、本件特許明細書等の段落【0011】、【0031】、【0032】及び図2等の記載によれば、本件特許発明において、「底面」とは、マイクロニードルパッチ(10)がぴったり収容される窪んだ空間の底の面であり、また、「周辺部」とは、底面凸部(34)に支えられ窪んだ空間にぴったり収容されたマイクロニードルパッチ(10)の周囲を囲うように位置し、底面(2)よりも高く位置される部分であると解されるところ、本件特許発明の構成要件(A)とイ号物件の構成(a)とを対比すると、イ号物件の「上面部(1)」は、その構造からみて、本件特許発明の「周辺部」に対応し、以下同様に、「1個の底面部(2)」は「1個若しくは複数個の底面」に、それぞれ対応する。 してみると、イ号物件の構成(a)は、本件特許発明の「周辺部より窪んだ1個若しくは複数個の底面」という構成要件(A)を充足する。 (2)構成要件(B)について イ号物件は、「該底面部(2)と該上面部(1)をつなぐ第2の側面(3)」という構成(b)を有する。 本件特許発明の構成要件(B)とイ号物件の構成(b)とを対比すると、イ号物件の「第2の側面(3)」は、本件特許発明の「周辺部」に対応する「上面部」と、本件特許発明の「底面」に対応する「底面部」をつなぐものであり、その構造からみて、本件特許発明の「側面」に対応する。 してみると、イ号物件の構成(b)は、本件特許発明の「該底面と該周辺部をつなぐ側面」という構成要件(B)を充足する。 (3)構成要件(C)について イ号物件は「該底面部(2)から突出した、一対の対向する円弧状の第1の凸部(4)」という構成(c)を有する。 本件特許発明の構成要件(C)とイ号物件の構成(c)とを対比すると、イ号物件の「第1の凸部(4)」は、その構造からみて、本件特許発明の「底面凸部」に対応する。 してみると、イ号物件の構成(c)は、本件特許発明の「該底面から突出した底面凸部」という構成要件(C)を充足する。 (4)構成要件(D)について イ号物件は「該凸部(4)は、柔軟なシート(10)中央の突起部分の回りの白い保護シート(13)に対応する位置に存在し」という構成(d)を有する。 本件特許発明の構成要件(D)とイ号物件の構成(d)とを対比すると、イ号物件の「柔軟性があり」は、その機能及び作用からみて、本件特許発明の「柔軟な」に対応する。また、イ号物件の「シート(10)」は、その構造及び機能からみて、本件特許発明の「マイクロニードルパッチ」に相当する。さらに、イ号部件の「白い保護シート(13)」は、上記第3の3のとおり、剥離シートとして機能するものであることから、本件特許発明の「離型シート」に相当する。 してみると、イ号物件の構成(d)は、本件特許発明の「該底面凸部は柔軟性あるマイクロニードルパッチの離型シートに対応する位置に存在し」という構成要件(D)を充足する。 (5)構成要件(E)について イ号物件は「該柔軟なシート(10)中央の突起部分の回りの白い保護シート(13)の一部分を、該底面部(2)の該第1の凸部(4)に載置し、」という構成(e)を有する。 本件特許発明の構成要件(E)とイ号物件の構成(e)とを対比すると、イ号物件の「保護シート(13)の一部分」は、その構造からみて、本件特許発明の「離型シート部分」に対応する。 また、本件特許発明の「保持し」とは、本件特許明細書の【0033】の「蓋20と収納容器30を係合したとき、この窪み部22と収納容器の底面凸部34及び側面凸部35によりマイクロニードルパッチを挿み、保持する。」という記載からみて、マイクロニードルパッチを収容容器の底面凸部34に載置することを含むものであるといえることから、イ号物件の「載置し」は、その機能及び作用からみて、本件特許発明の「保持し」に対応する。 してみると、イ号物件の構成(e)は、本件特許発明の「該柔軟性あるマイクロニードルパッチの離型シート部分を該各底面の該底面凸部により保持し」という構成要件(E)を充足する。 (6)構成要件(F)について イ号物件は「該上面部(1)と該第1の凸部(4)との間には該底面部(2)及び該底面部(2)よりも高いが該第1の凸部(4)よりも低い第2の凸部が存在する」という構成(f)を有する。 構成(f)について検討するに、上面部(1)と第1の凸部(4)との間には、全体にわたってとまではいえないが、底面部(2)が必ず存在しているといえる。 また、本件特許発明の「底面凸部」は、マイクロニードルパッチを保持するものであるところ、一方、イ号物件の第2の凸部は、第1の凸部(4)よりも低くシート(10)の保持(載置)に寄与するものではないことを踏まえると、底面部(2)の一部を構成しているとみることもできる。そうすると、イ号物件の「底面部(2)」及び「第2の凸部」は、その構造からみて、本件特許発明の「底面」に対応するともいえる。 いずれにしても、イ号物件の構成(f)は、本件特許発明の「該周辺部と該底面凸部との間に該底面が存在する」という構成要件(F)を充足する。 (7)構成要件(G)について イ号物件は「該シート(10)を収容する容器」という構成(g)を有する。 本件特許発明の構成要件(G)とイ号物件の構成(g)とを対比すると、イ号物件の「収容」は、その機能及び作用からみて、本件特許発明の「収納」に相当する。 してみると、イ号物件の構成(g)は、本件特許発明の「マイクロニードルパッチ収納容器」という構成要件(G)を充足する。 2 まとめ 上記1(1)?(7)に示すように、イ号物件の構成(a)ないし(g)は、それぞれ本件特許発明の構成要件(A)ないし(G)を充足しているから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属するものであるといえる。 第5 むすび したがって、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属する。 よって、結論のとおり判定する。 |
判定日 | 2019-06-05 |
出願番号 | 特願2011-225328(P2011-225328) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
YA
(A61M)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 倉橋 紀夫 |
特許庁審判長 |
林 茂樹 |
特許庁審判官 |
高木 彰 芦原 康裕 |
登録日 | 2015-01-30 |
登録番号 | 特許第5687170号(P5687170) |
発明の名称 | マイクロニードルパッチ収納容器 |