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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01G
管理番号 1352634
審判番号 不服2018-6318  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-09 
確定日 2019-06-10 
事件の表示 特願2013-170250「養液栽培方法および養液栽培装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月 2日出願公開、特開2015- 39303〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成25年8月20日の出願であって、その後の手続の概要は以下のとおりである。
平成29年 4月26日 拒絶理由通知(同年4月28日発送)
平成29年 6月26日 意見書・手続補正書
平成29年 9月20日 拒絶理由通知(最後)(同年9月25日発送)
平成29年11月22日 意見書
平成30年 2月 8日 拒絶査定(同年2月14日送達)
平成30年 5月 9日 審判請求
平成30年 6月18日 手続補正書(審判請求書)


2 本願発明について
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成29年6月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「地面または屋内床面から隔離された高い位置に架台方式にて設置されている粒状の無機培地が充填された栽培床および栽培床に取り付けられて培養液を栽培床に供給する給液装置からなる養液栽培装置であって、上記粒状の無機培地がゴミ焼却灰の溶融スラグの冷却粉砕物であることを特徴とする養液栽培装置。」


3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:再公表特許第2011/021716号
引用文献2:特開2004-41157号公報
引用文献3:特開2009-291161号公報

4 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1
原査定で引用された引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は、審決において付した。以下同様。)

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を栽培するための装置に関し、詳しくは、植物の根部に培養液の噴霧を供給して植物を栽培する噴霧耕栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
栽培用の土壌を必要としない植物の栽培方法として、植物の根部を培養液中に浸漬させて栽培する水耕栽培が従来一般に知られており、そのための水耕栽培装置も種々提案されている(例えば特許文献1参照)。また、植物の根部に培養液の噴霧を供給して栽培する噴霧耕栽培も開発されており、そのための噴霧耕栽培装置も種々提案されている(例えば特許文献2参照)。
ここで、植物の根部を培養液中に浸漬させる水耕栽培においては、植物の根部に呼吸障害が発生する恐れがあるが、植物の根部に培養液の噴霧を供給する噴霧耕栽培においては、植物の根部に呼吸障害が発生する恐れは殆どない。
また、一般に水耕栽培では、培養液の定期的な交換が必須であるため、不要となった培養液が下水に排水されることがあり、その場合には、培養液に含まれる肥料によって河川や湖沼が富栄養化する恐れがある。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献2に記載されているような従来一般の噴霧耕栽培装置は、多数の植物を床面などの水平面に沿って栽培するものであり、屋内の壁面緑化のために多数の植物を立面に沿って栽培するようには構成されていない。
そこで、本発明は、屋内の壁面緑化に好適な噴霧耕栽培装置を提供することを課題とする。」

ウ 「【発明の効果】
【0005】
本発明に係る噴霧耕栽培装置によれば、上下複数段に配置される筒状またはダクト状に形成された各植込み担体の複数の植込み穴にそれぞれ植物を植え込み、各植込み担体の内部に臨む植物の根部に噴霧供給部から培養液の噴霧を供給し、各植込み担体の外部に臨む植物の葉部などに栽培用光源から栽培用の光線を照射することにより、複数の植込み担体で構成される立面に沿って多数の植物を適切に栽培することができる。
・・・
ここで、本発明の噴霧耕栽培装置に使用される培養液が窒素、リン酸、カリウムおよび界面活性剤を含む液肥であり、その培養液の噴霧の粒径が3?5μmである場合、植込み担体の複数の植込み穴に植え込まれた植物は、その根部の毛根から培養液の噴霧を効率良く吸収することができる。」

エ 「【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照して本発明に係る噴霧耕栽培装置の実施の形態を順次説明する。なお、以下の説明において、同一または同様の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。
<第1実施形態>
まず、図1?図5を参照して本発明の第1実施形態に係る噴霧耕栽培装置を説明する。第1実施形態に係る噴霧耕栽培装置は、一般の人々が出入りしたり往来する通常の建物や施設において、その屋内の壁面緑化のために植物の噴霧耕栽培を実施するための装置である。
図1に示すように、第1実施形態の噴霧耕栽培装置は、例えばイチゴなどの植物の株が多数植え込まれる複数の植込み担体1,1…1と、各植込み担体1に植え込まれた多数の植物の根部に培養液の噴霧を供給し、かつ、噴霧の結露液を回収するための噴霧ユニット2とを備えている。
各植込み担体1は、所定長さの円筒状に形成されており、左右の中空支柱3,4の間に架設されて上下方向に所定間隔で配列されている。左右の中空支柱3,4は、それぞれ上下の端部が閉塞された角筒状に形成されており、これらの中空支柱3,4の内部空間に複数の植込み担体1,1…1の両端部が連通している。
図2に示すように、各植込み担体1の上部周面には、植物の株を植え込むための複数の植込み穴1A,1A…1Aが形成されている。これらの植込み穴1A,1A…1Aは、各植込み担体1の長手方向に沿って例えば3列に配列されている。そして、各植込み担体1の各植込み穴1Aには、図3に示すように、ウレタンフォームなどからなる保持体5を介して例えばイチゴの株が植え込まれる。
噴霧ユニット2は、図1に示した中空支柱3を介して各植込み担体1の内部空間に培養液の噴霧を供給する噴霧供給部と、培養液の噴霧が各植込み担体1の内部空間で結露した噴霧の結露液を中空支柱4を介して回収する結露液回収部とを構成するものである。
この噴霧ユニット2は、図4に示すように、植物栽培用の培養液Lを貯留し、かつ、培養液Lの噴霧Mを発生させるための貯留タンク2Aを備えている。貯留タンク2Aの内部は、底板2Bとの間に培養液Lの連通孔2Cを形成する区画壁2Dによって二室に区画されている。
貯留タンク2Aの一室は、開閉蓋2Eにより開閉自在に構成されており、その内部には、培養液Lの補給ボトル2Fが倒立状態に支持されて収容されている。この培養液Lは、窒素、リン酸、カリウムおよび界面活性剤を含む液肥であり、例えばイスラエル国メガケム社製の商品名「メガソル」なる水溶性灌水専用液肥が使用されている。
一方、貯留タンク2Aの他室に面する底板2Bには、超音波振動子により培養液Lを微細に振動させて噴霧Mを発生させる噴霧発生器2Gが設置されている。この噴霧発生器2Gは、粒径が100μm以下の噴霧M、例えば50μm程度、好ましくは3?5μm程度の噴霧Mを発生させる。
貯留タンク2Aの他室の天井壁2Hには、噴霧発生器2Gにより発生した噴霧Mを図1に示した各植込み担体1の内部空間に中空支柱3を介して供給するための噴霧供給パイプ2Jと、各植込み担体1の内部空間で結露した噴霧の結露液を中空支柱4を介して回収するためのドレンパイプ2Kとが接続されており、噴霧供給パイプ2Jの途中には送風ファン2Lが介設されている。
噴霧供給パイプ2Jは、例えば図1に一点鎖線で示すダクトホース6を介して中空支柱3の下部の接続口3Aに接続されている。一方、ドレンパイプ2Kは、例えば図1に一点鎖線で示すドレンホース7を介して中空支柱4の下部の接続口4Aに接続されている。」

オ 「<他の実施形態>
・・・
一方、図2、図6、図7に例示した各植込み担体1の内部や、図11に例示した植込み担体11に上下複数段に区画される各段の内部には、これらに植え込まれた植物の根部を支持するための培地材を収容してもよい。培地材としては、土や砂のほか、砂状の溶融スラグである水砕スラグが好適に使用できる。
植込み担体1や植込み担体11の内部に培地材を収容する場合には、周面に複数の噴霧供給孔を有する図示しない噴霧供給パイプを介して培地材中に培養液Lの噴霧Mを供給することができる。」

カ 上記アないしオからみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「所定長さの円筒状に形成されており、左右の中空支柱3,4の間に架設されて上下方向に所定間隔で配列されている複数の植込み担体1と、各植込み担体1に植え込まれた多数の植物の根部に培養液の噴霧を供給するための噴霧ユニット2とを備えている噴霧耕栽培装置であって、
植込み担体1の上部周面には、植物の株を植え込むための複数の植込み穴1Aが形成され、各植込み穴1Aには、ウレタンフォームなどからなる保持体5を介して株が植え込まれ、
噴霧ユニット2は、中空支柱3を介して各植込み担体1の内部空間に培養液の噴霧を供給する噴霧供給部と、結露液回収部とを構成するものであり、
各植込み担体1の内部には、これらに植え込まれた植物の根部を支持するための培地材を収容してもよく、培地材としては、砂状の溶融スラグである水砕スラグが好適に使用でき、周面に複数の噴霧供給孔を有する噴霧供給パイプを介して培地材中に培養液の噴霧を供給することができる、
噴霧耕栽培装置。」

(2)引用文献2
原査定で引用された引用文献2には、以下の事項が記載されている。

ア 「【発明の属する技術分野】
本発明は、農業用人工培土に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
近年水稲、園芸用の苗代の機械植えが普及するにつれて苗代を育成する土壌には人工培土が使用されるようになった。農業生産においては、昔から苗半作といわれるように、育苗期の苗の出来不出来が収穫に大きな影響を与えることが知られている。
培土には生育初期、通気性が必要であるために、従来工程では、原料となる土壌を造粒して団粒構造、つまり通気構造にして通気性を与えて、殺菌乾燥工程を経て製造されている。」

イ 「【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点は、下記請求項1?7に記載の人工培土で解決することができる。
【請求項1】土壌を主成分とする原料にコロイダルシリカを添加して造粒、乾燥してなることを特徴とする農業用人工培土。
【請求項2】上記コロイダルシリカの添加量が0.5?20重量%である請求項1に記載の農業用人工培土。
【請求項3】上記コロイダルシリカの乾燥温度が400℃以下である請求項1あるいは2に記載の農業用人工培土。
【請求項4】上記原料が保水性土壌である請求項1?3のいずれかに記載の農業用人工培土。
【請求項5】上記原料が保水性土壌と肥料成分の混合体である請求項1?3のいずれかに記載の農業用人工培土。
【請求項6】上記保水性土壌が(砂、土、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ロックウール、ビートモス、椰子殻、樹皮、木材パルプ)から選択された一種あるいは二種以上である請求項4あるいは5に記載の農業用人工培土。
【請求項7】上記保水性土壌が、無機質廃棄物粉末を主成分とする焼成品である請求項4あるいは5に記載の農業用人工培土。
【請求項8】上記焼成品が無機質廃棄物粉末と有機質廃棄物とセラミックスバインダーの混合物の焼成品である請求項7に記載の農業用人口培土。
【請求項9】上記有機質廃棄物が炭化してなる請求項8に記載の農業用人工培土。」

ウ 「【0008】
【発明の実施の形態】
・・・
【0009】
培土の土壌成分は保水性構造の土壌が好ましい。
天然の保水性土壌としては、(砂、土、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ロックウール、ビートモス、椰子殻、樹皮、木材パルプ)から選択されたものを好適に使用できる。これらは単独であるいは二種以上を混合して使用できる。
【0010】
人工の保水性土壌としては、無機質廃棄物粉末を主成分とする焼成体を使用できる。
無機質廃棄物粉末の焼成体とは、石炭灰、ごみ焼却灰を溶融ガラス化したスラグ粉末、鋳物の砂、廃陶石の粉末、その他粉末状の無機質廃棄物粉末を多孔質に焼成したものである。」

5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「植込み担体1」、「培養液」、「噴霧耕栽培装置」、「砂状の溶融スラグである水砕スラグ」は、それらの構成及び機能からみて、それぞれ、本願発明の「栽培床」、「培養液」、「養液栽培装置」、「粒状の無機培地」及び「溶融スラグの冷却粉砕物」に相当する。
また、引用発明の「砂状の溶融スラグである水砕スラグ」を「使用」した「培地材」は、本願発明の「無機培地」に相当する。

イ 本願発明の「架台方式」は、その実施例(【0027】)によれば、「架台方式の場合、高床式の栽培床は、容器および容器に取り付けられている複数の(通常は4本以上の偶数の)支柱からなる。」ことであるから、引用発明の「内部には、これらに植え込まれた植物の根部を支持するための培地材を収容してもよく、培地材としては、砂状の溶融スラグである水砕スラグが好適に使用でき、」「左右の中空支柱3,4の間に架設されて上下方向に所定間隔で配列されている複数の植込み担体1」と、本願発明の「地面または屋内床面から隔離された高い位置に架台方式にて設置されている粒状の無機培地が充填された栽培床」とは、「地面または屋内床面から隔離された高い位置に架台方式にて設置されている粒状の無機培地が収容された栽培床」で共通している。

ウ また、引用発明の「各植込み担体1の内部に」備えられた「培地材中に培養液の噴霧を供給することができる」「周面に複数の噴霧供給孔を有する噴霧供給パイプ」は、本願発明の「栽培床に取り付けられて培養液を栽培床に供給する給液装置」に相当する。

エ 上記アないしウからみて、本願発明と引用発明とは、
「地面または屋内床面から隔離された高い位置に架台方式にて設置されている粒状の無機培地が収容された栽培床および栽培床に取り付けられて培養液を栽培床に供給する給液装置からなる養液栽培装置であって、上記粒状の無機培地が溶融スラグの冷却粉砕物である養液栽培装置。」で一致し、以下の2点で相違している。

〔相違点1〕粒状の無機培地が、本願発明は、栽培床に充填されているのに対し、引用発明は、栽培床に収容されているものの充填状態かどうかの特定がない点。
〔相違点2〕溶融スラグの冷却粉砕物が、本願発明は、ゴミ焼却灰のものであるのに対し、引用発明はゴミ焼却灰との特定がない点。


6 判断
上記相違点1及び2について検討する。
(1)相違点1
引用発明において、各植込み担体1の内部には、植物の根部を支持するための培地材を収容してもよく、周面に複数の噴霧供給孔を有する噴霧供給パイプを介して培地材中に培養液の噴霧を供給するものであることからみて、培地材中には、培養液から成長に必要な栄養を吸収するであろう植物の根部が伸長することは明らかであり、植込み担体1内には、該根部の伸長に対応したより多くの量の培地材が収容されている、つまり培地材が充填されているといえる。
よって、引用発明の培地材は、植込み担体1内に充填されているから、相違点1は実質的な相違点とは認められない。
仮に、引用発明の培地材が、植込み担体1内に充填されているとまではいえないとしても、上記で検討した植物の根部の伸長に合わせて、より多くの量の培地材を収容しようとすることは、当業者が当然考慮すべき事項であるから、引用発明の植込み担体1内に収容された培地材を、より多く収容して充填状態とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

(2)相違点2
引用発明の培地材の溶融スラグについてみると、一般的には、廃棄物等を高温で溶融して得られるものであって、また、引用文献2には、農業用人工培土の原料である人工の保水性土壌として用いられる無機質廃棄物粉末の焼成体の例として、ゴミ焼却灰を溶融ガラス化したスラグ粉末が記載されている。
してみると、引用発明の溶融スラグを、引用文献2に記載のスラグ粉末のようにゴミ焼却灰から得られたものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書の手続補正書(5頁)において、a)「引用文献1に記載の『培地材』は、培地材の名前が付けられているものの、植物の根部を支持するための材料に過ぎず、培養液を供給して、植物の根系が無機培地内にて伸長するようにして植物を栽培するための培地では無いと理解すべきであることは明らかです。」、b)「仮に、上記の引用文献1の『培地材』を本願発明の『無機培地』と同義であると理解すると、『噴霧耕栽培』の基本原理である『空中に根系を形成させる方式で、根に十分な酸素が供給される』栽培が実現しないためです。」と主張している。
しかしながら、上記(1)で説示したとおり、培地材は、培養液が供給されること等からみて、植物の根部を伸長させるためのものであることは明らかであるから、上記a)の主張のように、培地材は、単に植物の根部を支持するためだけの材料ではない。
また、上記b)の主張のように、培地材を充填することが「噴霧耕栽培」の基本原理と相違するとしても、引用文献1において、「植物の根部を支持する」、「培養液Lの噴霧Mを供給する」(すなわち、培養液Lが供給される)という培地材の機能が明確に記載されている以上、該基本原理の相違は、引用発明の認定及び上記相違点1の判断に影響しない。

イ また、平成29年11月22日付け意見書(2頁)において、「引用文献1に記載の栽培方法は、前述のように、噴霧耕栽培に分類される栽培方法であって、水耕栽培に分類される栽培方法とは異なる原理に基づいて実施される栽培方法です。一方、引用文献2に記載の栽培方法は、従来から利用されている苗代を育成する土壌を用いる栽培方法です。引用文献1に記載の噴霧耕栽培の発明と引用文献2に記載の従来タイプの土壌を用いる栽培の発明とを組み合わせる動機はあり得ません。そして、仮に引用文献1に記載の発明と引用文献2に記載の発明とを組み合わせたとしても、養液栽培の内の水耕栽培に分類される本願発明の養液培養方法とその方法に利用される新規な装置に到達することはあり得ません。」と主張している。
しかしながら、引用文献1と引用文献2に記載されている栽培方法に相違があったとしても、上記(2)で説示したとおりであって、また、上記(1)で説示した点も併せると、意見書における請求人の主張は採用できないものである。

(4)小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび
以上のとおり、本願の請求項4に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-03-29 
結審通知日 2019-04-02 
審決日 2019-04-25 
出願番号 特願2013-170250(P2013-170250)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門 良成  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 須永 聡
住田 秀弘
発明の名称 養液栽培方法および養液栽培装置  
代理人 柳川 泰男  

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