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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F21S
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 F21S
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F21S
管理番号 1352830
審判番号 不服2018-2017  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-14 
確定日 2019-07-09 
事件の表示 特願2015-227454号「照明器具」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月31日出願公開、特開2016- 42485号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 手続の経緯
本願は、平成26年2月27日に出願された特願2014-37181号(以下「原出願」という。)の一部を平成27年11月20日に新たな出願としたものであって、平成28年8月29日付けで拒絶理由通知がされ、同年11月1日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年3月31日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、同年6月1日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月27日付けで同年6月1日の手続補正書による補正が却下されると共に拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、平成30年2月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、平成31年2月22日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年4月19日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
本願請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:国際公開第2011/135956号

第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

1 分割要件について
本願は原出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「原出願の当初明細書等」という。)の記載のすべてを総合して導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入する事項を含むので、本願は適法に分割されたものではない。

2 新規性進歩性について
(1)本願請求項1、2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)本願請求項3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献A:特開2015-162378号公報
(原出願の公開特許公報)
上記「1」のとおりであるから、本願の出願日は原出願の出願日に遡及せず、実際の出願日である平成27年11月20日である。

3 サポート要件、明確性要件について
本願請求項1?3に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものでなく、明確でもないので、特許法第36条第6項第1、2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成31年4月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、当該補正により請求項は1のみとなっている。

「【請求項1】
本体側凹部を有する器具本体と、
一部が前記本体側凹部の開口から前記本体側凹部の内部に収納されて前記器具本体に取り付けられており、前記器具本体に着脱可能な光源ユニットと
を備えた照明器具であって、
前記光源ユニットは、
光源と、
前記本体側凹部の前記内部に収納されるとともに前記器具本体と着脱可能に係合する、前記光源が配置されたフレームと、
前記光源を覆うように前記フレームと係合しているカバーであって、
前記光源と対向する面が外側に凸となる曲面で形成された長手形状のカバー部、
前記カバー部の前記長手形状の長手方向に沿った一方の端部から起立する第1の側部、
前記カバー部の前記長手形状の長手方向に沿った他方の端部から起立する第2の側部を有しているカバーと
を備え、
前記本体側凹部は、
前記光源ユニットの一部が前記開口から収納された状態で、前記フレームと対向する天板部を有し、
前記カバーは、
前記天板部から前記フレームに向かう方向において、前記第1の側部と前記第2の側部が前記開口に対して前記本体側凹部の外側に位置し、
前記第1の側部は、
前記第2の側部に向かって凹形状に凹む第1側凹部を有し、
前記第2の側部は、
前記第1の側部に向かって凹形状に凹む第2側凹部を有している照明器具。」

第5 当審拒絶理由通知について
1 分割要件について
本件補正により、補正前の請求項1の「光軸」に関する事項が削除され、補正前の請求項1の「凹部」に関する事項も「前記第1の側部は、前記第2の側部に向かって凹形状に凹む第1側凹部を有し、前記第2の側部は、前記第1の側部に向かって凹形状に凹む第2側凹部を有している」ことが特定され、請求項2も削除されたため、本願発明は、原出願の当初明細書等の記載のすべてを総合して導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえなくなった。
したがって、本願は適法に分割されたものである。

2 新規性進歩性について
上記「1」のとおり、本願は適法に分割されたものであるので、原出願の公開公報である引用文献Aに記載された発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明とはいえない。
したがって、当審拒絶理由通知で指摘した、特許法第29条第1項第3号または同条第2項に係る拒絶理由は解消した。

3 サポート要件、明確性要件について
本件補正により、補正前の請求項1の「光軸」に関する事項が削除され、補正前の請求項1の「凹部」に関する事項も「前記第1の側部は、前記第2の側部に向かって凹形状に凹む第1側凹部を有し、前記第2の側部は、前記第1の側部に向かって凹形状に凹む第2側凹部を有している」ことが特定され、補正前の請求項1の「前記開口に対して前記本体側凹部の外側」の方向も「前記天板部から前記フレームに向かう方向」におけることが特定され、請求項2、3も削除された。
したがって、当審拒絶理由通知で指摘した、特許法第36条第6項第1、2号に係る拒絶理由は解消した。

第6 原査定について
1 引用文献1の記載事項等
(1)記載事項
原査定の拒絶の理由で引用した引用文献1には次の事項が記載されている。
(1a)「[請求項1] 一対の側壁を含み、透光性を有するカバーと、
前記カバーの前記一対の側壁の内側面間に配置された一対の外側面と、この一対の外側面間に配置されたフィンとを含む放熱部材と、
前記放熱部材に支持され前記カバーに収容された発光素子と、
前記カバーの各前記内側面および前記放熱部材の各前記外側面の何れか一方に配置された凸部と、
前記カバーの各前記内側面および前記放熱部材の各前記外側面の何れか他方に配置され、前記カバーの長手方向に延び、前記凸部に嵌合する凹部と、
を備える、発光装置。」

(1b)「[請求項6] 請求項1?5の何れか一項に記載の発光装置と、
固定面に固定されるように構成されたブラケットとを備え、
前記ブラケットは、前記凹部および前記凸部を挟むようにして前記カバーの前記一対の側壁を挟む一対の挟持片を含む、発光装置の取付構造。」

(1c)「[0017] 発光装置1は、たとえば、2つのブラケット2を介して、固定面としての壁面(図示せず)に固定されるようになっている。発光装置1およびブラケット2によって、発光装置の取付構造が形成されている。
図2は、発光装置1の分解斜視図およびブラケット2の斜視図である。図3は、発光装置1およびブラケット2を発光装置1の長手方向と直交する断面で切断した断面図であり、発光装置1とブラケット2とは分離した状態を示している。図2および図3に示すように、発光装置1は、回路基板3と、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)4と、シート5と、放熱部材6と、カバー7と、キャップ8,9と、シール部材10,11と、を備えている。」

(1d)「[0022] 放熱部材6は、ベース14と、一対の第1フィン15a,15bと、一対の第2フィン16a,16bと、一対の第3フィン17a,17bと、一対の第4フィン18a,18bと、を含んでいる。・・・」

(1e)「[0025] 各外側面6a,6bには、第1凹部21a,21bが形成されている。第1凹部21a,21bは、長手方向X1において、放熱部材6の全域に亘って形成されている。各第1凹部21a,21bは、長手方向X1に見たときに、円弧形形状に形成されており、滑らかな湾曲面とされている。・・・」

(1f)「[0028]・・・カバー7は、底壁23と、天壁24と、一対の側壁25a,25bとを含んでいる。・・・
[0029] 天壁24とLED4とは、高さ方向Z1に所定の距離を隔てて相対向している。長手方向X1に見たとき、天壁24は、回路基板3から遠ざかる方向に凸となる滑らかな湾曲形状に形成されている。・・・」

(1g)「[0030] 一対の側壁25a,25bにおけるカバー7の内側面71a,71bは、放熱部材6の一対の外側面6a,6bを挟んでいる。内側面71a,71bは、第1凸部22a,22bを含んでいる。第1凸部22a,22bは、長手方向X1において、カバー7の全域に亘って形成されている。一対の第1凸部22a,22bは、一対の第1凹部21a,21bと略一致する形状に形成されている。・・・
[0031]各第1凸部22a,22bは、対応する第1凹部21a,21bに嵌合しており、対応する第1凹部21a,21bに対して長手方向X1にスライド可能である。・・・
[0032]一対の側壁25a,25bにおけるカバー7の外側面72a,72bは、第2凹部28a,28bを含んでいる。・・・」

(1h)「[0039] 以上が、発光装置1の概略構成である。次いで、ブラケット2を説明する。
図2に示すように、ブラケット2は、たとえば、長手方向X1における発光装置1の両端にそれぞれ配置されており、発光装置1を2カ所で支持している。なお、各ブラケット2の構成は同様であるので、以下では、カバー7の一端7aに配置されているブラケット2について説明する。
[0040] ブラケット2は、たとえば、ポリカーボネートなどの合成樹脂製の成形品である。ブラケット2は、たとえば、透明である。ブラケット2は、ベースプレート41と、一対の挟持片42a,42bとを含んでいる。ベースプレート41は、略矩形の板状に形成されている。ベースプレート41には、長手方向X1に沿って複数のねじ挿通孔41aが形成されている。このねじ挿通孔41aを挿通する固定ねじ(図示せず)によって、ベースプレート41が壁面に固定されるようになっている。」

(1i)「[0043] 図3を参照して、ブラケット2の一対の挟持片42a,42bは、発光装置1のカバー7および放熱部材6を挟持するために設けられている。一対の挟持片42a,42bは、第1凸部22a,22bおよび第1凹部21a,21bを挟むようにしてカバー7の側壁25a,25bを挟む。・・・
[0044]・・・これにより、一対の挟持片42a,42bの内側面46a,46bには、第2凸部29a,29bが設けられている。・・・」

(1j)「[0045] 次に、壁面に固定されたブラケット2に対する発光装置1の着脱を説明する。ブラケット2に発光装置1を取り付ける際には、図6Aに示すように、まず、発光装置1のカバー7の底壁23を、ブラケット2のベースプレート41に対して傾ける。この状態で、図6Bに示すように、カバー7の第2凹部28bを、ブラケット2の第2凸部29bに嵌める・・・」

(1k)「[0047]・・・一対の第2凸部29a,29bは、一対の第2凹部28a,28bを弾性的に挟持している。・・・」

(1l)[0050] 次に、ブラケット2から発光装置1を取り外すときには、・・・」

(2)記載された発明
上記記載事項(1j)、(1l)の下線部を言い換えれば、「ブラケット2」と「発光装置1」は着脱自在であるといえる。
また、上記記載事項(1g)の下線部を言い換えれば、「第1凸部22a、22b」は「カバー7」の「各内側面71a、71b」に配置され、「第2凹部28a、28b」は「一対の側壁25a、25b」における「カバー7」の「外側面72a、72b」に配置されているといえる。
以上のことと、上記(1)の各記載事項より、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「ベースプレート41と、一対の挟持片42a、42bとを含む2つのブラケット2と、
ブラケット2の一対の挟持片42a、42bは、発光装置1のカバー7および放熱部材6を挟持するために設けられ、前記ブラケット2に着脱可能な発光装置1と
を備えた発光装置1およびブラケット2によって構成される発光装置の取付構造であって、
前記発光装置1は、
底壁23と、長手方向X1に見たとき、回路基板3から遠ざかる方向に凸となる滑らかな湾曲形状に形成されている天壁24と、一対の側壁25a、25bとを含み、透光性を有するカバー7と、
前記カバー7の前記一対の側壁25a、25bの内側面71a、71b間に配置された一対の外側面6a、6bと、この一対の外側面間6a、6bに配置された一対の第1フィン15a、15bと、一対の第2フィン16a、16bと、一対の第3フィン17a、17bと、一対の第4フィン18a、18bとを含む放熱部材6と、
前記放熱部材6に支持され前記カバー7に収容された発光素子としてのLED4と、
前記カバー7の各前記内側面71a、71bに配置された第1凸部22a、22bと、
前記放熱部材6の各前記外側面6a、6bに配置され、長手方向X1の全域に亘って形成され、前記第1凸部22a、22bに嵌合する第1凹部21a、21bと、
前記一対の側壁25a,25bにおけるカバー7の外側面72a、72bに配置された第2凹部28a、28bと、を備え、
前記一対の挟持片42a、42bの内側面46a、46bには、第2凸部29a、29bが設けられ、
一対の第2凸部29a、29bは、一対の第2凹部28a、28bを弾性的に挟持し、
前記一対の挟持片42a、42bは、前記カバー7の第1凸部22a、22bおよび前記放熱部材6の第1凹部21a、21bを挟むようにして前記カバー7の側壁25a、25bを挟む
発光装置1およびブラケット2によって構成される発光装置の取付構造。」

2 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 後者の「発光装置1」は前者の「光源ユニット」に相当し、以下同様に、「発光素子としてのLED4」は「光源」に、「カバー7」は「カバー」に、「天壁24」は「カバー部」に、それぞれ相当する。
また、後者の「放熱部材6」は「発光素子としてのLED4」を支持するものであるから、前者の「フレーム」に相当するといえる。

イ 後者の「ブラケット2」の「ベースプレート41と、一対の挟持片42a,42b」とによって囲まれた箇所は凹部といえるものであり、「一対の挟持片42a,42b」の先端同士の間の箇所は、開口をなしているといえるものである(下記参考図も参照。)。また、後者の「ブラケット2」と、前者の「器具本体」は、後者の「発光装置1」または前者の「光源ユニット」を被取付け箇所に取り付けるための「取付部材」であることでは共通するといえる。
〔参考図〕(引用文献1の[図3]に当審が矢印等を付加。)

そうすると、後者の「ベースプレート41と、一対の挟持片42a,42bとを含む2つのブラケット2」と、前者の「本体側凹部を有する器具本体」とは、「取付部材側凹部を有する取付部材」の限度で一致するといえ、また、後者の「ベースプレート41」は、前者の「天板部」に相当するといえる。

ウ 後者の「発光装置1」は、引用文献1の[図6]、[図7]より、一部が上記イの開口から凹部の内部に収容されていることが明らかである。
そうすると、上記ア、イも踏まえると、後者の「ブラケット2の一対の挟持片42a、42bは、発光装置1のカバー7および放熱部材6を挟持するために設けられ、前記ブラケット2に着脱可能な発光装置1」と、前者の「一部が前記本体側凹部の開口から前記本体側凹部の内部に収納されて前記器具本体に取り付けられており、前記器具本体に着脱可能な光源ユニット」とは、「一部が前記取付部材側凹部の開口から前記取付部材側凹部の内部に収納されて前記取付部材に取り付けられており、前記取付部材に着脱可能な光源ユニット」の限度で一致するといえる。

エ 後者の「発光装置1およびブラケット2によって構成される」ものは、前者の「照明器具」に相当するといえる。

オ 後者の「カバー7」の「一対の側壁25a、25b」は、前者の「第1の側部」及び「第2の側部」に相当し、それは「天壁24」の一方の端部及び他方の端部から起立しているといえるものである。
また、後者の「天壁24」は長手形状であること(引用文献1の[図2]、後者の「一対の側壁25a、25b」の「第2凹部28a、28b」は、それぞれが他方の側壁に向かって凹形状に凹むものであること(引用文献1の[図3])、及び、後者の「ブラケット2」の「ベースプレート41」は、「ブラケット2」の凹部に「発光装置1」の一部が開口から収納された状態で、「放熱部材6」と対向するものであること(引用文献1の[図7])は明らかである。
そうすると、上記ア?ウも踏まえると、後者の
「ベースプレート41と、一対の挟持片42a,42bとを含む2つのブラケット2」を有すること、及び、
「前記発光装置1は、
底壁23と、長手方向X1に見たとき、回路基板3から遠ざかる方向に凸となる滑らかな湾曲形状に形成されている天壁24と、一対の側壁25a、25bとを含み、透光性を有するカバー7と、
前記カバー7の前記一対の側壁25a、25bの内側面71a、71b間に配置された一対の外側面6a、6bと、この一対の外側面間6a、6bに配置された一対の第1フィン15a、15bと、一対の第2フィン16a、16bと、一対の第3フィン17a、17bと、一対の第4フィン18a、18bとを含む放熱部材6と、
前記放熱部材6に支持され前記カバー7に収容された発光素子としてのLED4と、
前記カバー7の各前記内側面71a、71bに配置された第1凸部22a、22bと、
前記放熱部材6の各前記外側面6a、6bに配置され、長手方向X1の全域に亘って形成され、前記第1凸部22a、22bに嵌合する第1凹部21a、21bと、
前記一対の側壁25a,25bにおけるカバー7の外側面72a、72bに配置された第2凹部28a、28bと、を備え、
前記一対の挟持片42a、42bの内側面46a、46bには、第2凸部29a、29bが設けられ、
一対の第2凸部29a、29bは、一対の第2凹部28a、28bを弾性的に挟持し、
前記一対の挟持片42a、42bは、前記カバー7の第1凸部22a、22bおよび前記放熱部材6の第1凹部21a、21bを挟むようにして前記カバー7の側壁25a、25bを挟む」
ことと、後者の
「前記光源ユニットは、
光源と、
前記本体側凹部の前記内部に収納されるとともに前記器具本体と着脱可能に係合する、前記光源が配置されたフレームと、
前記光源を覆うように前記フレームと係合しているカバーであって、
前記光源と対向する面が外側に凸となる曲面で形成された長手形状のカバー部、
前記カバー部の前記長手形状の長手方向に沿った一方の端部から起立する第1の側部、
前記カバー部の前記長手形状の長手方向に沿った他方の端部から起立する第2の側部を有しているカバーと
を備え、
前記本体側凹部は、
前記光源ユニットの一部が前記開口から収納された状態で、前記フレームと対向する天板部を有し、
前記カバーは、
前記天板部から前記フレームに向かう方向において、前記第1の側部と前記第2の側部が前記開口に対して前記本体側凹部の外側に位置し、
前記第1の側部は、
前記第2の側部に向かって凹形状に凹む第1側凹部を有し、
前記第2の側部は、
前記第1の側部に向かって凹形状に凹む第2側凹部を有している」
こととは、
「前記光源ユニットは、
光源と、
前記光源が配置されたフレームと、
前記光源を覆うように前記フレームと係合しているカバーであって、
前記光源と対向する面が外側に凸となる曲面で形成された長手形状のカバー部、
前記カバー部の前記長手形状の長手方向に沿った一方の端部から起立する第1の側部、
前記カバー部の前記長手形状の長手方向に沿った他方の端部から起立する第2の側部を有しているカバーと
を備え、
前記取付部材側凹部は、
前記光源ユニットの一部が前記開口から収納された状態で、前記フレームと対向する天板部を有し、
前記カバーは、
前記第1の側部は、
前記第2の側部に向かって凹形状に凹む第1側凹部を有し、
前記第2の側部は、
前記第1の側部に向かって凹形状に凹む第2側凹部を有している」
ことの限度で一致しているといえる。

カ 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点〕
「取付部材側凹部を有する取付部材と、
一部が前記取付部材側凹部の開口から前記取付部材側凹部の内部に収納されて前記取付部材に取り付けられており、前記取付部材に着脱可能な光源ユニットと
を備えた照明器具であって、
前記光源ユニットは、
光源と、
前記光源が配置されたフレームと、
前記光源を覆うように前記フレームと係合しているカバーであって、
前記光源と対向する面が外側に凸となる曲面で形成された長手形状のカバー部、
前記カバー部の前記長手形状の長手方向に沿った一方の端部から起立する第1の側部、
前記カバー部の前記長手形状の長手方向に沿った他方の端部から起立する第2の側部を有しているカバーと
を備え、
前記取付部材側凹部は、
前記光源ユニットの一部が前記開口から収納された状態で、前記フレームと対向する天板部を有し、
前記カバーは、
前記第1の側部は、
前記第2の側部に向かって凹形状に凹む第1側凹部を有し、
前記第2の側部は、
前記第1の側部に向かって凹形状に凹む第2側凹部を有している照明器具。」

〔相違点1〕
「取付部材」及び「取付部材側凹部」に関し、本願発明が「器具本体」及び「本体側凹部」であるのに対し、引用発明は「2つのブラケット2」、及び、「ブラケット2」の「ベースプレート41と、一対の挟持片42a,42b」とによって囲まれた箇所である点。

〔相違点2〕
「フレーム」に関し、本願発明が「前記本体側凹部の前記内部に収納されるとともに前記器具本体と着脱可能に係合する」ものであるのに対し、引用発明の「放熱部材6」(フレームに相当)は、「ブラケット2」の凹部の内部に収納されるものではなく(引用文献1の[図6]、[図7]から、凹部の内部からはみ出る部分を有している。)、また、「放熱部材6」の「ブラケット2」に対する取付けは、「一対の挟持片42a、42b」の「一対の第2凸部29a、29b」が「カバー7」の「一対の第2凹部28a、28bを弾性的に挟持し」て、「前記一対の挟持片42a、42bは、第1凸部22a、22bおよび第1凹部21a、21bを挟むようにしてカバー7の側壁25a、25bを挟む」もの、すなわち、「カバー7」を介して「ブラケット2」の「一対の挟持片42a、42b」により挟まれるものであって、「放熱部材6」が「ブラケット2」自体に係合するものではない点。

〔相違点3〕
「第1の側部」と「第2の側部」に関し、本願発明が、「前記天板部から前記フレームに向かう方向において、前記第1の側部と前記第2の側部が前記開口に対して前記本体側凹部の外側に位置し」ているのに対し、引用発明の「一対の側壁25a、25b」(第1の側部と第2の側部に相当)の「カバー7の外側面72a、72bに配置された第2凹部28a、28b」は、「一対の挟持片42a、42b」の「一対の第2凸部29a、29b」により弾性的に挟持されるものであって、「一対の側壁25a、25b」における「第2凹部28a、28b」が配置された箇所は「ブラケット2」の「ベースプレート41」(天板部に相当)から「放熱部材6」(フレームに相当)に向かう方向において、開口に対して凹部の外側に位置していない点。

(2)判断
新規性について
上記のとおり、本願発明と引用発明には、上記相違点1?3が存在するので、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当しない。

進歩性について
事案に鑑み、上記相違点3について検討する。
上述したとおり、引用発明の「一対の側壁25a、25b」(第1の側部と第2の側部に相当)における「第2凹部28a、28b」が配置された箇所が設けられた箇所は、「ブラケット2」の「一対の挟持片42a、42b」の「一対の第2凸部29a、29b」により弾性的に挟持されるものであるから、必然的に「ブラケット2」の開口の内側に位置する必要があるものである。
そうすると、引用発明の「一対の側壁25a、25b」における「第2凹部28a、28b」が配置された箇所を、「ブラケット2」の開口に対して凹部の外側に位置させることは、構成上採用し得ないものである(仮に、引用発明の「第2凹部28a、28b」が配置された箇所を、「ブラケット2」の開口に対して凹部の外側に位置させるよう変更したのなら、「第2凹部28a、28b」が有する「一対の挟持片42a、42b」の「一対の第2凸部29a、29b」により弾性的に挟持されるという機能を失わせることになる。)。
したがって、引用発明において少なくとも上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項を有するものとすることは、当業者であっても容易になし得たということはできない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明は、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえないので、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-06-24 
出願番号 特願2015-227454(P2015-227454)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (F21S)
P 1 8・ 121- WY (F21S)
P 1 8・ 537- WY (F21S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三島木 英宏松本 泰典當間 庸裕野木 新治  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
中川 真一
発明の名称 照明器具  
代理人 溝井国際特許業務法人  
代理人 溝井国際特許業務法人  

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