• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02J
管理番号 1352894
審判番号 不服2017-17600  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-28 
確定日 2019-06-19 
事件の表示 特願2016-160315「電力モニタリングシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月23日出願公開、特開2017- 42037〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年8月18日(パリ条約による優先権主張 2015年8月19日(KR)韓国、2015年8月24日(KR)韓国)の出願であって、平成29年3月30日付け拒絶理由通知に対して同年7月4日付けで手続補正がなされたが、同年7月25日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年11月28日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。


第2 平成29年11月28日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成29年11月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
平成29年11月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするものであり、請求項1については、
本件補正前に、
「【請求項1】
電力システムに含まれた負荷が消費する電力パターンを測定するサンプリング装置;
系統から前記電力システムに供給される第2電力量を測定する計器;
貯蔵された電力または発電から取得した電力を前記電力システムに供給し、供給した第3電力量を測定する電力供給装置;
前記サンプリング装置から負荷が消費する電力パターンの測定結果を受信し、当該測定結果に基づいて負荷が消費する第1電力量を取得する外部サーバ;及び
前記第2電力量及び前記第3電力量の少なくともいずれか一つを受信し、前記外部サーバとデータを送受信するホームサーバを含み、
前記ホームサーバは、前記外部サーバから前記第1電力量を受信し、受信しなかった電力量を、受信した前記第1電力量と、受信した前記第2電力量又は前記第3電力量のいずれか一つとを用いて演算する、
電力モニタリングシステム。」
とあったところを、
本件補正により、
「【請求項1】
電力システムに含まれた負荷が消費する電力パターンを測定するサンプリング装置;
系統から前記電力システムに供給される第2電力量を測定する計器;
貯蔵された電力または発電から取得した電力を前記電力システムに供給し、供給した第3電力量を測定する電力供給装置;
前記サンプリング装置から負荷が消費する電力パターンの測定結果を受信し、当該測定結果に基づいて負荷が消費する第1電力量を取得する外部サーバ;及び
前記第2電力量及び前記第3電力量の少なくともいずれか一つを受信し、前記外部サーバとデータを送受信するホームサーバを含み、
前記ホームサーバは、前記外部サーバから前記第1電力量を受信し、受信しなかった電力量を、受信した前記第1電力量と、受信した前記第2電力量又は前記第3電力量のいずれか一つとを用いて演算し、
前記第2電力量は、電力システムが消費する電力及び供給する電力を全てまとめた電力量である、
電力モニタリングシステム。」
とするものである。なお、下線は補正箇所を示す。

2.補正の適否
上記補正の内容は、本件補正前の請求項1において、「前記第2電力量」について、「電力システムが消費する電力及び供給する電力を全てまとめた電力量である」との限定を付加したものである。
よって、上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記第2電力量」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」に本件補正後の請求項1として記載したとおりのものである。

(2)引用例
ア.引用例1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-83085号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(ア)「【0001】
本発明は、太陽光発電装置などの発電装置により発電された電力の情報や商用電源の電力系統から供給される電力の情報などを統括管理する電力管理システムに関する。」

(イ)「【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る電力管理システムを具体化した第1の実施形態について図に従って説明する。図1は、電力管理システムの一部を構成する電力供給システム1についてその構成を機能ブロックにより概略的に示した図である。」

(ウ)「【0033】
商用の交流電源2とAC分電盤11との間には、商用の交流電源2の使用量を遠隔検針可能な電力メータ29が接続されている。電力メータ29には、商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能のみならず、例えば電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)や無線通信の機能が搭載されている。電力メータ29は、電力線搬送通信や無線通信等を介して検針結果を電力会社等に送信する。なお本実施形態では、電力会社に検針結果を伝達する電力メータ29と電力会社との間の通信は、電力会社と電柱との間では公知の通信回線を介して行なわれ、同通信回線と同電力メータ29との間では同電柱の降圧トランスに接続されている引き込み電力線2Aを通信媒体とする電力線搬送通信により行なわれるようになっている。また、電力メータ29は、AC分電盤11に中継される電力線2B及び交流系電力線12を介して接続されているコントロールユニット7との間での電力線搬送通信も可能となっている。電力メータ29は、上記の電力線搬送通信や専用線による通信、もしくは無線通信などによりコントロールユニット7と通信を行ない、計測した電力量などの保有する電力情報をコントロールユニット7に伝達することができる。さらに、本実施形態では、電力メータ29には、電力属性記憶部2S(図2参照)が設けられている。電力属性記憶部2Sには、電力メータ29にて計測された電力量と、当該電力量に対応する電力に付随する電力属性に基づいて生成される電力属性レコードが記憶されている。なお、電力属性レコードについては、後に詳しく述べる。」

(エ)「【0037】
電力供給システム1には、電力供給システム1での電力運用を調整する集合分電盤50が、AC分電盤11、コントロールユニット7、DC分電盤8、制御ユニット9、リレーユニット10、宅内サーバ31及びコントロールボックス36を含むかたちで構成されている。すなわち、集合分電盤50は、AC分電盤11、コントロールユニット7、DC分電盤8、制御ユニット9、及びリレーユニット10に接続されている電力線の各系統に対応した各AC機器6、太陽電池3、燃料電池4、蓄電池16、各DC機器5などにそれぞれ接続されている。また集合分電盤50は、各系統の電力情報の計測が可能となっており、各系統の電力情報を計測するようになっている。なお、交流電力の電力情報としては、電圧、電流、電力量、周波数、位相などの種類があげられ、直流電流の電力情報としては、電圧、電流、電力量などの種類があげられ、それらから選択された電力情報が集合分電盤50にて計測される。なお、本実施形態では、電力情報として電力量を計測するようにしている。詳述すると、コントロールユニット7、AC分電盤11には、そこを出入りする電力の電力情報を計測する電力測定部(図示略)が設けられ、DC分電盤8、制御ユニット9、リレーユニット10にはそれぞれ出力する電力情報を計測する電力測定部(図示略)が設けられている。これらコントロールユニット7、DC分電盤8、制御ユニット9、リレーユニット10及びAC分電盤11の電力測定部を介して集合分電盤50は、各種電気機器の電力情報を計測する。また、制御ユニット9には接続されている各DC機器5の電力情報が通信により集約されるので、集合分電盤50は各DC機器5が自身で測定した電力量を制御ユニット9を介して取得して用いてもよい。」

(オ)「【0040】
次に、本実施形態の電力管理システムの具体的な構成ついて、図2?図4に従って説明する。図2は、電力管理システムの構成を具体的に示した構成図であり、図3は、集合分電盤50の全体の概略構成を示す図であり、図4は、電力属性生成部により生成された電力属性情報体の構造を模式的に示す図である。
【0041】
図2に示すように、住宅Hの電力供給システム1は、電力メータ29と集合分電盤50とを接続する電力線2Bを介して、商用電源の交流系統から集合分電盤50に電力が供給(入力)されるとともに、集合分電盤50から商用電源の交流系統に電力が逆供給(出力)される。そして集合分電盤50は、商用電源の電源系統から供給された電力を、電力を蓄電または消費する蓄電池16、電気自動車EV、AC機器6やDC機器5などの宅内負荷機器にそれぞれの電力線の系統を介して供給(入力)する。また集合分電盤50は、太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVなどからそれぞれの電力線の系統を介して出力された電力を商用電源の電源系統に逆供給(出力)する。さらに、集合分電盤50は、太陽電池3,燃料電池4及び蓄電池16などから出力された電力を、電気自動車EV、AC機器6及びDC機器5などに入力することもできる。
【0042】
図3に示すように、集合分電盤50には、集合分電盤50に接続される各電力線の電力量をその電力線の系統毎に計測する系統別電力計測部51と、系統別電力計測部51の計測した電力量が伝達される電力属性生成部55とが設けられている。また、集合分電盤50には、系統別電力計測部51を通る各電力線が接続されるとともに電力属性生成部55に信号線が接続される受給電制御部54と、電力属性生成部55に信号線が接続されるとともに電力メータ29などとの通信可能に接続される通信部56とが設けられている。」

(カ)「【0043】
系統別電力計測部51は、AC用電力測定部52とDC用電力測定部53とを備えており、AC用電力測定部52には交流電力を測定する複数の交流電力測定器52Sが設けられ、DC用電力測定部53には直流電力を測定する複数の直流電力測定器53Sが設けられている。具体的には、系統別電力計測部51は、コントロールユニット7、DC分電盤8、制御ユニット9、リレーユニット10及びAC分電盤11のそれぞれに設けられている各電力測定部から構成されている。すなわち、AC分電盤11の電力測定部に設けられている交流電力測定器がAC用電力測定部52の交流電力測定器52Sに対応し、コントロールユニット7、DC分電盤8、制御ユニット9、リレーユニット10の各電力測定部にそれぞれ設けられている各直流電力測定器がDC用電力測定部53の各直流電力測定器53Sに対応している。これにより、AC用電力測定部52は、電力メータ29に接続される電力線の系統から商用電源の電力系統との間に供給・逆供給される交流電力の電力量や、各AC機器6に接続される電力線の系統から各AC機器6に供給される交流電流の電力量を、それぞれ各系統別に設けられているAC分電盤11に配置される各交流電力測定器52Sにて測定する。また、DC用電力測定部53は、太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量や、蓄電池16や電気自動車EVに接続されている電力線の系統から出力される電力量を、それぞれ各系統別に設けられているコントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53Sにて計測する。さらに、DC用電力測定部53は、各DC機器5に接続される電力線の系統から出力される電力量を、それぞれ系統別に設けられているDC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53Sにて計測する。なお系統別電力計測部51は、電力線の系統別に電力量を測定しているので、例えば、一つの系統に一つの機器(例えば、太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EV)のみが接続される場合、対応する機器の電力量が系統の電力量として計測されるようになる。また例えば、一つの系統に複数の機器(例えば、複数のAC機器4や複数のDC機器5)が接続されるような場合、それら各機器を一括した電力量が系統の電力量として測定されるようになる。
【0044】
系統別電力計測部51は、電力の電力量が計測されると、当該電力に付随する複数の電力属性、例えば、計測された電力量、当該計測が開始された時刻を示す時刻情報、電力が入力された系統を示す電力入力元情報、電力を出力した系統を示す電力出力先情報などを電力属性生成部55に伝達する。すなわち、電力入力元情報とは、集合分電盤50が電力を受け取った源を系統に基づいて区別する情報であって、商用電源、太陽電池3、燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVなどを区別することのできる情報である。また、電力出力先情報とは、集合分電盤50が電力を供給する先を系統に基づいて区別する情報であって、商用電源、蓄電池16、電気自動車EV、AC機器6、DC機器5などを区別することのできる情報である。なお、本実施形態では、系統別電力計測部51は、電力を測定する期間を予め定められた単位時間毎とし、当該単位時間毎に区切って電力量の測定を行なうようにしている。
【0045】
電力属性生成部55は、系統別電力計測部51にて計測された電力に付随する電力属性が伝達されると、当該伝達された電力属性に基づいて計測された電力に付随する電力属性の情報群である電力属性情報体としての電力属性レコードを生成し、電力属性記憶部55Sに記憶する。詳述すると、図4に示すように、電力属性記憶部55Sに記憶された電力属性レコード(レコード)100には電力属性識別子101と、電力属性付加時刻102と、電力属性時間単位103と電力入力元識別子104と、電力出力先識別子105と、電力量106とが含まれている。」

(キ)「【0055】
また集合分電盤50は、通信部56を介して、電力メータ29と通信を行い、電力メータ29を介して買電もしくは売電した電力量の情報を得て、これらを買電、売電の区別や時間情報とともに電力属性として電力属性生成部55の電力属性記憶部55Sに情報を保存することもできる。さらに、電力メータ29から電力メータ29側で記憶した電力属性レコードを、通信部56を介して取得し、集合分電盤50の電力属性生成部55の電力属性記憶部55Sに保存することもできる。」

(ク)「【0057】
また、通信部56には表示部43が通信可能に接続されている。
表示部43は、例えば、宅内テレビ、ドアホン親機、操作パネル40、高精細テレビなどであり、集合分電盤50と通信を通じて集合分電盤50にて管理されている電力属性レコードなどを通信により伝達されて、当該取得した電力属性レコードに基づいて電力運用状況などをグラフやアニメーションなどで分かり易く表示する。例えば、図5に示すように、当該電力供給システム1に接続されている商用電源、太陽電池3、各電気機器(5,6)の電気的な接続を模式的に画像表示するとともに、商用電源の受電電力量及び売電電力量、太陽電池の発電電力量、各電気機器の各使用電力量とを一括表示するようになっている。表示部43は、このような表示を通じてユーザに対して、エネルギーマネジメントの効果を訴求することができるようになっている。」

(ケ)「【0111】
・上記各実施形態では、電力属性生成部55は集合分電盤50に設けられる場合について例示した。しかしこれに限らず、電力属性生成部は、コントロールユニットや宅内サーバの一つに設けられても、集合分電盤を含むいずれか2つ以上の機器に分散して設けられてもよい。これにより、電力属性生成部をその情報処理量に応じて適切な機器に箇所に設けたり、分散配置させたりすることができるようになり、このような電力管理システムの適用範囲が広げられるようになる。」

上記(ア)ないし(ケ)から、引用例1には以下の事項が記載されている。
・上記(ア)によれば、発電装置により発電された電力の情報や商用電源の電力系統から供給される電力の情報などを統括管理する電力管理システムに関するものである。
・上記(カ)によれば、AC用電力測定部52は、各AC機器6に接続される電力線の系統から各AC機器6に供給される交流電流の電力量を、それぞれ各系統別に設けられているAC分電盤11に配置される各交流電力測定器52Sにて測定するものである。したがって、それぞれ各系統別に設けられており、AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52Sは、各AC機器6に接続される電力線の系統から各AC機器6に供給される交流電流の電力量を測定するものである。
・上記(カ)によれば、DC用電力測定部53は、各DC機器5に接続される電力線の系統から出力される電力量を、それぞれ系統別に設けられているDC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53Sにて計測するものである。したがって、それぞれ系統別に設けられており、DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53Sは、各DC機器5に接続される電力線の系統から出力される電力量を計測するものである。
・上記(オ)によれば、商用電源の交流系統から集合分電盤50に電力が供給されるものであり、上記(ウ)によれば、電力メータ29には、商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能が搭載されているものである。
したがって、電力メータ29には、交流系統から集合分電盤50に電力を供給する商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能が搭載されているものである。
・上記(オ)によれば、集合分電盤50は、太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVなどからそれぞれの電力線の系統を介して出力された電力を商用電源の電源系統に逆供給するものであり、集合分電盤50は、太陽電池3,燃料電池4及び蓄電池16などから出力された電力を、電気自動車EV、AC機器6及びDC機器5などに入力するものである。
したがって、太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVは、それぞれの電力線の系統を介して集合分電盤50に電力を出力するものである。
・上記(カ)によれば、DC用電力測定部53は、太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量を、それぞれ各系統別に設けられているコントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53Sにて計測するものである。したがって、それぞれ各系統別に設けられており、コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53Sは、太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量を計測するものである。
・上記(ケ)によれば、電力属性生成部は、宅内サーバに設けられるものである。
・上記(イ)によれば、図1は、電力供給システム1についてその構成を機能ブロックにより概略的に示した図であり、図1によれば、電力供給システム1には、集合分電盤50とDC機器5とAC機器6が含まれるものである。
・上記(カ)によれば、系統別電力計測部51は、計測された電力量などの複数の電力属性を電力属性生成部55に伝達するものである。
・上記(カ)によれば、系統別電力計測部51は、AC用電力測定部52とDC用電力測定部53とを備えており、AC用電力測定部52には交流電力を測定する複数の交流電力測定器52Sが設けられ、DC用電力測定部53には直流電力を測定する複数の直流電力測定器53Sが設けられているものである。したがって、系統別電力計測部51は、複数の交流電力測定器52Sと複数の直流電力測定器53Sとを備えているものである。
・上記(キ)によれば、集合分電盤50は、通信部56を介して、電力メータ29と通信を行い、電力メータ29を介して買電もしくは売電した電力量の情報を得て、電力属性生成部55の電力属性記憶部55Sに情報を保存するものである。
・上記(カ)によれば、系統別電力計測部51は、一つの系統に複数のAC機器4や複数のDC機器5が接続されるような場合、それら各機器を一括した電力量が系統の電力量として測定されるものである。
・上記(オ)によれば、集合分電盤50は、太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVからそれぞれの電力線の系統を介して出力された電力を商用電源の電源系統に逆供給するものである。
・上記(オ)によれば、集合分電盤50は、商用電源の電源系統から供給された電力を、電力を蓄電または消費する蓄電池16、電気自動車EV、AC機器6やDC機器5などの宅内負荷機器にそれぞれの電力線の系統を介して供給するものである。
・上記(カ)によれば、電力属性生成部55は、当該伝達された電力属性に基づいて電力属性レコードを生成するものであり、上記(ク)によれば、表示部43は、電力属性レコードに基づいて、各電気機器の各使用電力量を一括表示するものである。
・上記(オ)によれば、図2は、電力管理システムの構成を具体的に示した構成図であり、図2によれば、電力管理システムは、太陽電池3、燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EV、集合分電盤50、及び、電力メータ29を含むものである。また、上記(エ)によれば、集合分電盤50は、宅内サーバ31を含むものである。さらに、上記(オ)によれば、集合分電盤50には、系統別電力計測部51が設けられているものであり、上述したとおり、系統別電力計測部51は、複数の交流電力測定器52Sと、複数の直流電力測定器53Sとを備えているものである。
したがって、電力管理システムは、太陽電池3、燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EV、宅内サーバ31、複数の交流電力測定器52S、複数の直流電力測定器53S、及び、電力メータ29を含むものである。

そうすると、上記摘示事項、図1及び図2を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「それぞれ系統別に設けられており、各AC機器6に接続される電力線の系統から各AC機器6に供給される交流電流の電力量を測定する、AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52Sと、
それぞれ系統別に設けられており、各DC機器5に接続される電力線の系統から出力される電力量を計測する、DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53Sと、
交流系統から集合分電盤50に電力を供給する商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能が搭載されている電力メータ29と、
それぞれの電力線の系統を介して集合分電盤50に電力を出力する太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVと、
それぞれ各系統別に設けられており、太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量を計測する、コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53Sと、
電力属性生成部が設けられた宅内サーバ31と、を含み、
集合分電盤50とDC機器5とAC機器6は、電力供給システム1に含まれ、
系統別電力計測部51は、計測された電力量などの複数の電力属性を電力属性生成部55に伝達し、
系統別電力計測部51は、複数の交流電力測定器52Sと複数の直流電力測定器53Sとを備えており、
集合分電盤50は、通信部56を介して、電力メータ29と通信を行い、電力メータ29を介して買電もしくは売電した電力量の情報を得て、電力属性生成部55の電力属性記憶部55Sに情報を保存し、
系統別電力計測部51は、一つの系統に複数のAC機器4や複数のDC機器5が接続されるような場合、それら各機器を一括した電力量が系統の電力量として測定され、
集合分電盤50は、太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVからそれぞれの電力線の系統を介して出力された電力を商用電源の電源系統に逆供給し、
集合分電盤50は、商用電源の電源系統から供給された電力を、電力を蓄電または消費する蓄電池16、電気自動車EV、AC機器6やDC機器5などの宅内負荷機器にそれぞれの電力線の系統を介して供給し、
電力属性生成部55は、当該伝達された電力属性に基づいて電力属性レコードを生成し、表示部43は、電力属性レコードに基づいて、各電気機器の各使用電力量を一括表示し、
発電装置により発電された電力の情報や商用電源の電力系統から供給される電力の情報などを統括管理する電力管理システム。」

イ.引用例2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2015/083397号(以下「引用例2」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(コ)「[0018] 電圧・電流測定部11は、家電機器などの機器の電圧と電流を一定周期で測定し、この測定した電圧、電流の時系列データを出力する。
動作状態変化検出部12は、電圧・電流測定部11からの時系列データに基づいて、この時系列データ不連続点を検出する。これにより、動作状態変化検出部12は、この不連続点に対応する時刻を、機器の動作状態の変化時刻として検出する。」

(サ)「[0020] 動作状態変化検出部12が検出した変化時刻および電圧・電流測定部11からの時系列データに基づいて、特徴波形抽出部13は、機器の動作状態の変化を示す波形としての、変化時刻前後での特徴電流波形を切り出す。FFT演算部14は、特徴波形抽出部13が検出した特徴電流波形に対してFFTを行なうことで、特徴電流波形の高調波のFFT係数を算出する。
[0021] 機器特徴DB部15は、不揮発性メモリなどの記憶媒体である。この機器特徴DB部15は、各機器の各動作状態の特徴に対応する係数としての高調波のFFT係数を記憶する。
高調波重み付き距離算出部16は、FFT演算部14により算出したFFT係数と、各動作状態の特徴に対応する係数としてのFFT係数との間の重み付き距離を算出する。各動作状態の特徴に対応する係数としてのFFT係数は、機器特徴DB部15に記憶される。」

(シ)「[0024] 動作状態推定部17が出力した動作状態を基に、消費電力推定部19は、動作状態を推定した機器に対応する回帰モデルを消費電力DB部15から読み出し、この回帰モデルに基づいて、当該機器ごとの消費電力の推定結果として出力する。」

(ス)「[0043] ここで、動作対象をN個の機器がON動作中の場合に拡大して考えた場合の変化時刻前後での特徴波形を抽出する方法を説明する。
ON動作状態のN個の機器における動作状態の変化を判定するためには、特徴波形抽出部13は、変化時刻前後での特徴波形を抽出する。この特徴波形は、所定の1つの機器についての変化時刻より後の波形と、この機器以外としてのN-1個の機器の動作状態がON状態である場合の波形の合成との差分についての各機器のすべての組み合わせである。」

(セ)「[0060] (第2の実施形態)
・・・(中略)・・・
[0062] 具体的には、ローカル(クライアント)30は、電圧・電流測定部11、動作状態変化検出部12、特徴波形抽出部13、FFT演算部14を含む。また、サーバ40は、機器特徴DB部15、高調波重み付き距離算出部16、動作状態推定部17、消費電力DB部18、消費電力推定部19を含む。
・・・(中略)・・・
[0064] この構成では、ローカル30は、FFT演算部14による演算結果を、ネットワークを通じてからサーバ40へ送信することができる。
サーバ40の動作状態推定部17は、FFT演算部14からの演算結果に基づいて、最も重み付き距離が小さくなる動作状態を推定する。
[0065] また、サーバ40側は、機器の消費電力を消費電力推定部19により推定し、この結果をローカル30の消費電力受信部31に送信することで表示させる。
[0066] このような構成にすることで、第2の実施形態では、ローカル側でのハードウェアコストを削減できる。」

上記(コ)ないし(セ)から、引用例2には、「第2の実施形態」として、「複数(N個)の機器が存在する場合に機器ごとの消費電力を推定して表示させるために、ローカルに含まれる電圧・電流測定部が、機器の電圧と電流を一定周期で測定し、この測定した電圧、電流の時系列データを出力し、ローカルにおいて、電圧、電流の時系列データに対して第1の演算(動作状態変化検出部12、特徴波形抽出部13、FFT演算部14)を実行し、第1の演算を実行した結果をサーバへ送信し、サーバにおいて、第1の演算を実行した結果に対して第2の演算(高調波重み付き距離算出部16、動作状態推定部17、消費電力推定部19)を実行することで、機器ごとの消費電力を推定し、推定した機器ごとの消費電力をローカルに送信する」という技術事項(以下「引用例2に記載された技術事項」という。)が示されている。

ウ.引用例3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2014-39352号公報(以下「引用例3」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(ソ)「【0049】
ここで、系統停電時(自立運転かつACリンク接続時)におけるエネルギー管理装置12の制御部24が行う太陽電池15の発電電力の算出方法の一例について説明する。特定負荷19に対して、太陽電池15の発電電力の供給と、蓄電池16の放電電力の供給が同時に行えない場合を例に説明する。
【0050】
エネルギー管理装置12の通信部23は、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力を受信する。また、通信部23は、蓄電池16が上記の3状態の何れの状態にあるかを受信する。
【0051】
制御部24は、系統停電時(自立運転かつACリンク接続時)に蓄電池16が放電状態である場合、太陽電池15の発電電力を0とする。すなわち、制御部24は、太陽電池15からの電力供給がないものとして電力を算出する。また、制御部24は、系統停電時に蓄電池16が待機状態である場合、太陽電池15の発電電力を、特定負荷19の消費電力と等しい値とする。すなわち、制御部24は、太陽電池15の発電電力は特定負荷19のみに供給されるものとして電力を算出する。また、制御部24は、蓄電池16が充電状態である場合、太陽電池15の発電電力を、特定負荷19の消費電力と蓄電池16の充電電力の合計の値とする。すなわち、制御部24は、太陽電池15の発電電力は特定負荷19に供給され、さらに余剰の電力が蓄電池16に供給されるものとして電力を算出する。
【0052】
上記では、太陽電池15の発電電力の算出方法を示したが、これに限られず、他の電力を算出してもよい。例えば、太陽電池15の発電電力および蓄電池16の充放電電力に基づいて、系統停電時(自立運転かつACリンク接続時)の特定負荷19の消費電力を算出することも可能である。すなわち、制御部24は、蓄電池16が放電状態である場合、特定負荷19の消費電力を、蓄電池16の放電電力と等しい値とする。また、制御部24は、蓄電池16が待機状態である場合、特定負荷19の消費電力を、太陽電池15の発電電力とする。また、制御部24は、蓄電池16が充電状態である場合、特定負荷19の消費電力を、太陽電池15の発電電力から、蓄電池16の充電電力を差し引いた値とする。
【0053】
すなわち、エネルギー管理装置12の制御部24は、太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力及び特定負荷19の消費電力からなる3要素の電力情報うち、いずれか2要素の電力情報を取得し、当該2要素の電力情報に基づいて、3要素の電力情報うち、当該2要素を除いた1要素の電力情報を算出する。」

(タ)「【0066】
このように、本実施形態によれば、太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力の電力情報を、系統停電時にも通信端末11で表示することができる。すなわち、太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力のうち、いずれか2つの電力情報に基づいて、残りの1つの電力情報を算出することができる。したがって、本発明は、例えば太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力および特定負荷19の消費電力のうち、何れか1つの電力情報の精度が低い場合、もしくは得られない場合において特に有効である。」

(チ)「【0070】
すなわち、蓄電池16が放電状態かつ同時供給の構成が無い場合には、特定負荷19には太陽電池からの発電電力が供給されないこととなっていたが、蓄電池16の放電電力同時供給の構成が有る場合には、特定負荷19に太陽電池からの発電電力が供給されうる。よって、蓄電池16が放電状態かつ同時供給の構成が有る場合、エネルギー管理装置12は、太陽電池15の発電電力を特定負荷19の消費電力と蓄電池16の放電電力との差により算出することができる。」

上記(ソ)ないし(チ)から、引用例3には、「太陽電池15の発電電力、蓄電池16の充放電電力及び特定負荷19の消費電力からなる3要素の電力情報うち、いずれか2要素の電力情報を取得し、当該2要素の電力情報に基づいて、3要素の電力情報うち、当該2要素を除いた1要素の電力情報を算出することで、何れか1つの電力情報を得られない場合にも当該1つの電力情報を算出することができる」という技術事項が示されている。

エ.引用例4の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2013-183613号公報(以下「引用例4」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(ツ)「【0055】
なお、蓄電池電力検出部70が蓄電池14の電圧、及び電流を計測したが、太陽電池10の出力端子に付近に太陽電池電力計を(図示せず)を別途設置して計測してもよい。太陽電池電力計を測定することで、管理部46は太陽電池の発電値を取得することができる。そのため、蓄電池14が満充電の状態で、蓄電池14に電流が流れないように、太陽電池の出力変動に応じて交流電力に変換すべき直流電力を算出することができる。また、太陽電池10と蓄電池14との間から分岐された分岐路とインバータ32との間に設置され、インバータ32において交流電力に変換すべき直流電力の電力値を計測する電力検出部50を設置してもよい。電力検出部50を備えることで、インバータ32において変換すべき電力と、蓄電池電力検出部70が計測する蓄電池14の電力との合計が、太陽電池10が発電する電力となる。このように、太陽電池10が発電する電力は電力検出部50および、蓄電池電力検出部70の計測結果から算出することができる。そのため、電力検出部50、蓄電池電力検出部70、および太陽電池電力計が計測する電力のうち、いずれかふたつの電力を計測できれば、残りの電力は算出することができる。したがって、電力検出部50、蓄電池電力検出部70、および太陽電池電力計の全ては必ずしも必要ではなく、少なくとも電力検出部50と太陽電池電力計を備えればよい。」

上記(ツ)から、引用例4には、「インバータ32において変換すべき電力の電力値を計測する電力検出部50、蓄電池14の電力を計測する蓄電池電力検出部70、及び、太陽電池の発電値を計測する太陽電池電力計がそれぞれ計測する電力のうち、いずれかふたつの電力を計測できれば、残りの電力は算出することができる」という技術事項が示されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「AC機器6」及び「DC機器5」は、本願補正発明の「負荷」に相当する。また、引用発明の「電力供給システム1」は本願補正発明の「電力システム」に相当する。したがって、引用発明の「DC機器5とAC機器6は、電力供給システム1に含まれ」るものであるから、引用発明の「AC機器6」及び「DC機器5」は、本願補正発明の「電力システムに含まれた負荷」に相当する。
(イ)引用発明の「交流系統」は本願補正発明の「系統」に相当する。また、引用発明の「集合分電盤50」は電力供給システム1に含まれるものであるから、引用発明の「集合分電盤50に電力を供給する」ことは、本願補正発明の「前記電力システムに供給される」ことに相当する。したがって、引用発明の「交流系統から集合分電盤50に電力を供給する商用電源の電力使用量」は、本願補正発明の「系統から前記電力システムに供給される第2電力量」に相当する。さらに、遠隔検針とは、測定したデータを遠隔地から送信する手法を意味するものであるから、引用発明の「商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能」は、電力量を測定する機能を含むものである。また、引用発明の「電力メータ29」は本願補正発明の「計器」に相当する。
よって、引用発明の「交流系統から集合分電盤50に電力を供給する商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能が搭載されている電力メータ29」は、本願補正発明の「系統から前記電力システムに供給される第2電力量を測定する計器」に相当する。
(ウ)引用発明の「集合分電盤50」は電力供給システム1に含まれるものであり、また、太陽電池や燃料電池が発電から取得した電力を供給するものであり、蓄電池や電気自動車が貯蔵された電力を供給するものであることは明らかであるから、引用発明の「それぞれの電力線の系統を介して集合分電盤50に電力を出力する太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EV」は、本願補正発明の「貯蔵された電力または発電から取得した電力を前記電力システムに供給」する「電力供給装置」に相当する。
(エ)引用発明の「太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量」は、本願補正発明の「電力供給装置が電力システムに供給した第3電力量」に相当するものである。したがって、引用発明の「それぞれ各系統別に設けられており、太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量を計測する、コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53S」は、本願補正発明の「電力供給装置」と同様に、「電力供給装置が電力システムに供給した第3電力量を測定する」ものである。
ただし、「第3電力量を測定する」ことについて、本願補正発明では「電力供給装置」が実行するのに対し、引用発明では、「太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EV」(本願補正発明の「電力供給装置」に相当)ではなく、「コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53S」が実行するものである。
(オ)引用発明の「電力属性生成部が設けられた宅内サーバ31」は本願補正発明の「ホームサーバ」に相当する。
また、引用発明の「系統別電力計測部51は、計測された電力量などの複数の電力属性を電力属性生成部55に伝達」するものであり、「系統別電力計測部51は、複数の交流電力測定器52Sと、複数の直流電力測定器53Sとを備えて」いるものであるから、引用発明の「AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52S」、「DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53S」及び「コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53S」は、「計測された電力量などの複数の電力属性を電力属性生成部55に伝達」するものである。
そして、引用発明の「コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53S」は、「太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量」を計測するものであるから、引用発明の「電力属性生成部55」は、「太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量」(本願補正発明の「第3電力量」に相当)を受信するものであり、引用発明の「電力属性生成部が設けられた宅内サーバ31」は、本願補正発明の「ホームサーバ」と同様に、「第3電力量」を「受信」するものであるといえる。
さらに、引用発明の「集合分電盤50は、通信部56を介して、電力メータ29と通信を行い、電力メータ29を介して買電もしくは売電した電力量の情報を得て、電力属性生成部55の電力属性記憶部55Sに情報を保存」するものであり、「買電もしくは売電した電力量の情報」は、「商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能」により測定される「商用電源の電力使用量」であると解するのが自然であるから、引用発明の「電力属性生成部55」は、「商用電源の電力使用量」(本願補正発明の「第2電力量」に相当)を得るものである。したがって、引用発明の「電力属性生成部が設けられた宅内サーバ31」は、本願補正発明の「ホームサーバ」と同様に、「第2電力量」を「受信」するものであるといえる。
したがって、引用発明の「電力属性生成部が設けられた宅内サーバ31」、「系統別電力計測部51は、計測された電力量などの複数の電力属性を電力属性生成部55に伝達し、」及び「集合分電盤50は、通信部56を介して、電力メータ29と通信を行い、電力メータ29を介して買電もしくは売電した電力量の情報を得て、電力属性生成部55の電力属性記憶部55Sに情報を保存し、」は、本願補正発明の「前記第2電力量及び前記第3電力量の少なくともいずれか一つを受信」する「ホームサーバ」に相当する。
(カ)引用発明の「発電装置により発電された電力の情報や商用電源の電力系統から供給される電力の情報などを統括管理する電力管理システム」は、本願補正発明の「電力モニタリングシステム」に相当する。
また、引用発明の「・・・電力メータ29と、・・・太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVと、・・・宅内サーバ31と、を含み、・・・発電装置により発電された電力の情報や商用電源の電力系統から供給される電力の情報などを統括管理する電力管理システム」は、本願補正発明の「・・・計器;・・・電力供給装置;・・・ホームサーバを含み、・・・電力モニタリングシステム」に相当する。
(キ)引用発明の「それぞれ系統別に設けられており、各AC機器6に接続される電力線の系統から各AC機器6に供給される交流電流の電力量を測定する、AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52S」及び「それぞれ系統別に設けられており、各DC機器5に接続される電力線の系統から出力される電力量を計測する、DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53S」は、「各AC機器6」及び「各DC機器5」(本願補正発明の「負荷」に相当)に供給される電力量を測定するものである。
また、引用発明の「系統別電力計測部51は、一つの系統に複数のAC機器4や複数のDC機器5が接続されるような場合、それら各機器を一括した電力量が系統の電力量として測定され」るものであり、「系統別電力計測部51は、複数の交流電力測定器52Sと複数の直流電力測定器53Sとを備えて」いるものであるから、引用発明の「AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52S」及び「DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53S」は、「一つの系統に複数のAC機器4や複数のDC機器5が接続されるような場合、それら各機器を一括した電力量が系統の電力量として測定され」るものである。
さらに、上記(オ)で述べたとおり、引用発明の「AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52S」、「DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53S」は、「計測された電力量などの複数の電力属性を電力属性生成部55に伝達」するものであるから、引用発明の「電力属性生成部が設けられた宅内サーバ31」は、「AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52S」及び「DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53S」から、測定された電力量を受信するものであるといえる。
したがって、引用発明の「AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52S」及び「DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53S」が測定する電力量は、本願補正発明の「負荷が消費する第1電力量」と同様に、「負荷」に関連した電力量であって、「ホームサーバ」が「受信」する電力量であるといえる。
ただし、負荷に関連した電力量について、本願補正発明では、「電力システムに含まれた負荷が消費する電力パターンを測定するサンプリング装置」と、「前記サンプリング装置から負荷が消費する電力パターンの測定結果を受信し、当該測定結果に基づいて負荷が消費する第1電力量を取得する外部サーバ」と、を含み、「ホームサーバ」は、「前記外部サーバとデータを送受信する」ものであり、「前記外部サーバから前記第1電力量を受信」するのに対し、引用発明ではその旨の特定はされていない。
また、「ホームサーバ」について、本願補正発明では、「受信しなかった電力量を、受信した前記第1電力量と、受信した前記第2電力量又は前記第3電力量のいずれか一つとを用いて演算」するのに対し、引用発明ではその旨の特定はされていない。
(ク)引用発明の「集合分電盤50は、通信部56を介して、電力メータ29と通信を行い、電力メータ29を介して買電もしくは売電した電力量の情報を得て、電力属性生成部55の電力属性記憶部55Sに情報を保存」するものであるから、「電力メータ29」が測定する電力量の情報には、「買電」及び「売電」の情報が含まれるものである。
そして、引用発明の「集合分電盤50は、太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVからそれぞれの電力線の系統を介して出力された電力を商用電源の電源系統に逆供給」するものであり、上記「売電」は、「集合分電盤50」が「太陽電池3,燃料電池4,蓄電池16,電気自動車EVからそれぞれの電力線の系統を介して出力された電力を商用電源の電源系統に逆供給」した場合の電力量であることは明らかである。また、引用発明の「集合分電盤50」は「電力供給システム1」(本願補正発明の「電力システム」に相当)に含まれるものである。
したがって、引用発明の「商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能」により測定される「商用電源の電力使用量」である「買電もしくは売電した電力量の情報」は、本願補正発明の「第2電力量」と同様に、「電力システム」が「供給する電力」を含むものであるといえる。
また、引用発明の「集合分電盤50は、商用電源の電源系統から供給された電力を、電力を蓄電または消費する蓄電池16、電気自動車EV、AC機器6やDC機器5などの宅内負荷機器にそれぞれの電力線の系統を介して供給」によれば、「商用電源の電源系統から供給された電力」は、電力を消費する「AC機器6やDC機器5」に供給されるものである。また、引用発明の「AC機器6やDC機器5」は「電力供給システム1」(本願補正発明の「電力システム」に相当)に含まれるものである。
したがって、引用発明の「商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能」により測定される「商用電源の電力使用量」は、本願補正発明の「第2電力量」と同様に、「電力システムが消費する電力」を含むものであるといえる。
よって、引用発明の「商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能」により測定される「商用電源の電力使用量」(本願補正発明の「第2電力量」に相当)は、本願補正発明の「前記第2電力量は、電力システムが消費する電力及び供給する電力を全てまとめた電力量である、」に相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。

<一致点>
「系統から前記電力システムに供給される第2電力量を測定する計器;
貯蔵された電力または発電から取得した電力を前記電力システムに供給する電力供給装置;及び
前記第2電力量及び電力供給装置が前記電力システムに供給した第3電力量の少なくともいずれか一つを受信するホームサーバを含み、
前記ホームサーバは、負荷に関連した電力量を受信し、
前記第2電力量は、電力システムが消費する電力及び供給する電力を全てまとめた電力量である、
電力モニタリングシステム。」

<相違点1>
「第3電力量を測定する」ことについて、本願補正発明では「電力供給装置」が実行するのに対し、引用発明では「コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53S」が実行する点。

<相違点2>
負荷に関連した電力量について、本願補正発明では、「電力システムに含まれた負荷が消費する電力パターンを測定するサンプリング装置」と、「前記サンプリング装置から負荷が消費する電力パターンの測定結果を受信し、当該測定結果に基づいて負荷が消費する第1電力量を取得する外部サーバ」と、を含み、「ホームサーバ」は、「前記外部サーバとデータを送受信する」ものであり、「前記外部サーバから前記第1電力量を受信」するのに対し、引用発明ではその旨の特定はされていない点。

<相違点3>
「ホームサーバ」について、本願補正発明では、「受信しなかった電力量を、受信した前記第1電力量と、受信した前記第2電力量又は前記第3電力量のいずれか一つとを用いて演算」するのに対し、引用発明ではその旨の特定はされていない点。

(4)判断
上記相違点1ないし3について検討する。

相違点1について
一般に、第1の装置から第2の装置に供給される電力を、第1の装置側で測定するか、第2の装置側で測定するかは、各装置の測定機能や通信機能などの有無や各装置に各機能を設けるためのコストなどを考慮して、当業者が適宜選択し得る設計事項である。
したがって、引用発明において、「太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量」(本願補正発明の「第3電力量」に相当)の測定を、「コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53S」で実行することに代えて、「太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EV」(本願補正発明の「電力供給装置」に相当)で実行するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

相違点2について
上記「(3)(キ)」で述べたとおり、引用発明の「AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52S」及び「DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53S」は、「一つの系統に複数のAC機器4や複数のDC機器5が接続されるような場合、それら各機器を一括した電力量が系統の電力量として測定され」るものであり、「電力属性生成部55は、当該伝達された電力属性に基づいて電力属性レコードを生成し、表示部43は、電力属性レコードに基づいて、各電気機器の各使用電力量を一括表示」するものである。したがって、引用発明において、「一つの系統に複数のAC機器4や複数のDC機器5が接続されるような場合」には、「それら各機器を一括した電力量が系統の電力量」が、電気機器の使用電力量として表示されてしまうことになる。
一方、引用例2に記載された技術事項(上記「(2)イ」参照)は、「複数(N個)の機器が存在する場合に機器ごとの消費電力を推定して表示させる」ための技術であり、「ローカルに含まれる電圧・電流測定部が、機器の電圧と電流を一定周期で測定し、この測定した電圧、電流の時系列データを出力し、ローカルにおいて、電圧、電流の時系列データに対して第1の演算を実行し、第1の演算を実行した結果をサーバへ送信し、サーバにおいて、第1の演算を実行した結果に対して第2の演算を実行することで、機器ごとの消費電力を推定し、推定した機器ごとの消費電力をローカルに送信する」ものである。
したがって、引用発明において、「一つの系統に複数のAC機器4や複数のDC機器5が接続されるような場合」に、「それら各機器を一括した電力量が系統の電力量」を表示するのではなく、各機器の使用電力量を表示するために、引用例2に記載された技術事項を適用して、「AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52S」や「DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53S」に代えて、機器であるAC機器4やDC機器5の電圧と電流を一定周期で測定し、この測定した電圧、電流の時系列データを出力する電圧・電流測定部を設け、電圧、電流の時系列データに対して第1の演算を実行した結果をサーバ(本願補正発明の「外部サーバ」に相当)へ送信し、サーバにおいて、第1の演算を実行した結果に対して第2の演算を実行することで、AC機器4やDC機器5ごとの消費電力(本願補正発明の「第1電力量」に相当)を推定し、推定したAC機器4やDC機器ごとの消費電力を、負荷に関連した電力量を受信する装置である宅内サーバ31に送信するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、一般に、電力の監視や管理を行うための情報として、電流の情報を扱うことに代えて、電力の情報を扱うようにすることは、通常行われることであるから、電圧・電流測定部により、AC機器4やDC機器5の電流の時系列データの測定を行うことに代えて、電力の測定部(本願補正発明の「サンプリング装置」に相当)により、AC機器4やDC機器5が消費する電力の時系列データ(本願補正発明の「電力システムに含まれた負荷が消費する電力パターン」に相当)の測定を行うようにすることに、格別な想到困難性は存在しない。
また、一般に、一連の演算をローカルとサーバとで役割分担して行う際に、どこまでの演算をローカルで行い、どこからの演算をサーバで行うようにするかは、各演算の処理量やローカルからサーバへ送信することが必要となるデータの通信量などに応じて、当業者が適宜選択し得る設計事項であるから、時系列データに対して第1の演算を実行した結果をサーバへ送信し、サーバで第2の演算を実行することに代えて、時系列データをサーバへ送信し、サーバで第1の演算と第2の演算とを実行するようにすることに、格別な想到困難性は存在しない。
さらに、引用発明における「宅内サーバ31」は、推定したAC機器4やDC機器ごとの消費電力をサーバから受信することになるものであるから、サーバ(本願補正発明の「外部サーバ」に相当)とデータを送受信するものとすることは、当業者が通常なし得る程度のことである。

相違点3について
引用例3(上記「(2)ウ」を参照。)及び引用例4(上記「(2)エ」を参照。)にそれぞれ記載されているように、電力の供給と消費を行う場合において、入力される電力(供給される電力)の電力量と出力される電力(消費される電力)の電力量が等しくなるという関係を利用して、入力又は出力される3つの電力の電力量のうち、2つの既知の電力量から、残りの1つの電力量を算出することで、当該残りの1つの電力量が得られない場合にも、残りの1つの電力量を取得することは、周知の技術事項である。
また、引用発明において、コントロールユニット7に配置される各直流電力測定器53Sが計測する太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される「電力量」、電力メータ29が商用電源の電力使用量の遠隔検針の機能により計測する商用電源の「電力使用量」、及び、AC分電盤11に配置される各交流電力測定器52Sや、DC分電盤8や制御ユニット9、リレーユニット10に配置される各直流電力測定器53Sが測定する負荷が消費する「電力量」は、いずれも、電力供給システム1に入力される電力(電力供給システム1に供給される電力)の電力量又は電力供給システム1から出力される電力(電力供給システム1で消費される電力)の電力量であるから、当該3つの電力量は、上記周知の技術事項を適用することにより、2つの電力量から残りの1つの電力量を算出することができる関係にあるものである。
したがって、引用発明に、上記周知の技術事項を適用して、例えば、「商用電源の電力使用量」を取得できない場合にも、「負荷が消費する電力量」(本願補正発明の「第1の電力量」に対応)と「太陽電池3や燃料電池4、蓄電池16、電気自動車EVに接続される電力線の系統から入力される電力量」(本願補正発明の「第3の電力量」に相当)とを用いて演算することで、「商用電源の電力使用量」を取得(本願補正発明の「受信しなかった電力量」に相当)するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

なお、審判請求人は、審判請求書において、「従って、引用文献3では、本願発明で規定する第2電力量に完全に対応する電力量について開示されておりません。・・・(中略)・・・従って、引用文献3と同様に、引用文献4で開示された、太陽電池10が発電する電力は、本願発明で規定する第2電力量に完全に対応する電力量ではありません。また、引用文献4では、インバータ32において変換すべき電力についても開示しておりますが、これについても、本願発明で規定する第1電力量に完全に対応する電力量ではありません。以上の理由から、引用文献1の発明に、引用文献3及び/又は引用文献4に開示された発明を適用したとしても、本願発明の構成にはなりません。」との主張をしている。
しかし、引用例3及び引用例4に記載される技術事項に基づけば、入力又は出力される3つの電力の電力量のうち、2つの既知の電力量から、残りの1つの電力量を算出することで、当該残りの1つの電力量が得られない場合にも、残りの1つの電力量を取得することは、単純な計算による周知の技術事項であるといえる。そして、当該周知の技術事項は、入力又は出力される任意の3つの電力の電力量に対して適用される技術であって、各電力量がどのような装置(例えば、太陽電池や系統や蓄電池)から入力され、どのような装置(例えば、蓄電池や負荷)に出力されるかに依存する技術ではない。
一方、引用発明は、本願補正発明の「第1電力量」、「第2電力量」及び「第3電力量」に対応する電力量を測定するものである。
したがって、引用例3及び引用例4には、本願補正発明の「第2電力量」に相当する電力量が記載されておらず、引用例4には、本願補正発明の「第1電力量」に相当する電力量が記載されていなかったとしても、「第1電力量」、「第2電力量」及び「第3電力量」に対応する電力量を測定する引用発明に、任意の3つの電力の電力量に対して適用可能である上記周知の技術事項を適用することにより、上記相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
よって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。

よって、本願補正発明は、引用発明、引用例2に記載された技術事項及び周知の技術事項により当業者が容易になし得たものである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明と引用例2に記載された技術事項と周知の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。

(5)補正の適否についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.本件補正についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1.本願発明
平成29年11月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし13に係る発明は、平成29年7月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2 2.(2)」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明の「前記第2電力量は、電力システムが消費する電力及び供給する電力を全てまとめた電力量である、」との限定を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 2.(3)」及び上記「第2 2.(4)」に記載したとおり、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-01-21 
結審通知日 2019-01-22 
審決日 2019-02-04 
出願番号 特願2016-160315(P2016-160315)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H02J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 猪瀬 隆広原 嘉彦緑川 隆  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 東 昌秋
國分 直樹
発明の名称 電力モニタリングシステム  
代理人 朝倉 悟  
代理人 永井 浩之  
代理人 中村 行孝  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 出口 智也  
代理人 関根 毅  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ