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審決分類 |
審判 査定不服 特39条先願 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1352913 |
審判番号 | 不服2018-15727 |
総通号数 | 236 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-11-28 |
確定日 | 2019-07-09 |
事件の表示 | 特願2017-75294号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年7月6日出願公開、特開2017-119180号、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年7月17日に出願した特願2012-159040号(以下、「原出願」という。)の一部を平成29年4月5日に新たな特許出願(特願2017-75294号)としたものであって、平成29年5月6日に手続補正書が提出され、平成30年1月30日付けで拒絶理由が通知され、同年4月7日に意見書が提出されたところ、同年8月22日付け(送達日:同年8月28日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正の適否 1 補正の内容 (1) 請求項1について 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「遊技者によって視認可能な装飾部を有し、該装飾部を収容する収容領域の端側に配置される第1状態と、前記収容領域の中央側に移動した第2状態とに変位可能であって前記第1状態および前記第2状態において遊技者により前記装飾部が視認可能に設けられた動作部材と、 該動作部材に設けられ、遊技者側に前面側が向き、裏面側が遊技者とは反対側に向けて配置された基板と、 該基板の前記裏面側に設けられ、前記第2状態において前記収容領域の端側であって前記第1状態に位置した側に光を照射可能であって、前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において前記第1状態に位置した側に光を照射する第1発光手段とを備えたことを特徴とする遊技機。」 とする補正(以下、「補正事項1」という。下線は当審で付した。以下、同様。)を含んでいる。 (2) 請求項2について 本件補正は、特許請求の範囲の請求項2を、 「遊技者によって視認可能な装飾部を有し、該装飾部を収容する収容領域の端側に配置される第1状態と、前記収容領域の中央側に移動した第2状態とに変位可能であって前記第1状態および前記第2状態において遊技者により前記装飾部が視認可能に設けられた複数の動作部材と、 前記第1状態において複数が前後に重なって配置される動作部材のうち後側に少なくとも1以上の動作部材が設けられる動作部材であって、前記第2状態として前記第2状態への移動方向基端側の一部が後側の動作部材に重ならない位置に配置可能な前側の動作部材に設けられ、遊技者側に前面側が向き、裏面側が遊技者とは反対側に向けて配置された基板と、 該基板の前記裏面側であって前記前側の動作部材の移動方向基端側の前記一部に設けられ、前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射可能であって、前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段とを備えたことを特徴とする遊技機。」 とする補正(以下、「補正事項2」という。)を含んでいる。 2 補正の適否についての検討 (1) 補正事項1について 本件補正の補正事項1は、本件補正前の請求項1における「前記第1状態から第2状態」との記載を、「前記第1状態から前記第2状態」と補正することを含むものであって、この補正は、請求項1の他の記載からみて、「前記第1状態から第2状態」の記載における「第2状態」が、その箇所より前に記載された「第2状態」に対応するものであることが明らかであるため、「第2状態」が「前記第2状態」の誤記であるとして、それを訂正するものであるから、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 (2) 補正事項2について 本件補正の補正事項2は、本件補正前の請求項2における「第1状態において」との記載を、「前記第1状態において」と補正すること、同「前記前側動作部材」との記載を、「前記前側の動作部材」と補正すること、同「前記第1状態から第2状態」との記載を、「前記第1状態から前記第2状態」と補正することを含むものであって、請求項2の他の記載からみて、「第1状態において」の記載における「第1状態」が、その箇所より前に記載された「第1状態」に対応するものであること、及び、「前記第1状態から第2状態」の記載における「第2状態」が、その箇所より前に記載された「第2状態」に対応するものであることは明らかであり、また、本件補正前の請求項2には「前側動作部材」との記載は存在せず、「前側の動作部材」との記載が存在することから、「前記前側動作部材」の記載における「前側動作部材」が「前側の動作部材」に対応するものであることは明らかである。 よって、本件補正の訂正事項2は、「第1状態」が「前記第1状態」の誤記であり、「前記前側動作部材」が「前記前側の動作部材」の誤記であり、 「第2状態」が「前記第2状態」の誤記であるとして、それらを訂正するものであるから、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 (3) 特許法第17条の2第3項の規定について 本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかであるから、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 (4) 本件補正についての結論 以上のことから、本件補正は適法になされたものである。 第3 本願発明 以上のとおり、本件補正は適法になされたものであるから、本願の請求項1及び2に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものと認められ、分説してAないしHの符号を付与すると、以下の事項により特定される発明である。 <本願発明1> 「A 遊技者によって視認可能な装飾部を有し、該装飾部を収容する収容領域の端側に配置される第1状態と、前記収容領域の中央側に移動した第2状態とに変位可能であって前記第1状態および前記第2状態において遊技者により前記装飾部が視認可能に設けられた動作部材と、 B 該動作部材に設けられ、遊技者側に前面側が向き、裏面側が遊技者とは反対側に向けて配置された基板と、 C 該基板の前記裏面側に設けられ、前記第2状態において前記収容領域の端側であって前記第1状態に位置した側に光を照射可能であって、前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において前記第1状態に位置した側に光を照射する第1発光手段と D を備えたことを特徴とする遊技機。」 <本願発明2> 「E 遊技者によって視認可能な装飾部を有し、該装飾部を収容する収容領域の端側に配置される第1状態と、前記収容領域の中央側に移動した第2状態とに変位可能であって前記第1状態および前記第2状態において遊技者により前記装飾部が視認可能に設けられた複数の動作部材と、 F 前記第1状態において複数が前後に重なって配置される動作部材のうち後側に少なくとも1以上の動作部材が設けられる動作部材であって、前記第2状態として前記第2状態への移動方向基端側の一部が後側の動作部材に重ならない位置に配置可能な前側の動作部材に設けられ、遊技者側に前面側が向き、裏面側が遊技者とは反対側に向けて配置された基板と、 G 該基板の前記裏面側であって前記前側の動作部材の移動方向基端側の前記一部に設けられ、前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射可能であって、前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段と H を備えたことを特徴とする遊技機。」 第4 原査定の概要 原査定の概要は以下のとおりである。 本願請求項1及び2に係る発明は、原出願と同日に出願された下記の出願に係る請求項1及び2に係る発明と同一と認められ、かつ下記の出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 同日出願:特願2012-159038号(特許第5924171号) なお、原査定においては、原出願前周知の事項を表す文献として、特開2012-115509号公報も示された。 第5 同日出願に係る発明 原査定の拒絶の理由に引用された同日出願の請求項1及び2に係る発明(以下、「同日出願発明1」及び「同日出願発明2」という。)は、以下のとおりである。なお、aないしhの符号は、本願発明1及び本願発明2に付与したAないしHの符号に対応するものである。 <同日出願発明1> 「a 遊技者によって視認可能な装飾部を有し、該装飾部を収容する収容領域の端側に配置される第1状態と、前記収容領域の中央側に移動した第2状態とに変位可能であって前記第1状態および前記第2状態において遊技者により前記装飾部が視認可能に設けられた動作部材と、 b 該動作部材に設けられ、遊技者側に前面側が向き、裏面側が遊技者とは反対側に向けて配置された基板と、 c 該基板の前記裏面側に設けられ、前記第2状態において前記収容領域の端側であって前記第1状態に位置した側に光を照射可能な発光手段を有する第1発光手段と d を備えたことを特徴とする遊技機。」 <同日出願発明2> 「e 遊技者によって視認可能な装飾部を有し、該装飾部を収容する収容領域の端側に配置される第1状態と、前記収容領域の中央側に移動した第2状態とに変位可能であって前記第1状態および前記第2状態において遊技者により前記装飾部が視認可能に設けられた複数の動作部材と、 f 第1状態において複数が前後に重なって配置される動作部材のうち後側に少なくとも1以上の動作部材が設けられる動作部材であって、前記第2状態として前記第2状態への移動方向基端側の一部が後側の動作部材に重ならない位置に配置可能な前側の動作部材に設けられ、遊技者側に前面側が向き、裏面側が遊技者とは反対側に向けて配置された基板と、 g 該基板の前記裏面側であって前記前側動作部材の移動方向基端側の前記一部に設けられ、前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段と h を備えたことを特徴とする遊技機。」 第6 対比、検討 1 本願発明1について (1) 本願発明1と同日出願発明1との対比 本願発明1と同日出願発明1とを対比する。 ア 本願発明1の構成A、B及びDについて 本願発明1の構成A、B及びDと、同日出願発明1の構成a、b及びdは、文言において一致する。 イ 本願発明1の構成Cについて 本願発明1の構成Cにおける「該基板の前記裏面側に設けられ、前記第2状態において前記収容領域の端側であって前記第1状態に位置した側に光を照射可能であって、前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において前記第1状態に位置した側に光を照射する第1発光手段」と、同日出願発明1の構成cにおける「該基板の前記裏面側に設けられ、前記第2状態において前記収容領域の端側であって前記第1状態に位置した側に光を照射可能な発光手段を有する第1発光手段」とを対比すると、本願発明1においても、第1発光手段が発光手段を備えていることは明らかであるから、両者は、該基板の前記裏面側に設けられ、前記第2状態において前記収容領域の端側であって前記第1状態に位置した側に光を照射可能な第1発光手段を備える点で一致する。 ウ 一致点及び相違点 上記ア及びイより、本願発明1と同日出願発明1とは、以下の点で一致する。 <一致点> A 遊技者によって視認可能な装飾部を有し、該装飾部を収容する収容領域の端側に配置される第1状態と、前記収容領域の中央側に移動した第2状態とに変位可能であって前記第1状態および前記第2状態において遊技者により前記装飾部が視認可能に設けられた動作部材と、 B 該動作部材に設けられ、遊技者側に前面側が向き、裏面側が遊技者とは反対側に向けて配置された基板と、 C’ 該基板の前記裏面側に設けられ、前記第2状態において前記収容領域の端側であって前記第1状態に位置した側に光を照射可能である第1発光手段と D を備えた遊技機。 そして、両者は、以下の相違点を有する。 <相違点1> (本願発明1の構成Cに関して) 第2状態において収容領域の端側であって第1状態に位置した側に光を照射可能である第1発光手段に関して、本願発明1は、前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において前記第1状態に位置した側に光を照射するものであるのに対して、同日出願発明1は、その点が特定されていない点。 (2) 検討 上記相違点1について検討する。 他の出願が同日出願に係る発明である場合の同一性の判断に際し、以下の(ア)、(イ)のいずれの場合においても、本願発明1と同日出願発明1が同一の発明であるといえるときに、本願発明1と同日出願発明1とは同一であるといえる。 (ア)本願発明1を先の出願に係る発明(以下、「先願発明」という。)と仮定し、同日出願発明1を後の出願に係る発明(以下、「後願発明」という。)と仮定したとき。 (イ)同日出願発明1を先願発明と仮定し、本願発明1を後願発明と仮定したとき。 そして、先願発明と後願発明に相違点がある場合であっても、相違点が以下のa、b、cのいずれかに該当する場合は、両者は実質同一であるといえる。 a 課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)である場合。 b 先願発明の発明特定事項を後願発明において上位概念として表現したことによる差異である場合。 c 単なるカテゴリー表現上の差異(例えば、表現形式上、「物」の発明であるか、「方法」の発明であるかの差異)である場合。 そこで、まず上記(イ)の場合、すなわち、同日出願発明1を先願発明とし、本願発明1を後願発明と仮定したときの場合の上記a、b、cについて検討する。 <aについて> 上記相違点1が、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないものであるか否かについて以下に検討する。 原査定時に原出願前周知の技術として示された特開2012-115509号公報の段落【0027】における「可動役物28は、遊技盤2に対して可動に構成されており、遊技者による遊技の進行に応じて、例えば内蔵された発光素子を発光させながら動作することによって各種の演出を行う。」との記載に例示されるように、可動部材に内蔵された発光素子を発光させながら当該可動部材を動作することは、原出願前の周知技術と認められる。 しかしながら、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、単に第1発光手段を発光させながら動作部材が動作するものではなく、第1発光手段は「第1状態に位置した側」(収容容器の端側)に「光を照射する」ものであり、前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において「第1状態に位置した側」(収容容器の端側)に「光を照射する」ものであるから、可動部材に内蔵された発光素子により所定の方向に光を照射しながら当該可動部材を動作するものであり、当該構成は、単に、可動部材に内蔵された発光素子を発光させながら当該可動部材を動作するものとは異なり、原出願前の周知技術とはいえない。 また、本願発明1は、上記相違点1に係る構成を備えることにより、請求人が審判請求書において主張するように、「動作部材の変位動作中に発光手段による照射範囲や照射位置が変化する」という作用効果を奏するものである。 してみると、本願発明1の上記相違点1に係る構成は、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないものとはいえず、課題解決のための具体化手段における微差とはいえないことから、上記相違点1は、上記aには該当しない。 <bについて> 後願発明とした本願発明1は、上記相違点1に係る構成により、先願発明とした同日出願発明1に構成上の特定を行ったものであるから、上記相違点1が先願発明の発明特定事項を後願発明において上位概念として表現したものでないことは明らかであり、上記相違点1は、上記bには該当しない。 <cについて> 本願発明1と同日出願発明1とは、単なるカテゴリー表現上の差異(例えば、表現形式上、「物」の発明であるか、「方法」の発明であるかの差異)である場合に該当しないことは明らかである。 したがって、上記(イ)の場合の検討において、本願発明1と同日出願発明1とは同一であるとはいえない。 よって、上記(ア)の場合について検討するまでもなく、本願発明1は同日出願発明1と同一であるとはいえない。 2 本願請求項2について (1) 本願発明2と同日出願発明2との対比 本願発明2と同日出願発明2とを対比する。 ア 本願発明2の構成E、F及びHについて 本願発明2の構成E、F及びHと、同日出願発明2の構成e、f及びhは、実質的に文言において一致する。 イ 本願発明2の構成Gについて 本願発明2の構成Gにおける「該基板の前記裏面側であって前記前側の動作部材の移動方向基端側の前記一部に設けられ、前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射可能であって、前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段」と、同日出願発明2の構成gにおける「該基板の前記裏面側であって前記前側動作部材の移動方向基端側の前記一部に設けられ、前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段」とを対比すると、両者は実質的に、該基板の前記裏面側であって前記前側動作部材の移動方向基端側の前記一部に設けられ、前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段を備える点で一致する。 ウ 一致点及び相違点 上記ア及びイより、本願発明2と同日出願発明2とは、以下の点で一致する。 <一致点> 「E 遊技者によって視認可能な装飾部を有し、該装飾部を収容する収容領域の端側に配置される第1状態と、前記収容領域の中央側に移動した第2状態とに変位可能であって前記第1状態および前記第2状態において遊技者により前記装飾部が視認可能に設けられた複数の動作部材と、 F 前記第1状態において複数が前後に重なって配置される動作部材のうち後側に少なくとも1以上の動作部材が設けられる動作部材であって、前記第2状態として前記第2状態への移動方向基端側の一部が後側の動作部材に重ならない位置に配置可能な前側の動作部材に設けられ、遊技者側に前面側が向き、裏面側が遊技者とは反対側に向けて配置された基板と、 G’ 該基板の前記裏面側であって前記前側動作部材の移動方向基端側の前記一部に設けられ、前記基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段と H を備えた遊技機。」 そして、両者は、以下の相違点を有する。 <相違点2> (本願発明2の構成Gに関して) 基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段に関して、本願発明2は、第1状態から第2状態への変位動作中において光を照射するものであるのに対して、同日出願発明2は、その点が特定されていない点。 (2) 検討 上記相違点2について検討する。 上記「1 本願発明1について」において検討したように、上記(イ)に示した、同日出願発明2を先願発明とし、本願発明2を後願発明と仮定したときの場合において、上記相違点2が上記したa、b、cのいずれかに該当するか否かについて検討する。 <aについて> 上記「1 本願発明1について」において指摘したように、可動部材に内蔵された発光素子を発光させながら当該可動部材を動作することは、原出願前の周知技術と認められるが、可動部材に内蔵された発光素子により所定の方向に光を照射しながら当該可動部材を動作することは、原出願前の周知技術とは認められない。 してみると、本願発明2における上記相違点2に係る構成において、「基板に略垂直な後側に向けて光を照射する第2発光手段」が「前記第1状態から前記第2状態への変位動作中において」「光を照射する」ことは、原出願前の周知技術とはいえない。 また、本願発明2は、第2発光手段が「第1状態から第2状態への変位動作中において基板に略垂直な後側に向けて光を照射する」ことにより、請求人が主張する「動作部材の変位動作中に発光手段による照射範囲や照射位置が変化する」という作用効果を奏するものである。 よって、本願発明2の上記相違点2に係る構成は、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないものとはいえず、課題解決のための具体化手段における微差とはいえないことから、上記相違点2は、上記aには該当しない。 <bについて> 後願発明とした本願発明2は、上記相違点2に係る構成により、先願発明とした同日出願発明2に構成上の特定を行ったものであるから、上記相違点2が先願発明の発明特定事項を後願発明において上位概念として表現したものでないことは明らかであり、上記相違点2は、上記bには該当しない。 <cについて> 本願発明2と同日出願発明2とは、単なるカテゴリー表現上の差異(例えば、表現形式上、「物」の発明であるか、「方法」の発明であるかの差異)である場合に該当しないことは明らかである。 したがって、上記(イ)の場合の検討において、本願発明2と同日出願発明2とは同一であるとはいえない。 そして、上記(ア)の場合について検討するまでもなく、本願発明2は同日出願発明2と同一であるとはいえない。 3 小括 よって、本願発明1は同日出願発明1と同一であるとはいえず、また、本願発明2は同日出願発明2と同一であるとはいえない。 第7 むすび 以上のことから、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-06-25 |
出願番号 | 特願2017-75294(P2017-75294) |
審決分類 |
P
1
8・
4-
WY
(A63F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 岡崎 彦哉 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
▲高▼橋 祐介 島田 英昭 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 中村 敏之 |