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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない G01N
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正しない G01N
管理番号 1352983
審判番号 訂正2018-390137  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-09-12 
確定日 2019-06-28 
事件の表示 特許第6215126号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6215126号発明(以下「本件特許」という。)は、平成22年2月1日に出願された特願2011-549204号の一部を平成26年4月21日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1-9に係る発明について平成29年9月29日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、平成30年9月12日に本件訂正審判の請求がなされ、同年10月26日に当審より訂正拒絶理由が通知され、同年12月19日に意見書が提出されたものである。

第2 請求の趣旨及び内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6215126号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものであって、本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1のとおりである(下線は訂正箇所を示したものである。)。

[訂正事項1]
明細書の段落【0095】に
「また、本発明のセンシング・システムにおいて、前記第2の末端(118)を出るときの前記光信号の受信のため、前記光信号の強度を所定の波長範囲にわたって測定するため、および前記強度を電気信号に関連付けるために、前記光ファイバの前記第2の末端(118)と光学的に結合された第2の検出器(108)をさらに備える。」
と記載されているのを、
「また、本発明のセンシング・システムにおいて、前記第1の末端(120)を出るときの前記光信号の受信のため、前記光信号の強度を所定の波長範囲にわたって測定するため、および前記強度を電気信号に関連付けるために、前記光ファイバの前記第1の末端(120)と光学的に結合された検出器(108)をさらに備える。」に訂正する。

第3 当審の判断
1 段落【0070】?【0098】の記載内容について(下線は当審による。以下同様。)
「【0070】
本願発明は、以下の点を特徴とすることもできる。本発明のセンシング・システムは、感受性光ファイバ(98)であって、第1(120)および第2(118)の末端を持ち、コア(106)を持ち、化学ルミネッセンス、りん光、螢光を発する、光を散乱または吸収する物質を含んだ環境中に配置可能なように構成され、前記環境と直接に接触し、かつ前記環境によって前記感受性光ファイバが光学的に影響を受ける前記ファイバの感受性領域として機能する、少なくとも1つの露出したコア領域(92)を持つ、前記感受性光ファイバ;プロービング光を生成する少なくとも1つのプロービング光源(100)であって、前記プロービング光は、前記環境と相互作用する測定対象媒体によって実質的に支援されたときに変化したプロービング光を前記感受性領域から発生させるために、前記感受性領域の前記環境における前記測定対象媒体と相互作用し、光学的信号(104)として前記コア中へ実質的に結合される、前記プロービング光源を備える。」
とあり、また、【0071】以降の段落では、例えば、【0071】に
「【0071】
また、本発明のセンシング・システムは、前記第1の末端(120)を出たときの前記光信号の受信のため、前記光信号の強度を所定の波長範囲にわたって測定するため、および前記強度を電気信号に関連付けるために、前記感受性光ファイバの前記第1の末端(120)と光学的に結合された検出器(108)をさらに備える。」
と記載されているように、【0071】以降の段落が、「また、本発明…」と並列に接続されていることから、段落【0070】?【0098】には、段落【0070】に実施態様の基本構成が記載されており、それ以降の段落に、段落【0070】の実施態様に種々の構成を付加した実施態様を列挙したものと認められる。
すなわち、段落【0095】の記載もまた、段落【0070】に記載の実施態様を基本構成として、付加的な実施態様を記載したものである。

2 段落【0095】の記載内容と実施形態との技術的関係について
明細書には、段落【0095】の記載内容に関連して、次の記載がある。
a 「【0034】
センシングファイバ98のブロック図が図1aに示される。・・・
【0035】
光ファイバコア106中へ結合された蛍光104aは、シリコン光検出器のような検出器108へ導かれ、この検出器が、蛍光104aの光強度を出力電気信号に関連付ける。」

b 図1aには、以下の図面が示されている。
【図1a】


上記a及びbの記載によれば、「センシングファイバの末端に、検出器108を備える」こと(以下、「図1a実施形態」という。)が記載されている。

3 段落【0095】の記載内容について
段落【0095】に記載のセンシング・システムは、前記1のとおり、段落【0070】の記載内容に対して、段落【0095】の記載内容をさらに備えたものである。
そして、段落【0070】には、「…本発明のセンシング・システムは、感受性光ファイバ(98)であって、第1(120)および第2(118)の末端を持ち、…」とあり、段落【0070】のセンシング・システムは第1および第2の2つの末端を持つことが記載されている。ここで、段落【0095】では、検出器(108)を「第2の」検出器(108)としているが、第2の末端(118)に備える検出器(108)という意味で用いていると理解できる。
してみると、段落【0095】の記載内容は、上記図1a実施形態から、第2(118)の末端に検出器(108)を備える態様を表していると不合理を生じることなく理解できるものである。

4 小括
以上のことから、段落【0095】の記載内容は、他の記載との関係において不合理を生じることなく説明することができることから、明瞭でない記載が存在しているとはいえない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正とは認められない。
また、上記のとおり、段落【0095】はその記載自体において明確に理解することができるものであることからして、訂正前の段落【0095】の記載に誤記があったとは認識し得るものではないため、訂正事項1はそもそも「誤記の訂正」を目的とする訂正とは認められない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものとは認められない。

5 請求人の主張について
請求人は、審判請求書及び意見書において、段落【0070】以降は、段落【0069】以前の段落の記載事項を単に異なる形式で記載し直したものであるところ、段落【0095】の記載内容では、段落【0069】以前の記載内容との関係において矛盾が生じていることは明らかであるから、段落【0095】が明確であったとしても、明細書のその他の記載との関係において不合理が生じている旨主張している。
しかしながら、訂正前の段落【0095】の記載内容は、上記3のとおり、上記図1a実施形態から、不合理を生じることなく理解できるものであるから、請求人の主張は認められない。
また、請求人は、段落【0070】以降は、段落【0069】以前の段落の記載事項を単に異なる形式で記載し直したものであると主張しているが、明細書では、段落【0070】以降の段落で、段落【0069】以前の段落の記載事項を記載し直す旨の説明はされていないし、さらに、段落【0070】には「本願発明は、以下の点を特徴とすることもできる。」と記載されていることからすると、段落【0070】以降は、段落【0069】以前の段落の記載事項を単に異なる形式で記載し直したものと認識できるものではない。
さらに、段落【0070】以降は、段落【0069】以前の段落の記載事項を単に異なる形式で記載し直したものと主張する一方で、段落【0070】以降のそれぞれの段落について、具体的に段落【0069】以前のどの記載を基にして記載し直したのか説明がなく、請求人の当該主張は根拠がない。
したがって、請求人の段落【0070】以降は、段落【0069】以前の段落の記載事項を単に異なる形式で記載し直したものであるとの主張も認められない。

第4 むすび
以上のとおり、訂正事項1に係る本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものでないから、本件訂正は認められない。
 
別掲
 
審理終結日 2019-01-31 
結審通知日 2019-02-04 
審決日 2019-02-18 
出願番号 特願2014-87665(P2014-87665)
審決分類 P 1 41・ 853- Z (G01N)
P 1 41・ 852- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森口 正治  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 三木 隆
▲高▼見 重雄
登録日 2017-09-29 
登録番号 特許第6215126号(P6215126)
発明の名称 少なくとも1つの照射源を有する側面照射光ファイバ  
代理人 特許業務法人R&C  

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