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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1353023
審判番号 不服2018-11340  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-21 
確定日 2019-07-04 
事件の表示 特願2014-183593「複合容器およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年4月21日出願公開、特開2016- 55895〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月9日の出願であって、平成30年2月9日付けで拒絶理由が通知され、平成30年4月16日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年5月17日付けで拒絶査定がされた。これに対し、平成30年8月21日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 平成30年8月21日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年8月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成30年4月16日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の
「複合容器において、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外側に接着されることなく密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張されており、
前記容器本体の内面に蒸着膜が形成されていることを特徴とする複合容器。」を
「複合容器において、
口部と胴部と底部とを有するプラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体のうち前記口部以外の全域の外側に接着されることなく密着して設けられた熱収縮性材料からなるプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張されており、
前記容器本体の内面に蒸着膜が形成されていることを特徴とする複合容器。」と補正した。

そして、この補正は、特許請求の範囲に記載した発明を特定するために必要な事項である「容器本体」について、「口部と胴部と底部とを有する」であること、並びに「プラスチック製部材」について、「口部以外の全域」に設けられていること及び「熱収縮性材料からなる」ことの限定を付加するものであり、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでもないことは明らかである。

よって、本件補正による請求項1に係る発明についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮)を目的とするものである。

2 独立特許要件についての検討
(1)そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。

(2)引用例
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭59-91038号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「2.特許請求の範囲
(1) ポリエチレンテレフタレートよりなる有底パリソンの少なくとも胴壁部外面に、ガスバリヤー性プラスチックフィルムを装着した後、加熱、2軸延伸-吹込成形を行なうことを特徴とする、少なくとも肩部および胴部外面に該ガスバリヤー性プラスチックフィルムが被着したポリエチレンテレフタレートボトルの製造方法。」(1頁左欄4?11行)

(イ)「有底パリソンより2軸延伸-吹込成形により形成されたポリエチレンテレフタレートボトル(本明細書においては、エチレンテレフタレートを主成分とするエチレンテレフタレート共重合体、およびポリエチレンテレフタレートを主成分とするブレンドを含めてポリエチレンテレフタレートと呼ぶ)は、ガスバリヤー性、透明性、耐衝撃性等の容器特性に優れており、最近各種の内容物の収納用に実用化されつつある。しかしビールや炭酸飲料等の加圧炭酸ガスを含有する内容物を充填、密封した場合、経時につれて炭酸ガスが、若干であるが薄肉の肩部や胴部の壁部を透過して失われ、一方酸素が、僅かであるが上記壁部を透過して侵入して、内容物のフレーバが損ぜられ易い。
その対策としてパリソンもしくはボトルの内面および/または外面に炭酸ガスおよび酸素に対するバリヤー性の優れた塗膜、例えば塩化ビニリデン系共重合体よりなる塗膜を形成する方法が提案されているが、この場合塗料の塗布、乾燥、回収のため大型の複雑な装置を必要とし、また乾燥に長時間を要する等の問題を生ずる。また1回の塗布によって形成される塗膜は薄いので、十分なガスバリヤー性を確保するためには、数回の塗布を必要とし、そのため生産性が低下するという問題を生ずる。
本発明は以上に述べた従来技術の問題点の解消を図ることを目的とする。」(1頁左欄下から4行?2頁左上欄3行)

(ウ)「第1図において1はポリエチレンテレフタレートよりなる有底パリソンであって、通常射出成形によって形成される。2はガスバリヤー性プラスチックフィルム(例えば厚さ10?50μmのポリ塩化ビニリデン系フィルム;単位厚さの炭酸ガス、酸素ガス等に対するバリヤー性がポリエチレンテレフタレートの夫より大きいプラスチックのフィルム)よりなるチューブであって、例えばインフレーション法によって形成された継目無しの長尺チューブを、パリソン1の胴壁部1aの高さにほぼ等しい長さに切断したものである。その内径は胴壁部1aの外径より若干大きい。
第1図はチューブ2を倒立したパリソン1の胴壁部1aの外面側に緩挿し、ネックリング1b上に載置した状態を示す。次にこのパリソン1を延伸-吹込成形のため約80?100℃の範囲内の所定温度に、赤外線照射あるいはオーブン通過等によって加熱する。このさいチューブ2は熱収縮して、第2図に示すように、パリソン1の胴壁部1aの外面に密着する。次いで常法により、このチューブ2が密着したパリソン1を2軸延伸-吹込成形を行なって、第3図に示すようなボトル3を形成する。
そのさいチューブ2も同時に変形し、チューブ2を形成するプラスチックフィルム2’が、ボトル3の比較的薄肉の(通常約0.2?0.3mm)胴部3aおよび肩部3bに密着した状態で該部を被覆する。」(2頁左上欄14行?左下欄1行)

(エ)「この成形のさいの表面積の増大に伴ない、フィルム2’の厚さはチューブ2の厚さの約1/10程度減少するが、チューブ2の厚さを適当に定めることにより、フィルム2’をガスバリヤー性を確保するのに必要な厚さ(例えば約10?50μm)にすることができる。場合により、チューブ2を2重又は3重に形成してもよい。ボトルの底部3cは通常比較的厚くなるので、必ずしもフィルム2’で被着する必要はない。」(2頁左下欄2?10行)

(オ)「あるいは上記カットシートを、適当な接着剤(例えばウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤等)を介してパリソン1の胴壁部1aの外面全体に貼着した後、加熱、延伸吹込成形してボトル3を形成してもよい。」(2頁左下欄16?20行)

(カ)「第1図



(キ)「第3図



(ク)上記摘記事項(ウ)(エ)及び第3図から、ボトル3がねじ部とフランジからなる口部、胴部3a、肩部3b、底部3cを有している点が看取できる。

イ 引用例1に記載された発明
引用例1の「ガスバリヤー性プラスチックフィルム」である「チューブ2を倒立したパリソン1の胴壁部1aの外面側に緩挿し、ネックリング1b上に載置した状態を示す。次にこのパリソン1を延伸-吹込成形のため約80?100℃の範囲内の所定温度に、赤外線照射あるいはオーブン通過等によって加熱する。このさいチューブ2は熱収縮して、第2図に示すように、パリソン1の胴壁部1aの外面に密着する。次いで常法により、このチューブ2が密着したパリソン1を2軸延伸-吹込成形を行なって、第3図に示すようなボトル3を形成する。」(上記アの摘記事項(ウ))の記載、及びボトル3が口部、胴部3a、肩部3b、底部3cを有している点に着目して、特許請求の範囲について整理すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「ポリエチレンテレフタレートよりなる有底パリソンの少なくとも胴壁部外面に、ガスバリヤー性プラスチックフィルムを緩挿し、約80?100℃の範囲内の所定温度に加熱し、ガスバリヤー性プラスチックフィルムを熱収縮して、有底パリソンに装着した後、加熱、2軸延伸-吹込成形を行ない製造された、
ボトルが口部、胴部、肩部、底部を有し、
少なくとも肩部および胴部外面に該ガスバリヤー性プラスチックフィルムが被着したポリエチレンテレフタレートボトル。」

ウ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-104361号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はその一部に着色プラスチック層やセラミック薄膜等を設けたプラスチック容器、特にセラミック薄膜によるバリア性等の物性を向上させたプラスチック容器に関するものである。」

(イ)「【0014】このプラスチック容器1は、バリア性向上、低分子有機化合物の吸着防止等の目的で設けるセラミック薄膜4を、容器に装飾性、可視光線遮断性等を付与するために設ける着色プラスチック層上に直接設けるのではなく、着色プラスチック層2にまず無着色プラスチック層3を積層してからコーティングしてある。従って、セラミック薄膜を着色剤が分散されている着色プラスチック層上に直接設けるものと較べて着色剤の影響を受けないため、セラミック薄膜4が無着色プラスチック層3上に均一に、かつ定着性良好に設けられるようになり、優れたバリア性を得ることができるようになる。
【0015】このような構成のプラスチック容器1は、着色剤が分散された着色プラスチック層2を外面とし、着色剤が分散されていない無着色プラスチック層3を内面として積層された容器を成形し、その後無着色プラスチック層3の表面にセラミック薄膜4をコーティングすることにより得ることができる。着色剤が分散された着色プラスチック層2と着色剤が分散されていない無着色プラスチック層3の積層には、通常使われている多層ブロー成形、多層射出成形、ラミネート等の手法を用いることができる。」

(ウ)「【0017】一方、無着色プラスチック層3の表面にコーティングされるセラミック薄膜4の材質及び厚みに制限は無いが、高いバリア性が得られること及びコーティングが比較的容易にできることから酸化珪素膜あるいはダイヤモンドライクカーボン膜とすることが特に望ましい。また、その厚みは10nm以上100nm以下に設定することが好ましい。
【0018】セラミック薄膜4のコーティング方法としては、3次元形態のプラスチック容器表面に均一にセラミック薄膜をコーティングすることができることから、プラズマCVD法を用いることが望ましい。その他にも、CVD法、PVD法、スパッタリング法等を用いることもできる。」

(エ)「【0020】<実施例1>外層樹脂として高密度ポリエチレン樹脂に着色剤であるチタンホワイトが3%混合された樹脂を用い、内層樹脂としては外層樹脂として用いた高密度ポリエチレン樹脂を用いて内容量500mlの多層プラスチック容器をブロー成形により成形した。内層の最低厚みは10μmであった。次に、この容器の内面に膜厚約40nmの酸化珪素薄膜をプラズマCVD法を用いてコーティングした。得られた容器の酸素バリア性のデータを表1に示す。」

エ 引用例3
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2007-302283号公報(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性プラスチック容器において、ガスバリア性を有する薄膜の密着性、ガスバリア性及び生産性の向上を図ることを目的に、成膜前におけるプラスチック容器の表面への窒素プラズマ表面処理の技術に関する。」

(イ)「【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究開発したところ、窒素ガスによるプラズマ表面処理が薄膜の密着性とガスバリア性の向上に寄与することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るガスバリア性プラスチック容器は、プラスチック容器の内壁面又は外壁面或いはその両壁面にガスバリア性を有する薄膜を成膜したガスバリア性プラスチック容器において、前記ガスバリア性を有する薄膜が成膜されている側の容器壁が、その表面側に内部よりも多くの窒素原子を含有していることを特徴とする。」

(ウ)「【0015】
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器では、前記ガスバリア性を有する薄膜は、炭素膜、珪素含有炭素膜、酸化珪素膜又は酸化アルミニウム膜であることを含む。」

(エ)「【0018】
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器用のプリフォームでは、前記プリフォームがポリ乳酸により形成されていることを含む。ポリ乳酸は、生分解性プラスチックの中でも、(1)比較的低価格で、(2)ブロー成形によりボトル等に成形することができ、(3)植物由来の原料で製造できる、など利点が多い。
【0019】
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器の製造方法(第一形態)は、プラスチック容器用のプリフォームの表面に窒素ガスによるプラズマ処理を施す工程と、プラズマ処理を施したプリフォームをブロー成形してプラスチック容器を得る工程と、ブロー成形によって得たプラスチック容器の表面のうち、プリフォームの段階でプラズマ処理を施した面にガスバリア性を有する薄膜を成膜する工程と、を有することを特徴とする。」

(3)本願補正発明と引用発明の対比
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「ガスバリヤー性プラスチックフィルムが被着したポリエチレンテレフタレートボトル」は、ガスバリヤー性プラスチックフィルムとポリエチレンテレフタレートとからなるから、本願補正発明の「複合容器」に相当する。

(イ)引用発明の「口部、胴部、肩部、底部を有」する「ボトル」は、本願補正発明の「口部と胴部と底部とを有するプラスチック材料製の容器本体」に相当する。

(ウ)引用発明の「少なくとも肩部および胴部外面に」「被着した」「該ガスバリヤー性プラスチックフィルム」は、有底パリソンの外面に、ガスバリヤー性プラスチックフィルムを緩挿し、加熱し、ガスバリヤー性プラスチックフィルムを熱収縮して、有底パリソンに装着した後、加熱、2軸延伸-吹込成形を行ない製造するものであるから、ガスバリヤー性プラスチックフィルムは、熱収縮性材料であって、2軸延伸-吹込成形後の有底パリソン部分に接着しておらず、密着して設けられているといえる。
したがって、引用発明の上記事項と、本願補正発明の「前記容器本体のうち前記口部以外の全域の外側に接着されることなく密着して設けられた熱収縮性材料からなるプラスチック製部材」とは、「前記容器本体の外側に接着されることなく密着して設けられた熱収縮性材料からなるプラスチック製部材」である限りで一致する。

(エ)引用発明の「有底パリソンの少なくとも胴壁部外面に、ガスバリヤー性プラスチックフィルムを緩挿し、約80?100℃の範囲内の所定温度に加熱し、ガスバリヤー性プラスチックフィルムを熱収縮して、有底パリソンに装着した後、加熱、2軸延伸-吹込成形を行ない製造された」態様は、2軸延伸-吹込成形後の有底パリソンとガスバリヤー性プラスチックフィルムが、2軸延伸-吹込成形により一体として膨張することであるから、本願補正発明の「前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され」る態様に相当する。

イ 一致点
したがって、両者は、
「複合容器において、
口部と胴部と底部とを有するプラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外側に接着されることなく密着して設けられた熱収縮性材料からなるプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張された複合容器。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

ウ 相違点
<相違点1>
プラスチック製部材について、本願補正発明は、「前記容器本体のうち前記口部以外の全域の外側に」設けられるのに対し、引用発明は、少なくとも肩部および胴部外面に設けている点。
<相違点2>
本願補正発明は、「前記容器本体の内面に蒸着膜が形成されている」のに対し、引用発明は、蒸着膜を形成していない点。

(4)当審の判断
上記相違点について以下検討する。
ア 相違点1について
引用例1には、「ボトルの底部3cは通常比較的厚くなるので、必ずしもフィルム2’で被着する必要はない。」(2頁左下欄8?10行)、及び「あるいは上記カットシートを、適当な接着剤(・・・)を介してパリソン1の胴壁部1aの外面全体に貼着した後、加熱、延伸吹込成形してボトル3を形成してもよい。」(2頁左下欄16?20行)と記載されている。
そして、引用発明は、少なくとも肩部および胴部外面に該ガスバリヤー性プラスチックフィルムが被着したものであるところ、上記引用例1の記載事項に触れた当業者は、底部についてもガスバリヤー性プラスチックフィルムを被着することが可能であると理解する。
したがって、引用発明において、ガスバリヤー性プラスチックフィルムの被着する範囲を口部の下端から、肩部、胴部外面及び底部、すなわち口部以外の全域とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
(ア)上記(2)ウ、エの摘記事項にも記載されているように、ブロー(吹込)成形容器において、バリア性を高めるために内面に蒸着膜を形成することは、周知の事項である。
そして、引用発明においても、更なるガスバリア性の向上は、当然の課題であるから、上記周知の事項を適用し、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(イ)ここで、請求人は、審判請求書において、引用例1には「この場合塗料の塗布、乾燥、回収のため大型の複雑な装置を必要とし、また乾燥に長時間を要する等の問題を生ずる。また1回の塗布によって形成される塗膜は薄いので、十分なガスバリヤー性を確保するためには、数回の塗布を必要とし、そのため生産性が低下するという問題を生ずる。」(1頁右欄15行?2頁左上欄1行)と記載されているから、引用例1に記載された「ポリエチレンテレフタレートボトル」の内面に「蒸着膜」を設けることを実質的に排斥するものであり、阻害要因となるものと考えられる旨主張する。
しかし、引用例1の当該記載は、塗料による塗膜についての記載であって、蒸着膜に係る記載ではなく、塗膜と蒸着膜は、用いる装置や膜の構造が異なるものであるから、請求人の主張は、引用例1を曲解するものであって当を得ないものである。

ウ 本願補正発明の奏する作用効果
本願補正発明により奏されるとされる効果は、引用発明、及び周知の事項からみて格別なものとはいえない。

エ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)小括
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 むすび
以上のとおりであり、本願補正発明は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年8月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年4月16日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成30年8月21日付けの手続補正の補正却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1?3記載事項並びに引用発明については、上記「第2 平成30年8月21日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、容器本体について「口部と胴部と底部とを有する」であること、並びにプラスチック製部材について「口部以外の全域」に設けられていること及び「熱収縮性材料からなる」ことの限定を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定するための事項をすべて含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 平成30年8月21日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明の対比」及び「(4)当審の判断」に記載したとおりの引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。ゆえに、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-05-09 
結審通知日 2019-05-10 
審決日 2019-05-23 
出願番号 特願2014-183593(P2014-183593)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 智宏西堀 宏之  
特許庁審判長 門前 浩一
特許庁審判官 佐々木 正章
白川 敬寛
発明の名称 複合容器およびその製造方法  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 村田 卓久  
代理人 朝倉 悟  
代理人 永井 浩之  
代理人 中村 行孝  
代理人 堀田 幸裕  
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