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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65B
審判 全部無効 2項進歩性  B65B
管理番号 1353081
審判番号 無効2018-800052  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-05-07 
確定日 2019-07-01 
事件の表示 上記当事者間の特許第3586796号発明「製函・箱詰め装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3586796号の請求項2に係る発明についての特許を無効とする。 特許第3586796号の請求項1に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1 本件の手続の経緯は、以下のとおりである。
平成 5年12月 7日 特許出願(特願平5-340506号)
平成16年 8月20日 特許権設定登録
平成25年12月 7日 存続期間満了により特許権登録抹消
平成30年 5月 7日 本件無効審判請求
平成30年 5月23日付 手続補正指令書
平成30年 5月29日 審判請求書の補正書及び上申書
平成30年 6月 5日付 答弁指令書(発送は、同月7日)
平成30年 8月 3日 答弁書
平成30年10月23日付 審理事項通知
平成30年11月21日 被請求人の口頭審理陳述要領書
平成30年11月22日 請求人の口頭審理陳述要領書
平成30年12月21日 口頭審理
平成31年 1月28日付 審決の予告
平成31年 4月 2日 審決の予告に対する応答期限満了
2 記載要件について
(1)出願日
上記のとおり、本件特許に係る出願は、平成5年12月7日にされたものである。
(2)経過措置
平成6年12月14日法律116号第6条第2項には、「新特許法第三十6条・・・第123条第1項第4号の規定は、この法律の施行後(当審注:平成7年7月1日に施行)にする特許出願に適用し、この法律の施行前にした特許出願については、なお従前の例による。」とされている。したがって、本件審判における特許請求の範囲の記載要件の判断には、平成6年改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)の規定が適用される。

第2 本件特許及び証拠の一覧
1 本件特許
本件特許の特許請求の範囲には、次のように記載されている。分説のために、A?H、Jを付した。(以下、それぞれを「本件発明1」及び「本件発明2」という。)
「【請求項1】
A 包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、
B 箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、
C 収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、底面をテーピングして製函する製函手段と、
D 製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された製函・箱詰め装置であって、
E 前記搬送手段を複数並列に設置するとともに、
F 当該複数設置によって複数形成される各商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を前記複数の各商品搬送経路の下方にそれぞれ対応させて分路し、
G 当該分路の分岐部に段ボール箱の各分路への搬送を仕分ける仕分け手段を設けたことを特徴とする
H 製函・箱詰め装置。
【請求項2】
A 包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、
B 箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、
C 収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、底面をテーピングして製函する製函手段と、
D 製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された製函・箱詰め装置であって、
J 前記製函装置部の段ボールシート収容部を、前記箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿った方向に一体的に設置したことを特徴とする
H 製函・箱詰め装置。」
2 証拠の一覧
(1)請求人が提示した証拠は、以下のとおりである。以下、甲第1号証を甲1などという。
甲1:特開平3-85205号公報
甲2:特開昭61-164903号公報
甲3:特開昭60-23105号公報
甲4:特開平1-199814号公報
甲5:特開平4-201802号公報
甲6:本件登録原簿
(2)各書証について
上記甲1?6は、いずれも写しを原本として提出されたものである。

第3 請求人の主張
1 本件発明2についての主張
(1)旧特許法第36条第5項第2号及び第6項についての主張
ア 本件特許発明2における「一体的に設置」については、「製函装置部の段ボールシート収容部」が、何と、そしてどのように、一体的に設置されているかが明確ではない。
イ 本件特許の明細書等にも、「一体的に設置」の具体例、例えば、機械的な締結等による一体化、接着剤や溶接による一体化のような具体例は一切記載されていない。
ウ 本件特許の明細書には、その作用・効果として、「収容部の長さを装置本体の機枠と同じ程度にしても、装置全体からはみ出た部分がなくなり、装置全体の設置をコンパクトに行える」こと及び「収容部が長くなるので、段ボールシートの収容枚数が多くなり、補給作業の回数が減少する」ことが記載されている。
エ しかし、上記作用・効果の記載からも、「一体的に設置」の意味するところの製函・箱詰め装置の形状、構造等が不明であり、請求項2の記載は特許を受けようとする発明が明確に記載されていないから、発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものということはできない。
オ したがって、請求項2に係る発明の特許は、旧特許法第36条第5項第2号及び第6項の規定に違反してされたものであり、旧特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきである。
(2)新規性進歩性についての主張
ア 本件発明2と甲1に記載された発明(以下「甲1発明」という。)とを対比すると、本件発明2の技術的特徴とされている事項Jについては、甲1の装置においても、段ボールのマガジン30は、第3B図に示されているように、ベルトコンベヤ11やベルトコンベヤ54、及び集約装置13の集約開始位置までによって形成される物品搬送経路及び搬送手段に対して、実質的に沿った方向に設置されている。
イ 本件発明2と甲1発明との一致点
両者は、「包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、製函する製函手段と、製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された製函・箱詰め装置であって、前記製函装置部の段ボールシート収容部を、前記箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿った方向に設置したことを特徴とする製函・箱詰め装置。」で一致する。
ウ 本件発明2と甲1発明との相違点
本件発明2と甲1発明とは、次の点で相違する。
(ア)相違点2-1
製函手段において、本件発明2では「底面をテーピングして製函する」と規定されているが、甲1では、第3A図のQで示す列に、箱詰めに先立って予め底部(のフラップ)を閉塞した箱に袋詰め品を収納させることが記載されているものの、段ボール箱の底フラップに対してテーピングを施すことで製函することが記載されていない点。
(イ)相違点2-2
製函装置部の段ボールシート収容部について、本件発明2では商品搬送経路に沿った方向に商品搬送手段と近接して設置されているのに対し、甲1発明では、マガジン(30)と商品(S)の搬送手段との間に隙間があり近接して設置されているとはいえない点。
エ 各相違点についての主張
(ア)相違点2-1について
甲1発明では、甲1の12頁右上欄にホットメルトガンによるのり付け封函することが記載されているが、製函手段として、テーピングを施す手段は甲5の9頁右上欄?左下欄にも記載されているとおり、本件特許の出願前から採用されている代表的な封函手段である。したがって、甲1発明において、封函手段をのり付けに代えてテーピングを採用することは当業者にとって容易であり、また、そのことにより格別な効果を奏するものでもない。
(イ)相違点2-2について
甲1発明では、甲1の第3B図にマガジン(30)と商品(S)の搬送経路との間に隙間がある態様が図示されているが、製函・箱詰め装置の設置場所に関しスペース上の制約がある場合に、マガジン(30)と商品(S)の搬送経路とを近接させ一体的に設置することにより、省スペース化を図ろうとすることは当業者であれば当然に行うことであり、そのことを妨げる技術的な理由もない。したがって、相違点2-2は当業者にとって容易になしえることである。
(ウ)本件発明2の進歩性
上記(ア)、(イ)から、本件発明2は、甲1発明及び甲5に記載された本件特許の出願前の周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきである。
2 本件発明1についての主張
(1)審判請求時の主張(審判請求書9?13頁参照。以下「主張1-1」という。)
ア 本件発明1と甲1発明との一致点
本件特許発明1と甲1発明とは次の点で一致する。
「包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、
箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、
収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、製函する製函手段と、
製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された製函・箱詰め装置であって、
商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を商品搬送経路の下方に設けた
製函・箱詰め装置である点」
イ 本件発明1と甲1発明との相違点
(ア)段ボール箱の底フラップに対してテーピングを施すことで製函することは、甲5にも記載されているように周知かつ慣用技術であるから、本件発明1と甲1発明との相違点は、以下のとおりである。
(イ)相違点1-A
本件発明1は、包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段を複数並列に設置するのに対し、甲1発明は、その構成を有しない点。
(ウ)相違点1-B
本件発明1は、当該複数設置によって複数形成される各商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を前記複数の各商品搬送経路の下方にそれぞれ対応させて分路させるのに対して、甲1発明は、その構成を有しない点。
(エ)相違点1-C
本件発明1は、当該分路の分岐部に段ボール箱の各分路への搬送を仕分ける仕分け手段を設けるのに対して、甲1発明は、その構成を有しない点。
ウ 各相違点についての主張
(ア)相違点1-Aについて
箱詰め包装装置において、箱詰めに用いる段ボール供給手段の供給能力が箱詰めされる物品の搬送・箱詰め能力よりも大きい場合には、両方の能力のバランスを考慮して、一つの段ボール供給手段に対し、複数の物品搬送手段を対応させることは、当業者が普通に採用する技術事項である。例えば、甲2では物品2,2’が搬送される経路が2系列存在するのに対し、段ボールが供給される経路が1系列であり、甲3においても、包装品の送り装置は二個並列して設けてもよい旨記載されているとおりである。
(イ)相違点1-B及び1-Cについて
上記常套手段に従い、複数の商品搬送経路を設けた場合、それぞれの商品搬送経路に対応させて段ボール箱搬送経路を設置することが当然必要となり、また、段ボール箱の組立製造装置が一つであれば、その組立製造装置からの搬送経路を分路させ各商品搬送経路に対応させることも当然に行うことである。そして、当該分路の分岐部に段ボール箱の各分路への搬送を商品に応じて仕分ける仕分け手段を設けることも、甲4の第1図に記載されているとおり、当業者であれば当然に採用する周知の技術的事項である。
(2)審理事項通知における合議体の見解を受けた主張(請求人の口頭審理陳述要領書7?10頁参照。以下「主張1-2」という。)
ア 本件発明1と甲1発明との一致点
本件発明1と甲1発明とは、以下の点で一致する。
「包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、
箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、
収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、製函する製函手段と、
製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された製函・箱詰め装置であって、
商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を商品搬送経路の下方に設けた、
製函・箱詰め装置である点。」
イ 本件発明1と甲1発明との相違点
(ア)相違点1-1
製函手段において、本件発明1では「底面をテーピングして製函する」と規定されているが、甲第1号証では、第3A図のQで示す列に、箱詰めに先立って予め底部(のフラップ)を閉塞した箱に袋詰め品を収納させることが記載されているものの、段ボール箱の底フラップに対してテーピングを施すことで製函することが記載されていない点。
(ア)相違点1-2
本件発明1は、
「a 包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段を複数並列に設置し、
b 当該複数設置によって複数形成される各商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を前記複数の各商品搬送経路の下方にそれぞれ対応させて分路させ、
c 当該分路の分岐部に段ボール箱の各分路への搬送を仕分ける仕分け手段を設ける」
という構成を有するのに対し、甲1発明においては、それらの構成を有しない点。
ウ 各相違点についての主張
(ア)相違点1-1について
甲1発明では、甲1の12頁右上欄にホットメルトガンによるのり付け封函することが記載されているが、製函手段として、テーピングを施す手段は甲5の9頁右上欄?左下欄にも記載されているとおり、本件特許の出願前から採用されている代表的な封函手段である。したがって、甲1発明において、封函手段をのり付けに代えてテーピングを採用することは当業者にとって容易であり、また、そのことにより格別な効果を奏するものでもない。
(イ)相違点1-2について
a 包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段を複数並列に設置することは、物品の箱詰めの技術分野においては、当業者が通常行う常套手段(甲2、甲3)であり、箱詰め包装装置において、箱詰めに用いる段ボール供給手段の供給能力が箱詰めされる物品の搬送・箱詰め能力よりも大きい場合には、両方の能力のバランスを考慮して、一つの段ボール供給手段に対し、複数の物品搬送手段を対応させることは、当業者が普通に採用する技術事項である。
b そして、上記常套手段に従い、複数の商品搬送経路を設けた場合、それぞれの商品搬送経路に対応させて段ボール箱搬送経路設置することが当然必要となり、また、段ボール箱の組立製造装置が一つであれば、その組立製造装置からの搬送経路を分路させ各商品搬送経路に対応させることも当然に行うことである。そして、当該分路の分岐部に段ボール箱の各分路への搬送を仕分ける仕分け手段を設けることも当然必要となり、甲4に記載されているとおり、当業者であれば当然に採用する周知の技術的事項である。
(3)構成Fについて
ア 被請求人は、「甲1に記載される発明は、特許発明1における構成要件Fのうち『商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を商品搬送経路の下方に設けた』との構成を開示も示唆もしておらず、そのため、当該構成要件を備えることは当業者が容易になしえたことではない。」と主張する。
イ しかし、仮に、本件特許発明1の「箱詰め待機位置」である甲1の「物品排出端」が、被請求人の主張のとおり、甲1の「昇降トレー57aの上面」であり、本件特許発明1の「箱詰め位置」である「袋詰品収納位置」が甲1の「外装ケース4内に落し込む位置」だとしても、「外装ケース4」自体が垂直方向で見て「昇降トレー57aの上面」よりも下方に位置していることは第7D図や、別の態様を記載した第8C図に示されているとおりであり、甲第1号証においても「箱詰め位置」が「箱詰め待機位置」の下にあることは明らかである。

第4 被請求人の主張
1 本件発明2についての主張
(1)記載要件について
ア 製函手段は、収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、底面をテーピングして製函する部品として規定される。また、段ボール箱搬送手段は、製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する部品として規定される。これより、段ボールシートが製函され、箱詰め位置まで搬送される位置関係は明確である。
イ しかし、製函手段を介して接続される段ボールシート収容部と搬送手段との位置関係については、段ボールシート収容部が、(1)搬送手段から遠い位置に設置される構成であるのか、(2)搬送手段から近い位置に設置される構成であるのか、明確とは言い難い(参考図1を参照)。
ウ 参考図1



エ 本件発明2では、この点を明確化するため、構成要件Jを規定している。具体的には、段ボールシート収容部は、前記箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿った方向に一体的に設置されるとの記載より、製函手段を介して接続される段ボールシート収容部が、搬送手段に対して近い位置に設置される構成(上記参考図1における(2)の配置構成)に特定される。要するに、上記のように、段ボールシート収容部における設置関係を具体化するために「一体的」と表現しており、「一体的」の意味は明確である。
オ これより、本件発明2において発明の構成に欠くことのできない事項として記載される「一体的」との文言は、旧特許法第36条第5項第2号の要件に適合する。
(2)本件発明2の新規性進歩性について
ア 構成上容易想到でないこと
(ア)本件発明2は、かかる従来における各種包装済み商品を自動的に箱詰めできるようにした箱詰め装置を前提としつつ、かかる装置に製函装置も併設してより効率の良い箱詰め自動作業が行えるようにした場合でも、装置全体の占有スペースをコンパクトにして省スペース化を図ることができる製函・箱詰め装置を提供することを課題としており、甲1?5に記載の発明とは全く解決課題が相違している。特に、箱詰め処理ラインを複数列にしたり、段ボールシートの収容枚数を増加する場合にかかる問題が顕著に生じることを考慮して解決手段を提供している。
(イ)すなわち、本件発明2では、箱詰め装置と製函装置とを併設する配置関係をも考慮し、製函装置部の段ボールシート収容部を、箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿った方向に一体的に設置するという解決手段を講じている点で、甲1発明とは、課題解決の着眼点と構成そのものが相違する。
(ウ)甲1には、装置本体の機枠および装置本体の設置方向に沿って一体的に設置される点(本件特許明細書【0028】、【0029】段落)についてなど、本件発明2の構成を示唆する記載は一切ない。
イ 作用効果が格別であること
「収容部の長さを装置本体の機枠と同じ程度にしても、装置全体からはみ出た部分がなくなり、装置全体の設置をコンパクトに行える。」との点(本件特許明細書【0011】段落)は、甲1発明から当然に予測されるものではない。また、「収容部が長くなるので、段ボールシートの収容枚数が多くなり、補給作業の回数が減少する。」との点(本件特許明細書【0011】段落)についても、甲1発明から当然に予測されるものではない。
ウ 上記ア、イより、本件発明2は、甲1発明および、甲2?4に記載された本件特許出願前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。よって、本件発明2は、請求人が主張する特許法第123条第1項第2号の規定による無効理由を有しない。
2 本件発明1についての主張
(1)構成Fについて
ア 請求人は、甲1発明が本件発明1の構成Fを有すると主張するが誤りである。
イ 甲1において、箱詰め待機位置に該当する「昇降トレー57aの上面」の位置は、箱詰め位置に該当する「外装ケース4内に落とし込む位置」と上下に対応した位置関係になく、明らかに水平方向にずれた位置関係となっている。
ウ したがって、甲1には、本件発明1における構成要件Fのうち「商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を商品搬送経路の下方に設けた」との構成が開示も示唆もされていない。
エ 甲1に記載された「物品排出端」が、前記集約装置におけるいずれの位置であるのか不明確である以上、「物品排出端」を特許発明1に記載される「箱詰め待機位置」に該当するとの請求人の主張は明らかに誤りである。
(2)相違点1-B及び1-Cについて
ア 甲4には、段ボールストックエリア34から箱詰めゾーン17に対して、段ボール5が、例えば、一つの搬送路を共用して搬送されるのか、複数配置される専用の搬送路によって搬送されるのか具体的に記載されていない。上記において記載されているのは、あくまでも段ボール5を箱詰めゾーン17に送り出す点のみであり、「分路」および「仕分け手段」について開示も示唆もされていない。
イ したがって、甲1に対し、甲4に記載される事項を適用しても、そもそも「分路」および「仕分け手段」が開示も示唆もされていない以上、特許発明1における構成は得られない。
ウ 阻害要因
(ア)また、甲1発明は、箱内に収納された後に、袋詰品相互の間に隙間ができないようにするため、袋詰品をその一部が互いに重なりあうように整列させ、かつ外装箱内に収納する際には、一部がオーバーラップした状態で袋詰品を箱内に入れ込むようにしている。
(イ)一方、甲4における発明は、梨やリンゴ等の果実の箱詰めに関するものである。一般的に梨やリンゴは、その表面に傷がつかないように、互いの果実が重ならないようにしている。
(ウ)上記より、甲1発明における目的は、甲4における目的と相反するものである。そのため、甲第1号証に対して、甲4に記載された事項を適用することについては、動機づけがなく、またその適用について阻害要因が存在する。
エ よって、本件発明1は進歩性を有する。
(3)相違点1-2について
ア 合議体が審理事項通知で通知した相違点1-2は、「前記搬送手段を複数並列に設置するとともに、当該複数設置によって複数形成される各商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を前記複数の各商品搬送経路の下方にそれぞれ対応させて分路し、当該分路の分岐部に段ボール箱の各分路への搬送を仕分ける仕分け手段を設けたことを特徴とする」となる。
イ 甲1から甲5には、上記相違点について開示も示唆もない。要するに、商品搬送経路を複数設置したことによって、段ボール箱の分路が必要となり、また、分路を設けたことにより、仕分け手段が必要となっているとの有機的な繋がりについては、開示も示唆もない。そのため、いずれの文献を組合せたとしても、本件発明1に特有の効果は奏し得ない。
ウ よって、本件発明1は進歩性を有する。
(4)上記(1)?(3)のとおり、本件発明1は甲1発明及び甲2?5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明できたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではないから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものではない。

第5 当審の本件発明2についての判断
事案に鑑み、本件発明2から検討する。
1 旧特許法第36条第5項第2号についての判断
(1)特許請求の範囲の記載要件
ア 旧特許法第36条第5項には次のように規定されている。
「第3項第4号の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」
(ア)第1号
「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」
(イ)第2号
「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項(以下「請求項」という。)に区分してあること。」
(ウ)第3号
「その他通商産業省令で定めるところにより記載されていること。」
イ また、特許法第70条第1項には、「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基いて定めなければならない。」と規定されており、上記ア(イ)のように、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載することにより、特許発明の外延を明確に示すことが求められているということができる。
ウ このことは、多様な解釈が可能な発明が特許されることになると、社会一般に対しあるいは競業者に対し、特許権が行使される範囲の外延が明示されないことになり、不測の不利益を与えるおそれがあるからである。
(2)本件発明2への当てはめ
ア 本件発明2の構成要件Jは、「前記製函装置部の段ボールシート収容部を、前記箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿った方向に一体的に設置したことを特徴とする」というものである。
イ 本件発明2の構成
本件発明2は、「搬送手段」と「吸引移送手段」とを部品とする「商品搬送経路」を有する「箱詰め装置部」、並びに「段ボールシート収容部」、「製函手段」及び「段ボール箱搬送手段」を部品とする「製函装置部」が規定され、前記「箱詰め装置部」及び前記「製函装置部」からなる製函・箱詰め装置が規定されている。
ウ 段ボールシート収容部の「方向」について
段ボールシート収容部は、折り畳み前の段ボールシートを複数収容するためのものであるが、その「方向」とは、収容する段ボールシートを増加した場合に段ボールシート収容部が長くなるという関係を有する方向を指すと解される。
エ 「一体的」について
ここで、「段ボールシート収容部」が本件発明2の構成要素として、何と一体的に設置されるかを検討すると、製函装置のうち段ボールシート収容部を除く部分と一体的であるとも解され(以下「解釈A」という。)、また、「商品搬送経路」と一体的であるとも解され(以下「解釈B」という。)、さらに、本件発明2のその他の構成要素と一体的であるとも解され、特許請求の範囲の記載から、そのいずれとも定めることができないので、本件発明2は明確であるということはできない。
オ そうすると、上記(1)において検討したように、本件特許権者以外の当業者にとって、段ボールシート収容部をどのように設計することにより、本件発明2の技術的範囲を回避できるかどうかは判然としないということができ、本件発明2は、社会一般に対しあるいは競業者に対し、特許権が行使される範囲の外延を明示したものということができないから、旧特許法第36条第5項第2項に規定された要件を満たすということはできない。
(3)被請求人の主張に対して
ア 平成30年10月23日付け審理事項通知において、合議体は、上記(2)エにおける解釈Aまたは解釈Bのいずれを採用すべきか、被請求人に口頭審理での陳述を求めた。
イ それに対し被請求人は、解釈A及び解釈Bはいずれも誤りであって、「『前記製函装置部の段ボールシート収容部を、前記箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送路に沿った方向に一体的に設置した』とは、段ボールシート収容部が、搬送手段から近い位置に設置されている構成である。すなわち、段ボールシート収容部が、商品搬送経路に沿った方向に、同じ外観の様子で製函手段と接続されて設置されている構成は明らかである。そのため、本件明細書における段落【0011】等に記載される作用効果を発揮することも明らかである。」旨主張する。
ウ ここで、本件明細書の段落【0011】には、以下のように記載されている。
「請求項2の構成によれば、製函装置部の段ボールシート収容部が、箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿う方向、すなわち装置本体の機枠および装置本体の設置方向に沿って設置されるので、収容部の長さを装置本体の機枠と同じ程度にしても、装置本体と一体的な設置ができ、装置全体からみてはみ出た部分がなくなり、装置全体の設置をコンパクトに行える。また、収容部が長くなるので、段ボールシートの収容枚数が多くなり、補給作業の回数が減少する。」
エ しかしながら、被請求人の主張する上記解釈(以下「解釈C」という。)が可能であるとしても、解釈A又は解釈Bに拠ったとしても、上記ウに摘記した本件明細書の段落【0011】に記載された効果を奏することが可能であるから、解釈A及び解釈Bも成り立たないということはできない。そうすると、本件発明2について多様な解釈が可能であることになるのであるから、被請求人の解釈Cが採り得るとしても、本件発明2が明確であるということはできない。
オ また、上記ウで摘記したように、装置本体、機枠、装置全体と一体と記載されているが、それらは、本件発明2の構成要素との対応が明らかでないから、やはり、構成Jが明確であるとする根拠にはならない。
カ 以上から、被請求人の主張は、採用できない。
(4)小括
したがって、本件発明2の記載は、旧特許法第36条第5項第2号に規定された要件を満たさない。したがって、旧特許法第123条第4項の規定により、本件発明2は無効とすべきものである。
2 特許法第29条第2項についての判断
(1)上記1で検討したとおり、本件発明2については、多様な解釈が可能であって、画一的な解釈ができないから、文言どおりの解釈では、引用発明との一致点及び相違点の認定も困難である。
(2)しかしながら、被請求人の主張する請求項2の解釈により、一致点及び相違点の認定が可能となるから、本件発明2を被請求人の主張する解釈によって再認定して検討する。
(3)本件発明2の再認定
被請求人主張のように本件発明2を解すると次の発明(以下「本件発明2’」という。)が認定できる。(当審注:記号Jに代えて記号Kを付した。)
「A 包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、
B 箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、
C 収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、底面をテーピングして製函する製函手段と、
D 製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された製函・箱詰め装置であって、
K 前記製函装置部の段ボールシート収容部を、前記箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿った方向に、かつ、前記製函手段と接続されて前記搬送手段と近接させて一体的に設置したことを特徴とする
H 製函・箱詰め装置。」
(4)甲1の記載事項
本件出願前頒布された刊行物である甲1には、次の記載がある。
ア 特許請求の範囲第1項
「複数列で搬送されてきた袋詰品を横一線に揃うように整列させた後、それら袋詰品相互が一部オーバーラップするように集約させ、次いで集約状態にある袋詰品を吸着パッドを介して上方に吊り上げてから、このものを開口状態にある外装ケース内に、自重落下させることなく、吊り上げ状態を維持したまま載置面まで降下させて、逐次、前記ケース内に段積みしてゆくようにしたことを特徴とする袋詰品を箱詰めする方法。」
イ 特許請求の範囲第5項
「折畳み状態にあるシート状の段ボールケースを角筒状に組立てる手段と、当該組立途中の段ボールケース内に物品を収納した後、当該ケースのダストフラップならびにサイドフラップを閉塞する手段を付設させて成る特許請求の範囲第1項または第2項記載の装置。」
ウ 4頁右上欄下3行?右下欄12行
「第3A?3B図は、本発明の方法ならびにこの方法を実施する場合の装置を概括的に説明するための略図であって、まず全体構成を述べると、一例としてベルトコンベヤ11を介して一列で供給されて来た袋詰品(以下、物品sともいう)を、符号t2で示す複列化装置に導いて単列のものを3列に並べかえ、次いでそれを次段の集約装置t3に導入し、ここで前記複数列の物品を寄せ集めて、それら物品の一部が互いにオーバーラップするようなす。前記集約装置の物品排出端には、第3A?3B図には示されていない物品落し込み装置14(第7A?7D図および第8A?8E図参照)が配設されており、この装置14によって横並びにオーバーラップさせた物品を上から押え込みながら外装ケースである段ボールケース4内に対し強制的に収納させるようになす。後記のように、前記外装ケース内には、収納物品を下面側から支える支持プレートが待機しており、しかも、このプレートは当該ケース内において物品の集積高さに応じて支持高さが変わるようにしである。また、前記のような支持プレートを用いず、底部を閉塞した箱内に直接袋詰品を収納させ、しかも箱内のおける袋詰品の集積高さに応じて袋詰品を吸着把持するパッドの上下動が変化するようにした装置についても、その実施例(第8A?8E図参照)を本明細書中に開示した。
なお、前記各装置に対して、第3B図に示すとおり、前記ケースの自動組立装置15と、組立途中の段ボールケースを、逐次、物品落し込み装置の直下に移動させてゆくケース移送装置16とを組み込んでおく。第3A?3B図において符号4aで示すものは、前記ケースを折り畳み状態で集積した段ボールシート、符号4bは、ケース内に物品が収納された後、該ケースの蓋がとじられた状態を示す。」
エ 5頁左上欄下7行?左下欄下2行
「[段ボールケースの組立機]
前記第3B図並びに第4A?4B図に明示したように、胴張りをして平らに折畳まれた多数枚の段ボールシート4aを、マガジン30から一枚づつ、往復運動するバキュームパッド31を介して矢印の方向に引きだすと同時に、ガイド32,33、案内レール34等を案内として図中一点鎖線で示すように、平らなシートを平行四辺形状から角筒状へと変化させつつ開函させてから、これを該組立機に隣接するケース移送装置16に導入するのである。
なお、符号35は、前記マガジ30(当審注:原文のまま)に納められた平らなシート4aを順次、矢印方向に押出してゆく押動片であって、このものはスプロケット36a,36bに懸張された駆動チェン36に取付けられ、一方、前記多数枚のシート4aは、前記チェンに連動しつつ移動するキャタピラ37上に搭載されている。かくして、前記シート4aは、バキュームパッド31によって1枚づつシートマガジン30より取り出される。その際、ガイド32,33等によってシート4aは起こされ、角筒状の外装ケースになる。
前記のようにして組み立てられたケース4の形態は、第4B図に示すとおりであって、当該ケースにおける上下の各フラップは何れも垂直方向に向いた開函状態が保たれている。しかし、このケースが組立機15から次段の移送装置1Bに転送される際には、第4C図のような状態に変化する。
すなわち、前記ケースにおける下方のフラップのうち、下サイドフラップ4rは垂直方向を向いたままであるが、下ダストフラップ4eのみは、前記移送装置に取り付けられた案内レール40,40の作用によって、前後の各フラップの双方が、図において右向きに屈曲した状態を保って、次段のケース移送装置16内を図において左向きに進行してゆく。
換言すれば、同装置16におけるボトムレール40の作用によって前記下側のダストフラップは、右方に屈曲させられるのである。このようにして、開函状態となったケースは前記移送装置により、後記の物品落し込み装置14の直下へと導かれるのである。
なお、本発明においては、箱を組み立てるに当り、第4C図のような折り込み過程を経ずに、通常の折込み方法にしたがって予め段ボール箱の底部のみを閉塞して第4D図に示すような形態としてから、これを一般に汎用されているベルトコンベヤ等を介して物品落し込み装置14に導くようにすることもできる。」
オ 5頁左下欄下1行?6頁右下欄末行
「[ケース移送装置]
以下、主として第5A?5D図に基づき、前記段ボールケースにおける各フラップが、順次折込まれながら移送してゆく過程を説明する。
同装置の概略構成は、組み立てられた角筒状の段ボールケース4を左方向に送るべく、これを駆動する駆動機構(第5A?5B図参照)と、ケースを滑らせてゆく送り面機構(第5C図参照)とから成り、前記送り面機構の両脇には、後記のように複数個の駆動装置が配設されている。すなわち、第5A図に明示するように、移送装置16の両サイドには、数個所において角筒状の段ボールケースを、バキュームパッドを介して前方に引っ張ったり、或いはそれを後方から押し動かす駆動装置(符号41?42参照)が設けられており、これら駆動装置によってボトムレール40の上面に導かれたケース4を順次前方へと繰り出してゆくものである。前記駆動装置は、符号42で示すものを除いて、すべて装置の長手方向に沿って移動し得る構成であり、符号42で示すもののみが、取り付け位置が固定されていて、前後方向にも移動しないようになっている。すなわち、符号41を付した駆動装置は、移送装置の長手方向と平行に配設したロッドレスシリンダ48と、該シリンダ43のピストンテーブル上に固着した廻動機構とから成り、前記廻動機構は、第5B図に明示するように、ラック41aピニオン41bならびに該ピニオン41bによって駆動される廻動腕41cとで構成されている。なお、前記した各廻動機構のうち、廻動腕41cの作用端に吸着パッド44が付設されているものがあり、それは第5A図において最も右側に位置しているものである。
複数の駆動装置がどのように配置されているかの全体構成については、第5A図に示すとおりで、固定の1基を除いては、すべて装置の長手方向に移動し得るようになっている。
すなわち、ロッドレスシリンダ43を介して該シリンダの上部に取り付けられた廻動腕41cが、該シリンダの長手方向に沿って図において左右方向に往復動をなすように構成されている。なお、前記の各廻動腕41cまたは42cは、何れもピニオン紬を中心に、図中矢印で示すとおり、はぼ1/4回転を行ってケースを前方に送り、送り終わると最初の位置にセットし直される。
なお、符号44は、移送経路の中途に設けたブレーキシリンダ装置であって、前記ケースを移送途中の一点において定位置に固定するためのものである。・・・
進んで、前記各駆動装置の作用を説明すると、組立当初の角筒状ケースはまず、第5A図の最右端に、符号44で示す吸着パッドつきの廻動機構41に吸着されたままロッドレスシリンダ43によって、前記したボトムレール40,40の上面に引き出されてくる。吸着パッド44が前記シリンダ上において所定のストローク分だけ移動する。と、次いで該バッド44を備えた廻動腕41cは、図に矢印(鎖線)で示すように廻動して退避動作を行い、ケースの通路をあける。すると今度は、別の駆動装置(第5A図の下側に鎖線で描いた駆動装置41参照)が作動し、該ケースを後方から前に向って押動かすように作用する。かくして吸着パッド44によってボトムレール40の上面に引き出されてきた角筒状のケース4は、第5A図に符号Xで示す位置に至る。・・・
上記の説明は、段ボールケース4を第4C図の形態に折り込みながら移送してゆく過程を述べたものであるが、この段ボールケース4を第4D図のように組み立てた場合には、第5C?5D図に示す機構は使用しないで済み、その結果、第5A?5B図に示した機構のみを用いればよい。したがって第5A?5B図に基づく説明は、第4D図のように組み立てた段ボールケース4の場合にも、あてはまる。」
カ 10頁左下欄3?16行
「[物品の落し込み装置]
すなわち、第7Dおよび7G図に示すとおり、前記バキューム機構62?B4に付設された各吸着管(例えば62a,62b等)が移動して最も前に来たときの位置に、物品の落し込み装置を取り付けるもので、この装置は、垂直方向に取付けたシリンダ74と該シリンダを介して昇降し得るようにした押え込み片72とから成り、前記押え込み片には第7G図に示すように、前記バキューム機構62?64に付設された各吸着管が入り込むだけの切欠73を形成しておく。また、符号72gは、物品と接触する面に貼付けた緩衝用のラバーであって、物品を押し込む際に、内部商品が破損しないようにするために取付けてたが、必ずしも必要ではない。」
キ 14頁右上欄下5行以下「図面の簡単な説明」の項
(ア)第3A図?第3B図、14頁左下欄5?13行
「第3A図は、本発明にしたがって、1列になって送られてきた袋詰品を3列に並び替えてから、その一部がオーバーラップするように重ね合せた上で外装ケース内に収納する状態を観念的に示した斜視図であって、折畳み状態にあるケースを組立てながらこのケース内に前記袋詰品を収納してゆく過程をも概括的に示した。第3B図は、同じくその正面図、」
(イ)第4A図?第4D図、14頁左下欄13行?右下欄1行
「第4A図は、主として本発明の装置中で、外装ケースの自動組立装置と組立て後のケースの移送機構を示した平面図、第4B図は、同上自動組立装置の側面図、第4C図は、組立て途中の外装ケースにおける下面ダストフラップの折込み過程を示す断面図、第4D図は、第4C図のような特殊な折込み過程を経ずに、通常の方法にしたがって箱の底部を閉塞した状態を示す一部縦断側面図、」
(ウ)第6A図?第6C図、14頁右下欄6?9行
「第6A図は一列で供給されてくる袋詰品を複列化する態様を描いた説明図、第6B図は同上複列化装置の平面図、第6C図は同上側面図、」
(エ)第7D図、14頁右下欄14?17行
「第7D図は、前記集約装置の側面図にして、吸着した袋詰品を強制的に外装ケース内に収納する押込み片の昇降装置をも示した。」
(オ)第8C図、15頁左上欄2?9行
「第8A?8E図は、複列化した袋詰品を横方向に一部オーバーラップさせる集約装置ならびに集約された袋詰品を吸着したまま、箱の開口面上に移送させ、かつその箱内に袋詰品を詰め込む装置についての別の実施態様を示すもので、・・・第8C図は袋詰品を箱詰めする装置の側面図、」
ク 図面
(ア)第3A図



(イ)第3B図



(ウ)第4A図



(エ)第4B図



(オ)第4C図



(カ)第4D図



(キ)第6A図



(ク)第6B図



(ケ)第6C図



(コ)第7D図



(サ)第8C図



(5)甲5の記載事項
甲5には、次の記載がある。
ア 9頁右上欄14行?左下欄15行
「送り出されるケースはその際第17図に示す通り進行方向側の上下のフラップはB位置からC位置にケースが順送りにより送り込まれるのに支障の無い位置で進行方向の中心に沿い、通常ガムテープ等を使用して自動で封函する際に使用されている装置と同様の進行方向のフラップ折曲用に所定位置に上下にガイドバー108、108’を設け、後部フラップ折曲げで下部はその送り出しに先だって行なってあるので封函機に使用してあるのと同様の円孤運動式フラップ折曲げバー109を所定の位置に取付け、所定のタイミングで円弧運動をさせ更に進行方向両側の長手方向フラップ折曲用の案内バー110、110’を上下の所定位置に取付け折曲げを行ない、この自動ケース詰機1台毎にガムテープ貼迄行なうのであればその後にガムテープ貼機を装置するが実際上この部分が割に複雑で費用もかかり又それなりにスペースも要するので数台の自動ケース詰機でケース詰めされたケースをまとめ1台の封函機でガムテープ貼を行なう方が経済的でありこれはその都度検討し決定すれば良く本実施例ではフラップ折曲げを送り出しプレートで押し出すなす工程迄としてある。」
イ 第17図



(6)対比・判断
ア 甲1発明の認定
「袋詰品を集約する装置、段ボールケースの組立機、ケース移送装置及び物品の落し込み装置とを全体構成として有する装置であって、
袋詰品を集約する装置は、一列で供給されてくる袋詰品を複列化し、その一部がオーバーラップするように重ね合せた上で物品の落し込み装置が設けられた排出端まで移送するものであり、
段ボールケースの組立機は、マガジン30に存在する胴張りをして平らに折畳まれた多数枚の段ボールシートから一枚づつ取り出して、平らなシートを平行四辺形状から角筒状へと変化させつつ開函させてから、通常の折込み方法にしたがって予め段ボール箱の底部のみを閉塞してから、これを該組立機に隣接するケース移送装置16に導入するものであり、
ケース移送装置は、段ボールケースを、逐次、物品の落し込み装置の直下に移動させてゆくものであり、
物品の落し込み装置は、垂直方向に取付けたシリンダ74と該シリンダを介して昇降し得るようにした押え込み片72とから成り、前記押え込み片にはバキューム機構62?64に付設された各吸着管が入り込むだけの切欠73を有し、バキューム機構の吸着パッドにより吊下げられた物品を互いに引き寄せてオーバーラップさせ、オーバーラップさせた物品を上から押え込みながら外装ケースである段ボールケース4内に対し強制的に収納させる装置。」の発明(以下「甲1発明」という。)が読み取れる。
イ 対比
本件発明2’と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明における「袋詰品」、「排出端」、「落し込み装置の直下」、「落し込み装置」、「袋詰品を集約する装置」はそれぞれ、本件発明2’における「包装済み商品」、「箱詰待機位置」、「箱詰め位置」、「吸引移送手段」、「搬送手段」にそれぞれ相当する。
(イ)甲1発明における、「袋詰品を集約する装置」及び「落し込み装置」を合わせたものが、本件発明2’における「箱詰め装置部」に相当する。
(ウ)甲1発明における「マガジン30に存在する平らに折畳まれた多数枚の段ボールシート」、「段ボールケースの組立機」は、本件発明2’における「収容部に収容された段ボールシート」、「製函手段」にそれぞれ相当する。
(エ)甲1発明における「段ボールケース」、「ケース移送装置」は、本件発明2’における「製函された段ボール箱」、「段ボール箱搬送手段」にそれぞれ相当する。
(オ)甲1発明における、「段ボールケースの組立機」及び「ケース移送装置」を合わせたものが、本件発明2’における「製函装置部」に相当する。
(カ)甲1発明における「全体構成」には、上記(イ)(ウ)から、製函及び箱詰めを両方有しているから、「製函・箱詰め装置」であるといえる。
ウ 一致点
そうすると、本件発明2’と甲1発明とは、
「A 包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、
B 箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、
C’ 収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、製函する製函手段と、
D 製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された製函・箱詰め装置であって、
K’ 前記製函装置部の段ボールシート収容部を、設置したことを特徴とする
H 製函・箱詰め装置。」である点で一致する。
エ 相違点
本件発明2’と甲1発明は次の2点で相違する。
(ア)相違点2’-1
製函手段について、本件発明2’においては、底面をテーピングして製函するのに対して、甲1発明においては、テーピングするかどうか明らかでない点。
(イ)相違点2’-2
段ボールシート収容部について、本件発明2’においては、「前記箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿った方向に、かつ、前記製函手段と接続されて、前記搬送手段と近接させて一体的に設置」されるのに対して、甲1発明においてはその点が明らかでない点。
オ 検討
(ア)相違点2’-1について
甲5の上記(5)アに摘記したように、「ガムテープ貼機」は本件特許出願前周知のものと認められるから、甲1発明にこの点を付加して、底面をテーピングして製函するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(イ)相違点2’-2
a 設置する方向について
(a)上記1(2)ウで検討したように、ダンボールシート収容部の方向とは、収容する段ボールシートを増加した場合に段ボールシート収容部が長くなるという関係を有する方向であって、これを上記2(4)ク(イ)に摘記した甲1の第3B図において検討すると、図面の上下方向であると把握できる。
(b)一方、上記2(4)ク(イ)に摘記した甲1の第3B図から把握できる袋詰品を集約する装置における移送経路の方向も図面の上下方向である。
(c)したがって、甲1発明及び甲1の第3B図の記載から、「前記箱詰め装置部の搬送手段によって形成される商品搬送経路に沿った方向」に設けることは当業者が容易になし得ることである。
b 一体的について
(a)上記2(4)ク(イ)に摘記した甲1の第3B図においては、マガジン30は、袋詰品を集約する装置との間に隙間を設けた状態で、設置されていることが読み取れる。
(b)しかしながら、一般的に装置の各部分をどの程度近接させるかは、単なるレイアウトの問題であって、当業者が適宜変更可能な事項である。
(c)甲1発明において、上記隙間を設けることに甲1には言及はされていないから、甲1発明のマガジン30と袋詰品を集約する装置を近接させることを阻害する事由はなく、上記(b)のように当業者が適宜変更可能な事項であるといえる。
カ 小括
以上のとおり、本件発明2を被請求人が主張するように解釈した本件発明2’は、甲1発明並びに甲1及び甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができた発明といえる。
3 本件発明2についての小括
上記1?2において検討したように、本件発明2に係る請求項2の記載は不明確であって、発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものと認めることができないから、旧特許法第36条第5項第2号に規定された要件を満たすということはできず、その特許は、旧特許法第123条第4項の規定により、無効とすべきものである。また、被請求人が主張するように解釈した本件発明2’は、甲1発明並びに甲1及び甲5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができた発明であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、その特許は、特許法第123条第2項の規定により無効とすべきものである。

第6 当審の本件発明1についての判断
1 刊行物の記載事項
なお、甲1及び甲5の記載事項は、第5、2(4)及び(5)にそれぞれ記載のとおりである。
(1)甲2の記載事項
ア 1頁右下欄5?17行
「〔背景技術〕
従来、段ボールシートを用いた自動包装装置は、ひとつの装置で1種類の物品しか取り扱っていなかった。形状の異なる他の種類の物品を包装するためには、その都度物品の形状に合うよう、段ボールシートを折り曲げる衝接手段や糊付手段の位置を変えるなど装置の調整を行わなければならなかった。それは、非常に不便であり、作業を非能率的にするという問題を生じさせていた。
〔発明の目的〕
そこで、この発明は、同時に複数の種類の物品を包装することができ、作業の能率を向上させる自動包装装置を提供することを目的とする。」
イ 2頁右上欄1?15行
「第2図にみるように、形状の異なる2種類の段ボールシート1,1’多数がそれぞれマガジン3,3’に集積されている。これらマガジン3,3’の下方には段ボールシート供給手段たる第1のチェーンコンベヤ6が設けられ、このチェーンコンベヤ6に形成されている間隙6’には、エアシリンダ5,5′の働きにより上下動自在な吸盤4,4’が設けられている。これら吸盤4,4’は、それぞれ前記マガジン3,3’の下面から段ボールシート1,1’を1枚ずつ吸着して引き下げる手段である。このような動作は、必要な時点で電気信号を受け取ることによって行うようになっている。図中、3aは段ボールシートをコンベヤ6の上方で受けておく爪である。」
ウ 2頁右上欄16行?左下欄2行
「第1のチェーンコンベヤ6の先には、続いて第2のチェーンコンベヤ7が設けられている。このチェーンコンベヤ7は、段ボールシート1,1’のうち底面片の幅が最大の段ボールシート1を基準にして設けられている。すなわち、その段ボールシート1の底面片aの幅分を少なくとも備えるよう隙間7’が形成されている。」
エ 2頁左下欄2行?右下欄2行
「このチェーンコンベヤ7は、第1のチェーンコンベヤ6から送られて来た各種段ボールシート1,1’を受け取り、物品2,2’が供給される所望の位置まで搬送する。これらの物品は、全体として1個である場合もあるが、缶などが多数集積された形の場合もある。物品2,2’は、ローラコンベヤ8,8にそれぞれ載置され、待機している。そして、フィーダ9によって2種類とも同時に、または1種類ずつ第2のチェーンコンベヤ7上の各段ボールシート1,1’の各底面片a上まで押し進められる。フィーダ9は、ローラコンベヤ8,8を挾む両側に固設された正逆回転可能なチェーン伝動体9a,9aと、それらのチェーン間に架設された長尺のバー9bとを備えている。すなわち、チェーン伝動体9a、9aの回転によってバー9bが前進し、このバー9bが物品2,2’を押し進めるのである。バー9bは、段ボールシート1,1’が第2のチェーンコンベヤ7上の所定の位置にセットされた際等、適当な時期に電気信号を受け取って始動する。」
オ 4頁右上欄13行?左下欄5行
「以下に、上記の構造の自動包装装置による物品の包装工程を説明する。第2図にみるように、各マガジン3,3’の下方にある吸盤4,4’が、必要な電気信号を受け取ると、各マガジン3,3’から段ボールシート1,1’を1枚取りだし、第1のチェーンコンベヤ6上に載せる。各段ボールシート1,1’は、第1のチェーンコンベヤ6から第2のチェーンコンベヤ7に搬送され、所定の位置で停止される。この搬送の途中で、糊付手段35により各オーバラップ片eにホットメルト接着剤が付着される。段ボールシート1,1’上には、それぞれローラコンベヤ8,8上を搬送されて来た物品2,2’が載置される。」
カ 5頁右下欄9?15行
「この発明にかかる自動包装装置においては、実施例では、形状の異なる複数種類のものが使用されていた。しかしながら、同形状の段ボールシートが複数の包装経路で使用されても良い。それにより、従来、装置複数台を用いて行っていた包装を駆動源を同じにする装置1台で行い得るようになる。」
キ 第2図



(2)甲3の記載事項
甲3には、次の記載がある。
ア 特許請求の範囲
「扁平に閉じられた多数枚のダンボールケースの一側面を吸引あるいは押圧して開口し、角筒状に形成し箱詰め装置へ順次移送する段ボールケースの自動供給成形装置と、袋詰めの終る商品即ち、包装品を待ち受け順次吸引して包装品の上下方向の位置を逆転させて包装品の検査並びに整列装置へ移送する送り装置と、包装品を凹状のコンベアと逆凹状の空気嚢で挾み、空気嚢の押圧力の変化により包装品の製袋不良を検査する検査装置と検査の終えた包装品を箱詰めするため、ダンボールケース内に位置し、順次必要段数降下する積載テーブル上に吸引して移送する包装品箱詰め装置との組み合せからなる計量包装され、かつ、軟包装された商品の自動ケース詰め装置。」
イ 4頁左下欄末行?右下欄4行
「この発明においては包装品の送り装置は一個のものを示したが、二個並列して設けたものでもよく(従って包装機(B)も二台並列する)、又、包装品の検査並びに整列装置も一台のものを示したが複数個並列して設けてもよいものである。」
(3)甲4の記載事項
ア 特許請求の範囲
「コンベア上を送られてくる果実を視覚センサで選別してストックゾーンに一時ストックし、このストックゾーン内の果実が所定数に達した時に該果実を箱詰ゾーンに導く果実搬送部と、パック及びシート材を一枚ずつ切出して夫々箱詰ゾーンに導くパック搬送部及びシート材搬送部と、製函機を備え製函後の段ボール箱を箱詰ゾーンに導く段ボール搬送部と、上記箱詰ゾーンで上記果実、パック及びシート材の所定の順序での段ボール箱内への箱詰を行う箱詰部と、この箱詰後の段ボールを封函しこの表面に刻印して出庫する出庫部とを備えたことを特徴とする果実選別箱詰装置。」
イ 1頁右下欄3行?2頁右上欄2行
「(産業上の利用分野)
本発明は、梨やリンゴ等の果実の選別から箱詰して出庫に至る一連の作業を自動的に行うようにした果実選別箱詰装置に関する。
(従来の技術)
従来、上記果実の選別から箱詰して出庫に至るまでの一連の作業は、例えば第3図に示すように、一般に手作業に頼って行われていた。
即ち、各農家から搬入された果実は、作業者によって、夫々の等級に分けられている複数列の器付コンベア1の上に乗せられる。そして、このコンベア1による果実の搬送中に、視覚センサ2を用いて大きさが識別され、この時のデータは計算機にトラッキングされる。
一方、箱詰ゾーン3は、等級及び階級等に応じていくつかに分けられ、予め等級及び階級等に割り付けられている。
そして、上記果実を搬送してきたコンベア1は、先にトラッキングしたデータが箱詰ゾーン3に割り付けられた条件を満たす場合に、果実を乗せた皿を傾け、これにより果実はこの皿から落ちて各箱詰ゾーン3にストックされる。
この箱詰ゾーン3の側方には、作業者が待機しているとともに、製函a4で作られた段ボール箱5、所定の形状のシート材6及びプラスチック製等のパック7が予め準備されている。
そして、果実の箱詰の状態は異なるが、例えば第2図に示すように、段ボール箱5内に、必要に応じて緩衝材8を入れた後、パック7を入れ、このパック7のパターンに合わせて果実を入れ、この上にシート材6を被せた後、更にこの上にパック7、果実、シート材6及び必要に応じて緩衝材8の挿入作業を上記作業者の手作業で行い、この箱詰後の段ボール5を払出しコンベア9上に乗せる。
そして、この箱詰後の段ボール5は、払出しコンベア9上を進み、封函機10で封函され、その表面に刻印装置11で等級や階級等が印字され、その後、夫々の等級若しは階級等に応じて分けられて出荷されるものであった。」
ウ 2頁左下欄11?20行
「(作用)
上記のように構成された果実選別箱詰装置では、選別を行う果実を果実搬送部のコンベアに乗せ、パック、シート材及び段ボールを夫々パック搬送部、シート材搬送部及び段ボール搬送部の起端部に夫々供給することにより、箱詰部で自動的に所定の箱詰が行われて出庫部から出庫することができ、これによって、果実の選別から箱詰までの作業を人手を介すことなく自動的に行うことができる。」
エ 実施例(2頁右下欄1行以下)
(ア)2頁右下欄2?16行
「実施例について、第1図及び第2図を参照して説明すると、本実施例における果実選別箱詰装置は、果実搬送部12、パック搬送部13、シート材搬送部14、段ボール搬送部15、緩衝材搬送部16、箱詰ゾーン17及び出庫部18とから主に構成されている。
上記果実搬送部12には、各農家から集められた果実を作業者が一個ずつ乗せる平面U字状で終端に外用箱20を接続したの(当審注:原文のまま)器付コンベア19と、このコンベア19上を搬送される果実の表面の色及び大きさからこの等級及び階級等を決定する視角センサ21とが備えられている。
なお、この視角センサ21には、果実表面の色と等級との関係及び大きさと階級との関係等の選別に必要なデータが予め入力されている。」
(イ)2頁右下欄17行?3頁右上欄7行
「そして、上記コンベア1の内部には、果実の等級や階級等に応じていくつかに分けられ割り付けされたストックゾーン22が形成され、等級や階級等が決定された果実を乗せた器付コンベア1は、予め設定しておいたストックゾーン22の等級及び階級と果実のそれが一致した時に、その皿を傾けて果実をコンベア1上からストックゾーン22へと落下させて、ここに一時ストックしておくよう構成されているとともに、このストックゾーン22の内部には、箱詰ゾーン17に繋がる搬送コンベア23が配設されて、上記ストックゾーン22にストックされた果実が設定した数になると、この搬送コンベア23に払出されて箱詰ゾーン17に導かれるよう構成されている。
上記パック搬送部13には、搬送路24に沿ってパック収納部25と、パック切出し装置26と、パックストックエリヤ27とが備えられ、パック収納部25に収納されたパック7が、パック切出し装置26により一枚ずつ分離され、夫々の穴数や大きさ等に応じてパックストックエリア27にストックされ、箱詰を行う果実の等級や階級等に応じたものが計算機からの要求に応じてパックストックエリア27から、搬送路24の終端の箱詰ゾーン17に送り出されるよう構成されている。
上記シート材搬送部14には、搬送路28の基端にシート材収納部29と、シート材切出し装置30が備えられているとともに、搬送路28の終端は箱詰ゾーン17に接続され、シート材収納部2つに収納されたシート材6は、シート材切出し装置30によって一枚ずつ分離されて箱詰ゾーン17に導かれるよう構成されている。」
(ウ)3頁右上欄8行?17行
「上記段ボール搬送部15には、搬送路31に沿って段ボール収納部32と、製函機4と、段ボール箱ストックエリヤ34とが備えられ、段ボール収納部32に収納された段ボール5が、製函機4で一枚ずつ分離され組立てられた状態で、大きさに応じて段ボールストックエリア34にストックされ、箱詰を行う果実の等級や階級等に応じたものが計算機からの要求に応じて段ボールストックエリア34から、搬送路31の終端の箱詰ゾーン17に送り出されるよう構成されている。」
(エ)3頁左下欄6行?右下欄1行
「上記箱詰ゾーン17には、位置決め機構38と箱詰部39とが備えられ、ここに集積された果実や段ボール箱5等はこの位置決め機構38により設定された順番で箱詰部39に供給され、この箱詰部39で果実の箱詰が行われるよう構成されている。
即ち、例えば第2図に示すような箱詰を行う場合には、先ず段ボール5が供給されて箱詰部39に載置され、次いで緩衝材8が供給されて段ボール箱5内に、パック7が供給されてこの上に夫々挿入され、この状態で果実がロボットアーム等に一個一個掴まれてパック7の所定のパターンに従って詰められ、シート材6が供給されてこの上に被せられる。そして、更に同様にして、パック7、果実、シート材6及び緩衝材8の挿入を行って箱詰を終了するのである。」
(オ)3頁右下欄8行?4頁左上欄11行
「次に、上記実施例の作用について説明する。
作業者は、果実の夫々の等級等に拘ることなく、果実を果実供給部12の皿コンベア19上に乗せる。すると、果実は夫々の等級や階級等に応じて各ストックゾーン22に一時ストックされ、このストックされた果実の数が所定数に達すると、ここから払出されて搬出コンベア23から箱詰ゾーン17に導かれ、位置決め機構38によって位置決めされてここに待機する。
一方、パック7及び段ボール5は、上記果実の等級及び階級等に合わせ、パックストックエリヤ27及び段ボールストックエリヤ34から選択されて、箱詰ゾーン17に導かれ、位置決め機構38によって位置決めされてここに待機し、またシート材6及び緩衝材8も箱詰ゾーン17に導かれ、位置決め機構37(当審注:原文のまま)によって位置決めされてここに待機する。
この状態で、上記のように設定された順番での段ボール5内への果実及び材料の詰め込みが行われる。
そして、この詰め込み作業が終了した後、出庫部18の封函機10での段ボール5の封函及びその表面への刻印装置11での等級及び階級等の刻印が行われて出荷されるのである。」
オ 第1図



カ 第2図



2 対比及び判断
(1)検討
ア 本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記第5、2(6)における検討と同様であって、以下の点で一致する。
イ 一致点
「A 包装済み商品を箱詰め待機位置まで搬送する搬送手段と、
B 箱詰め待機位置の商品を吸引保持して箱詰め位置まで移送する吸引移送手段とからなる箱詰め装置部と、
C 収容部に収容された段ボールシートを一枚づつ取り出して組み立て、製函する製函手段と、
D’ 製函された段ボール箱を箱詰め位置まで搬送する段ボール箱搬送手段とからなる製函装置部とで構成された、
H’ 製函・箱詰め装置。」
ウ 相違点
本件発明1と甲1発明は次の2点で相違する。
(ア)相違点1-1
製函手段について、本件発明1においては、底面をテーピングして製函するのに対して、甲1発明においては、底面をテーピングするかどうか明らかでない点。
(イ)相違点1-2
本件発明1が「前記搬送手段を複数並列に設置するとともに、当該複数設置によって複数形成される各商品搬送経路の箱詰め待機位置に段ボール箱搬送経路の箱詰め位置が上下に対応するように、前記段ボール箱搬送手段によって形成される段ボール箱搬送経路を前記複数の各商品搬送経路の下方にそれぞれ対応させて分路し、当該分路の分岐部に段ボール箱の各分路への搬送を仕分ける仕分け手段を設け」ているのに対し、甲1発明においては、ケース移送装置は、段ボールケースを逐次、物品の落し込み装置の直下に移動させるものではあるが、物品の搬送手段が単数であって、分路を設ける必要がなく、仕分け手段を設ける必要もない点。
エ 相違点1-2についての検討
(ア)甲2においては、複数並列に設けられた搬送手段に、それぞれ別の段ボールシートを供給しているに過ぎないから、分路がそもそも存在しない。(イ)甲3には、製函・箱詰め装置において、搬送手段を複数並列に設けることは記載されているが、分路についての記載はない。
(ウ)甲4には、その第1図に箱詰部39が3つ記載されているが、3つ存在する理由またはそれらの使い分けについては記載されていない。また、個々の段ボールの搬送経路を果物の搬送経路の下方に設けることも明記されておらず、甲4には、本件発明1の構成F及びGが記載されているとは認められない。
しかも、仮に、上記1(3)エ(エ)に摘記したように、甲4の果物選別箱詰装置が「果実がロボットアーム等に一個一個掴まれてパック7の所定のパターンに従って詰め」るため、時間がかかるので、3つの箱詰部39を順番に用いるものと解すると、1本の搬送路31から3つの箱詰部に至る段ボールの分路及び仕分け手段は必要となるが、このように解すると、果物の供給も3つの箱詰部のいずれかにしかなされないことになるから、「前記搬送手段を複数並列に設置する」という構成をも有しないこととなる。
(エ)そうすると、相違点1-2に係る構成は、甲2?4に記載された事項を組み合わせても到達できないことになるため、相違点1-2に係る構成は、当業者であっても容易に想到し得るものということはできない。
(オ)そして、本件発明1は、相違点1-2によって、本件明細書の段落【0026】に記載の「実施例の製函・箱詰め装置によれば、箱詰め装置部2が、2連併設されるツインタイプとして構成されるとともに、併設された箱詰め装置部2-1,2-2における包装済み商品Aの搬送経路の箱詰め待機位置(Y)直下に箱詰め位置(Z)が対応するように、製函装置部3の段ボール箱搬送機構8によって構成される段ボール箱搬送経路を上記のように構成して仕分け搬送を行い、1台の製函装置によって段ボール箱Bを間断なく各箱詰め位置(Z)に搬送するようにしている。したがって、従来のような製函・箱詰め装置を単純に複数ライン設置する場合よりも装置全体の設置スペースにおける省スペース化を図ることができるほか、製函装置の稼働率を高めることができる。」という作用効果、本件明細書の段落【0027】記載の「また、段ボール箱の上方から商品を搬入することが通常の態様なので、包装済み商品を装置本体に取り込む搬送路を装置本体内の上段側に、段ボール箱を仕分け搬送する搬送路を装置本体内の下段側に設置するようにしているので、この点でも設置スペースの省スペース化を図ることができる。」という作用効果及び本件明細書の段落【0029】に記載の「この発明の製函・箱詰め装置によれば、1台の製函手段で複数の箱詰め装置に段ボール箱を間断なく供給して箱詰め処理を並列的に行うことができるので、従来のような製函・箱詰め装置を単純に複数ライン設置する場合よりも省スペース化を図ることができるとともに、製函装置の稼働率を高めることができる。」といういずれも格別の作用効果を奏するものである。
(カ)したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2?5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできない。
(2)請求人の主張に対して
ア 前記第3、2(1)の主張1-1について
(ア)請求人は、上記第3、2(1)において、本件発明1と甲1発明との相違点は、相違点1-A?Cであると主張している。
(イ)しかしながら、本件発明1においては、商品搬送経路を複数設置したことによって、段ボール箱の分路が必要となり、また、分路を設けたことにより、仕分け手段が必要となっているのであるから、相違点1-A?Cを別々の相違点に分離することは適切でない。
イ 前記第3、2(2)の主張1-2における相違点1-2について
(ア)請求人は、主張1-2における相違点1-2について、「箱詰め包装装置において、箱詰めに用いる段ボール供給手段の供給能力が箱詰めされる物品の搬送・箱詰め能力よりも大きい場合には、両方の能力のバランスを考慮して、一つの段ボール供給手段に対し、複数の物品搬送手段を対応させることは、当業者が普通に採用する技術事項である。」と主張する。
(イ)しかしながら、1)箱詰めに用いる供給手段の供給能力及び箱詰めされる物品の搬送・箱詰め能力が比較されること、2)両者のバランスが考慮されること、3)一つの段ボール供給手段に対し、複数の物品搬送手段を対応させること、の1)?3)の全てについての証拠がなく、請求人の主張を認めるに足りる証拠はないといえる。
3 本件発明1についての小括
本件発明1は、甲1発明及び甲2?5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明ということはできず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ということはできないから、その特許は、特許法第123条第2項の規定に該当せず、無効とすることはできない。

第7 むすび
1 本件発明2について
(1)本件発明2に係る請求項2の記載は、多義的に解釈でき、そのいずれとも決することができないので、発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものということができないから、旧特許法第36条第5項第2号の規定を満たすものといえない。したがって、本件発明2に係る特許は、旧特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきものである。
(2)多義的な解釈を回避するために、被請求人の主張する解釈により、本件発明2を再認定した本件発明2’は、甲1発明及び甲5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。
2 本件発明1について
本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ということはできないから、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定に該当せず、無効とすることはできない。
3 審判費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その2分の1を請求人の負担とし、その2分の1を被請求人の負担とすべきものとする。
4 以上のとおり、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-04-26 
結審通知日 2019-05-09 
審決日 2019-05-21 
出願番号 特願平5-340506
審決分類 P 1 113・ 121- ZC (B65B)
P 1 113・ 537- ZC (B65B)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 田村 嘉章  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 門前 浩一
西尾 元宏
登録日 2004-08-20 
登録番号 特許第3586796号(P3586796)
発明の名称 製函・箱詰め装置  
代理人 吉村 雅人  
代理人 松井 佳章  
代理人 野村 泰久  
代理人 木村 一仁  
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