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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01C
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01C
管理番号 1353139
異議申立番号 異議2018-700702  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-30 
確定日 2019-05-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6285096号発明「チップ抵抗器、および、電子デバイス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6285096号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-16、18-22〕、〔17、23-42〕について訂正することを認める。 特許第6285096号の請求項1ないし5、8ないし42に係る特許を維持する。 特許第6285096号の請求項6及び7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6285096号の請求項1ないし22に係る特許についての出願は、平成24年11月19日(優先権主張 平成23年12月26日)に出願され、平成30年2月9日にその特許権の設定登録がなされ、同年2月28日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1ないし22に係る特許に対して、同年8月30日に特許異議申立人 廣瀬 哲夫により特許異議の申立てがなされ、当審により同年11月14日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成31年1月18日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、その訂正の請求に対して特許異議申立人 廣瀬 哲夫から同年4月2日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否

1.訂正の内容
平成31年1月18日付けの訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下の訂正事項のとおりである。なお、下線は訂正部分を示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、その発明特定事項として、訂正前の請求項6の「前記第2主面電極および前記オーバーコートを覆う第2補助電極と、前記第2補助電極を覆う第2メッキ電極と、を備え、前記第2補助電極は、前記第2主面電極よりも、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位を有する」との事項、および、訂正前の請求項7の「前記基材は、前記主面とは反対側を向く裏面を有し、前記裏面に形成され、前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極と、前記裏面に形成され、前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極と、を更に備える」との事項を直列的に追加し、
「【請求項1】
主面を有する基材と、
前記主面に形成された第1主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と、
前記抵抗体、前記第1主面電極、および前記第2主面電極を覆うオーバーコートと、
前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、
前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と、を備え、
前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、
前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く、
前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面を有し、
前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面を有し、
前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置以下の位置にあり、
前記第2主面電極および前記オーバーコートを覆う第2補助電極と、
前記第2補助電極を覆う第2メッキ電極と、を備え、
前記第2補助電極は、前記第2主面電極よりも、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位を有し、
前記基材は、前記主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面に形成され、前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極と、
前記裏面に形成され、前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極と、を更に備える、チップ抵抗器。」に訂正する(訂正後の請求項1を直接的または間接的に引用する請求項2?5、8?16、18?22も同時に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項8中、「請求項7に記載のチップ抵抗器。」とあるのを、「請求項1に記載のチップ抵抗器。」に訂正する(訂正後の請求項8を引用する請求項9も同時に訂正する)。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項10中、「請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のチップ抵抗器。」とあるのを、「請求項1ないし請求項5、請求項8、請求項9のいずれかに記載のチップ抵抗器。」に訂正する(訂正後の請求項10を引用する請求項11も同時に訂正する)。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項12中、「請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のチップ抵抗器。」とあるのを、「請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項11のいずれかに記載のチップ抵抗器。」に訂正する(訂正後の請求項12を引用する請求項13も同時に訂正する)。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項14中、「請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のチップ抵抗器。」とあるのを、「請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項13のいずれかに記載のチップ抵抗器。」に訂正する(訂正後の請求項14を直接的または間接的に引用する請求項15、16も同時に訂正する)。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項17を、独立項として書き下し、
「【請求項17】
主面を有する基材と、
前記主面に形成された第1主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と、
前記抵抗体、前記第1主面電極、および前記第2主面電極を覆うオーバーコートと、
前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、
前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と、を備え、
前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、
前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く、
前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面を有し、
前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面を有し、
前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置以下の位置にあり、
前記抵抗体と前記オーバーコートとの間に介在するアンダーコートを更に備える、チップ抵抗器。」に訂正する(訂正後の請求項17を直接的または間接的に引用する請求項38?42も同時に訂正する)。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項18中、「請求項1ないし請求項14、請求項17のいずれかに記載のチップ抵抗器。」とあるのを、「請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項14のいずれかに記載のチップ抵抗器。」に訂正する(訂正後の請求項18を直接的または間接的に引用する請求項19?22も同時に訂正する)。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項2を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項23を、訂正後の請求項17を引用する形式で追加する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項3を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項24を、訂正後の請求項23を引用する形式で追加する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項4を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項25を、訂正後の請求項24を引用する形式で追加する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項5を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項26を、訂正後の請求項24を引用する形式で追加する。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項6を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項27を、訂正後の請求項17、請求項23ないし請求項26を引用する形式で追加する。

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項7を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項28を、訂正後の請求項27を引用する形式で追加する。

(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項8を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項29を、訂正後の請求項28を引用する形式で追加する。

(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項9を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項30を、訂正後の請求項29を引用する形式で追加する。

(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項10を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項31を、訂正後の請求項28ないし請求項30を引用する形式で追加する。

(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項11を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項32を、訂正後の請求項31を引用する形式で追加する。

(20)訂正事項20
特許請求の範囲の請求項12を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項33を、訂正後の請求項17、請求項23ないし請求項32を引用する形式で追加する。

(21)訂正事項21
特許請求の範囲の請求項13を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項34を、訂正後の請求項33を引用する形式で追加する。

(22)訂正事項22
特許請求の範囲の請求項14を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項35を、訂正後の請求項17、請求項23ないし請求項34を引用する形式で追加する。

(23)訂正事項23
特許請求の範囲の請求項15を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項36を、訂正後の請求項35を引用する形式で追加する。

(24)訂正事項24
特許請求の範囲の請求項16を引用する請求項17を独立項として書き下したものに相当する請求項37を、訂正後の請求項36を引用する形式で追加する。

(25)訂正事項25
特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16を引用する請求項17を引用する請求項18をそれぞれ独立項として書き下したものに相当する請求項38を、訂正後の請求項17、請求項23ないし請求項37を引用する形式で追加する。

(26)訂正事項26
特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16を引用する請求項17を引用する請求項18を引用する請求項19をそれぞれ独立項として書き下したものに相当する請求項39を、訂正後の請求項38を引用する形式で追加する。

(27)訂正事項27
特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16を引用する請求項17を引用する請求項18を引用する請求項19を引用する請求項20をそれぞれ独立項として書き下したものに相当する請求項40を、訂正後の請求項39を引用する形式で追加する。

(28)訂正事項28
特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16を引用する請求項17を引用する請求項18を引用する請求項19を引用する請求項21をそれぞれ独立項として書き下したものに相当する請求項41を、訂正後の請求項39を引用する形式で追加する。

(29)訂正事項29
特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16を引用する請求項17を引用する請求項18を引用する請求項19を引用する請求項22、同請求項19を引用する請求項20ないし請求項21を引用する請求項22をそれぞれ独立項として書き下したものに相当する請求項42を、訂正後の請求項39ないし請求項41を引用する形式で追加する。

2.訂正の適否についての判断
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし22は、請求項2ないし22が、訂正の対象である請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、一群の請求項であり、これら訂正前の請求項1ないし22に対応する訂正後の請求項1ないし42も一群の請求項である。
したがって、本件訂正請求は、一群の請求項ごとにされたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に、訂正前の請求項6及び請求項7に記載の事項を直列的に付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

イ.訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ウ.訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項8が請求項7を引用する記載であったものを、上記訂正事項1?3によって請求項6及び請求項7に記載の事項が訂正後の請求項1に組み込まれて請求項7が削除されたことに伴い、削除された請求項7を引用しているという不明瞭な状態を解消するために引用先を請求項7から請求項1に変更するものであり、また、その結果として、訂正前の請求項7が引用する請求項6が請求項1ないし5を引用するものであったところ、請求項1のみを引用(請求項2ないし5の引用は削除)するものになることから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

そして、訂正事項4は上述のとおり、削除された請求項の引用という不明瞭な状態を正し、その結果として引用する請求項を一部を削除するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

オ.訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項10が請求項7ないし9を引用する記載であったものを、上記訂正事項1?3によって請求項6及び請求項7に記載の事項が訂正後の請求項1に組み込まれて請求項7が削除されたことに伴い、削除された請求項7を引用しているという不明瞭な状態を解消するために引用先を請求項7ないし9から請求項1ないし5、8、9に変更するものであり、また、上記訂正事項4にも伴い、結果として引用する請求項の一部が削除されることになるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

そして、訂正事項5は上述のとおり、削除された請求項の引用という不明瞭な状態を正し、また、引用する請求項を一部を削除するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

カ.訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項12が請求項1ないし11を引用する記載であったものを、上記訂正事項1?3によって請求項6及び請求項7に記載の事項が訂正後の請求項1に組み込まれて請求項6及び請求項7が削除されたことに伴い、削除された請求項6、請求項7を引用しているという不明瞭な状態を解消するために引用先を請求項1ないし11から請求項1ないし5、8ないし11に変更するものであり、また、上記訂正事項4にも伴い、結果として引用する請求項の一部が削除されることになるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

そして、訂正事項6は上述のとおり、削除された請求項の引用という不明瞭な状態を正し、また、引用する請求項を一部を削除するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

キ.訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項14が請求項1ないし13を引用する記載であったものを、上記訂正事項1?3によって請求項6及び請求項7に記載の事項が訂正後の請求項1に組み込まれて請求項6及び請求項7が削除されたことに伴い、削除された請求項6、請求項7を引用しているという不明瞭な状態を解消するために引用先を請求項1ないし13から請求項1ないし5、8ないし13に変更するものであり、また、上記訂正事項4にも伴い、結果として引用する請求項の一部が削除されることになるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

そして、訂正事項7は上述のとおり、削除された請求項の引用という不明瞭な状態を正し、また、引用する請求項を一部を削除するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ク.訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項2ないし16の引用を削除するとともに、請求項1を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して独立形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項8は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに独立形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ケ.訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前の請求項18が請求項1ないし14、17を引用する記載であったものを、上記訂正事項1?3によって請求項6及び請求項7に記載の事項が訂正後の請求項1に組み込まれて請求項6及び請求項7が削除されたことに伴い、削除された請求項6、請求項7を引用しているという不明瞭な状態を解消するとともに、請求項17の引用を削除するために引用先を請求項1ないし14、17から請求項1ないし5、8ないし14に変更するものであり、また、上記訂正事項4にも伴い、結果として引用する請求項の一部が削除されることになるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

そして、訂正事項9は上述のとおり、削除された請求項の引用という不明瞭な状態を正し、また、引用する請求項を一部を削除するものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

コ.訂正事項10について
訂正事項10は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1、3ないし16の引用を削除するとともに、請求項2を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を引用する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項10は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を引用する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

サ.訂正事項11について
訂正事項11は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1、2、4ないし16の引用を削除するとともに、請求項3を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項23を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項11は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項23を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

シ.訂正事項12について
訂正事項12は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし3、5ないし16の引用を削除するとともに、請求項4を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項24を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項12は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項24を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ス.訂正事項13について
訂正事項13は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし4、6ないし16の引用を削除するとともに、請求項5を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項24を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項13は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項24を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

セ.訂正事項14について
訂正事項14は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし5、7ないし16の引用を削除するとともに、請求項6を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を直接又は間接的に引用(訂正後の請求項17、23ないし26を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項14は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を直接又は間接的に引用(訂正後の請求項17、23ないし26を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ソ.訂正事項15について
訂正事項15は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし6、8ないし16の引用を削除するとともに、請求項7を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項27を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項15は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項27を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

タ.訂正事項16について
訂正事項16は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし7、9ないし16の引用を削除するとともに、請求項8を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項28を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項16は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項28を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

チ.訂正事項17について
訂正事項17は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし8、10ないし16の引用を削除するとともに、請求項9を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項29を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項17は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項29を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ツ.訂正事項18について
訂正事項18は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし9、11ないし16の引用を削除するとともに、請求項10を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項28ないし30を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項18は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項28ないし30を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

テ.訂正事項19について
訂正事項19は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし10、12ないし16の引用を削除するとともに、請求項11を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項31を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項19は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項31を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ト.訂正事項20について
訂正事項20は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし11、13ないし16の引用を削除するとともに、請求項12を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を直接又は間接的に引用(訂正後の請求項17、23ないし32を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項20は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を直接又は間接的に引用(訂正後の請求項17、23ないし32を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ナ.訂正事項21について
訂正事項21は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし12、14ないし16の引用を削除するとともに、請求項13を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項33を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項21は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項33を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ニ.訂正事項22について
訂正事項22は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし13、15、16の引用を削除するとともに、請求項14を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を直接又は間接的に引用(訂正後の請求項17、23ないし34を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項22は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を直接又は間接的に引用(訂正後の請求項17、23ないし34を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ヌ.訂正事項23について
訂正事項23は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし14、16の引用を削除するとともに、請求項15を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項35を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項23は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項35を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ネ.訂正事項24について
訂正事項24は、訂正前の請求項17が請求項1ないし16を引用する記載であったものを、請求項1ないし15の引用を削除するとともに、請求項16を引用する部分について、請求項間の引用関係を解消して訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項36を引用)する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

そして、訂正事項24は上述のとおり、引用する請求項を一部を削除するとともに訂正後の請求項17を間接的に引用(訂正後の請求項36を引用)する形式の請求項に改めるものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ノ.訂正事項25について
訂正事項25は、訂正前の請求項18が請求項1ないし14、17を引用する記載であったものを、請求項1ないし14の引用を削除するとともに、請求項17を引用する部分についてその内容を変更することなく訂正後の請求項17、23ないし37を引用する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ハ.訂正事項26について
訂正事項26は、上記訂正事項25に関連して、訂正前の請求項19が引用する請求項18が、請求項1ないし14、17を引用する記載であったものを、請求項1ないし14の引用を削除するとともに、請求項17を引用する部分についてその内容を変更することなく訂正後の請求項38を引用する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ヒ.訂正事項27について
訂正事項27は、上記訂正事項25に関連して、訂正前の請求項20が間接的に引用する請求項18が、請求項1ないし14、17を引用する記載であったものを、請求項1ないし14の引用を削除するとともに、請求項17を引用する部分についてその内容を変更することなく訂正後の請求項39を引用する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

フ.訂正事項28について
訂正事項28は、上記訂正事項25に関連して、訂正前の請求項21が間接的に引用する請求項18が、請求項1ないし14、17を引用する記載であったものを、請求項1ないし14の引用を削除するとともに、請求項17を引用する部分についてその内容を変更することなく訂正後の請求項39を引用する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

ヘ.訂正事項29について
訂正事項28は、上記訂正事項25に関連して、訂正前の請求項22が間接的に引用する請求項18が、請求項1ないし14、17を引用する記載であったものを、請求項1ないし14の引用を削除するとともに、請求項17を引用する部分についてその内容を変更することなく訂正後の請求項39ないし41を引用する形式の請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
訂正事項1?29については、「特許請求の範囲の減縮」を目的として含むものであるが、本件においては、訂正前の請求項1ないし22の全請求項について特許異議の申立てがなされているので、訂正前の請求項1ないし22に係る訂正事項1?29に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

3.訂正の適否についてのむすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。そして、特許権者から、訂正後の請求項17、23ないし42について訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項〔1-16、18-22〕、〔17、23-42〕について一群の請求項ごとに訂正することを認める。

第3 当審の判断

1.本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし42に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明42」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし42に記載された事項により特定される次のとおりのものである(なお、下線は訂正された箇所を示す。)。
「【請求項1】
主面を有する基材と、
前記主面に形成された第1主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と、
前記抵抗体、前記第1主面電極、および前記第2主面電極を覆うオーバーコートと、
前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、
前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と、を備え、
前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、
前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く、
前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面を有し、
前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面を有し、
前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置以下の位置にあり、
前記第2主面電極および前記オーバーコートを覆う第2補助電極と、
前記第2補助電極を覆う第2メッキ電極と、を備え、
前記第2補助電極は、前記第2主面電極よりも、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位を有し、
前記基材は、前記主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面に形成され、前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極と、
前記裏面に形成され、前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極と、を更に備える、チップ抵抗器。
【請求項2】
前記第1メッキ電極は、前記オーバーコートよりも、前記主面の向く方向側に位置する部位を有し、
前記第1部位は、前記第1方向側に向かうにつれて徐々に薄くなる、請求項1に記載のチップ抵抗器。
【請求項3】
前記第1補助電極の側面と、前記第1主面電極の側面と、前記基材の側面とは、互いに面一であり、
前記補助電極表面は、前記オーバーコート表面と面一となっており、もしくは、前記補助電極表面のうち前記オーバーコートに接する部分は、前記オーバーコート表面よりも前記主面側に位置する、請求項2に記載のチップ抵抗器。
【請求項4】
前記補助電極表面のうち、前記第1主面電極よりも前記第1方向側に位置する部分は全て、前記オーバーコート表面の最も前記主面の向く方向側の端部の位置との差が、前記主面の向く方向において0?10μmの範囲内にある、請求項3に記載のチップ抵抗器。
【請求項5】
前記補助電極表面のうち、前記第1主面電極よりも前記第1方向側に位置する部分は全て、前記オーバーコート表面の最も前記主面の向く方向側の端部の位置との差が、前記主面の向く方向において0?6μmの範囲内にある、請求項3に記載のチップ抵抗器。
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記第1メッキ電極は、前記主面側に位置する主面層を含み、
前記主面層は、前記第1裏面電極よりも前記第1方向側に位置している部位を有する、請求項1に記載のチップ抵抗器。
【請求項9】
前記主面層の前記第1方向における寸法は、200?260μmである、請求項8に記載のチップ抵抗器。
【請求項10】
前記第1メッキ電極は、前記裏面側に位置する裏面層を含み、
前記裏面層は、前記第1補助電極よりも前記第1方向側に位置している部位を有する、請求項1ないし請求項5、請求項8、請求項9のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項11】
前記裏面層の前記第1方向における寸法は、200?260μmである、請求項10に記載のチップ抵抗器。
【請求項12】
前記基材は、前記第1方向とは反対の第2方向を向く側面を有し、
前記側面を覆う側面電極を更に備え、
前記第1メッキ電極は、前記側面電極を覆っている、請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項11のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項13】
前記側面電極は、スパッタによって形成されている、請求項12に記載のチップ抵抗器。
【請求項14】
前記第1メッキ電極は、Cu、Au、Ni、およびSnの少なくともいずれかよりなる、請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項13のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項15】
前記第1メッキ電極は、第1層および第2層を含み、
前記第1層は、前記第2層と前記第1補助電極との間に介在している部分を有する、請求項14に記載のチップ抵抗器。
【請求項16】
前記第1層は、Niよりなり、前記第2層は、Cu、Au、およびSnの少なくともいずれかよりなる、請求項15に記載のチップ抵抗器。
【請求項17】
主面を有する基材と、
前記主面に形成された第1主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と、
前記抵抗体、前記第1主面電極、および前記第2主面電極を覆うオーバーコートと、
前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、
前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と、を備え、
前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、
前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く、
前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面を有し、
前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面を有し、
前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置以下の位置にあり、
前記抵抗体と前記オーバーコートとの間に介在するアンダーコートを更に備える、チップ抵抗器。
【請求項18】
請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項14のいずれかに記載のチップ抵抗器と、
前記チップ抵抗器を包囲している充填樹脂基板と、を備える、電子デバイス。
【請求項19】
前記充填樹脂基板には、ビアが形成され、
前記ビアを規定する内面に形成された導電層を更に備え、
前記導電層は、前記第1メッキ電極に直接接している、請求項18に記載の電子デバイス。
【請求項20】
前記導電層は、前記第1メッキ電極のうち、前記基材の前記主面側に位置する部位に直接接している、請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項21】
前記導電層は、前記第1メッキ電極のうち、前記基材の前記主面とは反対側の裏面側に位置する部位に直接接している、請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項22】
前記導電層および前記第1メッキ電極は、いずれもCuよりなる、請求項19ないし請求項21のいずれかに記載の電子デバイス。
【請求項23】
前記第1メッキ電極は、前記オーバーコートよりも、前記主面の向く方向側に位置する部位を有し、
前記第1部位は、前記第1方向側に向かうにつれて徐々に薄くなる、請求項17に記載のチップ抵抗器。
【請求項24】
前記第1補助電極の側面と、前記第1主面電極の側面と、前記基材の側面とは、互いに面一であり、
記補助電極表面は、前記オーバーコート表面と面一となっており、もしくは、前記補助電極表面のうち前記オーバーコートに接する部分は、前記オーバーコート表面よりも前記主面側に位置する、請求項23に記載のチップ抵抗器。
【請求項25】
前記補助電極表面のうち、前記第1主面電極よりも前記第1方向側に位置する部分は全て、前記オーバーコート表面の最も前記主面の向く方向側の端部の位置との差が、前記主面の向く方向において0?10μmの範囲内にある、請求項24に記載のチップ抵抗器。
【請求項26】
前記補助電極表面のうち、前記第1主面電極よりも前記第1方向側に位置する部分は全て、前記オーバーコート表面の最も前記主面の向く方向側の端部の位置との差が、前記主面の向く方向において0?6μmの範囲内にある、請求項24に記載のチップ抵抗器。
【請求項27】
前記第2主面電極および前記オーバーコートを覆う第2補助電極と、
前記第2補助電極を覆う第2メッキ電極と、を備え、
前記第2補助電極は、前記第2主面電極よりも、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位を有する、請求項17、請求項23ないし請求項26のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項28】
前記基材は、前記主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面に形成され、前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極と、
前記裏面に形成され、前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極と、を更に備える、請求項27に記載のチップ抵抗器。
【請求項29】
前記第1メッキ電極は、前記主面側に位置する主面層を含み、
前記主面層は、前記第1裏面電極よりも前記第1方向側に位置している部位を有する、請求項28に記載のチップ抵抗器。
【請求項30】
前記主面層の前記第1方向における寸法は、200?260μmである、請求項29に記載のチップ抵抗器。
【請求項31】
前記第1メッキ電極は、前記裏面側に位置する裏面層を含み、
前記裏面層は、前記第1補助電極よりも前記第1方向側に位置している部位を有する、請求項28ないし請求項30のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項32】
前記裏面層の前記第1方向における寸法は、200?260μmである、請求項31に記載のチップ抵抗器。
【請求項33】
前記基材は、前記第1方向とは反対の第2方向を向く側面を有し、
前記側面を覆う側面電極を更に備え、
前記第1メッキ電極は、前記側面電極を覆っている、請求項17、請求項23ないし請求項32のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項34】
前記側面電極は、スパッタによって形成されている、請求項33に記載のチップ抵抗器。
【請求項35】
前記第1メッキ電極は、Cu、Au、Ni、およびSnの少なくともいずれかよりなる、請求項17、請求項23ないし請求項34のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項36】
前記第1メッキ電極は、第1層および第2層を含み、
前記第1層は、前記第2層と前記第1補助電極との間に介在している部分を有する、請求項35に記載のチップ抵抗器。
【請求項37】
前記第1層は、Niよりなり、前記第2層は、Cu、Au、およびSnの少なくともいずれかよりなる、請求項36に記載のチップ抵抗器。
【請求項38】
請求項17、請求項23ないし請求項37のいずれかに記載のチップ抵抗器と、
前記チップ抵抗器を包囲している充填樹脂基板と、を備える、電子デバイス。
【請求項39】
前記充填樹脂基板には、ビアが形成され、
前記ビアを規定する内面に形成された導電層を更に備え、
前記導電層は、前記第1メッキ電極に直接接している、請求項38に記載の電子デバイス。
【請求項40】
前記導電層は、前記第1メッキ電極のうち、前記基材の前記主面側に位置する部位に直接接している、請求項39に記載の電子デバイス。
【請求項41】
前記導電層は、前記第1メッキ電極のうち、前記基材の前記主面とは反対側の裏面側に位置する部位に直接接している、請求項39に記載の電子デバイス。
【請求項42】
前記導電層および前記第1メッキ電極は、いずれもCuよりなる、請求項39ないし請求項41のいずれかに記載の電子デバイス。」

2.取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
平成30年11月14日付けで通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
A.引用例1(甲第3号証)を主引用例とした場合
(1-1)理由1(特許法第29条第1項第3号)
請求項1?6,14?16,18に係る発明は、本件特許出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1?6,14?16,18に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(1-2)理由2(特許法第29条第2項)
請求項1?6,14?16,18に係る発明は、本件特許出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、
請求項12,13に係る発明は、本件特許出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明及び引用例3?7に記載の技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、
請求項19,20,22に係る発明は、本件特許出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明及び引用例2に記載の技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?6,12?16,18?20,22に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

B.引用例2(甲第1号証)を主引用例とした場合
(1-3)理由2(特許法第29条第2項)
請求項1?6,14?16,18?20,22に係る発明は、本件特許出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例2に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、
請求項7?11,21に係る発明は、本件特許出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例2に記載された発明及び引用例3,4,6,7に記載の技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、
請求項12,13に係る発明は、本件特許出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例2に記載された発明及び引用例3?7に記載の技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?16,18?22に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。


1.特開2011-9288号公報(甲第3号証)
2.特開2011-91140号公報(甲第1号証)
3.特開2004-79811号公報(甲第4号証)
4.特開2002-270409号公報(甲第5号証)
5.特開平4-102302号公報(甲第6号証)
6.特開2003-168601号公報(甲第2号証)
7.特開2011-199188号公報(甲第7号証)

(2)引用例の記載事項
(2-1)引用例1
引用例1(特開2011-9288号公報、甲第3号証)には、「基板内蔵用チップ抵抗器」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
表面と裏面とを有する厚さが100μm以下の絶縁性基板と、
該基板の表面に形成された一対の厚膜焼成体からなる内部電極と、
該一対の内部電極間に形成された厚膜焼成体からなる抵抗膜と、
該基板の裏面に形成された厚膜焼成体からなるガラス層または金属層と、を備えた基板内蔵用チップ抵抗器。」

イ.「【0011】
本発明の第1実施形態のチップ抵抗器は、図1および図2に示すように、表面と裏面とを有する厚さが100μm程度のアルミナ等の絶縁性基板11の表面に、厚さが10μm程度のAg-Pd等の厚膜焼成体からなる一対の内部電極12a,12bを備え、該一対の電極間に跨るようにRuO_(2)等の厚膜焼成体からなる抵抗膜13が配置されている。抵抗膜13は厚膜焼成体からなるガラス層保護膜17およびエポキシ樹脂等からなる保護膜18に被覆されている。そして、内部電極12a,12bはそれぞれ厚さ7μm程度のNiメッキ層14a,14bおよびCuメッキ層15a,15bにより被覆されている。
【0012】
基板11の裏面に、厚さ10μm程度の例えばホウケイ酸鉛系の厚膜焼成体からなるガラス層16が形成されている。このガラス層16は、基板11の厚さが薄いためこの機械的強度を増すための補強層としての役割を果たしている。」

ウ.「【0014】
図3は本発明の第2実施形態とその変形例の基板内蔵用チップ抵抗器を示す。第2実施形態のチップ抵抗器は図3(a)に示すように、内部電極12a,12b上にこれに接続し、且つこれよりも大面積で、保護膜17,18に重なるAgを主成分とした導電性樹脂からなる第2内部電極19a,19bを備え、該電極上にNiメッキ層14a,14bおよびCuメッキ層15a,15bが被着されている。
【0015】
基板内蔵用チップ抵抗器では、回路基板に内装した後、レーザビームを照射して外部電極を露出させ外部配線に接続する場合があり、外部電極はできるだけ大きいことが好ましい。この実施形態では、保護膜17,18の形成後に保護膜17,18に重なるようにAgを主成分とした導電性樹脂からなる第2内部電極19a,19bを形成し、その上にNiメッキ層14a,14bおよびCuメッキ層15a,15bを形成することで、内部電極12a,12bよりも大きな外部電極を備えた基板内蔵用チップ抵抗器を作成できる。」

エ.「【0021】
次に、図4(c)に示すように、RuO_(2)ペーストのスクリーン印刷にて一区画両側の内部電極22,22に跨る抵抗膜パターンを形成し、乾燥後焼成することで、厚膜焼成体からなる抵抗膜13を各区画に形成する。そして、図4(d)に示すように、ガラスペーストのスクリーン印刷にて抵抗膜13を被覆するガラス保護膜パターンをスクリーン印刷にて形成し、乾燥後焼成することで、抵抗膜13を被覆する厚膜焼成体からなるガラス保護膜17を形成する。
【0022】
次に、図4(e)に示すように、レーザトリミングを適宜行い、抵抗値を調整する。図中の符号Tはトリミング跡を示す。そして、図4(f)に示すように、エポキシ樹脂等の樹脂ペーストのスクリーン印刷にてガラス保護膜17を被覆する樹脂保護膜パターンをスクリーン印刷にて形成し、加温硬化することで、ガラス保護膜を被覆する樹脂保護膜18を形成する。」

・上記引用例1に記載の「基板内蔵用チップ抵抗器」は、上記「ア.」、「イ.」の記載事項、及び図1、図3(a)によれば、表面と裏面とを有する絶縁性基板11と、絶縁性基板11の長手方向に離間して当該基板の表面に形成された一対の内部電極12a,12bと、一対の内部電極12a,12b間に跨がるように絶縁性基板11の表面に形成された抵抗膜13と、抵抗膜13を被覆するガラス保護膜17及びエポキシ樹脂等からなる保護膜18と、絶縁性基板11の裏面に形成されたガラス層16と、を備えた基板内蔵用チップ抵抗器である。
・上記「ウ.」の記載事項、及び図3(a)によれば、基板内蔵用チップ抵抗器はさらに、一対の内部電極12a,12b上にそれぞれ接続し、且つこれよりも大面積で、保護膜17,18に重なるように形成された一対の第2内部電極19a,19bと、一対の第2内部電極19a,19b上にそれぞれ形成されたメッキ層14a,14b,15a,15bを備えてなるものである。
・上記「エ.」の記載事項によれば、ガラス保護膜17は、抵抗膜13とともにレーザトリミングされてなるものであり、エポキシ樹脂等からなる保護膜(樹脂保護膜)18は、レーザトリミング後のガラス保護膜17上に形成されてなるものである。
・そして、図3(a)によれば、以下の点が見て取れる。
(a)抵抗膜13を被覆するガラス保護膜17及びエポキシ樹脂等からなる樹脂保護膜18のうち、ガラス保護膜17のみが一対の内部電極12a,12bの一部も覆っている。
(b)第2内部電極19a及び第2内部電極19bは、絶縁性基板11の表面の向く方向視において抵抗膜13と重なり、且つ、それぞれ内部電極12a及び内部電極12bよりも、絶縁性基板11の長手方向側(それぞれ内部電極12a及び内部電極12bから離間する方向側)に位置する部位と、絶縁性基板11の表面の向く方向視においてそれぞれ内部電極12a及び内部電極12bに重なる部位とを含み、前者の部位は、後者の部位よりも薄い。
(c)絶縁性基板11の表面の向く方向における、当該表面からの第2内部電極19a(19b)表面の高さ位置は、当該第2内部電極19a(19b)表面の全体にわたって、絶縁性基板11の表面の向く方向における、当該表面からの樹脂保護膜18表面の最大高さ位置と等しい位置にある。

したがって、特に図3(a)に示される第2実施形態の変形例に係るものに着目し、上記記載事項および図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「表面と裏面とを有する絶縁性基板11と、
前記絶縁性基板11の長手方向に離間して当該絶縁性基板11の表面に形成された一対の内部電極12a,12bと、
前記一対の内部電極12a,12b間に跨がるように前記絶縁性基板11の表面に形成された抵抗膜13と、
前記抵抗膜13及び前記一対の内部電極12a,12bの一部を覆い、抵抗膜13とともにレーザトリミングされてなるガラス保護膜17と、
前記ガラス保護膜17上に形成され、前記抵抗膜13上のみを覆うエポキシ樹脂等からなる樹脂保護膜18と、
前記一対の内部電極12a,12b上にそれぞれ接続し、且つ当該内部電極12a,12bよりも大面積で、前記ガラス保護膜17及び樹脂保護膜18に重なるように形成された一対の第2内部電極19a,19bと、
前記一対の第2内部電極19a,19b上にそれぞれ形成されたメッキ層14a,14b,15a,15bと、
前記絶縁性基板11の裏面に形成されたガラス層16と、を備え、
前記第2内部電極19a及び前記第2内部電極19bは、前記絶縁性基板11の表面の向く方向視において前記抵抗膜13と重なり、且つ、それぞれ前記内部電極12a及び前記内部電極12bよりも、前記絶縁性基板11の長手方向側(それぞれ前記内部電極12a及び前記内部電極12bから離間する方向側)に位置する部位と、前記絶縁性基板11の表面の向く方向視においてそれぞれ前記内部電極12a及び前記内部電極12bに重なる部位とを含み、前者の部位は、後者の部位よりも薄く、
前記絶縁性基板11の表面の向く方向における、当該表面からの前記第2内部電極19a(19b)表面の高さ位置は、当該第2内部電極19a(19b)表面の全体にわたって、前記絶縁性基板11の表面の向く方向における、当該表面からの前記樹脂保護膜18表面の最大高さ位置と等しい位置にある、基板内蔵用チップ抵抗器。」

(2-2)引用例2
引用例2(特開2011-91140号公報、甲第1号証)には、「基板内蔵用チップ抵抗器」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
表面と裏面とを有する絶縁性基板と、
該基板の表面に形成された一対の内部電極と、
該一対の内部電極間に形成された抵抗膜と、
該抵抗膜が形成された領域の少なくとも一部を覆い、前記内部電極の少なくとも一部が露出するように形成された保護膜と、
前記内部電極の露出部と接続され、前記保護膜の端部を覆うように形成された一対の第2内部電極と、を備え、
該一対の第2内部電極の間隔は、前記一対の内部電極における保護膜に覆われていない領域の間隔よりも狭い、基板内蔵用チップ抵抗器。」

イ.「【0011】
本発明の基板内蔵用チップ抵抗器は、図1に示すように、表面と裏面とを有する厚さが100μm程度のアルミナ等の絶縁性基板11の表面に、厚さが10μm程度のAg-Pd等の厚膜焼成体からなる一対の内部電極12a,12bを備え、該一対の内部電極間に跨るようにRuO_(2)等の厚膜焼成体からなる抵抗膜13が配置されている。抵抗膜13はガラスコートからなる第1保護膜17およびエポキシ樹脂等のオーバコートからなる第2保護膜18に被覆されている。
【0012】
すなわち、保護膜は、抵抗膜13上に形成され抵抗膜全体を覆う第1保護膜17と、該第1保護膜上に形成されその端部以外を覆う第2保護膜18とからなり、電流方向における第1保護膜17の長さは、第2保護膜18の長さよりも長い。そして、第1保護膜17は、内部電極12a,12bの少なくとも一部が露出するように形成されている。また、第2保護膜18は抵抗膜13が形成された領域の少なくとも一部を覆い、内部電極12a,12bとオーバーラップしない範囲で形成されている。これにより、第2保護膜が短いので、塗り重ねによる高さ寸法の増大を低減でき、電極形成部分における高さ寸法を均一化できる。
【0013】
そして、内部電極12a,12bの露出部と接続され、該電極12a,12bと保護膜17および保護膜18の端部を覆うように形成された一対の第2内部電極14a,14bを備える。第2内部電極14a,14bの厚さは20μm程度である。この第2内部電極14a,14bは、実施例1ではNiを主な導電材料として含有する導電性樹脂であり、この導電性樹脂のペーストをスクリーン印刷で塗布し、加温硬化することにより形成する。導電性樹脂ペーストであるので下層の凹凸を吸収して表面の平坦性が高く、且つ第2保護膜18を覆った広い電極面積が得られる。これにより、一対の第2内部電極14a,14bの間隔は、一対の内部電極12a,12bの間隔よりも狭くでき、広い電極面積と平坦性が得られるので、後述するように良好な実装性が得られる。
【0014】
そして、第2内部電極14a,14bはそれぞれ厚さ7μm程度のCuメッキ層からなる外部電極15a,15bにより被覆されている。この外部電極15a,15bは実装時のレーザビームエッチングによるビア形成に際して、レーザビームの衝撃から内部電極や第2内部電極を保護するためのストッパ層として機能すると共に、回路基板の配線層に対して良好な接続性が得られる。」

ウ.「【0024】
次に、図3(d)に示すように、RuO_(2)ペーストのスクリーン印刷にて一区画両側の内部電極12,12に跨る抵抗膜パターンを形成し、乾燥後焼成することで、厚膜焼成体からなる抵抗膜13を各区画に形成する。そして、図3(e)に示すように、ガラスペーストのスクリーン印刷にて抵抗膜13の全体を被覆するガラス保護膜パターンをスクリーン印刷にて形成し、乾燥後焼成することで、抵抗膜13を被覆する厚膜焼成体からなるガラス保護膜(第1保護膜)17を形成する。
【0025】
次に、図3(f)に示すように、レーザトリミングを適宜行い、抵抗値を調整する。図中の符号Tはトリミング跡を示す。そして、図4(a)に示すように、エポキシ樹脂等の樹脂ペーストを用いて、ガラス保護膜17の端部以外を被覆する樹脂保護膜パターンをスクリーン印刷にて形成し、加温硬化することで、ガラス保護膜を被覆する樹脂保護膜(第2保護膜)18を形成する。・・・・(以下、略)」

上記引用例2には、特に図1に示される実施例1に係るものに着目すると、引用例1と同様の基板内蔵用チップ抵抗器が記載されており、ただし、図1をみるかぎり、第2内部電極14aにおける、絶縁性基板11の表面の向く方向視において抵抗膜13と重なり、且つ、内部電極12aよりも、絶縁性基板11の長手方向側(内部電極12aから離間する方向側)に位置する部位の厚みは、絶縁性基板11の長手方向全体にわたってその他の部位(絶縁性基板11の表面の向く方向視において内部電極12aに重なる部位)よりも薄いとはいえない点を踏まえ、上記記載事項および図面を総合勘案すると、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「表面と裏面とを有する絶縁性基板11と、
前記絶縁性基板11の長手方向に離間して当該絶縁性基板11の表面に形成された一対の内部電極12a,12bと、
前記一対の内部電極12a,12b間に跨がるように前記絶縁性基板11の表面に形成された抵抗膜13と、
前記抵抗膜13及び前記一対の内部電極12a,12bの一部を覆い、抵抗膜13とともにレーザトリミングされてなるガラスコートからなる第1保護膜17と、
前記第1保護膜17上に形成され、前記抵抗膜13上のみを覆うエポキシ樹脂等からなる第2保護膜18と、
前記一対の内部電極12a,12b上にそれぞれ接続し、且つ前記第1保護膜17及び第2保護膜18の端部を覆うように形成された一対の第2内部電極14a,14bと、
前記一対の第2内部電極14a,14b上にそれぞれ形成されたCuメッキ層からなる外部電極15a,15bと、を備え、
前記第2内部電極14a(14b)は、前記絶縁性基板11の表面の向く方向視において前記抵抗膜13と重なり、且つ、前記内部電極12a(12b)よりも、前記絶縁性基板11の長手方向側に位置する部位と、前記絶縁性基板11の表面の向く方向視において前記内部電極12a(12b)に重なる部位とを含み、
前記絶縁性基板11の表面の向く方向における、当該表面からの前記第2内部電極14a(14b)表面の高さ位置は、当該第2内部電極14a(14b)表面の全体にわたって、前記絶縁性基板11の表面の向く方向における、当該表面からの前記保護膜17,18表面の最大高さ位置と等しい位置にある、基板内蔵用チップ抵抗器。」

(3)取消理由についての当審の判断
A.引用例1(甲第3号証)を主引用例とした場合
(3-1)理由1(特許法第29条第1項第3号)
ア.本件発明1について
本件発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1における「表面と裏面とを有する絶縁性基板11と、前記絶縁性基板11の長手方向に離間して当該絶縁性基板11の表面に形成された一対の内部電極12a,12bと、前記一対の内部電極12a,12b間に跨がるように前記絶縁性基板11の表面に形成された抵抗膜13と、・・・・・前記絶縁性基板11の裏面に形成されたガラス層16と、を備え」によれば、
引用発明1における、表面と裏面とを有する「絶縁性基板11」、「内部電極12a」、「内部電極12b」、「抵抗膜13」は、それぞれ本件発明1でいう、主面を有する「基材」、「第1主面電極」、「第2主面電極」、「抵抗体」に相当し、
引用発明1にあっても、「内部電極12b」は、「内部電極12a」対し絶縁性基板11の長手方向、すなわち本件発明1でいう「第1方向」に離間して形成されてなるものである。
したがって、本件発明1と引用発明1とは、「主面を有する基材と、前記主面に形成された第1主面電極と、前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と」を備え、さらに「前記基材は、前記主面とは反対側を向く裏面」を有するものである点では共通する。
ただし、基材の裏面に対して、本件発明1では、「前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極」と「前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極」とが更に形成されてなる旨特定するのに対し、引用発明1では、ガラス層16が形成されてなるものである点で相違している。

(イ)引用発明1における「前記抵抗膜13及び前記一対の内部電極12a,12bの一部を覆い、抵抗膜13とともにレーザトリミングされてなるガラス保護膜17と、前記ガラス保護膜17上に形成され、前記抵抗膜13上のみを覆うエポキシ樹脂等からなる樹脂保護膜18と」によれば、
引用発明1における「ガラス保護膜17」及び「樹脂保護膜18」は、ともに抵抗膜13を被覆する保護膜であることから、これらガラス保護膜17と樹脂保護膜18とを併せた保護膜が全体として、本件発明1でいう「オーバーコート」に相当するとみることもできる。
そして、当該保護膜は、抵抗膜だけでなく、一対の内部電極12a,12bの一部も覆ってなるものであり、また、当該保護膜が、表面(本件発明1でいう「主面」)の向く方向と同一方向側を向く表面(本件発明1でいう「オーバーコート表面」)を有することも自明なことである。
したがって、本件発明1と引用発明1とは、「前記抵抗体、前記第1主面電極、および前記第2主面電極を覆うオーバーコートと」を備え、「前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面」を有するものである点で一致するといえる。

(ウ)引用発明1における「前記一対の内部電極12a,12b上にそれぞれ接続し、且つ当該内部電極12a,12bよりも大面積で、前記ガラス保護膜17及び樹脂保護膜18に重なるように形成された一対の第2内部電極19a,19bと、前記一対の第2内部電極19a,19b上にそれぞれ形成されたメッキ層14a,14b,15a,15bと」によれば、
(a)引用発明1における「第2内部電極19a」、「第2内部電極19b」、第2内部電極19a上に形成された「メッキ層14a,15a」、第2内部電極19b上に形成された「メッキ層14b,15b」は、それぞれ本件発明1でいう「第1補助電極」、「第2補助電極」、「第1メッキ電極」、「第2メッキ電極」に相当し、
(b)引用発明1における「第2内部電極19a」及び「第2内部電極19b」にあっても、それぞれ内部電極12a及び内部電極19bだけでなく、ガラス保護膜17及び樹脂保護膜18にも重なる(覆う)ように形成されてなるものである。
(c)また、引用発明1における「第2内部電極19a」にあっても当然、メッキ層14a,15aに覆われ、ガラス保護膜17及び樹脂保護膜18からなる保護膜に接する電極表面(本件発明1でいう「補助電極表面」)を有するものである。
したがって、本件発明1と引用発明1とは、前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と」を備え、「前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面」を有し、さらに「前記第2主面電極および前記オーバーコートを覆う第2補助電極と、前記第2補助電極を覆う第2メッキ電極と」を備えるものである点で一致する。

(エ)引用発明1における「前記第2内部電極19a及び前記第2内部電極19bは、前記絶縁性基板11の表面の向く方向視において前記抵抗膜13と重なり、且つ、それぞれ前記内部電極12a及び前記内部電極12bよりも、前記絶縁性基板11の長手方向側(それぞれ前記内部電極12a及び前記内部電極12bから離間する方向側)に位置する部位と、前記絶縁性基板11の表面の向く方向視においてそれぞれ前記内部電極12a及び前記内部電極12bに重なる部位とを含み、前者の部位は、後者の部位よりも薄く」によれば、
(a)引用発明1における「第2内部電極19a」のうち、抵抗膜13と重なり、且つ、内部電極12aよりも絶縁性基板11の長手方向側(内部電極12aから離間する方向側)に位置する「部位」が、本件発明1でいう「第1補助電極」の「第1部位」に相当し、絶縁性基板11の表面(主面)の向く方向視において内部電極12aに重なる「部位」が、本件発明1でいう「第1補助電極」の「第2部位」に相当し、引用発明1においても、 本件発明1でいう「第1部位」に相当する部位は、本件発明1でいう「第2部位」に相当する部位よりも薄い。
(b)また、引用発明1における「第2内部電極19b」にあっても、内部電極12bよりも絶縁性基板11の長手方向側(内部電極12bから離間する方向側)に位置する「部位」を有し、当該「部位」が、本件発明1でいう「第2補助電極」の「前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位」に相当する。
したがって、本件発明1と引用発明1とは、「前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く」、さらに「前記第2補助電極は、前記第2主面電極よりも、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位を有」するものである点で一致する。

(オ)引用発明1における「前記絶縁性基板11の表面の向く方向における、当該表面からの前記第2内部電極19a(19b)表面の高さ位置は、当該第2内部電極19a(19b)表面の全体にわたって、前記絶縁性基板11の表面の向く方向における、当該表面からの前記樹脂保護膜18表面の最大高さ位置と等しい位置にある」によれば、
本件発明1と引用発明1とは、「前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置の位置」にある点で一致するといえる。

(カ)そして、引用発明1における「基板内蔵用チップ抵抗器」は、本件発明1でいう「チップ抵抗器」に相当するものである。

よって、本件発明1と引用発明1とは、
「主面を有する基材と、
前記主面に形成された第1主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と、
前記抵抗体、前記第1主面電極、および前記第2主面電極を覆うオーバーコートと、
前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、
前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と、を備え、
前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、
前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く、
前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面を有し、
前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面を有し、
前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置の位置にあり、
前記第2主面電極および前記オーバーコートを覆う第2補助電極と、
前記第2補助電極を覆う第2メッキ電極と、を備え、
前記第2補助電極は、前記第2主面電極よりも、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位を有し、
前記基材は、前記主面とは反対側を向く裏面を有する、チップ抵抗器。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
基材の裏面に対して、本件発明1では、「前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極」と「前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極」とが更に形成されてなる旨特定するのに対し、引用発明1では、ガラス層16が形成されてなるものである点。

したがって、本件発明1と引用発明1には相違するところがあるから、本件発明1は、引用例1に記載された発明であるとはいえない。

イ.本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22について
請求項2ないし5,8ないし16,18ないし22は、請求項1に従属する請求項であり、本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22は、引用例1に記載された発明であるとはいえない。

ウ.本件発明17について
本件発明17と引用発明1とを対比する。
(ア)まず、本件発明17でいう、抵抗体とオーバーコートとの間に介在する「アンダーコート」について、本件特許の明細書の段落【0051】?【0052】の記載、及び図2を参照すると、ガラス系の材料よりなり、トリミング時の抵抗体への熱衝撃を緩和するためのものであって、抵抗体とともにトリミングされるものであり、これに対して、本件発明17でいう「オーバーコート」については、本件特許の明細書の段落【0053】の記載を参照すると、例えばエポキシ樹脂よりなるものである。
これらのことを踏まえると、引用発明1における「前記抵抗膜13及び前記一対の内部電極12a,12bの一部を覆い、抵抗膜13とともにレーザトリミングされてなるガラス保護膜17と、前記ガラス保護膜17上に形成され、前記抵抗膜13上のみを覆うエポキシ樹脂等からなる樹脂保護膜18と」によれば、
引用発明1における「ガラス保護膜17」は、抵抗膜13と樹脂保護膜18との間に介在し、ガラス材料からなり、抵抗膜13とともにレーザトリミングされてなるものであるから、本件発明17でいう「アンダーコート」に相当し、また、引用発明1における「樹脂保護膜18」は、ガラス保護膜17上に形成され、樹脂材料からなるものであるから、本件発明17でいう「オーバーコート」に相当するということができる。
したがって、本件発明17と引用発明1とは、「前記抵抗体を覆うオーバーコートと」を備え、「前記抵抗体と前記オーバーコートとの間に介在するアンダーコート」を更に備えるものである点で共通する。
ただし、オーバーコートについて、本件発明17では、抵抗体だけでなく「前記第1主面電極、および前記第2主面電極」(の一部)についても覆う旨特定するのに対し、引用発明1では、抵抗膜13上のみを覆うものである点で相違している。
(イ)その他の発明特定事項についての対比については、上記「ア.本件発明1について」の(ア)、(ウ)?(カ)を参照。

よって、本件発明17と引用発明1とは、
「主面を有する基材と、
前記主面に形成された第1主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と、
前記抵抗体を覆うオーバーコートと、
前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、
前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と、を備え、
前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、
前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く、
前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面を有し、
前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面を有し、
前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置の位置にあり、
前記抵抗体と前記オーバーコートとの間に介在するアンダーコートを更に備える、チップ抵抗器。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点2]
オーバーコートについて、本件発明17では、抵抗体だけでなく「前記第1主面電極、および前記第2主面電極」(の一部)についても覆う旨特定するのに対し、引用発明1では、抵抗膜13上のみを覆うものである点。

したがって、本件発明17と引用発明1には相違するところがあるから、本件発明17は、引用例1に記載された発明であるとはいえない。

エ.本件発明23ないし42について
請求項23ないし42は、請求項17に従属する請求項であり、本件発明23ないし42は、本件発明17の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明17についての判断と同様の理由により、本件発明23ないし42は、引用例1に記載された発明であるとはいえない。

(3-2)理由2(特許法第29条第2項)
ア.本件発明1について
本件発明1と引用発明1とを対比すると、上記「(3-1)理由1(特許法第29条第1項第3号)」の「ア.本件発明1について」で認定したとおり、次の点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点1]
基材の裏面に対して、本件発明1では、「前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極」と「前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極」とが更に形成されてなる旨特定するのに対し、引用発明1では、ガラス層16が形成されてなるものである点。

そこで、上記[相違点1]について検討すると、
引用発明1は、絶縁性基板11の裏面に対して「ガラス層16」を形成することを前提(技術的特徴)とする発明であり、さらに言えば、引用例1の特に段落【0001】?【0002】の「本発明は、・・・特に回路基板に内蔵して用いる厚さが極めて薄い基板内蔵用チップ抵抗器・・・に関する。・・・・係る基板内蔵用チップ抵抗器では、その厚さはできるだけ薄いことが好ましく、且つ片面のみに電極と抵抗体と保護膜を配置することが薄型化の観点から好ましい。」なる記載からみて、電極は、抵抗膜が設けられている絶縁性基板11の表面側のみに形成されることも前提とするものであると解され、たとえ他の引用例(引用例3,4,6,7)や平成31年4月2日付け意見書に添付された甲第13号証ないし甲第17号証に見られるように、チップ抵抗器において、基板の表面だけでなく裏面にもそれぞれメッキ電極によって覆われた一対の電極を設けることが周知技術であるとしても、引用発明1に適用することには阻害要因があり、上記相違点1に係る構成を導き出すことはできない。

よって、本件発明1は、引用発明1及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ.本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22について
請求項2ないし5,8ないし16,18ないし22は、請求項1に従属する請求項であり、本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22は、引用発明1及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ.本件発明17について
本件発明17と引用発明1とを対比すると、上記「(3-1)理由1(特許法第29条第1項第3号)」の「ウ.本件発明17について」で認定したとおり、次の点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点2]
オーバーコートについて、本件発明17では、抵抗体だけでなく「前記第1主面電極、および前記第2主面電極」(の一部)についても覆う旨特定するのに対し、引用発明1では、抵抗膜13上のみを覆うものである点。

そこで、上記[相違点2]について検討すると、
例えば他の引用例(引用例3ないし7)や平成31年4月2日付け意見書に添付された甲第20号証ないし甲第26号証には、本件発明17でいう「オーバーコート」に相当するものを単に、抵抗体だけでなく本件発明17でいう「第1主面電極」および「第2主面電極」の一部についても覆うように設けてなるものが記載されてはいるものの、これら他の引用例等に記載のものでは、そもそも本件発明17でいう「第1補助電極」に相当するものがないか、「第1補助電極」に相当するものがあっても、「前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置」する「第1部位」を有していない。
したがって、引用発明1において、第2内部電極19aが本件発明17でいう「第1部位」を有した状態を維持したまま、上記他の引用例等に記載されている、オーバーコート(樹脂保護膜)を抵抗体だけでなく本件発明17でいう「第1主面電極」および「第2主面電極」の一部についても覆うように設けるという構成を採用することが当業者にとって容易になし得ることであるとまではいえず、上記相違点2に係る構成を導き出すことはできない。

よって、本件発明17は、引用発明1及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ.本件発明23ないし42について
請求項23ないし42は、請求項17に従属する請求項であり、本件発明23ないし42は、本件発明17の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明17についての判断と同様の理由により、本件発明23ないし42は、引用発明1及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

B.引用例2(甲第1号証)を主引用例とした場合
(3-3)理由2(特許法第29条第2項)
ア.本件発明1について
特に引用発明2における「第1保護膜17」及び「第2保護膜18」は、引用発明1における「ガラス保護膜17」及び「樹脂保護膜18」と同様に〔上記「A.引用例1を主引用例とした場合」における「(3-1)理由1(特許法第29条第1項第3号)」、「ア.本件発明1について」の(イ)を参照〕、ともに抵抗膜13を被覆する保護膜であることから、これら第1保護膜17と第2保護膜18とを併せた保護膜が全体として、本件発明1でいう「オーバーコート」に相当するとみることもでき、そして、当該保護膜は、抵抗膜13だけでなく、一対の内部電極12a,12bの一部も覆ってなるものであることを踏まえ、本件発明1と引用発明2とを対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致するといえる。
[相違点1]
基材の裏面に対して、本件発明1では、「前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極」と「前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極」とが更に形成されてなる旨特定するのに対し、引用発明2では、そのような電極は成形されていない点。
[相違点2]
第1補助電極について、本件発明1では、「前記第1部位は、前記第2部位よりも薄」い旨特定するのに対し、引用発明2では、そのような特定を有してない点。

そこで、まず上記[相違点1]について検討すると、
引用発明2は、引用例2の特に段落【0001】?【0002】の「本発明は、・・・特に積層回路基板等に内蔵して用いる厚さが極めて薄い基板内蔵用チップ抵抗器・・・に関する。・・・・係る積層回路基板等に内蔵する基板内蔵用チップ抵抗器では、その厚さはできるだけ薄いことが好ましく、且つ片面のみに電極と抵抗体と保護膜を配置することが薄型化の観点から好ましい。」なる記載、及び段落【0018】の「以上の構成により回路基板に内蔵するのに適した、薄く、且つ基板11の表面にのみ広い面積の外部電極を備えた基板内蔵用チップ抵抗器が得られる。」なる記載や、実施例では絶縁性基板11の裏面にはマーキング19が形成されていることからみて、電極は、抵抗膜が設けられている絶縁性基板11の表面側のみに形成されることをそもそもの前提とし、かかる前提があるからこそ、抵抗膜の存在によっても外部との導通を図るための広い電極面積が得られるように、「一対の内部電極12a,12b上にそれぞれ接続し、且つ前記第1保護膜17及び第2保護膜18の端部を覆うように形成された一対の第2内部電極14a,14b」を備えるようにしたものであると解され、たとえ他の引用例(引用例3,4,6,7)や平成31年4月2日付け意見書に添付された甲第13号証ないし甲第17号証に見られるように、チップ抵抗器において、基板の表面だけでなく裏面にもそれぞれメッキ電極によって覆われた一対の電極を設けることが周知技術であるとしても、引用発明2に適用することの動機付けがなく、上記相違点1に係る構成を導き出すことはできない。

よって、上記相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ.本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22について
請求項2ないし5,8ないし16,18ないし22は、請求項1に従属する請求項であり、本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2ないし5,8ないし16,18ないし22は、引用発明2及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ.本件発明17について
特に引用発明2における「ガラスコートからなる第1保護膜17」及び「エポキシ樹脂等からなる第2保護膜18」についても、引用発明1における「ガラス保護膜17」及び「樹脂保護膜18」と同様に(上記「A.引用例1を主引用例とした場合」における「(3-1)理由1(特許法第29条第1項第3号)」、「ウ.本件発明17について」の(ア)を参照)、それぞれ本件発明17でいう「アンダーコート」及び「オーバーコート」に相当するといえることを踏まえ、本件発明17と引用発明2とを対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致するといえる。
[相違点3]
オーバーコートについて、本件発明17では、抵抗体だけでなく「前記第1主面電極、および前記第2主面電極」(の一部)についても覆う旨特定するのに対し、引用発明2では、抵抗膜13上のみを覆うものである点。
[相違点4]
第1補助電極について、本件発明1では、「前記第1部位は、前記第2部位よりも薄」い旨特定するのに対し、引用発明2では、そのような特定を有してない点。

そこで、まず上記[相違点3]について検討すると、
例えば他の引用例(引用例3ないし7)や平成31年4月2日付け意見書に添付された甲第20号証ないし甲第26号証には、本件発明17でいう「オーバーコート」に相当するものを単に、抵抗体だけでなく本件発明17でいう「第1主面電極」および「第2主面電極」の一部についても覆うように設けてなるものが記載されてはいるものの、これら他の引用例等に記載のものでは、そもそも本件発明17でいう「第1補助電極」に相当するものがないか、「第1補助電極」に相当するものがあっても、「前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置」する「第1部位」を有していない。さらに、引用例2の【請求項4】や段落【0012】には、エポキシ樹脂等からなる第2保護膜18を、内部電極12a,12bとオーバーラップしない範囲で形成することが記載されているところである。
したがって、引用発明2において、第2内部電極19aが本件発明17でいう「第1部位」を有した状態を維持したまま、上記他の引用例等に記載されている、オーバーコート(第2保護膜)を抵抗体だけでなく本件発明17でいう「第1主面電極」および「第2主面電極」の一部についても覆うように設けるという構成を採用することの動機付けがなく、上記相違点1に係る構成を導き出すことはできない。

よって、上記相違点4について検討するまでもなく、本件発明17は、引用発明2及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ.本件発明23ないし42について
請求項23ないし42は、請求項17に従属する請求項であり、本件発明23ないし42は、本件発明17の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明17についての判断と同様の理由により、本件発明23ないし42は、引用発明2及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)まとめ
以上のとおり、本件発明1ないし5、8ないし42に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではなく、また、同法第29条第2項の規定に違反してされたものでもない。

3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由等について
特許異議申立人は、取消理由通知において主引用例として採用しなかった引用例6(甲第2号証)を主引用例とした場合についても、特許法第29条第1項第3号、及び同法第29条第2項に関する主張をしているので、この場合についても検討しておく。

(1)引用例6の記載事項
引用例6(特開2003-168601号公報、甲第2号証)には、「チップ抵抗器」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】 絶縁性基板と、該絶縁性基板の表面の対向端部に形成された厚膜上面電極と、前記絶縁基板の上面及び前記厚膜電極の一部上面に延在形成されたNaClと反応しない材料でできた薄膜抵抗体と、前記絶縁基板の裏面において前記上面電極に対応する位置に設けられた厚膜裏面電極と、前記裏面電極と前記薄膜抵抗体から露出した上面電極とを接続する厚膜側面電極からなることを特徴とするチップ抵抗器。
・・・・・(中 略)・・・・・
【請求項3】 請求項1又は2のいずれかに記載されたチップ抵抗器において、前記厚膜電極は互いに導通した第1及び第2の厚膜電極からなり、前記薄膜抵抗体の端部を前記第1及び第2の電極で挟持したことを特徴とするチップ抵抗器。」

イ.「【0010】
【発明の実施の形態】本発明のチップ抵抗器の実施形態について図面を参照して説明する。チップ抵抗器は、概略的には、図1に示されるように例えばアルミナなどからなり、平面形状が矩形状の絶縁性基板1の表面両端部の表面および裏面に厚膜により上面電極21、31と裏面電極22、32とが形成され、更に、側面電極23、33のような厚膜電極により両者が電気的に接続されている。また、絶縁性基板1の表面両端部間の露出部と上面電極の一部には薄膜抵抗体4が形成されており、さらに抵抗体4表面には保護膜5が設けられている。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0012】この構造は、基板1の裏面から厚膜側面電極を利用して、プリン卜基板などの実装基板に表面実装によりハンダ付けし得る構造のチップ抵抗器である。即ち、基板1の両端部には、その上下面に対応して、Ag-Pd又はAuとそれらのバインダーとなる成分とを有機溶剤によりペースト状にしたもの(Ag系又はAu系ペースト)を印刷し、焼成することにより厚膜の表面電極21、31及び裏面電極22、32が形成されている。そして、NaClと反応しない、例えば,Ta-N、Ta-Cr等の材料からなる抵抗体4の抵抗値の調整後に樹脂及びAgペーストからなる電極材料を第2上面電極21、31および裏面電極22、32の上に重なるように基板1の側面に印刷して硬化させることにより、側面電極23、33が厚膜により形成される。なお、電極23、33の露出面にはNiメッキからなる第1メッキ層35、36およびPb-Sn、Snなどからなる第2メッキ層37,38が施されている。」

ウ.「【0018】図3は別の実施形態を示す。図3に示される実施形態では、厚膜上面電極21、31を第1上面電極21A、31Aと第2上面電極としての厚膜補助電極21B、31Bとに分割し、薄膜である抵抗体4を厚膜の第1上面電極21A、31Aと第2上面電極21B、31Bとにより挟持したサンドイッチ構造にされており、それ以外の点では前記実施形態1と同様である。」

・特に、上記「ア.」の【請求項3】、「ウ.」の記載事項、及び図3によれば、抵抗体4の両端部を第1上面電極21Aと第2上面電極21B、第1上面電極31Aと第2上面電極31Bとによりそれぞれ挟持したサンドイッチ構造とされてなるものである。
・そして、図3よれば、以下の点が見て取れる。
(a)保護膜5は、抵抗体4のみを覆っている(一対の第1上面電極21A,31Aは覆っていない。)。
(b)第2上面電極21B及び第2上面電極31Bは、絶縁性基板1の表面の向く方向視において抵抗体4と重なり、且つ、それぞれ第1上面電極21A及び第1上面電極31Aよりも、絶縁性基板1の長手方向側(それぞれ第1上面電極21A及び第1上面電極31Aから離間する方向側)に位置する部位と、絶縁性基板1の表面の向く方向視においてそれぞれ第1上面電極21A及び第1上面電極31Aに重なる部位とを含み、前者の部位は、後者の部位よりも薄い。
(c)絶縁性基板1の表面の向く方向における、当該表面からの第2上面電極21B(31B)表面の高さ位置は、当該第2上面電極21B(31B)表面の全体にわたって、絶縁性基板1の表面の向く方向における、当該表面からの保護膜5表面の最大高さ位置よりも絶縁性基板1の表面側の位置にある。
これらの点を踏まえ、上記記載事項および図面(図3)を総合勘案すると、引用例6には、次の発明(以下、「引用発明6」という。)が記載されている。
「表面と裏面とを有する絶縁性基板1と、
前記絶縁性基板1の長手方向に離間して当該絶縁性基板1の表面に形成された一対の第1上面電極21A,31Aと、
前記一対の第1上面電極21A,31A間に跨がるように前記絶縁性基板1の表面に形成された抵抗体4と、
前記抵抗体4上のみを覆う保護膜5と、
前記一対の第1上面電極21A,31A上にそれぞれ接続し、且つ前記保護膜5に重なるように形成された一対の第2上面電極21B,31Bと、
前記絶縁性基板1の裏面において前記一対の第1上面電極21A,31Aに対応する位置に形成された一対の裏面電極22,32と、
前記一対の第2上面電極21B,31B及び前記一対の裏面電極22,32の上に重なるように前記絶縁性基板1の側面にそれぞれ形成された一対の側面電極23,33と、
前記一対の第2上面電極21B,31B、前記一対の側面電極23,33、及び前記一対の裏面電極22,32の露出面にそれぞれ形成されたメッキ層35?38と、を備え、
前記抵抗体4の両端部を第1上面電極21Aと第2上面電極21B、第1上面電極31Aと第2上面電極31Bとによりそれぞれ挟持したサンドイッチ構造とされ、
前記第2上面電極21B及び前記第2上面電極31Bは、前記絶縁性基板1の表面の向く方向視において前記抵抗体4と重なり、且つ、それぞれ前記第1上面電極21A及び前記第1上面電極31Aよりも、前記絶縁性基板1の長手方向側(それぞれ前記第1上面電極21A及び前記第1上面電極31Aから離間する方向側)に位置する部位と、前記絶縁性基板1の表面の向く方向視においてそれぞれ前記第1上面電極21A及び前記第1上面電極31Aに重なる部位とを含み、前者の部位は、後者の部位よりも薄く、
前記絶縁性基板1の表面の向く方向における、当該表面からの前記第2上面電極21B(31B)表面の高さ位置は、当該第2上面電極21B(31B)表面の全体にわたって、前記絶縁性基板1の表面の向く方向における、当該表面からの前記保護膜5表面の最大高さ位置よりも前記絶縁性基板1の表面側の位置にある、チップ抵抗器。」

(2)対比・判断
引用発明6は上記認定のとおり、「前記抵抗体4の両端部を第1上面電極21Aと第2上面電極21B、第1上面電極31Aと第2上面電極31Bとによりそれぞれ挟持したサンドイッチ構造」とされてなるものである。そのため、たとえ他の引用例(例えば引用例1ないし5)や平成31年4月2日付け意見書に添付された甲第11号証、甲第20号証ないし甲第24号証、甲第26号証などに見られるように、保護膜(オーバーコート)を、抵抗体だけでなく本件発明1ないし5、8ないし42でいう「第1主面電極」および「第2主面電極」の一部についても覆うように設けることが周知の技術事項であるとしても、上記サンドイッチ構造を阻害してしまうような当該周知の技術事項を引用発明6に対して適用することはできない。
したがって、少なくとも本件発明1ないし5、8ないし42における、オーバーコートが抵抗体だけでなく、「前記第1主面電極、および前記第2主面電極」(の一部)についても覆うという発明特定事項については導き出すことはできない。

よって、本件発明1ないし5、8ないし42は、引用例6に記載された発明ではなく、また、引用発明6及び他の引用例等に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本件請求項1ないし5、8ないし42に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件請求項1ないし5、8ないし42に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件請求項6及び7に係る特許は、訂正により削除されたため、本件請求項6及び7に係る特許に対して、特許異議申立人 廣瀬 哲夫がした特許異議の申立てについてはその対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基材と、
前記主面に形成された第1主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と、
前記抵抗体、前記第1主面電極、および前記第2主面電極を覆うオーバーコートと、
前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、
前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と、を備え、
前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、
前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く、
前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面を有し、
前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面を有し、
前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置以下の位置にあり、
前記第2主面電極および前記オーバーコートを覆う第2補助電極と、
前記第2補助電極を覆う第2メッキ電極と、を備え、
前記第2補助電極は、前記第2主面電極よりも、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位を有し、
前記基材は、前記主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面に形成され、前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極と、
前記裏面に形成され、前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極と、を更に備える、チップ抵抗器。
【請求項2】
前記第1メッキ電極は、前記オーバーコートよりも、前記主面の向く方向側に位置する部位を有し、
前記第1部位は、前記第1方向側に向かうにつれて徐々に薄くなる、請求項1に記載のチップ抵抗器。
【請求項3】
前記第1補助電極の側面と、前記第1主面電極の側面と、前記基材の側面とは、互いに面一であり、
前記補助電極表面は、前記オーバーコート表面と面一となっており、もしくは、前記補助電極表面のうち前記オーバーコートに接する部分は、前記オーバーコート表面よりも前記主面側に位置する、請求項2に記載のチップ抵抗器。
【請求項4】
前記補助電極表面のうち、前記第1主面電極よりも前記第1方向側に位置する部分は全て、前記オーバーコート表面の最も前記主面の向く方向側の端部の位置との差が、前記主面の向く方向において0?10μmの範囲内にある、請求項3に記載のチップ抵抗器。
【請求項5】
前記補助電極表面のうち、前記第1主面電極よりも前記第1方向側に位置する部分は全て、前記オーバーコート表面の最も前記主面の向く方向側の端部の位置との差が、前記主面の向く方向において0?6μmの範囲内にある、請求項3に記載のチップ抵抗器。
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記第1メッキ電極は、前記主面側に位置する主面層を含み、
前記主面層は、前記第1裏面電極よりも前記第1方向側に位置している部位を有する、請求項1に記載のチップ抵抗器。
【請求項9】
前記主面層の前記第1方向における寸法は、200?260μmである、請求項8に記載のチップ抵抗器。
【請求項10】
前記第1メッキ電極は、前記裏面側に位置する裏面層を含み、
前記裏面層は、前記第1補助電極よりも前記第1方向側に位置している部位を有する、請求項1ないし請求項5、請求項8、請求項9のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項11】
前記裏面層の前記第1方向における寸法は、200?260μmである、請求項10に記載のチップ抵抗器。
【請求項12】
前記基材は、前記第1方向とは反対の第2方向を向く側面を有し、
前記側面を覆う側面電極を更に備え、
前記第1メッキ電極は、前記側面電極を覆っている、請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項11のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項13】
前記側面電極は、スパッタによって形成されている、請求項12に記載のチップ抵抗器。
【請求項14】
前記第1メッキ電極は、Cu、Au、Ni、およびSnの少なくともいずれかよりなる、請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項13のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項15】
前記第1メッキ電極は、第1層および第2層を含み、
前記第1層は、前記第2層と前記第1補助電極との間に介在している部分を有する、請求項14に記載のチップ抵抗器。
【請求項16】
前記第1層は、Niよりなり、前記第2層は、Cu、Au、およびSnの少なくともいずれかよりなる、請求項15に記載のチップ抵抗器。
【請求項17】
主面を有する基材と、
前記主面に形成された第1主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極に対し第1方向に離間している第2主面電極と、
前記主面に形成され、前記第1主面電極および前記第2主面電極に接する抵抗体と、
前記抵抗体、前記第1主面電極、および前記第2主面電極を覆うオーバーコートと、
前記第1主面電極および前記オーバーコートを覆う第1補助電極と、
前記第1補助電極を覆う第1メッキ電極と、を備え、
前記第1補助電極は、第1部位および第2部位を含み、前記第1部位は、前記主面の向く方向視において前記抵抗体に重なり、且つ、前記第1主面電極よりも、前記第1方向側に位置し、前記第2部位は、前記主面の向く方向視において前記第1主面電極に重なり、
前記第1部位は、前記第2部位よりも薄く、
前記第1補助電極は、前記第1メッキ電極に覆われ、前記オーバーコートに接する補助電極表面を有し、
前記オーバーコートは、前記主面の向く方向と同一方向側を向くオーバーコート表面を有し、
前記主面の向く方向における、前記主面からの前記補助電極表面の高さ位置は、前記補助電極表面の全体にわたって、前記主面の向く方向における、前記主面からの前記オーバーコート表面の最大高さ位置以下の位置にあり、
前記抵抗体と前記オーバーコートとの間に介在するアンダーコートを更に備える、チップ抵抗器。
【請求項18】
請求項1ないし請求項5、請求項8ないし請求項14のいずれかに記載のチップ抵抗器と、
前記チップ抵抗器を包囲している充填樹脂基板と、を備える、電子デバイス。
【請求項19】
前記充填樹脂基板には、ビアが形成され、
前記ビアを規定する内面に形成された導電層を更に備え、
前記導電層は、前記第1メッキ電極に直接接している、請求項18に記載の電子デバイス。
【請求項20】
前記導電層は、前記第1メッキ電極のうち、前記基材の前記主面側に位置する部位に直接接している、請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項21】
前記導電層は、前記第1メッキ電極のうち、前記基材の前記主面とは反対側の裏面側に位置する部位に直接接している、請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項22】
前記導電層および前記第1メッキ電極は、いずれもCuよりなる、請求項19ないし請求項21のいずれかに記載の電子デバイス。
【請求項23】
前記第1メッキ電極は、前記オーバーコートよりも、前記主面の向く方向側に位置する部位を有し、
前記第1部位は、前記第1方向側に向かうにつれて徐々に薄くなる、請求項17に記載のチップ抵抗器。
【請求項24】
前記第1補助電極の側面と、前記第1主面電極の側面と、前記基材の側面とは、互いに面一であり、
前記補助電極表面は、前記オーバーコート表面と面一となっており、もしくは、前記補助電極表面のうち前記オーバーコートに接する部分は、前記オーバーコート表面よりも前記主面側に位置する、請求項23に記載のチップ抵抗器。
【請求項25】
前記補助電極表面のうち、前記第1主面電極よりも前記第1方向側に位置する部分は全て、前記オーバーコート表面の最も前記主面の向く方向側の端部の位置との差が、前記主面の向く方向において0?10μmの範囲内にある、請求項24に記載のチップ抵抗器。
【請求項26】
前記補助電極表面のうち、前記第1主面電極よりも前記第1方向側に位置する部分は全て、前記オーバーコート表面の最も前記主面の向く方向側の端部の位置との差が、前記主面の向く方向において0?6μmの範囲内にある、請求項24に記載のチップ抵抗器。
【請求項27】
前記第2主面電極および前記オーバーコートを覆う第2補助電極と、
前記第2補助電極を覆う第2メッキ電極と、を備え、
前記第2補助電極は、前記第2主面電極よりも、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位を有する、請求項17、請求項23ないし請求項26のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項28】
前記基材は、前記主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面に形成され、前記第1メッキ電極に覆われた第1裏面電極と、
前記裏面に形成され、前記第2メッキ電極に覆われた第2裏面電極と、を更に備える、請求項27に記載のチップ抵抗器。
【請求項29】(新請求項28を引用する+旧請求項8の事項)
前記第1メッキ電極は、前記主面側に位置する主面層を含み、
前記主面層は、前記第1裏面電極よりも前記第1方向側に位置している部位を有する、請求項28に記載のチップ抵抗器。
【請求項30】
前記主面層の前記第1方向における寸法は、200?260μmである、請求項29に記載のチップ抵抗器。
【請求項31】
前記第1メッキ電極は、前記裏面側に位置する裏面層を含み、
前記裏面層は、前記第1補助電極よりも前記第1方向側に位置している部位を有する、請求項28ないし請求項30のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項32】
前記裏面層の前記第1方向における寸法は、200?260μmである、請求項31に記載のチップ抵抗器。
【請求項33】
前記基材は、前記第1方向とは反対の第2方向を向く側面を有し、
前記側面を覆う側面電極を更に備え、
前記第1メッキ電極は、前記側面電極を覆っている、請求項17、請求項23ないし請求項32のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項34】
前記側面電極は、スパッタによって形成されている、請求項33に記載のチップ抵抗器。
【請求項35】
前記第1メッキ電極は、Cu、Au、Ni、およびSnの少なくともいずれかよりなる、請求項17、請求項23ないし請求項34のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項36】
前記第1メッキ電極は、第1層および第2層を含み、
前記第1層は、前記第2層と前記第1補助電極との間に介在している部分を有する、請求項35に記載のチップ抵抗器。
【請求項37】
前記第1層は、Niよりなり、前記第2層は、Cu、Au、およびSnの少なくともいずれかよりなる、請求項36に記載のチップ抵抗器。
【請求項38】
請求項17、請求項23ないし請求項37のいずれかに記載のチップ抵抗器と、
前記チップ抵抗器を包囲している充填樹脂基板と、を備える、電子デバイス。
【請求項39】
前記充填樹脂基板には、ビアが形成され、
前記ビアを規定する内面に形成された導電層を更に備え、
前記導電層は、前記第1メッキ電極に直接接している、請求項38に記載の電子デバイス。
【請求項40】
前記導電層は、前記第1メッキ電極のうち、前記基材の前記主面側に位置する部位に直接接している、請求項39に記載の電子デバイス。
【請求項41】
前記導電層は、前記第1メッキ電極のうち、前記基材の前記主面とは反対側の裏面側に位置する部位に直接接している、請求項39に記載の電子デバイス。
【請求項42】
前記導電層および前記第1メッキ電極は、いずれもCuよりなる、請求項39ないし請求項41のいずれかに記載の電子デバイス。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-05-22 
出願番号 特願2012-253029(P2012-253029)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (H01C)
P 1 651・ 113- YAA (H01C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小池 秀介  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 井上 信一
山澤 宏
登録日 2018-02-09 
登録番号 特許第6285096号(P6285096)
権利者 ローム株式会社
発明の名称 チップ抵抗器、および、電子デバイス  
代理人 小淵 景太  
代理人 土居 史明  
代理人 田中 達也  
代理人 田中 達也  
代理人 吉田 稔  
代理人 臼井 尚  
代理人 仙波 司  
代理人 鈴木 泰光  
代理人 鈴木 伸太郎  
代理人 吉田 稔  
代理人 鈴木 伸太郎  
代理人 臼井 尚  
代理人 土居 史明  
代理人 鈴木 泰光  
代理人 小淵 景太  
代理人 仙波 司  

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