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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  E05B
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  E05B
審判 全部申し立て 2項進歩性  E05B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E05B
管理番号 1353152
異議申立番号 異議2018-700481  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-13 
確定日 2019-05-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6250279号発明「サムターン装置およびこれを備えた扉錠」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6250279号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第6250279号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6250279号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成24年12月28日を出願日とし、平成29年12月1日付けでその特許権の設定登録がされ、平成29年12月20日に特許掲載公報が発行された。その後、平成30年6月13日差出で特許異議申立人高橋繁(以下「申立人A」という。)より、同年6月19日に特許異議申立人水野淳子(以下「申立人B」という。)より、請求項1?6に対してそれぞれ特許異議の申立てがされ、同年9月27日付けで取消理由(発送日同じ)が通知され、その指定期間内である同年11月26日に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成31年2月8日に申立人Aから、平成31年2月12日に申立人Bから、それぞれ意見書が提出されたものである。

第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
請求項1に、
「建物の外部出入口若しくは部屋の出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、
前記サムターン軸と、前記胴部材との間に、第一シール材が設けられていることを特徴とするサムターン装置。」
と記載されているのを、
「水害や津波によって水没しうる建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、
前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられていることを特徴とするサムタ-ン装置。」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2?6も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項2に、
「前記胴部材と扉との間に第二シール材が設けられることを特徴とする請求項1に記載のサムターン装置。」
と記載されているのを、
「前記胴部材と前記外開き扉との間に第二シール材が設けられることを特徴とする請求項1に記載のサムターン装置。」に訂正する。
請求項2を引用する請求項3?6も同様に訂正する。

(3)訂正事項3
請求項3に、
「前記胴部材には、筒状のカラーが取り付けられており、このカラーと扉との間に前記第二シール材が設けられることを特徴とする請求項2に記載のサムターン装置。」
と記載されているのを、
「前記胴部材には、筒状のカラーが取り付けられており、このカラーと前記外開き扉との間に前記第二シール材が設けられることを特徴とする請求項2に記載のサムターン装置。」に訂正する。
請求項3を引用する請求項4?6も同様に訂正する。

(4)訂正事項4
請求項5に、
「前記デッドボルトが電動で進退するか、後退を規制される電気錠とされ、その電動部は、前記錠ケースに内蔵されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の扉錠。」
と記載されているのを、
「前記デッドボルトが電動で進退するか、後退を規制される電気錠とされ、その電動部は、前記錠ケースに内蔵されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のサムターン装置を備える扉錠。」
に訂正する。
請求項5を引用する請求項6も同様に訂正する。

(5)訂正事項5
明細書の段落【0007】に、
「本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、建物の外部出入口若しくは部屋の出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と、前記胴部材との間に、第一シール材が設けられていることを特徴とするサムターン装置である。」
と記載されているのを、
「本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、水害や津波によって水没しうる建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着されたOリングからなる第一シール材が設けられていることを特徴とするサムターン装置である。」
に訂正する。

(6)訂正事項6
明細書の段落【0008】、【0010】に「扉」と記載されているのを、「前記外開き扉」に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書の段落【0013】に「扉錠」と記載されているのを、「サムターン装置を備える扉錠」に訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、建物について「水害や津波によって水没しうる」、扉について「中空の外開き」扉、サムターン装置について「扉面に」取り付けられて「ラッチは操作することなく」、第一シール材について「軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる」という限定をしたものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項1は建物、扉、サムターン装置、第一シール材について限定したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
「水害や津波によって水没しうる」の訂正については、明細書に「【0228】・・・また、外部出入口に使用することにより、水害や津波によって建物が水没しても、水の建屋内への進入を防ぐことができる。」と記載されている。
「中空の外開き」扉の訂正については、図1、3から看て取れる事項である。
サムターン装置が「扉面に」取り付けられているとの訂正については、図1、3から看て取れる事項である。
「ラッチは操作することなく」の訂正については、図4、5、17?19から看て取れる事項である。
第一シール材が「軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる」訂正については、明細書に「【0036】また、サムターン軸51には、軸方向中途部に断面矩形状の取付溝63が、周方向に沿って環状に形成されている。【0037】・・・【0038】サムターン軸51は、取付溝63にシール材69が装着された状態で、胴部材53の軸穴65に差し込まれる。本実施例では、シール材69としてOリングが用いられる。」と記載されている。
以上のとおり、訂正事項1は明細書等に記載されているものと認められる。

エ 申立人Aの主張について
申立人Aは、「「建物」という用語自体の概念が、当業者や一般の需要者に普通一般に明確である場合に於いて、本件訂正は、{水害や津波によって水没しうる}という新たな特定事項を前記建物の用語に追加(付加)することにより、恰も減縮したようにした。
しかしながら、本件訂正は、外見上特許請求の範囲の減縮に見えるものの、前記水害や津波という自然災害の時期と規模、河川や地形、堤防の有無、建物の構造と設置場所、建物を囲む壁、パッキンを備えた扉枠の構造等の不確定要素や具体的条件によっては、(a)水没する建物と、(b)水没しない建物の範囲が変わる以上、水没しうる建物の意味がかえって不明確になり、第三者は、平成30年11月26日付の本件訂正発明の技術的範囲に被疑物件が含まれるか否か、その基準を、訂正の根拠となった本件訂正明細書の段落0228の記載に求めざるを得なくなる。
・・・
しかるに、前述の段落0228には、「………、水害や津波によって建物が水没しても、………」と記載しているだけであり、前記(a)の場合と(b)の場合とを区別する基準や実証例が全く存在しない。
そもそも、段落0228の記述は「仮定条件(もし、なになにならば)」であり、このような仮定条件を単純に「水没しうる」に言い換えたとしても、前記(a)の場合と(b)の場合とを区別する明確な基準が本件訂正明細書のどこにも記載されていない以上、訂正事項の同一性や範囲を実質的に変更又は拡大するものであると言える。」(平成31年2月8日付意見書1頁下から12行?2頁18行)旨主張している。
しかしながら、「水害や津波によって水没しうる」の訂正については、その意味していることは文字通り解することができるから、明確な記載であるといえる。そして、「建物」に対して「水害や津波によって水没しうる」との限定を行っているから、上記したように実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。

(2)訂正事項2、3について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項2、3は、扉について「外開き」という限定をしたものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項2、3は扉について限定したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
「外開き」の訂正については、明細書に「【0022】本実施例の扉錠1が使用される扉3は、開き戸形式とされ、たとえば室外側へ開く外開き扉とされる。」と記載されているから、訂正事項2、3は明細書等に記載されているものと認められる。

(3)訂正事項4について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項4は、扉錠について「サムターン装置を備える」という限定をしたものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項4は扉錠について限定したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
「サムターン装置を備える」の訂正については、明細書に「【0024】本実施例1の扉錠1は、本締りが可能な錠とされ、デッドボルト15が進退可能に設けられた錠ケース17と、鍵Kの操作によりデッドボルト15を進退させるシリンダー装置19と、ツマミの操作によりデッドボルト15を進退させるサムターン装置21とを主要部に備える。本実施例1では、扉3の室外側にシリンダー装置19が取り付けられ、扉3の室内側(実験室側)にサムターン装置21が取り付けられる。」と記載されているから、訂正事項4は明細書等に記載されているものと認められる。

(4)訂正事項5?7について
訂正事項5?7は、上記訂正事項1?4の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項5?7は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。

(5)一群の請求項について
訂正前の請求項1?6は、請求項2?6が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前の請求項1?6は、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。

3 小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1?7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?6〕について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 訂正後の請求項1?6に係る発明
上記訂正請求により訂正された請求項1?6に係る発明(以下、「本件発明1」等、あるいはまとめて「本件発明」という。)は、以下のとおりのものである。(下線は訂正箇所を示す。)

「【請求項1】
水害や津波によって水没しうる建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、
前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている
ことを特徴とするサムターン装置。
【請求項2】
前記胴部材と前記外開き扉との間に第二シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のサムターン装置。
【請求項3】
前記胴部材には、筒状のカラーが取り付けられており、
このカラーと前記外開き扉との間に前記第二シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載のサムターン装置。
【請求項4】
前記胴部材と、それを取り付けるためのネジとの間に第三シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のサムターン装置。
【請求項5】
前記デッドボルトが電動で進退するか、後退を規制される電気錠とされ、
その電動部は、前記錠ケースに内蔵されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のサムターン装置を備える扉錠。
【請求項6】
前記錠ケースに進退可能に設けられ、戸先側へ突出するよう付勢されるラッチと、
このラッチを後退させる室内側操作部と、
この室内側操作部を回転可能に保持する座とをさらに備え、
前記室内側操作部と、前記座との間に第四シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の扉錠。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1?6に係る特許に対して平成30年9月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)本件特許の請求項1?3に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(2)本件特許の請求項1?6に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物1?刊行物19に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

刊行物1:特開2007-332672号公報(申立人Aの甲第1号証)
刊行物2:実願昭53-48591号(実開昭54-153592号)のマイクロフィルム(申立人Aの甲第2号証)
刊行物3:特開2012-57316号公報(申立人Aの甲第3号証)
刊行物4:実願昭58-105703号(実開昭60-14065号)のマイクロフィルム(申立人Aの甲第4号証、申立人Bの甲第3号証)
刊行物5:特開2008-63887号公報(申立人Aの甲第5号証、申立人Bの甲第10号証)
刊行物6:特開2009-228287号公報(申立人Aの甲第6号証)
刊行物7:実願平5-10712号(実開平6-71811号)のCD-ROM(申立人Aの甲第7号証)
刊行物8:特開2008-127904号公報(申立人Aの甲第8号証)
刊行物9:米国特許4143897号明細書(申立人Aの甲第9号証)
刊行物10:仏国特許出願公開2395379号明細書(申立人Aの甲第10号証)
刊行物11:独国実用新案202010015392号明細書(申立人Aの甲第11号証)
刊行物12:特開平9-177392号公報(申立人Bの甲第1号証)
刊行物13:登録実用新案3011746号公報(申立人Bの甲第2号証)
刊行物14:実願昭58-199316号(実開昭60-108983号)のマイクロフィルム(申立人Bの甲第4号証)
刊行物15:実願昭61-104414号(実開昭63-10196号)のマイクロフィルム(申立人Bの甲第5号証)
刊行物16:実願昭60-34254号(実開昭61-150969号)のマイクロフィルム(申立人Bの甲第6号証)
刊行物17:実願昭55-104990号(実開昭57-29645号)のマイクロフィルム(申立人Bの甲第7号証)
刊行物18:特開2002-250329号公報(申立人Bの甲第8号証)
刊行物19:登録実用新案3125835号公報(申立人Bの甲第9号証)

3 刊行物の記載
(1)刊行物1には、次の記載があり、以下の発明(以下「刊1発明」という。)が記載されていると認められる。(下線は決定で付与。以下同じ。)

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の玄関扉などに設けられる扉錠に関するものである。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の扉錠について、更に詳細に説明する。ここでは、本発明の扉錠が玄関扉に適用される場合について説明する。なお、以下の説明においては、扉が閉鎖した状態において室内外方向を前後方向とし、扉の幅方向を左右方向とする。
【0015】
図1から図3は、本発明の扉錠の一実施例を示す図であり、図1は本実施例の扉錠の扉への取付状態を戸先側から見た図である。また、図2は、本実施例の扉錠の分解斜視図であり室外側から見た図である。図3は、本実施例の扉錠の分解斜視図であり室内側から見た図である。
また、図4は、扉に内蔵された錠ケースを室内側から見た図である。
さらに、図5は、図4の錠ケースの蓋を一部破断した図である。
【0016】
本実施例の扉錠1は、扉3の戸先側端部に内蔵される錠ケース5と、この錠ケース5に設けられ、錠ケース5の戸先側端面から出没可能なデッドボルト21と、扉3の室外面に設けられ、キーの回転操作によりデッドボルト21を進退させるシリンダー装置41と、扉3の室内面に設けられ、ツマミ79の回転操作によりデッドボルト21を進退させるサムターン装置65とを主要部に備える。
【0017】
錠ケース5は、矩形箱状とされる。本実施例の錠ケース5は、室内側へ開口するケース本体7と、その開口を閉じるようにケース本体7に重ね合わされてネジで固定される矩形板状の蓋9とを備える。
【0018】
錠ケース5は、扉3の戸先側端部の上下方向中央部に取り付けられる。具体的には、図2?図5に示すように、錠ケース5の左側端部には、矩形板状のフロント裏板11が一体的に設けられている。そして、図5に示すように、錠ケース5が扉3に埋め込まれると共に、フロント裏板11が扉3の戸先側端面に重ね合わされて、フロント裏板11を介して扉3の戸先側端部に取付ネジ13がねじ込まれることで錠ケース5が扉3に固定される。
【0019】
また、後述する係止ピン93,99が取り付けられた後、フロント裏板11に矩形板状のフロント板15が重ね合わされる。そして、フロント板15から錠ケース5へフロント取付ネジ17がねじ込まれることで、フロント板15がフロント裏板11に固定される。
なお、フロント裏板11およびフロント板15には、デッドボルト21が通される貫通穴11a,15aがそれぞれ形成されている。
【0020】
錠ケース5には、シリンダー装置41に差し込まれるキーの回転操作またはサムターン装置65のツマミ79の回転操作により回転するカム19と、このカム19の回転動作により戸先側端面から出没可能とされるデッドボルト21が収容されている。」

ウ 「【0035】
図9および図10は、サムターン装置を示す図であり、図9は斜視図、図10(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は平面図、(d)は背面図である。
サムターン装置65は、サムターン胴66にサムターン軸67が差し込まれて構成されている。
【0036】
サムターン胴66は、略段付き円柱形状とされ、その先端側小径部69には、先端側へ突出して取付部71が形成されている。
取付部71は、円の左右両端部が上下方向(直径方向)に沿う直線により前後方向に切り欠かれた略小判形状とされる。なお、本実施例では、取付部71の上端部は、先端側へ若干突出している。
また、サムターン胴66の基端部には、径方向外側へ若干拡径して拡径部73が形成されている。
【0037】
サムターン胴66には、取付部71を挟んだ左右両側に先端側へ開口するピン穴75,75が形成されている。つまり、サムターン胴66には、左右に離間して二つのピン穴75,75が設けられている。
ピン穴75は、シリンダー装置41のガイドピン53の外径に対応している。
【0038】
本実施例では、ピン穴75の一部が、取付部71の左右側面に重なって形成されており、取付部71の左右側面には、円弧状の溝71aが前後方向に沿って形成されている。
つまり、本実施例では、取付部71の左右両側面に、円弧状の溝71a,71aがピン穴75,75の周側面に連続して前後方向に沿って形成されている。
【0039】
また、取付部71には、後述する係止ピン99がはめ込まれる貫通穴77が左右方向に沿って形成されている。本実施例では、ピン穴75より上方位置に貫通穴77が形成されている。
【0040】
サムターン軸67は、丸棒状であり、その基端部には矩形板状のツマミ79が一体的に設けられており、ツマミ79を回転させることでサムターン軸67が一体回転する。また、サムターン軸67の先端部67aは断面十字状に形成されている。
【0041】
サムターン軸67は、サムターン胴66に前後方向に沿って形成された貫通穴に回転可能にはめ込まれて設けられる。
サムターン胴66にサムターン軸67が取り付けられた状態では、ツマミ79は、サムターン胴66より基端側へ配置されており、サムターン軸67の先端部は、取付部71から先端側へ突出して配置されている。
なお、サムターン胴66にサムターン軸67が設けられた状態では、サムターン軸67は前後方向の移動が規制されている。」

エ 「【0052】
このようにシリンダー装置41が錠ケース5に固定された状態で、サムターン装置65が扉3の室内面側から錠ケース5に取り付けられる。
図13は、図11および図12の状態から錠ケースにサムターン装置が取り付けられた状態を戸先側から見た概略図であり、図14は図13の平面図である。
【0053】・・・
【0054】・・・
【0055】・・・
【0056】
また、サムターン装置65には、シリンダー装置41と同様に、サムターン胴66との間にコイルバネ101を介在させた状態でカラー103が設けられる。
このように、錠ケース5にシリンダー装置41およびサムターン装置65が取り付けられた状態で、フロント裏板11にフロント板15がネジで固定される。」

オ 上記ア?エ及び図1?15の記載と技術常識から、サムターン装置65はラッチは操作することなくデッドボルトを操作することは明らかである。

カ 上記ア?オの記載を踏まえると以下の刊1発明が記載されていると認められる。

刊1発明
「住宅の玄関扉などに設けられる扉錠に関するものであり、
扉3の戸先側端部に内蔵される錠ケース5と、この錠ケース5に設けられ、錠ケース5の戸先側端面から出没可能なデッドボルト21と、扉3の室外面に設けられ、キーの回転操作によりデッドボルト21を進退させるシリンダー装置41と、扉3の室内面に設けられ、ツマミ79の回転操作によりデッドボルト21を進退させるサムターン装置65とを主要部に備え、
サムターン装置65はラッチは操作することなくデッドボルトを操作しており、
サムターン装置65は、サムターン胴66にサムターン軸67が差し込まれて構成されており、
サムターン軸67は、丸棒状であり、その基端部には矩形板状のツマミ79が一体的に設けられており、ツマミ79を回転させることでサムターン軸67が一体回転し、
サムターン軸67は、サムターン胴66に前後方向に沿って形成された貫通穴に回転可能にはめ込まれて設けられており、
シリンダー装置41が錠ケース5に固定された状態で、サムターン装置65が扉3の室内面側から錠ケース5に取り付けられ、
サムターン装置65には、シリンダー装置41と同様に、サムターン胴66との間にコイルバネ101を介在させた状態でカラー103が設けられる、
扉錠。」

(2)刊行物2には、次の記載があり、以下の発明(以下「刊2発明」という。)が記載されていると認められる。
ア 「本考案は、シリンダ錠に係り、特に、作動が円滑で、しかも防水および防塵構造を有するシリンダ錠に関する。」(3頁7行?9行)

イ 「以下本考案の実施例を第2図ないし第7図を参照して説明する。
第2図において符号1は前記錠箱を示し、この錠箱1は、扉Dの自由端縁部に形成された錠箱洞9内に収納されており、内部には、前記ノブ2,3やシリンダ5などの回動に関連して、ラツチ11および図示しないデツドボルトを出し入れ操作する機構が設けられている。
一方、扉Dの自由端縁部には、上記ラツチ11などの出し入れ操作機構の中心軸線と同軸に、扉表面から上記錠箱洞9に至る切欠孔8,8が開口しており、扉Dの外側および内側表面における切欠孔8の開口を閉塞するように、錠箱1を挾むようにして外側および内側ノブ2,3が同軸的に配置されている。すなわち、扉Dの外側表面には、切欠孔8の開口を覆うようにノブ座12が取付けられており、このノブ座12には、外側握り玉13に同軸かつ一体的に結合された連結筒14が回動自在に支承されている。この連結筒14の内端縁には一対のラツチバー15,15が結合されており、これらのラツチバー15,15の内端部は、錠箱1のラツチ操作部材(図示せず)の係合孔に挿入され、外側握り玉13とラツチ操作部材とを連結している。また、上記連結筒14には、シリンダ5およびクラツチ6が嵌合しており、このクラツチ6の内端部にシリンダ5と同軸に取付けられた前記キーバー4は、錠箱1のデツドボルト操作部材(図示せず)を貫通して、内側ノブ3のサムターン7に接続されている。なお、内側ノブ3の構造は、シリンダ5およびクラツチ6を除けば外側ノブ2のそれと同様であるから、その詳細な説明は省略する。
他方、前記錠箱1とノブ座12との間におけるキーバー4の外側には保護カバー16が配置されている。第2図の実施例では、この保護カバー16は、キーバー4およびラツチバー15,15を内側に収納できる内径を有する短筒体で、その外端縁部はノブ座12の底面(内端面)に支持されている。
上記のように構成された本考案によるシリンダ錠は、切欠孔8の内面にけばやささくれなどが生じていても、けばなどは上記保護カバー16に遮ぎられてキーバー4の回動に干渉しない。」(4頁下から6行?6頁下から6行)

ウ 「さらにまた、経年使用や扉とノブとの熱膨張差などによって、扉Dとノブ座12との間にわずかでも隙間が生ずると、特に外側ノブ側では外部から水気や塵埃などが侵入することかあるが、本考案によるシリンダ錠においては、これら水気などは保護カバー16に遮ぎられて機構部に侵入し難くなる。」(7頁2行?8行)

エ 「なお、例えば浴室などの錠の場合には、上記とは反対に、扉の内面側に保護カバーを設けた方がよい。また、保護カバー16のフランジは、例えば水滴などか侵入した場合、水切りか良いという利点がある。」(7頁末行?8頁3行)

オ 「さらにまた、保護カバーを防水および防塵の機能を果すので、シリンダ錠機構部の発錆や、塵埃の侵入などによる機構部の作動不良などを防止できる、など種々の効果を奏する。」(10頁12行?15行)

カ 上記ア?オの記載を踏まえると以下の刊2発明が記載されていると認められる。

刊2発明
「防水および防塵構造を有するシリンダ錠に関するものであり、
錠箱1は、扉Dの自由端縁部に形成された錠箱洞9内に収納されており、内部には、ノブ2,3やシリンダ5などの回動に関連して、ラツチ11およびデツドボルトを出し入れ操作する機構が設けられており、
扉Dの自由端縁部には、上記ラツチ11などの出し入れ操作機構の中心軸線と同軸に、扉表面から上記錠箱洞9に至る切欠孔8,8が開口しており、扉Dの外側および内側表面における切欠孔8の開口を閉塞するように、錠箱1を挾むようにして外側および内側ノブ2,3が同軸的に配置されており、
扉Dの外側表面には、切欠孔8の開口を覆うようにノブ座12が取付けられており、このノブ座12には、外側握り玉13に同軸かつ一体的に結合された連結筒14が回動自在に支承されており、この連結筒14の内端縁には一対のラツチバー15,15が結合されており、これらのラツチバー15,15の内端部は、錠箱1のラツチ操作部材の係合孔に挿入され、外側握り玉13とラッチ操作部材とを連結しており、
上記連結筒14には、シリンダ5およびクラツチ6が嵌合しており、このクラツチ6の内端部にシリンダ5と同軸に取付けられたキーバー4は、錠箱1のデツドボルト操作部材を貫通して、内側ノブ3のサムターン7に接続されており、
内側ノブ3の構造は、シリンダ5およびクラツチ6を除けば外側ノブ2のそれと同様であり、
錠箱1とノブ座12との間におけるキーバー4の外側には保護カバー16が配置されており、
保護カバー16は防水および防塵の機能を果す、
シリンダ錠。」

(3)刊行物3には、次の記載がある。
ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の施錠装置では、施錠装置の内部に生じる隙間を介して、屋外の空気や雨水などが屋内に侵入するといった可能性が皆無ではなく、この種の問題は、近年、数多く建設されている高層マンションなどでは、特に懸念される。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、施錠装置の内部に生じる隙間を介して屋外の空気や雨水などが屋内に侵入するのを防止することのできる錠前用サムターンを提供することを目的とするものである。」

イ 「【0011】
本発明の実施の形態に係る施錠装置1は、開閉体である扉2に内蔵される錠箱(図示省略)と、扉2の屋外側に露出するシリンダー錠(図示省略)と、扉2の屋内側に露出する回転式の錠前用サムターン3とを備えて構成されている。そして、前記錠箱にはラッチボルトやデッドボルト(いずれも図示省略)、及びデッドカム42などが設けられており、錠前用サムターン3に回動操作力を入力することによって、或いは、前記シリンダー錠をキーによって回動することによって、前記ラッチボルト及び前記デッドボルトが扉2の木口から進退可能となっている。
【0012】
錠前用サムターン3は、前記錠箱に固定される筒状支持部4と、筒状支持部4に回動自在に支持される筒状軸部材5と、扉2の屋内側から筒状軸部材5に取り付けられる摘み部6と、摘み部6の反対側から筒状軸部材5に取り付けられるコア部7とを備えて構成されている。
・・・
【0015】
筒状軸部材5は、軸方向に沿って略円筒形に形成され、屋内側端部の上下にはそれぞれ内側に入り込むように係止片20が形成されている。また、筒状軸部材5の屋外側端面には、4個の欠込み部21が互いに隣接する欠込み部21との中心角が90°となるように形成されており、また、筒状軸部材3の屋外側外周部には、上下に対向するようにそれぞれ掛止孔22が形成されている。
【0016】
摘み部6は、平板状に形成され、屋内側に露出して設けられる操作部23と、筒状軸部材5に挿入される挿入部24とから構成されている。そして、挿入部24には切欠凹部25が形成されており、この切欠凹部25に係止片20を係止することにより、摘み部6が筒状軸部材5に固定されるようになっている。
【0017】
コア部7は、軸方向に沿って形成され、筒状軸部材5に挿入される小径部26と、小径部26より大径でデッドカム42の凹部42aに挿入される大径部27とを備えている。小径部26には、4個の小突出部28が互いに隣接する小突出部28との中心角が90°となるように断面十字形状に形成されていると共に、筒状軸部材5の掛止孔22に対応した位置に掛止凹部29が形成され、掛止孔22及び掛止凹部29にクリップ30を掛止させることにより、コア部7が筒状軸部材5に固定されるようになっている。
【0018】
大径部27には、4個の大突出部31が互いに隣接する大突出部31との中心角が90°となるように断面十字形状に形成され、大突出部31と小突出部28との間に段差部32が形成されている。大径部27の大突出部31は筒状軸部材5の欠込み部21に係合し、欠込み部21に段差部32が当接することにより筒状軸部材5に対するコア部7の挿入深さが規制されるようになっている。
【0019】
コア部7の大径部27には、隙間閉塞部材33が設けられている。この隙間閉塞部材33は、大径部27に圧入される円形板状のスペーサ34と、スペーサ34に貼付される弾性体35とから構成されている。
【0020】
スペーサ34は、図2に示されているように、円形板に、大径部27に挿入可能な通孔36が形成されて構成され、この通孔36は、円形部分37に4個の凸部38が放射状に均等間隔(中心角90°)で形成されて構成されている。円形部37の4箇所の円弧部分にはそれぞれリブ突起39が突設されており、このリブ突起39によってスペーサ34が大径部27に圧入されるようになっている。また、通孔36の外周角部は曲成されており、大径部27へのスペーサ34の圧入作業が円滑且つ容易に行えるようになっている。さらに、スペーサ34を大径部27に圧入すると、互いに隣接するリブ突起39の間の当接部40が筒状軸部材5の屋外側端面41(図1参照)に当接することにより、コア部7に対するスペーサ34の取付位置が位置決めされるようになっている。
【0021】
弾性体35は、例えば、発泡ポリエチレン製であり、図3に示されているように、スペーサ34より小径且つデッドカム42の凹部42aの外径と同一又は大径の円形板に、スペーサ34の通孔36と同一の大きさ及び同一形状の通孔37が形成された2枚の弾性板43を重合して貼り合わせることにより構成されており、スペーサ34に両面テープなどを介して貼付されるようになっている。
【0022】
このように、スペーサ34には、大径部27に圧入可能なように通孔36が形成されていると共に、当接部40が筒状軸部材5の屋外側端面41に当接するように形成されているため、隙間閉塞部材33をコア部7の大径部27に取り付けると、コア部7と筒状軸部材5との間の隙間はスペーサ34により閉塞される。
【0023】
また、弾性体35には、デッドカム42の凹部42aの外径と同一又は大径の円形板に、大径部27に挿入可能な通孔44が形成された弾性板43が設けられているため、隙間閉塞部材33をコア部7の大径部27に取り付けると、デッドカム42の凹部42aに挿入されるコア部7の端部とデッドカム42との間の隙間は弾性体35により填塞される。
【0024】
したがって、上記した本発明の実施の形態に係る錠前用サムターン1によれば、コア部7と筒状軸部材5との間の隙間やコア部7の端部とデッドカム42との間の隙間が隙間閉塞部材33によって閉塞されるため、屋外の空気や雨水などが内部の隙間を介して屋内に侵入するのを確実に防止することができる。」

(4)刊行物4には、次の記載がある。
ア 「<技術分野>
本考案は、例えば船舶用又は金庫用として使用される水密錠装置に関する。
・・・
<目的>
本考案は、上記に鑑みて、ハンドル軸部の防水も完全に行い得る水密錠装置の提供を目的としている。」(1頁13行?2頁5行)

イ 「<実施例>
以下、本考案の一実施例を第1図ないし第4図に基づいて説明すると、これは、扉本体1に固定された軸受筒2と、該軸受筒2に回転自在に支承されたハンドル軸3と、扉取付壁に係合するために該ハンドル軸3に連動して扉本体1の側面1aから出退自在に該扉本体に取付けられた係合子4とを具え、前記軸受筒2の中央孔内周壁と前記ハンドル軸3との間に防水シール環5が介設されたものである。
・・・そしてハンドル軸3の外端鍔部3aと前記円筒部12の外端間には板状のシールパツキン16が介装され、また円筒部12の内壁に環状溝17が形成され、該溝17に前記シール環5がその内面を前記ハンドル軸3の外周面に密着するように嵌合されている。更に前記円筒部12及び取付杆14は、その外端にシール環18,19が外嵌されて錠本体20に嵌合され、ビス21で固定されている。
更に前記錠本体20には、鍵錠22が前記ハンドル軸3に並設され、該鍵錠22は、前記錠本体に嵌合された支持筒23と、該支持筒に回転自在に内嵌され先端が錠本体20がら室内側へ突出する鍵孔24付鍵筒25とを具えて成る。そして前記支持筒23はシール環26が外嵌されて前記錠本体20と密着され、また鍵筒25は、支持筒23の内壁の環溝27に嵌合されたシール環28により、該支持筒23と密着されている。
・・・
なお、閉鎖時には錠本体11と軸受筒2、軸受筒とハンドル軸3、取付杆14と錠本体11、錠本体11と支持筒23、及び支持筒23と鍵筒25は夫々シール環5,19,26,28により水密構造とされているため、錠部分からの浸水の恐れはなく、扉本体1のシール材8と共に扉を完全な水密構造にできる。」(2頁6行?5頁下から2行)

(5)刊行物5には、次の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、扉側リード線を介して電気錠に接続した扉側通電装置と、制御盤側リード線を介して扉枠に設けた枠側通電装置とを有する電気錠用の通電装置に関する。」

イ 「【実施例】【0025】
(実施例1)
本発明の実施例1を図1から図16に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る電気錠用の通電装置を取り付けた使用状態の一例を示した正面図、図2は扉の閉鎖時で通電状態を示した図1の要部縦断面図である。
図1で、aは扉枠bの開口を開放又は閉塞するスイング式の扉であって、この扉aの一端側(吊り元側)は扉枠bの縦框b2に丁番1で枢支されているとともに、該扉aの他端側(自由端側)の戸先側には電気錠2が取り付けられている。
・・・
【0033】
次に、前記扉側通電装置20は扉側リード線21を介して電気錠2に接続されているので、電気錠2について以下に説明する。
この電気錠2の錠ケース2a内には、前記扉側通電装置20のほかに、第1制御装置51と第2制御装置55とからなる制御回路50と、錠ケース2aの両側壁間に回動自在に軸支されたハブ5のハブ孔5aに嵌挿されている操作杆5bをシリンダーのキー操作やサムターン操作などの手動操作により回動して出没作動される錠杆3と、前記制御回路50にリード線6を介して接続された可逆回転モータ7と、この可逆回転モータ7の駆動により傘歯車等の歯車列を回動して錠杆3を電気的に出没作動させる歯車伝達機構8と、通電制御用のマイクロスイッチ9と、扉の開閉確認用のリードスイッチ16などを設けている。」

(6)刊行物6には、次の記載がある。
「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を室内ドアのハンドル取付座に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図10において1は玄関および勝手口を除く室内の間仕切り用ドアで、該ドア1の一側端部に錠取付穴2が開口され、該錠取付穴2に錠前3が収容されている。
前記錠前3の一端にラッチボルト4が出没可能に設けられ、その他側端側に角穴5が設けられ、該角穴5に室外側のレバ-ハンドル6にピン7aを介して連結した角芯棒7が係合可能に挿入されている。
【0013】
図中、8は錠取付穴2の開口縁部に形成した縦長矩形の切欠溝で、該溝8に錠前3と一体の取付板9と、フロント板10とが重合して収容され、これらがビス11を介してドア1の側端部に取り付けられている。
前記角穴5の両側に係合孔12が形成され、該孔12,12と前記角穴5に対応するドア1の内部に貫通孔13,14が形成され、該貫通孔13,14がドア1の内外面に開口している。
【0014】
前記貫通孔13,14に前記角芯棒7と、真鍮等の金属製の連結パイプ15が挿入され、このうち連結パイプ15は貫通孔13を介して係合孔12に挿入され、その長さはドア1の厚さより若干長尺に形成されている。
前記連結パイプ15の管内全域に雌ネジ部16が形成され、該雌ネジ部16にドア1の内外からビス17をねじ込み可能にされ、後述するハンドル取付座をドア1の内外に取り付け可能にしている。
【0015】
前記連結パイプ15の一端に切欠溝18が形成され、該スリット18の両側に略円弧状断面の係止爪19が対向して形成され、該係合爪19,19を後述するハンドル取付座の内面に形成した係合溝20に係合可能に配置している。
【0016】
前記ハンドル取付座21,22は貫通孔13,14に臨むドア1の内外面に配置され、該ハンドル取付座21,22は合成樹脂または亜鉛若しくはアルミダイカスト合金によって略円板状に成形されている。
前記内外のハンドル取付座21,22は実質的に同一に構成され、これを外側のハンドル取付座21で説明すると、ハンドル取付座21のドア1の表面と反対側の表面は額縁状に形成され、その凹状の平坦面23の外周に凸部24が環状に形成されている。
この場合、ハンドル取付座21,22は円板状に限らず、楕円、小判形、矩形、正五?八角形、その他の異形に形成することも可能である。
【0017】
前記平坦面23の中央に、レバ-ハンドル6の軸部先端6aを挿入可能な通孔25が形成され、該通孔25より外側の平坦面23に一対の凹孔26と矩形の凹部27とが互いに直交して配置されている。
このうち、凹孔26に前記ビス17の頭部17aが収容可能にされ、該凹孔26の底部に前記ビス17の螺軸を挿入可能な通孔28が形成されている。
【0018】
また、前記凹部27に両面接着テ-プ(図示略)または接着剤を介して、マグネットシ-ト29が取り付けられ、該マグネットシ-ト29の外面にカバ-である、磁性を有する金属製の化粧板30が取り付けられている。
実施形態では前記化粧板30として、板厚0.8mmの比較的肉厚のステンレス鋼板を使用し、該化粧板30をマグネットシ-ト29に重合して配置し、該化粧板30の表面を前記凸部24と同高位置または若干高位置若しくは低位置に位置付けている。」

(7)刊行物7には、次の記載がある。
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 箱形に形成され前面にフロントが設けられる錠ケースと、該錠ケースに回動可能に嵌着され外周面に駆動突起が設けられ、内部に設けられた角孔にドアハンドルが連結されるハブと、前壁及び後壁が屈曲形成され、上記錠ケースに設けられた起立壁と上記前壁との間に挿入される復帰用スプリングによりフロント方向に付勢され、上記後壁が上記駆動突起に当接するレトラクタと、上記フロントより出没可能なラッチヘッドの後端に軸部が形成され、上記前壁及び後壁を貫通する上記軸部の端部に鍔部が設けられるラッチボルトと、上記ヘッドの後端と上記前壁との間に挿入されるラッチスプリングとから成る錠装置において、
上記ハブにストッパ受け面を形成し、上記錠ケースに回動可能に嵌着されるカムの外周面に押動突起を設け、上記カムの内部に設けられる角孔に、室内側のサムターンに連結する角軸を挿入し、一端が上記押動突起に係合し上記カムの回動により他端が上記ストッパ受け面に係脱するストッパを設け、上記カムに係合し上記カムが施錠角度のときに上記ラッチボルトの後端に当接する位置に移動するプッシュプレートを設けたことを特徴とする錠装置。」

(8)刊行物8には、次の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠ケースに進退可能に設けられるラッチボルトを突出させた状態で後退規制可能なストッパーと、
上方位置または下方位置において、ソレノイドの作動に基づき回動することで前記ストッパーによるラッチボルトの後退規制の有無を変更するテコ板と、
ソレノイドの非通電時において、ストッパーによりラッチボルトを後退規制するか否かを切り替えるために、前記テコ板を上方位置または下方位置に位置決めする切替機構と
を備えることを特徴とする電気錠。
【請求項2】
錠ケースに進退可能に設けられるラッチボルトと、
錠ケースに枢支されてラッチボルトを後退不能に係止するよう付勢されるストッパーと、
ソレノイドにより枢軸まわりに回動し、その枢軸が錠ケースに対し上下動可能に保持されたテコ板と、
このテコ板と前記ストッパーとを連結する第一リンク材と、
前記枢軸を上方位置または下方位置に位置決めする切替機構とを備え、
前記切替機構により前記枢軸が上方位置に配置された状態では、ソレノイドの作動により前記テコ板が前記第一リンク材を介して前記ストッパーを付勢力に対抗して回動させてラッチボルトの後退を可能とする一方、
前記切替機構により前記枢軸が下方位置に配置された状態では、前記テコ板が前記ストッパーを付勢力に対抗して回動させてラッチボルトの後退を可能とし、ソレノイドの作動により前記ストッパーが前記ラッチボルトの後退を規制する
ことを特徴とする電気錠。」

(9)刊行物9には、次の記載がある。
ア 「OBJECTS AND SUMMARY OF THE INVENTION
It is, therefore, an object of this invention to provide a fire shielded doorlatch knob assembly for locksets having particular use in the inner lockset knob assembly for fire resistant doors of structures・・・」(3欄1行?7行)
(仮訳)「本発明の目的は、構造物の耐火ドアのための内側ロックセットノブ組立体に特に使用されるロックセット用防火ドアラッチノブ組立体を提供することである・・・」

イ 「The tubular wall 64 of the fire resistant shield 54 is axially outwardly closed by a preferably integral end wall 65, of course, also formed of fire resistant material. In the particular first embodiment shown, with the turnbutton shaft 50 included in this inside doorlatch knob assembly 18, the turnbutton shaft extends axially through the shield end wall 64 and is closely surrounded thereby with only a very minimum of clearance therebetween to permit independent rotation of the turnbutton shaft relative to the shield.」(5欄59行?末行)
(仮訳)「耐火シールド54の管状壁64は、好ましくは一体の端壁65によって軸方向外側に閉鎖されており、勿論耐火材料から形成されている。この内側ドアラッチノブアセンブリ18に含まれるターンボタンシャフト50と共に、ターンボタンシャフトは、シールド端壁64を通って軸方向に延び、その間に非常に最小限の隙間で密接に囲まれ、シールドに対して回転軸を回転させる。」

ウ 「With the positioning of the fire resistant shield 54 within the inside doorlatch knob assembly 18, despite melting and destruction of the knob 34, flames are still prevented from inward penetration into the fire resistant door l2 so that the drive washer 42 will be protected retaining the half round spindle 48 to thereby retain the doorlatch mechanism 16 function.」(7欄23行?30行)
(仮訳)「ノブ34の溶融及び破壊にもかかわらず、内側ドアラッチノブ組立体18内の耐火シールド54の位置決めにより、火炎は耐火ドア12内への内向きの侵入を防止され、半円形の軸48を保持する駆動ワッシヤ42は、ドアラッチ機構16の機能を保護する。」

(10)刊行物10には、次の記載がある。
「chacune de ces moities de poignee comportant, a son extremite, en forme d'arbre, tournee vers 1'autre moitie de poignee un ecusson de protection interne en acier et un ecusson de protection externne en alliage leger,lesquels ecussons viennent porter contre la surface exterieure de la porte d ' une facon etanche de maniere a empecher le passage des gaz produits par un incendie eventuel,」(6頁12行?18行)
(仮訳)「ハンドル半部の各々は、ハンドルの他の半分に向かってスチールの内部保護シールドと、表面に当接するエスカッションである軽合金の外部保護シールドとをシャフトの端部に有する端部を有している火災の可能性があるガスの通過を防止するために、鋼の内側エスカッション(10)と軽合金の外側エスカッション(11)とがスリーブ(13)に具備される。」

(11)刊行物11には、次の記載がある。
ア 「【0030】・・・Die Lagerscheibe 14 ist mit dem Turblatt 3 fest verbunden, beispielsweise mittels einer Verschraubung. Dabei ist zur gasdichten Abdichtung bevorzugt zwischen der Lagerscheibe 14 und der Bandseite 5 des Tiirblatts 5 eine weitere Dichteinrichtung vorgesehen.」
(仮訳)「支持板14は、例えばねじによってドアパネル3に固定的に接続されている。この場合、支持板14とドアパネル3のヒンジ側5との間を気密に密封するために、別の密封装置を設けることが好ましい。」

イ 「3.Verschlusseinrichtung nach Anspruch l oder 2, dadurch gekennzeichnet,dass zwischen den Betatigungseinrichtungen(21,34)eine die Steckachse(13)umgebende gasdichte Dichtungseinrichtung (99)vorgesehen sind.」
(仮訳)「作動装置(21,34)の間に前記貫通軸(13)を取り囲む気密シール装置(99)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の閉鎖装置。」

(12)刊行物12には、次の記載があり、以下の発明(以下「刊12発明」という。)が記載されていると認められる。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉などの開閉体の錠構造に関するものである。」

イ 「【0011】本発明の開閉体の錠構造が配設される開閉体1は、本実施の形態では、基端縁が蝶番にて建物躯体に連結された玄関などのドアであり、このドア1の先端縁である揺動端縁1aに、この錠構造2が配設される。
【0012】この錠構造2は、錠箱3と、操作部材4と、スペーサ5と、台座6と、カバー9とで構成されている。
【0013】錠箱3は、略方形箱状に形成され、ドア1の端縁1aにおける端面である木口より一側のフロント板のみが表出してドア1の揺動端縁1aに埋め込まれるように設けられている。この錠箱3内には、図示しない施解錠機構が内蔵されており、この機構に連動連結されたラッチボルトとデッドボルト(図示せず)とが前記フロント板に穿設されている通孔より進退自在となるように配設されている。
【0014】また、この錠箱3内の機構を介してラッチボルト及びデッドボルトと後述する操作部材4とを連結するための上下一対の取付穴3a,3bが錠箱3の表裏面に貫通して形成されている。そして、これら取付穴3a,3bに対応する貫通孔1b,1cがドア1の表裏両面1o,1iにそれぞれ穿設され、これら貫通孔1b,1cより各取付穴3a,3bがドア1の表裏面1o,1iに表出するようになっている。
【0015】次に、操作部材4は、シリンダー4Aと、サムターン4Bと、ノブ4Cとで構成されている。シリンダー4Aは、一方の貫通孔1b及び取付穴3aを介してデッドボルトに連動連結されるとともに、ドア1における屋外側の面1oに突出するように配設され、また、サムターン4Bは、この一方の取付穴3aの屋内側より取り付けられ、ドア1における屋内側の面1iに突出するように配設されており、すなわちこの一方の取付穴3aの表裏面側にシリンダー4Aとサムターン4Bが略一体となるように接続され、デッドボルトの進退操作を、屋外側からはキーを用いてシリンダー4Aの回動にて行い、また屋内側からはサムターン4Bの回動操作によって行うようになっている。
【0016】また、ノブ4Cは、屋内側と屋外側の一対で構成され、各基端が他方の取付穴3bを介してラッチボルトに連動連結されているとともに、ドアにおける表裏両面1o,1iより突出するように配設され、回動操作によってラッチボルトの進退操作を行えるようになっている。
【0017】次にスペーサ5は、天然ゴムや、耐寒性の良好なブタジエンゴム,クロロプレンゴム,シリコンゴムなどの合成ゴムを素材とする略短冊錠の矩形板状部材で、ドア1の表裏面1o,1iにおける前記錠箱3に対応した位置の、ドア1の板面に穿設されている各貫通孔1b,1cに対応する穴5aが穿設され、このドア1の貫通孔5aの周囲に位置するように、ドア1の表裏両板面1o,1iに配設される。
【0018】なお、このスペーサ5に穿設される穴5aの内径は、前記各操作部材4の貫通孔1b,1cに位置する軸部外径に略等しくなるよう設定されて形成され、貫通孔1b,1cと軸部外径との隙間が閉塞されるようになっている。
【0019】次に、台座6は、亜鉛ダイカストなどの金属よりなり、上下両端縁にZ字状に折曲形成されたベース片7が延設されている矩形な略短冊状に形成され、一対で構成されている。
【0020】また、この台座6には、支持孔6aが穿設されており、前述した各操作部材4の軸部等が貫通するようになっている。そして、この台座6は、ドア1の表裏面1o,1iに、前記スペーサ5を介し、このスペーサ5をドア1の板面とで挟持するようにネジ8などの固定手段にて固定されるとともに、各操作部材4を支持するようになっている。なお、この台座6の縦横の長さは、スペーサ5と同等に形成される。
【0021】次にカバー9は、耐候性が良好な樹脂、例えばABS樹脂,アセタール樹脂、ポリカーボネイト樹脂,ウレタン発泡樹脂やポリプロピレン,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレートなどよりなり、一側が開口した略方形箱状に形成されているとともに、前記台座6の支持孔6aに対応する挿通孔9aが穿設されている。
【0022】そして、このカバー9は、内側面9bが台座6に密着し、この台座6及びスペーサ5を被覆するようにドア1の表裏面1o,1iに取り付けられる。なお、このカバー9には、ノブ4Cやサムターン4Bなどの操作部材4に接触することがなく、これらによる負荷が加わらず、また、このカバー9のドア1への取付手段としては、台座6にネジなどを用いて固定してもよく、また、台座6に対して鉤状爪にて着脱が容易となるように取り付けるよう構成してもよい。
【0023】従ってこのように構成された錠構造2によれば、ドア1の表裏両面1o,1iに突出するノブ4Cやシリンダー4A,サムターン4Bの周囲を樹脂製のカバー9にて構成したので、寒冷地におけるドア1を隔てた屋外Oと屋内Iとの気温差にて、ドア1の屋内I側が結露を生じても、屋外O側から錠箱3を介して伝わる低い気温の冷気によって、その水滴が氷結してしまうことがなく、すなわちサムターン4Bが固着してその動作不良を起こすことなく、確実な施解錠動作を行える。
【0024】特に、この錠構造2では、ドア1の板面1o,1iと台座6との間にゴム製のスペーサ5が介設されているので、屋外Oからの冷気が隙間より吹き込むことがなく、また台座6自体に屋外O側からの冷気が伝わらず、結露が生じにくく、氷結が起こらない。」

ウ 上記ア、イの記載を踏まえると以下の刊12発明が記載されていると認められる。

刊12発明
「扉などの開閉体の錠構造に関するものであり、
基端縁が蝶番にて建物躯体に連結された玄関などのドアであり、このドア1の先端縁である揺動端縁1aに、この錠構造2が配設され、
この錠構造2は、錠箱3と、操作部材4と、スペーサ5と、台座6と、カバー9とで構成されており、
錠箱3内には、施解錠機構が内蔵されており、この機構に連動連結されたラッチボルトとデッドボルトとがフロント板に穿設されている通孔より進退自在となるように配設されており、
操作部材4は、シリンダー4Aと、サムターン4Bと、ノブ4Cとで構成されており、シリンダー4Aは、一方の貫通孔1b及び取付穴3aを介してデッドボルトに連動連結されるとともに、ドア1における屋外側の面1oに突出するように配設され、また、サムターン4Bは、この一方の取付穴3aの屋内側より取り付けられ、ドア1における屋内側の面1iに突出するように配設されており、すなわちこの一方の取付穴3aの表裏面側にシリンダー4Aとサムターン4Bが略一体となるように接続され、デッドボルトの進退操作を、屋外側からはキーを用いてシリンダー4Aの回動にて行い、また屋内側からはサムターン4Bの回動操作によって行うようになっており、
ノブ4Cは、屋内側と屋外側の一対で構成され、各基端が他方の取付穴3bを介してラッチボルトに連動連結されているとともに、ドアにおける表裏両面1o,1iより突出するように配設され、回動操作によってラッチボルトの進退操作を行えるようになっており、
スペーサ5は、天然ゴムや、耐寒性の良好なブタジエンゴム,クロロプレンゴム,シリコンゴムなどの合成ゴムを素材とする略短冊錠の矩形板状部材で、ドア1の表裏面1o,1iにおける前記錠箱3に対応した位置の、ドア1の板面に穿設されている各貫通孔1b,1cに対応する穴5aが穿設され、このドア1の貫通孔5aの周囲に位置するように、ドア1の表裏両板面1o,1iに配設され、
このスペーサ5に穿設される穴5aの内径は、前記各操作部材4の貫通孔1b,1cに位置する軸部外径に略等しくなるよう設定されて形成され、貫通孔1b,1cと軸部外径との隙間が閉塞されるようになっており、
ドア1の板面1o,1iと台座6との間にゴム製のスペーサ5が介設されているので、屋外Oからの冷気が隙間より吹き込むことがなく、また台座6自体に屋外O側からの冷気が伝わらず、結露が生じにくく、氷結が起こらない、
錠構造。」

(13)刊行物13には、次の記載がある。
「【0008】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。
図面において、1は倉庫等の室、2は側壁、3は緊急時出入用の開口部、4は開口部3に嵌着された扉取付枠、5は扉であり、6は扉締付装置である。そして、前記扉5は、扉取付枠4の室外側垂直面4Aに、垂直軸7を有するヒンジ8により片開状にかつ開閉可能に取付けられており、前記扉5の扉取付枠4との対向面5Aには、扉全周にわたってシール部材9(例えばシールゴム)が固着され、前記枠外側面4Aにはシール部材9に対応して帯板状のシールゴム又は戸当り板10が固着されている。
【0009】
前記扉5の左右幅方向中央部には、上下に位置して軸挿通孔11が水平にかつ扉5を貫通して設けられており、該孔11を利用して前記扉締付装置6が夫々取付けられている。なお、上下の扉締付装置6は、共に同一形状・寸法で、しかも、開閉操作も全く同じである。
【0010】
前記扉締付装置6は、前記軸挿通孔11に挿通され、かつ両端が室内・外に突出状に気密構造の内・外軸受12,13を介して取付けられた締付操作軸14と、該軸14の両端に固着された内・外の回動操作ハンドル15,16と、前記操作軸14の雄ねじ部17に螺合された締付アーム18とから成っている。
【0011】
前記内側軸受12は、前記扉5の内側面5A(対向面)に気密状に取付けられた筒状台座19のフランジ19Aに気密状に固着されており、軸受12の内端が前記扉取付枠4の室内側垂直面4Bよりも扉5側に位置せられ、該軸受12の内端よりも内方に位置して前記操作軸14に前記雄ねじ部17が設けられている。
【0012】
前記外側軸受13は、図4に示すように、扉5の外側面5Bに気密状に取付けられた軸受箱20と、該軸受箱20内に嵌装され、かつ前記操作軸14に設けたフランジ部21の軸方向両側に位置せられたスラストベアリング22,23とからなり、前記軸受箱20内には、グリースを封入すると共にパッキン24を嵌装して気密状態が確保されており、前記スラストベアリング22,23により操作軸14の軸方向移動を不能にしている。」

(14)刊行物14には、次の記載がある。
ア 「この考案は、屋内外に設置されるプレハブ式冷蔵庫の扉体の安全装置に関するもので、気密性及び断熱性を向上させるとともに冷蔵庫内に入つた者が庫内に閉じ込められた状態におかれても、庫内から安全に扉体を開放して脱出できるようにしたことを特徴とするものである。」(2頁3行?9行)

イ 「前記安全装置6は、前記扉体4におけるラツチ錠5の開閉操作部すなわちレバー5a側の直下部に穿設された貫通口7内に、レバー5aと係合してラツチ錠5をラツチ受5bから解錠し得る操作棒8を貫通させるとともに、貫通口7の庫内側および庫外側には、操作棒8とのすき間を気水密に保持するシール部材9,9を取り付け、かつ、貫通口7内における操作棒8の一部に、前記シール部材9に当接する操作棒脱落防止用突片であるピン10を直交状に突設して成る構造となっている。」(4頁17行?5頁7行まで)

ウ 「第5図はこの考案の第二実施例を示すもので、シール部材9の別の取付態様を示す場合である。すなわち、前記貫通口7を形成する筒体11の両端面にそれぞれ底部が膨隆する環状凹溝12,12を形成しておき、この環状凹溝12内に、シール部材9のフランジ部9aから突出する環状係合部9dをスナツプ嵌合させた場合である。」(6頁2行?9行)

(15)刊行物15には、次の記載がある。
ア 「〔産業上の利用分野〕
本考案は、半導体製造工場などのクリーンルームの外壁扉に関する。」(1頁下から7行?5行)

イ 「また、扉1の開閉用ハンドル5の回動軸5aの外周にも第3図に示すように薄板ゴムを積層させた円板状のゴムパッキン9を配設するが、このパッキン9は扉1の面板の外側に位置し、ハンドル5を扉1に取り付けるための皿状固定金具5b内に収容する。
このようにして、ハンドル5はその軸部をゴムパッキン9でシールされ、・・・
〔考案の効果〕
以上述べたように、本考案のクリーンルームの外壁扉は、扉と扉枠との係合のみならず扉自体に存する開口部として、締付ボルトやハンドル周囲をシールするようにしたので、従来よりもエアタイト性を向上させ、目に見えないほこりの侵入をほぼ完全に遮断できるものである。」(5頁1行?19行)

(16)刊行物16には、次の記載がある。
ア 「「産業上の利用分野」
本考案は、密閉扉を左開きと右開きの両用に使用可能とするハンドル装置に関するものである。」(2頁2行?4行)

イ 「また、図中Aは、密閉扉11を係止するためのハンドル装置を示している。このハンドル装置Aは、扉枠12に対する密閉扉11のヒンジ結合側であつて、密閉扉11の端部の上下所定位置に各々設けられている。ハンドル装置Aは、密閉扉11をその厚さ方向に貫通して設けられたハンドル軸20と、このハンドル軸20を通し、密閉扉11の内部に設けられた補強用の筒体21と、密閉扉11の前面側のハンドル軸20の一端にリングパツキン22と座金23とを介して取り付けられた主ハンドル体24と、密閉扉11の背面側のハンドル軸20の他端にリングパツキン25を介して取り付けられた副ハンドル体26とからなつている。」(8頁下から3行?9頁11行)

(17)刊行物17には、次の記載がある。
ア 「この考案は自動車におけるキーシリンダ取付部の排水構造に関するものである。」(1頁12行?13行)

イ 「ホルダ3はプラスチツク材あるいはアルミダイキヤストにより成形されていて、その円筒部3aの内部にキーシリンダ1を嵌め込んで抜け止めのキー4を施し、円筒部3aの外周部をパネル2の取付孔2aに挿入する。そしてホルダ3の外殻部3bとパネル2との間にシール材5を挟むとともに、パネル2の内部においてパネル2とホルダ3の円筒部3aとの間に取付用のクリツプ(図示しない)を嵌挿すれば、外殻部3bがシール材5を介してパネル2に圧接するとともに、ホルダ3がパネル2に固定される。」(2頁2行?12行)

(18)刊行物18には、次の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】一般にねじは製品を組み立てたり、部品を取り付けたりするのに、その組立部品としてあらゆる製品に使用されている。ところが最近では、製品に組み込まれている部品が精密であったり、水分を嫌う精度の高い電子部品であったりして、これらを内蔵するケースの組立には種々の工夫がなされている。その一例として、携帯電話、コンピュータ機器等では電子機器を内蔵する樹脂製のケースの組立において、ねじ込み箇所にその都度、シール剤を塗布してねじの頭部とカバーとをを密着させたり、図7及び図8に示すようなOリング104をねじ101の首部120に嵌め込み、これをケース本体130に固定されるカバー132の貫通穴133に挿入してねじ込むことで、このOリング104が貫通穴133の上部に形成されている座ぐり穴134とねじ101の頭部102の座面との間で撓み変形してカバー132とねじ101とに密着して隙間を無くして湿気及び雨水等の水分が内部に浸入しないようにしているのが現状である。」

(19)刊行物19には、次の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本考案は、ドアのレバーハンドル、特に湿気の多い浴室等のドアに用いるレバーハンドルに関するものである。」

イ 「【0016】
また、ハンドル本体1の基部3とハンドル軸端部5の結合部分6には、ハンドル本体1に開口する頂部が皿状になったねじ孔で構成された皿ねじ孔7が、その基部3と端部5の両部に亘って形成されている。皿ねじ孔7は、本実施形態では例えば上部が6mmφの皿孔で、ねじ孔径が4mmφ程度になっているが之に限るものでなく、ハンドル本体1の形状や大きさなどにより適宜選択される。
【0017】
一方、皿ねじ孔7に螺入される固定ねじは、頭部が丸皿になった丸皿固定ねじ8で構成されている。丸皿固定ねじ8には、逆円錐台状の防水パッキン9が圧入されて一体になっている。従って、ねじの締付の際に、丸皿固定ねじ8にいちいち防水パッキン9を装着する必要がなく、締付操作が簡単になる。
丸皿固定ねじ8は、例えば丸皿頭部の外径が8.5mmφで、ねじ径が4mmφになっている。防水パッキン9は、例えばポリアミド係樹脂やシリコン樹脂のような耐熱性と熱膨張性を有する素材により前記皿ねじ孔7に合わせた形状、例えば外径が6mmφで、内径が4mmφ以下に形成される。
【0018】
そして、本実施形態では丸皿固定ねじ8に前記防水パッキン9を差し込んで丸皿固定ねじ8の頭部裏面に配置させて一体になった丸皿固定ねじ8を、皿ねじ孔7に螺入することによって、ハンドル本体1とハンドル軸とを固定する。
【0019】
丸皿固定ねじ8の締付によりハンドル本体1を固定すると、防水パッキン9が皿ねじ孔7の皿部に密着し、皿ねじ孔7上部を確実に封鎖する。即ち、丸皿固定ねじ8によって弾力性のある防水パッキン9の逆円錐形部が皿ねじ孔7の皿部に入り込みを確実に密封できる。つまり、丸皿固定ねじ8の丸皿頭部と防水パッキン9が、蓋として機能して皿ねじ孔7を封鎖するので、例えば浴室のドア用のように湿気が比較的多い箇所や水が掛かるような箇所において使用されるドア用に利用してもレバーハンドルの結合部分から錆や腐食が解消される。
【0020】
また、ねじ孔を皿ねじ孔7にすると、丸皿固定ねじ8が皿部に案内されて垂直に装入される。つまり、丸皿固定ねじ8が皿部分によって垂直に呼び込まれ、またドライバ用溝が比較的大きいことから、ドライバが確実に装着されて外れ難くなり、傷を付けなくなる。
【0021】
上述の実施形態では、防水パッキンが丸皿固定ねじと一体になっているが、独立させて螺入の際に、丸皿固定ねじに取付けるようにしてもよい。この防水パッキンは、前記に例示した素材以外のものでもよく弾力性のあるその他の合成樹脂製やゴムなどのパッキンを用いることができる。」

4 取消理由通知に記載した取消理由(第29条第1項第3号第29条第2項)について
(1)刊行物1を主引例として
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 刊1発明の「扉3」、「錠ケース5」、「デッドボルト21」、「サムターン装置65」、「サムターン軸67」、「サムターン胴66」は、それぞれ本件発明1の「扉」、「錠ケース」、「デッドボルト」、「サムターン装置」、「サムターン軸」、「胴部材」に相当する。

b 刊1発明の「住宅の玄関扉」は建物の外部出入口の扉であるから、本件発明1の「建物の外部出入口に使用される」「扉」に相当する。

c 刊1発明の「サムターン装置65はラッチは操作することなくデッドボルトを操作しており」は、本件発明1の「ラツチは操作することなく前記デッドボルトを操作する」に相当する。

d 刊1発明の「扉3の室外面に設けられ、キーの回転操作によりデッドボルト21を進退させるシリンダー装置41と、扉3の室内面に設けられ、ツマミ79の回転操作によりデッドボルト21を進退させるサムターン装置65」は、本件発明1の「室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置」に相当する。

e 上記a?dから、本件発明1と刊1発明は、以下の点で一致し、相違点1?4で相違する。

(一致点)
「建物の外部出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させる、サムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備える、
サムターン装置。」

(相違点1)
建物について、本件発明1が「水害や津波によって水没しうる」建物であるのに対し、刊1発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点2)
扉について、本件発明1が「中空の外開き」扉であるのに対し、刊1発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点3)
サムターン軸について、本件発明1が「デッドボルトの後退規制を解除する」のに対し、刊1発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点4)
本件発明1が「サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている」のに対し、刊1発明はそのような特定がなされていない点。

(イ)判断
まず、相違点4について検討する。
刊行物2?4、9?19には、建材の部材間にシール材を設けることが記載されており、特に刊行物3においては、摘み部6に連動するコア部7の大径部27の周囲に隙間閉塞部材33を設けることが記載され(上記3(3)参照)、また、刊行物4においては、鍵筒25は、支持筒23の内壁の環溝27に嵌合されたシール環28により、該支持筒23と密着されることが記載されている(上記3(4)参照)。
しかしながら、刊行物3、4の部品構成は、刊1発明のサムターン軸67、サムターン胴66の構成と同じ位置関係や状態ではないことから、刊行物3に記載された隙間閉塞部材33や刊行物4に記載されたシール環28を選択的に採用し、刊1発明のどの部分にどのように適用するかは当業者にとって多くの選択肢が存在するものである。加えて、刊行物3、4において刊1発明のサムターン軸67とサムターン胴66の間にシール材を設けることが示唆されているわけでもないことから、刊行物3、4の記載を参酌しても刊1発明のサムターン軸67とサムターン胴66の間にシール材を設けるようにすることが当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。また、建材の部材間にシール材を設けることが刊行物2?4、9?19から周知技術であるとしても、刊1発明のサムターン軸67とサムターン胴66の間にシール材を設けることが示唆されているとはいえず、刊1発明のサムターン軸67とサムターン胴66の間にシール材を設けるようにすることが当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。
さらに、刊行物5?8にも相違点4に係る本件発明1の構成は記載されていない。
したがって、刊1発明において、相違点4に係る本件発明1の構成にすることは、当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。

(ウ)小活
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、刊1発明、刊行物2?刊行物19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

イ 本件発明2?6について
本件発明2?6は、本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1と同様の理由(上記ア参照)により、刊1発明、刊行物2?刊行物19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(2)刊行物2を主引例として
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 刊2発明の「扉D」、「錠箱1」、「シリンダ5」、「デツドボルト」は、それぞれ本件発明1の「扉」、「錠ケース」、「シリンダー」、「デッドボルト」に相当する。

b 刊2発明の「扉D」は建物における出入り口に使用されるものであることは明らかであるから、本件発明1の「建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉」と、「建物の」「出入口に使用される」「扉」の点で共通する。

c 刊2発明は「ノブ2,3やシリンダ5などの回動に関連して、ラツチ11およびデツドボルトを出し入れ操作する機構が設けられており」「連結筒14には、シリンダ5およびクラツチ6が嵌合しており、このクラツチ6の内端部にシリンダ5と同軸に取付けられたキーバー4は、錠箱1のデツドボルト操作部材を貫通して、内側ノブ3のサムターン7に接続されて」いることから、本件発明1の「室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置」と、「室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられて」「前記デッドボルトを操作するサムターン装置」の点で共通する。

d 上記cから見て、刊2発明の「キーバー4」は「デツドボルトを出し入れ操作する」部材であるから、本件発明1の「回転動作により前記デッドボルトを進退させる」「サムターン軸」に相当する。

e 上記a?dから、本件発明1と刊2発明は、以下の点で一致し、相違点A?Eで相違する。

(一致点)
「建物の出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられて前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるサムターン軸を有する、
サムターン装置。」

(相違点A)
建物について、本件発明1が「水害や津波によって水没しうる」建物であるのに対し、刊2発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点B)
扉について、本件発明1が「外部」出入口に使用される「中空の外開き」扉であるのに対し、刊2発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点C)
サムターン装置について、本件発明1が「ラッチは操作することなく」デッドボルトを操作するサムターン装置であるのに対し、刊2発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点D)
サムターン軸について、本件発明1が「デッドボルトの後退規制を解除する」のに対し、刊2発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点E)
本件発明1が「このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている」のに対し、刊2発明は「錠箱1とノブ座12との間におけるキーバー4の外側には保護カバー16が配置されて」いる点。

(イ)判断
まず、相違点Eについて検討する。
刊2発明においては、「キーバー4の外側には保護カバー16が配置されて」いるものの、刊2発明において、本件発明1の「サムターン軸を回転可能に保持する胴部材」に相当する部材がどの部材であるのか特定できず、仮に刊2発明の「連結筒14」や「ラツチバー15」のいずれかの部材が、本件発明1の「胴部材」に相当するとしても、「連結筒14」や「ラツチバー15」と「キーバー4」との間にシール材を設けることは、刊行物2には記載されておらず、また、そのようなことを示唆する記載もない。
したがって、相違点Eは実質的な相違点であるから、本件発明1と刊2発明は同一ではない。
また、刊行物3、4、9?19には、建材の部材間にシール材を設けることが記載されているが、当該記載事項を参酌しても、刊2発明において、「胴部材」に相当する部材が特定できないこと、あるいは「連結筒14」や「ラツチバー15」と「キーバー4」との間にシール材をあえて設ける動機付けはないことから、相違点Eに係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。さらに、刊行物1、5?8にも相違点Eに係る本件発明1の構成は記載されていない。
そして、申立人Aは、「本件発明1のサムターン軸51に相当するキーバー4と、本件発明1の胴部材53に相当するノブ座12との間に、本件発明1の第一シール材69に相当する筒状の保護カバー16が、前記キーバー4に外嵌合した状態で組み込まれていることが容易に読み取ることができる。」(申立人Aの申立書9頁下から7行?2行)旨主張している。しかしながら、刊行物2の第2図から見ても、「ノブ座12」と「キーバー4」との間には「連結筒14」や「ラツチバー15」が存在していることが看て取れることから、「ノブ座12」は「キーバー4」を「回転可能に保持する」部材であるとはいえず、「ノブ座12」が、本件発明1の「胴部材」に相当しているとはいえない。

(ウ)小活
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、刊2発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
また、本件発明1は、刊2発明、及び刊行物1、刊行物3?刊行物19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

イ 本件発明2?6について
本件発明2?6は、本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものである。
したがって、本件発明1と同様の理由(上記ア参照)により、本件発明2、3は、刊2発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当しない。
また、同様に、本件発明2?6は、刊2発明、及び刊行物1、刊行物3?刊行物19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(3)刊行物12を主引例として
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 刊12発明の「ドア1」、「デッドボルト」、「錠箱3」は、それぞれ本件発明1の「扉」、「デッドボルト」、「錠ケース」に相当する。

b 刊12発明の「建物躯体に連結された玄関などのドア」は建物の外部出入口の扉であるから、本件発明1の「建物の外部出入口に使用される」「扉」に相当する。

c 刊12発明の「シリンダー4Aは、一方の貫通孔1b及び取付穴3aを介してデッドボルトに連動連結されるとともに、ドア1における屋外側の面1oに突出するように配設され、また、サムターン4Bは、この一方の取付穴3aの屋内側より取り付けられ、ドア1における屋内側の面1iに突出するように配設されており、すなわちこの一方の取付穴3aの表裏面側にシリンダー4Aとサムターン4Bが略一体となるように接続され、デッドボルトの進退操作を、屋外側からはキーを用いてシリンダー4Aの回動にて行い、また屋内側からはサムターン4Bの回動操作によって行うようになって」いることは、本件発明1の「室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置」に相当する。

d 刊12発明の「サムターン4Bは、この一方の取付穴3aの屋内側より取り付けられ、ドア1における屋内側の面1iに突出するように配設されており」、「デッドボルトの進退操作を」「サムターン4Bの回動操作によって行うようになって」いることから、サムターン4Bは軸部を有していることは明らかであり、当該軸部は、本件発明1の「回転動作により前記デッドボルトを進退させる」「サムターン軸」に相当する。

e 上記a?dから、本件発明1と刊12発明は、以下の点で一致し、相違点ア?エで相違する。

(一致点)
「建物の外部出入口に使用される扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるサムターン軸を有する、
サムターン装置。」

(相違点ア)
建物について、本件発明1が「水害や津波によって水没しうる」建物であるのに対し、刊12発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点イ)
扉について、本件発明1が「中空の外開き」扉であるのに対し、刊12発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点ウ)
サムターン軸について、本件発明1が「デッドボルトの後退規制を解除する」のに対し、刊12発明はそのような特定がなされていない点。

(相違点エ)
本件発明1が「このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている」のに対し、刊12発明は「スペーサ5は、天然ゴムや、耐寒性の良好なブタジエンゴム,クロロプレンゴム,シリコンゴムなどの合成ゴムを素材とする略短冊錠の矩形板状部材で、ドア1の表裏面1o,1iにおける前記錠箱3に対応した位置の、ドア1の板面に穿設されている各貫通孔1b,1cに対応する穴5aが穿設され、このドア1の貫通孔5aの周囲に位置するように、ドア1の表裏両板面1o,1iに配設され」ている点。

(イ)判断
まず、相違点エについて検討する。
刊12発明においては、「スペーサ5」が「ドア1の表裏両板面1o,1iに配設され」ているものの、刊12発明において、本件発明1の「サムターン軸を回転可能に保持する胴部材」に相当する部材がどの部材であるのか特定できず、仮に申立人Bが申立書で主張するように(申立書19頁下から6行?末行)、刊12発明の「台座6」が、本件発明1の「胴部材」に相当するとしても、「台座6」と「サムターン4B」との間にシール材を設けることは、刊行物12には記載されておらず、また、そのようなことを示唆する記載もない。
また、刊行物2?4、9?11、13?19には、建材の部材間にシール材を設けることが記載されているが、当該記載事項を参酌しても、刊12発明において、「台座6」と「サムターン4B」との間にあえてシール材を設ける動機付けはなく、相違点エに係る本件発明1の構成とすることは当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。さらに、刊行物1、5?8にも相違点エに係る本件発明1の構成は記載されていない。
そして、申立人Bは、「b本件特許発明1と甲1-1発明との相違点について(i)
本件特許発明1の構成D(決定注;「前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着された〇リングからなる第一シール材が設けられている」構成に相当。以下同様。)と同じ構成を有する発明が甲第2号証(決定注;刊行物13に相当。以下同様。)に記載されている。・・・よって、甲1-1発明に、甲第2号証に記載の発明を適用して当業者が本件特許発明1に導かれる動機付けがあるといえる。・・・以上より、当業者は、甲1-1発明に、甲第2号証に記載の発明を適用して本件特許発明1に容易に想到することができる。
c本件特許発明1と甲1-1発明との相違点について(ii)
・・・当業者は、甲1-1発明に、甲第3号証(決定注;刊行物4に相当。以下同様。)に記載の発明を適用しても、本件特許発明1に容易に想到することができる。この理由を説明するに、本件特許発明1の構成Dと同じ構成を有する発明が甲第3号証に記載されている。・・・よって、甲1-1発明に、甲第3号証に記載の発明を適用して当業者が本件特許発明1に導かれる動機付けがあるといえる。・・・以上より、当業者は、甲1-1発明に、甲第3号証に記載の発明を適用して本件特許発明1に容易に想到することができる。
d本件特許発明1と甲1-1発明との相違点について(iii)
・・・当業者は、甲1-1発明に、甲第4号証(決定注;刊行物14に相当。以下同様。)に記載の発明を適用しても、本件特許発明1に容易に想到することができる。この理由を説明するに、本件特許発明1の構成Dと同じ構成を有する発明が甲第4号証に記載されている。・・・よって、甲1-1発明に、甲第4号証に記載の発明を適用して当業者が本件特許発明1に導かれる動機付けがあるといえる。・・・以上より、当業者は、甲1-1発明に、甲第4号証に記載の発明を適用して本件特許発明1に容易に想到することができる。」(申立人Bの申立書21頁1行?24頁下から5行)旨主張している。しかしながら、刊行物4、13、14に記載された事項は、サムターンに相当する部材がない等、刊12発明とは前提となる構造が異なっており、刊行物4、13、14に記載された事項から何をどのように選択し、刊12発明のどの部分に適用するかは、多くの選択肢が存在しうるものであるし、上記したように、「台座6」と「サムターン4B」との間にあえてシール材を設ける動機付けはないから、刊12発明において相違点エに係る本件発明1の構成とすることが当業者が容易に想到しうる程度のこととはいえない。

(ウ)小活
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、刊12発明、刊行物1?11、刊行物13?19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

イ 本件発明2?6について
本件発明2?6は、本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1と同様の理由(上記ア参照)により、刊12発明、刊行物1?11、刊行物13?19に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
サムターン装置およびこれを備えた扉錠
【技術分野】
【0001】
本発明は、サムターン装置およびこれを備えた扉錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扉には、通常、扉錠が設けられている。たとえば本締り可能な扉錠の場合、扉に内蔵される錠ケースにデッドボルトが進退可能に設けられており、室内側からはサムターン装置のツマミの操作によりデッドボルトを出没させて施解錠可能とされ、室外側からはシリンダー装置の鍵の操作により施解錠可能とされる。
【0003】
扉錠を扉に設ける際、ツマミの操作により回転するサムターン軸を扉の室内側から錠ケースへ差し込む必要があり、このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材が扉の室内側面に固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実験室等の出入口扉は、実験室内で発生した揮発性ガスや有毒ガスが外部へ漏れ出ないよう、気密性が要求される。
しかしながら、扉に取り付けられる従来の扉錠は、気密性を有しておらず、サムターン装置やハンドル装置の部分から揮発性ガスが外部に漏れ出るおそれがあった。
【0005】
また、実験室の出入口扉と、実験室に隣接して設けられた前室の扉とには電気錠を設けて、一方の扉を開けた際、他方の扉は自動的に施錠されるように構成されたインターロックシステムを採用することがあるが、この電気錠も気密性を有しておらず、漏れ出た揮発性ガスに、電気錠の火花が引火して爆発を起こすおそれがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、実験室等から揮発性ガスや有毒ガスが外部に漏れ出ないようにすると共に、インターロックシステムの構築に必要な電気錠にも使用可能な気密性を有したサムターン装置およびそれを備えた扉錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、水害や津波によって水没しうる建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着されたOリングからなる第一シール材が設けられていることを特徴とするサムターン装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記胴部材と前記外開き扉との間に第二シール材が設けられることを特
徴とする請求項1に記載のサムターン装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記胴部材と、それを取り付けるためのネジとの間に第三シール材が設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のサムターン装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記胴部材には、筒状のカラーが取り付けられており、このカラーと前記外開き扉との間に前記第二シール材が設けられることを特徴とする請求項2に記載のサムターン装置である。
【0011】
本発明の他の形態は、前記サムターン軸または前記サムターン軸が差し込まれる前記胴部材の軸穴には、軸方向に離隔して前記第一シール材が2箇所に設けられ、前記2箇所の第一シール材間に、液材が充填されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のサムターン装置である。
【0012】
本発明の他の形態は、前記デッドボルトが進退可能に設けられた錠ケースに、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のサムターン装置が設けられてなることを特徴とする扉錠である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記デッドボルトが電動で進退するか、後退を規制される電気錠とされ、その電動部は、前記錠ケースに内蔵されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のサムターン装置を備える扉錠である。
【0014】
本発明の他の形態は、前記錠ケースは、前記サムターン装置が取り付けられる扉面と反対側の扉面に設けられることを特徴とする請求項5に記載の扉錠である。
【0015】
本発明の他の形態は、前記錠ケースは、扉に離隔して取り付けられることを特徴とする扉錠である。
【0016】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記錠ケースに進退可能に設けられ、戸先側へ突出するよう付勢されるラッチと、このラッチを後退させる室内側操作部と、この室内側操作部を回転可能に保持する座とをさらに備え、前記室内側操作部と、前記座との間に第四シール材が設けられることを特徴とする請求項5に記載の扉錠である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、気密性を有したサムターン装置およびそれを備えた扉錠を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の扉錠の実施例1を示す図であり、使用状態を室内側から見た正面図である。
【図2】図1の扉錠を戸先側から見た図である。
【図3】図1の扉錠を上方から見た概略断面図である。
【図4】図1の扉錠の分解斜視図である。
【図5】図1の扉錠の縦断面図であり、(a)は解錠状態、(b)は施錠状態を示している。
【図6】図1の扉錠のサムターン装置を示す横断面図である。
【図7】本発明の扉錠の実施例2におけるサムターン装置を示す横断面図である。
【図8】本発明の扉錠の実施例3におけるサムターン装置を示す横断面図である。
【図9】本発明の扉錠の実施例4におけるサムターン装置を示す横断面図である。
【図10】図9のサムターン装置の縦断面図である。
【図11】本発明の扉錠の実施例5におけるサムターン装置を示す横断面図である。
【図12】本発明の扉錠の実施例6を示す分解斜視図である。
【図13】図12の扉錠が扉に設けられた状態を示す図であり、サムターン装置を戸先側から見た図である。
【図14】図13の縦断面図である。
【図15】本発明の扉錠の実施例7におけるサムターン装置を示す縦断面図である。
【図16】本発明の扉錠の実施例8におけるサムターン装置を示す縦断面図である。
【図17】本発明の扉錠の実施例9の使用状態を室内側から見た正面図である。
【図18】図17の扉錠を戸先側から見た図である。
【図19】図17の扉錠の断面図である。
【図20】図17の扉錠を戸先側から見た要部断面図である。
【図21】図17の扉錠の分解斜視図である。
【図22】本発明の扉錠の実施例10の使用状態を室内側から見た正面図である。
【図23】図22の扉錠を上方から見た概略断面図である。
【図24】図22の扉錠の縦断面図であり、施錠された状態を示す図である。
【図25】本発明の扉錠の実施例11の使用状態を上方から見た概略横断面図である。
【図26】本発明の扉錠の実施例12の使用状態を上方から見た概略断面図である。
【図27】本発明の扉錠の実施例13の使用状態を室内側から見た正面図である。
【図28】図27の扉錠の断面図であり、解錠した状態を示している。
【図29】図27の扉錠の断面図であり、施錠した状態を示している。
【図30】本発明の扉錠の実施例12の変形例を示す図であり、使用状態を上方から見た概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の扉錠の実施例について図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の扉錠の実施例1を示す図であり、使用状態を室内側から見た正面図である。図2は、図1の扉錠を戸先側から見た図である。図3は、図1の扉錠を上方から見た概略断面図である。図4は、図1の扉錠の分解斜視図である。図5は、図1の扉錠の縦断面図であり、(a)は解錠状態、(b)は施錠状態を示している。図6は、図1の扉錠のサムターン装置を示す横断面図である。
【0021】
本実施例1の扉錠1は、玄関扉等の各種扉に適用可能であるが、気密性を必要とする部屋の扉に好適に用いられ、たとえば実験室やクリーンルームの扉に好適に用いられる。以下においては、実験室の扉に取り付けられる場合について説明する。
【0022】
本実施例の扉錠1が使用される扉3は、開き戸形式とされ、たとえば室外側へ開く外開き扉とされる。扉3は、矩形枠状の扉枠5の一側端部に、ヒンジ7を介して回動可能に取り付けられる。
【0023】
図3に示すように、矩形枠状の扉枠5は、その内周面のうち、室内側端部が内側へ突出して戸当り部9が形成されている。扉3は、矩形枠状の扉枠5のうち、室外側に収容されて閉鎖可能とされる。その際、戸当り部9により、扉3が必要以上に室内側へ入り込むのが防止される。また、本実施例では、扉枠5の戸当り部9の室外側面に、合成ゴムなどの弾性材からなるパッキン11が周方向に沿って設けられており、閉鎖した扉3は、パッキン11に当接する。
【0024】
本実施例1の扉錠1は、本締りが可能な錠とされ、デッドボルト15が進退可能に設けられた錠ケース17と、鍵Kの操作によりデッドボルト15を進退させるシリンダー装置19と、ツマミの操作によりデッドボルト15を進退させるサムターン装置21とを主要部に備える。本実施例1では、扉3の室外側にシリンダー装置19が取り付けられ、扉3の室内側(実験室側)にサムターン装置21が取り付けられる。
【0025】
錠ケース17は、矩形箱状とされ、扉3の戸先側端部の上下方向略中央部に取り付けられる。具体的には、錠ケース17は、扉3に埋め込まれると共に、錠ケース17の戸先側端面23に矩形板状のフロント裏板25が重ね合わされて、ネジ27によりフロント裏板25が錠ケース17の戸先側端面23に固定される。また、このフロント裏板25にフロント板29が重ね合わされて、フロント板29を介して扉3の戸先側端部に取付ネジ31がねじ込まれて、錠ケース17、フロント裏板25およびフロント板29が扉3に固定される。錠ケース17の戸先側端面23、フロント裏板25およびフロント板29には、デッドボルト15が通される貫通穴23a,25a,29aがそれぞれ形成されている。
【0026】
錠ケース17に、扉3を施解錠するデッドボルト15が設けられている。デッドボルト15は、左右方向に長い長方形状とされ、錠ケース17の戸先側端面23に固定されたフロント裏板25およびフロント板29から出没可能とされている。デッドボルト15の基端部の上部には、上方へ開口する矩形状の凹部33が形成されている。
【0027】
また、錠ケース17には、デッドボルト15を出没させる出没操作機構が内蔵されている。本実施例では、出没操作機構として、錠ケース17に回転可能に保持されるハブ35と、クリックバネ(不図示)とを有しており、ハブ35の回転に伴いデッドボルト15が進退する構成とされている。
【0028】
ハブ35は、略円柱形状とされ、その軸方向両端部35aは縮径して形成されている。ハブ35の中央部には、軸方向に貫通して係合穴37が形成されている。係合穴37は、円形状とされる一方、直径方向に離隔した位置に径方向内側へ突出して三角形状部37aが形成されている。
【0029】
また、ハブ35の外周面の一部には、径方向外側へ突出して矩形状の係止部39が一体形成されている。ハブ35は、その軸方向両端部35aが錠ケース17の前後壁面の穴17aにそれぞれはめ込まれて、錠ケース17に回転可能に保持される。また、係止部39は、デッドボルト15の凹部33に差し込まれている。ハブ35は、デッドボルト15の突出状態と後退状態とにおいて、クリックバネにより、その安定方向に付勢されている。
【0030】
シリンダー装置19は、略円柱形状の胴部材41と、この胴部材41の中央部に軸方向に沿って形成された穴にはめ込まれて設けられるシリンダー本体43とを備える。
【0031】
胴部材41には、径方向に離隔して、2本の丸棒状の取付柱45,45が室内側へ突出して設けられている。この取付柱45の先端部中央には、先端側(室内側)へ開口するネジ穴45aが軸方向に沿って形成されている。
【0032】
シリンダー本体43の先端部には、矩形板状の作動片47が、先端側へ突出して設けられている。この作動片47は、シリンダー本体43の鍵穴に差し込まれる鍵Kの回転操作に伴って回転する。
シリンダー装置19は、取付柱45を扉3の穴および錠ケース17の穴17bに差し込んだ状態で、胴部材41が扉3の室外側面に当接して設けられる。また、シリンダー本体43の作動片47は、ハブ35の係合穴37に差し込まれる。これにより、シリンダー本体43の鍵穴に鍵Kを差し込み、鍵Kを回転操作することで、作動片47がハブ35を回転させてデッドボルト15を進退させることができる。
【0033】
サムターン装置21は、回転操作によりデッドボルト15を進退させるサムターン軸51と、このサムターン軸51を回転自在に軸受する胴部材53と、サムターン軸51の基端部に設けられるツマミ55とを備える。
【0034】
サムターン軸51は、丸棒状とされ、その基端部は径方向外側へ拡径して鍔部57が形成され、この鍔部57の基端側に矩形板状のツマミ55が一体に形成されている。
【0035】
サムターン軸51の先端部59は、断面十字状に形成されており、この十字状の先端部59の基端側に、周方向に沿って環状の溝61が形成されている。
【0036】
また、サムターン軸51には、軸方向中途部に断面矩形状の取付溝63が、周方向に沿って環状に形成されている。
【0037】
胴部材53は、円柱形状とされ、その中央部には、円形の軸穴65が軸方向に貫通して形成されている。また、胴部材53には、径方向に離隔して2か所に、取付穴67が軸方向に貫通して形成されている。
【0038】
サムターン軸51は、取付溝63にシール材69が装着された状態で、胴部材53の軸穴65に差し込まれる。本実施例では、シール材69としてOリングが用いられる。胴部材53の軸穴65に差し込まれたサムターン軸51は、その先端部59が胴部材53から突出して設けられ、先端部の環状溝61にEリング71が取り付けられる。
これにより胴部材53が鍔部57とEリング71とに挟み込まれ、胴部材53に取り付けられたサムターン軸51は、胴部材53に対する軸方向の移動が規制される一方、胴部材53に回転可能に保持される。
【0039】
サムターン軸51の外周部に設けられたシール材69は、サムターン軸51と胴部材53との間、具体的には、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との間の隙間を封止する。つまり、シール材69の外周部は胴部材53の軸穴65の内周面に当接しており、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との隙間を密閉している。
【0040】
サムターン軸51が取り付けられた胴部材53は、扉3の室内側面に当接して設けられる。この際、サムターン軸51は、扉3に形成された穴に通されて、その十字状の先端部59が、錠ケース17の穴を介してハブ35の係合穴37にはめ込まれる。これにより、サムターン軸51とハブ35は一体回転可能とされ、サムターン軸51に設けられたツマミ55を回すと、サムターン軸51の先端部59がハブ35を回転させて、デッドボルト15を進退させることができる。
【0041】
サムターン軸51の先端部59がハブ35の係合穴37にはめ込まれた状態で、胴部材53の取付穴67から、シリンダー装置19に設けられた取付柱45に向けて、ネジ73がねじ込まれる。これにより、扉3の室内側にサムターン装置21が固定され、室外側にシリンダー装置19がサムターン装置21に対向して固定される。
【0042】
このように扉3に設けられた扉錠1は、室内側からはツマミ55を回転操作することで、サムターン軸51が一体回転し、さらにハブ35が回転する。これによりデッドボルト15が進退して施解錠が可能とされる。一方、室外側からは、シリンダー装置19のシリンダー本体43に鍵Kを差し込んで鍵Kを回転操作することで、作動片47が回転し、さらにハブ35が回転する。これによりデッドボルト15が進退して施解錠が可能とされる。
【0043】
本実施例1の扉錠1のサムターン装置21は、サムターン軸51と胴部材53との間にシール材69が配置され、シール材69は、サムターン軸51の外周部に当接すると共に、胴部材53の軸穴65の内周面にも当接しており、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との隙間をシール材69が密閉しており、気密性を有している。
これにより、たとえば、実験室内で発生した揮発性ガスや有毒ガスが、サムターン軸51と胴部材53との隙間を通って外部へ流出することがなく、室外で使用される電気機器等の火花によって爆発するおそれもなく、人体に被害を与えるおそれもない。また、本実施例1の扉錠1は、気密性を有していると共に水密性を有している。したがって、実験室内において水漏れが発生した場合でも、水がサムターン軸51と胴部材53との隙間を通って外部へ流出することがない。
【実施例2】
【0044】
次に、本発明の扉錠の実施例2について説明する。
本実施例2の扉錠1は、基本的には上記実施例1の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0045】
図7は、本発明の扉錠の実施例2におけるサムターン装置を示す横断面図である。
【0046】
本実施例では、サムターン装置21の胴部材53は、シール材79を介して扉に固定される。具体的には、サムターン装置21の胴部材53は、その先端面の外周部に、先端側へ開口する断面矩形状の取付溝77が環状に形成されている。つまり、胴部材53には、扉3の室内側面に当接する面の外周部に、環状の取付溝77が形成されており、この取付溝77の内側に取付穴67が配置されている。この胴部材53の取付溝77に、シール材79がはめ込まれて設けられる。本実施例では、シール材79としてOリングが用いられる。
【0047】
胴部材53は、取付溝77にシール材79が配置された状態で、扉3の室内側面に当接して設けられる。そして、実施例1と同様にシリンダー装置19の取付柱45にネジ73がねじ込まれてサムターン装置21が扉3に固定される。このように、本実施例2では、胴部材53は、シール材79を介して扉3の室内側面に重ね合わされて固定される。
【0048】
また、本実施例2では、サムターン軸51と胴部材53との間にシール材69が配置されると共に、サムターン装置21が扉3に取り付けられた状態では、胴部材53と扉3の室内側面との間にシール材79が配置され、シール材79は、胴部材53に当接すると共に、扉3の室内側面にも当接しており、胴部材53の先端面と扉3の室内側面との隙間を密閉している。これにより、サムターン装置21および室内の気密性および水密性が一層高められる。
【実施例3】
【0049】
次に、本発明の扉錠の実施例3について説明する。
本実施例3の扉錠1は、基本的には上記実施例2の扉錠1と同様の構成である。そこで、以下においては、上記実施例2と異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0050】
図8は、本発明の扉錠の実施例3におけるサムターン装置を示す横断面図である。
【0051】
本実施例3では、胴部材53の取付穴67の基端部に、環状の取付溝83が形成されている。具体的には、取付穴67の基端部67aは、拡径して形成される一方、取付穴67の外周部に沿って基端側(室内側)へ円筒状に突出して円筒状部85が形成されている。
換言すれば、取付穴67の基端部には、取付穴67に連続する円筒状部85を残して、取付穴67の外周部に環状の取付溝83が形成されている。なお、図示例では、円筒状部85は、拡径穴とされた基端部67aの軸方向中途部まで延出している。
【0052】
本実施例3では、この取付溝83にシール材87がはめ込まれた状態で、実施例1と同様、ネジ73がシリンダー装置19の取付柱45にねじ込まれる。本実施例では、シール材87としてOリングが用いられる。
【0053】
本実施例3では、サムターン軸51と胴部材53との間、および胴部材53と扉3の室内側面との間にそれぞれシール材69,79が設けられると共に、胴部材53からシリンダー装置19の取付柱45にネジ73がねじ込まれた状態では、取付溝83にシール材87が配置されており、そのシール材87は、ネジ73の頭部に当接すると共に、環状溝83の底部にも当接しており、ネジ73の頭部と胴部材53の取付穴67との隙間を密閉している。これにより、サムターン装置21および室内の気密性および水密性が一層高められる。
【実施例4】
【0054】
次に、本発明の扉錠の実施例4について説明する。
本実施例4の扉錠は、基本的には前記実施例3の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、前記実施例3と異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0055】
図9および図10は、本発明の扉錠の実施例4におけるサムターン装置を示す図であり、図9は横断面図、図10は縦断面図である。
【0056】
本実施例4では、サムターン軸51に、周方向に沿って環状に形成された断面矩形状の取付溝63が、軸方向に離隔して2つ形成されている。また、取付溝63,63間には、断面矩形状の凹溝91が、周方向に沿って環状に形成されている。
【0057】
胴部材53には、外周面から軸穴65に向けて穴93が形成されている。図示例では、胴部材53の上端部から軸穴65に向けて、胴部材53の外周面に開口する穴93が形成されている。この穴93の一端部には、丸棒状のキャップ部材95がはめ込まれて固定されており、胴部材53の外周面における穴93の開口部は閉塞されている。
【0058】
また、胴部材53には、その先端面から穴93に向けて、注入穴97が形成されている。この注入穴97はネジ穴とされており、注入穴97の一端部97aは拡径して形成されている。
【0059】
本実施例4では、サムターン軸51の2つの取付溝63に、それぞれシール材69がはめ込まれた状態で、胴部材53の軸穴65にサムターン軸51が差し込まれて、サムターン軸51の先端部の環状溝61にEリング71が取り付けられる。
【0060】
胴部材53にサムターン軸51が取り付けられた状態で、注入穴97から液材99が注入される。本実施例では、液材99としてオイルが用いられる。注入穴97から注入された液材99は、サムターン軸51の凹溝91に貯留される。このようにしてサムターン軸51の外周部に沿って環状に液材99が充填されて、サムターン軸51の外周部を液材99が覆う。液材99を注入した後、注入穴97にネジ101がねじ込まれて注入穴97は閉じられる。凹溝91に貯留される液材99は、シール材69,69により外部へ漏れることがない。
【0061】
このように、胴部材53にサムターン軸51が取り付けられ、さらに、液材99が注入された状態で、上記実施例1と同様にして、扉3の室内側に胴部材53が固定される。
【0062】
本実施例では、胴部材53と扉3の室内側面との間、および胴部材53の取付穴67とネジ73との間にそれぞれシール材79,87が設けられている。さらに、サムターン軸51と胴部材53の軸穴65との間にシール材69,69が配置されると共に、サムターン軸51と胴部材53との間に液材99が充填されることで、ガスの通過をより一層防止することができ、気密性がより一層高い扉錠1とされる。
【実施例5】
【0063】
次に、本発明の扉錠の実施例5について説明する。
本実施例5の扉錠は、基本的には上記実施例3の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、上記実施例3と異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0064】
図11は、本発明の扉錠の実施例5におけるサムターン装置を示す横断面図である。
【0065】
本実施例では、胴部材53の軸穴65の軸方向中途部に、径方向外側へ凹んで、周方向に沿って断面矩形状の取付溝105が環状に形成されている。
そして、この取付溝105にシール材107が配置されて、サムターン軸51が胴部材53の軸穴65に差し込まれる構成とされる。シール材107には、Oリングが用いられる。
本実施例5では、実施例3と同様、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との隙間、胴部材53の先端面と扉3の室内側面との隙間、ネジ73の頭部と胴部材53の取付穴67との隙間が、それぞれシール材107,79,87により密閉されており、サムターン装置21および室内の気密性および水密性が高められる。
【実施例6】
【0066】
次に、本発明の扉錠の実施例6について説明する。
本実施例6の扉錠は、基本的には上記実施例1の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0067】
図12は、本発明の扉錠の実施例6を示す分解斜視図である。
また、図13は、図12の扉錠の使用状態を示す図であり、サムターン装置を戸先側から見た図であり、図14は、図13の縦断面図である。
【0068】
本実施例では、シリンダー装置19およびサムターン装置21の取付け方が、実施例1と異なっている。具体的には、本実施例では、サムターン装置21の胴部材53は、略段付き円柱形状とされ、その先端部には、先端側へ突出して取付部111が形成されている。この取付部111には、左右方向(扉の幅方向)に沿って貫通穴113が形成されている。
【0069】
胴部材53には、軸方向に沿って軸穴65が貫通して形成されており、この軸穴65にサムターン軸51が差し込まれる。本実施例6では、実施例1と同様、サムターン軸51の軸方向中途部に取付溝63が形成されており、この取付溝63にシール材69がはめ込まれた状態で、サムターン軸51は胴部材53の軸穴65に通される。また、実施例1と同様、サムターン軸51の先端部59には、環状溝61が形成されており、サムターン軸51が胴部材53の軸穴65に差し込まれた状態で、環状溝61にEリング71が取り付けられる。これにより、胴部材53が鍔部57とEリング71とに挟み込まれ、胴部材53に取り付けられたサムターン軸51は、胴部材53に対する軸方向の移動が規制される一方、胴部材53に回転可能に保持される。
【0070】
サムターン軸51が取り付けられた胴部材53は、扉3の室内側面に重ね合わされて設けられるシール材115およびこのシール材115に重ね合わされて設けられるカラー117を介して、扉3に形成された穴にはめ込まれる。
【0071】
シール材115は、弾性材により形成された板状とされ、本実施例では、合成ゴム製の円板形状とされる。本実施例では、シール材115は、貫通穴115aが形成されたシート状とされ、この貫通穴115aは胴部材53の先端側小径部119の外径に対応している。シール材115は、その貫通穴115aが扉3の貫通穴と連通するように、扉3の室内側面に重ね合わされて配置される。なお、シール材115は、扉3に固定してもよい。
【0072】
カラー117は、筒状とされ、本実施例では、内外二重の円筒状体とされている。
具体的には、基端側(室内側)へ開口する有底の円筒状の内筒121の基端部から径方向外側へ延出した後、先端側(室外側)へ円筒状に延出して外筒123が形成された二重筒に形成されている。外筒123は、内筒121より先端側へ延出している。
【0073】
内筒121の内径は、胴部材53の基端側大径部125の外径に対応している。
また、内筒121の底部127には、貫通穴127aが形成されており、この貫通穴127aは胴部材53の先端側小径部119の外径に対応している。
【0074】
カラー117は、扉3に設けられたシール材115に重ね合わされて配置される。
そして、このカラー117の内筒121内にコイルバネ129が配置された状態で、胴部材53がカラー117の内筒121内に差し込まれる。
【0075】
カラー117の内筒121に通された胴部材53は、内筒121の底部127の穴127aおよびシール材115の穴115aを介して扉3の穴3aに通される。そして、サムターン軸51の先端部59が錠ケース17に設けられたハブ35の係合穴37にはめ込まれると共に、胴部材53の取付部111が錠ケース17の穴17cにはめ込まれる。
【0076】
胴部材53の取付部111が、錠ケース17内に突入して設けられた状態で、錠ケース17内に左右方向に沿って棒状の係止ピン131が挿入され、この係止ピン131が取付部111の貫通穴113にはめ込まれて、サムターン装置21が錠ケース17に固定される。なお、本実施例では、ハブ35は、錠ケース17内に設けられる保持部材(不図示)に回転可能に保持されている。
【0077】
このようにサムターン装置21が錠ケース17に固定された状態において、カラー117に収容されたコイルバネ129は、その一端部が、内筒121の底部127に当接し、他端部が、胴部材53の基端側大径部125に当接して設けられる。
これにより、胴部材53が錠ケース17に固定された状態では、カラー117は、コイルバネ129により先端側(室外側)へ付勢され、シール材115を押圧する。
このように、本実施例では、胴部材53は、カラー117を介して扉3の室内側面に当接して設けられ、カラー117と扉3の室内側面との間にシール材115が設けられている。
【0078】
シリンダー装置19の胴部材41は、サムターン装置21の胴部材53と同様、略段付き円柱形状とされ、その先端部には、先端側へ突出して取付部133が形成されている。
この取付部133には、左右方向(扉の幅方向)に沿って貫通穴135が形成されている。胴部材41には、軸方向に沿って穴が貫通して形成されており、この穴にシリンダー本体43が差し込まれる。
【0079】
シリンダー装置19は、サムターン装置21と同様、胴部材41の外周部にカラー137が設けられた状態で、扉3の穴に胴部材41がはめ込まれ、錠ケース17内のハブ35の係合穴37に作動片47が差し込まれると共に、錠ケース17の穴に胴部材41の取付部133がはめ込まれる。そして、錠ケース17内に左右方向に沿って挿入される棒状の係止ピン139が、取付部133の貫通穴135にはめ込まれて、シリンダー装置19が錠ケース17に固定される。
【0080】
本実施例6では、サムターン軸51と胴部材53との間、および胴部材53と扉3との間にシール材69,115が配置される。具体的には、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との間、および胴部材53の外周部と扉3の穴との間にシール材69,115が配置され、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との隙間、および胴部材53の外周部と扉3の穴との隙間がシール材69,115により埋められて封止されていることで、サムターン装置21および室内は気密性を有する構成とされている。
【実施例7】
【0081】
次に、本発明の扉錠の実施例7について説明する。
本実施例7の扉錠は、基本的には上記実施例6の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0082】
図15は、本発明の扉錠の実施例7におけるサムターン装置を示す縦断面図である。
【0083】
本実施例7では、サムターン装置21の胴部材53に取り付けられるカラー141は、基端側(室内側)へ行くに従って縮径する円錐台形状とされ、その中央部には、軸方向に沿って段付きの貫通穴143が形成されている。この貫通穴143のうち、基端側大径穴145は胴部材53の基端側大径部125に対応した内径とされる。また、カラー141の貫通穴143のうち、先端側小径穴147は、ネジ穴とされている。
【0084】
カラー141の先端面の外周部には、先端側へ開口して、断面矩形状の取付溝149が環状に形成されている。この取付溝149には、シール材151がはめ込まれて設けられる。本実施例7では、シール材151としてOリングが用いられる。
【0085】
胴部材53は、その基端側大径部125の外周面に、径方向外側へ開口する断面矩形状の取付溝153が、周方向に沿って環状に形成されている。この胴部材53の取付溝153に、シール材155がはめ込まれて設けられる。本実施例では、シール材155としてOリングが用いられる。
【0086】
また、胴部材53の先端側小径部119には、その外周部にネジ溝が形成されており、胴部材53にカラー141がねじ込まれて取り付けられる。
カラー141は、胴部材53に設けられたシール材155が、カラー141の基端側大径穴145内に配置されるまで、胴部材53にねじ込まれて取り付けられる。
【0087】
カラー141が取り付けられた胴部材53は、実施例6と同様に、扉3の穴に差し込まれ、サムターン軸51の先端部59がハブ35の係合穴37にはめ込まれると共に、胴部材53の取付部111が錠ケース17の穴17cにはめ込まれる。
そして、錠ケース17に左右方向に沿って通される係止ピン131が取付部111の穴113に通されて、胴部材53が錠ケース17に固定されて、扉3に取り付けられた錠ケース17にサムターン装置21が設けられる。
【0088】
サムターン装置21が錠ケース17に取り付けられた状態では、カラー141の先端面は扉3の室内側面に当接しており、カラー141の取付溝149に設けられたシール材151が、扉3の室内側面に圧着して設けられている。このように、本実施例7では、胴部材53は、カラー141を介して扉3の室内側面に当接して設けられ、カラー141と扉3の室内側面との間にシール材151が設けられている。
【0089】
本実施例7では、サムターン軸51と胴部材53の間、胴部材53とカラー141との間、およびカラー141と扉3との間にシール材69,155,151が配置される。具体的には、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との間、胴部材53の外周部とカラー141の内周面との間、およびカラー141の先端面と扉3の室内側面との間にシール材69,155,151がそれぞれ配置され、各隙間がシール材69,155,151により密閉されていることで、気密性の高い扉錠1が構成される。
【実施例8】
【0090】
次に、本発明の扉錠の実施例8について説明する。
本実施例8の扉錠は、基本的には上記実施例7の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
【0091】
図16は、本発明の扉錠の実施例8におけるサムターン装置を示す縦断面図である。
【0092】
本実施例8では、サムターン装置21の胴部材53が、2つに分離された構成とされると共に、サムターン軸51が、2つに分離された構成とされる。
具体的には、胴部材53は、第一胴部材611と、この第一胴部材611に連結される第二胴部材613とを備える。
【0093】
第一胴部材611は、略円柱形状とされ、その先端部中央には、先端側へ開口して凹部615が形成されている。また、第一胴部材611には、基端部から凹部615に開口するように、軸穴617が貫通して形成されている。
また、第一胴部材611は、その先端面の外周部に、先端側へ開口する断面矩形状の取付溝619が環状に形成されている。
さらに、第一胴部材611には、基端部から凹部615に開口する取付穴621が形成されており、この取付穴621の基端部には、実施例3と同様に取付溝623が形成されている。
【0094】
第二胴部材613は、略円柱形状とされ、その先端部には先端側へ突出して取付部111が形成されており、この取付部111には扉3の幅方向に沿って貫通穴113が形成されている。
また、第二胴部材613は、その外径が、第一胴部材611の凹部615に対応しており、第一胴部材611の凹部615にはめ込まれて設けられる。
さらに、第二胴部材613には、軸方向に沿って段付きの軸穴631が形成されている。
【0095】
サムターン軸51は、実施例7におけるサムターン軸51が、軸方向中途部で分離された構成とされ、基端側に配置される第一サムターン軸635と、この第一サムターン軸635に連結される第二サムターン軸637とを備える。
【0096】
第一サムターン軸635は、丸棒状とされ、その基端部に鍔部57が形成され、この鍔部57の基端側に矩形板状のツマミ55が一体に形成されている。
第一サムターン軸635には、軸方向中途部に断面矩形状の取付溝63が、周方向に沿って環状に形成されている。
また、第一サムターン軸635の先端部には、その外周面に周方向に沿って環状の溝639が形成されている。さらに、第一サムターン軸635の先端部には、先端側へ矩形板状に突出して係合部641が形成されている。
【0097】
第二サムターン軸637は、丸棒状とされ、その先端側が縮径して形成されており、軸方向中途部に段部643が形成されている。また、第二サムターン軸637の先端部59は、断面十字状に形成されており、この十字状の先端部59の基端側に、周方向に沿って環状の溝61が形成されている。
【0098】
第二サムターン軸637の基端部中央には、径方向に沿って、基端側(室内側)へ開口する矩形状の溝645が形成されており、この溝645に、第一サムターン軸635の係合部641がはめ込み可能とされる。
【0099】
本実施例では、第二胴部材613の軸穴631に第二サムターン軸637がはめ込まれて、第二サムターン軸637の溝61にEリング71がはめ込まれる。
この際、第二サムターン軸637の段部643が、第二胴部材613の軸穴631の段部に当接することで、第二サムターン軸637の第二胴部材613に対する軸方向の移動が規制されると共に、第二サムターン軸637は第二胴部材613に対して回転可能に保持される。
【0100】
第一サムターン軸635は、その取付溝63にシール材69が取り付けられた状態で、第一胴部材611の軸穴617にはめ込まれて、その先端部の溝639にEリング647がはめ込まれる。これにより、第一胴部材611が、第一サムターン軸635の鍔部57とEリング647とに挟み込まれて、第一サムターン軸635は、第一胴部材611に対して軸方向の移動が規制されると共に、第一胴部材611に回転可能に保持される。
【0101】
第一胴部材611に装着された第一サムターン軸635は、その先端部の係合部641が、第二胴部材613に装着された第二サムターン軸637の溝645にはめ込まれ、第二胴部材613は、第一胴部材611の凹部615にはめ込まれる。第一サムターン軸635に連結された第二サムターン軸637は、第一サムターン軸635と一体回転する。
【0102】
第一胴部材611に第二胴部材613がはめ込まれた状態で、第一胴部材611の取付穴621から第二胴部材613にネジ649がねじ込まれて、第一胴部材611が第二胴部材613に固定される。この際、取付穴621の取付溝623には、シール材651が設けられる。本実施例では、シール材651にOリングが用いられる。
【0103】
このように、第一胴部材611、第二胴部材613、第一サムターン軸635および第二サムターン軸637が一体化された状態で、第一胴部材611の取付溝619にシール材655が取り付けられ、第二胴部材613の取付部111が扉3の穴を介して錠ケース17の穴にはめ込まれて設けられる。
そして、係止ピン131が第二胴部材613の貫通穴113にはめ込まれて、サムターン装置21が錠ケース17に固定される。
【0104】
本実施例8では、サムターン軸51と胴部材53の間、胴部材53と扉3との間、および胴部材53とネジ649との間にシール材69,655,651がそれぞれ配置される。具体的には、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴617との間、胴部材53の先端面と扉3の室内側面との間、および、胴部材53の取付穴621とネジ649との間の隙間を各シール材69,655,651が密閉しており、気密性の高い扉錠1が構成される。
【実施例9】
【0105】
次に、本発明の扉錠の実施例9について説明する。
本実施例9の扉錠は、基本的には上記実施例1の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の対応する箇所には同一符号を付すと共に、両者の異なる部分を中心に説明し、同様の構成部分については説明を省略する。
【0106】
図17は、本発明の扉錠の実施例9の使用状態を室内側から見た正面図であり、図18は、図17の扉錠を戸先側から見た図であり、図19は、図17の扉錠の断面図である。また、図20は、図17の扉錠を戸先側から見た断面図であり、一部を省略して示している。図21は、図17の扉錠の分解斜視図である。
【0107】
本実施例9の扉錠1は、実施例1と同様、デッドボルト15が進退可能に設けられた錠ケース17と、鍵Kの操作によりデッドボルト15を進退させるシリンダー装置19と、ツマミ55の操作によりデッドボルト15を進退させるサムターン装置21とを備え、さらに、錠ケース17に進退可能に設けられるラッチ161と、このラッチ161を進退させるラッチハブ163と、このラッチハブ163を回転操作するハンドル装置165とを備える。
【0108】
本実施例の錠ケース17は、実施例1の錠ケースと同様の構成とされる一方、錠ケース17の戸先側端面23、フロント裏板25およびフロント板29には、デッドボルト15が通される穴23a,25a,29aの下部に、さらにラッチ161が通される貫通穴23b,25b,29bがそれぞれ形成されている。
【0109】
ラッチ161は、ラッチ頭部167と、このラッチ頭部167に接続されるラッチ軸部169とを有している。
【0110】
ラッチ頭部167は、斜面部と直線部とが形成された平面視三角形状とされ、その基端部167aは矩形状に形成されている。
【0111】
ラッチ軸部169は、丸棒状とされ、案内部材173に通された状態で、その一端部がラッチ頭部167の基端部167aに形成された穴またはネジ穴に、圧入またはねじ込まれてラッチ頭部167に固定されている。ラッチ軸部169の他端部には、鍔部171が形成されている。
【0112】
案内部材173は、コ字形状とされ、その開放両端片175,177に貫通穴が形成されており、この貫通穴にラッチ軸部169が通されている。ラッチ軸部169がラッチ頭部167に取り付けられた状態において、案内部材173の一端片175は、ラッチ頭部167に当接しており、他端片177はラッチ軸部169の他端部の鍔部171に当接している。
【0113】
また、案内部材173には、その他端片177に、矩形板状の凸部179が室内側および室外側へ突出して形成されており、この凸部179は、錠ケース17に形成されたガイド穴181にはめ込まれる。これにより、ラッチ161は、錠ケース17に左右方向に沿って進退可能に設けられる。
【0114】
ラッチ軸部169の鍔部171には、バネ183の一端部がはめ込まれて、バネ183の一端部は、案内部材173の他端片177に当接して設けられている。また、バネ183の他端部は錠ケース17の吊元側端面に当接して設けられている。このバネ183によりラッチ161は、常時突出方向に付勢されている。
【0115】
ラッチハブ163は、断面四角形の柱形状とされると共に、その軸方向両端部163aは、円形状に形成されている。ラッチハブ163の中央部には、軸方向に沿って四角形状の貫通穴185が形成されている。このラッチハブ163には、係合部材187が取り付けられている。
【0116】
係合部材187は、板材を屈曲して形成されたコ字形状材とされ、その前後両端片189には、矩形状の貫通穴191がそれぞれ形成されている。また、係合部材187の前後両端片189には、それぞれ、上方へ矩形状に突出して係合片193が形成されている。
【0117】
ラッチハブ163は、ねじりバネ195が通された状態で、係合部材187の前後両端片189,189間に配置され、係合部材187の前後両端片189の貫通穴191にはめ込まれて係合部材187に取り付けられる。
このようにラッチハブ163に設けられた係合部材187は、ラッチハブ163と一体回転可能とされる。
【0118】
係合部材187に装着されたラッチハブ163は、その軸方向両端部163aが、係合部材187の前後両端片189から前後方向外側へ突出しており、この軸方向両端部163aが、それぞれ錠ケース17の穴17dにはめ込まれて、錠ケース17に回転可能に保持される。
【0119】
図19に示すように、ラッチ161のラッチ頭部167が錠ケース17から突出した状態において、係合部材187の各係合片193は、案内部材173の右端片177に近接して配置される。また、ねじりバネ195の一端部195aは、錠ケース17の壁面を切り起こして形成された板状部197に当接している。
さらに、錠ケース17にラッチハブ163が取り付けられ、ラッチ161が突出した状態では、係合部材187の中央片199の一端部(図19において右端部)が錠ケース17に立設された柱材201に当接している。
【0120】
錠ケース17に取り付けられたラッチハブ163は、図19においてねじりバネ195により反時計方向に付勢されているが、係合部材187の中央片199が柱材201に当接することで、一定以上の回転が規制されている。
なお、ラッチ161は、案内部材173の凸部179が、錠ケース17のガイド穴181の端部に当接することで、一定以上の突出が規制される。
【0121】
ハンドル装置165は、回転操作によりラッチ161を後退させる室外側ハンドル205と、この室外側ハンドル205を回転可能に保持する座207と、室内側に設けられ、回転操作によりラッチ161を後退させる室内側ハンドル209と、この室内側ハンドル209を回転可能に保持する座211と、室外側ハンドル205と室内側ハンドル209とを連結する連結軸213とを主要部に備える。
【0122】
室外側ハンドル205は、略L字形状とされ、操作部215と、この操作部215の一端部から直角に延出する丸棒状の取付部217とにより構成される。
【0123】
取付部217は、先端側が縮径して形成されている。取付部217の先端部219の外周面には、周方向に沿って環状の溝221が形成されている。
さらに、取付部217の先端部219の中央には、先端側(室内側)へ開口する断面矩形状の穴223が軸方向に沿って形成されている。
【0124】
座207は、円板形状とされ、その中央部には軸方向に沿って貫通穴225が形成されている。また、座207には、径方向に離隔して、2本の丸棒状の取付柱227,227が室内側へ突出して設けられている。この取付柱227の先端部中央には、先端側へ開口するネジ穴227aが軸方向に沿って形成されている。
【0125】
室外側ハンドル205は、その取付部217の先端部219が座207の貫通穴225に通されて、環状溝221にEリング229がはめ込まれる。取付部217の基端側大径部とEリング229とにより座207が挟み込まれ、室外側ハンドル205は座207に対して軸方向の移動が規制されると共に、回転可能に座207に保持される。
【0126】
室外側ハンドル205が取り付けられた座207は、その取付柱227を扉3の穴および錠ケース17の穴17eにはめ込んで、扉3の室外側面に当接して設けられる。
【0127】
室内側ハンドル209は、略L字形状とされ、操作部235と、この操作部235の一端部から直角に延出する丸棒状の取付部237とにより構成されており、室外側ハンドル205と略同形状とされる。
【0128】
取付部237は、その先端部239が縮径して形成されている。また、取付部237の先端部239の外周面には、周方向に沿って環状の溝241が形成されている。
さらに、取付部237の先端部239の中央には、先端側(室外側)へ開口する断面矩形状の穴243が軸方向に沿って形成されている。
【0129】
連結軸213は、断面矩形状の棒材とされ、その一端部が室内側ハンドル209の取付部237の穴243にはめ込まれてネジ245により室内側ハンドル209に固定される。
【0130】
座211は、略円柱形状とされ、その中央部には、軸方向に貫通して円形の軸穴247が形成されている。この軸穴247には、径方向外側へ凹んで、周方向に沿って環状に形成された断面矩形状の取付溝249が、軸方向に離隔して2つ形成されている。
【0131】
座211には、取付溝249,249間に開口するように、外周面から軸穴247に向けて貫通する穴251が形成されている。図示例では、座211の上端部から軸穴247に向けて縦穴251が形成されている。座211の外周面に開口する穴251の一端部(縦穴251の上端部)には、丸棒状のキャップ部材253がはめ込まれて固定されており、穴251の一端部は閉塞されている。
【0132】
また、座211には、その先端面から穴251に向けて、注入穴255が形成されている。この注入穴255はネジ穴とされており、注入穴255の一端部255aは拡径して形成されている。
【0133】
さらに、座211の先端面の外周部には、先端側へ開口する断面矩形状の取付溝257が環状に形成されている。この取付溝257には、シール材258が取り付けられる。本実施例では、シール材258としてOリングが用いられる。
【0134】
座211の軸穴247の各取付溝249に第四シール材としてのシール材259がそれ
ぞれはめ込まれた状態で、座211の軸穴247に室内側ハンドル209の取付部237の先端部239が差し込まれて、先端部239の環状溝241にEリング261がはめ込まれる。これにより、室内側ハンドル209は、座211に回転可能に保持される。本実施例では、第四シール材としてのシール材259としてOリングが用いられる。
【0135】
座211に室内側ハンドル209が取り付けられた状態で、座211の注入穴255から軸穴247に液材263が注入されて、注入穴255にネジ265がねじ込まれて注入穴255は閉塞される。本実施例では、液材263としてオイルが用いられる。
【0136】
液材263は、取付部237の先端部239の外周部に沿って環状に充填され、取付部237の外周部を覆う。座211の軸穴247に貯留される液材263は、シール材259により外部へ漏れることがない。
【0137】
座211に室内側ハンドル209が取り付けられた状態で、連結軸213が扉3の穴を介してラッチハブ163の穴185に通されて、さらに室外側ハンドル205の取付部217の穴223にはめ込まれる。そして、室外側ハンドル205の取付部217の外周面から連結軸213にネジ267がねじ込まれて、連結軸213が室外側ハンドル205に固定される。
【0138】
室内側の座211には、径方向に離隔して2か所に、取付穴269が軸方向に貫通して形成されている。そして、室外側の座207に設けられた取付柱227に、室内側の座211の取付穴269からネジ271がねじ込まれて、扉3の室内外に、ハンドル205,209がそれぞれ取り付けられる。
【0139】
このような構成のハンドル装置165を有する本実施例9の扉錠1は、デッドボルト15により本締り可能とされる。つまり、実施例1と同様、室内側からはツマミ55を操作することで、室外側からはシリンダー装置19に差し込まれる鍵Kを操作することで、デッドボルト15が進退して施解錠が可能とされる。
【0140】
また、本実施例9では、ラッチ161が常時戸先側へ付勢されており、扉3を閉鎖した状態では、扉枠5に設けられた受け部材に突入して、扉3を仮締りし、扉3の閉鎖状態を維持する。
【0141】
本実施例では、デッドボルト15を後退させて解錠した状態で、室外側ハンドル205または室内側ハンドル209を回転操作することで扉3を開けることができる。
たとえば、扉3が閉鎖した状態において、室内側ハンドル209を図19において時計方向に回転させることで、室内側ハンドル209と一体に連結軸213が回転し、さらに、連結軸213がはめ込まれたラッチハブ163が時計方向に回転する。そして、ラッチハブ163と共に係合部材187が時計方向に回転して、係合部材187の係合片193がコ字形状の案内部材173の右端片177を図19において右側へ押し込む。これによりラッチ161が右側(吊元側)へ移動して、錠ケース17内に収容されて解錠され、扉3を開けることが可能となる。なお、室外側ハンドル205を操作した場合も同様に、扉3を開けることができる。
【0142】
本実施例では、実施例1と同様、サムターン装置21は気密性を有している。
また、室内側ハンドル209の取付部237と座211との間、および座211と扉3の室内側面との間にシール材259,258が設けられ、室内側ハンドル209の取付部237と座211の軸穴247との隙間および座211の先端面と扉3の室内側面との隙間をシール材259,258が密閉しており、気密性を有したハンドル装置165となっている。さらに、本実施例では、室内側ハンドル209の取付部237の外周部にオイルなどの液材263が充填されることで、より気密性の高いハンドル装置165となっている。
【0143】
ところで、本実施例におけるハンドル装置165は、実施例4のサムターン装置21と同様の構成により気密性を有する構成としたが、実施例1?実施例3や実施例5のサムターン装置21の構成を利用して気密性を有する構成としてもよい。
たとえば、実施例1のサムターン装置21のように、室内側ハンドル209の取付部237に環状の取付溝を1つ形成して、この取付溝にシール材を取り付けて、座211の軸穴247にはめ込むようにしてもよい。また、実施例3のように、取付穴269の基端部に環状の取付溝を形成してシール材を取り付けた状態で、ネジ271をねじ込むようにしてもよい。
【0144】
ところで、上記実施例1?実施例8における扉錠1は、手動で施解錠可能とされたが、実施例1?実施例8におけるサムターン装置21は、電動で施解錠可能な扉錠にも適用することができる。つまり、実施例1?実施例8におけるサムターン装置21は、電気錠にも適用可能である。そこで、以下において、実施例1におけるサムターン装置21を備えた電気錠の一例について説明する。
【実施例10】
【0145】
次に、本発明の扉錠の実施例10について説明する。
【0146】
図22および図23は、本実施例10の扉錠を示す図であり、図22は、使用状態を室内側から見た正面図、図23は、上方から見た図である。
また、図24は、図22の電気錠の縦断面図であり、施錠された状態を示す図である。
【0147】
以下においては、実施例1と共通または対応する箇所には同一符号を付し、実施例1と異なる部分を中心に説明し、実施例1と同様の構成部分については説明を省略する。
【0148】
本実施例10の扉錠1は、手動でデッドボルト15を進退させて施解錠可能とされると共に、電動でもデッドボルト15を進退させて施解錠可能な電気錠とされる。
【0149】
本実施例10の扉錠1は、本締りが可能な錠とされ、デッドボルト15が進退可能に設けられた錠ケース17と、この錠ケース17に設けられ、デッドボルト15を進退させる出没操作機構301と、鍵Kの操作により出没操作機構301を介してデッドボルト15を進退させるシリンダー装置19と、ツマミ55の操作により出没操作機構301を介してデッドボルト15を進退させるサムターン装置21と、出没操作機構301を介してデッドボルト15を進退させるモータ303とを主要部に備える。
【0150】
デッドボルト15は、錠ケース17の戸先側端面から出没可能とされ、扉3を施解錠する。デッドボルト15は、長方形状とされ、その基端部は下方へ延出した後、さらに基端側へ延出して形成されており、基端部の上部には、上方へ開口する矩形状の凹部305が形成されている。
【0151】
錠ケース17には、電気的な施解錠操作により作動するモータ303が設けられており、このモータ303に、デッドボルト15を進退させる出没操作機構301が接続されている。
【0152】
出没操作機構301は、モータ303の回転軸に設けられた歯車307にかみ合わされる第一歯車309と、この第一歯車309と同軸上に配置され、第一歯車309と共に回転する第二歯車311と、第一歯車309および第二歯車311を保持する軸313に回転可能に取り付けられる第一作動部材315と、この第一作動部材315に設けられ、第二歯車311にかみ合わされる第三歯車317および第四歯車319とを備える。
さらに、出没操作機構301は、第一作動部材315の回転に応じて回転する第二作動部材321と、この第二作動部材321と同軸上に設けられる回動部材323と、この回動部材323と噛み合わされるハブ325とを備える。
【0153】
第一歯車309は、かさ歯車とされ、錠ケース17に前後方向に沿って設けられる軸313に回転可能に保持される。第一歯車309は、モータ303の回転軸に取り付けられたかさ歯車307にかみ合わされている。
【0154】
第一歯車309の基端側(室内側)に、第二歯車311が軸313に通されて配置されている。本実施例では、第一歯車309と第二歯車311は、一体化されており、第一歯車309と第二歯車311は一体回転する。
また、第二歯車311の基端側に、板状の第一作動部材315が重ね合わされて設けられており、第一作動部材315は軸313に回転可能に保持されている。
【0155】
第一作動部材315には、図24において、下端部に矩形状の切欠き部327が形成されている。また、図24に示すように、第一作動部材315には、第三歯車317と第四歯車319が左右に離隔して回転可能に取り付けられており、この第三歯車317と第四歯車319は第二歯車311にそれぞれかみ合わされている。第三歯車317と第四歯車319の間に第一作動部材315の切欠き部327が配置されている。
【0156】
第二作動部材321は、円板形状とされる一方、その外周部の一部には周方向に沿って円弧状に切り欠かれて開口部329が形成されている。また、第二作動部材321の外周部には、径方向外側へ突出して矩形状の突部331が形成されている。第二作動部材321は、回動部材323の基端側に重ね合わされた状態で、錠ケース17に立設される軸333に回転可能に保持されている。
【0157】
回動部材323は、円柱形状とされ、その外周部の一部には、歯323aが周方向に沿って多数形成されている。図示例では、径方向に離隔した2か所に、歯323aがそれぞれ形成されている。
【0158】
また、回動部材323には、径方向外側へ突出して矩形状の支持部341が設けられている。さらに、回動部材323の基端面(室内側面)には、基端側(室内側)へ突出して円弧状の突部343が形成されている。
【0159】
回動部材323は、錠ケース17に立設された軸部333に回転可能に保持される。この回動部材323の基端側(室内側)に第二作動部材321が重ね合わされて、第二作動部材321は軸部333に回転可能に保持されている。この際、第二作動部材321は、その開口部329に、回動部材323の突部343が配置されるように、回動部材323に重ね合わされて設けられる。
また、第二作動部材321の突部331は、第一作動部材315の切欠き部327に差し込まれている。
【0160】
回動部材323の支持部341には、付勢手段347が接続されている。
図示例では、支持部341から室外側へ突出するピン349が、付勢手段347の板状部351の穴に、回転可能にはめ込まれて接続されている。
板状部351は、軸353まわりに回転可能とされると共に、バネ355により軸353の径方向外側へ付勢されている。
回動部材323は、施錠状態および解錠状態における停止位置において、付勢手段347によりその安定方向へ付勢される。
【0161】
ハブ325は、略円柱形状とされ、その軸方向両端部325aは、縮径して形成されている。ハブ325の中央部には、軸方向に貫通して係合穴361が形成されている。この係合穴361は、円形状とされる一方、直径方向に離隔した位置に径方向内側へ突出して三角形状部361aが形成されている。また、ハブ325の外周部の一部には、多数の歯363が周方向に沿って形成されている。さらに、ハブ325の外周面の一部には、径方向外側へ突出して矩形状の係止部365が一体形成されている。
【0162】
ハブ325は、その軸方向両端部325aが錠ケース17の穴にはめ込まれて、錠ケース17に回転可能に保持される。また、この際、係止部365は、デッドボルト15の基端部の凹部305に差し込まれている。
【0163】
なお、モータ303や錠ケース17内に設けられる検出スイッチSに接続されるリード線369は、錠ケース17から導出され、扉3内を通されて、扉3の吊元側端部から扉枠5へさらに通されて、制御盤に接続されている。
【0164】
上記実施例1と同様にして、サムターン軸51の先端部59が、扉3の穴および錠ケース17の穴を介してハブ325の係合穴361にはめ込まれて、室内側にサムターン装置21が取り付けられる。また、実施例1と同様にして室外側にシリンダー装置19が取り付けられる。
【0165】
このような構成の本実施例の扉錠1は、電気的に施解錠操作がなされるとモータ303が回転して、出没操作機構301によりデッドボルト15が進退する。
たとえば、図24に示す施錠状態において、電気的に解錠操作がなされた場合、モータ303が回転して、第一歯車309が反時計方向に回転し、これに伴って、第二歯車311も反時計方向に回転する。第二歯車311に噛み合わされた第三歯車317と第四歯車319は時計方向に回転し、第三歯車317と第四歯車319を軸支する第一作動部材315は、反時計方向に回転する。
【0166】
第一作動部材315が反時計方向に回転することで、第一作動部材315の切欠き部327に、突部331が差し込まれている第二作動部材321は、時計方向に回転する。
そして、第二作動部材321の開口部329に、突部343が配置された回動部材323は、開口部329の一端部に突部343が当接した状態で、時計方向に回転する。
回動部材323に噛み合わされたハブ325は、反時計方向に回転してデッドボルト15を後退させて、解錠される。
【0167】
また、図24に示す施錠状態において、サムターン装置21のツマミ55を操作して解錠する場合、ツマミ55を反時計方向に回転させればよい。
これにより、ハブ325も反時計方向に回転してデッドボルト15は後退する。
なお、図24に示す施錠状態において、ツマミ55を操作した際、ハブ325に噛み合わされた回動部材323は、時計方向に回転する。この際、回動部材323の突部343は、第二作動部材321の開口部329内を移動することで、第二作動部材321が回転することはない。
【0168】
このように、本実施例10の扉錠1は、手動で施解錠可能とされると共に、電動でも施解錠可能とされる。そして、前記実施例1と同様、気密性および水密性を有した扉錠1とされる。
【実施例11】
【0169】
次に、本発明の扉錠の実施例11について説明する。
本実施例11の扉錠は、基本的には上記実施例10の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、実施例10と対応する箇所には同一符号を付すと共に、両者の異なる部分を中心に説明し、実施例10と同様の構成部分については説明を省略する。
【0170】
図25は、本発明の扉錠の実施例11を示す図であり、使用状態を上方から見た概略横断面図である。
【0171】
実施例10では、錠ケース17を扉3内に設けたが、本実施例11では、扉3の室外側面に錠ケース17が取り付けられる、いわゆる面付け錠とされる。
【0172】
具体的には、錠ケース17は、矩形箱状の取付ケース371に収容された状態で、扉3の室外側面に取り付けられる。取付ケース371の戸先側端部373には、矩形状の開口部が形成されて、この開口部から錠ケース17が取付ケース371にはめ込まれて設けられている。そして、フロント板29を介して取付ケース371の戸先側端部373にネジ31がねじ込まれて、取付ケース371に錠ケース17が固定される。
【0173】
錠ケース17が固定された取付ケース371は、扉3の室外側面に当接して設けられ、取付ケース371の室外側端面から扉3に向けてネジ377がねじ込まれて、取付ケース371が扉3の室外側端面に固定される。
【0174】
そして、上記実施例1と同様にして、室外側にシリンダー装置19が設けられ、室内側にサムターン装置21が設けられる。
本実施例では、上記実施例1よりサムターン軸51が長く形成されており、扉3を貫通して錠ケース17のハブ35に差し込まれている。また、シリンダー装置19の取付柱45が、上記実施例1より長く形成されており、取付ケース371および錠ケース17を介して、扉3の内部にまで延出している。そして、サムターン装置21の胴部材53からネジ73がねじ込まれて、サムターン装置21およびシリンダー装置19が扉3に固定される。
【0175】
リード線369は、取付ケース371から導出されて、室外側を通って、制御盤に接続される。つまり、本実施例では、リード線369は、扉3内および室内側へ入り込むことなく、制御盤に接続される。
【0176】
本実施例では、錠ケース17が扉3の室外側面に設けられていることで、実験室内において揮発性ガスが発生し、万が一、室外側へガスが漏れ出た場合でも、モータ303を駆動させる電気などがガスに引火するおそれがなく、気密性を有すると共に、安全性の高い扉錠とされる。
【実施例12】
【0177】
次に、本発明の扉錠の実施例12について説明する。
本実施例12の扉錠は、基本的には上記実施例11の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、実施例11と対応する箇所には同一符号を付すと共に、両者の異なる部分を中心に説明し、実施例11と同様の構成部分については説明を省略する。
【0178】
図26は、本発明の扉錠の実施例12を示す図であり、使用状態を上方から見た概略断面図である。
【0179】
上記実施例11では、取付ケース371に収容された錠ケース17を扉3の室外側面に取り付けたが、本実施例12では、扉3の室外側に、扉3の室外側面から離隔して取り付けられる。
【0180】
具体的には、図26に示すように、扉3の室外側面に左右(扉の幅方向)に断面コ字形の棒状の取付部材381が設けられ、この取付部材381に取付ケース371が重ね合わされて設けられる。
そして、取付ケース371の室外側端面から取付部材381を介して扉3にネジ377がねじ込まれて、錠ケース17を収容した取付ケース371が扉3の室外側に、扉3の室外側面から離隔して取り付けられる。つまり、錠ケース17と扉3との間に空間を設けた状態で、錠ケース17が扉3に離隔して取り付けられる。
また、前記実施例1と同様にして、錠ケース17にシリンダー装置19が取り付けられ、このシリンダー装置19の取付柱45に、サムターン装置21からネジ73がねじ込まれてシリンダー装置19およびサムターン装置21が扉3に固定される。
【0181】
本実施例12では、室外側において、錠ケース17が扉3との間に空間を設けた状態で、扉3に離隔して設けられることで、万が一、実験室内でガスが発生し、室外側へ漏れ出た場合でも、錠ケース17と扉3との間に空間が形成されていることで、ガスは空間部で拡散し、ガスが錠ケース17内に侵入するおそれがなく、ガスに引火するおそれがなく、気密性を有すると共に、安全性の高い扉錠1とされる。
【実施例13】
【0182】
次に、実施例1におけるサムターン装置21を備える一方、電動で施解錠可能な扉錠(電気錠)の別の例について説明する。
なお、以下においては、実施例1と共通または対応する箇所には同一符号を付すと共に、実施例1と同様の構成部分については説明を省略する。
【0183】
図27は、本発明の扉錠の実施例13を示す図であり、使用状態を室内側から見た正面図である。
図28および図29は、図27の扉錠の断面図であり、図28は解錠した状態、図29は施錠した状態を示している。
【0184】
本実施例13の扉錠1は、扉3の戸先側端部に内蔵される錠ケース17と、この錠ケース17に設けられ、錠ケース17の戸先側端面から出没可能なデッドボルト15と、このデッドボルト15を進退させるカム401と、このカム401を回転操作するハンドル装置165と、デッドボルト15を後退可能または後退不可能状態に制御する施錠機構403と、この施錠機構403に接続されるソレノイド404と、ハブ465に接続されるシリンダー装置19と、ハブ465に接続されるサムターン装置21とを主要部に備える。
【0185】
デッドボルト15は、左右方向に移動可能に錠ケース17内に設けられる。
本実施例のデッドボルト15は、錠ケース17の戸先側端面23から突出して扉枠5の戸先側縦枠に設けられた受(不図示)の受穴に突入する頭部405と、この頭部405に設けられる丸棒状の軸部407と、この軸部407が挿通されるガイド板409とを有する。
【0186】
頭部405は、矩形状のブロック体とされ、その左端部は、室内側へ行くに従って右側へ傾斜する傾斜面405aが形成され、中央部は室内側も直線部が形成されている。
また、頭部405の右端部には、右側へ開口する筒状部411が一体に形成されており、この筒状部411に軸部407の左端部がはめ込まれて頭部405に軸部407が固定されている。
【0187】
軸部407は、その軸方向が左右方向に沿うように配置されて、錠ケース17の室外側壁面に固定された支持部材413に挿通されている。支持部材413は、板材を屈曲して形成された右側へ開口するコ字形材とされ、その中央片には左右方向に沿って貫通穴が形成されている。この支持部材413の貫通穴に軸部407が挿通されて、軸部407は支持部材413に左右方向に移動可能に保持される。
【0188】
ガイド板409は、板材を屈曲して形成された上方へ開口する略コ字形材とされ、その左右端片417,419間を架け渡すように軸部407が挿通されて、ガイド板409は軸部407に固定されている。
【0189】
ガイド板409の左端片417は、頭部405の筒状部411に当接すると共に、その上端部が筒状部411の周側面に沿って左側へ屈曲され、さらに頭部405の右端面に沿って上方へ屈曲されて、略L字形の段部423が形成されている。
また、ガイド板409の右端片419には、室内側および室外側へ突出して矩形状の突部425が一体に形成されている。この突部425は、錠ケース17のガイド穴(不図示)に差し込まれている。
【0190】
そして、軸部407にガイド板409が取り付けられた状態において、軸部407の右端部427は、ガイド板409の右端片419から右側へ延出している。
このような構成の頭部405、軸部407およびガイド板409は左右方向に一体に移動する。
【0191】
また、軸部407にガイド板409が取り付けられた状態において、支持部材413は、ガイド板409の左右端片417,419間に配置されている。
さらに、軸部407には、バネ431が挿通されており、バネ431の一端部がガイド板409の左端片417に当接する一方、他端部が支持部材413の中央片に当接している。これによりデッドボルト15は、戸先側へ常時付勢されており、頭部405は、錠ケース17の戸先側端面23、フロント裏板25およびフロント板29の穴23a,25a,29aを介して戸先側へ突出可能とされている。
そして、閉扉された状態においては、図28や図29に示すように、頭部405は錠ケース17から突出して、扉枠5に設けられる受に突入する。
なお、軸部407の右端部には、抜け止め防止のために矩形状の板材430が取り付けられている。
【0192】
カム401は、断面四角形の柱形状とされると共に、その軸方向両端部432は、円形状に形成されている。カム401の中央部には、軸方向に沿って四角形状の貫通穴433が形成されている。このカム401には、作動部材435が取り付けられている。
【0193】
作動部材435は、板材を屈曲して形成されたコ字形状材とされ、その前後両端片437には、矩形状の貫通穴439がそれぞれ形成されている。また、作動部材435の前後両端片437には、それぞれ、上方へ矩形状に突出して作動片440が形成されている。
【0194】
カム401は、ねじりバネ441が通された状態で、作動部材435の前後両端片437,437間に配置され、作動部材435の前後両端片437の貫通穴439にはめ込まれて作動部材435に取り付けられる。このようにカム401が設けられた作動部材435は、カム401と一体回転可能とされる。
【0195】
作動部材435に装着されたカム401は、その軸方向両端部432が、作動部材435の前後両端片437から前後方向外側へ突出しており、この軸方向両端部432が、それぞれ錠ケース17の穴にはめ込まれて、錠ケース17に回転可能に保持される。
【0196】
図28および図29に示すように、デッドボルト15が錠ケース17から突出した状態において、作動部材435の各作動片440は、ガイド板409の右端片419に近接して配置される。
【0197】
また、ねじりバネ441の一端部441aは、錠ケース17に立設された柱材447に当接している。さらに、作動部材435の前後両端片437には、円弧状に切り欠かれて開口部449が形成されている。錠ケース17にカム401が取り付けられ、デッドボルト15が突出した状態では、作動部材435の前後両端片437の開口部449の一端部に、錠ケース17に立設された柱材447が当接している。
【0198】
錠ケース17に取り付けられたカム401は、ねじりバネ441により図28において反時計方向に付勢されているが、作動部材435の前後両端片437の開口部449の一端部が柱材447に当接することで、一定以上の回転が規制されている。
なお、デッドボルト15は、ガイド板409の突部425が、錠ケース17のガイド穴の端部に当接することで、一定以上の突出が規制される。
【0199】
ハンドル装置165は、上記実施例9におけるハンドル装置165と同様の構成とされ、室外側に設けられ、回転操作によりデッドボルト15を後退させる室外側ハンドル205と、この室外側ハンドル205を回転可能に保持する座207と、室内側に設けられ、回転操作によりデッドボルト15を後退させる室内側ハンドル209と、この室内側ハンドル209を回転可能に保持する座211と、室内側ハンドル209と室外側ハンドル205とを連結するように設けられ、カム401の貫通穴433にはめ込まれる連結軸213とを備え、上記実施例9と同様にして取り付けられる。本実施例13におけるハンドル装置165は、上記実施例9と同様の構成とされるため、詳細な説明については省略する。
【0200】
施錠機構403は、ソレノイド404に接続されるテコ部材461と、このテコ部材461の動作に応じてデッドボルト15の後退を規制するストッパー463と、シリンダー装置19およびサムターン装置21が接続されるハブ465と、ハブ465にかみ合わされる従動部材467とを備える。
【0201】
テコ部材461は、板状とされ、錠ケース17に立設される軸469に回転可能に保持されている。テコ部材461には、図28において、上方へ矩形状に延出して第一片471が形成されており、この第一片471には、コ字状の溝473が形成されている。このテコ部材461の第一片471は、ソレノイド404に設けられたプランジャ475に連結される。
【0202】
プランジャ475は、ソレノイド404に対して左右方向に進退可能に連結されている。ソレノイド404は、リード線476を介して遠隔の管理室などから通電制御できるようにされており、通電によりプランジャ475を吸引駆動する。
つまり、ソレノイド404に通電された場合、プランジャ475はソレノイド404に引き込まれ、図28において右側へ移動する。
【0203】
プランジャ475は、円柱形状とされ、その先端部には、室外側へ突出してピン477が設けられており、このピン477が、第一片471の溝473に差し込まれて、テコ部材461がソレノイド404のプランジャ475に連結される。
【0204】
テコ部材461には、下方へ矩形状に延出して第二片479が形成されており、この第二片479には室内側へ突出して連結ピン481が設けられている。
【0205】
テコ部材461を回転可能に保持する軸469には、ねじりバネ483が通されており、テコ部材461は、このねじりバネ483により、図28において反時計方向に付勢されている。
【0206】
ストッパー463は、錠ケース17に前後方向に沿って設けられる枢軸485を共用して回動可能に保持される第一ストッパー487と第二ストッパー489とを有する。
【0207】
第一ストッパー487は、矩形板状とされ、枢軸485まわりに回動可能に錠ケース17に保持されている。施錠状態において、第一ストッパー487は、その一端部490が、デッドボルト15の段部423に係合する。
【0208】
第二ストッパー489は、左右に長い略矩形状の板状体とされると共に、その中央部は、上方へ突出して形成されている。また、第二ストッパーの右端部491は、下方へ行くに従って右側へ傾斜して形成され、その下端部は円弧状に形成されている。
第二ストッパー489の中央部の上部には、左右方向に長い矩形状の貫通穴493が形成されている。
【0209】
また、第二ストッパー489の中央部には、先端側(室外側)へ突出してピン495が一体に設けられている。
【0210】
第二ストッパー489は、第一ストッパー487の基端側に配置されて、その左右方向中央部に枢軸485がはめ込まれて、枢軸485まわりに回動可能に錠ケース17に保持されている。
【0211】
枢軸485には、2つのねじりバネ501,503が通されている。
一方のねじりバネ501により、第一ストッパー487が枢軸485まわりに反時計方向へ付勢されている。
【0212】
また、他方のねじりバネ503により、第二ストッパー489が、枢軸485まわりに反時計方向へ付勢されている。
【0213】
図28に示す解錠状態では、第一ストッパー487の右端部505は第二ストッパー489の第二ピン495に反時計方向側から当接して、反時計方向側への回転が規制されている。
【0214】
ハブ465は、円柱状とされ、その中央部には、円形の係合穴511が軸方向に貫通して形成されている一方、係合穴511の径方向両端部には、径方向内側へ突出して三角形状部513が形成されている。また、ハブ465の外周部には、多数の歯515が周方向に沿って形成されている。ハブ465は、錠ケース17に固定された下方へ開口する略コ字形状の保持部材516に回転可能に保持されている。
【0215】
従動部材467は、板状とされ、軸517に回転可能に保持されている。従動部材467には、歯519が形成されており、ハブ465の歯515と噛み合わされている。また、従動部材467には、その左端部にピン521が室内側へ突出して形成されている。
さらに、従動部材467は、軸517に通されるねじりバネ523により時計方向に付勢されている。従動部材467は、錠ケース17に立設された柱材525に当接することで、反時計方向への一定以上の回転が規制される。
【0216】
上記実施例1と同様にして、ハブ465の係合穴511に、室内側に設けられるサムターン装置21のサムターン軸51がはめ込まれると共に、室外側に設けられるシリンダー装置19の作動片47がはめ込まれて設けられる。
【0217】
このような構成の本実施例13の扉錠1は、図28に示す解錠状態において、電気的な施錠操作がなされると、通電されてプランジャ475がソレノイド404に引き込まれて、図28の状態において右側へ移動する。
これによりプランジャ475に接続されたテコ部材461が時計方向に回転し、第二ストッパー489がバネ503の付勢力により反時計方向に回転する。これに伴って、第一ストッパー487もバネ501の付勢力により反時計方向に回転して、左端部がデッドボルト15の段部423に係合する。
【0218】
このように第一ストッパー487の左端部がデッドボルト15の段部423に係合することで、デッドボルト15の後退が規制され、図29に示す施錠状態となる。
この際、第一ストッパー487の右端部505は第二ストッパー489の第二ピン495に反時計方向側から当接または近接している。
また、第二ストッパー489は、その左端部は第一ストッパー487の左端部より若干右側に配置されてデッドボルト15の段部423に当接または近接している。
【0219】
施錠状態から解錠する場合、電気的に解錠信号を送ると、制御盤によりソレノイド404への通電が断たれ、テコ部材461は、バネ483の付勢力により反時計方向に回転する。これにより、第二ストッパー489が時計方向に回転し、さらにピン495により第一ストッパー487も時計方向に回転して、段部423から離脱し、図28に示す解錠状態となる。
【0220】
本実施例では、施錠状態において、サムターン装置21のツマミ55を操作することでも解錠することができる。具体的には、図29に示す施錠状態において、ツマミ55を時計方向に回転させることで、サムターン軸51がハブ465を時計方向に回転させる。
【0221】
ハブ465が時計方向に回転することで、従動部材467は反時計方向に回転し、ピン521が第二ストッパー489の右端部491を下方へ押し込み、第二ストッパー489は時計方向に回転し、これに伴って第一ストッパー487も時計方向に回転して段部423から離脱して、デッドボルト15の後退規制が解除され、解錠状態とされる。この解錠状態において室内側ハンドル209を操作してデッドボルト15を後退させればよい。
【0222】
このように、本実施例の扉錠は、電動により施解錠可能とされると共に、サムターン装置21またはシリンダー装置19によりデッドボルト15の後退規制が解除され解錠することが可能とされる。
【0223】
ところで、本実施例13におけるデッドボルト15は、ダブルスロー方式といわれる二段階突出式とされる。
具体的には、閉扉した状態では、デッドボルト15の突出量は大きくなり(第二段階の突出状態)、図28に示す状態となる。
そして、図28の解錠状態で、例えば室内側ハンドル209を操作して、デッドボルト15を完全に後退させて開扉した後、室内側ハンドル209から手を放すと、デッドボルト15は突出するが、錠ケース17に設けられたトリガー装置Tの作用により、突出量は小さく(第一段階の突出状態)なり、いわゆるラッチの状態となり保持される。
【0224】
また、本実施例13では、図28に示す状態において、通電されることで、図29に示すように、第一ストッパー487および第二ストッパー489が段部423に係合して施錠される構成とされ、いわゆる通電時施錠型とされたが、通電されることで、図29の状態から図28に示す状態となるものや(通電時解錠型)、通電されることで、図28の状態と図29の状態が入れ替わるものがあり(通電時施解錠型)、本実施例1のサムターン装置21は、これら電気的作動形式に関係なく使用することが可能である。
【0225】
本実施例13では、実施例1と同様、サムターン装置21は気密性を有しており、さらに、実施例9と同様、ハンドル装置165は気密性を有していることで、本実施例の扉錠12は気密性を有した構造となっており、室内側で発生したガスが外部へ漏れだすことはない。
【0226】
ところで、実施例10?実施例13では、実施例1におけるサムターン装置21を備える扉錠としたが、上記実施例2?8におけるサムターン装置21を備える構成としてもよい。つまり、実施例1?実施例8におけるサムターン装置21は、各種電気錠に適用可能である。また、実施例13では、実施例9におけるハンドル装置165を備える構成としたが、実施例1?実施例3および実施例5におけるサムターン装置21の構造を利用したハンドル装置を備える構成としてもよい。
【0227】
前記各実施例における扉錠1は、気密性を有している。
これにより、実験室の扉に用いた場合、実験室で揮発性ガスが発生しても、外部へ漏れ出ることがなく安全である。
また、ガスが外部へ漏れないので、電気錠を通常の取付方法で使用できる。つまり、扉の内部に錠ケースを内蔵するようにして、電気錠を取り付けることができる。このように、電気錠を使用できることで、実験室と前室との2箇所の扉錠を自動的に制御するインターロック方式が採用可能とされ、極めて有効とされる。更なる安全性を考慮する場合には、前記実施例11や実施例12のように、錠ケースを面付けにしたり、扉との間に空間を設けて錠ケースを扉に固定したりすればよい。
【0228】
また、有毒ガスが漏れ出るおそれがないので、薬品貯蔵庫の扉錠としても使用することができる。
また、外部出入口に使用することにより、水害や津波によって建物が水没しても、水の建屋内への進入を防ぐことができる。
さらに、浴室に使用することにより、水分(湿気)の建屋内への進入を防ぐことができる。
【0229】
本発明の扉錠は、上記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
上記実施例1?実施例3では、サムターン軸51と胴部材の軸穴との隙間、胴部材と扉の室内側面との隙間、または胴部材の取付穴とネジとの隙間にシール材を配置して気密性を有する構成としたが、これらの組み合わせは適宜変更可能である。
【0230】
また、上記各実施例において錠ケース17に設けられる出没操作機構や、施錠機構の構成は適宜変更可能であり、従来公知の構造を適用可能である。
【0231】
また、実施例2において、胴部材の先端面にシール材としてOリングを設けたが、実施例6と同様に、板状のシール材を扉3に設けてもよい。つまり、扉の室内側面に板状のシール材を固定し、このシール材に胴部材を重ね合わせて配置し、シール材に形成した穴を介してサムターン軸51を扉の穴に差し込むよう構成してもよい。
【0232】
また、上記実施例4では、液材としてオイルを使用したが、グリスを使用してもよく、注入される液材は、適宜変更可能である。
【0233】
また、上記各実施例では、シール材としてOリングを用いたが、他のシール材であってもよい。
【0234】
上記実施例9では、ハンドル装置の操作部(室内側ハンドル、室外側ハンドル)としてレバー形のハンドルを用いたが、ノブを使用してもよい。
また、実施例9では、座211の軸穴247に取付溝249を形成してシール材を設けたが、室内側ハンドル209の取付部237の先端部239に取付溝を形成して、シール材を設けるようにしてもよい。
【0235】
さらに、上記各実施例では、外開き扉に扉錠を適用したが、内開き扉に扉錠を適用してもよいことは言うまでもない。たとえば、図26に示す実施例12の扉錠1の変形例として、図30に示すように、室内側に扉が開くよう構成してもよい。このように内開き扉とすることで、室内において爆発が発生し、扉が風圧により室外側へ押し込まれても、扉枠に当接することで扉が開くおそれがない。
【符号の説明】
【0236】
1 扉錠
5 扉枠
15 デッドボルト
17 錠ケース
19 シリンダー装置
21 サムターン装置
35 ハブ
51 サムターン軸
53 胴部材
55 ツマミ
69 シール材(第一シール材)
79 シール材(第二シール材)
87 シール材(第三シール材)
99 液材
107 シール材(第一シール材)
115 シール材(第二シール材)
151 シール材(第二シール材)
161 ラッチ
165 ハンドル装置
205 室外側ハンドル(操作部)
209 室内側ハンドル(操作部)
211 座
259 シール材(第四シール材)
301 出没操作機構(電動部)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水害や津波によって水没しうる建物の外部出入口に使用される中空の外開き扉に埋設されてデッドボルトが進退可能に設けられてなる錠ケースに対して、室外側から取り付けられて前記デッドボルトを操作するシリンダーと共に、室内側から扉面に取り付けられてラッチは操作することなく前記デッドボルトを操作するサムターン装置であって、
回転動作により前記デッドボルトを進退させるか、デッドボルトの後退規制を解除するサムターン軸と、
このサムターン軸を回転可能に保持する胴部材とを備え、
前記サムターン軸と前記胴部材との間であって、軸方向中途部に周方向に沿って環状に形成されてなる取付溝に装着されたOリングからなる第一シール材が設けられている
ことを特徴とするサムターン装置。
【請求項2】
前記胴部材と前記外開き扉との間に第二シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のサムターン装置。
【請求項3】
前記胴部材には、筒状のカラーが取り付けられており、
このカラーと前記外開き扉との間に前記第二シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載のサムターン装置。
【請求項4】
前記胴部材と、それを取り付けるためのネジとの間に第三シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のサムターン装置。
【請求項5】
前記デッドボルトが電動で進退するか、後退を規制される電気錠とされ、
その電動部は、前記錠ケースに内蔵されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のサムターン装置を備える扉錠。
【請求項6】
前記錠ケースに進退可能に設けられ、戸先側へ突出するよう付勢されるラッチと、
このラッチを後退させる室内側操作部と、
この室内側操作部を回転可能に保持する座とをさらに備え、
前記室内側操作部と、前記座との間に第四シール材が設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の扉錠。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-05-15 
出願番号 特願2012-288904(P2012-288904)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (E05B)
P 1 651・ 113- YAA (E05B)
P 1 651・ 851- YAA (E05B)
P 1 651・ 853- YAA (E05B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 家田 政明  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 井上 博之
有家 秀郎
登録日 2017-12-01 
登録番号 特許第6250279号(P6250279)
権利者 株式会社ゴール
発明の名称 サムターン装置およびこれを備えた扉錠  
代理人 塩田 哲也  
代理人 福島 三雄  
代理人 福島 正憲  
代理人 福島 正憲  
代理人 福島 三雄  
代理人 塩田 哲也  

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