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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  A01K
審判 一部申し立て 2項進歩性  A01K
審判 一部申し立て 特29条の2  A01K
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A01K
管理番号 1353203
異議申立番号 異議2019-700362  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-26 
確定日 2019-07-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第6421270号発明「動物用トイレ及びシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6421270号の請求項13ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6421270号の請求項1?14に係る特許についての出願は、
1)平成27年12月25日に出願した特願2015-253029号(以下、「最初の原出願」という。)の一部を、
2)平成30年5月7日に新たな特許出願とした特願2018-89082号(以下、「原原出願」という。)のさらに一部を、
3)平成30年6月13日に新たな特許出願とした特願2018-112699号(以下、「原出願」という。)の一部を、
4)平成30年7月19日に新たな特許出願である特願2018-136190号(以下、「本願」という。)としたものである。
特許第6421270号は、請求項1?14に係る特許について、平成30年10月19日付けでその特許権の設定登録がされ、平成30年11月7日に特許掲載公報の発行がされ、その後平成31年4月26日付けで、特許異議申立人 岡田好隆(以下「申立人」という。)より、請求項13?14に対して特許異議の申立てがされたものである。


第2 本件発明、特許異議申立て理由の概要、及び証拠
1 請求項13?14に係る発明
請求項13?14に係る発明(以下、「本件発明13」等、あるいはまとめて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項13?14に記載された、以下のとおりのものである。

本件発明13
【請求項13】
上下方向に貫通する複数の孔が底部に形成された上容器と、前記複数の孔を通過した排泄物を受ける受け部を備え、前記上容器の重力が作用しない下容器と、前記受け部が受けた前記排泄物の量の多さに応じて変化する信号を出力する出力部とを有する動物用トイレと、
表示部を備えた端末と、
を有するシステムであって、
前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出し、
前記累積排泄物量を前記表示部に表示させることを特徴とするシステム。

本件発明14
【請求項14】
上下方向に貫通する複数の孔が底部に形成された上容器と、
前記複数の孔を通過した排泄物を受ける受け部を備え、前記上容器の重力が作用しない下容器と、
前記受け部が受けた前記排泄物の量の多さに応じて変化する信号を出力する出力部と、
前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出する制御部と、
を有する動物用トイレであって、
前記動物用トイレとは異なる端末の表示部に、前記累積排泄物量を表示させることを特徴とする動物用トイレ。

2 特許異議申立て理由の概要
請求項13?14に係る特許に対して、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)における特許異議申立て理由の要旨は、次のとおりである。
(1)本件特許の請求項13に係る発明は、不明確であり、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)本件特許の請求項13?14に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでなく、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(3)本件特許の請求項13?14に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に国際公開がされた特願2015-248055号の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(4)本件特許の請求項13?14に係る発明は、原出願の当初明細書等にない新規事項を含むため、分割出願としての出願日の遡及が認められず、本件特許の現実の出願前に頒布された甲第6号証に記載された発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(5)本件特許の請求項13?14に係る発明は、原出願の当初明細書等にない新規事項を含むため、分割出願としての出願日の遡及が認められず、本件特許の現実の出願前に頒布された甲第6号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

3 甲各号証の記載
甲第1号証: 国際公開第2017/104216号
(2017年6月22日国際公開)
甲第2号証: 特開2006-226919号公報
(平成18年8月31日公開)
甲第3号証: 特開2010-223673号公報
(平成22年10月7日公開)
甲第4号証: 特開2002-186601号公報
(平成14年7月2日公開)
甲第5号証: 特開平4-164214号公報
(平成4年6月9日公開)
甲第6号証: 特許第6353826号公報
(平成30年7月4日発行)

(1)甲第1号証
甲第1号証は、平成27年12月18日に出願された特願2015-248055号に優先権主張をして、平成28年9月27日に国際出願されたPCT/JP2016/078520号の国際公開である。
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証には、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下、同様。)。また、特願2015-248055号の願書に添付された明細書及び図面にも、以下に摘記したと同様の事項が記載されている。

(ア)
「【技術分野】
【0001】
本発明は体重計測装置および動物用トイレに関する。」

(イ)
「【0009】
〔実施形態1〕
図1は、本実施形態に係るペット用トイレの構成を示す図である。図1の(a)は、ペット用トイレ1の平面図であり、図1の(b)(c)は、ペット用トイレ1の側面図であり、図1の(d)は、ペット用トイレ1の正面図である。図2は、ペット用トイレ1の断面図である。図3は、ペット用トイレ1の斜視図である。図4の(a)(b)は、ペット用トイレ1の分解斜視図である。各図はペット用トイレ1の構成を模式的に示す。
【0010】
ペット用トイレ1(動物用トイレ)は、ペットである動物の体重を計測する体重計測装置としての機能を有する。ペット用トイレ1は、本体容器10、カバー11、計測台12、排泄トレイ13(排泄物受け)、吸収シート14(尿パッド)、支持部15、第1重量計21、第2重量計22、および制御装置23を備える。図1の(b)(c)では、第1重量計21を省略している。図2?図4では、カバー11は省略している。また、図3、図4では、制御装置23も省略している。
【0011】
本体容器10は、カバー11と、計測台12とを支持する。本体容器10は、排泄トレイ13の一部を支えてもよい。本体容器10の底部には、中央の領域(第1重量計21に対応する領域)に穴が形成されている。カバー11は、ペット用トイレ1に乗った動物の3つの側面を覆うカバーである。
【0012】
計測台12は、動物がそこに乗り、排泄をする台である。計測台12の底面にはメッシュ12aが形成されている。動物の排泄物(ここでは尿)は、メッシュ12aを通過して、排泄トレイ13の上に落ちる。ここでは、メッシュ12aは、液体は通過させるが、糞および動物が咥えてきた物体(おもちゃ)等は通過させない。なお、計測台12には、メッシュ12aの代わりに、排泄物が通過する穴が形成されていてもよい。計測台12は、本実施形態では凹型の容器のような形状であるが、計測台12の形状は任意であり、体重の計測のために動物を載せることができればよい。
【0013】
排泄トレイ13は、計測台12の下に配置される、排泄物を受ける部材である。排泄トレイ13が受ける範囲は、計測台12のメッシュ12aが形成された領域を含む(該領域より広い)。排泄トレイ13上に、吸収シート14を配置してもよい。吸収シート14は、尿等の液体を吸収するシートである。排泄トレイ13は、本体容器10の側面に形成された穴から挿入および抜き取られることができる。
【0014】
支持部15は、第1重量計21、および第2重量計22を支持する台板である。ここでは、支持部15上に制御装置23が配置されており、制御装置23上に第1重量計21が配置されている。このように、支持部15は、制御装置23を介して第1重量計21を支持してもよい。
【0015】
第1重量計21は、本体容器10の底部の穴を貫通して排泄トレイ13に接触し、排泄トレイ13を支持する。第1重量計21は、例えば、ロードセルを含む。第1重量計21は、吸収シート14および排泄物を含む排泄トレイ13の重量を計測する。排泄トレイ13には、計測台12および動物の重量は掛からない。第1重量計21は、計測値を制御装置23に出力する。なお、排泄トレイ13の一部が本体容器10に支持される場合でも、排泄トレイ13は排泄物によって撓み得る程度に柔らかい。そのため、第1重量計21は、排泄物の有無による排泄トレイ13の重量の変化を計測することができる。
【0016】
なお、本実施形態では1つの第1重量計21が設けられているが、排泄トレイ13の重量を計測する複数の第1重量計21を設けてもよい。第1重量計21が計測する重量は、第2重量計22が計測する重量より小さいので、第1重量計21が計測可能な最大荷重は、第2重量計22の計測可能な最大荷重より小さくてもよい。これにより、第1重量計21の構造を簡略化し、かつ、第1重量計21を小さくすることができる。さらに、第1重量計21の計測精度は、第2重量計22の計測精度より高くてもよい。これにより、ペット用トイレ1を安価にし、かつ、計測精度を高くすることができる。
【0017】
第2重量計22は、少なくとも計測台12を含む構造物を支持する。ここでは、第2重量計22は、計測台12、本体容器10、およびカバー11を含む構造物を支持する。4つの第2重量計22が、本体容器10の底部の4隅に接触するよう、設けられている。第2重量計22は、例えば、ロードセルを含む。第2重量計22は、計測台12、本体容器10、およびカバー11を含む構造物と動物との合計の重量を計測する。第2重量計22には、排泄物の重量は掛からない(またはほとんど掛からない)。第2重量計22は、計測値を制御装置23に出力する。
【0018】
制御装置23は、第1重量計21および第2重量計22の測定値から、動物の体重および排泄物の重量の値を求める。ここでは、制御装置23は、制御基板等を収める筐体を備える。制御装置23は、電源スイッチ24を備える。
【0019】
(制御装置の構成)
図5は、制御装置23の構成を示すブロック図である。制御装置23は、電源部25、センサ駆動部26、制御部27、および記憶部28を備える。第1重量計21が計測した重量の値および第2重量計22が計測した重量の値は、センサ駆動部26に入力される。
【0020】
電源部25は、制御装置23の各部(センサ駆動部26、制御部27、および記憶部28)に電源を供給する。電源スイッチ24によって、電源部25からの電源の供給がON/OFFされる。電源部25は、例えば電池を備えていてもよい。
【0021】
センサ駆動部26は、第1重量計21および第2重量計22に電源を供給し、第1重量計21および第2重量計22を動作させる。また、センサ駆動部26は、第1重量計21および第2重量計22から計測値を受け取る。センサ駆動部26は、所定のタイミング(例えば一定の周期)で、第1重量計21および第2重量計22に計測を行わせる。センサ駆動部26は、受け取った計測値を制御部27に出力する。
【0022】
制御部27は、動物の体重および排泄物の重量を求める。第1重量計21の計測値は、吸収シート14および排泄物を含む排泄トレイ13の重量を表す。制御部27は、第1重量計21の計測値が変化した(計測された重量が大きくなった)時点を、動物が排泄をした時点と判定する。制御部27は、計測値の変化量に基づいて、排泄物の重量を特定する。具体的には、制御部27は、排泄が行われた後の計測値から排泄が行われる前の計測値を減じることにより、排泄物の重量を特定する。
【0023】
第2重量計22の計測値は、計測台12、本体容器10、およびカバー11を含む構造物と動物との合計の重量を表す。動物が計測台12に載っていない場合、動物の分の重量は0である。制御部27は、第2重量計22の計測値が増加した(計測された重量が大きくなった)時点を、動物が計測台12に乗った時点と判定する。動物が計測台12に乗った後に排泄をすれば、第2重量計22の計測値は少し減少し、第1重量計21の計測値は少し増加する。制御部27は、第1重量計21の計測値が変化しない期間のうち第2重量計22の計測値が減少した時点を、動物が計測台12から降りた時点と判定する。なお、上記の「計測値が変化しない期間」とは、データ(計測値)が所定の範囲内で変化しているものは、広義で変化していない期間と考えてもよい。
【0024】
制御部27は、動物が計測台12に乗る前の第2重量計22の計測値と、降りた後の第2重量計22の計測値とが異なる場合、動物が計測台12に物体を置いたまたは計測台12の上にあった物体を持って行ったと判定する。制御部27は、動物が計測台12に乗る前の第2重量計22の計測値と、降りた後の第2重量計22の計測値との差が、物体の重量であると特定する。降りた後の計測値が大きい場合、動物は計測台12に物体を置いて去っていったことを示す。乗る前の計測値が大きい場合、動物が計測台12に載せてあった物体を持って行ったことを示す。動物が計測台12に乗る前の第2重量計22の計測値と、降りた後の第2重量計22の計測値とが同じ場合、制御部27は、物体の重量を0として扱う。
【0025】
制御部27は、動物が排泄した後から計測台12を降りる迄の第2重量計22の計測値から、動物が計測台12から降りた後の第2重量計22の計測値および物体の重量を減じることにより(重量変化より)、動物の体重を特定する。または、制御部27は、動物が計測台12に乗った後から排泄する迄の第2重量計22の計測値から、動物が計測台12に乗る前の第2重量計22の計測値および物体の重量を減じることにより、動物の体重を特定する。これにより、制御部27は、物体および排泄物の重量の影響を受けずに正確な動物の体重を特定することができる。
【0026】
制御部27は、動物の体重および排泄物の重量を記憶部28に記憶させる。なお、制御部27は、動物の体重および排泄物の重量を外部の機器に送信する構成であってもよい。記憶部28は着脱可能な記録媒体であってもよい。また、ペット用トイレ1は表示装置を備えてもよく、制御部27は、計測した動物の体重および/または排泄物の重量を表示装置に表示させてもよい。また、制御部27は、排泄した時刻を記憶部28に記憶させてもよい。ユーザは、記憶部28に記録されたデータを別のコンピュータで読み取る、または、表示装置を介してデータを見ることにより、動物の行動を正確に把握することができる。例えば、ユーザは、動物がペット用トイレ1に乗った後に排泄をする回数(頻度)、および乗った後に排泄をしない回数(頻度)等を知ることができる。」

イ 拡大先願発明の認定
上記アより、本件出願より先に出願され、特許法第184条の15第2項の規定により読み替えた特許法第41条第3項の規定により本件出願後に国際公開されたとみなされる、特願2015-248055号の願書に添付された明細書及び図面(以下、「先願明細書等」という。)には、次の発明(以下、「拡大先願発明」という。)が記載されていると認められる。

「本体容器10、カバー11、計測台12、排泄トレイ13、吸収シート14、支持部15、第1重量計21、および制御装置23を備える、ペット用トイレ1(動物用トイレ)であって、
本体容器10は、底部の中央の第1重量計21に対応する領域に穴が形成されており、カバー11と計測台12とを支持し、
カバー11は、ペット用トイレ1(動物用トイレ)に乗った動物の3つの側面を覆うカバーであり、
計測台12は、凹型の容器のような形状であり、動物がそこに乗り排泄をする台であって、底面にはメッシュ12aが形成されており、動物の排泄物である尿はメッシュ12aを通過して排泄トレイ13の上に落ちるが、糞および動物が咥えてきた物体等は通過させず、
排泄トレイ13は、計測台12および動物の重量が掛からないように、計測台12の下に配置される、排泄物を受ける部材であり、
吸収シート14は、尿等の液体を吸収するシートであり、排泄トレイ13上に配置されており、
支持部15は、制御装置23を介して第1重量計21を支持する台板であり、
第1重量計21は、ロードセルを含み、本体容器10の底部の穴を貫通して排泄トレイ13を支持するものであり、吸収シート14および排泄物を含む排泄トレイ13の重量を計測し、計測値を制御装置23に出力して、排泄物の有無による排泄トレイ13の重量の変化を計測することができ、
制御装置23は、センサ駆動部26、制御部27、および記憶部28を備え、
センサ駆動部26は、一定の周期で第1重量計21に計測を行わせ、
制御部27は、第1重量計21の計測値が変化した時点を動物が排泄をした時点と判定し、排泄が行われた後の計測値から排泄が行われる前の計測値を減じることにより、尿である排泄物の重量を特定し、
制御部27は、計測した排泄物の重量を、ペット用トイレ1(動物用トイレ)が備える表示装置に表示させるか、外部の機器に送信してもよい、
ペット用トイレ1(動物用トイレ)、又はペット用トイレ1(動物用トイレ)と外部の機器との組み合わせ。」

(2)甲第2号証
甲第2号証には、図面と共に次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の飲水量・排尿量を経時的に自動測定する装置、及びそれを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
犬などの動物を用いて排尿量や排尿回数を測定し、それを動物の健康状態や薬剤の影響を調べるための指標とすることが、泌尿器領域の薬理学的研究等において行われている。そして、排尿量や排尿回数が飲水量の影響を受けることは周知であり、薬理試験においては、動物の飲水量も同時に測定し、排尿量と飲水量との時間的及び量的な関連性を明らかにすることが重要視されている。」


「【実施例1】
【0020】
本発明の第1の実施例を図1?図3に基づいて説明する。本実施例は、本発明に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置及びそれを用いたシステムについて示すものである。
【0021】
図1に示すように、本実施例に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置(1)は、給水重量、零水重量、排尿重量のそれぞれの変化量を別個に測定する給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)、さらに制御盤(5)を備えて構成されるものである。
・・・・(中略)・・・・。
【0022】
一方、零水重量測定部(3)、及び排尿重量測定部(4)は、動物が摂水する際に零す水を採取するための採水カップ(50)、及び動物が排出する尿を採取するための採尿カップ(51)(図3参照)を載置し、それらの重量変化をそれぞれ零水重量、排尿重量の変化として測定するロードセル(11)(12)をそれぞれ備えており、アーム(15)(16)を介してフレーム(6)の所要の位置に、高さ調節可能に、かつ水平面内における位置調節自在に固定されている。
【0023】
制御盤(5)は、給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)のロードセル(10)(11)(12)とそれぞれ配線接続されて、ロードセル(10)(11)(12)から受けた電気信号をデジタルデータに変換して出力する機能を有するものであり、フレーム(6)と一体に固設されている。
・・・・(中略)・・・・
【0025】
ケージ(31)は、試験対象の動物(57)を格納するためのもので、図3に示すように、タイヤ(46)によって床面上を移動自在とされた支持枠(45)を下方に備えて構成される。
図3に示すように、ケージ(31)の側壁面、及び底面には、格納された動物(57)が飲水を摂取可能とする給水部(32)、及び格納された動物の排尿を処理可能とする排尿部(33)がそれぞれ外設されている。
【0026】
・・・・・(中略)・・・・・
【0027】
一方で、排尿部(33)下部には採尿口(40)が設けられるとともに、排尿部(33)上方には格納される動物(57)を載置する底板兼糞尿分離網(41)が設けられており、底板兼糞尿分離網(41)を通じて糞と分離された排尿を、採尿口(40)に向う傾斜面によって収集し、下方に載置される採尿カップ(51)に排尿を漏れなく流下させるようになされている。
【0028】
コンピュータ(32)は回線(55)を介して制御盤(5)と接続されるが、給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)から送られる電気信号を、制御盤(5)がデジタルデータに変換したものを、それぞれ給水重量測定値、零水重量測定値、排尿重量測定値として、コンピュータ(32)が所与の時間間隔(例えば2秒間隔)で取得している。
・・・・・(中略)・・・・・。
【0029】
本実施例に係るシステム(30)の使用に際しては、・・・・・(中略)・・・・・。
そして、制御盤(5)等の電源を入れ、コンピュータ(32)において所定のプログラムを起動させれば、測定が開始可能となる。このプログラム、及び具体的な測定手順等については後述する(実施例2、実施例3)。」


「【実施例3】
【0043】
本発明の第3の実施例を図5?図12に基いて説明する。本実施例は、実施例1及び実施例2により構成される動物用飲水量・排尿量自動測定システム(30)を用いて測定を行う際の、より具体的な手順について示すものである。図12は、本実施例に係る動物用飲水量・排尿量自動測定装置をケージにセットした状態を示している。
・・・・(中略)・・・・。
【0047】
定時データとしては、図6に示すように、設定した測定間隔(1分間隔)ごとに、「給水重量」、「零水重量」、「排尿重量」の測定値とともに、「(初期の給水重量-給水重量)-(零水重量-初期の零水重量)」によって演算される「飲水量」、及び「排尿重量-初期の排尿重量」によって演算される「排尿量」が出力される。
本実施例において、「初期の給水重量」、「初期の零水重量」、「初期の排尿重量」とは、測定開始直後に給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)のロードセル(10)(11)(12)によってそれぞれ測定されたものである。
【0048】
なお、本実施例では、数値としての定時データ(図6)、さらに、これに基づいて自動作成される給水重量、零水重量、排尿重量についてのグラフ(図7)、並びに飲水量、排尿量についてのグラフ(図8)が、メイン画面とは別ウィンドウで、測定中にリアルタイムで表示されるようになされている。
【0049】
詳細データは、実施例2で示したごとくの手順により、給水重量、零水重量、排尿重量の測定値(現在値)の、過去の10秒間における2秒毎のそれらの測定値に対する変化量が、それぞれの設定しきい値を超えると、出力が開始されるようになっている。さらに、本実施例では、詳細データ出力開始後一定時間(例えば2分間)は、その後の変化の状況に関わらず継続して詳細データが出力されるように設定されている。
また、詳細データは、変化をわかりやすくするために、設定しきい値を超える変化の生じた一定時間前(例えば10秒前)まで遡って出力を開始するように設定されている。
【0050】
詳細データの出力中は、図5に示すように、メイン画面(70)において、出力の残り時間(最大2分間)が詳細出力(77)に棒グラフで表示されるようになっている。
また、詳細データ出力中に、再度設定しきい値を上回る変化が発生した場合には、詳細データ出力の残り時間が延長される。
【0051】
詳細データとしては、図9に示すように、コンピュータ(32)が装置(1)からデータを取得する間隔(2秒間隔)ごとに、給水重量、零水重量、排尿重量とともに、定時データと同様にして演算される「飲水量」、「排尿量」、さらに、「(設定しきい値前給水重量-給水重量)-(零水重量-設定しきい値前零水重量)」によって演算される「今回飲水量」、及び「排尿重量-設定しきい値前排尿重量」によって演算される「今回排尿量」が出力される。
本実施例において、「設定しきい値前給水重量」、「設定しきい値前零水重量」、「設定しきい値前排尿重量」とは、設定しきい値を超える変化が生じる直前に、給水重量測定部(2)、零水重量測定部(3)、排尿重量測定部(4)のロードセル(10)(11)(12)によって、それぞれ測定されたものである。」

(3)甲第3号証
甲第3号証には、図面と共に次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、排尿情報記録装置を被験者が携帯可能とすることに係り、特に専門知識を持たない被験者であっても、家庭や職場などに限らずあらゆる場所において、トイレに限定されること無く、簡便に排尿情報の記録を残すことに好適な、排尿状態を把握するための排尿状況記録装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
排尿障害のある患者に対して、排尿時刻と排尿量とをある程度の長期間にわたって継続して記録した排尿記録は排尿日誌と称され、泌尿器科や婦人科の医師が患者の排尿障害状態を把握するために有益な情報とされている。そのため、患者はビーカー等で排尿量を測定して排尿時刻とともに、所定の記録帳票に記録していた。」


「【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の排尿情報記録装置の外観を示す平面図である。図1を使用して、被験者が自身の排尿に合わせて排尿日誌を記録する方法を詳説する。
【0021】
携帯排尿日誌記録装置100の本発明における筐体となる本体1は、被験者が携帯することを想定したものであり、その大きさは携帯電話や携帯電子ゲーム機器と同等のサイズである。ストラップ2を付設して、紛失や落下の防止に配慮されている。便器に付属されたものであったり、測定後に洗浄・清掃を伴うものでなく、カバンに入れて持ち運び可能とすることにより、被験者が排尿日誌を記録する必要があっても外出に関わる行動を制限しないよう配慮されている。また外観は携帯電話やゲーム機などのように見せることで、他人に見られても違和感が生じないようになっている。
【0022】
・・・・・(中略)・・・・・。
【0023】
本体1の右肩には尿流時刻入力スイッチ8が配置されている。1回目の操作で排尿時刻を記録すると共に、尿流時間の計時を開始し、2回目の操作で計時を終了して尿流時間を記録するようになっている。・・・・・(中略)・・・・・。
【0026】
時刻演算手段30は、排尿日誌のベースとなる年月日時刻と尿流時間演算のベースとなる排尿時刻を演算する。尿流時間演算手段40は排尿開始と排尿終了を入力するスイッチであり、その入力結果によって、尿流演算手段41は被験者の排尿毎の尿流時間を演算する。平均尿流率入力手段42によって医療機関で測定された平均尿流率(mL/s、単位時間当たりの排尿量の平均)が入力された場合、尿量演算手段43は尿流時間に平均尿流率を乗じて尿量に換算するようになっている。
・・・・・(中略)・・・・・。
【0029】
本事例では、記憶された測定結果情報は外部出力手段23から半導体記憶装置としてのメモリーカードなどの記憶媒体60に移されて、医療機関のコンピューター70から排尿日誌80として取り出せるようになっている。
・・・・・(中略)・・・・・。
【0041】
図5は、本発明の排尿情報記録装置で記録された排尿情報に基づいて、外部に設置されているコンピュータ70によって作成された排尿日誌80の1出力事例である。本事例では24時間制によって夜間排尿量を積算し、その比率を総排尿量と比較して夜間排尿量率を演算している。排尿量は尿流時間に平均尿流率を乗じることで各排尿回数毎に演算され、各排尿毎の感覚情報と共に1行で表示されている。図5を使用して、出力された排尿日誌の内容と臨床活用方法について詳説する。
【0042】
本図において、排尿日誌は2009年1月10日11時42分に出力され、尿量推定のために使用された平均尿流率は5.7mL/sとなっている。その下からが日毎の排尿状況記録であり、1番上に2009年1月3日の排尿状況記録が出力されている。被験者はこの日は1日に9回排尿し、総排尿量は1165mLである。」

(4)甲第4号証
甲第4号証には、図面と共に次の事項が記載されている。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、被検者の排尿を計測する装置、特に排尿障害者や入院患者の排尿の排尿時間、排尿重量、平均尿流率等を計測する排尿計測装置に関する。」


「【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の排尿計測装置1の排尿蓄積部2を計測部20に載置した一部破断した側面図であり、図2は排尿蓄積部2の平面図、図3は計測部20の斜視図である。図1及び図2に示す排尿蓄積部2は、円筒形の上部支持体3と、円筒形の下部支持体4と、上部支持体3と下部支持体4とを接続する支持片5とが一体に形成される。この排尿蓄積部2には、円筒形の上部支持体3の中空上部より挿入または取り出しできる排尿容器6が設けられる。この排尿容器6は透明な柔軟性材料、たとえばポリエチレン等の透明な使い捨てできる市販の容器である。上部支持体3の上面部には、両側面から指先が入る程度の凹部7、8が設けられると共に、この凹部7、8の両端には排尿容器6の上端部を固定する突起部材9が4個形成され、排尿容器6を装着した時に排尿容器6を固定するようになっている。また、この凹部7、8と直角方向の上部支持体3には、取っ手10が一体に形成されている。
・・・・(中略)・・・・。
【0014】上記下部支持体4の外周側には、取っ手10と直角方向に2箇所の目印線12を設ける。また、下部支持体4の円筒形内側には、2つの排尿センサー13、14を設ける。この排尿センサー13、14は、赤外線の発光ダイオードからなる発光部13a、14aと受光部13b、14bがそれぞれ対になり、排尿容器6をまたいで設けられるとともに、2つの排尿センサー13、14が直交して設けられ、排尿容器6に尿が入ったときに赤外線の屈折による電圧変化を検出する。・・・・(中略)・・・・。
【0015】図3は計測部20の外観の概略を示す斜視図である。この計測部20は、略直方体からなる筐体21と、前記排尿蓄積部2の下部支持体4を着脱自在に固定する固定枠22を設けた計測台23からなり、計測台23の下部の筐体21内に公知の秤機構を設けている。・・・・(中略)・・・・。
【0019】次に、図7のフローチャートと図1及び図2に基づき、排尿時の排尿蓄積部2の操作を説明する。・・・・(中略)・・・・。
【0020】次に、取っ手10を握り持ち、親指で排尿測定起動スイッチSW1を押すと、電源42より図5の制御回路全体に電気が供給される(ステップS1)。この電源オンによりステップS2で制御器40内部のデータ等が初期化されるとともに、ステップS3で電源をオフするオートパワーオフタイマーをスタートさせ、ステップS4に進み、表示素子11が排尿測定の準備ができたことを知らせるために点滅表示してステップS5に進む。
【0021】その後に取っ手10を持ったまま前記排尿容器6に排尿することにより、2対の排尿センサー13、14が液体である尿が赤外線を屈折することにより排尿を感知する。この感知によりステップS5でYesと判断されステップS6に進み、ステップS5でNoと判断されると、ステップS7に進み、オートパワーオフタイマーがタイムアウトしたか否かを判断する。タイムアウトしていなければ、Noと判断され、ステップS5に戻る。タイムアウトしたと判断されると、ステップS7でYesと判断されてステップS8で電源をオフする。
【0022】排尿センサー13、14で排尿が感知され、ステップS6に進むと、表示素子6を点滅から常時点灯にし、ステップS9で排尿時間の計時を開始し、ステップS10で排尿が終了したときに被験者がオンする排尿測定起動スイッチSW1の状態を判断する。オンされなければ排尿が継続しているとしてNoと判断し、計時を継続する。排尿が終了して被験者が排尿測定起動スイッチSW1がオンすると、ステップS10でYesと判断されステップS11に進む。ステップS11では表示素子6を常時点灯から点滅に切り替え、ステップS12で排尿時間の演算処理を行う。その後ステップS13にて発光体15より排尿時間データを発信するとともに、発信時間を制限するタイマーをスタートする。・・・・(中略)・・・・。
【0024】次に図8のフローチャートを用いて、排尿した尿量(重量)等を計測する手順とその結果のデータ表示とを説明する。まず、計測部20に設けたON/OFFスイッチSW3を押し電源をオンする(ステップS20)。・・・・(中略)・・・・。
【0025】次に前記排尿蓄積した排尿蓄積部2を計測部20の計測台23に設けた固定枠22に嵌め込で固定する。このとき取っ手10が計測部20の図3における奥側(表示部の反対側)に向くようにして、排尿蓄積部2の下部支持体4に設けた目印線12を固定枠22の目印線25に合わせて載せセットする(図1)。上記のように計測部20に排尿蓄積部2を固定してセットすると、下部支持体4に設けた発光体15が計測部20の受光素子24の上部に配置(図1)されると共に、下部支持体4の底部がセットスイッチSW2を押し、セットスイッチSW2がオンされる。
【0026】ステップS23ではこのセットスイッチSW2のオンの立ち上がりを判断するもので、Yesと判断されるとステップS24に進み、受光素子24がデータの受信を開始する。・・・・(中略)・・・・。
【0027】スッテプS27にて受信データが正常であれば、Yesと判断されてステップS30に進み、排尿蓄積部2の重量を引いた排尿重量を測定するとともに、排尿時間と排尿重量とから尿流率を演算し、ステップS31で排尿日、排尿時刻、排尿日における排尿の回数、排尿重量、尿流率、排尿時間をメモリ53に記憶する。そしてステップS32で受信及び測定したデータに基き図9で示すように本日の横の表示素子32にひし形のマークと、最新データのその日の排尿回数の3と、排尿時刻10:30とを表示し、ステップS33で制御器50のマイクロコンピュータ内部のモードカウンターをステップS21で0にリセットされているものに1を加算し、ステップS23に戻る。
・・・・(中略)・・・・。
【0029】この表示の状態でモードスイッチSW4を押すと、ステップS40でYesと判断されステップS41に進む。このステップS41では、モードカウンタに1を加算するのでモードカウンターは2になり、ステップS42でNoと判断され、ステップS43に進み、ステップS44で図10に示すように本日の排尿回数が3回目で、尿量が180mlを表示する。・・・・(中略)・・・・。
【0031】ここで過去スイッチSW6をオンすると、ステップS60からステップS63に進み、Yesと判断されステップS64で回数カウンタを1加算して、ステップS65で最新のデータより1つ前のデータをメモリ53より読み出しステップS41に進む。ステップS41に進むと、現在スイッチSW5をオンしたときと同様に読み出したデータに基づきステップS42、S50で図14に示すように最新データの一つ前のその日の排尿回数と排尿時刻の表示を行う。この表示でモードスイッチSW4を押すと、現在スイッチSW5を押したときと同様に、ステップS40からステップS50にて順次排尿量、平均尿流率、排尿時間の表示を行うことができる。
・・・・(中略)・・・・。
【0037】なお、この発明は上記発明の実施の形態に限定されるものではなく、前記データより一日の総排尿量、平均排尿量、平均尿流率、平均排尿時間等を演算したり、プリンターに接続して記録したり、パソコンにデータを配信してもよい。」

(5)甲第5号証
甲第5号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 第1頁左欄第12行-右欄第16頁
「〔産業上の利用分野〕
本発明は、新規で有用な自動尿量測定装置に関する。
〔従来の技術〕
一般に、病院においては、患者の一日の排尿量を知るため、尿を尿瓶などの容器に採取してこれを蓄える所謂蓄尿が行われている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記蓄尿には次のような問題点がある。すなわち、患者など排尿者の氏名を付した尿瓶などの容器を保管するために、便所などに大きなスペースが必要となる。また、前記容器は単一ではなく多数であるから、これらを便所に保管した場合、便所周辺に悪臭が漂うことになり、一般の者などに酷い不快感を与えると共に、非衛生である。さらに、病院の看護婦など担当者が各容器内の尿を計量を一日一度行うにしても、かなりの時間と労力を伴うなどの問題点がある。
本発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的とするところは、広いスペースを要することなく、また、悪臭など不快感をまきちらすことなく、しかも、担当者につらい思いをさせることなく、患者など特定の者の排尿量を自動的に計量することができる、新規で有用な自動尿量測定装置を提供することにある。」

イ 第2頁右上欄第10行-第3頁右上欄第12行
「〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
第1図?第4図は本発明の一実施例を示し、先ず、第1図は本発明に係る自動尿量測定装置の構成を概略的に示すもので、この図において、1は便器で、その排水口2の下方には尿量計量部3が設けられている。この尿量計量部3は、第2図に示すように、計量容器4と、この計量容器4を載置し、これを計量する電子天秤5とからなる。そして、計量容器4の上部は蛇腹部6に形成され、この蛇腹部6は排水口2から垂下する排水管7と連通連結されている。また、計量容器4の底部には排水管8が連通連結され、この排水管8には電磁弁などの開閉弁9とフレキシブル管10とが介装されており、その下流側は図外の排水路に接続されている。なお、11は計量容器4を安定に保持する支持部材である。
12は便器1の近傍、例えば上方に設けられた識別部で、例えば赤外センサなどの人体検知センサ13と、便器1の前面に立つ排尿者が特定の者であるか否かを識別するマイクロ波式識別装置14とからなる。・・・・(中略)・・・・。
次に、上記構成の自動尿量測定装置の動作について説明する。
ここで、尿量を測定される患者など特定の者の身体の一部、例えば胸には、マイクロ波によって読み取ることができる磁気式IDカード(図外)が取り付けられているものとし、特定の者の氏名が分類コード(性別、所属、特定コード番号など)と共にCPU18内に予め登録されているものとする。
今、前記磁気式IDカードを付けた患者が便器1の前に立つと、便器1に設けられた人体検知センサ13が動作して、便器1の使用開始が検出されると共に、マイクロ波式識別装置14によって、便器1の前に立っている者が特定の者であることが識別され、所定の識別信号がCPU18に出力される。この出力に基づいて、CPU18から所定の信号が出力されて尿量計量部3の開閉弁9が直ちに閉じられ、患者が排出した尿は計量容器4内に溜められる。電子天秤5における計量値は計量容器4が空のときと尿が溜められているときとでは異なるから、その差が尿の重量として計量され、このときの計量出力はCPU18に送られる。
そして、前記患者が便器1の前から立ち去ると、便器1の使用終了が検出され、CPU18からの信号に基づいて前記開閉弁9と開閉弁16が開き、計量容器4内の尿は排水路に排出されると共に、開閉弁16が開いてタンク15から洗浄水が便器1に供給されることにより、所定の洗浄が行われる。
一方、前記尿量計量部3から出力された計量出力は、CPU18において尿の比重を用いて体積値(cc)に変換され、第4図に示すようなフォーマットに、排尿時刻と共に患者側にデータとして記録される。この図から理解されるように、前記計量結果はIDデータと共にCPU18内において処理されて、患者など登録された特定の者毎に、排尿時間、1回毎および合計の排尿量などが一目で判るように分類整理される。また、必要に応じて、適性値との比較による異常の判定などを記入してもよく、これらのデータはディスク22にに格納される。格納されたデータは必要に応じてプリンタ23によってプリントアウトされたり、CRT24上に表示されるなどして、患者の治療や病理研究の参考資料に供される。」

(6)甲第6号証
甲第6号証は、本件特許出願の最初の原出願の特許公報であり、図面と共に次の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通する複数の孔が底部に形成された上容器と、
前記複数の孔を通過した排泄物を受ける受け部を備え、前記上容器の重力が作用しない下容器と、
前記受け部が受けた前記排泄物の量の多さに応じて変化する信号を出力する出力部と、
を有することを特徴とする動物用トイレ。
【請求項2】
請求項1に記載の動物用トイレであって、
前記受け部には、前記排泄物を吸収する吸収性シートが載置されている
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の動物用トイレであって、
前記下容器を支持する支持部材を備え、
前記出力部は、前記支持部材の上に設けられ、且つ、前記下容器の下方に位置する
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項4】
請求項3に記載の動物用トイレであって、
前記下容器には、前記出力部に係合可能な係合部が設けられている
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の動物用トイレであって、
前記出力部は、防水加工が施されている
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項6】
請求項3?5の何れかに記載の動物用トイレであって、
前記支持部材には、前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の量を検出する制御部が設けられている
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項7】
請求項6に記載の動物用トイレであって、
前記制御部は、排泄前の前記信号と、排泄後の前記信号との差分を算出することによって、1回ごとの前記排泄物の量を検出する
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の動物用トイレであって、
前記上容器には撥水性を有する液透過性粒状物が設置されており、
前記制御部は、前記排泄物の量を検出する際に、前記液透過性粒状物に対して予め定められた補正値を加算する
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項9】
請求項6?8の何れかに記載の動物用トイレであって、
前記上容器には、前記制御部の検出結果を表示する表示部が設けられており、
前記制御部と前記表示部とが無線により通信可能である
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項10】
請求項1?9の何れかに記載の動物用トイレであって、
前記上容器の重量に応じて変化する上容器重量信号を出力する上容器用出力部を、さらに有する
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項11】
請求項10に記載の動物用トイレであって、
前記上容器重量信号に基づいて、動物の体重、又は、前記複数の孔を通過しない排泄物の量の少なくとも一方を検出する上容器用制御部を有する
ことを特徴とする動物用トイレ。
【請求項12】
請求項1?11の何れかに記載の動物用トイレであって、
電力を供給するための電池を有する
ことを特徴とする動物用トイレ。」


「【0033】
===第1実施形態===
本発明の実施形態に係る動物用トイレは、例えば室内で飼われる猫等の動物が使用するものである。本明細書中における「動物」とは、猫、犬、ウサギ、ハムスター等のいわゆるペットのみならず、トラやライオンの赤ちゃん等も含む。
【0034】
<動物用トイレ1の全体構成>
図1?図5を参照しつつ、動物用トイレ1の構成について説明する。なお、以下の説明において、床プレート40の面の法線方向を上下方向とし、床プレート40に対して上容器20及び下容器30の位置する側を「上」とし、その逆側(床側)を「下」とする。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態に係る動物用トイレ1を示す斜視図である。図2は、動物用トイレ1の分解説明図である。図3は、動物用トイレ1を上から見た図である。図4は、図3のA-A断面図である。図5は、図3のB-B断面図である。なお、図4以外の図では、上容器20に排泄物処理材24を収容していない状態を示している(排泄物処理材24の図示を省略している)。
【0036】
動物用トイレ1は、上容器20と、下容器30と、床プレート40(支持部材に相当)とを備えている。この動物用トイレ1は、例えば室内の床等の上に設置されて使用されるものである。
【0037】
(上容器20の構成)
上容器20は、上部が開放された容器であり、底部21と、側壁部22とを備えている。
【0038】
底部21は、図4に示すように、周縁部211と、平面部212と、テーパ面部213とを有している。
【0039】
周縁部211は、平面視で底部21の外周近傍の部分である。
平面部212は、平面視で底部21の略中央に配置され、底部21の高さ方向(上下方向)における最も下方に配置されている。平面部212は、上容器20の略水平方向に延びる面である。平面部212には、複数の貫通孔21aが形成されている。なお、貫通孔21aは、動物の排泄物のうち、尿(液体)は通すが糞便(個体)は通さない大きさに形成されている。
テーパ面部213は、平面部212の周縁から、底部21の周縁部211に向かって上り傾斜となる面である。すなわち、テーパ面部213は、周縁部211から略中央に向かって下り傾斜となる面である。テーパ面部213のテーパ角度は、底部21に対して5度?60であることが好ましい。テーパ面部213のテーパ角度が5度を下回る程に浅すぎると、動物の尿等を平面部212側へ移動させて、下容器30に誘導することが難しくなる。また、テーパ面部213のテーパ角度が60度を超える程に深すぎると、動物が上容器20に乗った際に、足を安定して乗せる場所が狭くなる。
【0040】
側壁部22は、底部21の周縁部211から起立すると共に、上容器20の外壁を構成する壁面である。側壁部22は、上部壁部221と、延出壁部222とを有する。
上部壁部221は、その下端がテーパ面部213の上端から連続している。そして、上部壁部221は、上容器20の上端部まで延び、上端部で外側に向かって反っている。
延出壁部222は、図5に示すように、上部壁部221の外面側において、上部壁部221から下方へ延びる部位である。また、図1及び図5に示すように、延出壁部222は、下容器30よりも外側に位置している。上容器20の四隅において、延出壁部222は、床プレート40の上面まで延び、足部223を構成している。また、図1に示すように、延出壁部222は、足部223と足部223との間に、上方へ向かって弧を描くように切り欠かれる切り欠き部224を有している。
【0041】
また、図4に示すように、上容器20には、粒状の排泄物処理材24(液透過性粒状物に相当)が収容されている。排泄物処理材24は、尿などの液体の動物の排泄物を吸収したり、透過させたりする粒状の処理材であり、いわゆる猫砂である。本実施形態では、排泄物処理材24として、撥水性で多くの液体を吸液部材へ透過させるタイプのものを用いている。これは、液体を吸収するタイプのものでは、尿が吸収されてしまい、尿量を正確に計測するのが困難になるからである。ただし、撥水性のものでも、若干量の尿が吸収され、その量は、排泄物処理材24の種類によって異なる。そこで、本実施形態では、後述するように、尿の量を検出する際に、使用する排泄物処理材24に応じて補正を行うようにしている。
【0042】
また、上容器20の上部壁部221の外面には表示部26が設けられている。表示部26は、床プレート40の制御部42の出力を表示する部位であり、例えば液晶ディスプレイを有している。また、表示部26は、制御部42と無線通信を行う通信部(不図示)、表示内容の切り替えや各種の設定などを行うための入力部(不図示)、電力を供給するための電池(不図示)などを備えている。このように、上容器20に表示部26を設けているので、表示内容を視認しやすい。但し、表示部26の配置はこれに限られない。例えば、表示部26を、下容器30、あるいは、床プレート40に設けてもよい。なお、表示部26を床プレート40に設ける場合、無線ではなく有線にて制御部42と通信するようにしてもよい。
【0043】
(下容器30の構成)
下容器30は、図2に示すように、上部が開放された容器であり、受け部31と、下部側壁部32と、取手部33とを備えている。
【0044】
受け部31は、上容器20の平面部212の複数の貫通孔21aを通過した排泄物(具体的には尿)を受ける部位である。この受け部31の上には、吸収性シート34が配置されている。吸収性シート34は、動物の液体の排泄物(尿)を吸収可能な部材である。本実施形態の吸収性シート34は、液透過性の表面シートと、液保持性の中間シートと、液不透過性の裏面シートを積層して接合した四角形のシートである。
【0045】
また、受け部31には、係合部35が設けられている。係合部35は、床プレート40上のロードセル41(後述)に係合可能な部位であり、上方に突出するように(底面が窪むように)形成されている。この係合部35は、床プレート40のロードセル41と対応する位置に設けられている。
【0046】
下部側壁部32は、受け部31の周縁から起立する壁である。なお、図4及び図5に示すように、本実施形態の動物用トイレ1では、下部側壁部32の上端と上容器20(周縁部211)との間に隙間があり、下部側壁部32は上容器20と接触していない。よって、下容器30には上容器20の重力が作用しないことになる。
【0047】
取手部33は、下部側壁部32の外面に配置されている。取手部33は、下容器30の短手方向の辺に1箇所ずつ、向かい合って計2箇所設けられている。取手部33は、下容器30の外側に突出するように設けられている。
【0048】
(床プレート40の構成)
床プレート40は、床上に設置されて、上容器20及び下容器30を支持する板状の部材である。このため、床プレート40は、図1に示すように、上容器20の四隅の足部223よりも外側に出るような大きさに設けられている。但し、床プレート40は、少なくとも、下容器30を支持していればよい。つまり、床プレート40が上容器20の四隅の足部223よりも内側に形成されていてもよい。この場合、上容器20の足部223は床上に配置され、上容器20は床に支持されることになる。
【0049】
図2に示すように、床プレート40には、ロードセル41と制御部42が設けられている。
【0050】
ロードセル41は、加えられた力を電気信号に変換して出力するセンサーである。ロードセル41は、床プレート40の上に設けられており、且つ、下容器30の下方に位置している。このため、ロードセル40は、下容器30から受ける力に応じた信号を出力する。換言すると、ロードセル41は、下容器30の受け部31が受けた排泄物(貫通孔21aを通過した尿)の量の多さに応じて変化する信号を出力する。本実施形態のロードセル41は、円柱(コラム)形状の圧縮型のものであり、床プレート40上に間隔をあけて4個配置されている。そして、これら4個のロードセル41には下容器30から均等に力が加えられる。
【0051】
また、図4及び図5に示すように、各ロードセル41は、下容器30の係合部35と係合している。これにより、下容器30と床プレート40との位置ずれや偏りを抑制することができる。また、図5に示すように、下容器30の受け部31の下面と、床プレート40の上面との間には隙間がある。これにより、下容器30の重力がロードセル41のみに作用することになる。また、床プレート40上のロードセル41及び制御部42は、防水加工が施されている。これにより、下容器30と床プレート40とを分離して、床プレート40を水洗いすることができる。
【0052】
制御部42は、不図示の信号線によりロードセル41と接続されており、ロードセル41から出力される信号に基づいて尿量を検出する。前述したように、制御部42は、上容器20の表示部26と無線にて通信可能であり、尿量の検出結果を表示部26に表示させる。
【0053】
図6は、制御部42の構成の一例を示すブロック図である。
制御部42は、通信部421と、記憶部422と、処理部423と、電池424とを有している。
【0054】
通信部421は、表示部26の通信部との間で無線による通信を行う部位である。
【0055】
記憶部422は、RAM、ROMなどから構成されており、各種のデータやプログラムを記憶する部位である。本実施形態の記憶部422には、尿量検出プログラム、排泄物処理材24と関連付けられた補正値、尿量検出結果データ、1回あたりの尿量の閾値などが記憶されている。
【0056】
処理部423は、CPUなどで構成されており各種の演算を行う部位である。例えば、処理部423は、記憶部422に記憶された尿量検出プログラムを実行して尿量の検出の演算処理を行う。
【0057】
電池424は、床プレート40の各部(制御部42及びロードセル41)に電力を供給するための電池である。本実施形態では電池424として小型のボタン電池を用いている。電池424は、使い切りタイプの電池(一次電池)でもよいし、充電することで繰り返し使用できるタイプの電池(二次電池)でもよい。なお、電池424を用いずに、家庭用コンセントなどの外部電源からコードを介して電力を供給するようにしてもよいが、その場合、動物がコードに引っ掛かったり感電したりするおそれがある。これに対し、本実施形態の動物用トイレ1では、電池424を用いているので、安全性の向上を図ることができる。
【0058】
本実施形態では、制御部42を床プレート40の上面に設けているが、制御部42の配置はこれに限られない。例えば、床プレート40の内部に制御部42を設けてもよい。その場合、電池424は、制御部42とは別に(交換可能な位置に)設けることが望ましい。
【0059】
<動物用トイレ1による尿量測定の動作>
次に、動物用トイレ1による尿量測定の動作について説明する。
【0060】
まず、予め、上容器20に収容した排泄物処理材24の種類を設定しておく。この設定は、表示部26の入力部(ボタンなど)で実行できるようになっている。排泄物処理材24を示すデータは、表示部26から無線にて制御部42に送信され、制御部42の通信部421で受信される。制御部42の処理部423は、そのデータに基づき、記憶部422を参照し、上容器20の排泄物処理材24に関連づけられた補正値を設定する。
【0061】
猫等の動物が、上容器20の底部21上に排尿すると、その尿は、粒状の排泄物処理材24間の隙間及び貫通孔21aを通って、下方の下容器30の受け部31へ落下する。なお、動物の糞便は貫通孔21aを通らないので、底部21上に留まる。すなわち、尿のみが下容器30に落下することになる。そして、落下した尿は受け部31の吸収性シート34に吸収される。これにより、吸収性シート34の重量が増加する(すなわち、ロードセル41が下容器30から受ける力が増加する)。そして、ロードセル41は、下容器30から受けた力に応じた信号を出力する。
【0062】
図7は、ロードセル41の出力信号の時間変化の一例を示す図である。図7の横軸は時間であり、縦軸は重量(ロードセル41の出力信号に対応した量)である。
【0063】
時間taまでは重量がWaでほぼ一定である。この重量Waは、下容器30の重量と吸収性シート34(吸収された尿も含む)の重量との加算値である。このように重量に変化がないとき、制御部42は待機モード(スリープモード)になっている。時間taの直前で動物が動物用トイレ1に来て排尿する。これにより時間taで尿が下容器30の受け部31(吸収性シート34)に落下し、重量が増え始める(ロードセル41の出力信号が変化する)。制御部42は、その変化を検出すると、待機モードから通常モードに切り替わり、重量(尿量)測定を開始する。時間ta?tbでは、ほぼ一定の割合で重量が増えている。そして、時間tbで重量がWbとなり、その後、重量が変化しなくなる(ロードセル41の出力信号が変化しなくなる)。所定期間重量の変化が無いと判断すると、制御部42は、重量測定を終了する。
【0064】
そして、制御部42の処理部423は、重量が増え始めたときの重量Wa(排尿前のロードセル41の出力信号)と、重量の増加が止まった時の重量Wb(排尿後のロードセル41の出力信号)との差分(Wb-Wa)を算出する。この差分が、1回あたりの排尿により排出された尿量に相当する。
【0065】
また、処理部423は上記差分に、排泄物処理材24に対して予め設定された補正値を加算する。これにより、尿量をさらに正確に算出できる。そして、制御部42は、検出結果を上容器20の表示部26に表示させる。
【0066】
しばらく動物が排尿しなければ、水分の蒸発などにより、重量は次第に減るが、動物が排尿すると重量は再度増加する。この場合も、重量が増加する前のロードセル41の出力信号と、増加が止まった時のロードセル41の出力信号の差分を算出する。これにより、1回ごとの尿量の計測精度を高めることができる。また、その差分に補正値を加算することで、尿量の計測精度をさらに高めることができる。この繰り返しにより、制御部42は、1回ごとの尿量を検出し、表示部26に表示させる。こうすることで、尿量に症状が現れる病気の早期発見が可能になる。例えば、尿量が多くなる慢性腎不全の早期発見が可能になる。なお、制御部42が、1回ごとの検出結果(尿量)と、記憶部422に記憶された閾値との比較を行なうようにしてもよい。そして、尿量が閾値を超えた場合、例えば、表示部26を発光させたり、スピーカー(不図示)などから警報音を発生させたりして、異常であることを通知させるようにしてもよい。こうすることで、異常の発見が容易になる。
【0067】
また、1回ごとの尿量の検出結果は、記憶部422に記憶されており、処理部423は、記憶部422を参照して、1回ごとの尿量を加算した累積尿量も算出できる。本実施形態の表示部26は、設定(入力部による表示内容の切り替え)に応じて、累積尿量も表示できる。これにより、吸収性シート34の取り換え時期を容易に判断することができる。また、尿量の変化履歴を表示することで、動物の体調管理を行うこともできる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の動物用トイレ1は、上下方向に貫通する複数の貫通孔21aが底部21に形成された上容器20と、複数の貫通孔21aを通過した尿を受ける受け部31を備え、上容器20の重力が作用しない下容器30と、受け部31が受けた尿の量の多さに応じて変化する信号を出力するロードセル41と、を有している。これにより、糞便の重量と尿の重量を混同せずに、尿量のみを計測することができる。また、尿量を計測することにより、尿量に症状の現れる病気(慢性腎不全など)を早期に発見したり、尿を吸収する吸収性シート34の交換時期を判断しやすくしたりすることができる。」


「【0081】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0082】
上記の実施形態では、動物用トイレ1は、受け部31が下容器30に設けられているタイプ(上容器を下容器にかぶせるタイプ)のものであったが、これには限られない。例えば、下容器に対してトレイ(受け部)を出し入れするタイプの動物用トイレに適用してもよい。
【0083】
また、上記の実施形態では、動物用トイレ1には制御部(制御部42、上容器用制御部44)や表示部26が設けられていたが、これには限られない。例えば、外部端末(パソコン、携帯端末など)に制御部や表示部が設けられていてもよい。そして、各ロードセルの出力信号を外部端末に送信して、外部端末にて計測や表示を行なうようにしてもよい。
【0084】
また、上記の実施形態では、ロードセル41、及び、ロードセル43は円柱形状であったが、これには限られない。例えば、シート状のものや円環状のものなど、他の形状のロードセルであってもよい。」


第3 当審の判断
1 本件発明13について
(1)特許法第36条第6項第2号(明確性)について
申立人は申立書において、本件発明13は「動物用トイレ」と「端末」を有する「システム」の発明であるところ、請求項13には「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出し、」との記載があるが、「出力部から出力される信号に基づいて排泄物の1回ごとの量を検出」する主体および、「検出された排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出」する主体が特定されておらず、本来必要な主体に関する発明特定事項が不足しているから、不明確である旨を主張している(申立書第49頁第15行-第50頁第16行参照)。
しかしながら、請求項13における「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出し、」という、処理動作に関する記載の前には、「・・・動物用トイレと、表示部を備えた端末と、を有するシステムであって、」と記載されており、また当該処理動作に関する記載の後には、「・・・表示させることを特徴とするシステム。」と記載されていることから、本件発明13においては、当該処理動作の主体は「システム」であることが明確である。また請求項13において、当該処理動作の主体が、「システム」のうち「動物用トイレ」であるのか「端末」であるのかは特定されていないが、本件発明13の「システム」について、前述の処理動作を実行する主体がシステム内のいずれの部材であるかまで限定しなければ、第三者の利益が不当に害されるほどに、当該「システム」の発明が不明確となるような事情はない。
したがって、本件発明13について、「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出し、」という処理動作の主体が、システム内のいずれの部材であるかを特定する記載が存在しないことにより、発明が不明確となっているという程のことはなく、これに反する申立人の主張は採用することができない。
よって、本件発明13に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものではない。

(2)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
申立人は申立書において、本件明細書に記載される第1実施形態及び第2実施形態は、「出力部から出力される信号に基づいて排泄物の1回ごとの量を検出」する主体及び「検出された排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出」する主体である「制御部42」と、「表示部26」との両方を、「動物用トイレ」自体が備える発明であり、また本件明細書の段落【0083】における「また、上記の実施形態では、動物用トイレ1には制御部(制御部42、上容器用制御部44 )や表示部26が設けられていたが、これには限られない。例えば、外部端末(パソコン、携帯端末など)に制御部や表示部が設けられていてもよい。そして、各ロードセルの出力信号を外部端末に送信して、外部端末にて計測や表示を行なうようにしてもよい。」との記載は、制御部と表示部との両方を外部端末に設ける態様を示すのみであるから、結局のところ本件明細書に開示されているのは、(A)制御部と表示部の両方が動物用トイレに設けられている、(B)制御部と表示部の両方が外部端末に設けられている、という2つの態様のみであり、「システム」の発明としては、前記(B)の態様以外には記載されていない旨を主張している。
そして、申立人は申立書において、本件発明13は「動物用トイレ」と「表示部を備えた端末」を有する「システム」の発明であるところ、「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出し、」という処理の動作主体が特定されておらず、「表示部」が「端末」に存在する「システム」の発明でありながら、排泄物の量の検出や累積排泄物量の算出を行う制御部が「表示部」とともに「端末」に存在する上記(B)の態様に限定されていないから、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされておらず、また出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できる範囲を超えている旨を主張している(申立書第44頁第15行-第48頁第2行)。
しかしながら、明細書の段落【0083】の記載は、「また、上記の実施形態では、動物用トイレ1には制御部(制御部42、上容器用制御部44 )や表示部26が設けられていたが、これには限られない。」という部分で、必ずしも制御部と表示部との両方を動物用トイレに設ける必要がないことを示したうえで、「例えば、外部端末(パソコン、携帯端末など)に制御部や表示部が設けられていてもよい。」以降の部分で、例示として外部端末に制御部や表示部を設けてもよいことを示すものである。そのため、同段落の後段の例示の部分で、「外部端末・・・に制御部や表示部が設けられていてもよい。」という記載がされているからといって、制御部と表示部とを必ずセットとして同一部材上に設けなければならないことが示されている訳ではない。また本件明細書において、段落【0049】に「図2に示すように、床プレート40には、ロードセル41と制御部42が設けられている。」と記載され、段落【0052】に「前述したように、制御部42は、上容器20の表示部26と無線にて通信可能であり、尿量の検出結果を表示部26に表示させる。」と記載されるように、制御部42と表示部26とを無線通信させてそれぞれ別の部材上に設置することが示されていることを考慮すれば、上述した段落【0083】の記載は、必ずしも同一部材上に配置する必要がない制御部と表示部とについて、外部端末と動物用トイレとを含めた設置の自由度を述べたものと解することができる。
これに反して、外部端末を用いる場合について、本件明細書には制御部と表示部の両方を外部端末に設ける前記(B)の態様以外は記載も示唆もされておらず、たとえ技術常識を考慮したとしても、当該(B)の態様と異なる態様を含む拡張や一般化はできないから、本件発明13は本件明細書等に記載された範囲を超えている旨をいう申立人の主張は、採用することができない。
よって、本件発明13に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものではない。

(3)特許法第29条の2(拡大先願)について
ア 対比
本件発明13と、上記第2の3(1)イに認定した拡大先願発明とを対比する。本件発明13が「システム」の発明であることから、拡大先願発明については「計測した排泄物の重量」を「外部の機器に送信」する選択肢に着目して、「ペット用トイレ1(動物用トイレ)と外部の機器との組み合わせ」との対比を行う。
拡大先願発明における「ペット用トイレ1(動物用トイレ)」及び「外部の機器」は、それぞれ本件発明13における「動物用トイレ」及び「端末」に相当し、拡大先願発明における「ペット用トイレ1(動物用トイレ)と外部の機器との組み合わせ」は、本件発明13における「システム」に相当する。
拡大先願発明における「凹型の容器のような形状」である「計測台12」は、本件発明13における「上容器」に相当し、拡大先願発明における計測台12の「底面」は、本件発明13における上容器の「底部」に相当する。
拡大先願発明における計測台12の底部に、「メッシュ12a」が形成されており、「動物の排泄物である尿」は「メッシュ12aを通過して排泄トレイ13の上に落ちる」が「糞および動物が咥えてきた物体等は通過させ」ないことは、本件発明13における上容器の底部に「上下方向に貫通する複数の孔」が形成されていることに相当する。
拡大先願発明において、「計測台12の下に配置」されており、「メッシュ12aを通過」した「排泄物」である尿を受ける「排泄トレイ13」は、本件発明13における「複数の孔を通過した排泄物を受ける受け部を備え」た「下容器」に相当する。また、拡大先願発明において、「排泄トレイ13」に「計測台12および動物の重量が掛からない」ことは、本件発明13において、「下容器」に「上容器の重力が作用しない」点に相当する。
拡大先願発明において、「第1重量計21」が、「本体容器10の底部の穴を貫通して排泄トレイ13を支持」し、「排泄物を含む排泄トレイ13の重量を計測」して「排泄物の有無による排泄トレイ13の重量の変化を計測することができ」、かつ「計測値を制御装置23に出力」することは、本件発明13において、「出力部」が「受け部が受けた前記排泄物の量の多さに応じて変化する信号を出力する」ことに相当し、拡大先願発明における「第1重量計21」は、本件発明13における「出力部」に相当する。
拡大先願発明において、「制御装置23」が備える「センサ駆動部26」が「一定の周期で第1重量計21に計測を行わせ」、「制御装置23」が備える「制御部27」が「第1重量計21の計測値が変化した時点を動物が排泄をした時点と判定し、排泄が行われた後の計測値から排泄が行われる前の計測値を減じることにより、尿である排泄物の重量を特定」して、「計測した排泄物の重量」を「外部の機器に送信」する構成と、本件発明13において、「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出」し、「前記累積排泄物量」を「端末」が備える「前記表示部に表示させる」構成とを対比する。本件発明13の当該構成では、上記(1)で検討したとおり、「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出」する主体を特定しておらず、「システム」を構成する「動物用トイレ」の側で当該「算出」までの処理を行ったうえで、算出した当該「累積排泄物量」を「端末」に提供して、端末が有する「前記表示部」に「表示させる」態様を含んでいる。また、拡大先願発明において外部の機器に送信される「計測した排泄物の重量」と、本件発明13において端末の「前記表示部」に「表示」させる「累積排泄物量」とは、「排泄物量」という点で共通する。そのため、拡大先願発明における前述の構成と、本件発明13における上記構成とは、「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の量を検出し、排泄物量を端末に提供する」という点で共通する。

以上を整理すると、本件発明13と拡大先願発明とは、
「上下方向に貫通する複数の孔が底部に形成された上容器と、前記複数の孔を通過した排泄物を受ける受け部を備え、前記上容器の重力が作用しない下容器と、前記受け部が受けた前記排泄物の量の多さに応じて変化する信号を出力する出力部とを有する動物用トイレと、
端末と、
を有するシステムであって、
前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の量を検出し、排泄物量を端末に提供する、システム。」
の点で一致し、次の点で少なくとも形式的には相違する。

<相違点1>
表示する情報、及び当該表示する情報の生成に関して、
本件発明13では、「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出し、前記累積排泄物量を前記表示部に表示させる」と特定されているのに対し、
拡大先願発明では、「累積排泄物量」を算出も表示もしておらず、また「累積排泄物量」の算出のために、「排泄物の1回ごとの量」を検出し「検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出する」という手順も取らない点。

<相違点2>
表示の手段に関し、
本件発明13では、「端末」が「表示部」を備えており、「端末」の「表示部」に「表示させる」のに対し、
拡大先願発明では、「計測した排泄物の重量」を「外部の機器に送信」する場合、「外部の機器」が「表示部」を備えて送信された情報を当該「外部の機器」の「表示部に表示させる」とは特定されていない点。

イ 判断
上記相違点1について検討する。
(ア)
本件明細書の段落【0063】-【0067】には、次の記載がある。
「【0063】
・・・・このように重量に変化がないとき、制御部42は待機モード(スリープモード)になっている。時間taの直前で動物が動物用トイレ1に来て排尿する。これにより時間taで尿が下容器30の受け部31(吸収性シート34)に落下し、重量が増え始める(ロードセル41の出力信号が変化する)。制御部42は、その変化を検出すると、待機モードから通常モードに切り替わり、重量(尿量)測定を開始する。時間ta?tbでは、ほぼ一定の割合で重量が増えている。そして、時間tbで重量がWbとなり、その後、重量が変化しなくなる(ロードセル41の出力信号が変化しなくなる)。所定期間重量の変化が無いと判断すると、制御部42は、重量測定を終了する。
【0064】
そして、制御部42の処理部423は、重量が増え始めたときの重量Wa(排尿前のロードセル41の出力信号)と、重量の増加が止まった時の重量Wb(排尿後のロードセル41の出力信号)との差分(Wb-Wa)を算出する。この差分が、1回あたりの排尿により排出された尿量に相当する。
【0065】
・・・・・・・
【0066】
しばらく動物が排尿しなければ、水分の蒸発などにより、重量は次第に減るが、動物が排尿すると重量は再度増加する。この場合も、重量が増加する前のロードセル41の出力信号と、増加が止まった時のロードセル41の出力信号の差分を算出する。これにより、1回ごとの尿量の計測精度を高めることができる。・・・・・・・・。
【0067】
また、1回ごとの尿量の検出結果は、記憶部422に記憶されており、処理部423は、記憶部422を参照して、1回ごとの尿量を加算した累積尿量も算出できる。・・・・・。」
当該明細書の記載から、本件発明13における「累積排泄物量」は、「累積」されない「排泄物量」とは区別されるものであるとともに、「累積排泄物量」を算出するうえで、「1回ごと」の排泄物量を検出しておき、検出した排泄物の「1回ごとの量」を「加算」して算出するという具体的な手順をとることにより、排泄と排泄との間に生じる水分量の蒸発の影響を避けた累積排泄物量が算出できる、という効果が得られることが、理解できる。
したがって、相違点1に係る構成は、表示する情報それ自体、及び、当該表示する情報を生成するための具体的手法という2つの面で、技術的意味を有する構成であるから、単なる表現上の相違ということはできない。
これに対して、先願明細書等には、累積排泄物量の情報を生成することや表示すること、及び、表示する累積排泄物量の情報を生成するために、排泄物の1回ごとの量を加算するという具体的演算手法をとることは、いずれも記載されておらず、両構成を同時に採用することは記載も示唆もされていない。
(イ)
また、甲第2号証?甲第5号証に記載された事項を考慮しても、拡大先願発明において前述の両構成を採用することが、当該技術分野における周知慣用技術の単なる付加あるいは転用であって新たな効果を奏さないものということはできない。
すなわち、申立人が周知慣用技術の証拠であることの裏付けとして提出した甲第2号証には、上記第2の3(2)に摘記した事項が記載されているが、甲第2号証は動物の薬理学的研究等のために、動物をケージ内に格納して飼育し、飲水量や排尿量を精密に測定し続ける状況を想定しており、単なる「ペット用トイレ1」または「ペット用トイレ1」を外部の機器と組み合わせる拡大先願発明とは、動物の排泄物量測定まで一般化した場合の技術分野は共通するものの、具体的な装置又はシステムとして見た場合には前提が異なる。また、甲第2号証においては、「排尿重量」-「設定しきい値前排尿重量」(設定しきい値を超える変化が生じる直前の排尿重量)により「今回排尿量」を演算しているにもかかわらず、「排尿量」自体は「今回排尿量」を積算して算出することなく「排尿重量-初期の排尿重量」によって演算しているから、相違点1に係る本件発明13の構成における「累積排泄物量」の演算手法を示すものではないし、甲第2号証が「累積排泄物療」の異なる演算手法を採用していることからすれば、拡大先願発明において「累積排泄物量」を演算する際には当然に1回毎の排泄物量を加算する演算手法をとるということもできない。そして、当該演算手法をとることにより、本件発明13では排尿と排尿の間の水分蒸発の影響を避けた累積排泄物量が算出できる、という効果を奏することも、先に検討したとおりである。
申立人が周知慣用技術の証拠であることの裏付けとして提出した甲第3号証には、上記第2の3(3)に摘記した事項が記載されているが、甲第3号証は排尿障害を有する人間の患者が、携帯排尿日誌記録装置100を用いて各排尿の時間を測定し、当該測定で得たデータから詳細な排尿日誌を作成することに関するものであり、単なる「ペット用トイレ1」または「ペット用トイレ1」を外部の機器と組み合わせる拡大先願発明とは、その前提及び用いる装置がいずれも異なる。
申立人が周知慣用技術の証拠であることの裏付けとして提出した甲第4号証には、上記第2の3(4)に摘記した事項が記載されているが、甲第4号証は人間の被験者が、取っ手10を有する支持体に取り付けた排尿容器6に排尿した尿の量を、排尿後に計測部10にセットして計測し、計測したデータから詳細な記録を作成することに関するものであり、単なる「ペット用トイレ1」または「ペット用トイレ1」を外部の機器と組み合わせる拡大先願発明とは、その前提及び用いる装置がいずれも異なる。
申立人が周知慣用技術の証拠であることの裏付けとして提出した甲第5号証には、上記第2の3(5)に摘記した事項が記載されているが、甲第5号証は人間の患者について、便器1に患者IDを識別して尿量軽量部3の開閉弁9を制御するマイクロ波式識別装置14を設け、尿量軽量部3で計量された尿の重量から、患者のIDデータとともに詳細な計量結果データを生成することに関するものであり、単なる「ペット用トイレ1」または「ペット用トイレ1」を外部の機器と組み合わせる拡大先願発明とは、その前提及び用いる装置がいずれも異なる。
(ウ)
したがって、相違点1に係る本件発明13の構成は、甲第2号証ないし甲第5号証に示される技術的事項を考慮しても、拡大先願発明におけるペット用トイレ1と外部の機器との組み合わせを実施するに際して、技術を具体化するうえでの微差とも、単なる周知技術の付加であって新たな効果を奏さないものともいうことができない。
よって、相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明13は、相違点2について検討することを要さず、拡大先願発明と同一ではない。

ウ 申立人の主張について
申立人は申立書において、甲第2号証ないし甲第5号証に記載される各技術的事項に示されるように、生物の排泄物(排尿)を受ける容器の重量を検出することで排泄物(排尿)の量を測定するシステムにおいて、累積排泄物量を算出し、累積排泄物量を外部の機器の表示部に表示させることは、排尿量や回数は健康状態を調べるための指標となるという一般的な技術常識からも、対象が動物であるか人間であるかにに関わらず、従来から適宜に行われている周知の事項である旨を主張している。
具体的には、申立人は、甲第2号証では、「動物用飲水量・排尿量自動測定システム(30)」において、排尿重量測定部(4)のロードセル(12)によって測定される重量を用いて、「排尿重量-設定しきい値前排尿重量」によって演算される「今回排尿量」、及び「排尿重量-初期の排尿重量」によって演算される「排尿重量」を求めるという技術的事項が開示されている旨を主張している。そして、甲第2号証における「今回排尿量」は、本件発明13の「排泄物の1回ごとの量」に相当し、また甲第2号証における「排尿重量」は、「排泄物の1回ごとの量を加算して」算出していないとはいえ、本件発明13における「累積排泄物量」に相当し、単なる計算方法の違いは設計事項に過ぎない旨を主張している。
また申立人は、甲第3号証ないし甲第5号証にも、それぞれ本件発明13における「排泄物の1回ごとの量」及び「累積排泄物量」に相当する量を算出し表示することが示されている旨を主張している。
そして申立人は、上記甲第2号証ないし甲第5号証にも示されるとおり、相違点1は従来から適宜に行われている周知の事項であるから、相違点1は実際の相違点ではなく、本件発明13は拡大先願発明と同一である旨を主張している(申立書第40頁第2行-第43頁第16行)。
しかしながら、上記イに判断したとおり、甲第2号証ないし甲第5号証に示される技術的事項を考慮しても、相違点1に係る本件発明13の構成は、拡大先願発明におけるペット用トイレ1と外部の機器との組み合わせを実施するに際して、技術を具体化するうえでの微差とも、単なる周知技術の付加であって新たな効果を奏さないものともいうことができないから、上記申立人の主張は採用することができない。

エ 小括
以上のとおりであるから、本件発明13は、拡大先願発明と同一ではなく、本件発明13に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。

(4)特許法第29条第1項第3号及び同条第2項(新規性及び進歩性)について
ア 分割要件について
申立人は申立書において、本件の原出願である特願2018-112699号の明細書に開示されている制御部及び表示部の態様は、本件明細書に開示されている制御部及び表示部の態様と同様に、(A)制御部と表示部の両方が動物用トイレに設けられている、(B)制御部と表示部の両方が外部端末に設けられている、という2つの態様のみであり、「システム」の発明としては、前記(B)の態様以外には記載されていないから、サポート要件違反について主張したと同様の理由で、本件発明13は、原出願の出願当初の明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、新規事項の追加により分割要件を満たしていない旨を主張している(申立書第50頁第18行-第52頁第16行)。
そして申立人は、原出願に対する分割要件を満たさない本件発明13は、出願日の遡及効が認められず、最初の原出願の特許公報である甲第6号証が公知となった後に出願されたこととなるから、甲第6号証に記載された発明に照らして新規性及び進歩性を満たさない旨を主張している(申立書第54頁第9行-第55頁第10行)。
しかしながら、上記(2)で判断したとおり、本件発明13は、本件明細書の記載に対して、申立人が主張するサポート要件違反を有するものではないから、本件明細書と同様の記載を有する原出願の当初明細書に対して、新規事項を追加したものではない。
そのため、本件発明13に関して、申立人が主張する理由による分割要件違反はない。また、その他に、本件発明13について、原出願、原原出願、及び最初の原出願との関係において、分割要件を満たさないとする事情は見いだせない。
したがって、本件発明13について、分割要件違反はない。

新規性進歩性について
本件発明13について、分割要件違反はないから、本件発明13について、新規性及び進歩性の判断基準日は、最初の原出願の出願日である平成27年12月25日となる。
そして、当該基準日より後の平成30年7月4日に発行された甲第6号証は、本件発明13について、特許出願前に頒布された刊行物ではないから、本件発明13は、甲第6号証を証拠として、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するものではなく、また本件発明13に係る特許は、同条第2項の規定に違反してされたものではない。

2 本件発明14について
(1)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
申立人は申立書において、本件発明13について主張したと同様に、結局のところ本件明細書に開示されているのは、(A)制御部と表示部の両方が動物用トイレに設けられている、(B)制御部と表示部の両方が外部端末に設けられている、という2つの態様のみであり、「表示部」が動物用トイレとは異なる端末に設けられた発明としては、前記(B)の態様以外には記載されていない旨を主張している。
そして申立人は、本件発明14は「動物用トイレとは異なる端末の表示部」に表示を行わせる「動物用トイレ」の発明でありながら、排泄物の量の検出や累積排泄物量の算出を行う制御部が「動物用トイレ」に存在するから、「制御部」が「表示部」とともに「端末」に存在する上記(B)の態様とは異なるものであり、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされておらず、また出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できる範囲を超えている旨を主張している(申立書第48頁第4行-第49頁第14行)。
しかしながら、上記1(2)で本件発明13に関して判断したとおり、本件明細書には、必ずしも同一部材上に配置する必要がない制御部と表示部とについて、外部端末と動物用トイレとを含めた設置の自由度を述べたものと解することができるから、本件発明14についても、申立人がいうサポート要件違反はない。
これに反して、外部端末に表示部を設ける場合について、本件明細書には制御部と表示部の両方を外部端末に設ける前記(B)の態様以外は記載も示唆もされておらず、たとえ技術常識を考慮したとしても、当該(B)の態様と異なる態様を含む拡張や一般化はできないから、本件発明14は本件明細書等に記載された範囲を超えている旨をいう申立人の主張は、採用することができない。
よって、本件発明14に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものではない。

(2)特許法第29条の2(拡大先願)について
ア 対比
本件発明14と、上記第2の3(1)イに認定した拡大先願発明とを対比する。拡大先願発明については「計測した排泄物の重量」を「外部の機器に送信」する選択肢に着目して、対比を行う。
拡大先願発明における「ペット用トイレ1(動物用トイレ)」及び「外部の機器」は、それぞれ本件発明14における「動物用トイレ」及び「端末」に相当する。
拡大先願発明における「凹型の容器のような形状」である「計測台12」は、本件発明14における「上容器」に相当し、拡大先願発明における計測台12の「底面」は、本件発明14における上容器の「底部」に相当する。
拡大先願発明における計測台12の底部に、「メッシュ12a」が形成されており、「動物の排泄物である尿」は「メッシュ12aを通過して排泄トレイ13の上に落ちる」が「糞および動物が咥えてきた物体等は通過させ」ないことは、本件発明14における上容器の底部に「上下方向に貫通する複数の孔」が形成されていることに相当する。
拡大先願発明において、「計測台12の下に配置」されており、「メッシュ12aを通過」した「排泄物」である尿を受ける「排泄トレイ13」は、本件発明14における「複数の孔を通過した排泄物を受ける受け部を備え」た「下容器」に相当する。また、拡大先願発明において、「排泄トレイ13」に「計測台12および動物の重量が掛からない」ことは、本件発明14において、「下容器」に「上容器の重力が作用しない」点に相当する。
拡大先願発明において、「第1重量計21」が、「本体容器10の底部の穴を貫通して排泄トレイ13を支持」し、「排泄物を含む排泄トレイ13の重量を計測」して「排泄物の有無による排泄トレイ13の重量の変化を計測することができ」、かつ「計測値を制御装置23に出力」することは、本件発明14において、「出力部」が「受け部が受けた前記排泄物の量の多さに応じて変化する信号を出力する」ことに相当し、拡大先願発明における「第1重量計21」は、本件発明14における「出力部」に相当する。
拡大先願発明における「制御装置23」は、本件発明14における「制御部」に相当する。
拡大先願発明において、「制御装置23」が備える「センサ駆動部26」が「一定の周期で第1重量計21に計測を行わせ」、「制御装置23」が備える「制御部27」が「第1重量計21の計測値が変化した時点を動物が排泄をした時点と判定し、排泄が行われた後の計測値から排泄が行われる前の計測値を減じることにより、尿である排泄物の重量を特定」して、「計測した排泄物の重量」を「外部の機器に送信」する構成と、本件発明14において、「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出する制御部」を有したうえで、「動物用トイレ」が「前記累積排泄物量」を、「動物用トイレとは異なる端末の表示部に表示させる」構成とを対比する。拡大先願発明において外部の機器に送信される「計測した排泄物の重量」と、本件発明14において端末の「前記表示部」に「表示」させる「累積排泄物量」とは、「排泄物量」という点で共通する。そのため、拡大先願発明における前述の構成と、本件発明14における上記構成とは、「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の量を検出する制御部を有し、排泄物量を動物用トイレとは異なる端末に提供する」という点で共通する。

以上を整理すると、本件発明14と拡大先願発明とは、
「上下方向に貫通する複数の孔が底部に形成された上容器と、
前記複数の孔を通過した排泄物を受ける受け部を備え、前記上容器の重力が作用しない下容器と、
前記受け部が受けた前記排泄物の量の多さに応じて変化する信号を出力する出力部と、
前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の量を検出する制御部と、
を有する動物用トイレであって、
前記動物用トイレとは異なる端末に、排泄物量を提供する、
動物用トイレ。」
の点で一致し、次の点で少なくとも形式的には相違する。

<相違点1’>
表示する情報、及び当該表示する情報の生成に関して、
本件発明14では、制御部が「前記出力部から出力される前記信号に基づいて前記排泄物の1回ごとの量を検出し、検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出」したうえで、「動物用トイレとは異なる端末の表示部に、前記累積排泄物量を表示させる」と特定されているのに対し、
拡大先願発明では、「累積排泄物量」を算出も表示もしておらず、また「累積排泄物量」の算出のために、「排泄物の1回ごとの量」を検出し「検出された前記排泄物の1回ごとの量を加算して累積排泄物量を算出する」という手順も取らない点。

<相違点2’>
表示の手段に関し、
本件発明14では、「動物用トイレとは異なる端末」が「表示部」を備えており、該「端末」の「表示部」に「表示させる」のに対し、
拡大先願発明では、「計測した排泄物の重量」を「外部の機器に送信」する場合、「外部の機器」が「表示部」を備えて送信された情報を当該「外部の機器」の「表示部に表示させる」とは特定されていない点。

イ 判断
上記相違点1’は、上記1(3)で検討した相違点1と同様に、実質的な相違点であり、その理由も上記1(3)において述べたとおりである。これに反する申立人の主張も、本件発明13についての主張と同旨であり(申立書第43頁第18行-第44頁第12行)、上記1(3)ウで指摘したとおり、採用することができない。
よって、本件発明14は、相違点2’について検討することを要さず、拡大先願発明と同一ではない。
以上のとおりであるから、本件発明14に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。

(3)特許法第29条第1項第3号及び同条第2項(新規性及び進歩性)について
申立人は申立書において、本件の原出願である特願2018-112699号の明細書に開示されている制御部及び表示部の態様は、本件明細書に開示されている制御部及び表示部の態様と同様に、(A)制御部と表示部の両方が動物用トイレに設けられている、(B)制御部と表示部の両方が外部端末に設けられている、という2つの態様のみであり、表示部を動物用トイレとは異なる端末に設ける発明としては、前記(B)の態様以外には記載されていないから、サポート要件違反について主張したと同様の理由で、本件発明14は、原出願の出願当初の明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、新規事項の追加により分割要件を満たしていない旨を主張している(申立書第52頁第18行-第54頁第6行)。
そして申立人は、原出願に対する分割要件を満たさない本件発明14は、出願日の遡及効が認められず、最初の原出願の特許公報である甲第6号証が公知となった後に出願されたこととなるから、本件発明14は本件発明13について主張するのと同様の理由により、甲第6号証に記載された発明に照らして新規性及び進歩性を満たさない旨を主張している(申立書第55頁第12行-第56頁第10行)。
しかしながら、上記(1)で判断したとおり、本件発明14は、本件発明13と同様、本件明細書の記載に対して、申立人が主張するサポート要件違反を有するものではないから、本件明細書と同様の記載を有する原出願の当初明細書に対して、新規事項を追加したものではない。
そのため、本件発明14に関しても、本件発明13と同様、分割要件違反はなく、新規性及び進歩性の判断基準日は、最初の原出願の出願日である平成27年12月25日となる。
そして、当該基準日より後の平成30年7月4日に発行された甲第6号証は、本件発明14について、特許出願前に頒布された刊行物ではないから、本件発明14は、甲第6号証を証拠として、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するものではなく、また本件発明14に係る特許は、同条第2項の規定に違反してされたものではない。


第4 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項13?14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項13?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-06-26 
出願番号 特願2018-136190(P2018-136190)
審決分類 P 1 652・ 537- Y (A01K)
P 1 652・ 16- Y (A01K)
P 1 652・ 113- Y (A01K)
P 1 652・ 121- Y (A01K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 坂田 誠  
特許庁審判長 秋田 将行
特許庁審判官 有家 秀郎
西田 秀彦
登録日 2018-10-19 
登録番号 特許第6421270号(P6421270)
権利者 ユニ・チャーム株式会社
発明の名称 動物用トイレ及びシステム  
代理人 一色国際特許業務法人  
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