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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A44C
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A44C
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A44C
管理番号 1353413
審判番号 無効2018-800016  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-02-09 
確定日 2019-06-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5960336号発明「装身具」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5960336号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-6]について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1 本件特許第5960336号の請求項1ないし6に係る発明についての出願は、平成27年10月5日の特許出願であって、平成28年7月1日に特許権の設定登録がなされた(請求項の数6)。

2 本件特許について、平成30年2月9日に株式会社クロスフォーから、本件特許を無効にすることを求める旨の無効審判がなされた。
以下に、本件審判の請求以後の経緯を整理して示す。

平成30年 2月 9日 審判請求書及び甲第1ないし6号証の提出(請求人)
平成30年 3月 2日付け 手続補正指令(方式)
平成30年 3月23日 手続補正書(請求人)
平成30年 5月23日 答弁書及び乙第1ないし4号証の提出(被請求人)
平成30年 5月23日 訂正請求書(被請求人)
平成30年 6月 6日付け 手続補正指令(方式)
平成30年 6月19日 手続補正書(被請求人)
平成31年 2月12日付け 書面審理通知
平成31年 2月20日 上申書(被請求人)

第2 平成30年5月23日付け訂正請求について
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
平成30年6月19日付けで手続補正された平成30年5月23日付け訂正請求は、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?請求項6について訂正することを求めるものであって、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「前記装飾部材は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、」とあるのを、「前記装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、「延長端部には下向きにピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」とあるのを、「延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」と訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1において、「揺動アーム部をその両側に突設され、」とあるのを、「揺動アーム部がその両側に突設され、」と訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1において、「前記揺動アーム部のピボット状の支軸が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた」とあるのを、「前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた」と訂正する。なお、被請求人は、「前記揺動アーム部のピボット状の支軸」とあるのを、「前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸」とする訂正を訂正事項4とし、「支軸が係合することにより」とあるのを「支軸の先端が係合することにより」とする訂正を訂正事項5としているが、これらは、訂正前の請求項1において「前記揺動アーム部のピボット状の支軸が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた」に対する訂正であるので、1つの訂正事項による訂正とした。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4において、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部を揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されている」とあるのを、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されている」と訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5において、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部を形成されており、」とあるのを、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成されており、」と訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項5において、「前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付ける駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されている」とあるのを、「前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付けられ、かつ脱着可能なストッパである駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されている」と訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項6において、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部を形成された保持筒を取り付けられ、」とあるのを、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成された保持筒を取り付けられ、」と訂正する。

(9)訂正事項9
願書に添付した明細書の段落[0005]において、「本発明の装身具は、所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え、前記装飾部材は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きにピボット状の支軸が形成された揺動アーム部をその両側に突設され、前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部のピボット状の支軸が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取 り付けたことを特徴とするものである。」とあるのを、「本発明の装身具は、所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え、前記装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部がその両側に突設され、前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けたことを特徴とするものである。」と訂正する。

(10)訂正事項10
願書に添付した明細書の段落[0008]において、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部を揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されている」とあるのを、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されている」と訂正する。

(11)訂正事項11
願書に添付した明細書の段落[0009]において、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部を形成されており、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付ける駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されている」とあるのを、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成されており、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付けられ、かつ脱着可能なストッパである駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されている」と訂正する。

(12)訂正事項12
願書に添付した明細書の段落[0010]において、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部を形成された保持筒を取り付けられ、」とあるのを、「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成された保持筒を取り付けられ、」と訂正する。

(13)訂正事項13
願書に添付した明細書の段落[0019]において、「水平方向に脱着可能な駒状ストッパ21aを設けておき、」とあるのを、「水平方向に脱着可能なストッパである駒状ストッパ21aを設けておき、」と訂正する。

(14)訂正事項14
願書に添付した明細書の段落[0019]において、「垂直方向に脱着可能な駒状ストッパ21bを設けておき、」とあるのを、「垂直方向に脱着可能なストッパである駒状ストッパ21bを設けておき、」と訂正する。

2 本件訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1において「適所で上方に屈曲したのち」とあるのを、本件訂正後の請求項1において「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち」と訂正するものである。この訂正は、訂正前の当該記載が「適所で」とのみ特定し、上方に屈曲する箇所が明確でなかったものを「適宜選択し得る箇所にて」と特定して明瞭にするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書には、「前記装飾部材14は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きにピボット状の支軸16が形成された揺動アーム部15をその両側に突設されている。」(段落【0016】)と記載され、さらに願書に添付した図3等の記載から、揺動アーム部15は、装飾部材14の両側から突設され、適宜選択し得る箇所、すなわち、装身具用枠体12と干渉しないで、揺動アーム部の延長端部に形成されたピポット状の支軸の先端が装身具用枠体に形成された軸受凹部に係合できるように、揺動上方に屈曲していることが看てとれるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、上記アに示すように、揺動アーム部を上方に屈曲する箇所を明瞭にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項1についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項1による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項2は、本件訂正前の請求項1において「延長端部には下向きにピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」とあるのを、本件訂正後の請求項1において「延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」と訂正するものである。これは、本件訂正前の請求項1に記載された「ピボット状の支軸」について、その形状が「下向きを長手方向とする先細り形状である」ことを明瞭にするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書には、「【0015】以下本発明に係る装身具の実施の形態を、装身具としてペンダントを例にして説明する。図1ないし図5に示すように、本実施例のペンダントトップからなる装身具11は、所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体12と、当該装身具用枠体12の分岐アーム部13,13間に差渡されて揺動可能に保持された、例えばダイヤモンド等の宝石14aを係合した装飾部材14とを備えている。」と記載されて、さらに「【0016】前記装飾部材14は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きにピボット状の支軸16が形成された揺動アーム部15をその両側に突設されている。…」(改行は、削除した。)と記載され、また、本件の願書に添付した図面である図3ないし図5等をみると、ピボット状の支軸の形状として、下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が記載されている。
以上のことから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アに示すように、訂正事項2による訂正は、「ピボット状の支軸」の形状が「下向きを長手方向とする先細り形状である」ことを特定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項2についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項2による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項3は、本件訂正前の請求項1において「前記装飾部材は、……揺動アーム部をその両側に突設され、」とあるのを、本件訂正後の請求項1において「前記装飾部材は、……揺動アーム部がその両側に突設され、」と訂正するものであり、揺動アーム部が、装飾部材の両側に突設されることを明瞭にする訂正である。したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した図面の図1ないし図5には、参照番号15で示される揺動アーム部が、参照番号14で示される装飾部材14の両側に突設された装身具について示されており、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正前の請求項1において「前記装飾部材は、……揺動アーム部をその両側に突設され、」とあるのは、装飾部材の両側に突設されるものが揺動アーム部であることを特定していたものであり、訂正事項3は、上記アに示すように、この点を明瞭にした訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項3についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項3による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項4は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1において「前記揺動アーム部のピボット状の支軸が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた」とあるのを、本件訂正後の請求項1において「前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた」と訂正するものである。この訂正は、本件訂正前の「ピボット状の支軸」が、請求項1において、この記載より前にある「ピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」の「ピボット状の支軸」であることを明瞭にし、また、本件訂正前の請求項1に係る発明では、「ピボット状の支軸」の軸受凹部に係合する箇所が「ピボット状の支軸の先端」であることを明瞭にする訂正であるから、訂正事項4による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書には、「【0016】 前記装飾部材14は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きにピボット状の支軸16が形成された揺動アーム部15をその両側に突設されている。図4に示す分解状態から、図5の組み付け状態とすることにより、当該揺動アーム部15は、前記装身具用枠体12に形成された軸受凹部21に、前記揺動アーム部15のピボット状の支軸16が係合することにより、前記装飾部材14を装身具用枠体12に揺動自在に保持するようにしたものである。」(改行は、削除した。)と記載され、また、本件の願書に添付した図4、図5の記載をあわせてみると、「ピボット状の支軸16が形成された揺動アーム部15」の下向きを長手方向とする先細り形状である「ピボット状の支軸」の先端が、軸受凹部21に係合していることが明らかであるから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。


ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、軸受凹部21に係合している箇所が、請求項1において、この記載より前にある「ピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」の「ピボット状の支軸」の先端であることを明瞭にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項4についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項4による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項5は、本件訂正前の請求項4において「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部を揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されている」とあるのを、本件訂正後の請求項4において「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されている」と訂正するものである。訂正事項5は、軸受凹部に揺動アームを内蔵したことを明瞭にする訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書の段落【0019】には、「…前記揺動アーム部15を保持する装身具用枠体12は、前記軸受凹部21に前記装飾部材14の揺動アーム部15を内蔵した状態で一体に形成されている。」と記載され、軸受凹部21に揺動アーム部15を内蔵した状態について示されているから、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、軸受凹部に揺動アームを内蔵したことを明瞭にする訂正であるから、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項5についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項5による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項6は、本件訂正前の請求項5において「軸受凹部に…開口部を形成されており」とあるのを、本件訂正後の請求項5において「軸受凹部に…開口部が形成されており、」と訂正するものであり、開口部が形成されるのは、軸受凹部であることを明瞭にするものであるから、訂正事項6による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書の段落【0019】には、「2)前記軸受凹部21の少なくとも一方側に開口部を設けて水平方向に脱着可能な駒状ストッパ21aを設けておき、…」と記載され、軸受凹部21に開口部が設けられることが記載されているから、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、開口部が形成されるのは、軸受凹部であることを明瞭にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項6についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項6による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(7)訂正事項7について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項7は、本件訂正前の請求項5において「前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付ける駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されている」とあるのを、本件訂正後の請求項5において「前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付けられ、かつ脱着可能なストッパである駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されている」と訂正するものである。この訂正は、駒状ストッパが脱着可能なストッパであることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、訂正事項7による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書の段落【0019】には、「前記軸受凹部21の少なくとも一方側に開口部を設けて垂直方向に脱着可能な駒状ストッパ21bを設けておき、該駒状ストッパ21bを矢印A3の下方向に外した状態で前記装飾部材14の揺動アーム部15を前記軸受凹部21にはめ込み、その後駒状ストッパ21bを矢印A3の上方向にはめ込む。」と記載され、本件の願書に添付した図3の記載と共に、ストッパが脱着可能であることが示されているから、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7による訂正は、駒状ストッパが脱着可能なストッパであることを限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項7についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項7による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(8)訂正事項8について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項8は、本件訂正前の請求項6において「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部を形成された保持筒を取り付けられ、」とあるのを、本件訂正後の請求項6において「前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成された保持筒を取り付けられ、」と訂正するものである。これは、本件訂正前の請求項6において、開口部が形成される箇所が明瞭でなかったものを、保持筒に開口部が形成されたことを明瞭にする訂正であるから、訂正事項8による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書の段落【0022】には、「図10ないし図15は本発明の装身具の第3実施例を示す。……ただし、本実施例においては前記装身具用枠体52の軸受凹部61には、揺動アーム部55を挿通する開口部63を形成された保持筒62が取り付けてある。64は前記開口部63に対応する開口部65を形成された筒状ストッパである。本実施例の装身具は次のようにして組み付けられ、使用される。」と記載され、本件の願書に添付した図10、図12、図13から、開口部63が保持筒62に形成されていることが明らかであるから、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8による訂正は、保持筒に開口部が形成されたことを明瞭にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項8についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項8による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(9)訂正事項9について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項9は、訂正事項1ないし4により、本件訂正前の請求項1の記載を本件訂正後の請求項1に訂正したことに伴って、本件明細書の対応する記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
上記(1)ないし(4)に示すように訂正事項1ないし4が新規事項を追加する訂正でないことから、これらに対応する訂正事項9も新規事項を追加する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(1)ないし(4)に示すように訂正事項1ないし4が特許請求の範囲の拡張・変更をする訂正でないことから、これらに対する訂正事項9も特許請求の範囲の拡張・変更をする訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項9についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項9による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(10)訂正事項10について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項10は、訂正事項5により本件訂正前の請求項4の記載を本件訂正後の請求項4に訂正したことに伴って、本件明細書の対応する記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
上記(5)に示すように訂正事項5が新規事項を追加する訂正でないことから、これに対応する訂正事項10も新規事項を追加する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(5)に示すように訂正事項5が特許請求の範囲の拡張・変更をする訂正でないことから、これに対する訂正事項10も特許請求の範囲の拡張・変更をする訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項10についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項10による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(11)訂正事項11について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項11は、訂正事項6及び7により本件訂正前の請求項5の記載を本件訂正後の請求項5に訂正したことに伴って、本件明細書の対応する記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
上記(6)及び(7)に示すように訂正事項6及び7が新規事項を追加する訂正でないことから、これらに対応する訂正事項11も新規事項を追加する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(6)及び(7)に示すように訂正事項6及び7が特許請求の範囲の拡張・変更をする訂正でないことから、これらに対する訂正事項11も特許請求の範囲の拡張・変更をする訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項11についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項11による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(12)訂正事項12について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項12は、訂正事項8により本件訂正前の請求項6の記載を本件訂正後の請求項6に訂正したことに伴って、本件明細書の対応する記載を訂正するものであって、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
上記(8)に示すように訂正事項8が新規事項を追加する訂正でないことから、これに対応する訂正事項12も新規事項を追加する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(8)に示すように訂正事項8が特許請求の範囲の拡張・変更をする訂正でないことから、これに対する訂正事項12も特許請求の範囲の拡張・変更をする訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項12についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項12による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(13)訂正事項13について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項13は、本件訂正前の明細書の段落【0019】において「水平方向に脱着可能な駒状ストッパ21aを設けておき、」とあるのを、本件訂正後の明細書の段落【0019】において「水平方向に脱着可能なストッパである駒状ストッパ21aを設けておき、」と訂正するものであり、「駒状ストッパ21a」が「脱着可能なストッパ」であることを明瞭にする訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書の段落【0019】には、「前記軸受凹部21の少なくとも一方側に開口部を設けて水平方向に脱着可能な駒状ストッパ21aを設けておき、該駒状ストッパ21aを矢印A2の外方向に外した状態で前記装飾部材14の揺動アーム部15を前記軸受凹部21にはめ込み、その後駒状ストッパ21aを矢印A2の内方向にはめ込む。」と記載され、駒状ストッパ21aが軸受凹部21に対し、水平方向に着脱可能なストッパであることが明らかであるから、訂正事項13は、新規事項を追加する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項13は、「駒状ストッパ21a」が「脱着可能なストッパ」であることを明瞭にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項13についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項13による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(14)訂正事項14について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項14は、本件訂正前の明細書の段落【0019】において「垂直方向に脱着可能な駒状ストッパ21bを設けておき、」とあるのを、本件訂正後の明細書の段落【0019】において「垂直方向に脱着可能なストッパである駒状ストッパ21bを設けておき、」と訂正するものであり、「駒状ストッパ21b」が「脱着可能なストッパ」であることを明瞭にする訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.新規事項の有無
本件の願書に添付した明細書の段落【0019】には、「前記軸受凹部21の少なくとも一方側に開口部を設けて垂直方向に脱着可能な駒状ストッパ21bを設けておき、該駒状ストッパ21bを矢印A3の下方向に外した状態で前記装飾部材14の揺動アーム部15を前記軸受凹部21にはめ込み、その後駒状ストッパ21bを矢印A3の上方向にはめ込む。」と記載され、駒状ストッパ21bが軸受凹部21に対し、垂直方向に着脱可能なストッパであることが明らかであるから、訂正事項14は、新規事項を追加する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項14は、「駒状ストッパ21b」が「脱着可能なストッパ」であることを明瞭にする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

エ.訂正事項14についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項14による訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項の規定に適合する。

(15)一群の請求項について
訂正事項1ないし8に係る本件訂正前の請求項1ないし6は、本件訂正前の請求項1の記載を、本件訂正前の請求項2ないし6が引用しているものであるから、一群の請求項であり、これらに対応する本件訂正後の請求項1ないし6も一群の請求項である。
よって、訂正事項1ないし8に係る本件訂正請求は、一群の請求項ごとに特許請求の範囲の訂正を請求するものであって、特許法第134条の2第3項の規定に適合する。
また、訂正事項9ないし14に係る本件特許明細書の訂正に係る請求項は、請求項1ないし請求項6であり、一群の請求項の全てについて行われたものである。
よって、訂正事項9ないし14に係る本件訂正請求は、特許法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第4項に規定に適合する。

3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法134条の2第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項の規定に適合するので、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

第3 本件発明
上記のとおり、本件訂正を認めるので、本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明6」といい、本件発明1ないし6を総称して「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項によって特定される以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え、
前記装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部がその両側に突設され、
前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けたことを特徴とする装身具。
【請求項2】
前記装飾部材の重心は、前記ピボット状の支軸の先端よりも下方に位置させてあることを特徴とする請求項1記載の装身具。
【請求項3】
前記ピボット状の支軸は、前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に該支軸の上端が接触しないよう先端を外向きに傾斜させてあることを特徴とする請求項1または2に記載の装身具。
【請求項4】
前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装身具。
【請求項5】
前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成されており、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付けられ、かつ脱着可能なストッパである駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装身具。
【請求項6】
前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成された保持筒を取り付けられ、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記保持筒に取り付けた筒状ストッパにより前記開口部が封鎖されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装身具。」

第4 請求人の主張の概要
1 請求の趣旨
請求人は、審判請求書において、「特許第5960336号発明の請求項1?請求項6に係わる発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めている。

2 請求人の証拠方法
請求人は、審判請求書に添付して以下の甲第1号証ないし甲第6号証(以下、「甲1」ないし「甲6」という。)を提出している。

甲第1号証:国際公開第03/077699号
甲第2号証:中国特許第102742985号明細書
甲第3号証:特開2013-163039号公報
甲第4号証:中国実用新案第202680796号明細書
甲第5号証:特開2015-54162号公報
甲第6号証:特開2003-230414号公報

3 請求人が主張する無効理由
請求人が主張する無効理由は、次のとおりである。
(1)無効理由1
本件発明1の「前記装飾部材は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され」における「適所」の意味が不明確である。
また、本件発明1の「ピボット状の支軸」の意味が不明確であり、発明を特定できない。「ピボット」は、広辞苑第6版によれば、「pivot」のカタカナ表記であり、「回転軸、軸受の中で向きを変えたり回転したりする。」という意味であるから、「ピボット状の支軸」は「軸状の支軸」となり、意味が不明確である。また、本件特許の明細書における発明の詳細な説明には、「ピボット状」の意味は記載されていない。そのため、本件発明1の「ピボット状」の意味が不明確であり、本件発明1を特定できない。
また、請求項2、3においても、「ピボット状の支軸」が構成要件となっている。
したがって、本件発明1ないし3は、発明が特定できないから、その特許は特許法第36条第6項第2号の規定により、特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第4号に該当し無効とすべきである。

(2)無効理由2
本件発明5の「駒状ストッパ」の「駒状」の意味が不明確であるから本件発明5を特定できない。したがって、本件発明5は、発明が特定できないから、明確でなく、特許法第36条第6項第2号の規定により、特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第4号に該当し無効とすべきである。

(3)無効理由3
本件発明1は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(4)無効理由4
本件発明1は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲2に記載された発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、本件の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(5)無効理由5
本件発明2は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(6)無効理由6
本件発明2は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明及び甲1、甲3に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(7)無効理由7
本件発明3は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明に基いて出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(8)無効理由8
本件発明4は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきであり、また、本件発明4は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明に基いて出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(9)無効理由9
本件発明4は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲2に記載された発明及び甲2ないし5に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(10)無効理由10
請求項1、2を引用する請求項5に係る発明は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、請求項3を引用する請求項5に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(11)無効理由11
本件発明5は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明及び甲1及び甲6に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

(12)無効理由12
本件発明6は、その出願前に国内又は外国において頒布された甲1に記載された発明及び甲1及び甲6に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。

第5 被請求人の主張の概要
1 答弁の趣旨
被請求人は、審判事件答弁書において、「本件無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めている。

2 被請求人の証拠方法
被請求人は、審判事件答弁書に添付して以下の乙第1号証(枝番を含む)ないし及び乙第4号証(以下、「乙1」ないし「乙4」といい、「乙第1号証の1」、「乙第1号証の3の1」等を「乙1の1」、「乙1の3の1」等という。)を提示している。

乙第1号証の1: 特許情報プラットフォーム 特許・実用新案検索(入力画面) (当審注:「適所」の検索に対し、「国内文献ヒット件数 179745件」と表示)
乙第1号証の2: 特許情報プラットフォーム 特許・実用新案検索(入力画面) (当審注:「ピポット状」の検索に対し、「国内文献ヒット件数 1038件」と表示)
乙第1号証の3の1:特許情報プラットフォーム 特許・実用新案検索(入力画面) (当審注:「駒状」の検索に対し、「国内文献ヒット件数 1185件」と表示)
乙第1号証の3の2:特許情報プラットフォーム 特許・実用新案検索(入力画面) (当審注:「コマ状」の検索に対し、「国内文献ヒット件数 634件」と表示)
乙第1号証の3の3:特許情報プラットフォーム 特許・実用新案検索(入力画面) (当審注:「こま状」の検索に対し、「国内文献ヒット件数 166件」と表示)
乙第2号証:広辞苑第六版 新村 出編 株式会社岩波書店 2008年1月11日発行 525頁、1051頁、1874頁、2064頁、
乙第3号証:機械用語大辞典 社団法人 実践教育訓練研究協会編 日刊工業新聞社 1997年11月28日発行 24頁及び717頁
乙第4号証:世界大百科事典 24巻 下中直人 編集 平凡社 2007年9月1日発行 37頁

3 被請求人の主張内容
審判事件答弁書、上申書を総合すると、被請求人が主張する具体的な主張内容は、概略、次のとおりである。

(1)無効理由1について
「適所」は、揺動アーム部が装飾部材の「両側に突設され」ていることを前提として、「適宜選択し得る箇所」という趣旨である。被請求人は、「適宜」につき、明瞭でない記載の釈明を理由として「前記装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、」という訂正請求を行っている(訂正事項1)。かくして、「適所」に関する無効理由1が成立する余地はない。
乙1の2に示すように、「ピボット状」という用語は、当業者において慣用的に採用し得る技術用語であり、乙4には、「ピボット」につき、「先が円錐形に細まり、先端が小さな球面に仕上げられた回転軸」と説明され、「ピボット状の支軸」は、円錐形に限定されないことから「ピボット状」は、先細り形状であることが裏付けられており、更には、乙3には、「ピボット」とは、「先端に小さな丸みを付けた鋼製の軸」と説明され、「先端における小さな丸み」の状態を実現するためには、先端に至るまでに順次先細り形状を呈することが必要不可欠とする。
「ピボット状」が、「下向きを長手方向とする先細り形状」の趣旨であることは、請求項1及び段落[0013]から、直接かつ一義的に導出することができる。被請求人は、「下向きにピボット状の支軸が形成された」につき、「下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」という訂正を行っている(訂正事項2)。かくして、「ピボット状の支軸」の技術的趣旨は明瞭化しており、「ピポット状の支軸」に関する無効理由1が成立する余地はない。

(2)無効理由2について
「駒状ストッパ」については、「脱着可能なストッパ」という趣旨を、請求項5から一義的かつ自明に導出することができ、かつ前記「駒」の趣旨及び本特許明細書の段落[0019]並びに図3はこのような導出可能性を裏付けている。被請求人は、「前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付けられ、かつ脱着可能なストッパである駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されている」という訂正を行っている(訂正事項7)。以上より、無効理由2は成立しない。

(3)無効理由3について
ア.「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され」た構成について
請求人は、甲1の図4につき、「前記装飾部材(10)は、適所で上方に屈曲した(A1)のち水平方向に延長され(12)」と主張している。しかしながら、上下の屈曲及び水平方向への延長は、あくまで揺動アーム部に関する要件であって、装飾部材に関する要件ではない。請求人の主張は、「装飾部材は、」の主語が「その両側に突設され」と結合していることを失念している点において、失当である。

イ.「延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」の構成について
甲1の図4、5、6においては、略三角錐による傾斜面11が下方向に先細り形状を呈しているが、径斜面11は、横方向を長手方向とし、かつ下側縁は上側に傾斜しており、「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状」ではない。したがって、甲1は、「下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」を開示していない。

ウ.「前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合する」構成について
本件発明1は、「軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合すること」を要件としているが、甲1に記載された発明において、支持軸12の傾斜面11が軸穴8の入口端部において係合している位置は、決して傾斜面11の長手方向である横方向の先端である上端ではなく、しかも当該横方向の下端でもなく、その中途部位である。このように、甲1は、「前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合する」構成を開示していない。

上記アないしウより、無効理由3は、成立しない。

(4)無効理由4について
ア.「所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体」の構成について
甲2の図1、2は、「所定の間隔で一対の軸穴50を配置した本体10」という構成を開示している。リング形状の軸穴50は、本件発明1の軸受凹部ではなく、双方は形状において明らかに相違している。甲2に記載された軸穴50の場合には、連結軸40が貫通しているのに対し、軸受凹部の場合には、揺動アーム部を内側に収容しており、機能においでも双方は相違している。
請求人は、この相違点に関し、甲2に記載された発明に、甲3の凹部26a、26bの構成、及び甲4の芯部12、及び引っ掛け部14を支持する支持溝31の構成を適用することによって、得ることが単なる設計事項に過ぎないと主張している。
しかしながら、甲3の凹部26には、水平方向に突設された回転棒24a、24bが係合しており、甲4の支持溝31には、水平方向の芯部12が係合している。これに対し、甲2の連結軸40は、上側傾斜方向に延長されており、上記凹部26及び支持溝31に、連結溝40を係合することは不可能である
したがって、甲2発明に甲3又は甲4を組み合わせて、上記本件発明1の相違点に係る構成を得ることは不可能である。

イ.「当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え」た構成について
甲2に記載された発明に、甲3又は甲4に記載された事項を斟酌したとしても、装身具用枠体に配置された軸受凹部を得ることができない以上、「当該装身具用枠体の軸受凹部」を得ることができない。

ウ.「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され」た構成について
本件発明1においては、揺動アーム部につき、「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長」を要件としているが、甲2に記載された連結軸は、上側方向に傾斜して延長されている点において相違しており、上記要件を充足していない。また、甲3の回転棒24a、24b、124a、124b、22 4a、224b、及び甲4の芯部12は、何れも水平方向に延長された直線状のアームに過ぎず、上記要件を充足していない。
請求人は、この点に関し、「上方に屈曲し」の技術的意義が不明であって、デザインの観点から選択された設計事項であると指摘し、かつ「装飾部材を、直線状とするか、曲線状とするか、屈曲させるかは、本件特許の出願前に」おける周知技術又は公知技術であると主張している。しかしながら、上方への屈曲は、下向きに「ピボット状の支軸」を形成し、かつ支軸の先端が軸受凹部と係合することによって装飾部材の「揺動自在」の状態を確保することを目的としており、決して単なるデザイン上の選択の所産ではない。
請求人は、甲2の連結軸40の場合には、水平方向成分と上下方向成分との双方を以って傾斜して直線状に延長することによって、離間している部材を連結している以上、甲2の連結軸40においても、「水平方向に延長され」の構成が開示されていると主張している。しかし、連結軸40のように、水平方向成分を有して所定の離間状態を結合することは、水平方向への延長と同視できない
したがって、上記構成を甲2から容易に想到することは不可能であり、かつこの点に関する請求人の主張は、失当てある。

エ.「延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」の構成について
甲2の連結軸40の先端縁部には、下向きに長手方向を形成している支軸が形成されておらず、先端の近傍にて軸穴50に連結軸40が係合しているに過ぎない。甲2の連結軸40は、上側への傾斜方向を形成しており、1Dのように、「当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」ではない。
請求人は、甲2の図6によって、「延長端部(40)には下向きにピボット状の支軸(42)が形成された揺動アーム部(40)をその両側に突設され」た構成が開示されていると主張している。しかしながら、甲2の図6に示す第1刃42における先細り形状の先端は、上側方向に傾斜しており、下向きに形成された「支軸」ではない。
また、請求人は、甲5の図6及び段落[0026]に、「リング21の内周に軸支されるリング31の先端が下向きに先細に突出した形状になっている構成が開示されている。」と主張している。しかしながら、リング31は、下向きに長手方向を形成している「支軸」ではないし、リング31の先端の先細り形状は、「下向きを長手方向とする先細り形状」ではない。
さらに、請求人は、甲4の図6、段落[0026]において、第1のリング21、第2のリング31、第3のリング23、及び第4のリング33の断面が内周部に向けて先細り形状とすることが開示されていると主張している。しかしながら、図6、及び段落[0026]を参照するも、そのような開示状態は見当たらない。
したがって、甲2、甲4、甲5を組み合わせたところで、上記本件発明1の構成を得ることができない。

オ.「前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合する」構成について
本件発明1は、軸受凹部に対し、「前記ピボット状の支軸の先端が係合すること」を要件としている。これに対し、甲2に記載された発明は、図6からも明らかなように、連結軸40においては、先端近傍が軸穴50に係合しており、先端は、軸穴50に係合していない。甲2の図6は、「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸の先端が係合する」状態を開示及び示唆していない。甲2の図6に示される第1刃42は下側に向けて先細り形状を呈しているが、軸受凹部50に係合しているのは、第1刃42の長手方向の先端ではなく、中途部位である。
請求人は、甲3の図1、3等が「前記装身具用枠体に形成された軸受凹部(26a,26b)に、前記揺動アーム部のピボット状の支軸(24a,24b)が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体(10)に揺動自在に取り付けたことを特徴とする装身具。」の構成を開示していると主張している。しかしながら、甲3の回転棒24a,24bは、水平方向を長手方向としており、下向きを長手方向として形成された「支軸」ではないし、回転棒24a,24bの水平方向の先端は、凹部26a,26bに係合しておらず、本件発明1と相違している。
請求人は、甲4の図1、3、4等が、「前記装身具用枠体(30)に形成された軸受凹部(31)に、前記揺動アーム部のピボット状の支軸(12,14)が係合することにより、装飾部材(10,20)を装身具用枠体に揺動自在に取り付けたことを特徴とする装身具の構成を開示していると主張している。しかしながら、甲4の芯部12は水平方向を長手方向としており、下向きを長手方向としている本件発明1の「支軸」ではない。しかも、引っ掛け部14は、外周にて厚みを順次狭幅とする円板であって、本件発明1の「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」ではない。
このように、甲2に記載された発明と甲3及び甲4に記載された事項を組み合わせても、本件発明1の構成を得ることはできない。
よって、無効理由4は、成立しない。

(5)無効理由5について
請求人は、甲1は、本件発明1を開示していることを前提としたうえで、本件発明の請求項2により特定される事項が甲1に開示されていると主張している。
しかしながら、このような前提が成立しないことは、既に無効理由3において指摘したとおりである。
よって、無効理由5は、成立しない。

(6)無効理由6について
請求人は、甲1は、本件発明1を開示していることを前提としたうえで、本件発明の請求項2により特定される事項が甲1(当審注:「甲3」の誤記と認められる。)に開示されていると主張している。
しかしながら、このような前提が成立しないことは、既に無効理由3において指摘したとおりである。
よって、無効理由6は、成立しない。

(7)無効理由7について
請求人は、甲1は、本件発明1及び請求項2において特定事項を開示していることを前提として、本件発明の請求項3により特定される事項が甲1に開示されていると主張している。
しかしながら、既に無効理由3及び5において指摘したように、甲1は、本件発明1及び請求項2において特定される事項を開示していない。
よって、無効理由7は、成立しない。

(8)無効理由8について
請求人は、甲1は、本件発明1を開示していることを前提として、本件発明の請求項4により特定される事項が甲1に開示されていると主張している。
しかしながら、既に無効理由3において指摘したように、甲1は、本件発明1を開示していない。
よって、無効理由8は、成立しない。

(9)無効理由9について
請求人は、本件発明1が甲1ないし甲5に基づいて当業者が容易に想到し得たと主張し、本件の請求項2において特定される事項について甲1及び甲3に基づいて当業者が容易に想到し得た設計的事項にすぎないと主張し、本件の請求項3において特定される事項について、甲1に基づいて当業者が容易に想到し得た設計事項にすぎないと主張し、本件発明4の進歩性を否定している。
しかしながら、無効理由4、5、7において指摘したように、甲2ないし甲5の組み合わせによって本件発明1を得ることは不可能であり、甲1及び甲3の組み合わせによって請求項2により特定される事項を得ることも不可能であり、かつ甲1に基づいて請求項3により特定される事項を得ることも容易に想到し得ない以上、上記主張が成立する余地はない。
よって、無効理由9は、成立しない。

(10)無効理由10ないし12について
請求人は、本件発明1及び請求項2において特定される事項が甲1に開示されており、かつ本件発明3において特定される事項が甲1に開示されていることを前提として、本件発明5が新規性又は進歩性を欠如していると主張し、本件発明5及び本件発明6が進歩性を欠如していると主張している。
しかしながら、無効理由3及び5において指摘したように、甲1は本件発明1及び請求項2において特定される事項を開示していない以上、請求人の主張が成立する余地はない。
よって、無効理由10及び11、12は成立しない。

第6 甲号証の記載等
1 甲1の記載事項等
(1)甲1の記載事項
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲1には、次の事項が記載されている。(下線は、当審で付加した。以下、同様。)

ア.「本発明は指輪、ネックレス、ペンダント、イヤリング、ブレスレット、ブローチ、ネクタイピン、カフスボタン等の身飾品に関する。
従来、この種の身飾品はリングやチェーン等の吊リ下げ具に取付けられる支持部材に、ダイヤ等の宝石を固定的に取付ける構造になっている。従来の支持部材にダイヤ等の宝石を固定的に取付ける指輪、ネックレス、ペンダント、イヤリング、ブレスレット、ブローチ、ネクタイピン、カフスボタン等の身飾品は、ダイヤ等の宝石に当る光の反射具合によってきれいさを図ったり、目立つかを図っているが、支持部材にダイヤ等の宝石が固定的に取付けられているため、使用時にはダイヤ等の宝石の動きが少なく、キラキラ輝かせることができないという欠点があった。本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、ダイヤ等の宝石を小さな支持部材の動きでも、ダイヤ等の宝石の重心の位置が変化して自動的に揺れ動き、その輝きを最大限に発揮することができる身飾品を提供することを目的としている。」(第1頁第7行ないし同頁第20行)

イ.「上記目的を達成するために、本発明は支持部材と、この支持部材に所定間隔離間されて上方へ突出するように形成された一対の支持片と、この一対の支持片の対向する部位にそれぞれ形成された軸穴と、前記一対の支持片間に揺れ動き可能に位置されるダイヤ等の宝石が取付けられた宝石支持金具と、この宝石支持金具の前記一対の支持片の軸孔とそれぞれ対向する部位に、該軸孔の開口端部寄りの下部位置に支持される下部が傾斜面に形成された一対の支持軸とで身飾品を構成している。」(第1頁第28行ないし第2頁第5行)

ウ.「第1図ないし第7図に示す本発明の第1の実施の形態において、1は指輪として使用することができる本発明の身飾品で、この身飾品1は手の指に嵌めることができる貴金属材でリング状に形成された支持部材2と、この支持部材2の外周部に所定間隔離間されて上方へ突出するように一体形成あるいは溶接等によって固定状態に形成された一対の支持片3、3と、この一対の支持片3、3の対向する中央部にそれぞれ形成されたねじ孔4、4と、このねじ孔4、4にそれぞれ螺合される取付け用のボルト5、5と、このボルト5、5の対向する先端部に丸穴6および該丸穴6と連通する開口端部側が順次拡開する皿状の皿穴7とからなる軸穴8、8と、前記一対の支持片3、3間に揺れ動き可能に位置されるダイヤ等の宝石9が取付けられた宝石支持金具10と、この宝石支持金具10の前記一対の支持片3、3の軸穴8、8とそれぞれ対向する部位に固定した、該軸穴8、8の丸穴6、6の開口端部の下部位置に支持される下部が傾斜面11、11に形成された三角錐あるいは三角錐台形状の一対の支持軸12、12とで構成されている。
上記構成の指輪として使用することができる身飾品1は、一対の支持片3、3の取付け用のポルト5、5間が広くなるように位置させた後、ダイヤ等の宝石9が取付けられた宝石支持金具10の一対の支持軸12、12が軸穴8、8内に位置させ、該一対の支持軸12、12の先端部が丸穴6、6のほぼ中央部に位置するように締付け、接着剤をボルト5、5とねじ孔4、4との間に充填して抜け止めを図る。
このように組付けられた指輪として使用することができる身飾品1は、支持部材2の移動によリダイヤ等の宝石9が取付けられた宝石支持金具10の重心位置が変化し、一対の支持軸12、12を中心に回動するように揺れ動く。
また、一対の支持軸12、12の下部が傾斜面11、11の三角錐あるいは三角錐台形状であるため、該一対の支持軸12、12の軸心方向にも移動するが、揺れ動きながら自動的に中心に位置するように移動する。」(第4頁第1行ないし同頁第29行)

エ.「1.支持部材と、この支持部材に所定間隔離間されて上方へ突出するように形成された一対の支持片と、この一対の支持片の対向する部位にそれぞれ形成された軸穴と、前記一対の支持片間に揺れ動き可能に位置されるダイヤ等の宝石が取付けられた宝石支持金具と、この宝石支持金具の前記一対の支持片の軸孔とそれぞれ対向する部位に、該軸孔の開口端部寄りの下部位置に支持される下部が傾斜面に形成された一対の支持軸とからなることを特徴とする身飾品。」(第10頁第3行ないし同頁第9行)

オ.上記ウ.より、一対のねじ孔4、4にボルト5、5がそれぞれ螺合され、これらのボルト5、5の対向する先端部に軸穴8、8が設けられ、また、ねじ孔4、4は、支持部材2に所定間隔離間されて形成された一対の支持片3、3に形成されていることから、一対のボルト5も所定の間隔で支持部材2に配置され、これらのボルト5はそれぞれに軸穴8を有していることが分かる。
また、宝石支持金具10は、一対の支持片3、3間に揺れ動き可能に位置されており、この支持片3、3には、軸穴8、8を有するボルト5、5が配置されていることから、宝石支持金具10は、ボルト5、5の軸穴8、8間で揺動可能に位置しているといえる。そして、宝石支持金具10の一対の支持軸12、12が軸穴8、8の丸穴6、6の開口端部の下部位置に支持されることで、宝石支持金具10は揺動可能に保持されていることから、宝石支持金具10は、ボルト5の軸穴8間に差渡されて揺動可能に保持されているといえる。

カ.宝石支持金具10に関して、甲1の図4等の記載をみると、下に凸の略半円形の断面形状をした部分を有しており、この略半円形の断面形状をした部分の両端から、略水平方向を長手方向とした支持軸12をその両側に固定されているといえる。そして、上記ウ.より、この支持軸12、12は、下部が傾斜面11、11に形成された三角錐形状である。さらに、上記オ.に示すように、宝石支持金具10の一対の支持軸12、12が軸穴8、8の丸穴6、6の開口端部の下部位置に支持されることで、宝石支持金具10は揺動可能に保持されていることから、甲1に記載された装身具は、支持部材2に配置されたボルト5の軸穴8に、前記支持軸12の三角錐形状の下部が係合することにより、宝石支持金具10を支持部材2に揺動自在に取り付けられているといえる。

(2)甲1発明の認定
上記ア.ないしカ.を含む甲1全体の記載を総合すると、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、「甲1発明」という)。

「所定の間隔で一対の軸穴8を有するボルト5を配置した支持部材2と、
当該支持部材2に配置されたボルト5の軸穴8間に差渡されて揺動可能に保持された宝石支持金具10とを備え、
前記宝石支持金具10は、下に凸の略半円形の断面形状をした部分の両端から略水平方向を長手方向とし、下部が傾斜面11で形成され三角錐形状である支持軸12をその両側に固定され、
前記支持部材2に配置されたボルト5の軸穴8に、前記支持軸12の三角錐形状の下部が係合することにより、宝石支持金具10を支持部材2に揺動自在に取り付けた装身具。」

2 甲2の記載事項等
(1)甲2の記載事項
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲2には、次の事項が記載されている。(( )内に示した翻訳文は、請求人提出のものによる。以下、甲4についても、同様。)

ア.「


(【請求項1】
本体及び前記本体内に形成されたユニットを含んでいる自ら動く身飾品であって、
前記本体内には、前記ユニットを動かすのに使用される一つの空間及び前記空間の両側に設けられ、前記ユニットと繋がる軸穴が形成されており;
前記ユニットには、両側に延長され、前記軸穴に噛み合う連結軸が形成され;
前記連結軸には、第1刃を備え、前記第1刃を介して前記連結軸は前記軸穴の内壁に連接され;
前記ユニットを設けた重心は、前記2つの連結軸がユニット上における連結線を外れ、第1刃の一側に偏向して設けられ;
前記ユニットの裏面下段を厚くし、前記ユニットの側面は、上が狭く下が広い形態を形成して;
前記連結軸は、円柱加工により形成され、前記第1刃は、前記円柱軸に沿って2つの対称交差した断面で構成され;
前記第1刃と前記軸穴は、点接触方法で繋がり、前記ユニットは、任意に回転可能であり、重力によって第1刃と軸穴の点接触に戻ってきて;
前記連結軸は、前記ユニットの上に対称に設けられて、第1刃と相反した方向に180°より小さく;
前記角度の範囲は164°?178°であることを特徴とする自ら動く身飾品。)

イ.「


(【技術分野】
【0001】
本発明は、宝石身飾品にかんするもので、特に、自ら動く身飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
生活水準の向上により人々がよりトレントで、かつおしゃれに飾ることを求め始めてから様々な身飾品が愛されるようになってきた。身飾品の種類は多様であるが、大半のペンダントのような単一の装飾であり、チェーンとペンダントを繋げて使用する。一般に、ペンダントの本体は単一の装飾形態であり、ペンダントの本体は外形が固定かつ不変なものである。従って、ペンダントに動くことができるユニット構造を設けたとしても繋ぎ方式が殆んどであり、ユニットと本体が別に動く場合は非常に制限的である。なお、動きの幅も大きくなく、光線によるユニットのきらめく光をうまく表現することができない。
【0003】
従って、従来の技術は改善と発展が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は自ら動く身飾品を提供して、ユニットの独自の動きの頻度と幅が相対的に大きい構造を構成することにより、さらに身飾品が輝くようにすることである。)

ウ.「


(【0018】
本発明に係る自ら動く身飾品によると、ユニット上の連結軸に第1刃の形を構成することにより、上記第1刃を上記本体上の軸穴に連接して抵抗を減らし、装着の際のユニットが相対的に大幅の動きがあるように設計した。なお、抵抗が非常に小さいため、動きの頻度が非常に高い。特に、上記ユニット外表面にキュービックが装着された場合には、光線を受けた時、常に自ら動くことにより、光線を受けて光が四方に広がる効果を示す。)

エ.「


(【0033】
図1、図2は、本発明に係る自ら動く身飾品の好ましい実施例に対する互いに異なる角度からの説明図である。図示したように、本体10、上記本体10に設けられた空間20、上記空間20内に設けられ、上記本体10と稼働繋がったユニット30、上記本体10に設けられ、上記ユニットと繋がった軸穴50を含んでいる。図2に図示したように、上記ユニット30の両側には、延長されて設けられた連結軸40を備え、上記連結軸40には、第1刃42を備える。図5に図示したように、上記連結軸40は、上記第1刃42を介して上記軸穴50の内壁と連接する。
【0034】
本発明に係る上記ユニット30が、上記本体10上で揺れる効果を有することができるようにするために、本発明に係る上記自ら動く身飾品では、上記ユニットの重心が上記2つの連結軸40がユニット30上の連結線から離脱して、第1刃の一側に偏向されるように設けた。図6、図7に図示したように構成すると、本発明に係る上記ユニット30は、上記連結軸40を介して上記軸穴50内に配置されるようになり、第1刃42が軸穴50の内壁と連接した状態を維持することができるようになる。これにより、上記ユニット30と本体10の間に非常に小さな抵抗を有することにより、ユニットが上記本体の上で長い時間揺れるようにする。特に、上記ユニットにキュービック或いはユニットを特殊な光彩効果を有するように設けると、動きによる視覚的な効果が増加する。さらに、上記設置方式は、上記第1刃42が常に接触した状態にして、いかなる状況においてもユニットが揺れる効果を示すことができる。ユニットが正面に向くように設計し、上記ユニットの正面が常に見る人を向くようにする。
【0035】
本発明に係る上記本体10は、ペンダント、リング装飾部、ハングル、ブレスレット、アンクレット、ヘアピン、イヤリング、ブローチ等に適用できる。上記本体10内に設けられた上記ユニット30が動く空間20には、多くのデザインを構成できる。例えば、図示した大きい穴の他、解放されたクロス形態の空間等を設けられる。上記空間20で動くことができれば、上記ユニット30の形と様式も多様に構成できる。
【0036】
好ましくは、上記軸穴50は環状で構成される。即ち、円柱状の金属ワイヤーを溶接或いはその他の方式で上記本体10上に固定して上記連結軸の軸穴50を設けるように形成する。上記環状は、上記連結軸40を設けるのに使用され、上記連結軸40と交差接触してユニット30全体を支持する。上記環状の内壁には、中心に向かって第1刃と十字架模様に交差するように第2刃を備えることができる。これにより、より容易にユニットと点接触方式で連結することができる。
【0037】
本発明に係る上記自ら動く身飾品は、伝統ユニットと伝統本体の連結方式を変化させた。上記重心に設ける方式で、連結軸40の第1刃42は、常に上記軸穴50の内壁に置かれるようになる。連結軸40と上記軸穴50の作用面積は、非常に小さいため、全体ユニット30が比較的に強く動くことができ、動きの維持時間が長い。好ましくは、図3a?図5cに図示した好ましい実施例のように、上記ユニット30の外表面にキュービックかダイヤモンドをセッティングすることである。従って、光線があるとき、さらに美しく輝くことができる。
【0038】
図3a?3c、図4a?4c、図5a?5cは、本発明に係る自ら動く身飾品のユニット30に対する各実施例の説明図である。上記連結軸40は、上記ユニットの上に対称に設けられ、第1刃42と反対方向に180°より小さい爽角αを形成する。好ましくは、180°より若干小さな鈍角が良い。上記ユニットが左右軸穴の間で安定的な状態を維持できるうえ、上記ユニットがより容易に動くことができる。実験を通して上記爽角aの幅範囲が164°?178°の間である時、相対的に安定的で、かつ独自の動きの効果が大きいことが分かった。より詳しくは、170°、172°或いは175°である。
【0039】
図3b、4b、5bは、本発明に係るユニットの側面図である。本発明に係る自ら動く身飾品の好ましい実施方法は、上記ユニット30の重心が、上記2つの連結軸40がユニット30の上での連結線を外れ、第1刃42の一側に偏向して設けられることである。なお、上記ユニットの裏面の下段を厚くし、視覚的にユニットの変形が見られないが、ユニット30の側面においては、上が狭くて下が広い形を形成する。目の位置が装着しているペンダントの位置より高いため、ユニットの背面の下部を厚くつくると、ユニットの外表面が上に持ち上がる角度を維持しながら、視覚的な効果がさらに目立つ。
【0040】
図6、図7は、本発明に係る図3b A部の立体拡大図及び連結軸と軸穴が繋がった断面図である。上記連結軸40は、円柱状の金属ワイヤー或いは金属棒を加工して作製する。上記第1刃42は、2つの曲面交差で構成されたり、2つの切断面交差で構成されたりしうる。好ましくは、上記円柱軸に沿って2つの対称或いは交差する切断面41で構成するものである。上記切断面41は、上記円柱軸の断面の上に比較的短い円弧と対応する平面である。これにより、上記第1刃42と上記軸穴50が点接触方式で繋がり、上記ユニットが任意の動きにおいても重心の力の作用で第1刃と軸穴の点接触状態に回復する。図8に図示したように、上記二つの切断面41は、交差して爽角を形成する。上記二つの切断面41の交差した辺、即ち、爽角βの頂点が地面方向を突き抜けて通る部分は、上記第1刃で説明できる。
【0041】
図8は、本発明に係る連結軸と環状の連結の別の好ましい実施例に対する説明図である。上記軸穴50は、環状に形成され、上記環状内には、中心に向かって設けられた第2刃51を含んでいる。上記連結軸40の第1刃42は、上記第2刃51と交差接触されて、最も良い点接触状態を形成する。本発明の該当実施例において、摩擦抵抗がより小さく、上記ユニットの動き頻度は非常に高く、動きの幅がより大きく、動きの時間がより長い。また、更に敏感であるために微細な振動にもユニットが揺れる。もちろん、第2刃51のみ設け、第1刃42を設けないことがありうる。これは、本発明において、保護を求める請求範囲と同等に置換される。)

オ.上記エ.より本体10には、軸穴50が設けられており、この軸穴50は、図2の記載から、所定の間隔で一対配置されていることが分かる。
そして、上記エ.の記載から、本体10に設けられた空間20内にユニット30は、設けられており、このユニット30の両側に設けられた連結軸40が、軸穴50の内壁と連接することで、ユニット30は、本体10と繋がっており、また、本体の上で長い時間揺れることから、本体10の軸穴50間に差渡されて揺動可能に保持されたユニット30とを甲2に記載された装身具は備えている。
また、前記連結軸40は、図1及び図2、図3a等の記載より、ユニット30の両側に傾斜して設けられていることが明らかであり、さらに、甲2の装身具は、使用されているときに、ユニット30に設けられている連結軸40は、本体10の軸穴50からぶら下がるようになるから、このとき、連結軸40は、斜め上方に延びる状態となり、かつ斜め上方を長手方向とすることが分かる。この連結軸40は、上記エ.の記載より、第1刃42を備えており、この第1刃42を介して上記軸穴50の内壁と連接する。さらに、上記エ.の記載から、第1刃42は、2つの交差する切断面41で構成し、上記二つの切断面41は、交差して夾角を形成するといえ、これらのことから、ユニット30の両側に備えられる連結軸40は、斜め上方に延びるように設けられ、かつ斜め上方を長手方向とし、二つの切断面41が下部に夾角を形成するように交差して構成される第1刃42を備えるといえる。
連結軸40は、第1刃42を介して本体10の軸穴50の内壁と連接することで、ユニットが上記本体の上で長い時間揺れることから、甲2の装身具は、本体10に形成された軸穴50に、連結軸40の第1刃42の先端が係合することにより、ユニット30を本体10に揺動自在に取り付けられているといえる。

(2)甲2発明の認定
上記ア.ないしオ.を含む甲2全体の記載を総合すると、甲2には、以下の発明が記載されていると認められる(以下、「甲2発明」という)。

「所定の間隔で一対の軸穴50を配置した本体10と、
当該本体10の軸穴50間に差渡されて揺動可能に保持されたユニット30とを備え、
前記ユニット30は、斜め上方に延びるように設けられ、かつ斜め上方を長手方向とし、二つの切断面41が下部に夾角を形成するように交差して構成される第1刃42を備える連結軸40がその両側に備えられ、
前記本体10に形成された軸穴50に、前記連結軸40の第1刃42の先端が係合することにより、ユニット30を本体10に揺動自在に取り付けた装身具。」

3 甲3の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲3には、次の事項が記載されている。
ア.「【請求項1】
装飾物と、
前記装飾物に対して距離を隔てて設けられた枠組部材と、
振動に応じて前記装飾物が揺動するように、前記装飾物の重心に対して上方位置で前記枠組部材と前記装飾物とを係合する係合部と
を有する身飾品であって、
前記係合部は、
前記装飾物の中心に対して上下方向と直交する左右方向の左側に設けられ第1のリング部と、
前記装飾物の中心に対して右側に設けられ第2のリング部と、
前記枠組部材の前記第1のリング部の側に設けられ、前記第1のリング部とつながれた第3のリング部と、
前記枠組部材の前記第2のリング部の側に設けられ、前記第2のリング部とつながれた第4のリング部とを有する
身飾品。」

イ.「【0001】
本発明は、宝石を支持する支持部材が揺動する身飾品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ダイヤモンド等の宝石を固定した支持部材を揺動可能に支持する指輪等がある。このようにダイヤモンドを揺動させることで、揺動させない場合に比べてダイヤモンドをより輝いて見せることができる。」

ウ.「【0004】
ところで、ダイヤモンドを支持したペンダント等で、そのダイヤモンドを揺動させようとした場合に、上述した従来技術をそのまま用いると、ダイヤモンドのテーブル面が正面を向かないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、着用時にダイヤモンド等の宝石をそのテーブル面が正面を向く状態(すなわち、上下方向と略直交する方向を向いた状態)で、動きに応じて宝石が揺動するように支持する構造の身飾品において、宝石をそのテーブル面が正面(外側)を向いた姿勢で安定して支持できる身飾品を提供することにある。」

エ.「【0011】
以下、本発明の身飾品の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は本発明の実施形態のペンダント1の正面図、図2は図1に示すペンダント1の背面図である。図3は、図2に示す回転棒24a付近の拡大図である。
【0012】
図1に示すように、ペンダント1は、枠組部材10に宝石部5,6,7を揺動可能な状態で直列に配置して支持した構造を有している。
【0013】
枠組部材10は、内部に細長い開口部10aを備えた形状をしている。
開口部10aを形成する左右の内側側面の対向する位置に1対の凹部26a,26bが形成されている。
また、上記内側側面の凹部26a,26bの下方には、凹部27a,27bと、凹部28a,28bとが上下方向に等間隔に形成されている。
本実施形態において、凹部26a,26b, 27a,27b,28a,28bは、断面円形の凹部である。
【0014】
宝石部5は、ダイヤモンド等の宝石12を支持する支持部材(シャトン)14を備えている。支持部材14は、爪20a,20b,20c,20dによって宝石12を保持している。宝石12が本発明の装飾物本体の一例であり、支持部材14が本発明の保持部材の一例である。
支持部材14には、左右方向に突き出た回転棒24a,24bが固定されている。
回転棒24a,24bは、枠組部材10の開口部10a内において支持部材14が枠組部材10と所定の距離を隔てて支持される際に、上述した凹部26a,26b内に回転可能な状態で挿入される。
回転棒24a,24bの横断面は円形である。
【0015】
回転棒24a,24bは、支持部材14の重心に対して上方位置で支持部材14を支持する。
例えば、回転棒24a,24bは、上下方向において支持部材14の重心と上側端部との間の中心位置付近で支持部材14を支持する。
なお、回転棒24a,24bは、上下方向において支持部材14の重心と上側端部との間の中心位置付近で支持部材14を支持する。
揺動特性を考慮すると、上下方向において距離をhとした場合に、回転棒24a,24bの位置は、支持部材14の重心と上側端部との間の中心位置を中心として、上下方向に3/4hの範囲であることが望ましい。
【0016】
このような位置に回転棒24a,24bを形成することで、ペンダント1がユーザに装着された状態で凹部26a,26b内で回転棒24a,24bが揺動した場合に、支持部材14の重心が回転棒24a,24bの位置より下になるため、支持部材14を保持した宝石部5が半回転することを回避できる。これにより、支持部材14に支持された宝石部5のテーブル面が常に正面(外側)に向いた姿勢を保つことができ、テーブル面が内側に向いてしまうことを回避でき、デザイン性を高めることができる。
【0017】
なお、回転棒24a,24bは、支持部材14と一体的に成形されていてもよい。
また、上述した実施形態では、宝石部5,6,7を上下方向の異なる位置に設けた場合を例示したが、水平方向の異なる位置に設けるようにしてもよい。」

4 甲4の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲4には、次の事項が記載されている。

ア.「


(【0025】
前記フレーム10の両側には、一体型に延長されて形成されて固定部30にかかって設けられている芯部12がある。また、他の実施例では、前記芯部は、フレーム10と分離されて作製される。次の溶接あるいは接着などの工程を経て組み立てられる。前記芯部12の末端には、端に沿って放射状に突出した丸皿状の引っ掛け部14が形成される。引っ掛け部14は、枠の近くで内側から外側へ徐々に厚さが放射方向に減少する。引っ掛け部14の両側面は端から円弧面に接続される。引っ掛け部14の両側面は、対称もしくは非対称に設けることができる。
【0026】
前記固定部30の両側には、側面に開口部を有する支持溝31がそれぞれ形成される。前記支持溝31の底面には、孤形に陥没した鼓形状の支持部32が形成される。図4に示されている実施例で、前記固定部30には、第1キャップ300と第2キャップ302を含んでいる。第1キャップ300と第2キャップ302には、半鼓形状の陥没部がそれぞれ形成される。第1キャップ300と第2キャップ302を接続すると、第1キャップ300と第2キャップ302に、それぞれ位置する半鼓形状の陥没部が正確に組み立てられて完全な支持溝31が形成される。組み立てる際、前記フレーム10の両側芯部12は、支持溝31の開口部に沿って第1キャップ300の半鼓形状の陥没部に挿入される。次に第2キャップ302と、第1キャップ300と、を組み立てる。これにより、引っ掛け部14は、揺動可能なように支持溝31内にひっかかる。また、芯部12も固定部30に揺動可能に接続される。支持部32の端が芯部12と対応する引っ掛け部14の端を支持している。両側の支持部32の端は引っ掛け部14の支持点の連結点を支持して可動軸を形成する。つまり、フレーム10は、宝石20と共に前記可動軸を囲んで前後に動く。)

5 甲5の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲5には、次の事項が記載されている。
ア.「【請求項1】
使用者の所定の箇所あるいは前記使用者が装着する所定の部材に吊り下げて使用される身飾品であって、
装飾体を保持する保持手段と、
前記所定の箇所あるいは前記所定の部材に吊り下げられるフレームと、
前記フレームに固定され、円状あるいは円弧状の第1の曲部を備えた第1の係合部と、
前記保持手段に固定され、円状あるいは円弧状の第2の曲部を備え、前記第1の曲部と前記第2の曲部との内周部同士を第1の接合位置で接合させて揺動可能に前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、
前記フレームが前記吊り下げられて使用されている状態の重力方向において前記第1の係合部と略同じ位置で、前記第1の係合部と所定の距離を隔てて前記フレームに固定され、円状あるいは円弧状の第3の曲部を備えた第3の係合部と、
前記重力方向において前記第2の係合部と略同じ位置で、前記第2の係合部と所定の距離を隔てて前記保持手段に固定され、円状あるいは円弧状の第4の曲部を備え、前記第3の曲部と前記第4の曲部との内周部同士を第2の接合位置で接合させて揺動可能に前記第3の係合部と係合する第4の係合部と
を有し、
前記吊り下げられて使用され、且つ前記装飾体および前記保持手段に外力が加えられていない状態で、
前記装飾体の正面が重力方向に対して約5°?約45°の角度だけ上方に向けた姿勢になり、
且つ前記装飾体と前記保持手段との全体の重心に対して前記重力方向における上方位置に、前記第1の接合位置と前記第2の接合位置とが位置するように、
前記第2の係合部および前記第4の係合部が前記保持手段に固定されている
身飾品。」

イ.「【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾体が揺動する身飾品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ダイヤモンド等の宝石を固定した支持部材を揺動可能に支持する指輪等がある。このようにダイヤモンドを揺動させることで、揺動させない場合に比べてダイヤモンドをより輝いて見せることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、装飾体を揺動可能に支持したペンダント等において、装飾効果をさらに高めたいという要請がある。」

ウ.「【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の身飾品の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は本発明の実施形態のペンダントトップ1の揺動していない状態での側面図、図2は図1に示すペンダントトップ1を説明するための図、図3は図1に示すペンダントトップ1の正面図、図4は図1に示すペンダントトップ1の背面図、図5(A)はダイヤモンド7を装着していない状態の座台部5の正面図、図5(B)は座台部5の底面図である。
なお、図1?図4は、フレーム10を使用者の首等に紐状部材(図示せず)によって吊り下げて使用している状態(使用状態)を示している。このとき、開口部10aの係合位置10a1に紐状部材が係合する。
【0012】
図1?4に示すように、ペンダントトップ1は、フレーム10に座台部5を揺動可能な状態で取り付けた構造を有している。
座台部5には、ダイヤモンド7が固定されている。
座台部5は、ダイヤモンド7のテーブル面7aと、パビリオン部とが外部に露出するようにダイヤモンド7を爪で固定している。
【0013】
フレーム10には、第1のリング21(第1の係合部)が固定されている。なお、第1のリング21はフレーム10と一体となって形成されていてもよい。
座台部5には、第2のリング31(第2の係合部)が固定されている。なお、第2のリング31は座台部5と一体となって形成されていてもよい。
第1のリング21と第2のリング31とは、内周部同士(第1の曲部と第2の曲部との内周囲部同士)を第1の接合位置51で接合させて揺動可能に係合している。
【0014】
フレーム10には、第3のリング23(第3の係合部)が固定されている。なお、第3のリング23はフレーム10と一体となって形成されていてもよい。
座台部5には、第4のリング33(第4の係合部)が固定されている。なお、第4のリング33は座台部5と一体となって形成されていてもよい。
第3のリング23と第4のリング33とは、内周部同士(第3の曲部と第4の曲部との内周囲部同士)を第2の接合位置53で接合させて揺動可能に係合している。
【0015】
図4に示すように、第1のリング21と第3のリング23は、前述した使用状態で、略重力方向(図中上下方向)において略同じ位置に配置されている。
第2のリング31と第4のリング33は、上記略重力方向において、略同じ位置に配置されている。
【0016】
図4に示すように、第1のリング21の開口部と第3のリング23の開口部は、ダイヤモンド7のガードルに向けて位置している。
また、第2のリング31の開口部と第4のリング33の開口部は、使用者の略正面に向けて位置している。」

エ.「【0026】
<第2実施形態>
本実施形態では、図6に示すように、第1のリング21と第2のリング31、第3のリング23および第4のリング33の断面が、内周部に向けて先細形状をしている。
なお、第1のリング21と、それと係合する第2のリング31のいずれか一方の断面が
、円周部に向けて先細形状をしていてもよい。
また、第3のリング23と、それと係合する第4のリング33のいずれか一方の断面が、円周部に向けて先細形状をしていてもよい。
さらには、各リングの内周部全域ではなく、対となるリングと係合する箇所の周辺部のみ先細形状をしていてもよい。
【0027】
本実施形態のペンダント1では、リングの断面を上述した先細形状にすることで、リング間の接合面積を小さくでき、揺動時の摩擦抵抗を小さくできる。これにより、使用者の微妙な動きに連動して揺動させることが可能になる。また、揺動時間を長くすることができる。」

6 甲6の記載事項等
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲6には、次の事項が記載されている。
ア.「【請求項1】その底壁に挿通孔を有した有底筒状のハウジングと、
前記ハウジングの開口を閉鎖する蓋体と、
前記ハウジングの挿通孔内に挿通されるとともにその先端側に装飾体を取り付け可能な軸部、およびこの軸部の基端側に設けられて前記軸部の軸線に対し垂直な方向に延びる係合部を有した揺動軸と、
その半径方向内側の端部が前記軸部の長手方向中央部分に固定されるとともにその半径方向外側の端部が前記収納ケースの内壁面に固定される巻きばねと、を備え、
前記ハウジングは、前記係合部の先端を受け入れる受入部をその周壁の開口側の端部に有することを特徴とする装飾体の揺動支持機構。」

イ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、装飾体を揺動自在に支持する機構およびそれを用いた装身具に関し、より詳しくは、外観に優れるとともに製造が容易で、小型軽量であり、かつ装飾体を確実に揺動させて美観を向上させる技術に関する。」

ウ.「【0006】そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、外観に優れるとともに製造が容易、かつ小型軽量でありながら装飾体を確実に揺動させることができる装飾体の揺動支持機構および装身具を提供することにある。」

エ.「【0019】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図5を参照し、本発明に係る装飾体の揺動支持機構および装身具の各実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の部分に同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0020】まず最初に図1乃至図3を参照して本発明に係る装飾体の揺動支持機構の一実施形態について詳細に説明すると、本実施形態の装飾体の揺動支持機構100は、有底円筒状のハウジング10、揺動軸ユニット20およびハウジング10の開口を閉鎖する蓋体30とを備えている。
【0021】ハウジング10は、シルバー、ゴールドおよびプラチナ等の貴金属、若しくはステンレスや洋白の金属材料から精密鋳造若しくは切削加工により製造される部材で、製造された円筒状の周壁11の一方の開口を閉塞する底壁12を有している。そしてこの底壁12には、揺動軸21の軸部22が挿通される挿通孔13が貫設されている。また、周壁11の他方の開口14側の端部には、一対の切り欠き15が周壁11の軸線を挟んで互いに対向するように形成されている。これらの切り欠き15は、揺動軸21の係合部23の両端23a,23bを受け入れる受入部を形成するためのものである。また、一対の切り欠き15に隣接して設けられている切り欠き16は、蓋体30の位置決めに用いるためのものである。さらに、周壁11の内壁面には、巻きばね24の半径方向外側の端部24aを受け入れて係止するための巻きばね係止溝17が、周壁11の開口14側の端部から底壁12に向かって延びるように凹設されている(図3参照)。
【0022】揺動軸ユニット20は、揺動軸21に巻きばね24を組み付けたものである。揺動軸21は、例えばNi系ホワイトゴールド等の貴金属から製造される部材で、ハウジング10の底壁12に貫設された挿通孔13内に挿通される軸部22と、この軸部22の基端側においてT字形に一体に形成された係合部23とを有している。係合部23は、軸部22の軸線に対して垂直な方向に延びる部材であるが、本実施形態においては軸部22の先端22aから離間する方向に湾曲しており、かつその両端部23a,23bが係合端となっている。巻きばね24は、ばね鋼製の帯板を螺旋状に巻いた部材で、その半径方向外側の端部24aは、図3に示したように、ハウジング10の内壁面に凹設された巻きばね係止溝17内に挿入されて周壁11に対しその円周方向に変位不能に係止される。これに対して、巻きばね24の半径方向内側の端部24個は、揺動軸21の軸部22に鑞付けによって固定されている。
【0023】蓋体30は、シルバー、ゴールドおよびプラチナ等の貴金属、若しくはステンレスや洋白等の金属材料から精密鋳造若しくは切削加工により製造される部材で、円盤状の本体部分31には、その軸線を挟んで互いに対向するように形成された一対の切り欠き32を有している。これらの切り欠き32は、ハウジング10の一対の切り欠き15と共に、揺動軸21の係合端23a,23bをそれぞれ受け入れる受入部を構成する。なお、本体部分31の図示上面に突設された一対の突起33は、ハウジング10の切り欠き16と係合してハウジング10に対する位置決めを行うためのものである。
【0024】上述した構造を有する本実施形態の装飾体揺動支持機構100を組み立てる際には、まず揺動軸ユニット20の軸部22をハウジング10の挿通孔13に挿通する。次いで、ハウジング10の内壁面に凹設されている一対の巻きばね係止溝17のいずれかに巻きばね24の半径方向外側の端部24aを挿入する。さらに、揺動軸ユニット20の両係合端23a,23bをハウジング10の一対の切り欠き15内にそれぞれ挿入し、ハウジング10への揺動軸ユニット23の組み付けを完了する。そして、蓋体30の一対の突起33をハウジング10の切り欠き16に嵌合させた後、ハウジング10に蓋体30を鑞付けして固定する。」

第7 無効理由についての当審の判断
1 無効理由1について
無効理由1は、本件訂正前の請求項1に係る発明の「適所」と「ピボット状の支軸」の意味が不明確であるというものである。以下、それぞれについて検討する。
(1)「適所」について
本件訂正による訂正前の請求項1には、「前記装飾部材は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、」における「適所」の意味が不明確であるというのが請求人の主張であったところ、この記載は、本件訂正により、「前記装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、」と訂正された。すなわち、「適所」については、「適宜選択し得る箇所にて」と訂正された。この訂正後の請求項1に係る発明である本件発明1における「適宜選択し得る箇所にて」について請求人は何ら意見を述べていないが、本件発明1の「適宜選択し得る箇所にて」も訂正前の「適所」と同様に不明確であるという主張と解し得る余地があるので、この点について検討する。
まず、本件発明1を特定する事項について検討すると、この「適宜選択し得る箇所にて」は、「前記装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部がその両側に突設され」(下線は、当審加筆)と装飾部材を特定する事項の中で記載され、「適宜選択し得る箇所にて」は、装飾部材の両側に突設される揺動アームを特定する事項の中で用いられていることがわかる。そして、この装飾部材の両側に突設される揺動アーム部は、「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成され」ていることが発明特定事項とされている。揺動アーム部は、装飾部材の両側に突設されるものであるから、両側に設けられるために、少なくとも一対の揺動アーム部があるといる。そして、本件発明1は、「装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合する」ものであるところ、これら一対の揺動アーム部の延長端部に突設されるピボット状の支軸は、揺動アーム部の形状によって定まる一定の間隔をもっていると解され、この間隔をもって、ピポット状の支軸は、装身具用枠体に形成された軸受凹部に係合するといえる。
したがって、揺動アーム部の形状を特定する事項の一部である「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち」は、前記揺動アーム部の、前記装飾部材から突設されている根元の部位から延長端部までの間から、上記のようにピポット状の支軸の先端が装身具用枠体に形成された軸受凹部に係合できるように選択された箇所にての意味と解することができ、このような解釈は、本件特許の図面の【図3】等の記載から、装身具用枠体12と干渉しないで、揺動アーム部の延長端部に形成されたピポット状の支軸の先端が装身具用枠体に形成された軸受凹部に係合できるように、揺動上方に屈曲していることが見てとれることからもわかる。
したがって、本件訂正後の「適宜選択し得る箇所にて」は、明確であり、請求人のこの点に関する主張は採用することができない。

(2)「ピボット状の支軸」について
請求人の主張は、請求項1に記載された「ピボット状の支軸」の意味が不明確であるというものであり、請求人は、ピボットの意味を広辞苑に求め、「回転軸、軸受の中で向きを変えたり回転したりする。」とし、「ピボット状の支軸」とは「軸状の支軸」となり、意味が不明確であると主張する。
一方、「ピボット状の支軸」は、本件訂正により、「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」と訂正された。この本件訂正後の「ピボット状の支軸」について、請求人は、何ら意見を述べていないが、本件訂正後においても、「ピボット状の支軸」という用語は本件発明を特定するために用いられていることから、この記載の明確性について検討する。
そこで、まず本件発明1の記載をみると、揺動アーム部に関して、「延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」と特定されている。さらに本件発明1では「…軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けたこと」も特定されている。したがって、ピボット状の支軸は、下向きを長手方向とする先細り形状であることは特定されているが、ピボット状の支軸に関するそれ以上の具体的な事項は、特定されていない。
そして、本件訂正後の発明の詳細な説明の記載をみると、以下の事項が記載されている。

ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は、宝石を揺動可能としたペンダントやブローチ、指輪、ブレスレット等の装身具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、着用時にダイヤモンド等の宝石をそのテーブル面が正面を向いた状態で、着用者の動きに応じて宝石が揺動するように支持する構造の身飾品が種々提案されている。
そのような先行技術としては、特開2013-226462号公報(特許文献1参照)のような身飾品が知られており、該身飾品における枠組部材と装飾物とを係合する係合部は、前記装飾物の中心に対して上下方向と直交する左右方向の左側に設けられ第1のリング部と、前記装飾物の中心に対して右側に設けられ第2のリング部と、前記枠組部材の前記第1のリング部の側に設けられ、前記第1のリング部とつながれた第3のリング部と、前記枠組部材の前記第2のリング部の側に設けられ、前記第2のリング部とつながれた第4のリング部とを有する。」

イ.「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記身飾品においては連結した一対のリングどうしで装飾物を保持しているために、動きにぎこちなさがあったり、均一な品質の身飾品を得にくいという問題があった。
本発明は、上記不具合を解消すべく発明されたものであり、装飾部材の動きがスムーズで、均一な品質の装身具を得ようとするものである。」

ウ.「【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明に係る装飾部材を揺動可能に取り付けてなる装身具は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きにピボット状の支軸が形成された揺動アーム部を前記装飾部材の両側に突設され、前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部のピボット状の支軸が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けたものである。
そうすることによって、装飾部材の動きがスムーズで、均一な品質の装身具を得ることができるようになった。」

上記記載によれば、従来、身飾品における枠組部材と装飾物とを係合する係合部は、複数のリングをつなぐことにより、揺動できるように装飾物を保持していた(上記「ア」参照。)が、動きにぎこちなさがあったり、均一な品質の身飾品を得にくいという問題があったため、本件発明は、装飾部材の動きがスムーズで、均一な品質の装身具を得るためになされたものであり(上記「イ」参照。)、所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体を備え、延長端部に上向きにピボット状の支軸が形成された揺動アーム部を両側に突設した吊下げ部材を用意し、前記装身具用枠体に配置された軸受凹部に、前記揺動アーム部のピボット状の支軸が係合することにより、装飾部材を備えた装身具用枠体を吊下げ部材に揺動自在に取り付けたことにより、装飾部材の動きがスムーズな品質の装身具を得ることができるようにしたものと解される(上記「ウ」参照。)。
そして、上記のように本件発明1のピボット状の支軸は、「ピボット状の支軸は、下向きを長手方向とする先細り形状である」であるところ、このような先細り形状のピボット状の支軸が、軸受凹部に係合することで、装飾部材を保持する装身具枠体が揺動する動きがスムーズになり、装身具用枠体の動きにぎこちなさが生じないようにして、従来の身飾品は、動きにぎこちなさがあったという上記課題を本件発明1は、解決したと理解できる。
また、従来の身飾品では、複数のリングをつないで揺動できるように装飾物を保持していたため、均一な品質の装飾品を得にくいという課題があったと本願の発明の詳細な説明には記載されているが、これは、個々のリングのわずかなゆがみの違いや、つないだリング同士の接触部分のわずかな形状の違いにより、リング同士の接触部分でリングが滑りを伴う揺動になったり、あるいはこのような滑りを伴わない揺動になるため、この違いが揺動に与える影響が大きいことを「均一な品質の装飾品を得にくい」と表現したものと解される。これに対して、本件発明1のピボット状の支軸は、下向きを長手方向とする先細り形状であるピポット状の支軸が軸受凹部に係合することで、軸受凹部とピポット状の支軸を係合していることから、軸受凹部とピボット状の支軸の係合部分で滑りが生じても、軸受凹部に係合しているピボット状の支軸の箇所は変わらないため、この滑りが揺動に与える影響は、リング同士の場合に比べて大きくないと解される。したがって、本件特許公報に接した当業者は、本件発明1は、先細り形状であるピボット状の支軸が軸受凹部に係合することで、均一な品質の装飾品を得にくいという課題を解決した発明であると理解できる。
以上によれば、本件発明1の「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」は、明確である。
そして、このような理解は、乙3や乙4に基づいて被請求人が主張する「ピボット状の支軸」の意味とも整合するものである。
また、請求人の主張によれば、広辞苑第6版には、ピボットについて、「回転軸、軸受の中で向きを変えたり回転したりする。」という意味であるとされ、このような記載があることについては、被請求人も特段の主張はしていない。
そうすると、「ピボット」とは、単に「回転軸」というだけでなく、「軸受の中で向きを変えたり回転したりする」ことができるものであり、ピボット状とは、「軸受の中で向きを変えたり回転したりする」ことができるような形状であると解することができるが、上記のように、本件発明1に特定される先細りの形状であるピボット状の支軸は、向きを変えたり回転したりすることができる軸であるから、請求人の主張するピボットの意味とも整合するものである。
以上のことから、下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸は、明確であり、請求人の主張は採用することができない。

(3)無効理由1についてのまとめ
以上、(1)、(2)に示したように、請求人の主張は採用することができず、無効理由1には、理由がないから、この点において、本件発明1ないし3についての特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものとはいえず、本件発明1ないし3についての特許は、同法第123条第1項第4号に該当せず、無効理由1により無効とすべきものではない。

2 無効理由2について
無効理由2は、本件訂正前の請求項5係る発明の「駒状ストッパ」の「駒状」の意味が不明確であるというものである。この「駒状ストッパ」については、本件訂正により、「脱着可能なストッパである駒状ストッパ」と訂正され、この本件訂正後の請求項5に係る発明の「駒状ストッパ」について、請求人は、何ら意見を述べていないが、本件訂正後においても、「駒状ストッパ」という用語は本件発明を特定するために用いられていることから、この記載の明確性について検討する。
上記のように、本件訂正により、「駒状ストッパ」は、「脱着可能なストッパである駒状ストッパ」と訂正された。そして、本件発明5は、「駒状ストッパ」に関して、「前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成されており、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付けられ、かつ脱着可能なストッパである駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されている」と特定している。これによれば、駒状ストッパは、軸受凹部に形成された開口部に取り付けられて、この開口部を封鎖するものといえる。さらに、開口部は、揺動アーム部を挿通するためのものであるから、揺動アーム部を通すことができれば事足り、それ以上に大きい開口を要するものではないと解される。そして、このような解釈は、本件の明細書の段落【0019】等に記載される「脱着可能なストッパである駒状ストッパ」に関する事項とも整合するものである。
そして、このように解すると本件発明5の「駒状ストッパ」とは、揺動アーム部を挿通する程度の開口である開口部に取り付けられ、この開口部を封鎖するものといえ、「駒状ストッパ」の「駒状」とは、揺動アーム部を挿通する程度の開口である開口部に取り付けられ、この開口部を封鎖することができる大きさと形状を意味していると解される。
したがって、請求人の「駒状ストッパ」の「駒状」の意味が不明確であるという主張は採用することができず、無効理由2には、理由がないから、この点において、本件発明5についての特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものとはいえず、本件発明5についての特許は、同法第123条第1項第4号に該当せず、無効理由2により無効とすべきものではない。

3 無効理由3について
(1)対比及び一致点、相違点について
ア.対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「軸穴8を有するボルト5を配置した」は本件発明1の「軸受凹部を配置した」に相当し、以下同様に、「支持部材2」は「装身具用枠体」に、「支持部材2に配置されたボルト5の軸穴8間」は「装身具用枠体の軸受凹部間」に、「宝石支持金具10」は「装飾部材」に、それぞれ相当する。
したがって、甲1発明の「所定の間隔で一対の軸穴8を有するボルト5を配置した支持部材2と、当該支持部材2に配置されたボルト5の軸穴8間に差渡されて揺動可能に保持された宝石支持金具10とを備え」は、本件発明1の「所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え」に相当する。
(イ)甲1発明の「支持軸12」は、本件発明1の「揺動アーム部」と、装飾部材の両側に設けられ、装飾部材を装身具枠体に揺動自在に取り付ける「揺動支持部」である点で共通し、前者の「固定され」は、後者の「突設され」に相当する。
したがって、甲1発明の「宝石支持金具10は、下に凸の略半円形の断面形状をした部分の両端から略水平方向を長手方向とし、下部が傾斜面11で形成され三角錐形状である支持軸12をその両側に固定され」は、本件発明1の「装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部がその両側に突設され」と、「装飾部材は、揺動支持部がその両側に突設される」点で共通する。
(ウ)甲1発明の「配置された」は、本件発明1の「形成された」に相当し、前者の「ボルト5の軸穴8」は、後者の「軸受凹部」に相当する。また、甲1発明の「支持軸12の三角錐形状の下部」は、本件発明1の「揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端」と、軸受凹部に係合する「揺動支持部の下部」である点で共通する。
したがって、甲1発明の「支持部材2に配置されたボルト5の軸穴8に、前記支持軸12の三角錐形状の下部が係合することにより、宝石支持金具10を支持部材2に揺動自在に取り付けた装身具」は、本件発明1の「装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた」「装身具」と、「装身具枠体に形成された軸受凹部に、揺動支持部の下部が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた装身具」である点で共通する。

イ 一致点及び相違点
してみると、 本件発明1と甲1発明とは、次の[一致点]で一致し、次の[相違点]で相違する。

[一致点]
「所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え、
前記装飾部材は、揺動支持部がその両側に突設され、
前記装身具枠体に形成された軸受凹部に、揺動支持部の下部が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた装身具。」

[相違点]
揺動支持部が、本件発明1では「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」であるのに対し、甲1発明では、下に凸の略半円形の断面形状をした部分の両端から宝石支持金具10の両側に固定される「略水平方向を長手方向とし、下部が傾斜面11で形成され三角錐形状である支持軸12」であり、さらに、装身具用枠体に形成された軸受凹部に係合する箇所である揺動支持部の下部が、本件発明1では「揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端」であるのに対し、甲1発明では「支持軸12の三角錐形状の下部」である点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
甲1には、軸受凹部に相当する軸穴8に係合する部材として、「水平方向を長手方向とし、下部が傾斜面11で形成され三角錐形状である支持軸12」は記載されているが、「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」は記載も示唆もされていない。また、装飾部材を備えた装身具用枠体が揺動自在に取り付けられている装身具において、「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」を用いることが自明な事項であるともいえない。
そして、本件発明1は、「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」が、軸受凹部に係合するものであるから、装身具用枠体が揺動しても、ピボット状の支軸は、その先端が常に軸受凹部に係合するものである。
これに対して、甲1発明の支持軸12は、「略水平方向を長手方向とし、下部が傾斜面11で形成され三角錐形状である」と特定され、この下部が軸穴8に係合するものであるから、宝石支持金具10の揺動時に、支持軸12が軸穴8と係合する箇所は、宝石支持金具10にかかる支持軸12の長手方向の力によって、当該支持軸12の長手方向に変わりえるものである。そして、揺動時に係合する箇所が常に先端部分であって変わらない本件発明1のピポット状の支軸と、揺動時にかかる力の状態によっては、係合する箇所が変わる甲1発明の支持軸12とでは、その揺動の挙動も異なるものになると解される。したがって、上記相違点は、実質的な相違点である。

(3)無効理由3についての結論
上記(1)及び(2)に示したように、本件発明1は、甲1に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものとはいえず、本件発明1についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由3により無効とすべきものではない。

4 無効理由4について
(1)対比及び一致点、相違点について
ア.対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明の「軸穴50」は本件発明1の「軸受凹部」に相当し、以下同様に、「本体10」は「装身具用枠体」に、「ユニット30」は「装飾部材」に、それぞれ相当する。
したがって、甲2発明の「所定の間隔で一対の軸穴50を配置した本体10と、当該本体10の軸穴50間に差渡されて揺動可能に保持されたユニット30とを備え」は、本件発明1の「所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え」に相当する。
(イ)甲2発明の「その両側に備えられ」は、本件発明1の「その両側に突設され」に相当し、甲2発明の「連結軸40」は、本件発明1の「揺動アーム部」と、装飾部材の両側に突設される「揺動部材」である点で共通する。
したがって甲2発明の「ユニット30は、斜め上方に延びるように設けられ、かつ斜め上方を長手方向とし、二つの切断面41が下部に夾角を形成するように交差して構成される第1刃42を備える連結軸40がその両側に備えられ」は、本件発明1の「装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部がその両側に突設され」と、「装飾部材は、揺動部材がその両側に突設され」る点で共通する。
(ウ)甲2発明の「軸穴50に、前記連結軸40の第1刃42の先端が係合すること」は、本件発明1の「軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合すること」と、「軸受凹部に、揺動部材の下部が係合すること」で共通する。

イ 一致点及び相違点
してみると、 本件発明1と甲2発明とは、次の[一致点]で一致し、次の[相違点]で相違する。

[一致点]
「所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え、
前記装飾部材は、揺動部材がその両側に突設され、
前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動部材の下部が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けた装身具。」

[相違点]
揺動部材が、本件発明1では、「適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部」であるのに対し、甲1発明では、斜め上方に延びるように設けられ、かつ斜め上方を長手方向とし、二つの切断面41が下部に夾角を形成するように交差して構成される第1刃42を備える連結軸40であり、さらに、軸受凹部に係合する揺動部材の箇所が、本件発明1では、「揺動アーム部のピボット状の支軸の先端」であるのに対し、甲1発明では、連結軸40の第1刃42の先端である点。

(2)判断
請求人の主張は、本件発明1と甲2発明との相違点は、甲2ないし5に開示された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に想到できたものにすぎないとするものであるから、以下、この点について検討する。
まず、甲2には、上記甲2発明が記載されているところ、連結軸40に「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」を設けることは記載も示唆もされていない。
甲3には、上記「第6」、「3」に摘記したとおりの事項が記載されているところ、これは、凹部26a,26b内で回転棒24a,24bが揺動した場合に、回転棒24a,24bが設けられている支持部材14を保持した宝石部5が揺れることが記載(図1ないし3参照)されているが、この回転棒24a,24bに「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」を設けることや、あるいは、回転棒24a,24bの端部を「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」とすることは、記載も示唆もされていない。
甲4には、上記「第6」、「4」に摘記したとおりの事項が記載されているところ、固定部30の両側に設けられた開口部を有する支持溝31に、フレーム10の両側に設けられた芯部12の端部に設けられ、内側から外側へ徐々に厚さが放射方向に減少する丸皿状の引っ掛け部14がひっかかることで、フレーム10が宝石20と共に前後に動くことが記載されているが、芯部12の端部を「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」とすることは、記載も示唆もされていない。
甲5には、上記「第6」、「5」に摘記したとおりの事項が記載されているところ、フレーム10に設けられた第1のリング21と第3のリング23が、それぞれ、座台部5の両端に設けられた第2のリング31と第4のリング33と内周部同士を接合させて揺動可能に係合することで、座台部5を揺動可能にすることが記載されているが、これらのリングの一部を「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」とすることは、記載も示唆もされていない。
したがって、甲2発明に甲2ないし甲5に記載された事項から把握される周知技術又は公知技術を適用しても、本件発明1の「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」を得ることはできず、また、「軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合する」という発明特定事項も得られないから、甲2発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、本件発明1を得ることが当業者にとって容易にすることができたとはいえない。
この点について、更に検討すると、本件発明1は、上記無効理由3において検討したように、「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」が、軸受凹部に係合するものであるから、装身具用枠体が揺動しても、ピボット状の支軸は、その先端が常に軸受凹部に係合するものである。これに対し、甲2発明は、ユニット30の両側に備えられる連結軸40の下部の第1刃42が、本体10の軸穴50に係合し、ユニット30を本体10に揺動自在に取り付けたものであるが、連結軸40とその下部の第1刃42は、一定の長さを有するものであり、ユニット30にかかる力の方向と大きさによっては、連結軸の下部の第1刃42の軸穴50に対する係合箇所は連結軸の長さ方向に変わり得るものである。また、上記甲3に記載された公知技術は、宝石部5が揺れることで、凹部26a,26bに対する回転棒24a,24bの係合する箇所は変わり得るものであるし、甲4に記載された公知技術は、フレーム10が前後に動くことで、引っ掛け部14が支持溝31に係合する箇所は変わり得るものである。さらに、甲5に記載された公知技術も内周部同士を接合させて揺動可能に係合している2つのリングの係合位置は、変わり得るものである。したがって、甲2発明に甲3ないし甲5に記載された公知技術を適用しても、上記のように、本件発明1の「下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸」を得ることはできず、また、「軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合する」という発明特定事項も得られない。
そして、本件発明1は、このような発明特定事項を有することにより、上記「1 無効理由1について」の「(2)「ピボット状の支軸」について」に示すように、装飾部材を保持する装身具枠体が揺動する動きがスムーズになり、装身具用枠体の動きにぎこちなさが生じないようにし、また、均一な品質の装飾品を得にくいという課題を解決した発明であることから、本件発明1は、甲2発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術又は公知技術からは、得られない作用効果を有しているといえ、このような効果を有する本件発明1は、甲2発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術及び公知技術に対して、進歩性を有するといえる。

(3)無効理由4についての結論
以上のことから、本件発明1は、甲2発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできず、本件発明1についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効理由4により無効とすべきものではない。

5 無効理由5について
無効理由5は、本件発明2は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないと主張する無効理由である。
この本件発明2は、本件発明1を引用して特定された発明であり、本件発明1において特定された事項の全てを含み、さらに限定された発明であるから、上記「3 無効理由3について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」、「イ 一致点及び相違点」で示した[相違点]を甲1発明に対して、少なくとも有する発明である。
そして、この[相違点]が実質的な相違点であることは、「3 無効理由3について」の「(2)判断」で示した通りである。
そうすると、本件発明2も、また本件発明1と同様に、甲1に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものでないから、本件発明2についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由5により無効とすべきものではない。

6 無効理由6について
無効理由6は、本件発明2は、甲1発明及び甲1、甲3に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、当業者が容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張する無効理由である。
そして、上記「5 無効理由5について」において示したように、本件発明2と甲1発明とは、上記「3 無効理由3について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」、「イ 一致点及び相違点」で示した[相違点]を少なくとも有する。
そして、甲1には、上記「3 無効理由3について」の「(2)判断」に示すように、上記相違点に係る本件発明2の発明特定事項について、何ら記載されていないし、また、このような発明特定事項が甲1の記載等から自明であるともいえない。また、甲3にも、上記「4 無効理由4について」、「(2)判断」に示すように、上記相違点に係る本件発明2の発明特定事項について記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明及び甲1、甲3に記載された事項から把握される周知技術又は公知技術に基づいて、上記相違点に係る本件発明2の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易であるとはいえず、また、上記「1 無効理由1について」の「(2)『ピボット状の支軸』について」並びに「4 無効理由4について」の「(2)判断」に示すように、本件発明2は、相違点に係る発明特定事項を有することにより、装飾部材を保持する装身具枠体が揺動する動きがスムーズになり、装身具用枠体の動きにぎこちなさが生じないようにし、また、均一な品質の装飾品を得にくいという課題を解決し、このような効果を有する発明である。
よって、本件発明2は、甲1発明及び甲1又は甲3に記載された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできず、本件発明2についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効理由6により無効とすべきものではない。

7 無効理由7について
無効理由7は、本件発明3は、甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、当業者が容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張する無効理由である。
この本件発明3は、本件発明1を引用して特定された発明であり、本件発明1において特定された事項の全てを含み、さらに限定された発明であるから、上記「3 無効理由3について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」、「イ 一致点及び相違点」で示した[相違点]を甲1発明に対して、少なくとも有する発明である。
そして、この[相違点]が甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術に基づいて容易に得られるものではないことは、上記「6 無効理由6について」において示した通りである。
そうすると、本件発明3も、甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできず、本件発明3についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効理由7により無効とすべきものではない。

8 無効理由8について
無効理由8は、本件発明4は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術から、当業者が容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張する無効理由である。
この本件発明4は、本件発明1を引用して特定された発明であり、本件発明1において特定された事項の全てを含み、さらに限定された発明であるから、上記「3 無効理由3について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」、「イ 一致点及び相違点」で示した[相違点]を甲1発明に対して、少なくとも有する発明である。
そして、この[相違点]が甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術から容易に得られるものではないことは、上記「6 無効理由6について」において示した通りである。
そうすると、本件発明4も、甲1に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当する発明とはいえず、また、甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということもできない。よって、本件発明4についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効理由8により無効とすべきものではない。

9 無効理由9について
無効理由9は、本件発明4は、甲2発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、当業者が容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張する無効理由である。
この本件発明4は、本件発明1を引用して特定された発明であり、本件発明1において特定された事項の全てを含み、さらに限定された発明であるから、上記「4 無効理由4について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」、「イ 一致点及び相違点」で示した[相違点]を甲2発明に対して、少なくとも有する発明である。
そして、この[相違点]が甲2発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術又は公知技術から容易に得られるものではないことは、上記「4 無効理由4について」において示した通りであるから、この[相違点]が甲2発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術又は公知技術から容易に得られるものではない。
そうすると、本件発明4は、甲2発明及び甲2ないし甲5に記載された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできず、本件発明4についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効理由9により無効とすべきものではない。

10 無効理由10について
無効理由10は、請求項1及び2を引用する本件発明5は、甲1に記載されているから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、請求項3を引用する本件発明5は、甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、当業者が容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張する無効理由である。
この本件発明5は、本件発明1を引用して特定された発明であり、本件発明1において特定された事項の全てを含み、さらに限定された発明であるから、上記「3 無効理由3について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」、「イ 一致点及び相違点」で示した[相違点]を甲1発明に対して、少なくとも有する発明である。
そして、この[相違点]が実質的な相違点であることは、「3 無効理由3について」の「(2)判断」で示した通りである。
そうすると、請求項1及び2を引用する本件発明5も、本件発明1と同様に、甲1に記載された発明であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものでない。
また、この[相違点]が、甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術から容易に得られるものではないことは、上記「6 無効理由6について」において示した通りである。
そうすると、請求項3を引用する本件発明5も、甲1発明及び甲1に記載された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。
以上のことから、本件発明5は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものでなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないもでもないから、本件発明5についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効理由10により無効とすべきものではない。

11 無効理由11について
無効理由11は、本件発明5は、甲1発明及び甲6に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、当業者が容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張する無効理由である。
この本件発明5は、本件発明1を引用して特定された発明であり、本件発明1において特定された事項の全てを含み、さらに限定された発明であるから、上記「3 無効理由3について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」、「イ 一致点及び相違点」で示した[相違点]を甲1発明に対して、少なくとも有する発明である。
これに対し、甲6には、上記「第6 甲号証の記載等」の「6 甲6の記載事項等」に摘記する事項等が記載されており、甲6の図1及び図2の記載をあわせてみれば、請求人が主張するように、「揺動軸ユニット20(揺動アーム部)がセットされた状態で開口14(開口部)に取り付ける蓋体30(駒状ストッパ)により開口14(開口部)が封鎖される」構成が記載されているとしても、上記相違点に係る本件発明5の発明特定事項については、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明及び甲6に記載された事項から把握される周知技術又は公知技術から、上記相違点に係る本件発明5の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易であるとはいえず、また、上記「1 無効理由1について」の「(2)『ピボット状の支軸』について」並びに「4 無効理由4について」の「(2)判断」に示すように、本件発明2は、相違点に係る発明特定事項を有することにより、装飾部材を保持する装身具枠体が揺動する動きがスムーズになり、装身具用枠体の動きにぎこちなさが生じないようにし、また、均一な品質の装飾品を得にくいという課題を解決し、このような効果を有する発明である。
よって、本件発明5は、甲1発明及び甲6に記載された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできず、本件発明5についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効理由11により無効とすべきものではない。

12 無効理由12について
無効理由12は、本件発明6は、甲1発明及び甲6に記載された周知技術又は公知技術に基づいて、当業者が容易にすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張する無効理由である。
この本件発明6は、本件発明1を引用して特定された発明であり、本件発明1において特定された事項の全てを含み、さらに限定された発明であるから、上記「3 無効理由3について」の「(1)対比及び一致点、相違点について」、「イ 一致点及び相違点」で示した相違点を甲1発明に対して、少なくとも有する発明である。
これに対し、甲6には、上記「第6 甲号証の記載等」の「6 甲6の記載事項等」に摘記する事項等が記載されており、甲6の図1及び図2の記載をあわせてみれば、請求人が主張するように、「支持軸12(揺動アーム部)を保持する支持片3(装身具用枠体)は、軸穴8(前記軸受凹部)に支持軸12(揺動アーム部)を挿通する開口14(開口部)を形成されたハウジング10(保持筒)を取り付けられ」という構成、及び、「揺動軸ユニット20(揺動アーム部)がセットされた状態で開口14(開口部)に取り付けた蓋体32(筒状ストッパ)により開口14(開口部)が封鎖される」構成が記載されているとしても、上記相違点に係る本件発明6の発明特定事項については、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明及び甲6に記載された事項から把握される周知技術又は公知技術に基づいて、上記相違点に係る本件発明6の発明特定事項を得ることが当業者にとって容易であるとはいえず、また、上記「1 無効理由1について」の「(2)『ピボット状の支軸』について」並びに「4 無効理由4について」の「(2)判断」に示すように、本件発明2は、相違点に係る発明特定事項を有することにより、装飾部材を保持する装身具枠体が揺動する動きがスムーズになり、装身具用枠体の動きにぎこちなさが生じないようにし、また、均一な品質の装飾品を得にくいという課題を解決し、このような効果を有する発明である。
よって、本件発明6は、甲1発明及び甲6に記載された周知技術又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできず、本件発明6についての特許は、同法第123条第1項第2号に該当しないから、無効理由12により無効とすべきものではない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正を認める。
本件発明1ないし6の特許は、請求人の主張及び証拠方法によっては、無効にすることは、できない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
装身具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宝石を揺動可能としたペンダントやブローチ、指輪、ブレスレット等の装身具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、着用時にダイヤモンド等の宝石をそのテーブル面が正面を向いた状態で、着用者の動きに応じて宝石が揺動するように支持する構造の身飾品が種々提案されている。
そのような先行技術としては、特開2013-226462号公報(特許文献1参照)のような身飾品が知られており、該身飾品における枠組部材と装飾物とを係合する係合部は、前記装飾物の中心に対して上下方向と直交する左右方向の左側に設けられ第1のリング部と、前記装飾物の中心に対して右側に設けられ第2のリング部と、前記枠組部材の前記第1のリング部の側に設けられ、前記第1のリング部とつながれた第3のリング部と、前記枠組部材の前記第2のリング部の側に設けられ、前記第2のリング部とつながれた第4のリング部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-226462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記身飾品においては連結した一対のリングどうしで装飾物を保持しているために、動きにぎこちなさがあったり、均一な品質の身飾品を得にくいという問題があった。
本発明は、上記不具合を解消すべく発明されたものであり、装飾部材の動きがスムーズで、均一な品質の装身具を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明の装身具は、所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え、前記装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部がその両側に突設され、前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の装身具において、前記装飾部材の重心は、前記ピボット状の支軸の先端よりも下方に位置させてあることをも特徴とするものである。
【0007】
本発明の装身具において、前記ピボット状の支軸は、前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に該支軸の上端が接触しないよう先端を外向きに傾斜させてあることをも特徴とするものである。
【0008】
本発明の装身具において、前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されていることをも特徴とするものである。
【0009】
本発明の装身具において、前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成されており、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付けられ、かつ脱着可能なストッパである駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されていることをも特徴とするものである。
【0010】
本発明の装身具において、前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成された保持筒を取り付けられ、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記保持筒に取り付けた筒状ストッパにより前記開口部が封鎖されていることをも特徴とするものである。
【0011】
本発明の装身具は、所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体に一体的に保持された装飾部材とを備え、
他方、延長端部に上向きにピボット状の支軸が形成された揺動アーム部を両側に突設した吊下げ部材を用意し、
前記装身具用枠体に配置された軸受凹部に、前記揺動アーム部のピボット状の支軸が係合することにより、装飾部材を備えた装身具用枠体を吊下げ部材に揺動自在に取り付けたことをも特徴とするものである。
【0012】
本発明の装身具において、前記吊下げ部材は、その背面から後方に延長したのち下向きに折返して形成した、身体との間隔を保持するためのスペーサを備え、装飾部材を備えた装身具用枠体を吊下げ部材に確実に揺動自在に取り付けられるようにしたことをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明に係る装飾部材を揺動可能に取り付けてなる装身具は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きにピボット状の支軸が形成された揺動アーム部を前記装飾部材の両側に突設され、前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部のピボット状の支軸が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けたものである。
そうすることによって、装飾部材の動きがスムーズで、均一な品質の装身具を得ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の装身具の第1実施例を示す概略正面図である。
【図2】その概略側面図である。
【図3】その概略断面図である。
【図4】装身具用枠体と装飾部材の分解状態の部分断面斜視図である。
【図5】装身具用枠材に装飾部材を取り付けた状態の部分断面斜視図である。
【図6】本発明の装身具の第1実施例の変形例を示す部分断面正面図である。
【図7】その軸受凹部の概略側面図である。
【図8】本発明の装身具の第2実施例を示す概略側面図である。
【図9】その概略断面図である。
【図10】本発明の装身具の第3実施例を示すものであり、装飾部材を保持筒に取り付けようとする状態の概略側面図である。
【図11】その概略断面図である。
【図12】装飾部材を保持筒に取り付けた状態の概略側面図である。
【図13】その概略断面図である。
【図14】保持筒上の筒状ストッパを回して開口部を閉じた状態の概略側面図である。
【図15】その概略断面図である。
【図16】本発明の装身具の第4実施例を示す概略斜視図である。
【図17】その背面側から見た概略斜視図である。
【図18】その概略縦断面図である。
【図19】その部分断面背面図である。
【図20】その水平方向に切断した状態の概略断面図である。
【図21】装飾部材の両側に突設した揺動アーム部を装身具用枠体に形成された軸受凹部に取り付けようとする状態の部分切断斜視図である。
【図22】揺動アーム部を軸受凹部にはめ込み、下向きに回動させようとする状態の部分切断斜視図である。
【図23】筒状ストッパを回して開口部を閉じようとする状態の部分切断斜視図である。
【図24】装飾部材の両側に突設した揺動アーム部の装身具用枠体に形成された軸受凹部への取り付けが完了した状態の部分切断斜視図である。
【図25】本発明の装身具の第5実施例を示す概略正面図である。
【図26】その概略背面図である。
【図27】その概略平面図である。
【図28】その概略縦断面図である。
【図29】その概略斜視図である。
【図30】その部分切断斜視図である。
【図31】揺動アーム部を装飾部材に形成された軸受凹部に取り付けようとする状態の部分切断斜視図である。
【図32】揺動アーム部を軸受凹部にはめ込み、上向きに回動させようとする状態の部分切断斜視図である。
【図33】揺動アーム部を装飾部材に形成された軸受凹部に取り付けた状態の部分切断斜視図である。
【図34】本発明の装身具の第5実施例の変形例を示すものであり、前記揺動アーム部がその背後に身体との間隔を保つスペーサを取り付けられている状態を示す部分切断斜視図である。
【図35】前記揺動アーム部を示す概略正面図である。
【図36】その概略側面図である。
【図37】その概略縦断面図である。
【図38】スペーサの正面図である。
【図39】スペーサの背面図である。
【図40】スペーサの側面図である。
【図41】スペーサの縦断面図である。
【図42】スペーサを吊下げ部材に組み付けた状態の正面図である。
【図43】スペーサを吊下げ部材に組み付けた状態の背面図である。
【図44】スペーサを吊下げ部材に組み付けた状態の側面図である。
【図45】スペーサを吊下げ部材に組み付けた状態の縦断面図である。
【図46】スペーサを組み付けた吊下げ部材を装身具用枠体に取り付けた状態の正面図である。
【図47】スペーサを組み付けた吊下げ部材を装身具用枠体に取り付けた状態の背面図である。
【図48】スペーサを組み付けた吊下げ部材を装身具用枠体に取り付けた状態の側面図である。
【図49】スペーサを組み付けた吊下げ部材を装身具用枠体に取り付けた状態の縦断面図である。
【図50】チェーンを装身具に取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明に係る装身具の実施の形態を、装身具としてペンダントを例にして説明する。
図1ないし図5に示すように、本実施例のペンダントトップからなる装身具11は、所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体12と、当該装身具用枠体12の分岐アーム部13,13間に差渡されて揺動可能に保持された、例えばダイヤモンド等の宝石14aを係合した装飾部材14とを備えている。
【0016】
前記装飾部材14は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きにピボット状の支軸16が形成された揺動アーム部15をその両側に突設されている。
図4に示す分解状態から、図5の組み付け状態とすることにより、当該揺動アーム部15は、前記装身具用枠体12に形成された軸受凹部21に、前記揺動アーム部15のピボット状の支軸16が係合することにより、前記装飾部材14を装身具用枠体12に揺動自在に保持するようにしたものである。
【0017】
本実施例の装身具11において、前記装飾部材14の重心は、前記ピボット状の支軸16の先端よりも下方に位置させてある。したがって、装飾部材14の宝石14aは安定して揺動し、くるくる回るようなことがない。
【0018】
また、前記ピボット状の支軸16は、図3ないし図5に示すように前記装身具用枠体12に形成された軸受凹部21の内壁部分に、該支軸16の上端が接触しないよう先端を外向きに傾斜させてある。
したがって、前記ピボット状の支軸16で支えられた前記揺動アーム部15は、軸受凹部21内で無理なく揺動させることができる。
【0019】
本実施例の装身具11において、前記揺動アーム部15を保持する装身具用枠体12は、前記軸受凹部21に前記装飾部材14の揺動アーム部15を内蔵した状態で一体に形成されている。
前記装身具11において、装身具用枠体12と前記前記装飾部材14とを一体に形成するには、以下のような手段を採用することができる。
1)装身具用枠体12の分岐アーム部13,13を図3の矢印A1の外方向に広げておき、前記軸受凹部21に前記装飾部材14の揺動アーム部15を内蔵した上で矢印A1の内方向に負荷をかけて閉じればよい。
2)前記軸受凹部21の少なくとも一方側に開口部を設けて水平方向に脱着可能なストッパである駒状ストッパ21aを設けておき、該駒状ストッパ21aを矢印A2の外方向に外した状態で前記装飾部材14の揺動アーム部15を前記軸受凹部21にはめ込み、その後駒状ストッパ21aを矢印A2の内方向にはめ込む。
3)前記軸受凹部21の少なくとも一方側に開口部を設けて垂直方向に脱着可能なストッパである駒状ストッパ21bを設けておき、該駒状ストッパ21bを矢印A3の下方向に外した状態で前記装飾部材14の揺動アーム部15を前記軸受凹部21にはめ込み、その後駒状ストッパ21bを矢印A3の上方向にはめ込む。
【0020】
次に、図6および図7に本発明の装身具の第1実施例の変形例を示す。
本変形例でも、装身具11は、分岐構造を備えた装身具用枠体12と、当該装身具用枠体12の分岐アーム部13,13間に差渡されて揺動可能に保持された、例えばダイヤモンド等の宝石14aを係合した装飾部材14とを備えている。
ただし、本実施例においては前記装身具用枠体12に設けた軸受凹部21は、上部に円形断面の第1凹部21cを、その下部には円形断面の第1凹部21aの下半部を取り巻くように円弧状の第2凹部21dを設けられている。
このようにすれば、前記軸受凹部21の円形断面の第1凹部21c内に前記装飾部材14の揺動アーム部15のピボット状の支軸16部分を、また円弧状の第2凹部21d内に揺動アーム部15の屈曲部15aをはめ込むことができ、より装飾性の高い装身具を提供することができる。
【0021】
次に、図8および図9に本発明の装身具の第2実施例を示す。
本実施例でも、装身具31は、分岐構造を備えた装身具用枠体32と、当該装身具用枠体32の分岐アーム部33,33間に差渡されて揺動可能に保持された、例えばダイヤモンド等の宝石34aを係合した装飾部材34とを備えている。
ただし、本実施例においては前記装身具用枠体32は中空構造となっており、装身具用枠体32には軸受凹部41がプレス加工等によって所定の形状に形成されている。もちろん、前記軸受凹部41には前記装飾部材34の揺動アーム部35のピボット状の支軸36がはめ込まれている。
このように装身具用枠体32を中空構造とすることにより、軽量化はもとより大幅なコスト低減をも図ることができる。
【0022】
図10ないし図15は本発明の装身具の第3実施例を示す。
本実施例でも、装身具51は、分岐構造を備えた装身具用枠体52と、当該装身具用枠体52の分岐アーム部53,53間に差渡されて揺動可能に保持された、例えばダイヤモンド等の宝石54aを係合した装飾部材54とを備えている。
ただし、本実施例においては前記装身具用枠体52の軸受凹部61には、揺動アーム部55を挿通する開口部63を形成された保持筒62が取り付けてある。64は前記開口部63に対応する開口部65を形成された筒状ストッパである。本実施例の装身具は次のようにして組み付けられ、使用される。
1)先ず、図10および図11のように前記揺動アーム部55を保持筒62および筒状ストッパの開口部63,65から差込む。
2)次に、図12および図13のように前記揺動アーム部55を保持筒62にセットする。
3)この状態で、図14および図15のように前記保持筒62上の筒状ストッパ64を回せば、前記保持筒62の開口部63が筒状ストッパ64の開口部65からずれて筒状ストッパ64により封鎖される。
このようにすれば、前記装身具用枠体52の軸受凹部61への、装飾部材54の揺動アーム部55の取り付けや抜け止めを簡単かつ確実に行うことができる。
【0023】
図16ないし図24は、本発明の装身具の第4実施例を示すものである。
図16ないし図20に示すように、本実施例のペンダントトップからなる装身具71は、ほぼリング状として分岐構造を備えさせた装身具用枠体72と、当該装身具用枠体72のリング状分岐アーム部73間に差渡されて揺動可能に保持された、例えばダイヤモンド等の宝石74aを係合した装飾部材74とを備えている。
【0024】
前記装飾部材74は、適所で上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きにピボット状の支軸76が形成された揺動アーム部75をその両側に突設されている。
ただし、本実施例においては前記装身具用枠体72の軸受凹部81として、揺動アーム部75を挿通する開口部83を形成された保持筒82が取り付けてある。84は前記開口部83に対応する開口部85を形成された筒状ストッパである。本実施例の装身具は次のようにして組み付けられ、使用される。
1)先ず、図21のように前記揺動アーム部75を保持筒82および筒状ストッパの開口部83,85から差込む。
2)次に、図22のように前記揺動アーム部75を保持筒82にセットし、図23のように、自重や手で回してピボット状の支軸76が下向きになるようにする。
3)この状態で、図24のように前記保持筒82上の筒状ストッパ84を回せば、前記保持筒82の開口部83が筒状ストッパ84の開口部85からずれて筒状ストッパ84により封鎖される。
このようにすれば、前記装身具用枠体72の軸受凹部81への、装飾部材74の揺動アーム部75の取り付けや抜け止めを簡単かつ確実に行うことができる。もちろん、揺動アーム部75等が前記装身具用枠体72内に収納されて外部からは見えなくなるため、より装飾性に富んだ装身具を提供することができる。
なお、図17ないし図24において、77は装飾部材74に係合した宝石74aとの重心位置を調整するための筒状のバランスウエイトであり、該バランスウエイト77の長さを増減させることによって重心位置を調整することが可能である。
【0025】
次に、図25ないし図33は、本発明の装身具の変形例を示すものである。
図25ないし図30に示すように、本実施例のペンダントトップからなる装身具91は、所定の間隔で一対の軸受凹部93,93を配置した装身具用枠体92と、当該装身具用枠体92に一体的に保持された、例えばダイヤモンド等の宝石94aを係合した装飾部材94とを備えている。
【0026】
この装飾部材94を備えた装身具用枠体92は、上端にはペンダントのチェーン(図示せず)等を挿通する吊下げ孔96を備え、延長端部に上向きにピボット状の支軸98が形成された揺動アーム部97を両側に突設した吊下げ部材95に吊り下げられて揺動する。
ただし、本実施例においては前記装身具用枠体92の軸受凹部93,93として、揺動アーム部97を挿通するガイド溝102を形成された円筒状断面の保持部101が設けてある。本実施例の装身具は次のようにして組み付けられ、使用される。
1)先ず、図31のように前記吊下げ部材95の揺動アーム部97を保持部101のガイド溝102から差込む。
2)次に、図32のように前記揺動アーム部97を保持部101内にセットし、図33のように、ピボット状の支軸98が上向きになるようにする。
このようにすれば、前記装身具用枠体92の軸受凹部93,93への、吊下げ部材95の揺動アーム部97の取り付けや抜け止めを簡単かつ確実に行うことができる。もちろん、揺動アーム部97等が前記装身具用枠体92内に収納されて外部からは見えなくなるため、より装飾性に富んだ装身具を提供することができる。
【0027】
図34ないし図50は、本発明の装身具の変形例の別の例を示すものである。
図34に示すように、本変形例のペンダントトップからなる装身具91は、所定の間隔で一対の軸受凹部93,93を配置した装身具用枠体92と、当該装身具用枠体92に一体的に保持された、例えばダイヤモンド等の宝石94aを係合した装飾部材94とを備えている。
【0028】
この装飾部材94を備えた装身具用枠体92は、吊下げ部材95に吊り下げられて揺動する。
この吊下げ部材95は、図35ないし図37に示すように、上端にはペンダントのチェーン(図示せず)に取り付けた丸環等を挿通する吊下げ孔96を備え、延長端部に上向きにピボット状の支軸98が形成された揺動アーム部97を両側に突設したものである。
【0029】
次に、図38ないし図41において99は、前記吊下げ部材95の上方から後方に延長したのち下向きに折返して形成した、身体との間隔を保持するためのスペーサである。このスペーサ99により、装飾部材94を備えた装身具用枠体92を吊下げ部材95に吊り下げても装身具用枠体92が身体に接触して動きを封じられることがなく、装飾部材94を備えた装身具用枠体92を確実に揺動自在に取り付けることができるようになる。
前記スペーサ99はU字状をなしていて、前記吊下げ部材95上方に設けた吊下げ孔96にその一端をカシメ等の手段で連結・固定し、後方から下向きに折返して二股の安定片100を設けたものである。
図42ないし図45は、前記吊下げ部材95と該スペーサ99とを組み付けた状態を示すものである。
【0030】
図46ないし図50は、前記スペーサ99を組み付けた吊下げ部材95を装身具用枠体92に取り付けた状態を示すものである。
このようにすれば、前記装身具用枠体92の軸受凹部93,93へ、吊下げ部材95の揺動アーム部97のピボット状の支軸98が無理なく保持され、図50に示すようにチェーンを取り付ければ、着用時にダイヤモンド等の宝石類94aをそのテーブル面が正面を向いた状態で、着用者の動きに応じて宝石類94aが揺動するように支持することができる。もちろん、揺動アーム部97等が前記装身具用枠体92内に収納されて外部からは見えなくなるため、より装飾性に富んだ装身具を提供することができる。
なお、前記吊下げ部材95の取り付けに際しては、保持部101のガイド溝102に前記吊下げ部材95の揺動アーム部97を保持部101のガイド溝102から差込み、次いで前記揺動アーム部97を保持部101内にセットした上、ピボット状の支軸98が上向きになるようにするだけでセットでき、かつ抜け止めされる。
このような抜け止め防止としては、カシメ等によって開口部分の幅を縮めたり、閉鎖用シール等で閉じることにより、前記揺動アーム部97がガイド溝102から抜け落ちるのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
なお、前記各実施例では本発明に係る装身具としてペンダントを例にして説明したが、ペンダントに限定されるものではなく、ブレスレットやブローチ、イヤリングその他の装身具に適用してもよいことは勿論である。
なお、実施例では宝石としてダイヤモンドを示したが、ダイヤモンドに限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
11 装身具
12 装身具用枠体
13,13 分岐アーム部
14 装飾部材
14a 宝石
15 揺動アーム部
16 ピボット状の支軸
21 軸受凹部
21a 駒状ストッパ
21b 駒状ストッパ
21c 第1凹部
21d 第2凹部
31 装身具
32 装身具用枠体
33,33 分岐アーム部
34 装飾部材
34a 宝石
35 揺動アーム部
36 ピボット状の支軸
41 軸受凹部
51 装身具
52 装身具用枠体
53,53 分岐アーム部
54 装飾部材
54a 宝石
61 軸受凹部
62 保持筒
63 開口部
64 筒状ストッパ
64 開口部
71 装身具
72 装身具用枠体
73 リング状分岐アーム部
74 装飾部材
74a 宝石
75 揺動アーム
76 ピボット状の支軸
77 バランスウエイト
81 軸受凹部
82 保持筒
83 開口部
84 筒状ストッパ
85 開口部
91 装身具
92 装身具用枠体
93,93 軸受凹部
94 装飾部材
94a 宝石
95 吊下げ部材
96 吊下げ孔
97 揺動アーム部
98 ピボット状の支軸
99 スペーサ
100 安定片
101 保持筒
102 開口部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で一対の軸受凹部を配置した装身具用枠体と、当該装身具用枠体の軸受凹部間に差渡されて揺動可能に保持された装飾部材とを備え、
前記装飾部材は、適宜選択し得る箇所にて上方に屈曲したのち水平方向に延長され、かつ延長端部には下向きに当該下向きを長手方向とする先細り形状であるピボット状の支軸が形成された揺動アーム部がその両側に突設され、
前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に、前記揺動アーム部の前記ピボット状の支軸の先端が係合することにより、装飾部材を装身具用枠体に揺動自在に取り付けたことを特徴とする装身具。
【請求項2】
前記装飾部材の重心は、前記ピボット状の支軸の先端よりも下方に位置させてあることを特徴とする請求項1記載の装身具。
【請求項3】
前記ピボット状の支軸は、前記装身具用枠体に形成された軸受凹部に該支軸の上端が接触しないよう先端を外向きに傾斜させてあることを特徴とする請求項1または2に記載の装身具。
【請求項4】
前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に揺動アーム部を内蔵した状態で一体に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装身具。
【請求項5】
前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成されており、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記開口部に取り付けられ、かつ脱着可能なストッパである駒状ストッパにより前記開口部が封鎖されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装身具。
【請求項6】
前記揺動アーム部を保持する装身具用枠体は、前記軸受凹部に前記揺動アーム部を挿通する開口部が形成された保持筒を取り付けられ、かつ前記揺動アーム部がセットされた状態で前記保持筒に取り付けた筒状ストッパにより前記開口部が封鎖されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装身具。
【図面】


 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-03-29 
結審通知日 2019-04-03 
審決日 2019-04-16 
出願番号 特願2015-197587(P2015-197587)
審決分類 P 1 113・ 537- YAA (A44C)
P 1 113・ 121- YAA (A44C)
P 1 113・ 113- YAA (A44C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栗山 卓也  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 久保 竜一
長馬 望
登録日 2016-07-01 
登録番号 特許第5960336号(P5960336)
発明の名称 装身具  
代理人 松下 昌弘  
代理人 内田 清  
代理人 赤尾 直人  
代理人 内田 清  
代理人 赤尾 直人  
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