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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61B
管理番号 1353422
審判番号 訂正2019-390052  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-04-25 
確定日 2019-07-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6356667号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6356667号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正した明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-16]について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6356667号(以下「本件特許」という。)は、2013年(平成25年)6月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年(平成24年)6月22日 米国及び2013年(平成25年)6月9日 米国)を国際出願日とする特願2015-518501号に係り、平成30年6月22日に特許権の設定登録がなされ、平成31年4月25日に本件訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求に係る訂正の内容は、次のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
明細書の段落【0003】の1箇所に記載された「体腔内手術」を「管腔内手術」に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0009】の3箇所、【0014】の1箇所、【0020】の4箇所、【0041】の1箇所、【0044】の7箇所、【0094】の1箇所、【0112】の4箇所、【0137】の1箇所、【0150】の1箇所、【0152】の2箇所、【0161】の1箇所、【0164】の1箇所及び【0167】の1箇所に記載された「体腔」を「体管腔」に訂正する。
(3)訂正事項3
明細書の段落【0114】の2箇所及び【0168】の1箇所に記載された「体腔」を「管腔」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0165】の1箇所に記載された「体腔」を「管腔」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1において、「前記カテーテルの遠位部に配置された体腔再成形システムであって、該体腔再成形システムは、」と記載されているのを、「前記カテーテルの遠位部に配置された体管腔再成形システムであって、該体管腔再成形システムは、」に訂正する。また、請求項1の記載を引用する請求項2?16も同様に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正事項1
(1)訂正の目的について
ア 本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)は、国際出願であるPCT/US2013/046200号の国際出願日における明細書(以下「本件国際出願明細書」という。)の日本語による翻訳文が、願書に添付して提出された明細書とみなされたものである。
イ 本件明細書の段落【0003】の1箇所に記載された「体腔内手術」は、本件国際出願明細書の段落[004](段落は国際公開第2013/192116号を参照した。)に記載された「intra-luminal operation」を翻訳したものである。
ウ 本件明細書における「体腔」は、「ステッドマン医学大辞典 第4版」(以下「参考資料」という。)第294ページによれば、「body cavity」に対応する訳である。
エ 本件国際出願明細書における「intra-luminal(intraluminal=intratubal)」は、参考資料第881ページによれば「管内の」を意味し、「luminal」は、参考資料第991ページによれば「管腔」を意味する「lumen」の形容詞形である。
オ 上記アないしエから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書において、翻訳により本件国際出願明細書における意味とは異なる意味を有するものとなった記載である「体腔」を、本件国際出願明細書における意味を表す記載である「管腔」に訂正するものであり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(2)明細書の訂正に係る請求項について
訂正前の請求項1?16について、請求項2?16はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項5によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1?16は一群の請求項である。
そして、訂正事項1に係る明細書の訂正は、当該訂正が関係する請求項1を含む一群の請求項[1?16]の全てについて行うものであるから、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。
(3)新規事項の追加について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載された事項の範囲内においてするものと認められる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(4)特許請求の範囲の拡張または変更について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(5)独立特許要件について
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条第7項の規定に適合するものであるか検討したところ、訂正後の請求項1?16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由はない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

2 訂正事項2
(1)訂正の目的について
ア 本件明細書は、本件国際出願明細書の日本語による翻訳文が、願書に添付して提出された明細書とみなされたものである。
イ 本件明細書の段落【0009】の3箇所、【0014】の1箇所、【0020】の4箇所、【0041】の1箇所、【0044】の4箇所、【0094】の1箇所、【0112】の2箇所、【0137】の1箇所、【0150】の1箇所、【0152】の2箇所、【0161】の1箇所、【0164】の1箇所及び【0167】の1箇所に記載された「体腔」は、本件国際出願明細書の段落[009]、[014]、[020]、[0074]、[0077]、[00127]、[00145]、[00170]、[00183]、[00185]、[00194]、[00197]及び[00200]に記載された「body lumen」を翻訳したものである。
ウ 本件国際出願明細書における「body lumen」の翻訳として、「body」は「体」を意味し、「lumen」は参考資料第991ページによれば「管腔」を意味することから、「body lumen」は「体管腔」を意味するといえる。
エ 本件明細書の段落【0044】の3箇所に記載された「体腔」は、本件国際出願明細書の段落[0077]に記載された「the lumen」を翻訳したものである。
オ 本件国際出願明細書の段落[0077]における「the lumen」は、段落[0077]に「More particularly, when working in a confined body lumen, such as the colon, expansion of the lumen is limited because it is undesirable to over-expand which could stretch the lumen beyond its ability to return to its normal state or more dangerously could rupture the lumen.」と記載されており、「a confined body lumen」を省略したものである。
カ 上記ウのとおり「body lumen」は「体管腔」を意味すること、段落[0077]における「the lumen」は「confined」も含めて受けていることから、段落[0077]における「the lumen」は「体管腔」を意味するといえる。
キ 本件明細書の段落【0112】の2箇所に記載された「体腔」は、本件国際出願明細書の段落[00145]に記載された「the lumen」を翻訳したものである。
ク 本件国際出願明細書の段落[00145]における「the lumen」は、段落[00145]に「During introduction of a system taught herein into a tortuous body lumen, for example a colon, the retractor can be unexpanded and flexible. This flexibility allows the retractor to bend to conform to the bends in the tortuous body lumen, so that it can be advanced with ease and not cause trauma to the lumen.・・・Once the retractor is advanced to the target location in the lumen, the flexible beam of the retractor can be straightened and stiffened as described herein.」と記載されており、「a tortuous body lumen」を省略したものである。
ケ 上記ウのとおり「body lumen」は「体管腔」を意味すること、段落[00145]における「the lumen」は「tortuous」も含めて受けていることから、段落[00145]における「the lumen」は「体管腔」を意味するといえる。
コ 上記アないしケから、訂正事項2に係る訂正は、本件明細書において、翻訳により本件国際出願明細書における意味とは異なる意味を有するものとなった記載である「体腔」を、本件国際出願明細書における意味を表す記載である「体管腔」に訂正するものであり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(2)明細書の訂正に係る請求項について
上記1(2)で指摘したとおり、訂正前の請求項1?16は一群の請求項である。
そして、訂正事項1に係る明細書の訂正は、当該訂正が関係する請求項1を含む一群の請求項[1?16]の全てについて行うものであるから、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。
(3)新規事項の追加について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載された事項の範囲内においてするものと認められる。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(4)特許請求の範囲の拡張または変更について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(5)独立特許要件について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条第7項の規定に適合するものであるか検討したところ、訂正後の請求項1?16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由はない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

3 訂正事項3
(1)訂正の目的について
ア 本件明細書は、本件国際出願明細書の日本語による翻訳文が、願書に添付して提出された明細書とみなされたものである。
イ 本件明細書の段落【0114】の2箇所に記載された「体腔壁」は、本件国際出願明細書の段落[00147](段落は国際公開第2013/192116号を参照した。)に記載された「the lumen wall」を翻訳したものである。
ウ 本件国際出願明細書における「the lumen wall」の翻訳として、「lumen」は参考資料第991ページによれば「管腔」を意味し、「wall」は「壁」を意味することから、「the lumen wall」は「管腔壁」を意味するといえる。
エ 本件明細書の段落【0168】の1箇所に記載された「体腔A」は、本件国際出願明細書の段落[00201](段落は国際公開第2013/192116号を参照した。)に記載された「lumen A」を翻訳したものである。
オ 本件国際出願明細書における「lumen A」の翻訳として、「lumen」は参考資料第991ページによれば「管腔」を意味する。
カ 本件国際出願明細書の段落[00201]には「Turning first to FIGS. 12 and 13, a distal viewing endoscope 1200, in which the system 1100 has been backloaded over the proximal end 1201 as shown in FIG. 12, is inserted through lumen A in the colon B in a procedure to remove the target polyp C from the wall of the colon B.」と記載され、図13には腸B内に記号Aが記載される点が見て取れることから、上記オの記載を踏まえると、「lumen A」は「管腔A」を意味するといえる。
キ 上記アないしカから、訂正事項3に係る訂正は、本件明細書において、翻訳により本件国際出願明細書における意味とは異なる意味を有するものとなった記載である「体腔」を、本件国際出願明細書における意味を表す記載である「管腔」に訂正するものであり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(2)明細書の訂正に係る請求項について
上記1(2)で指摘したとおり、訂正前の請求項1?16は一群の請求項である。
そして、訂正事項1に係る明細書の訂正は、当該訂正が関係する請求項1を含む一群の請求項[1?16]の全てについて行うものであるから、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。
(3)新規事項の追加について
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載された事項の範囲内においてするものと認められる。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(4)特許請求の範囲の拡張または変更について
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(5)独立特許要件について
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条第7項の規定に適合するものであるか検討したところ、訂正後の請求項1?16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由はない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

4 訂正事項4
(1)訂正の目的について
ア 本件明細書は、本件国際出願明細書の日本語による翻訳文が、願書に添付して提出された明細書とみなされたものである。
イ 本件明細書の段落【0165】の1箇所に記載された「体腔壁」は、本件国際出願明細書の段落[00198](段落は国際公開第2013/192116号を参照した。)に記載された「the luminal walls」を翻訳したものである。
ウ 本件国際出願明細書における「the luminal walls」の翻訳として、「luminal」は、参考資料第991ページによれば「管腔」を意味する「lumen」の形容詞形であり、「wall」は「壁」を意味することから、「the luminal walls」は「管腔壁」を意味するといえる。
エ 上記アないしウから、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書において、翻訳により本件国際出願明細書における意味とは異なる意味を有するものとなった記載である「体腔」を、本件国際出願明細書における意味を表す記載である「管腔」に訂正するものであり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(2)明細書の訂正に係る請求項について
上記1(2)で指摘したとおり、訂正前の請求項1?16は一群の請求項である。
そして、訂正事項1に係る明細書の訂正は、当該訂正が関係する請求項1を含む一群の請求項[1?16]の全てについて行うものであるから、特許法第126条第4項の規定に適合するものである。
(3)新規事項の追加について
訂正事項4に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載された事項の範囲内においてするものと認められる。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(4)特許請求の範囲の拡張または変更について
訂正事項4に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(5)独立特許要件について
訂正事項4に係る訂正は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条第7項の規定に適合するものであるか検討したところ、訂正後の請求項1?16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由はない。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

5 訂正事項5
(1)訂正の目的について
ア 本件特許の特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)は、国際出願であるPCT/US2013/046200号の国際出願日における特許請求の範囲(以下「本件国際出願特許請求の範囲」という。)の日本語による翻訳文が、願書に添付して提出された特許請求の範囲とみなされたものである。
イ 本件特許請求の範囲の請求項1に記載された「体腔再成形システム」は、本件国際出願特許請求の範囲の請求項1に記載された「・・・a body lumen reshaping system positioned at a distal portion of the catheter, the reshaping system including first and second flexible elements movable from a non- expanded insertion position to an expanded position・・・.」のうち、「a body lumen reshaping system」及び「the reshaping system」を翻訳したものである。
ウ 本件国際出願特許請求の範囲における「a body lumen reshaping system」の翻訳として、「body」は「体」を意味し、「lumen」は参考資料第991ページによれば「管腔」を意味し、「reshaping system」は「再成形システム」を意味することから、「a body lumen reshaping system」は「体管腔再形成システム」を意味するといえる。
エ 本件国際出願特許請求の範囲における「the reshaping system」は、上記イの本件国際特許出願特許請求の範囲における請求項1の記載によれば、「a body lumen reshaping system」を受けた記載であると認められることから、「the reshaping system」は「体管腔再形成システム」を意味するといえる。
オ 上記アないしエから、訂正事項5に係る訂正は、本件特許請求の範囲において、翻訳により本件国際特許出願特許請求の範囲における意味とは異なる意味を有するものとなった記載である「体腔再形成システム」を、本件国際出願特許請求の範囲における意味を表す記載である「体管腔再形成システム」、すなわち「体腔」を、「体管腔」に訂正するものであり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の追加について
訂正事項5に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、本件特許の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲または図面に記載された事項の範囲内においてするものと認められる。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張または変更について
訂正事項5に係る訂正は、上記(1)のとおり、誤訳の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項5に係る訂正は、上記(1)のとおり、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものであるから、同条第7項の規定に適合するものであるか検討したところ、訂正後の請求項1?16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由はない。
したがって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
最小侵襲胃腸手術処置のためのマルチルーメンカテーテル・リトラクタシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願:
本願は、2009年12月16日に出願された特許文献1からの優先権を主張する、2010年12月16日に出願された特許文献2の一部分を継続し、かつ2012年6月22日に出願された特許文献3の一部分を継続するものである。これらの出願の各々の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
本明細書で提供される教示は、一般に、安定していながらも動的な手術環境において、最小侵襲の手法で、胃腸障害を内視鏡手術により処置するための改善された方法及び装置に向けられる。
【背景技術】
【0002】
胃腸系を含む内視鏡手術は、従来の外科手術に対して利点を提示するが、それは、内視鏡手術が、それほど侵襲的ではなく、かつ可視化を提供するかもしれないという点においてである。これらの手術は、問題に取り組み、かつ当業者によって確認される新しい処置方法を提供するために、進化を続けている。
現在の1つの問題として、対象組織に隣接する安定な手術空間を、最小侵襲で最適に拡開するための技術が欠如していることが含まれるが、その技術がなければ、対象組織は、手術処置中に対象病変または欠陥の周りで閉縮する可能性がある。手術空間を効果的に拡開し、かつ最適に再構成(再形成する)能力を持てば、管腔内手術は著しく容易になる。より良く拡開された、安定で最適に構成された手術空間によって、器具及び内視鏡は独立に操作され、かつ対象組織の周りで適切に可視化されることが可能である。当業者であれば、対象組織と、参照、方位、外科的操作のための周囲の解剖学的構造との両方を見ると共に、これらに接近するための能力を持つことを正しく認識する。
【0003】
現在の別の問題として、対象組織及び周囲組織の両方を拡開するだけでなく、これらを固定すると共に再形成するための内視鏡技術が欠如していることが含まれる。腸においては、例えば、そのような安定な手術空間として、非閉縮の、または閉縮されにくい空間が含まれ得る。そのような空間は、限られた蠕動を有するか、または無蠕動であり、かつ/または腹腔における特別な点に固定されている。固定ポイントは、例えば患者の腰のような、患者の中での固定体ポイントに関連して固定されると考えることが可能である。有意の排便は、腸における管腔内手術の間は極めて望ましくないと考えられるが、例えば、その理由は、困難で不安定な手術環境を作り出すかもしれないからである。そのような排便は、もちろん、鎮静された患者においてさえも普通のことでありであり、例えば、空気漏れ、蠕動、呼吸及び、観察機械及び器具の移動から、腸の閉縮によって引き起こされ得る。この問題を克服するための技術を持つことは、安定な手術空間を提供することに役立つが、これは、手術環境における当業者が、臨床的に要望することである。
【0004】
現在の別の問題として含まれるのは、例えば、調節可能な組織リトラクト構造によって、組織を動的にリトラクトするための内視鏡技術が欠如していることであるが、このような調節可能な組織リトラクト構造によって、構造の拡開または閉縮をある程度制御することが見込まれ、その結果、器具及び対象組織の周りで所望されるような手術空間がさらに構成される。そのような制御は、手術空間の中及び周りにおいて、組織の配置はもちろんのこと、リトラクタを調節する方法を有効に備えることが可能である。リトラクタにかかる張力を強める及び緩めることによって、手術空間に配置されるべき組織の量は、例えば、手術中により良く測定され、かつ制御され得る。その上、組織リトラクション及び、特に牽引-逆牽引が容易となり得るが、そのことは、手術中に望ましい切開面を形成すること、または組織をより最適に位置決めすることに役立つ。この問題を克服するための技術を持つことは、組織切開、組織のリトラクション、切断及び除去に対してより望ましい手術環境を作り出すことに役立つ。
【0005】
現在の別の問題として含まれるのは、処置のための手術空間を最大化し得る手法において、内視鏡、器具及び手術空間を体系付けるための内視鏡技術の欠如である。より大きな手術空間は、体外から最小侵襲の手法で器具及び内視鏡を操作するための能力を改善し得る。即ち、当業者であれば、器具が入るポイントを有する手術空間を持つ。そのポイントとは、対象組織から実際的な程度に離れていて、その結果、対象組織に接近し、かつこれを可視化する際に付加的な柔軟性を提供し、恐らく、対象組織に向けて器具の軌跡を選択するためのより多くの操作場所を提供するが、この操作場所は、例えば、対象組織の切開面に少なくとも略垂直である。この問題を克服するための技術を持つことによって、組織除去に対してより望ましいシステム及び処置が、当業者に提供される。
【0006】
少なくとも上記のことに照らして、内視鏡胃腸外科処置の当業者は、本明細書で教示される、以下に提供される技術を正しく認識する。(i)管腔内手術空間の最小侵襲拡開。(ii)固定、特に、伸張を伴わない再構成、または伸張を伴う再構成を含む固定。いずれの再構成でも、対象組織及び周囲組織は、安定な手術空間を提供することに役立つ。(iii)動的に組織をリトラクトすること。これは、器具と対象組織との間の手術空間をさらに構成するために、部分的な拡開または閉縮、または、完全な拡開または閉縮を考慮に入れる。(iv)手術空間及び操作性を最大化するためのリトラクタ及び術具のような内視鏡器具の体系付け。これは、対象組織に接近し、かつこれを可視化する際に最大の柔軟性を考慮に入れる。正しく認識されるべきことであるが、そのような改善によって、技術的な複雑さが軽減され、かつ、そのような改良がなければ複雑な内視鏡手術の有効性及び安全性が増加する。その上、非侵襲的で、かつ従来の結腸内視鏡法の作業フローを実質的に混乱させない手法で、対象者の体内に導入される手頃なシステムを用いながら、低コストでそうしたことを行うことは、内視鏡外科手術の分野における極めて本質的な進歩であると、当業者によって見なされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮特許出願公開第61/287,077号
【特許文献2】米国特許出願第12/970,604号
【特許文献3】米国特許出願第13/531,477号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書で提供される教示は、一般に、安定していながらも動的な手術環境において、最小侵襲の手法で、内視鏡手術により胃腸障害を処置するための改善された方法及び装置に向けられる。システムは、例えば、内視鏡手術室を含む。手術室は、可逆的に拡開可能なリトラクタを有することが可能であり、リトラクタは、対象者の内部で安定な手術環境を提供するために拡開する。拡開は、スタビライザ・サブシステムの周りで非対称であり得ることから、術具及び内視鏡の各々が独立に操作されるために空間を最大化し、その結果、対象組織を可視化し、かつ最小侵襲の手法で、患者の外部から対象組織を処置する。本明細書で教示される実施形態は、他の改善の中でも、術具ポートと対象組織の間の距離を増加させ、その結果、より大きな視野はもちろんのこと、対象組織に対する術具の操作性及び三角配置を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様において、胃腸管のような患者の体管腔において最小侵襲処置を実行するためのシステムが提供される。該システムは、内視鏡をその中に貫通させて受容するように構成及び寸法設定された第1のルーメンと、第1の可撓性チューブをその中に貫通させて受容するように構成及び寸法設定された第2のルーメンと、を有する可撓性カテーテルを備える。第1の可撓性チューブは、第2のルーメンを貫通して軸方向にスライド可能であり、かつその中を貫通して延びる第1のチャネル(ルーメン)を有し、該第1のチャネルは、その中で軸方向移動するための第1の内視鏡術具(器具)を受容するように構成及び寸法設定されていて、該第1の可撓性チューブは長手軸と、該長手軸に対して曲がった状態に移行可能なチューブ遠位部とを有する。体管腔再成形(再構成)システムは、カテーテルの遠位部に配置され、該再形成システムは、非拡開挿入状態から、拡開されたケージを形成する拡開状態へ移行可能な第1及び第2の可撓性要素を含み、これにより、体管腔を非対称形状に再成形することで非対称な手術空間を形成し、第1の可撓性チューブの遠位部は、該拡開されたケージ内で移行可能である。カバーリングが、再形成システムの少なくとも一部に対して設けられることが可能であり、該カバーリングは、生体組織を受容するための開口部を有する。
【0010】
幾つかの実施形態において、カテーテルは、第2の可撓性チューブを受容するように構成及び寸法設定された第3のルーメンを有し、第2の可撓性チューブは、その中を貫通して延びる第2のチャネル(ルーメン)を有し、該第2のチャネルは、その中で軸方向移動するための第2の内視鏡術具(器具)を受容するように構成及び寸法設定されている。第2の可撓性チューブは長手軸と、該長手軸に対して曲がった状態に移行可能なチューブ遠位部とを有することが可能である。第2の可撓性チューブは、第3のルーメン内で軸方向にスライド可能であり得、かつ第2の可撓性チューブの遠位部は、拡開されたケージ内で移行可能であり得る。
【0011】
幾つかの実施形態において、第1の可撓性チューブ及び/または第2の可撓性チューブは、カテーテルに結び付けられない。幾つかの実施形態において、可撓性チューブの遠位先端部は、カテーテルのルーメン内にあるときには、長手軸に沿って略一直線であり、第2及び第3ルーメンから露出すると、曲がった状態に戻ることが可能である。
【0012】
幾つかの実施形態において、ケージは第3及び第4の要素をさらに含み、再成形システムが拡開状態に拡開されるときには、第1及び第2の要素は、それらの閉縮挿入状態から、カテーテルの長手軸から離れて外向きに拡開状態へ移行し、第3及び第4の要素は、非拡開挿入状態に略維持される。
【0013】
システムは、幾つかの実施形態において、スタビライザを含むことが可能であり、該スタビライザは、ケージ(再形成システム)の安定性及び剛性を向上させるために、第1の状態から第2の状態に移行可能である。幾つかの実施形態において、ケージは第5の可撓性要素を含み、かつスタビライザは、第5の要素のルーメン内で移行可能な安定化要素を備える。
【0014】
幾つかの実施形態において、第1及び第2の可撓性要素は、カテーテルの片側にのみ拡開し、これにより、体管腔を非対称に再成形(再構成)するために、非対称な手術空間及び非対称なケージを形成する。
【0015】
システムは、第1及び/または第2のアクチュエータを含むことが可能である。第1のアクチュエータは、カテーテルの近位領域に配置され、かつ安定化要素に作動的に接続され、これによって、ケージの安定性及び剛性を向上させるために、第1の状態と第2の状態との間で安定化要素を移行させることが可能である。第2アクチュエータは、カテーテルの近位領域に配置され、かつ第1及び第2の可撓性要素に作動的に接続され、これによって、非拡開状態と拡開状態との間で第1及び第2の要素を移行させることが可能である。
【0016】
幾つかの実施形態において、第1及び第2の要素を所望の拡開状態に保持(ロック)するために、幾つかの状態の1つに第2のアクチュエータを維持するための保持(ロック)機構が設けられる。解放機構は、保持機構を解放するために設けることが可能である。
【0017】
幾つかの実施形態において、システムは、第1及び第2の要素の近位部を保持するための近位カプラと、第1及び第2の要素の遠位部を保持するための遠位カプラとを含み、近位カプラ及び遠位カプラは、カテーテルが内視鏡上にバックロードされるときに、内視鏡をその中に貫通させて受容するように寸法設定された開口部を含むことが可能である。幾つかの実施形態において、カバーリングの遠位部は、遠位カプラに接続されていて、カバーリングの近位部は、近位カプラに接続されている。
【0018】
カバーリングは、その中に除去する生体組織を封入するために、閉止可能であり得る。縫合糸のような可撓性閉止部材が、カバーリングに取り付けられ、可撓性閉止部材は、引っ張られることでカバーリングを閉止する。
【0019】
幾つかの実施形態において、第1の、及び/または第2の横ブリッジ部材を設けることが可能である。第1横ブリッジ部材は、再形成システムの剛性を向上させるために、第1の可撓性要素と第2の可撓性要素とを連結するために、設けることが可能である。第2横ブリッジ部材は、再形成システムの剛性を向上させるために、第3の要素と第4の要素とを連結するために設けることが可能である。
【0020】
本開示の別の態様に従えば、胃腸管のような患者の体管腔において、最小侵襲手術を実施するための方法が提供される。当該方法は、可撓性内視鏡の近位領域上に可撓性カテーテルを挿入するステップと、対象組織を可視化するために、体管腔内に可撓性内視鏡を挿入するステップと、カテーテルを内視鏡上で進めるステップと、体管腔再形成(再構成)システムを、非対称な手術空間を形成するべく体管腔を再形成するために、非拡開挿入状態から拡開状態に拡開するステップと、第1の可撓性チューブをカテーテル内で操作するステップであって、該第1の可撓性チューブが、湾曲した遠位先端部を有し、かつ該湾曲した遠位先端部を位置決めし、かつ向きを設定するために、カテーテル内で軸方向に移動可能かつ回転可能である、ステップと、を備える。当該方法は、第1の可撓性チューブ内で第1の内視鏡器具(術具)を操作するステップであって、該第1の可撓性チューブは、一定の湾曲を規定するために選択された位置に位置決めされることが可能であり、かつ内視鏡術具は、該選択された位置及びまたは一定の湾曲を変更することなく、内視鏡術具の遠位先端部と対象組織との間の距離を調節するために、軸方向に移動可能であり得る、ステップを、さらに備える。
【0021】
幾つかの実施形態において、当該方法は、a)第2の可撓性チューブをカテーテル内で操作するステップであって、該第2の可撓性チューブは、湾曲した遠位先端部を有すると共に、その湾曲した遠位先端部を位置決めし、かつ向きを設定するために、カテーテル内で軸方向に移動可能かつ回転可能である、ステップと、b)第2の可撓性チューブ内で第2の内視鏡術具を操作するステップであって、該第2の可撓性チューブは、一定の湾曲を規定するために選択された位置に位置決めされることが可能であり、かつ該第2の内視鏡術具は、該選択された位置及びまたは一定の湾曲を変更することなく、該第2の内視鏡術具の遠位先端部と対象組織との間の距離を調節するために、軸方向に移動可能であり得る、ステップと、を含むことが可能である。
【0022】
幾つかの実施形態において、第1の可撓性チューブの遠位先端部及び/または第2の可撓性チューブの遠位先端部は、通常は湾曲していて、挿入時にカテーテルに拘束されるときは、略一直線状の状態にあり、カテーテルの拘束から露出されるときは、自動的に湾曲した状態になる。
【0023】
幾つかの実施形態において、第1及び第2の可撓性チューブは、独立に軸方向に移動可能、かつ独立に回転可能であり、しかも、取り外し可能にカテーテルの中に貫通させて挿入可能であって、カテーテルに結び付けられないままとされる。
【0024】
幾つかの実施形態において、第1及び第2の内視鏡術具は、対象組織に関して三角配置を実現するように、対象組織に向かって曲がっている。
【0025】
当該方法は、操作器具を、内視鏡のワーキングチャネルの中に貫通させて、再成形システムにより形成された非対称な手術空間の中へ挿入するステップをさらに含むことが可能である。
【0026】
再形成システムはカバーリングを含むことが可能であり、かつ当該方法は、除去する対象組織を封入するために、該カバーリングを閉止するステップをさらに含むことが可能である。
【0027】
当該方法は、再成形システムを剛性化するステップをさらに備えることが可能である。幾つかの実施形態において、再成形システムを剛性化し、かつ安定化させるため、再成形システムに対して、剛性化構造を遠位に進めるための制御が作動される。
【0028】
別の態様において、教示は、対象者の体内での位置決めを容易にするための浮動式マルチルーメンカテーテル・リトラクタシステムを含む。これらのシステムは、対象者の最小侵襲処置を提供するように設計される。幾つかの実施形態において、当該システムは、システム内で少なくとも略浮動式の構成において、浮動チャネルと、浮動内視鏡とを誘導するように構成された高可撓性アウタチューブを備える。この可撓性アウタチューブは、ルーメンと、近位端と、遠位端とを有することが可能である。そして、システムの使用中は、浮動チャネルはガイドとして作用し、これを通して術具は、対象者の体内の対象組織の処置で操作される。幾つかの実施形態において、術具として含み得るのは、把持具、鉗子、スネア、クランプ、ハサミ、メス、切開器具、内視鏡ステープラ、組織ループ、クリップアプライヤ、縫合糸送達器具、または、エネルギーによる組織凝固器具または組織切断器具である。そして、幾つかの実施形態において、浮動チャネルは、術具を操作するように、屈曲可能部を動かすための挙上要素を有することが可能である。
【0029】
幾つかの態様において、当該システムはまた、安定していながらも動的な手術環境を備えることが可能であり、該手術環境は、対象者の体内での処置空間を形成するために拡開する、可逆的に拡開可能なリトラクタを含むことが可能である。リトラクタは、例えば、アウタチューブの遠位端よりも遠位側で拡開が起こり、処置のために対象組織の蠕動を少なくとも略抑えるために拡開するように構成され得る。システムの使用中は、浮動チャネルを使用する実施形態において、浮動チャネルは、第1の近位位置及び第1の遠位位置で、アウタチューブのルーメンに少なくとも略取り付けられていて、かつ、第1の近位位置と第1の遠位位置との間で、アウタチューブのルーメン内において少なくとも略浮動している。同様に、システムの使用中は、幾つかの実施形態において、浮動内視鏡は、第2の近位位置及び第2の遠位位置で、アウタチューブのルーメンに少なくともスライド可能に取り付けられることが可能であり、かつ第2の近位位置と第2の遠位位置との間で、アウタチューブのルーメン内において少なくとも略浮動している。そして、システムの使用中は、少なくとも略浮動式の構成においては、アウタチューブの近位端と遠位端との間でアウタチューブの長さ全体にわたってルーメンに固定される術具及び内視鏡用のルーメンを有するような第2のシステムに比して、システムの柔軟性が少なくとも実質的に向上することが可能である。少なくとも略浮動式の構成の向上した柔軟性によって、対象組織の処置のために、対象者の体内でシステムを容易に位置決めすることが促進され得る。
【0030】
幾つかの実施形態において、リトラクタは、可逆的に安定化され、かつ可逆的に拡開可能であり得、該リトラクタは、拡開時に非対称な処置空間を形成する。そして、リトラクタは、対象者の体内での当該システムの位置決めを容易とするように設計された該リトラクタの可撓性構成を可逆的に補強するとともに、該リトラクタの拡開を可逆的に補強するように構成され得る。
【0031】
別の態様における教示はまた、対象者の最小侵襲処置のために、可逆的に安定化されると共に可逆的に拡開可能なリトラクタを有するマルチルーメンカテーテル・システムを含む。当該システムは、システム内にチャネル及び内視鏡を誘導するための可撓性アウタチューブを備え、該可撓性アウタチューブは、ルーメンと、近位端と、遠位端とを有する。チャネルはガイドとして作用し、これを通して術具は、対象者の体内で対象組織の処置において操作される。幾つかの実施形態において、リトラクタは、可逆的に安定化されると共に可逆的に拡開可能であり得、該リトラクタは、拡開時に処置空間を形成し、かつアウタチューブの遠位端よりも遠位側で拡開が起こるように構成される。リトラクタは、対象者の体内での当該システムの位置決めを容易とするように設計された該リトラクタの可撓性構成を可逆的に補強するとともに、該リトラクタの拡開を可逆的に補強するように設計され得る。これらの実施形態において、リトラクタの可逆的に補強された構成は、拡開のための構造的支持体としての少なくとも略剛性のビームを形成し得る。
【0032】
浮動システムを利用するシステムの幾つかの実施形態を使用する間、チャネル(ガイド)は浮動チャネルであり得、該浮動チャネルは、(i)第1の近位位置及び第1の遠位位置で、アウタチューブのルーメンに少なくとも略取り付けられていて、かつ(ii)第1の近位位置と第1の遠位位置との間で、アウタチューブのルーメン内において少なくとも略浮動している。同様に、そのようなシステムを使用する間、内視鏡は浮動内視鏡であり得、該内視鏡は、(iii)第2の近位位置及び第2の遠位位置で、アウタチューブのルーメンに少なくともスライド可能に取り付けられていて、かつ(iv)第2の近位位置と第2の遠位位置との間で、アウタチューブのルーメン内において少なくとも略浮動している。そして、幾つかの実施形態においてそのような浮動システムを使用する間、チャネル(ガイド)及び内視鏡は少なくとも略浮動式の構成を形成していて、これによれば、(v)アウタチューブの近位端と遠位端との間でアウタチューブの長さ全体にわたってルーメンに固定される術具及び内視鏡用の別個のルーメンを有するような第2のシステムに比して、当該システムの柔軟性が少なくとも実質的に向上していて、向上した柔軟性によって、対象組織の処置のための対象者の体内での当該システムの位置決めを容易にしている。
【0033】
幾つかの実施形態において、教示はまた手術室を含み、該手術室は、対象者の最小侵襲処置のための、可逆的に安定化されると共に可逆的に拡開可能なリトラクタを有する浮動式マルチルーメンカテーテル・リトラクタシステムを備える。これらの浮動式実施形態の幾つかにおいて、当該システムは、システム内で少なくとも略浮動式の構成において、浮動チャネルと浮動内視鏡とを誘導するための高可撓性アウタチューブを備えることが可能である。高可撓性アウタチューブは、ルーメンと、近位端と、遠位端とを有することが可能である。そして、浮動チャネルは、ガイドとして作用することが可能であり、これを通して術具は、対象者の体内の対象組織の処置で操作される。リトラクタは、可逆的に安定化されると共に可逆的に拡開可能なリトラクタであり得、該リトラクタは、拡開時に処置空間を形成する。リトラクタは、例えば、拡開がアウタチューブの遠位端よりも遠位側で起こり、かつ、対象者の体内での当該システムの位置決めを容易とするように設計された該リトラクタの可撓性構成を可逆的に補強するとともに、該リトラクタの拡開を可逆的に補強するように構成され得る。
【0034】
幾つかの実施形態において浮動システムを使用する間、浮動チャネル(ガイド)は、(i)第1の近位位置及び第1の遠位位置で、アウタチューブのルーメンに少なくともスライド可能に取り付けられていて、かつ(ii)第1の近位位置と第1の遠位位置との間で、アウタチューブのルーメン内において少なくとも略浮動していることが可能である。同様に、幾つかの実施形態において浮動システムを使用する間、浮動内視鏡は、(iii)第2の近位位置及び第2の遠位位置で、アウタチューブのルーメンに少なくともスライド可能に取り付けられ、かつ(iv)第2近位位置と第2遠位位置との間で、アウタチューブのルーメン内において少なくとも略浮動していることが可能である。そして、幾つかの実施形態において浮動システムを使用する間、少なくとも略浮動式の構成において、アウタチューブの近位端と遠位端との間でアウタチューブの長さ全体にわたってルーメンに固定される術具及び内視鏡用のルーメンを有するような第2のシステムに比して、(v)当該システムの柔軟性を少なくとも実質的に向上させることが可能である。向上した柔軟性によって、対象者の体内での当該システムの容易な位置決めが促進され得る。そして、リトラクタの可逆的に補強された構成は、対象組織の処置のために、対象者の体内において、拡開のための構造的支持体としての少なくとも略剛性のビームを形成する。
【0035】
幾つかの実施形態において、リトラクタは、少なくとも2つの拡開可能なリトラクタ要素を備え、該部材の各々は近位端及び遠位端を有し、該近位端はアウタチューブとスライド可能に係合していて、該部材の各々は、遠位端に向けて近位端をスライドする量を増加させることで該部材を圧縮して該リトラクタを拡開させるように構成される。これらの実施形態はまた、アウタチューブの遠位端よりも遠位側に配置され、かつ少なくとも2つのリトラクタ要素の各々の遠位端が固定された遠位ネクサスと、遠位ネクサスをアウタチューブの遠位端に連結するスタビライザ・サブシステムであって、該リトラクタの非対称な拡開のために該リトラクタの可撓性部分を可逆的に補強するように構成された少なくとも略剛性の構成要素を有するスタビライザ・サブシステムと、を含むことが可能である。
【0036】
幾つかの実施形態において、リトラクタは、4つの拡開可能なリトラクタ要素であって、該部材の各々は近位端及び遠位端を有し、近位端はアウタチューブとスライド可能に係合していて、該部材の各々は、遠位端に向けて近位端をスライドする量を増加させることで該部材を圧縮して該リトラクタを拡開させるように構成されている、リトラクタ要素を備える。これらの実施形態はまた、アウタチューブの遠位端に取り付けられた近位カプラを含むことが可能であり、該近位カプラは、4つのリトラクタ要素とスライド可能に係合するための4つのリトラクタポートを有し、4つのリトラクタポートは、該近位カプラの周りに周方向に配置されて、該リトラクタの非対称な拡開のための、リトラクタ要素の可逆的な軸方向のスライドを容易とするように構成されている。これらの実施形態はまた、アウタチューブの遠位端よりも遠位に配置され、かつ4つのリトラクタ要素の各々の遠位端が固定された遠位ネクサスまたはカプラと、遠位ネクサスをアウタチューブの遠位端に連結するスタビライザ・サブシステムであって、(i)近位カプラから遠位ネクサスへ延びる可撓性構成要素と、(ii)近位カプラにスライド可能に係合するとともに、該リトラクタの非対称な拡開において該リトラクタを可逆的に補強するために近位カプラから遠位ネクサスへ可逆的に延びる少なくとも略剛性の構成要素と、を有するスタビライザ・サブシステムと、を含むことが可能である。
【0037】
可撓性構成要素及び剛性の構成要素は、幾つかの実施形態において、それぞれ、シャフトの遠位端の中心軸に少なくとも略平行な中心軸を有し、剛性の構成要素は、非対称な拡開のための構造的支持体としての少なくとも略剛性のビームを形成するものであり、該剛性ビームは管腔側と反管腔側とを有する。そして、拡開は、剛性ビームの管腔側で処置空間を増加させるように不均衡に大きな量で起こり、処置空間は、剛性ビームの周りで非対称に分布する体積を有する。幾つかの実施形態において、ビームの反管腔側よりもビームの管腔側において、少なくとも5倍大きい量で、拡開が起こる可能性がある。
【0038】
幾つかの実施形態において、当該システムは、拡開中にリトラクタ要素を所望の向きに維持するように構成されたブリッジ部材を含み、該ブリッジ部材は、4つのリトラクタ要素のうちの少なくとも2つを作動的に安定化させる。その上、幾つかの実施形態において、アウタチューブは、対象者の体内での当該システムの位置決めがさらに容易となるように、当該システムに耐キンク性及びトルク伝達性を持たせるためにワイヤ補強されることが可能である。
【0039】
本明細書で提供される当該システムは、幾つかの異なる処置方法で使用され得る。例えば、当該システムは、病変への多方向・多角度アプローチを用いて胃腸病変を処置する方法で使用され得る。当該方法は、対象者の胃腸管内において、当該システムを位置決めすることであって、処置のために対象病変の近傍にリトラクタを配置することを含めて、位置決めすることと、術具を使用するための処置空間を形成するように、リトラクタを拡開させることと、例えば、組織がリトラクトされかつ安定化される場合、幾つかの病変がより良く見ることが可能なように、可視化を改善することと、術具に関連して対象組織を最適に位置決めすること、例えば、十二指腸乳頭の位置を最適化することによって、手術中にそのカニューレ挿入を容易にすることと、術具によって対象組織を処置することと、リトラクタを閉縮させることと、対象者の体内から当該システムを抜去することと、を含む。病変には、穿孔、組織病変、ポリープ、腫瘍、出血、憩室炎、潰瘍、癌組織、血管異常、または盲腸が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一部の実施形態による、安定していながらも動的な手術環境において、最小の襲性で内視鏡手術により胃腸障害を処置するためのシステムを例示している説明図
【図2A】一部の代替の実施形態に従って、上行結腸の病変の治療のために本明細書で教示されるシステムをどのように位置決めできるかを例示している説明図
【図2B】一部の代替の実施形態に従って、上行結腸の病変の治療のために本明細書で教示されるシステムをどのように位置決めできるかを例示している説明図
【図3A】一部の実施形態に従って、本明細書で教示されるシステムをどのように結腸の病変の除去に使用できるかを例示し、システムの全体を示すために結腸が切断図で示されていて、結腸の中に挿入されている、リトラクタを覆っているシースを有するシステムを例示している説明図
【図3B】非拡開状態にあるリトラクタを例示している説明図
【図3C】非対称手術空間を形成する拡開状態にあるリトラクタを例示し、関節動作状態にある内視鏡をさらに示している説明図
【図3D】それぞれの術具チャネルから延びている2つの内視鏡器具を示す図3Cに類似の図
【図3E】対象病変に向けて曲げられた2つの術具及び内視鏡器具を例示している説明図
【図3F】内視鏡器具によって結腸壁から除去される病変を例示している説明図
【図3G】結腸壁から除去されてリトラクタ内にある病変を例示している説明図
【図3H】病変の除去により生じた結腸の欠損部を修復するために、術具チャネルから延びて結腸壁に向けて曲げられた内視鏡器具を例示している説明図
【図3I】結腸壁の組織欠損部を閉じるためのクランプの留置を例示している説明図
【図3J】結腸からの除去のために病変を捕捉する閉縮状態にあるリトラクタを例示している説明図
【図3K】結腸からの除去のためにシース内に収納されたリトラクタを例示している説明図
【図3L】外科手術完了後の閉じられた組織欠損部を例示している説明図
【図4A】一部の代替の実施形態による、拡開構造及び閉縮構造の側面図、軸方向図、及び斜視図における、スタビライザ・サブシステムを含むシステムの詳細を例示し、リトラクタが非拡開(閉縮)状態にあるシステムの側面図
【図4B】リトラクタが非拡開状態にあるシステムの軸方向図
【図4C】リトラクタが拡開状態にあるシステムの軸方向図
【図4D】図4Aの状態にあるシステムの斜視図
【図4E】拡開状態にあるリトラクタを示す図4Dに類似の図
【図5A】一部の代替の実施形態による、拡開構造及び閉縮構造の側面図及び平面図を含む、本明細書で教示されるシステムの側面図及び平面図を例示し、リトラクタが非拡開(閉縮)状態にあるシステムの側面図
【図5B】拡開状態にあるリトラクタを示す図5Aに類似の側面図
【図5C】リトラクタが図5Aの非拡開状態にあるシステムの平面図
【図5D】リトラクタが図5Bの拡開状態にあるシステムの平面図
【図6A】一部の他の代替の実施形態による、システムの拡開構造及び閉縮構造の側面図及び断面図を含むシステムの側面図を例示し、リトラクタが非拡開(閉縮)状態にあるシステムの側面図
【図6B】システムの内部の要素を示すためにハウジングが半分除去された図6Aに類似の側面図
【図6C】拡開状態にあるリトラクタを示す図6Aに類似の側面図
【図6D】拡開状態にあるリトラクタを示す図6Bに類似の側面図
【図7】一部の実施形態によるシステムのアウタチューブの遠位端の破断図を例示し、リトラクタの拡開及び閉縮の要素を示している説明図
【図8】図7の破断図を例示し、一部の実施形態による、対象者の体内でのシステムの位置決めのための柔軟性を向上させるためにシステムの要素をアウタチューブ内で浮動させることができるシステムのアウタチューブの遠位端を示している説明図
【図9A】一部の実施形態による術具を誘導するために使用することができるワーキングチャネル及び/または浮動チャネルの側面図
【図9B】一部の実施形態による術具を誘導するために使用することができるワーキングチャネル及び/または浮動チャネルの側面図
【図10A】一部の実施形態による、リトラクタシースが本明細書で教示されるシステムのリトラクタを覆っているシステムの代替の実施形態を例示し、リトラクタが非拡開(閉縮)状態にあるシステムの平面図
【図10B】非拡開状態にあるシステムの斜視図
【図10C】リトラクタが非拡開状態にあるシステムの側面図
【図10D】拡開状態にあるリトラクタを示すシステムの平面図
【図10E】拡開状態にあるリトラクタを示すシステムの側面図
【図11】カテーテル及び2つの術具チャネルを示すシステムの代替の実施形態の斜視図
【図12】リトラクタシステムが閉縮状態で示されている(内視鏡が結腸の中に挿入される前の)図13の内視鏡の近位端が挿入されている図11のカテーテルの斜視図
【図13】内視鏡の結腸を貫通した挿入を例示
【図14】図13の内視鏡上をさらに前進した図11のカテーテルを示す斜視図であり、リトラクタシステムが閉縮状態で示している説明図
【図15】対象組織に隣接した所望の位置まで内視鏡上を十分に前進したカテーテルを示す斜視図であり、リトラクタシステムが閉縮状態で示している説明図
【図16】図11のカテーテルの近位端の斜視図
【図17A】剛性化構造を前進させてリトラクタシステムを剛性化するためのアクチュエータの近位位置から遠位位置への移動を示す部分側断面図
【図17B】剛性化構造を前進させてリトラクタシステムを剛性化するためのアクチュエータの近位位置から遠位位置への移動を示す部分側断面図
【図17C】剛性化構造の代替の実施形態を示す図15に類似の斜視図
【図17D】可撓性要素上を前進した図17Cの剛性化構造を示す図17Cに類似の斜視図
【図18】図11のカテーテルの近位端の中に挿入するために、この近位端の近傍にある2つの術具チャネル(ガイド)を示す斜視図
【図19A】図11のカテーテルの中に挿入された2つの術具チャネルを例示する斜視図
【図19B】術具チャネルの代替の実施形態を例示する斜視図
【図20A】リトラクタシステムを拡開状態に移行させるためのアクチュエータの近位位置から遠位位置への移動を示す部分側断面図
【図20B】リトラクタシステムを拡開状態に移行させるためのアクチュエータの近位位置から遠位位置への移動を示す部分側断面図
【図21A】拡開状態にあるリトラクタシステムを示す図15に類似の図であり、リトラクタシステムの拡開によって形成された手術空間(部屋)の中に進められた2つの術具チャネルをさらに例示している説明図
【図21B】リトラクタシステムの拡開の前の、2つの術具チャネルがカテーテルから前進している代替の実施形態を例示する図21Aに類似の図
【図22】第1の術具チャネルから前進した第1の内視鏡器具(術具)を示す図21Aに類似の図
【図23】第2の術具チャネルから前進した第2の内視鏡器具(術具)を示す図22に類似の図
【図24】術具チャネルからさらに前進した両方の内視鏡器具を示す図23に類似の図
【図25】結腸壁の病変を切除するために2つの術具チャネルからさらに前進した内視鏡器具を示す図24に類似の図
【図26】リトラクタシステム内に配置された切開器具によって結腸壁から除去された病変を示す図25に類似の図
【図27】結腸からの除去するためにリトラクタシステムを閉縮状態に戻すアクチュエータの近位側への移動を示すカテーテルの近位端の斜視図
【図28】閉縮状態にあるリトラクタシステムを示す図26に類似の図
【図29】除去のために病変を封入するように閉じられたカバーリング部材を示す図28に類似の図
【図30】リトラクタシステムが拡開状態にあるシステムの前面図であり、カテーテルから延出した2つのチャネルを示している説明図
【図31A】カバーリング(バッグ)を閉じるための縫合糸を保持するスイッチを例示する断面図
【図31B】カバーリング(バッグ)を閉じるための縫合糸を保持するスイッチを例示する断面図
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書に記載される教示は、一般に、安定していながらも動的な手術環境において、最小の侵襲性で内視鏡手術により胃腸障害を処置するための改善された方法及び装置に関する。システムは、例えば、本明細書に開示されるシステムによって形成される内視鏡手術室を含む。この手術室は、対象者の体内で安定した手術環境を提供するために可逆的に拡開可能なリトラクタを有することができる。一部の実施形態では、この拡開は、スタビライザ・サブシステムに関して非対称とすることができ、これによって、対象組織を可視化するとともに、最小の侵襲性で患者の外部から対象組織を処置するために、それぞれ独立に操作される術具及び内視鏡のための空間が最大限に確保される。本明細書で教示される実施形態は、その他の改善として、独立した操作性を向上させ、かつ対象組織に対する術具のそれぞれの三角配置を容易にするために、術具ポートと対象組織との間の距離を増加させる。この距離の増加は、より広い視野を得る方法も実現することができる。本明細書で教示されるシステムは、例えば、(i)体外から制御装置を用いて、蛇行した体管腔及び開口部、例えば、胃腸管における対象組織の周りに手術空間を動的に構成することができ;(ii)複数の手術具及び器具、例えば、内視鏡及び把持具を体外から対象組織に向かって進めるための可撓性通路を形成し;(iii)手術空間の中で術具を整え、及び/または拘束し;(iv)処置のために対象組織及び周囲組織を少なくとも略固定及び/または安定させ;及び/または(v)体外から、手術空間内の器具、例えば、把持具の幾何学的位置及び向きに対する制御を可能にすることができる。
【0042】
本明細書に開示される一部の実施形態では、関節動作内視鏡が、カテーテルのチャネルの中に貫通して挿入され;他の実施形態では、システムは、可撓性内視鏡、例えば、従来の結腸境にバックロードされ、次いで、この内視鏡が、対象組織の近傍の位置まで挿入され、次いで、カテーテルが、再成形システム(ケージ)が対象組織に隣接するように可撓性内視鏡上を進められる。
【0043】
本明細書に開示される一部の実施形態では、対象組織を処置するための内視鏡手術器具(術具)は、マルチルーメンカテーテルのそれぞれのルーメンまたはチャネルの中に直接貫通して挿入される。器具(術具)がカテーテルのチャネルのルーメンの中に直接挿入されるこれらの実施形態では、手術器具は、カテーテルから露出されると自動的に湾曲した状態となり、対象組織に向かって曲げることができる湾曲部を遠位端に有することができる、あるいは、手術器具は、遠位先端部を関節動作させる/曲げるために使用者によって能動的に制御される機構を有することができる。他の実施形態では、カテーテルのチャネルまたはルーメンの中に直接挿入される内視鏡手術器具(術具)の代わりに、可撓性チューブが、カテーテルのルーメンまたはチャネルの中に貫通して挿入され、器具のガイドとして機能する。即ち、まず可撓性チューブが、カテーテルのルーメンまたはチャネルの中に挿入され、次いで、内視鏡器具が、ぞれぞれの可撓性チューブの中に貫通して挿入される。可撓性チューブは、カテーテルから露出されると自動的に湾曲した状態となり、対象組織に向かって曲げることができる湾曲部を遠位端に有することができる、あるいは、可撓性チューブは、遠位先端部を関節動作させる/曲げるために使用者によって能動的に制御される機構を有することができる。可撓性チューブを利用するこれらの実施形態では、可撓性チューブの湾曲性及び操作性により、内視鏡器具の位置決め及び向き設定が制御されるため、内視鏡器具は、予め湾曲した先端部または関節動作機構を備える必要がない。
【0044】
好ましい実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、体管腔内の非対称手術空間を形成するリトラクタを含む。より詳細には、制限された体管腔、例えば、結腸内で手術する場合、体管腔の拡張は、体管腔が通常の状態に戻る能力を超えて伸び得る、または体管腔を破裂させ得るより危険な過剰な拡張が望ましくないため制限される。本明細書に開示される非対称手術空間は、体管腔を再構成または再形成する-体管腔内の円筒状空間を非円筒状の非対称空間に変形させて(即ち、幾何学的に変形させて)、対象組織の周りの空間を対象組織の周りのより大きい手術空間に移行させて、視覚的及び機械的改善の両方を実現するように設計されている。言い換えれば、円筒状の手術空間では、使用されない大きな空間領域が存在するが、本明細書に開示される実施形態の再成形では、空間が移動または変化して、使用されない空間が減少し、組織のアクセス及び治療のための大きな領域が形成される。
【0045】
本明細書で使用される「処置する」、「処置」、及び「処置している」という語は、例えば、疾患若しくは障害の予防、疾患若しくは障害の抑制、及び/または疾患若しくは障害の症状の改善における治療的及び/または予防的使用を含む。「対象者」と「患者」という語は、互換的に使用することができ、動物、例えば、限定されるものではないが、非霊長類、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、及びマウスなど;及び霊長類、例えば、サルまたはヒトなどを含む哺乳動物を指すことができる。
【0046】
一部の実施形態では、本明細書で教示されるシステムは、可撓性のトルク伝達可能なマルチチャネルシャフトの遠位端に動的に再構成可能な非対称リトラクタ構造を含むことができ、この非対称リトラクタ構造は、リトラクタの拡開によって形成される手術空間の剛性及び形状の両方に対する制御を可能にするハンドルを有する。一部の実施形態では、リトラクタは、2?8、3?5、4?6、またはこれらのうちの任意の範囲の数の可撓性リトラクタ要素を有するスタビライザ・サブシステムを含むことができる。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、患者の体内での位置決めのために完全に閉縮すると少なくとも互いに略平行に整列し得る。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、互いに約5?30度、約10?25度、約15?20度、約15度、またはこれらのうちの任意の範囲の角度である平面に整列される。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、約4?12cm、6?10cm、7?9cm、5?11cmの範囲、またはこれらのうちの任意の範囲の長さを有するフレームを形成する。一部の実施形態では、フレームは、約8cmの長さである。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、約1?5cm、2?4cmの範囲、またはこれらのうちの任意の範囲の幅を有するフレームを形成する。一部の実施形態では、フレームは、約3cmの幅である。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、約1?5cm、2?4cmの範囲、またはこれらのうちの任意の範囲の高さを有するフレームを形成する。一部の実施形態では、フレームは、約3cmの高さである。当業者であれば、本明細書に説明される目的のためにリトラクタ要素を形成するために使用することができる様々な適切な材料が存在することを理解されよう。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、NITINOLから形成することができる。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、マルチフィラメント鋼線またはポリマーコードを含むことができる。ポリマー材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、またはポリエチレンを挙げることができる。リトラクタ要素の標準寸法は、材料によって異なり得る。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、直径が約0.508mm?10.16mm(約0.020インチ?0.40インチ)の範囲のワイヤを含むことができる。一部の実施形態では、リトラクタ要素は、直径が約0.762mm(約0.030インチ)である。
【0047】
「約」という語は、実施形態で使用できる量または範囲における可能な偏差を示すために本明細書の教示で使用される。「約」は、例えば、指定された正確な量または範囲、及び機能に実質的な差異を生じさせないであろう偏差を含めるために実施形態で使用することができる。機能における差異は、例えば、一部の実施形態では、差異が20%未満で、他の実施形態惠では15%未満で、なお他の実施形態では10%未満で、なお別の実施形態では、おそらく僅か5%未満で実質的でない。当業者であれば、実質的であるために必要な機能における差異のパーセンテージは、比較される実施形態自体の機能によって決まる。
【0048】
本明細書で教示される方法、装置、及びシステムは、最小侵襲手術に使用することができる。非侵襲手術は、対照的に、皮膚または粘膜を破壊することも、体の任意の他の組織に大きな損傷を与えることもない手術として定義することができる。他方、最小侵襲外科手術は、外科手術中にアクセスのための最小の外傷及び側副組織の最小の損傷を伴う。「最小の」、「最小化する」、「最小化している」、「最小化された」、「回避する」、「回避している」、「回避された」という語は、一部の実施形態では互換的に使用することができる。最小侵襲性外科手術は、例えば、組織の損傷若しくは組織の損傷のリスクを最小化または回避することによって、患者の外傷を軽減し、治癒過程を促進し、リスクを低減し、従って入院の期間及び費用を少なくするため望ましい。組織の損傷若しくはそのリスクは、例えば、手術が、通常なら手術に関連し得る不必要な組織との接触を最小化または回避するように設計されている場合は、最小化または回避することができる。本明細書で教示される体に優しい手術は、胃腸の外科手術中に組織を温存することに関する。
【0049】
本明細書で教示されるシステムは、例えば、組織の後退が、器具と対象組織との距離の増減を容易にするリトラクタの部分的または完全な拡開または閉縮を含むことができるため動的であり得、このリトラクタの部分的または完全な拡開または閉縮は、手術空間の再構成及び術具の軸方向の移動の支援に有用である。張力の増大及び解放により、手術空間内に配置される組織の量を、手術中に正確に基準に合わせることができ、例えば、組織の牽引-収縮-牽引を容易にして、組織の除去の際に切開平面の形成を助けることができる。当業者であれば、手術空間を動的に再構成して対象組織に対する牽引-収縮-牽引を最適化する能力が外科手術操作を容易にし得るため、この能力を有することを評価する。
【0050】
本明細書に開示されるシステムは、三角配置を実現することもできる。組織が2つの内視鏡器具間に三角配置される組織の三角配置は、アクセス及び操作性を向上させる。
【0051】
図1は、一部の実施形態による、安定していながらも動的な手術環境において、最小の侵襲で内視鏡手術により胃腸障害を処置するためのシステムを例示している。システム100は、対象者の体内での位置決めを容易にするためのマルチルーメンカテーテル・トラクタシステムを含むことができ、このようなシステムは、対象者の最小侵襲性処置を行うように設計することができる。システム100は、このシステム100内で1つ以上のチャネル110及び内視鏡115を誘導するように構成された可撓性アウタチューブ105を有することができる。可撓性アウタチューブ105は、例えば、システム100の使用中にチャネル(複数可)及び内視鏡を収容するためにルーメン(不図示)、近位端(不図示)、及び遠位端108を有することができる。ルーメンは、近位端から遠位端に延びることができ、このため、術具チャネル110を、使用者が近位端で操作することができる。あるいは、アウタチューブ105は、マルチルーメンチューブとすることができ、このため、別個のルーメンが、内視鏡及び個々の術具チャネルを収容し、システム100の使用中に、チャネル110が、ガイドとして機能することができ、このガイドを介して、術具120、125を挿入し、対象者の胃腸管195(または他の領域)における対象組織190の処置で操作することができる。チャネル110は、例えば、独立に操作可能かつ関節動作可能な術具と動作可能に接触することができ、このチャネルは、屈曲可能部を動かすための挙上要素を有する。従って、一部の実施形態のチャネルの長さは、使用者によって操作のためにアウタチューブ105の近位端からチャネルが延出できる十分な長さである。術具チャネルは、遠位端で屈曲可能または関節動作可能であり、このため、長手方向軸から離れて対象組織190に向かう方向に曲がる。このような屈曲性は、形状記憶材料の術具チャネル(ガイド)110が、図1に示されている形状記憶屈曲状態を有するようにすることによって実現することができる。術具チャネル110は、挿入のためにアウタチューブ105のルーメンの中に収納されると、略一直線状の状態となり、アウタチューブ105の遠位端から出て前進すると、図1の湾曲状態に戻る。他の材料も利用することができる。代替の実施形態では、術具チャネル110は、機構、例えば、使用者が引張ってまたはアクチュエータが引張って術具チャネルを屈曲状態に移行させることができる、遠位端に取り付けられた挙上要素または制御ワイヤを有することができる。術具チャネルの湾曲性(関節動作)を実現するこれらの様々な方法は、本明細書で説明されるシステムの様々な実施形態に使用することができる。
【0052】
一部の実施形態では、術具チャネルの中に貫通して挿入される術具は、当業者に公知の任意の術具とすることができる。例えば、術具120、125としては、把持具、鉗子、スネア、ハサミ、メス、切開器具、クランプ、内視鏡ステープラ、組織ループ、クリップアプライヤ、縫合糸送達器具、またはエネルギーによる組織凝固器具若しくは組織切断器具を挙げることができる。チャネル110の遠位端である場合が多い屈曲可能部を動かすためのチャネル110の屈曲性により、チャネル110内に配置された術具120、125が操作される、即ち、曲げられる。一部の実施形態では、少なくとも1つのチャネル110及び/または内視鏡115が、手術中にアウタチューブ105内で移動する少なくとも実質的な自由度を有する、または「浮動」することができるため、システム100は、浮動式マルチルーメンカテーテル・リトラクタシステムと見なすことができる。「術具」と「器具」という語は、本明細書で教示される一部の実施形態では互換的に使用することができることを理解されたい。図面から分かるように、術具120、125は、術具チャネル110が上述のように屈曲するときに、その内部に配置された術具も屈曲するように、少なくとも遠位端を可撓性にすることができる。あるいは、術具120、125は、関節動作可能若しくは制御可能に屈曲可能にする、または形状記憶材料若しくは他の材料から構成して、術具チャネル110の屈曲性に依存しないで屈曲できるようにすることも考えられる。
【0053】
2つの術具チャネル110が例示されているが、3つ以上の術具チャネルまたは唯1つの術具チャネルを備えるシステムを利用できることも理解されたい。加えて、内視鏡は、手術器具、例えば、把持具または切開器具の挿入のためのワーキングチャネルを有することができる。
【0054】
また、術具は、術具チャネルを必要とすることなく、アウタチューブ105のルーメンの中に貫通して直接挿入できるように屈曲特性を備えることができることも考えられる。これらの実施形態では、術具自体は、対象組織に向いた屈曲/湾曲を術具チャネルに依存しないように屈曲可能または関節動作可能な特性を有する。
【0055】
一部の実施形態では、システムは、図1に示されているように、対象者の体内で拡開して処置空間または手術室160を形成する、可逆的に拡開可能なリトラクタ150を含むことができるため、安定していながらも動的な手術環境を含むことができる。リトラクタ150は、例えば、アウタチューブ105の遠位端108の遠位側で拡開するように構成することができる。一部の実施形態では、リトラクタは、処置のために対象組織190の蠕動を少なくとも略抑えることができる。リトラクタ150は、例えば、胃腸管195の足場として機能するために様々な構造を有することができる。例えば、リトラクタ150は、リトラクタ要素151、152、153、154とともに、これらのリトラクタ要素151、152、153、154に作動的に連結された近位カプラ198(これらのリトラクタ要素151、152、153、154に少なくとも略取り付けられている、及び/または少なくともスライド可能に係合されているにかかわらない)、及びこれらのリトラクタ要素151、152、153、154との動作可能な連結の遠位点となる遠位ネクサスまたはハブ(またはカプラ)199を備えることができる。
【0056】
図1の実施形態では、リトラクタ要素151は、第1の角度で近位カプラ198から延びている近位部151a、好ましくは第1の角度とは異なる第2の角度で遠位ハブまたはカプラ199から延びている遠位部151b、及び近位部151aと遠位部151bとの間に延在する、組織に係合する係合部151cを有する可撓性要素である。図示されているように、近位部151aは、長手方向軸に対して遠位部151cよりも大きい角度で延びて、リトラクタ要素自体の非対称拡開を実現している。従って、遠位部151bの長さは、近位部151aの長さを超えている。リトラクタ要素152は、リトラクタ要素151と同様の構成及び角度でも良いし、あるいは、異なる構成及び角度でも良い。あるいは、リトラクタ要素151及び/または152は、近位部と遠位部が同じ長さ及び角度となるように構成しても良い。リトラクタ要素151、152は、長手方向軸の一側の方向に拡幅することに留意されたい。この非対称拡幅は、後述される非対称室を形成する。
【0057】
リトラクタ150は、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能なリトラクタであり、拡開時に非対称処置空間160を形成する。そして、リトラクタ150は、対象者の体内でのシステム100の位置決めの容易さを向上させるように設計されたリトラクタ150の可撓性構成を可逆的に補強するとともに、リトラクタ150の拡開を可逆的に補強するように構成することができる。リトラクタ150の安定化は、一部の実施形態では、本明細書で教示されるスタビライザ・サブシステムによってリトラクタ150を安定化させる手段を含むことができ、このスタビライザ・サブシステムは、例えば、拡開されたリトラクタ150を支持する少なくとも略剛性のビーム175を有する。
【0058】
例えば、略剛性のビームを利用することによる、本明細書の様々な実施形態で開示されるリトラクタシステムの剛性化は、リトラクタシステムを有利に安定化させる、即ち、拡開中に組織の反対の力によって生じ得る遠位先端部の屈曲を制限する。従って、スタビライザは、荷重を保持し、より安定した部屋を形成するように作用する。一部の実施形態では、ビーム175は、略長方形の断面、略円形の断面、または他の形状の断面にすることができる。ビーム175は、リトラクタ要素よりも剛性の高い材料から形成することができる。一部の実施形態では、ビームは、リトラクタ要素の断面寸法よりも大きい断面寸法を有することができる。図1に示されているように、ビーム175は、リトラクタ要素によって形成された部屋の底部にあり、リトラクタ要素が、このビーム175から離れる径方向(横方向)に延びている。ビーム175は、リトラクタ要素が拡開のためにアウタチューブから露出されたときに露出されるより剛性の高い要素によって形成することができる、あるいは、以下により詳細に説明される実施形態の一部でのようにアウタチューブ内から独立に前進させることができる。
【0059】
一部の実施形態では、アウタチューブは、本明細書で教示される目的のために、当業者にとって有用であると考えられる任意の寸法を有することができる。例えば、アウタチューブは、約3mm?約30mm、約5mm?約25mm、約7mm?約22mm、約9mm?約20mm、約11mm?約18mm、約8mm?約15mm、約10mm?約16mmの範囲、または1mm増分されたこれらのうちの任意の範囲の外径を有することができる。アウタチューブの長さは、例えば、約30インチ?約72インチ(約76.2cm?約182.88cm)、約31インチ?約36インチ(約78.74cm?約91.44cm)、約28インチ?約80インチ(約71.12cm?約203.2cm)、約32インチ?約40インチ(約81.28cm?約101.6cm)、約34インチ?約38インチ(約86.36cm?約96.52cm)の範囲、または1インチ(2.54cm)増分されたこれらのうちの任意の範囲とすることができる。
【0060】
アウタチューブは、本明細書で教示される目的のために、当業者にとって有用であることが知られている任意の材料から製造することができる。例えば、アウタチューブは、ポリマー、または場合によっては埋め込みワイヤ補強を有するポリマーを含むことができる。このワイヤ補強は、メッシュ、編み組、螺旋コイル、またはこれらの任意の組み合わせとすることができる。ワイヤ補強は、本明細書で説明される目的に有用であると当業者が考える任意の材料を含むことができる。例えば、ワイヤ補強は、ポリマーチューブよりも約1?3桁高い弾性係数を有する材料を含むことができる。ワイヤ材料は、例えば、約0.003インチ?約0.017インチ(約0.076mm?約0.432mm)、約0.005インチ?約0.015インチ(約0.127mm?約0.381mm)、約0.010インチ?約0.012インチ(約0.254mm?約0.305mm)の範囲、または約0.001インチ(約0.025mm)増分されたこれらのうちの任意の範囲の直径を有するステンレス鋼を含むことができる。チューブの硬さ、またはデュロメータは、本明細書で説明される目的に有用であると当業者が考える任意の硬さにすることができる。例えば、硬さは、例えば、約50ショアA?約60ショアA、約40ショアA?約80ショアA、約45ショアA?約70ショアAの範囲、または1ショアA増分されたこれらのうちの任意の範囲とすることができる。当業者であれば、アウタチューブは、可撓性で弾性的に屈曲可能であるが、ハンドルまたはシステムの近位端からリトラクタまたはシステムの遠位端にトルクを伝達するために十分な捻じり剛性を有するべきであることを理解されよう。
【0061】
アウタチューブは、一部の実施形態では近位カプラと本明細書で呼ばれるリングに遠位端で連結することができ、このリングは、リトラクタ要素が貫通してスライドするようにその内部に形成されたポータルを有するとともに、内視鏡及び少なくとも1つの術具のためのチャネルの所望の向き設定及び位置決めを可能にし、これにより、リトラクタ要素、内視鏡、及び少なくとも1つの術具が、特定の機能、例えば、手術空間の拡大、切開平面の視野の向上、または当業者に興味があると考えられる任意の他の手術変数が実現されるように所定の要領で互いに対して整えられる。例えば、図1に示されている実施形態では、リトラクタ要素のポータルは、内視鏡及び術具チャネルのポータルから径方向外側に離間している。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書で教示されるリトラクタ構造はそれぞれ、処置に望ましい程度に病変を略固定する手段である。例えば、平坦または底部が広いポリープ、例えば、底部が約1cm以上の幅のポリープについての現在のループの使用及び断片除去では、明確な切除縁を形成することができないが、本明細書で教示されるシステムは、一部の実施形態では、処置領域の周りの腸壁の全周囲を固定するまたは取り付けて、明確な切除縁の形成を容易にすることができる。当業者であれば、本明細書で教示されるシステムによって形成することができる、(i)少なくとも略閉縮しない、(ii)少なくとも略蠕動しない;かつ(iii)例えば、臀部のような任意の体の固定点に関連する腹腔内の特定の部位に少なくとも略取り付けられる手術空間を有することを評価されよう。これは、既存のシステムに対する大きな改善である。なぜなら、既存のシステムは、例えば、手術空間からの空気の漏れによって生じ得る腸の閉縮;たとえ鎮静状態の患者でも一般的である蠕動;及び、患者の呼吸、スコープ若しくは他の器具の操作の動き、または場合によっては処置領域を動かす周囲の蠕動よって引き起こされるさらなる不所望の腸の運動を含む、多数の既存の問題に対応していないためである。このような問題は、本明細書で教示されるシステムによって対処される。従って、本明細書で教示されるシステムは、胃腸の内視鏡手術中に通常生じる腹部における様々な動く力に対する少なくとも実質的な抵抗を有する剛性の安定した構造を提供することができる。当業者であれば、手術空間に対するこれらの動く力の影響の軽減が、固有の技術的な複雑さ、制限された効果、及び内視鏡手術中の安全性の低下の改善に役立つことを理解されよう。
【0063】
上記の利点を有する手術空間を形成することに加えて、この手術空間は、処置、例えば、ポリープ切除のための術具の十分な手術距離を確保して個々の術具の操作性及び制御性を向上させて、組織の三角配置を可能にするために形成される。手術空間の距離はまた、対象組織の視認性を改善するために有利に確保される。
【0064】
一部の実施形態では、本明細書で教示されるシステムは、使用中に内視鏡上をスライドさせて位置決めすることができる。これらの実施形態では、まず内視鏡が対象組織に隣接した位置まで挿入され、次いで、マルチルーメンチューブまたはカテーテルが内視鏡上を進められ、内視鏡が、この内視鏡を受容するアウタチューブまたはカテーテルのルーメン(チャネル)上をスライドする。実際、現在の最新の手術で当業者によって既に使用されている、本明細書で教示されるシステムを使用する様々な方法が存在することを理解されたい。例えば、この方法は、マルチルーメンチューブをオーバーチューブ、カバー、またはシースの中に挿入することを含むことができる。そして、一部の実施形態では、内視鏡は結腸境とすることができる。多くの実施形態では、使用方法にかかわらず、リトラクタ構造は、対象病変と対向壁との距離、及び最も後退しているが可視化された位置にある器具と病変との距離を長くして有効な手術空間を拡大させるために結腸壁の一側を非対称に機械的に後退させることができる。
【0065】
一部の実施形態では、システムは、術具及び内視鏡を操作するための少なくとも2つのワーキングチャネルを有するマルチルーメンカテーテルを含むことができ、2つのワーキングチャネルのそれぞれは、互いに独立に、かつ内視鏡とは独立に6度の自由度を有する。内視鏡及び術具を独立に操作できることにより、例えば、1つの器具が組織若しくは病変を別の器具、例えば、切開器具に対して離れる方向若しくは略垂直に後退させるとともに、独立に内視鏡の位置を最適化する、従って、処置領域の視野を最適化することが可能である。これは、明確な縁で組織の除去を容易にする。チャネルは、数度の自由度、一部の実施形態では6度の自由度で術具を操作することができ、現在の最新のシステムと比較すると、手術領域の操作性が大幅に向上している。一部の実施形態では、少なくとも1つの独立に操作可能かつ関節動作可能な術具は、手術領域で最大約360度、約315度、約270度、約225度、約180度、約135度、または約90度の角度、独立に回転可能とすることができる。加えて、術具は、手術領域の少なくとも一方向に最大約180度、約135度、約90度、または約45度の角度まで独立に屈曲可能とすることができる。
【0066】
本明細書で教示されるシステムは、システムの柔軟性の向上をさらに促進するために、浮動チャネルの向きを整える手段を有することができる。一部の実施形態では、例えば、近位カプラ、即ち、アウタチューブの遠位端に取り付けることができるリングを使用して、術具及び内視鏡を特定の構成に整えて、これらがシャフトから出て、リトラクタによって形成された手術空間の中に入るときの器具の特定の位置決めを容易にすることができる。一部の実施形態では、術具チャネルは、最も拡開するリトラクタ要素から、内視鏡よりも遠くに配置することができる。同様に、アウタチューブの近位端は、各チャネルに対応するそれぞれの開口を有することもでき、これらの開口は、例えば、1つ以上のチャネルをアウタチューブに作動的に連結する、ハンドルカプラの一部またはハンドル自体とすることができる。アウタチューブとチャネルとの動作可能な連結は、例えば、患者の外部から内視鏡及び術具を制御する手段を実現することができる。リングは、本明細書で論じられる目的に適切であると当業者が考える任意の材料から形成することができる。例えば、リングは、ステンレス鋼、または場合によってはプラスチック、例えば、ポリカーボネート若しくはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)から形成することができる。
【0067】
一部の実施形態では、本明細書で教示されるシステムは、要素の任意の組み合わせを含むことができ、選択される要素の組み合わせは、このシステムとは別個に得られる要素とともに動作可能となるように設計されることを理解されたい。例えば、システムは、アウタチューブ及びリトラクタ要素を含むことができ、アウタチューブは、別個に得られる少なくとも1つのチャネル及び別個に得られる内視鏡とともに動作可能である。同様に、システムは、アウタチューブ、リトラクタ、及び内視鏡を含むことができ、チャネルが、別個に得られる;または、アウタチューブ、リトラクタ、及びチャネルを含むことができ、内視鏡が別個に得られる。さらに、システムは、アウタチューブ、リトラクタ、内視鏡、及び少なくとも1つのチャネル;または、ハンドル、アウタチューブ、リトラクタ、内視鏡、少なくとも1つのチャネル、及び少なくとも1つの術具を含むことができる。
【0068】
「実質的な」及び「略(実質的に)」は、例えば、パラメータの相対指標を指すために使用することができる。「実質的な」及び「略(実質的に)」は、一部の実施形態では、例えば、量、性能、または他の特性に関連する変化または機能の程度を示すために使用することができる。以下は、一般的な実施形態の説明における例のためのものである:上述のように、システムは、浮動システムと見なすことができ、一部の実施形態では、浮動チャネル、浮動内視鏡、複数の浮動チャネル、またはこれらの組み合わせを有することができる。例えば、「システム内の少なくとも略浮動する構成」という句は、別のシステムの要素に対して少なくとも一方向に動きを制限するある種の取り付け部、このような動きの制限を最小限にする最小の取り付け部を有することができる、または場合によっては取り付け部を有していない構成、例えば、チャネルまたは内視鏡の構成を指すことができる。例えば、チャネルまたは内視鏡は、第2のこのようなシステムの柔軟性を向上させるため、または第2のこのようなシステムの柔軟性の向上を本質的に達成するために浮動型構成を使用しないこのような第2のシステムに関連したアウタチューブ内で少なくとも略浮動するように構成することができる。従って、多くの実施形態では、内視鏡及び/またはチャネルは、構成の実質的な部分がシステム内に取り付けられないようにすることができ、これにより、この実質的な部分が、アウタチューブ内を「浮動する」または略自由に動くことができる。「実質的な部分」は、例えば、第2のこのようなシステムの柔軟性を向上させるため、または第2のこのようなシステムの柔軟性の向上を本質的に達成するために浮動型構成を使用しないこのような第2のシステムと比較した、システムの性能特性、例えば、柔軟性の向上を実現するためにシステム内に取り付けてはならない構成のパーセンテージとすることができる。
【0069】
「処置のために対象組織の蠕動を少なくとも略抑える」という句は、例えば、性能特性、例えば、処置を容易にする対象組織の動きの制御を実現する通常の使用条件下で、いくらかの最小の蠕動を有する、または場合によっては蠕動のない対象組織を指すことができる。「少なくとも略取り付けられた」、例えば、「アウタチューブのルーメンに少なくとも略取り付けられた」という句は、例えば、固定取り付け部または可動取り付け部を有する要素を指すことができる。一部の実施形態では、取り付け部は、要素とルーメンとの間とすることができ、この場合、要素の動きの自由動が少なくとも1度低下する。例えば、要素は、スライド及び/または回転がルーメン上の特定の固定点に対して生じる限り、アウタチューブのルーメンに対してスライド及び/または回転することができる。同様に、「少なくとも略取り付けられた」は、もちろん、一部の実施形態では、「固定された」または「可逆的に固定された」などを意味することができる。同様に、「少なくともスライド可能に取り付けられた」は、少なくとも要素間のスライド運動、例えば、ポートとチューブとのスライド運動を可能にする要素間の取り付けを指すことができる。一部の実施形態では、内視鏡は、少なくともスライド可能に取り付けることができ、例えば、このスコープは、その中心軸の方向にスライドしてポートに対して出入りすることができ、このため、スコープがポートを越えて延出する距離を調整可能である。そして、一部の実施形態では、要素は、「少なくともスライド可能に取り付ける」ことができ、この場合、要素は、スライドすることができ、さらに他の方向にも移動することができる。例えば、ポートは、一部の実施形態では、スコープよりも実質的に大きくすることができ、このため、スコープは、軸方向にスライドし、かつ左右に移動して、その中心軸がアウタチューブの中心軸に対して平行になるようにする、または場合によっては、その中心軸がアウタチューブの中心軸に対して平行にならないようにすることができる。
【0070】
「柔軟性を少なくとも実質的に向上させる」という句は、要素の別の向き及び設計と比較した場合に、システムの柔軟性を向上させる要素の向きを指すことができる。例えば、「第2のこのようなシステムに対してシステムの柔軟性を少なくとも実質的に向上させる」という句は、システムの柔軟性が、対象組織の処置のための対象者の体内でのシステムの位置決めの容易さを改善する最小限の増加を有するような、通常の使用条件下で浮動構成を有していない第2のシステムに対する請求項にかかわるシステムの柔軟性の比較を指すことができる。
【0071】
「少なくとも略剛性の要素」という句は、通常の使用で発生する力の下で、所望の機能が得られるような剛性または十分に剛性の要素を指すことができる。例えば、所望の機能は、対象者の体内でのリトラクタの拡開時に、リトラクタの長さに沿った1つ以上の位置での剛性要素の曲げモーメントの発生を防止または抑制することであり得る。一部の実施形態では、本明細書で教示されるシステムは、4つのリトラクタ要素を備えるリトラクタを有することができ、このうちの少なくとも2つは、対象者の体内で拡開して処置のための手術空間を形成することが可能である。この例では、手術空間を形成するための少なくとも2つのリトラクタ要素の対象組織に向かう拡開は、組織を後退させるために十分な力を必要とし、かつ剛性要素に曲げモーメントを生じさせ得る反対方向の対抗する力を生じさせる。当業者であれば、このような曲げモーメントは問題であり得、例えば、このような曲げモーメントは、対象組織の処置中のリトラクタの状態に対する使用者の制御に影響を及ぼす不安定性の原因となることを理解されよう。このような実施形態では、曲げモーメントを防止または抑制する要素は、「少なくとも略剛性」であり得、例えば、この場合、使用者が、対象組織の後退中のリトラクタの状態に対する所望のレベルの制御、または少なくとも十分な制御を維持する。一部の実施形態では、曲げモーメントを防止または抑制する要素は、対象者の体内または体外にあるにかかわらず、少なくとも略剛性であり得、この場合、リトラクタの拡開による要素の屈曲は、0.0?約5度、約1.0度?約10度、約2.0度?約12度、約3.0度?約10度、約1.0度?約15度、約1.0度?約9.0度、約1.0度?約8.0度、約1.0度?約7.0度、約1.0度?約6.0度、約1.0度?約5.0度、約1.0度?約4.0度の範囲、または約0.1度増分されたこれらのうちの任意の範囲の撓みを生じさせる。一部の実施形態では、剛性要素の撓みは、約1.0度、約2.0度、約3.0度、約4.0度、約5.0度、約6.0度、約7.0度、約8.0度、約9.0度、約10.0度、または0.1度増分されたこれらのうちの任意の値を超えることができない。屈曲は、例えば、拡開によって剛性要素に対して生じる力により剛性要素の軸の元の位置から撓んだ点として測定することができる。
【0072】
「実質的な」または「略(実質的に)」という語は、一部の実施形態では互換的に使用することができ、当業者によって許容され得る任意の相対指標を用いて説明することができる。例えば、相対的なパーセンテージは、実質的な量、実質的な変化、実質的な相違、または実質的な機能などを示すために使用することができる。一部の実施形態では、パーセンテージは、10%超、20%超、30%超、40%超、または50%超とすることができる。一部の実施形態では、パーセンテージは、60%超、70%超、または80%超とすることができる。そして、一部の実施形態では、パーセンテージは、90%超、95%超、または一部の実施形態では、99%超にもすることができる。例えば、「実質的な[量]」または「実質的な[変化]」は、基準パラメータに対する任意の量または変化を含むことができる。量または変化は、例えば、基準パラメータに対する増加または減少を含むことができ、かつパラメータの基準点と比較することができる。基準点からの偏差は、例えば、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または1%増分されたこれらのうちの任意の値とすることができる。また、例えば、「実質的な[機能]」または「略(実質的に)[機能する]」の制限は、基準機能パラメータに対する比較として役立ち、意図する機能をなお果たす偏差を示すことができる。基準機能としては、例えば、浮動、無蠕動、取り付け、屈曲、剛性、及び別の物体に対する位置または位置決めを含むことができる。基準点からの偏差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、35%未満、40%未満、45%未満、または0.1%増分されたこれらのうちの任意の値とすることができる。例えば、要素は、基準から許容され得る偏差未満外れた許容され得る実質的な[機能]を有することができる。
【0073】
従って、システムは、対象者の体内での位置決めを容易にするための浮動式マルチルーメンカテーテル・リトラクタシステムを含むことができ、このようなシステムは、対象者の最小侵襲性処置を実現するように設計することができる。一部の実施形態では、システムは、浮動チャネル及び浮動内視鏡をシステム内の少なくとも略浮動する構成の中に誘導するように構成された可撓性の高いアウタチューブを含む。この可撓性アウタチューブは、ルーメン、近位端、及び遠位端を有することができる。そして、システムの使用中に、浮動チャネルは、ガイドとして機能し、このガイドを介して、術具が対象者の体内の対象組織の処置で操作される。一部の実施形態では、術具としては、把持具、鉗子、ハサミ、メス、切開器具、内視鏡ステープラ、組織ループ、クリップアプライヤ、縫合糸送達器具、またはエネルギーによる組織凝固器具若しくは組織切断器具を挙げることができる。そして、一部の実施形態では、浮動チャネルは、術具を操作するために屈曲可能部を動かすための挙上要素を有することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つのチャネル及び/または内視鏡は、手術中にアウタチューブ内で動くまたは「浮動する」少なくとも実質的な自由度を有することができるため、システムは、本明細書で教示される浮動式マルチルーメンカテーテル・リトラクタシステムと見なすことができる。
【0074】
同様に、システムは、拡開して対象者の体内で処置空間を形成する可逆的に拡開可能なリトラクタを含むことができるため、安定していながらも動的な手術環境も含むことができる。リトラクタは、アウタチューブの遠位端の遠位側で拡開して、処置のために対象組織の蠕動を少なくとも略抑えるように構成することができ;対象者の体内でシステムの使用中に、浮動チャネルを、第1の近位位置及び第1の遠位位置でアウタチューブのルーメンに少なくとも略取り付けることができ、この浮動チャネルが、第1の近位位置と第1の遠位位置との間でアウタチューブのルーメン内で少なくとも略浮動することができる。同様に、システムの使用中に、浮動内視鏡を、第2の近位位置及び第2の遠位位置でアウタチューブのルーメンに少なくともスライド可能に取り付けることができ、この浮動内視鏡が、第2の近位位置と第2の遠位位置との間でアウタチューブのルーメン内で少なくとも略浮動することができる。そして、システムの使用中に、少なくとも略浮動する構成は、第2のこのようなシステムに対するシステムの柔軟性を少なくとも実質的に向上させることができ、第2のこのようなシステムは、アウタチューブの近位端と遠位端との間でアウタチューブの全長に亘ってルーメンに取り付けられた術具及び内視鏡用のルーメンを有する。少なくとも略浮動する構成の向上した柔軟性は、対象組織の処置のための対象者の体内でのシステムの位置決めの容易さを向上させることができる。さらに、リトラクタは、拡開時に非対称処置空間を形成する、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能なリトラクタとすることができる。そして、リトラクタは、その可撓性構成を可逆的に補強するように構成することができ、この可撓性構成は、対象者の体内でシステムの位置決めの容易さを向上させるとともに、リトラクタの拡開のために可逆的に補強するように設計されている。
【0075】
図2A及び図2Bは、一部の実施形態に従って、本明細書で教示されるシステムを上行結腸の病変の処置のためにどのように位置決めできるかを例示している。位置決め200に有用であることが当業者に知られている任意の一連のステップ及び方法を本明細書で教示されるシステムとともに使用できることを理解されたい。図2Aは、上行結腸295の一部にある病変、対象組織290を探すために内視鏡215をどのように使用できるかを例示している。図2Bは、対象組織290の処置におけるシステムの位置決め200のガイドとして内視鏡215を用いて、マルチルーメンカテーテル・リトラクタシステム201をどのように対象組織290に誘導できるかを例示している。図面から分かるように、マルチルーメンカテーテルは、図2Bに示されているように内視鏡215上を進められる。
【0076】
図3A?図3Lは、一部の実施形態に従って、本明細書で教示されるシステムを結腸の病変の除去にどのように使用できるかを例示している。上記のように、システムは、患者の体の他の領域に使用して、他の対象組織を処置することもできる。結腸壁からのポリープの除去に関する本明細書の説明は、システム(及び本明細書に開示される他のシステム)を他の外科適用例及び他の体の空間に使用することができるため、一例として図示され記載される。システムは、胃腸病変390の処置300において図2A及び図2Bに示されているように位置決めすることができ、病変への多方向・多角度アプローチを使用することができる。例えば、図2A及び図2Bに示されているように、このアプローチは、内視鏡315を用いて対象者の胃腸管腔の病変を見つけること;及び、対象組織、胃腸病変390を処置するための、略剛性の安定した管腔内手術領域を形成することを含むことができる。図3Aでは、システムは、病変390で位置決めされ、図3Bでは、拡開可能なリトラクタ350が、後に拡開して非対称手術空間360(図3C)を形成するために露出されている。図3Aでは、シースまたはカバー355が、挿入を容易にするためにリトラクタ要素上に配置されていて、シース355の遠位端が、遠位カプラ399に当接するか、または遠位カプラを覆っている。対象部位まで挿入されたら、図3Bに示されているように、シース355が除去されて、後の拡開のためにリトラクタ要素が露出されている。あるいは、リトラクタ要素は、拡開状態に付勢することができ、かつシース355によって閉縮送達状態に維持することができることも理解されたい。このような実施形態では、リトラクタ要素を露出させるシース355の除去により、リトラクタ要素が、図3Cのその拡開状態に自動的に拡開することができる。
【0077】
図3C及び図3Dは、手術空間360の形成、並びに内視鏡315及び術具320、325の操作を例示している。リトラクタ350が病変390に隣接して位置決めされると、リトラクタ350が拡開されて、病変390の処置のための非対称手術空間360が形成される。一部の実施形態のリトラクタ350は、遠位カプラ399と近位カプラ398とを互いに対して移動させることによって拡開することができ、カプラ399とカプラ398との距離が短くなると、リトラクタ要素が、アウタチューブ(カテーテル)305の長手方向軸に対してさらに横方向に押される。代替の実施形態では、リトラクタ要素は、アクチュエータに作動的に連結することができ、このため、アクチュエータは、以下に詳細に説明される図11の実施形態でのようにリトラクタ要素を曲げるように移動する。なお他の代替の実施形態では、リトラクタ要素は、アウタチューブまたはアウタチューブを覆うシースから露出されると、リトラクタ要素がその拡開構造、例えば、それらの形状記憶拡開構造に自動的に戻るように、形状記憶材料または他の材料から構成することができる。このような形状記憶リトラクタ要素が利用される場合、これらのリトラクタ要素は、露出されると、図3Bの状態から図3Cの状態に自動的に移行する。
【0078】
システムは、本明細書で教示される任意の構成、例えば、(i)病変390の観察に使用される少なくとも1つの独立に操作可能かつ関節動作可能なスコープ315、(ii)病変390の処置に使用される少なくとも1つの独立に操作可能かつ関節動作可能な術具320、325のための少なくとも1つの術具チャネル310、及び(iii)非対称に拡開可能な構造をとり得るリトラクタ350を有することができる。一部の実施形態では、リトラクタ350は、病変390に向かって非対称に拡開することができ、この拡開では、リトラクタ350の一部が、病変390の周囲組織を押して、非対称手術領域を形成することによって手術領域を拡大し、従って、処置のための病変390の手術領域360内への進入を容易にする。リトラクタ350は、アウタチューブ305の遠位端の遠位側に位置決めすることができ、非対称手術領域360は、病変390の処置を容易にするために、独立に操作可能かつ関節動作可能なスコープ315及び少なくとも1つの術具320、325に対して略剛性かつ安定性とすることができる。病変390の処置は、例えば、(i)病変390を関節動作スコープ315で観察すること、及び(ii)非対称手術領域360内の病変390への多方向・多角度アプローチを用いて、病変390の処置に少なくとも1つの術具320、325を使用することを含むことができる。
【0079】
図3A?図3Jの実施形態では、4つのリトラクタ要素が設けられている。2つのリトラクタ要素353、354が、リトラクタシステムの底部にあり、外向きに曲がった形状または弓形形状を有する。リトラクタ要素351、352は、さらに径方向外向きに拡開して、病変が確認された結腸壁に対して力を加える。これらのリトラクタ要素は、以下にさらに詳細に説明される。
【0080】
一部の実施形態では、独立に操作可能かつ関節動作可能なスコープ315及び少なくとも1つの術具320、325は、手術領域360内で独立に軸方向に移動可能であり、手術領域360内で独立に回転可能であり、かつ手術領域360内で少なくともと一方向に独立に屈曲可能であり得る。従って、一部の実施形態では、病変390の周囲組織を押すリトラクタ350の部分、例えば、リトラクタ要素351、352は、アウタチューブ305の遠位端の中心軸307から、リトラクタの他の部分よりもさらに拡開し、アウタチューブ305の遠位端の中心軸307を中心に単に対称に拡開する第2のこのような構造と比較すると、病変390の処置のためのより一層大きい手術空間360を形成することができる。これは、過度に伸長させて結腸に損傷または裂傷を与えることなく、対象領域における結腸の構造を変形させることによって実現される、器具の先端部から対象組織までの最も長い手術距離を確保することが望ましいという事実によるものである。
【0081】
リトラクタシステムが図3Cに示されているように拡開した後に、視認性を改善するために内視鏡315を、手術空間360内で対象病変390に向かって関節動作させることができることに留意されたい。
【0082】
図3Eは、病変390への多方向・多角度アプローチを例示し、病変390に対する手術領域360、内視鏡315、及び術具320、325の位置決めのステップを示している。リトラクタ350が、図3Cに示されているように拡開された後に、システムの使用者が、病変390を観察して、手術空間360内の殆ど全ての所望の角度から術具320、325を用いて病変390に到達することができる。術具チャネル310が、マルチルーメンカテーテルまたはチューブの各ルーメンの中を貫通して進められ、内視鏡術具または器具が、術具チャネル310の中に貫通して挿入され、術具の遠位端が、図3Dに示されているように術具チャネル310の遠位側に延出する。術具チャネルの利点は、図11の実施形態に関連付けて詳細に後述され、このような利点は、術具チャネルを利用するこの実施形態及び他の実施形態に当てはまる。上記のように、代替の実施形態では、屈曲可能/関節動作可能な術具チャネルを使用しないでも内視鏡術具の操作を可能にする上記説明された屈曲可能/関節動作可能な特性を内視鏡術具が有するのであれば、術具チャネルを用いずに、内視鏡術具をカテーテルまたはチューブのルーメンの中に直接挿入することができることも考えられる。
【0083】
図3Fは、システムの多様性を例示し、独立に選択された第2の角度から術具325を使用して病変390を把持し、そして独立に選択された第3の角度から内視鏡315を使用して病変390を観察できるようにしながら、独立に選択された第1の角度から術具320を使用して病変390を切開して除去するステップを示している。図示されているように、術具320、325の異なる角度は、病変へのアクセス、病変の操作性及び除去を容易にする組織の三角配置を有利に達成する。切開具320によって胃腸管395から病変390が切除された後に、組織欠損部397が残る。切開具320は、一部の実施形態では、電気外科器具の形態であり得るが、他の切開具/切除具も利用できることに留意されたい。図3Gは、手術の完了の準備として切除病変390をリトラクタアセンブリの中に放出するステップを例示している。図3H及び図3Iは、組織欠損部397を閉じるステップを例示し、病変390の切除のための術具320が、病変を閉じるための術具322に代わっていることを示している。この病変は、様々な方法、例えば、機械式(例えば、クリップ、ステープル、または構造物)、接着剤、電気エネルギーなどによって閉じることができる。図3J及び図3Kは、術具323を用いて除去のために病変390を捕捉するステップ、及び対象者からシステムを除去する準備として、閉縮したリトラクタ要素351、352、353、354の中に病変390を捕捉して閉じ込めるためにリトラクタ350を閉縮させるステップを例示し、閉縮されたリトラクタ要素の中に閉じ込められた病変をさらに封入するためにカテーテル上をスライドさせることができる任意選択のリトラクタカバー355の使用も含む。図3Lは、組織欠損部が閉じられて処置が完了した図である。
【0084】
一部の実施形態では、例えば、図3B?図3Jに示されているように、システムは、対象者の体内で拡開して処置空間360を形成する、可逆的に拡開可能なリトラクタ350を含むことができるため、安定していながらも動的な手術環境を含むことができる。リトラクタ350は、例えば、アウタチューブ(カテーテル)305の遠位端308の遠位側で拡開するように構成することができる。一部の実施形態では、リトラクタは、処置のために対象組織390の蠕動を少なくとも略抑えることができる。リトラクタ350は、例えば、胃腸管395内の足場として機能する様々な構造を有することができる。例えば、リトラクタ350は、リトラクタ要素351、352、353、354とともに、これらのリトラクタ要素351、352、353、354に作動的に連結された近位カプラまたはハブ398(これらのリトラクタ要素351、352、353、354に少なくとも略取り付けられている、及び/または少なくともスライド可能に係合されているにかかわらない)、及びこれらのリトラクタ要素351、352、353、354との動作可能な連結の遠位点となる遠位ネクサスまたはカプラ399を含むことができる。遠位ネクサスまたはカプラ399は、リングの形状で示されているが、当業者に望まれる事実上全ての形状、例えば、円錐、半球、及び球などにすることができ、システムの遠位端を越える内視鏡の通過のためのポートを備えても良いし、または備えなくても良い。上記のように、一部の実施形態では、近位カプラ398を遠位カプラ399に向かって移動させる、遠位カプラを近位カプラ398に向かって移動させる、または両方のカプラを互いに向かって移動させてこれらのカプラの距離を縮めて、リトラクタ要素を径方向外向きに押すことができる。リトラクタ要素の外向きの拡開の程度は、近位カプラ398と遠位カプラ399との距離を制御することによって制御することができる。リトラクタは、近位カプラ398と遠位カプラ399との距離を調整することによって、所望に応じて拡開状態から閉縮状態へ、そして閉縮状態から拡開状態へ繰り返し移行させることができる。このようなリトラクタ要素の制御された拡開は、図11の実施形態でのように、リトラクタ要素の近位端をアクチュエータに作動的に接続することによって達成することもできる。あるいは、上記のように、リトラクタ要素を、形状記憶材料などの材料から構成して、カテーテルまたはシースが露出されると自動的に拡開するようにすることができる。
【0085】
図示されているリトラクタ要素の拡開状態では、リトラクタ要素351は、第1の角度で近位カプラ398から延びた近位部351a、好ましくは第1の角度とは異なる第2の角度で遠位ハブまたはカプラ399から延びた遠位部351b、及び近位部351aと遠位部351bとの間に延在する、組織に係合する係合部351cを有する可撓性要素である。図示されているように、近位部351aは、長手方向軸に対して遠位部351bよりも大きい角度で延びて、リトラクタ要素自体の非対称拡開を形成する。従って、遠位部351bの長さは、近位部351aの長さを超えている。リトラクタ要素352は、リトラクタ要素351と同様の構成及び角度にしても良いし、または異なる構成及び角度にしても良い。あるいは、リトラクタ要素351及び/または352は、近位部及び遠位部が同じ長さ及び角度となるように構成しても良い。リトラクタ要素351、352は、長手方向軸の一側の方向に拡開することに留意されたい。この非対称拡開により、非対称室(手術空間)が形成される。リトラクタ要素351、352は、上述のように弧状または弓状に延びる。一部の実施形態では、リトラクタ要素351、352は、カテーテルの長手方向軸に対して一方向にのみ拡開するため、これらのリトラクタ要素は、長手方向軸を含む長手方向の平面の上(図3Dの向きで見て)に維持される。一部の実施形態では、要素351、352のみが拡開し、リトラクタ(ケージ)の底部を形成する要素353、354は、リトラクタの挿入(閉縮)状態でも拡開状態でも、略同じ状態に維持される。図1のリトラクタ要素と同様に、以下に説明される図10Aの実施形態でのように、覆われた部屋を形成するために要素351、352、353、354をプラスチックまたは他の材料で覆うことができることに留意されたい。
【0086】
リトラクタ350は、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタであり得、リトラクタ350は拡開時に非対称の処置空間360を形成し得る。そして、リトラクタ350は、対象者の体内でのシステム300の位置決めを容易とするように設計されたリトラクタ350の可撓性構成を可逆的に補強するとともに、リトラクタ350の拡開を可逆的に補強するように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタ350の安定化は、本明細書で教示されるようなスタビライザ・サブシステムによってリトラクタ350を安定化させる手段を含み得、スタビライザは、例えば、拡開したリトラクタ350を支持するために、少なくとも略剛性のビーム375を有し得る。略剛性のビーム375は、断面が略矩形、断面が略円形、または他の断面形状であってもよい。ビーム375は、リトラクタ要素と同一またはリトラクタ要素よりも堅い材料で提供され得る。これは、本明細書に記載されるような、より安定化したチャンバを形成するのに役立つ。示されるように、ビーム375はリトラクタ要素によって形成されるチャンバの底部にあり、リトラクタ要素はビーム375から離れて放射状(側方向)に拡開する。ビーム375は、以下により詳細に記載される実施形態の幾つかと同様に、リトラクタ要素が拡開のためにアウタチューブから露出されるときに露出されるより剛性な要素によって形成され得、あるいは、アウタチューブから独立して前進でき、または剛性化構造の前進によって形成され得る。
【0087】
図4A-4Eは、幾つかの実施形態による、スタビライザ・サブシステムを含む、本明細書で教示されるような代替システムの詳細を、拡開構成及び閉縮構成の側面図、軸方向図、及び斜視図で示している。図面はマルチルーメンカテーテル・システムの一例を示していて、それは、対象者の最小侵襲処置のための可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタを有するという点で、図3A-3Kのシステムと類似している。図4A-4Cは、システム400が、システム300と同様の方法で、システム400内で術具チャネル(図示せず)及び内視鏡(図示せず)を誘導するための可撓性アウタチューブ(またはカテーテル)405を備え得ることを示す、側面図及び軸方向図を示している。可撓性アウタチューブ405は、ルーメン、近位端(図示せず)、及び遠位端408を有している。1つ以上の術具チャネル(図示せず)は、図3Gの術具チャネル310が術具320、325を操作するのと同様の方法で、対象者の体内の対象組織の処置において操作され得る内視鏡器具(図示せず)のガイドとして機能する。幾つかの実施形態では、リトラクタ450は、拡開時に処置空間を形成し、かつアウタチューブ405の遠位端408よりも遠位側で拡開を発生させるように構成される、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタ450であり得る。リトラクタ450は、対象者の体内でのシステムの位置決めを容易とするように設計されたリトラクタ450の可撓性構成を可逆的に補強するとともに、リトラクタ450の拡開を可逆的に補強するように設計され得る。これらの実施形態では、リトラクタ450の可逆的に補強された構成は、リトラクタ450の拡開のための構造的支持体として可撓性ビーム470から少なくとも略剛性のビーム475を形成し得る。幾つかの実施形態では、スタビライザ・サブシステムは、可撓性チューブを含み得る可撓性ビーム470、及び少なくとも略剛性のビーム475を形成するための手段を含み得る。本明細書で教示される手段は、例えば、リトラクタを拡開する前に、可撓性のロッドまたはビーム470内で少なくとも略剛性のロッドまたはビームをスライド可能に係合させるための機構を含む、本明細書で教示される全ての実施形態を含み得る。幾つかの実施形態では、用語「ロッド」及び「ビーム」はほとんど同じ意味で使用され得、幾つかの実施形態では、用語「ビーム」及び「チューブ」はほとんど同じ意味で使用され得る。ビーム475は、本明細書に記載の代替案を含め、ビーム375について上述した方法と同様の方法で構成され、かつ機能し得る。
【0088】
幾つかの実施形態では、開示の実施形態の各々において本明細書で教示される可撓性ビームは、ポリマー、例えばポリイミド、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX)、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、PEEK、またはポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)などを含み得る。可撓性ビームは、当該技術分野で知られている構成要素及び設計から作製される強化チューブであり得ることを当業者は理解する。可撓性ビームは、例えば、ステンレス鋼またはNITINOLなどの金属を含む、例えば、金属のワイヤ、編組、またはコイルで強化された可撓性チューブであり得る。幾つかの実施形態では、可撓性チューブは耐キンク性があり、かつトルクを伝達し得る。そして、幾つかの実施形態では、可撓性チューブは可撓性部及び剛性部の両方の組み合わせを含み得る。これらの実施形態では、例えば、可撓性部は剛性部の間に存在し得る。幾つかの実施形態では、このような可撓性チューブは、エポキシまたはシアノアクリレートを用いた接着を含む、当業者に公知の任意の方法を使用して連結される重複チューブの複合体を含み得る。
【0089】
幾つかの実施形態では、本明細書で教示されるシステムのいずれかは、リトラクタに安定性を追加するためのブリッジ部材を含み得る。例えば、リトラクタシステム450は、拡開時にリトラクタ要素451、452、453、454の所望の向きを維持するように構成されたブリッジ部材444を含み得、ブリッジ部材444は、4つのリトラクタ要素451、452、453、454のうちの少なくとも2つ451、452を作用的に安定化し得る。すなわち、図4Aの実施形態では、ブリッジ部材444は、組織壁を拡開または再構成するために側方向外向きに拡開するように構成された2つのリトラクタ要素451、452に取り付けられている。ブリッジ部材444は要素451、452に対して横構造を形成するため、横方向の移動を制限し得る。示されるように、ブリッジ部材444はまた、ブリッジ444並びにリトラクタ要素453及び454に接続される第2のブリッジ部444aを含むため、全ての4つのリトラクタ要素451、452、453、454を接続し得る。示されるように、上部表面は(図4Bの向きで見て)弓状であり得る。ブリッジ部材444は、リトラクタ要素451、452の一方/両方と別個の構成要素、または代わりに一体的に形成され得る。ブリッジ部材は、要素451、452と類似した材料から構成され得、または異なる材料から構成され得る。
【0090】
安定性を高めるために追加のブリッジ部材がリトラクタ要素451、452に設けられ得る。1つ以上のブリッジ部材が本明細書に開示の他のリトラクタの実施形態において使用され得ることに留意されたい。幾つかの実施形態において、ブリッジ部材444は、閉縮状態では図4B及び4Dのように長手軸から半径方向外向きに曲がり得るが、図4C及び4Eの拡開状態では、より半径方向内向きに曲がるように変化し得ることに留意されたい。
【0091】
さらに、追加のブリッジ部材(または複数のブリッジ部材)は、ブリッジ部材444と独立して、(図4Cの向きから見て)2つの下側リトラクタ要素453、454の間に延びてもよい。これらの要素453、454はリトラクタシステムの下部を開くのに役立ち得、かつブリッジ部材は、ブリッジ444と独立しているかまたはそれに接続されているかどうかに関わらず、これらの要素を安定化させる、例えば横方向の移動を制限するのに役立ち得る。下側のリトラクタ要素におけるこのようなブリッジ部材は、本明細書に開示の他のリトラクタの実施形態において使用され得る。
【0092】
幾つかの実施形態では、本明細書で教示されるシステムの各々は、例えばメッシュ、編組等のワイヤ補強されたアウタチューブを有するため、システムに耐キンク性及びトルク伝達性がもたらされ、並びに対象者の体内でのシステムの位置決めがさらに容易となり得る。
【0093】
図4D及び4Eは、閉縮構成及び拡開構成のシステム400の斜視図を示している。マルチルーメン概念は、システム400のカテーテル405内のマルチルーメン406a、406b、406cを示すことで、これらの図において明確に示される。ルーメン406aは上述の内視鏡315などの内視鏡(図示せず)を含み得、ルーメン406bは第1内視鏡器具(図示せず)のための第1ワーキングチャネル410bを含み得、かつルーメン406cは第2内視鏡器具(図示せず)のための第2ワーキングチャネル410cを含み得る。ワーキングチャネル410b、410cは、直接その中に第1及び第2の器具を受容可能であり、あるいは、上述の術具チャネル310のような、スライド可能にその中に配置される内視鏡器具を曲げるための術具チャネル(術具ガイド)を受容可能である。図4Dは、閉縮構成のシステムを示し、図4Eは拡開構成のシステムを示している。図4Eでは、術具チャネル410b及び410cは、それらの遠位端が湾曲状態にあるようにカテーテル405から露出して示されている。術具チャネルが軸方向にさらに進むことで、湾曲した遠位端が対象組織と整列し得る。
【0094】
システム400はまた、リトラクタ要素451、452、453及び454を備えている。リトラクタシステムはさらに、閉縮構成において可撓性のチューブまたはビーム470を備え、一方で、拡開構成では、リトラクタシステムは可撓性ビーム470から形成された剛性ビーム475を有する。幾つかの実施形態では、剛性ビームは、可撓性ビームを構成する可撓性チューブに剛性ロッドをスライド可能に挿入することによって、可撓性ビームから形成され得る。より具体的には、本実施形態では、可撓性ビーム470はその上に剛性ロッドなどの安定化または剛性化した構造をスライド可能に受容する。剛性化(安定化)構造は、剛性化構造に作動的に接続されたスライド可能なレバーなどの制御を作動させて、ユーザにより独立して作動されることにより、アクチュエータの移動が可撓性ビーム470上で剛性化構造を遠位に向けて進めるため、ビームが強化され得る。あるいは、可撓性ビーム470は、その中に剛性ロッドなどの剛性化構造をスライド可能に受容するためのルーメンを有し得る。いずれかのバージョンの構造は、必要に応じて可撓性ビーム470から後退するため、システムは元のより柔軟な状態に戻り、リトラクタシステムの閉縮を補助し得る。ビーム470は断面が略円形であってもよいが、他の断面形状も想到される。前述の実施形態と同様に、剛性ビームはカテーテルの遠位端のゆがみを制限し、さもなければ、体管腔壁によって遠位端に加えられる圧力によってゆがみが生じ得る。
【0095】
多くの実施形態では、用語「術具チャネル」は、用語「ワーキングチャネル」または「術具ガイド」とほぼ同じ意味で使用され得る。そして、幾つかの実施形態では、チャネルは、アウタチューブの内部に配置された別個の構成要素であってもよく、またはチャネルはアウタチューブ内に配置された別個の構成要素の間でアウタチューブのルーメンに残る空間であってもよい。別個の構成要素には、例えば、内視鏡、ワーキングチャネル、器具、ガイド等がある。
【0096】
幾つかの実施形態では、例えば図4A-4Eに示されるように、システムは拡開することで対象者の体内において処置空間460を形成する可逆的に拡開可能なリトラクタ450を備え得るという点で、システムは安定であるが、動的な作動環境を含み得る。リトラクタ450は、例えば、アウタチューブ405の遠位端408よりも遠位側で拡開を発生させるように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタは処置のために対象組織490の蠕動を少なくとも略抑えし得る。リトラクタ450は、例えば胃腸管495内で足場として機能するために、様々な構成を有し得る。例えば、リトラクタ450は、リトラクタ要素451、452、453、454を、リトラクタ要素451、452、453、454に少なくとも略取り付けられるか、及び/または少なくともにスライド可能に係合されるかどうかに関わらず、リトラクタ要素451、452、453、454に作動的に接続される近位カプラ498、及びリトラクタ要素451、452、453、454との作動可能な接続の遠位点としての遠位ネクサスまたはカプラ499と共に備え得る。上述の通り、カプラ498、499の相対移動により、リトラクタ要素は拡開し得る。あるいは、上述の通り、リトラクタ要素は近位アクチュエータに作動的に取り付けられ得、近位アクチュエータは固定された遠位部分に対して近位部分を移動させることで、リトラクタ要素を外向きに曲げ得る。好ましい実施形態では、リトラクタ要素は(他の材料も想到されるが)超弾性材料で作製され得、または形状記憶のリトラクタ要素が利用されてもよい。
【0097】
リトラクタ要素451及び452は、カバーリング451a、452aをそれぞれ有することができ、それらはリトラクタ要素451、452の断面直径を増加させることによって、それらにバルクを追加する。これは、図6A-6Dの実施形態と関連して以下により詳細に説明する。
【0098】
さらに、リトラクタ450は、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタであり得、リトラクタ450は拡開時に非対称の処置空間460を形成し得る。そして、リトラクタ450は、対象者の体内でのシステム400の位置決めを容易とするように設計されたリトラクタ450の可撓性構成を可逆的に補強するとともに、リトラクタ450の拡開を可逆的に補強するように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタ450の安定化は、本明細書で教示されるようなスタビライザ・サブシステムによってリトラクタ450を安定化させる手段を含み得、スタビライザは、例えば、拡開したリトラクタ450を支持するために、少なくとも略剛性のビーム475を有し得る。
【0099】
図5A-5Dは、幾つかの実施形態による、拡開構成及び閉縮構成の側面図及び上面図を有する、本明細書で教示されるようなシステムの側面図及び上面図を示している。術具チャネル及び術具は、本明細書に記載のものと類似していて、明確にするために省略されている。図5A及び5Bは、システム500を使用した内視鏡的処置の間に形成され得る非対称な手術空間の一例を示す、閉縮構成及び拡開構成のシステム500の側面図を示している。そして、図5Bに示されるように、前述の実施形態と同様に、拡開は処置空間または手術空間560を増加させるように剛性ビーム575の反管腔側557よりも剛性ビーム575の管腔側559で不均衡に大きな量で生じ得、処置空間560は剛性ビーム575周りに非対称に分配された容積を有し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に開示の様々なリトラクタシステムの拡開は、剛性ビーム575の反管腔側557よりも剛性ビーム575の管腔側559で少なくとも5倍大きな量で生じ得る。そして、幾つかの実施形態では、拡開はビームの反管腔側よりもビームの管腔側で、少なくとも1.1倍大きい、少なくとも1.3倍大きい、少なくとも1.5倍大きい、少なくとも2.0倍大きい、少なくとも2.5倍大きい、少なくとも3.0倍大きい、少なくとも3.5倍大きい、少なくとも4.0倍大きい、少なくとも4.5倍大きい、少なくとも5.0倍大きい、少なくとも5.5倍大きい、少なくとも6.0倍大きい、少なくとも6.5倍大きい、少なくとも7.0倍大きい、少なくとも7.5倍大きい、少なくとも8.0倍大きい、少なくとも8.5倍大きい、少なくとも9.0倍大きい、少なくとも9.5倍大きい、少なくとも10.0倍大きい、またはこの範囲内でのあらゆる0.1倍の増分であり得る。
【0100】
幾つかの実施形態では、例えば図5A-5Dに示されるように、システムは拡開することで対象者の体内において処置空間560を形成する可逆的に拡開可能なリトラクタ550を備え得るという点で、システムは安定であるが、動的な作動環境を含み得る。リトラクタ550は、例えば、アウタチューブ505の遠位端508よりも遠位側で拡開を発生させるように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタは処置のために対象組織590の蠕動を少なくとも略抑えし得る。リトラクタ550は、例えば胃腸管595内で足場として機能するために、様々な構成を有し得る。例えば、リトラクタ550は、リトラクタ要素551、552、553、554を、リトラクタ要素551、552、553、554に少なくとも略取り付けられるか、及び/または少なくともにスライド可能に係合されるかどうかに関わらず、リトラクタ要素551、552、553、554に作動的に接続される近位カプラ598、及びリトラクタ要素551、552、553、554との作動可能な接続の遠位点としての遠位ネクサスまたはカプラ599と共に備え得る。カプラ598、599は、例えばカプラ198、199などの上述のカプラと同様の方法で、リトラクタ要素551、552(及び必要に応じて要素553、554)を拡開するために相対的に移動可能である。あるいは、本明細書に記載の代替実施形態と同様に、リトラクタ要素は、例えば遠位カプラ599にそれらの遠位端が固定して取り付けられ、かつアクチュエータに近位端が作動可能に接続され、または形状記憶材料などの自己拡開材料で作製され得る。図5Bの実施形態における各リトラクタ要素551、552は、略同型(対称)な円弧形状に拡開するが、代替的に、各リトラクタ要素は、上述の実施形態と同様に、非同型(非対称)形状に拡開するように構成されてもよい。リトラクタ要素551、552が個々に略対称形状に拡開するこの実施形態では、拡開は、マルチルーメンアウタチューブ505の片側において、すなわち中心長手軸が通過する長手面の片側のみに存在することに留意されたい。したがって、リトラクタシステムに対するリトラクタ要素の拡開は非対称であるが、それらの個々の拡開形状は対称であり得る。リトラクタ要素553、554は、リトラクタ要素353、354と類似したわずかに曲がった構成を有している。図5Aの向きで見てケージの下部要素として配置されたリトラクタ要素553、554は、制限された拡開を有し得るか、またはリトラクタシステムが拡開するときにそれらは拡開せず、その代わりにほぼ同じ位置に留まるように設けられ得る。このような実施形態では、拡開リトラクタ要素551、552は作動的にアクチュエータに接続され得、かつ下部要素553、554は固定的(非可動)にカテーテルに、例えば固定された近位カプラ及び遠位カプラに取り付けられ得る。このような取り付けの選択肢はまた、本明細書に開示の他の実施形態にも適用可能であり、そこでは、下部リトラクタ要素はリトラクタシステムの閉縮状態及び拡開状態においてほぼ同じ位置を維持することが開示されている。
【0101】
さらに、上述のリトラクタと同様に、リトラクタ550は、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタであり得、リトラクタ550は拡開時に非対称の処置空間560を形成し得る。そして、リトラクタ550は、対象者の体内でのシステム500の位置決めを容易とするように設計されたリトラクタ550の可撓性構成を可逆的に補強するとともに、リトラクタ550の拡開を可逆的に補強するように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタ550の安定化は、本明細書で教示されるようなスタビライザ・サブシステムによってリトラクタ550を安定化させる手段を含み得、スタビライザは、例えば、拡開したリトラクタ550を支持するために、少なくとも略剛性のビーム575を有し得る。図5A-5Dの実施形態では、剛性ビーム575は、図1のビーム175のように永久的に補強された状態で設けられ得、あるいは、上述の通りアクチュエータによって可撓性要素上に、または可撓性チューブ部材のルーメン内に剛性化(安定化)構造を進めることによって形成され得る。いずれの場合も、ビームは、対象組織への接近及び対象組織の操作を容易にするために、安定した非対称な手術空間を形成する非対称な構成でリトラクタシステムを剛性化する。
【0102】
図6A-6Dは、幾つかの実施形態による、システムの拡開構成及び閉縮構成の側面図及び断面図を有する、本明細書で教示されるようなシステムの側面図を示している。図面は、対象者の最小侵襲処置のための可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタを有するマルチルーメンカテーテル・システムの一例を示している。図6A及び6Bは、システム600が、システム600内部で上述の術具チャネルと類似した1つ以上の術具チャネル(図示せず)、及び上述の内視鏡と類似した内視鏡(図示せず)を誘導するための可撓性アウタチューブ605を備え得ることを示す側面図を示している。可撓性アウタチューブ605はルーメン、ハンドル680内に延びる近位端、及び遠位端608を有している。各術具チャネルは、対象者の体内の対象組織の処置において操作され得る術具(図示せず)のガイドとして機能する。すなわち、術具チャネルは、上述の実施形態と同様に、その中を貫通して挿入される術具を受容かつ再配向するように構成される。幾つかの実施形態では、リトラクタ650は拡開時に処置空間660を形成し、かつアウタチューブ605の遠位端608よりも遠位側で拡開を発生させるように構成される、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタ650であり得る。リトラクタ650は、対象者の体内でのシステムの位置決めを容易とするように設計されたリトラクタ650の可撓性構成を可逆的に補強するとともに、リトラクタ650の拡開を可逆的に補強するように設計され得る。これらの実施形態では、リトラクタ650の可逆的に補強された構成は、リトラクタ650の拡開のための構造的支持体として可撓性ビーム670から少なくとも略剛性のビーム675を形成し得る。
【0103】
ハンドル680は、近位端において内視鏡(図示せず)及び/または術具(図示せず)のための入口ポート609など、システムと外部構成要素とを作動的に組み合わせるための入口ポートを備える。ハンドル680はまた、アウタチューブ605の近位端に作動的に接続されていて、かつハンドル680からアウタチューブ605に入る出口ポートを有し得る。幾つかの実施形態では、システムはスタビライザ・サブシステムを備え得る。例えば、スタビライザ・アクチュエータ612がハンドル680に備えられて、可撓性ビーム670を可逆的に補強することで、リトラクタ650の拡開のための少なくとも略剛性のビーム675が形成され得る。リトラクタ・アクチュエータ614はハンドル680に備えられて、可逆的にリトラクタ650を拡開し得る。リトラクタ650は閉縮(非拡開)状態で図6A及び6Bに示されている。
【0104】
図6C及び6Dは、拡開構成のシステム600の斜視図を示している。拡開構成は、通常対象者の体内での位置決めのための閉縮状態において存在する可撓性ビームから形成された剛性ビーム675を有する。幾つかの実施形態では、剛性ビーム675は、剛性部材(例えば、ロッド)を、可撓性ビームを構成する可撓性部材上、あるいはその中のどちらかにスライド可能に挿入することによって可撓性ビームから形成され、可撓性ビームはより堅く、より剛性のビームに変換され得る。図6B及び6Dに示されるように、スタビライザ・アクチュエータ612は、ロッドカプラ613を介して剛性ロッド672などの剛性部材(安定化構造)に作動的に接続される。したがって、例えば、近位位置から遠位方向などの第1方向へのアクチュエータ612の移動によって、安定化構造672は可撓性ビーム670上を進み、(ビーム675を形成して)それを剛性化することでリトラクタシステムが安定化され、例えば、アクチュエータ612の近位位置に戻る近位方向などの逆のアクチュエータ612の移動により、安定化構造672は可撓性ビーム670から後退して、可撓性ビーム670はそのより柔軟な状態に戻る。
【0105】
リトラクタ・アクチュエータ614は、要素カプラ611を介してリトラクタ要素651、652に作動的に接続される。幾つかの実施形態では、スタビライザ・アクチュエータ612及び/またはリトラクタ・アクチュエータ614はハンドル680と可逆的に係合可能であるため、スタビライザ・アクチュエータ612及び/またはリトラクタ・アクチュエータ614はハンドル680に対して可逆的に適所に固定され得る。幾つかの実施形態では、スタビライザ・アクチュエータ612及び/またはリトラクタ・アクチュエータ614は、リトラクタの拡開及び/または閉縮のための少なくとも3つの位置を有する、複数位置にあり得る。幾つかの実施形態では、スタビライザ・アクチュエータ612及び/またはリトラクタ・アクチュエータ614は複数のラチェット歯616を有することで、リトラクタの拡開または閉縮時に適所にスタビライザを可逆的に固定し、及び/またはリトラクタを可逆的に固定するための複数の位置を提供可能である。図6Bに示されるように、リトラクタ・アクチュエータ614の近位位置では、カプラ611は近位位置にあり、かつリトラクタ要素は非拡開状態にある。図6Dに示されるように、リトラクタ要素を拡開するためにリトラクタ・アクチュエータ614は遠位にスライドされて、取り付けられたカプラ611を遠位に移動させるため、取り付けられた要素651、652は遠位カプラ699に対する要素651、652の遠位端でのそれらの固定された接続によって、外向きに曲がり得る。
【0106】
当業者は、ハンドルは、システムの操作のために所望のまたは人間工学的な位置を提供するように任意の様々な形状であり得ることを理解する。例として、リトラクタ・アクチュエータは、リトラクタ要素を拡開または閉縮するためにハンドル680内のスロットを介して前後にスライドする、ハンドル680上の指で作動されるボタンとして構成される。リトラクタの位置を動的に調整またはラチェットするための手段がハンドルスロットに沿って設けられているため、リトラクタ・アクチュエータのボタンが押されていないとき、リトラクタ要素の位置を適所に固定し得る。ハンドルの反対側のボタンはスタビライザ・サブシステムに作動的に接続されているため、可撓性ビームを剛性ビームに変換し、または剛性ビームを可撓性ビームに変換することが可能である。ハンドルは、例えば、ハンドルの本体内に、かつアウタチューブに術具及び内視鏡を導入するためのポートと連通した、軸方向に伸びる内部チャネルを有し得る。幾つかの実施形態では、ハンドルは、リトラクタ・アクチュエータが作動され得る前に、スタビライザ・アクチュエータが作動されることを必要とし、システムの操作において「安全」機構として機能するように構成され得る。
【0107】
このように、幾つかの実施形態では、例えば図6A-6Dに示されるように、システムは拡開することで対象者の体内において処置空間または手術チャンバ660を形成する可逆的に拡開可能なリトラクタ650を備え得るという点で、システムは安定であるが、動的な作動環境を含み得る。リトラクタ650は、例えば、アウタチューブ605の遠位端608よりも遠位側で拡開を発生させるように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタは処置のために対象組織690の蠕動を少なくとも略抑えし得る。リトラクタ650は、例えば胃腸管695内で足場として機能するために、様々な構成を有し得る。例えば、リトラクタ650は、リトラクタ要素651、652、653、654を、リトラクタ要素651、652、653、654に少なくとも略取り付けられるか、及び/または少なくともにスライド可能に係合されるかどうかに関わらず、リトラクタ要素651、652、653、654に作動的に接続される近位カプラ698、及びリトラクタ要素651、652、653、654との作動可能な接続の遠位点としての遠位ネクサスまたはカプラ699と共に備え得る。より具体的には、リトラクタ要素651、652の遠位端は、遠位カプラ699の近位端においてスロットまたは開口部の内部に取り付けられる。リトラクタ要素651、652の近位端は、カテーテル内でルーメンを貫通して近位に延び、可動カプラ611に取り付けられる。このように、リトラクタ要素651、652の遠位端が固定されているため、カプラ611の遠位側への移動は、図示されるようにリトラクタ要素を外向きに曲がらせる。リトラクタ要素653、654は遠位カプラ699に取り付けられ、かつ幾つかの実施形態では、これらのリトラクタ要素653、654の幾らかの拡開が所望される場合、それらは可動カプラ611に取り付けられ、あるいは、拡開が望まれておらず、かつ拡開がリトラクタ要素651、652に制限されている場合、リトラクタ要素653、654はカテーテルに固定して取り付けられ得る。
【0108】
図6A-6Dに開示されたリトラクト要素の拡開のためのこのようなカプラは、本明細書に開示のリトラクタシステムの他の実施形態において利用され得ることが理解されるべきである。加えて、リトラクタ要素を拡開するための別の方法は、例えば、カプラ198、199などの上述のカプラと同様の方法で、リトラクタ要素651、652(必要に応じて653、654)を拡開するために、例えば、相対的に移動可能なカプラ698、699を提供することを含めて、利用され得ることが理解されるべきである。リトラクタ要素も代替的に、形状記憶材料などの自己拡開材料から作製されてもよい。
【0109】
図6A-6Dの実施形態におけるリトラクタ要素651、652の各々は、略対称な円弧形状に拡開するが、代替的に、それらは上述の実施形態と同様に、非対称形状に拡開するように構成されてもよい。リトラクタ要素651、652が略対称な形状に拡開するこの実施形態では、それらの拡開は、マルチルーメンチューブのアウタチューブ(カテーテル)605の長手軸の片側で生じることに留意されたい。したがって、リトラクタシステムの拡開は非対称である一方、リトラクタ要素の個々の拡開した形状は略対称である。リトラクタ要素653、654は、必要に応じて曲がった構成でわずかに外向きに拡開し得る。リトラクタ要素651は、その上にカバーリング651aを有し得る。同様に、リトラクタ要素652は、その上にカバーリングを有し得る。カバーリングは要素651、652の中間部分上で延び、かつ熱収縮チューブの形態であり得る。カバーリングは柔軟性の低い領域を提供することにより、拡開を制御するのに役立つ。このカバーリングは、図4D、4Eの実施形態のカバーリング451a及び452aと類似する。
【0110】
本明細書に記載されるように、リトラクタ650は、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタであり得、リトラクタ650は拡開時に非対称の処置空間660を形成し得る。そして、リトラクタ650は、対象者の体内でのシステム600の位置決めを容易とするように設計されたリトラクタ650の可撓性構成を可逆的に補強するとともに、リトラクタ650の拡開を可逆的に補強するように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタ650の安定化は、本明細書で教示されるようなスタビライザ・サブシステムによってリトラクタ650を安定化させる手段を含み得、スタビライザは、例えば、拡開したリトラクタ650を支持するために、少なくとも略剛性のビーム675を有し得る。
【0111】
剛性ロッドは、剛性材料、例えば、ステンレス鋼または他の金属または合金から成る一直線状の構成要素であり得、それは可撓性チューブの内径(ルーメン)の内外でスライド可能である。このように、スタビライザ・サブシステムは、ハンドルに作動的に接続された機構を介して剛性ロッドを引き戻すことによって、可撓性チューブの近位に(すなわち、肛門に向かって)剛性ロッドをスライドさせることで、可撓性ビームまたは剛性ビームを有することが可能である。剛性ロッドは、上述の実施形態と同様に、可撓性チューブを補強かつ一直線状にするために、前方に(すなわち、口腔に向かって)押されて可撓性チューブに入り得る。可撓性チューブの長さにわたって剛性ロッドを押すことにより、可撓性チューブまたは可撓性ビームは剛性かつ一直線状になり、実際には、全リトラクタ構造が少なくとも略剛性かつ一直線状となるため、リトラクタシステムが安定化し得る。当業者は、生体内で可逆的に可撓性の構成要素を補強する任意の機構が幾つかの実施形態において使用され得ることを理解する。例えば、可撓性チューブまたは可撓性ビームはまた、チューブのルーメンを通過する可撓性かつ非伸縮性のケーブルを有する一連の剛性チューブを含み得る。ケーブルが弛緩すると、一連の剛性チューブは、例えば、一連の剛性チューブの各々の間にバネなどの圧縮可能な構成要素を用いて離間することで、可撓性かつ非重複の構成が提供され得る。ケーブルが張力を受けると、圧縮可能な構成要素は圧縮されて、剛性チューブは重複し、可撓性ビームは剛性ビームに変換される。このような代替機構は、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて利用され得る。
【0112】
本明細書に記載されているような可逆的に安定化されるリトラクタは、位置決めのために柔軟性が付与され、かつ、後にリトラクタの拡開のために剛性が付与され得るため、対象組織の処置部位において手術空間を位置決めするのに有用である。本明細書で教示されるシステムを蛇行した体管腔内、例えば結腸に導入する際、リトラクタは拡開されず、かつ柔軟であり得る。この柔軟性により、リトラクタは蛇行した体管腔内の曲がりに適合するように曲がり得るため、リトラクタは容易に前進し、かつ体管腔に外傷を生じさせないことが可能となる。リトラクタ要素を共に保持するリングはまた、内視鏡などのガイドの通過を可能にするルーメンを有し得る。このような実施形態では、リトラクタが導入のための柔軟モードであるとき、例えば、リングはシステムが前進するときにガイド上を自由にスライドし得る。幾つかの実施形態では、リングのルーメンはガイドの直径に対して十分に大きいため、ガイドに対するシステムの傾斜及び移動を可能とし、口腔に向かうまたは肛門に向かうシステムの前進中にシステムがガイドの曲がりに適合するのに役立ち得る。リトラクタが体管腔内の対象位置まで進むと、リトラクタの可撓性ビームは、本明細書に記載の通りに一直線状かつ補強され得る。システムは柔軟であり、かつねじり剛性があり得るので、近位シャフトまたはハンドルは容易に標的病変の位置に対して所望の通りに回転され得る。
【0113】
リトラクタ要素は、所望の角度で外側を向くピークを有する予備成形された少なくとも1つのペアを有し得る。幾つかの実施形態では、角度は剛性ビームの片側において互いに約45度?約135度、約60度?約120度の範囲であり得、本明細書に提供される図面において見られるように、頂角は剛性ビームの中心軸にあり得る。幾つかの実施形態では、角度はリトラクタ要素間で約90度である。拡開時には、リトラクタ要素は他のリトラクタ要素よりも片側において不均衡に外向きに膨らみ、リトラクタの非対称な拡開をもたらし得る。少なくとも略剛性のビームは拡開においてリトラクタに対して力が形成される時に、リトラクタの変形を防止または抑制し、かつカテーテル先端の屈曲を防止または抑制する。力には、組織を非対称に外向きに拡開することからの力、及び非対称な手術空間を形成するためにリトラクタ要素に加えられる初期力がある。
【0114】
幾つかの実施形態では、標的病変部は最も拡開したリトラクタ要素の側面に位置するため、処置すべき病変部と内視鏡及び術具が手術空間内に導入されるポータルとの間の距離の最大化または増大を容易にし得る。内視鏡及び術具は独立して操作されるので、例えば、最先端のシステムを用いて現在臨床的に得ることができる角度よりも大きな角度の範囲で病変部に接近することが可能である。この操縦性の増大により、病変部の観察、かつ病変部を操作及び切開する能力が向上し得る。例えば、本明細書で教示されるマルチチャネルシステムを介して、把持具は器具チャネルから出て手術空間に進み、ポリープに向かって屈曲し、ポリープを把持し、かつ組織を後退させることで、ポリープの基部は露出して切開器具によって切開され得る。時に、処置すべき病変部と内視鏡及び術具が手術空間内に導入されるポータルとの間の距離を短くすることも所望され得る。例えば、病変部を最小に拡開したリトラクタ要素の側面に位置させて、病変部と内視鏡チャネルとを管腔壁に略平行により良く並べるこが所望され得る。ポリープが最も拡開した側に向かって把持具によって後退されるとき、このような構成は臨床的に最適である。このような実施形態では、切開器具はチャネルを貫通してポリープの基部に進み、管腔壁に付着したポリープの基部を切開可能であり、一方で、内視鏡の位置はポリープの基部の接近した観察をもたらすため、切開のための所望の辺縁を特定するのに役立ち得る。
【0115】
本明細書で教示されるシステムのいずれかはブリッジ部材を備えることができ、それはリトラクタに安定性を追加するために構造的支持を提供する。ブリッジ部材は、拡開されたコントラクタの安定性及び剛性を高めまたは強化するための足場手段などの追加の支持体を提供するための、当業者によって考えられる任意の構成を含み得る。例えば、ブリッジ部材644は、拡開時にリトラクタ要素651、652、653、654の所望の向きを維持するように構成され、ブリッジ部材644は、4つのリトラクタ要素651、652、653、654のうちの少なくとも2つ651、652を作用的に安定化させ得る。示されるように、リトラクタ650の閉縮状態でのブリッジ部材の外側部分は半径方向外向きに延び、かつ拡開状態では、より遠位に延びる(図6Dを参照のこと)。1つのブリッジ部材644のみが示されているが、2つ以上のブリッジ部材がリトラクタ要素651、652を接続するために提供され得ることも想到される。加えて、1つ以上のブリッジ部材がリトラクタ要素653、654を接続するために設けられることで、これらの要素の横方向の移動もまた安定化かつ制限され得る。さらに、幾つかの実施形態では、本明細書で教示されるシステムの各々は、メッシュ、編組等のワイヤ補強された、例えばアウタチューブ605などのアウタチューブを有することで、システムに耐キンク性及びトルク伝達性が提供され、並びに対象者の体内でのシステムの位置決めがさらに容易となり得る。幾つかの実施形態では、ブリッジ部材644は、使用中に周囲の組織からの抗力を低減するように構成され得る。例えば、図6A及び6Bに示されるように、口腔に向かう前方移動を容易にするように傾斜される前方構成要素644a、及び肛門に向かう後方移動を容易にするように傾斜される後方構成要素644bを備えるようにブリッジ部材644を設計することで、ブリッジ部材644は胃腸管内でのシステムの移動を容易にするように構成され得る。
【0116】
ブリッジ部材はリトラクタ要素に接続されることで、例えば、リトラクタ要素が胃腸組織に対して拡開するときに、例えば、リトラクタ要素の所望の向きを維持することができる。リトラクタが拡開されると、ブリッジ部材もまた外向きに拡開される。幾つかの実施形態では、ブリッジ部材は、例えば図6のリトラクタ要素651、652などの最も拡開するリトラクタ要素のみに作動的に接続され、そのブリッジ部材は、拡開において非対称な手術空間を形成するために加えられる不均衡な圧力に起因したリトラクタへの大部分の誘起力を受ける部材であり得る。幾つかの実施形態では、ブリッジはリトラクタ要素が互いに向かって閉縮するか、または互いから離れて曲がることを防ぐために曲がるように設計され得、一方でまた、システムにいくらかのばねまたは弾力性を提供することで、組織と徐々に適合し得る。当業者は、ブリッジは所望の材料特性を提供する任意の適した材料から成り得ることを理解する。例えば、幾つかの実施形態では、ブリッジは湾曲したニチノールワイヤから形成され得る。ニチノールワイヤの端部は、本明細書で教示される生体内での使用のために当業者によって適切であると考えられる任意の製造プロセスを用いてリトラクタ要素に接続され得、このようなプロセスには、例えばチューブコネクタ、接着剤、またはハンダがある。
【0117】
図7は、幾つかの実施形態による、本明細書で教示されるシステム700のアウタチューブの遠位端における断面図を示していて、リトラクタの拡開及び閉縮における構成要素を示している。図面はアウタチューブ705の遠位端708を示している。遠位端708は、拡開するリトラクタ要素751の向きを制御するためのスロットガイド755、及び下部リトラクタ要素754を作動的に受容/支持するためのポート754aを備えている。別のスロットガイド(図示せず)は、別のリトラクタ要素の向きを制御するために提供され得る。ルーメン706cは、手術器具を挿入するための上述の術具チャネルの挿入のために、あるいは術具チャネルなしで手術器具を直接挿入するために、ワーキングチャネル710cを備えるように設けられ得る。アウタチューブ705のルーメン706はまた、遠位端708において出口ポートを介して内視鏡(図示せず)を誘導するために使用され得る。リトラクタ構成要素751、754、770の一部のみが、幾つかの実施形態におけるアウタチューブ705とリトラクタとの間の関係を部分的に説明するために示されている。リトラクタは、例えば、アウタチューブ705の遠位端708よりも遠位側で拡開を発生させるように構成され得る。例えば、リトラクタは、上述の実施形態と同様に4つのリトラクタ要素を備えることができ、ここでは、リトラクタ要素751及び754が示されていて、他の2つのリトラクタ要素は断面図のために示されていない。近位カプラ798は、リトラクタ要素に少なくとも略取り付けられるか、及び/または少なくともスライド可能に係合されるかどうかに関わらず、作動的に4つのリトラクタ要素に接続される。リトラクタは、対象者の体内でのシステム700の位置決めを容易とするように設計されたリトラクタの可撓性構成を可逆的に補強するとともに、対象者の体内でのリトラクタの拡開を可逆的に補強するように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタの安定化は、本明細書で教示されるようなスタビライザ・サブシステムによってリトラクタを安定化させる手段を含み得、スタビライザは、例えば、少なくとも略剛性のビーム775に変換され得る可撓性ビーム770を有し、それには可撓性ビーム770と作動的に接続しながら本明細書で教示されるような剛性または略剛性の構成要素772をスライド可能に係合する手段が用いられることで、拡開されたリトラクタが支持され得る。可撓性ビーム770は、他の実施形態の可撓性ビームと関連して本明細書に記載された方法によって補強され得る。
【0118】
図8は、本実施形態において浮動チャネルシステムが提供されていることを除いて、図7と類似した断面図を示している。すなわち、図8は、本明細書で教示されるようなシステムのアウタチューブの遠位端を示していて、幾つかの実施形態によれば、システムの構成要素はアウタチューブ内で浮動することにより、対象者の体内でのシステムの位置決めのための柔軟性が向上し得る。図面はアウタチューブ805の遠位端808を示している。遠位端808は、拡開するリトラクタ要素851の向きを制御するためのスロットガイド855、及び下部リトラクタ要素854のための開口部811を備えている。第2のスロットガイド及び第2の開口部(図示せず)は、それぞれ別の上部及び下部のリトラクタ要素を受容するために設けられる。ルーメン806cは、手術器具を誘導するための術具チャネルを受容するか、あるいは、直接手術器具を受容するワーキングチャネル810cを備えるように設けられ得る。アウタチューブ805のルーメン806は、内視鏡815を誘導するために使用される。リトラクタ構成要素851、854の一部のみが、アウタチューブ805とリトラクタとの間の関係の一例を部分的に説明するために示されている。リトラクタは、例えば、アウタチューブ805の遠位端808よりも遠位側で拡開を発生させるように構成され得る。例えば、リトラクタは、上述のように同様の方法で4つのリトラクタ要素を備えることができ、それらの2つのみが示されている(要素851及び854)。近位カプラ898は、リトラクタ要素に少なくとも略取り付けられるか、及び/または少なくともスライド可能に係合されるかどうかに関わらず、作動的にリトラクタ要素に接続される。リトラクタは、対象者の体内でのシステム800の位置決めを容易とするように設計されたリトラクタの可撓性構成を可逆的に補強するとともに、対象者の体内でのリトラクタの拡開を可逆的に補強するように構成され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタの安定化は、本明細書で教示されるようなスタビライザ・サブシステムによってリトラクタを安定化させる手段を含み得、スタビライザは、例えば、可撓性ビームの剛性化に関連して本明細書に記載された方法のいずれかにより、少なくとも略剛性のビーム875に変換され得る可撓性ビーム870を有し、それには、例えば可撓性ビーム870と作動的に接続しながら本明細書で教示されるような剛性または略剛性の構成要素872をスライド可能に係合する手段が用いられることで、拡開されたリトラクタが支持され得る。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、アクチュエータは剛性化構造に作動的に連結されて、剛性化構造を可撓性ビーム870に対して前進かつ後退させるために利用され得る。
【0119】
リトラクタ要素は、上述の実施形態と同様に、非対称の手術チャンバを形成するために、閉縮挿入状態と拡開状態との間で移行可能である。
【0120】
システム800の使用中、ワーキングチャネル810cは浮動チャネルであり得、それは(i)第1の近位位置(図示せず)及び第1の遠位位置806cでアウタチューブのルーメンに少なくとも略取り付けられ、かつ(ii)第1の近位位置(図示せず)と第1の遠位位置806cとの間でアウタチューブ805のルーメン806内に少なくとも略浮動する。同様に、システム800の使用中、内視鏡815は浮動内視鏡815であり得、それは(iii)第2の近位位置(図示せず)及び第2の遠位位置806aでアウタチューブ805のルーメン806に少なくともスライド可能に取り付けられ、かつ(iv)第2の近位位置(図示せず)と第2の遠位位置806aとの間でアウタチューブ805のルーメン806内に少なくとも略浮動する。そして、システム800の使用中、ワーキングチャネル810c及び内視鏡815はまた、浮動式の構成の別個の浮動構成要素を形成し、それは(v)術具及び内視鏡のための別個のルーメンを有する第2のそのようなシステムにわたってシステム800の柔軟性を少なくとも略高めることができ、別個のルーメンは、アウタチューブの近位端と遠位端との間でアウタチューブの全長にわたってルーメンに取り付けられ、柔軟性の増大により、対象組織を処置するための対象者の体内でのシステム800の位置決めが容易となり得る。幾つかの実施形態では、内視鏡815のための専用ポート(図示せず)を貫通して内視鏡815を挿入することによって、内視鏡815はアウタチューブ805の遠位端808に少なくともスライド可能に取り付けられるため、システム800はアウタチューブ805の遠位端808の内外でのスライド移動が略制限されるように構成され得る。そして、幾つかの実施形態では、内視鏡815は内視鏡815よりも略大きいポート806a中でも浮動し得るため、内視鏡のスライド運動及び横方向の移動のための空間も提供され得る。
【0121】
図9A及び9Bは、幾つかの実施形態による、本明細書で教示されるような術具を誘導するために使用され得るワーキングチャネル及び/または浮動チャネルの側面図を示している。本明細書で説明されるように、ワーキングチャネルは、対象者の体内でのシステムの位置決め中にアウタチューブの柔軟性をさらに向上させるために、図8と同一または類似した方法でアウタチューブのルーメン内に浮動する少なくとも一部分を有し得る。幾つかの実施形態では、用語「チャネル」、「浮動チャネル」、及び「術具チャネル」はほぼ同じ意味で使用され得る。各術具チャネルは、リトラクタ・アクチュエータ及び/またはスタビライザ・アクチュエータに対して本明細書で教示される作動的な接続と同一または類似の方法で、ハンドル980に作動的に接続され得る。図9Aは、略延びた状態の術具チャネル910の先端部910aを示していて、一方で、図9Bは、略曲がった状態の術具チャネル910の先端部910aを示していて、遠位先端部910aは術具チャネル910の中心軸に対して略垂直にそれている。本明細書で教示される他のシステムと整合性のあるシステム900には、例えば、入口ポート909、入口ポート909から挿入される術具チャネル91、ワイヤカプラ911、ラチェット歯916、ワーキングチャネル910の先端部910aを屈曲または延ばすための引張りワイヤ917、及びワイヤアクチュエータ919が含まれ得る。術具チャネル910の先端部910aを屈曲させる能力により、対象者の体内での対象組織の処置において術具(図示せず)の独立した位置決めが容易となる。幾つかの実施形態では、ワイヤアクチュエータ919は、術具チャネル910の先端部910aを曲げるための少なくとも3つの位置を有する、複数位置にあり得る。幾つかの実施形態では、ワイヤアクチュエータ919はハンドルハウジング915内に複数のラチェット歯916のうちの1つと係合可能な歯を有することで、対象者の体内での対象組織の処置において術具(図示せず)を使用する際に、屈曲先端部910aを可逆的に適所に固定するための複数の位置を提供し得る。より具体的には、ワイヤアクチュエータ919が図9Aのその遠位位置からより近位位置に移動するとき、引張りワイヤ917を引っ張り、引張りワイヤ917は術具チャネル910の先端部910aに取り付けられ、先端部910aに近位に向けて張力をかけることで、先端部910aが図9Bの構成に曲がり得る。歯916とアクチュエータ919の歯との係合によりアクチュエータ919の位置が維持されるため、先端部910aの屈曲位置が維持される。先端部は術具チャネル910の長手軸に対して略90度曲げられて示されているが、他の角度に曲げられることも想到されることに留意されたい。また、幾つかの実施形態では、アクチュエータ919は、引張りワイヤ917の近位への後退の程度を制御することにより、先端部910aの角度を制御するように設けられていて、さらなる後退は先端部910aをさらに曲げ、より少ない後退はより小さい角度に先端部910aを曲げ得る。2つ以上の術具チャネルが設けられ得、かつ複数の術具チャネルはアクチュエータ919によって制御され得、あるいは別個のアクチュエータ919が各術具チャネルのために設けられてもよい。また、様々な機構がアクチュエータ919を適所に固定するために利用されることで、術具チャネルの先端部の屈曲状態が維持され得る。
【0122】
術具チャネルを制御するために、他の機構もまた利用可能である。あるいは、1つ以上の術具チャネルは予め曲げられた(予め湾曲した)先端部を有し得、それはマルチルーメンチューブ(カテーテル)の範囲内で挿入状態にあるときには略一直線状であり、かつカテーテルの範囲から露出したときには予め曲げられた状態に戻る。
【0123】
本明細書に記載されるように、チャネルはリトラクタによって形成された手術空間で鉗子などの器具の軌道及び位置を制御するように構成され得る。幾つかの実施形態では、チャネルは、単独で、またはガイドとして使用され得る追加のチャネルの内部で、システムのアウタチューブから取り出され、またはアウタチューブを貫通して挿入され得る。チャネルは、実質的に本明細書に記載のシステムにおいて有用であると当業者によって考えられる任意のサイズであり得る。例えば、チャネルは、約1mm?約5mm、約2mm?約4mm、約1mm?約3mmの範囲、またはこの中の任意の範囲の内径を有し得る。チャネルの長さは、当然ながらシステムの長さを補わなければならない。例えば、チャネルは約40インチ?約72インチ(約101.60cm?約182.88cm)、約48インチ?約60インチ(約121.92cm?約152.40cm)、約42インチ?約70インチ(約106.68cm?約177.80cm)、約44インチ?約68インチ(約111.76cm?約172.72cm)の範囲、または1インチ(2.54cm)増分されたこの中の任意の範囲の長さを有し得る。
【0124】
チャネルはまた、本明細書に記載の用途に適していることが当業者に公知の任意の材料または構成を含み得る。例えば、チャネルは、単一のポリマー層、複数のポリマー層、ワイヤ補強層、またはこれらの組合せを含み得る。幾つかの実施形態では、チャネルは、(i)チャネルの内径の滑りやすい管腔表面のための、例えば、TEFLONまたはポリエチレンなどのポリマーの内層、(ii)内層を覆う編組、メッシュ、または螺旋コイル層の構成でのワイヤ補強としての、例えば、ステンレス鋼、ニチノール、またはコバルトクロムなどの金属、及び(iii)例えば、PEBAX、ポリウレタン、ポリエチレン、シリコーン、PVC、またはナイロンなどのポリマーの外層を含み得る。
【0125】
幾つかの実施形態では、外層が(iv)約60ショアD?約80ショアDの硬度を有して、チャネルの近位部(すなわち、チャネルの最初の約12インチ?約24インチ(約30.48cm?約60.96cm))において最も剛性であり;(v)約50ショアD?約72ショアDの硬度を有して、中央部(すなわち、チャネルの次の約12インチ?約36インチ(約30.48cm?約91.44cm))において中程度の剛性を有し;(vi)約20ショアD?約50ショアDの硬度を有して、遠位部(すなわち、チャネルの次の約0.5インチ?約2インチ(約1.27cm?約5.08cm))において最も柔軟であるように、チャネルは構成され得る。幾つかの実施形態では、チャネルの遠位部は屈曲する部分であり得、かつチャネルの遠位約1インチ(2.54cm)であり得る。幾つかの実施形態では、例えば、チャネルを貫通して挿入される器具が胃腸処置中に組織を把持するときなど、先端部に曲げモーメントがある場合、チャネルは遠位部のすぐ近位に剛性部を有するため、この可撓性部を一直線状に保つことができる。チャネルの剛性部の長さは、例えば、約1cm?約10cm、約2cm?約8cm、約3cm?約7cm、約4cm?約6cmの範囲、約6cm、または1cm増分されたこの中の任意の範囲であり得る。剛性部には、外側ポリマー層と内側ポリマー層との間に埋め込まれる、例えばステンレス鋼若しくはNITINOL、またはPEEK若しくはポリイミドなどのポリマーなどの補強材料を含む剛性チューブが含まれ得る。剛性部は、システムにおいてその機能を実行するのに適切な任意の長さを有し得る。幾つかの実施形態では、剛性部は約0.001インチ?約0.005インチ(約0.0025cm?約0.012cm)の範囲の長さを有し得る。
【0126】
チャネルの内層の厚さは、約0.0005インチ?約0.005インチ(約0.0013cm?約0.012cm)、約0.001インチ?約0.004インチ(約0.0025cm?約0.010cm)、約0.002インチ?約0.003インチ(約0.0051cm?約0.0076cm)の範囲、約0.001インチ(約0.0025cm)、または0.0005インチ(0.0013cm)増分されたこの中の任意の範囲であり得る。補強層の厚さは、約0.001インチ?約0.006インチ(約0.0025cm?約0.015cm)、約0.002インチ?約0.005インチ(約0.0051cm?約0.012cm)、約0.003インチ?約0.005インチ(約0.0076cm?約0.012cm)、約0.001インチ?約0.003インチ(0.0025cm?約0.0076cm)の範囲、約0.002インチ(約0.0051cm)、または0.0005インチ(0.0013cm)増分されたこの中の任意の範囲であり得る。外層の厚さは、約0.003インチ?約0.012インチ(約0.0076cm?約0.030cm)、約0.004インチ?約0.010インチ(約0.010cm?約0.025cm)、約0.005インチ?約0.009インチ(約0.012cm?約0.022cm)、約0.005インチ?約0.008インチ(約0.012cm?約0.020cm)の範囲、約0.10インチ(約0.25cm)、または0.001インチ(0.0025cm)増分されたこの中の任意の範囲であり得る。
【0127】
チャネルの遠位端を屈曲させるために、内層と外層との間に埋め込まれた引張りワイヤを有する側部ルーメンがあり得る。幾つかの実施形態では、側部ルーメンは内層と補強層との間に位置し得、または側部ルーメンは内層の一部であってもよい。側部ルーメンは、本明細書で教示されるシステムにおいて有用であると当業者によって考えられる任意の材料で構成され得る。例えば、材料としては、例として、TEFLONまたはポリエチレンなどのポリマーの可撓性チューブが挙げられる。幾つかの実施形態では、側部ルーメンは、チャネルの遠位部においてチャネルの長さに平行に伸び、次いでチャネルの遠位部の近位側で螺旋状に伸びる。螺旋のピッチは、例えば、約1.0インチ?約6.0インチ(約2.54cm?約15.24cm)、約2.0インチ?約5.0インチ(約5.08?約12.7cm)、約1.0インチ?約4.0インチ(約2.54cm?約10.16cm)、約3.0インチ?約5.0インチ(約7.62cm?約12.7cm)、約4.0インチ(約10.16cm)、または0.1インチ(0.25cm)増分されたこの中の任意の範囲で変化し得る。側部ルーメンが螺旋状に伸びることにより、ワイヤ張力はシャフトの周り全体に分散されるため、シャフトは滑らかに任意の方向に回転し、かつ少なくとも略安定した状態にとどまり得る。幾つかの実施形態では、引張りワイヤはハンドル内でワイヤアクチュエータから側部ルーメンに伸び、側部ルーメンの遠位端から出て、剛性リング周りに環状になり得る。遠位端で剛性リング(ステンレス鋼、0.002インチ-0.005インチ(0.0051cm-0.012cm)厚、0.040インチ-0.25インチ(0.10cm-0.63cm)長)、側部ルーメンに戻り、ハンドル内に入り、かつワイヤアクチュエータに取り付けられる。ハンドルはチャネルと作動的に接続し得、ハンドルはハウジング及びチャネルと連通するルーメンを有し得る。ワイヤアクチュエータはハンドルの外側のボタンと共にハウジング内部の引張りワイヤに作動的に取り付けられ、ボタンはワイヤアクチュエータがハンドルにおいて後方(近位)及び前方(遠位)にスライドすることを可能とするため、引張りワイヤを引っ張りかつ押すことが可能となる。ワイヤを引っ張ると先端部が屈曲して剛性となる一方で、ワイヤを押すと先端部が緩んで一直線状になり得る。スライドは、例えば、ハウジングの相補的なラチェット歯及びワイヤアクチュエータ機構を用いて、ワイヤアクチュエータを適所にロックするための手段を有する。ワイヤアクチュエータボタンが押されると、ラチェット歯ははずれて、引張りワイヤのロックが解除され得る。幾つかの実施形態では、先端部は約0度?約150度屈曲し得る。別の実施形態では、先端部は約45度?約100度屈曲し得る。先端部は、曲げにおいて柔軟であるが、ねじれにおいて剛性となるように設計されることで、チャネルが解剖学的構造の湾曲に従うことを可能とし、かつ使用時に身体の外側からのハンドルの回転を可能とするように設計されることで、トルクが伝達されて所望の方向に先端部が回転し得る。
【0128】
アウタチューブの内側に配置された術具(ワーキング)チャネルは、リトラクタの拡開により形成された手術空間内部で体外から独立して術具を操作するための操作可能な通路を有するマルチルーメンカテーテルを提供する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のように、1?3つの可撓性チューブがアウタチューブの内側で伸び、かつアウタチューブから取り外し可能であり、それによりシステムの柔軟性が促進される。幾つかの実施形態では、これらの可撓性チューブは、2つの位置:(i)アウタチューブの遠位端にポートを有する環式構造であり得る、リトラクタの近位カプラ、及び(ii)ハンドルなどのシャフトの近位端、で取り付けられ得る。これにより、アウタチューブ内での浮動式の構成が提供され得、それは独特で、可撓性チューブの端部を拘束する一方で、アウタチューブ内での可撓性チューブの略自由な浮動移動を可能とするため、システムの柔軟性が向上し得る。
【0129】
幾つかの実施形態では、2つのインナチューブがアウタチューブの内面に隣接して配置されることで、効果的に3つの別個のチャネルが提供され得る。2つのインナチューブは2つの独立した術具チャネルとして機能し得る一方、これらの最初の2つのチャネルとアウタチューブとの間の空間は第3のチャネルとして機能する。第3のチャネルは、他の2つのチャネルよりも略大きくてもよい。最初の2つの術具チャネルの各々は、例えば、約2mm?約6mm、約3mm?約5mmの範囲、またはこの中の任意の範囲の内径を有し得る。幾つかの実施形態では、最初の2つの術具チャネルの直径は約4mmであり得る。チャネルの各々は、結腸鏡などの内視鏡、並びに、例えば、鉗子、把持具、クリップアプライヤ、切開器具、スネア、電気外科的プローブ、またはループを含む内視鏡器具を収容するように設計され得る。幾つかの実施形態では、最大直径のチャネルは内視鏡のためのチャネルであり得る。
【0130】
内視鏡を収容するためのチャネルは、例えば、約5mm?約15mm、約6mm?約12mm、約11mm?約14mm、約5mm?約10mm、約8mm?約13mmの範囲、または1mm増分されたこの中の任意の範囲の内径を有するように設計され得る。インナチューブは、本明細書に記載の目的のために有用であることが当業者に公知である任意の適した材料、並びにそれらの複合材料を含み得る。例えば、インナチューブは術具または内視鏡の通過及び移動を容易にするための潤滑性のために、TEFLONなどのフルオロポリマーを含み得る。使用され得る他の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、PEBAX、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン、及びこれらの複合材料があり、それらの各々はまた、潤滑コーティングと共に使用されてもよい。チューブはまた、編組、メッシュまたは螺旋コイルなどの金属ワイヤ補強を含んでもよく、それらの各々はチューブに埋め込まれ得る。
【0131】
当業者は、本明細書で教示されるシステムは、対象者の最小侵襲処置のための、可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタを有する浮動式マルチルーメンカテーテル・リトラクタシステムを備えた手術室として使用され得ることを理解すべきである。これらの実施形態では、システムは、システム内の略浮動式の構成において浮動チャネル及び浮動内視鏡を誘導するための可撓性アウタチューブを含み得る。浮動システムの構造に起因して、システムは非常に柔軟であるため、可撓性アウタチューブは非常に柔軟であり、かつルーメン、近位端及び遠位端を有し得る。そして、浮動チャネルは、対象者の体内での対象組織の処置において操作される術具のガイドとして機能し得る。リトラクタは、拡開時に処置空間を形成する可逆的に安定化されるとともに可逆的に拡開可能であるリトラクタであり得る。リトラクタは、例えば、アウタチューブの遠位端よりも遠位側で拡開を発生させるように構成され得、かつ対象者の体内でのシステムの位置決めを容易とするように設計されたリトラクタの可撓性構成を可逆的に補強するとともに、リトラクタの拡開を可逆的に補強するように構成され得る。つまり、システムは、上述の実施形態と同様に、安定化/剛性化構造を含み得、それは要素及びリトラクタシステムを剛性化するためにスライド可能であり得る。
【0132】
システムの使用中、浮動チャネルは、(i)第1の近位位置及び第1の遠位位置でアウタチューブのルーメンに少なくともスライド可能に取り付けられ、かつ(ii)第1の近位位置と第1の遠位位置との間でアウタチューブのルーメン内に少なくとも略浮動し得る。同様に、システムの使用中、浮動内視鏡は、(iii)第2の近位位置及び第2の遠位位置でアウタチューブのルーメンに少なくともスライド可能に取り付けられ、かつ(iv)第2の近位位置と第2の遠位位置との間でアウタチューブのルーメン内に少なくとも略浮動し得る。そして、システムの使用中、浮動式の構成は、(v)術具及び内視鏡のためのルーメンを有する第2のそのようなシステムにわたってシステムの柔軟性を少なくとも略高めることができ、ルーメンはアウタチューブの近位端と遠位端との間の全長にわたってアウタチューブのルーメンに取り付けられる。柔軟性の増加は、対象者の体内でのシステムの位置決めを容易とし得、そして、リトラクタの可逆的に補強された構成は、対象組織を処置するための対象者の体内での拡開のための構造的支持体として少なくとも略剛性のビームを形成し得る。
【0133】
幾つかの実施形態では、リトラクタは少なくとも2つの拡開可能なリトラクタ要素を備え、部材の各々は近位端及び遠位端を有し、近位端はスライド可能にアウタチューブと係合し、かつ部材の各々は、近位端から遠位端に向かうスライド量の増加が、部材を圧縮してリトラクタを拡開するように構成され得る。これらの実施形態はまた、少なくとも2つのリトラクタ要素の各々の遠位端が取り付けられる、アウタチューブの遠位端よりも遠位側に位置する遠位ネクサスまたはカプラ、及びアウタチューブの遠位端に遠位ネクサスを接続し、かつリトラクタの非対称拡開のためにリトラクタの可撓性部分を可逆的に補強するように構成された少なくとも略剛性の構成要素を有するスタビライザ・サブシステム、を含み得る。
【0134】
幾つかの実施形態では、リトラクタは4つの拡開可能なリトラクタ要素を備え、部材の各々は近位端及び遠位端を有し、近位端はスライド可能にアウタチューブと係合し、かつ部材の各々は、近位端から遠位端に向かうスライド量の増加が、部材を圧縮してリトラクタを拡開するように構成され得る。これらの実施形態はまた、アウタチューブの遠位端に取り付けられた近位カプラを含み得、近位カプラは4つのリトラクタ要素とスライド可能に係合するための4つのリトラクタポートを有する。4つのリトラクタポートは、近位カプラの周りに円周方向に配置され、かつリトラクタの非対称拡開のためのリトラクタ要素の可逆的な軸スライドを容易にするように構成され得る。これらの実施形態はまた、4つのリトラクタ要素の各々の遠位端が取り付けられる、アウタチューブの遠位端よりも遠位側に位置する遠位ネクサスまたはカプラ、及びスタビライザ・サブシステムを含み得る。スタビライザ・サブシステムは、アウタチューブの遠位端に遠位ネクサスを接続し、かつ(i)近位カプラから遠位ネクサスに延びる可撓性構成要素、及び(ii)近位カプラとスライド可能に係合し、かつ近位カプラから遠位ネクサスに可逆的に延びる少なくとも略剛性の構成要素を有するため、リトラクタの非対称拡開においてリトラクタが可逆的に補強され得る。リトラクタ要素は、上述の方法のいずれかで拡開状態に移行され得る。また、必要に応じて、リトラクタ要素の2つのみが上述の実施形態と同様に拡開する。
【0135】
可撓性構成要素及び剛性構成要素はそれぞれ、シャフトの遠位端の中心軸に少なくとも略平行な中心軸を有し、剛性構成要素は非対称な拡開のための構造的支持体として少なくとも略剛性のビームを形成し、剛性ビームは管腔側及び反管腔側を有し得る。
【0136】
本明細書で提供されるシステムは、幾つかの異なる方法の処置において使用され得る。例えば、システムは、病変への多方向かつ多角的なアプローチによって胃腸病変を処置する方法において使用され得る。この方法は、対象者の胃腸管内でのシステムの位置決めを含み得、位置決めは、処置のために標的病変部の近傍にリトラクタを配置する工程、リトラクタを拡開して術具を使用するための処置空間を形成する工程;術具で病変部を処置する工程;リトラクタを閉縮する工程;及び対象者からシステムを引き出す工程、を含み得る。病変としては、例えば、穿孔、組織病変、ポリープ、腫瘍、癌組織、出血、憩室炎、潰瘍、血管異常、または盲腸が挙げられる。
【0137】
上記に教示したものに加えて、多数の手順及び変形が存在し、それらは本明細書で教示されるシステムの実施において当業者によって容易に使用され得ることが理解されるべきである。幾つかの実施形態では、当業者は、システムの内視鏡チャネルを貫通して内視鏡を挿入し、かつリトラクタの遠位端よりも遠位側に内視鏡の遠位端を延ばすことで、組立体を形成可能である。その後、組立体は、体管腔内または開口部、例えば結腸に挿入され、そしてスコープまたはレンズの遠位端が処置すべき対象組織(病変または欠損)に接近するまで、口腔側に前み得る。内視鏡からの画像を観察しながら、リトラクタが内視鏡の遠位端上に配置されるまで、システムはスコープ上を前方に進む。内視鏡からの画像を観察しながら、対象組織がリトラクタの近位カプラと遠位ネクサスとの間に位置するまで、システムは前進する。内視鏡からの画像を観察しながら、リトラクタを回転させるためにハンドルまたはアウタチューブが回転されることによって、対象組織がリトラクタ部材に対して所望の位置にくる。その後、リトラクタは、可撓性ビームを剛性ビームに変換することによって一直線状かつ安定化し得る。その後、内視鏡からの画像を観察しながら、ハンドルにおいてリトラクタ・アクチュエータを前方に移動させることによってリトラクタが拡開され得る。この動作により、組織は外向きに押され、対象組織周りに手術空間が形成され、かつ対象組織が固定かつ安定化し得る。必要に応じて、リトラクタが拡開されている間、システムを引き戻して最も拡開した部材のピークを遠位に移動させることによって、内視鏡と非対称な手術空間のピークとの間の作業距離が改善され得、ピークは一般的に、対象組織周りに位置することが推奨される。内視鏡からの画像を観察しながら、ワーキング(術具)チャネルに挿入される器具と共に、ワーキングチャネルをシステムの近位ポートに挿入し、ワーキングチャネルの先端部がリトラクタの近位カプラより遠位側にくるまで、器具及びチャネルを遠位に進める。この時点で、ワーキングチャネルの先端部が術具のために適切な角度に曲げられることで、処置すべき病変部に接近可能である。ワーキングチャネルは、必要に応じて術具のために所望の位置に、軸方向に回転かつ移動され得る。同様に、器具/術具は、必要に応じてワーキングチャネルの遠位端に対して進み、必要に応じて器具を延ばすことで、対象組織に到達し得る。様々な器具は、所望の通りにワーキングチャネルを貫通して挿入され得、内視鏡及び器具の両方は手術領域内で独立して前進かつ配置されることで、より近くに近接してまたは角形成して対象組織をさらに操作かつ可視化することが可能である。これは、幾つかの実施形態では、内視鏡もまた手術空間内で曲がり得るからである。
【0138】
幾つかの実施形態では、リトラクタの対象部位への送達中、対象部位での対象組織の処置中、対象組織の除去中、及び/または対象者からのシステムの除去中、またはこれらの組み合わせの間、リトラクタを含めたシステムの一部を被覆する任意のカバーまたはシースを用いて、本明細書で教示されるシステムを送達する工程を提供することが望ましい。このような任意のカバー355の幾つかの実施形態は、例えば図3A及び3Kにおいて本明細書に例示されていることを思い出されたい。当業者は、リトラクタの対象部位への送達または対象部位からの除去の間に、リトラクタは、組織を獲得、捕捉、またはそうでなければ乱す、若しくは組織と接触し得る要素を有することを理解する。また、対象組織の処置は、例えば、対象組織が周囲組織と交じり合うことなく、カバー内で実施され得る組織の切開を含んでもよい。さらに、切開組織はそれをカバー内に封入することによって処置または除去の間に包含されていることが望ましい癌性または他の組織であり得る。用語「カバー」及び「シース」は、多くの実施形態においてほぼ同じ意味で使用され得、このような実施形態は、本明細書で教示されるように、改良の余地があることを当業者は理解し得る。
【0139】
図10A-10Eは、幾つかの実施形態による、本明細書で教示されるようなシステムのリトラクタを被覆するリトラクタシースを示している。図10A-10Cは、柔軟かつ透明なシース1000を示す上面図、斜視図、及び側面図を示している。シース1000はリトラクタ1050の閉縮構成を被覆することで、対象組織(図示せず)の処置のためにリトラクタ1050を対象部位(図示せず)に送達するために、少なくとも略滑らか及び/または非外傷性の表面1005を付与し得る。図10A-10Cにおいて、カバーは、処置のためにリトラクタ1050の拡開まで維持され得る、または処置後に可逆的に得られる閉止構成にある。図10D及び10Eは、処置のための開口構成におけるカバーを有するリトラクタの拡開構成の上面図及び側面図を示している。
【0140】
シース1000は、リトラクタ1050の対象部位への送達または対象部位からの除去の間に、リトラクタ要素1051、1052、1053、1054及びブリッジ部材1044a、1044bが、組織を獲得、捕捉、またはそうでなければ乱す、若しくは組織と接触することを防止または阻害するように設計され得る。シース1000は、遠位ハブまたはカプラ1099に一端が取り付けられて、かつ近位カプラまたはハブ1098を越えて近位に延び、カテーテル1055の外面に取り付けられる。あるいは、シース1000は、近位カプラ1098に近位端が取り付けられてもよい。このような保持器は、リトラクタ周りの任意の位置で使用されることで、手術空間1060の構成の保持が容易となり、例えば、リトラクタ1050の拡開力の下で構成を保持することが可能となる。シース1000はまた、処置中に所望されるまで組織がリトラクタ1050に進入することを防止または阻害し得る。シース1000はまた、切除組織を閉じ込め及び/または取り出すための収集手段としての機能を果たし、それは幾つかの実施形態では、癌組織の切除において特に望ましい可能性がある。シース1000は、送達中はリトラクタ1050周りで少なくとも略閉止し得、リトラクタ1050が処置のための手術空間1060を形成するために拡開されるときに開口するように設計され得る。あるいは、リトラクタ要素の拡開及びシースは独立していてもよい。
【0141】
可撓性ビーム1070は、他の実施形態と関連して上述されたような変換の方法及び構造を用いて、少なくとも略剛性のビーム1075に変換され得る。例えば、アクチュエータがビーム(剛性化構造)1075に作動的に接続されて、それを可撓性ビーム1070のルーメン内で前進させるか、あるいは(図10Dに示されるように)それを可撓性ビーム1070上で前進させることで、可撓性ビーム1070を補強(より剛性に)することが可能である。ブリッジ部材1044aは拡開可能なリトラクタ要素1051、1052を接続し得、かつブリッジ部材1044bは要素1053、1054を接続し得るため、本明細書に記載の他のブリッジ部材と同様に、側方向の移動を制限し、かつリトラクタを安定化させ得る。代替実施形態では、ブリッジ部材1044bはブリッジ部材1044aから延び、かつ要素1053、1054に接続するため、4つの全ての要素1051、1052、1053及び1054がブリッジ要素1044a、1044bによって接続され得る。ブリッジ部材1044cは要素1053、1054を接続し得る。カバーリング1051a及び1052aは、リトラクタ要素1051、1052にそれぞれ適用されることで、以下の図11の実施形態に記載されるように、拡開を制御し得る。
【0142】
幾つかの実施形態では、シース1000は長手方向に穿孔され得(図示せず)、リトラクタ1050の拡開時にシース1000が対象部位での穿孔の引裂きによって開口するように設計され得る。幾つかの実施形態では、リトラクタ1050の上部でスリット1007を少なくとも略閉止するために、例えばZIPLOCK機構などの溝形機構が使用され得、それはまた対象部位におけるリトラクタ1050の拡開時に開口され得る。幾つかの実施形態では、より大きな穿孔、または閉止されていない部分1001がシース1000に残ることで、リトラクタ1050の拡開時に対象部位におけるシースの引裂きまたは開口が容易となり得る。幾つかの実施形態では、用語「スリット」及び「開口部」はほぼ同じ意味で使用され得る。
【0143】
幾つかの実施形態では、シースは可逆的に開口し得るため、シースは再び閉止され得る。例えば、引き紐、ケーブル、またはワイヤが開口部と連通して作動的に配置されることで、処置中に患者の外側から引き紐、ケーブル、またはワイヤを引くかまたは押すことにより開口部を再び閉止することが可能である。幾つかの実施形態では、開口部の縁部は長手方向のポケットまたはチャネルを形成するため、例えば、他の作動手段と同様に、システムを貫通して、及び恐らくハンドルを貫通して、引き紐、ケーブル、またはワイヤが伸びることで、処置中に患者の外側から所望の通りに引き紐、ケーブル、またはワイヤを引くかまたは押すことができる。幾つかの実施形態では、引き紐はシースを再び閉止するために使用される。該紐はスリットを閉止するためにハンドルにて張力をかけられ、またはリトラクタが拡開することを可能にするために緩められ得る。幾つかの実施形態では、シースはケージの中央部分周りで横方向に伸びる補強ストリップを有しているため、ケージワイヤが周囲のシースに引っ掛かることなく拡開することを容易とし得る。補強ストリップは、既存のシースに溶接または接着されたシースの別の層であり得る。それはまた、肥厚領域として形成され得る。あるいは、より堅い材料が横方向に伸びるポケットに挿入されてもよい。補強材料はシースの材料と同じであってもよく、またはより堅い材料であってもよい。
【0144】
当業者は、シースを被覆する周知の材料及び/または方法のいずれかは、本明細書で教示される目的のために有用であり得ることを理解する。例えば、シースは、近位カプラ及び遠位ネクサスに取り付けられた端部で約10mm?約30mmの範囲であり得、近位カプラ及び遠位ネクサスの各々はリトラクタ1050の端部を規定するために使用され得る。さらに、シースは、近位カプラ及び/または遠位ネクサス、または恐らくこれらの構成要素よりも略近位側または略遠位側に熱溶接、接着、または熱収縮されることで、リトラクタにシースを留めることが可能である。幾つかの実施形態では、シースは殺菌された、または清潔なカバーとしてシステムを被覆してもよいため、シースは、例えば、滅菌プロセスにおいて適用され得る使い捨て及び/または交換可能な構成要素の伸長部であり得る。そして、幾つかの実施形態では、シースは中間部分においてより大きくてもよく、直径は閉縮構成において、例えば約20mm?約40mmの範囲にあり得る。シースは、例えば、不透明、半透明、または透明であり得、及びシースを構成する材料は、例えば、ポリエチレン、ナイロン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、TEFLON、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはポリカーボネートであり得る。そして、幾つかの実施形態では、シース材料の厚さは、例えば、約0.0010インチ?約0.0060インチ(約0.0025cm?約0.015cm)、約0.0020インチ?約0.0080インチ(約0.0051cm?約0.020cm)、約0.0030インチ?約0.0050インチ(約0.0076cm?約0.012cm)、約0.0010インチ?約0.0030インチ(約0.0025cm?約0.0076cm)、約0.0005インチ?約0.0100インチ(約0.0013cm?約0.025cm)の範囲、約0.0020インチ(約0.0051cm)、または約0.0005インチ(約0.0013cm)増分されたこの中の任意の範囲であり得る。
【0145】
使用中に、リトラクタシステム1050が図10Bの閉縮挿入状態から図10Eの拡開状態まで移行したとき、拡開可能なリトラクタ要素はシース1000から離れて拡開される。シース1000は、例えば患者の身体から除去される、処置すべき対象組織に対向する面において開口したままであり得る。あるいは、シース1000は閉止したままであって、除去された病変部を受容するために内視鏡器具によって開口され得る。図10Eに示されるように、拡開状態において、シース1000はリトラクタ要素1053、1054及び剛性ビーム1075を被覆していて、かつ拡開要素1051、1052から離間していることに留意されたい。代替実施形態では、シースはまた、要素1051、1052をそれらの拡開構成において被覆し得る。
【0146】
図11-30は、全体的に参照番号1100で指定されるシステムの代替実施形態を示している。システム1100は、1つ以上の術具チャネルまたは器具ガイドを受容するように構成されたマルチルーメンカテーテルまたはチューブ部材1110を備えている。図11は、2つの術具チャネル1122及び1124を示していて、十分な数のルーメンが提供されたカテーテルと共に、幾つかの実施形態では、1つの術具チャネルのみが利用され得、他の実施形態では、3つ以上の術具チャネルが利用され得ることが理解される。術具チャネル1122、1124は、図11に示されるように、カテーテル1110とのキットとしてパッケージ化され得る。あるいは、術具チャネル1122、1124は別々にパッケージ化されてもよい。他の実施形態では、術具チャネルはカテーテル1110のルーメン内部に既にパッケージ化されている。各術具チャネル1122、1124はルーメン(チャネル)を有していて、それを貫通して内視鏡器具(術具)が受容され得る。
【0147】
術具チャネル(可撓性チューブまたはガイド)1122及び1124は、カテーテル1110の近位端を貫通して挿入され、カテーテル1110内の各ルーメン1112、1114(図12を参照のこと)を通って進む。カテーテル1110の近位部分1113を示す図16に示されるように、カテーテル1110は、ルーメン1112、1114それぞれと協働するポート1115、1117を備えることができ(例えば、図13を参照のこと)、それらは、術具チャネル1122、1124がその中に貫通して挿入され、かつその中で軸方向に移動するときに、吹送を維持するための弁を備え得る。術具チャネル(チューブ)1122は、好ましくは、図11及び18に最もよく示される予め曲げられた先端部1122aを有するため、湾曲した遠位端が提供され得る。術具チャネル(チューブ)1124もまた、好ましくは、湾曲した遠位端を提供する予め曲げられた先端部1124aを有する。術具チャネル1122、1124がカテーテル1110のルーメン1112、1114内に挿入されるとき、先端部1122a、1124aは、好ましくは、略一直線状となるため、ルーメンを通る前進が容易となり得る。術具チャネル1122、1124が十分に遠位に進み、遠位先端部1122a、1124aがカテーテルルーメン1112、1114の壁の範囲から露出すると、先端部1122a、1124aは予め設定された湾曲位置に戻る。これは、カテーテル1110内での移動のための術具チャネル1122、1124の一直線状の位置を点線で示す図18を参照することによって理解され得る。本明細書に開示される他の実施形態と同様に、術具チャネル1122、1124は超弾性材料で構成され得るが、露出されるときに略一直線状の挿入形状から湾曲形状に戻る湾曲先端部を提供するための他の材料、例えばステンレス鋼なども使用可能である。また、本明細書に開示される他の実施形態と同様に、ニチノールなどの材料の形状記憶特性は記憶された湾曲先端形状において使用され得る。代替実施形態では、上述したように、術具チャネル1122、1124は、その遠位端を曲げるように作動される引張りワイヤなどの機構を有し得る。図11-30の実施形態における術具チャネル1122、1124は、カテーテル1110に取り付けられていないため、ユーザは使用中に自由に近位端部1122b、1124bからそれらの軸方向の移動を制御できる。しかしながら、代替実施形態では、術具チャネルがカテーテルに取り付けられ得ることも想到される。
【0148】
術具チャネル1122、1124は、必要に応じて、カテーテル1110の近位領域でマーキング1123、1125をそれぞれ備え得るため、ユーザにカテーテルルーメン1112、1114を通る術具チャネル1122、1124の挿入の深さの視覚指標を提供し得る。術具チャネル1122、1124は、最近位端において弁を備えるルアーフィッティング1127、1129それぞれ(図11及び19Aを参照のこと)を有し得、それらは身体からの吹送ガスの逆流を遮断し得る。これは、後述のように、内視鏡器具が術具チャネル1122、1124を貫通して挿入されるときに、吹送を維持する。図19Bに示される代替実施形態における術具チャネルは、術具チャネル1122’、1124’それぞれの近位端に接続される止血弁1121A、1121Bを有するため、術具の挿入時に吹送を維持できる。示されるように、弁1121A、1121Bは、ルアーフィッティング1127’、1129’の近位側にある。術具チャネル1122’、1124’は、他の全ての点において術具チャネル1122、1124と同一である。
【0149】
一実施形態では、術具チャネル1122、1124は、Pebaxなどの柔軟な軟質材料で構成され得る。幾つかの実施形態では、超弾性ニチノール骨格が、例えば、湾曲部分内でPebax材料の壁に埋め込まれ得る。他の材料もまた想到される。
【0150】
カテーテル1110はまた、好ましくは、内視鏡1200を受容するように構成及び寸法設定されたルーメン1116(例えば、図16を参照のこと)を有する。幾つかの実施形態では、ルーメン1116は、従来の内視鏡、例えば、従来の結腸内視鏡を受容するように寸法設定され、かつカテーテル1110は内視鏡上にバックロードされる。これは、使用方法と併せて以下により詳細に説明する。代替実施形態では、ルーメン1116は関節内視鏡を受容し得る。また、代替実施形態では、内視鏡はカテーテル内に挿入されて、体管腔内に挿入され得る。
【0151】
図11及び16を参照すると、カテーテル1110は近位部分1113においてハンドルハウジング1130を備えていて、それはリトラクタシステム1150の移動を制御するためのアクチュエータ1132、及び剛性化(安定化)構造の移動を制御するためのアクチュエータ1134の2つのアクチュエータを備えている。これらは、以下により詳細に議論する。カテーテル1110はまた、ルアーカップリング1137を有するチューブ1139及び内部ガスケット1176を遮断するための制御スイッチ1175(図31A、31Bを参照のこと)を備えている。カバーリング1170を閉止するための縫合糸1172は、スイッチ1174が図31Aの位置から図31Bの位置に移動すると、弾性ガスケット1176によって固定される。より具体的には、図31Aの初期位置では、ハウジング1179のスロット内に載せられたボール弁1174は、ガスケット1176に力をかけていない。これは、縫合糸1172が自由にカテーテルのルーメン内を移動することを可能とする。縫合糸1172を適所にロックすることが所望されるとき、すなわち、縫合糸1172がカバーリング1170を閉止するために引っ張られた後、スイッチ1175は前方にスライドされ、それによりボール1174はカムによって下方(図31Bの向きで見て)にいき、縫合糸1172に対してガスケット1176内でルーメンを閉縮することで、縫合糸1172が固定され得る。これにより、縫合糸1172は移動に対してロックされ、そのため本明細書に記載されるように、カバーリング(袋)は対象組織を封入した閉鎖状態に維持される。スイッチ1175の逆移動は縫合糸1172のロックを解除するため、縫合糸1172の自由な移動を可能とすることに留意されたい。カテーテル1110はまた、一方向ストップコック1138を有するチューブ1136を有するため、吹送ポートを提供し得る。このポートは、内視鏡1200によって提供される吹送ガスを補充するために使用され得る。ルーメン1116の断面寸法は内視鏡1200の断面寸法を超えていて、十分な隙間が残るため、吹送ガスは内視鏡1200周りの領域においてルーメン1116を通って流れる。示されるように、チューブ1139、1136は、アクチュエータ1132、1134の遠位側に配置される。
【0152】
次に、体管腔の再成形または再構成システムを形成するリトラクタシステム1150に移り、図13を最初に参照すると、リトラクタシステム1150はカテーテル1110の遠位部分1111(近位ハブ1140の遠位)に配置され、かつ可撓性リトラクタ要素1152及び1154を備える。リトラクタシステムはまた、リトラクタ要素1156及び1158を備える。リトラクタ要素1152、1154は、体管腔内部で手術チャンバ(空間)を形成し、かつ非対称なケージを形成する拡開可能な要素を形成する。リトラクタ要素1156、1158はリトラクタシステムの基部を形成するため、要素1152、1154と共にリトラクタケージを規定するのに役立ち得る。幾つかの実施形態では、リトラクタ要素1156、1158は、リトラクタシステム1150が閉縮挿入状態から拡開状態に移行するとき、如何なる変化も受けない。他の実施形態では、リトラクタ要素1156、1158は、リトラクタシステム1150が拡開するとき、適所でわずかな変化、すなわちわずかな拡開または湾曲を受ける。リトラクタ要素1152、1154は、非対称な手術空間を形成する他のシステムに関連して上記で詳細に説明されるように、非対称な手術チャンバを形成するように拡開可能であるため、可視性及び手術空間が改善され得る。
【0153】
図15及び図21Aの比較から示されるように、リトラクタ要素1152及び1154は、好ましくはそれらがカテーテル1110の横寸法を超えない閉縮挿入状態から、それらが外に向かって横に曲がり、かつカテーテル1110の横寸法を超えて延びる横寸法を有する拡開状態まで移行する。また図15及び図21Aの比較から見ることが可能であるが、閉縮状態における下部(これらの図の向きで見た場合)要素1156、1158は、カテーテル1110の横寸法を超えてまたは著しく超えて延びず、かつ、リトラクタが拡開されるとき、略同じ状態に留まり、そのため、下部要素1156、1158は、カテーテル1110の横寸法を超えてまたは著しく超えて延びない。幾つかの実施形態において、要素1156、1158は、カテーテル1110の横寸法を超えて延びることは全くない。上で説明された実施形態におけるように、リトラクタシステム1150、即ちリトラクタ要素1152、1154は、カテーテル1110の長手軸を通過する面の片側だけに拡開し、これにより、本明細書で述べられるその付随する利点を備えた非対称な手術空間1151(及び非対称なケージ)を形成する。
【0154】
リトラクタ要素1152、1154は、リトラクタに安定性を付加するためのブリッジ部材1155を有し、かつ拡開中にリトラクタ要素の望ましい向きを維持する。ブリッジ部材1155は、2つのリトラクタ要素1152、1154に、好ましくは中間部分に取り付けられ、要素1152、1154に対する横構造を形成し、左右の移動を制限する。図示されるように、ブリッジ部材1155は、リトラクタ要素1152に接続された第1の腕部1155aと、リトラクタ要素1154に取り付けられた第2の腕部1155bとを有する。上部表面(図15の向きで見た場合)は、図示されるように、アーチ形であり得る。ブリッジ部材1155は、管状要素1159a、1159bによってリトラクタ要素に取り付けられた個別構成要素であり得、管状要素1159a、1159bは、リトラクタ要素1152、1154にそれぞれ取り付けられる。このバージョンでは、管状要素1159a、1159bは、リトラクタ要素を受容するための第1開口部と、ブリッジ部材の腕部を受容するための第2開口部とを有する。注意されたいのは、管状要素1159a、1159bはまた、リトラクタ要素1152、1154の直径までかさ張ることであるが、その理由は、いくつかの実施形態において、リトラクタ要素1152、1154の直径は、約0.035インチであることによる(他の寸法も想到されることではあるが)。ブリッジ部材の他の取り付け方法もまた、想到される。代わりに、ブリッジ部材1155は、リトラクタ要素1152、1154の1つまたは両方と一体化して形成され得る。ブリッジ部材1155は、要素1152、1154と同様の材料で構成され得るか、または異なる材料で構成され得る。ブリッジ部材1155はまた、ブリッジ部材を下部要素1158、1156にそれぞれ取り付けるために、下部要素1158、1156にそれぞれ接続された脚部1155d及び1155eを含み、これにより、リトラクタシステムの安定性を付加することが可能である。脚部部材は、ポリウレタンチュービングのような柔軟なエラストマー材料で構成されるのが好ましく、これによって、ケージにより多くの構造が付加され、かつケージの拡開がより予測可能な方法で容易になる。
【0155】
付加的なブリッジ部材(図示せず)は、リトラクタ要素1052、1054上に設けることが可能であり、これによって、安定性が増加する。幾つかの実施形態において、閉縮状態にあるブリッジ部材1055は、図15及び17Aにおけるように実質的に軸方向に拡開し得るが、しかしながら、図21Aにおけるようなリトラクタ要素1052、1054の拡開状態において、カテーテル1010の長手軸に向けて角度を内側に(下方に)変化させる。
【0156】
付加的なブリッジ部材1157(または代わりに、複数のブリッジ部材)は、2つの下部(図15の向きで見る場合)リトラクタ要素1156、1158の間に延びる。これらの要素1156、1158は、リトラクタシステム1150の下部部分を広げることに役立つと共に、手術空間のためのケージを形成することに役立ち、かつブリッジ部材1157は、これらの要素1156、1158を安定化させること、即ち、左右移動を制限することに役立つ。ブリッジ部材1157は、図示されるように、要素1156、1158にそれぞれつながる腕部1157a、1157bを有する。ブリッジ部材1057は、管状要素1161a、1161bによってリトラクタ要素に取り付けられた個別構成要素であり得、管状要素1161a、1161bは、リトラクタ要素1156、1158にそれぞれ取り付けられる。管状要素1161a、1161bは、要素1156または1158を受容するための第1開口部と、ブリッジ部材1157の腕部を受容するための第2開口部とを有することが可能である。ブリッジ部材を取り付ける他の方法もまた、想到される。代わりに、ブリッジ部材1157は、リトラクタ要素1156、1158の1つまたは両方と一体で形成されることが可能である。ブリッジ部材1157は、要素1156、1158と同様な材料で構成されるか、または異なる材料で構成されることが可能である。
【0157】
付加的なブリッジ部材(図示せず)は、リトラクタ要素1156、1158上に設けることが可能であり、これによって、安定性が増加する。幾つかの実施形態において、閉縮状態にあるブリッジ部材1157は、カテーテル1110の長手軸と略平行であるか、または図15におけるように略軸方向に延び、かつ図21Aにおけるようにリトラクタ要素1152、1154の拡開状態において、この状態に略留まるが、その理由は、この実施形態においては、リトラクタ要素1156、1158は、リトラクタシステム1150が拡開されるとき、略同じ状態に留まるからである。
【0158】
カテーテル1110は近位カプラ(キャップ)1140を含み、これを貫通して、リトラクタ要素が延びる。ハンドルハウジング1130は、長手方向に延びるスロット1131(図16)を含み、これに沿って、リトラクタアクチュエータ1132が軸方向にスライドする。リトラクタ要素1152、1154は、図20A及び図20Bに示されるブロック1146を介して、アクチュエータ1132に結合される。即ち、各リトラクタ要素1152、1154は、カテーテル1150内でそれぞれのルーメン1112、1114を貫通して延びる近位延長部を有し、かつその近位端でブロック1146に接続される。
このように、アクチュエータ1132が、図20Aのその近位位置から、図20Bのその遠位位置まで軸性スロット1131に沿って移動する場合、ブロック1146は遠位に移動し、これにより、リトラクタ要素1152、1154を横方向に外側に強引に追いやるが、その理由は、要素1152、1154が、それらの遠位端で遠位カプラ1148にしっかりと取り付けられているからである。この実施形態における要素1156、1158は、それらの遠位端で遠位カプラ1148にしっかりと取り付けられていて、かつそれらの近位端で近位カプラ1140(またはカテーテル1110の他の部分)にしっかりと取り付けられていて、それによって、アクチュエータ1132の移動は、これらの要素1156、1158の移動に変化をもたらさない。しかしながら、正しく認識されるべきことであるが、リトラクタ1150が拡開される場合、仮に要素1156、1158を移動させる、即ち、外側にわずかに曲げることが望ましいならば、これらの要素1156、1158は、ブロック1146に取り付けられることが可能であり、そのため、アクチュエータ1132が進められるか、または代わりに別個のアクチュエータに取り付けられる場合、要素1156、1158が移動される。一実施形態において、要素1152、1154、1156及び1158は、遠位カプラ1148に形成されたスロット内で固定することが可能である。注意されたいことであるが、以下で述べるように、カテーテル1110が内視鏡上にバックロードされる場合、近位カプラ1140及び遠位カプラ1148は、内視鏡を受容するように寸法設定された開口部を有することが可能である。ハウジング1130は、アクチュエータ1132に結合される歯による係合のために、図6Aから図6Dまでの歯と同様な複数の歯(図示せず)を含むことが可能であり、これにより、幾つかの選択状態の1つにリトラクタを保持するための、保持機構またはロック機構を形成する。保持機構またはロック機構に対する開放機構が提供され得る。
【0159】
加えて、正しく認識されるべきことであるが、リトラクタ要素を拡開するための代替方法を利用することが可能であるが、それには、上で説明されたカプラ、例えばカプラ198、199と同様な方法で、リトラクタ要素1152、1154(及び任意選択的に1156、1158)を拡開するための、例えば比較的に可動的なカプラ1140、1148を提供することが含まれる。リトラクタ要素はまた、代わりに、カテーテルまたはシースから露出されたときに拡開する形状記憶材料のような、自己拡開性材料から成ることが可能である。
【0160】
リトラクタ1152、1154は、任意選択的に小さなひだを有することが可能であり、該ひだは、リトラクタ1152、1154が遠位カプラ1148に固着される場所に隣接する遠位端で平らにされた状態を形成する。これによって、そのポイントでの曲げ剛性が減少し、このために、そのポイントはヒンジのように振舞い、より予測可能な拡開方向を作り出す、即ち上方に、かつわずかに外側に偏る。このことはまた、曲げを初期化するのに必要とされる力の度合いを減少させる。そのような平らにされた部分はまた、本明細書で開示される他の実施形態のリトラクタ要素と共に使用することが可能である。
【0161】
リトラクタシステム1150は、リトラクタ1150の、そうでなければ可撓性の構成を、可逆的に補強するように構成され得る。この点において、リトラクタシステム1150は、拡開されたリトラクタ1150を支持するための略剛性のビームを含むことが可能であり、このことは、本明細書で説明されるような、より安定化されたチャンバ(またはケージ)を形成するのに役立つ。図15及び図17Aを参照すると、可撓性チューブまたはビーム1160が、閉縮された構成において提供され、これに対して図17Bでは、リトラクタシステムは、可撓性ビーム1160から形成される剛性ビームを有する。より具体的には、この実施形態では、可撓性ビーム1160は、剛性チューブまたはロッド(ビーム)1162のような、安定化構造または剛性化構造をスライド可能に受容するためのルーメンを有するロッドまたはチューブ1165の形態にある。剛性化(安定化)構造1162は、アクチュエータ1134の移動により、ユーザーによって独立に作動される。アクチュエータ1134は、ハウジング1130の長手方向に延びるスロット内に、スライド可能にマウントされる。図17Aの初期状態では、剛性化構造1162は、カテーテルのルーメン内に後退され、かつ、可撓性チューブ(またはロッド)1160と係合されないか、または部分的に係合される。剛性化構造1162は、アクチュエータ1134に作動的に接続されるスライドブロック1164に、近位端で取り付けられる。チューブ1160を剛性化するために、アクチュエータ1134は、図17Bの状態まで遠位にスライドされ、これにより、スライドブロック1164及び取り付けられた安定化構造1162を遠位に進める。そのような移動によって、剛性化構造1162は、可撓性チューブ1160のルーメン1165を貫通して、遠位端1160aまで進み、これにより、ビームが補強される。剛性化構造1162は、システムを元のより可撓性の状態に戻すために、可撓性ビーム1060から任意選択的に除去されることが可能であり、その結果、軸性スロット内で逆方向に(近位に)アクチュエータ1134をスライドすることにより、リトラクタシステム1050の閉縮を促進し、これにより、可撓性チューブ1160内に進められた状態から剛性化構造1162を抜去する。一実施形態において、剛性化構造1164は、柔軟な編組ポリイミドチューブによって結合された近位金属管状構造及び遠位金属管状構造を有する構造の形態をしている。しかしながら、他の構造が想到されることも、正しく認識されるべきである。他の断面形状も想到されることではあるが、構造1160、1162は、断面が略円形であり得ることに注意されたい。前述の実施形態におけるように、剛性ビームはカテーテル1110の遠位端1111の偏りを制限するが、そうでなければ、偏りは、体管腔壁によって遠位端に及ぼされる圧力によって生じる。
【0162】
図17A及び図17Bに示されるように、アクチュエータはコネクタ1135を含み、該コネクタ1135は、ハウジング1130内に配置されるラック上の歯と係合するための歯またはつめ1137を有し、これによって、剛性化構造1164を幾つかの選択される位置の1つに保持することが可能である。
【0163】
図17C及び図17Dの代替実施形態では、可撓性要素のルーメン内で剛性化構造を進める代わりに、剛性化構造は、可撓性要素上で進められる。より具体的には、可撓性ビーム1160’は、剛性化構造、例えば管状部材1162’を可撓性ビーム1160’上で移動させることによって剛性化される。即ち、剛性化部材1162’はルーメンを有し、該ルーメンは、図17Cの矢印の方向に、剛性化部材1162’が可撓性ビーム1160’上を通過する際、可撓性ビーム1160’を受容するように構成され、かつ寸法設定されている。可撓性要素1152は、明確にするため、図17C及び図17Dからは除去されていることに注意されたい。代替方法はもちろんのこと、アクチュエータ1134は、そのような移動に対して利用することが可能である。
【0164】
カバーリングまたはカバー1170は、カテーテル1110の遠位端に設けられるのが好ましい。実施形態で例示されるカバーリング1170は、近位カプラ1140及び遠位カプラ1148の周囲の周りにマウントされる。幾つかの実施形態において、カバー1170にはひだが付けられ、かつカプラ(キャップ)1140、1148の周りで、熱収縮ラップによって密閉される。カバー1170は、閉縮挿入状態では要素1152、1154、1156、1158の周りに配置され、カバー1170における開口部は、対称組織、例えば除去されるべき病変に対向する。即ち、図15の向きにおいて、カバー1170における開口部は、上方を向いている。カバー1170は、閉縮状態で開口部を有するように構成することが可能であり、または、代わりに、カバー1170にはスリットが設けられ、該スリットは、リトラクタ要素1152、1154が拡開状態に移行する場合、伸張によって開くことが可能である。リトラクタ1152、1154が拡開されると、それらは、カバー1170を通過して対象組織に向かって移動する。代わりに、カバー1170の縁は、リトラクタ1152、1154に取り付けることが可能であり、これにより、リトラクタ要素と共に移動することが可能である。対象組織が、本明細書で説明される内視鏡器具によって除去される場合、除去される組織はカバー1170内に配置され、かつカバー1170が、例えば図29に示される縫合糸または糸1172によって閉止されるが、それによって、組織を封入し、かつ体管腔から除去する間の漏洩及び種形成を防止する。縫合糸1172は、カバー1170の壁、またはポケット、またはカバー1170に形成されたチャネルに埋め込まれることが可能であるが、その場合、縫合糸1172は、遠位の固定ポイントに永久に固定され、かつカバー1170を閉止するべく、縫合糸1172を引っ張るために、近位に引かれる。
【0165】
図10のカバー(シース)1000と同様に、カバー1170は、リトラクタ要素1152、1154、1156、1158をカバーすることによって、リトラクタシステムを対象部位に送達するための、滑らかで非外傷性の表面を提供することが可能である。カバー1000のように、カバー1170はまた、外科手術中に、組織、例えば管腔壁が、ビーム1160と要素1156、1158との間の空間を通って入ることを防止するのに役立つ。
【0166】
好ましい実施形態において、縫合糸1172の両端は、チュービング1139から延びる。それらの近位端は、ユーザーが容易に把持できるように、ある長さのチュービングによってカバーされることが可能である。縫合糸1172は、スイッチ1137及びチュービング1139を通り、カテーテル中の専用ルーメン(チャネル)を通り、カバーリング1170を通って延び、遠位キャップ1148で輪にされ、そこで取り付け(固着)される。手術中、縫合糸1172には、引っ張られないままである。組織がカバー(バッグ)1170内に配置された後、カバー1170を閉止するべく、縫合糸1172を引っ張るために、輪になった縫合糸1172の2つの近位端が近位に引かれる。その後、摩擦によって縫合糸1172に係合して固定するためにスイッチが移動され、それによって、縫合糸は引っ張られた状態でロックされ、カバー1170の閉止が維持される。
【0167】
図11のシステムの使用は、結腸壁からポリープのような病変を除去することに関連して説明される。しかしながら、理解されることであるが、システム1100は、結腸または胃腸管の中での他の手術に対しても使用可能であり、同様に、他の体管腔または患者の体内空間における手術に対しても使用可能である。
【0168】
先ず図12、図13に目を転じると、遠位視内視鏡1200(図12に示すように、この中にはシステム1100が、近位端1201上にバックロードされている)が、結腸Bの壁から対象ポリープCを除去するための手術において、結腸中の管腔Aを通って挿入される。この実施形態における内視鏡1200は遠位視鏡であり、該遠位視鏡は、約150度から170度の範囲の遠位視領域を備え、そのため、ポリープC及び周囲領域が可視化され得る。対象組織に隣接して、即ち、対象ポリープCのわずかに近位に内視鏡1200を配置した後、システム1100は、内視鏡1200上をさらに進められる。遠位カプラ(キャップ)1148は開口部1148aを有し、かつ近位カプラ(キャップ)1140は、カテーテル1110のルーメン1116(図16)と連通する開口部を有するが、このことによって、内視鏡1200のそのようなバックロード及び内視鏡上でのシステム1100の前進が可能になる。カテーテル1110は、図14に示されるように内視鏡1200上を進められるが、それは、図15に示されるように、カテーテルが対象部位に到達するまでであり、到達状態では、リトラクタシステム1050は、ポリープCと一直線となる。正しく認識され得ることであるが、カテーテル1110のこの挿入状態では、リトラクタシステム1150は、非拡開(または閉縮)状態であり、リトラクタ要素1152、1154は、カテーテル1110の横寸法を超えない、またはわずかに超えるのが好ましい。この状態では、リトラクタ要素、または少なくともリトラクタ要素1156、1158は、カバーリング1170によってカバーされる。図示されるように、この状態では、内視鏡1200の遠位端1202は、近位カプラ1140の端部に配置されるのが好ましく、かつ手術空間1151の中に延びないが、これにより、手術空間内で内視鏡器具を操作するための、より多くの余地が残される。しかしながら、他の状態もまた想到され、例えば幾つかのバージョンでは、内視鏡が、手術空間1151の中に延びることが可能である。この挿入状態では、アクチュエータ1134及び1132は、図16に示されるように、それらの後退位置にあることに注意されたい。
【0169】
次に、リトラクトシステム1150を剛性化するために、アクチュエータ1134は、図17Aの状態から図17Bの状態へ遠位に移動され(図16における矢印も参照のこと)、可撓性チューブ1160のルーメン1165内で、剛性化構造1162は後退位置から前進位置へ進められる。これは、上で説明されたように、リトラクタシステム1150を補強する/安定化させる。上で説明されたように、リトラクタシステム1150は、代わりに、図17C及び17Dで示されたように、可撓性要素上で剛性化構造を進めることによって、補強/安定化され得ることに注意されたい。
【0170】
さて、リトラクタシステム1150が拡開される。アクチュエータ1132は、図20Aの位置から、図20Bの位置へ遠位に進められる(図19も参照のこと)。これによってブロック1146(これは、上で説明されたように、リトラクタ要素1152及び1154に作動的に結合される)が進められ、リトラクタ要素1152、1154が横方向に外側に図20Bの位置まで強引に追いやられ、これにより、上で詳しく説明されたように、非対称な手術空間(チャンバ)が形成される。
【0171】
次に、術具チャネル1122、1124が、ポート1115、1117を通ってカテーテル1110の近位領域に挿入され(図19Aを参照)、かつカテーテルのルーメン1112、1114を通ってユーザーによって進められ、それによって、術具チャネルは、ルーメン1112、1114の遠位開口部を出て、かつ図21Aで示されるチャンバ1151の中に延びる。術具チャネルが、ルーメン1112、1114から現れ、かつカテーテル1110のルーメン壁の拘束から出ると、それらの遠位先端1122a,1124aは、湾曲した(曲がった)状態に戻り、ポリープCに向けて上方に(図21Aの向きで見た場合)湾曲することに注意されたい。図21Aでは、リトラクタ要素が先ず拡開され、続いて、カテーテルのルーメン1112、1114から術具チャネル1122、1124が出て、手術空間1151の中に挿入されることに注意されたい。しかしながら、代替実施形態において、リトラクタ要素1152、1154が拡開される前に、術具チャネル1122、1124が、カテーテルのルーメン1112、1114を貫通して手術空間1151に挿入され得ることも想到される。この代替方法は図21Bで示され、その場合、術具チャネル先端1122a、1122bは露出されるが、しかしながら、リトラクタシステム1150は、依然として非拡開状態にある。術具チャネル1122、1124は、それらの状態をポリープCに対して調節するために、独立に回転される、かつ/または軸方向に移動されることが可能であることに注意されたい。正しく認識され得るように、本明細書で使用される、上方に及び下方にという用語は、参照図面におけるシステムの向きを指す。仮にシステム(及び対象組織)の位置が変化する場合、向き及び用語もまた変化する。
【0172】
術具チャネル1122、1124の挿入後、内視鏡器具(術具)1210は、術具チャネル1124のルアー取り付け具1129(図19A)を貫通して挿入され、かつ術具チャネルのルーメン(チャネル)を貫通して進められる。図22に示されるように、第1の内視鏡器具1210は、術具チャネル1124から延び、かつ術具チャネル1124の湾曲に追従する。第2の内視鏡器具(術具)1220は、術具チャネル1122のルアー取り付け具1127を貫通して挿入され、かつ術具チャネル1122のルーメンを貫通して進められる。図23に示されるように、第2の内視鏡器具は、術具チャネル1122の湾曲に追従する。上で注意されたように、術具チャネルは、図19Bに示されるように、止血バルブのようなバルブであり得、そのため、術具チャネルから内視鏡器具を挿入及び除去する間、吹送が失われない。内視鏡器具1210、1220は、図24及び図25に示されるように、軸方向にさらに移動され、例えばポリープCに接触し、これを処置、除去するために、術具チャネル1122、1124からさらに延びる。図23から図25を比較することによって示される、内視鏡器具のこの移動は、術具チャネル1122、1124の利点を示す。図示されるように、一旦術具チャネル1122、1124が、ポリープCに対して望ましい位置にあれば、それらは、固定湾曲を規定するものと見なすことが可能である。これが意味するのは、内視鏡器具1210、1220が軸方向に進められると、それらは、曲率において変化することなく、かつポリープCに対するそれらの軸方向位置において変化することなく、対象ポリープCに接近するように移動し、従って、余分な自由度が提供されることである。例示される実施形態においては把持具である内視鏡器具1210は、ポリープC上に緊張を加えるが、その一方で、電気外科の切開器具1180は、結腸壁BからポリープCを切開/切断する。ポリープ除去のために、他の内視鏡も使用可能である。加えて、幾つかの実施形態において、単一の術具チャネルを使用することが可能であり、かつ別の内視鏡器具、例えば把持具または切開器具が、内視鏡のワーキングチャネル(ルーメン)を貫通して挿入されることが可能である。内視鏡のチャネルを貫通して挿入されるそのような器具はまた、2つ以上の術具チャネルを有する実施形態に関して使用することが可能である。
【0173】
術具チャネル1122、1124の角度により、かつ、従って、それを貫通して挿入される内視鏡により、図30において点線で描かれるように、組織の三角配置が達成され得る。
【0174】
結腸壁BからポリープCを除去した後、図26で示されるように、ポリープCはカバー1170内に配置され、体内から除去されるための準備をする。必要に応じて、リトラクタシステムをより可撓性の状態に戻すために、アクチュエータ1134は近位に移動される。カテーテル1110を除去するため、拡開されたリトラクタ要素1152、1154を図28のそれらの閉縮状態に戻すべく、アクチュエータ1132は、図27の矢印の方向において近位に移動される。その後、糸または縫合糸1172は、図29に示されるように、カバー(バッグ)1170を閉止するために引っ張られ、ポリープCを封入するためのバッグを形成する。その後、糸1172をロックするために、スイッチ1175が図31Bの位置に移動され、かつ、これにより、カバー1170を閉止状態に維持することが可能である。その後、ポリープCがカバー1170内に保護された(封入された)状態で、カテーテル1110は結腸Bから除去される。好ましくはカバー1170が透明であることに注意されたいが、その結果として、図面によって、リトラクタ要素、ブリッジ部材、ビームなどが例示される。しかしながら、カバー1170の理解を容易にするために、図29は、リトラクタ要素、ブリッジ要素、ビームなどを、バッグ/カバー1170の架空内部で示している。
【0175】
内視鏡器具は、部分組織切除、例えば粘膜下の、または漿膜下の切除のために使用可能であることに注意されたい。内視鏡器具はまた、完全な厚さの組織を切除するために使用され得る。器具は、相当な組織マージンを持って病変を除去することを可能にし、これにより、病理学的病変の完全な一括除去を提供する。
【0176】
任意の理論または作用機序に限定されることを意図せず、上記教示が提供されるのは、単に可能な実施形態を列挙するというよりは、全ての可能な実施形態の見本を例示するためである。そのため、当業者の間で、やはり請求項の範囲に含まれることになる幾つかの変形例が可能である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中に貫通させる第1のルーメンと第2のルーメンと、を有する可撓性カテーテルと、
前記第2のルーメンを貫通して移動可能である第1の可撓性チューブであって、該第1の可撓性チューブは、その中に貫通して延びる第1のチャネルを有する第1の可撓性チューブと、
前記カテーテルの遠位部に配置された体管腔再成形システムであって、該体管腔再成形システムは、非拡開挿入状態から拡開状態に移行可能な第1と第2の可撓性要素を含み、前記第1と第2の可撓性要素は、前記第1と第2の可撓性要素の遠位部を横断するブリッジ部材によって接合され、これにより、非対称なケージを形成し、前記第1の可撓性チューブは長手軸とチューブ遠位部とを有し、前記第1の可撓性チューブの前記チューブ遠位部は、前記非対称なケージ内で前記第1の可撓性チューブの前記長手軸に対して曲がった状態を有する、再成形システムと、を備える
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
カバーリングをさらに含み、該カバーリングは、開口部を有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カテーテルは、第3のルーメンを有し、第2の可撓性チューブは、前記第3のルーメンを貫通して移動可能であり、前記第2の可撓性チューブは、その中に貫通して延びる第2のチャネルを有し、前記第2の可撓性チューブは、長手軸とチューブ遠位部とを有し、前記第2の可撓性チューブの前記チューブ遠位部は、非対称なケージ内で、前記第2の可撓性チューブの前記長手軸に対して曲がった状態を有する
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
第3と第4の要素をさらに含み、前記第1と第2の可撓性要素が前記非拡開挿入状態から前記拡開状態に移行するときに、前記第3と第4の要素は、非拡開挿入状態に略維持される
請求項1ないし3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
スタビライザをさらに備え、該スタビライザは、前記非対称なケージの剛性を向上させるために、第1の状態から第2の状態に移行可能である、
請求項1ないし4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
第1のアクチュエータをさらに備え、該第1のアクチュエータは、前記スタビライザを、前記第1の状態と、前記第2の状態と、の間で移行させるように構成される
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1及び第2の可撓性要素に作動的に結合された第2のアクチュエータをさらに備え、該第2のアクチュエータは、前記第1と第2の可撓性要素を前記非拡開挿入状態と前記拡開状態との間で移行させるように構成される
請求項1ないし6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記第1と第2の可撓性要素の近位部を保持するように構成された近位カプラと、前記第1と第2の可撓性要素の前記遠位部を保持するように構成された遠位カプラとをさらに備え、前記近位カプラ及び遠位カプラの各々は、内視鏡をその中に貫通させて受容するように寸法設定されたルーメンを有する
請求項1ないし7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記カバーリングの前記開口部は、前記非対称なケージを封入するために閉じるように構成される
請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の可撓性チューブの前記チューブ遠位部は、前記非対称なケージ内の前記カテーテルに対して一定の湾曲を規定するために、前記第2のルーメンに沿って選択された位置に位置決め可能である
請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の可撓性チューブの前記チューブ遠位部は、前記非対称なケージ内の前記カテーテルに対して一定の湾曲を規定するために、前記第3のルーメンに沿って選択された位置に位置決め可能である
請求項3に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の可撓性チューブの前記チューブ遠位部は、前記第2のルーメン内にあるときには、略一直線状であり、前記第2のルーメンを越えて延びると、前記曲がった状態を有する
請求項1ないし11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記第1と第2の可撓性チューブは、互いに対して及び前記カテーテルに対して、独立に軸方向に移動可能で、かつ独立に回転可能である
請求項3に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の可撓性チューブは、近位位置及び遠位位置で前記カテーテルに取り付けられていて、前記近位位置と前記遠位位置との間で、前記カテーテルの前記第2のルーメン内において略浮動している
請求項1ないし13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の可撓性チューブは、近位位置及び遠位位置で前記カテーテルに取り付けられていて、前記近位位置と前記遠位位置との間で、前記カテーテルの前記第3のルーメン内において略浮動している
請求項3に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1又は第2の可撓性チューブを貫通して挿入可能な内視鏡器具をさらに備え、該内視鏡器具は、前記内視鏡器具の遠位端と対象生体組織との距離を調整するために、前記それぞれのチューブの前記選択された位置又は前記一定の湾曲を変更することなく、軸方向に移動させることが可能である
請求項10または11に記載のシステム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-06-17 
結審通知日 2019-06-19 
審決日 2019-07-02 
出願番号 特願2015-518501(P2015-518501)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 近藤 利充  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 沖田 孝裕
莊司 英史
登録日 2018-06-22 
登録番号 特許第6356667号(P6356667)
発明の名称 最小侵襲胃腸手術処置のためのマルチルーメンカテーテル・リトラクタシステム  
代理人 恩田 誠  
代理人 本田 淳  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
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