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審決分類 審判 査定不服 発明同一 補正却下を取り消さない。原査定の理由により拒絶すべきものである。 A63F
管理番号 1353482
審判番号 不服2018-14396  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-31 
確定日 2019-07-11 
事件の表示 特願2017- 96119号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月 3日出願公開、特開2017-131775号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年2月12日に出願した特願2002-34694号の一部を平成19年8月10日に新たな特許出願(特願2007-208916号)とし、さらにその一部を平成22年6月3日に新たな特許出願(特願2010-128191号)とし、さらにその一部を平成23年5月18日に新たな特許出願(特願2011-110922号)とし、さらにその一部を平成24年12月27日に新たな特許出願(特願2012-283775号)とし、さらにその一部を平成26年6月30日に新たな特許出願(特願2014-133660号)とし、さらにその一部を平成27年10月19日に新たな特許出願(特願2015-205258号)とし、さらにその一部を平成29年5月15日に新たな特許出願(特願2017-96119号)としたものであって、平成30年4月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月11日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月21日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年8月20日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月5日付け(発送日:同年9月11日)で、同年8月20日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年10月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 平成30年8月20日付けの手続補正についての補正の却下の決定について
請求人は、審判請求書において、平成30年8月20日付け手続補正(以下「本件補正」という。)に対する補正の却下の決定について、「補正却下の決定理由(その1)」、「補正却下の決定理由(その2)」を挙げて反論しているので、まず、原審における平成30年9月5日付け補正の却下の決定の適否について検討する。

1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
遊技に関する制御を実行可能な制御手段と、電源断後もデータを保持可能な記憶手段と、電源断が発生した場合に前記制御手段に停電信号を出力する停電監視手段とを備えた遊技機において、
前記制御手段は、
電源投入した後に実行され、前記記憶手段に保持されたデータを使用して電源断前の状態に復帰させる復帰処理と、
その復帰処理の実行の後に実行され、所定の処理を繰り返し実行する繰り返し処理と、
遊技進行の制御を行う遊技制御処理と、
前記停電監視手段が出力する停電信号が入力された場合に実行される停電時処理とを実行可能であり、
前記遊技制御処理は、割込禁止設定が可能な第1割込処理で実行され、
前記停電時処理は、割込禁止設定が可能であり、かつ、前記第1割込処理と異なる第2割込処理で実行され、
前記所定の処理は、
割込処理ではないメイン処理において繰り返し実行されるものであり、
割込を禁止する割込禁止処理と、
その割込禁止処理後に実行され、所定のランダムデータを更新するための処理を含む制御処理と、
その制御処理後に実行され、割込を許可する割込許可処理とを含んで構成され、
前記制御手段の駆動電圧は、前記電源断が発生した場合に少なくとも前記停電時処理を実行する間は、その停電時処理を実行可能に維持されることを特徴とする遊技機。」
から、
「【請求項1】
A 遊技に関する制御を実行可能な制御手段と、電源断後もデータを保持可能な記憶手段と、電源断が発生した場合に前記制御手段に停電信号を出力する停電監視手段とを備えた遊技機において、
B 前記制御手段は、
B1 電源投入した後に実行され、前記記憶手段に保持されたデータを使用して電源断前の状態に復帰させる復帰処理と、
B2 その復帰処理の実行の後に実行され、所定の処理を繰り返し実行する繰り返し処理と、
B3 遊技進行の制御を行う遊技制御処理と、
B4 前記停電監視手段が出力する停電信号が入力された場合に実行される停電時処理とを実行可能であり、
C 前記遊技制御処理は、割込禁止設定が可能な第1割込処理で実行され、
D 前記停電時処理は、割込禁止設定が可能であり、かつ、前記第1割込処理より割込優先順位が高い第2割込処理で実行され、
E 前記所定の処理は、
E1 割込処理ではないメイン処理において繰り返し実行されるものであり、
E2 割込を禁止する割込禁止処理と、
E3 その割込禁止処理後に実行され、所定のランダムデータを更新するための処理を含む制御処理と、
E4 その制御処理後に実行され、割込を許可する割込許可処理とを含んで構成され、
F 前記制御手段の駆動電圧は、前記電源断が発生した場合に少なくとも前記停電時処理を実行する間は、その停電時処理を実行可能に維持されることを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA?Fに分説した。)。

2 補正の適否について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2割込処理」に関して、「第1割込処理より割込優先順位が高い」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、本願の願書の最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における段落【0026】等の記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用例2として引用された、本願の出願遡及日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願2001-372061号(特開2003-169905号公報参照)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「先願明細書」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1-a)「【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、遊技機には、遊技制御手段を初めとする種々の電気部品制御手段が搭載されている。一般に、各電気部品制御手段はマイクロコンピュータを含んだ構成とされる。そのような電気部品制御手段は、一般に、電源電圧が立ち上がると初期化処理を行い初期状態から制御を開始する。すると、停電等の不測の電源断が生じ、その後、電源復旧すると初期状態に戻ってしまうので、遊技者が得た遊技価値等が消滅してしまう等の問題が生ずることがある。そのような問題が生じないようにするには、電源電圧値の低下に伴なって発生される所定の信号に応じて遊技制御を中断し、そのときの制御状態を、遊技機に対する電力供給停止中でも電源バックアップされている記憶手段(バックアップ記憶手段)に保存し、電力供給が完全に停止するのを待つように制御すればよい。そのような遊技機は、記憶手段に遊技状態が保存されている状態で電力供給が再開されたら、保存されている制御状態にもとづいて遊技を再開するので、遊技者に不利益が与えられることが防止される。
【0011】しかし、上記のように保存されている制御状態にもとづいて遊技を再開する構成とする場合には、遊技制御手段は、電力供給停止時の制御状態に復旧させるためのコマンドを他の電気部品制御手段に対して送信するなどの各種の処理を実行する必要がある。上述したように、遊技制御手段にはプログラムを格納させるメモリ容量に制限があるので、遊技状態を復旧させるための処理を実行するために用いられるプログラムの容量は極力小さくすることが好ましい。そのためには、遊技状態を復旧させるための処理をより効率良く実行し得るようにすることが望まれる。
【0012】そこで、本発明は、遊技状態を復旧させるための処理を効率良く実行することができる遊技機を提供することを目的とする。」

(1-b)「【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。なお、以下の実施の形態では、パチンコ遊技機を例に説明を行うが、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、例えば画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。」

(1-c)「【0038】図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する図柄制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37が設置されている。さらに、遊技盤6に設けられている各種装飾LED、始動記憶表示器18および普通図柄始動記憶表示器41、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯制御するランプ制御手段が搭載されたランプ制御基板35、スピーカ27からの音発生を制御する音制御手段が搭載された音制御基板70も設けられている。また、また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板91が設けられている。」

(1-d)「【0088】DC-DCコンバータ913からの+5Vラインは分岐してバックアップ+5Vラインを形成する。バックアップ+5Vラインとグラウンドレベルとの間には大容量のコンデンサ916が接続されている。コンデンサ916は、遊技機に対する電力供給が停止したときの電気部品制御基板のバックアップRAM(電源バックアップされているRAMすなわち電力供給停止時にも記憶内容保持状態となりうるバックアップ記憶手段)に対して記憶状態を保持できるように電力を供給するバックアップ電源となる。また、+5Vラインとバックアップ+5Vラインとの間に、逆流防止用のダイオード917が挿入される。なお、この実施の形態では、バックアップ用の+5Vは、主基板31および払出制御基板37に供給される。」

(1-e)「【0117】図14は、主基板31におけるCPU56周りの一構成例を示すブロック図である。図14に示すように、電源基板910の電源監視回路(電源監視手段)からの電源断信号が、CPU56のマスク不能割込端子(XNMI端子)に接続されている。上述したように、電源監視回路は、遊技機が使用する各種直流電源のうちのいずれかの電源の電圧を監視して電源電圧低下を検出する回路である。この実施の形態では、VSLの電源電圧を監視して電圧値が所定値以下になるとローレベルの電源断信号を発生する。VSLは、遊技機における直流電圧のうちで最大のものであり、この例では+30Vである。従って、CPU56は、割込処理によって電源断の発生を確認することができる。」

(1-f)「【0129】次に遊技機の動作について説明する。図19は、主基板31における遊技制御手段(CPU56およびROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。」

(1-g)「【0142】チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と表示制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
【0143】このように、バックアップフラグとチェックサム等のチェックデータとを用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認することによって、遊技状態を電力供給停止時の状態に正確に戻すことができる。すなわち、バックアップRAM領域のデータにもとづく状態復旧処理の確実性が向上する。なお、この実施の形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。」

(1-h)「【0150】そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS15)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
【0151】初期化処理の実行(ステップS11?S15)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。表示用乱数とは、可変表示装置9に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り決定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理において、大当り決定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。」

(1-i)「【0154】図21は、遊技状態復旧処理の一例を示すフローチャートである。遊技状態復旧処理において、CPU56は、まず、スタックポインタの復帰処理を行う(ステップS81)。スタックポインタの値は、後で詳述する電力供給停止時処理において、所定のRAMエリア(電源バックアップされている作業領域におけるスタックポインタ退避バッファ)に退避している。よって、ステップS81では、そのRAMエリアの値をスタックポインタに設定することによって復帰させる。具体的には、RAMエリアに退避しているスタック領域のアドレスを示すデータ(スタックアドレスデータ)がスタックポインタに設定される。なお、復帰されたスタックポインタが指す領域(すなわちスタック領域)には、電力供給が停止したときのレジスタ値やプログラムカウンタ(PC)の値が退避している。
・・・
【0163】その後、CPU56は、バックアップフラグをクリアする(ステップS88)すなわち、前回の電力供給停止時に所定の記憶保護処理が実行されたことを示すフラグをリセットする。よって、制御状態の復旧後に不必要な情報が残存しないようにすることができる。また、スタック領域から各種レジスタの退避値を読み出して、各種レジスタ(IXレジスタ、HLレジスタ、DEレジスタ、BCレジスタ)に設定する(ステップS89)。すなわち、レジスタ復元処理を行う。なお、各レジスタが復元させる毎に、スタックポインタの値が減らされる。すなわち、スタックポインタの値が、スタック領域の1つ前のアドレスを指すように更新される。そして、パリティフラグがオンしていない場合には割込許可状態にする(ステップS90,S91)。最後に、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)をスタック領域から復元する(ステップS92)。
【0164】そして、RET命令が実行される。RET命令が実行されるときには、CPU56は、スタックポインタが指す領域に格納されているデータをプログラムカウンタに設定することによってプログラムのリターン動作を実現する。ただし、ここでのリターン先は、遊技状態復旧処理をコールした部分ではない。なぜなら、ステップS81においてスタックポインタの復帰処理がなされ、ステップS92でレジスタの復元処理が終了した後では、スタック領域を指すスタックポインタは、NMIによる電力供給停止時処理が開始されたときに実行されていたプログラムのアドレスが退避している領域を指している。すなわち、復帰されたスタックポインタが指すスタック領域に格納されているリターンアドレスは、プログラムにおける前回の電力供給停止時にNMIが発生したアドレスである。従って、ステップS92の次のRET命令によって、電力供給停止時にNMIが発生したアドレスにリターンする。すなわち、本例では、スタック領域に退避されていたアドレスデータ(プログラムアドレスデータ)にもとづいて復旧制御が実行されている。」

(1-j)「【0168】タイマ割込が発生すると、CPU56は、レジスタの退避処理(ステップS20)を行った後、図22に示すステップS21?S32の遊技制御処理を実行する。ステップS20でのレジスタの退避処理では、実行されていたプログラムのアドレスデータ(プログラムアドレスデータ)をスタックポインタが指すスタック領域に退避する処理も実行される。そして、遊技制御処理を実行したあとのレジスタ復帰処理(ステップS33)にて、スタック領域に退避しているアドレスデータにもとづいて、タイマ割込が発生したときのアドレスに復帰する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。」

(1-k)「【0177】図23?図25は、電源基板910からの電源断信号に応じて実行されるマスク不能割込処理(電力供給停止時処理)の処理例を示すフローチャートである。なお、マスク不能割込処理とは、割込禁止がかけられない処理を意味する。マスク不能割込が発生すると、CPU56に内蔵されている割込制御機構は、マスク不能割込発生時に実行されていたプログラムのアドレス(具体的には実行完了後の次のアドレス)を、スタックポインタが指すスタック領域に退避させるとともに、スタックポインタの値を増やす。すなわち、スタックポインタの値がスタック領域の次のアドレスを指すように更新する。
【0178】電力供給停止時処理において、CPU56は、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)を所定のバックアップRAM領域に退避する(ステップS451)。また、割込フラグをパリティフラグにコピーする(ステップS452)。パリティフラグはバックアップRAM領域に形成されている。また、BCレジスタ、DEレジスタ、HLレジスタ、IXレジスタおよびスタックポインタをバックアップRAM領域に退避する(ステップS454?S458)。なお、電源復旧時には、退避された内容にもとづいてレジスタ内容が復元され、パリティフラグの内容に応じて、割込許可状態/禁止状態の内部設定がなされる。なお、S458ではスタックポインタが退避されるが、さらに詳しく言えば、スタックポインタに設定されているスタック領域のアドレスを示すデータ(スタックアドレスデータ)がバックアップRAM領域に退避される。」

(1-l)「【0206】なお、この実施の形態では、NMIに応じて電力供給停止時処理が実行されたが、電源断信号をCPU56のマスク可能端子に接続し、マスク可能割込処理によって電力供給停止時処理を実行してもよい。また、電源断信号を入力ポートに入力し、入力ポートのチェック結果に応じて電力供給停止時処理を実行してもよい。」

(1-m)段落【0151】には、「メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。」と記載されているから、メイン処理で実行されるステップ16からステップ19までの処理をまとめて繰り返し処理ということができる。

上記(1-a)?(1-l)の記載事項及び(1-m)の認定事項を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「先願明細書に記載された発明」という。)。

「a 遊技制御基板(主基板)31と(段落【0038】)、電力供給停止時にも記憶内容保持状態となりうるバックアップRAMと(段落【0088】)、電源電圧を監視して電圧値が所定値以下になると電源断信号を発生する電源監視回路と(段落【0117】)を備えたパチンコ遊技機において(段落【0024】)、
b 遊技制御基板(主基板)31は、
b1 電源が投入されるとメイン処理を開始し、バックアップRAM領域のデータにもとづいて制御状態を電力供給停止時の状態に戻す遊技状態復旧処理(S10)と(段落【0129】、【0142】、【0143】)、
b2 遊技状態復旧処理において、バックアップフラグがクリアされ(ステップS88)、RET命令が実行されると、メイン処理で実行される繰り返し処理と(段落【0154】、【0163】、【0164】、認定事項(1-m))、
b3 遊技制御処理(ステップ21?32)と(段落【0168】)、
b4 電源基板910からの電源断信号に応じて実行され、データをバックアップRAM領域に退避させる電力供給停止時処理とを実行可能であり(段落【0177】、【0178】)、
c 前記遊技制御処理は、メイン処理における2ms毎のタイマ割り込みで実行され(段落【0150】、【0151】、【0168】)、
d’ 電力供給停止時処理は、マスク可能割込処理によって実行され(段落【0206】)、
e 前記繰り返し処理は、
e1 メイン処理において繰り返し実行されるものであり、
e2 割込禁止状態とする処理(ステップS16)と、
e3 割込禁止状態とする処理の後に実行される表示用乱数更新処理(ステップ17)および初期値用乱数更新処理(ステップ18)と、
e4 その後に実行され、割込許可状態とする処理(ステップS19)とで構成され(段落【0151】、認定事項(1-m))、
f 主基板31および払出制御基板37に供給されるバックアップ用の+5Vは、遊技機に対する電力供給が停止したときにバックアップRAMの記憶状態を保持できるように電力を供給するパチンコ遊技機(段落【0088】、【0024】)。」

(2)対比
本願補正発明と先願明細書に記載された発明とを対比する(下記の見出しの(a)?(f)は、先願明細書に記載された発明の構成に対応している。)。

(a)先願明細書に記載された発明の「遊技制御基板(主基板)31」、「バックアップRAM」、「電源断信号」、「電源監視回路」、「パチンコ遊技機」は、それぞれ、本願補正発明の「遊技に関する制御を実行可能な制御手段」、「記憶手段」、「停電信号」、「停電監視手段」、「遊技機」に相当する。
よって、先願明細書に記載された発明の「遊技制御基板(主基板)31と、電力供給停止時にも記憶内容保持状態となりうるバックアップRAMと、電源電圧を監視して電圧値が所定値以下になると電源断信号を発生する電源監視回路とを備えたパチンコ遊技機」は、本願補正発明の「遊技に関する制御を実行可能な制御手段と、電源断後もデータを保持可能な記憶手段と、電源断が発生した場合に前記制御手段に停電信号を出力する停電監視手段とを備えた遊技機」に相当する。

(b1)先願明細書に記載された発明において、電源が投入されるとメイン処理を開始して遊技状態復旧処理(S10)を実行するから、遊技状態復旧処理(S10)は電源投入した後に実行されるといえる。
よって、先願明細書に記載された発明の「電源が投入されるとメイン処理を開始し、バックアップRAM領域のデータにもとづいて制御状態を電力供給停止時の状態に戻す遊技状態復旧処理(S10)」は、本願補正発明の「電源投入した後に実行され、前記記憶手段に保持されたデータを使用して電源断前の状態に復帰させる復帰処理」に相当する。

(b2)先願明細書に記載された発明の遊技状態復旧処理において、バックアップフラグがクリアされ(ステップS88)、RET命令が実行されると、メイン処理の最初に戻り、メイン処理の中で繰り返し処理が実行されるから、繰り返し処理は、遊技状態復旧処理の後に実行されるといえる。
よって、先願明細書に記載された発明の「遊技状態復旧処理において、バックアップフラグがクリアされ(ステップS88)、RET命令が実行されると、メイン処理で実行される繰り返し処理」は、本願補正発明の「その復帰処理の実行の後に実行され、所定の処理を繰り返し実行する繰り返し処理」に相当する。

(b3)先願明細書に記載された発明の「遊技制御処理(ステップ21?32)」は、本願補正発明の「遊技進行の制御を行う遊技制御処理」に相当する。

(b4)先願明細書に記載された発明の「電力供給停止時処理」は、本願補正発明の「停電時処理」に相当する。
また、先願明細書に記載された発明の構成aから、「電源断信号」は電源監視回路(停電監視手段)が出力するものといえる。
よって、先願明細書に記載された発明の「電源基板910からの電源断信号に応じて実行され、データをバックアップRAM領域に退避させる電力供給停止時処理」は、本願補正発明の「前記停電監視手段が出力する停電信号が入力された場合に実行される停電時処理」に相当する。

(c)先願明細書に記載された発明の構成e1、e2を踏まえると、メイン処理には割込禁止状態とする処理が含まれているから、メイン処理におけるタイマ割り込みで実行される遊技制御処理は、割込禁止設定が可能であるといえる。
よって、先願明細書に記載された発明の「前記遊技制御処理は、メイン処理における2ms毎のタイマ割り込みで実行され」る点は、本願補正発明の「前記遊技制御処理は、割込禁止設定が可能な第1割込処理で実行され」る点に相当する。

(d)先願明細書に記載された発明の「マスク可能割込処理」は、本願補正発明の「割込禁止設定が可能」な処理に相当する。
よって、先願明細書に記載された発明の「電力供給停止時処理は、マスク可能割込処理によって実行され」る点と、本願補正発明の「前記停電時処理は、割込禁止設定が可能であり、かつ、前記第1割込処理より割込優先順位が高い第2割込処理で実行され」る点とは、「前記停電時処理は、割込禁止設定が可能であり、かつ、第2割込処理で実行され」る点で共通する。

(e1)先願明細書に記載された発明の「メイン処理」は、割込処理ではないことは明らかである。
よって、先願明細書に記載された発明の「メイン処理において繰り返し実行される」点は、本願補正発明の「割込処理ではないメイン処理において繰り返し実行される」点に相当する。

(e2)先願明細書に記載された発明の「割込禁止状態とする処理(ステップS16)」は、本願補正発明の「割込を禁止する割込禁止処理」に相当する。

(e3)先願明細書に記載された発明の「割込禁止状態とする処理の後に実行される表示用乱数更新処理(ステップ17)および初期値用乱数更新処理(ステップ18)」は、本願補正発明の「その割込禁止処理後に実行され、所定のランダムデータを更新するための処理を含む制御処理」に相当する。

(e4)先願明細書に記載された発明の「その後に実行され、割込許可状態とする処理(ステップS19)」は、本願補正発明の「その制御処理後に実行され、割込を許可する割込許可処理」に相当する。

(f)先願明細書に記載された発明の「バックアップ用の+5V」は、本願補正発明の「制御手段の駆動電圧」に相当する。
また、先願明細書に記載された発明の構成b4を踏まえると、電力供給停止時処理は、データをバックアップRAM領域に退避させるものであるから、「電力供給が停止したときにバックアップRAMの記憶状態を保持できるように電力を供給する」ことは、電力供給停止時処理(停電時処理)を実行可能に維持するものといえる。
よって、先願明細書に記載された発明の「主基板31および払出制御基板37に供給されるバックアップ用の+5Vは、遊技機に対する電力供給が停止したときにバックアップRAMの記憶状態を保持できるように電力を供給する」点は、本願補正発明の「前記制御手段の駆動電圧は、前記電源断が発生した場合に少なくとも前記停電時処理を実行する間は、その停電時処理を実行可能に維持される」点に相当する。

したがって、本願補正発明と先願明細書に記載された発明とは、
[一致点]
「A 遊技に関する制御を実行可能な制御手段と、電源断後もデータを保持可能な記憶手段と、電源断が発生した場合に前記制御手段に停電信号を出力する停電監視手段とを備えた遊技機において、
B 前記制御手段は、
B1 電源投入した後に実行され、前記記憶手段に保持されたデータを使用して電源断前の状態に復帰させる復帰処理と、
B2 その復帰処理の実行の後に実行され、所定の処理を繰り返し実行する繰り返し処理と、
B3 遊技進行の制御を行う遊技制御処理と、
B4 前記停電監視手段が出力する停電信号が入力された場合に実行される停電時処理とを実行可能であり、
C 前記遊技制御処理は、割込禁止設定が可能な第1割込処理で実行され、
D’ 前記停電時処理は、割込禁止設定が可能であり、かつ、第2割込処理で実行され
E 前記所定の処理は、
E1 割込処理ではないメイン処理において繰り返し実行されるものであり、
E2 割込を禁止する割込禁止処理と、
E3 その割込禁止処理後に実行され、所定のランダムデータを更新するための処理を含む制御処理と、
E4 その制御処理後に実行され、割込を許可する割込許可処理とを含んで構成され、
F 前記制御手段の駆動電圧は、前記電源断が発生した場合に少なくとも前記停電時処理を実行する間は、その停電時処理を実行可能に維持される遊技機。」

である点で一致し、以下の点で一応相違する。

[相違点](構成D)
停電時処理を実行する第2割込処理に関して、本願補正発明では、遊技制御処理を実行する第1割込処理よりも割込優先順位が高いのに対し、先願明細書に記載された発明では、割込優先順位について明示されていない点。

(3)判断
ア 上記相違点について検討する。
先願明細書の段落【0177】には、電力供給停止時処理をマスク不能割込処理とすることが記載されている。そして、マスク不能割込処理は、割込禁止がかけられない処理であるから、マスク不能割込処理で行う電力供給停止時処理は、優先順位が最優先となっている処理であるといえる。
一方、先願明細書に記載された発明における「電力供給停止時処理」は、段落【0206】の「この実施の形態では、NMIに応じて電力供給停止時処理が実行されたが、・・・マスク可能割込処理によって電力供給停止時処理を実行してもよい。」との記載に基づいて、マスク可能割込処理として認定しているが、電断時にデータをバックアップRAM領域に退避させるといった電力供給停止時処理の内容は、上記のマスク不可能割込処理とした場合と変わるものではないから、先願明細書に記載された発明の(マスク可能割込処理で実行する)「電力供給停止時処理」を最優先の割込処理とすること、そして、主要な割込処理である遊技制御処理の割込処理よりも優先順位が高くすることは、当業者にとって自明な事項である。
したがって、上記相違点は、実質的な相違点とはいえないから、本願補正発明と先願明細書に記載された発明とは、実質的に同一である。

仮に、上記相違点が実質的な相違点であるとしても、本願の出願遡及日前において、電源断による停電時処理を他の割込処理に優先して実行することは周知の技術である。
(例えば、特開2001-190743号公報の段落【0060】?【0063】に記載された割込禁止可能な停電処理の割込を、遊技制御装置20によって行われるタイマ割込より優先度を高くした点、特開2002-17973号公報の段落【0199】、【0340】に記載されたマスク可能割込処理によって実行される電力供給停止時処理を、検出信号の入力処理を実行するための割込よりも優先する点を参照のこと。)
また、先願明細書に記載された発明に周知の技術を付加すれば、電力供給停止時処理(停電時処理)を他の割込処理である遊技制御処理よりも優先して実行するように構成されることになる。
そして、先願明細書に記載された発明に上記周知の技術を付加することにより新たな効果を奏するものとはいえない。
したがって、上記相違点は、周知の技術の付加により構成されるものであり、停電時処理のプログラムの簡略化といった課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。

イ 請求人の主張について
請求人は、「先願1に記載されるのは、停電時処理(電力供給停止時処理(図23))を割込禁止設定が可能な割込処理によって実行しても良い、ということであり、その場合の割込優先順位については一切記載されていません。つまり停電時処理を割込禁止設定が可能な割込処理により実行したとしても、その割込が遊技制御処理を実行する割込処理よりも割込優先順位が高いものであるとは一切記載されていません。
更に言えば、そもそもマスク不能割込処理は、割込の重複発生という状況が生じ得ないものなので、割込優先順位という概念がありません。つまり割込禁止設定が可能な割込処理と、マスク不能割込処理とは全く性質の異なる割込です。
そうすると、補正却下決定の『・・・その優先度の高さには変わりはないのだから、2msタイマ割込処理よりも割込優先順位を高くする技術思想は、具体的な記載がなくても、記載されているに等しい、自明な事項であると考えられ、・・・』との認定は、本来の割込処理技術の性質を無視した誤った認定であると言わざるを得ません。」と主張する(審判請求書(4)出願人の反論(その1))。

確かに、先願1(先願明細書)には、停電時処理を割込禁止設定が可能な割込処理により実行した場合における遊技制御処理との優先順位は記載されていない。また、割込禁止設定が可能な割込処理と、マスク不能割込処理とは全く性質の異なる割込であることは言うまでもない。
しかしながら、上記(3)アで検討したとおり、電力供給停止時処理をマスク不能割込処理で実行するということは、すなわち、電力供給停止時処理自体が最優先の処理であることを意味している。
また、電断時にバックアップ用の電源を用いてデータをバックアップRAM領域に退避させるといった処理の内容からしても、電力供給停止時処理は、緊急かつ重要な処理であり、他の割込処理より優先される必要があるといえる。
そして、電力供給停止時処理をマスク可能割込処理で実行する場合も、マスク不可能割込処理で実行する場合と、処理の内容は変わるものではないから、電力供給停止時処理は最優先の処理であるということができ、原審において、「(電力供給停止時処理を)2msタイマ割込処理よりも割込優先順位を高くする技術思想は、・・・自明な事項である」とした点に誤りはない。

また、請求人は「しかしながら、引用例2,3では、遊技制御処理に相当する各処理は、いずれも割込処理でなくメイン処理により行われています(引用例2では図14のS16?S31。引用例3では図6の通常処理)。
これに対し本願の請求項1は、遊技制御処理と停電時処理とを共に割込禁止設定が可能な割込処理にて行う技術において、停電時処理を遊技制御処理よりも割込優先順位の高い割込処理にて行うものです。
よって、万一引用例2,3により停電時処理を他の割込処理に優先して実行することが周知の技術思想であったとしても、それは遊技制御処理をメイン処理にて行うことが前提での周知の技術思想であり、これを遊技制御処理と停電時処理とを共に割込禁止設定が可能な割込処理にて行う技術に当てはめることには無理があると言わざるを得ません。従って、該周知の技術思想を先願1に当てはめて、本願の請求項1と実質的に同一の発明であるとの認定は失当であると言わざるを得ません。」(審判請求書(6)出願人の反論(その2))。
確かに、引用例2(上記(3)アで周知例として提示した特開2002-17973号公報)、引用例3(上記(3)アで周知例として提示した特開2001-190743号公報)は、遊技制御処理をメイン処理にて行うものである。
しかしながら、上記(3)アで検討したとおり、先願明細書に記載された発明には、遊技制御処理と電力供給停止時処理を共に割込禁止設定が可能な割込処理で行うものが開示されているから、先願明細書に記載された発明に周知の技術を付加すれば、電力供給停止時処理を他の割込処理である遊技制御処理よりも優先して実行するように構成されることになる。
そして、遊技制御処理をメイン処理で行うか割込処理で行うかは、適宜選択可能なものであり、課題解決のための設計上の微差にすぎないものであるから、原審において、「周知の技術思想を先願1に当てはめて、本願の請求項1と実質的に同一の発明である」とした点に誤りはない。
よって、請求人の主張は採用できない。

(4)まとめ
以上のように、本願補正発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも本願補正発明の発明者が先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるとした原審における補正の却下の決定は適法なものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、原審における補正の却下の決定は適法なものであり、本件補正は却下されているので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成30年6月11日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
遊技に関する制御を実行可能な制御手段と、電源断後もデータを保持可能な記憶手段と、電源断が発生した場合に前記制御手段に停電信号を出力する停電監視手段とを備えた遊技機において、
前記制御手段は、
電源投入した後に実行され、前記記憶手段に保持されたデータを使用して電源断前の状態に復帰させる復帰処理と、
その復帰処理の実行の後に実行され、所定の処理を繰り返し実行する繰り返し処理と、
遊技進行の制御を行う遊技制御処理と、
前記停電監視手段が出力する停電信号が入力された場合に実行される停電時処理とを実行可能であり、
前記遊技制御処理は、割込禁止設定が可能な第1割込処理で実行され、
前記停電時処理は、割込禁止設定が可能であり、かつ、前記第1割込処理と異なる第2割込処理で実行され、
前記所定の処理は、
割込処理ではないメイン処理において繰り返し実行されるものであり、
割込を禁止する割込禁止処理と、
その割込禁止処理後に実行され、所定のランダムデータを更新するための処理を含む制御処理と、
その制御処理後に実行され、割込を許可する割込許可処理とを含んで構成され、
前記制御手段の駆動電圧は、前記電源断が発生した場合に少なくとも前記停電時処理を実行する間は、その停電時処理を実行可能に維持されることを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないというものである。

引用文献2:.特願2001-372061号(特開2003-169905号)

3 刊行物
引用例2及びその記載事項、並びに先願明細書に記載された発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「第2割込処理」に関して、「第1割込処理より割込優先順位が高い」における下線部の限定を削除するものである。
そうすると、上記「第2 3(2)」の検討を踏まえると、本願発明と先願明細書に記載された発明とは、全ての点で一致し、相違点はないから、本願補正発明は、先願明細書に記載された発明と同一である。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-05-08 
結審通知日 2019-05-14 
審決日 2019-05-27 
出願番号 特願2017-96119(P2017-96119)
審決分類 P 1 8・ 161- ZB (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 俊彦  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 平城 俊雅
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人しんめいセンチュリー  

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