• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1353748
審判番号 不服2017-18143  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-06 
確定日 2019-07-25 
事件の表示 特願2016- 17285「自己配列されたパターニング集積化スキームにおけるパターン密度を増加させるための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月 8日出願公開,特開2016-143890〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成28年2月1日(パリ条約による優先権主張2015年2月2日(以下「本願優先日」という。),米国)の出願であって,平成29年2月22日付けで拒絶理由の通知がなされ,同年4月27日付けで意見書および手続補正書の提出がなされ,同年9月5日付けで拒絶査定がなされた。
これに対して,平成29年12月6日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書の提出がなされ,当審において,平成30年11月2日付けで拒絶理由の通知がなされ,平成31年1月31日付けで意見書および手続補正書(以下「本件補正」という。)の提出がなされたものである。

2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりである。

「【請求項1】
集積化スキームを使用して,基板上で構造のパターン密度を増加させるための方法であって,前記集積化スキームにおける2つ以上の集積化操作変数を集積化目標に合うように制御する,前記方法は,以下のステップ:
パターン化された層および下部層を有する基板を提供するステップであって,前記パターン化された層は第1のマンドレルを含む,ステップ;
前記パターン化された層の上で第1のコンフォーマル層を創出する第1のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ;
前記第1のコンフォーマル層上で第1のRIEプロセスを行うステップであって,前記第1のRIEプロセスにより,第1のスペーサーパターンが創出される,ステップ;
第1のマンドレルプルプロセスを行うステップであって,前記第1のマンドレルプルプロセスにより,前記第1のマンドレルが除去される,ステップ;
第2のコンフォーマル層を創出する第2のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ;
前記第2のコンフォーマル層上で第2のRIEプロセスを行うステップであって,前記第2のRIEプロセスにより,第2のスペーサーパターンが創出され,前記第1のスペーサーパターンは,第2のマンドレルとして使用される,ステップ;
第2のマンドレルプルプロセスを行うステップであって,前記第2のマンドレルプルプロセスにより,前記第1のスペーサーパターンが除去される,ステップ;および
前記第2のスペーサーパターンを前記下部層に転写するステップ,
を含み,
前記集積化スキーム中の,前記第1のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ,前記第2のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ,前記第1のRIEプロセスを行うステップ,前記第2のRIEプロセスを行うステップ,前記第1のマンドレルプルプロセスを行うステップ,前記第2のマンドレルプルプロセスを行うステップ,前記転写するステップのうちの2つ以上のステップは,前記2つ以上の集積化操作変数を制御することに基づいて実行され,
ここで,前記集積化目標には,
前記第1のRIEプロセスにおいて,0.05nm?2.50nmの範囲内で前記下部層の一部を除去する,前記下部層のガウジング,および, 前記第2のRIEプロセスにおいて,1.00nm?5.00nmの範囲内で前記下部層の一部を除去する,前記下部層のガウジング,が含まれ,
ここで,前記第1のコンフォーマル層は,窒化シリコンを含み,前記第2のコンフォーマル層は,酸化アルミニウムを含む,
方法。」

3 当審の拒絶の理由の概要
本願の請求項1?16に係る発明は,本願優先日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1?10に記載された発明に基いて,本願優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献1 :特開2014-145634号公報
引用文献2 :特開2014-072226号公報
引用文献3 :特開2014-150268号公報
引用文献4 :特開2014-096494号公報
引用文献5 :特表2014-511575号公報
引用文献6 :特開2013-012546号公報
引用文献7 :特開2011-066393号公報
引用文献8 :特開2011-129874号公報
引用文献9 :特開2010-199573号公報
引用文献10:国際公開第2013/047464号

4 引用文献および周知技術
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
当審が通知した拒絶の理由で引用された引用文献1には,下記の事項が記載されている。

(ア)「【0031】
図8は,SADPによる回路パターンの製造工程の一例を示す。図8はウェハ断面図のイメージである。また,図9は,SADPによって作成される回路パターンのライン部の幅とスペース部の幅との関係を説明する図である。SADPでは,まず,露光によって形成されたレジストパターン801をサイドウォールとし,成膜(deposition)を行う。この工程の間にエッチングによるサイドウォールの微細化(Slimming)などの工程が入る場合もある。
【0032】
次に,レジストパターン801に対して覆いかぶさるように形成された皮膜802(図8ではシリコン酸化膜)に対してエッチング(Spacer Etch)を行って薄膜部803を除去するSpacer Etchを行う。これにより,レジストパターンの側面に製造される厚膜部804のみが残る。残った厚膜部804をマスクとしてエッチング(HM Etch)を行うことで,ウェハ上に配線部805のみを形成する。ここで,「HM」とは,Hard Maskの略語である。」

(イ)図8


(ウ)「【0035】
図10は,連続したラインの回路パターンをSADPで作成する場合のイメージである。SADPにおいて,レジストパターン801と皮膜802の薄膜部803をエッチングで除去した場合,レジストパターン801が存在した部分の幅1001aと1001bがほぼ同一であり,レジストパターン間にできた厚膜部1003bと1003cとの間の幅1002aと,レジストパターン間にできた厚膜部1003dと1003eとの間の幅1002bとがほぼ同一である。すなわち,1001a≒1001b,1002a≒1002bと仮定する。また,厚膜部1003a?1003eの幅もほぼ同一である。すなわち,1003a≒1003b≒1003c≒1003d≒1003eと仮定する。」

(エ)図10



(オ)「【0048】
図12は,SAQPによる回路パターンの製造工程の一例を示す。図12は,ウェハ断面図のイメージである。図12のSpacer Etch 1は,連続したラインパターンを示した図10のSpacer Etchの一部を抜粋したものである。エッチング(Spacer Etch 1)でレジストパターン801と皮膜802を取り除くまではSADPと同じ製造工程である。
【0049】
Spacer Etch 1で作られた厚膜部804をサイドウォールとして,成膜(Deposition 2)を再度実施し,皮膜1201を作成する。作成した皮膜1201に対して成膜除去を行い,厚膜部1202と厚膜部804のみを残す。
【0050】
次に,エッチング(Spacer Etch 2)を行って厚膜部804で作られたサイドウォールを除去する。残った厚膜部1203をHard Maskとし,HM Etchを実施して,SAQPによるゲート1204を作成する。」

(カ) 図12


イ 引用発明
引用文献1のSAQPの製造工程は,最初に,図8および図10に記載されたSADPのSpacer Etchまでの製造工程により,図12のSpacer Etch 1を形成し,次に,図12のDepositiion 2以降の工程を行うものであることが,上記(ア),(ウ)および(オ)に記載されている。
そこで,最初に,SADPの製造工程を検討すると,
・ある層の上面にレジストパターン801を成膜する。
・レジストパターン801に対して覆いかぶさるように皮膜802を形成する。
・皮膜802に対してエッチングを行って薄膜部803を除去するSpacer Etchを行い,レジストパターン801の側面に製造される厚膜部804のみを残す。
の順の製造工程が上記(ア)?(エ)の記載から読み取ることができる。
次に,SADPに続くSAQPの製造工程を検討すると,
・Spacer Etch 1で作られた厚膜部804に対して覆いかぶさるように皮膜1201を作成する。
・作成した皮膜1201に対して成膜除去を行い,厚膜部1202と厚膜部804のみを残す。
・エッチング(Spacer Etch 2)を行って厚膜部804で作られたサイドウォールを除去する。
・残った厚膜部1203をHard Maskとし,HM Etchを実施して,SAQPによるゲート1204を作成する。
の順の製造工程が上記(オ)および(カ)の記載から読み取ることができる。
よって,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ある層の上面にレジストパターン801を成膜し,
レジストパターン801に対して覆いかぶさるように皮膜802を形成し,
皮膜802に対してエッチングを行って薄膜部803を除去して,レジストパターン801の側面に製造される厚膜部804のみを残し,
残された厚膜部804に対して覆いかぶさるように皮膜1201を作成し,
作成した皮膜1201に対して成膜除去を行い,厚膜部1202と厚膜部804のみを残し,
エッチングを行って厚膜部804で作られたサイドウォールを除去し,
残った厚膜部1203をHard Maskとし,HM Etchを実施して,SAQPによるゲート1204を作成する,
SAQPの製造方法。」

(2)引用文献2
当審が通知した拒絶の理由で引用された引用文献2には,次の事項が記載されている。

ア 「【0023】
次いで,図1(b)に示すように,SADPにより,ラインカット用薄膜12にレジストパターン16の約半分の線幅およびピッチのラインアンドスペースパターンである薄膜パターンを形成する(工程2)。
【0024】
具体的には,図3の状態から,レジストパターン16のスリミングを行い(図4),次いで,レジストパターン16の上にスペーサとなるSiO2膜17を形成し(図5),その後,ドライエッチング(RIEによる異方性エッチング)によりスペーサエッチングを行ってスペーサパターン18を形成する(図6)。その後,図7に示すように,スペーサパターン18をマスクとしてドライエッチング(RIEによる異方性エッチング)した後,図8に示すように,残存するSOC膜13,反射防止膜14およびSiO2膜17を除去して,ラインカット用薄膜12にレジストパターン16の約半分のピッチのラインアンドスペースパターンである薄膜パターン19を形成する。」

イ 図5



ウ 図6


(3)引用文献4
当審が通知した拒絶の理由で引用された引用文献4には,次の事項が記載されている。

ア 「【0022】
ハードマスク層102の材料は、基材101に対してエッチング選択性の良い材料で構成することが好ましく、例えば、クロム、チタン、タンタルなどの金属又は金属化合物、酸化シリコン、窒化シリコン、モリブデンシリサイドなどの半導体化合物などを挙げることができる。ハードマスク層102は、材料に応じて物理蒸着法、スパッタ法、CVD法などの真空成膜法により形成することができる。
・・・中略・・・
【0027】
(3)側壁材料膜形成工程(図1(C)参照)
芯材パターン103と,芯材パターン103から露出したハードマスク層102とを覆うように側壁材料膜104を形成する。側壁材料膜104は,加工されて後述する側壁パターンとなる層である。側壁材料膜104の材料は,例えば,クロム,チタン,タンタルなどの金属又は金属化合物,多結晶シリコンなどの半導体,シリコン酸化物,シリコン窒化物,シリコン酸窒化物などのシリコン化合物の中から適宜選択するとよい。側壁材料膜104は,ハードマスク層102をエッチングするエッチャントに対するエッチング耐性がハードマスク層102よりも高い材料により構成することがハードマスクの加工性の観点から好ましい。例えば,ハードマスク層102をエッチングする際の,側壁材料膜のエッチングレートをRs,ハードマスク層のエッチングレートをRhとしたときに,Rh≧10×Rsであることが好ましい。側壁材料膜104は,材料に応じて物理蒸着法,スパッタ法,CVD法,原子層堆積(ALD)法などの真空成膜法により形成できる。なかでも原子層堆積(ALD)法は,0.1nm?100nmの原子層を均一に成膜することができることから,好適な成膜手法である。芯材パターン103の側壁に形成された側壁材料膜104の厚みは,側壁パターンの幅に相当するものであり,得たいパターン寸法に応じて適宜設定すればよい。」

イ 図1


(4)引用文献6
当審が通知した拒絶の理由で引用された引用文献6には,次の事項が記載されている。

「【0056】
第1実施形態では,上部電極15をマスクとするほか,上部電極15の上に専用のハードマスクを用いてもよい(不図示)。ハードマスクの材料としては,ビーム状のガスクラスタイオン40の照射によって磁気抵抗効果素子のドライエッチング加工を施すために,耐性の強い,酸化シリコン(SiO_(2)),酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3)),カーボン(C),および炭化シリコン(SiC)等よりなる群から選択されるいずれかを用いる。ハードマスクを用いる場合は,コンタクト層としての上部電極15(例えば,Ta電極)を,上述したハードマスクもしくはその上に形成されたレジストマスクを用いてRIEによって加工する。」

(5)引用文献10
当審が通知した拒絶の理由で引用された引用文献10には,次の事項が記載されている。

ア 「[0001] 【発明の詳細な説明】 エッチング方法及び装置
本発明は、基板上の酸化シリコン膜を窒化シリコン膜に対して選択的にエッチングする方法及び装置に関する。
・・・・・中略・・・
[0006] ところで,ダブルパターニング技術においては,窒化シリコン膜上に形成された酸化シリコン膜をエッチングする工程が必要になる。この場合,酸化シリコン膜の窒化シリコン膜に対する選択比を高くし,窒化シリコン膜にリセスが発生するのを抑制することが要請される。」

イ 「[0018] 図1(C)に示すように,ポリシリコン膜2a上には,膜厚がコンフォーマルな(膜厚が一定な)酸化シリコン膜5が形成される。酸化シリコン膜5は,例えば化学的気相成長(CVD)法により形成される。
[0019] 酸化シリコン膜5は,ポリシリコン膜2aの上面,ポリシリコン膜2aの左右の側壁,およびポリシリコン膜2a間の窒化シリコン膜1の上面に形成される。ポリシリコン膜2aの側壁に形成される酸化シリコン膜5の厚さは,ポリシリコン膜2aの幅に一致する。隣り合うポリシリコン膜2a間の間隔は,ポリシリコン膜2aの幅の3倍であるから,隣り合うポリシリコン膜2aの側壁に形成された酸化シリコン膜5の間には,ポリシリコン膜2aの幅に等しい幅のスペース6が空く。
[0020] 図1(D)に示すように,ポリシリコン膜2aの側壁に酸化シリコン膜5からなるスペーサ5aを形成するために,ポリシリコン膜2aの上面およびポリシリコン膜2a間の窒化シリコン膜1の上面に形成された酸化シリコン膜5を異方性エッチングする。図1(C)から図1(D)に至るエッチング工程に,本発明の第一の実施形態のエッチング方法が適用される。本発明の第一の実施形態のエッチング方法については追って詳述する。
[0021] 図1(E)に示すように,ポリシリコン膜2aのみをエッチングして除去する。そうすると,レジストパターン4aの倍の数のスペーサ5aが形成される。スペーサ5aは,ライン/スペースパターンを備える。窒化シリコン膜1aは,スペーサ5aをマスクとして窒化シリコン膜1をエッチングすることによって形成される(図1F)。
[0022] 図2は,本発明の第一の実施形態のエッチング方法の工程図(図1(C)から図1(D)に至るエッチングの工程図)を示す。このエッチング方法では,ポリシリコン膜2aの側壁に酸化シリコン膜5からなるスペーサ5aを形成するために,ポリシリコン膜2aの上面およびポリシリコン膜2a間の窒化シリコン膜1の上面に形成される酸化シリコン膜5を異方性エッチングする。本発明の第一の実施形態のエッチング方法は,ラジアルラインスロットアンテナを備えたエッチング装置内で行われる。」

ウ 図1


エ 図2


オ 「[0033] ポリシリコン膜2aの上面及び窒化シリコン膜1の上面の酸化シリコン膜5のエッチングが終了し、ポリシリコン膜2aの上面2b及び窒化シリコン膜1の上面1bが露出したとき、エッチングが停止される。酸化シリコン膜5の窒化シリコン膜1に対する選択比(酸化シリコン膜5のエッチングレート/窒化シリコン膜1のエッチングレート)が1以上であれば、酸化シリコン膜5をオーバーエッチングしても、窒化シリコン膜1の上面1bにリセスが発生するのを抑制することができる。また、選択比が1以上であれば、ウェハWのセンター部分がウェハWのエッジ部分よりも早くエッチングが進行しても、センター部分の窒化シリコン膜1の上面1bに発生するリセスを低減することができる。なお、リセス(窒化シリコン膜1の上面1bがエッチングされたことにより生じる窪み)の許容される値は、4nm以下である。」

カ 「[0040] Ar/CHF_(3)/O_(2)のガス流量を450/16/2(単位は全てsccm)に設定したときと、450/60/2に設定したときとで、窒化シリコン膜1に発生するリセスの大きさを比較したところ、CHF_(3) のガス流量を上げることにより、窒化シリコン膜1のリセスの大きさを半分に低減することができた。炭素系堆積物が窒化シリコン膜1の表面に堆積し、窒化シリコン膜1を保護したからである。
・・・中略・・・
[0042] 次に、表2に示すエッチング条件を使用し、RFバイアスを100W、90W、80W、70Wに変化させ、選択比のバイアス依存性を実験した。RFバイアスを100W、90W、80Wに低くすると、窒化シリコン膜1に生成されたリセスも徐々に小さくなった。そして、RFバイアスを70Wにすると、窒化シリコン膜1に生成されたリセスをほぼなくすことができた。しかし、RFバイアスを70W未満に低下させると、酸化シリコン膜5のエッチングレートが低下してしまう。酸化シリコン膜5のエッチングレートを確保するために、RFバイアスを70W以上にするのが望ましい。」

キ 「[0064] なお、本実施の形態では、300mmウェハを対象としたエッチングについて説明したが、これにとらわれず、例えば、ガスの流量やRFバイアスパワー等の各種パラメーターは、基板wの面積や処理容器の容積等を用いて換算することで適宜変更することができる。」


ク リセスの抑制について
上記アから,ダブルパターニング技術は,窒化シリコン膜からなる基板の上に形成された酸化シリコン膜を選択的にエッチングするものであるから,引用文献10には,下記の事項が記載されていると認められる。

「ダブルパターニング技術においては,基板にリセスが発生するのを抑制することが要請される。」

ケ リセスの抑制方法と許容範囲について
上記イ?キから,RFバイアスをかけて異方性エッチングを行う引用文献10には,下記の事項が記載されていると認められる。
「リセスの発生を抑制するために,RIEによる異方性エッチングのパラメータであるガス流量およびRFバイアスを調整することでリセスの大きさを制御して,リセスの許容される範囲を4nm以下とすること。」

(6)周知技術
ア 上記(2)から,引用文献2には,SADPにおいて,RIEによる異方性エッチングを用いてスペーサパターンを形成することが記載されている。
上記(5)から,引用文献10には,RFバイアスをかけてエッチングすることが記載されているので,引用文献10には,ダブルパターンニング(SADP)において,RIEによる異方性エッチングによりスペーサ5aを形成することが記載されていると認められる。
そうすると,以下の点は周知技術であると認められる。
「SADPにおいて,RIEによる異方性エッチングによりスペーサを形成すること。」

イ 上記(3)から,引用文献4には,ハードマスク層の材料に酸化シリコンおよび窒化シリコンを用いること,側壁材料膜104の材料にシリコン酸化物およびシリコン窒化物を用いることが記載されている。
上記(4)から,引用文献6には,ハードマスクの材料に酸化シリコン(SiO_(2))および酸化アルミニウム(Al_(2)O_(3))を用いることが記載されている。
また,1/4ピッチのパターンを形成する技術が記載された特開2012-178378号公報の段落【0017】には,本願発明の「第1のコンフォーマル層」および引用発明の「皮膜802」に対応する二酸化シリコン膜105の材質について,
「二酸化シリコン(SiO2)膜105の成膜は、低温(140℃以下)で二酸化シリコン膜105を形成することのできるMLD(Molecular Layer Deposition)法を用いることが好ましい。また、二酸化シリコン膜105に限らず、成膜時にフォトレジストにダメージを与えないようなレジストのガラス転移温度以下の温度で形成可能な膜であれば他の材質の膜を用いてもよい。例えば、酸化アルミニウム(AlxOy)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化チタン(TiOx)、窒化シリコン(SiN)、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどの材質の膜を用いてもよい。」
が記載されており,膜105はハードマスクとして用いられるものと認められる。
そうすると,以下の点は周知技術であると認められる。
「窒化シリコンおよび酸化アルミニウムをハードマスクの材料として用いること。」

5 当審の判断
(1)対比
ア 「マンドレル」および「コンフォーマル層」について
「マンドレル」は,機械加工での芯棒,金属形成での母型の筒などを意味する用語として用いられている。
また,本願発明では,「第1のマンドレル」および「第2のマンドレル」の上に「第1のコンフォーマル層」および「第2のコンフォーマル層」を堆積させることで,「コンフォーマル層」が「マンドレル」を芯としその外形にコンフォーマル(共形)となるように形成されたものと認められる。
そして,引用発明では,「レジストパターン801に対して覆いかぶさるように皮膜802を形成」することで,「皮膜802」は引用文献1の図8に記載されているように「レジストパターン801」を芯としてその外形にコンフォーマル(共形)となるように形成されたものである。同様に,「残された厚膜部804に対して覆いかぶさるように皮膜1201を作成」することで,「皮膜1201」は引用文献1の図12に記載されているように「厚膜部804」を芯としてその外形にコンフォーマル(共形)となるように形成されたものである。
そうすると,引用発明の「レジストパターン801」,「厚膜部804」,「皮膜802」および「皮膜1201」は,それぞれ本願発明の「第1のマンドレル」,「第2のマンドレル」,「第1のコンフォーマル層」および「第2のコンフォーマル層」に相当する。

イ 「スペーサーパターン」について
本願発明では,第2のコンフォーマル層が第2のRIEプロセスによりエッチングされて「第2のスペーサーパターン」が創出され,エッチングで残った「第1のスペーサーパターンは,第2のマンドレルとして使用される」ことになる。
引用発明では,皮膜1201が成膜除去されて,厚膜部1202と厚膜部804のみが残されることになり,その後に厚膜部804がエッチングされた後も「厚膜部1202」は「厚膜部1203」として残ることになる。
そうすると,引用発明の「厚膜部804」は,本願発明の「第2のマンドレル」として使用される「第1のスペーサーパターン」に相当し,引用発明の「厚膜部1202」は,本願発明の「第2のスペーサーパターン」に相当する。

ウ 「基板を提供するステップ」について
上記アより,引用発明の「レジストパターン801」は,本願発明の「第1のマンドレル」に相当しており,引用発明の「レジストパターン801」はその下部層である「ある層」が形成された基板に成膜されるものと認められるので,引用発明も,本願発明の「パターン化された層および下部層を有する基板を提供するステップであって,前記パターン化された層は第1のマンドレルを含む,ステップ」を含むものである。

エ 「第1のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ」について
上記アより,引用発明の「皮膜802」は,本願発明の「第1のコンフォーマルスペーサー」に相当するので,引用発明の「レジストパターン801に対して覆いかぶさるように皮膜802を形成し」は,本願発明の「前記パターン化された層の上で第1のコンフォーマル層を創出する第1のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ」に相当する。

オ 「第2のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ」について
上記アより,引用発明の「皮膜1201」は,本願発明の「第2のコンフォーマルスペーサー」に相当するので,引用発明の「残された厚膜部804に対して覆いかぶさるように皮膜1201を作成し」は,本願発明の「第2のコンフォーマル層を創出する第2のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ」に相当する。

カ 「第1のRIEプロセスを行うステップ」および「第1のマンドレルプルプロセスを行うステップ」について
引用発明では,レジストパターン801を覆う皮膜802をエッチングして,皮膜802の「薄膜部803を除去」し,皮膜802の「厚膜部804のみを残」すものであるが,レジストパターン801上に皮膜802が積層する構造から,最初にエッチングされるのはレジストパターン801を覆っている皮膜802の薄膜部803であり,薄膜部803が除去されるとレジストパターン801と厚膜部804が残るので,次にレジストパターン801を除去することで,厚膜部804のみが残る処理がなされることになる。
そうすると,引用発明では,薄膜部803のエッチングにより,本願発明の「第1のスペーサーパターン」に相当する「厚膜部804」を創出し,薄膜部803を除去した後に本願発明の「第1のマンドレル」に相当する「レジストパターン801」を除去する処理をしていることになるから,本願発明と引用発明は,「第1のスペーサーパターンが創出される,ステップ;第1のマンドレルプルプロセスを行うステップであって,前記第1のマンドレルプルプロセスにより,前記第1のマンドレルが除去される,ステップ;」を含んでいる点で共通している。

キ 「第2のRIEプロセスを行うステップ」について
上記アおよびイより,引用発明の「厚膜部804」は,本願発明の「第2のマンドレル」として使用される「第1のスペーサーパターン」に相当し,引用発明の「皮膜1201」および「厚膜部1202」は,それぞれ本願発明の「第2のコンフォーマル層」および「第2のスペーサーパターン」に相当している。
そうすると,本願発明の「前記第2のコンフォーマル層上で第2のRIEプロセスを行うステップであって,前記第2のRIEプロセスにより,第2のスペーサーパターンが創出され,前記第1のスペーサーパターンは,第2のマンドレルとして使用される,ステップ」と,引用発明の「作成した皮膜1201に対して成膜除去を行い,厚膜部1202と厚膜部804のみを残し」とは,「前記第2のコンフォーマル層上で行う処理により,第2のスペーサーパターンが創出され,前記第1のスペーサーパターンは,第2のマンドレルとして使用される,ステップ」である点で共通している。

ク 「第2のマンドレルプルプロセスを行うステップ」について
上記イより,引用発明の「厚膜部804」は,本願発明の「第2のマンドレル」として使用される「第1のスペーサーパターン」に相当するので,引用発明の「エッチングを行って厚膜部804で作られたサイドウォールを除去し」は,本願発明の「第2のマンドレルプルプロセスを行うステップであって,前記第2のマンドレルプルプロセスにより,前記第1のスペーサーパターンが除去される,ステップ」に相当する。

ケ 「前記第2のスペーサーパターンを前記下部層に転写するステップ」について
引用発明では,厚膜部1203をHard Maskとし,HM Etchを実施して,SAQPによるゲート1204を作成するものであるが,その際,厚膜部1203の下に存在する「ある層」以下の下部層に対して,厚膜部1203はHard Maskとなるから,引用発明は,本願発明の「前記第2のスペーサーパターンを前記下部層に転写するステップ」を含むものである。

コ 「集積化スキーム」について
本願発明の「集積化スキーム」とは,「前記第1のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ」等の各ステップであると認められるので,引用発明の「成膜」や「除去」等の各処理は,本願発明の「集積化スキーム」に対応する。

サ 「基板上で構造のパターン密度を増加させるための方法」について
引用発明の「SAQPの製造方法」は,基板上で構造のパターン密度を増加させる製造方法の1つであるから,引用発明も「基板上で構造のパターン密度を増加させるための方法」であるといえる。

(2)一致点と相違点
上記ア?シから,本願発明と引用発明は,次の点で一致,また相違する。

ア 一致点
「集積化スキームを使用して,基板上で構造のパターン密度を増加させるための方法であって,前記方法は,以下のステップ:
パターン化された層および下部層を有する基板を提供するステップであって,前記パターン化された層は第1のマンドレルを含む,ステップ;
前記パターン化された層の上で第1のコンフォーマル層を創出する第1のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ;
前記第1のコンフォーマル層上で行う処理により,第1のスペーサーパターンが創出される,ステップ;
第1のマンドレルプルプロセスを行うステップであって,前記第1のマンドレルプルプロセスにより,前記第1のマンドレルが除去される,ステップ;
第2のコンフォーマル層を創出する第2のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ;
前記第2のコンフォーマル層上で行う処理により,第2のスペーサーパターンが創出され,前記第1のスペーサーパターンは,第2のマンドレルとして使用される,ステップ;
第2のマンドレルプルプロセスを行うステップであって,前記第2のマンドレルプルプロセスにより,前記第1のスペーサーパターンが除去される,ステップ;および
前記第2のスペーサーパターンを前記下部層に転写するステップ,
を含む,
方法。」

イ 相違点1
本願発明では,「第1のRIEプロセス」により「第1のスペーサーパターン」を創出し,「第2のRIEプロセス」により「第2のスペーサーパターン」を創出することが特定されているのに対し,引用発明では,「皮膜802」および「皮膜1201」の除去にどのようなエッチングを行うかが定かではない点。

ウ 相違点2
本願発明は,「前記集積化スキームにおける2つ以上の集積化操作変数を集積化目標に合うように制御する」ものであって,「前記集積化スキーム中の,前記第1のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ,前記第2のコンフォーマルスペーサー堆積を行うステップ,前記第1のRIEプロセスを行うステップ,前記第2のRIEプロセスを行うステップ,前記第1のマンドレルプルプロセスを行うステップ,前記第2のマンドレルプルプロセスを行うステップ,前記転写するステップのうちの2つ以上のステップは,前記2つ以上の集積化操作変数を制御することに基づいて実行され,
ここで,前記集積化目標には,
前記第1のRIEプロセスにおいて,0.05nm?2.50nmの範囲内で前記下部層の一部を除去する,前記下部層のガウジング,および, 前記第2のRIEプロセスにおいて,1.00nm?5.00nmの範囲内で前記下部層の一部を除去する,前記下部層のガウジング,が含まれ」るものであるのに対し,引用発明では,集積化のための操作変数を制御することは特定されていない点。

エ 相違点3
本願発明は,「前記第1のコンフォーマル層は,窒化シリコンを含み,前記第2のコンフォーマル層は,酸化アルミニウムを含む」のに対し,引用発明は,「被膜802」はシリコン酸化膜であり,「被膜1201」は,材料が特に記載されていない点。

(3)相違点の判断
ア 相違点1について
基板上で構造のパターン密度を増加させる方法であるSADPにおいて,RIEによる異方性エッチングによりスペーサを形成することは,上記4(6)アに記載したように周知技術である。
そして,引用発明の「厚膜部804」および「厚膜部1202」は,本願発明の「第1のスペーサーパターン」および「第2のスペーサーパターン」に相当しており,引用発明では,皮膜1201の成膜除去において,厚膜部1202が残るように皮膜1201の薄膜部を除去しなければスペーサパターンは形成できないことを踏まえると,引用発明の成膜除去では,等方性エッチングではなく異方性エッチングを用いなければならないことは明らかである。
そうすると,SAQPの製造方法である引用発明において,「皮膜802に対してエッチングを行って薄膜部803を除去」する際,および,「皮膜1201に対して成膜除去を行い,厚膜部1202と厚膜部804のみを残」す際に,「RIEプロセス」を採用することは,当業者が普通に行う事項にすぎない。

イ 相違点2について
SADPにおいて,コンフォーマル層を異方性エッチングする際,コンフォーマル層の下側の層もエッチングされてリセスが発生してしまうので,このリセスの発生を抑制することが要請されており,そのようなリセスの発生を抑制するために,RIEのパラメータであるガス流量およびRFバイアスを調整してリセスの大きさを制御できること,リセスの許容される範囲は4nm以下であることが引用文献10に記載されている。
また,本願発明では,「前記第1のRIEプロセスにおいて,0.05nm?2.50nmの範囲内で前記下部層の一部を除去する,前記下部層のガウジング」および「前記第2のRIEプロセスにおいて,1.00nm?5.00nmの範囲内で前記下部層の一部を除去する,前記下部層のガウジング」を特定しているが,本願明細書および図面の記載からは,それらの数値範囲にしたことによる臨界的意義は認められない。
さらに,本願発明では,第1のRIEプロセスにおける下部層のガウジングの範囲と,第2のRIEプロセスにおける下部層のガウジングの範囲は,0.1nm?2.50nmの範囲内で重なっているので,第1のRIEプロセスにおける下部層のガウジングの範囲が第2のRIEプロセスにおける下部層のガウジングの範囲より大きい場合も含まれた発明であり,また,本願明細書および図面の記載からは,第1のRIEプロセスにおける下部層のガウジングの範囲を第2のRIEプロセスにおける下部層のガウジングの範囲より小さくしたことによる技術的な意義や,そのことによる効果は記載されていない。
そうすると,SAQPの製造方法である引用発明においても,皮膜802の下の層および皮膜1201の下の層にリセスの発生を抑制しなければならないことは明らかであり,RIEプロセスを用いて皮膜802の除去および皮膜1201の除去する際には,皮膜の材質等に応じてガス流量およびRFバイアスを適宜調整してリセスを4nm以下の所定の範囲内とすること,即ち,「第1のRIEプロセスを行うステップ」に相当する「皮膜802の除去」および「第2のRIEプロセスを行うステップ」に相当する「皮膜1201の除去」の2つのステップにおいて,「2つ以上の集積化操作変数」に相当するガス流量およびRFバイアスを制御して,「集積化目標」である特定されたガウジングの範囲に相当するリセスを4nm以下の所定の範囲内とすることで,相違点2の構成を採用することは,引用文献10の記載から当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点3について
引用発明における「被膜802」および「被膜1201」は,ハードマスクとして用いられるものであるところ,窒化シリコンおよび酸化アルミニウムをハードマスクの材料として用いることは,上記4(6)イに記載したように周知技術である。
また,本願明細書および図面には,第1のコンフォーマル層が窒化シリコンを含み,第2のコンフォーマル層が酸化アルミニウムを含むことによる技術的な意義や,そのことによる効果は記載されていない。
そうすると,引用発明において,被膜802が窒化シリコンを含み,被膜1201が酸化アルミニウムを含むものとして相違点3を構成とすることは,ハードマスクとして通常用いられる材料の中から当業者が適宜選択したものに過ぎず,格別な困難性を有するものではない。

エ 作用効果について
審判請求人は,平成31年1月31日付け意見書の「5.理由2」において,
・「つまり、引用文献1の被膜802,1101は、そもそも本願発明の第1のコンフォーマル堆積によって創出された第1のコンフォーマル層および第2のコンフォーマル堆積によって創出された第2のコンフォーマル層のいずれにも相当しません。」
・「本願発明によれば,第1のコンフォーマル層および第2のコンフォーマル層をコンフォーマル堆積により形成することにより,第1のRIEプロセスによって第1のスペーサーパターンを創出し,第2のRIEプロセスによって第2のスペーサーパターンを創出するという構成を採っており,膜厚をより精密にコントロールすることが可能となり,より高い密度の集積化スキームを達成することができる,という顕著な効果を奏します。
さらに,本願発明によれば,上記のような構成を有することにより,第1および第2のRIEプロセス中の下部層のガウジングを含む所望の範囲内での半導体パターニングの集積ターゲットを達成することができるという顕著な効果を奏します(段落0014,0015)。この半導体パターニングプロセス中に集積ターゲットを達成する能力は,基板上に高密度パターニングを提供するのに必要な下地ターゲット層の数を減少させ,それによって半導体パターニングプロセスの全体的なコストおよび時間を著しく低減することができるという顕著な効果を奏します。」
・「ここで重要なことは,本願発明においては,第1のRIEプロセスと第2のRIEプロセスとによって第1のスペーサーパターンと第2のスペーサーパターンとが下部層上にそれぞれ創出されますが,第1のスペーサーパターンは下部層には転写されず,第2のスペーサーパターンのみが下部層に転写される,ということです。
このように,第1のスペーサーパターンは下部層に転写されないので,第1のRIEプロセス中のガウジングは,第2のRIEプロセス中のガウジングに比べて,より小さい最小の範囲に抑えられる必要があります。なぜなら,第1のRIEプロセス中の下部層へのガウジングが最小の範囲に抑えられなければ,第1のRIEプロセスにおいて残されることが意図されている,本来除去されないはずであった下部層の部分が除去されてしまい,第2のスペーサーパターンを下部層に転写することによって下部層に形成されるべきパターンの密度が減少してしまうからです。
本願発明のように,第1のRIEプロセス中の下部層のガウジングを,請求項1および請求項9記載の上記の最小の範囲に維持することにより,本願発明の方法によれば,第1のRIEプロセスを行う前に,下部層と第1および第2のパターン層との間にターゲット層(例えば,本願の明細書段落0012,13に記載の「ターゲット層34」および図1B参照)を堆積させる必要がなくなります。そして「ターゲット層の必要性および基板上にこれらの層を堆積するために必要な時間が排除されることにより顕著な節約を得ることができる」という顕著な効果を奏します(段落0014)。
このように,第1のRIEプロセスにおけるガウジングを,第2のRIEプロセスにおけるガウジングより小さい最小の範囲におさえることによって,ターゲット層の排除を可能にしつつ,所望のパターニング密度を達成することができる,という顕著な効果を奏します。」
・「さらに,仮に,単に『プロセスの複数のパラメータを調整することは,当業者が適宜なしうる事項』であったとしても,2つ以上のプロセス/ステップにおいて2つ以上の集積化変数を制御することは,当業者が容易に想起し得たものではありません。
さらに「2つ以上のプロセス又はステップは,前記2つ以上の集積化操作変数を制御する」という構成がなければ,「前記第1のRIEプロセスにおいて,0.05nm?2.50nmの範囲内で前記下部層の一部を除去する,前記下部層のガウジング,および,前記第2のRIEプロセスにおいて,1.00nm?5.00nmの範囲内で前記下部層の一部を除去する,前記下部層のガウジング」という,構成を達成することができません。
また,かかる集積化目標も引用文献1乃至10のいずれにも開示も示唆もされておりません。従って,仮に,引用文献2乃至10に記載の発明において,単に『パラメータを調整』したとしても,本願発明の構成のようにすることはできません。そして,このような構成を有することにより,上記の(2)で述べたような本願発明特有の顕著な作用効果を奏することができます。」
と主張している。
しかしながら,
・上記5(1)に記載したように,引用発明では,「レジストパターン801に対して覆いかぶさるように皮膜802を形成」することで,「皮膜802」は引用文献1の図8に記載されているように「レジストパターン801」を芯としてその外形にコンフォーマル(共形)となるように形成されたものであるから,引用発明の「皮膜802」および「皮膜1201」は,本願発明の「第1のコンフォーマル層」および「第2のコンフォーマル層」に相当する。
・上記5(1)に記載したように,引用発明も第1のコンフォーマル層および第2のコンフォーマル層をコンフォーマル堆積により形成し,第1のスペーサーパターンおよび第2のスペーサーパターンを創出しており,上記5(3)アに記載したように,引用発明に「RIEプロセス」を採用することは当業者が普通に行う事項にすぎないこと。
・引用発明でも,第1のスペーサーパターンに相当する「厚膜部804」はその下の層に転写せず,第2のスペーサーパターンに相当する「厚膜部1203」がその下の層に転写されており,また,上記5(3)イに記載したように,本願発明は,「第1のRIEプロセスにおけるガウジングを,第2のRIEプロセスにおけるガウジングより小さい最小の範囲におさえる」ものとはなっていない。
・上記5(3)イに記載したように,リセスの発生を抑制するために,RIEのパラメータであるガス流量およびRFバイアスを調整してリセスの大きさを制御すること,リセスの許容される範囲は4nm以下であることが引用文献10に記載され,また,本願発明のガウジングの範囲にしたことによる臨界的意義は認められない。
ことから,上記審判請求人の主張は,採用することができない。

6 むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,本願優先日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明,引用文献2,引用文献4,引用文献6,引用文献10に記載された事項,および周知技術に基いて,本願優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-05-24 
結審通知日 2019-05-28 
審決日 2019-06-10 
出願番号 特願2016-17285(P2016-17285)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 聡一郎  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 加藤 浩一
飯田 清司
発明の名称 自己配列されたパターニング集積化スキームにおけるパターン密度を増加させるための方法  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ