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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1353896
審判番号 不服2018-17141  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-25 
確定日 2019-08-01 
事件の表示 特願2015-85628号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年8月27日出願公開、特開2015-154963号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月31日に出願した特願2013-226671号の一部を平成27年4月9日に新たな特許出願(特願2015-80091号)とし、さらにその一部を同年4月20日に新たな特許出願(特願2015-85628号)としたものであって、平成28年10月17日に手続補正書が提出され、平成29年8月23日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月12日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年3月23日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年5月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月26日付けで、同年5月17日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年12月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年12月25日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年12月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、本件補正前の平成29年10月12日にされた手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A?Kについては発明を分説するため当審で付与した。)。

(本件補正前)
「【請求項1】
A 当否判定条件の成立に起因して遊技の当否判定を行う当否判定手段と、
B 複数種類の図柄を一列に並べてなる図柄列を複数平行に配列して表示すると共に、それら複数の図柄列を横切るように有効ラインが予め設定された図柄表示部と、
C 前記複数の図柄列をスクロールした後、停止して、前記有効ライン上で停止が確定した前記図柄群の組合せが、予め設定された当り図柄組合せであるか否かにより前記当否判定の結果を報知する報知演出実行手段と、
D 遊技者が任意に操作可能な任意操作部と、
E 前記当り図柄組合せの図柄群を前記有効ラインからずれた待機位置に仮停止した後、前記任意操作部の操作に応じて前記仮停止を解除して前記有効ライン上まで移動し、前記当り図柄組合せの図柄群で停止を確定させる再始動演出実行手段と、
F を備えたことを特徴とする遊技機。」

(本件補正後)
「【請求項1】
A 当否判定条件の成立に起因して遊技の当否判定を行う当否判定手段と、
B 複数種類の図柄を一列に並べてなる図柄列を複数平行に配列して表示すると共に、それら複数の図柄列を横切るように有効ラインが予め設定された図柄表示部と、
C 前記複数の図柄列をスクロールした後、停止して、前記有効ライン上で停止が確定した前記図柄群の組合せが、予め設定された当り図柄組合せであるか否かにより前記当否判定の結果を報知する報知演出実行手段と、
D 遊技者が任意に操作可能な任意操作部と、
E 前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ラインまでの距離が一致しない待機位置に仮停止した後、前記任意操作部の操作に応じて前記仮停止を解除して前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ライン上まで移動し、前記当り図柄組合せの図柄群で停止を確定させる再始動演出実行手段と、
F を備えたことを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「E 前記当り図柄組合せの図柄群を前記有効ラインからずれた待機位置に仮停止した後」を、「E 前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ラインまでの距離が一致しない待機位置に仮停止した後」へと変更することにより、「前記当り図柄組合せの図柄群」が「仮停止」する「待機位置」を「前記有効ラインからずれた」ものから、「前記有効ラインまでの距離が一致しない」ものへと下位概念化して減縮する補正を含むものである。
なお、補正前の請求項1に記載された発明特定事項であるEの「前記有効ライン上まで移動し」の直前に「前記当り図柄組み合わせの図柄群が」を付加する補正は、補正前の請求項1においても「前記有効ライン上まで移動し」の主語が「前記当たり図柄組み合わせの図柄群」であると解されるところ、これを明瞭にする補正といえる。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0122】?【0126】及び図28の記載に基づいており、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、前記1(本件補正後)に記載したとおりのものである。
ここで、構成Eの「前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ラインまでの距離が一致しない待機位置に仮停止した後」、「前記仮停止を解除して前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ライン上まで移動し、前記当り図柄組合せの図柄群で停止を確定させる」ことに関して、明細書の「【0125】なお、図柄列31A,31B,31Cを全て再始動するのではなく、2つの図柄列31B,31Cのみを再始動して、ゾロ目の組合せの数字特別図柄32A群が右有効ラインL3上に並ぶようにしてもよい。」との記載を勘案すれば、上記発明特定事項は、当り図柄組合せの図柄群のうちの1つの図柄が有効ラインまでの距離が0である有効ライン上の待機位置に仮停止するとともに、その他の2つの図柄が有効ラインまでの距離が0より大きい待機位置に仮停止した後、前記仮停止を解除して、有効ラインまでの距離が0より大きい待機位置に仮停止した2つの図柄のみを有効ライン上まで移動し、当り図柄組合せの図柄群で停止を確定させる場合も含むと解する。
また、請求人は審判請求書において明細書の段落【0122】?【0126】及び図28を構成Eに関する補正の根拠としていることから、段落【0125】の記載を基に上記の解釈を行うことは妥当であると思料する。

(2)引用文献に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願遡及日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2004-105295号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0002】
【従来の技術】
一般に、図柄を可変表示する図柄表示装置を備えたパチンコ遊技機、スロットマシン等の遊技機においては、予め設定した有効ライン上に特定の図柄の組合せ(当り図柄)が確定表示されると、大当り遊技、ビッグボーナスゲーム等の特別遊技状態が発生するようになってる。」

「【0033】
【発明の実施の形態】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機1の正面図であり、図2はパチンコ機1よりガラス扉枠4及び下皿ユニット8を取り外した状態を示す正面図である。」

「【0040】
主図柄としては、本実施の形態では、図5に示すように、(1)犬種「ボストン・テリア」に数字「1」を付した主図柄、(2)犬種「ピーグル」に数字「2」を付した主図柄、(3)犬種「ポメラニアン」に数字「3」を付した主図柄、(4)犬種「パグ」に数字「4」を付した主図柄、(5)犬種「キャバリア」に数字「5」を付した主図柄、(6)犬種「ウェルシュ・コーギー」に数字「6」を付した主図柄、(7)犬種「ヨークシャ・テリア」に数字「7」を付した主図柄、(8)犬種「シー・ズー」に数字「8」を付した主図柄、(9)犬種「パピヨン」に数字「9」を付した主図柄、がそれぞれ設定されている。このとき、キャラクタ(犬)の左下に、すなわち図柄変動方向の先頭側にそれぞれに対応する数字が付されている。そして、基本的に上記(1)?(9)の主図柄が昇順又は降順に表示されると共に、各主図柄の間にハートからなる副図柄が配されて一連の図柄列が構成されるようになっている。
【0041】
より詳しくは、上段Uにおいては、上記一連の図柄が降順(すなわち、主図柄の番号が減る順)に表示され、また、中段M及び下段Lにおいては、同じく上記一連の図柄が昇順(すなわち、主図柄の番号が増える順)に表示される。そして、上段U→下段L→中段Mの順に変動表示が停止し、その停止時に特別図柄表示装置22上の有効ライン、すなわち縦左ラインL1、縦中ラインL2、縦右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかのラインで主図柄が当り図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当りとして特別遊技動画が表示されるようになっている。なお以下の説明では便宜上、上記(1)?(9)の主図柄を、各々に付された数字で記述することとし、具体的にはそれぞれ「1」図柄、「2」図柄、「3」図柄、・・・「9」図柄と記述する。」

「【0051】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機1の動作について説明する。図6は、メイン制御装置40のCPU41により実行されるメインルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば2msec毎)に繰り返し実行される。」

「【0060】
次に、図7に示す始動入賞処理において、CPU41は、先ずステップS101で遊技球が作動チャッカー17に入賞したか否かを判定する。この判定は、特別図柄始動スイッチ52がオンとされたか否かによって行われる。遊技球が作動チャッカー17に入賞したと判定されると、続くステップS102では、保留球数Nが保留上限値未満であるか否かを判定する。本実施の形態では、保留上限値は4に設定されている。
【0061】
保留球数Nが4未満であれば、ステップS103で保留球数Nを1インクリメントすると共に、続くステップS104で保留ランプ25を左から順に1つ点灯する。さらにステップS105では、図10のカウンタ更新処理のステップS401でRAM44のカウンタ用バッファに格納された内部乱数カウンタ値、リーチ乱数カウンタ値、大当り図柄カウンタ値や、図11の外れ図柄カウンタ更新処理のステップS507でRAM44の外れ図柄バッファに格納された外れ図柄カウンタ集合値(各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値の集合)を、同じくRAM44の所定領域に設定された保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。保留球格納エリアは、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1?第4エリア)とから構成され、各エリアにはそれぞれ内部乱数カウンタ値、リーチ乱数カウンタ値、大当り図柄カウンタ値、外れ図柄カウンタ集合値が格納可能となっている。
【0062】
その後、ステップS106で保留球数Nが値0より大きいか否かを判定すると共に、ステップS107で特別図柄表示装置22で上段U,中段M,下段Lの図柄を変動表示中であるか否か、或いは大当り中であるか否かを判定する。保留球数Nが値0でなく、特別図柄表示装置22が変動表示中或いは大当り中でもなければステップS108に進み、変動許可フラグF1(初期設定時はゼロ)に1をセットし、本ルーチンを終了する。また、保留球数Nが値0であるか、特別図柄表示装置22が変動表示中或いは大当り中であれば、変動許可フラグF1に1をセットせずに本ルーチンを終了する。
【0063】
図8に示す変動開始処理では、CPU41は、先ずステップS201で変動許可フラグF1が1であるか否かを判定する。変動許可フラグF1が1でなければ、そのまま本ルーチンを終了する。また、変動許可フラグF1が1であれば、ステップS202で保留ランプ25を右側から順に1つ消灯すると共に、ステップS203で保留球数Nを1デクリメントし、更にステップS204で保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実施する。このデータシフト処理は、前述の保留第1?第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
【0064】
次に、ステップS205では、表示コマンドを決定する処理を実施する。表示コマンドは、特別図柄表示装置22での上段U、中段M、下段Lの停止図柄を設定する停止図柄コマンドと、各図柄列の変動パターンを設定する変動パターンコマンドとから構成されている。そして表示コマンドの決定後、ステップS206では、当該表示コマンドを表示用制御装置60に送信する。また、続くステップS207では、変動許可フラグF1に値0をセットし、本ルーチンを終了する。表示コマンドを受信した表示用制御装置60は、表示コマンドのうちの変動パターンコマンドに従って特別図柄表示装置22の上段U、中段M、下段Lの各図柄列を変動表示すると共に後述する確定コマンドを受信したときに停止図柄コマンドに従って特別図柄表示装置22の上段U、中段M、下段Lの各図柄列の変動表示を停止する。なお、ステップS205の表示コマンド決定処理は図16のフローチャートに例示されるが、その詳細は後述する。」

「【0066】
変動時間が終了していれば、ステップS303に進み、変動の停止と確認のために設定されている停止図柄を確定コマンドとして表示用制御装置60に送信する。また、ステップS304では、今回の停止図柄が大当り図柄であるか否かを判定し、大当りであればステップS305に進み、大当り実行コマンドを表示用制御装置60などに送信し、本ルーチンを終了する。大当り実行コマンドを受信した表示用制御装置60は、停止図柄表示後、特別図柄表示装置22に特別遊技動画を表示させる。またこのとき、メイン制御装置40は可変入賞装置18の開閉駆動を行う。
【0067】
ここで、上記図8のステップS205における表示コマンド決定処理を図13に従い説明する。本処理において、CPU41は、先ずステップS610で保留球格納エリアの実行エリアに格納されている内部乱数カウンタC1の値に基づき大当りか否かを判定する。具体的には、大当りか否かは内部乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判定され、通常時には内部乱数カウンタの数値0?599のうち7と307が当り値、高確率時には60で割ったときの余りが7となる数(7,67,127,・・・)が当り値と決められている。なお、高確率時とは、予め定められた確率変動図柄によって大当りになると付加価値としてその後の大当り確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時とは、そのような確変状態でない時をいう。」

「【0079】
図16の(a)は、特別図柄表示装置22において上段U、下段L、中段Mの各図柄が一旦停止した状況を示しているが、ここでは、特別図柄表示装置22における上記5つの有効ライン(L1?L5)で何れも図柄が揃っていない。例えば、ラインL2上では停止図柄が上から「8」図柄-「6」図柄-「6」図柄となっており、これではリーチ図柄も成立しておらずかつ当り図柄ともならない外れ図柄とされている。但し、表示画面の右端では、有効ライン以外の仮想ラインである縦ライン(縦右ラインL3よりも右側のラインLX)で「7」図柄が揃っている。かかる場合、変動パターンコマンドが「パターンE」であれば、全図柄の一旦停止時に有効ライン以外であって主図柄の数字部分が視認できるライン上に同じ主図柄が揃っている状態(図16(a)の状態)から各図柄が一斉に再変動を開始する。そして、所定時間の再変動の後、図16の(b)に示すように、前記有効ライン以外のラインで揃っていた主図柄が有効ライン(図ではL2)上で揃った状態になって各図柄が停止し確定する。つまり、「パターンE」にあってはあたかも、有効ライン以外のラインで一旦揃った主図柄が有効ライン内に移動してくるように図柄が変動表示される。これにより、大当りの状態となる。」

「【0091】
(d)上記実施の形態では、特別図柄表示装置22における図柄列の変動方向が横方向とされ、有効ラインが縦3ラインと斜め2ラインの計5ラインとしたものについて例示したが、図柄列の変動方向が上下方向とされ、有効ラインが横3ラインと斜め2ラインの計5ラインとしたものについて適用してもよい。」

「【0094】
(e)上記実施の形態では、「パターンE」において一旦仮想ライン上に大当り図柄が停止した後、再変動し、所定時間経過後に有効ライン上にその大当り図柄が停止し確定するものについて説明したが、再変動後に有効ライン上に停止するまでを一瞬で行うようにしてもよい。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる(a?fについては本願補正発明のA?Fに対応させて付与した。)。

「a 遊技球が作動チャッカー17に入賞し(【0060】)、保留球数Nが4未満であれば保留球数Nを1インクリメントし(【0061】)、保留球数Nが値0でなく、特別図柄表示装置22が変動表示中或いは大当り中でもなければ(【0062】)、変動開始処理(【0063】)の表示コマンド決定処理(【0064】)で大当りか否かを判定するメイン制御装置40のCPU41(【0051】、【0067】)と、
b 上段Uにおいて、各犬種に数字1?9を付した各主図柄の間にハートからなる副図柄が配された一連の図柄を主図柄の番号が減る降順に表示し、また、中段M及び下段Lにおいて、同じく一連の図柄を主図柄の番号が増える昇順に表示する(【0040】、【0041】)と共に、有効ライン、すなわち縦左ラインL1、縦中ラインL2、縦右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5(【0041】)が予め設定された(【0002】)特別図柄表示装置22と、
c 特別図柄表示装置22の上段U、中段M、下段Lの各図柄列を変動表示した後、上段U→下段L→中段Mの順に変動表示を停止し、その停止時に特別図柄表示装置22上の有効ライン、すなわち縦左ラインL1、縦中ラインL2、縦右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかのラインで主図柄が当り図柄の組合せで揃えば大当りとなる停止図柄を表示する表示用制御装置60(【0041】、【0064】、【0066】)と、
e 全図柄の一旦停止時に有効ラインである縦右ラインL3よりも右側の主図柄の数字部分が視認できる有効ライン以外の仮想ラインLX上に同じ主図柄「7」が揃っている状態から各図柄が一斉に再変動を開始し、そして、再変動の後、前記有効ライン以外の仮想ラインLXで揃っていた主図柄「7」が有効ラインである縦中ラインL2上で揃った状態になって各図柄が停止し確定し、あたかも、有効ライン以外の仮想ラインLXで一旦揃った主図柄「7」が有効ラインである縦中ラインL2内に移動してくるように図柄が変動表示されることにより、大当りの状態となるようにする前記表示用制御装置60(【0041】、【0064】、【0079】、【0094】)と、
f を備えたパチンコ機1(【0033】)。」

イ 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願遡及日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2009-136342号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0028】
まず、図1?図4を用いて遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の構成について説明する。図1は、図2のガラス扉枠2を取外した状態のパチンコ遊技機を正面から見た正面図である。図2はガラス扉枠2の前面を示す正面図である。図3は打球供給皿(上皿)3を拡大した平面図である。」

「【0043】
また、回転操作部812は、左周りに回転する左回転操作と、右周りに回転させる右回転操作とを遊技者が任意に行なうことが可能である。」

「【0322】
ステップS757では、実行中のプロセスデータに基づいて、回転操作要求期間の終了後であるか否かを判断する。回転操作要求期間の終了後ではないと判断したときは、処理を終了する。一方、回転操作要求期間の終了後であると判断したときは、ステップS816で読み出した変動パターンコマンドによって所定のチャンス目で飾り図柄を停止させることが示されているか否かを判断する(ステップS758)。具体的には、本実施の形態では、ステップS816で読み出した変動パターンコマンドが「操作演出有変動C」、「操作演出有変動D」、「突確(操作演出有)」、「スーパーリーチA」または「スーパーリーチB」である場合に、演出制御用CPU101は、所定のチャンス目で飾り図柄を停止させる変動パターンコマンドであると判断する(ステップS758のY)。そして、演出制御用CPU101は、遊技者による回転操作が成功したことにもとづく変動パターンに応じたプロセステーブルを選択し(ステップS759)、ステップS761の処理に移行する。」

「【0445】
図74および図75は、本実施の形態において演出表示装置9に表示される演出画面の遷移を示す説明図である。演出表示装置9に飾り図柄の停止図柄が表示されている状態で(図74(a))、始動入賞口13,14に遊技球が入賞すると、演出制御用CPU101は、演出表示装置9の変動表示部に、飾り図柄が可変表示させる(図74(b))。そして、変動パターンが操作演出を実行する変動パターンである場合に(ステップS830のY)、演出制御用CPU101は、ステップS831Aで決定した仮停止図柄を演出表示装置9に表示し(図74(c))、回転操作部812の回転操作を説明する画面を表示する(ステップS754、図74(d))。図74(c)に示す例では、各変動表示部の下段に「3」「5」「7」が仮停止状態で表示されている。そして、図74(d)に示す例では、「回転リングを操作して上段に「753」を完成させよ」という説明文と、回転操作部812の回転操作方向を示す図とが表示され、回転操作部812の回転操作が説明されている。
【0446】
そして、演出制御用CPU101は、回転操作要求期間が終了するとき、または遊技者による決定操作(図43のステップS671,S672参照)がなされるときまで、遊技者によって操作部81になされた回転操作に従って飾り図柄を移動させる(図74(e),図75(f)、図51のステップS752A,S752B,S755参照)。
【0447】
演出制御用CPU101は、ステップS816で読み出した変動パターンコマンドが「突確(操作演出有)」(図26参照)である場合に、所定のチャンス目で飾り図柄を停止させる変動パターンコマンドであると判断して(ステップS758のY)、演出表示装置9に、「7」「5」「3」が上段に直線上に並んでいる画面を表示させるとともに(図75(g))、特定演出としてスピーカ27に「ガイーン」等の音を出力させる。そして、演出制御用CPU101は、演出表示装置9に、確変状態に移行したことを報知する画面を表示させ(図75(h))、遊技を継続する(図75(i))。」

「【0455】
以上に述べたように、本実施の形態によれば、遊技者による操作部81の操作方向に応じて飾り図柄を移動させることができ、飾り図柄が所定の表示位置まで移動された場合に特定演出が実行され、遊技興趣を向上させることができる。また、第1移動態様と第2移動態様との異なる移動態様で飾り図柄を移動させ、遊技興趣を向上させることができる。また、遊技者による操作部81の回転操作に応じて飾り図柄を移動させ、遊技興趣を向上させることができる。また、回転操作の速度に応じて飾り図柄の移動速度を異ならせることができる。従って、遊技者による操作態様に応じた演出が実行され、遊技興趣を向上させることができる。また、下段の飾り図柄の組み合わせを、遊技者による回転操作に応じて異なる有効ラインである上段に移動させて、遊技興趣を向上させることができる。また、また、遊技者が操作部81を操作して飾り図柄を所定の表示位置まで移動させることに成功した場合には、スーパーリーチ等の特定リーチ態様が実行されるので、遊技興趣を向上させることができる。また、遊技者が操作部81を操作して飾り図柄を所定の表示位置まで移動させることに成功した場合に、飾り図柄の可変表示が再開され、遊技興趣を向上させることができる。また、遊技者が操作部81を操作して飾り図柄を所定の表示位置まで移動させることに成功した後に、大足り状態に移行して、遊技興趣を向上させることができる。また、操作部81の操作説明が表示され、遊技者は、容易に操作部81を操作することが可能になる。」

段落【0322】の記載と図26の使用時と変動パターンの種類との組み合わせ、すなわち、確変大当り時の操作演出有変動C、はずれ/確変大当り時のスーパーリーチA(操作演出有)、はずれ/通常/確変大当り時のスーパーリーチB(操作演出有)、突然確変当り時の突確(操作演出有)、はずれ/通常/確変大当り時の操作演出有変動D等を参照すれば、チャンス目は確変や大当りへの遊技者の期待感を高めるものといえる。

上記記載事項及び認定事項を総合すれば、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる(d?fについては本願補正発明のD?Fに対応させて付与した。)。

「d 左周りに回転する左回転操作と、右周りに回転させる右回転操作とを遊技者が任意に行なうことが可能回転操作部812を備え(【0043】)、
e 各変動表示部の下段に「3」「5」「7」が仮停止状態で表示されているときに、遊技者によって操作部81になされた回転操作に従って飾り図柄を移動させ、「7」「5」「3」が上段に直線上に並ぶ確変や大当りへの遊技者の期待感を高めるチャンス目を画面を表示させ(【0445】?【0447】)、下段の飾り図柄の組み合わせを、遊技者による回転操作に応じて異なる有効ラインである上段に移動させて、遊技興趣を向上させることができる(【0455】)
f パチンコ遊技機1(【0028】)。」

ウ 本願の出願遡及日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2009-172278号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0024】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

「【0134】
図15は、飾り図柄の大当り図柄を示す説明図である。図15に示すように、大当り図柄は、「左」、「中」、「右」の飾り図柄(「☆」の図柄を除く。)の組み合わせが有効ライン上において同一図柄で揃った状態になっている飾り図柄の組み合わせである。有効ラインとして、上段の横方向のライン、中段の横方向のライン、下段の横方向のライン、左上から右下に向かう斜め方向のライン、および右上から左下に向かう斜め方向のラインの計5ラインある。なお、図15において、9個の飾り図柄が示されているそれぞれの四角形は、演出表示装置9の略円形の表示画面における左中右の飾り図柄が表示されている部分を示す。」

「【0136】
図16は、チャンス目のうち、第1チャンス目枠内および第1チャンス目枠外を示す説明図である。図16(A)には、第1チャンス目枠内が示され、図16(B)には、第1チャンス目枠外が示されている。なお、図16において、実際には空白の部分には☆が表示されているが、図16では、☆は記載省略されている。また、図16において、9個の飾り図柄が示されている(☆は記載省略)それぞれの四角形は、演出表示装置9の略円形の表示画面における左中右の飾り図柄が表示されている部分を示す。なお、「第1チャンス目枠内」を「第1チャンス目(枠内)」と表記し、「第1チャンス目枠外」を「第1チャンス目(枠外)」と表記することがある。また、「第1チャンス目枠内」と「第1チャンス目枠外」とを「第1チャンス目」と総称することがある。」

「【0138】
第1チャンス目枠外は、リーチ図柄ではない飾り図柄の組み合わせであり、中図柄および右図柄が1図柄(「☆」を含む)分逆変動(下から上への変動)すると、換言すれば15図柄(「☆」を含む)分順変動(上から下への変動)すると、下段において大当り図柄になるような飾り図柄の組み合わせである。なお、この実施の形態では、演出表示装置9の表示画面において、横方向での上段、中段および下段のそれぞれにおいて左中右の飾り図柄を視認可能であるが、上段の上側および下段の下側において、飾り図柄の一部が視認可能(枠内で一部視認可能)である。そして、第1チャンス目枠外では、演出表示装置9の表示画面(枠内)に表示されている飾り図柄と、枠内に一部表示されている図柄との双方を考慮した場合には、大当り図柄を構成する各飾り図柄(左図柄、中図柄および右図柄が同じ図柄)が表示されていることになる。」

「【0152】
また、この実施の形態では、第1チャンス目枠外が仮停止表示された場合にも、中右の飾り図柄は再変動してから、大当り図柄が導出表示される(最終停止する)が、第1チャンス目枠外が仮停止表示された後に(第1チャンス目枠外の仮停止の態様については図18(C-2)参照)、大当り図柄が導出表示されるが、演出表示装置9の表示画面において中右の飾り図柄が一挙に上がるような表示演出を行うことによって、大当り図柄を導出表示するようにしてもよい。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献3には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる(e?fについては本願補正発明のE?Fに対応させて付与した。)。

「e 有効ラインとして、上段の横方向のライン、中段の横方向のライン、下段の横方向のライン、左上から右下に向かう斜め方向のライン、および右上から左下に向かう斜め方向のラインの計5ラインを有し(【0134】)、下段の下側において一部が視認可能な中図柄および右図柄が1図柄分逆変動(下から上への変動)すると、下段において大当り図柄になるような飾り図柄の組み合わせである第1チャンス目枠外が仮停止表示された後に、演出表示装置9の表示画面において中右の飾り図柄が一挙に上がるような表示演出を行うことによって、大当り図柄を導出表示する(【0138】、【0152】)
f パチンコ遊技機1(【0024】)。」

(3)対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお、見出し(a)?(f)は、本願補正発明のA?Fに対応させている。

(a)引用発明1の「a 遊技球が作動チャッカー17に入賞し、保留球数Nが4未満であれば保留球数Nを1インクリメントし、保留球数Nが値0でなく、特別図柄表示装置22が変動表示中或いは大当り中でもな」いことは、本願補正発明の「A 当否判定条件の成立」に相当する。
したがって、引用発明1の「a 遊技球が作動チャッカー17に入賞し、保留球数Nが4未満であれば保留球数Nを1インクリメントし、保留球数Nが値0でなく、特別図柄表示装置22が変動表示中或いは大当り中でもなければ、変動開始処理の表示コマンド決定処理で大当りか否かを判定するメイン制御装置40のCPU41」は、本願補正発明の「A 当否判定条件の成立に起因して遊技の当否判定を行う当否判定手段」に相当する。

(b)引用発明1の「b 上段Uにおいて、各犬種に数字1?9を付した各主図柄の間にハートからなる副図柄が配された一連の図柄を主図柄の番号が減る降順に表示し、また、中段M及び下段Lにおいて、同じく一連の図柄を主図柄の番号が増える昇順に表示すると共に、有効ライン、すなわち縦左ラインL1、縦中ラインL2、縦右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が予め設定された特別図柄表示装置22」は、有効ラインが上段U、中段M及び下段Lに表示される一連の図柄を横切ることは明らかであるから、本願補正発明の「B 複数種類の図柄を一列に並べてなる図柄列を複数平行に配列して表示すると共に、それら複数の図柄列を横切るように有効ラインが予め設定された図柄表示部」に相当する。

(c)引用発明1の「c 特別図柄表示装置22の上段U、中段M、下段Lの各図柄列を変動表示した後、上段U→下段L→中段Mの順に変動表示を停止し、その停止時に特別図柄表示装置22上の有効ライン、すなわち縦左ラインL1、縦中ラインL2、縦右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかのラインで主図柄が当り図柄の組合せで揃えば大当りとなる停止図柄を表示する表示用制御装置60」は、本願補正発明の「C 前記複数の図柄列をスクロールした後、停止して、前記有効ライン上で停止が確定した前記図柄群の組合せが、予め設定された当り図柄組合せであるか否かにより前記当否判定の結果を報知する報知演出実行手段」に相当する。

(e)引用発明1の「e 全図柄の一旦停止時に有効ラインである縦右ラインL3よりも右側の主図柄の数字部分が視認できる有効ライン以外の仮想ラインLX上に同じ主図柄「7」が揃っている状態から各図柄が一斉に再変動を開始し、そして、再変動の後、前記有効ライン以外の仮想ラインLXで揃っていた主図柄「7」が有効ラインである縦中ラインL2上で揃った状態になって各図柄が停止し確定し、あたかも、有効ライン以外の仮想ラインLXで一旦揃った主図柄が有効ラインである縦中ラインL2内に移動してくるように図柄が変動表示されることにより、大当りの状態となるようにする前記表示用制御装置60」は、本願補正発明の「E 前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ラインまでの距離が一致しない待機位置に仮停止した後、前記任意操作部の操作に応じて前記仮停止を解除して前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ライン上まで移動し、前記当り図柄組合せの図柄群で停止を確定させる再始動演出実行手段」とは、「E’前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ラインからずれた待機位置に仮停止した後、前記仮停止を解除して前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ライン上まで移動し、前記当り図柄組合せの図柄群で停止を確定させる再始動演出実行手段」の点で共通する。

(f)引用発明1のfの「パチンコ機1」は、本願補正発明のFの「遊技機」に相当する。

してみると、本願補正発明と引用発明1とは、
「A 当否判定条件の成立に起因して遊技の当否判定を行う当否判定手段と、
B 複数種類の図柄を一列に並べてなる図柄列を複数平行に配列して表示すると共に、それら複数の図柄列を横切るように有効ラインが予め設定された図柄表示部と、
C 前記複数の図柄列をスクロールした後、停止して、前記有効ライン上で停止が確定した前記図柄群の組合せが、予め設定された当り図柄組合せであるか否かにより前記当否判定の結果を報知する報知演出実行手段と、
E’前記当り図柄組合せの図柄群が有効ラインからずれた待機位置に仮停止した後、前記仮停止を解除して前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ライン上まで移動し、前記当り図柄組合せの図柄群で停止を確定させる再始動演出実行手段と、
F を備えたことを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明は「D 遊技者が任意に操作可能な任意操作部」を備えるのに対し、引用発明1はそのようなものではない点。

(相違点2)
「E’前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ラインからずれた待機位置に仮停止した後、前記仮停止を解除して前記当り図柄組合せの図柄群が前記有効ライン上まで移動」するのが、本願補正発明は「前記任意操作部の操作に応じて」行われるのに対し、引用発明1はそのようなものではない点。

(相違点3)
「E’前記当り図柄組合せの図柄群が」「仮停止」する「前記有効ラインからずれた待機位置」が、本願補正発明は「前記有効ラインまでの距離が一致しない」ものであるのに対し、引用発明1はそのようなものではない点。

イ 判断
(相違点1及び2について)
引用発明2の「d 左周りに回転する左回転操作と、右周りに回転させる右回転操作とを遊技者が任意に行なうことが可能回転操作部812」は、相違点1に係る本願補正発明の「D 遊技者が任意に操作可能な任意操作部」に相当する。
また、引用発明2の「e 各変動表示部の下段に「3」「5」「7」が仮停止状態で表示されているときに、遊技者によって操作部81になされた回転操作に従って飾り図柄を移動させ、「7」「5」「3」が上段に直線上に並ぶチャンス目を画面を表示させ、下段の飾り図柄の組み合わせを、遊技者による回転操作に応じて異なる有効ラインである上段に移動させ」ることは、チャンス目ではあるが、相違点2に係る本願補正発明の「図柄組合せの図柄群が待機位置に仮停止した後、前記仮停止を解除して前記図柄組合せの図柄群が有効ライン上まで移動」するのが、「任意操作部の操作に応じて」行われることに相当する。

そして、引用発明1と引用発明2とは図柄が一旦停止(仮停止)後に有効ラインへ移動するパチンコ遊技機に係る発明である点で共通し、また、引用発明1の「当り図柄の組合せ」と引用発明2の「チャンス目」とは遊技者にその停止を期待させる図柄群である点で共通する。
そうすると、引用発明1のeの「前記表示用制御装置60」が「全図柄の一旦停止時に有効ライン以外の」「状態から各図柄が一斉に再変動を開始し、そして、再変動の後、前記有効ライン以外の」「主図柄「7」が有効ライン」「上で揃った状態になって各図柄が停止し確定し、あたかも、有効ライン以外の」「主図柄「7」が有効ライン」「内に移動してくるように図柄が変動表示される」際に、遊技興趣を向上させるために、引用発明2を適用して、左右の回転操作を遊技者が任意に行うことが可能な回転操作部の操作に応じて、有効ライン以外のラインの図柄を有効ライン内に移動してくるように構成して、相違点1及び2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

(相違点3について)
引用発明3の「下段の下側において一部が視認可能な中図柄および右図柄が1図柄分逆変動(下から上への変動)すると、下段において大当り図柄になるような飾り図柄の組み合わせである第1チャンス目枠外」は、「大当り図柄になるような飾り図柄の組み合わせ」が「仮停止表示」する「下段の横方向の有効ライン」からずれた待機位置が、下段の横方向の有効ラインまでの距離が0の左図柄と、下段の横方向の有効ラインまでの距離が1図柄分の中図柄および右図柄とで、下段の横方向の有効ラインまでの距離が一致しないものといえる。
したがって、上記2(1)の本願補正発明の解釈を考慮すれば、引用発明3の「e 有効ラインとして、上段の横方向のライン、中段の横方向のライン、下段の横方向のライン、左上から右下に向かう斜め方向のライン、および右上から左下に向かう斜め方向のラインの計5ラインを有し、下段の下側において一部が視認可能な中図柄および右図柄が1図柄分逆変動(下から上への変動)すると、下段において大当り図柄になるような飾り図柄の組み合わせである第1チャンス目枠外が仮停止表示された後に、演出表示装置9の表示画面において中右の飾り図柄が一挙に上がるような表示演出を行うことによって、大当り図柄を導出表示する」ことは、相違点3に係る本願補正発明の「E’前記当り図柄組合せの図柄群が」「仮停止」する「前記有効ラインからずれた待機位置」が、「前記有効ラインまでの距離が一致しない」ものに相当する。

そして、引用発明1と引用発明3とは、有効ライン上でない仮想ライン上で一部が視認可能な状態で一旦停止(仮停止)した複数の図柄が、その後に有効ライン上へ移動するパチンコ遊技機に係る発明である点で共通する。
また、引用発明1と引用発明3とは、図柄列の変動方向及び有効ラインが異なるが、引用文献1の段落【0091】に記載されているように、図柄列の変動方向を横方向として有効ラインを縦3ラインと斜め2ラインとするか、図柄列の変動方向を上下方向として有効ラインを横3ラインと斜め2ラインとするかは、遊技機の趣向に合わせて当業者が適宜選択し得るものであって、例えば、前者と後者とで、上段ラインと左列、中段ラインと中列、下段ラインと右列、縦3ラインの有効ラインと横3ラインの有効ライン、斜め2ラインの有効ラインと斜め2ラインの有効ラインをそれぞれ対応させれば、容易に相互に変換可能であることは当業者にとって明らかである。
そうすると、引用発明1において、遊技の興趣向上のため、「e 全図柄の一旦停止時に有効ラインである縦右ラインL3よりも右側の主図柄の数字部分が視認できる有効ライン以外の仮想ラインLX上に」すべて「同じ主図柄「7」が揃ってい」なくとも、「再変動の後」、「大当りの状態となる」ことがあるように、引用発明3を変動方向及び有効ラインを引用発明1に沿うように変換して適用することによって、有効ラインである縦右ラインL3よりも右側の主図柄の数字部分が視認できる有効ライン以外の仮想ラインLXの中段と下段で「7」図柄が1図柄分変動すると、有効ラインである縦右ラインL3において大当り図柄になるような図柄の組み合わせが仮停止表示された後に、有効ライン以外の仮想ラインLXの中段と下段の「7」図柄が有効ラインである縦右ラインL3に一挙に上がるような表示演出を行うことによって、大当りとすることに格別の困難性はなく、このようにして相違点3に係る本願補正発明とすることは当業者が容易になし得たものである。

なお、仮に、上記2(1)の本願補正発明の解釈が肯定できず、相違点3に係る本願補正発明の相違点3に係る本願補正発明の「E’前記当り図柄組合せの図柄群が」「仮停止」する「前記有効ラインからずれた待機位置」が、「前記有効ラインまでの距離が一致しない」ものが、図28に示されるように、3つの図柄の仮停止位置の何れもその後移動する有効ラインまでの距離が0より大きいものを意味すると解される場合に関して念のため検討するに、引用発明1は「有効ラインである縦右ラインL3よりも右側の有効ライン以外の仮想ラインLXで「7」図柄が揃っている状態から」「各図柄が」直近の有効ラインL3を超えて「有効ラインである縦中ラインL2上で揃った状態になって各図柄が停止し確定」するものであるから、引用発明3を適用した際に、有効ラインである縦右ラインL3ではなく、有効ラインである縦中ラインL2に移動して揃うように、すなわち、有効ラインである縦右ラインL3よりも右側の有効ライン以外の仮想ラインLXの中段と下段で「7」図柄が1図柄分変動すると、有効ラインである縦右ラインL3において大当り図柄になるような図柄の組み合わせが仮停止表示された後に、有効ライン以外の仮想ラインLXの中段と下段の「7」図柄及び有効ラインである縦右ラインL3の上段の「7」図柄のいずれもが有効ラインである縦中ラインL2に移動することによって、大当りとすることに格別の困難性はなく、そのようにして、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明1、2及び3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、
ア 本願補正発明は、当り図柄組合せの図柄群は、仮停止する待機位置で、有効ラインまでの距離が一致しないようにずらして配置される構成となっており、つまり、仮停止の際に直線上に並んでいなかった当り図柄組合せの図柄群(図28(A)参照)が、再始動して有効ライン上に直線状に並ぶ(図28(E)参照)構成となっており、ここで、もし、仮停止のときに当り図柄組合せの図柄群が有効ラインに平行な直線上に並んでいれば、再始動して当り図柄組合せの図柄群がそのまま有効ラインに移動することを遊技者に容易に連想させることができ、従って、遊技者は、仮停止のときに再始動後は当りとなるという見通しを立てることができ、再始動して当りとなったときの喜びが薄れてしまうのに対して、本願補正発明の上記構成によれば、仮停止のときに当り図柄組合せの図柄群は直線上に並んでいないので、遊技者は再始動後に直線状となって有効ラインに並ぶことを予想できないため、再始動後に有効ラインに並んだときに遊技者に意外性を感じさせることができ、当りに対する高揚感を増大させることができること、
イ 一方、引用文献1(特開2004-105295号公報)の発明は、本願補正発明の上記構成についての記載や示唆はなく、段落[0079]?[0082]、図16,17に示されているように、仮停止のときに当り図柄組合せの図柄群が有効ラインに平行な直線上に並ぶ構成となっているので、本願補正発明の上記構成による顕著な効果を発揮することができず、また、段落[0083]、[0086]には、仮停止のときに当り図柄組合せの図柄群が直線上に並ぶことで、遊技者に当りを予感させるとともに、当たるという安心感を与えることが記載されており、従って、本願補正発明に想到する起因ないし動機付けがないことは明らかであること、
ウ また、引用文献2(特開2009-136342号公報)の発明についても、本願補正発明の上記構成についての記載や示唆はなく、段落[0455]には、「下段の飾り図柄の組み合わせを、有効ラインである上段に移動させる」との記載があり、仮停止のときに当り図柄組合せの図柄群が有効ラインに平行な直線上に並ぶ構成となっているので、本願補正発明の上記構成による顕著な効果を発揮することができず、従って、本願補正発明の上記構成は、引用文献1,2に記載も示唆もない独自の構成であり、従って、本願補正発明は、引用文献1,2に基づいて当業者が容易になし得るものではなく、十分な進歩性を有するものであること、
を主張する。

しかしながら、上記(3)イで検討したとおり、引用発明1に引用発明3を適用して、有効ラインである縦右ラインL3よりも右側の有効ライン以外の仮想ラインLXの中段と下段で「7」図柄が1図柄分変動すると、有効ラインである縦右ラインL3において大当り図柄になるような図柄の組み合わせが仮停止表示された後に、有効ライン以外の仮想ラインLXの中段と下段の「7」図柄が有効ラインである縦右ラインL3に一挙に上がるような表示演出を行うことによって、大当りとすること、あるいは、引用発明1に引用発明3を適用して、有効ラインである縦右ラインL3よりも右側の有効ライン以外の仮想ラインLXの中段と下段で「7」図柄が1図柄分変動すると、有効ラインである縦右ラインL3において大当り図柄になるような図柄の組み合わせが仮停止表示された後に、有効ライン以外の仮想ラインLXの中段と下段の「7」図柄及び有効ラインである縦右ラインL3の上段の「7」図柄が有効ラインL2に移動する表示演出を行うことによって、大当りとすることに格別の困難性はなく、そのようにして、請求人が上記アで主張する本願補正発明の、当り図柄組合せの図柄群は、仮停止する待機位置で、有効ラインまでの距離が一致しないようにずらして配置される構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

したがって、請求人の主張は採用することができない。

(5)本件補正についてのむすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年10月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1の(本件補正前)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願遡及日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願遡及日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
1.特開2004-105295号公報(引用文献1)
2.特開2009-136342号公報(引用文献2)
というものである。

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明から、「前記当り図柄組合せの図柄群」が「仮停止」する「待機位置」を「前記有効ラインまでの距離が一致しない」ものから「前記有効ラインからずれた待機位置」に上位概念化したものである。
そして、本願発明と引用発明とを、前記第2[理由]2(3)アに記載したのと同様に対比すると、両者は相違点1及び2でのみ相違し、相違点3は生じない。
そうすると、前記第2[理由]2(3)イ(相違点1及び2について)で記載したように、相違点1及び2に係る本願発明の構成は、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、本願発明は引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-05-28 
結審通知日 2019-06-04 
審決日 2019-06-17 
出願番号 特願2015-85628(P2015-85628)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 明彦  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 藤田 年彦
松川 直樹
発明の名称 遊技機  
代理人 松浦 弘  
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