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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1353998
審判番号 不服2018-12300  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-13 
確定日 2019-08-08 
事件の表示 特願2014-71688「接続構造」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月5日出願公開、特開2015-194103〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年3月31日の出願であって、その手続きの経緯は以下のとおりである。
平成29年10月26日付け:拒絶理由通知書
平成29年12月27日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 1月29日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成30年 3月 6日 :意見書の提出
平成30年 6月 7日付け:拒絶査定
平成30年 9月13日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成30年9月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年9月13日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についてみると、本件補正により補正される前の(すなわち、平成29年12月27日に提出された手続補正書による)下記の(1)の記載を下記の(2)の記載に補正するものである(下線は補正箇所を示す。)。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1

「【請求項1】
筒状をなす嵌合部、嵌合部の先端側で外方に屈曲する屈曲部、及び屈曲部から外方に拡張し内燃機関のシリンダヘッドにおける排気ポートの外周に位置付けられた外周部に取り付けられる取付部を有するフランジと、
前記フランジの嵌合部の内側に嵌め込まれ、その先端面がフランジの取付部におけるシリンダヘッドに臨む取付面と反対側の面よりもシリンダヘッドから離反する方向に退避している排気管と、
前記排気管の先端面と前記フランジの嵌合部とを接合するとともにフランジの屈曲部の内面になだらかに連続している溶接部と、
前記排気管の外側面から前記フランジの嵌合部の基端面に亘って溶接する外溶接部と
を具備する接続構造。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1

「【請求項1】
筒状をなす嵌合部、嵌合部の先端側で外方に屈曲する屈曲部、及び屈曲部から外方に拡張し内燃機関のシリンダヘッドにおける排気ポートの外周に位置付けられた外周部に取り付けられる取付部を有するフランジと、
前記フランジの嵌合部の内側に嵌め込まれ、その先端面がフランジの取付部におけるシリンダヘッドに臨む取付面と反対側の面よりもシリンダヘッドから離反する方向に退避している排気管と、
前記排気管の先端面と前記フランジの嵌合部とを接合するとともにフランジの屈曲部の内面になだらかに連続している溶接部と、
前記排気管の外側面から前記フランジの嵌合部の基端面に亘って溶接する外溶接部とを具備し、
前記溶接部が、前記排気管の先端部から前記フランジの嵌合部を経て前記屈曲部の湾曲面に亘っており、
かつ、前記溶接部が、前記フランジの取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っている接続構造。」

2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明における「溶接部」という発明特定事項について、「前記溶接部が、前記排気管の先端部から前記フランジの嵌合部を経て前記屈曲部の湾曲面に亘っており、かつ、前記溶接部が、前記フランジの取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っている」という事項を付加して限定することにより特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本願補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

3 独立特許要件
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平5-39717号公報(以下「引用文献1」という。)には、「排気マニホールド」に関して、図面(特に図1ないし図3)とともに次の記載がある(なお、下線部は当審が付与したものである。以下同様。)。

(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンからの排気ガスを排気系に導出する排気マニホールドに係わり、特に、熱変位を吸収することのできる排気マニホールドに関する。」

(イ)「【0002】
【従来の技術】一般に、自動車のエンジンでは、エンジンからの排気ガスを排気系に導出するために、例えば、実開平2-85818号公報に開示されるような排気マニホールドが配置されている。
【0003】図4は、この種の排気マニホールドを示すもので、この排気マニホールドでは、マニホールド本体11から複数の分岐管13が分岐しており、これ等の分岐管13が、ヘッド側フランジ15に開口されている。
【0004】また、マニホールド本体11の端部には、排気系に接続するための出口フランジ17が形成されている。このような排気マニホールドでは、エンジンからの排気ガスは、ヘッド側フランジ15から分岐管13内に流入した後、マニホールド本体11を通り、出口フランジ17から排気系に導出される。」

(ウ)「【0013】
【実施例】以下、本発明の詳細を図面を用いて説明する。図1および図2は、本発明の排気マニホールドを示しており、図において符号31は、例えば、ステンレスからなるメインパイプを示している。
【0014】このメインパイプ31の外周面の一側には、軸長方向に間隔を置いて3個の孔部33が形成されている。メインパイプ31の両端には、開口部35が形成され、これ等の開口部35は、ステンレスからなるキャップ37を溶接することにより密閉されている。
【0015】メインパイプ31の孔部33には、外方に向けて突出する平坦部39が形成され、この平坦部39に、それぞれブランチパイプ41が挿入されている。このブランチパイプ41は、例えば、ステンレスからなり、一端には、折り返し部43がU字状に形成されている。」

(エ)「【0016】そして、折り返し部43の外周が、孔部33の平坦部39に挿入され、メインパイプ31に溶接45により固定されている。ブランチパイプ41の他端には、ヘッド側フランジ47が、溶接49により固定されている。 【0017】ヘッド側フランジ47は、例えば、ステンレスからなる板材をプレス加工して形成されており、本体部51の内側および外側に、内筒部53および外筒部55を有する断面U字状の環状に形成されている。
【0018】そして、内筒部53が、ブランチパイプ41の他端に形成される大径部57に被嵌されている。また、本体部51の内筒部53と外筒部55との間には、ボルト孔59が形成されている。
【0019】そして、この実施例では、図3に示すように、メインパイプ31の中央に開口部61が形成され、この開口部61に、出口パイプ63の一端が、溶接により固定されている。
【0020】出口パイプ63の他端には、出口フランジ65およびブラケット67が溶接により固定されている。 上述した排気マニホールドでは、エンジンからの排気ガスは、ヘッド側フランジ47からブランチパイプ41内に流入した後、メインパイプ31を通った後、出口パイプ63を通り、出口フランジ65から排気系に導出される。」
【0021】しかして、以上のように構成された排気マニホールドでは、メインパイプ31の外周面に、軸長方向に間隔を置いて複数の孔部33を形成するとともに、これ等の孔部33に、一端に折り返し部43の形成されるブランチパイプ41の折り返し部43を挿入固定し、さらに、ブランチパイプ41の他端に、ヘッド側フランジ47を固定したので、軽量かつ安価でありながら、熱変位を有効に吸収することができる。」

(オ)上記(エ)の記載事項及び図2の図示内容からみて、内筒部53の本体部51側は外方に屈曲していることが分かる。

(カ)上記(イ)及び(エ)の記載事項並びに図2及び図3の図示内容からみて、ヘッド側フランジ47の本体部51は、本体部51の内筒部53と外筒部55との間に形成されたボルト孔59を介して、エンジンのシリンダヘッドにおける排気ポートの外周に位置付けられた外周部に取り付けられることが分かる。

(キ)上記(カ)の記載事項及び図2の図示内容からみて、ブランチパイプ41の他端は、ヘッド側フランジ47の本体部51におけるシリンダヘッドに臨む取付面(図2において、本体部51の右側の面)と反対側の面(図2において、本体部51の左側の面)よりもシリンダヘッドから離反する方向に退避していることが分かる。

(ク)上記(エ)の記載事項及び図2の図示内容からみて、溶接49は、ブランチパイプ41の他端からヘッド側フランジ47の内筒部53に亘っていることが分かる。

上記記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>
「内筒部53、内筒部53の本体部51側で外方に屈曲する屈曲部、及び屈曲部から外方に拡張しエンジンのシリンダヘッドにおける排気ポートの外周に位置付けられた外周部に取り付けられる本体部51を有するヘッド側フランジ47と、
前記ヘッド側フランジ47の内筒部53の内側に嵌め込まれ、その他端がヘッド側フランジ47の本体部51におけるシリンダヘッドに臨む取付面と反対側の面よりもシリンダヘッドから離反する方向に退避しているブランチパイプ41と、
前記ブランチパイプ41の他端と前記ヘッド側フランジ47の内筒部53とを固定する溶接49と、
前記溶接49が、前記ブランチパイプ41の他端から前記ヘッド側フランジ47の内筒部53に亘っている接続構造。」

イ 引用文献2
同じく原査定に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった実願昭61-72530号(実開昭62-184129号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(以下「引用文献2」という。)には、「自動車用排気管」に関して、図面(特に第2図)とともに次の記載がある。

(ア)「第1図は、本考案の第1実施例に係る自動車用排気管の断面図を示す。
継手フランジ1に、先端に行くに従って細くなるテーパ状の円筒部1Aが形成されている。排気パイプ2の端部に、外拡がりのフレア部2Aが形成され、円筒部1Aの外側に重なっている。円筒部1Aの先端とフレア部2Aの内側面に環状凹部3が形成され、溶接されている。この溶接は、環状凹部3に大きな肉盛りを得ることができるので、突き合わせ溶接に準じた形状となっている。」(明細書4ページ13行ないし5ページ2行)

(イ)「第2図は、本考案の第2実施例に係る自動車用排気管の断面図を示す。
第1実施例に於ては、フレア部2Aが円筒部1Aの外側に重なっている。これに対して、第2実施例に於ては、フレア部2Bが円筒部1Bの内側に重なり、フレア部2Bの先端と円筒部1Bの内側面が溶接されている。第2実施例によれば、第1実施例の効果に加えて、溶接トーチを円筒部1B及びフレア部2Bに適切な角度に向けることができ、従って、溶接がやり易くなる。」(明細書5ページ18行ないし6ページ7行)」

(ウ)第2図の図示内容からみて、継手フランジ1は、取付部(第2図において、孔が設けられた平板状の部分)及び取付部における取付面(第2図において、前記取付部の左側の面)並びに該取付面とは反対側の面(第2図において、前記取付部の右側の面)を有することが分かる。
また、継手フランジ1は、円筒部1Bと前記取付部との間に、円筒部1Bの外方に屈曲する屈曲部を有することが分かる。

(エ)上記(ア)の「円筒部1Aの先端とフレア部2Aの内側面に環状凹部3が形成され、溶接されている。」との記載、上記(イ)の「フレア部2Bが円筒部1Bの内側に重なり、フレア部2Bの先端と円筒部1Bの内側面が溶接されている」との記載及び第2図の図示内容からみて、溶接部の表面はフレア部2Bの先端面と円筒部1Bの内側面によって形成される環状凹部3を埋めるように接続していることが分かる。
また、上記(ウ)及び第2図の図示内容からみて、フレア部2Bの先端面と円筒部1Bの内側面との溶接部は、前記屈曲部の内側面とフレア部2Bの先端面との間で、継手フランジ1の取付面よりもフレア部2B側であり、かつ、フレア部2Bの内側面よりも外側の領域内に形成された矩形状の領域内に概ね収まっていることが分かる。

(オ)第2図の図示内容からみて、フレア部2Bの外側面と円筒部1Bの先端面(第2図における円筒部1Bの右端面)とを溶接する外溶接部を具備していることが分かる。

(カ)上記(ウ)及び第2図の図示内容からみて、フレア部2Bの先端面と円筒部1Bの内側面との溶接部は、円筒部1Bを経て屈曲部に亘っており、継手フランジ1の取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っていることが分かる。

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

<引用文献2記載事項>
「円筒部1Bの取付部側で外方に屈曲する屈曲部を有する継手フランジ1と、フレア部2Bの先端面と継手フランジ1の円筒部1Bとを接合する溶接部と、前記フレア部2Bの外側面から前記継手フランジ1の円筒部1Bの先端面に亘って溶接する外溶接部とを具備し、前記溶接部が、前記フレア部2Bの先端面から前記継手フランジ1の円筒部1Bを経て前記屈曲部に亘っており、かつ、前記溶接部が、前記継手フランジ1の取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っていること。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「内筒部53」は前者の「筒状をなす嵌合部」及び「嵌合部」に相当し、以下同様に、「内筒部53の本体部51側」は「嵌合部の先端側」に、「エンジン」は「内燃機関」に、「本体部51」は「取付部」に、「ヘッド側フランジ47」は「フランジ」に、「ブランチパイプ41」は「排気管」に、「溶接49」は「溶接部」に、「固定」は「接合」に、それぞれ相当する。
後者の「ブランチパイプ41の他端」は前者の「排気管の先端」及び「排気管の先端部」に相当するから、後者の「ブランチパイプ41の他端」は前者の「排気管の先端面」を含むものである。
また、後者の「前記溶接49が、前記ブランチパイプ41の他端から前記ヘッド側フランジ47の内筒部53に亘っている」ことと前者の「前記溶接部が、前記排気管の先端部から前記フランジの嵌合部を経て前記屈曲部の湾曲面に亘って」いることとは、「前記溶接部が、前記排気管の先端部から前記フランジの嵌合部に亘っている」という限りで一致する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、次の一致点、相違点がある。

〔一致点〕
「筒状をなす嵌合部、嵌合部の先端側で外方に屈曲する屈曲部、及び屈曲部から外方に拡張し内燃機関のシリンダヘッドにおける排気ポートの外周に位置付けられた外周部に取り付けられる取付部を有するフランジと、
前記フランジの嵌合部の内側に嵌め込まれ、その先端面がフランジの取付部におけるシリンダヘッドに臨む取付面と反対側の面よりもシリンダヘッドから離反する方向に退避している排気管と、
前記排気管の先端面と前記フランジの嵌合部とを接合する溶接部とを具備し、
前記溶接部が、前記排気管の先端部から前記フランジの嵌合部に亘っている接続構造。」である点で一致し、下記の点で相違する。

〔相違点1〕
本願補正発明は、溶接部が「フランジの屈曲部の内面になだらかに連続している」のに対して、引用発明は、溶接49がかかる構成を備えているか不明である点。

〔相違点2〕
本願補正発明は、「前記排気管の外側面から前記フランジの嵌合部の基端面に亘って溶接する外溶接部とを具備し」ているのに対し、引用発明は、かかる構成を備えていない点。

〔相違点3〕
溶接部が、排気管の先端部からフランジの嵌合部に亘っている点について、本願補正発明は、溶接部が、「前記排気管の先端部から前記フランジの嵌合部を経て前記屈曲部の湾曲面に亘っており、かつ、前記溶接部が、前記フランジの取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っている」のに対し、引用発明は、溶接49が、かかる構成を備えているか不明である点。

(4)当審の判断
上記相違点1ないし3について検討する。

ア 相違点1について
引用文献2記載事項は、「円筒部1Bの取付部側で外方に屈曲する屈曲部を有する継手フランジ1と、フレア部2Bの先端面と継手フランジ1の円筒部1Bとを接合する溶接部と、前記フレア部2Bの外側面から前記継手フランジ1の円筒部1Bの先端面に亘って溶接する外溶接部とを具備し、前記溶接部が、前記フレア部2Bの先端面から前記継手フランジ1の円筒部1Bを経て前記屈曲部に亘っており、かつ、前記溶接部が、前記継手フランジ1の取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っていること。」である。
本願補正発明と引用文献2記載事項とを対比すると、後者の「円筒部1B」は前者の「嵌合部」に相当し、以下同様に、「円筒部1Bの取付部側」は「嵌合部の先端側」に、「継手フランジ1」は「フランジ」に、「フレア部2B」は「排気管」に、「円筒部1Bの先端面」は「嵌合部の基端面」に、それぞれ相当する。
後者の「フレア部2Bの先端面」は前者の「排気管の先端部」に含まれるものである。

また、本願補正発明の「フランジの屈曲部の内面になだらかに連続している溶接部」に関して、本願の明細書には「『前記排気管の先端面と前記フランジの嵌合部とを接合するとともにフランジの屈曲部の内面になだらかに連続している』とは、溶接部の表面が排気管やフランジによって形成される段差を埋めるように接続していることを意味する。また表面は決して凹凸が無い状態のみに限定されない、具体的には、屈曲部の内面と排気管の先端面との間で、フランジの取付面よりも排気管側であり且つ排気管の内面よりも外側の領域内に形成された端面視矩形状の領域内に収まっていれば、表面が膨出形状をなしていても良い。」(段落【0008】)との記載がある。
他方、引用文献2記載事項の溶接部は、「溶接部の表面はフレア部2Bの先端面と円筒部1Bの内側面によって形成される環状凹部3を埋めるように接続している」(前記「(2)イ(エ)」)ものであり、「屈曲部の内側面とフレア部2Bの先端面との間で、継手フランジ1の取付面よりもフレア部2B側であり、かつ、フレア部2Bの内側面よりも外側の領域内に形成された矩形状の領域内に概ね収まっている」(前記「(2)イ(エ)」)ものである。
そうすると、引用文献2記載事項は、本願補正発明の用語を用いると、「嵌合部の先端側で外方に屈曲する屈曲部を有するフランジと、排気管の先端面とフランジの嵌合部とを接合するとともにフランジの屈曲部の内面になだらかに連続している溶接部と、前記排気管の外側面から前記フランジの嵌合部の基端面に亘って溶接する外溶接部とを具備し、前記溶接部が、前記排気管の先端部から前記フランジの嵌合部を経て前記屈曲部に亘っており、かつ、前記溶接部が、前記フランジの取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っている」との事項を備えるものといえる。
また、引用発明と引用文献2記載事項とは、溶接部を用いた接続構造に関する技術であることで共通するから、引用発明に、引用文献2記載事項を適用する動機付けはある。
そうしてみると、引用発明に引用文献2記載事項の「フランジの屈曲部の内面になだらかに連続している溶接部」を適用して、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
引用文献2記載事項は、上記したとおり「前記排気管の外側面から前記フランジの嵌合部の基端面に亘って溶接する外溶接部とを具備」するものである。
してみると、引用発明に引用文献2記載事項の「前記排気管の外側面から前記フランジの嵌合部の基端面に亘って溶接する外溶接部」を適用して、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について
引用文献2記載事項は、上記したとおり「前記溶接部が、前記排気管の先端部から前記フランジの嵌合部を経て前記屈曲部に亘っており、かつ、前記溶接部が、前記フランジの取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っている」との事項を備えるものである。
そして、引用発明の溶接49に、上記引用文献2記載事項を適用したものが、「溶接部が、排気管の先端部からフランジの嵌合部を経て屈曲部の湾曲面に亘っており、かつ、溶接部が、フランジの取付部における取付面とは反対側の面よりも取付面側まで至っている」構成となることは、自明である。
そうすると、引用発明に、引用文献2記載事項を適用し、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

エ 効果について
本願補正発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2記載事項から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。

オ まとめ
上記アないしエにより、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本願補正発明は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年9月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年12月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1ないし4に記載された事項に基いて、その出願前にその発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平5-39717号公報
引用文献2:実願昭61-72530号(実開昭62-184129号) のマイクロフィルム
引用文献3:特開平10-18838号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2007-107447号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1及び2並びにその記載事項は、前記第2の[理由]3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願補正発明は、前記第2の[理由]2で検討したとおり、本願発明に発明特定事項を付加して限定したものであるから、本願発明は、本願補正発明の発明特定事項の一部を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の[理由]3(3)(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 結語
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-06-10 
結審通知日 2019-06-11 
審決日 2019-06-24 
出願番号 特願2014-71688(P2014-71688)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F01N)
P 1 8・ 121- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小笠原 恵理石川 貴志  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 金澤 俊郎
齊藤 公志郎
発明の名称 接続構造  
代理人 赤澤 一博  
代理人 赤澤 一博  
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