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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1354000
審判番号 不服2018-15833  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-29 
確定日 2019-08-08 
事件の表示 特願2016-93896号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日出願公開、特開2017-202015号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成28年5月9日の出願であって、平成30年2月5日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月12日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月27日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年11月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年11月29日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、平成30年4月12日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1?3の
「【請求項1】
遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体と、
遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段と、
前記第1位置および前記第2位置のうち前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることが可能であるとともに、前記可動体による演出を実行する演出制御手段と、
遊技者による動作を検出する動作検出手段と、
表示手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記遊技機が起動されたときに、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることを含む初期処理を実行する初期処理制御手段と、
動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、前記可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段とを含み、
前記動作時演出手段は、前記動作検出有効期間中における前記動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、前記動作時演出の演出時間を異ならせ、
前記表示手段は、前記可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である、遊技機。

【請求項2】
遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体と、
遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段と、
前記第1位置および前記第2位置のうち前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることが可能であるとともに、前記可動体による演出を実行する演出制御手段と、
遊技者による動作を検出する動作検出手段と、
表示手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記遊技機が起動されたときに、前記遊技状態に依らない所定の初期処理を前記制御情報の受信前に実行した後、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させる初期処理を実行する初期処理制御手段と、
動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、前記可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段とを含み、
前記動作時演出手段は、前記動作検出有効期間中における前記動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、前記動作時演出の演出時間を異ならせ、
前記表示手段は、前記可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である、遊技機。

【請求項3】
変動表示を行なうことが可能な遊技機であって、
第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体と、
遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段と、
前記第1位置および前記第2位置のうち前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることが可能であるとともに、前記可動体による演出を実行する演出制御手段と、
遊技者による動作を検出する動作検出手段と、
表示手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記遊技機が起動されたときに前記遊技状態に依らない所定の初期処理を実行した後、前記変動表示の開始時に前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させる初期処理制御手段と、
動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、前記可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段とを含み、
前記動作時演出手段は、前記動作検出有効期間中における前記動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、前記動作時演出の演出時間を異ならせ、
前記表示手段は、前記可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である、遊技機。」は、

審判請求時に提出された手続補正書(平成30年11月29日付け)における
「【請求項1】
遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体と、
遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段と、
前記第1位置および前記第2位置のうち前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることが可能であるとともに、前記可動体による演出を実行する演出制御手段と、
遊技者による動作を検出する動作検出手段と、
表示手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記遊技機が起動されたときに、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることを含む初期処理を実行する初期処理制御手段と、
動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、前記可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段とを含み、
前記動作時演出手段は、前記動作検出有効期間中における前記動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、前記動作時演出の演出時間を異ならせ、
前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて前記動作時演出を実行する第1パターンと、前記動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたが前記動作時演出を実行せずに所定の画像を表示させる第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出と、
前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された場合には前記第1パターンを実行するが、前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されなかった場合には前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行する第2演出とを、前記動作検出手段の検出状態に応じて実行可能であり、
前記第1演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、前記第2演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じであり、
前記表示手段は、前記可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である、遊技機。

【請求項2】
遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体と、
遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段と、
前記第1位置および前記第2位置のうち前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることが可能であるとともに、前記可動体による演出を実行する演出制御手段と、
遊技者による動作を検出する動作検出手段と、
表示手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記遊技機が起動されたときに、前記遊技状態に依らない所定の初期処理を前記制御情報の受信前に実行した後、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させる初期処理を実行する初期処理制御手段と、
動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、前記可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段とを含み、
前記動作時演出手段は、前記動作検出有効期間中における前記動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、前記動作時演出の演出時間を異ならせ、
前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて前記動作時演出を実行する第1パターンと、前記動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたが前記動作時演出を実行せずに所定の画像を表示させる第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出と、
前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された場合には前記第1パターンを実行するが、前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されなかった場合には前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行する第2演出とを、前記動作検出手段の検出状態に応じて実行可能であり、
前記第1演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、前記第2演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じであり、
前記表示手段は、前記可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である、遊技機。

【請求項3】
変動表示を行なうことが可能な遊技機であって、
第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体と、
遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段と、
前記第1位置および前記第2位置のうち前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動
させることが可能であるとともに、前記可動体による演出を実行する演出制御手段と、
遊技者による動作を検出する動作検出手段と、
表示手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記遊技機が起動されたときに前記遊技状態に依らない所定の初期処理を実行した後、前記変動表示の開始時に前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させる初期処理制御手段と、
動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、前記可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段とを含み、
前記動作時演出手段は、前記動作検出有効期間中における前記動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、前記動作時演出の演出時間を異ならせ、
前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて前記動作時演出を実行する第1パターンと、前記動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたが前記動作時演出を実行せずに所定の画像を表示させる第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出と、
前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された場合には前記第1パターンを実行するが、前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されなかった場合には前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行する第2演出とを、前記動作検出手段の検出状態に応じて実行可能であり、
前記第1演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、前記第2演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じであり、
前記表示手段は、前記可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である、遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1?3に記載した発明を特定するために必要な事項である「動作時演出」に関して、
「前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて前記動作時演出を実行する第1パターンと、前記動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたが前記動作時演出を実行せずに所定の画像を表示させる第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出と、
前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された場合には前記第1パターンを実行するが、前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されなかった場合には前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行する第2演出とを、前記動作検出手段の検出状態に応じて実行可能であり、
前記第1演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、前記第2演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じであり、」と限定することを含むものである。

そして、補正後の請求項1?3に係る発明は、それぞれ、補正前の請求項1?3に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正に係る特許請求の範囲の請求項1?3についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0012】、【0461】、【0480】、【0483】又は図面の【図39】等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件
3-1 本件補正発明1
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明1」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明1
本件補正発明1は、次のとおりのものであると認める(記号A?Lは、分説するため審決にて付した。)。
「A 遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
B 第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体と、
C 遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段と、
D 前記第1位置および前記第2位置のうち前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることが可能であるとともに、前記可動体による演出を実行する演出制御手段と、
E 遊技者による動作を検出する動作検出手段と、
F 表示手段とを備え、
G 前記演出制御手段は、
G1 前記遊技機が起動されたときに、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることを含む初期処理を実行する初期処理制御手段と、
G2 動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、前記可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段とを含み、
H 前記動作時演出手段は、前記動作検出有効期間中における前記動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、前記動作時演出の演出時間を異ならせ、
I 前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて前記動作時演出を実行する第1パターンと、前記動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたが前記動作時演出を実行せずに所定の画像を表示させる第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出と、
J 前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された場合には前記第1パターンを実行するが、前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されなかった場合には前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行する第2演出とを、前記動作検出手段の検出状態に応じて実行可能であり、
K 前記第1演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、前記第2演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じであり、
L 前記表示手段は、前記可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である、遊技機。」

(2)引用文献
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された、本件の出願前に頒布された刊行物である特開2014-150819号公報(以下「引用文献1」という。)には、遊技台に関して、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。

・記載事項
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関連する遊技制御を少なくとも実行可能な第一の制御手段と、
第一の条件が成立した場合に、情報を少なくとも記憶可能な記憶手段と、
第二の条件が成立した場合に、前記情報に応じた制御状態に少なくとも制御可能な第二の制御手段と、
複数種類の可動手段と、
を備えた遊技台であって、
前記第一の条件は、第一の信号が前記第一の制御手段に入力された場合に、少なくとも成立可能な条件であり、
前記第一の信号は、電源ラインの電圧値が第一の値よりも低下した場合に、少なくとも出力可能な信号であり、
前記第一の制御手段に供給される電圧が低下している場合に、前記電源ラインの電圧は少なくとも低下する構成であり、
前記第二の条件は、前記第一の信号が前記第一の制御手段に入力された後、第二の信号が前記第一の制御手段に入力された場合に、少なくとも成立可能な条件であり、
前記第二の信号は、起動信号であり、
前記複数種類の可動手段のうちの少なくとも一の可動手段は、第一の可動手段であり、
前記複数種類の可動手段のうちの少なくとも一の可動手段は、第二の可動手段であり、
前記第一の可動手段は、第一の領域を少なくとも移動可能なものであり、
前記第二の可動手段は、第二の領域を少なくとも移動可能なものであり、
前記第一の領域は、第一の場所を少なくとも含む領域であり、
前記第二の領域は、第二の場所を少なくとも含む領域であり、
前記第一の可動手段は、前記第二の条件が成立した場合に、前記第一の場所に位置することが少なくとも可能なものであり、
前記第二の可動手段は、前記第二の条件が成立した場合に、前記第二の場所に位置することが少なくとも可能なものであり、
前記第一の場所は、前記第一の可動手段の初期位置であり、
前記第二の場所は、前記第二の条件が成立する前の前記第二の可動手段の場所である、
ことを特徴とする遊技台。」

(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電断が生じると、遊技台における演出が途切れてしまい、遊技の興趣が低下してしまう恐れがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、遊技の興趣の低下を抑えることができる遊技台を提供することを目的とする。」

(ウ)「【0028】
演出装置206は、腕演出可動体223や顔演出可動体225を動作して演出を行うものであり、詳細については後述する。
【0029】
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための画像表示装置であり、本実施形態のパチンコ機100では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。この装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208dの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でなくとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。」

(エ)「【0048】
顔演出可動体225は、本実施形態ではピエロの顔の演出体225aが昇降するものであり、昇降式の演出可動体である。この顔演出可動体225は、演出体225aを昇降させる不図示の昇降アクチュエータを備える。演出体225aは、この昇降アクチュエータによって装飾図柄表示装置208の前方を移動する。図3に示す演出体225aは、初期位置に位置するものであり、装飾図柄表示装置208の前方になる可動領域を移動可能なものである。詳しくは後述するように、前腕部223bの可動領域と、演出体225aの可動領域は、一部が重なっている。」

(オ)「【0065】
また、基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音源IC416と、各種ランプ418の制御を行うための駆動回路420と、図1に示すチャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426と、を接続している。基本回路402には、演出可動体224(腕演出可動体223、顔演出可動体225)の駆動制御を行うための駆動回路422と、演出可動体224の現在位置を検出する演出可動体センサ424と、演出可動体センサ 424や上述のチャンスボタン検出センサ426からの検出信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、を接続している。」

(カ)「【0178】
一方、ステップS243では、復電時に電断時の状態に復帰するための特定の変数やスタックポインタを復帰データ(本発明にう情報の一例に相当)としてRAM308の所定の領域に退避し、入出力ポートの初期化等の電断時処理を行い、その後、図6に示す主制御部メイン処理に復帰する。主制御部300のRAM308は、本発明にいう記憶手段の一例に相当する。
<第1副制御部400の処理>
図11を用いて、第1副制御部400の処理について説明する。なお、同図(a)は、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理のフローチャートである。
【0179】
まず、同図(a)のステップS301では、各種の初期設定を行う。電源投入が行われると、ステップS301の初期設定が実行される。この初期設定では、図4に示すI/Oポート410の初期設定や、RAM408内の記憶領域の初期化処理等を行う。
【0180】
ステップS303では、タイマ変数が10以上か否かを判定し、タイマ変数が10となるまでこの処理を繰り返し、タイマ変数が10以上となったときには、ステップS305の処理に移行する。
【0181】
ステップS305では、タイマ変数に0を代入する。
【0182】
ステップS307では、コマンド処理を行う。第1副制御部400のCPU404は、主制御部300からコマンドを受信したか否かを判別する。このコマンド処理では、復電時サブ側フラグ設定処理等が行われるが、詳細については後述する。
【0183】
ステップS309では、演出制御処理を行う。例えば、S307で新たなコマンドがあった場合には、このコマンドに対応する演出データをROM406から読み出す等の処理を行い、演出データの更新が必要な場合には演出データの更新処理を行う。また、この演出制御処理では、始動入賞時サブ側先読み予告実行処理、および変動開始時サブ側予告処理も行われる。これらの各処理については詳しくは後述する。
【0184】
ステップS311では、図1に示すチャンスボタン136の押下を検出していた場合、ステップS309で更新した演出データをチャンスボタン136の押下に応じた演出データに変更する処理を行う。」

(キ)「【0364】
以上説明した腕演出可動体223および顔演出可動体225それぞれの駆動制御は、本実施形態では、第1副制御部400のCPU404が、図11(a)に示すステップS317の演出可動体制御処理で行う。なお、第2副制御部500が、腕演出可動体223および顔演出可動体225それぞれの駆動制御を行ってもよい。」

(ク)「【0370】
また、第1副制御部400のRAM404には、電源投入フラグも用意されており、復電コマンドを受信すると、その電源投入フラグがオンにセットされる。すなわち、復電すると、電源投入フラグがオンにセットされる。
【0371】
図32(a)は、バックアップ機能を備えた第1副制御部400のCPU404が実行する可動体初期設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0372】
この可動体初期設定処理は、主制御部300から第1副制御部400に復電コマンドが送信されてくると、図11(a)に示すステップS317の演出可動体制御処理中で実行される。
【0373】
まず、ステップS401では、図4に示す駆動回路422に、回動式の腕演出可動体223の初期位置(図31(a)参照)への初期動作を指示する。次いで、ステップS402では、バックアップフラグがオンに設定されているか否かを判定し、オンに設定されていれば、駆動回路422に対して、昇降式の顔演出可動体225を、RAM408の退避領域に格納されたデータに従い、電断時の位置(第二の場所)へ戻す動作を指示し(ステップS403)、この可動体初期設定処理は終了する。なお、ここにいう電断時とは、厳密に言えば、RAM408の退避領域に格納されるデータを取得したタイミングである。一方、バックアップフラグがオフであれば、顔演出可動体225を初期位置へ戻す初期動作を指示し(ステップS404)、この可動体初期設定処理は終了する。
【0374】
図32(b)は、バックアップ機能を備えた第1副制御部400のCPU404が実行する変動開始時可動体動作処理の流れを示すフローチャートである。
【0375】
この変動開始時可動体動作処理は、主制御部300から第1副制御部400に特図の図柄変動開始コマンドが送信されてくると、図11(a)に示すステップS317の演出可動体制御処理中で実行される。この図柄変動開始コマンドには、上述のごとく、制御状態を表す情報(時短フラグおよび確変フラグの設定状態を表す情報)が含まれている。
【0376】
まず、ステップS411では、上述の電源投入フラグがオンにセットされているか否かを判定し、オフのままであれば、ステップS415に進む。一方、オンにセットされていれば、図柄変動開始コマンドに含まれていた制御状態を表す情報に基づいて、現在の制御状態(遊技状態)が確変状態(特図高確率普図高確率状態)であるか否かを判定する(ステップS412)。現在の制御状態が確変状態であれば、図4に示す駆動回路422に対して、顔演出可動体225を可動端位置(図31(b)参照)まで移動させる動作を指示する(ステップS413)。すなわち、電断直前の制御状態が確変状態でなかった場合には、顔演出可動体225を駆動させる。なお、ステップS413では、演出体225aを可動端位置まで移動させずに、その手前まで移動させるようにしてもよい。
【0377】
ステップS413に続くステップS414では、電源投入フラグをオフに戻し、ステップS415に進む。こうすることで、復電時の最初の図柄変動表示の開始に限って、顔演出可動体225を可動端位置まで移動させることが少なくとも可能になる。
【0378】
一方、ステップS412における判定で、現在の制御状態(遊技状態)が非確変状態であれば、ステップS416において、今度は現在の制御状態(遊技状態)が潜伏確変状態(特図高確率普図低確率状態)であるか否かを判定し、潜伏確変状態でもなければステップS415に進む。すなわち、電断直前の制御状態が特図高確率状態でなかった場合には、ステップS415に進む。反対に、潜伏確変状態であった場合には、図4に示す駆動回路422に対して、顔演出可動体225を非干渉位置(図31(c)参照)まで移動させる動作を指示し(ステップS417)、ステップS415に進む。本実施形態では、復電後に顔演出可動体225が非干渉位置(第六の場所)に移動することは有利な告知として機能する。」

(ケ)「【0385】
図33は、通常状態(特図低確率普図低確率状態)において電断、復電が生じた際の演出可動体の動きを段階的に示した図であり、図34は、図33の続きを示す図であり、図35は、図34の続きを示す図であり、図36は、図35の右側の続きを示す図である。
【0386】
図33(a)に示す腕演出可動体223も顔演出可動体225も、それぞれの初期位置に位置しており、装飾図柄表示装置208では、装飾図柄の変動表示が行われている。なお、同図(a)に示す装飾図柄表示装置208には、通常状態であることを表す通常モードの文字表示がなされている。」

(コ)「【0399】
図37は、確変状態(特図高確率普図高確率状態)において電断、復電が生じた際の演出可動体の動きを段階的に示した図であり、図38は、図37の続きを示す図である。
【0400】
図37(a)に示す腕演出可動体223は初期位置(第一の場所)に位置しており、顔演出可動体225は可動端位置(第五の場所)に位置している。顔演出可動体225は制御状態を位置によって表す役物(可動物)である。すなわち、通常状態(第一の制御状態)のときには初期位置(第四の場所)に位置し、確変状態(第二の制御状態)のときには可動端位置(第五の場所)に位置する。さらに、潜伏確変状態(第三の制御状態)のときには非干渉位置(第六の場所)に位置する。また、装飾図柄表示装置208では、装飾図柄の変動表示が行われている。なお、同図(a)に示す装飾図柄表示装置208には、確変状態であることを表す確変中の文字表示がなされている。」

・認定事項
(サ)引用文献1には、【0385】?【0386】に「図33は、通常状態・・・において・・・顔演出可動体225・・・初期位置に位置しており・・・」と記載され、【0399】?【0400】に「図37は、確変状態・・・において・・・顔演出可動体225は可動端位置・・・に位置している。」と記載されている。
そして、通常状態(特図低確率普図低確率状態)において電断、復電が生じた際の演出可動体の動きを段階的に示した図である【図33】には、
【図33】:


装飾図柄表示装置208に、通常状態において「通常モード」の文字を画面上方中央部に表示することが図示され、
確変状態(特図高確率普図高確率状態)において電断、復電が生じた際の演出可動体の動きを段階的に示した図である【図37】には、
【図37】:


装飾図柄表示装置208に、確変状態において「確変中」の文字を画面上方中央部に表示することが図示されている。
したがって、引用文献1には、装飾図柄表示装置208は、顔演出可動体225が初期位置に位置している通常状態において、「通常モード」の文字を画面上方中央部に表示し、顔演出可動体225が可動端位置に位置している確変状態において、「確変中」の文字を画面上方中央部に表示することが示されているものと認められる。

上記(ア)?(コ)の記載事項、上記(サ)の認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?lは、本件補正発明1のA?Lに対応させて付与した。)。
「a 遊技に関連する遊技制御を少なくとも実行可能な第一の制御手段を備えた遊技台であって(【請求項1】)、
b 初期位置と可動端位置とに昇降するものであって、ピエロの顔の演出体225aを有する顔演出可動体225(【0048】、【0400】)と、
c 現在の制御状態(遊技状態)を判定可能な制御状態を表す情報(時短フラグおよび確変フラグの設定状態を表す情報)を含む図柄変動開始コマンドを第1副制御部400に送信する主制御部300(【0375】?【0376】)と、
d 演出可動体制御処理中の可動体初期設定処理において、顔演出可動体225を初期位置へ戻す初期動作を指示し、その後、変動開始時可動体動作処理において、現在の制御状態が確変状態であれば、顔演出可動体225を可動端位置まで移動させる動作を指示する第1副制御部400のCPU404(【0364】、【0371】?【0376】)と、
e 基本回路402に接続されているチャンスボタン検出センサ426(【0065】)と、
f 装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための画像表示装置である装飾図柄表示装置208(【0029】)とを備え、
g 第1副制御部400のCPU404は、
g1 上記変動開始時可動体動作処理において、復電するとオンにセットされる電源投入フラグがオンにセットされていれば、図柄変動開始コマンドに含まれていた制御状態を表す情報に基づいて、現在の制御状態(遊技状態)が確変状態であると判定されると、顔演出可動体225を可動端位置まで移動させる動作を指示し(【0370】、【0375】、【0376】)、
g2’メイン処理における演出制御処理において、チャンスボタン136の押下を検出していた場合、演出データをチャンスボタン136の押下に応じた演出データに変更する処理を行い(【0178】、【0183】?【0184】)、
l 装飾図柄表示装置208は、顔演出可動体225が初期位置に位置している通常状態において、「通常モード」の文字を画面上方中央部に表示し、顔演出可動体225が可動端位置に位置している確変状態において、「確変中」の文字を画面上方中央部に表示する(認定事項(サ))
遊技台。」

イ 引用文献2
同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本件の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2016-10635号公報(以下「引用文献2」という。)には、遊技機に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。

・記載事項
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段が操作されたことを検知する操作検知手段と、
操作有効期間中における前記操作検知手段による検知が所定操作条件を満たした場合に操作成立と判定する操作判定手段と、
前記操作判定手段により操作成立と判定された場合に、可動体の往復移動を含む操作時演出を実行可能な操作時演出実行手段とを備えた
遊技機において、
前記操作有効期間中における前記操作成立のタイミングに応じて前記操作時演出の演出時間を異ならせる
ことを特徴とする遊技機。」

(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最も遅い操作成立のタイミングに合わせて演出時間を設定すると、操作成立のタイミングによって操作時演出の終了時期が異なり、他の演出、例えば図柄変動との一体感が損なわれて十分な演出効果が得られないという問題があった。
【0006】
また、操作成立のタイミングに拘わらず操作時演出の開始時期を一定にすると、操作成立から操作時演出が開始されるまでのタイムラグが大きくなる場合があり、遊技者の操作から操作時演出への流れが損なわれて遊技者が満足感を得られにくいという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、操作成立のタイミングに拘わらず操作時演出による演出効果を最大限発揮することが可能な遊技機を提供することを目的とする。」

(ウ)「【0068】
演出制御基板42は、画像表示手段22、LED71,スピーカ72、可動演出手段30等の各種演出手段による演出を制御するもので、保留増加コマンド受信時処理手段73、変動パターンコマンド受信時処理手段74、シナリオ記憶手段75、シナリオ実行処理手段76、操作判定手段77、第2特別保留個数表示制御手段78等を備えている。なお、LED71は可動演出手段30の可動体31を含むセンターケース17(図1)の他、遊技盤5及び前枠4に多数配置され、スピーカ72は例えば前枠4の上部に2個、下部に1個配置されている(図1)。」

(エ)「【0104】
シナリオ実行処理手段76は、変動パターンシナリオ、先読み保留変化演出シナリオ、先読み連続演出シナリオ、変動中演出シナリオ等、演出用の各種シナリオ(実行制御情報)に基づく演出実行処理を行うもので、例えば定期割り込み毎に図20に示すシナリオ実行処理を実行するように構成されている。なお、このシナリオ実行処理手段76は、操作判定手段77により操作成立と判定された場合に操作時演出を実行可能な操作時演出実行手段、ステップアップ演出(所定演出)を実行可能なステップアップ演出実行手段(所定演出実行手段)、先読み連続演出における雨演出(特定演出)を実行可能な特定演出実行手段を構成している。」

(オ)「【0116】
図23は、ボタン操作有効期間開始と略同時に操作成立と判定された場合(a)と、ボタン操作有効期間終了と略同時に操作成立と判定された場合(b)とにおける、成功時演出の場合の可動体の動作を比較したものである。このように、本実施形態の場合には、ボタン操作有効期間中における操作成立のタイミングに応じて操作時演出の演出時間が異なっており、操作成立のタイミングが遅いほど操作時演出の演出時間が短くなっている。即ち、可動体による操作時演出の開始から終了までの期間が、ボタン操作有効期間中における操作成立のタイミングに拘わらず一定の時間で行われる不変演出期間としての降下期間(第1不変演出期間)及び上昇期間(第2不変演出期間)と、ボタン操作有効期間中における操作成立のタイミングに応じて時間が変化する可変演出期間としての待機期間とで構成されており、降下期間(第1不変演出期間)と上昇期間(第2不変演出期間)との間を待機期間(可変演出期間)としているため、操作成立のタイミングに拘わらず操作時演出による演出効果を最大限発揮することが可能である。」

上記(ア)?(オ)の記載事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用文献2には次の技術事項(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「e 操作手段が操作されたことを検知する操作検知手段(【請求項1】)
を備えた遊技機において、

g、g2
演出制御基板42は、
操作判定手段により、操作有効期間中における操作検知手段による検知が、所定操作条件を満たすことにより操作成立と判定された場合に、可動体の往復移動を含む操作時演出を実行可能な操作時演出実行手段を構成するシナリオ実行処理手段76を備え(【請求項1】、【0068】、【0104】)、

h 操作時演出実行手段は、ボタン操作有効期間中における操作成立のタイミングに応じて操作時演出の演出時間を異ならせることが可能である(【0104】、【0116】)
遊技機。」

(3)対比
本件補正発明1と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)引用発明における「遊技に関連する遊技制御を少なくとも実行可能な」ことは、本件補正発明1における「遊技を行なうことが可能な」ことに相当する。
そして、引用発明における「遊技台」は、本件補正発明1における「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明における構成aは、本件補正発明1における構成Aに相当する。

(b)引用発明における「初期位置」、「可動端位置」のうち一方及び他方は、それぞれ、本件補正発明1における「第1位置」、「第2位置」のうち一方及び他方に相当する。
したがって、引用発明における構成bの「初期位置と可動端位置とに昇降するものであって、ピエロの顔の演出体225aを有する顔演出可動体225」は、本件補正発明1における構成Bの「第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体」に相当する。

(c)引用発明における「現在の制御状態(遊技状態)を判定可能な制御状態を表す情報」「を含む図柄変動開始コマンド」は、本件補正発明1における「遊技状態を特定可能な制御情報」に相当する。
したがって、引用発明における構成cの「現在の制御状態(遊技状態)を判定可能な制御状態を表す情報」「を含む図柄変動開始コマンドを第1副制御部400に送信する主制御部300」は、本件補正発明1における構成Cの「遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段」に相当する。
(d)引用発明における「現在の制御状態が確変状態であれば、顔演出可動体225を可動端位置まで移動させる動作を指示する」ことは、「現在の制御状態が確変状態」の場合、「顔演出可動体225」を「移動させる」位置として、「可動端位置」と「初期位置」のうちから、「確変状態」のときの位置である「可動端位置」を選択指示することであるから、本件補正発明1における「第1位置および第2位置のうち遊技状態に応じた位置に可動体を移動させることが可能である」ことに相当する。
また、引用発明における「顔演出可動体225」は、その移動に伴い、「ピエロの顔の演出体225a」が「昇降」する「顔演出」を行うものであることから、本件補正発明1における「可動体による演出を実行する」ことに相当する機能を有するものである。
したがって、引用発明における「演出可動体制御処理中の可動体初期設定処理において、顔演出可動体225を初期位置へ戻す初期動作を指示し、その後、変動開始時可動体動作処理において、現在の制御状態が確変状態であれば、顔演出可動体225を可動端位置まで移動させる動作を指示する第1副制御部400のCPU404」は、本件補正発明1における「第1位置および第2位置のうち遊技状態に応じた位置に可動体を移動させることが可能であるとともに、可動体による演出を実行する演出制御手段」としての機能を有するものである。

(e)引用発明における構成eの「チャンスボタン検出センサ426」は、本件補正発明1における構成Eの「遊技者による動作を検出する動作検出手段」に相当する。

(f)引用発明における構成fの「画像表示装置である装飾図柄表示装置208」は、本件補正発明1における構成Fの「表示手段」に相当する。

(g、g1)引用発明における「電源投入フラグがオンにセットされて」いる場合は、本件補正発明1における「遊技機が起動されたとき」に相当する。
そして、引用発明における「図柄変動開始コマンドに含まれていた制御状態を表す情報に基づいて、現在の制御状態(遊技状態)が確変状態であると判定される」のは、構成cによると、「図柄変動開始コマンド」は、「主制御部300」から「第1副制御部400」へと「送信」されるものであることから、「図柄変動開始コマンド」を「主制御部300」から受信したことに基づくものである。
そうすると、引用発明における「図柄変動開始コマンドに含まれていた制御状態を表す情報に基づいて、現在の制御状態(遊技状態)が確変状態であると判定される」ことは、本件補正発明1における「制御情報を受信した」ことに相当する。
また、引用発明における「現在の制御状態(遊技状態)が確変状態であると判定されると、顔演出可動体225を可動端位置まで移動させる動作を指示」することは、上記(d)より、本件補正発明1における「第1位置および第2位置のうち受信した制御情報が示す遊技状態に応じた位置に可動体を移動させることを含む初期処理を実行する」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成g?g1の「変動開始時可動体動作処理」を行う「第1副制御部400のCPU404」は、本件補正発明1における構成G?G1の「演出制御手段」が含む「初期処理制御手段」としての機能を有するものである。

(g、g2)引用発明における「チャンスボタン136の押下を検出していた場合」と、本件補正発明1における「動作検出有効期間中に動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じ」ることとは、「動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じ」ることで共通する。
また、引用発明における「演出データをチャンスボタン136の押下に応じた演出データに変更する処理を行」うことと、本件補正発明1における「可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な」こととは、「演出を実行可能な」ことで共通する。
したがって、引用発明における構成g?g2の「第1副制御部400のCPU404」が行う「メイン処理における演出制御処理」と、本件補正発明1における構成G?G2の「演出制御手段」が含む「動作時演出手段」とは、「演出制御手段」が含む「動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、演出を実行可能な演出手段」である点で共通する。

(l)引用発明は、構成lを備えることにより、「顔演出可動体225」が「初期位置に位置している」ときと、「可動端位置に位置している」ときとで、遊技状態を表す「通常モード」の文字と、「確変中」の文字とを「装飾図柄表示装置208」の「画面」の異なる位置に表示するものである。
したがって、引用発明における構成lは、本件補正発明1における構成Lの「表示手段は、可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である」ことに相当する。

よって、上記(a)?(l)によれば、本件補正発明1と引用発明は、
「A 遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
B 第1位置および第2位置に移動可能な演出用の可動体と、
C 遊技状態を特定可能な制御情報を送信可能な遊技制御手段と、
D 前記第1位置および前記第2位置のうち前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることが可能であるとともに、前記可動体による演出を実行する演出制御手段と、
E 遊技者による動作を検出する動作検出手段と、
F 表示手段とを備え、
G 前記演出制御手段は、
G1 前記遊技機が起動されたときに、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることを含む初期処理を実行する初期処理制御手段と、
G2’前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、演出を実行可能な演出手段とを含み、
L 前記表示手段は、前記可動体の位置に応じて、異なる表示を実行可能である、遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成G、G2)
動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、演出を実行可能な演出手段に関して、
本件補正発明1は、動作検出有効期間中に遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段であるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点。

[相違点2](構成H)
動作時演出手段に関して、
本件補正発明1は、動作検出有効期間中における動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、動作時演出の演出時間を異ならせるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えるか否か明らかでない点。

[相違点3](構成I?K)
動作時演出に関して、
本件補正発明1は、構成I?Kの「動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて動作時演出を実行する第1パターンと、動作検出有効期間中に動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたが動作時演出を実行せずに所定の画像を表示させる第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出と、
動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された場合には第1パターンを実行するが、動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されなかった場合には第2パターンを実行した後に動作時演出を実行する第2演出とを、動作検出手段の検出状態に応じて実行可能であり、
第1演出として動作検出有効期間が開始してから第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、第2演出として動作検出有効期間が開始してから第2パターンを実行した後に動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じであり、」なる構成を備えるが、
引用発明は、そのような構成を備えない点。

(4)判断
ア 相違点1?2について
相違点1?2は、動作時演出に関し、互いに関連する技術であるのでまとめて検討する。
まず、本件補正発明1と引用発明2とを対比する。
(e)
引用発明2における構成eの「操作手段が操作されたことを検知する操作検知手段」は、本件補正発明1における構成Eの「遊技者による動作を検出する動作検出手段」に相当する。

(g、g2)
引用発明2における「操作有効期間中」、「操作検知手段による検知が、所定操作条件を満たす」ことは、それぞれ、本件補正発明1における「動作検出有効期間中」、「動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された」ことに相当する。
そして、引用発明2における「可動体の往復移動を含む操作時演出」は、本件補正発明1における「可動体の往復動作を含む動作時演出」に相当する。
したがって、引用発明2における「操作時演出実行手段を構成するシナリオ実行処理手段76を備え」る「演出制御基板42」は、本件補正発明1における「動作時演出手段」「を含」む「演出制御手段」に相当する。

(h)
引用発明2における「ボタン操作有効期間中における操作成立のタイミングに応じて操作時演出の演出時間を異ならせることが可能である」ことは、本件補正発明1における「動作検出有効期間中における前記動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、前記動作時演出の演出時間を異ならせ」ることに相当する。
したがって、引用発明2における「ボタン操作有効期間中における操作成立のタイミングに応じて操作時演出の演出時間を異ならせることが可能である」「操作時演出実行手段」は、本件補正発明1における「動作検出有効期間中における動作検出手段による特定動作の検出タイミングに応じて、動作時演出の演出時間を異ならせ」る「動作時演出手段」に相当する。

そして、引用発明と引用発明2とは、演出効果を向上させるという共通の課題を解決するものである。
また、引用発明と引用発明2とは、遊技者の特定操作に基づいて演出を実行可能な遊技機である点で共通する。
よって、引用発明の演出制御処理において、引用発明2の操作有効期間中に遊技者の操作が検出されたことに応じて可動体の往復移動を含む「操作時演出」を実行可能とし、さらに、操作有効期間中における遊技者の操作検出タイミングに応じて、「操作時演出」の演出時間を異ならせ、上記相違点1?2に係る本件補正発明1の構成G、G2、Hとすることは当業者が容易になし得たものである。

イ 相違点3について
本件の出願前に頒布された刊行物である特開2014-233356号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の技術事項について記載されている。

・記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。詳しくは、遊技者が操作可能な操作手段と、前記操作手段の操作が有効となる操作有効期間の内に該操作手段が操作されたことに基づいて、所定の操作時演出を実行する操作時演出実行手段と、前記遊技者が前記操作有効期間を認識可能な操作有効報知を実行する操作有効報知実行手段とを有する遊技機に関する。」

(イ)「【0497】
次に、役物作動演出において演出制御用CPU101が行う処理のタイミングについて、図65及び図66を用いて説明する。演出態様がスーパーリーチに発展すると(D00)、所定時間経過後に、演出表示装置9にボタン操作示唆表示201及びメータ202が表示される(D01:ステップS8152)。また、このときボタン操作タイマがセットされる(ステップS8153)。ボタン操作タイマの値は、ボタン操作示唆表示201及びメータ202の表示時間よりも0.2秒長い値である。
【0498】
図65に示すように、役物作動演出の態様として勝利演出が選択されている場合に、遊技者が、ボタン操作示唆表示201及びメータ202の表示期間の内に、プッシュボタン120を操作した場合には(ステップS8160でY)、直ちに演出用役物127が動作して(図63のD11:ステップS8162)、「勝利!!」の文字402及びキャラ403が演出表示装置9に表示され(D12)、大当りを示す演出図柄(本例では777)が停止表示される(D13)。
・・・
【0500】
一方、役物作動演出の態様として勝利演出が選択されている場合に、遊技者が、ボタン操作タイマがタイムアウトする前に、プッシュボタン120を操作しなかった場合には(ステップS8160でN)、ボタン操作タイマがタイムアウトすると、「敗北」の文字404が演出表示装置9に表示される(図64のD21)。このとき役物作動タイマがセットされる(ステップS8179)。そして役物作動タイマがタイムアウトすると(ステップS8175でY)、演出用役物127が動作し(ステップS8176:D22)、最終的には大当りを示す演出図柄(本例では777)が停止表示される(D23)。
・・・
【0502】
図65に示すように、役物作動演出の態様として敗北演出が選択されている場合に、遊技者が、ボタン操作示唆表示201及びメータ202の表示期間の内に、プッシュボタン120を操作した場合には(ステップS8160でY)、直ちに「敗北」の文字404が演出表示装置9に表示され(図63のD31:ステップS8180でN)、はずれを示す演出図柄(本例では767)が停止表示される(D33)。

・認定事項
(ウ)役物作動演出の具体例を示す説明図である【図63】には、
【図63】:

プッシュボタンをプッシュ操作することに基づいて、演出用役物127を往復動作可能とする役物作動演出を行うこと(D11、D22)が図示されていると認められる。

(エ)役物作動演出における役物作動の実行タイミングを示す説明図である【図65】には、
【図65】:

勝利演出において、「PUSH」表示期間の内に、プッシュ操作がなされた場合、及び、プッシュ操作がなされなかった場合に、「PUSH」表示が開始されてから、図柄停止されるまでの期間が同じであることが図示されていると認められる。

上記(ア)?(イ)の記載事項、及び、上記(ウ)?(エ)の認定事項を総合すると、上記引用文献3には次の技術事項(以下「引用文献3に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「g、g2 演出態様がスーパーリーチに発展すると演出表示装置9にボタン操作示唆表示201及びメータ202を表示し、ボタン操作に基づいて演出用役物127を往復動作可能とする役物作動演出を行う演出制御用CPU101を備えた遊技機(【0497】、【図63】、【0001】)において、

i 役物作動演出の態様として勝利演出が選択されている場合に、遊技者が、ボタン操作示唆表示201及びメータ202の表示期間の内に、プッシュボタン120を操作した場合には、直ちに演出用役物127が動作して、「勝利!!」の文字402及びキャラ403が演出表示装置9に表示され大当りを示す演出図柄が停止表示され(【0498】)、
役物作動演出の態様として敗北演出が選択されている場合に、遊技者が、ボタン操作示唆表示201及びメータ202の表示期間の内に、プッシュボタン120を操作した場合には、直ちに「敗北」の文字404が演出表示装置9に表示され、はずれを示す演出図柄が停止表示され(【0502】)、

j 役物作動演出の態様として勝利演出が選択されている場合に、遊技者が、ボタン操作タイマがタイムアウトする前に、プッシュボタン120を操作しなかった場合には、ボタン操作タイマがタイムアウトすると、「敗北」の文字404が演出表示装置9に表示される。このとき役物作動タイマがセットされるそして役物作動タイマがタイムアウトすると、演出用役物127が動作し、最終的には大当りを示す演出図柄が停止表示され(【0500】)、

k 役物作動演出の態様として勝利演出が選択されている場合であって、かつ、遊技者が、ボタン操作示唆表示201及びメータ202の表示期間の内に、プッシュボタン120を操作した場合、及び、遊技者が、ボタン操作タイマがタイムアウトする前に、プッシュボタン120を操作しなかった場合に、メータ202の表示期間が開始されてから、図柄停止されるまでの期間が同じである(【0498】、【0500】、【図65】)こと。」

ここで、引用文献3に記載された技術事項の構成g、g2の
1):「演出制御用CPU101」、
2):「メータ202を表示」すること、
3):「ボタン操作に基づ」くこと、
4):「演出用役物127を往復動作可能とする役物作動演出」は、それぞれ、本件補正発明1における構成G、G2の
1):「演出制御手段」、
2):「動作検出有効期間中」であることを示すこと、
3):「遊技者の特定動作が検出された」こと、
4):「可動体の往復動作を含む動作時演出」に対応することから、引用文献3に記載された技術事項g、g2は、本件補正発明1における構成G、G2に相当する。

そして、引用文献3に記載された技術事項の構成iの
1):「遊技者が、ボタン操作示唆表示201及びメータ202の表示期間の内に、プッシュボタン120を操作した場合」、
2):「役物作動演出の態様として勝利演出が選択されている場合に」「演出用役物127が動作」すること、
3):「役物作動演出の態様として敗北演出が選択されている場合に」「敗北」の文字404が演出表示装置9に表示され」ることは、それぞれ、本件補正発明1における構成Iの
1):「動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された」こと、
2):「第1パターン」による「動作時演出を実行する」こと、
3):「所定の画像を表示させる第2パターン」「を実行する」ことに対応することから、引用文献3に記載された技術事項iの「役物作動演出の態様」は、本件補正発明1における構成Iの「第1パターンと」「第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出」に相当する。

同様に、引用文献3に記載された技術事項の構成jの「役物作動演出の態様」は、本件補正発明1における構成Jの「第2パターンを実行した後に動作時演出を実行する第2演出」に相当する。

また、引用文献3に記載された技術事項の構成kの「役物作動演出の態様として勝利演出が選択されている場合であって、かつ、遊技者が、ボタン操作示唆表示201及びメータ202の表示期間の内に、プッシュボタン120を操作した場合」「に、メータ202の表示期間が開始されてから、図柄停止されるまでの期間」は、本件補正発明1における構成Kの「第1演出として動作検出有効期間が開始してから第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間」に対応し、同様に、構成kの「役物作動演出の態様として勝利演出が選択されている場合であって、かつ」「遊技者が、ボタン操作タイマがタイムアウトする前に、プッシュボタン120を操作しなかった場合に、メータ202の表示期間が開始されてから、図柄停止されるまでの期間」は、本件補正発明1における構成Kの「第2演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間」に対応する。
したがって、引用文献3に記載された技術事項の構成kは、本件補正発明1における構成Kに相当する。

ゆえに、引用文献3に記載された技術事項の構成g、g2、i?kは、それぞれ、本件補正発明1における構成G、G2、I?Kに相当する。

ところで、引用文献3に記載された技術事項と同様の技術は、特開2013-116291号公報の【0498】?【0499】、【0501】、【0503】、【図63】、【図65】や、特開2014-39731号公報の【0425】?【0434】、【図50】、【図52】にも記載されていることから、遊技機の技術分野において、動作検出有効期間中に遊技者の特定動作が検出されたことに応じて、可動体の往復動作を含む動作時演出を実行可能な動作時演出手段を備え、動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に遊技者の特定動作が検出されたことに応じて動作時演出を実行する第1パターンと、動作検出有効期間中に遊技者の特定動作が検出されたが動作時演出を実行せずに所定の画像を表示させる第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出と、動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に遊技者の特定動作が検出された場合には第1パターンを実行するが、動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されなかった場合には第2パターンを実行した後に動作時演出を実行する第2演出とを、動作検出手段の検出状態に応じて実行可能とし、第1演出として動作検出有効期間が開始してから第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、第2演出として動作検出有効期間が開始してから第2パターンを実行した後に動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じとすること、すなわち、本件補正発明1の構成G、G2、I?Kを備える遊技機は、本願出願前に周知の技術事項であるといえる。

そして、引用発明と上記周知の技術事項とは、遊技者の操作に基づいて演出を実行可能とするという共通の機能を有するものである。
また、上記周知の技術事項が、遊技者の操作に応じて、可動体の往復動作を伴う動作時演出を実行することにより、遊技者の興趣を向上させるという自明の課題を解決するものであることは、当業者にとって明らかである。
よって、引用発明における演出制御処理において、上記周知の動作時演出を実行可能とし、上記相違点3に係る本件補正発明1の構成I?Kとすることは当業者が容易になし得たものである。

(5)請求人の主張について
請求人は、平成30年11月29日付けの審判請求書において、「構成I,J,Kは、引用文献1,2に開示も示唆もされていません。
本願発明1?3は、構成I,Jを備えることにより、特定動作が検出された場合と、検出されなかった場合とで、演出のパターンが一旦異なることにより、遊技の興趣を向上させることができるという特有の効果を得ることができます。
・・・
さらに、本願発明1?3は、構成Kを備えることにより、特定動作が検出されたことに応じて動作時演出を実行する第1パターンを実行可能な第1演出と、特定動作が検出されなかった場合に第2パターンを実行した後に動作時演出を実行可能な第2演出とについて、第1演出として動作検出有効期間が開始してから第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、第2演出として動作検出有効期間が開始してから第2パターンを実行した後に動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じであるので、演出が複雑化しないようにすることができるという特定の効果を得ることができます。」((3)拒絶理由について)と主張する。

そこで、請求人の上記主張について検討する。
請求人が、引用文献のいずれも備えない構成であると主張する、本件補正発明の構成I?Kは、上記「(4)判断 ア 相違点1?2について」において検討したように、本願出願前に周知の技術事項であって、該周知の技術事項により奏される効果であるといえる。

したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(6)小括
本件補正発明1により奏される効果は、当業者が、引用発明、引用発明2、及び、周知の技術事項から予測し得る効果の範囲内のものであって、格別のものではない。
よって、本件補正発明1は、引用発明、引用発明2、及び、周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

3-2 本件補正発明2
次に、本件補正後の請求項2に係る発明(以下「本件補正発明2」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

本件補正発明2は、本件補正発明1における構成Gの演出制御手段について、「G1 前記遊技機が起動されたときに、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させることを含む初期処理を実行する初期処理制御手段と」とあったものを、
「G1’前記遊技機が起動されたときに、前記遊技状態に依らない所定の初期処理を前記制御情報の受信前に実行した後、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させる初期処理を実行する初期処理制御手段」としたものであって、構成G1以外は本件補正発明1と同じ構成を備えるものである。
そして、引用発明は、構成d、g1より、「確変状態」に依る「変動開始時可動体動作処理」の前に遊技状態に依らない「顔演出可動体225を初期位置へ戻す初期動作」を行うものであって、この「顔演出可動体225を初期位置へ戻す初期動作」は、本件補正発明2における構成G1’の「制御情報の受信前に実行」される「遊技状態に依らない所定の初期処理」に相当する。
したがって、引用発明の構成d、g1は、本件補正発明2の構成G1’に相当する。
よって、本件補正発明2は、本件補正発明1と同様に、引用発明、引用発明2及び、周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

3-3 本件補正発明3
次に、本件補正後の請求項3に係る発明(以下「本件補正発明3」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
本件補正発明3は、本件補正発明2における構成G’の演出制御手段について、
「G1’前記遊技機が起動されたときに、前記遊技状態に依らない所定の初期処理を前記制御情報の受信前に実行した後、前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させる初期処理を実行する初期処理制御手段」とあったものを、
「G1’’前記遊技機が起動されたときに前記遊技状態に依らない所定の初期処理を実行した後、前記変動表示の開始時に前記制御情報を受信したことに基づいて、前記第1位置および前記第2位置のうち受信した前記制御情報が示す前記遊技状態に応じた位置に前記可動体を移動させる初期処理制御手段」としたものであって、構成G1’以外は本件補正発明2と同じ構成を備えるものである。
そして、構成G1’’は、構成G1’の「前記制御情報の受信前に」との構成を省くものである。
よって、本件補正発明3は、本件補正発明1?2と同様に、引用発明、引用発明2及び、周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
上記1?3より、本件補正発明1?3は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されることとなったので、平成30年4月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明(以下「本願発明1?3」という。)は、前記第2の「1 補正の内容」に示したした平成30年4月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?3のとおりのものであると認める。

2 原査定の拒絶の理由の概要
(1)(進歩性)この出願の請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2014-150819号公報
2.特開2016-10635号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(前記第2の「3 3-1(2)」アにおける「引用文献1」に対応する。)の記載事項及び引用発明の認定、及び、同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(前記第2の「3 3-1(2)」イにおける「引用文献2」に対応する。)の記載事項及び引用発明2の認定については、前記「第2 3 3-1(2)イ 引用文献2」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明1?3は、それぞれ、前記第2の「3 3-1?3-3」で検討した本件補正発明1?3の「動作時演出」に関して、構成I?Jの「前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたことに応じて前記動作時演出を実行する第1パターンと、前記動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されたが前記動作時演出を実行せずに所定の画像を表示させる第2パターンとの少なくともいずれかのパターンを実行する第1演出と、
前記動作検出有効期間が開始した後、当該動作検出有効期間中に前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出された場合には前記第1パターンを実行するが、前記動作検出手段により遊技者の特定動作が検出されなかった場合には前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行する第2演出とを、前記動作検出手段の検出状態に応じて実行可能であり、
前記第1演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第1パターンを実行して変動表示が終了するまでの期間と、前記第2演出として前記動作検出有効期間が開始してから前記第2パターンを実行した後に前記動作時演出を実行してから変動表示が終了するまでの期間とが同じであり、」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明1?3と引用発明とは、本件補正発明1?3と同様に、前記[相違点1](構成G、G2)及び[相違点2](構成H)において相違し、その余の点において一致する。
そして、前記相違点1?2については、前記第2の「3 3-1(4)判断 ア 相違点1?2について」において検討したとおり、引用発明に引用発明2を適用することにより当業者が容易になし得たものである。
したがって、本願発明1?3は、原査定で引用した引用文献に記載された引用発明、及び、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

5 むすび
上記1?4より、本願発明1?3は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-06-07 
結審通知日 2019-06-11 
審決日 2019-06-24 
出願番号 特願2016-93896(P2016-93896)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武田 知晋  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 大谷 純
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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