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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1354018
審判番号 不服2018-12720  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-25 
確定日 2019-08-29 
事件の表示 特願2017-184234号「表示制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年4月18日出願公開、特開2019-61388号、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年9月25日の出願であって、同年12月19日付けの拒絶理由通知に対し、平成30年4月11日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月29日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ(原査定の謄本の送達日:同年7月5日)、これに対して、同年9月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたが、当審において、令和1年5月31日付けで当該手続補正(平成30年9月25日付け手続補正)は却下されるとともに、同日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対し、令和1年7月1日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。


第2 本願発明
本願請求項1?3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明3」という。)は、令和1年7月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
物理量を表す画像を表示装置に表示させる表示制御装置であって、
物理量を示す所定の信号を入力する手段を備え、
前記所定の信号が示す物理量に応じて画像を生成する手段を備え、
前記画像は、第1所定単位の物理量を表す第1フラクタル画像と、前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す第2フラクタル画像と、を含み、
前記画像を前記表示装置に表示させる手段を備える、
表示制御装置であって、
前記生成する手段は、
第1方向に増加するn(nは2以上の整数)個の第1フラクタル画像を配置することにより、第1フラクタル画像列を形成し、
第2方向に増加するm(mは2以上)個の前記第1フラクタル画像列を配置し、
前記第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2フラクタル画像を配置することにより、第2フラクタル画像列を形成し、前記第2方向に増加するq(qは2以上)個の第2フラクタル画像列を配置することにより、1つの第1フラクタル画像を形成し、
前記第2フラクタル画像は、前記第1フラクタル画像を構成する画像である
表示制御装置。
【請求項2】
前記生成する手段は、第1方向と、前記第1方向とは異なる第2方向と、によって規定される二次元空間に複数の第1フラクタル画像を配置する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記生成する手段は、複数のフラクタル画像を格子状に配置する、
請求項1又は請求項2の何れかに記載の表示制御装置。」


第3 原査定について
1 原査定の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

理由1(明確性)
本願請求項1?3において、「フラクタル画像」の定義又は意味する画像が明確ではなく、また、当該画像と物理量との対応関係が不明であるから、本願請求項1?3に係る発明は明確ではなく、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2(実施可能要件)
本願発明の詳細な説明を参照しても、「フラクタル画像」は明確ではなく、また、どのように物理量からフラクタルな画像を得ているのかも明らかではないから、本願発明の詳細な説明には、本願請求項1?3に係る発明をどのように実施するのかが明らかにされておらず、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由4(進歩性)
本願請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1.実願昭56-13085号(実開昭57-126070号)のマイクロフィルム
引用文献2.特開昭58-196586号公報
引用文献3.特開昭60-18712号公報
引用文献4.実願昭53-22482号(実開昭54-124551号)のマイクロフィルム


2 原査定の明確性及び実施可能要件に係る拒絶の理由についての当審の判断
原査定の理由1(明確性)と理由2(実施可能要件)とは、「フラクタル画像」の意味という点において共通する内容を含むことから、両者を併せて検討する。

(1)「フラクタル画像」の意味について

ア 一般に、「フラクタル」とは、「どんなに微小な部分をとっても全体に相似している(自己相似)ような図形。」(新村出編「広辞苑」(第六版)岩波書店)を指すから、かかる定義に従えば、「フラクタル画像」とは、「どんなに微小な部分をとっても全体に相似している(自己相似)ような図形を表す画像」を指すと解される。

イ そこで、本願請求項1?3に係る発明の「第1フラクタル画像」及び「第2フラクタル画像」の意味について検討してみると、本願発明の詳細な説明には、「フラクタル画像」に関して以下のような記載がある(下線は当審が付与した。以下、同じ)。

「【0064】
上述した説明においては、第1フラクタル画像及び第2フラクタル画像で構成される画像は正方形(n×n)の外形を有していたが、長方形であってもよい。この場合、Y方向にn(nは2以上の整数)個の第1フラクタル画像を配置して第1フラクタル画像列を形成し、X方向にm(mは1以上)個の第1フラクタル画像列を配置することとすればよい。またY方向にp(pは2以上)個の第2フラクタル画像を配置して第2フラクタル画像列を形成し、Y方向にq(qは1以上)個の第2フラクタル画像列を配置することとすればよい。
【0065】
なお、本発明の「フラクタル」の語は厳密に自己相似形である必要はなく、個々の単位が集合して一つの形を構成するものであってもよい。
【0066】
以上説明したように、本発明は、物理量を表す数値の増加(減少)を縦方向(図3A)及び横方向(図3B)に並ぶ指標(第1フラクタル画像)と、当該指標自体の構成を更に細かい指標(第2フラクタル画像)の縦方向(図3C)及び横方向(図3C)の配列によって表現することとした。本発明においては、第2フラクタル画像の構成を更に細かい指標(第3フラクタル画像:図示せず)の縦方向(図3C)及び横方向(図3C)の配列によって表現しすることも可能であり、理論上は、第Nフラクタル画像まで利用することが可能である。なお、数値は10進数とは限らないし各桁が違っても良い。このように、変化する方向を交互にすることで、物理量の変化の詳細を見易くできる。」

ウ 上記段落【0064】及び【0065】の記載によれば、本願請求項1?3に係る発明の「フラクタル画像」とは、正方形や長方形などの外形を有する画像であって、それらの画像を個々の単位画像として集合させて一つの全体画像を構成した場合、当該単位画像の外形と、当該全体画像の外形とが、概ね相似の関係(自己相似)にある画像をいうと解するのが適当である。

エ そして、上記段落【0066】の記載によれば、単位画像自体を、自己相似性を維持しながら、さらに細かい単位画像に分割し、理論上はN段階まで分割して単位画像とすることが可能であるから、本願請求項1?3に係る発明の「第1フラクタル画像」及び「第2フラクタル画像」とは、前者が全体画像であり、後者が当該全体画像を分割した単位画像であって、両者の外形が概ね自己相似性を有しているものを意味すると解される。

オ なお、理論上分割可能なN段階のNを無限大とする極限を考えれば、「どんなに微小な部分をとっても全体に相似している(自己相似)」ということが満たされるので、上記エのように解することは、上記アで述べた「フラクタル画像」の一般的定義とも合致している。

カ そうすると、本願発明の詳細な説明を参照すれば、本願請求項1?3に係る発明において、「フラクタル画像」(「第1フラクタル画像」、「第2フラクタル画像」)の定義又は意味する画像は、明確であるといえる。

(2)フラクタル画像と物理量との対応関係について

ア 本願請求項1?3に係る発明の「第1フラクタル画像」及び「第2フラクタル画像」が、それぞれ「物理量」とどのように対応づけられるのかに関して、本願発明の詳細な説明には、以下のような記載がある。

「【0026】
図3に示すように、表示制御装置10によって生成される画像は、複数の第1フラクタル画像FP1により、第1物理量単位の物理量が表される。複数の第1フラクタル画像FP1は、Y方向(「第1方向」の一例)と、Y方向に直交するX方向(「第2方向」の一例)によって規定される二次元空間(以下「XY空間」という)に配置される。
【0027】
図3Aに示すように、物理量「0」から第1物理量単位で物理量が増加した場合、第1フラクタル画像FP1(1,1)が配置される。
【0028】
第1物理量単位で物理量が更に増加した場合、図3Bに示すように、複数の第1フラクタル画像FP11?FP1nがY方向に配列される。これにより、X=1の位置に、所定の上限数(n(nは2以上の整数)個)の第1フラクタル画像FP1(1,1)?FP1(1,n)から構成される第1フラクタル画像列F1(1)が形成される。
【0029】
第1フラクタル画像列F1(1)を構成する第1フラクタル画像FP1の数がnに達した場合、図3Cに示すように、X方向にシフトした位置(X=2)に、第1フラクタル画像FP1(2,1)が配置される。
【0030】
物理量が最大になった場合、図3Dに示すように、n×n個の第1フラクタル画像FP1(1,1)?FP1(n,n)が配置される。この場合、X方向にn個の第1フラクタル画像列F1(1)?F1(n)が配列される。
なお、上述した実施の形態においては、X方向に配列されるフラクタル画像とY方向に配列されるフラクタル画像が同一(即ち全体として正方形を呈する状態)であったが、必要に応じて、これらは変更可能である。即ち、n×m個の第1フラクタル画像を配置することとしてもよい。
【0031】
このように、第1物理量単位の物理量は、第1フラクタル画像FP1の数により表される。
【0032】
図3Cに示すように、各第1フラクタル画像FP1は、1?n×n個の第2フラクタル画像FP2(1,1)?FP2(n,n)から構成される。
つまり、Y方向にn個配列された第2フラクタル画像FP2は、第2フラクタル画像列F2を形成する。第2フラクタル画像列F2は、X方向にn個配列される。
換言すると、第2フラクタル画像FP2のXY空間上の配列(図3C)は、第1フラクタル画像FP1(図3D)と同一である。
【0033】
(省略)
【0034】
第1物理量単位より小さい第2物理量単位で物理量が変化した場合、X座標の最大値及びY座標の最大値に位置する第1フラクタル画像(以下「最大第1フラクタル画像」という)FP1(2,1)を構成する第2フラクタル画像FP2の数が増減する。
第2物理量単位の物理量は、最大第1フラクタル画像を構成する第2フラクタル画像FP2の数により表される。」
【0035】
(省略)
【0036】
(3)表示制御装置の処理
(中略)
以下の説明では、第1物理量単位が物理量値1であり、第2物理量単位が物理量値0.01であり、n=10であるとする。1列の第1フラクタル画像列F1は、10個の第1フラクタル画像FP1から構成される。1列の第2フラクタル画像列F2は、10個の第2フラクタル画像FP2から構成される。
【0037】?【0039】
(省略)
【0040】
例えば、物理量信号が物理量「50」を示す場合、第1フラクタル画像FP1の数は50個である。この場合、図5に示すように、50個の第1フラクタル画像FP1がXY空間に格子状に配置され、5個の第1フラクタル画像列F1がX方向に並ぶ。
【0041】
例えば、物理量信号が物理量「100」を示す場合、第1フラクタル画像FP1の数は100個である。この場合、図6に示すように、100個の第1フラクタル画像FP1がXY空間に格子状に配置され、10個の第1フラクタル画像列F1がX方向に並ぶ。
【0042】
例えば、物理量信号が物理量「51.25」を示す場合、第1フラクタル画像FP1の数は51個である。この場合、図7に示すように、51個の第1フラクタル画像FP1がXY空間に格子状に配置され、6個の第1フラクタル画像列F1がX方向に並ぶ。
最大第1フラクタル画像FP1(6,2)は、25個の第2フラクタル画像FP2から構成される。この25個の第2フラクタル画像FP2は、第1フラクタル画像FP1と同様に、XY空間に格子状に配置され、3個の第2フラクタル画像列F2(1)?(3)がX方向に並ぶ。」

イ 上記段落【0031】、【0036】?【0042】の記載によれば、第1物理量単位の物理量は、第1フラクタル画像FP1の「数」により表されるとされているから、「第1フラクタル画像」の個数(例えば、「50個」)と「第1所定単位の物理量」(例えば、「1」)との積(「50」)をとることにより、「第1所定単位」(「1」)でみた場合の「物理量」(「50」)が対応づけられると解される。

ウ そして、「第1フラクタル画像」をXY空間においてどのように配置するかについても、上記段落【0026】?【0030】に記載されており、この記載によれば、要するに、第1物理量単位で物理量が増加した場合、それに対応して、Y方向(「第1方向」)に第1フラクタル画像の数を増加させて配列し、当該配列において所定の上限数nに達した場合には、X方向(「第2方向」)に1列シフトさせ、XY空間上に最大でn×n個の第1フラクタル画像が配置されるというものであるから、第1フラクタル画像の表示態様と物理量との対応づけも開示されているといえる。

エ また、上記段落【0034】、【0042】の記載によれば、第2物理量単位の物理量は、最大第1フラクタル画像を構成する第2フラクタル画像FP2の「数」により表されるとされているから、「最大第1フラクタル画像を構成する第2フラクタル画像」の個数(例えば、「25個」)と「第2所定単位の物理量」(例えば、「0.01」)との積(「0.25」)をとり、「最大第1フラクタル画像」を除いた「第1フラクタル画像」の個数(例えば、「51個」)と「第1所定単位の物理量」(例えば、「1」)との積(「51」)をとり、それらの和(0.25+51=51.25)をとることにより、「第2所定単位」(「0.01」)でみた場合の「物理量」(「51.25」)が対応づけられると解される。
そして、上記段落【0032】の記載によれば、第2フラクタル画像のXY空間上の配列は、第1フラクタル画像と同一であるから、第2フラクタル画像の表示態様と物理量との対応づけも開示されているといえる。

オ このように、本願発明の詳細な説明は、「第1フラクタル画像」及び「第2フラクタル画像」が、それぞれ「物理量」とどのように対応づけられて表示されるのかについて、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているということができ、本願請求項1においても、本願発明の詳細な説明から把握される上述の対応づけや表示態様を反映して、「前記生成する手段は、第1方向に増加するn(nは2以上の整数)個の第1フラクタル画像を配置することにより、第1フラクタル画像列を形成し、第2方向に増加するm(mは2以上)個の前記第1フラクタル画像列を配置し、前記第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2フラクタル画像を配置することにより、第2フラクタル画像列を形成し、前記第2方向に増加するq(qは2以上)個の第2フラクタル画像列を配置することにより、1つの第1フラクタル画像を形成し、前記第2フラクタル画像は、前記第1フラクタル画像を構成する画像である」と記載しているのであるから、本願請求項1?3の記載において、かかる対応関係は、明確であるといえる。

(3)小括
上記(1)及び(2)において検討したとおりであるから、原査定の明確性及び実施可能要件に係る拒絶の理由によっては、本願は、特許法第36条第6項第2号及び同条第4項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえない。


3 原査定の進歩性に係る拒絶の理由についての当審の判断
(1)引用文献、引用発明等
ア 引用文献1について
原査定の拒絶の理由において引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。

(ア) 「本考案は、たとえば車輌の走行速度を検出して所定速度単位で段階表示する速度計等の表示機構に関するものである。」(明細書第2頁第1?3行)

(イ) 「本考案の表示装置は、第2図に示すように比較的大きな走行速度単位で、全表示範囲を複数の表示ブロックに分割して離間配設する構成をとるものである。すなわち、最高表示速度を60Km/hとした場合、速度表示パネル1には10Km/hの速度単位で分割した6つの表示ブロック2(1)?2(6)が階段状に順次離間配置される。各表示ブロック2(1)?2(6)はさらに2.5Km/h単位の表示要素A,B,C,Dに区画され、各々カラー表示をなすLEDで構成される。」(明細書第5頁第7行?第6頁第1行)

(ウ) 「いま、25Km/hの速度で走行しているとすれば、表示ブロック2(1)、2(2)のすべての表示要素が発光し、さらに表示ブロック2(3)における表示要素A、Bが発光して現走行速度を表示する。」
(明細書第6頁第2?5行)

(エ) 「第3図は本考案の他の実施例を示すもので、速度表示パネル1には、全表示範囲60Km/hを10Km/h単位に6分割した表示ブロック3(1)?3(6)が2段階に離間配置される。ここで上記表示ブロック3(1)?3(6)は、各々に異なる表示単位で細分割され、それに応じた数の表示要素で区画構成される。すなわち、走行機会が少なく微少速度変化を確認する必要のほとんどない低速域および高速域に対する表示ブロック3(1)、3(6)は、5Km/h単位の表示要素A、Bで2分割し、走行機会が多く比較的頻繁に走行速度を確認する20Km/h?40Km/hの中速域、ここでは表示ブロック3(3),3(4)を2Km/h単位の表示要素A,B,C,D,Eで5分割し、表示ブロック3(2)、3(3)はほぼ3Km/h単位の表示要素A,B,Cで3分割して、全表示範囲を各表示ブロック別重要度に応じた表示単位で区画するように構成している。」(明細書第7頁第2行?第8頁第3行)

(オ) 「第2図



(カ) 「第3図



(キ) 上記(オ)の図示内容から、「6つの表示ブロック2(1)?2(6)」が、速度表示パネル1の表示面の左下部から右上部に向かって階段状に順次離間配置されていることが読み取れる。

(ク) 上記(オ)の図示内容から、各表示ブロック2(1)?2(6)は、左下の位置に表示要素A、右下の位置に表示要素B、左上の位置に表示要素C、右上の位置に表示要素Dが配置されて、正方形状をなしていることが読み取れる。

(ケ) 上記(カ)の図示内容から、速度表示パネル1の表示面の下段に、表示範囲を0?30Km/hとして、左側から右側に向かって直線状に表示ブロック3(1)、3(2)、3(3)が、この順に離間配置され、上記表示面の上段に、表示範囲を30?60Km/hとして、左側から右側に向かって直線状に表示ブロック3(4)、3(5)、3(6)が、この順に離間配置され、上記下段の離間配置と上記上段の離間配置とは、左右方向にずれた配置となっていることが読み取れる。

(コ) 上記(カ)の図示内容から、各表示要素A,B,C,D,Eは、逆くの字形状をしており、各表示ブロック3(1)?3(6)は、逆くの字形状をしていることが読み取れる。

(サ) 上記(ア)?(エ)の記載事項及び上記(キ)?(コ)の認定事項を総合すると、引用文献1には、以下の2つの発明(以下、それぞれ「引用発明1-1」及び「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明1-1]
「車輌の走行速度を検出して所定速度単位で段階表示する速度計等の表示装置において、(上記(ア)、(イ))
最高表示速度を60Km/hとした場合、速度表示パネル1には10Km/hの速度単位で分割した6つの表示ブロック2(1)?2(6)が、前記速度表示パネル1の表示面の左下部から右上部に向かって階段状に順次離間配置され、(上記(イ)、(キ))
各表示ブロック2(1)?2(6)は、2.5Km/h単位の表示要素A,B,C,Dに区画され、(上記(イ))
各表示要素A,B,C,Dは、正方形状のLEDで構成され、
(上記(イ)、(ク))
各表示ブロック2(1)?2(6)は、左下の位置に表示要素A、右下の位置に表示要素B、左上の位置に表示要素C、右上の位置に表示要素Dが配置されて、正方形状をなしており、(上記(イ)、(ク))
25Km/hの速度で走行しているとき、表示ブロック2(1)、2(2)のすべての表示要素が発光し、さらに表示ブロック2(3)における表示要素A、Bが発光して現走行速度を表示する、(上記(ウ))
表示装置。(上記(イ))」

[引用発明1-2]
「車輌の走行速度を検出して所定速度単位で段階表示する速度計等の表示装置において、(上記(ア)、(イ))
速度表示パネル1には、全表示範囲60Km/hを10Km/h単位に6分割した表示ブロック3(1)?3(6)が、2段階に離間配置され、
(上記(エ))
前記速度表示パネル1の表示面の下段に、表示範囲を0?30Km/hとして、左側から右側に向かって直線状に表示ブロック3(1)、3(2)、3(3)が、この順に離間配置され、
上記表示面の上段に、表示範囲を30?60Km/hとして、左側から右側に向かって直線状に表示ブロック3(4)、3(5)、3(6)が、この順に離間配置され、(上記(エ)、(ケ))
上記下段の離間配置と上記上段の離間配置とは、左右方向にずれた配置となっており、(上記(ケ))
上記表示ブロック3(1)?3(6)は、各々に異なる表示単位で細分割され、それに応じた数の表示要素で区画構成されており、(上記(エ))
表示ブロック3(1)、3(6)は、5Km/h単位の表示要素A、Bで2分割され、
表示ブロック3(3)、3(4)は、2Km/h単位の表示要素A,B,C,D,Eで5分割され、
表示ブロック3(2)、3(3)は、ほぼ3Km/h単位の表示要素A,B,Cで3分割されており、(上記(エ))
各表示要素A,B,C,D,Eは、逆くの字形状をしており、各表示ブロック3(1)?3(6)は、逆くの字形状をしている、(上記(エ)、(コ))
表示装置。(上記(イ))」


イ 引用文献2について
原査定の拒絶の理由において引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア) 「第4図において、44は第1の数字表示パターンとなり任意の数字表示が可能な7個のセグメントg_(1)、h、i、d_(2)、e_(1)、e_(2)、j(45?51)からなる小数表字パターン、52は第2の数字表示パターンとなり任意の数字表示が可能な10個のセグメントa、b、c、d_(1)、f、g_(2)、d_(2)、e_(1)、e_(2)、g_(1)(53?58および45、48?50)からなる整数表示パターンであり、各セグメント45?51および整数表示パターン53?58は螢光体(図示せず)を表面に設けたアノード(図示せず)によって構成され、セグメント45、48、49、50は小数表示パターン44と整数表示パターン52とに共通して使用される。」
(第2頁右上欄第20行?同頁左下欄第13行)

(イ) 「なお、上記各実施例は表示素子として蛍光表示管26を使用した場合について説明したが、表示素子が液晶素子、発光ダイオード、エレクトロルミネセンス、プラズマディスプレイ素子などの場合でも同様の手法が適用できることは明らかである。」(第4頁左上欄第3?8行)

(ウ) 「第4図



(エ) 上記(ア)及び(イ)の記載事項及び上記(ウ)の図示内容を総合すると、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明2]
「任意の数字表示が可能な7個のセグメントg_(1)、h、i、d_(2)、e_(1)、e_(2)、j(45?51)により、小数表示パターン44を表示し、
(上記(ア))
任意の数字表示が可能な10個のセグメントa、b、c、d_(1)、f、g_(2)、d_(2)、e_(1)、e_(2)、g_(1)(53?58および45、48?50)により、整数表示パターン52を表示し、(上記(ア))
セグメント45、48、49、50は小数表示パターン44と整数表示パターン52とに共通して使用される、(上記(ア))
液晶表示素子。(上記(イ))」


ウ 引用文献3について
原査定の拒絶の理由において引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア) 「〔産業上の利用分野〕
この発明は、複写機等の表示装置、特に小型低価格なパーソナルユース指向の複写機等の簡易な表示装置に関する。」(第1頁左下欄第12?15行)

(イ) 「第2図は、表示装置10の平面図である。11は表示部で、状態機能表示手段12と運転表示手段13とコピー濃度表示手段14とコピー枚数表示手段15が設けてある。上記の各表示手段は全てLED素子で形成されている。(中略)コピー枚数表示手段15は、複写機の最大可能な連続コピー枚数(図示のものは19枚)を表示する十位桁用の1個の緑色LED11と、一位桁用の9個の赤色LED12?20よりなる計10個のLED11?20を、後述の点灯制御ができるように、横一列に配設して形成されている。」(第2頁左下欄第17行?同頁右下欄第15行)

(ウ) 「なおまた、表示装置10の表示部11における状態機能表示手段12、運転表示手段13及びコピー枚数表示手段15の各LEDを、第2図のように各セクション別に分けて配置する代りに、第7図のように同列にまとめて配置し状態表示とコピー枚数表示の両機能を兼用させるようにしてもよい。すなわち、第7図において、LED1?10はコピー枚数表示手段(そのうち9個のLED1?9は一位桁を、残り1個のLED10は十位桁を表す)であり、かつ運転表示手段であり、更にLED6?10は状態機能表示手段でもあってLED6が「排紙部紙づまり」を、LED7が「転写部紙づまり」を、LED8が「給紙部紙づまり」を、LED9が「トナー無し」を、LED10が「紙無し」をそれぞれ表示するようになっている。」
(第8頁右上欄第7行?同頁左下欄第2行)

(エ) 「更に微少なLED素子をちりばめて、転写紙の輪郭を型どり、第9図のようにコピー枚数を絵画的に表示するように構成すると、変化のあるディスプレイが可能となる。図中、L_(1)?L_(9)は一位桁を赤色の輪郭点灯で示し、L_(10)は十位桁を緑色の輪郭点灯で表す。なおL_(1)には転写紙のサイズも表示される。図はA4版16枚の点灯表示中を示す。このディスプレイはLED素子に限らず、例えばLCD(液晶)、プラズマディスプレイ、EL板(エレクトロ・ルミネッセンス)、螢光表示板、ECD(エレクトロ・クロミック・デイバイス)等を用いても達成可能である。」
(第8頁右下欄第8?19行)

(オ) 「第2図



(カ) 「第7図



(キ) 上記(ア)?(エ)の記載事項及び上記(オ)及び(カ)の図示内容を総合すると、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明3]
「表示部11にコピー枚数表示手段15が設けてある複写機等の表示装置において、(上記(ア)、(イ))
前記コピー枚数表示手段15は、複写機の最大可能な連続コピー枚数を表示する十位桁用の1個のLEDと、一位桁用の9個のLEDよりなる計10個のLEDを、点灯制御ができるように、横一列に配設して形成されており、(上記(イ)、(ウ))
LEDの代わりにLCD(液晶)等を用いても表示可能な表示装置。
(上記(エ))」


エ 引用文献4について
原査定の拒絶の理由において引用された上記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア) 「第7図は本実施例における表示装置をA?Dの4桁用い、電子時計の時、分の時刻を表示している。Aは時刻の分の一の位、Bは時刻の分の十の位、Cは時刻の時の一の位、Dは時刻の時の十の位である。各ドットセグメントD_(0)?D_(5)は前述した枠体などにより必要に応じて枠取りされる。この図ではドットセグメントD_(0)の点灯により数値の「0」が明確であるために、10時37分と容易に読み取ることができる。このような表示形態は類似の算盤などで十分見慣れているので、特別に異和感なく使用することができる。
また、この表示装置の表示素子がドットセグメントD_(0)?D_(5)で構成される利点として、A、B、Cの3桁で3×6のドットマトリクス表示を行ない、時刻表示と兼用して他の情報表示をすることもできる。」
(明細書第6頁第12行?第7頁第7行)

(イ) 「また、ドットセグメントを発光ダイオードで構成したが、勿論消費電力の少ない液晶等で構成すれば有用である。」(明細書第8頁第3?5行)

(ウ) 「第7図



(エ) 上記(ア)及び(イ)の記載事項及び上記(ウ)の図示内容を総合すると、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明4]
「表示素子がドットセグメントD_(0)?D_(5)で構成され、A、B、Cの3桁で3×6のドットマトリクス表示を行う表示装置において、(上記(ア))
Aは時刻の分の一の位、Bは時刻の分の十の位、Cは時刻の時の一の位、Dは時刻の時の十の位を表すようにして、電子時計の時、分の時刻を表示するものであり、(上記(ア))
ドットセグメントを液晶等で構成した表示装置。(上記(イ))」


(2)引用発明1-1に基づく容易想到性
(2-1)対比
本願発明1と引用発明1-1とを対比する。

ア 引用発明1-1の「車輌の走行速度」は、本願発明1の「物理量」に相当し、引用発明1-1の「速度計等の表示装置」は、本願発明1の「表示装置」に相当する。
また、引用発明1-1においては、「25Km/hの速度で走行しているとき、表示ブロック2(1)、2(2)のすべての表示要素が発光し、さらに表示ブロック2(3)における表示要素A、Bが発光して現走行速度を表示する」ように動作しているから、かかる動作をさせるための表示制御装置を有していると認められる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1とは、「物理量を表す表示を表示装置に表示させる表示制御装置」である点で共通する。

イ 引用発明1-1の「10Km/hの速度単位」は、本願発明1の「第1所定単位」に相当するから、引用発明1-1の「10Km/hの速度単位で分割した6つの表示ブロック2(1)?2(6)」での表示と、本願発明1の「第1所定単位の物理量を表す第1フラクタル画像」とは、「第1所定単位の物理量を表す表示」である点で共通する。

ウ 引用発明1-1の「2.5Km/h単位」は、本願発明1の「前記第1所定単位より小さい第2所定単位」に相当するから、引用発明1-1の「2.5Km/h単位の表示要素A,B,C,D」での表示と、本願発明1の「前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す第2フラクタル画像」とは、「前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す表示」である点で共通する。

エ 引用発明1-1の「各表示要素A,B,C,D」は「正方形状」であり、「各表示ブロック2(1)?2(6)」は、「左下の位置に表示要素A、右下の位置に表示要素B、左上の位置に表示要素C、右上の位置に表示要素Dが配置されて、正方形状をなして」いるから、「各表示要素A,B,C,D」と「各表示ブロック2(1)?2(6)」とは、自己相似性を有する集合に含まれ、「フラクタル」な関係を有するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1とは、「第1所定単位の物理量を表す第1フラクタル表示と、前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す第2フラクタル表示と、を含み」、「前記第2フラクタル表示は、前記第1フラクタル表示を構成する表示である」という点で共通する。

オ 引用発明1-1の「6つの表示ブロック2(1)?2(6)が、前記速度表示パネル1の表示面の左下部から右上部に向かって階段状に順次離間配置され」ている方向は、本願発明1の「第1方向」に相当する。
そうすると、引用発明1-1の「離間配置」された「6つの表示ブロック2(1)?2(6)」は、「第1フラクタル表示」の「列」を形成しているといえるから、本願発明1と引用発明1-1とは、「第1方向に増加するn(nは2以上の整数)個の第1フラクタル表示を配置することにより、第1フラクタル表示列を形成」するという点で共通する。

カ 引用発明1-1の「表示要素A」?「表示要素D」は、複数個の「第2フラクタル表示」の配列であるといえるから、本願発明1と引用発明1-1とは、「p(pは2以上)個の第2フラクタル表示を配置すること」という点で共通する。

キ 上記ア?カより、本願発明1と引用発明1-1とは、

「物理量を表す表示を表示装置に表示させる表示制御装置であって、
前記表示は、第1所定単位の物理量を表す第1フラクタル表示と、前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す第2フラクタル表示と、を含み、
第1方向に増加するn(nは2以上の整数)個の第1フラクタル表示を配置することにより、第1フラクタル表示列を形成し、
p(pは2以上)個の第2フラクタル表示を配置し、
前記第2フラクタル表示は、前記第1フラクタル表示を構成する表示である
表示制御装置。」

である点で一致し、以下の相違点1?4で相違する。

[相違点1]
「第1フラクタル表示」、「第2フラクタル表示」、「第1フラクタル表示列」が、本願発明1では、「画像」や「画像列」であるのに対して、引用発明1-1では、「画像」や「画像列」ではない点。

[相違点2]
本願発明1では、「物理量を示す所定の信号を入力する手段」、「前記所定の信号が示す物理量に応じて画像を生成する手段」、「前記画像を前記表示装置に表示させる手段」を備えるのに対して、引用発明1-1では、そのような構成を備えていない点。

[相違点3]
本願発明1では、「第2方向に増加するm(mは2以上)個の前記第1フラクタル画像列を配置し」ているのに対して、引用発明1-1では、そのような構成を備えていない点。

[相違点4]
本願発明1では、「前記第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2フラクタル画像を配置することにより、第2フラクタル画像列を形成し、前記第2方向に増加するq(qは2以上)個の第2フラクタル画像列を配置することにより、1つの第1フラクタル画像を形成」しているのに対して、引用発明1-1では、そのような構成を備えていない点。

(2-2)判断
事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討する。

ア 引用発明1-1では、「最高表示速度を60Km/hとした場合」、「10Km/hの速度単位で分割した6つの表示ブロック2(1)?2(6)」が、「前記速度表示パネル1の表示面の左下部から右上部に向かって階段状に順次離間配置され」ており、仮に、この「6つの表示ブロック2(1)?2(6)」が配置される「前記速度表示パネル1の表示面の左下部から右上部に向か」う方向(「第1方向」)に沿って、「表示要素A」?「表示要素D」をこの順に配列した場合を考えると、各正方形A?Dの一方の対角線が一直線上(「第1方向」)に並ぶような配列(以下、「対角線配列」という。)が得られることになり、この対角線配列は、上記相違点4に係る「前記第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2フラクタル画像を配置」したものに一応相当する。

イ しかしながら、そのような対角線配列にすると、「表示要素A,B,C,D」からなる「各表示ブロック2(1)?(6)」は、もはや「正方形状」ではなくなり、「各表示要素A,B,C,D」と「各表示ブロック2(1)?2(6)」とが、自己相似性を維持できなくなるのは明らかであるから、そのような対角線配列は「フラクタル」であるとはいえない。

ウ すなわち、そのような対角線配列にしてしまうと、自己相似性が失われ、「表示要素A,B,C,D」は、もはや「第2フラクタル表示」とはいえないし、当該対角線配列も「第2フラクタル表示列」とはいえないことになるから、このような対角線配列にすることによっても、上記相違点4に係る本願発明1の構成を得ることは困難を伴うものである。

エ また、引用発明1-2、2?4には、「前記第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2フラクタル画像を配置することにより、第2フラクタル画像列を形成し、前記第2方向に増加するq(qは2以上)個の第2フラクタル画像列を配置することにより、1つの第1フラクタル画像を形成」することを可能とする点は開示されていない。

オ そうすると、引用発明1-1、1-2、2?4に基づいて、上記相違点4に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易に想到し得たものであるとはいえない。

カ したがって、本願発明1は、上記相違点1?3を検討するまでもなく、当業者であっても、容易に発明をすることができたものとはいえない。


(3)引用発明1-2に基づく容易想到性
(3-1)対比
本願発明1と引用発明1-2とを対比する。
上記「(2)引用発明1-1に基づく容易想到性」の「(2-1)対比」において検討した事項も参照しながら、引用発明1-2の「前記速度表示パネル1の表示面」の「左側から右側に向か」う方向(左右方向)が、本願発明1の「第1方向」に相当し、引用発明1-2の「前記速度表示パネル1の表示面」の「下段」から「上段」に向かう方向(上下方向)が、本願発明1の「第2方向」に相当し、「表示要素A」?「表示要素E」から「第2フラクタル表示列」が形成されることに留意すると、
本願発明1と引用発明1-2とは、

「物理量を表す表示を表示装置に表示させる表示制御装置であって、
前記表示は、第1所定単位の物理量を表す第1フラクタル表示と、前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す第2フラクタル表示と、を含み、
第1方向に増加するn(nは2以上の整数)個の第1フラクタル表示を配置することにより、第1フラクタル表示列を形成し、
第2方向に増加するm(mは2以上)個の前記第1フラクタル表示列を配置し、
前記第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2フラクタル表示を配置することにより、第2フラクタル表示列を形成し、
前記第2フラクタル表示は、前記第1フラクタル表示を構成する表示である
表示制御装置。」

である点で一致し、以下の相違点1、2及び4’で相違する。

[相違点1]
「第1フラクタル表示」、「第2フラクタル表示」、「第1フラクタル表示列」、「第2フラクタル表示列」が、本願発明1では、「画像」や「画像列」であるのに対して、引用発明1-2では、「画像」や「画像列」ではない点。

[相違点2]
本願発明1では、「物理量を示す所定の信号を入力する手段」、「前記所定の信号が示す物理量に応じて画像を生成する手段」、「前記画像を前記表示装置に表示させる手段」を備えるのに対して、引用発明1-2では、そのような構成を備えていない点。

[相違点4’]
本願発明1では、「前記第2方向に増加するq(qは2以上)個の第2フラクタル画像列を配置することにより、1つの第1フラクタル画像を形成」しているのに対して、引用発明1-2では、そのような構成を備えていない点。

(3-2)判断
事案に鑑みて、上記相違点4’について先に検討する。

ア 引用発明1-2において、「表示要素A」?「表示要素E」から形成される「第2フラクタル表示列」を「第2方向に増加」して「q(qは2以上)個」「配置」されたとしても、これら複数個の「第2フラクタル表示列」によって、「1つの」「第1フラクタル表示」が形成されることはない。

イ そもそも、引用発明1-2の「表示要素A」?「表示要素E」は、それぞれ「逆くの字形状」をしており、これら「表示要素A」?「表示要素E」から形成される「第2フラクタル表示列」を速度表示パネル1の表示面の上下方向に沿って、どのように配置させたとしても、1つの「逆くの字形状」(1つの第1フラクタル表示)を形成できないのは明らかである。

ウ また、引用発明1-1、2?4にも、「第2フラクタル表示列」を、「第2方向に増加」して「q(qは2以上)個」「配置」することにより、「1つの」「第1フラクタル表示」が形成されることを可能とする点は開示されていない。

エ そうすると、引用発明1-1、1-2、2?4に基づいて、上記相違点4’に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者にとって容易に想到し得たものであるとはいえない。

オ したがって、本願発明1は、上記相違点1及び2を検討するまでもなく、当業者であっても、容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)本願発明2及び3
本願発明2及び3も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)小括
上記(1)?(4)において検討したとおりであるから、原査定の進歩性に係る拒絶の理由によっては、本願発明1?3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。


4 まとめ
上記2及び3で検討したとおりであるから、原査定の拒絶の理由を維持することはできない。


第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1(進歩性)
本願請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物1:特開平11-119696号公報(当審にて新たに引用)
刊行物2:特開平11-258002号公報(周知技術を示す文献、当審にて新たに引用)

理由2(明確性)
本願請求項1?3に係る発明は、以下のア?エの点で不明確であり、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項1において、

ア 「前記第1方向に増加するn(nは2以上の整数)個の第1フラクタル画像を配置することにより、第1フラクタル画像列を形成し、」という記載における「前記第1方向」の「前記」は誤記であると思われる。(それよりも前に「第1方向」という発明特定事項はないので)

イ 「前記第2方向に増加するm(mは2以上)個の前記第1フラクタル画像列を配置し、」という記載における「前記第2方向」の「前記」は誤記であると思われる。(それよりも前に「第2方向」という発明特定事項はないので)

ウ 「前記第2方向に増加するq(qは1以上)個の第2フラクタル画像を配置することにより、1つの第1フラクタル画像を形成し、」という記載における「第2フラクタル画像」は「第2フラクタル画像列」の誤記ではないかと思われる。

エ 「前記第2方向に増加するq(qは1以上)個の...を配置することにより」という記載におけるq=1の場合には「増加」したことにはならない(qは2以上としないと「増加」とはいえない。)。


2 進歩性に係る当審拒絶理由についての判断
(1)刊行物、刊行物発明等
ア 刊行物1について
当審拒絶理由において引用された上記刊行物1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア) 「【0003】図7は、蛍光表示管を備えたオーディオ装置の一例の要部を示す構成図である。このオーディオ装置102では、ステレオ音場を形成するための左右の音声信号aは、トーンコントローラ104、バランスコントローラ106、ならびにボリュームコントローラ108の順に各部を通過して不図示のメインアンプに供給される。トーンコントローラ104、バランスコントローラ106、ならびにボリュームコントローラ108はすべてマイクロコンピュータ110(以下、マイコン110ともいう)により制御され、マイコン110は、オーディオ装置102の不図示の操作面に配置されたツマミなどが利用者により操作されると、その操作に応じてこれらの各部を制御し、利用者が望む周波数特性、左右の音圧レベルのバランス、音量レベルを設定する。」

(イ) 「【0035】次に、音量レベルを表示する第2の実施の形態例について説明する。図3は第2の実施の形態例のレベル表示方法により音量レベルを表示した場合の蛍光表示管112の表示部113を示す模式正面図である。この第2の実施の形態例のレベル表示方法も図7に示したオーディオ装置102で実施し、特にマイコン110の動作により実現するものである。オーディオ装置102の構成についてはすでに説明したのでここでは説明を省略する。ただし、このオーディオ装置では各単位ドットマトリクス114は図7の場合より広い間隔で配列されているものとする。」

(ウ) 「【0037】そして、上述した音圧レベルの場合と同様に、左端の単位ドットマトリクス2の左端のドット列9(本発明に係わる特定のドット列)を先頭として例えばドット列18に至るバー20を表示し、そのバー20の長さを音量レベルに応じて設定する。ただし、その際、ドット列9から最も離れたドット列18では表示すべきレベルに応じ、ドット116を選択して点灯させる。図4の(A)ないし(H)は音量レベルを表すバーの最後のドット列においてレベルに応じていかにドット116を選択して点灯させるかを示す蛍光表示管112の表示部の模式部分正面図である。図4の各図において、左側の単位ドットマトリクス114は図3における例えば左から6番目の単位ドットマトリクス114であり、右側の単位ドットマトリクス114は左から7番目の単位ドットマトリクス114である。
【0038】左側の単位ドットマトリクス114の左端のドット列8の各ドット116(合計5ドット)がすべて点灯しているときレベルN(Nは正の整数)であるとすると、それより1段階高いレベル、すなわちレベルN+1は、図4の(A)に示したように、左側の単位ドットマトリクス114の右端のドット列18において中央のドット17を点灯させることで表す。また、さらに1段階高いレベル、すなわちレベルN+2は、図4の(B)に示したように、ドット列18において中央部の3ドットを点灯させることで表す。そして、さらに1段階高いレベル、すなわちレベルN+3は、図4の(C)に示したように、ドット列18においてすべてのドット(5ドット)を点灯させることで表す。以下、同様に、図4の(D)ないし(H)に示したように、より高いレベルは、ドット列18につづくより順位の高いドット列において、中央のドット、中央部の3ドット、ならびに全ドット(5ドット)のいずれかを選択して点灯させることで表現する。」

(エ) 「【0054】なお、上記第1ないし第4の実施の形態例では、ドットマトリクス表示装置として蛍光表示管112を用いたが、蛍光表示管以外にも液晶表示装置や発光ダイオード表示装置などにを用いる場合にも本発明は無論有効である。そして、液晶表示装置では各液晶セルが蛍光表示管112の蛍光体ドットに相当し、また、発光ダイオード表示装置では各発光ダイオードが蛍光表示管112の蛍光体ドットに相当する。」

(オ) 「【図3】



(カ) 「【図4】



(キ) 「【図7】



(ク) 上記(ア)?(エ)の記載事項及び上記(オ)?(キ)の図示内容を総合すると、上記刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物発明」という。) が記載されていると認められる。

[刊行物発明]
「音量レベルを液晶表示装置に表示させるマイコン110を備えたオーディオ装置102であって、
操作面に配置されたツマミが利用者により操作されると、その操作に応じて音量レベルが設定され、
マイコン110の動作により、音量レベルの表示がされるものであり、
(上記(ア)、(イ)、(エ)、(キ))

音量レベルの表示は、左端のドット列9を先頭として最後のドット列18に至るバー20の長さを音量レベルに応じて設定して行われるものであり、
(上記(ウ)【0037】、上記(オ)、(カ))

最後のドット列18における表示については、直近のドット列の各ドット(合計5ドット)がすべて点灯しているときをレベルN(Nは正の整数)であるとすると、それより1段階高いレベルN+1は、ドット列18において中央のドット17を点灯させることで表し、さらに1段階高いレベルN+2は、ドット列18において中央部の3ドットを点灯させることで表し、さらに1段階高いレベルN+3は、ドット列18においてすべてのドット(5ドット)を点灯させることで表すようにした、(上記(ウ)、(カ))

オーディオ装置102。(上記(ア))」


イ 刊行物2について
当審拒絶理由において引用された上記刊行物2には、次の周知技術が記載されている。

[周知技術]
「信号の値を表示面10に画像として表示する表示システムにおいて、
(段落【0014】)
上記表示面10は形状が矩形であり、グリッドによってゾーン20に分割されており、(段落【0015】)
第1方向(グリッドゾーンの行方向)に増加するn(nは2以上の整数)個の単位画像を配置することにより、画像列を形成し、第2方向(グリッドゾーンの列方向)に増加するm(mは2以上)個の前記画像列を配置すること。(段落【0016】?【0018】、【図1】)」


(2)刊行物発明に基づく容易想到性

(2-1)対比
本願発明1と刊行物発明とを対比する。

ア 刊行物発明の「音量レベル」は、本願発明1の「物理量」に相当する。また、刊行物発明の「液晶表示装置」は、本願発明1の「表示装置」に相当し、刊行物発明の「音量レベルに応じて」「長さ」が「設定」される「左端のドット列9を先頭として最後のドット列18に至るバー20」は、本願発明1の「物理量を表す画像」に相当する。

イ 刊行物発明は、「マイコン110の動作により、音量レベルの表示がされるもの」であるから、引用発明の「マイコン110を備えたオーディオ装置102」は、本願発明1の「表示制御装置」に相当する。

ウ 刊行物発明では、「操作面に配置されたツマミが利用者により操作されると、その操作に応じて音量レベルが設定され」るから、刊行物発明も「物理量を示す所定の信号を入力する手段」を備えているといえる。

エ 刊行物発明の「マイコン110」は、本願発明1の「前記所定の信号が示す物理量に応じて画像を生成する手段」及び「前記画像を前記表示装置に表示させる手段」に相当する。

オ 刊行物発明では、音量レベルが「レベルN+3」のとき、「ドット列18」の「すべてのドット(5ドット)」が点灯し、さらに音量レベルが上がると、より順位の高いドット列が点灯する。
また、音量レベルが「レベルN+1」のとき、「ドット列18」の「中央のドット17」が点灯し、さらに音量レベルが2段上がって音量レベルが「レベルN+3」になると、「すべてのドット(5ドット)」が点灯する。

カ そうすると、刊行物発明において、5ドットすべてが点灯したものと、本願発明1の「第1所定単位の物理量を表す第1フラクタル画像」とは、「第1所定単位の物理量を表す第1画像」である点で共通する。
また、刊行物発明において、1ドットのみが点灯したものと、本願発明1の「前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す第2フラクタル画像」とは、「前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す第2画像」である点で共通する。

キ 刊行物発明の「ドット列」の列方向は、本願発明1の「第1方向」に相当し、刊行物発明の「バー20」の「長さ」方向は、本願発明1の「第2方向」に相当する。

ク 刊行物発明において、5ドットすべてが点灯したものは、1ドットのみが点灯したものを列方向に増加させて5個配置したものとみることができるから、刊行物発明において、5ドットすべてが点灯したものは、「前記第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2画像を配置することにより」「形成」された「第2画像列」であるといえる。
そして、刊行物発明は、5ドットすべてが点灯したものを、「バー20」の「長さ」方向に1個配置することにより、「1つの第1画像」に相当するものを形成しているといえる。
そうすると、本願発明1と刊行物発明とは、「第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2画像を配置することにより、第2画像列を形成し、第2方向に第2画像列を配置することにより、1つの第1画像を形成」する点で共通する。

ケ 刊行物発明において、1ドットのみが点灯したものは、5ドットすべてが点灯したものの構成要素であるとみることができるから、刊行物発明では、「前記第2画像は、前記第1画像を構成する画像である」といえる。

以上ア?ケより、本願発明1と刊行物発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。

[一致点]
「物理量を表す画像を表示装置に表示させる表示制御装置であって、
物理量を示す所定の信号を入力する手段を備え、
前記所定の信号が示す物理量に応じて画像を生成する手段を備え、
前記画像は、第1所定単位の物理量を表す第1画像と、前記第1所定単位より小さい第2所定単位の物理量を表す第2画像と、を含み、
前記画像を前記表示装置に表示させる手段を備える、
表示制御装置であって、
前記生成する手段は、
第1方向に増加するp(pは2以上)個の第2画像を配置することにより、第2画像列を形成し、第2方向に第2画像列を配置することにより、1つの第1画像を形成し、
前記第2画像は、前記第1画像を構成する画像である
表示制御装置。」

[相違点]
「第1画像」と「第2画像」について、本願発明1では、両者が「フラクタル」な関係を有し、それぞれ「第1フラクタル画像」及び「第2フラクタル画像」であるとし、「第1方向に増加するn(nは2以上の整数)個の第1フラクタル画像を配置することにより、第1フラクタル画像列を形成し、第2方向に増加するm(mは2以上)個の前記第1フタクタル画像列を配置し」ており、「前記第2方向に増加するq(qは2以上)個の第2フラクタル画像列を配置することにより、1つの第1フラクタル画像を形成」しているのに対して、刊行物発明では、両者が「フラクタル」な関係を有しておらず、上述のような構成を備えていない点。

(2-2)判断
上記相違点について検討する。
刊行物発明は、「直近のドット列の各ドット(合計5ドット)がすべて点灯しているときをレベルN(Nは正の整数)である」とした場合、「最後のドット列18における表示について」、「それより1段階高いレベルN+1は、ドット列18において中央のドット17を点灯させることで表し、さらに1段階高いレベルN+2は、ドット列18において中央部の3ドットを点灯させることで表し、さらに1段階高いレベルN+3は、ドット列18においてすべてのドット(5ドット)を点灯させることで表すようにした」ものであるから、ドット列18における最大レベルの表示は、5ドットすべてを点灯したときであり、それよりも大きなレベルの表示を行う場合には、「バー20」の「長さ」方向(「第2方向」)にある、さらに隣のドット列の点灯により行われるものである(上記(1)のア(カ)【図4】(D)?(H)を参照)。
すなわち、刊行物発明において、列方向に5ドットすべてが点灯したもの(「第1所定単位の物理量を表す第1画像」)が列方向(「第1方向」)に複数個配置されることにより、それらの画像列(「第1画像列」)を形成しようとする契機が見いだせない。
また、刊行物発明の「1ドットのみが点灯したもの」(「第2画像」)と「5ドットすべてが点灯したもの」(「第1画像」)とが自己相似性を有するようにして、両者を「フラクタル」な関係とすることも、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
そうすると、刊行物発明に上記周知技術をどのように適用したとしても、上記相違点に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者であっても容易になし得たことであるとはいえない。

(3)本願発明2及び3
本願発明2及び3も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、容易に発明をすることができたものとはいえない。


3 明確性に係る当審拒絶理由についての判断
当審拒絶理由の理由2(明確性)に対して、令和1年7月1日に提出された手続補正書による補正により、特許請求の範囲は上記「第2 本願発明」において示したとおりに補正されたところ、このことにより、特許請求の範囲の記載は明確となった。
したがって、本願は、明確性に係る当審拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。


4 まとめ
上記2及び3で検討したとおりであるから、当審拒絶理由を維持することはできない。


第5 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-08-19 
出願番号 特願2017-184234(P2017-184234)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 536- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 越川 康弘  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 中塚 直樹
濱野 隆
発明の名称 表示制御装置  
代理人 特許業務法人 iPLAB Startups  
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