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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G01N 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 G01N 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G01N 審判 全部申し立て 2項進歩性 G01N |
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管理番号 | 1354072 |
異議申立番号 | 異議2018-700935 |
総通号数 | 237 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-09-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-11-22 |
確定日 | 2019-07-02 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6328103号発明「がんの予後判定および診断方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6328103号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-20〕について訂正することを認める。 特許第6328103号の請求項1ないし9、12ないし20に係る特許を維持する。 特許第6328103号の請求項10及び11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6328103号の請求項1ないし20に係る特許についての出願は、2013年(平成25年)8月13日(パリ条約による優先権主張 2012年8月13日 米国、2013年8月8日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成30年4月27日にその特許権の設定登録がされ、同年5月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、同年11月22日に特許異議申立人 所 智恵子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、平成31年1月30日付けで取消理由を通知した。それに対し、特許権者は、その指定期間内である平成31年4月5日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、当審よりその意見書及び訂正の請求に対して申立人に意見を求めたが、申立人から意見書の提出はなかったものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に記載の「指標である、」を、 「指標であり、 前記生物学的サンプルが、全血、血漿または血清であり、および、」に訂正する(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2?9および12?20についても同様に訂正する)。なお、下線は当審が付与したものであり、訂正箇所を示す(訂正事項に係る記載において以下同様)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に記載の「方法。」を、 「前記イムノアッセイが、捕捉抗体として2H2抗体を使用する、方法。」に訂正する(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2?9および12?20についても同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に記載の「結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有するまたは結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有するリスクのある被験者に、結腸直腸がんもしくは膀胱がんの診断、予後またはリスク分類を提供するための、前記被験者の生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度を決定する方法」を、「被験者に結腸直腸がんもしくは膀胱がんの診断を提供するための、前記被験者の生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度を決定する方法」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1の「生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、被験者が結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有することの、または被験者の結腸直腸がんもしくは膀胱がんを発病するリスクが増大していることの」を、「生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、被験者が結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有することの」に訂正する。(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2?9および12?20についても同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項12に記載の「請求項1から11のいずれか一項に記載の方法」を「請求項1から9のいずれか一項に記載の方法」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項13に記載の「血液を含む生物学的サンプル」を「全血、血漿または血清である生物学的サンプル」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項14に記載の「含む、」を、「含む、ELISAまたは化学発光イムノアッセイである、」に訂正する(請求項14の記載を直接的または間接的に引用する請求項15、16および20についても同様に訂正する)。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項17に記載の「試薬」を、「試薬であって、当該少なくとも1つの試薬が2H2抗体を含み」に訂正する(請求項17の記載を引用する請求項18および19についても同様に訂正する)。 (11)訂正の単位について 訂正前の請求項1?20について、請求項2?20はそれぞれ請求項1を直接的または間接的に引用しているものであって、訂正事項1?4によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?20に対応する訂正後の請求項1?20は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、「生物学的サンプル」が「全血、血漿または血清であ」ることに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0018】に、「本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、サンプルは、全血、血漿または血清であ」るとの記載がなされていることから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、「イムノアッセイ」が「捕捉抗体として2H2抗体を使用する」ものであることに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0158】に、「ラミニンガンマ-2モノマーELISAの分析感度および信頼できる濃度範囲を評価するために、捕捉抗体として2H2モノクローナル抗体を使用」するとの記載がなされていることから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、「被験者に、結腸直腸がんもしくは膀胱がんの診断、予後またはリスク分類を提供するための」方法から、「被験者に結腸直腸がんもしくは膀胱がんの診断を提供するための」方法に、択一的記載の要素を削除し、その結果、「結腸直腸がんもしくは膀胱がんの診断を提供する」「被験者」は、「結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有するまたは結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有するリスクのある」かどうか不明な「被験者」となることから、「被験者」から「結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有するまたは結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有するリスクのある」を削除することは、上記の択一的記載の要素の削除に伴って被験者を明確にしたものである。よって、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮、及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、「被験者が結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有することの、または被験者の結腸直腸がんもしくは膀胱がんを発病するリスクが増大していることの」指標から、「被験者が結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有することの」指標に、択一的記載の要素を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5)訂正事項5及び6について 訂正事項5及び6は、請求項10及び11を削除するというものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6)訂正事項7について 訂正事項7は、請求項12に記載の「請求項1から11のいずれか一項に記載の方法」を「請求項1から9のいずれか一項に記載の方法」に、引用請求項数を削減するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (7)訂正事項8について 訂正事項8は、「血液を含む生物学的サンプル」が、「全血、血漿または血清である生物学的サンプル」であることを明確にし、「生物学的サンプル」が「全血、血漿または血清である」ことに限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明、及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項8は、本件特許明細書の段落【0016】に、「ラミニンガンマ-2モノマー濃度は、例えば、血液(例えば、血漿または血清)中のラミニンガンマ-2モノマー濃度の参照値である」との記載がなされていることから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (8)訂正事項9について 訂正事項9は、「イムノアッセイ」が、「ELISAまたは化学発光イムノアッセイである」ことに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項9は、本件特許明細書の段落【0069】に、「生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマーの存在、濃度または量は、本分野で知られた任意の好適なアッセイを用いて容易に決定され得る。例としては、サンドイッチイムノアッセイ(例えば、放射性同位体検出(ラジオイムノアッセイ(RIA))および酵素検出(エンザイムイムノアッセイ(EIA)または酵素結合免疫測定法(ELISA)(例えば、Quantikine ELISAアッセイ、R&D Systems、Minneapolis、MN))を含むモノクローナル-ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ)、競合阻害イムノアッセイ(例えば、フォワードおよびリバース)、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、酵素増幅イムノアッセイ法(EMIT)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)および均一系化学発光アッセイなどが挙げられる」との記載がなされていることから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (9)訂正事項10について 訂正事項10は、「試薬」について、「少なくとも1つの試薬が2H2抗体を含」むことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、訂正事項10は、本件特許明細書の段落【0158】に、「ラミニンガンマ-2モノマーELISAの分析感度および信頼できる濃度範囲を評価するために、捕捉抗体として2H2モノクローナル抗体を使用」するとの記載がなされていることから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 小括 上記のとおり、訂正事項1?10に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?20〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記のとおり訂正が認められるから、本件特許の請求項1?20に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に応じて「本件発明1」などという。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 被験者に結腸直腸がんもしくは膀胱がんの診断を提供するための、前記被験者の生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度を決定する方法であって: a.被験者からの生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度をイムノアッセイにより決定するステップ;および b.前記サンプルからのラミニンガンマ-2モノマー濃度を、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値と比較するステップ; を含み、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値よりも高い、生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、被験者が結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有することの指標であり、 前記生物学的サンプルが、全血、血漿または血清であり、および、 前記イムノアッセイが、捕捉抗体として2H2抗体を使用する、方法。 【請求項2】 さらに、サンプル中の少なくとも1つの追加の、結腸直腸がんもしくは膀胱がんのバイオマーカーの濃度を決定するステップ;および少なくとも1つの追加のバイオマーカーの濃度を、少なくとも1つのバイオマーカーのための参照濃度値と比較するステップを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 追加のバイオマーカーが、ラミニンガンマ-2フラグメント、がん胎児性抗原(CEA)および炭水化物抗原19-9(CA19-9)から選ばれる、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、対照サンプルのラミニンガンマ-2モノマー濃度値、一群の対照被験者からの複数の対照サンプルのメジアンもしくは平均ラミニンガンマ-2モノマー濃度、またはラミニンガンマ-2モノマーカットオフ値である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。 【請求項5】 対照サンプルが、対照被験者の生物学的サンプルまたはラミニンガンマ-2モノマー濃度標準物質である、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値の少なくとも2倍である、請求項4に記載の方法。 【請求項7】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、患者群の生物学的サンプルからの受信者動作曲線(ROC)解析によって決定されたラミニンガンマ-2モノマーカットオフ値である、請求項4に記載の方法。 【請求項8】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、患者群の生物学的サンプルの平均プラス2標準偏差解析によって決定されたラミニンガンマ-2モノマーカットオフ値である、請求項4に記載の方法。 【請求項9】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、約1000pg/mLである、請求項4に記載の方法。 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 (削除) 【請求項12】 被験者がヒトである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。 【請求項13】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、ヒト対照被験者からの全血、血漿または血清である生物学的サンプルからのものである、請求項4に記載の方法。 【請求項14】 イムノアッセイが、ラミニンガンマ-2モノマーに特異的に結合することのできる分子を含む、ELISAまたは化学発光イムノアッセイである、請求項1に記載の方法。 【請求項15】 ラミニンガンマ-2モノマーに結合することのできる分子が、ラミニンガンマ-2モノマーに特異的に結合することのできる少なくとも1つの抗体を含む、請求項14に記載の方法。 【請求項16】 ラミニンガンマ-2モノマーに結合することのできる分子が、ラミニンガンマ-2のN末端フラグメントに結合しない、請求項15に記載の方法。 【請求項17】 請求項1に記載の方法を実施するためのキットであって: a.生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度の定量化を可能とする、ラミニンガンマ-2モノマーに特異的に結合することのできる少なくとも1つの試薬であって、当該少なくとも1つの試薬が2H2抗体を含み;および b.参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度を示す参照標準 を含む、キット。 【請求項18】 生物学的サンプル中の少なくとも1つの追加の結腸直腸がんもしくは膀胱がんのバイオマーカーの濃度の定量化を可能とする、生物学的サンプル中の少なくとも1つの追加のバイオマーカーに特異的に結合することができる少なくとも1つの追加の試薬、および生物学的サンプル中の少なくとも1つの追加の結腸直腸がんもしくは膀胱がんのバイオマーカーの参照濃度を示す参照標準をさらに含む、請求項17に記載のキット。 【請求項19】 少なくとも1つの試薬が、ラミニンガンマ-2モノマーに特異的に結合することのできる少なくとも1つの抗体を含む、請求項17に記載のキット。 【請求項20】 イムノアッセイが抗体を使用し、抗体がモノクローナル抗体2H2である、請求項15に記載の方法。」 第4 申立人が提出した証拠 申立人が提出した証拠は、次の甲第1号証?甲第7号証(以下、それぞれ、「甲1」?「甲7」という。)である。 甲1:特開2011-209281号公報 甲2:臨床検査学講座 免疫検査学(第2版第3刷) 2011年11月20日(補訂)発行 第224?227頁 甲3:特表2009-540308号公報 甲4:特表2011-503520号公報 甲5:日本総合健診医学会誌 Vol.26 No.4 1999年 第406?409頁 甲6:The Journal of Cell Biology Vol.148 No.3 2000 第615?624頁 甲7:The Journal of Cancer Research 2008 January 15 Vol.68 No.2 第530?536頁 第5 甲各号証の記載 甲1?7は、いずれも本件特許に係る出願の優先権主張日前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であり、甲1?7には、それぞれ次の事項が記載されている(下線は、当審による。) 1 甲1について (甲1ア)「【0042】 実施例4.尿中のラミニンγ2単鎖の定量(1)(当審注:当該下線は既に引かれていたもの) 患者から採取した尿は回収後、そのまま-80℃で急速に凍結して保存した。測定時は、4℃で徐々に融解させた。 尿中ラミニンγ2単鎖は次の2種の抗ラミニンγ2単鎖抗体を用いたサンドイッチELISA法により定量を行った。まず、ELISAプレートの下層にPBSで希釈した抗ラミニンγ2単鎖ポリクローナル抗体(1μg/ml)を固相化した。捕獲抗体を固相化したウェルは5%ドライミルク/PBS(200μl/well)でブロッキングを行い、プレートをPBS(150μl/well)で5回洗浄した。その後、50μlの患者尿を各ウェルに添加した後、37℃、3時間の反応を行った。同時に、ラミニンγ2鎖の定量曲線を作成するため、階段希釈した精製したラミニン5γ2鎖(0?200ng/ml)もウェルに加えた。 反応終了後、PBSでプレートを5回洗浄し、下層の抗体に結合したラミニンγ2単鎖を検出するためD4B5抗体(1μg/ml)を加え、室温で2時間の反応を行った。反応後、PBS/0.05%Tween-20にて各ウェルを洗浄し、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を各ウェルに添加し、室温、1時間の反応を行った。反応終了後、TMB発色液(100μl/well)を加えて発色を行い、反応させて3分後にマルチウェルリーダーにて各ウェルの595nmの吸光度を測定した。 結果を図5に示す。 各種のがんにおいて尿中のラミニンγ2単鎖量が有意に上昇していることが確認された。 【0043】 実施例5.尿中のラミニンγ2単鎖検出の感度及び特異度(当審注:当該下線は既に引かれていたもの) 上記の結果から、膀胱癌(19名)と健常者(19名)のサンプルについて、尿中のラミニンγ2単鎖のELISAによる測定値の平均値は、それぞれ21.14ng/ml、4.73ng/mlで、t検定で有意差が認められた(P<0.05)。現在の最小測定値は0.5ng/mlであるので、これをカットオフ値として感度と特異度を求めた。 結果を図6に示す。感度は89.5%、特異度は57.9%と求められ、尿中のラミニンγ2単鎖が、従来膀胱癌診断に用いられているマーカーよりも高感度なマーカーであることが確認された。さらに、尿中のラミニンγ2単鎖の感度は、より高感度にすることが可能であり、膀胱癌スクリーニング検査として有用なものとなり得る。」 上記(甲1ア)の記載から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「尿中ラミニンγ2単鎖をサンドイッチELISA法により定量する方法は、 まず、ELISAプレートの下層に抗ラミニンγ2単鎖ポリクローナル抗体を、捕獲抗体として固相化し、その後、患者尿を各ウェルに添加した後、反応を行い、反応終了後、下層の抗体に結合したラミニンγ2単鎖を検出するためD4B5抗体を加え、反応を行い、反応後、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を各ウェルに添加し、反応を行い、反応終了後、TMB発色液を加えて発色を行い、反応させて各ウェルの595nmの吸光度を測定する方法であって、 その結果から、膀胱癌患者と健常者の尿中のラミニンγ2単鎖の測定値の平均値は、それぞれ21.14ng/ml、4.73ng/mlで、膀胱癌患者は健常者と比較して尿中のラミニンγ2単鎖量が有意に上昇していることが確認され、尿中のラミニンγ2単鎖が、従来膀胱癌診断に用いられているマーカーよりも高感度なマーカーであることが確認された、方法。」 2 甲2について (甲2ア)第225頁 「5-臓器別の腫瘍マーカーの分類 1 胃-----CEA,CA19-9,AFP 2 食道----SCC,CEA 3 甲状腺---サイログロブリン(Tg),カルチトニン 4 肝臓----AFP,CEA,CA19-9,PIVKA-II,DU-PAN-2 5 肺-----CYFRA21-1, CEA,SCC,ProGRP,NSE 6 乳腺----CA15-3,CEA,NCC-ST-439,BCA225 7 結湯・直腸-CEA,CA19-9 8 子宮・卵巣-CA125,SCC,CA19-9,CEA,CA72-4」(当審注:上記1?8の数字は、○で囲んだ数字) (甲2イ)第226頁 「前述した検査項目の選択で,検査の診断の効率をあげるためには推定される臓器から適切な腫瘍マーカーを1つ行うよりも複数の腫瘍マ-カーを組み合わせて検査することがあるが,これをコンビネーションアッセイといい,癌診断の検出率は高まることが多い。」 (甲2ウ)図3-92 腫瘍マーカーの評価法(第226頁) 3 甲3について (甲3ア)「【請求項8】 転移性膀胱ガンの診断に潜在的に相関している1を超えるバイオマーカーの測定の統計学的分析のためのコンピュータープログラムを使用して、MMP-7およびMMP-7免疫応答性のそれぞれの測定結果を、診断目的で、少なくとも1つの更なる確立された腫瘍マーカーの測定結果と組み合わせる、請求項2から7のいずれか一項に記載の方法。 【請求項9】 少なくとも1つの更なる確立された腫瘍マーカーが、CEA、AFP、TPA、CYFRA 21-1、CA 19-9、CA 125、CA 72-4(TAG-72)、CA 15-3、CA 549、hCG、MCA、NSE、PSA、SCC、LDH、PALからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。」 4 甲4について (甲4ア)「【請求項27】 膀胱ガン細胞に特徴的なマーカーがBC-10、CA19-9、ガン胎児性抗原(CEA)及びNY-ESO-1から選択される請求項22又は23に記載の方法。」 5 甲5について (甲5ア)第406頁 「基準範囲とは図1に示すように定量検査について,基準個体が示す基準値のうち95%を含む中央部の範囲を示す用語として用いる。」 (甲5イ)図1(第406頁) 6 甲6について (甲6ア)第621頁右欄第31行?第34行 「The Ln-5γ2 subunit is synthesized as a 135-kD polypeptide which is proteolytically processed (Vailly et al.,1994)by removal of 434 NH_(2)-terminal amino acids(γ2'). (訳文) 「Ln-5γ2サブユニットは、434のN末端アミノ酸(γ2’)が除去されるタンパク分解により (Vailly et al.,1994)、135-kDのポリペプチドとして合成される。」 7 甲7について (甲7ア)第530頁左欄第41行?右欄第3行 「Expression of monomeric Ln-γ2 is particularly predominant in the budding cells of tumor masses as observed in esophageal, stomach, colon,and cervical carcinomas, although it is not detectable in normal tissues (4,6-9). These observations strongly emphasize the importance of monomeric Ln-γ2 as a specific marker for invasive carcinomas.」 (訳文) 「単鎖Ln-γ2の発現は、食道、胃、大腸、子宮頚部がんで認められる腫瘍塊の出芽細胞で特に顕著であり、正常組織(4,6-9)では認められない。これらの知見は、単鎖Ln-γ2が浸潤性腫瘍に特異的なマーカーとして重要であることを強く示唆する。」 第6 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし20に係る特許に対して、当審が平成31年1月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 理由1(サポート要件) 発明の詳細な説明の実施例1?3には、段落【0154】?【0180】の記載によれば、「血清中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、結腸直腸がん及び膀胱がんの診断を提供するためのマーカーとなること」が、実証的な裏付けをもって記載されているところ、出願時の技術常識に照らしても、上記実施例1?3の記載から請求項1?20に係る発明まで、拡張ないし一般化できる理由は見当たらないから、請求項1?20に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。よって、請求項1?20に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由2(明確性) 請求項13について、「b.前記サンプルからのラミニンガンマ-2モノマー濃度を、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値と比較するステップ」は、異なる種類の生物学的サンプルからの濃度をどのように比較するのか不明であり、また、「血液を含む生物学的サンプル」は、血液であることを特定しようとしているのか、それとも、血尿のように血液を含んでさえいればよいということなのか、不明であることから、請求項13に係る発明は、明確であるとはいえない。よって、請求項13に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由3(新規性) 請求項1、4?6、9、12?15に係る発明は、甲1に記載された発明である。よって、請求項1、4?6、9、12?15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由4(進歩性) 請求項2、3、7、8、11、16?20に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2?甲7に記載の事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。よって、請求項2、3、7、8、11、16?20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 2 当審の判断 (1)理由3(新規性)及び理由4(進歩性)について ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 a 甲1発明の「患者」、「尿」及び「ラミニンγ2単鎖」は、それぞれ、本件発明1の「被験者」、「生物学的サンプル」及び「ラミニンガンマ-2モノマー」に相当する。また、甲1発明の「定量する」ことは、「吸光度」「測定」により濃度(「ng/ml」)を決定することであるから、本件発明1の「濃度を決定する」ことに相当する。 そして、甲1発明の「患者」の「尿中ラミニンγ2単鎖を」「定量する方法」は、「尿中のラミニンγ2単鎖が、従来膀胱癌診断に用いられているマーカーよりも高感度なマーカー」になることから、甲1発明は、「膀胱癌診断」として「患者」の「尿中ラミニンγ2単鎖を」「定量する方法」であるといえる。 よって、甲1発明の「膀胱癌診断」として「患者」の「尿中ラミニンγ2単鎖を」「定量する方法」は、本件発明1の「被験者に」「膀胱がんの診断を提供するための、前記被験者の生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度を決定する方法」に相当する。 b 甲1発明の「サンドイッチELISA法」は、本件発明1の「イムノアッセイ」に相当する。 よって、甲1発明の「患者」の「尿中ラミニンγ2単鎖をサンドイッチELISA法により定量する」ことは、本件発明1の「a.被験者からの生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度をイムノアッセイにより決定するステップ」に相当する。 c 甲1発明の「健常者」の「尿中のラミニンγ2単鎖量」は、本件発明1の「参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値」に相当する。 また、甲1発明の「尿中のラミニンγ2単鎖量」が、「膀胱癌患者は健常者と比較して」「有意に上昇」する「膀胱癌診断」用の「マーカー」であるから、甲1発明が、「膀胱癌診断」として、「患者」の「尿中のラミニンγ2単鎖量」を、「健常者」の「尿中のラミニンγ2単鎖量」と比較することは明らかである。 よって、甲1発明の「膀胱癌診断」として「患者」の「尿中ラミニンγ2単鎖を」「定量する方法」は、本件発明1の「b.前記サンプルからのラミニンガンマ-2モノマー濃度を、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値と比較するステップ」に相当する構成を備えていることは明らかである。 d 甲1発明の「尿中のラミニンγ2単鎖量」が、「膀胱癌患者は健常者と比較して」「有意に上昇」する「膀胱癌診断」用の「マーカー」であることは、本件発明1の「参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値よりも高い、生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、被験者が」「膀胱がんを有することの指標であ」ることに相当する。 e 甲1発明の「サンドイッチELISA法」が「抗ラミニンγ2単鎖ポリクローナル抗体を、捕獲抗体」とすることと、本件発明1の「前記イムノアッセイが、捕捉抗体として2H2抗体を使用する」こととは、「前記イムノアッセイが、捕捉抗体を使用する」点で共通する。 (イ)一致点・相違点 上記(ア)から、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致し、次の各点で相違する。 (一致点) 「被験者に膀胱がんの診断を提供するための、前記被験者の生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度を決定する方法であって: a.被験者からの生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度をイムノアッセイにより決定するステップ;および b.前記サンプルからのラミニンガンマ-2モノマー濃度を、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値と比較するステップ; を含み、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値よりも高い、生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、被験者が膀胱がんを有することの指標であり、および、 前記イムノアッセイが、捕捉抗体を使用する、方法。」 (相違点1) 生物学的サンプルが、本件発明1では、「全血、血漿または血清」であるのに対し、甲1発明は、「尿」である点。 (相違点2) 捕捉抗体が、本件発明1では、「2H2抗体」であるのに対し、甲1発明では、「抗ラミニンγ2単鎖ポリクローナル抗体」である点。 (ウ)判断 上記相違点1について検討する。 甲2?7には、上記第5の2?7のとおり、「全血、血漿または血清」中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、結腸直腸がん/膀胱がんの診断を提供するための指標となることの記載も示唆もなく、周知技術であるという証拠もない。 よって、上記相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2?7に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得たことではない。 (エ)小括 したがって、本件発明1は、上記相違点1が実質的な相違点であるから、甲1発明ではない。また、本件発明1は、その他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲2?7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明2?9、12?20について 本件発明2?9、12?20は、本件発明1を引用してさらに限定した発明であるから、上記アと同じ理由により、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲2?7に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2)理由1(サポート要件)について 本件発明1?20は、訂正により「全血、血漿または血清中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、結腸直腸がん及び膀胱がんの診断を提供するための指標となる」ことが特定されたことから、特許法第36条第6項第1号の取消理由は解消した。 (3)理由2(明確性)について 本件発明13は、訂正により「血液を含む生物学的サンプル」を「全血、血漿または血清である生物学的サンプル」としたことから、特許法第36条第6項第2号の取消理由は解消した。 第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、発明の詳細な説明には、全血、血漿及び血清以外のあらゆる検体種について、ラミニンガンマ-2モノマー濃度が、結腸直腸がん及び膀胱がんの診断を提供するための指標となることの開示はない。よって、発明の詳細な説明は、請求項1?20に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえないから、請求項1?20に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張する。 しかしながら、本件発明1?20は、訂正により「生物学的サンプルが、全血、血漿または血清であ」ることが特定されたことから、発明の詳細な説明は、本件発明1?20について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。よって、申立人の主張する上記理由は採用できない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1?9、12?20に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?9、12?20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項10及び11に係る特許は、訂正により削除された。これにより、本件特許の請求項10及び11に対してなされた特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 被験者に結腸直腸がんもしくは膀胱がんの診断を提供するための、前記被験者の生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度を決定する方法であって: a.被験者からの生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度をイムノアッセイにより決定するステップ;および b.前記サンプルからのラミニンガンマ-2モノマー濃度を、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値と比較するステップ; を含み、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値よりも高い、生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、被験者が結腸直腸がんもしくは膀胱がんを有することの指標であり、 前記生物学的サンプルが、全血、血漿または血清であり、および、 前記イムノアッセイが、捕捉抗体として2H2抗体を使用する、方法。 【請求項2】 さらに、サンプル中の少なくとも1つの追加の、結腸直腸がんもしくは膀胱がんのバイオマーカーの濃度を決定するステップ;および少なくとも1つの追加のバイオマーカーの濃度を、少なくとも1つのバイオマーカーのための参照濃度値と比較するステップを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 追加のバイオマーカーが、ラミニンガンマ-2フラグメント、がん胎児性抗原(CEA)および炭水化物抗原19-9(CA19-9)から選ばれる、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、対照サンプルのラミニンガンマ-2モノマー濃度値、一群の対照被験者からの複数の対照サンプルのメジアンもしくは平均ラミニンガンマ-2モノマー濃度、またはラミニンガンマ-2モノマーカットオフ値である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。 【請求項5】 対照サンプルが、対照被験者の生物学的サンプルまたはラミニンガンマ-2モノマー濃度標準物質である、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度が、参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値の少なくとも2倍である、請求項4に記載の方法。 【請求項7】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、患者群の生物学的サンプルからの受信者動作曲線(ROC)解析によって決定されたラミニンガンマ-2モノマーカットオフ値である、請求項4に記載の方法。 【請求項8】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、患者群の生物学的サンプルの平均プラス2標準偏差解析によって決定されたラミニンガンマ-2モノマーカットオフ値である、請求項4に記載の方法。 【請求項9】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、約1000pg/mLである、請求項4に記載の方法。 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 (削除) 【請求項12】 被験者がヒトである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。 【請求項13】 参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度値が、ヒト対照被験者からの全血、血漿または血清である生物学的サンプルからのものである、請求項4に記載の方法。 【請求項14】 イムノアッセイが、ラミニンガンマ-2モノマーに特異的に結合することのできる分子を含む、ELISAまたは化学発光イムノアッセイである、請求項1に記載の方法。 【請求項15】 ラミニンガンマ-2モノマーに結合することのできる分子が、ラミニンガンマ-2モノマーに特異的に結合することのできる少なくとも1つの抗体を含む、請求項14に記載の方法。 【請求項16】 ラミニンガンマ-2モノマーに結合することのできる分子が、ラミニンガンマ-2のN末端フラグメントに結合しない、請求項15に記載の方法。 【請求項17】 請求項1に記載の方法を実施するためのキットであって: a.生物学的サンプル中のラミニンガンマ-2モノマー濃度の定量化を可能とする、ラミニンガンマ-2モノマーに特異的に結合することのできる少なくとも1つの試薬であって、当該少なくとも1つの試薬が2H2抗体を含み;および b.参照ラミニンガンマ-2モノマー濃度を示す参照標準 を含む、キット。 【請求項18】 生物学的サンプル中の少なくとも1つの追加の結腸直腸がんもしくは膀胱がんのバイオマーカーの濃度の定量化を可能とする、生物学的サンプル中の少なくとも1つの追加のバイオマーカーに特異的に結合することができる少なくとも1つの追加の試薬、および生物学的サンプル中の少なくとも1つの追加の結腸直腸がんもしくは膀胱がんのバイオマーカーの参照濃度を示す参照標準をさらに含む、請求項17に記載のキット。 【請求項19】 少なくとも1つの試薬が、ラミニンガンマ-2モノマーに特異的に結合することのできる少なくとも1つの抗体を含む、請求項17に記載のキット。 【請求項20】 イムノアッセイが抗体を使用し、抗体がモノクローナル抗体2H2である、請求項15に記載の方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-06-21 |
出願番号 | 特願2015-508341(P2015-508341) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(G01N)
P 1 651・ 113- YAA (G01N) P 1 651・ 536- YAA (G01N) P 1 651・ 537- YAA (G01N) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 三木 隆 |
特許庁審判長 |
福島 浩司 |
特許庁審判官 |
渡戸 正義 ▲高▼見 重雄 |
登録日 | 2018-04-27 |
登録番号 | 特許第6328103号(P6328103) |
権利者 | アボットジャパン株式会社 国立大学法人 東京大学 |
発明の名称 | がんの予後判定および診断方法 |
代理人 | 特許業務法人川口國際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人川口國際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人川口國際特許事務所 |