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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61C
管理番号 1354080
異議申立番号 異議2018-700316  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-04-17 
確定日 2019-07-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6213945号発明「カメラ付き歯科用プローブ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6213945号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕、4、5、〔6?9〕について訂正することを認める。 特許第6213945号の請求項1?9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6213945号(以下「本件特許」という。)の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成24年12月28日に出願され、平成29年9月29日にその特許権の設定登録がされ、平成29年10月18日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

平成30年 4月17日 :特許異議申立人・土田裕介(以下「申立人」 という。)による請求項1?9に係る特許
に対する特許異議の申立て
平成30年 7月 2日付け:取消理由通知書
平成30年 9月 3日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
平成30年11月12日 :申立人による意見書の提出
平成31年 1月18日付け:取消理由通知書(決定の予告)
平成31年 3月25日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 1年 5月10日 :申立人による意見書の提出

なお、上記平成30年9月3日の訂正請求は、上記平成31年3月25日にさらに訂正請求がなされたことから、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされる。そして、上記平成31年3月25日の訂正請求による訂正を、本決定では、以下「本件訂正」ということがある。

また、本決定において、特許法の条文を表記する際に「特許法」という表記を省略することがある。また「甲第1号証」等を単に「甲1」などということがあり、申立人提出の特許異議申立書を単に「申立書」という。

第2 訂正の適否
(1)訂正の内容
特許権者が求める本件訂正の内容は、以下ア?ノのとおりである。 (下線は、訂正部分を示すために付したものである。)

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に係る記載の、
「歯周診察処置具に備える診察または処置具による診察または処置を、超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像を介して、診察または処置をすることができるように構成したカメラ付き歯周診察処置具において、
前記超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像は、超小型カメラに備える表示部に表示される映像であることを特徴とするカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブによる診察を、超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、
前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に係る記載の、
「歯周診察処置具に備える診察または処置具による診察または処置を、前記診察または処置具に添設した超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像を介して、診察または処置をすることができるように構成したカメラ付き歯周診察処置具において、
前記超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像は、超小型カメラに備える表示部に表示される映像であることを特徴とするカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に添設した超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、
前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に係る記載の、
「前記超小型カメラに備える表示部に表示される映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であることを特徴とする請求項1または2記載のカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「前記超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であることを特徴とする請求項1または2記載のカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に係る記載の、
「歯周診察処置具に備える診察または処置具に超小型カメラを添設するとともに当該診察または処置具による歯周部の診察または処置部にエアを噴出するエア噴出手段を添設することにより構成したカメラ付き歯周診察処置具において、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線することを特徴とするカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は 先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に係る記載の、
「歯周診察処置具に備える診察または処置具に超小型カメラを添設するとともに当該診察または処置具による歯周部の診察または処置部を照明する照明手段を添設し、さらに前記歯周部の診察または処置部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯周診察処置具において、
前記小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線することを特徴とするカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部を照明する照明手段を添設し、さらに前記歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に係る記載の、
「歯周診察処置具に備える診察具に超小型カメラを添設するとともに前記診察具による歯周部の診察部にエアを噴出するエア噴出手段を添設し、
かつ前記診察具を光照射部材にて形成し、さらに当該診察具自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯周診察処置具の診察具による歯周部の診察を、
前記エア噴出と前記診察具自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ前記超小型カメラによる映像を介して診察することができるように構成したカメラ付き歯周診察処置具において、
前記小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線することを特徴とするカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設し、かつ前記探針部を光照射部材にて形成し、さらに当該探針部自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯科用プローブの前記探針部の歯周部の診察を、 前記エア噴射と前記探針部自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ、前記小型カメラによる映像を介して診察することができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に係る記載の、
「前記超小型カメラは、カメラユニットまたはカラーカメラモジュールを使用することにより構成したことを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「前記超小型カメラは、カメラユニットまたはカラーカメラモジュールを使用することにより構成したことを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に係る記載の、
「前記歯周診察処置具に備える診察具は、歯科用探針または歯周ポケット探針の探針(作業部)であることを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「前記歯科用プローブに備える探針部は、歯科用探針または歯周ポケット探針の探針(作業部)であることを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9に係る記載の、
「前記超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像上の視野の拡大率は等倍あるいは等倍乃至所要の拡大率まで拡大することができるように構成したことを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯周診察処置具。」を、
「前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像上の視野の拡大率は等倍あるいは等倍乃至所要の拡大率まで拡大することができるように構成したことを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。」と訂正する。

コ 訂正事項10
明細書の「【発明の名称】カメラ付き歯周診察処置具」を、
「【発明の名称】カメラ付き歯科用プローブ」と訂正する。

サ 訂正事項11
明細書段落【0001】に、
「【0001】
本発明は、歯周の一般的な診察あるいは歯周疾患の進行を観察するとともに口腔内清掃および歯周治療時に歯の表面から歯石等の沈着物を除去したり歯周ポケット内の貼薬を行うのに用いる手用器具である歯周診察処置具に関するもので、特に当該歯周診察処置具による診察および処置を歯周部の診察および処置部の映像を介して診察および処置をすることができるカメラ付き歯周診察処置具である。」と記載されているのを、
「【0001】
本発明は、歯周の一般的な診察あるいは歯周疾患の進行を観察するとともに口腔内清掃および歯周治療時に歯の表面から歯石等の沈着物を除去したり歯周ポケット内の貼薬を行うのに用いる手用器具である歯周診察処置具に関するもので、特に当該歯周診察処置具による診察および処置を歯周部の診察および処置部の映像を介して診察および処置をすることができるカメラ付き歯科用プローブである。」と訂正する。

シ 訂正事項12
明細書段落【0010】に、
「【0010】
そこで本発明は、前記先願の発明における歯科用プローブの発明に加えて歯周診察にとどまらず適切な処置を遂行することのできる歯周診察処置具の提供を目的とするもので、特に歯周診察あるいは処置に当たり、歯周部の診察および処置部の映像を介して歯周診察あるいは処置することができるカメラ付き歯周診察処置具の提供を目的とするものである。」と記載されているのを、
「【0010】
そこで本発明は、前記先願の発明における歯科用プローブの発明に加えて歯周診察にとどまらず適切な処置を遂行することのできる歯周診察処置具の提供を目的とするものである。」と訂正する。

ス 訂正事項13
明細書段落【0011】に、
「【0011】
前記課題を解決する本発明の請求項1は、歯周診察処置具に備える診察または処置具による診察または処置を、超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像を介して、診察または処置をすることができるように構成したカメラ付き歯周診察処理装置において、前記超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像は、超小型カメラに備える表示部に表示される映像であることを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0011】
前記課題を解決する本発明の請求項1は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブによる診察を、超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け 前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探索部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。」と訂正する。

セ 訂正事項14
明細書段落【0012】に、
「【0012】
請求項2は、歯周診察処置具に備える診察または処置具による診察または処置を、前記診察または処置具に添設した超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像を介して、診察または処置をすることができるように構成したカメラ付き歯周診察処理装置において、前記超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像は、超小型カメラに備える表示部に表示される映像であることを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0012】
請求項2は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に添設した超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに 前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。」と訂正する。

ソ 訂正事項15
明細書段落【0013】に、
「【0013】
請求項3は、請求項1または2記載のカメラ付き歯周診察処置具において、前記超小型カメラに備える表示部に表示される映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であることを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0013】
請求項3は、請求項1または2記載のカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であることを特徴とする。」と訂正する。

タ 訂正事項16
明細書段落【0015】に、
「【0015】
請求項4は、歯周診察処置具に備える診察または処置具に超小型カメラを添設するとともに当該診察または処置具による歯周部の診察または処置部にエアを噴出するエア噴出手段を添設することにより構成したカメラ付き歯周診察処置具において、前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線することを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0015】
請求項4は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、前記エア噴射手段は先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。」と訂正する。

チ 訂正事項17
明細書段落【0017】に、
「【0017】
請求項5は、歯周診察処置具に備える診察または処置具に超小型カメラを添設するとともに当該診察または処置具による歯周部の診察または処置部を照明する照光手段を添設し、さらに前記歯周部の診察または処置部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯周診察処置具において、前記小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線することを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0017】
請求項5は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部を照明する照明手段を添設し、さらに前記歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、前記エア噴射手段は 先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は 前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。」と訂正する。

ツ 訂正事項18
明細書段落【0023】に、
「【0023】
請求項6は、歯周診察処置具に備える診察具に超小型カメラを添設するとともに前記診察具による歯周部の診察部にエアを噴出するエア噴出手段を添設し、かつ前記診察具を光照射部材にて形成し、さらに当該診察具自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯周診察処置具の診察具による歯周部の診察を、前記エア噴出と前記診察具自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ前記超小型カメラによる映像を介して診察することができるように構成したカメラ付き歯周診察処置具において、前記小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線することを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0023】
請求項6は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設し、かつ前記探針部を光照射部材にて形成し、さらに当該探針部自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯科用プローブの前記探針部の歯周部の診察を、前記エア噴射と前記探針部自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ、前記小型カメラによる映像を介して診察することができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに 前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。」と訂正する。

テ 訂正事項19
明細書段落【0024】、【0029】、【0031】、【0050】、【0051】、【0052】、【0061】、【0065】及び【0068】にある「カメラ付き歯周診察処置具」を全て「カメラ付き歯科用プローブ
」に訂正する。

ト 訂正事項20
明細書段落【0025】に、
「【0025】
請求項8は、請求項6記載のカメラ付き歯周診察処置具において、前記歯周診察処置具に備える診察具は、歯科用探針または歯周ポケット探針の探針(作業部)であることを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0025】
請求項8は、請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記歯科用プローブに備える探針部は、歯科用探針または歯周ポケット探針の探針(作業部)であることを特徴とする。」と訂正する。

ナ 訂正事項21
明細書段落【0026】に、
「【0026】
請求項9は、請求項6記載のカメラ付き歯周診察処置具において、前記超小型カメラによる歯周部の診察または処置部の映像上の視野の拡大率は等倍あるいは等倍乃至所要の拡大率まで拡大することができるように構成したことを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0026】
請求項9は、請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像上の視野の拡大率は等倍あるいは等倍乃至所要の拡大率まで拡大することができるように構成したことを特徴とする。」と訂正する。

ニ 訂正事項22
明細書段落【0071】に、
「【0071】
図17は、本発明のカメラ付き歯周診察処置具の実施例9を示すものである。
そして、これまでの実施例1?8については本発明カメラ付き歯周診察処置具につき歯周診察処置のプローブについて適用した実施例を説明したのであるが、これを歯科用スケーラ、すなわち口腔内清掃および歯周治療時に歯の表面から歯石等の沈着物を除去するために用いる歯科手用器具としての歯科用スケーラに適用した実施例について説明する。」と記載されているのを、
「【0071】
図17は、カメラ付き歯周診察処置具の実施例9を示すものである。
そして、これまでの実施例1?8については本発明カメラ付き歯周診察処置具につき歯周診察処置のプローブについて適用した実施例を説明したのであるが、これを歯科用スケーラ、すなわち口腔内清掃および歯周治療時に歯の表面から歯石等の沈着物を除去するために用いる歯科手用器具としての歯科用スケーラに適用した実施例について説明する。」と訂正する。

ヌ 訂正事項23
明細書段落【0076】に、
「【0076】
図18は、本発明のカメラ付き歯周診察処置具の実施例10を示すものである。
前記実施例9においては、実施例1?3のプローブ1に替えて歯科用スケーラ30を適用した実施例を説明したのであるが、当該実施例10は前記プローブ1に対する実施例5の超小型カメラ4としてのカメラユニット40とエア噴射手段50を添設した実施例(図8?12に図示の実施例)、実施例7の超小型カメラ4としてのカメラユニット40と照明手段70を添設した実施例(図14に図示の実施例)、さらには実施例8の映像手段を適用した実施例を示すものである。」と記載されているのを、
「【0076】
図18は、カメラ付き歯周診察処置具の実施例10を示すものである。
前記実施例9においては、実施例1?3のプローブ1に替えて歯科用スケーラ30を適用した実施例を説明したのであるが、当該実施例10は前記プローブ1に対する実施例5の超小型カメラ4としてのカメラユニット40とエア噴射手段50を添設した実施例(図8?12に図示の実施例)、実施例7の超小型カメラ4としてのカメラユニット40と照明手段70を添設した実施例(図14に図示の実施例)、さらには実施例8の映像手段を適用した実施例を示すものである。」と訂正する。

ネ 訂正事項24
明細書段落【0084】に、
「【0084】
図19は、本発明のカメラ付き歯周診察処置具の実施例11を示すものである。
当該実施例11は、前記プローブ1の実施例3(図6に図示)に対応する実施例で、特に超音波スケーラあるいはエアスケーラによる歯科用スケーラ32に適用した場合を示すものである。」と記載されているのを、
「【0084】
図19は、カメラ付き歯周診察処置具の実施例11を示すものである。
当該実施例11は、前記プローブ1の実施例3(図6に図示)に対応する実施例で、特に超音波スケーラあるいはエアスケーラによる歯科用スケーラ32に適用した場合を示すものである。」と訂正する。

ノ 訂正事項25
明細書段落【0086】に、
「【0086】
以上の実施例1?11は、本発明のカメラ付き歯周診察処置具としてプローブおよび歯科用スケーラに適用した場合について説明してきたのであるが、これ以外に歯科用貼薬針(歯周ポケット内の貼薬を行う器具)等に対する実施例も可能である。
また、本発明のカメラ付き歯周診察処置具における歯周部の診察または処置部の映像を介する診察または処置に際する超小型カメラについては、その視野角内に、探針先端部、スケーラチップ先端部、若しくは貼薬針先端部を患部と一緒に撮影し、表示部に表示することが望ましいが、患部のみを表示できるようにカメラを配置しつつ添設したり、視野角を定めつつ実施することができる。」と記載されているのを、
「【0086】
以上の実施例1?11は、カメラ付き歯周診察処置具としてプローブおよび歯科用スケーラに適用した場合について説明してきたのであるが、これ以外に歯科用貼薬針(歯周ポケット内の貼薬を行う器具)等に対する実施例も可能である。
また、カメラ付き歯周診察処置具における歯周部の診察または処置部の映像を介する診察または処置に際する超小型カメラについては、その視野角内に、探針先端部、スケーラチップ先端部、若しくは貼薬針先端部を患部と一緒に撮影し、表示部に表示することが望ましいが、患部のみを表示できるようにカメラを配置しつつ添設したり、視野角を定めつつ実施することができる。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項1ないし25につき、訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否を検討する。

ア 訂正事項1及び訂正事項2について
訂正事項1及び訂正事項2は、いずれも、
(i)訂正前の請求項1及び請求項2における「歯周診察処置具に備える診察または処置具による診察または処置」を「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブによる診察」と、「診察または処置部」を「診察部」と限定し、また、
(ii)訂正前の請求項1及び請求項2における「カメラ付き歯周診察処置具」を、「カメラ付き歯科用プローブ」と限定し、
(iii)訂正前の請求項1及び請求項2における「超小型カメラに備える表示部」を、「超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部」と限定し、
(iv)訂正前の請求項1及び請求項2に「前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成した」との限定を附すのであるから、これらは特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
次に、訂正事項1及び訂正事項2は、いずれも、発明特定事項を上位概念から下位概念に変更するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないことは明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
また、訂正事項1及び訂正事項2の内容は、いずれも、(i)(ii)願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」ということがある。)の段落【0031】及び願書に添付した図面の図1,図5の記載、(iii)特許明細書の段落【0039】,【0069】及び図面の図1,図3の記載、並びに(iv)特許明細書の段落【0008】,【0052】?【0060】(特に段落【0055】における「探針部3に沿ってエアを噴射するコアンダ効果」に関する記載を参照)における「実施例5」に関する記載などに裏付けられており、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」ということがある。)に記載した事項の範囲内の訂正といえ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

イ 訂正事項3について
訂正事項3は、(i)訂正前の請求項3における「超小型カメラに備える表示部」の「表示部」つき、超小型カメラに「有線または無線を介して接続されている」との記載を追加して限定し、(ii)訂正前の請求項3における「カメラ付き歯周診察処置具」を、「カメラ付き歯科用プローブ」と限定するものであるから、これらは特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
次に、訂正事項3は、訂正事項1と同様、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないことは明らかである。
また、訂正事項3の内容は、訂正事項1の(iii)と同様、特許明細書の段落【0039】,【0069】及び願書に添付した図面の図1,図3の記載などに裏付けられており特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正といえる。

ウ 訂正事項4
訂正事項4は、
(i)訂正前の請求項4における「歯周診察処置具に備える診察または処置具に超小型カメラを添設する」ことを「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設する」と限定し、また、
(ii)訂正前の請求項4における「当該診察または処置具による歯周部の診察または処置部にエアを噴出するエア噴出手段」を「前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段」と限定し、
(iii)訂正前の請求項4における「カメラ付き歯周診察処置具」を、「カメラ付き歯科用プローブ」と限定し、
(iv)訂正前の請求項4に「前記エア噴射手段は 先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成した」との限定を附すのであるから、これらは特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
次に、訂正事項4は、訂正事項1と同様、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないことは明らかである。
また、訂正事項4の内容は、いずれも、訂正事項1と同様、(i)?(iii)特許明細書の段落【0031】及び図面の図5の記載、並びに(iv)特許明細書の段落【0008】,【0052】?【0060】における「実施例5」に関する記載などに裏付けられており、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正といえる。

エ 訂正事項5
訂正事項5は、
(i)訂正前の請求項5における「歯周診察処置具に備える診察または処置具に超小型カメラを添設する」ことを「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設する」と限定し、また、
(ii)訂正前の請求項5における「当該診察または処置具による歯周部の診察または処置部を照明する照明手段を添設」することを「前記探針部による歯周部の診察部を照明する照明手段を添設」すると限定し、
(iii)訂正前の請求項5における「前記歯周部の診察または処置部にエアを噴射するエア噴射手段」を「前記歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段」と限定し、
(iv)訂正前の請求項5における「カメラ付き歯周診察処置具」を、「カメラ付き歯科用プローブ」と限定し、
(v)訂正前の請求項5に「前記エア噴射手段は 先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成した」との限定を附すのであるから、これらは特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
次に、訂正事項5は、訂正事項1と同様、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないことは明らかである。
また、訂正事項5の内容は、いずれも、訂正事項4と同様、(i)?(iv)特許明細書の段落【0031】及び図面の図5の記載、並びに(v)特許明細書の段落【0008】,【0052】?【0060】における「実施例5」に関する記載などに裏付けられており、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正といえる。

オ 訂正事項6
訂正事項6は、
(i)訂正前の請求項6における「歯周診察処置具に備える診察または処置具に超小型カメラを添設する」ことを「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設する」と限定し、また、
(ii)訂正前の請求項6における「前記診察具による歯周部の診察部にエアを噴出するエア噴出手段」を「前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段」と限定し、
(iii)訂正前の請求項6における「前記診察具を光照射部材にて形成し、さらに当該診察具自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯周診察処置具の診察具による歯周部の診察を、前記エア噴出と前記診察具自体の発光による照射にて診察部位を直接照射し」を「前記探針部を光照射部材にて形成し、さらに当該探針部自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯科用プローブの前記探針部の歯周部の診察を、前記エア噴射と前記探針部自体の発光による照射にて診察部位を直接照射し」と限定し、
(iv)訂正前の請求項6における「カメラ付き歯周診察処置具」を、「カメラ付き歯科用プローブ」と限定し、
(v)訂正前の請求項6に「前記エア噴射手段は 先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成した」との限定を附すのであるから、これらは特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
次に、訂正事項6は、訂正事項1と同様、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないことは明らかである。
また、訂正事項6の内容は、いずれも、(i)(ii)(iv)特許明細書の段落【0031】及び図面の図5の記載、(iii)特許明細書の段落【0061】及び図13の記載、並びに(v)特許明細書の段落【0008】,【0052】?【0060】における「実施例5」に関する記載などに裏付けられており、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正といえる。

カ 訂正事項7?9
訂正事項7?9は、従属形式請求項である訂正前の請求項7?9における、
(i)「カメラ付き歯周診察処置具」を、「カメラ付き歯科用プローブ」と限定し、
(ii)「診察具」を「探針部」と限定し、
(iii)「診察または処置部」を「診察部」と限定することのいずれかを含むものであり、これらは特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
次に、訂正事項7?9は、訂正事項1と同様、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないことは明らかである。
また、訂正事項7?9の内容は、訂正事項1と同様、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正といえる。

キ 訂正事項10?25
訂正事項10?25は、いずれも、特許請求の範囲の記載を訂正したことに伴い、特許請求の範囲の記載に対応する明細書の記載の整合を図ろうとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項10?25、いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当せず、また、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることも明らかである。

(3)小括
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

第3 取消理由の概要
本件訂正前の平成30年9月3日付けの訂正請求によって訂正された請求項1?9(以下「本件前訂正発明1」などということがある。)に係る特許に対して、当審が平成31年1月18日付け取消理由通知書(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)本件前訂正発明1は、下記引用文献5に記載された発明に、引用文献1及び引用文献8に記載された技術事項並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)本件前訂正発明2は、下記引用文献5に記載された発明に、引用文献1及び引用文献8に記載された技術事項並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)本件前訂正発明3は、下記引用文献5に記載された発明に、引用文献1、引用文献8及び引用文献7に記載された技術事項並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(4)本件前訂正発明4は、下記引用文献5に記載された発明に、引用文献1及び引用文献8に記載された技術事項並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(5)本件前訂正発明5は、下記引用文献5に記載された発明に、引用文献1、引用文献8及び引用文献9に記載された技術事項並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(6)本件前訂正発明6は、下記引用文献5に記載された発明に、引用文献1、引用文献8及び引用文献9に記載された技術事項並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(7)本件前訂正発明7及び8は、下記引用文献5に記載された発明に、引用文献1、引用文献8及び引用文献9に記載された技術事項並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7及び8に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(8)本件前訂正発明9は、下記引用文献5に記載された発明に、引用文献1、引用文献8、引用文献9及び引用文献7に記載された技術事項並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項9に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1ないし9に係る特許は、取り消されるべきものである。


引用文献1:特開2010-104652号公報(申立書の甲1)
引用文献2:特開2009-268614号公報(申立書の甲2)
引用文献3:特開2011-135973号公報(申立書の甲3)
引用文献4:実願平4-90400号(実開平6-46712号)の
CD-ROM(申立書の甲4)
引用文献5:特表平7-502441号公報(申立書の甲5)
引用文献6:特開平11-305680号公報(申立書の甲6)
引用文献7:特開2009-183323号公報(申立書の甲7)
引用文献8:実願昭62-73116号(実開昭63-182706号)
の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影した
マイクロフィルム(申立書の甲8)
引用文献9:特開2003-33372号公報(申立書の甲9)
引用文献10:特開2010-134382号公報(申立書の甲10)
引用文献11:特開2001-321391号公報(申立人の平成30年
11月12日提出の意見書に添付された甲11)
引用文献12:特開平2-228957号公報(申立人の平成30年
11月12日提出の意見書に添付された甲12)

第4 当審の判断
1 訂正後の請求項1?9に係る発明
上記第2のとおり本件訂正は認容されるので、本件訂正後の本件特許の請求項1?9に係る発明(以下「本件訂正発明1」などということがある。また、これらをまとめて単に「本件訂正発明」ということがある。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、平成31年3月25日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブによる診察を、超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、
前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項2】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に添設した超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、
前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項3】
前記超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であることを特徴とする請求項1または2記載のカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項4】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は 先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項5】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部を照明する照明手段を添設し、さらに前記歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項6】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設し、かつ前記探針部を光照射部材にて形成し、さらに当該探針部自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯科用プローブの前記探針部の歯周部の診察を、 前記エア噴射と前記探針部自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ、前記小型カメラによる映像を介して診察することができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項7】
前記超小型カメラは、カメラユニットまたはカラーカメラモジュールを使用することにより構成したことを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項8】
前記歯科用プローブに備える探針部は、歯科用探針または歯周ポケット探針の探針(作業部)であることを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項9】
前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像上の視野の拡大率は等倍あるいは等倍乃至所要の拡大率まで拡大することができるように構成したことを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。」

2 引用文献の記載
(1)引用文献1
ア 引用文献1に記載された事項
上記平成31年1月18日付け取消理由通知(決定の予告)において引用した上記引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)特許請求の範囲
「【請求項1】
歯科治療具に取付けられる歯科用撮像装置であって、
少なくとも撮像素子と光学部材とを有する撮像モジュールと、
歯科治療具に取付可能な取付部を有し、前記撮像モジュールを、位置及び姿勢のうち少なくとも一方を変更自在に支持する支持部と、
を備える歯科用撮像装置。」

(イ)「【0046】
このような歯500に対する治療作業としては、例えば、歯500と歯肉522との間の歯周ポケット530等にある歯垢或は歯石除去、歯500のう蝕部等を除去するための歯の部分的な切削、根管拡大等の種々の作業が挙げられる。このような作業は、診療対象となる歯500の状態及び当該歯500と治療用の器具との相互関係を観察しつつ行われる。このような治療を行う場合に、治療を行う術者において直視困難な部位が存在する。直視できない部位は、歯500自体の形状或は歯500と治療用の器具と術者の目との相対的な位置関係等によって生じる。術者は、このような直視できない部位をも治療する必要がある。」

(ウ)「【0051】
撮像モジュール32は、撮像素子とレンズ等の光学部材とを一体化してモジュール化された構成とされている。そして、当該撮像モジュール32が指向する所定の撮像範囲において、治療対象箇所等を撮像して画像信号を出力可能に構成されている。撮像モジュール32は、撮像素子に対する駆動ライン及び画像信号出力ラインを含むケーブル61を介して撮像制御ユニット60に接続されている。本撮像制御ユニット60は、撮像素子の駆動を制御すると共に、当該撮像素子から入力される画像信号に対して所定の画像処理を施して表示部70に出力するように構成されている。撮像制御ユニット60を小型化し、撮像モジュール32に組込むことも可能である。表示部70は、液晶表示装置や有機EL表示装置あるいはパソコン等で構成されており、撮像制御ユニット60から出力される画像信号に基づいて画像を表示する。表示部70を小型化し、術者の手首や指、あるいは歯科治療具10に装着してもよい。その他、表示部70として、ヘッドマウントディスプレイ装置或は網膜に映像を投影する網膜走査型ディスプレイを用いてもよい。」

(エ)「【0066】
{第2実施形態}
図4は第2実施形態に係る歯科用撮像装置130を示す側面図である。本実施形態では、歯科治療具として、治療内容に応じて治療工具全体が交換されるタイプである、根管治療用手用工具(より具体的には、手用ファイル或は手用リーマ)を想定した例で説明する。
【0067】
根管治療用手用工具110は、刃部112とシャンク部114と把持部116とを有している。刃部112は、根管内に挿入されるよう、針状に形成されており、外周囲に根管内を切削すべく螺旋状の刃が形成されている。この刃部112は、当該歯に対して切削作用を及す作用部として用いられる。把持部116は、手指にて把持可能な太径棒状部分に形成されている。シャンク部114は、刃部112の基端部に一体形成され、把持部116と刃部112とを接続する棒状部分である。
【0068】
歯科用撮像装置130は、撮像モジュール132と、支持部150とを有している。
【0069】
図5は撮像モジュール132を示す断面図である。撮像モジュール132は、CCD等の撮像素子133と光学部材としてのレンズ部135とを含んで構成されており、上記根管治療用手用工具110等に取付けた状態でも、当該根管治療用手用工具110等による治療を妨げない程度に十分に小型に構成されている。」

(オ)「【0076】
この撮像モジュール132の撮像素子133からの駆動ライン及び画像信号出力ラインを含むケーブル161は外部に引出され、図2と同様に、撮像制御ユニット160に接続されている。」

(カ)「【0078】
取付部152は、ゴム或は弾性樹脂等の弾性部材によって形成されており、上記根管治療用手用工具110のシャンク部114を圧入可能な圧入孔が形成されている。・・・取付部152が根管治療用手用工具110のシャンク部114に取付けられる。換言すれば、取付部152は、シャンク部114に対して弾性的に外嵌めされる構成といえる。」

(キ)「【0143】
・・・治療に適切な画像、特に、撮像モジュール132を刃部214(又は216)の近傍に位置づけることで、歯表面或は歯周ポケット内の歯石や歯垢等を含む治療箇所を適切に撮像できる。これにより、術者は、当該画像を見て刃部214と歯表面の歯石や歯垢等との位置関係を確認しながら、歯石や歯垢の除去作業等の治療を行うことができ、適切な治療に資する。」

(ク)「【0145】
図16は本実施形態に係る変形例を示す側面図である。本変形例では、歯科治療具として、上記と同様のハンドスケーラ210を想定している。また、歯科用撮像装置230Bとしては、上記第2実施形態で説明した歯科用撮像装置130と同様の構成のものを用いている。但し、取付部252Bには、ハンドスケーラ210の頸部212を圧入可能な圧入孔が形成されている。
【0146】
この歯科用撮像装置230は、頸部212に外嵌めされた状態で、ハンドスケーラ210に取付けられている。撮像モジュール132の撮像方向が、刃部214の先端部を向くように、当該撮像モジュール132の位置及び姿勢が調整されている。」

イ 引用文献1事項
(ケ)上記記載事項(ク)における「歯科用撮像装置230B」は「第2実施形態」の「歯科用撮像装置130」(上記記載事項エ)を前提としているところ、これは「CCD等の撮像素子133と光学部材としてのレンズ部135とを含んで構成されており、上記根管治療用手用工具110等に取付けた状態でも、当該根管治療用手用工具110等による治療を妨げない程度に十分に小型に構成されている」ことから、“歯科用撮像用超小型カメラ230B”ということができる。

(コ)図16の図示内容から、上記歯科用撮像用超小型カメラ230Bは、歯科治療用ハンドスケーラ210先端の刃部に添接されていることが看取できる。

上記記載事項ア(ア)ないし(ク)及び認定事項(ケ)及び(コ)を、図面を参照しつつ、特に「第2実施形態」を前提とする図16に示される変形例に着目して整理すると、引用文献1には以下の技術事項が記載されていると認める(以下「引用文献1事項」という。)。
「歯周ポケットの治療を、刃部に添設した歯科用撮像用超小型カメラ230Bによる根管拡大作業中等における撮像画像を介して、治療をすることができるように構成した歯科用撮像用超小型カメラ230B付き歯科治療用ハンドスケーラ210において、歯科用撮像用超小型カメラ230Bによる画像は、表示部に出力される画像である歯科用撮像用超小型カメラ230B付き歯科治療用ハンドスケーラ210。」

(2)引用文献2
同じく上記取消理由通知(決定の予告)において例示した上記引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0023】
ここで、本発明の歯周ポケット深度測定システムの全体構成について、図1を用いて説明する。測定器101は検査者が手に握り、患者の必要箇所を検査するためのものであり、実際に検査箇所に接触させ力を加えるためのプローブ102が取り付けられている。測定器101には、検査箇所を撮影し画像データとして記録するためのカメラおよびレンズが内蔵されており、得られた画像データは通信ケーブル103を通じてコンピュータ104に送信される。通信ケーブル103としてはUSBケーブルを用いるのが好適であるが、無線通信機能を組み込むことでケーブルを使用せずにデータ通信を行う構成もありうる。コンピュータ104では、受信した画像データをディスプレイ105に表示する。実際には、現在検査中の歯番の表示や、既に検査が完了した箇所の情報なども合わせて表示することにより、検査を進めやすくする、あるいは誤診を防ぐといった機能も有する。・・・また、一人の患者に対して歯周ポケット深度測定以外にもさまざまな検査を実施するのが通常であるため、システム(ソフトウェア)としてもさまざまな測定器および治療器を接続でき、患者データを一括管理できることが好ましい。複数の測定器に応じて使用者が対応するプログラムを起動するのは煩わしい作業であるため、測定器をコンピュータに接続すると同時に対応するプログラムが自動的に起動される必要がある。そのために、歯周ポケット深度測定器も含めて、システムに接続可能な複数の測定器がそれぞれ固有の識別コードを有し、システムに接続されると自動的に当該識別コードを送信することにより、当該測定器に対応する動作プログラムが自動的に起動される機能を有する歯周検査システムとすることが望ましい。」

(イ)「【0025】
前述のとおり、本発明の歯周ポケット深度測定器は、歯周ポケット深度を測定するためのプローブと、当該プローブを用いて検査を実行されている部位を撮影する機能を有する構成も採用しうる。撮影手段としては小型のCMOSカメラあるいはCCDカメラを使用し、測定器内部に組み込む。特許文献7?9に示されているように、検査部位の画像情報が得られる場合には、これを解析することによって検査値を得ることが原理的には可能である。・・・既に説明したように、本発明の歯周ポケット深度測定器は、検査に必要な挿入力がプローブによって加えられたことをセンサーで検出する機能を有する構成も採りうる。したがって、検査部位に加えられるプローブの挿入力が所定の値に到達した際に、検査部位の撮影を自動的に実行する機能を有することは、センサー情報を利用すれば可能であり、これによって検査に使用できる適切な画像を取得することができる。」

(ウ)「【0032】
以下、本発明の歯周検査システムを実施するための具体的な形態について、図を用いて説明する。
本発明の歯周検査システムは前述のとおり、プローブから検査部位に加えられる挿入力が一定値を超えないような安全機構を備えつつ、騒音の多い歯科医院でも十分に通知が実行できる手段を実現できるようにした。図2はその外観の一例であるが、歯周ポケット測定器の筺体201には、実際に検査部位である歯肉に接触し、歯周ポケット内に挿入されるプローブ202を接続する。プローブは患者の血液に接触する可能性が高いため、感染のリスクを解消させるためにも、ディスポーザブルなものにすることが望ましい。そのためにはプローブを容易に着脱交換できる必要があるため、プローブ固定具203を備えておき、これにプローブ202を固定するのがよい。次に述べるように、プローブ固定具203は、プローブに加えられている力を測定する目的にも利用される。さらに、口腔内を室内照明のみで観察することは容易ではないため、白色発光ダイオードなどを利用した白色照明204も必要である。白色照明の光源としては白色発光ダイオードが好適であるが、プローブへの集光が必要であれば、光源の前に透明樹脂などで形成された導光部材を配置してもよい・・・」

上記各記載事項(ア)ないし(ウ)を、図面を参照しつつ整理すると、引用文献2には以下の技術事項が記載されていると認める(以下「引用文献2事項」という。)。
「歯周ポケット深度測定器101において、歯周ポケット深度を測定するためのプローブ102と、先端に前記プローブ102を有するグリップ部としても機能する筺体201とを備えること。」

(3)引用文献3
同じく上記取消理由通知(決定の予告)において例示した上記引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)特許請求の範囲
「【請求項1】
診療対象の狭隘な箇所に挿入可能な細長部材と、
前記細長部材の先端部に取付けられた光源と、
前記光源に接続され且つ前記細長部材にその後端部に及ぶよう添装された光源用導線とよりなることを特徴とする光照射用チップ。」

(イ)「【0016】
前記細長部材が、その長手方向に沿った少なくとも1箇所で湾曲する非直線状の形状とされている場合、特に歯科診療においては、歯牙の根管や歯周ポケット等に挿入し易く、また、細長であることとも相俟って視野の妨げともならない。ここでいう湾曲とは、前述のとおり、細長部材がその全体に亘って湾曲している場合はもとより、局部的に屈曲しているような、線分と線分、及びその間の角度の組み合わせにより湾曲している形状を含む。これは、根管用のプラッガーやスプレッダー、或いはポケット探針のような、要所に直線形状を含むように本願発明の細長部材を形成すること含む。全体に亘って湾曲させることは、例えばレーザ照射チップであれば、光ファイバを内蔵しているため、やむをえなかった。ところが本願発明によれば、細径部材の先端まで光ファイバを設ける必要がないため、その形状に自由度があり、全体に亘る湾曲形状はもちろん、要所に直線形状を含むような屈曲形状にも構成し得る。」

(ウ)「【0024】
以下、本発明の光照射用チップ、光照射用ヘッド及びこれらをアセンブリして構成される光照射器の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態としての光照射器の全体構成を示す斜視図である。図1に示す光照射器1は、主に歯牙の根管や歯周ポケット内を照射し得るコードレスのハンドピースタイプに構成されたものである。本光照射器1は、術者が歯科診療する際に手に持つ部分であるグリップ形状の光照射器本体2と、該光照射器本体2の先側部に着脱自在に装着された光照射用ヘッド3とより構成される。更に、光照射用ヘッド3は、ヘッド基部4と、該ヘッド基部の先端に装着された光照射用チップ5とよりなる。光照射器本体2の表面には、照射時間を設定する設定操作部21,22、設定された照射時間や残り照射時間或いは後記する電池26の残量等を表示する表示部23、及び照射の開始や停止操作を行う照射操作部24が設けられている。・・・」

(エ)「【0027】
前記光照射用チップ5は、断面円形の金属製細管からなる細長部材7と、該細長部材7の先端部に取付けられたLEDからなる光源6と、該光源6に接続され且つ前記細長部材7内に挿通された状態で細長部材7の後端部に及ぶよう添装された光源用導線61とよりなる。前記光照射用チップ5は、前記細長部材7をして、前記ヘッド基部4の先側部分41に対し、前記先側部分41の中央部に前記軸線L1に同心に形成された貫通孔41aに挿入固着一体とされている。これによって、前記細長部材7の軸線L2が光照射用ヘッド3の前記軸線L1に整合する状態とされる。細長部材7の先側部分41に対する挿入固着一体状態では、その挿入端(後端部)が前記ヘッド基部本体部40内に及び、前記光源用導線61はこの細長部材7の後端部から導出されて前記光源駆動回路43に電気的に結線されている。光源6は、前記のように、0.9×0.9mm角程度の微小な角型LEDからなり・・・」

(オ)「【0029】
前記のような構成の光照射器1を歯科の照射診療に使用する場合について略述する。図6は、歯牙(診療対象)Tの根管(狭隘な箇所)T1内に前記光照射用チップ5を挿入し、光源6を根尖部T2の近傍部にまで至らせた状態を示している。根管T1は空洞形状で、通常その切削拡大後の根管上部の内径は2?3mm程度であり、その下端に根尖部T2が歯肉側に開口し、その開口径は0.3mm程度である。従って、光照射用チップ5の細長部材7の外径Dを1.6mm以下とすると、図のように光源6を根尖部T2の近傍部にまで至らせることができる。そして、前記のように光照射用ヘッド3の軸線L1が途中で湾曲し、更に、光照射用チップ5がその長手方向に沿った1箇所で屈曲した非直線状の形状(1本の直線が所定の角度で曲げられている形状)とされているから、このような歯牙Tの狭隘な根管T1内への光照射用チップ5の挿入操作がし易く、しかも視野の妨げとなることがない。・・・」

(カ)「【0032】
図6に示すような照射診療においては、LED6からの光が目的診療部位に対して至近位置で直接照射される。本図の例はあくまで一例であって、根管中部まで重合剤が充填され、その近傍位置で光が照射される使用例もあるが、ここでは特に、本願発明の特徴を明確にするため、便宜上根尖付近でLED6からの光を根尖位置まで照射する図を示している。この場合、ムラのない照射が可能とされて、光重合樹脂の重合不足や殺菌不足が生じず極めて精度の高い光照射診療が可能となると共に、光量の減衰が殆どなく、低出力のLED6であっても、効率的な光照射が可能となる。・・・また、図6に示す歯周ポケットT3に光照射用チップ5をその先端部より挿入して、歯周ポケットT3内の照射診療に使用することも可能である。」

(キ)「【0033】
励起光の照射による蛍光診断の場合、歯牙Tの根管T1のように狭隘な部位での蛍光像を直接視認することは極めて難しい。従って、このような診療目的に対しては、前記LED6の近傍にCCD等の撮像手段(不図示)を配置し、この撮像手段による撮像情報(電気信号)を光照射用ヘッド3内を電送し、前記電気的制御部20から外部のモニタディスプレイ(不図示)等に無線又は有線で送信してこのモニタディスプレイ等によって蛍光像を観察し得るように構成しても良い。この場合、LED6の近傍には受光部(不図示)を配置し、光照射用ヘッド3内に導光体(不図示)を配設して、受光部で受光した蛍光像を導光体で導光させて光照射器本体2内に設置される撮像手段に結像させて、前記と同様に外部のモニタディスプレイ等に送信させるようにしても良い。」

上記各記載事項を、特に上記記載事項(キ)の実施形態に着目して、図面を参照しつつ整理すると、引用文献3には以下の技術事項が記載されていると認める(以下「引用文献3事項」という。)。
「歯科の照射診療に使用する光照射器1において、歯牙Tの根管T1の撮像を行う光照射用ヘッド3と、先側部に前記光照射用ヘッド3を有するグリップ形状の光照射器本体2とを備えること」。

(4)引用文献5
ア 引用文献5に記載された事項
同じく上記取消理由通知(決定の予告)において引用した上記引用文献5には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)請求の範囲
「1.内視鏡的視覚化のもとに歯肉縁下歯面から歯垢と歯石の沈着物を除去するための歯科用器具において、
(a)基端と先端と第1の断面領域とを備えた細長の柄と、
(b)細長の柄の先端から延び、柄の断面より狭い断面を有する軸と、
(c)軸から延びて、手術により歯肉を切除することなく、自由歯肉と歯肉縁下歯面との間に挿入可能であるような寸法及び形状に形成され、歯肉縁下歯面から歯垢と歯石の沈着物を除去するのに有用であるような寸法及び形状に形成された動作部と、
(d)器具内の少なくとも一部分を長手方向に延び、光源に接続可能な基端を有し、器具の動作部に隣接して配置された少なくとも1つの照明出口に向かって基端から先端方向へ延びている光伝送手段と、
(e)器具内の少なくとも一部分を長手方向に延び、外部画像観察装置に接続可能な基端を有し、少なくとも1つの光画像受像口に向かって基端から先端方向へ延びている光画像伝送手段とを有する歯科用器具。」

(イ)公報第6ページ右下欄下段
「本発明のいかなる内視鏡器具又は歯肉縁下内視鏡消息子も1つ又は複数の流体注入通路を組み込むことが可能であり、この通路は本発明のいかなる器具又は消息子にも形成可能であり、流体(例えば、水、塩水、殺菌剤、抗結石剤、局所活動性麻酔剤を含有する溶剤、空気等)を歯周ポケット又は溝に注入することを可能とする。」

(ウ)公報第7ページ右下欄上段付近
「歯肉縁下歯垢又は歯石Cの除去を容易にすべく、本発明は周囲の歯肉Gの切除手術を必要とせずに歯肉縁下歯面を視覚化する方法及び装置を提供する。本発明の装置は光フアイバ画像伝送手段のような内視鏡観察装置を有し、歯肉溝又は歯周ポケットに直接挿入が可能であり、歯肉縁下歯面の画像を患者の身体の外側に配置された接眼鏡又はビデオモニタに伝送する。」

(エ)公報第7ページ右下欄下段付近
「図2及び2aに示すように、本発明の一実施例は歯肉繰下のスケーリング及び根面平滑化治療を実施するための手器具である。そのような手器具10
は柄12、軸14及び動作部即ちブレード16を有する。第1の光フアイバ群即ち管束18及び第2の光フアイバ群即ち管束20は器具10の柄12及び軸14を貫通して長手方向に延びている。図示した実施例において、第1光ファイバ束18は光伝送光ファイバを有する。第2光ファイバ束20は画像伝送ファイバを有する。」


(オ)公報第8ページ左上欄上段付近
「第1光ファイバ束18及び第2光ファイバ束20の双方とも先端の照明/画像受像装置、即ち光学ヘッド24に装着され、かつその範囲内で終結している。そのような光学ヘッド24は器具の軸14に、動作部即ちブレード16に隣接して配置できる。レンズ即ち画像受像口が光学ヘッドに、少なくとも第2(画像受像)光ファイバ束20に隣接又は接触して形成され、内視鏡を使用したように観察される光画像を受像し、かつ集束させる。」

(カ)公報第8ページ右上欄中段付近
「第2(画像伝送)光ファイバ束20の基端はビデオモニタ又はテレビモニタ及び/或いは接眼鏡32のような固体ビデオ画像装置30に接続可能である」

(キ)公報第8ページ右上欄中段付近
「画像装置30は第2画像伝送光ファイバ束20を介して発信される画像情報を受信し、かつそのような画像情報をビデオ信号に変換することが可能な、現在周知の又は以降周知となるいかなるビデオ倍音処理装置であってもよい。そして、画像装置30によって発生させられたビデオ信号は、そのような画像装置130に接続されたビデオモニタ32に表示可能である。」

(ク)公報第8ページ左下上欄上段付近?中段付近
「任意の注入流体管腔40が器具10の柄12及び軸14中を長手方向に延びていてもよい。そのような任意の注入流体管腔40は管42を介し基端において加圧注入流体源、即ちポンプ44に接続されている。そのような注入流体管腔40は器具10の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成された1つ又は複数の注入流体流出開口、即ち流出口46に流体状接続されている。そのような注入流体流出口46は図2に示すように、光学ヘッド24の範囲内に形成されるか、又は光学ヘッド24かも離れた位置に配置されている。流体源即ちポンプ44は装置のオペレータによって断続的又は継続的に操作され、管42、管腔40を介し、流出口46から外部へと水又は他の流体を流動させる。そのような水又は他の流体の流動は、器具10の使用中に歯周ポケットPPを周期的又は継続的に水洗い、即ち洗浄するために利用され、器具10の動作部即ちブレード16の前方の視野から血液及び沈着物を取り除く。そのような歯周ポケット内の水洗い即ち洗浄は注入流体によって注入することによってポケットを拡大させるだけでなく、懸案であった歯肉縁下歯面の内視鏡的視見化を容易にしている。そのような管腔40及び流出口46は歯周ポケットからの吸入流体及び/又は沈着物を吸引するために交互に吸引源に取り付けられている。」

(ケ)公報第8ページ右下欄中段付近
「図3aに示す光学、ヘッド24aは更に、任意の吸引又は吸入口40aばかりではなく、任意の注入流体出口46aも組み込んでいる。任意の注入流体出口46a及び/或いは吸入又は吸引口40aは必ずしも光学ヘッド24内に配置される必要はなく、器具10の別の位置に配置されてもよい。実際は、任意の流体出口46a及び/又は任意の吸入口58aは光学ヘッド24aに対して配置され、継続的又は断続的に光学的領域から血液及び/又は沈着物を取り除く能力を最大化又は最適化させ、器具10が治療される歯面を内視鏡で見るように視覚化する能力を最大化させている。」

(コ)公報第8ページ右下欄下段?第9ページ左上欄上段
「図3bに更に別の光学ヘッド24の形状を示す。図3bに示すように、光学ヘッド24は同心の内側及び外側の光ファイバ束を備え、第1(照明)光ファイバ束18は第2(画像伝送)光ファイバ束20を取り囲み、そのような第1及び第2光ファイバ東18.20は光学ヘッド24のそれぞれ外環状照明出口、即ちレンズ53及び内環状画像受像口、即ちレンズ55において終結している。間隔即ち管腔110が第1及び第2光フアイバ東を取り囲み、刺激剤、抗菌剤、麻酔剤又は他の流体の注入及び/或いは血液又は沈着物の吸入のための通路を提供している。更に、図3bに示すように、内腔57が器具中を長手方向に延び、光学ヘッド24の中央を介して開口している。図3bに示すように、任意のレーザ束、超音波消息子又は他の部材59が中央管腔57の中に通され、即ち挿入されている。例えば、そのような光学部材59は器具10の中を長手方向に延びている音波又は超音波の送信ワイヤ又は消息子を有し、超音波又は音波のワイヤ又は消息子は中央管腔57から外部へ伸長可能であり、かつ/又は中央管腔57へ引き込み可能になっている。」

イ 引用文献5発明A
(サ)上記記載事項(エ)の「手器具10は・・・軸14及び動作部即ちブレード16を有する」との記載、上記記載事項(オ)の「光学ヘッド24は器具の軸14に、動作部即ちブレード16に隣接して配置できる」との記載を踏まえ、上記記載事項(ア)における「歯科用器具」は、“光学ヘッド付き歯科用手器具10”ということができる。

(シ)さらに、上記記載事項(ウ)に「歯肉縁下歯垢又は歯石Cの除去・・・歯肉縁下歯面を視覚化する方法及び装置を提供する」とあり、また、上記記載事項(エ)に「本発明の一実施例は歯肉繰下のスケーリング及び根面平滑化治療を実施するための手器具である。そのような手器具10は柄12、軸14及び動作部即ちブレード16を有する。」とあることから、引用文献5記載の“光学ヘッド付き歯科用手器具10”は、“診察及び治療をする光学ヘッド付き歯科用手器具10”、ということができる。

上記記載事項ア(ア)ないし(ケ)並びに上記認定事項(サ)及び(シ)を、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて本件訂正発明1に倣って整理すると、引用文献5には以下の発明が記載されていると認める(以下「引用文献5発明A」という。)。
「診察及び治療を、光学ヘッド24による歯肉縁下歯面部位の画像を介して、診察及び治療をすることができるように構成した光学ヘッド付き歯科用手器具10において、
前記光学ヘッド24による歯肉縁下歯面部位の画像は、光学ヘッド24に第2光ファイバ束20を介して発信されるビデオモニタ32に表示される画像であるとともに、
診察及び治療対象である歯周ポケットにエアを噴射する流体注入通路を設け、
前記流体注入通路は、手器具10の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成された外部へとエアを流動させる流出口46を設けた光学ヘッド付き歯科用手器具10。」

ウ 引用文献5発明B
(ス)上記記載事項(コ)に「図3bに示すように・・・間隔即ち管腔110が第1及び第2光フアイバ束を取り囲み、刺激剤、抗菌剤、麻酔剤又は他の流体の注入及び/或いは血液又は沈着物の吸入のための通路を提供している。」あるところ、これを図2の図示内容に照らして合理的に解すれば、引用文献5記載の「第2光ファイバ束20」は、“少なくともその一部を流体注入通路の管腔110に取り囲まれ挿入されている”ものと認められる。

上記記載事項ア(ア)ないし(コ)及び認定事項(サ)ないし(ス)を、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて本件訂正発明4に倣って整理すると、引用文献5には以下の発明も記載されていると認める(以下「引用文献5発明B」という。)。
「手器具10に光学ヘッド24をその動作部即ちブレード16に隣接して配置するとともに歯周ポケットにエアを噴射する流体注入通路を設けることにより構成した光学ヘッド24付き手器具10において、
前記光学ヘッド24の映像を介する第2光ファイバ束20は、少なくともその一部を流体注入通路の管腔110に取り囲まれ挿入されているとともに、
前記流体注入通路は、手器具10の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成された外部へとエアを流動させる流出口46を設けた光学ヘッド付き歯科用手器具10。」

(6)引用文献7
同じく上記取消理由通知(決定の予告)において引用した上記引用文献7には、その段落【0095】の記載などから、次の技術的事項が記載されていると認められる(以下「引用文献7事項」という)。
「歯周検査装置において、検査対象部位Rにおける撮影結果を、拡大表示する機能を有すること。」

(7)引用文献8
同じく上記取消理由通知(決定の予告)において引用した上記引用文献8には、その第8図とそれに関連する明細書の記載などから、次の技術的事項が記載されていると認められる(以下「引用文献8事項」という)。
「歯周ポケット等の根管内観察装置において、プローブ4による歯周部の処置部にエアを噴出するノズルチューブ44をプローブ4の側部に沿って付設すること。」

(8)引用文献9
同じく上記取消理由通知(決定の予告)において引用した上記引用文献9には、その段落【0015】の記載などから、次の技術的事項が記載されていると認められる(以下「引用文献9事項」という)。
「歯牙の診察や処置を行うスケーラにおいて、診察具自体を発光させて照射することにより、術者の作業を容易にすること。」

(9)引用文献10
同じく上記取消理由通知(決定の予告)において引用した上記引用文献10には、その段落【0023】,【0054】の記載などから、次の技術的事項が記載されていると認められる(以下「引用文献10事項」という)。
「歯牙や歯肉を含む口腔内の観察を行う観察装置において、カラーCCDカメラ10を設けること。」

(10)引用文献11
上記取消理由通知(決定の予告)において例示した上記引用文献11には、その段落【0006】の記載などから、次の技術的事項が記載されていると認められる(以下「引用文献11事項」という)。
「歯科用ハンドピースにおいて、噴射流体をコアンダ効果により配向させること。」

(11)引用文献12
上記取消理由通知(決定の予告)において例示した上記引用文献12には、その第3ページ左下欄中段付近の記載などから、次の技術的事項が記載されていると認められる(以下「引用文献12事項」という)。
「歯科処置用のハンドピースにおいて、噴流をコアンダ効果により配向させること。」

3 取消理由についての判断
(1)本件訂正発明1
ア 対比
本件訂正発明1と引用文献5発明Aとを対比すると以下のとおりである。
引用文献5発明Aの「画像」は、本件訂正発明1の「映像」に相当することは明らかである。以下同様にそれぞれの機能及び技術常識を踏まえれば、引用文献5発明Aの「第2光ファイバ束20を介して発信される」は本件訂正発明1の「有線」「を介して接続されている」に、「ビデオモニタ32」は「表示部」に、「流体注入通路」は「エア噴射手段」に、「外部へとエアを流動させる流出口46」は「エア噴射口」に各々相当する。
また、引用文献5発明Aの「歯肉縁下歯面部位」及び「歯周ポケット」は、いずれも本件訂正発明1の「歯周部」に相当する。

次に、引用文献5発明Aの「診察及び治療」と本件訂正発明1の「診察」とは、“診察と治療の少なくとも一方”である限りにおいて共通する。
また、引用文献5発明Aの「光学ヘッド24」と本件訂正発明1の「超小型カメラ」とは、“撮像器”である限りにおいて共通する。
また、引用文献5発明Aの「光学ヘッド付き歯科用手器具10」と本件訂正発明1の「カメラ付き歯科用プローブ」とは、上記共通関係も踏まえ、“撮像器付き歯科用器具”である限りにおいて共通する。
そして、引用文献5発明Aの「流体注入通路は、手器具10の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成された外部へとエアを流動させる流出口46を設け」ることは、上記対応関係を踏まえ、
「エア噴射手段は、撮像器付き歯科用器具の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成されたエア噴射口を設け」ることと言い改められるところ、
これは本件訂正発明1の「エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成」することと、
“エア噴射手段は、撮像器付き歯科用器具の先端付近に形成されたエア噴射口を備え”るものである限りにおいて共通する。
したがって、本件訂正発明1と引用文献5発明Aとは、以下の点で一致しているということができる。

<一致点>
「診察と治療の少なくとも一方を、撮像器による歯周部の映像を介して、診察と治療の少なくとも一方をすることができるように構成した撮像器付き歯科用器具において、
前記撮像器による歯周部の映像は、撮像器に有線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、
前記歯周部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、
前記エア噴射手段は、撮像器付き歯科用器具の先端付近に形成されたエア噴射口を備えた撮像器付き歯科用器具。」

そして、本件訂正発明1と引用文献5発明Aとは、以下の4点で相違する。
<相違点1-1>
本件訂正発明1は、歯周部に対し、歯周部の深さの測定を行う探針部と先端に前記探針部を有するグリップ部とを備えた歯科用プローブによる診察を行うのに対し、引用文献5発明Aは、歯周部(「歯肉縁下歯面部位」又は「歯周ポケット」)に対し診察及び治療をするものである点。
<相違点1-2>
“撮像器”に関し、本件訂正発明1では超小型カメラであるのに対し、引用文献5発明Aでは光学ヘッドである点。
<相違点1-3>
“撮像器付き歯科用器具”に関し、本件訂正発明1では、カメラ付き歯科用プローブであるのに対し、引用文献5発明Aでは、光学ヘッド付き歯科用手器具である点。
<相違点1-4>
“エア噴射手段は、撮像器付き歯科用器具の先端付近に形成されたエア噴射口を備え”ることに関し、本件訂正発明1は、エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成しているのに対し、引用文献5発明Aでは、エア噴射手段(流体注入通路)は、手器具10の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成された外部へとエアを流動させるエア噴射口(外部へとエアを流動させる流出口46)を設けるものであり、またコンアンダ効果については不明である点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点1-2について
事案に鑑み、まず相違点1-2から検討する。
引用文献5発明Aの「光学ヘッド」は、「第2光ファイバ束20を介して発信」するものであるから、実質的には“超小型カメラ”であるともいえ、相違点1は実質的な相違点ではない。
仮に相違点1が実質的な相違点であるとしても、上記引用文献1事項は、「歯周ポケットの治療を・・・歯科用撮像用超小型カメラ230Bによる・・・撮像画像を介して、処置をすることができるように構成した」ものであるところ(上記2(1)イ)、かかる引用文献1事項の「歯科用撮像用超小型カメラ」を引用文献5発明Aに適用して、相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは何ら困難なことではない。

(イ)相違点1-1及び相違点1-4について
次に、相違点1-1及び相違点1-4につき検討する。

(a)まず、上記2(2)で指摘したように、引用文献2事項は「歯周ポケット深度測定器101において、歯周ポケット深度を測定するためのプローブ102と、先端に前記プローブ102を有するグリップ部としても機能する筺体201とを備えること。」というものであるところ、引用文献2事項の「歯周ポケット深度を測定するためのプローブ102」は“探針部”と表現でき、同様に引用文献2事項の「グリップ部としても機能する筺体201」は“グリップ部”とも表現できるから、引用文献2事項は、“歯周ポケット深度測定器101において、先端に探針部を有するグリップ部を備えること”と言い改められる。

(b)また、上記2(3)で指摘したように、引用文献3事項は「歯科の照射診療に使用する光照射器1において、歯牙Tの根管T1の撮像を行う光照射用ヘッド3と、先側部に前記光照射用ヘッド3を有するグリップ形状の光照射器本体2とを備えること」というものであるところ、引用文献3事項の「歯牙Tの根管T1の撮像を行う光照射用ヘッド3」は、“探針部”とも解され得るから、引用文献3事項は、“歯科の診療に使用する光照射器1において、先端に探針部を有するグリップ部を備えること”と言い改められる。そして、上記引用文献2事項及び引用文献3事項は同様の技術であり、従来周知の技術事項(以下「従来周知の技術事項A」という。)と言い得るものである。

(c)次に、上記従来周知の技術事項Aの引用文献5発明Aへの適用容易性について検討する。引用文献5の「請求の範囲」における「内視鏡的視覚化のもとに歯肉縁下歯面から歯垢と歯石の沈着物を除去するための歯科用器具」(上記2(4)ア(ア))との記載、引用文献5発明Aの認定の主なよりどころである「本発明の一実施例は歯肉繰下のスケーリング及び根面平滑化治療を実施するための手器具である。そのような手器具10は柄12、軸14及び動作部即ちブレード16を有する。」(上記2(4)ア(エ))との記載からすれば、引用文献5発明Aは、ブレード16を用いた歯科治療を行う機能を本質的機能としている。
そうすると、かかる特徴を有する引用文献5発明Aに、従来周知の技術事項Aを適用して、治療機器たるブレードに代えて(治療機器としては機能し得ない)探針部を設けることは、引用文献5発明Aの本質的機能を損なうもので、阻害事由があるものといわざるを得ない。
よって、相違点1-1に係る本件訂正発明1の構成を容易想到ということはできない。

(d)さらに、念のため、仮に相違点1に係る本件訂正発明1の構成が、引用文献5発明A及び従来周知の技術事項Aから容易想到であるとして、相違点1-4について検討する。

(e)上記第2(7)にて指摘したように、引用文献8事項は、「歯周ポケット等の根管内観察装置において、プローブ4による歯周部の処置部にエアを噴出するノズルチューブ44をプローブ4の側部に沿って付設すること。」というものであるところ、引用文献5発明Aと引用文献8事項とは、いずれも、歯科用器具である点で技術分野が共通しており、引用文献8事項を引用文献5発明Aに適用することを試みること自体には格別困難性はない。
しかしながら、引用文献8事項を引用文献5発明Aに適用したとしても、引用文献5Aは「手器具10の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成された外部へとエアを流動させるエア噴射口」であるところ、(備え得ると仮定した)探針部に沿ってエアを噴出させるべく「噴射口」を「探針部の外側及び先端よりやや上方に設ける」ことまでが容易とはいえないし、まして、「探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成」することは、到底想到し得ないものという他はない。

(f)以上を総合すると、相違点1-1及び相違点1-4に係る本件訂正発明1の構成を容易想到ということはできない。

(ウ)申立人の意見について
申立人は、上記令和1年5月10日提出の意見書において、歯科用器具においてコアンダ効果を得ることができるように構成することは、取消理由通知書(決定の予告)において例示された引用文献11(特開2001-321391号公報)、引用文献12(特開平2-228957号公報)に示されるように従来周知の技術事項である旨主張している。しかしながら、引用文献11、12にはコアンダ効果に関する記載はあるものの、その流路の形状が引用文献5発明Aと大きく異なり、上記相違点1-4を容易想到とする根拠たり得ない。
また申立人は、上記令和1年5月10日提出の意見書において、歯科用プローブにおいて、プローブによる診察部にエアを噴射するエア噴射口を有するノズル部を歯科用プローブの軸方向に添って配置することは、特開2000-081317号(甲14)に示されているとも主張する。しかしながら、甲14にはコアンダ効果に関する直接的な記載は見あたらない。
よって、申立人の意見は採用し得ない。

ウ 小括
したがって、相違点1-2に係る本件訂正発明1の構成は容易想到であるものの、相違点1-1及び1-4に係る本件訂正発明1の構成は、引用文献5発明A、引用文献1事項及び引用文献8事項、並びに従来周知の技術事項から当業者が容易に想到し得たものとはいえないから、他の相違点1-3について検討するまでもなく、本件訂正発明1は当業者が容易に発明し得たものとすることはできず、本件訂正発明1に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由によって取り消すことはできない。

(2)本件訂正発明2
ア 対比
本件訂正発明2は、本件訂正発明1のカメラ付き歯科用プローブに、実質的に「探針部に添設した超小型カメラ」という限定を付すものである。
そこで、本件訂正発明2と引用文献5発明Aとを対比すると、上記(1)アの一致点及び相違点1-1ないし相違点1-4を有し、さらに、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
本件訂正発明2においては、撮像器たる超小型カメラが探針部に添設されているのに対し、引用文献5発明Aにおける撮像器たる光学ヘッド24はそのようなものではない点。

イ 相違点についての判断
相違点1-1及び相違点1-4については、上記(1)における検討と同様に、当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。
したがって、相違点2-1等他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明2に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由によって取り消すことはできない。

(3)本件訂正発明3
ア 対比
本件訂正発明3は、本件訂正発明1のカメラ付き歯科用プローブに、「映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であること」という限定を付すものである。
そこで、本件訂正発明3と引用文献5発明Aとを対比すると、上記(1)アの一致点及び相違点1-1ないし相違点1-4を有し、さらに、以下の点で相違する。
<相違点3-1>
本件訂正発明3においては、映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であるのに対し、引用文献5発明Aにおける画像(映像)はそのようなものか明らかでない点。

イ 相違点についての判断
相違点1-1及び相違点1-4については、上記(1)における検討と同様に、当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。
したがって、相違点3-1等他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明3に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由によって取り消すことはできない。

(4)本件訂正発明4
ア 対比
本件訂正発明4と引用文献5発明Bとを対比すると以下のとおりである。 引用文献5発明Bの「映像を介する第2光ファイバ束20」は、本件訂正発明4の「信号ケーブル」に相当することは明らかである。以下同様にそれぞれの機能及び技術常識を踏まえれば、引用文献5発明Bの「流体注入通路」は「エア噴射手段」に、「流体注入通路の管腔110」は「エア噴射手段のエア供給管路の中空部分」に、「取り囲まれ挿入されている」は「配線して構成する」に、「外部へとエアを流動させる流出口46」は「エア噴射口」に、各々相当する。
また、引用文献5発明Bの「隣接して配置され」ることは、本件訂正発明4の「添設」されることに相当し、引用文献5発明Bの「歯周ポケット」は、本件訂正発明4の「歯周部」に相当する。

次に、引用文献5発明Bの「光学ヘッド24」と本件訂正発明4の「超小型カメラ」とは、“撮像器”である限りにおいて共通する。
また、引用文献5発明Bの「光学ヘッド24付き歯科用手器具10」と本件訂正発明4の「カメラ付き歯科用プローブ」とは、上記共通関係も踏まえ、“撮像器付き歯科用器具”である限りにおいて共通する。

また、引用文献5発明Bの「手器具10に光学ヘッド24をその動作部即ちブレード16に隣接して配置するとともに歯周ポケットにエアを噴射する流体注入通路を設ける」ことは、上記対応関係を踏まえ、
「撮像器付き歯科用器具に撮像器をその動作部即ちブレード16に添設するとともに歯周部にエアを噴射するエア噴射手段を設ける」ことと言い改められるところ、
これは本件訂正発明4の「歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設する」ことと、
“撮像器付き歯科用器具に撮像器を添設するとともに歯周部にエアを噴射するエア噴射手段を設ける”ことである限りにおいて共通する。

また、引用文献5発明Bの「流体注入通路は、手器具10の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成された外部へとエアを流動させる流出口46を設け」ることは、上記対応関係を踏まえ、
「エア噴射手段は、撮像器付き歯科用器具の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成されたエア噴射口を設け」ることと言い改められるところ、
これは本件訂正発明4の「エア噴射手段は 先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成」されることと、
“エア噴射手段は、撮像器付き歯科用器具の先端付近に形成されたエア噴射口を備え”るものである限りにおいて共通する。

したがって、本件訂正発明4と引用文献5発明Bとは、以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「撮像器付き歯科用器具に撮像器を添設するとともに歯周部にエアを噴射するエア噴射手段を設けることにより構成した撮像器付き歯科用器具において、
前記撮像器の信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分に配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は、撮像器付き歯科用器具の先端付近に形成されたエア噴射口を備えた撮像器付き歯科用器具。」

そして、本件訂正発明4と引用文献5発明Bとは、以下の4点で相違する。
<相違点4-1>
本件訂正発明4においては、撮像器たる超小型カメラが、歯周部の深さの測定を行う探針部と先端に前記探針部を有するグリップ部とを備えた歯科用プローブの前記探針部に添設されているのに対し、引用文献5発明Bにおける撮像器たる光学ヘッド24は、手器具10の動作部即ちブレード16に添接されている点。
<相違点4-2>
“撮像器”に関し、本件訂正発明4では超小型カメラであるのに対し、引用文献5発明Bでは光学ヘッドである点。
<相違点4-3>
“撮像器付き歯科用器具” に関し、本件訂正発明1では、カメラ付き歯科用プローブであるのに対し、引用文献5発明Aでは、光学ヘッド付き歯科用手器具である点。
<相違点4-4>
“エア噴射手段は、撮像器付き歯科用器具の先端付近に形成されたエア噴射口を備え”ることに関し、本件訂正発明4は、エア噴射手段は 先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成しているのに対して、引用文献5発明Bは、エア噴射手段(流体注入通路)は、撮像器付き歯科用器具(手器具10)の軸14の先端部及び/又はブレード部16に形成されたエア噴射口(外部へとエアを流動させる流出口46)を設けるものであり、またコアンダ効果については不明である点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点4-2について
事案に鑑み、まず相違点4-2から検討する。
相違点4-2については、上記(1)イ(ア)における相違点1-2の検討と同様に、実質的な相違点でないか、さもなくとも引用文献5発明B及び引用文献1事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。

(イ)相違点4-1及び相違点4-4について
相違点4-1は、上記(1)アにて示した相違点1-1と同様の相違点を前提とするものであり、また相違点4-4は相違点1-4と同様であるところ、それら相違点1-1及び相違点1-4が容易想到ということはできないことは、上記(1)イ(イ)及び(ウ)にて指摘したとおりである。

ウ 小括
よって、相違点4-2に係る本件訂正発明4の構成は容易想到であるものの、相違点4-1及び4-4に係る本件訂正発明4の構成は、引用文献5発明B、引用文献1事項及び引用文献8事項、並びに従来周知の技術事項から当業者が容易に想到し得たものとはいえないから、他の相違点4-3について検討するまでもなく、本件訂正発明4は当業者が容易に発明し得たものとすることはできず、本件訂正発明4に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由によって取り消すことはできない。

(5)本件訂正発明5
ア 対比
本件訂正発明5は、本件訂正発明4のカメラ付き歯周診察処置具に、実質的に「探針部による歯周部の診察部を照明する照明手段を添設し」という限定を付すものである。
そこで、本件訂正発明5と引用文献5発明Bとを対比すると、上記(4)アの一致点及び相違点4-1ないし相違点4-4を有し、さらに、以下の点で相違する。
<相違点5-1>
本件訂正発明5においては、探針部による歯周部の診察部を照明する照明手段を添設しているのに対し、引用文献5発明Bにおいては、その点が明らかでない点。

イ 相違点についての判断
相違点4-1及び相違点4-4について、上記(1)における検討と同様に、当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。
したがって、相違点5-1等他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明5に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由によって取り消すことはできない。

(6)本件訂正発明6
ア 対比
本件訂正発明6は、本件訂正発明4のカメラ付き歯周診察処置具に、実質的に「探針部を光照射部材にて形成し、さらに探針部自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯科用プローブの前記探針部の歯周部の診察を」「探針部自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ」という限定を付すものである。
そこで、本件訂正発明6と引用文献5発明Bとを対比すると、上記(4)アの一致点及び相違点4-1ないし相違点4-4を有し、さらに、以下の点で相違する。
<相違点6-1>
本件訂正発明6においては、探針部を光照射部材にて形成し、さらに診察具自体を発光するための照明手段を備えることにより歯周診察処置具の診察具による歯周部の診察を診察具自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ行うのに対し、引用文献5発明Bはそのようなものではない点。
イ 相違点についての判断
相違点4-1及び相違点4-4について、上記(1)における検討と同様に、当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。
したがって、相違点6-1等他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明6に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由によって取り消すことはできない。

(7)本件訂正発明7?9
本件訂正発明7ないし9は、本件訂正発明6の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付すものである。そして、本件訂正発明6に係る特許を取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由により取り消すことはできないことは、上記(6)にて説示したとおりである。したがって、本件訂正発明7ないし9に係る特許も、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由により取り消すことはできない。

(8)取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由に関する判断のまとめ
したがって、本件訂正発明1ないし9に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由により取り消すことはできない。

第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人の異議申立書の「4 申立ての理由」「(4)具体的理由」の「(4-1)」欄における「理由1(特許法第36条第6項第1号違反)」及び「(4-2)」欄における「理由2(特許法第36条第6項第2号違反)」については、いずれも本件訂正により解消したことは明らかである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
カメラ付き歯科用プローブ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯周の一般的な診察あるいは歯周疾患の進行を観察するとともに口腔内清掃および歯周治療時に歯の表面から歯石等の沈着物を除去したり歯周ポケット内の貼薬を行うのに用いる手用器具である歯周診察処置具に関するもので、特に当該歯周診察処置具による診察および処置を歯周部の診察および処置部の映像を介して診察および処置をすることができるカメラ付き歯科用プローブである。
【0002】
歯周疾患は、歯肉炎が進行して炎症が歯肉の深部に波及すると歯肉組織が破壊され、歯肉と歯牙との間に歯周ポケットという溝が形成される。この歯周疾患の治療のためには歯周ポケットの深さや歯肉炎の進行状態を知る必要がある。このために従来から棒状の金具からなる把持部の先端に、くの字状に曲折したステンレス等の硬質金属からなる探針部が取り付けられた構成の歯周ポケットの深さ測定用プローブが用いられている。
【0003】
このプローブは、探針部にその先端部から一定間隔の目盛りが付されており、歯周ポケット内に探針部を挿入した際に目盛りを読み取ることで歯周ポケットの深さを測定することができるようになっている。またこの歯周ポケットの診断は、開業医の日常臨床において患者の約6割が健康保険の診察として義務付けられている頻度の高い医療行為であり、日常の診療では有用性が極めて高いものである。
【0004】
しかるに、歯周ポケットの深さを測定する従来の技術として特許文献1に示される深さ測定器の発明が公知となっている。この発明は、筒状の目盛りカバー内に配されかつ光源に接続されたウエッジプリズム及び複数本の投光用ファイバを介して歯周ポケットの底面に投光し、その反射光をウエッジプリズム及び複数の受光用ファイバを介して受光し、その受光量を予め測定しておいた最大受光量や、隣り合う受光用ファイバの受光量と比較して空間の深さを非接触で測定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3019857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に示された従来の発明は、歯周ポケットの底面に投光した際の反射光の量を検知することにより歯周ポケットの深さを非接触で測定できるものではあるが、光の反射は歯周ポケット内の環境で大きく影響され、常に正確に測定することが困難である。更に目盛りカバーを歯周ポケット内に挿入したときにぶれないように保持することは術者にとっては熟練を要し、操作が容易でないなどの問題がある。また歯周ポケット内に水もしくはエアを噴射することがあるが、噴射量や詳細な作動方法が記載されていない。更に、歯周ポケット内にエアを噴射する際に、歯肉の軟組織内に気泡が発生することが想定されるが、これを防止する対策も記載されていない。
【0007】
そこで本願出願人は、前記特許文献1記載の発明における欠点を除去し、歯牙とその周囲の歯肉との間に生じる歯周ポケットの深さを、患者に苦痛を与えることなく測定し、更に歯周ポケット内における歯根面の歯石や異物の存在、及びその付着位置などを目視で確認することのできる歯科用プローブを特願2011-152371にて提案したところであります。
【0008】
前記発明の歯科用プローブは、患部に触診可能な探針部とグリップ部とを備えた歯科用プローブにおいて、後端部にエア供給管路が接続されかつ先端部にエア噴射口を有するノズル部を前記探針部の軸方向に添って設けたことを特徴とするものである。
【0009】
そして前記歯科用プローブは、探針部に添ってエア噴射ノズルを設けたことにより歯周ポケットに対して噴射する気流にコアンダ効果が得られ、または中空の探針部先端からエアを噴射するなどにより、噴射エアで歯周ポケットを開くことができ、しかも噴射エアの圧力を制御しかつエアの温度を体温に近似した温度に制御して噴射することにより、患者に苦痛を与えることなく歯周ポケットの深さ測定ができ、また歯周ポケット内における歯根面の歯石や異物の存在、及びその付着位置などを目視で確認することが可能になる。また、歯石や異物の有無をあらかじめ目視にて確認可能になるため、歯周ポケット内の障害物を避けて正確な歯周ポケットの深さを探針にて測定することが可能になるというものである。
【0010】
そこで本発明は、前記先願の発明における歯科用プローブの発明に加えて歯周診察にとどまらず適切な処置を遂行することのできる歯周診察処置具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決する本発明の請求項1は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブによる診察を、超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項2は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に添設した超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項3は、請求項1または2記載のカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であることを特徴とする。
【0015】
請求項4は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項5は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部を照明する照明手段を添設し、さらに前記歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。
【0023】
請求項6は、歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設し、かつ前記探針部を光照射部材にて形成し、さらに当該探針部自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯科用プローブの前記探針部の歯周部の診察を、前記エア噴射と前記探針部自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ、前記小型カメラによる映像を介して診察することができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とする。
【0024】
請求項7は、請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラは、カメラユニットまたはカラーカメラモジュールを使用することにより構成したことを特徴とする。
【0025】
請求項8は、請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記歯科用プローブに備える探針部は、歯科用探針または歯周ポケット探針の探針(作業部)であることを特徴とする。
【0026】
請求項9は、請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブにおいて、前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像上の視野の拡大率は等倍あるいは等倍乃至所要の拡大率まで拡大することができるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、見ることが難しい歯周ポケット内を含めた歯周の診察または処置に当たり、歯周診察あるいは処置部の等倍から拡大した映像を介して診察または処置することができ、歯周部の診察あるいは処置の作業性と的確性を向上することができる。
【0028】
特に請求項1?9によれば、エア噴射手段によるエアーブローにて診察あるいは処置部を開口状態にて診察あるいは処置を遂行することができる利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例1を示す一部縦断側面図である。
【図2】図2(a)、(b)は、超小型カメラの要部の拡大側面および正面図である。
【図3】図3(a)、(b)は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例2を示すカラーカメラモジュールの拡大側面および正面図である。
【図4】図4は、光学素子の接続回路の説明図である。
【図5】図5は、撮像手段のブロック図である。
【図6】図6は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例3を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例4を示す要部側面図である。
【図8】図8(a)、(b)は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例5を示す要部側面図である。
【図9】9図は、エア噴射手段の回路ブロック図である。
【図10】図10は、エア噴射手段の回路ブロック図である。
【図11】図11は、エア噴射手段の回路ブロック図である。
【図12】図12は、エア噴射手段の回路ブロック図である。
【図13】図13は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例6を示す要部側断面図である。
【図14】図14は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例7を示す要部側断面図である。
【図15】図15は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例8を示す要部側断面図である。
【図16】図16は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例8を示すブロック図である。
【図17】図17は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例9を示す要部側断面図である。
【図18】図18は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例10を示す要部側断面図である。
【図19】図19は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例11を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、歯周診察あるいは処置について使用する診察具あるいは処置具自体に歯周部位の映像を取得するための超小型カメラを添設することにより、目的とする歯周に対する診察あるいは処置部位を目視に頼らずに超小型カメラによる映像にて確認しつつ診察あるいは処置を実施することができるようにしたものである。
【実施例1】
【0031】
図1は本発明カメラ付き歯科用プローブの実施例1を示すもので、歯科用探針すなわち、歯科診療で触診等に用いる手持型のプローブに適用した場合を示すものである。
当該プローブ1は、グリップ部2の先端に探針部3を設けることにより形成されている。
【0032】
尚、探深部3はグリップ部2の先端部2bに設けた装着部15にその装着部3aを着脱自在に取り付けることにより構成することができる。
【0033】
そして、探針部3については、歯のう蝕や歯石の付着状態などを触知する用途に応じ、その先端の細い作業部分を鉤型、鈍的形状のものとして形成するものである。
【0034】
また、当該探針部3には、探針部3の先端より約10mm近辺に位置せしめて超小型カメラ4を添設してある。
この超小型カメラ4としては、図2(a)、(b)に示すカメラユニット40により構成されている。
【0035】
前記カメラユニット40について、図2(a)、(b)を参照して詳述する。
前記カメラユニット40は、例えば直径1.2mm、内径約1.1mm、長さ3mmの円筒状の支持筒42と、この支持筒42の一方の端面に光入射端を臨ませて配置した直径Φ1=1.1mmの集光レンズユニット43と、支持筒42内に前記集光レンズユニット43に対して一定の間隔を隔て対向配置した撮像部44と、前記支持筒42の他方の端面側から支持筒42内に至る範囲に嵌着したカバー部材45と、前記撮像部44に接続されるとともにカバー部材45を貫いて後方側に導出した信号ケーブル46とを有している。
【0036】
前記撮像部44は、支持筒42内において中心を前記集光レンズユニット43の光軸に一致させた状態で固着した直径1.1mmの円板状の支持基板47と、外形寸法0.84×0.74mm、厚さ0.1mmのセンサ基板48aの表面に画素数320×240ピクセルとなるようにカラー画素を配列し、中心部が前記集光レンズユニット43の光軸に一致する状態で取り付けたカラーイメージセンサ(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)48とを具備し、前記信号ケーブル46の一端側を前記カラーイメージセンサ48に接続し、他端側を支持基板47、カバー部材45を貫いて後方側に導出している。
【0037】
そして、前記超小型カメラ4としての前記カメラユニット40は、前記リップ部2に設けたコネクタ9に対して、前記信号ケーブル46の接続端部46aをコネクタ接続部10に着脱自在に装着することにより、前記グリップ部2の中空部11を介して内蔵される接続ケーブル12に電気的に接続され、かつグリップ部2の後端部2aに設けた接続部14に電気的に接続した外部信号ケーブル13に電気的に接続することができるように構成されている。
【0038】
そして、前記外部信号ケーブル13の接続端部13aはグリップ部2の前記後端部2aに設けた接続部14に対して、着脱自在に接続することができるように構成されている。
【0039】
そして、前記超小型カメラ4としてのカメラユニット40による映像は、外部信号ケーブル13を介して表示部(図示しない)、例えばテレビ受像器等にて表示することができるように構成されている。
また、表示部における歯周部の診察部位の映像については、超小型カメラ4としてのカメラユニット40による映像上の視野の拡大率により、自由に選択しつつ表示することが可能で、等倍による表示に加えて必要に応じて等倍以上の所要の倍率による拡大した映像を表示することができるように構成するものである。
【0040】
尚、カメラユニット40による診察部位の撮像手段については、後述の実施例2の駆動制御ユニット(図5)の構成等の手段による撮像が可能であるが、その際の診察部位の照明手段については、実施例2のカメラモジュール21の構成の発光素子24による照明手段あるいは、後述の実施例4の照明用ファイバー70による照明手段を介して診察部位を照明しつつ実施するが、これ以外に従来の歯周診察処置の際に使用するライト等(例えば無影灯)による照明手段を使用しつつ実施することが可能である。
【0041】
尚、図1のプローブ1の探針部3については、これをグリップ部2の先端部2bに固着する構成に換えて図1の点線で示すように、探針部3の取り付け部3aをグリップ部2の先端部2bに設けた装着部15に対して着脱自在に装着することにより構成することもできる。
【実施例2】
【0042】
図3(a)、(b)は、前記実施例1のプローブ1における超小型カメラ4としてのカメラユニット40について、前記集光レンズユニット43を、例えば視野角70度、フォーカスレンジ3-50mmの光学特性を有するものを採用するとともに前記カメラユニット40の端面の回りに発光素子24を配置し、かつその発光素子24には、発光素子用ケーブル25の一端が接続され、この発光素子用ケーブル25は前記信号ケーブル46とともにカメラケーブル23内に収納されて前記グリップ部2のコネクタ9に前記接続端部46aを含む接続端部23aを接続部10に接続することにより構成したカラーカメラモジュール21を使用するプローブ1の実施例を示すものである。
【0043】
そこで前記発光素子用ケーブル25と信号ケーブル46を含むカメラケーブル23は、グリップ部2の接続ケーブル12を介して外部ケーブル13によりプローブ1の外部に取り出して後述する駆動制御ユニット61に対してカメラユニット40の映像を伝送し、また、駆動制御ユニット61から供給される発光素子駆動電力をグリップ部2に導入した発光素子駆動ケーブル52から前記発光素子用ケーブル25に接点部を経て供給する構成を採用することができる。
【0044】
図4は、前記発光素子24の駆動回路を示すものであり、例えば8個の発光素子24を並列接続し、発光素子電源部63から前記発光素子用ケーブル25を経て供給される直流電圧を各発光素子24のアノード、カソード間に引加し、これらを点灯駆動するように構成している。
【0045】
次に、図5を参照して前記駆動制御ユニット61の概略構成について説明する。
前記駆動制御ユニット61は、前記プローブ1全体の動作制御を行う制御部62と、各発光素子24に駆動電圧(例えばDC3.3V)を供給する発光素子電源部63と、前記カメラユニット40からの画像信号を受信する画像信号受信部64と、受信した画像信号に基づき所要の診療部のカラー画像を生成するカラー画像生成部65と、生成したカラー画像を記憶する画像記憶部66と、前記プローブ1の動作に必要な各種操作ボタン等を搭載した操作パネル67と、を有している。
【0046】
さらに、本実施例2のプローブ1は、前記カメラユニット40により撮像し、カラー画像生成部65により生成したカラー画像を画面表示するカラー液晶ディスプレイ等からなるカラー画像表示部68を備えている。
また、当該カラー画像表示部68に表示するカメラユニット40による映像については、歯周部位の診察部位の映像をそのままの等倍の表示に加えてこれを映像視野上の必要部位のみを拡大して表示したり、あるいは必要な倍率による拡大映像を表示することができるように制御部62によって制御しつつ実施することができるように構成する。
【0047】
尚、あらかじめ拡大率を選定した映像、段階的な倍率の拡大映像や、診察の必要に応じた拡大映像あるいは必要部位の拡大映像を表示しつつ実施することができるように構成することが可能である。
また、前記カラー画像生成部65については、これを必要に応じてカラー画像以外の白黒画像を生成する画像生成部による実施も勿論可能である。
【0048】
以上の実施例1,2のプローブ1によれば、探針部3による所要の診療を、診療部を目視に加えて超小型カメラ4を介する表示部68の映像によって確認しつつ遂行することが可能となる。
すなわち、超小型カメラ4で歯周ポケットの近くから直接ポケット内を映像で見られるため、これまでは診察できなかった歯周軟組織内面や歯根面の病変を詳細に観察可能となり、各部、全体の充血、出血、炎症、変色などの病変の有無やその進行の様子を映像で正確に観察して適正な診断が可能となる。
【0049】
また、従来のカメラ無しプローブ1の探深部3による歯周ポケット深さの測定に際して、誤って歯石や異物などを底として測ってしまう誤りがあったが、この様な誤りを未然に防ぐことが可能となる。
【実施例3】
【0050】
図6は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例3を示すもので、前記実施例1,2のプローブ1の構成における前記グリップ部2内の接続ケーブル12と外部信号ケーブル13を介する接続構成に換えて、グリップ部2の外側に前記超小型カメラ4としてのカメラユニット40あるいはカラーカメラモジュール21を探針部3とグリップ部2の外側に添設することにより構成した場合を示すものである。
尚、図中60はプローブ、59は結束バンドを示すものである。
【実施例4】
【0051】
図7は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例4を示すもので、前記実施例1のプローブ1における超小型カメラ4のカメラユニット40に必要な照明手段となる照明用ファイバー70を添設することにより構成したものである。
そして、図中の71は照明用ファイバー70としてのロッドファイバーで、このロッドファイバー71は、カメラユニット40の信号ケーブル46とともに結束された元管ケーブル72を介して、当該元管ケーブル72の接続端部72aを前記グリップ部2のコネクタ9に対してコネクタ接続部10に接続され、かつ前記グリップ部2の接続ケーブル12により外部ケーブル13に接続されるとともに照明用ロッドファイバー71に対する発光素子(図示しない)の図示しない駆動電圧を介して前記図5の駆動制御ユニット61の発光素子電源部63および画像信号受信部64にそれぞれ接続することにより構成し、前記実施例2と同様に診療部位の映像を確認しつつ所要の診察を実施することができる。
尚、図中の元管ケーブル72は、信号ケーブル46用の分岐管73とロッドファイバー71の光束射出端71aの分岐管74とに分岐することにより構成されている。
【実施例5】
【0052】
図8(a)、(b)は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例5を示すもので実施例1のプローブ1において、特に歯牙とその周囲の歯肉との間に生じる歯周ポケットの深さを、患者に苦痛を与えることなく測定し、更に歯周ポケット内における歯根面の歯石や異物の存在、及びその付着位置を確認するという目的を、プローブの探針部にエア噴射ノズルを添設、あるいは探針自身を中空に形成してそれぞれの先端に有する噴射口から体温に近似した温度に加熱したエアを歯周ポケット内に噴射することができるように構成し、患者に苦痛を与えないで歯周ポケットを広げ、歯周ポケット内を診断することを実現せんとするものである。
【0053】
図8(a)に示す本実施例5のプローブ1は、探針部3にエア噴射手段50としてのエア噴射ノズル51を添設することにより構成する。そして前記エア噴射ノズル51は、先端にエア噴射口52を有するとともに探針部3の先端方向に添って曲折される分岐管53はカメラユニット40の信号ケーブル46の分岐管54とともに元管ケーブル55に接続され、元管ケーブル55の後端接続部55aが前記グリップ部2のコネクタ接続部10を介してコネクタ9に接続される。
また、図8(b)に示すようにグリップ部2の後端部2aには圧縮空気源57のエア供給管路7から圧縮空気を供給するエアチューブ56が接続部58を介して接続されている。
【0054】
また、プローブ1の撮像手段としてのカメラユニット40の信号ケーブルについては、前記エア噴射手段50のエア供給管路7の中空部分を介して配線することができる。
すなわち、外部信号ケーブル13はエアチューブ56,接続ケーブル12はエア供給管路7としてのグリップ部2の中空部11に内蔵される接続ケーブル12,信号ケーブル46は元管ケーブル55をそれぞれの中空部を介して配線することができる。
尚、配線した信号ケーブルによりエア供給に支障をきたすことがないように構成することは当然である。
【0055】
探針部3の曲折形状は基本的には1種類であるが、仮に多種類の形状であっても分岐管53は探針部先端方向に添わせ、かつエア噴射口52の位置を探針部3の先端よりやや上方、例えば5?10mm上方に位置するように設定することにより探針部3に添ってエアを噴射するコアンダ効果(物体表面に添って流体が流れる現象)が得られる。
【0056】
またプローブ1に接続された圧縮空気源57のエア供給管路7は図9に示すように、空気圧源57から供給される圧縮空気が手動弁86を開くことにより圧力制御弁87に送られ、所望の圧力に制御され、その圧力は圧力計88に表示される。更にエア噴射のON、OFF制御用フットスイッチ89の開閉によりエアはその先の流量制御コック90にて流量が制御され、その流量が流量計91に表示される。そしてこの構成の圧縮空気源57からのエア供給管路7はグリップ部2の後端部2aの接続部58を介してプローブ1に接続されている。プローブ1の先方には探針部3が設けられ、探針部3の先端方向に添って前記エア噴射ノズル51としての分岐管53が設けられている。
更に分岐管53にはエアの流量制御機構としてエアを逃がす開口部93が設けられていて、圧縮空気をエア噴射ノズル51のエア噴射口52から噴射する圧力が異常圧にならないようにこの開口部93にて異常圧を逃がす構成になっている。
【0057】
例えば、エア噴射口53が歯肉などの軟組織に接触し、または埋没してエア噴射口53が閉ざされ、エア供給管路7内が異常圧になったとしても開口部93にて異常圧が開放され歯周ポケット内には異常圧のエアが噴射されない。これにより軟組織内の気泡発生が防止することができる。なお開口部93の形状は円形に限らず楕円やその他の形状でもよく、その面積はエア噴射口52の面積に近似した値とすることが好ましい。なお開口部93の面積はエア噴射口52の面積より小さいとエアの放出量が減少し過ぎ、大きいと放出量が増大し過ぎる。また開口部93の面積がエア噴射口52の面積に近似していれば、通常のエア噴射中において開口部93からエアが漏れても漏れ量は微小であるので正常圧の噴射に支障はない。
【0058】
図10は、図9において圧縮空気源エア供給管路7にフットスイッチ89を設けたことに替えてプローブ1のグリップ部2にハンドスイッチ94を設けた例である。その他の構成は前記図9と同様であり、同様な効果を奏することができる。
図11は、図9において分岐管53に開口部93を設けたことに替えて、圧縮空気源57のエア供給管路7に圧力制御機構として安全弁95を設けた例である。その他の構成は図10と同様であり、同様な効果を奏することができる。
【0059】
図12は、図11において圧縮空気源エア供給管路7にフットスイッチ89を設けたことに替えてハンドスイッチ96をプローブ1のグリップ部2に設けた例であり、その他の構成は前記図11の構成と同様であり、同様な効果を奏することができる。
更に、上記に加えて、供給エアを体温に近似した温度に加熱する図示しない過熱制御機構を設けて、加熱されたエアを歯周ポケットに噴射する。
【0060】
以上に述べたプローブ1は、探針部3に添ってエアを噴射するエア噴射ノズル51を設けたことで、探針部3に添ってエアが噴射され、噴射されたエアは歯牙側面に沿って流れるコアンダ効果が得られるために、噴射エアにて歯周ポケットを開くこが可能になる。すなわちエアブローで開口したポケット内の歯石や異物を映像で確認しながらこれらを避けてプローブ1を底まで挿入できるのでポケット深さの誤測定防止が可能である。
更に流量制御機構にて噴射エアの圧を制御し、また噴射エアの温度を体温に近似した温度に制御して噴射することにより、診療時に温度差による違和感や疼痛を与えることなく歯周ポケットの深さを測定し、更に歯周ポケット内における歯根面の歯石や異物の存在、及びその付着位置を前記映像を介しつつ確認することが可能となる。
【実施例6】
【0061】
図13は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例6を示し、前記実施例1のプローブ1において、超小型カメラ4としてのカメラユニット40に対する照明手段を探針部3自体を光照射部材、例えば光透過が可能なポリカーボネート等の合成樹脂部材料にて形成するとともにグリップ部2の先端部2bには、探針部3のグリップ部2の装着部15と装着部3aの装着端3bに対向せしめて光照射手段、例えばLED49等を配設することにより構成したものである。
【0062】
尚、光照射手段としてのLED49の電源部(図示しない)との接続ケーブル49aは、グリップ部2の中空部11を介して外部の電源部に接続することができるように構成する。
その他の構成は、図1のプローブ1と同様の構成からなりその説明は省略し、図中の同一構成部分については図1と同一番号を付し説明は省略する。
【0063】
そして、従来と通常のプローブ1の使用において探針部3による歯周部の診察には、探針部3自体の照明手段を介して歯周診察部位を照射しつつ超小型カメラ4としてのカメラユニット40による同部位の表示部における映像を確認しながら診察を実施することができる。
【0064】
さらに当該実施例6は、実施例1のプローブ1に対する図1において説明したが、実施例5(図8)のプローブ1の探針部3について当該実施例を適用した実施も可能であるが、かかる実施例5に適用した図示による説明は省略するが当該実施例の作用効果を実施例5のプローブ1における作用効果に加えた実施が可能である。
【実施例7】
【0065】
図14は、本発明のカメラ付き歯科用プローブの実施例7を示し、前記実施例6のプローブ1について、実施例4のプローブ1における照明手段としての照明用ファーバー70を添設すると同時に実施例5のプローブ1におけるエアー噴出手段50としてのエア噴射ノズル(分岐管53)51を添設することにより構成したものである。
【0066】
すなわち、図14のプローブ1の要部において実施例5のプローブ1の構成をそのまま具備することに加えて実施例4の照明用ファイバー70を添設した実施例を具備するもので元管ケーブル55および分岐管54中およびグリップ部2の後端部2aの接続部58に接続されるエアーチューブ56並びにグリップ部2の中空部11を介して装入配設される照明用ファイバー70のロッドファイバー71の光束射出端71aを探針部3のカメラユニット40の添設配置との対応位置に添設することにより構成したものである。
【0067】
よって、当該実施例7は前記実施例4,5の構成を併せて備えたプローブ1であって、図14はその要部のみを示し、その他の構成については実施例4,5の図7?12の構成を具備するもので図と説明は省略する。
当該実施例7のカメラ付き歯周診察処置具のプローブ1によれば、実施例4,5の構成における作用効果による実施が可能である。
【実施例8】
【0068】
図15,16は、本発明のカメラ付き歯科用プローブとしてのプローブ1における撮像手段についての実施例8を示すものである。
【0069】
次に、図15、図16を参照して、前述してきた各実施例のカメラ付き歯周診察処置具としてのプローブ1のカメラユニット40の撮像手段について説明する。
この実施例においては、プローブ1におけるグリップ部2の後部内に図15に示すような前記カメラユニット40の信号出力ケーブル36に接続した例えばブルートゥス(Blutooth)規格(無線による通信プロトコルの一つ)の送信側のトランスミッター69aを内蔵し、また前記駆動制御ユニット61に例えばブルートゥス規格の受信側のトランスミッター69bを付加した構成とし、前記カメラユニット40により撮像した診察部のカラー画像信号を前記トランスミッター69aから前記トランスミッター69bに無線送信する構成としたものである。
【0070】
前記駆動制御ユニット61としては、プローブ1が接続されるコントロールユニットまたはブルートゥス規格のコンピュータ等の例を挙げることができる。
図15、図16の実施によれば、前記送信側のトランスミッター69aの駆動電圧として、前記発光素子24(例えば駆動電圧DC3.3V)の駆動電圧と等しい仕様のものを採用することにより、発光素子駆動ケーブル63aの2本の電線を利用して送信側のトランスミッター69aの電源配線を行うことができ、送信側のトランスミッター69a専用のケーブル配線を行う必要がなくなり、配線数の省略を図れるとともに、ケーブル断線という不都合な事態の発生を低減することができる。
【実施例9】
【0071】
図17は、カメラ付き歯周診察処置具の実施例9を示すものである。
そして、これまでの実施例1?8については本発明カメラ付き歯周診察処置具につき歯周診察処置のプローブについて適用した実施例を説明したのであるが、これを歯科用スケーラ、すなわち口腔内清掃および歯周治療時に歯の表面から歯石等の沈着物を除去するために用いる歯科手用器具としての歯科用スケーラに適用した実施例について説明する。
【0072】
図17に図示する歯科用スケーラ30は、実施例1の探針部3に替えて、グリップ部2の先端部2bにスケーラチップ部31を設けるとともに当該スケーラチップ部31に超小型カメラ4としてのカメラユニット40を添設することにより構成したものである。
尚、スケーラチップ部31の取付部31aをグリップ部2の先端部2bに固着する場合に加えてグリップ部2の先端部2bの装着部15に着脱自在に取り付けることも可能である。
そして、その他の構成は実施例1のプローブ1と同様の構成からなり、同一構成部分については同一番号を付しその説明を省略する。
【0073】
尚、カメラユニット40をスケーラチップ部31に添設するに当たっては、歯科用スケーラ30による歯周治療時の処置に支障をきたすことがないように、例えばスケーラチップ部31の先端より10mm近辺に位置せしめて配設するとともに、超小型カメラ4としてのカメラユニット40の画角の中にスケーラチップ部31の先端が映像として望まれる角度(例えば45°、90°等)にカメラユニット40を配設しつつ添設することが好適である。
【0074】
よって、実施例1のプローブ1と同様に歯科用スケーラ30を使用して歯周治療を行う際には、超小型カメラ4としてのカメラユニット40による映像を介して治療部位を確認しつつ処置することができる。
【0075】
尚、カメラユニット40による映像については実施例1のプローブ1による撮像手段と同様で、治療部位の照明手段についても、同様の方法により実施するもので、プローブ1の実施と同様である。
また、図17のグリップ部2の後端部2aの構成については、図1と同一であるので説明を省略する。
さらに、実施例2のカメラモジュール21による実施についても図3?図5による構成にて同様の実施が可能でその具体的な説明および図示を省略し、加えて実施例3の図6に図示のプローブ1に替えてこれを歯科用スケーラ(図示しない)を適用した同様の実施が可能であるが詳細な説明と図示は省略する。
【実施例10】
【0076】
図18は、カメラ付き歯周診察処置具の実施例10を示すものである。
前記実施例9においては、実施例1?3のプローブ1に替えて歯科用スケーラ30を適用した実施例を説明したのであるが、当該実施例10は前記プローブ1に対する実施例5の超小型カメラ4としてのカメラユニット40とエア噴射手段50を添設した実施例(図8?12に図示の実施例)、実施例7の超小型カメラ4としてのカメラユニット40と照明手段70を添設した実施例(図14に図示の実施例)、さらには実施例8の映像手段を適用した実施例を示すものである。
【0077】
尚、図18については前記実施例7のプローブ1の探針部3に対して超小型カメラ4としてのカメラユニット40とエア噴射手段50および照明手段70を添設した実施例7に替えてスケーラチップ部31に対してこれらのカメラユニット40,エア噴射手段50および照明手段70を添設した歯科用スケーラ30を示す実施例を図示するものである。
【0078】
従って、各部構成はそれらの実施例を示す符号を同一構成部分に付したもので、プローブ1の構成以外の構成説明は省略する。
【0079】
当該実施例10の図18に図示する歯科用スケーラ30により前記プローブ1の実施例7の作用効果による実施が可能で、歯科用スケーラ30による前記実施例9と同様の歯周部位の処置が実施できる。
【0080】
すなわち、歯科用スケーラ30による本来の口腔内清掃および歯周治療時に当たる歯の表面から歯石等の沈着物を除去する際に、その歯周治療部位の映像を確認しつつ処置することができ、作業性と的確性を向上することができる。
また、必要に応じてエア噴射手段70によりエア噴射ノズル51のエア噴射口52からエアブローを噴射しつつ必要な処置を実施することが可能である。
【0081】
さて、図18の歯科用スケーラ30の構成において、スケーラチップ部31に超小型カメラ4としてのカメラユニット40を添設するとともに当該カメラユニット40の照明用として照明手段70を添設した前記プローブ1に対する実施例4(図7に図示)の構成による実施が可能である。尚、当該実施例の具体的な図示と説明は省略する。
【0082】
そして、超小型カメラ4としてのカメラユニット40あるいはカメラモジュール21を添設することに加えてエア噴射手段50を添設した実施例5(図8?12に図示)の実施例も必要に応じて実施することが可能であるが具体的な図示と説明は省力する。さらに、図18のスケーラチップ部31が超音波スケーラやエアスケーラ(図示しない)による実施も可能である。
【0083】
そして、カメラユニット40による撮像手段については、前記プローブ1の実施例8(図15,16に図示)の撮像手段による実施が可能でこの実施例についても具体的な図示と説明は省略する。
【実施例11】
【0084】
図19は、カメラ付き歯周診察処置具の実施例11を示すものである。
当該実施例11は、前記プローブ1の実施例3(図6に図示)に対応する実施例で、特に超音波スケーラあるいはエアスケーラによる歯科用スケーラ32に適用した場合を示すものである。
【0085】
尚、図中4、40および21については前記プローブ1に添設した超小型カメラ4,カメラユニット40あるいはカラーカメラモジュール21をそれぞれ示し、具体的な説明は前記プローブ1における実施例と同様であるので具体的な図示と説明は省略する。
また、33はスケーラチップ部31およびエア噴射手段50、カメラユニット40あるいはカラーカメラモジュール21の制御手段としてのコントローラを示すものである。
【0086】
以上の実施例1?11は、カメラ付き歯周診察処置具としてプローブおよび歯科用スケーラに適用した場合について説明してきたのであるが、これ以外に歯科用貼薬針(歯周ポケット内の貼薬を行う器具)等に対する実施例も可能である。
また、カメラ付き歯周診察処置具における歯周部の診察または処置部の映像を介する診察または処置に際する超小型カメラについては、その視野角内に、探針先端部、スケーラチップ先端部、若しくは貼薬針先端部を患部と一緒に撮影し、表示部に表示することが望ましいが、患部のみを表示できるようにカメラを配置しつつ添設したり、視野角を定めつつ実施することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 プローブ
2 グリップ部
2a グリップ部後端部
2b グリップ部先端部
3 探針部
3a 装着部
3b 装着端
4 超小型カメラ
7 エア供給管路
9 コネクタ
10 コネクタ接続部
11 中空部
12 接続ケーブル
13 外部信号ケーブル
13a 接続端部
14 接続部
15 装着部
21 カラーカメラモジュール
23 カメラケーブル
24 発光素子
25 発光素子用ケーブル
30 歯科用スケーラ
31 スケーラチップ部
31a 取付部
32 歯科用スケーラ
33 コントローラ
40 カメラユニット
42 支持筒
43 集光レンズユニット
44 撮像部
45 カバー部材
46 信号ケーブル
46a 接続端部
47 支持基板
48 カラーイメージセンサ
49 LED
49a 接続ケーブル
50 エア噴射手段
51 エア噴射ノズル
52 エア噴射口
53 分岐管
54 分岐管
55 元管ケーブル
55a 後端接続部
56 エアチューブ
57 圧縮空気源
58 接続部
59 結束バンド
60 プローブ
61 駆動制御ユニット
62 制御部
63 発光素子電源部
63a 発光素子駆動ケーブル
64 画像信号受信部
65 カラー画像生成部
66 画像記憶部
67 操作パネル
68 カラー画像表示部
69a トランスミッター
69b トランスミッター
70 照明用ファイバー
71 ロッドファイバー
72 元管ケーブル
72a 接続端部
86 手動弁
87 圧力制御弁
88 圧力計
89 フットスイッチ
90 流量制御コック
91 流量計
93 開口部
94 ハンドスイッチ
95 安全弁
96 ハンドスイッチ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブによる診察を、超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、
前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項2】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に添設した超小型カメラによる歯周部の診察部の映像を介して、診察をすることができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像は、超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像であるとともに、
前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を設け、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項3】
前記超小型カメラに有線又は無線を介して接続されている表示部に表示される映像は、等倍あるいは等倍乃至所要の拡大倍率による拡大映像であることを特徴とする請求項1または2記載のカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項4】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項5】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部を照明する照明手段を添設し、さらに前記歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設することにより構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項6】
歯周部の深さの測定を行う探針部と、先端に前記探針部を有するグリップ部と、を備えた歯科用プローブの前記探針部に超小型カメラを添設するとともに前記探針部による歯周部の診察部にエアを噴射するエア噴射手段を添設し、かつ前記探針部を光照射部材にて形成し、さらに当該探針部自体を発光するための照明手段を備えることにより前記歯科用プローブの前記探針部の歯周部の診察を、
前記エア噴射と前記探針部自体の発光による照射にて診察部位を直接照射しつつ、前記小型カメラによる映像を介して診察することができるように構成したカメラ付き歯科用プローブにおいて、
前記超小型カメラの信号ケーブルは、少なくともその一部を前記エア噴射手段のエア供給管路の中空部分を介して配線して構成するとともに、
前記エア噴射手段は、先端部にエア噴射口を有するノズル部を設け、
前記ノズル部は前記探針部の軸方向に添って配置され、
前記エア噴射口は、前記探針部の外側及び先端よりやや上方に設けることにより、前記探針部に添ってエアが噴射するコアンダ効果を得ることができるように構成したことを特徴とするカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項7】
前記超小型カメラは、カメラユニットまたはカラーカメラモジュールを使用することにより構成したことを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項8】
前記歯科用プローブに備える探針部は、歯科用探針または歯周ポケット探針の探針(作業部)であることを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。
【請求項9】
前記超小型カメラによる歯周部の診察部の映像上の視野の拡大率は等倍あるいは等倍乃至所要の拡大率まで拡大することができるように構成したことを特徴とする請求項6記載のカメラ付き歯科用プローブ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-06-26 
出願番号 特願2012-286905(P2012-286905)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A61C)
P 1 651・ 121- YAA (A61C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今井 貞雄  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 井上 哲男
長屋 陽二郎
登録日 2017-09-29 
登録番号 特許第6213945号(P6213945)
権利者 株式会社吉田製作所
発明の名称 カメラ付き歯科用プローブ  
代理人 黒木 義樹  
代理人 荒井 寿王  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 奈良 武  
代理人 奈良 武  
代理人 ▲高▼口 誠  
代理人 阿部 寛  
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