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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 特29条の2  H01L
管理番号 1354096
異議申立番号 異議2018-700699  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-28 
確定日 2019-07-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6296177号発明「インジウムリン基板、およびインジウムリン基板の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6296177号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1ないし4について訂正することを認める。 特許第6296177号の請求項1,2及び4に係る特許を維持する。 特許第6296177号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6296177号(以下、その特許明細書を「本件明細書」という。)の請求項1ないし4に係る特許についての出願は,平成27年(2015年)12月7日(優先権主張 平成27年2月9日)を国際出願日とする特許出願であって,平成30年3月2日にその特許権の設定登録がされ,同年3月20日に特許掲載公報が発行された。その後,本件特許に対して2件の特許異議の申立てがあり,特許異議の申立ての経緯は,次のとおりである。
平成30年 8月28日 特許異議申立人 特許業務法人藤央特許事
務所(以下、単に「特許異議申立人」とい
う。)による請求項1及び2に係る特許に
対する特許異議の申立て(以下,その特許
異議の特許異議申立書を「特許異議申立書
1」という。)
平成30年 9月18日 特許異議申立人による請求項3及び4に係
る特許に対する特許異議の申立て(以下,
その特許異議の特許異議申立書を「特許異
議申立書2」という。)
平成30年12月26日付け 取消理由通知書
平成31年 3月 4日付け 特許権者による意見書及び訂正請求書の提

平成31年 4月 8日付け 特許異議申立人による意見書の提出(以下
,その意見書を「意見書1」という。)
平成31年 4月 9日付け 特許異議申立人による意見書の提出(以下
,その意見書を「意見書2」という。)

第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正の請求による訂正の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に,「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.2nm以上3nm以下であり、」と記載されているのを,「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、」と訂正する。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の【発明の名称】に記載された「インジウムリン基板、インジウムリン基板の検査方法、およびインジウムリン基板の製造方法」を「インジウムリン基板、およびインジウムリン基板の製造方法」に訂正する。

2 訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は,訂正前の特許請求の範囲の請求項3を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は,特許請求の範囲の請求項4に記載された「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.2nm以上3nm以下であり、」について,「平均値m2は0.2nm以上3nm以下であり」から「平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり」と変更するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,本件明細書段落【0035】に記載されているから,新規事項の追加に該当せず,「平均値m2」の数値範囲を狭めるものであるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は,上記訂正事項1に係る訂正に伴い,特許請求の範囲の記載と明細書の【発明の名称】の記載との整合を図るための訂正であるから,明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。

3 小括
以上のとおりであるから,訂正事項1ないし3による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって,明細書,特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正明細書,訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1ないし4について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された(ただし,請求項3は削除された。)請求項1,2および4に係る発明(以下,それぞれ「本件発明1」,「本件発明2」および「本件発明4」という。)は,訂正特許請求の範囲の請求項1,2および4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板であって、
前記第1の主面の中心における表面粗さRa1、ならびに前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は0.4nm以下であり、
前記表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下であり、
前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、
前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である、
インジウムリン基板。
【請求項2】
前記インジウムリン基板は、最大径が150mm以上である、
請求項1に記載のインジウムリン基板。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板の製造方法であって、
前記第1の主面の中心における表面粗さRa1、ならびに前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は0.4nm以下であり、
前記表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下であり、
前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、
前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下であり、
第1の主面および第2の主面を含むインジウムリンウエハを準備する工程と、
前記インジウムリンウエハの第1の主面および第2の主面を第1の研磨布を用いて両面研磨する工程と、
両面研磨した前記インジウムリンウエハの第1の主面を第2の研磨布を用いて片面仕上げ研磨する工程と、
片面仕上げ研磨した前記インジウムリンウエハを洗浄する工程とを備る、
インジウムリン基板の製造方法。」

第4 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし4に係る特許に対して,当審が平成30年12月26日に特許権者に通知した取消理由(以下,「取消理由」という。)の要旨は,次のとおりである。
(1)請求項1及び2並びに4に係る発明は,引用文献1に記載された発明に,引用文献2ないし8に記載された技術を組み合わせることにより,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)請求項3に係る発明は,引用文献3に記載された発明に,引用文献1に記載された技術を組み合わせることにより,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)よって,請求項1ないし4に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,取り消されるべきものである。

第5 引用文献,引用文献に記載された発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
取消理由で通知した特開2003-218033号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同じ。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板上にエピタキシャル層を成長させるエピタキシャル成長方法に関し、特に、エピタキシャル層表面への不純物の汚染を有効に防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、発光素子や受光素子等等の半導体素子の用途には、有機金属気相成長法(以下、MOVPE法と称する)によりInP基板上にInGaAs層またはInGaAsP層とInP層を順次エピタキシャル成長させたウェハが広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術により、InP基板上にInGaAs層とInP層を順次成長させた場合、InGaAs層またはInGaAsP層を成長させた後のInP層表面にクロスハッチと呼ばれる格子状欠陥が現れることがあった。そして、このクロスハッチは、半導体素子の素子特性を低下させる要因の一つとなるので好ましくない。本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、InP基板上にInGaAs層またはInGaAsP層と、InP層を順次エピタキシャル成長させる過程において、InP層表面にクロスハッチ等の欠陥が生じるのを効果的に防止できるエピタキシャル成長方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】以下に本発明を完成するに至った経緯について簡単に説明する。まず、本発明者等は、InP層表面にクロスハッチが発生したエピタキシャルウェハについて調査した。その結果、X線回折測定によりInPピーク近傍にAs汚染に伴うピークが観察されたことから、InP層中へのAs汚染が発生していることが分かった。これより、InP基板上にInGaAs層を成長させる際の原料ガスであるAsがInP層を成長させる際に取り込まれてInP層中にAs汚染が発生し、その結果、InP層の格子定数がAs汚染のないInP層の格子定数とは異ってしまうためにInP層表面にクロスハッチ状の欠陥が現れると考えた。
【0005】また、X線回折測定の結果、基板周縁部にいくに従ってAs汚染の程度は増加する傾向にあり、As汚染の程度によって基板周縁部のみにクロスハッチが発生する場合と、基板全面にクロスハッチが発生する場合があることがわかった。さらに、基板周縁部には応力緩和によるスリップ状欠陥やマイクロクラックの発生もあわせて起こる場合もあった。
【0006】そこで、本発明者等は、InP基板上にInGaAs層とInP層を順次エピタキシャル成長させた場合に、InP層にAs汚染が発生するメカニズムについて検討した。そして、得られたエピタキシャルウェハについて調査を行った結果、基板裏面がひどく荒れていることに気付いた。このことから、基板裏面の周縁部は基板の反りや面取加工のために基板支持具(基板支持台)との間に空隙が生じてしまい、この空隙にAsが回り込むことが推測できた。具体的には、InP基板上にInGaAs層を成長させる際に基板と基板支持具との間の空隙に原料ガスが回り込むと、基板裏面から揮発性元素であるPが抜ける一方、原料ガスであるAsの析出がおこり、その後InGaAs層上にInP層を成長させる際に前記析出したAsが再蒸発し、InP層に取り込まれてAs汚染が発生すると考えた。
【0007】以上の推論に基づいて検討した結果、本発明者等は半導体基板裏面へのガスの回り込みを抑制することにより、InP層中へのAs汚染を防止できるという知見を得て本発明を完成するに至った。」

「【0011】また、前記半導体基板と基板支持具との間に空隙が形成されなくする方法としては、前記基板支持具で前記半導体基板周縁部を挟持して、前記半導体基板と基板支持具との空隙を機械的になくす方法や、真空排気により前記半導体基板裏面と前記基板支持具との間の空隙を物理的になくす方法等が考えられる。さらに、半導体基板裏面の表面粗さや、基板支持具の半導体基板と接する面の表面粗さを小さくすることにより、密着性を良くするのも効果的である。」

「【0021】以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、前記半導体基板と基板支持具との間に空隙が形成されなくする方法として、真空排気により前記半導体基板裏面と前記基板支持具との間の空隙を物理的になくすようにしてもよい。さらに、半導体基板裏面の表面粗さや、基板支持具の半導体基板と接する面の表面粗さを小さくすることにより、密着性を良くするのも効果的である。また、本発明は、上記実施形態で説明したInP/InGaAs/InP構造をしたエピタキシャル層を形成する場合に限らず、InP/InGaAsP/InPの構造をしたエピタキシャル層を形成する場合にも適用できる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、半導体基板を基板支持具により保持させ、有機金属気相成長法により、前記半導体基板上に元素A,B,CまたはA,B,C,Dからなる第1の化合物半導体層を形成する工程と、次いで、元素A,Dからなる第2の化合物半導体層を形成するヘテロ接合形成工程と、を含むエピタキシャル成長方法において、裏面側の反りが20μm以下である半導体ウェハを前記半導体基板として用いることにより、前記半導体基板の裏面と基板支持具との間の空隙を小さく、望ましくは空隙が形成されないようにしたので、基板裏面側に原料ガスが回り込むのを抑制でき、As汚染によりエピタキシャルウェハにクロスハッチ等の欠陥が生じるのを防止できる。したがって、発光素子や受光素子等の半導体素子の用途に適したエピタキシャルウェハを製造することができるという効果を奏する。」

(2)引用発明
上記記載から,引用文献1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「InP基板上にInGaAs層をエピタキシャル成長させる過程において,
InP基板裏面へのガスの回り込みを抑制し,InP層中へのAs汚染を防止することを目的として,
InP基板裏面の表面粗さを小さくし,InP基板と基板支持具との密着性を良くした,
InP基板。」

2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
取消理由において引用した特開2007-103463号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、電子素子、半導体センサなどの半導体デバイスの基板などに用いられるGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶の表面を化学機械的にポリシングするためのポリシングスラリー、かかるポリシングスラリーを用いたGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶の表面処理方法、およびかかる表面処理方法により得られるGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶基板に関する。
【背景技術】
【0002】
GaAs結晶、InP結晶などのGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶(0≦x≦1、0≦y≦1)は、発光素子、電子素子、半導体センサなどの半導体デバイスの基板を形成するための材料として非常に有用なものである。
【0003】
かかる半導体デバイスの基板として用いられるGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶基板(0≦x≦1、0≦y≦1)は、Ga_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶の外周に形状形成加工を施した後に所定の厚さにスライスし、表面をグラインディング(研削、以下同じ)またはラッピングすることによって得られるが、かかるスライス、グラインディングまたはラッピングによって、Ga_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶の表面側領域に加工変質層(結晶表面の加工によって結晶の表面側領域に形成される結晶格子が乱れた層をいう、以下同じ)が形成され、またGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶の表面粗さが大きくなる。
【0004】
このGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶基板の加工変質層の厚さが大きくなるほど、またその表面粗さが大きくなるほど基板表面の品質が低下し、このGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶表面上にエピタキシャル成長させるIII-V族化合物結晶層の表面は凹凸が大きくなりまた結晶性が低下する。そのため、良質な半導体デバイスを形成することができない。
【0005】
このため、Ga_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶からGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶基板を形成する方法として、Ga_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶を所定の厚さにスライスし、表面をグラインディングまたはラッピングした後に、さらに表面を化学的機械的にポリシングすることにより、Ga_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶の加工変質層を除去し、表面粗さを低減することが広く行なわれていた。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高いポリシング速度で効率的にGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶に表面粗さの小さい結晶表面を形成することができるポリシングスラリー、かかるポリシングスラリーを用いたGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶の表面処理方法、およびかかる表面処理方法により得られるGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶基板を提供することを目的とする。」

「【0041】
(実施形態3)
本発明にかかるGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶基板(0≦x≦1、0≦y≦1)は、実施形態2の表面処理方法により得られたものである。実施形態2の表面処理方法により、効率よく表面粗さの小さいGa_(x)In_(1-x)As_(y)P_(1-y)結晶基板が得られる。ここで、表面粗さを示す指標としては、表面粗さRyと表面粗さRaがある。表面粗さRyとは、粗さ曲面から、その平均面の方向に基準面積として10μm角(10μm×10μm=100μm2、以下同じ)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均面から最も高い山頂までの高さと最も低い谷底までの深さとの和をいう。また、表面粗さRaとは、粗さ曲面から、その平均面の方向に基準面積として10μm角だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均面から測定曲面までの偏差の絶対値を合計してそれを基準面積で平均した値をいう。ここで、表面粗さRyおよびRaの測定は、AFM(原子間力顕微鏡、以下同じ)を用いて行なうことができる。」

「【0044】
(実施例1)
(A-1)GaAs結晶のラッピング
VB(垂直ブリッジマン)法により成長させたGaAs結晶を、(100)面に平行な面でスライスして、直径50mm×厚さ0.5mmのGaAs結晶基板を得た。このGaAs結晶基板の(100)面を以下のようにしてラッピングした。ラッピング装置に配置された直径300mmの定盤上にラッピングパッドを配置し、Al_(2)O_(3)砥粒が分散されたラッピングスラリーをラッピングパッドに供給しながら、結晶ホルダに固定されたGaAs結晶基板の(100)面を定盤に押し付けながら、定盤およびGaAs結晶基板を回転軸をずらして互いに回転させた。ここで、ラッピングパッドとしては、不織布パッド(ニッタ・ハース株式会社製Suba800)を用い、定盤としてはステンレス定盤を用いた。Al_(2)O_(3)砥粒は、砥粒径が10μm、5μm、2μmの3種類を準備し、ラッピングの進行とともに、砥粒径を段階的に小さくしていった。研磨圧力は4.9kPa(50g/cm^(2))?98kPa(1000g/cm^(2))とし、GaAs結晶基板および定盤の回転数はいずれも10回/min?200回/minとした。かかるラッピングによりGaAs結晶基板の表面は鏡面となった。このラッピング後のGaAs結晶基板の表面粗さRyは8.4nm、表面粗さRaは0.86nmであった。このラッピングにおける研磨時間は20minとした。平均ラッピング速度は1.6μm/minであった。」

「【0057】
(実施例8)
(B-1)InP結晶のラッピング
LEC(液体封止引き上げ)法により成長させたInP結晶を、(100)面に平行な面でスライスして、直径50mm×厚さ0.5mmのInP結晶基板を得た。このInP結晶基板の(100)面を、実施例1の(A-1)と同様にして、ラッピングした。
【0058】
(B-2)InP結晶の化学機械的ポリシング(CMP)
上記ラッピング後のInP結晶基板の(100)面を、1次粒子の平均粒径d1が90nm、2次粒子の平均粒径d_(2)が220nm、d_(2)/d_(1)比が2.4のコロイダルシリカ(SiO_(2))(扶桑化学工業株式会社製クォートロンPL10H)(SiO_(2)固形分24質量%)を水に希釈して、SiO_(2)固形分を10質量%とし、クエン酸および酸化剤であるトリクロロイソシアヌル酸(TCIA)を用いてポリシングスラリーのpHを4、ORPを1200mVに調整したポリシングスラリーを用いて、ポリシング圧力を29.4kPa(300g/cm^(2))、ポリシングパッドおよびInP結晶の回転数を50回/minとした以外は、実施例1と同様にして、InP結晶基板のCMPを行った。得られたInP結晶基板の表面粗さRyおよびRaを測定した。結果を表3にまとめた。
【0059】
(実施例9?11、比較例4?6)
上記(B-2)において、砥粒として表2に示す1次粒子の平均粒径d_(1)、2次粒子の平均粒子径d_(2)およびd_(2)/d_(1)比を有するコロイダルシリカ砥粒を含むポリシングスラリーを用いた以外は、実施例8と同様にして、InP結晶基板のラッピング、CMPを行なった。得られたInP結晶基板の表面粗さRyおよびRaを測定した。結果を表3にまとめた。」

「【0061】
【表3】


【0062】
比較例4?6に示すように、会合していない球形のコロイダルシリカ砥粒を含むポリシングスラリーを用いてポリシングすると、砥粒の粒径を大きくするほど、ポリシング速度が高くなるが、表面粗さRyおよびRaがいずれも大きくなり、InP結晶基板の表面品質が低下する。
【0063】
これに対し、実施例8?11に示すように、1次粒子(平均粒径d_(1))が会合した2次粒子(平均粒径d_(2))であり、d_(2)/d_(1)比が1.6以上10以下、d_(2)が30nm以上300nm以下であるコロイダルシリカ砥粒を含み、pHの値xとORPの値y(mV)とが-50x+1000≦y≦-50x+1900の関係を満たし、pHが5以下のポリシングスラリーを用いて、ポリシング圧力が29.4kPa(300g/cm^(2))、ポリシングパッドおよびInP結晶の回転数が50回/minの条件でCMPを行なうことにより、高いポリシング速度で表面粗さRyおよびRaが小さい表面を有するInP結晶基板が得られた。
【0064】
(実施例12?15)
表4に示すpH、ORPを有するポリシングスラリーを用いて、表4に示すポリシング圧力ならびにポリシングパッドおよびInP結晶の回転数の条件とした以外は、実施例8と同様にして、InP結晶基板のラッピング、CMPを行った。得られたInP結晶基板の表面粗さRyおよびRaを測定した。結果を表4にまとめた。」

「【0066】
【表4】


【0067】
実施例12?14に示すように、1次粒子(平均粒径d_(1))が会合して2次粒子(平均粒径d_(2))となり、比d_(2)/d_(1)が1.6以上10以下で、d_(2)が30nm以上300nm以上のコロイダルシリカ砥粒を含み、pHの値xとORPの値y(mV)とが-50x+1000≦y≦-50x+1900の関係を満たし、pHが5以下のポリシングスラリーを用いてCMPを行なうことにより、高いポリシング速度で表面粗さRyおよびRaが小さいInP結晶基板が得られた。さらに、実施例12、13に示すように、pH調整剤としてジカルボン酸またはその塩であるリンゴ酸またはリンゴ酸ナトリウムを含むポリシングスラリーを用いることにより、InP結晶基板のポリシング速度はさらに高くなった。」

(2)引用文献2記載事項
上記記載から,引用文献2には以下の事項(以下,「引用文献2記載事項1」および「引用文献2記載事項2」という。)が記載されている。

引用文献2記載事項1
「InP結晶基板の結晶表面上にエピタキシャル成長させるIII-V族化合物結晶層の結晶性が低下しないために,
InP結晶を、(100)面に平行な面でスライスし,このInP結晶基板の(100)面をラッピングし,化学機械的ポリシング(CMP)を行ったInP結晶基板について,
InP結晶基板の粗さ曲面から、その平均面の方向に基準面積として10μm角だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均面から測定曲面までの偏差の絶対値を合計してそれを基準面積で平均した値である表面粗さRaを0.14nmから0.32nmとすること。」

引用文献2記載事項2
「InP結晶基板をラッピングする際に,ラッピングパッドとして不織布パッド(ニッタ・ハース株式会社製Suba800)を用いること。」

3 引用文献3
(1)引用文献3の記載
取消理由において引用した特開2014-157979号公報(以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、III族窒化物複合基板およびその製造方法、積層III族窒化物複合基板、ならびにIII族窒化物半導体デバイスおよびその製造方法に関する。」

「【0019】
[実施形態1:III族窒化物複合基板]
図1を参照して、本発明の一実施形態であるIII族窒化物複合基板1は、支持基板11と、厚さが50nm以上10μm未満のIII族窒化物膜13と、が貼り合わされた直径が75mm以上のIII族窒化物複合基板1であって、支持基板11側の主面11nの二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)が0.3nm以上20nm以下であり、支持基板11側の主面11nの二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)に対する二乗平均平方根粗さの標準偏差s_(S)の比s_(S)/m_(S)が0.005以上0.4以下である。
【0020】
本実施形態のIII族窒化物複合基板1は、III族窒化物半導体デバイスを製造するためのIII族窒化物層の成長の際に主面上における温度の分布(すなわちバラツキ)が小さいため、結晶品質の高いIII族窒化物層を成長させることができ、このため高い歩留で高品質のIII族窒化物半導体デバイスを製造することができる。以下に、より詳しく説明する。
【0021】
図1および3を参照して、本実施形態のIII族窒化物複合基板1は、支持基板11上にIII族窒化物膜13が貼り合わされた構造を有しており、III族窒化物半導体デバイスを製造する際に、昇温装置を備えるサセプタ(図示せず)の主面にIII族窒化物複合基板1の裏面側に相当する支持基板11側の主面11nが対向するように配置して、III族窒化物複合基板1の表(おもて)面側に相当するIII族窒化物膜13側の主面13m上に少なくとも1層のIII族窒化物層20を成長させる。
【0022】
本実施形態のIII族窒化物複合基板1は、その直径が75mm以上であり、その支持基板11上に貼り合わされたIII族窒化物膜13の厚さが50nm以上10μm未満であり、支持基板11側の主面11nの二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)が0.3nm以上20nm以下で、支持基板11側の主面11nの二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)に対する二乗平均平方根粗さの標準偏差s_(S)の比s_(S)/m_(S)が0.005以上0.4以下であることから、昇温されたサセプタの主面から大口径のIII族窒化物複合基板1の裏面側である二乗平均平方根粗さの平均および分布が小さな支持基板11側の主面11nの全体に均一に熱が伝わるため、大口径のIII族窒化物複合基板1の全体が均一に加熱される。これにより、大口径のIII族窒化物複合基板1の表面側であるIII族窒化物膜13側の主面13m上における温度の分布が小さく均一になることから、大口径のIII族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13側の主面13m上に結晶品質が高く均一な大口径のIII族窒化物層20を成長させることができるため、特性の高いIII族窒化物半導体デバイスを歩留よく製造できる。」

「【0027】
(支持基板側の二乗平均平方根粗さ)
図1および2を参照して、本実施形態のIII族窒化物複合基板1は、支持基板11側の主面11nの二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)が0.3nm以上20nm以下であり、支持基板11側の主面11nの二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)に対する二乗平均平方根粗さの標準偏差s_(S)の比s_(S)/m_(S)が0.005以上0.4以下である。
【0028】
III族窒化物複合基板1の裏面側である支持基板11側の主面11nについて、III族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13側の主面13m上に結晶品質が高く均一なIII族窒化物層を成長させる観点から、その二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)は、20nm以下が必要であり、10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、その二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)に対するその二乗平均平方根粗さの標準偏差s_(S)の比s_(S)/m_(S)は、0.4以下が必要であり、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。
【0029】
また、III族窒化物複合基板1の裏面側である支持基板11側の主面11nについて、かかる主面11nの表面処理コストを抑制する観点から、その二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)は、0.3nm以上が必要であり、0.5nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましく、その二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)に対するその二乗平均平方根粗さの標準偏差s_(S)の比s_(S)/m_(S)は、0.005以上が必要であり、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。
【0030】
ここで、図2を参照して、III族窒化物複合基板1の支持基板11側の主面11nの二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)および標準偏差s_(S)は、それぞれ、支持基板11の主面11n上の13点の測定点Pにおいて測定した二乗平均平方根粗さから算出した平均値および標準偏差である。図2に示す支持基板11の主面11n上の13点の測定点Pは、支持基板11の直径の大小にかかわらず、1つの中心点P_(C)と、その中心点P_(C)から互いに直角な4方向上でかつ外縁から5mm内側にある4つの外側点P_(O)と、1つの中心点P_(C)と4つの外側点P_(O)との中間に位置する4つの点および4つの外側点P_(O)の互いの中間に位置する4つの点をあわせた8つの中間点P_(M)とで構成される。ここでいう標準偏差とは、不偏分散の正の平方根を意味する。
【0031】
また、図2に示す支持基板11の主面11n上の13点の測定点Pにおいて測定した二乗平均平方根粗さとは、その測定点Pを中心とする85μm×85μm角の大きさの測定領域内の各点から標準平面を算出し、基準平面からの各点までの距離の二乗の平均の正の平方根の値をいい、AFM(原子間力顕微鏡)、光干渉式粗さ計、レーザ顕微鏡、触針式粗さ計などにより測定される。」

【図1】

【図2】

(2)引用文献3記載事項
上記記載から,引用文献3には以下の事項(以下,「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。

「昇温装置を備えるサセプタの主面にIII族窒化物複合基板1の裏面側に相当する支持基板11側の主面11nが対向するように配置し,III族窒化物複合基板1の表(おもて)面側に相当するIII族窒化物膜13側の主面13m上に少なくとも1層のIII族窒化物層20を成長させる際に,
支持基板11の主面11nについて,支持基板11の主面11n上の1つの中心点P_(C)と,その中心点P_(C)から互いに直角な4方向上でかつ外縁から5mm内側にある4つの外側点P_(O)と,1つの中心点P_(C)と4つの外側点P_(O)との中間に位置する4つの点および4つの外側点P_(O)の互いの中間に位置する4つの点をあわせた8つの中間点P_(M)とで構成される13点の測定点Pの二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)を0.3nm以上20nm以下とし,二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)に対する二乗平均平方根粗さの標準偏差s_(S)の比s_(S)/m_(S)を0.005以上0.4以下とすることにより,
昇温されたサセプタの主面からIII族窒化物複合基板1の裏面側である二乗平均平方根粗さの平均および分布が小さな支持基板11側の主面11nの全体に均一に熱が伝わるようにし,III族窒化物複合基板1の全体が均一に加熱され,これにより,III族窒化物複合基板1の表面側であるIII族窒化物膜13側の主面13m上における温度の分布が小さく均一になり,III族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13側の主面13m上に結晶品質が高く均一なIII族窒化物層20を成長させることができること。」

4 引用文献4
(1)引用文献4の記載
取消理由において引用した特許第5370393号公報(以下,「引用文献4」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
・・・ 中 略 ・・・
【請求項7】
300cm^(-2)以上1000cm^(-2)未満の転位密度と1×10^(3)Ωcm以上の比抵抗と100mm以上で200mm以下の直径を有し、鉄がドープされていることを特徴とする半絶縁性リン化インジウム基板。
【請求項8】
鉄が1×10^(15)cm^(-3)以上添加されていることを特徴とする請求項7に記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
【請求項9】
150mm以上の直径を有することを特徴とする請求項7または8に記載の半絶縁性リン化インジウム基板。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)などの光電子分野やトランジスタなどの電子分野に利用されるGaAs、InP、GaP、InAs、GaSb、InSbなどのIII-V族化合物半導体単結晶、またはCdTeやZnSeなどのII-VI族化合物半導体単結晶の基板に関するものである。」

「【0047】
本発明では、融液を過冷却状態にしてリン化インジウム結晶を育成することにより、平均転位密度が1000cm^(-2)未満、さらに良好なものでは500cm^(-2)未満、最も良好なものでは300cm^(-2)未満の低転位密度で比抵抗が1×10^(3)Ωcm以上の鉄ドープ半絶縁性リン化インジウム基板を得ることができる。さらに、低転位密度化が困難な直径150mm以上さらには直径200mm以上の大口径基板においても、平均転位密度が1000cm^(-2)未満、さらに良好なものでは500cm^(-2)未満、最も良好なものでは300cm^(-2)未満の低転位密度で比抵抗が1×10^(3)Ωcm以上の鉄ドープ半絶縁性リン化インジウム基板を得ることができる。」

(2)上記記載から,引用文献4は以下の事項(以下,「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。

「半絶縁性リン化インジウム基板の直径を,150mm以上とすること。」

5 引用文献5
(1)引用文献5の記載
取消理由において引用した特開昭63-76413号公報(以下,「引用文献5」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「産業上の利用分野
本発明は,半導体ウエハ及びその製造方法に関するものであり,特には裏面に裏面識別用のエッチビット等のエッチングパターンを具備する両面鏡面研磨加工した半導体ウエハ及びその製造方法に関する。本発明は,Si,Geのような単体半導体,GaAs,InP,GaPのようなIII-V族化合物半導体,ZnSe,CdTaのようなII-V族化合物半導体を含めて半導体全般を対象とし,特に液相エピタキシャル成長用基板として使用される矩形ウェハの製造に有用である。」(第1頁右下欄14行乃至第2頁左上欄4行)

「本発明に従えば,半導体ウエハは,従来から実施されてきた単結晶インゴット製造工程,スライス工程,エツチング工程,ラッピング工程及びエツチング工程を経由した後、一次画面研磨により表裏両面を鏡面加工し,平行度及び平坦度を共に5μm以下,好ましくは1?3μmとし,続いて表裏識別を目的とするエツチングを行い,次いで表面を最終仕上げする二次片面研磨が行われ,そして洗浄・乾燥が実施される。矩形ウエハの製造の為には,この後矩形へき開工程が行われる。これら工程を70-として示すと次の通りとなる:
ラッピング工程

エツチング工程(ラッピングによる加工変質層の除去)

一次研磨工程(両面研磨))

エツチング工程(表裏識別パターンの形成)

二次研磨工程(片面研磨)

(矩形へき開工程)

半導体ウエハ」(第3頁左下欄10行乃至右下欄15行)

(2)上記記載から,引用文献5は以下の事項(以下,「引用文献5記載事項」という。)が記載されている。

「InP等からなる半導体ウエハを製造する際に,スライス工程を経た半導体ウエハに,ラッピング工程,エッチング工程,一次研磨工程(両面研磨),エッチング工程(表裏識別パターンの形成),二次研磨(片面研磨)を順に行うこと。」

6 引用文献6
(1)引用文献6の記載
取消理由において引用した特開2007-234952号公報(以下,「引用文献6」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は化合物半導体基板の表面処理方法、化合物半導体の製造方法、化合物半導体基板、および半導体ウエハに関し、より特定的には、表面の不純物濃度を低減できる化合物半導体基板の表面処理方法、化合物半導体の製造方法、化合物半導体基板、および半導体ウエハに関する。」

「【0094】
[実施例4]
本発明の化合物半導体基板の表面処理方法の効果を確認するべく、以下のような試料を準備して、試料表面の不純物(シリコン)濃度を測定した。
【0095】
(実施例4における試料の作製)
実施例3における試料は、基本的には実施例2と同様である。具体的には、基板準備工程(S10)では、引き上げ法で合成した6インチInP単結晶基板をGC砥粒を用いてワイヤーソースライスした。その後、基板の外周を面取りし、外周の方位を示す目印として、V型の切り欠きであるVノッチを加工した。この基板を平面研削機にて両面を研削したのち、コロイダルアルミナに酸化剤を添加した研磨剤を用いて両面研磨した。その後、片面を臭素-メタノール溶液にて研磨して水洗した。」

(2)上記記載から,引用文献6は以下の事項(以下,「引用文献6記載事項」という。)が記載されている。

「InP単結晶基板をGC砥粒を用いてワイヤーソースライスし,
基板の外周を面取りし,外周の方位を示す目印とし,
基板を平面研削機にて両面を研削したのち,コロイダルアルミナに酸化剤を添加した研磨剤を用いて両面研磨し,
片面を臭素-メタノール溶液にて研磨して水洗すること。」

7 引用文献7
(1)引用文献7の記載
取消理由において引用した特開2001-102337号公報(以下,「引用文献7」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体結晶ウエハの研磨方法及び半導体結晶ウエハに関するものである。」

「【0005】一般に、化合物半導体結晶ウエハは次のような手順で製造されている。
【0006】 化合物半導体結晶インゴットの製造
まず、化合物半導体結晶インゴットを結晶成長装置等により製造する。
【0007】 化合物半導体結晶インゴットのスライス
次に、その化合物半導体結晶インゴットをスライス装置によりスライスして化合物半導体結晶ウエハとする。
【0008】 化合物半導体結晶ウエハのラッピング研磨
次に、その化合物半導体結晶ウエハを#800?3000クラスの粗さのアルミナ砥粒系研磨剤を用いてラッピング研磨する。
【0009】このラッピング研磨ではソーマークを除去するように研磨し、その平坦性を高める。
【0010】 メカノケミカル研磨
次に、ラッピング研磨した化合物半導体結晶ウエハはメカノケミカル研磨を行い、鏡面とする。
【0011】このメカノケミカル研磨の研磨液としては次亜塩素酸系水溶液、次亜塩素酸水溶液と砥粒との混合液等を用いる。ここにおいて砥粒としてはシリカ、アルミナ、ジルコニア等が用いられる。
【0012】また、研磨布としては表面に多孔質層を有する布が用いられる。
【0013】さて、研磨布メーカより購入したままの研磨布はそのまま鏡面研磨に供せられない。これは化合物半導体結晶ウエハを研磨布メーカより購入したままの研磨布を用いて鏡面研磨したときには、得られる鏡面研磨化合物半導体結晶ウエハの高度な平坦度が出ないからである。
【0014】そこで研磨布メーカより購入した研磨布は、必ずドレッシングを行ってから鏡面研磨へ供せられるようになっている。
【0015】従来、この研磨布メーカより購入した研磨布のドレッシングは純水を流しながらナイロンブラシ、ダイヤモンドペレット等で擦ることにより行われていた。
【0016】このドレッシング効果は次のように説明される。
【0017】化合物半導体結晶ウエハを研磨布を介して研磨するときには、その用いる研磨布の全面に研磨液が浸透し、それにより化合物半導体結晶ウエハの表面を均一に研磨し、その結果化合物半導体結晶ウエハの平坦度を高めることができる。つまり前述した研磨布の表面多数の細孔のどれにも研磨液が均一に入れば、研磨する化合物半導体結晶ウエハを均一に研磨でき、それによって化合物半導体結晶ウエハの平坦度を高めることができるのである。」

「【0029】また、化合物半導体としては、III-V族あるいはII-VI族の化合物半導体を用いることができる。III-V族化合物半導体としては、例えば、GaAs、半絶縁性GaAs、InP等がある。」

(2)上記記載から,引用文献7は以下の事項(以下,「引用文献7記載事項」という。)が記載されている。

「ラッピング研磨したInP等の化合物半導体結晶ウエハに,メカノケミカル研磨を行う際に,研磨布として多孔質層を有する布を用いること。」

8 引用文献8
(1)引用文献8の記載
取消理由において引用した特開2003-257899号公報(以下,「引用文献8」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、傷のより少ない半導体ミラーウエハーを製造する方法に関する。ここでは半導体ウエハーというのはGaAsウエハー、InPウエハー、Siウエハーなど単体のバルク単結晶が得られる半導体のウエハーを意味する。バルク半導体単結晶は引き上げ法(Czochralski)やボート法(Bridgman)などで成長させる。軸方向が所望の方位になるように結晶成長させる。成長方位は種結晶によって与えることができる。」

「【0012】最終仕上げ面はデバイス作製面となるので無傷で凹凸がなく平滑であることが必要である。ここでは簡単に平坦平滑性ということにする。最終仕上げ面でない裏面はそれほど平坦平滑性が要求されない。最終仕上げ面でない面というと煩鎖であるから、ここでは「非仕上げ面」と呼ぶ。「最終仕上げ面」は単に「仕上げ面」ということもある。」

「【0030】図8は研削後のウエハーを示す。表面裏面の凹凸を誇張して示す。研削によって殆ど傷はなくなっている。あっても非仕上げ面にわずかな小さい傷Sがあるだけである。
【0031】次の研磨によってウエハーの両面を平坦平滑に研磨する。一次研磨は硬質の研磨布で、二次研磨は軟質の研磨布で行う。一次研磨は1?2μm/分の程度である。二次研磨は0.1μm?0.2μm/分である。図9は研磨後のウエハーの断面を示す。表面(最終仕上げ面)Mには全く傷もなく面粗度は小さい。裏面Kも面粗度は小さいが、たまに傷Sが残ることがある。しかし、それは非仕上げ面Kであるから差し支えないことである。」

(2)上記記載から,引用文献8は以下の事項(以下,「引用文献8記載事項1」及び「引用文献8記載事項2」という。)が記載されている。

引用文献8記載事項1
「傷のより少ないInPウエハーを得る際に,研削後のウエハーの両面を平坦平滑に研磨するために,硬質の研磨布を用いて一次研磨を行い,暗室の研磨布を用いて二次研磨を行うこと。」

引用文献8記載事項2
「InPウエハーのデバイス作製面となる最終仕上げ面は無傷で凹凸がなく平滑であることが必要であり,最終仕上げ面でない裏面はそれほど平坦平滑性が要求されないこと。」

9 甲第1号証
(1)甲第1号証の記載
異議申立書1及び2において引用された特許第3456254号公報(以下,「甲第1号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【産業上の利用分野】InP結晶を基板としたヘテロ接合ホール素子、特にGaInAsとのヘテロ接合からなるGaInAsヘテロ接合ホール素子に関する。」

「【0005】また、基板として使用されるInP結晶の表面、即ち緩衝層や感磁層を堆積する側の結晶表面は、平坦性に優れた成長層を得るために、平坦に精密研磨されている。一方InP基板結晶の裏面側は、通常は表面側程平滑には研磨を施されてはいない。一般的には研磨粉によるラッピング後、エッチング処理する程度の加工に留まっている。一般に両面研磨と称して表裏面共に鏡面状の加工を施す場合もあるが、この場合にあっても加工時の基板結晶のハンドリングの関係で表裏面共に同一の粗度とすることはない。両面研磨の場合は、粗さの少ない側の面を表面として利用し、エピタキシャル層を堆積させている。」

(2)上記記載から,甲第1号証には以下の発明が記載されている。

「InP基板結晶の緩衝層や感磁層を堆積する側の結晶表面は、平坦性に優れた成長層を得るために、平坦に精密研磨され,
InP基板結晶の裏面側は、表面側程平滑には研磨を施されてはいない,
InP基板結晶。」

10 甲第7号証
異議申立書1及び2において引用された特願2013-267248号(特開2015-126003号公報)(以下,「甲第7号証」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体ウェハの製造方法に関する。」

「【0010】
したがって、本発明は、能動層の表面に異常が発生しにくい化合物半導体ウェハを製造することができる化合物半導体ウェハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、下記の[1]?[5]を提供する。
[1]化合物半導体から形成されたインゴットからウェハを切り出す工程と、
前記ウェハにラップ処理を施す工程と、
前記ラップ処理が施された前記ウェハを、エキポシ樹脂を含む材料から形成されたキャリアの開口部内に配置して前記ウェハの両面に化学的機械研磨を施す第1の研磨工程と、
前記第1の研磨工程で前記ウェハの前記キャリアと接触する面に付着した付着物をエッチングにより取り除く工程と、
前記付着物を取り除く工程の後、前記ウェハの片面又は両面に化学的機械研磨を施す第2の研磨工程と、
を含む化合物半導体ウェハの製造方法。
[2]前記付着物を取り除く工程は、前記ウェハをエッチング槽の中で周方向に回転させながら前記ウェハをエッチングする、
前記[1]に記載の化合物半導体ウェハの製造方法。
[3]前記付着物を取り除く工程は、アンモニア水、過酸化水素水及び水を混合させたエッチャントを用いる、
[1]又は[2]に記載の化合物半導体ウェハの製造方法。
[4]前記付着物を取り除く工程は、硫酸、過酸化水素水及び水を混合させたエッチャントを用いる、
前記[1]又は[2]に記載の化合物半導体ウェハの製造方法。
[5]前記化合物半導体は、GaAsである、
前記[1]から[4]のいずれかに記載の化合物半導体ウェハの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、能動層の表面に異常が発生しにくい化合物半導体ウェハを製造することができる。」

「【0016】
まず、図1に示すインゴットを作製する工程(S1)において、化合物半導体の一例であるGaAs単結晶から形成されたインゴットを引き上げ法、ボート法等により作製する。」

「【0019】
次に、第1の研磨工程(S4)において、ウェハの両面を研磨する。図2は、第1の研磨工程で用いる両面研磨機の要部を示す斜視図である。図3は、第1の研磨工程で用いるキャリアを示す平面図である。図4は、第1の研磨工程後、エッチング工程前のウェハの周面を拡大した写真である。図5は、ウェハを両面研磨するときのウェハとキャリアとの関係を示す模式図である。」

「【0022】
キャリア10は、エキポシ樹脂を含む材料、例えばガラス繊維、アラミド繊維又はテトロン繊維により補強されたエキポシ樹脂を用いることができる。両面研磨機1によりウェハ20を研磨布で挟んだ状態でキャリア10をウェハ20の周方向に自転及び公転させることにより、ウェハ20がキャリア10の回転に伴って回転してウェハ20の両面が研磨される。研磨されたウェハは、両面が中心線平均粗さ(Ra)が2?3nmの範囲の鏡面になる。なお、符号12、符号13は、それぞれ孔、アウタギアである。」

「【0026】
次に、第2の研磨工程(S6)において、片面研磨機を用いてウェハの片面を研磨する。この工程は、研磨液として次亜塩素酸水溶液、研磨布としてスウェード系研磨布を用いたメカノケミカル研磨により行う。研磨されたウェハは、表面が中心線平均粗さ(Ra)が0.2?0.4nmの範囲の鏡面になる。なお、第2の研磨工程において、ウェハの両面を研磨してもよい。」

「【0028】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ウェハの両面を研磨した後にウェハをエッチングすることにより、両面研磨したときウェハの周面に付着した付着物を除去することができる。これにより、完成した化合物半導体ウェハに能動層を形成するとき、付着物が能動層の成長を阻害することを少なくすることができる。
(2)ウェハをエッチング槽内で周方向に回転させながらエッチングすることにより、ウェハの表面を均一にエッチングすることができる。これにより、ウェハの周面に付着した付着物を除去するとともに、ウェハ主面の変形を抑制することができる。
(3)両面研磨した後のウェハにアンモニア水又は硫酸と、過酸化水素水と、超純水とを混合させたエッチャントを用いたエッチングを施し、ウェハごと削り取ることにより、ウェハの周面に付着した付着物を除去することができる。」

「【0043】
[他の実施の形態]
なお、本発明の実施の形態及び実施例は、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々に変形、実施が可能である。例えば、本発明は、GaAsの他、AlGaAs、GaP、InP、GaN、AlN、InN等の化合物半導体に適用することができる。」

(2)上記記載から,甲第7号証には以下の発明が記載されている。

「両面を研磨することにより,一方の面を中心線平均粗さ(Ra)が2?3nmの範囲の鏡面とし,
さらに,片面研磨をすることにより,他方の面を中心線平均粗さ(Ra)が0.2?0.4nmの範囲の鏡面とした,
InPウェハ。」

第6 当審の判断
1 取消理由について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「InP基板」,「InP基板」の「InGaAs層をエピタキシャル成長させる」面,「InP基板裏面」は,それぞれ,本件発明1「インジウムリン基板」,「第1の主面」,「第2の主面」に相当する。
(イ)そうすると,本件発明1と引用発明とは以下の点で一致し,又相違する。
[一致点]
「第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板。」

[相違点1]
本件発明1が,「前記第1の主面の中心における表面粗さRa1、ならびに前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は0.4nm以下」であるのに対して,引用発明は,「InGaAs層をエピタキシャル成長させる」面の表面粗さについて具体的に記載されていない点。
[相違点2]
本件発明1が,「前記表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下」であるのに対して,引用発明は,「InGaAs層をエピタキシャル成長させる」面の表面粗さと標準偏差の関係について具体的に記載されていない点。
[相違点3]
本件発明1が,「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下」であるのに対して,引用発明は,「InP基板裏面」の表面粗さについて具体的に記載されていない点。
[相違点4]
本件発明1が,「前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下」であるのに対して,引用発明は,「InP基板裏面」の表面粗さと標準偏差の関係について具体的に記載されていない点。

イ 相違点についての当審判断
(ア)[相違点3]及び[相違点4]について
引用発明は,InP基板裏面へのガスの回り込みを抑制し,InP層中へのAs汚染を防止することを目的として,InP基板裏面の表面粗さを小さくし,InP基板と基板支持具との密着性を良くするものであるが,取消理由で通知した各引用文献には,InP層中へのAs汚染を防止することを目的として,InP基板裏面の表面粗さを小さくし,InP基板と基板支持具との密着性を良くするために,InP基板裏面の表面粗さや,表面粗さと標準偏差の関係について具体的に記載したものはない。
なお,引用文献3記載事項にあるように,引用文献3には,基板の裏面の表面粗さ,表面粗さと標準偏差の関係を,それぞれ,平均値m_(S)を0.3nm以上20nm以下とし,二乗平均平方根粗さの平均値m_(S)に対する二乗平均平方根粗さの標準偏差s_(S)の比s_(S)/m_(S)を0.005以上0.4以下とすることが記載されているものの,この構成は,「昇温されたサセプタの主面からIII族窒化物複合基板1の裏面側である二乗平均平方根粗さの平均および分布が小さな支持基板11側の主面11nの全体に均一に熱が伝わるようにし,III族窒化物複合基板1の全体が均一に加熱され,これにより,III族窒化物複合基板1の表面側であるIII族窒化物膜13側の主面13m上における温度の分布が小さく均一になり,III族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13側の主面13m上に結晶品質が高く均一なIII族窒化物層20を成長させること」を目的としており,InP基板裏面へのガスの回り込みを抑制することを目的とはしていない。
そして,本件特許の優先権主張日前に,InP基板裏面へのガスの回り込みを抑制することに対して,InP基板裏面の表面粗さや,表面粗さと標準偏差の関係についてどのような範囲にすることが適切であるかについては明らかになっていないのだから,InP基板裏面へのガスの回り込みを抑制する引用発明に対して,InP基板裏面へのガスの回り込みを抑制できるかが明らかとなっていない引用文献3記載事項の表面粗さや,表面粗さと標準偏差の関係を採用することには,動機付けがない。
加えて,引用発明はInP基板を対象としており,支持基板11とIII族窒化物膜13を貼り合わせたIII族窒化物複合基板1を対象とする引用文献3記載事項を適用することにも,動機づけがあるとはいえない。
そうすると,引用発明及び引用文献2ないし8に記載された事項から,当業者が[相違点3]及び[相違点4]に記載された構成を容易になし得たとはいえない。
(イ)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は,意見書1及び2において,[相違点3]及び[相違点4]について,基板表面の粗さの平均値に対する標準偏差の比がs_(S)/m_(S)を0.005以上0.4以下の範囲内において,熱伝導性が向上することは公知であり,表面加工性と熱伝導性に関する公知技術に基づいて,本件発明1における表面粗さと表面粗さと標準偏差との関係を[相違点3]及び[相違点4]の関係とすることに格別の創作性を有するものであるとはいえない旨主張している。
しかしながら,上記(ア)で述べたように,引用発明のInP基板裏面の表面粗さを小さくすることは,InP基板裏面へのガスの回り込みを抑制することを目的としており,引用文献3記載事項の「昇温されたサセプタの主面からIII族窒化物複合基板1の裏面側である二乗平均平方根粗さの平均および分布が小さな支持基板11側の主面11nの全体に均一に熱が伝わるようにし,III族窒化物複合基板1の全体が均一に加熱され,これにより,III族窒化物複合基板1の表面側であるIII族窒化物膜13側の主面13m上における温度の分布が小さく均一になり,III族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13側の主面13m上に結晶品質が高く均一なIII族窒化物層20を成長させることができること」を目的とした引用文献3記載事項を適用することには,動機づけがない。
そうすると,特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。

ウ 本件発明1についてのまとめ
そうすると,他の相違点について検討するまでもなく,本件発明1は,引用発明及び引用文献2ないし8に記載された事項から,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって,取消理由により,請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

(2)本件発明2について
本件発明2は,本件発明1に対して,さらに,「前記インジウムリン基板は、最大径が150mm以上である」という技術的事項を追加したものである。よって,上記(1)に示した理由と同様の理由により,本件発明2は,引用発明及び引用文献2ないし8に記載された事項から,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって,取消理由により,請求項2に係る特許を取り消すことはできない。

(3)本件発明4について
本件発明4は,本件発明1の技術的事項を全て備える「インジウムリン基板」の製造方法であって,「第1の主面および第2の主面を含むインジウムリンウエハを準備する工程と、前記インジウムリンウエハの第1の主面および第2の主面を第1の研磨布を用いて両面研磨する工程と、両面研磨した前記インジウムリンウエハの第1の主面を第2の研磨布を用いて片面仕上げ研磨する工程と、片面仕上げ研磨した前記インジウムリンウエハを洗浄する工程とを備える」「インジウムリン基板の製造方法」である。
そして,上記(1)で示したように,本件発明1が引用発明及び引用文献2ないし8に記載された事項から,当業者が容易に発明をすることができたものではないと同様の理由により,本件発明4は,引用発明及び引用文献2ないし8に記載された事項から,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって,取消理由により,請求項4に係る特許を取り消すことはできない。

2 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第29条の2について
ア 本件発明1について
特許異議申立人は,特許異議申立書1において,本件発明1について,甲第7号証(特願2013-267248号(特開2015-126003号公報))に記載された発明と同一である旨主張している。
しかしながら,甲第7号証には,本件発明1の「前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である」ことは,記載されておらす,又自明の事項であるともいえないから,本件発明1が甲第7号証に記載された発明と同一であるとはいえない。

イ 本件発明4について
特許異議申立人は,特許異議申立書2において,本件発明4について,甲第7号証に記載された発明と同一である旨主張している。
しかしながら,甲第7号証には,本件発明4の「前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である」ことは,記載されておらす,又自明の事項であるともいえないから,本件発明4が甲第7号証に記載された発明と同一であるとはいえない。

(2)特許法第29条第2項について
ア 本件発明1について
特許異議申立人は,特許異議申立書1において,本件発明1について,甲第1号証(特許第3456254号公報)に記載された発明及び引用文献2(特開2007-103463号公報),引用文献1(特開2003-218033号公報),引用文献7(特開2001-102337号公報)に記載された事項から容易想到である旨主張している。
また,特許異議申立人は,特許異議申立書1において,本件発明1について,引用文献8(特開2003-257899号公報)に記載された発明及び引用文献2,引用文献1,引用文献7に記載された事項から容易想到である旨主張している。
しかしながら,甲第1号証並びに引用文献1,2,7,8には,「第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板」において,「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である」ことは記載されておらず,又「上記のインジウムリン基板は、第2の主面の表面粗さの平均値が小さく、第2の主面の全面にわたって表面粗さのばらつきが小さいため、基板の第1の主面上にエピタキシャル膜を形成する工程において、基板を支持するサセプタと基板の第2の主面との接触状態が局所的に変わることを抑制できる。このため、当該接触状態の変化に伴って基板の温度分布が偏るといった問題の発生を抑制でき、結果的に膜質の優れたエピタキシャル膜を形成できる。」(本件明細書【0017】)点についても記載も示唆もされていない。
そうすると,甲第1号証に記載された発明及び引用文献8に記載された発明において,「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下」とすることが容易であるとはいえない。
してみると,本件発明1は,甲第1号証に記載された発明及び引用文献1,2,7に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものでなく,引用文献8に記載された発明及び引用文献1,2,7に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものでない。

イ 本件発明2について
特許異議申立人は,特許異議申立書1において,本件発明2について,甲第1号証に記載された発明及び引用文献2,引用文献1,引用文献7,引用文献4(特許第5370393号公報)に記載された事項から容易想到である旨主張し,また,本件発明2について,引用文献8に記載された発明及び引用文献2,引用文献1,引用文献7,引用文献4に記載された事項から容易想到である旨主張している。
しかしながら,引用文献4には,甲第1号証並びに引用文献1,2,7,8と同様に,「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である」ことは記載されておらず,又「上記のインジウムリン基板は、第2の主面の表面粗さの平均値が小さく、第2の主面の全面にわたって表面粗さのばらつきが小さいため、基板の第1の主面上にエピタキシャル膜を形成する工程において、基板を支持するサセプタと基板の第2の主面との接触状態が局所的に変わることを抑制できる。このため、当該接触状態の変化に伴って基板の温度分布が偏るといった問題の発生を抑制でき、結果的に膜質の優れたエピタキシャル膜を形成できる。」(本件明細書【0017】)点についても記載も示唆もされていない。
そすると,上記アと同様の理由により,本件発明2は,甲第1号証及び引用文献1,2,4,7に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものでなく,引用文献8に記載された発明及び引用文献1,2,4,7に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものでない。

ウ 本件発明4について
特許異議申立人は,特許異議申立書2において,本件発明4について,甲第1号証に記載された発明及び引用文献2,引用文献1,引用文献7に記載された事項から容易想到である旨主張している。
また,特許異議申立人は,特許異議申立書2において,本件発明4について,引用文献8に記載された発明及び引用文献2,引用文献1,引用文献7に記載された事項から容易想到である旨主張している。
しかしながら,甲第1号証並びに引用文献1,2,7,8には,「第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板」において,「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である」ことは記載されておらず,又「上記のインジウムリン基板は、第2の主面の表面粗さの平均値が小さく、第2の主面の全面にわたって表面粗さのばらつきが小さいため、基板の第1の主面上にエピタキシャル膜を形成する工程において、基板を支持するサセプタと基板の第2の主面との接触状態が局所的に変わることを抑制できる。このため、当該接触状態の変化に伴って基板の温度分布が偏るといった問題の発生を抑制でき、結果的に膜質の優れたエピタキシャル膜を形成できる。」(本件明細書【0017】)点についても記載も示唆もされていない。
そうすると,甲第1号証に記載された発明及び引用文献8に記載された発明において,「前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下」とすることが容易であるとはいえない。
してみると,本件発明4は,甲第1号証に記載された発明及び引用文献1,2,7に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものでなく,引用文献8に記載された発明及び引用文献1,2,7に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものでない。

第7 むすび
したがって,取消理由通知書に記載した取消理由又は特許異議申立書1及び2に記載された特許異議の申立の理由によっては,請求項1,2及び4に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1,2及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項3に係る特許は,上記のとおり訂正により,削除されたため,請求項3に対して,特許異議申立人による特許異議の申立については,対象となる請求項が存在しない。
よって,結論の通り決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
インジウムリン基板、およびインジウムリン基板の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、インジウムリン基板、インジウムリン基板の検査方法、およびインジウムリン基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インジウムリン(InP)基板は、発光する特性を持っていること、電子の移動速度が速いことなどにより、半導体レーザ、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)、あるいは高速デバイスなどに広く用いられている。半導体レーザおよびLEDでは、InP基板上にエピタキシャル膜を形成した後にPL強度を測定することで、簡易的に発光性能を検査することができる。このPL発光強度は強い方がよい。また、高速デバイスでは、InP基板とエピタキシャル膜との界面の不純物によるリークが問題になるので、界面にn型もしくはp型の不純物が少ない方が電気特性が安定する。
【0003】
特許文献1(特開2007-311490号公報)には、化合物半導体基板の表面粗さRmsを0.2nm以下にすることにより、化合物半導体基板の表面の不純物を低減するする技術が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開2010-248050号公報)には、インジウムリン基板を硫酸過水およびリン酸で洗浄することにより、基板表面の不純物濃度を低減し、基板上にエピタキシャル層を成形した場合に、PL特性および電気特性が悪化することを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-311490号公報
【特許文献2】特開2010-248050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1(特開2007-311490号公報)の技術は、化合物半導体基板の表面粗さを規定するが、表面粗さの面内バラツキについて規定していない。したがって、化合物半導体基板の表面積が大きく、表面粗さに面内ばらつきがある場合、基板の表面の不純物濃度を一律に低減することができない。
【0007】
特許文献2(特開2010-248050号公報)の技術は、基板表面の不純物濃度を低減するために、洗浄条件を規定している。基板表面の不純物濃度は、基板の表面粗さにも関係し、基板の表面粗さは、基板の研磨条件の影響を受ける。しかし、特許文献2(特開2010-248050号公報)には、基板の研磨条件により基板の表面粗さを制御することについては開示されていない。
【0008】
本発明は、基板の表裏面粗さが制御され、基板上に成長させるエピタキシャル膜の均一性を良好にし、該エピタキシャル膜を用いたエピタキシャルウエハのPL特性を向上させることのできるインジウムリン基板、ならびに、インジウムリン基板の検査方法、およびインジウムリン基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るインジウムリン基板は、(1)第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板であって、前記第1の主面の中心における表面粗さRa1、ならびに前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は0.4nm以下であり、前記表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下であり、前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.2nm以上3nm以下であり、前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である、インジウムリン基板である。
【0010】
(2)前記インジウムリン基板は、最大径が150mm以上であることが好ましい。
(3)本発明の一態様に係るインジウムリン基板の検査方法は、前記インジウムリン基板の主面の中心、および、主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所において、1μm四方の視野で、0.4nmのピッチで、原子間力顕微鏡を用いてインジウムリン基板の表面粗さを測定する工程を含む、インジウムリン基板の検査方法である。
【0011】
(4)本発明の一態様に係るインジウムリン基板の製造方法は、上記(1)または(2)に記載のインジウムリン基板の製造方法であって、第1の主面および第2の主面を含むインジウムリンウエハを準備する工程と、前記インジウムリンウエハの第1の主面および第2の主面を第1の研磨布を用いて両面研磨する工程と、前記両面研磨したインジウムリンウエハの第1の主面を第2の研磨布を用いて片面仕上げ研磨する工程と、前記片面仕上げ研磨したインジウムリンウエハを洗浄する工程とを備える、インジウムリン基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
上記態様によれば、基板の表裏面粗さが制御され、基板上に成長させるエピタキシャル膜の均一性を良好にし、該エピタキシャル膜を用いたエピタキシャルウエハのPL特性を向上させることのできるインジウムリン基板、ならびに、インジウムリン基板の検査方法、およびインジウムリン基板の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一態様にかかるインジウムリン基板を示す斜視模式図である。
【図2】図1のインジウムリン基板をA-A線で切断した断面図である。
【図3】本発明の一態様にかかるインジウムリン基板を第1の主面側から見た平面図である。
【図4】本発明の一態様にかかるインジウムリン基板を第2の主面側から見た平面図である。
【図5】本発明の一態様にかかるインジウムリン基板の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】(a)は両面研磨装置の概略図である。(b)はインジウムリンウエハを設置したウエハキャリアの概略平面図である。
【図7】片面研磨装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。本明細書中においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また、負の指数については、結晶学上、“-”(バー)を数字の上につけることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。
【0015】
本発明の一態様に係るインジウムリン基板は、(1)第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板であって、前記第1の主面の中心における表面粗さRa1、ならびに前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は0.4nm以下であり、前記表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下であり、前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.2nm以上3nm以下であり、前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である、インジウムリン基板である。ここで、前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所とは、前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所であって、オリエンテーションフラット方向(結晶の主面を(100)とした場合、[0-1-1]方向)を基準にして、90°の間隔で配置される4箇所を意味する。
【0016】
上記のインジウムリン基板は、第1の主面の表面粗さの平均値が小さく、第1の主面の全面にわたって表面粗さのばらつきが小さいため、基板の第1の主面の表面粗さが制御され、第1の主面上に成長させるエピタキシャル膜の均一性を良好にし、該エピタキシャル膜のPL特性を向上させることができる。
【0017】
上記のインジウムリン基板は、第2の主面の表面粗さの平均値が小さく、第2の主面の全面にわたって表面粗さのばらつきが小さいため、基板の第1の主面上にエピタキシャル膜を形成する工程において、基板を支持するサセプタと基板の第2の主面との接触状態が局所的に変わることを抑制できる。このため、当該接触状態の変化に伴って基板の温度分布が偏るといった問題の発生を抑制でき、結果的に膜質の優れたエピタキシャル膜を形成できる。
【0018】
(2)前記インジウムリン基板は、最大径が150mm以上であることが好ましい。
上記(1)のインジウムリン基板は、第1の主面および第2の主面の表面粗さが、主面全体にわたって制御されているため、最大径が150mm以上の大口径基板であっても、基板表面に均一なエピタキシャル膜を形成できる。また、このようにすれば、大面積の基板を用いることで当該基板に形成できる半導体素子(チップ)の数を増加させることができる。この結果、半導体素子を形成する工程(デバイス工程)での製造コストを低減できるとともに、生産性を改善できる。
【0019】
本発明の一態様に係るインジウムリン基板の検査方法は、(3)前記インジウムリン基板の主面の中心、および、主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所において、1μm四方の視野で、0.4nmのピッチで、原子間力顕微鏡を用いてインジウムリン基板の表面粗さを測定する工程を含む、インジウムリン基板の検査方法である。
【0020】
原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて、0.4nmのピッチで表面粗さを測定することによって、原子オーダーでの凹凸を確実に検出できる。さらに、表面粗さを主面の中心および外縁部4箇所の合計5か所において測定することにより、基板主面の全体における表面粗さのばらつきを算出できる。これにより、主面上にエピタキシャル膜を均一に形成できる基板を選別できる。また、既存のAFMを用いることによって、選別のコストを低減できる。
【0021】
本発明の一態様に係るインジウムリン基板の製造方法は、(4)上記(1)または(2)に記載のインジウムリン基板の製造方法であって、第1の主面および第2の主面を含むインジウムリンウエハを準備する工程と、前記インジウムリンウエハの第1の主面および第2の主面を第1の研磨布を用いて両面研磨する工程と、前記両面研磨したインジウムリンウエハの第1の主面を第2の研磨布を用いて片面仕上げ研磨する工程と、前記片面仕上げ研磨したインジウムリンウエハを洗浄する工程とを備える、インジウムリン基板の製造方法である。
【0022】
これによると、基板の第1の主面と第2の主面の表面粗さの平均値および表面粗さのばらつきを、所望の範囲に制御することができる。
【0023】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態にかかるインジウムリン基板、インジウムリン基板の検査方法およびインジウムリン基板の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0024】
<実施の形態1>
本発明の一実施の形態におけるインジウムリン基板について、図1?図4を用いて説明する。図1は、本発明の一態様にかかるインジウムリン基板10を示す斜視模式図である。図2は、図1のインジウムリン基板10をA-A線で切断した断面図である。図3は、インジウムリン基板10を第1の主面11側から見た平面図である。図4は、インジウムリン基板10を第2の主面12側から見た平面図である。
【0025】
インジウムリン基板(以下、InP基板とも記す)10は、インジウムリン(InP)の単結晶からなる。図1に示されるように、InP基板10は、平面視において略円形である。図2に示されるように、InP基板10は、第1の主面11と、第2の主面12とを含み、第1の主面11と第2の主面12とは略平行である。InP基板を用いてエピタキシャル膜を成長させる際には、第1の主面11上にエピタキシャル膜を成長させる。この際、第2の主面12は、成膜装置のサセプタに接して載置される。
【0026】
前記第1の主面11の中心における表面粗さRa1、ならびに前記第1の主面11の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は0.4nm以下であり、前記表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下である。
【0027】
ここで、表面粗さは、JIS B 0601に規定される算術平均粗さRaをいい、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの距離(偏差の絶対値)を合計し平均した値と定義される。
【0028】
第1の主面11の中心における表面粗さRa1とは、以下の方法で測定した値である。第1の主面11から、図3の四角で囲まれた1で示される領域のように、第1の主面11の中心点を含むように、1μm四方の視野を抜き取る。該抜き取り範囲を0.4nmのピッチで、原子間力顕微鏡を用いて表面粗さRa1を測定する。
【0029】
第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所とは、図3の四角で囲まれた2?5で示される領域のように、第1の主面の外縁部上で該外縁部を4等分する場所から、第1の主面の中心に向かって、5mmの距離(図3中、d1で示される)内側に位置する4つの領域である。前記4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5とは、以下の方法で測定した値である。第1の主面11から、前記4箇所を含むように、1μm四方の視野を抜き取る。該抜き取り範囲を0.4nmのピッチで、原子間力顕微鏡を用いて表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5をそれぞれ測定する。
【0030】
基板の第1の主面の5箇所における表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は、上述のように0.4nm以下としているが、好ましくは0.1nm以上0.3nm以下である。表面粗さの平均値m1を0.4nm以下にすることで、基板の第1の主面上に良好なエピタキシャル膜を形成することができる。
【0031】
基板の第1の主面の5か所における表面粗さR1、R2、R3、R4およびR5の標準偏差σ1は前記平均値m1の10%以下としているが、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下である。このように標準偏差σを前記平均値m1の10%以下にすることで、基板の第1の主面の表面粗さが制御され、基板表面に均一なエピタキシャル膜を形成できる。
【0032】
第2の主面12は、前記第2の主面12の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.2nm以上3nm以下であり、前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下であることが好ましい。このように、第1の主面11に加えて第2の主面12についても表面粗さが管理されたInP基板10においては、第1の主面11にエピタキシャル膜を成長させる際に、第2の主面12と、InP基板10が搭載された成膜装置のサセプタとの間の接触状態を第2の主面12全体で均一化することができる。このため、局所的な接触状態のばらつきが発生することに起因するInP基板10での温度分布の発生を抑制できる。このため、形成されるエピタキシャル膜の結晶性や不純物濃度といった膜質の均一性を向上させることができる。この結果、当該エピタキシャル膜の歩留りを向上させることができる。
【0033】
第2の主面12の中心における表面粗さRa6とは、以下の方法で測定した値である。第2の主面12から、図4の四角で囲まれた6で示される領域のように、第2の主面12の中心点を含むように、1μm四方の視野を抜き取る。該抜き取り範囲を0.4nmのピッチで、原子間力顕微鏡を用いて表面粗さRa6を測定する。
【0034】
第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所とは、図4の四角で囲まれた7?10で示される領域のように、第2の主面の外延部上で該外縁部を4等分する場所から、第2の主面の中心に向かって、5mmの距離(図4中、d2で示される)内側に位置する4つの領域である。前記4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10とは、以下の方法で測定した値である。第2の主面12から、前記4箇所を含むように、1μm四方の視野を抜き取る。該抜き取り範囲を0.4nmのピッチで、原子間力顕微鏡を用いて表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10をそれぞれ測定する。
【0035】
基板の第2の主面の5箇所における表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.2nm以上3nm以下であり、0.4nm以上3nm以下が好ましく、0.5nm以上2nm以下がさらに好ましい。なお、第2の主面における表面粗さの平均値m2が3nmを超えると、エピタキシャル膜の形成工程での、サセプタと基板の第2の主面との接触状態が局所的に変わる(ばらつく)ことから基板の温度分布が不均一となり、結果的に得られるエピタキシャル膜の品質が低下する恐れがある。また、第2の主面の表面粗さの平均値m2を0.2nm未満にするためには高度な表面処理が必要であり、基板の製造コストが増大するとともに基板の製造工程における生産性が低下する。たとえば、基板裏面の表面粗さの平均値m2を0.2nm未満にするためには、中性のダイヤモンドスラリーを用いた通常の研磨では難しく、コロイダルシリカとケミカル成分とを用いたCMP処理などが必要になる。
【0036】
第2の主面の表面粗さの標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下であり、8%以下が好ましく、6%以下がさらに好ましい。このようにすれば、第2の主面とサセプタとの接触状態を第2の主面全体でほぼ均一にすることができ、結果的に第1の主面上に均一なエピタキシャル膜を形成できる。
【0037】
InP基板10の直径Dは、150mm以上であることが好ましく、150mm以上300mm以下がさらに好ましい。InP基板10は、第1の主面および第2の主面の表面粗さが、主面全体にわたって制御されているため、最大径が150mm以上の大口径基板であっても、基板表面に均一なエピタキシャル成長層を形成できる。また、このようにすれば、大面積の基板を用いることで当該基板に形成できる半導体素子(チップ)の数を増加させることができる。この結果、半導体素子を形成する工程(デバイス工程)での製造コストを低減できるとともに、生産性を改善できる。
【0038】
InP基板10の厚みは500μm以上800μm以下が好ましい。これによると、InP基板が比較的大型であっても、表裏面粗さが制御され、エピタキシャル層の形成工程や半導体素子の製造工程における歩留まりの低減を抑制できる。
【0039】
<実施の形態2>
本発明の一実施の形態におけるインジウムリン基板の検査方法について、図3および図4を用いて説明する。
【0040】
インジウムリン基板の検査方法は、前記インジウムリン基板の主面の中心、および、主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所において、1μm四方の視野で、0.4nmのピッチで、原子間力顕微鏡を用いてインジウムリン基板の表面粗さを測定する工程を含む。
【0041】
詳細には、まず、インジウムリン基板10の主面の中心、および、主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所において、1μm四方の視野を抜き取る。ここで、InP基板10の主面とは、第1の主面11および第2の主面12のいずれでもよい。主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所とは、図3の四角で囲まれた2?5で示される領域や、図4の四角で囲まれた7?10で示される領域のように、主面の外延部上で該外縁部を4等分する場所から、主面の中心に向かって、5mmの距離(図3のd1または図4のd2で示される距離)の内側に位置する領域である。なお、前記4箇所は、前記第1の主面または前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所であって、オリエンテーションフラット(結晶の(001)方位)を基準にして、90°の間隔で配置される4箇所である。インジウムリン基板がノッチ付ウエハの場合は、前記4箇所は以下の通り位置決めする。ノッチから、ノッチと基板の中心とを結ぶ線を、基板の中心を回転軸として45°回転した線上で、第1の主面または前記第2の主面の外縁部から5mm内側の位置を基準A点とした。基準A点の位置から、基準A点と基板の中心とを結ぶ線を、基板の中心を回転軸として、90°間隔で回転させた線上で、第1の主面の外縁部から5mm内側の位置をB点、C点、D点とした。基準A点と、B点、C点、D点を前記4箇所とする。測定する視野を合計5箇所とすることによって、InP基板の主面の全面についての表面粗さを測定できるので、InP基板の主面の全面について検査ができる。また、測定する視野を5箇所とすることによって、検査を迅速に行うことができる。視野は1μm四方である。
【0042】
次に、上記視野において、0.4nmのピッチで、原子間力顕微鏡(AFM)(例えば、Veeco社製の「Dimension3000」)や走査型プローブ顕微鏡(例えば、Bruker AXS社製の「Dimension ICON」)を用いてInP基板の表面粗さを測定する。
【0043】
以上説明したように、実施の形態2におけるInP基板の検査方法によれば、原子オーダーの凹凸を確実に検出できる。また、InP基板の表面について原子オーダーの凹凸を既存の原子間力顕微鏡(AFM)や、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて測定できるので、コストがかからない。この方法で測定した原子オーダーの凹凸と、エピタキシャル成長を実施したのち、SIMSでエピタキシャル膜とInP基板との界面の不純物量を評価したところ、原子オーダーでの凹凸と界面の不純物とに関係があることが判明した。この方法によって、コストを低減するとともに、InP基板に成長したエピタキシャル膜と基板との界面の不純物量を減少できる。
【0044】
<実施の形態3>
実施の形態1に記載されたインジウムリン基板の製造方法について、図5を用いて説明する。図5に示されるように、インジウムリン基板の製造方法は、第1の主面および第2の主面を含むインジウムリンウエハを準備する工程(S10)と、前記インジウムリンウエハの第1の主面および第2の主面を第1の研磨布を用いて両面研磨する工程(S20)と、前記両面研磨したインジウムリンウエハの第1の主面を第2の研磨布を用いて片面仕上げ研磨する工程(S30)と、前記片面仕上げ研磨したインジウムリンウエハを洗浄する工程(S40)とを備える。
【0045】
インジウムリンウエハ(以下、InPウエハともいう)を準備する工程では(S10)、まず、InPインゴットを準備する。このインゴットは、InPからなっていてもよく、Fe、S、Sn、およびZnからなる群より選ばれる少なくとも一種の物質よりなるドーパントを含んでいてもよい。
【0046】
次に、準備したインゴットからInPウエハをスライス加工する。スライス加工する方法は特に限定されない。このInPウエハは、スライス加工によりダメージ層を含む。
【0047】
次に、スライス加工したInPウエハの第1の主面および第2の主面を第1の研磨布を用いて両面研磨する(S20)。両面研磨は、たとえば、図6(a)に示す両面研磨装置60を用いて行うことができる。両面研磨装置60は、回転運動する上定盤61と、上定盤61と回転軸を共有して回転運動する下定盤62とを含む。上定盤61の下面および下定盤62の上面には、それぞれ第1の研磨布63が装着されている。また、両面研磨装置60は、上定盤61と下定盤62とによって挟まれるように設けられ、定盤と回転軸を共有して回転運動する、InPウエハ66を保持するウエハキャリヤ65を含む。上定盤61には、外部からInPウエハ66の研磨面に研磨液を供給するための研磨液注入孔64が形成されている。両面研磨工程では、InPウエハ66は、第1の主面が上定盤61に対向し、第2の主面が下定盤62に対向するように、ウエハキャリヤ65に保持される。上定盤61のInPウエハ66に対する相対速度は、下定盤62のInPウエハ66に対する相対速度と同じであることが好ましい。
【0048】
図6(b)は、両面研磨装置のウエハキャリア65にInPウエハ66を設置した状態を示す概略平面図である。図6(b)に示されるように、InPウエハ66は、ウエハキャリア65の保持孔の内部に設置されている。InPウエハ66の厚みがウエハキャリア65の厚みよりも大きくなるように、ウエハキャリア65は形成されている。
【0049】
上定盤61および下定盤62のサイズは径750mm以上であると、研磨後のInPウエハ表面の平坦度が向上するため好ましい。第1の研磨布としては、たとえば、不織布の基材にポリウレタンの樹脂を含浸させたものを用いることが好ましい。なお、第1の研磨布は、InPウエハを研磨する前に、あらかじめダイヤモンドペレットを用いてドレッシングをしておくことが好ましい。これにより、第1の研磨布の表面の平坦度と表面粗さが均一になる。よって、第1の研磨布を用いて研磨したInP基板も、表面粗さが均一になる。
【0050】
両面研磨の条件は、たとえば、取り代の7/10までは通常の条件で両面研磨を実施した後、取り代の残りの3/10は、回転数を通常の50%に落とすことで、研磨速度を1/3にして両面研磨することができる。なお、通常の両面研磨条件とは、例えば、上定盤5?10rpm(正転方向)、下定盤20?30rpm(正転方向)、インターナルギア5?10rpm(正転方向)、サンギア10?15rpm(正転方向)の回転数で各定盤および各ギアを回転させ、面圧80?150g/cm^(2)の荷重を負荷し、研磨材(例えば、(株)フジミインコーポレーテッド製の「INSEC IPP」)を300ml/minの流量で流しながら研磨する条件である。これによると、基板の表面粗さを効果的に低減することができる。よって、基板の表裏面粗さが制御される。両面研磨は、研磨液および界面活性剤を一定流量で流しながら行うことが好ましい。
【0051】
両面研磨を行った後のInPウエハの第1の主面および第2の主面の表面粗さの平均値は、それぞれ1.0nm以下であることが好ましい。なお、表面粗さの平均値とは、InPウエハの主面の中心および、主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さの平均値である。なお、これらの表面粗さの標準偏差は、0.1nm以下が好ましい。これによると、後の工程において、InP基板の表面粗さおよびばらつきを所望の範囲に調整することが容易である。
【0052】
次に、両面研磨したウエハの第1の主面を第2の研磨布を用いて片面仕上げ研磨する(S30)。片面仕上げ研磨は、例えば、図7に示す片面研磨装置70を用いて行うことができる。具体的には、まず、円板状の陶器製の研磨プレート72の表面に、ワックス73を用いて、InPウエハ74を複数枚貼り付ける。または、陶器製の円板状の研磨プレート72の表面にウエハ吸着用のバッキングフィルムを貼り付け、その上に、水の表面張力で、InPウエハ74を複数枚貼り付ける。径が600mm以上の円板状の研磨定盤77上に、第2の研磨布76を貼り付ける。研磨定盤77は回転軸78によって回転可能に支持されている。研磨プレート72は研磨ヘッド720から垂下されたシャフト722によって回転可能に保持されている。研磨定盤77の上方には研磨液供給管79があり、そこから研磨液75が第2の研磨布76の上に与えられる。研磨定盤77と研磨プレート72とを順方向に回転させることにより、InPウエハ74を研磨する。
【0053】
第2の研磨布76としては、不織布タイプの研磨布を用いることが好ましい。研磨液75としては、公知のInP研磨用研磨剤を用いることができる。
【0054】
片面仕上げ研磨の条件は、たとえば、取り代の9/10までは通常の条件で片面研磨を実施した後、取り代の残りの1/10は、回転数を通常の50%に落とすことで、研磨速度を1/2にして片面研磨することができる。なお、通常の片面研磨条件とは、下定盤50?80rpm(正転方向)、上定盤50?80rpm(正転方向)の回転数で各定盤を回転させ、面圧40?100g/cm^(2)の荷重を負荷し、研磨材(例えば、(株)フジミインコーポレーテッド製の「INSEC SP」)を140ml/minの流量で流しながら研磨する条件である。これによると、基板の表面粗さを効果的に低減することができる。よって、基板の表裏面粗さが制御される。片面仕上げ研磨は、研磨液および界面活性剤を一定流量で流しながら行うことが好ましい。
【0055】
片面仕上げ研磨を行った後のInPウエハの第1の主面の表面粗さの平均値は、0.4nm以下であることが好ましい。なお、表面粗さの平均値とは、InPウエハの主面の中心および、主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さの平均値である。なお、これらの表面粗さの標準偏差は、0.05nm以下が好ましい。これによると、後の工程において、InP基板の表面粗さおよびばらつきを所望の範囲に調整することが容易である。
【0056】
次に、片面仕上げ研磨したインジウムリンウエハを洗浄する(S40)。洗浄液には、希塩酸、希硫酸、希硝酸、および有機酸の少なくとも1つからなる酸性溶液を用いることができる。洗浄工程では、酸性溶液を用いて、InPウエハの主面の原子オーダーでの凹凸を低減して、InP基板の第1の主面の表面粗さの平均値m1を0.4nm以下にできる。
【0057】
洗浄工程(S40)で用いる酸性溶液は、希塩酸、希硫酸、希硝酸、および有機酸の少なくとも1つである。有機酸としては、たとえば蟻酸、酢酸、蓚酸、乳酸、りんご酸、およびクエン酸などを用いることが好ましい。酸性溶液のpHは、0?4であることが好ましく、1?3であることがより好ましい。希塩酸の濃度は0.001%?0.5%、希硫酸の濃度は0.001%?0.5%、希硝酸の濃度は0.001%?0.5%、有機酸の濃度は0.1%?1%であることが好ましい。酸性溶液をこの範囲内とすることによって、InP基板の表面粗さをより低減できる。
【0058】
洗浄工程(S40)は、酸性溶液に酸化剤を添加して行なわれることが好ましい。酸化剤は、特に限定されず、たとえば過酸化水素水などを用いることができる。酸化剤を添加した酸性溶液を用いてInPウエハの表面を洗浄することにより、洗浄工程の速度を上げることができる。なお、酸化剤の濃度は、特に限定されないが、たとえば0.5ppm以上10ppm以下が好ましく、1ppm以上5ppm以下がより好ましい。酸化剤の濃度を0.5ppm以上とすることによって、酸性溶液の洗浄能力の低減を抑制できる。酸化剤の濃度を10ppm以下とすることによって、InPウエハ表面の酸化物、有機物、または微粒子等と反応することを防止できる。
【0059】
洗浄工程(S40)で用いられる酸性溶液の温度は特に限定されないが、室温とすることが好ましい。室温とすることによって、InPウエハの表面処理を行なう設備を簡略化できる。
【0060】
また、洗浄時間は特に限定されないが、たとえば10秒以上300秒以下が好ましい。この範囲内で洗浄工程(S40)を実施すると、酸性溶液の費用を削減でき、生産性の向上を図ることができる。なお、これらの洗浄後には、酸あるいはアルカリ液などの洗浄液を除去するため、純水リンス工程が実施されてもよい。さらに、最終の洗浄工程後の純水リンス工程後には、遠心乾燥等でInPウエハの水分が除去される。この純水リンス工程時においては、900?2000kHzの超音波を印加することで、微粒子の付着を防止できる。また、純水リンス時には、InPウエハの表面の酸化防止のために、酸素濃度が100ppb以下に脱気された純水が用いられる。以上の工程により、InPウエハからInP基板が作製される。
【0061】
<実施の形態4>
本実施の形態におけるエピタキシャルウエハについて説明する。エピタキシャルウエハは、実施の形態1におけるInP基板と、InP基板の第1の主面上に形成されたエピタキシャル膜とを備えている。エピタキシャル膜は、1層であってもよく、複数層であってもよい。
【0062】
InP基板とエピタキシャル膜との界面において、たとえば、Si濃度は1.8×10^(17)atoms/cm^(3)以下であり、S濃度は2×10^(13)atoms/cm^(3)以下である。
【0063】
続いて、本実施の形態におけるエピタキシャルウエハの製造方法について説明する。まず、実施の形態3にしたがって、InP基板を製造する。
【0064】
次に、InP基板の表面上にエピタキシャル膜を形成する。エピタキシャル膜を形成する方法は特に限定されず、OMVPE(Organo Metallic Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相成長)法、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイドライド気相成長)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法などを採用することができる。
【0065】
なお、所定の構造のエピタキシャル膜をInP基板の第1の主面上に形成した後にInP基板を個々の素子に分割するために、たとえばダイシングなどを行なう分割工程を行ってもよい。
【0066】
以上の工程を実施することにより、エピタキシャルウエハを製造することができる。
このように製造されたエピタキシャルウエハは、たとえばリードフレームなどに搭載される。そして、ワイヤボンディング工程などを実施することにより、上記素子を用いた半導体装置を得ることができる。
【0067】
本実施の形態におけるエピタキシャルウエハの製造方法は、実施の形態1のInP基板10を用いている。このため、PL特性の悪化が抑制されたエピタキシャルウエハを製造することができる。
【0068】
このようなエピタキシャルウエハにおいて、InP基板がFe、S、Sn、およびZnからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなるドーパントを含んでいる場合には、次の効果を有する。
【0069】
ドーパントがFeの場合、エピタキシャルウエハは、たとえば1×10^(16)atoms/cc以上1×10^(17)atoms/ccのドーパント濃度を有し、電気特性は半絶縁性である。この場合、InP基板とエピタキシャル層との界面において、Si、Sの濃度が高いと電気特性異常(リーク)が発生する。しかし、本実施の形態では、InP基板とエピタキシャル層との界面において、Si、Sの濃度を低減できるため、エピタキシャルウエハは、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)、HBT(Heterojunction Bipolar Transistor:ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)などに好適に用いられる。
【0070】
ドーパントがSの場合、エピタキシャルウエハは、たとえば0.5×10^(18)atoms/cc以上8×10^(18)atoms/ccのドーパント濃度を有し、電気特性はn型である。この場合、InP基板とエピタキシャル膜との界面において、O、Cの濃度が高いと電気特性異常および発光強度低下が発生する。しかし、本実施の形態では、InP基板とエピタキシャル層との界面において、O、Cの濃度を低減できるため、エピタキシャルウエハは、レーザなどに好適に用いられる。また、Hazeを低減できる場合には、さらにエピタキシャルウエハの発光強度を向上することができる。
【0071】
ドーパントがSnの場合、エピタキシャルウエハは、たとえば1×10^(18)atoms/cc以上6×10^(18)atoms/ccのドーパント濃度を有し、電気特性はn型である。この場合、InP基板とエピタキシャル膜との界面において、O、Cの濃度が高いと電気特性異常および発光強度低下が発生する。しかし、本実施の形態では、InP基板とエピタキシャル層との界面において、O、Cの濃度を低減できるため、エピタキシャルウエハは、レーザなどに好適に用いられる。また、Hazeを低減できる場合には、さらにエピタキシャルウエハの発光強度を向上することができる。
【0072】
ドーパントがZnの場合、エピタキシャルウエハは、たとえば3×10^(18)atoms/cc以上8×10^(18)atoms/ccのドーパント濃度を有し、電気特性はp型である。この場合、InP基板10とエピタキシャル膜との界面において、Si、Sの濃度が高いと電気特性異常および発光強度低下が発生する。しかし、本実施の形態では、InP基板とエピタキシャル層との界面において、Si、Sの濃度を低減できるため、エピタキシャルウエハは、レーザなどに好適に用いられる。また、Hazeを低減できる場合には、さらにエピタキシャルウエハの発光強度を向上することができる。
【実施例】
【0073】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0074】
<製造例A?L>
(InP基板の製造)
まず、InP単結晶を垂直ブリッジマン法(Vertical Bridgeman法、VB法)により[100]方向に結晶成長させて、InPインゴット得た。次に、InPインゴットをスライス加工して、主面が(100)から[110]方向に2°オフしたInPウエハを得た。InPウエハは、直径が153mm、厚み780μmの円盤状であった。
【0075】
次に、両面研磨装置(定盤サイズ750mm)を用いてInPウエハの主面の両面を研磨した。研磨布には、不織布の基材にポリウレタンの樹脂を含浸させたもの(ニッタハース社製のSubaIV)を用いた。なお、研磨布はあらかじめダイヤモンドペレット((株)フジミインコーポレーテッド社製のPadless200H)でドレッシングされたものである。表1に示される「(a)両面研磨条件」の具体的な内容は以下の通りである。
【0076】
標準:上定盤8rpm(正転方向)、下定盤24rpm(正転方向)、インターナルギア7rpm(正転方向)、サンギア11rpm(正転方向)の回転数で各定盤、各ギアを回転させ、面圧100g/cm^(2)の荷重を負荷し、研磨材(例えば、(株)フジミインコーポレーテッド製の「INSEC IPP」)を300ml/minの流量で流しながら研磨する。
【0077】
変更:両面研磨の取り代の7/10までは、上記の標準の条件で両面研磨を実施する。その後、回転数を通常の50%に落とすことで、研磨速度を1/3にして取り代の残りの3/10を両面研磨する。
【0078】
表1に示される「(a-1)界面活性剤」の具体的な内容は以下の通りである。
有:上記の(a)両面研磨条件において、取り代の残りの3/10の厚みを研磨する際に、研磨液とともに、界面活性剤(和光純薬社製のNCW1001)を一定の流量で流しながら両面研磨する。
【0079】
無:上記の(a)両面研磨条件において、界面活性剤を使用しない。
表1に示される「(a-2)取り代(μm)」とは、取り代の厚みを示す。
【0080】
次に、両面研磨後のInPウエハの片面(第1の主面に該当)を、片面研磨装置(定盤サイズ830mm)を用いて研磨した。研磨布には、不織布(千代田(株)社製のCIEGAL PS8410)を用い、研磨材には仕上げ研磨材((株)フジミインコーポレーテッド社製のINSEC SP)を用いた。表1に示される「(b)片面仕上げ研磨条件」の具体的な内容は以下の通りである。
【0081】
標準:下定盤60rpm(正転方向)、上定盤60rpm(正転方向)の回転数で各定盤を回転させ、面圧80g/cm^(2)の荷重を負荷し、研磨材(例えば、(株)フジミインコーポレーテッド製の「INSEC SP」)を140ml/minの流量で流しながら研磨する。片面仕上げ研磨の取り代は約1μmである。
【0082】
変更:片面仕上げ研磨の取り代の9/10までは、上記の標準の条件で片面研磨を実施する。その後、回転数を通常の50%に落とすことで、研磨速度を1/2にして取り代の残りの1/10を片面研磨する。
【0083】
表1に示される「(b-1)界面活性剤」の具体的な内容は以下の通りである。
有:上記の(b)片面仕上げ研磨条件において、取り代の残りの1/10の厚みを研磨する際に、研磨液とともに界面活性剤(和光純薬社製のNCW1001)を一定の流量で流しながら両面研磨する。
【0084】
無:上記の(b)片面仕上げ研磨条件において、界面活性剤を使用しない。
次に、0.1%のフッ化水素でInPウエハを洗浄した後、溶存酸素量50ppbの超純水でリンスを行い、IPA蒸気乾燥機にて乾燥を実施した。これにより、製造例A?LのInP基板を得た。
【0085】
(InP基板の測定)
得られたInP基板について、図3および図4に示すように、基板中心および基板の外縁から5mm内側の4点において、0.2μm四方の視野で、それぞれ表面粗さRa1?Ra10を測定した。具体的には、InP基板の第1の主面および第2の主面について、AFM装置(Veeco社製の「Dimension3000」)で、各箇所について、0.40nmのピッチで、1列当たり512サンプルで512列について表面粗さを測定した。この時、タッピングモードを用いた。表面粗さの測定値から、表面粗さの平均値m1、m2、標準偏差σ1、σ2、σ1/m1、σ2/m2を算出した。結果を表1に示す。
【0086】
(エピタキシャル膜の形成)
得られたInP基板の第1の主面上に、OMVPE法により300nmの厚みを有するInP膜を形成した。このInP膜上に、OMVPE法により5nmの厚みを有するInGaAs膜を形成した。このInGaAs膜上に、OMVPE法により300nmの厚みを有するInP膜を形成した。これにより、InP基板上にエピタキシャル膜が形成されたエピタキシャルウエハを製造した。エピタキシャル膜形成時のInP基板温度は580℃であった。
【0087】
<評価>
製造例A?製造例Lのエピタキシャルウエハについて、InGaAs膜のPL強度を測定した。PL測定は、励起光波長532nmの半導体レーザを用い、照射ビーム径100μm、測定温度25℃、励起光強度300mWの条件で行い、測定波長範囲はInGaAs層からの発光波長に相当する1250nm?1500nmであった。又、PL強度は、発光波長のピーク強度とした。測定機は、ナノメトリクス社製のPLM150を用いた。結果を表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
<評価結果>
製造例A?C、E?Gは、第1の主面は、表面粗さの平均値m1が0.4nm以下であり、表面粗さの標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下であり、第2の主面は、表面粗さの平均値m2が0.2nm以上3nm以下であり、表面粗さの標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である。これらの製造例は、基板の表裏面粗さを面内で制御することで、エピタキシャル成長時の基板温度が面内で均一になり、エピタキシャル成長膜のPL特性が優れていた。
【0090】
製造例D、H、Lは、第2の主面の表面粗さの平均値m2が4.4nmを超えており、基板の表裏面粗さの面内での制御が不十分で、エピタキシャル成長時の基板温度が面内では十分に均一にならず、エピタキシャル成長膜のPL特性が劣っていた。
【0091】
製造例I、J、Kは、第1の主面の表面粗さの平均値m1が0.4nmを超えており、エピタキシャル成長膜のPL特性が劣っていた。
【0092】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のインジウムリン基板は、半導体レーザ、LED、光束デバイス等に用いると有益である。
【符号の説明】
【0094】
10 インジウムリン基板、11 第1の主面、12 第2の主面、60 両面研磨装置、61 上定盤、62 下定盤、63 研磨布、64 研磨液注入孔、70 片面研磨装置、74 InPウエハ、75 研磨液、76 第2の研磨布、77 研磨定盤、78 回転軸、79 研磨液供給管、720 研磨ヘッド、722 シャフト。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板であって、
前記第1の主面の中心における表面粗さRa1、ならびに前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は0.4nm以下であり、
前記表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下であり、
前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、
前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下である、
インジウムリン基板。
【請求項2】
前記インジウムリン基板は、最大径が150mm以上である、
請求項1に記載のインジウムリン基板。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
第1の主面および第2の主面を含むインジウムリン基板の製造方法であって、
前記第1の主面の中心における表面粗さRa1、ならびに前記第1の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa2、Ra3、Ra4およびRa5の平均値m1は0.4nm以下であり、
前記表面粗さRa1、Ra2、Ra3、Ra4およびRa5の標準偏差σ1は、前記平均値m1の10%以下であり、
前記第2の主面の中心における表面粗さRa6、ならびに前記第2の主面の外縁部から5mm内側に前記外縁部に沿って等間隔に配置される4箇所における表面粗さRa7、Ra8、Ra9およびRa10の平均値m2は0.4nmより大きく3nm以下であり、
前記表面粗さRa6、Ra7、Ra8、Ra9およびRa10の標準偏差σ2は、前記平均値m2の10%以下であり、
第1の主面および第2の主面を含むインジウムリンウエハを準備する工程と、
前記インジウムリンウエハの第1の主面および第2の主面を第1の研磨布を用いて両面研磨する工程と、
両面研磨した前記インジウムリンウエハの第1の主面を第2の研磨布を用いて片面仕上げ研磨する工程と、
片面仕上げ研磨した前記インジウムリンウエハを洗浄する工程とを備る、
インジウムリン基板の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-07-01 
出願番号 特願2016-574632(P2016-574632)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (H01L)
P 1 651・ 16- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 和樹  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 小田 浩
加藤 浩一
登録日 2018-03-02 
登録番号 特許第6296177号(P6296177)
権利者 住友電気工業株式会社
発明の名称 インジウムリン基板、およびインジウムリン基板の製造方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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