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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
管理番号 1354117
異議申立番号 異議2019-700251  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-02 
確定日 2019-08-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第6399768号発明「麺類の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6399768号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 主な手続の経緯
特許第6399768号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成26年3月12日に出願され、平成30年9月14日にその特許権の設定登録がされ、同年10月3日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、平成31年4月2日差出で特許異議申立人 青木 耕一より特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
特許第6399768号の請求項1?3に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、以下、これらを「本件特許発明1」、「本件特許発明2」などといい、まとめて「本件特許発明」という場合もある。

「【請求項1】
切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比が3以上6以下となるように麺線を切り出す工程(切り出し工程)と、
前記切り出された麺線を湿熱処理する工程(湿熱処理工程)と、
前記湿熱処理された麺線を前記コンベアよりも速度の速い搬送コンベアに少なくとも2回以上乗り移らせる工程(延伸工程)と、を含む麺類の製造方法であって、
前記搬送コンベアは第一搬送コンベアと第二搬送コンベアとを少なくとも含み、
前記第一搬送コンベアの速度は前記麺線の切り出し速度の0.5?0.7倍の速度であり、
前記第二搬送コンベアの速度は前記麺線の切り出し速度と等速である麺類の製造方法。
【請求項2】
切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比が3以上6以下となるように麺線を切り出す工程(切り出し工程)と、
前記切り出された麺線を湿熱処理する工程(湿熱処理工程)と、
前記湿熱処理された麺線を前記コンベアよりも速度の速い搬送コンベアに少なくとも2回以上乗り移らせる工程(延伸工程)と、を含む麺類の製造方法であって、
前記搬送コンベアは第一搬送コンベアと第二搬送コンベアとを少なくとも含み、
前記第一搬送コンベアの速度は前記コンベア速度の3?5倍の速度であり、
前記第二搬送コンベアの速度は前記第一搬送コンベア速度の1.4?2倍の速度である麺類の製造方法。
【請求項3】
前記湿熱処理工程と前記延伸工程との間に、湿熱処理された麺線に対して水分を付与する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の麺類の製造方法。」

第3 申立理由の概要
特許異議申立人 青木 耕一(以下、「申立人」という。)は、証拠方法として以下の甲第1号証?甲第9号証(以下、「甲1」などという。)を提出し、以下の取消理由を主張している。

1 取消理由
(1)取消理由1(進歩性)
本件特許発明1?3は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の甲1に記載された発明並びに甲2?9に記載の技術的事項及び周知の事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1?3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。

(2)取消理由2(サポート要件)
本件特許発明1?3に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当するから取り消すべきものである。

2 証拠方法
(1)甲1:特開2010-187621号公報
(2)甲2:特開昭60-227647号公報
(3)甲3:実開平7-5386号公報
(4)甲4:特開平10-313805号公報
(5)甲5:国際公開第2011/158944号
(6)甲6:特開昭51-15681号公報
(7)甲7:特開昭59-102365号公報
(8)甲8:特開昭48-56876号公報
(9)甲9:特開昭56-32963号公報

第4 甲号証に記載された事項
1 甲1には、以下の事項が記載されている。
(甲1a)「【請求項2】
一対の切刃ロール間を通過させることによって麺生地を複数の麺線へと形成し、該麺線をカスリによって切刃ロールから剥ぎ取り、各麺線を隣り合う麺線とは非並行状態で略螺旋状となるように屈曲させながらコンベア上に積層し、扁平な麺線の束として配列させる配列工程と、
前記配列工程後の麺線の状態を保持したまま、麺線を蒸煮する蒸煮工程と、
前記蒸煮工程後の麺線を一定方向に伸ばす延伸工程と、
前記延伸工程後の麺線の一定量を切断する切断工程と、
前記切断工程後の麺線を乾燥する乾燥工程と、
を有することを特徴とする即席麺の製造方法。」

(甲1b)「【0011】
本発明は、既存の製造ラインを可能な限り維持し、かつ、特別な添加剤を使用せずに、湯戻し時にウェーブの少ないストレート化した麺となる即席麺の製造方法の提供を目的とする。」

(甲1c)「【0013】
本発明者らは、従来までのライン長を可能な限り維持しつつ、ストレート麺を製造する方法を検討するに当たって、既存の即席麺の製造ラインをできるだけそのまま利用するという観点から、蒸し後の麺線を物理的に引っ張ってストレート化する方法に注目した。しかし、従来の製造方法で麺生地から調製したウェーブのかかった状態の麺線では、蒸し工程(蒸煮工程)によるα化の後に、麺線を引っ張ってもウェーブが強くなってしまっているために、その後の工程をどのように調整しても、湯戻し時にストレート麺となる即席麺を製造することは困難であった。
・・・
【0015】
種々の切り出し条件を検討した結果、驚くべきことに蒸し後の麺線を引っ張ってストレート化できる場合とは、切出し後のコンベア上の麺の積層状態が、各麺線が隣り合う麺線とは非並行状態で略螺旋状となるように屈曲しながらコンベア上に積層し、コンベア上で隣り合う麺線同士が同様の湾曲状乃至屈曲状態を呈することのない状態(すなわち、麺線の流れが同調しない状態)であることを見出した。そして、この状態であれば、たとえ多層に積層されている状態であっても、蒸煮後に麺線を延伸すれば、ストレート化することができることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。」

(甲1d)「【0031】
(配列工程)
配列工程では、まず、定法により調製した麺生地を、一対の切刃ロール間を通過させることによって複数の麺線へと形成する。次に、麺線とカスリ剥離歯とを接触させることにより切刃ロールから麺線を剥離させ、稼働中のコンベア上に落下させる。
ここで、コンベアに落下する場合の麺線の状態やコンベアに落下後の麺線の積層状態は、麺線の切出し速度、コンベアの速度、切刃から麺線を剥離する際の位置等によって異なる。従って、これらの条件を調整することで本発明の積層状態となる麺線を得ることができる。具体的な切出しの方法の例について以下に説明する。
【0032】
通常の即席麺の製造方法では、切刃ロールから剥離した麺線は誘導管内へと通し、麺線の揺動が強制的に抑えられて、強いウェーブが麺線に付与されてしまう。このため、蒸煮後に麺線を延伸しても略直線状のストレートにはならない。」

(甲1e)「【0040】
切刃ロールの麺線切出し速度は、コンベア搬送速度よりも大であることが必要となる。この点を具体的に説明すると、麺線の切出し速度がコンベア搬送速度と同じであるとコンベア状の麺線は直線状になる。次に、麺線切出し速度がコンベア搬送速度よりも大きくなると、麺線は図3の破線7で示したように、ジグザグ状でコンベア上に配列されることになる。切刃ロールの麺線切出し速度がコンベア搬送速度よりもさらに大きくなれば、麺線は図3の実線8で示したような、従来得られなかった略螺旋状でコンベア上に配列される。そして、これらの略螺旋状の麺線が連続的に堆積することで略螺旋状の麺線が重なり合った積層体を得ることができる。
【0041】
なお、切刃ロールの切出し速度は、コンベア搬送速度の3倍以上20倍以下の範囲であることが好ましい。3倍以下では、麺線がほぼ直線状に配列され、20倍を超えると麺線の積層量が多くなりすぎ、後述する蒸煮工程で蒸しが不十分になる場合があるという問題が生じるためである。また、良好な略螺旋状の麺線を得るには、切刃ロールの切出し速度は、コンベア搬送速度の5倍以上10倍以下の範囲であることがよりに好ましい。」

(甲1f)「【0059】
(蒸煮工程)
次に、蒸煮工程について説明する。配列工程後の麺線の束は、コンベアによってそのままの状態で蒸煮工程へと移行させる。本発明の蒸煮工程は、蒸煮時の麺線の状態が異なる以外は、通常の即席麺の製造方法における蒸煮工程と同じである。例えば、通常の蒸煮であれば、100℃で1?2分間程度行う。この場合、連続的にコンベアに載せたままの麺線を蒸煮し、α化させることができる。
【0060】
(延伸工程)
次に、延伸工程について説明する。延伸工程では、蒸煮工程後の麺線を、一定方向に伸ばし、麺線の絡み合いを解消してまっすぐな状態へと調整する。本発明の延伸工程は、延伸させる前の麺線の状態が異なる以外は、通常の即席麺の製造方法における延伸工程とほぼ同じである。例えば、蒸煮時のコンベアから搬送速度を高めたコンベアを乗り移らせるという方法で、α化させた麺線の束をまっすぐな状態へと調整する。なお、この際の延伸するためのコンベアの速度は、切出し時の切刃ロールの切出し速度程度が好適である。
【0061】
延伸する場合には、蒸煮後の麺に水シャワーをかけたり、風冷する等して冷却してから延伸してもよい。また、麺の配合によっては、冷却せずとも延伸するだけで略直線状の麺線を得ることも可能である。」

(甲1g)「【0067】
[実施例]
本発明の実施例として、即席中華麺を製造した。まず、ミキサーや圧延機を用いて麺生地を調製した。この麺生地は、現在市販されている即席中華麺と同じである。
【0068】
(配列工程)
次に、圧延した麺生地を直径3.7cm、幅21.5cmである一対の切刃ロールへと供給し、直径1.0mmの断面が丸形の麺線へと成形し、誘導管は使用せずにコンベア上へと落下させた。なお、切刃ロールは、18番丸刃であり、カスリについては、任意の隣接する剥離歯2つが切刃ロールの周方向において異なるものを設置した。また、麺線の落下速度(切り出し速度)は1000cm/分、コンベア搬送速度は170cm/分とし、一対の切刃ロールの接合部と、コンベアとの間の距離は5cmとした。
【0069】
(蒸煮工程)
次に、配列工程後の麺線を、配列工程終了時の麺線の状態を維持させたまま、蒸煮装置へと導入して、100℃、2分間蒸煮処理した。
【0070】
(延伸工程)
次に、蒸煮工程後のα化された麺線を、蒸煮コンベアから搬送速度を速めたコンベアに乗り移らせるという手段によって延伸し、麺線同士の絡まり合いを解消し、麺線全体を直線状態とした。
・・・
【0083】
これに対して、実施例では、各麺線にウェーブがかかっておらず、麺線同士がくっついている部分が認められなかった。」

(甲1h)「



2 甲2には、以下の事項が記載されている。
(甲2a)「図中1は、スチーマーから麺線2を運び出すコンベアーである。3はコンベアー1の先端下側に配設したほぐしローラーで、ローラーを適宜間隔を置いて対置し、その間に麺線2を通す。図示したものは、ローラーを二段に配してある。そこを通過させることにより、麺線2同士の横方向におけるくっつき合いを阻止する。4、5はほぐしローラー3の下側に連設した展延コンベアーで、それぞれコンベアーを上下二段に配してなる。この展延コンベアー4、5は、ウェーブのかかった麺線2を一時的に展延するためのもので、麺線2を定量宛カットする必要上置かれるものである。即ち、麺線2の定量カットはその長さ(搬送時間)を基準にして行うので、ウェーブがかかったままだと重量面で不正確になりがちだからである。」(2頁左上欄6行?同頁右上欄1行)

(甲2b)「次いで麺線2は展延コンベアー4に引張られ、そこである程度引き延ばされた後更に展延ローラー5に送られ、そこで直線状態に引き延ばされる。かくして、カッター6でカットされる麺の重量誤差は極小となる。・・・カットされた麺は、既にアルファー化されているために、カット後直ちにウエーブのかかった状態に戻ってホッパー7内を落下し、麺塊11を構成する。」(2頁右下欄11行?3頁左上欄3行)

(甲2c)「



3 甲3には、以下の事項が記載されている。
(甲3a)「【0020】
先ず、前工程で蒸煮され、必要に応じて着味されたウェーブ麺線を搬送するコンベア11と、該コンベア11と比較して搬送速度の速い引張りコンベア10から構成されるものであって、このように構成することによって、コンベア11上を搬送されたウェーブ麺線群Aは、引張りコンベア10への乗り移りにより引っ張られることとなり、麺線群Aのウェーブが十分に引き伸ばされることとなり、麺線同士のほぐれが良好となる。なお、コンベア11と引張りコンベア10との速度比は、麺線の種類、径などにより適宜設定されるものであって、一例を挙げれば1:4程度が麺線が切断などされないために好ましい。」

(甲3b)「



4 甲4には、以下の事項が記載されている。
(甲4a)「【請求項2】 生麺線を連続した状態でコンベアで移送しながら工程(a)の蒸熱処理を行い、蒸熱処理した麺線を連続した状態でコンベアで移送しながら工程(b)の麺線への水の散布および麺線のウエーブの伸ばし処理を行い、且つ[工程(a)のコンベアの速度]:[工程(b)のコンベアの速度]の比が1:1.5?1:4である請求項1の製造方法。」

5 甲5には、以下の事項が記載されている。
(甲5a)「[0045]─即席麺用の麺線群─
即席麺は一般に以下のように製造される。すなわち、小麦粉・澱粉等と水等を混合してドウを形成し、当該ドウを複合等により麺帯とする。次に、当該麺帯は圧延工程により薄く延ばされる。圧延後の麺帯は切出しロールより麺線に切り出される。該麺線は蒸煮又は茹で処理等でα化される。尚、該α化には、過熱蒸気を用いてもよい。次いで必要に応じて着味された後に回転刃等でカットされる。カット後の麺線はリテーナに収納され、油熱乾燥や熱風乾燥により処理されて即席麺塊が完成する。
[0046] 本実施形態の処理対象となる麺線群は上述のうち、切り出されて蒸煮されα化された麺線群又は必要に応じて着味された麺線群である。」

(甲5b)「[0047] 尚、本実施形態で処理対象となる麺線群は中華めん、あるいはうどん、そば、パスタ等、様々なタイプの麺線群を対象としている。尚、ウエーブの付いた麺又はストレートの麺を問わず様々なタイプに利用できる。
─搬送コンベア及び引張りコンベア─
[0048] 以下に、本実施例において、麺線群の処理手順に従って説明する。まず、搬送コンベア10は、前工程に蒸煮され必要に応じて着味された麺線を搬送するためのコンベアである。本搬送コンベア10によって蒸煮又は茹でられた麺線は引張りコンベア20に移動せしめられる。引張りコンベア20は搬送コンベア10よりも搬送速度が速く、搬送コンベアで搬送された麺線群Aは、引張りコンベア20へ乗り移りにより引っ張られて直線的に延ばされることになり、麺線群同士のほぐれが良好となり、またカット後の麺線長さの一定化につながる。尚、搬送コンベア10と引張りコンベア20の速度比は、麺線の種類、径などによって適宜設定されるものであり、一例を挙げれば1:4程度の、麺線が切断などされない比率が好ましい。」

(甲5c)「



6 甲6には、以下の事項が記載されている。
(甲6a)「本発明装置によると、広幅の圧延麺帯から一斉に切出される麺線は公知の方法で分割,屈曲されて蒸上げられた后、コンベヤ上方装架の回転引離し装置にかけられて、一つ置きの群列が一時的にコンベヤから上方に引離されるので、これと同時に隣接群列からも効果的に引離される結果、蒸上げ后の各群列間の分割線回りの粘着部が分割区分通りに容易に分離される。このようにして分離された群列が次のコンベヤ7上に転載されると、コンベヤ7はコンベヤ6の前方,下方を走行するので、群列は浮上る傾向となって進行することになり、この状態において再分割装置のロール10で分離線沿いに再分割すれば、極めて効果的に明確な分割態様がとり得る。それ故本発明によると、従来装置のように分割態様が不良のために生ずる成品重量の不均一をなくして、常に一様なものとすることができ、不均一によって生ずる不都合や、損失を回避することができると云う特長を有する。なお、コンベヤ6の前方,下方に置かれるコンベヤ7をコンベヤ6よりやゝ早い速度で走行するようにすると、転載される群列がより浮上る傾向となって移送されることになるので一層、有利であることは云うまでもない。」(2頁左下欄4行?同頁右下欄6行)

(甲6b)「



7 甲7には、以下の事項が記載されている。
(甲7a)「まず細断工程では、図示の如く麺帯aが下方に垂下される途中で細断ロール2によって麺帯aが所定巾に細断され、麺線bの切出しが行なわれる。そして切出された麺線bは、次に水平コンベア3に送られる。水平コンベア3の速度は細断ロール2での麺線bの搬送速度よりも若干遅くして麺線bの各々に最初のウェーブが形成されるようにする。なお、麺線の切り出しに際し切刃に公知な導管あるいはウェーブ形成ゴムを備えておくと、これらの相乗作用によって水平コンベア上の麺線に任意のウェーブを形成することが出来る。ウェーブが形成された麺線bはその後水平コンベア3で他端に送られ、そこから連続して垂下され一たん伸張させるが、この場合麺線bのそれぞれに形成されたウェーブが一部残存させた状態に保持し、次にこれを搬送コンベア4に移送する。このために、水平コンベア3と搬送コンベア4の高さの差は所定に保ち、麺線が垂下によって伸張してその前に形成されたウェーブが完全に消去されないようにする。こうして麺線bは搬送コンベア4に送られるが、ここでの搬送コンベア4は通常麺線速度よりも遅い走行速度としてここで再度麺線にウェーブが形成されるようにする。・・・かくして麺線bは一たん伸張工程を経て曲り歪を一部残存させておき、これに再度曲りを与えるので、搬送コンベア4に至った麺線bはランダム方向に曲げられ、確実にばらばらになるほぐしが行なわれることになる。搬送コンベア4には起端側から終端側にかけて蒸熱装置が附設されている。・・・搬送コンベア4の終端には麺線bを伸張するための網状ベルトを備えた中間搬送コンベア9が設けられている。この中間搬送コンベア9は上記の搬送コンベア4より若干早い速度で走行させる。」(2頁左上欄8行?同頁右下欄13行)

(甲7b)「



8 甲8には、以下の事項が記載されている。
(甲8a)「本発明を図面に示す実施例について説明すると、リール1に巻取られて支持される巻取麺帯2を押えロール3、3間に案内牽引し、さらに同麺帯2を切刃ロール4、4にかけて連続麺線5を形成し、同麺線5を上記ロール3、3および切刃ロール4、4の周速度よりも緩慢に矢印aの方向に移動する金網コンベヤー6上に供給するものである。このようにすると上記麺線5は同金網コンベヤー6上に幾重にもウェーブした状態7となり、そのような状態7を保持して蒸熱函8を通過する間に同麺線5は充分蒸されてその表面がα化し連続蒸し麺5’がウェーブ状態7のまま製造される。そして蒸熱函8の内部又はその出口で水又は油等によるシャワー9によって冷却されかつ金網コンベヤー6から容易に離れる状態になっている。そして同金網コンベヤー6から離れた蒸熱麺線5’は下方の引出しコンベヤー10上に載せられる。この引出しコンベヤー10の輸送速度は押えロール3、3および切刃ロール4、4の周速度(切出し速度)に蒸熱による麺線5’の延びを見込んだ速度だけ若干早くするもので、このような輸送速度にすると蒸熱麺線5’は引出しコンベヤー10の輸送速度に応じて牽引されて同コンベヤー10上で直線状に並びその終端部から下向に下降するので定量切断装置11によって一定の長さ毎に切断し、一食分づつ定量切断することかできる。」(1頁右欄下から3行?2頁右上欄4行)

(甲8b)「



9 甲9には、以下の事項が記載されている。
(甲9a)「従来、生麺線を切刃ロールによって細線状に切出して連結してトンネル形の蒸し器に積層状にして所要時間通過させ必要によりシャワー等によって含水量の調節をし、更に蒸し器を出た所で水、湯、スープ、油などを必要によって適量浸透させて麺質並に味付けをして蒸し器のコンベヤよりも数倍早い引出し金網コンベヤに移し変えて、蒸し器においては積層状になっていた麺線を出来るだけ切刃ロールで切出された状態の縮みの無い直線状に並べ換えることによって次の工程の定量カットを容易にする。定量ずつカットされた蒸し麺は解し装置を経てパケットに収容され、必要によって水洗、冷却、味付け等を行って殺菌後包装する事が一般的な蒸し麺の製造方法である。」(1頁左欄下から2行?同頁右欄12行)

(甲9b)「



第5 当審の判断
1 取消理由1(進歩性)について
(1)甲1に記載された発明
甲1の上記(甲1a)及び(甲1h)からみて、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

「一対の切刃ロール間を通過させることによって麺生地を複数の麺線へと形成し、該麺線をカスリによって切刃ロールから剥ぎ取り、各麺線を隣り合う麺線とは非並行状態で略螺旋状となるように屈曲させながらコンベア上に積層し、扁平な麺線の束として配列させる配列工程と、
前記配列工程後の麺線の状態を保持したまま、麺線を蒸煮する蒸煮工程と、
前記蒸煮工程後の麺線を一定方向に伸ばす延伸工程と、
前記延伸工程後の麺線の一定量を切断する切断工程と、
前記切断工程後の麺線を乾燥する乾燥工程と、
を有する即席麺の製造方法。」

(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。

(ア)甲1発明の「一対の切刃ロール間を通過させることによって麺生地を複数の麺線へと形成し、該麺線をカスリによって切刃ロールから剥ぎ取り、各麺線を隣り合う麺線とは非並行状態で略螺旋状となるように屈曲させながらコンベア上に積層し、扁平な麺線の束として配列させる配列工程」は、上記(甲1d)のとおり、麺生地を一対の切刃ロール間を通過させることによって複数の麺線へと形成し、麺線とカスリ剥離歯とを接触させることにより切刃ロールから麺線を剥離させ、稼働中のコンベア上に落下させるものであるから、前記コンベアは切刃ロールの直下に設けられていることは明らかである。そして、切刃ロールとコンベアは任意の速度で稼働していることも自明な事項であるから、両者は所定の速度比を有するといえる。
一方、本件特許明細書【0027】?【0035】には、切出工程について、「麺線とカスリ剥離歯とを接触させることにより切刃ロールから麺線を剥離させ、切刃ロールの下に配置された稼働中のコンベア(本実施例では、蒸煮コンベア)上に落下させる」ことや、「蒸煮コンベアに落下する場合の麺線の状態や蒸煮コンベアに落下後の麺線の積層状態は、麺線の切出し速度、蒸煮コンベアの速度、切刃から麺線を剥離する際の位置等によって異なる」ことなどが記載されており、本件特許発明1の「(切り出し工程)」は、麺線をカスリによって剥ぎ取る工程や、麺線をコンベア上に積層する工程を包含しているといえる。
したがって、甲1発明の「一対の切刃ロール間を通過させることによって麺生地を複数の麺線へと形成し、該麺線をカスリによって切刃ロールから剥ぎ取り、各麺線を隣り合う麺線とは非並行状態で略螺旋状となるように屈曲させながらコンベア上に積層し、扁平な麺線の束として配列させる配列工程」と、本件特許発明1の「切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比が3以上6以下となるように麺線を切り出す工程(切り出し工程)」とは、「切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比が所定の速度比で麺線を切り出す工程(切り出し工程)」である点で共通する。

(イ)甲1発明の「前記配列工程後の麺線の状態を保持したまま、麺線を蒸煮する蒸煮工程」は、上記(甲1f)のとおり、コンベアに載せたままの麺線を蒸煮し、α化させる工程である。
そして、本件特許発明1の「(湿熱処理工程)」における「湿熱処理」は、本件特許明細書【0017】に「特許請求の範囲に記載の『湿熱処理』とは、麺線をα化できる湿熱処理であれば本概念に含まれる」と記載されているように、麺線をα化する処理を含むものである。
したがって、甲1発明の「前記配列工程後の麺線の状態を保持したまま、麺線を蒸煮する蒸煮工程」は、本件特許発明1の「前記切り出された麺線を湿熱処理する工程(湿熱処理工程)」に相当する。

(ウ)本件特許明細書【0038】に、延伸工程について「湿熱処理工程後の麺線Nを、一定方向に伸ばし、麺線の結着を解消してまっすぐな状態へと調整する」ことと記載されている。
したがって、甲1発明の「前記蒸煮工程後の麺線を一定方向に伸ばす延伸工程」は、本件特許発明1の「前記湿熱処理された麺線を前記コンベアよりも速度の速い搬送コンベアに少なくとも2回以上乗り移らせる工程(延伸工程)」と、「前記湿熱処理された麺線を伸ばす延伸工程(延伸工程)」である点で共通する。

(エ)甲1発明は、「前記延伸工程後の麺線の一定量を切断する切断工程」と、「前記切断工程後の麺線を乾燥する乾燥工程」とを有するが、本件特許発明1の麺類の製造方法は、切断工程及び乾燥工程を有していてもよいものであるから(本件特許明細書【0049】?【0052】参照)、この点は両発明における相違点とはならない。

(オ)甲1発明は、「即席麺の製造方法」であるが、本件特許発明1は、即席麺を製造する方法も包含しているから(本件特許明細書の実施例など参照)、甲1発明の「即席麺の製造方法」は、本件特許発明1の「麺類の製造方法」に相当する。

(カ)以上のことから、両発明は、次の一致点及び相違点1及び相違点2を有する。

一致点:
「切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比が所定の速度比で麺線を切り出す工程(切り出し工程)と、
前記切り出された麺線を湿熱処理する工程(湿熱処理工程)と、
前記湿熱処理された麺線を伸ばす延伸工程(延伸工程)と、を含む麺類の製造方法。」である点。

相違点1:
「切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比」について、本件特許発明1では、「3以上6以下」と特定しているのに対し、甲1発明では、速度比について特定していない点。

相違点2:
延伸工程について、本件特許発明1では、「前記湿熱処理された麺線を前記コンベアよりも速度の速い搬送コンベアに少なくとも2回以上乗り移らせる工程(延伸工程)」であって、「前記搬送コンベアは第一搬送コンベアと第二搬送コンベアとを少なくとも含み」、「前記第一搬送コンベアの速度は前記麺線の切り出し速度の0.5?0.7倍の速度であり」、「前記第二搬送コンベアの速度は前記麺線の切り出し速度と等速である」と特定しているのに対し、甲1発明では、「前記蒸煮工程後の麺線を一定方向に伸ばす延伸工程」と特定している点。

イ 判断
上記相違点1及び相違点2について検討する。

(ア)相違点1について
甲1の上記(甲1e)には、「切刃ロールの麺線切出し速度は、コンベア搬送速度よりも大であることが必要となる。」、「切刃ロールの切出し速度は、コンベア搬送速度の3倍以上20倍以下の範囲であることが好ましい。・・・切刃ロールの切出し速度は、コンベア搬送速度の5倍以上10倍以下の範囲であることがよりに好ましい。」と記載されている。
そして、上記(甲1g)の[実施例]には、「麺線の落下速度(切り出し速度)は1000cm/分、コンベア搬送速度は170cm/分とし、一対の切刃ロールの接合部と、コンベアとの間の距離は5cmとした。」と記載されており、切刃ロールの麺線切出し速度とコンベア搬送速度の速度比を算出すると、約5.88(1000÷170)である。
そうすると、甲1発明において、「切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比」について、3倍以上20倍以下の範囲内、好ましくは5倍以上10倍以下の範囲との記載や、実施例の約5.88倍から、本件特許発明1の「3以上6以下」程度の速度比とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(イ)相違点2について
a 甲1の上記(甲1f)には、延伸工程について、「本発明の延伸工程は、延伸させる前の麺線の状態が異なる以外は、通常の即席麺の製造方法における延伸工程とほぼ同じである。例えば、蒸煮時のコンベアから搬送速度を高めたコンベアを乗り移らせるという方法で、α化させた麺線の束をまっすぐな状態へと調整する。なお、この際の延伸するためのコンベアの速度は、切出し時の切刃ロールの切出し速度程度が好適である。」と記載されている。また、甲1の上記(甲1g)の[実施例]には、延伸工程について、「蒸煮コンベアから搬送速度を速めたコンベアに乗り移らせるという手段によって延伸」したことが記載されている。
そうすると、甲1発明の「前記蒸煮工程後の麺線を一定方向に延ばす延伸工程」は、通常の即席麺の製造方法における延伸工程とほぼ同じであり、蒸煮工程後の麺線を蒸煮時のコンベアよりも速度の速い延伸するためのコンベアに乗り移らせること、この延伸するためのコンベアの速度は切出し速度程度が好ましいことが示されているといえるが、蒸煮工程後の麺線を蒸煮時のコンベアよりも速度の速い延伸するためのコンベアに少なくとも2回以上乗り移らせること、延伸するためのコンベアが第一のコンベアと第二のコンベアとを少なくとも含むこと、第一のコンベアの速度が切出し速度の0.5?0.7倍の速度であり、第二のコンベアの速度が切出し速度と等速であることについては記載も示唆もされていない。

b 甲1は、既存の製造ラインを可能な限り維持して、湯戻し時にウェーブの少ないストレート化した麺となる即席麺の製造方法に関し(上記(甲1b))、従来の製造方法で調製したウェーブのかかった状態の麺線では、蒸煮工程後に麺線を引っ張っても湯戻し時にストレート麺となる即席麺を製造することが困難であったが、切出し後のコンベア上の麺の積層状態が特定となる配列工程を有するようにし、蒸煮後に麺線を延伸することでストレート化できるようにしたものである(上記(甲1c)、(甲1d))。
すなわち、可能な限り既存の製造ラインを用いて湯戻し時にストレート化した麺となる即席麺を製造することを目的とし、麺生地から麺線を切り出してコンベア上に配列する工程について、従来のウェーブのかかった麺線となる方法とは異なる方法を採用したものであるが、延伸工程については、従来の装置をそのまま用いているといえる。

c ここで、麺類の製造方法について、甲2、3、6には、蒸煮処理後の麺線に延伸処理を行うにあたり、2つのコンベアを用いて、麺線を2回乗り移らせる方法が記載されており、後段のコンベアの速度が前段のコンベアの速度と比較して速いこと、例えば1:4程度の麺線が切断されない比率が好ましいことが記載されている(上記(甲2a)、(甲2b)、(甲2c)、(甲3a)、(甲3b)、(甲6a)、(甲6b))。
しかしながら、甲2、3は、いずれもウェーブのかかった状態の麺線を調製する工程を有するものであり、ウェーブを延伸した状態でカットするために麺線を延伸するものである(上記(甲2a)、(甲2b)、(甲3a))。
また、甲6は、麺帯から切出した麺線を群列に分割する方法に関し(上記(甲6a)、(甲6b))、甲2?5、7?9の記載からみて、延伸工程に関する部分は既存の製造ラインとはいえない。
そうすると、可能な限り既存の製造ラインを用いて、従来のウェーブのかかった麺線の調製工程ではなく特定の配列工程とすることにより、湯戻し時にストレート化した即席麺を製造することを目的とする甲1発明において、甲2、3、6に開示されている2つのコンベアを用いて延伸する工程に関する技術を採用する動機がない。

d 甲5には、麺類の製造方法について、ウェーブの付いた麺又はストレートの麺を問わず様々なタイプに利用できる方法において、蒸煮された麺線を速度比が1:4程度の搬送コンベアから引張りコンベアへと乗り移らせて直線的に延伸させる方法が記載されている(上記(甲5b)、(甲5c))。
しかしながら、甲5は、切り出されて蒸煮されα化された麺線群の処理に着目したものであり、麺線の切り出し速度に関する記載はなく、搬送コンベア及び引張りコンベアの速度をそれぞれ麺線の切り出し速度との関連で特定することについても何ら記載されていない(上記(甲5a))。
延伸処理を行うにあたり、2つのコンベアを用いることを開示する甲2、3、6にも、麺線の切り出し速度に対する2つのコンベアの速度についての記載はない。
したがって、甲5の記載から、2つのコンベアを用いて延伸する工程を採用するとしても、これら2つのコンベアの速度それぞれを麺線の切り出し速度との関連で0.5?0.7倍及び等速に特定する動機がない。

e 甲4、7?9には、麺線の切り出し速度に対し、蒸煮処理時のコンベアの速度が遅いこと、延伸処理時のコンベアの速度は、蒸煮処理時のコンベアの速度より速いこと、また、延伸処理時のコンベアの速度は、麺線の切り出し速度と同程度であることが記載されている(上記(甲4a)、(甲7a)、(甲7b)、(甲8a)、(甲8b)、(甲9a)、(甲9b))。
しかしながら、甲4、7?9は、2つのコンベアを用いて延伸処理を行うものではない。そして、甲4は、ウェーブのかかった状態の麺線を調製する工程を有するものであり、ウェーブを伸ばした状態で水を散布するために、蒸煮処理時のコンベアと延伸処理時のコンベアの速度比を1:1.5?1:4として麺線を延伸するものである(上記(甲4a))。また、甲7?9は、上記(ア)及び上記a、bで検討した甲1に開示されている技術的事項と同程度のことを開示するに留まる。

f そうすると、甲2?9に記載の技術的事項及び周知の事項から、甲1発明において、延伸工程を、蒸煮工程後の麺線を蒸煮時のコンベアよりも速度の速い延伸するためのコンベアに少なくとも2回以上乗り移らせるようにし、延伸するためのコンベアが第一のコンベアと第二のコンベアとを少なくとも含むとともに、第一のコンベアの速度が切出し速度の0.5?0.7倍の速度であり、第二のコンベアの速度が切出し速度と等速であるようにすることを、当業者が動機付けられたということはできない。
そして、本件特許発明1は、請求項1に記載された発明特定事項とすることで、本件特許明細書の実施例3及び4に示されるとおりの、麺線同士の結着が解かれ、麺線がストレート状に伸びた状態となり、麺重量のばらつきが少ない麺類を製造できるという効果を奏するものである。

ウ 小括
よって、本件特許発明1は、甲1に記載された発明並びに甲2?9に記載の技術的事項及び周知の事項に基づき当業者が容易になし得たものということはできない。

(3)本件特許発明2について
ア 対比
(ア)本件特許発明2は、本件特許発明1では、「前記第一搬送コンベアの速度は前記麺線の切り出し速度の0.5?0.7倍の速度であり、前記第二搬送コンベアの速度は前記麺線の切り出し速度と等速である」と特定していたものを、「前記第一搬送コンベアの速度は前記コンベア速度の3?5倍の速度であり、前記第二搬送コンベアの速度は前記第一搬送コンベア速度の1.4?2倍の速度である」と特定したこと以外は、本件特許発明1と同じ麺類の製造方法の発明である。

(イ)よって、両発明は、次の一致点及び相違点1及び相違点2’を有する。

一致点:
「切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比が所定の速度比で麺線を切り出す工程(切り出し工程)と、
前記切り出された麺線を湿熱処理する工程(湿熱処理工程)と、
前記湿熱処理された麺線を伸ばす延伸工程(延伸工程)と、を含む麺類の製造方法。」である点。

相違点1:
「切刃ロールによって切り出される麺線の切り出し速度と切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度との速度比」について、本件特許発明2では、「3以上6以下」と特定しているのに対し、甲1発明では、速度比について特定していない点。

相違点2’:
延伸工程について、本件特許発明2では、「前記湿熱処理された麺線を前記コンベアよりも速度の速い搬送コンベアに少なくとも2回以上乗り移らせる工程(延伸工程)」であって、「前記搬送コンベアは第一搬送コンベアと第二搬送コンベアとを少なくとも含み」、「前記第一搬送コンベアの速度は前記コンベア速度の3?5倍の速度であり」、「前記第二搬送コンベアの速度は前記第一搬送コンベア速度の1.4?2倍の速度である」と特定しているのに対し、甲1発明では、「前記蒸煮工程後の麺線を一定方向に伸ばす延伸工程」と特定している点。

イ 判断
上記相違点1及び相違点2’について検討する。

(ア)相違点1について
上記(2)イ(ア)で検討したとおり、相違点1は当業者が容易になし得たことである。

(イ)相違点2’について
a 甲1の上記(甲1e)には、切刃ロールの切出し速度は、コンベア搬送速度の3倍以上20倍以下の範囲であることが好ましく、5倍以上10倍以下の範囲であることがよりに好ましいことが記載されている。
また、甲1の上記(甲1f)には、延伸するためのコンベアの速度は、切出し時の切刃ロールの切出し速度程度が好適であることが記載されている。
ここで、甲1発明は、切刃ロールにより麺線を形成してこれをコンベア上に積層し、その状態を保持したまま蒸煮し、その後延伸するものであるから、先の「コンベア搬送速度」は、蒸煮工程のコンベアの搬送速度といえる。
そうすると、延伸するためのコンベアの速度は、切刃ロールの切出し速度程度が好適とあることから、コンベア搬送速度の3倍以上20倍以下、好ましくは5倍以上10倍以下の範囲と理解できる。

b 延伸工程について、上記(2)イ(イ)aで検討したことも考慮すると、甲1発明の「前記蒸煮工程後の麺線を一定方向に延ばす延伸工程」は、通常の即席麺の製造方法における延伸工程とほぼ同じであり、蒸煮工程後の麺線を蒸煮時のコンベアよりも速度の速い延伸するためのコンベアに乗り移らせること、この延伸するためのコンベアの速度は切出し速度程度が好ましく、蒸煮時のコンベアの速度の3倍以上20倍以下、好ましくは5倍以上10倍以下の範囲であることが示されているといえるが、蒸煮工程後の麺線を蒸煮時のコンベアよりも速度の速い延伸するためのコンベアに少なくとも2回以上乗り移らせること、延伸するためのコンベアが第一のコンベアと第二のコンベアとを少なくとも含むこと、第一のコンベアの速度が蒸煮時のコンベア速度の3?5倍の速度であり、第二のコンベアの速度が第一のコンベア速度の1.4?2倍の速度であることについては記載も示唆もされていない。

c ここで、麺類の製造方法について、甲3、5には、蒸煮処理後の麺線に延伸処理を行うにあたり、2つのコンベアを用い、後段のコンベアの速度が前段のコンベアの速度と比較して1:4程度の比が好ましいことが記載されている(上記(甲3a)、(甲5b))。
しかしながら、延伸工程について、上記(2)イ(イ)b?cで検討したのと同様に、甲1発明において、甲2、3に開示されている2つのコンベアを用いて延伸する工程に関する技術を採用する動機はない。
また、上記(2)イ(イ)dで検討したのと同様に、甲5は、切り出されて蒸煮されα化された麺線群の処理に着目したものであり、麺線の切り出し速度や蒸煮処理速度に関する記載はなく、搬送コンベアの速度を麺線の切り出し速度や蒸煮処理速度との関連で特定することについても何ら記載されていない(上記(甲5a))。
そして、甲4に開示された事項は、上記(2)イ(イ)eで検討したとおりである。

d したがって、甲2?5に記載の技術的事項及び周知の事項から、甲1発明において、延伸工程を、蒸煮工程後の麺線を蒸煮時のコンベアよりも速度の速い延伸するためのコンベアに少なくとも2回以上乗り移らせるようにし、延伸するためのコンベアが第一のコンベアと第二のコンベアとを少なくとも含むとともに、第一のコンベアの速度が蒸煮時のコンベア速度の3?5倍の速度であり、第二のコンベアの速度が第一のコンベアの速度の1.4?2倍の速度であるようにすることを、当業者が動機付けられたということはできない。
そして、本件特許発明2は、請求項2に記載された発明特定事項とすることで、本件特許明細書の実施例3及び4に示されるとおりの、麺線同士の結着が解かれ、麺線がストレート状に伸びた状態となり、麺重量のばらつきが少ない麺類を製造できるという効果を奏するものである。

ウ 小括
よって、本件特許発明2は、甲1に記載された発明並びに甲2?5に記載の技術的事項及び周知の事項に基づき当業者が容易になし得たものということはできない。

(4)本件特許発明3について
ア 対比・判断
本件特許発明3は、本件特許発明1又は2を引用して、「前記湿熱処理工程と前記延伸工程との間に、湿熱処理された麺線に対して水分を付与する工程をさらに含む」と特定するものである。
この点について、甲1には、上記(甲1f)に、延伸する場合には、蒸煮後の麺に水シャワーをかけてから延伸してもよいことが記載されており、本件特許発明3で新たに追加された技術的事項は、当業者が容易になし得たことといえる。
しかしながら、上記(2)及び(3)で検討したとおり、本件特許発明1又は2が、甲1発明並びに甲2?9に記載の技術的事項及び周知の事項に基づき当業者が容易になし得たものということができないのであるから、本件特許発明1又は2の発明特定事項を全て含みさらなる限定を追加した本件特許発明3も、同様に当業者が容易になし得たものということはできない。

イ 小括
よって、本件特許発明3は、甲1に記載された発明並びに甲2?9に記載の技術的事項及び周知の事項に基づき当業者が容易になし得たものということはできない。

(5)申立人の主張について
申立人は、甲2及び3の記載から、即席麺の連続製造において、湿熱処理された麺線を略直線状態に引き延ばすために、コンベアに2回乗り移らせることは周知であり、甲1発明において、湿熱処理工程後の麺線を第一搬送コンベアと第二搬送コンベアに2回乗り移らせて麺線を略直線状態に引き延ばし、切断される麺重量の誤差を小さくすることは、当業者であれば容易に行うことである旨主張する(申立書7頁(i)及び12頁(i))。
しかしながら、甲2及び3は、ウェーブがかかった麺線のウェーブを一時的に十分に伸ばすために2つのコンベアを用いるものであり(上記(甲2a)、(甲2b)、(甲3a))、即席麺の連続製造における周知技術であるとまではいえない。
また、仮に周知技術であるとしても、甲2及び3は、ウェーブがかかった麺線のウェーブを十分に伸ばすために用いられている方法であり、これを、ストレート麺の製造を目的とし、ウェーブがかかった麺線の調製とは異なる方法を採用する甲1発明に適用する動機がないことは、上記(2)及び(3)で検討したとおりである。
そして、申立人の他の主張は、いずれも湿熱処理された麺線を、コンベアに2回乗り移らせることは容易であることを前提とするものであり、採用できない。
また、仮に容易であるとしても、上記(2)及び(3)で検討したとおり、甲2?9及び周知の事項から、2つのコンベアの速度比それぞれについて、本件特許発明1及び2のとおりに特定するに足りる理由は見あたらない。
よって、申立人の主張は採用できない。

(6)まとめ
以上のとおり、本件特許発明1?3は、甲1に記載された発明並びに甲2?9に記載の技術的事項及び周知の事項に基いて当業者に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項に規定により特許を受けることができないとはいえない。
したがって、本件特許発明1?3に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものとはいえない。

2 取消理由2(サポート要件)について
申立人は、本件特許発明1?3は、いわゆるサポート要件を満たしていないと主張するので検討する。

(1)本件特許発明の解決しようとする課題
本件特許発明1の解決しようとする課題は、麺線の切り出し工程、湿熱処理工程及び延伸工程を含む麺類の製造方法において、麺線の切り出し速度(以下、「切り出し速度」ともいう。)と、切刃ロールの直下に設けたコンベアの速度(以下、「蒸煮コンベア速度」ともいう。)との速度比が3以上6以下であり、第一搬送コンベアの速度(以下、「第一コンベア速度」ともいう。)及び第二搬送コンベアの速度(以下、「第二コンベア速度」ともいう。)が蒸煮コンベア速度より速く、第一コンベア速度が切り出し速度の0.5?0.7倍であり、第二コンベア速度が切り出し速度と等速である、麺重量のばらつきを減らし、麺線がストレート状になっている麺類の製造方法を提供することにあると認められる。
また、本件特許発明2の解決しようとする課題は、麺線の切り出し工程、湿熱処理工程及び延伸工程を含む麺類の製造方法において、切り出し速度と蒸煮コンベア速度との速度比が3以上6以下であり、第一コンベア速度及び第二コンベア速度が蒸煮コンベア速度より速く、第一コンベア速度が蒸煮コンベア速度の3?5倍であり、第二コンベア速度が第一コンベア速度の1.4?2倍である、麺重量のばらつきを減らし、麺線がストレート状になっている麺類の製造方法を提供することにあると認められる。
そして、本件特許発明3の解決しようとする課題は、それぞれ本件特許発明1又は2の麺類の製造方法において、湿熱処理工程と延伸工程との間に、湿熱処理された麺線に対して水分を付与する工程をさらに含む、麺類の製造方法を提供することにあると認められる。

(2)判断
ア 本件特許明細書【0011】の「複雑な装置を使うことなく」、【0023】の「複雑な装置を用いることなく」との記載、及び【0026】の「図1は、一般的な即席麺の製造工程の一部を示す概略説明図である。」との記載及び本件特許明細書全体の記載からみて、本件特許発明1?3の麺類の製造方法は、一般的な麺類の製造方法で採用されている装置を用いるものであることが理解できる。
また、本件特許明細書【0011】の「湿熱処理によってα化された麺線を、等速または速度の異なるコンベアに少なくとも2回以上乗り移らせることで、麺線の結着を解消するとともに、麺線を引き千切ることなくストレート状に延伸することができる」との記載及び本件特許明細書【0023】の「複雑な装置を用いることなく麺線の結着を解消し、麺線をストレート状に延伸することができる。また、一定長に麺線をカットすることが容易となるため、麺重量のばらつきを軽減でき、生産性を向上することができる。」との記載から、本件特許発明1?3が、速度の異なる第一搬送コンベア及び第二搬送コンベアとを含む搬送コンベアに少なくとも2回以上乗り移らせる工程を有することで、麺重量のばらつきを軽減でき、ストレート状になっている麺類の製造方法となることも理解できる。

イ そして、本件特許発明1?3における、切り出し速度と蒸煮コンベア速度との速度比が3以上6以下であることについて、本件特許明細書【0032】?【0034】に「麺線切出し速度は、蒸煮コンベアの速度よりも速いことが必要となる。・・・麺線の切出し速度が蒸煮コンベアの速度よりもさらに速くなれば、麺線はコンベア上で縦横に振れながら切り出される。そして、これらの麺線が連続的に堆積することで、麺線同士が点接触で多層に積み重なり合った積層体を得ることができる。・・・速度比が2未満では、麺線がほぼ直線状または波形状に切り出され、速度比が20を超えると麺線の積層量が多くなりすぎ、後述する湿熱処理工程で蒸しが不十分になる恐れが生じるためである。」と説明されており、切り出し速度と蒸煮コンベア速度との速度比が2以上20以下の範囲内である3以上6以下である製造方法は、麺線が所望の積層状態となり、蒸しが不充分になる恐れがない製造方法であることがわかる。

ウ また、本件特許発明1及び3における、第一コンベア速度及び第二コンベア速度が蒸煮コンベア速度より速く、第一コンベア速度が切り出し速度の0.5?0.7倍であり、第二コンベア速度が切り出し速度と等速であることについて、本件特許明細書【0041】?【0042】に「第一搬送コンベア51は、蒸煮コンベア30の直後に配置されたコンベアである。第一搬送コンベア51の速度は、麺線の切り出し速度の0.3?1.5倍であることが好ましく、0.5?1倍であることがより好ましい。第一搬送コンベア51の速度が、麺線の切り出し速度の0.3倍未満だと、麺線はほとんど延伸されることなく、そのままコンベア上を移動していってしまう。一方、第一搬送コンベア51の速度が、麺線の切り出し速度の1.5倍よりも大きくなってしまうと、麺線に過剰な力がかかり千切れてしまう恐れがある。」と説明されており、第一コンベア速度が切り出し速度の0.3?1.5倍の範囲内である0.5?0.7倍である製造方法は、麺線が千切れることなく適度に延伸された麺類を製造できる方法であることがわかる。
さらに、本件特許明細書【0043】?【0044】に「第二搬送コンベア52は、第一搬送コンベア51の直後に配置されたコンベアである。第二搬送コンベア52の速度は、麺線の切り出し速度の1?3倍であることが好ましく、1?2倍であることがより好ましい。第二搬送コンベア52の速度が、第一搬送コンベア51の速度よりも遅い場合、麺線Nを延伸することができないばかりか、麺線Nが第二搬送コンベア52上に溜まってしまい、せっかく延伸した麺線Nが再度重なり合うなどしてしまう。一方、第二搬送コンベア52の速度が、麺線の切り出し速度の3倍よりも大きくなってしまうと、麺線Nに過剰な力がかかる。その結果、麺線の太さ(径)が変化するか、千切れてしまうか、又は、第二搬送コンベアに供給される麺線Nが追いつかず、延伸された麺線Nが第二搬送コンベア52上で滑ってしまい、麺線表面を傷つける恐れがある。」と説明されており、第二コンベア速度が切り出し速度の1?3倍の範囲内である等速であり、第一コンベア速度(切り出し速度の0.5?0.7倍)より速い方法である製造方法は、延伸した麺線が再度重なり合うことがなく、麺線の太さが変化したり千切れてしまったり、コンベア上で滑ってしまうことがない、麺類の製造方法であることも理解できる。
そして、蒸煮コンベア速度は切り出し速度の1/6?1/3倍(約0.17?0.33倍)であるから、それぞれ切り出し速度の0.5?0.7倍及び等速である第一コンベア速度及び第二コンベア速度が、蒸煮コンベア速度より速いことが理解でき、このことは、甲7?9にもあるとおり(前記1(2)イ(イ)e参照)、麺類の製造方法における普通の条件であるといえる。

エ また、本件特許発明2及び3における、第一コンベア速度が蒸煮コンベア速度の3?5倍とは、切り出し速度を基準として計算すると約0.17?0.33(蒸煮コンベア速度)×3?5=約0.51?1.65であり、これに基づいて第二コンベア速度が第一コンベア速度の1.4?2倍を算出すると、約0.51?1.65×1.4?2=約0.7?3.3である。
したがって、上記ウの理解と同様に、本件特許発明2及び3の方法は、麺線が千切れることなく適度に延伸された麺類であって、延伸した麺線が再度重なり合うことがなく、麺線の太さが変化したり千切れてしまったり、コンベア上で滑ってしまうことがない、麺類の製造方法であることが理解できる。
なおここで、上記のように数値範囲を最大限に捉えて算出すると、第二コンベア速度が切り出し速度の1未満の値を取り得ることとなるが、本件特許明細書全体の記載から、そのような数値となる製造方法を意味していないことは明らかである。

オ そして、本件特許発明1?3の発明特定事項を全て満たす本件特許明細書の実施例3及び4には、本件特許発明1?3の麺類の製造方法は、カットした麺重量のばらつきが少なく、麺線同士の結着が解かれ、麺線がストレート状に延びた状態の麺類を製造できることが示されている。

カ 小括
上記した本件特許明細書の記載から、本件特許発明1?3の麺類の製造方法の提供という課題が解決できることを理解できるといえ、本件特許発明1?3が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満足しないとはいえない。

(3)申立人の主張について
ア 申立人は、申立書14?16頁において、本件特許発明1?3の課題を、本件特許明細書【0010】の記載を根拠として、「延伸工程において、麺線が引き千切れることなく結着を解き、麺線をストレート状に延伸することができる麺の製造方法の提供」にあるとしたうえで、次のように主張する。
(i)課題を解決するためには、切り出し工程における切刃ロールに誘導管を使用しないこと、任意の隣接するカスリ剥離歯2つの接触位置が切刃ロールの周方向において異なる切刃ロールとすることが必須の条件であるが、本件特許発明1?3には、それらが特定されていない。
(ii)本件特許明細書には、即席麺の製造方法しか記載されておらず、即席麺以外の麺類(チルド麺や冷凍麺など)の製造方法においても同じ構成により上記課題を解決できることまではサポートされていない。
(iii)本件特許明細書には、本件特許発明の実施例である実施例3及び4には、切り出し速度と第二コンベア速度が等速である例のみが開示されているのに対し、本件特許発明2の構成では、第二コンベア速度が切り出し速度の3倍を超える場合を含み、そのような条件では、延伸工程において麺線が切断されてしまう可能性が極めて高い。

イ そこで、申立人の主張について順に検討する。
(i)について
本件特許明細書【0030】?【0031】に、誘導管を用いず、カスリ剥離刃の位置を調節することで、麺線を同調させずに湾曲させながら蒸煮コンベアに落下させることが可能となることが説明されており、【0004】に、先行技術文献として示される特許文献1には、麺線が縦横に振れながら切り出させることが開示されていると記載されている。ここで、特許文献1は、甲1の特許公報であり、誘導管を用いず、カスリ剥離刃の位置を調節する技術が開示されている。
そうすると、誘導管を用いず、カスリ剥離刃の位置を調節する技術は、本件特許出願前に周知の事項となっていたといえ、本件特許発明1?3において周知の事項を特定していないことが、課題を解決するための手段が反映されていないこととはいえない。
(ii)について
本件特許明細書【0050】に、「なお、このように湿熱処理後に切断した蒸煮麺はそのまま包装して利用することも可能である。すなわち、蒸煮麺とは、生麺を湿熱処理した後に切断及び袋詰めされ、チルド商品として流通しているものをいうが、本発明により製造した蒸煮麺はウェーブがほとんど無く、略直線状のストレート麺となるため独特の食感を得ることができる。このため、汁有りタイプのラーメン、うどんや蕎麦、または、汁無しタイプのやきそばやパスタ等にも利用できる。」と説明され、それに続けて、即席麺を製造するためには、乾燥工程を経ることが説明されている。
したがって、本件特許発明1?3は、即席麺に限定されているものでもなく、本件特許明細書全体の記載から、即席麺以外の麺類の製造方法であっても、当業者であれば課題を解決し得ると認識できるといえる。
(iii)について
上記(2)エでも検討したとおり、本件特許発明2について、数値範囲を最大限に捉えて算出すると、第二コンベア速度が切り出し速度の1未満の値や3を超える値を取り得ることとなるが、本件特許明細書全体の記載から、そのような数値となる製造方法を意味していないことは明らかである。
このことは、申立人も、「即席麺などの麺類連続生産においては、製造途中において麺線が切断して連続生産が維持できなくなることを防ぐために、切断工程直前の搬送コンベアの速度については切刃ロールと等速程度とすることが通常である。」(15頁下から3?1行)と主張しているように、当業者であれば、明らかに実施できない条件を意味していないと理解するものである。

ウ そして、本件特許発明1?3の解決しようとする課題は、上記(1)で認定したとおり、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明を提供することであって、上記(2)のとおり特許請求に範囲の記載は、当業者が課題を解決できると認識できる範囲のものである。
申立人の主張はいずれも採用することができない。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-07-25 
出願番号 特願2014-48633(P2014-48633)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A23L)
P 1 651・ 537- Y (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 坂崎 恵美子  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 関 美祝
中島 庸子
登録日 2018-09-14 
登録番号 特許第6399768号(P6399768)
権利者 日清食品ホールディングス株式会社
発明の名称 麺類の製造方法  
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