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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65G
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65G
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B65G
管理番号 1354121
異議申立番号 異議2019-700207  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-18 
確定日 2019-08-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第6390068号発明「無人運搬装置によって貨物を配達するための方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6390068号の請求項1ないし18に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6390068号の請求項1ないし18に係る特許についての出願は、2015年4月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年4月11日 ドイツ連邦共和国(DE))を国際出願日とする出願であって、平成30年8月31日にその特許権の設定登録がされ、平成30年9月19日に特許掲載公報が発行され、平成31年3月18日に特許異議申立人中田覚史(以下、「異議申立人」という。)により全請求項に対して特許異議の申立てがされた。

第2 本件発明
特許第6390068号の請求項1ないし18の特許に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明18」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
無人飛行運搬装置によって貨物を前記貨物用の収容コンテナに配達するための方法であって、
複数の地理座標に基づいて前記収容コンテナと関連付けられた目的地域の中に前記無人飛行運搬装置を移動させる段階と、
前記無人飛行運搬装置が前記目的地域に到達し次第、前記運搬装置を前記収容コンテナとペアリングする段階と、
前記収容コンテナと前記無人飛行運搬装置との間で電子許可情報をやり取りする段階と、
前記収容コンテナによって、許可に関して前記許可情報をチェックする段階と、
前記許可が存在する場合、前記収容コンテナによって前記貨物用の移動装置を作動させる段階と、
前記無人飛行運搬装置、前記移動装置、及び前記収容コンテナのうちの少なくとも1つによって、前記無人飛行運搬装置から前記移動装置へ、前記移動装置から前記無人飛行運搬装置へ、又は、前記無人飛行運搬装置から前記移動装置へ及び前記移動装置から前記無人飛行運搬装置へ、前記貨物を移動させる段階と
を備え、
前記移動装置の作動は、貨物を前記収容コンテナに入れる、前記収容コンテナから収集する、若しくは、前記収容コンテナに入れ、及び前記収容コンテナから収集すべく前記収容コンテナの天井又は側壁の開口部を開くことを含む、前記無人飛行運搬装置用のドッキング装置の延伸及び配備のうちの少なくとも一方を含む、又は、
貨物を前記収容コンテナに入れる、前記収容コンテナから収集する、若しくは、前記収容コンテナに入れ、及び前記収容コンテナから収集すべく前記収容コンテナの天井又は側壁の開口部を開くことを含んで、かつ前記無人飛行運搬装置用のドッキング装置の延伸及び配備のうちの少なくとも一方を含む、方法。
【請求項2】
前記無人飛行運搬装置を前記収容コンテナから離れるように移動させる段階、及び
前記移動装置を停止する段階
のうちの少なくとも1つを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記運搬装置を前記収容コンテナとペアリングする前記段階は、前記収容コンテナによって発せられた位置特定信号の前記無人飛行運搬装置による検出を含み、前記方法はまた、前記位置特定信号に基づいて前記無人飛行運搬装置が前記収容コンテナに接近する段階を備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記収容コンテナに、前記無人飛行運搬装置が前記目的地域の中に移動したことを通知する段階と、
前記通知に応答して、前記運搬装置を前記収容コンテナとペアリングする、特に、請求項2に従って前記位置特定信号を前記収容コンテナによって有効にする段階と、
を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記移動装置は自己移動型である、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記無人飛行運搬装置が前記収容コンテナに接近する前記段階は、前記無人飛行運搬装置を前記収容コンテナ上へ位置固有の接続をする段階、特にドッキングする段階を備える、請求項3から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電子許可情報は、Bluetooth(登録商標)、WLAN、GSM(登録商標)、NFC、RFID、及び電子無線信号のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電子許可情報の前記やり取りは、前記無人飛行運搬装置による前記収容コンテナへの前記電子許可情報の放出を備える、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記許可情報は、前記無人飛行運搬装置上の携帯型電子機器上、特に、RFIDタグ又はNFCタグ上に格納される、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記許可情報は、限定された有効期間を有する、許可の証明のために所定回数使用した後に無効になる、又は、限定された有効期間を有して、許可の証明のために所定回数使用した後に無効になる、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記貨物の移動は、前記収容コンテナ及び前記移動装置のうちの少なくとも1つによって、前記貨物を前記無人飛行運搬装置から下すこと、及び、前記移動装置及び前記貨物のうちの少なくとも1つを持ち上げること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記貨物を移動させるべく、前記無人飛行運搬装置及び前記収容コンテナのうちの少なくとも1つによる、前記貨物を把持する段階、掛止する段階、及び吸引する段階のうちの少なくとも1つを備える、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記無人飛行運搬装置と前記収容コンテナとの間での前記貨物の前記移動を検出する段階、記録する段階、写真に収める段階、フィルムに収める段階及びスキャンする段階のうちの少なくとも1つと、前記貨物が移動させられたとき、前記貨物を検出する段階、記録する段階、写真に収める段階、フィルムに収める段階、及びスキャンする段階のうちの少なくとも1つと、のうちの少なくとも1つ
を備える、請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記無人飛行運搬装置が前記収容コンテナに向かって移動中であることを通知するメッセージを前記収容コンテナに電子的に送信する段階と、前記貨物が前記収容コンテナによって移動させられ次第、移動メッセージを電子的に送信する段階とのうちの少なくとも1つ
を備える、請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
位置特定信号は、計器着陸システムによるビーム、並びに、水平誘導信号及び垂直誘導信号のうちの少なくとも1つとして具体化される、請求項12から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記収容コンテナ及び前記移動装置のうちの少なくとも1つによって前記無人飛行運搬装置の再充電可能バッテリを充電する段階
を備える請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16の何れか一項に記載の方法を実行するよう設計され、飛行用機械として、特に、航空機として、UAVとして、ドローンとして、パーセルコプタとして、ヘリコプタとして、マルチコプタとして、クアッドコプタとして、ティルトウィング航空機として、車両として、又は浮遊物体として具体化された無人飛行運搬装置。
【請求項18】
請求項1から16の何れか一項に記載の方法を実行するよう設計され、郵便ボックス、小包用ボックス、郵便及び小包用ボックス、並びに、前記貨物を受け取るための小包の配達及び集荷拠点のうちの少なくとも1つとして具体化された収容コンテナ。」

第3 申立理由の概要
1 特許法第29条第2項(進歩性)について
異議申立人は、主たる証拠として以下の甲第1号証を、従たる証拠として以下の甲第2号証ないし甲第8号証を提出し、請求項1ないし18に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1ないし18に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
甲第1号証:米国特許出願公開第2004/0164847号明細書
甲第2号証:特開2005-263112号公報
甲第3号証:特開2006-69758号公報
甲第4号証:鮎澤秀夫、根本拓弥、岩倉大輔、野波健蔵「産業応用型マルチロータヘリコプタの自動バッテリ交換システムの開発」日本機械学会第13回「運動と振動の制御」シンポジウムUSB論文集、2013.8.27
甲第5号証:鮎澤秀夫、NGUYEN DUY HINH、●熙乾(●は烏におおざと)、岩倉大輔、野波健蔵、藤原大悟「小型飛行体の自動バッテリ交換システムの開発」日本機械学会、ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集、2A2-J09、2012.5.29
甲第6号証:前坂俊之「千葉大学野波研究室(野波健蔵教授)開発の世界初のバッテリー自動交換(ミニサーベイヤー:Mini Surveyor)LMS-06のデモ」[online]、YouTube、2013.7.19、URL:https://www.youtube.com/watch?v=tx-1PPLCgTE
甲第7号証:篠原弘道「未来に向けたNTTの取り組み」[online], 国土交通省、2013.12.19、URL:https://www.mlit.go.jp/common/001020346.pdf
甲第8号証:富田直美「アマゾンの小型ヘリによる配達 実現するまでの課題を考える」[online]、ダイヤモンドオンライン、2013.12.20、URL:https://diamond.jp/articles/-/46320

2 特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号について
異議申立人は「配備可能なドッキング装置にかかる具体的構成は何ら記載されておらず、また、ドッキング装置の配備とはどのような作動を意味するものであるか何ら記載されていない。したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものとはいえない。また、ドッキング装置の配備とは、それ自体で明確でなく、本件の特許明細書及び図面、並びに出願時の技術常識を考慮しても明確でないので、本件特許発明が明確に把握できると認められない」とし、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件及び同条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消すべきものである旨主張する。

第4 甲号証の記載等
1 甲第1号証の記載・引用発明
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
なお、(当審仮訳)は異議申立人の提出した抄訳を元に当審で作成したものである。
(1)「[0039]The authorization code is effectively a sequential number, issued each time the retailer makes a new booking, and is used primarily for reference and as a means of searching for a particular booking's details. The access code or authorization access code is the code that opens the secure box 108 when typed in at a keypad interface, or simply a keypad, or entered by other means. The retailer 100 passes the authorization code to the delivery agent 110. 」
(当審仮訳)「[0039]オーソライゼーションコードは実質的に連続番号であり、リテイラーが新しい予約をするたびに発行され、主に参照用として、および特定の予約の詳細を検索する手段として使用される。アクセスコードまたはオーソライゼーションコードは、キーパッドインタフェース、または単純にキーパッドでタイプされたときまたは他の手段によってエンターされたときに、セキュアボックス108を開くコードである。リテイラー100はオーソライゼーションコードをデリバリーエージェント110にパスする。

(2)「[0045]Thereafter, the logistic center 106 provides details of the authorization code for access to the secure box 108 to the delivery agent 110, preferably either a delivery van or delivery person, via communication link 112, which may be a wireless link. The computer 308 of the logistics center 106 and a controller 310 of the delivery agent 110 are connected to communication link 112 via communication interfaces 334, 338, respectively.
[0046]The delivery agent 110 will of course also carry the goods for delivery. The delivery agent 110 will also be provided with the date and time window for which the authorization code is valid. In this way the logistics center 106, when arranging and agreeing on the delivery window with central management system 104, may be able to arrange for deliveries in a particular geographical area to be made on the same day or within the same time window. This may make use of delivery agent 110 by the logistics center 106 much more efficient and dramatically reduce the number of failed deliveries.
[0047]The delivery agent 110 then delivers the goods for delivery to the secure box 108 within the time window, using the authorization code. The details of the secure box 108 are described in further detail hereinbelow with respect to FIG. 2, but in this embodiment the secure box 108 is provided with a keypad for entry of the authorization code. When the authorization code is entered in the secure box 108 by the delivery agent 110, a signal is communicated to the central management system 104 via communication link 116 to indicate that the delivery has been made. In response to such signal, the central management system 104 may communicate the successful delivery to any of the customer 102, the retailer 100 and the logistics center 106. 」
(当審仮訳)「[0045]その後、ロジスティックセンター106は、セキュアボックス108へのアクセスするためのオーソライゼーションコードの細目を、ワイヤレスリンクなどのコミュニケーションリンク112を介して、デリバリーエージェント110、好ましくはデリバリーバンまたはデリバリーパースンに提供する。ロジスティックセンタ106のコンピュータ308およびデリバリーエージェント110のコントローラ310は、それぞれ、コミュニケーションインターフェース334、338を介してコミュニケーションリンク112に接続されている。
[0046]デリバリーエージェント110は、もちろん配達用の貨物も搬送する。デリバリーエージェント110には、オーソライゼーションコードが有効であるデイトおよびタイムウインドウも提供される。このようにして、ロジスティックセンター106は、中央管理システム104とデリバリウインドウ上で手配して合意すると、同じデイトにまたは同じタイムウインドウ内に配達が行われるように特定の地理的地域において配達を手配することができる。これにより、ロジスティックセンター106によるデリバリーエージェント110の利用がはるかに効率的になり、配達失敗の数が劇的に減少する。
[0047]それから、デリバリーエージェント110は、オーソライゼーションコードを用いて、タイムウインドウ内にセキュアボックス108に配達用の貨物を配達する。セキュアボックス108の詳細は、図2に関して以下でさらに詳細に記載されるが、この実施形態において、セキュアボックス108は、オーソライゼーションコードのエンター用のキーパッドを備えている。オーソライゼーションコードが、デリバリーエージェント110によりセキュアボックス108にエンターされると、配達がなされたことを示すためのコミュニケーションリンク116を介して中央管理システム104に信号が伝送される。そのような信号に応答して、中央管理システム104は、配達成功をカスタマー102、リテイラー100、及びロジスティックセンター106のいずれかに伝送することができる。」

(3)「[0056]The design of the detailed mechanical aspects of the secure box 108 is not discussed herein. The size of the secure box 108 may vary according to different applications and a customer 102 may be able to choose different sizes of secure box 108 to be fitted at their preferred location. In a preferred implementation, it is intended that the secure box 108 will be of a size to take two crates of wine or beer or a household weekly shop. The basic model of the secure box 108 will be a single box with an opening lid or side. 」
(当審仮訳)「[0056]セキュアボックス108の詳細な機械的態様の設計は、本明細書では論じない。セキュアボックス108のサイズは、異なる用途に従って変化することがあり、カスタマー102は、彼らの好ましい場所に合うように異なるサイズのセキュアボックス108を選択することができる。好ましい実施形態では、セキュアボックス108は、ワインやビールまたは家庭の毎週のショップの木枠を受け取るための大きさであることが意図される。セキュアボックス108の基本モデルは、開口部の蓋または側面を有する単一のボックスである。 」

(4)「[0059]Access to the secure box 108 can be made by the owner at any time by means of a mechanical key or by entering a personal identification number (PIN) number via the local keypad 210 located on the secure box 108. Access to the secure box 108 can also be made by the delivery agent 110 by entering their unique time-windowed keycode via the keypad 210. In an alternative embodiment described further hereinbelow, the delivery agent 110 may be able to access the secure box 108 using a wireless link between the secure box 108 and a portable unit carried by the delivery agent 110. The keycode, and the associated time window, is downloaded by the central management system 104 directly to the secure box 108 via link of the GSM modem 210. The keycode is preferably encrypted by the central management system 104 before downloading. Once access to the secure box 108 is gained, a confirmation status message will be uploaded to the central management system 104. 」
(当審仮訳)「[0059]セキュアボックス108へのアクセスは、機械的なキーによって、またはセキュアボックス108上に配置されたローカルキーパッド210を介して、個人識別番号(PIN)をエンターすることによって、いつでも所有者によって行われ得る。セキュアボックス108へのアクセスはまた、キーパッド210を介してそれらの固有のタイムウインドウに係るキーコードをエンターすることによってデリバリーエージェント110によってなされ得る。以下にさらに記述される代替の実施形態では、デリバリーエージェント110は、セキュアボックス108、デリバリーエジェント110によって運搬されるポータブルユニットとの間のワイヤレスリンクを使用してセキュアボックス108にアクセスすることができる。キーコード及び関連するタイムウインドウは、中央管理システム104によってGSMモデム210のリンクを介して直接にセキュアボックス108にダウンロードされる。キーコードは、ダウンロードの前に中央管理システム104により暗号化されていることが好ましい。セキュアボックス108へのアクセスが得られると、確認ステータスメッセージが中央管理システム104にアップロードされる。 」

(5)「[0065]In a further mode of operation, the user interface of the communications interface 342 of the secure box 108 may include a communications interface for communicating with a remote device, either in conjunction with or in place of the keypad. The remote device may be a portable device carried by the delivery agent 110 and, instead of entering the authorization access code via the keypad, the delivery agent 110 may simply enter an authorization access code stored directly in the portable device via a remote communication link.
[0066]For example, if the logistics center 106 transmits an authorization code to the delivery agent 110 having a portable device, the authorization code is merely stored in a memory associated with the processor 310. The delivery agent 110 then accesses the secure box 108 by communicating the authorization code via the communications interface 340 to the communication link 114, which is received by the communication interface 342 of the secure box 108. The communication link 114 may be any type of remote or wireless link. Examples are an infra-red link or a Bluetooth link. In a further mode of operation, access to the secure box 108 may be enabled responsive to a combination of the remote link and the keypad.」
(当審仮訳)「[0065]さらなる動作モードでは、セキュアボックス108のコミュニケーションインタフェース342のユーザインタフェースは、キーパッドと共に、またはキーパッドの代わりリモートデバイスと通信するためのコミュニケーションインタフェースを含むことができる。リモートデバイスは、デリバリーエージェント110によって運搬されるポータブルデバイスであってもよく、キーパッドを介してオーソライゼーションコードをエンターする代わりに、デリバリーエージェント110は、リモートコミュニケーションリンクを介してポータブルデバイスに直接記憶されたオーソライゼーションコードを単純にエンターしてもよい。
[0066]例えば、ロジスティックセンター106がポータブルデバイスを有するデリバリーエージェント110にオーソライゼーションコードを送信する場合、オーソライゼーションコードは単にプロセッサ310に関連付けられたメモリに格納されるだけである。デリバリーエージェント110は、コミュニケーションインターフェース340を介してオーソライゼーションコードをコミュニケーションリンク114に通信することによってセキュアボックス108にアクセスし、オーソライゼーションコードは、セキュアボックス108のコミュニケーションインタフェース342によって受信される。コミュニケーションリンク114は、いずれかのタイプのリモートリンクまたはワイヤレスリンクとすることができる。例としては、赤外線リンクまたはBluetoothリンクがある。さらなる動作モードでは、リモートリンクとキーパッドとの組み合わせに応じて、セキュアボックス108へのアクセスを可能にすることができる。」

(6)上記記載事項(2)の「デリバリーエージェント110は、もちろん配達用の貨物も搬送する。・・・、同じデイトにまたは同じタイムウインドウ内に配達が行われるように特定の地理的地域において配達を手配することができる。」(段落[0046])との記載及び「デリバリーエージェント110は、オーソライゼーションコードを用いて、タイムウインドウ内にセキュアボックス108に配達用の貨物を配達する。」(段落[0047])との記載並びに上記記載事項(4)の「セキュアボックス108へのアクセスはまた、・・・デリバリーエージェント110によってなされ得る。」(段落[0059])との記載から、デリバリーエージェント110は、貨物を配達するために、セキュアボックス108に関連付けられた特定の地理的地域に移動させられ、前記地域に到着し次第、セキュアボックス108にアクセスすると認められる。

(7)上記記載事項(1)の「アクセスコードまたはオーソライゼーションコードは、キーパッドインタフェース、または単純にキーパッドでタイプされたときまたは他の手段によってエンターされたときに、セキュアボックス108を開くコードである。」(段落[0039])との記載並びに上記記載事項(3)の「セキュアボックス108の基本モデルは、開口部の蓋または側面を有する単一のボックスである。」(段落[0056])との記載及び上記記載事項(4)の「セキュアボックス108へのアクセスはまた、・・・デリバリーエージェント110によってなされ得る。」(段落[0059])との記載から、デリバリーエージェント110は、セキュアボックス108 にアクセスするために、セキュアボックス108 の開口部の蓋を開くと認められる。

(8)上記記載事項(4)の「デリバリーエージェント110は、セキュアボックス108、デリバリーエジェント110によって運搬されるポータブルユニットとの間のワイヤレスリンクを使用してセキュアボックス108にアクセスすることができる。」(段落[0059])との記載及び「キーコード及び関連するタイムウインドウは、中央管理システム104によってGSMモデム210のリンクを介して直接にセキュアボックス108にダウンロードされる。キーコードは、ダウンロードの前に中央管理システム104により暗号化されていることが好ましい。セキュアボックス108へのアクセスが得られると、確認ステータスメッセージが中央管理システム104にアップロードされる。」(段落[0059])との記載並びに上記記載事項(5)の「キーパッドを介してオーソライゼーションコードをエンターする代わりに、デリバリーエージェント110は、リモートコミュニケーションリンクを介してポータブルデバイスに直接記憶されたオーソライゼーションコードを単純にエンターしてもよい。」(段落[0065])との記載及び「コミュニケーションリンク114は、いずれかのタイプのリモートリンクまたはワイヤレスリンクとすることができる。例としては、赤外線リンクまたはBluetoothリンクがある。」(段落[0066])との記載から、セキュアボックス108は、デリバリーエージェント110によって運搬されるポータブルユニットとの間でBluetoothリンクを介しオーソライゼーションコードをやり取りし、やり取りしたオーソライゼーションコードをチェックして正しければ、デリバリーエージェント110はセキュアボックス108にアクセスすることができると認められる。

上記記載事項及び認定事項から、甲第1号証には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「デリバリーエージェント110によって貨物を貨物用のセキュアボックス108に配達するための方法であって、
前記セキュアボックス108と関連付けられた特定の地理的地域に前記デリバリーエージェント110を移動させる段階と、
前記デリバリーエージェント110が前記地域に到着し次第、前記デリバリーエージェント110が前記セキュアボックス108にアクセスする段階であって、
前記セキュアボックス108と前記デリバリーエージェント110によって運搬されるポータブルユニットとの間でBluetoothリンクを介しオーソライゼーションコードをやり取りする段階、
前記セキュアボックス108によって、アクセスすることができるかどうかに関して前記オーソライゼーションコードをチェックする段階、
前記アクセスすることができる場合、前記デリバリーエージェント110によって前記貨物用の開口部の蓋を開く段階及び、
前記デリバリーエージェント110によって、前記貨物をセキュアボックス108に配達する段階とを含む、方法。」
(なお、「Bluetooth」は登録商標である。)

2 甲第2号証の記載
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0020】
本発明の無人飛行体による運搬方法は、自動操縦手段2により飛行可能な無人ヘリコプター1を用い、運搬物7を運搬する無人ヘリコプター1による運搬方法であって、無人ヘリコプター1には、自動操縦を安定させる自律飛行制御手段3と、GPS(Global Positioning System)により無人ヘリコプター1の位置情報及び高度情報を取得する測位手段4と、目的地の位置情報が記憶される記憶手段5と、該記憶手段5に入力された目的地の位置情報と上記測位手段4により得られた無人ヘリコプター1の位置情報とに基づき無人ヘリコプター1の飛行を制御する飛行制御手段6と、運搬物7を収容する運搬物収容部8とを有し、運搬物7を上記運搬物収容部8に収容し、収容後又はあらかじめ上記記憶手段5に入力された目的地の位置情報に基づき、無人ヘリコプター1を飛行させて運搬物7を運搬するようになっている。」

(2)「【0032】
遠隔操作手段9からは上記認証手段13に対して運搬物7の引き渡しを可能にするための情報が発信される。なお、運搬物7の引き渡しには、上記電動巻き上げ機12を駆動させ、収容ケース8を下降させるようにする。
具体的には、上記カメラ10で運搬物7の荷受人Bを撮影してモニター17に映し出すようにすれば、認証手段13として利用することができる。すなわち、カメラ10で撮影した荷受人Bの画像を運搬物7の荷送人Aに送信し、荷受人Bであるか否かの確認を荷送人Aから受ける。これにより、荷受人Bが「適」であると判断された場合には上記遠隔操作手段9によりセキュリティーコードを送信し、電動巻き上げ機12を駆動して収容ケース8を下降させる。これにより、運搬物7の上記荷受人Bへの引渡が可能になる。なお、荷送人Aへは荷受人Bの画像を、たとえば、電子メールなどにより伝送することが考えられる。
【0033】
次に、運搬物7について、集荷、運搬、引渡までを時系列に従って説明する。
・ステップ1(S1):依頼
先ず、荷送人Aから運搬物7の運搬の依頼を受ける。依頼内容としては、少なくとも荷送人Aの位置情報、荷受人Bの位置情報を必要とする。位置情報としては、単に住所でも良いし、GPSにおける座標「dddmmss.ss」であっても良い。また、荷送人A及び荷受人Bには収容ケース8のダイヤルキー15のダイヤル番号を伝達しておく。」

(3)「【0056】
・ステップ29(S29):引渡
無人ヘリコプター1を着陸させると、収容ケース8内の運搬物7の上記荷受人Bへの引渡が可能になる。
【0057】
・ステップ30(S30):離陸
運搬物7を収容した後、無人ヘリコプター1を離陸させる。この離陸については、ステップ25と同様に行う。すなわち、荷送人Aからの連絡を待って遠隔操縦者が行うか、又は無人ヘリコプター1の機体に離陸用スイッチを設けておき、該離陸用スイッチを荷受人Bが操作することにより無人ヘリコプター1を離陸させる。
【0058】
・ステップ31(S31):飛行
無人ヘリコプター1を離陸させた後は、無人ヘリコプター1を基地局まで飛行させる。なお、無人ヘリコプター1の飛行については、上述のステップ26「飛行」と同様に行われる。」

3 甲第3号証の記載
甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
「【0011】
図1?図5に、実施例とその変形とを示す。なお各変形例において、実施例と同じ符号や同じ用語は同じものを表し、実施例に関する記載は、特に断らない限り、各変形例にもそのままあてはまる。図1?図3において、2は出荷元で、メーカーの工場や他の配送センター等であり、4は、搬送車の例としてのトラックで、例えば屋根等の所定の位置にIDタグ6aを取り付ける。IDタグ6aは物理的にはバーコードラベル等でもよいが、好ましくはRFIDタグとし、これはIDリーダ14側からの電磁波等を電源として、IDリーダ14との間で非接触で無線通信ができる、ICを用いたタグである。IDタグ6aの形状はラベル状やスティック状などがあり、形状は任意である。本実施例では、IDリーダ14として、RFIDタグ6a,bへのリーダ/ライタを用いる。なお「搬送車にIDタグを設ける」とは、本実施例のように屋根等に取り付ける場合の他に、運転者が携帯してトラックから降りずに、IDリーダに向けてIDタグをかざすことで読み取らせるような形態をも含む。
【0012】
7は搬送物品の例としてのパレットで、個々のパレットに対してそのIDと、物品名やその個数、配送先等を記載したRFタイプのIDタグ6bを取り付ける。なおバケットや詰め合わせケースなどに物品を入れて搬送する場合には、これらにIDタグ6bを取り付けるようにする。また8はフォークリフトで、トラック4にパレット7を荷積みする。10はバースで、12は出門ゲートであり、IDリーダ14を設けてトラックのIDタグ6aを読み書きする。図には示さなかったが、入門ゲートなどにも、同様にIDリーダ14を設けて、トラック位置を検出することが好ましい。
【0013】
22は配送センターで、入門ゲート24に同様にIDリーダ14を設けると共に、図示しない出門ゲートにも同様にIDリーダを取り付ける。26は指示部で、トラック4に対して、待機場で待機する、指定した番号のバースで荷物の積み下ろしを行う、などの指示を与える。指示部26から指示を与える代わりに、トラック4の運転者の携帯情報端末等に通信して指示を与えたり、あるいはトラック4に設けたIDタグ6aに対し、IDリーダ14から行き先等の指示を書き込み、これをトラック4に設けた図示しないIDリーダで読み込んで、表示するようにしてもよい。トラック4に指示を与えると、指示された状態にトラック4があるものとして管理する。さらに入門ゲート24では、IDリーダ14でトラック4のIDタグ6aを読み取り、このトラック4が配送センター22への入門が許可されているか否かのチェックも行うことができる。
【0014】
30は販売店で、トラック4による搬送先であり、別の配送センターやデポ等でもよい。販売店32にはIDリーダ14を設け、トラック4のIDタグ6aを読み取る。また自動販売機32等の立ち寄り先にも、好ましくはIDリーダ14を設ける。なお自動販売機32等のように小さな立ち寄り先では、IDリーダ14に代えて、運転者が保有するICカードを読み取るためのICカードリーダ等を設けてもよい。本実施例では、配送センター22から販売店30や自動販売機32への配送を例に説明したが、製造工場から配送センターへの配送や、製造工場間の配送などでも良く、配送先や配送元の種類は特に限定されない。
【0015】
出荷元2に設けた上流側コントローラ34では、バース10の付近に設けたIDリーダ14から、パレット7のIDタグ6bのデータを受け取る。また出門ゲート12に設けたIDリーダ14から、トラック4の車両IDや出発時刻等を受信する。バース10に設けたIDリーダ14により、所定のトラック4に所定のパレット7が積み込まれたことを確認でき、出門ゲート12のIDリーダ14により、どのトラック4がいつ出発したかを確認できる。以上のようにして上流側コントローラ34は、搬送計画が予定通り実行されていることを確認する。上流側コントローラ34は、配送センター22などの下流側に設けたセンター側コントローラ36に対して、出荷した物品のIDと、物品名や個数、ならびに搬送に用いるトラックの車両IDおよび出発時刻等を送信する。
【0016】
センター側コントローラ36では、入門ゲート24をトラック4が通過したことを、IDリーダ14からの信号で知ることができる。このときトラック4の車両IDと入出門の時刻がわかり、どのトラックがどの物品を搬送しているかは、上流側コントローラ34から既に通知を受けている。そこでセンター側コントローラ36では、指示部26等を用いて、トラック4にどのバースで作業するか、待機場で待機するか、等の指示を与える。
【0017】
またこれと同時に、フォークリフト8等に対して、トラック4との物品の積み下ろしの準備を指示すると共に、自動倉庫や平置き倉庫等に対して、トラック4から入荷もしくは出荷する物品の処理の準備を指示する。トラック4がバース10に到着すると、フォークリフト8等で荷下ろしや荷積み等を行い、かつバース10を出入りする物品のIDをIDリーダ14で読み取って、誤入荷や誤出荷等を防止する。」

4 甲第4号証の記載
甲第4号証の第2ページ第10行?第3ページ第8行には、無人で飛行するUAVがヘリポート(自動バッテリ交換装置)に着陸した後、ヘリポートの底面の一部が開き、さらにバッテリ交換ハンドアームが伸ばされ、使用済みのバッテリを取り外して格納し、充電済のバッテリが装着される点が記載されている。

5 甲第5号証の記載
甲第5号証の第1ページ左欄第1?17行、同ページ右欄第2?4行、第3ページ左欄第10?19行及び第4ページ左欄第10?14行には、無人で飛行するMAVをUGVのヘリポート上に高精度に着陸するために、MAVに搭載された単眼カメラとUGVのヘリポートに配置されたARマーカとを用いて、MAVとUGVとの相対位置を推定する点、UGVのヘリポートの下部からアームを伸ばし、MAVのバッテリを外してヘリポート下部のバッテリマガジンに収納し、バッテリマガジンから新しいバッテリを取り出し、MAVに取り付け、MAVはロック機構によりバッテリを保持する点、及び、UGVのアームの先端に取り付けられたハンドの掌部分にMAVの着陸支援やバッテリの位置確認などの用途を想定した小型カメラが設置できる点が記載されている。

6 甲第6号証
甲第6号証には、2013年7月にバッテリー自動交換技術を搭載した「完全自律型マルチローター式電動ヘリコプタ(ミニサーベイヤー:Mini Surveyor)LMS-06」のデモンストレーションが行われたことが記載されている。

7 甲第7号証の記載
甲第7号証の第19ページには、超小型ヘリによって荷物を郵便受けや宅配受けまで空中配送する点が記載されている。

8 甲第8号証の記載
甲第8号証の第1ページ第1?5行及び第7?9行並びに第2ページ第5?6行及び第8?26行には、マルチ・コプターによる無人配送において、無人で受け取るための専用ポストの開発が課題である点が記載されている。

第5 当審の判断
1 特許法第29条第2項(進歩性)について
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「セキュアボックス108」は本件発明1の「収容コンテナ」に相当し、以下同様に、「特定の地理的地域」は「目的地域の中」に、「オーソライゼーションコード」は「電子許可情報」に、「アクセスすることができるかどうかに関」することは「許可に関」することに、それぞれ相当する。
また、引用発明の「デリバリーエージェント110」と本件発明1の「無人飛行運搬装置」とは、「貨物を運ぶ主体」という限りで共通する。
さらに、引用発明の「前記セキュアボックス108と前記デリバリーエージェント110によって運搬されるポータブルユニットとの間でBluetoothリンクを介しオーソライゼーションコードをやり取りする段階」においては、Bluetoothの規格上、オーソライゼーションコード自体のやり取りの前に、セキュアボックス108とポータブルユニットとの間でペアリングが行われると認められる。

したがって、本件発明1と引用発明とは
「貨物を運ぶ主体によって貨物を前記貨物用の収容コンテナに配達するための方法であって、
前記収容コンテナと関連付けられた目的地域の中に前記貨物を運ぶ主体を移動させる段階と、
前記貨物を運ぶ主体が前記目的地域に到達し次第、前記貨物を運ぶ主体を前記収容コンテナとペアリングする段階と、
前記収容コンテナと前記貨物を運ぶ主体との間で電子許可情報をやり取りする段階と、
前記収容コンテナによって、許可に関して前記許可情報をチェックする段階と、
を備える方法。」の点で一致し、以下の相違点1及び2で相違する。

[相違点1]
本件発明1は「貨物を運ぶ主体」が「無人飛行運搬装置」であり、「複数の地理座標に基づいて前記収容コンテナと関連付けられた目的地域の中に前記無人飛行運搬装置を移動させる段階」を有するのに対し、
引用発明は「貨物を運ぶ主体」が「デリバリーエージェント110」であり、「前記セキュアボックス108と関連付けられた特定の地理的地域に前記デリバリーエージェント110を移動させる段階」を有する点。

[相違点2]
本件発明1は「貨物を運ぶ主体」が「無人飛行運搬装置」であり、「前記許可が存在する場合、前記収容コンテナによって前記貨物用の移動装置を作動させる段階と、
前記無人飛行運搬装置、前記移動装置、及び前記収容コンテナのうちの少なくとも1つによって、前記無人飛行運搬装置から前記移動装置へ、前記移動装置から前記無人飛行運搬装置へ、又は、前記無人飛行運搬装置から前記移動装置へ及び前記移動装置から前記無人飛行運搬装置へ、前記貨物を移動させる段階と
を備え、
前記移動装置の作動は、貨物を前記収容コンテナに入れる、前記収容コンテナから収集する、若しくは、前記収容コンテナに入れ、及び前記収容コンテナから収集すべく前記収容コンテナの天井又は側壁の開口部を開くことを含む、前記無人飛行運搬装置用のドッキング装置の延伸及び配備のうちの少なくとも一方を含む、又は、
貨物を前記収容コンテナに入れる、前記収容コンテナから収集する、若しくは、前記収容コンテナに入れ、及び前記収容コンテナから収集すべく前記収容コンテナの天井又は側壁の開口部を開くことを含んで、かつ前記無人飛行運搬装置用のドッキング装置の延伸及び配備のうちの少なくとも一方を含む、」のに対し、
引用発明は「貨物を運ぶ主体」が「デリバリーエージェント110」であり、「前記アクセスすることができる場合、前記デリバリーエージェント110によって前記貨物用の開口部の蓋を開く段階及び、
前記デリバリーエージェント110によって、前記貨物をセキュアボックス108に配達する段階とを含む、」点。

以下、事案に鑑み上記相違点2について検討する。

本件発明1は、「無人飛行運搬装置によって貨物を前記貨物用の収容コンテナに配達するための方法」において、「収容コンテナと無人飛行運搬装置との間で電子許可情報をやり取り」し、「収容コンテナによって、許可に関して許可情報をチェック」し、「許可が存在する場合、収容コンテナによって貨物用の移動装置を作動させ」、移動装置の作動とは、「貨物を収容コンテナに入れる、収容コンテナから収集する、若しくは、収容コンテナに入れ、及び収容コンテナから収集」するために、「収容コンテナの天井又は側壁の開口部を開くこと」、「無人飛行運搬装置用のドッキング装置の延伸及び配備のうちの少なくとも一方」を含むものであり、相違点2に係る本件発明1の構成により、無人飛行運搬装置と収容コンテナとの間の貨物の受け渡しに関し、収容コンテナが、無人飛行運搬装置からの電子許可情報により無人飛行運搬装置の許否を判断し、許可できる場合に、貨物の受け渡しのための移動装置の動作を行うものと理解できる。
そして、本件発明1は、上記相違点2に係る本件発明1の構成により、「完全に自動化された工程順序・・・によって、貨物の配達又は集荷のためのいかなる種類のヒューマンインタラクションも必要とせず、貨物が無人運搬装置によって収容コンテナに配達され得る、又は、収容コンテナから集荷され得、それにより、貨物が、貨物の名宛人の処分地域に到達する、又は、発送人は、発送人の処分地域から収容コンテナの形態で運搬装置に貨物を移動させ得る。」(明細書段落【0024】参照)という作用効果を奏すると認められる。

これに対して、甲第2号証、甲第7号証及び甲第8号証には、無人飛行運搬装置により貨物を運搬することは記載されているものの(第4の2、7及び8を参照)、運搬先が貨物の受け渡しのために動作することは記載されていないし示唆もない。
また、甲第3号証には、トラック4が配送センター22への入門が許可されているかどうかを、配送センター22の入門ゲート24でチェックすることや、フォークリフト8や自動倉庫等に対してトラック4との物品の積み下ろしの準備を指示することが記載されているものの(第4の3を参照)、トラック4と自動倉庫とは無人の運搬装置と収容コンテナとは認められないし、自動倉庫がトラックに対して物品の積み下ろしを行う装置を動作させるものでもない。
そうすると、引用発明に、甲第2号証、甲第3号証、甲第7号証及び甲第8号証に記載された事項を適用しても、引用発明のデリバリーエージェント110を無人飛行運搬装置とすることができるかもしれないが、セキュアボックス108が、貨物の受け渡しのために動作をする構成までには至らない。
また、引用発明のデリバリーエージェント110を無人飛行運搬装置とすることが、甲第2号証、甲第3号証、甲第7号証及び甲第8号証の記載から当業者が容易に想到し得たことことであったとしても、その上で、セキュアボックス108に貨物を受け渡しするための装置を付加することは、もはや当業者が容易に想到し得たとはいえない。

さらに、甲第4号証及び甲第5号証には、無人飛行装置が自動バッテリ交換装置に着陸した後、バッテリ交換用のアームによって使用済みのバッテリを取り外し、充電済のバッテリが装着されることが記載されているものの(第4の4及び5を参照)、バッテリは本件発明1の貨物とは認められないので、自動バッテリ交換が貨物の受け渡しに相当するともいえないし、また、バッテリ交換に先立ち、自動バッテリ交換装置が無人飛行装置の許否を判断することは記載も示唆もない。
甲第6号証は、バッテリ自動交換技術を搭載した無人飛行装置のデモンストレーションが行われたことを報じるにすぎず、具体的な技術内容を示すものではない。
そうすると、引用発明のデリバリーエージェント110によってに貨物を運搬する方法に対して、甲第4号証ないし甲第6号証に記載された、無人飛行運搬装置のバッテリの自動交換に関する技術を適用する動機付けがあるとはいえないし、仮に甲第4号証ないし甲第6号証に記載された事項を適用できたとしても、相違点2に係る本件発明1の構成に至らない。

したがって、本件発明1は、引用発明及び甲第2号証ないし甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたとは認められないので、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

(2)本件発明2ないし16について
本件発明2ないし16は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、さらに限定を加えた発明であるので、上記(1)で示したと同様の理由により、本件発明2ないし16は、引用発明及び甲第2号証ないし甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたとは認められないので、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

(3)本件発明17及び18について
本件発明17及び18は、本件発明1の全ての発明特定事項を含む無人飛行運搬装置及び収容コンテナであって、上記(1)で示したと同様に、本件発明17及び18は、本件発明1及び甲第2号証ないし甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとは認められないので、特許法第29条第2項の規定に違反しない。

2 特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号について
本件発明1の「ドッキング装置」が、無人飛行運搬装置の「離陸及び着陸」や「ホバリングしているとき、並びに、ホバリングへの移行及びホバリングから動的な飛行への移行」(明細書段落【0048】参照)のために、収容コンテナに配備される構成であることは当業者にとって自明である。
さらに、ドッキング装置の好ましい構成に関して「ドッキング装置によって収容コンテナに移動させられた貨物は、ドッキング装置を後退させる又は

引き抜くことによって収容コンテナの内部に移動させられ、」(明細書段落【0038】)等の具体的な動作の記載がある。
そうすると、ドッキング装置に関して、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものであり、また、「ドッキング装置」の「配備」の意味は明確である。
したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載及び特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号の規定に適合する。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし18に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-08-05 
出願番号 特願2017-504253(P2017-504253)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (B65G)
P 1 651・ 536- Y (B65G)
P 1 651・ 121- Y (B65G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 土田 嘉一川上 佳  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 藤田 和英
内田 博之
登録日 2018-08-31 
登録番号 特許第6390068号(P6390068)
権利者 ドイチェ ポスト エージー
発明の名称 無人運搬装置によって貨物を配達するための方法  
代理人 龍華国際特許業務法人  
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