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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 F21L |
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管理番号 | 1354463 |
審判番号 | 無効2017-800141 |
総通号数 | 238 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-10-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2017-11-10 |
確定日 | 2019-08-22 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第5608827号発明「多色ペンライト」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件の特許第5608827号についての手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 平成26年 1月27日 特願2014-12552号出願 平成26年 9月 5日 特許第5608827号の設定登録 平成29年11月10日 審判請求書提出(請求人) 平成30年 2月23日 審判事件答弁書提出(被請求人) 平成30年 4月 6日付け 審理事項通知 平成30年 5月18日 口頭審理陳述要領書提出(請求人) 平成30年 6月 1日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人) 平成30年 6月15日 第1回口頭審理 第2 本件特許発明及び本件特許の明細書等の記載事項 1 本件特許発明 特許第5608827号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る発明(以下「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)は、本件特許の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものであるところ、分説記号を付したものを示すと次のとおりのものである。 「【請求項1】 A.発光色を照らすカバーで覆われた発光部と、把持部とを有し、 B.前記把持部は、 C.赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、黄色発光ダイオード及び白色発光ダイオードを備える光源部と、 D.前記光源部の各発光ダイオードの発光を個別に制御する制御手段を有し、 E.前記制御手段により前記各発光ダイオードを単独で又は複数発光させることで特定の発光色が得られるように構成し、 F.前記特定の発光色は複数得られ、 G.前記複数得られる特定の発光色には、少なくとも、前記白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色、又は、前記黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ、 H.前記各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、これにより得られた発光色で前記カバーを照らすための発光色補助手段を前記光源部の近くに設けるように構成し、 I.乾電池又はボタン電池を電源とする J.ことを特徴とする多色ペンライト。 【請求項2】 K.前記光源部が前記発光ダイオード以外の色の発光ダイオードを更に備える請求項1に記載の多色ペンライト。」 (審決注) 上記の記号「A.」?「K.」は、当審が便宜上付した分説記号である。請求人が使用するものを採用するものであるが、被請求人においても争いはない。また、以下「A.」?「K.」の構成要件はそれぞれ「構成要件A.」?「構成要件K.」という。 2 本件特許の明細書及び図面の記載事項 本件特許の明細書及び図面には、次の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下「a.」?「b.」の記載事項は、それぞれ「記載事項a.」?「記載事項b.」という。)。 a.「【0050】 ペンライトは、発光部が棒状であってもそれ以外の形状であっても、光源部からの光を発光部(カバー)4の側面や上部の全体に行き渡らせるようにする必要がある。のみならず、光を混合して色を得る場合は、得られた色合いにて光が発光部の上部・側面全体と照らすようにしなければならない。すなわち、発光部4はカバー内側に所定の空間を持ち、カバーの側面や上部はある程度の面積を有しており、発光色はこれら全体に亘って得られる必要がある。しかしながら、発光ダイオードからの発光は光源から距離が離れるに従い暗くなるばかりか、複数の発光ダイオードの発光で発光色を得る場合(例えば赤色、黄色、白色の各発光ダイオードの発光で薄オレンジ色の発光色を得る場合)は、各発光ダイオードの発光がばらけ、混色による発光色が上記の全体に亘って得られないことが考えられる。 【0051】 かかる観点から、各発光ダイオード(7A,7Bなど)は近接して設けるのが好適である。設置する発光ダイオードが5つの場合、例えば、図3に示すように隣接して略五角形状に配置したり、図4に示すように4つを外側に配し1つをその内側に配置したりすることができる。 【0052】 更に、発光色を、光源近くだけでなく、発光部(カバー)4の上部まで十分に照らす手段としては、例えば光源部近くにそのためのレンズを設けることが考えられる。しかしながら、本発明のように、発光ダイオードを、一つでなく、またRGB3つとも異なり、例えば5つ用い、混色による発光色をも得る構成とした場合は、単に光源部位から離れた部分を照らすのみならず、混色により得られた発光色を、部分的にではなく、発光部(カバー)4の全体に亘り得られるようにする必要がある。これらの点に対処するものとして、本発明においては、発光ダイオードからの光を集光し、また混色する場合は混合して(所望の)発光色を得、得られた発光色を発光部(カバー)の側面・上部の全体にまんべんなく行き渡らせるようにする発光色補助手段を、光源部2の近くに設けることができる。発光色補助手段の形状、集光箇所、発光角度(カバー側面や上部を照らす角度)などは、発光部の大きさ、長さ、形状や、発光ダイオードの配置等により適宜決せられる。」 b.【図2】 第3 請求人の主張と証拠方法 1 請求人が主張する請求の趣旨及び理由 請求人は、「特許第5608827号発明の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その無効の理由の概要は、以下のとおりである。 (1)本件特許発明1は、本件出願日前に頒布された甲第1号証(主たる証拠)及び甲第2、3号証(従たる証拠)に記載された発明に基いて本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 (2)本件特許発明2は、本件出願日前に頒布された甲第1号証(主たる証拠)及び甲第2?4号証(従たる証拠)に記載された発明に基いて本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。 2 無効理由に係る主張の要点 (1)構成要件A.について (1-1)審判請求書第6ページ第17行?第7ページ第11行(下線は、審判請求書において、審判請求人が付したとおりである。以下同様。) 「(ii)甲第1号証の記載および引用発明1の構成 ・記載事項1 『【0001】 本発明は、LED照明装置およびカード型LED照明光源に関する。より詳細には、複数のLEDが実装されたカード型LED照明光源を用いるLED照明装置と、このLED照明装置に好適に用いられるカード型LED照明光源とに関している。 【0034】 好ましい実施形態では、前記コネクタに接続された状態の前記カード型LED照明光源から出た光を透過するカバーを備えている。このカバーは、光の反射、屈折、拡散を行うように種々の光学的特性を備えていてもよい。 【0077】 図3(b)に示すLED照明装置は、公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置であり、カード型LED照明光源を着脱可能に支持するアダプタ20と、装着された状態のカード型LED照明光源を覆う光透過カバー20aとを備えている。 【0224】 図25は、懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置を示している。 【図25】 筒状部材にON/OFFスイッチが設けられたLED照明装置。 ・・・』 すなわち、引用発明1は、ペンライトとして携帯可能なLED照明装置に関し、利用者が把持するための筒状部材を有している。また、引用発明1は、光が透過可能な光透過カバーで覆われたカード型LED照明光源を備えている。 よって、引用発明1は、次の構成を有している。 光が透過可能な光透過カバーで覆われたカード型LED照明光源と、筒状部材とを有し、 (iii)対比及び一致点・相違点 本件特許発明1の構成Aと引用発明1の構成を対比すると、引用発明1の『光透過カバー』は、本件特許発明1の『発光色を照らすカバー』に相当する。引用発明1の『筒状部材』は、本件特許発明1の『把持部』に相当する。引用発明1の『カード型LED照明光源』は、本件特許発明1の『発光部』に相当する。したがって、引用発明1には、本件特許発明1の構成Aが開示されている。」(以下「主張1-1」という。) (1-2)口頭陳述要領書第2ページ第26行?第3ページ第2行 「さらに、『光を透過するカバー』及び『光透過カバー20a』について、被請求人は、『白熱電球のガラス球に相当する部材である』と主張している。しかしながら、甲第1号証の【0034】では、『このカバーは、光の反射、屈折、拡散を行うように種々の光学的特性を備えていてもよい』と記載される。 そうすると、甲第1号証に記載の『光透過カバー』は、単なるカバーの他、光学的特性を備えるカバーであってもよく、『白熱電球のガラス球に相当する』と限定する被請求人の主張は誤りである。すなわち、甲第1号証に記載の『光透過カバー』は、光を透過するカバーであればよく、本件特許発明1の『発光色を照らすカバー』にも相当するものである。 そうすると、『光を透過するカバー』及び『光透過カバー20a』について、『白熱電球のガラス球に相当する部材である』とする被請求人の主張は誤りである。」(以下「主張1-2」という。) (1-3)口頭陳述要領書第9ページ第13行?第18行 「被請求人は、甲1発明のカード型LED照明装置(図25の符号95)は、『発光色を照らすカバーで覆われた発光部』を有しないと主張する。しかしながら、甲第1号証では、【0077】において、『LED照明装置は、カード型LED照明光源から出た光を透過するカバー』を備えることが記載される。 したがって、『甲1発明のカード型LED照明装置は、『発光色を照らすカバーで覆われた発光部』を有しない』との被請求人の主張は失当である。」(以下「主張1-3」という。) (2)構成要件C.?G.について (2-1)審判請求書第7ページ第28行?第8ページ第7行 「(ii)甲第1号証の記載および引用発明1の構成 ・記載事項2 『【0065】 後述するように、本発明のカード型LED光源およびLED照明装置を用い、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動することによって照明を行う場合は、各色のLEDについて2つの電極(計10個の電極)を設けることが好ましい。』 よって、引用発明1は、次の構成を有している。 青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを備えるカード型LED照明光源と、 (iii)対比及び一致点・相違点 本件特許発明1の構成Cと引用発明1の構成を対比すると、引用発明1の『赤のLED』は、本件特許発明1の『赤色発光ダイオード』に相当する。引用発明1の『緑(青緑)のLED』は、本件特許発明1の『緑色発光ダイオード』に相当する。引用発明1の『青のLED』は、本件特許発明1の『青色発光ダイオード』に相当する。引用発明1の『黄(橙)のLED』は、本件特許発明1の『黄色発光ダイオード』に相当する。引用発明1の『白のLED』は、本件特許発明1の『白色発光ダイオード』に相当する。したがって、引用発明1には、本件特許発明1の構成Cが開示されている。」(以下「主張2-1」という。) (2-2)口頭陳述要領書第3ページ第21行?末行 「『『実施形態4』には、『携帯可能なLED照明装置』が何色のLEDを備えるか、異なる色のLEDを備えるかなどについても、何ら記載がない』と主張する。 しかしながら、【0216】では、図20のLED照明装置について、『基本的には、図3に示すLED照明装置と同様の構成を有している』と記載される。そして、【0065】では、『青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動することによって照明を行う場合』と記載される。また、【0080】では、『青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとする』と記載される。 そうすると、甲第1号証でも、本件特許発明1の発明特定事項と同様の『赤色』、『緑色』、『青色』、『黄色』及び『白色』発光ダイオードの存在が記載されている。 したがって、被請求人の『「携帯可能なLED照明装置』が何色のLEDを備えるか、異なる色のLEDを備えるかなどについても、何ら記載がない』との主張は失当である。」(以下「主張2-2」という。) (2-3)審判請求書第8ページ第11行?第33行 「(ii)甲第1号証の記載および引用発明1の構成 ・記載事項3 『【0078】 図3(b)に示されているLED照明装置のアダプタ20には、カード型LED照明光源10を挿入するためのスロットが設けられている。スロットの奥には、不図示のコネクタが配置されており、このコネクタを介してカード型LED照明光源10と点灯回路との電気的接続が行われる。(以下略) 【0080】 第3に、カード型LED照明光源10に実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用または相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとすることができる。このようなカード型LED照明光源10から適切なものを選択すれば、対応するLED照明装置に装着すれば、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御することができる。』 すなわち、引用発明1は、カード型LED照明光源における発光光色の切り替えや制御をする(すなわち、発光を個別に制御する)点灯回路を備えている。 よって、引用発明1は、次の構成を有している。 カード型LED照明光源における発光光色の切り替えや制御をする点灯回路を有し、 (iii)対比及び一致点・相違点 本件特許発明1の構成Dと引用発明1の構成を対比すると、引用発明1の『カード型LED照明光源』は、本件特許発明1の『光源部』に相当する。引用発明1の『発光光色の切り替え』は、本件特許発明1の『発光を個別に制御』に相当する。引用発明1の『点灯回路』は、本件特許発明1の『制御手段』に相当する。したがって、引用発明1には、本件特許発明1の構成Dが開示されている。」(以下「主張2-3」という。) (2-4)口頭陳述要領書第4ページ第16行?第5ページ第21行 「さらに、甲第1号証の実施形態4の相関色温度の制御について、『供給される電力量が異なる場合には、実施形態1とは別の技術』とする必要もない。電力の供給方法が異なる場合であっても、同様の方法で制御することもできる。 ・・・ しかしながら、甲第1号証の【0216】において、図20のLED照明装置が『基本的には、図3に示すLED照明装置と同様の構成を有している』と記載される。また、図3のカード型LED照明光源10の説明として、甲第1号証の【0080】において、『実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用又は相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄、など個別の光色を有するものとすることができる』と記載され、【0081】において、『多色発光(2種以上の光色)のLEDをカード型LED照明光源10に実装することにより、相関色温度が低い光色から相関温度が高い光色まで、1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる』と記載される。 また、甲第1号証では、【0016】において、『発光色の異なる複数のベアチップが存在する』ことについて記載される。また、【0084】において、『1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる』ことについて記載される。さらに、【0191】、【0192】、【図15】、【図16】において、『発光色の異なるLEDベアチップを個別に制御する』ことについて記載される。 ・・・ したがって、『青色、緑色、黄色、および赤色LEDをコントロールするLED点灯回路の構成は、家庭用電源等電力が安定して供給される照明装置(実施形態1)のための回路である』とする被請求人の主張は失当である。また、『甲第1号証の『ペンライト』の手段として認定できるのは、カード型LED照明光源の全てのLEDの点灯をON-OFFし、LEDの点灯がONになると全LEDが発光し、特定の発光色が一色(単色)で得られるということにすぎない』とする被請求人の主張は失当である。」(以下「主張2-4」という。) (2-5)審判請求書第8ページ下から3行?第9ページ第35行 「(ii)甲第1号証の記載および引用発明1の構成 ・記載事項4 『【0080】 第3に、カード型LED照明光源10に実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用または相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとすることができる。このようなカード型LED照明光源10から適切なものを選択すれば、対応するLED照明装置に装着すれば、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御することができる。 【0081】 更に、多発光色(2種以上の光色)のLEDをカード型LED照明光源10に実装することにより、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる。この場合、2種の光色を用いた2波長タイプのときには演色性は低いが高効率な光源が実現可能であり、相関色温度が低いときには赤と青緑(緑)発光の組合せ、相関色温度が高いときには青と黄(橙)発光の組合せを採用することが望ましい。なお、青と赤との発光のLEDの組合せに青で励起されこの中間の波長に発光ピークのある蛍光体(例えば、YAG蛍光体など)を加えた場合は、高効率かつ平均演色評価数が80以上の光源を実現できる。更に、3種の光色を用いた3波長タイプの場合は青と青緑(緑)と赤発光の組合せ、4種の光色を用いた4波長タイプの場合は青と青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組合せが望ましく、特に4波長タイプのときには平均演色評価数が90を超える高演色な光源を実現できる。なお、実装されるLEDベアチップが単色または紫外線を放射する場合や、LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによって白色発光する場合にも本発明を適用できる。また、蛍光体や燐光材を基板に含有させてもよい。更に、青発光のLEDと青色光で励起される蛍光体や燐光材と赤発光LEDを組み合わせ、高効率・高演色を同時に満足させることもできる。』 すなわち、引用発明1では、発光光色を単独で切り替えることもでき、更に、2種、3種、4種といった複数種類の発光により、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、複数の発光色が得られる。 よって、引用発明1は、次の構成を有している。 点灯回路により発光光色を単独で切り替えることもでき、複数種類の発光により、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで複数の発光色が得られ、 (iii)対比及び一致点・相違点 本件特許発明1の構成Eと引用発明1の構成を対比すると、引用発明1の『発光光色を単独で切り替える』は、本件特許発明1の『各発光ダイオードを単独で』に相当する。引用発明1の『複数種類の発光により』は、本件特許発明1の『複数発光させる』に相当する。引用発明1の『相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで』は、本件特許発明1の『特定の発光色が』に相当する。したがって、引用発明1には、本件特許発明1の構成Eが開示されている。」(以下「主張2-5」という。) (2-6)審判請求書第10ページ第11行?第11ページ第3行 「(ii)甲第1号証の記載および引用発明1の構成 ・記載事項5 『【0081】 更に、多発光色(2種以上の光色)のLEDをカード型LED照明光源10に実装することにより、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる。この場合、2種の光色を用いた2波長タイプのときには演色性は低いが高効率な光源が実現可能であり、相関色温度が低いときには赤と青緑(緑)発光の組合せ、相関色温度が高いときには青と黄(橙)発光の組合せを採用することが望ましい。なお、青と赤との発光のLEDの組合せに青で励起されこの中間の波長に発光ピークのある蛍光体(例えば、YAG蛍光体など)を加えた場合は、高効率かつ平均演色評価数が80以上の光源を実現できる。更に、3種の光色を用いた3波長タイプの場合は青と青緑(緑)と赤発光の組合せ、4種の光色を用いた4波長タイプの場合は青と青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組合せが望ましく、特に4波長タイプのときには平均演色評価数が90を超える高演色な光源を実現できる。なお、実装されるLEDベアチップが単色または紫外線を放射する場合や、LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによって白色発光する場合にも本発明を適用できる。また、蛍光体や燐光材を基板に含有させてもよい。更に、青発光のLEDと青色光で励起される蛍光体や燐光材と赤発光LEDを組み合わせ、高効率・高演色を同時に満足させることもできる。』 よって、引用発明1は、次の構成を有している。 複数の発光色には、青と黄発光の組合せにより得られる発光色、青と青緑と黄と赤発光の組合せにより得られる発光色が含まれ、 (iii)対比及び一致点・相違点 本件特許発明1の構成Gと引用発明1の構成を対比すると、引用発明1の『複数の発光色』は、本件特許発明1の『特定の発光色』に相当する。引用発明1の『黄発光』、『黄』は、本件特許発明1の『黄色発光ダイオードから発せられる光』に相当する。引用発明1の『青』、『黄緑』、『赤発光』は、本件特許発明1の『それ以外の発光ダイオードから発せられる光』に相当する。 よって、引用発明1には、本件特許発明1の構成Gのうち、『前記複数得られる特定の発光色には、黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ』ることが開示されており、引用発明1はこの点において本件特許発明1と一致している。 一方、本件特許発明1は、『特定の発光色には、白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ』るのに対し、引用発明1は、複数の発光色に、白色と他色発光の組合せが含まれるか否かについて明らかでない点において、本件特許発明1と相違している」(以下「主張2-6」という。) (2-7)口頭陳述要領書第8ページ第9行?第15行 「甲第1号証の【0081】で『青と黄(橙)発光の組み合わせを採用する』と記載され、『青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組み合わせ』と記載され、『白色発光する場合にも本発明を適用できる』と記載される。そうすると、少なくとも、『黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色』と『白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色』とが記載される。したがって、甲第1号証でも、『G.』に相当する記載が存在する。」(以下「主張2-7」という。) (2-8)口頭陳述要領書第9ページ第20行?第10ページ第9行 「被請求人は、甲1発明は、下記(i)?(iv)に相当する構成を有しないと主張する。 (i)『光源部の各発光ダイオードの発光を個別に制御する制御手段を有し、』 (ii)『前記制御手段により前記各発光ダイオードを単独で又は複数発光させることで特定の発光色が得られるように構成し、』 (iii)『前記特定の発光色は複数得られ、』 (iv)『前記複数得られる特定の発光色には、少なくとも、前記発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ』 しかしながら、甲第1号証では、(I)?(V)が記載される。 (I)『カード型LED照明光源10に実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用または相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄などを有する』こと(【0080】) (II)『LED照明装置の発光光色を切り替えや制御する』こと(【0080】) (III)『多発光色(2種以上の発光)のLEDをカード型LED照明光源10に実装する』こと(【0081】) (IV)『相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、1枚のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる』こと(【0081】) (V)『各色の組み合わせの例』(【0081】) そうすると、上記(i)は、上記(II)により開示され、上記(ii)は、上記(I)、(II)、(III)、(IV)により開示され、上記(iii)は、上記(IV)、(V)により開示され、上記(iv)は、上記(V)により開示される。 したがって、『甲1発明は、上記(i)?(iv)に相当する構成を有しない』との被請求人の主張は失当である。」(以下「主張2-8」という。) (3)構成要件H.について (3-1)審判請求書第11ページ第8行?第12ページ第12行 「(ii)甲第1号証の記載および引用発明1の構成 ・記載事項6 『【0040】 本発明のカード型LED照明光源は、金属ベース基板と、前記金属ベース基板の片面に実装された複数のLEDベアチップとを備えたカード型LED照明光源であって、コネクタおよび点灯回路を備えた照明装置に着脱可能に支持され、かつ、前記金属ベース基板のうち前記LEDベアチップが実装されていない基板裏面が前記照明装置の一部に熱的に接触し、前記金属ベース基板のうち前記LEDベアチップが実装されている前記基板片面に給電端子が設けられている。 【0107】 LEDベアチップ2で発生した光の進行方向を制御する反射面3aを各LEDベアチップ2を取り囲む位置に有し、各LEDベアチップ2の設置位置には孔3bが開いている金属(アルミニウム)製の光学反射板3が、放熱基板1に設けられている。そして、この孔3bには、LEDベアチップ2をモールドするように樹脂4(エポキシ、レジン、シリコーン、またはこれらの組み合せ)が充填されている。この充填された樹脂4は、レンズとして機能する。 【0116】 本発明のカード型LED照明光源では、発光部15を放熱基板1側にして各LEDベアチップ2を設けているので、図1に示す従来例に見られるような給電用のワイヤを設ける必要がなく、ワイヤボンディングに要する領域も不要となるので、隣り合って設置されるLEDベアチップ2、2の間隔を狭くでき、LEDベアチップ2の高集積化を図ることができる。なお、この点は発光色の異なる多数のLEDベアチップ2(またはベアチップ)を使用しての混光にも有利である。 【0144】 光学反射板52の孔にLED封止樹脂を充填し、樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズを形成することも可能であるし、また、樹脂で孔部分を埋めることによって平坦化することも可能である。しかし、光学反射板52の面積は多層配線基板51の面積より小さいため、光学反射板52の全体を樹脂でモールドすることも可能である。光学反射板52を樹脂で完全に覆えば、封止性が向上する』 すなわち、引用発明1では、カード型LED照明光源のLEDベアチップをモールドするように樹脂が充填されている。この樹脂は、LEDベアチップの設置位置に形成された孔に充填される。さらに、樹脂は、ベアチップを使用しての混光が可能であり、また、凹レンズまたは凸レンズとして形成できる。 よって、引用発明1は、次の構成を有している。 カード型LED照明光源の各LEDから発せられる光を混光する樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズが、カード型LED照明光源の設置位置に形成された孔に設けられる、 (iii)対比及び一致点・相違点 本件特許発明1の構成Hと引用発明1の構成を対比すると、引用発明1の『カード型LED照明光源の各LED』は、本件特許発明1の『各発光ダイオード』に相当する。引用発明1の『混光』は、本件特許発明1の『混色』に相当する。引用発明1の『樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズ』は、本件特許発明1の『発光色補助手段』に相当する。引用発明1の『カード型LED照明光源の設置位置に形成された孔』は、本件特許発明1の『光源部の近く』に相当する。 よって、引用発明1には、本件特許発明1の構成Hのうち、『前記各発光ダイオードから発せられる光を混色する発光色補助手段を前記光源部の近くに設けるように構成』することが開示されており、引用発明1はこの点において本件特許発明1と一致している。 一方、本件特許発明1は、『各発光ダイオードから発せられる光を集光』するのに対し、引用発明1は『集光』について明らかでない点において、本件特許発明1と相違している」(以下「主張3-1」という。) (3-2)口頭陳述要領書第5ページ第27行?第6ページ第3行 「甲第1号証の【0107】では、『この充填された樹脂4は、レンズとして機能する』と記載される。また、甲第1号証の【0116】では、『発光色の異なる多数のLEDベアチップ2(またはベアチップ)を使用しての混色にも有利である』と記載される。すなわち、甲第1号証では、『樹脂が、集光レンズとして使用されること』が開示される。そして、甲第1号証では、『樹脂で集光されたうえで、混色されること』も開示される。そうすると、レンズの目的、機能が『集光』及び『混色』であることが明らかである。上記の点を鑑みると、被告の甲第1号証の【0116】の記載の解釈には誤りがある。 したがって、『『樹脂4』及び『樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズ』について、通常のLEDに備えられるモールド手段に過ぎない』とする被請求人の主張は失当である。また、『甲第1号証には、これらの樹脂からなるレンズの目的、機能等についての記載が存しない』とする被請求人の主張は失当である。」(以下「主張3-2」という。) (3-3)口頭陳述要領書第8ページ第16行?第23行 「甲第1号証の【0107】で『LEDベアチップ2をモールドするように樹脂4(エポキシ、レジン、シリコーン、またはこれらの組み合わせ)が充填されている。この充填された樹脂4は、レンズとして機能する』と記載される。また、甲第1号証の【0116】で『発光色の異なる多数のLEDベアチップ2(またはベアチップ)を使用しての混色にも有利である』と記載される。さらに、甲第1号証の【0144】で『光学反射板52の孔にLED封止樹脂を充填し、樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズを形成することも可能である』と記載される。そうすると、甲第1号証でも、『H.』に相当する記載が存在する。」(以下「主張3-3」という。) (3-4)口頭陳述要領書第10ページ第14行?第24行 「甲第1号証では、【0107】において、『樹脂4(エポキシ、レジン、シリコーン、またはこれらの組み合わせ)が充填されている。この充填された樹脂4は、レンズとして機能する。』と開示される。また、甲第1号証では、【0116】において、『発光色の異なる多数のLEDベアチップ2(またはベアチップ)を使用しての混色』と開示される。さらに、甲第1号証では、【0144】において、『光学反射板52の孔にLED封止樹脂を充填し、樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズを形成することも可能である』と開示される。 したがって、『甲1発明は、『前記各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、これにより得られた発光色で前記カバーを照らすための発光色補助手段を前記光源部の近くに設けるように構成し』に相当するものを有しない』との被請求人の主張は失当である。」(以下「主張3-4」という。) (4)構成要件J.について (4-1)審判請求書第12ページ下から6行?第13ページ第2行 「(ii)甲第1号証の記載および引用発明1の構成 上記した記載事項1及び記載事項2の通り、引用発明1は、次の構成を有している。 青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動するペンライト。 (iii)対比及び一致点・相違点 本件特許発明1の構成Jと引用発明1の構成を対比すると、引用発明1の『青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動するペンライト』は、本件特許発明1の『多色ペンライト』に相当する。したがって、引用発明1には、本件特許発明1の構成Jが開示されている。」(以下「主張4-1」という。) (5)構成要件C.?G.に係る相違点に関する、甲第3号証に記載された技術的事項の適用について (5-1)審判請求書第15ページ第5行?第16ページ第5行 「(ii)甲第3号証の記載及び技術事項3 甲第3号証には以下の記載がある。 ・記載事項3a 『【0001】 本考案は、色温度を調節できる発光装置およびその制御回路の構造に関し、特にLEDの色温度を調節できる発光装置およびその制御回路に応用される構造に関する。 【0002】 LED技術の弛まぬ成長および進歩に伴って、その応用範囲も例えばディスプレイのバックライトモジュールまたは照明器具など、徐々に日常生活内に広がってきている。照明器具に応用される場合、各種の需要に対応するために、LEDの色温度を正確に調整することは非常に重要である。 【0031】 本実施例は信号制御回路101によって第1の電流駆動回路103および第2の電流駆動回路107を正確に制御し、第1のLED104および第2のLED108の光強度をそれぞれ正確に制御して混光された後の色温度を調整することができる。本実施例の第1のLED104および第2のLED108は、緑色LEDに赤色LEDを組合せるか、黄色LEDに青色LEDを組合せるか、または白色LEDに有色LEDを組合せる構造にすることができる。各種の異なるLEDの組合わせを利用して様々な色温度の光線を生成することができ、本実施例が調整可能な色温度の範囲は1500Kから20000Kの間であり、使用者の必要に応じて各種の様々な状況に応用することができる。 【0044】 本実施例の第1のLED104、第2のLED108および第3のLED116は、緑色LED,赤色LEDおよび青色LEDを組合せるか、黄色LED、青色LEDおよびその他の有色LEDを組合せるか、或いは白色LEDにその他の有色LEDを組合せる構造にすることができ、LEDは使用者の必要に応じて任意に選択して組合せることができる。 【請求項11】 前記第1のLEDは、黄色LEDであり、前記第2のLEDは、青色LEDであることを特徴とする請求項1記載の色温度を調整できる発光装置。 【請求項12】 前記第1のLEDは、白色LEDであり、前記第2のLEDは、有色LEDであることを特徴とする請求項1記載の色温度を調整できる発光装置。』 よって、甲第3号証に記載された技術事項(以下『技術事項3』という)は、次の通りである。 白色LEDに、その他有色LEDを組み合わせて色温度を調整する (iii)相違点2は当業者が容易に想到し得た事項であること 前述の通り、技術事項3は『白色LEDに、その他有色LEDを組み合わせる』ものであるところ、この技術事項3を本件特許発明1の用語で表現すると『白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合』と表現できる。 そして、技術事項3は『発光装置、照明器具』に係る技術であり、引用発明1の『ペンライトとして携帯可能なLED照明装置』と技術分野が同一である。このため、引用発明1における制御方法(具体的には色温度の調整方法)として、照明器具に関する技術事項3を採用することに格別な困難性は存在しない。 特に、引用発明1では『白色発光する場合にも適用できる』旨の示唆があるところ(記載事項4参照)、このような引用発明1において、白色LEDに、その他有色LEDを組み合わせる技術事項3を採用することは、とりわけ容易であるといわざるを得ない。」(以下「主張5-1」という。) (6)構成要件H.に係る相違点に関する甲第2号証に記載された技術的事項の適用について (6-1)審判請求書第16ページ第13行?第18ページ下2行 「(ii)甲第2号証の記載及び技術事項3 甲第2号証には以下の記載がある。 ・記載事項2b 『【0001】 本考案は、RGBフルカラーLEDを使用したスティックライトに係り、他のスティックライトと同調させて使用することが極めて容易で、しかも、先端部分まで効率良く発光させることができるスティックライトに関する。 【0025】 発光筒体20は、光源部10の光が照射する方向に延長された筒状の部材で、光源部10の光で発光する。この発光筒体20の材質は、アクリル樹脂等のプラスチックが使用されている。更に、発光筒体20の内部側面に凹凸形状の乱反射面21を形成すると共に、前記発光筒体20を構成する材質の内部に光を拡散せしめる拡散粒子22が混合している(図3参照)。拡散粒子22の材質は、光を拡散させる性質のものであればどのようなものでも良く、他のプラスチックや金属材、ガラス材など任意の拡散粒子22を選択することができる。このような構成により、光源部10の光が乱反射面21と拡散粒子22で乱反射しながら発光筒体20の先端方向まで拡散するので、発光筒体20の先端部近くまで発光させることができる。 【0026】 反射鏡30は、発光筒体20の内側で光源部10を囲む部材である(図4参照)。この反射鏡30は、光源部10の光を反射させ、発光筒体20の先端方向に集光するように配置している。反射鏡30の他の実施例として、内側面全体に断面V字形状の溝部33を形成したものがある(図6、図7参照)。この溝部33は、光源部10の側面から発光する光を乱反射させることで、反射鏡30内部でも三原色を混合するように構成したものである。特に、砲弾形のRGBフルカラーLEDのように、LED側面の光を反射鏡30で集光する場合でも、反射鏡30内で各種の色彩を調整することができる。 【0027】 更に、反射鏡30の他の実施例として、反射基部31と導光部32とを備えた反射鏡30がある(図8参照)。反射基部31は、光源部10を囲む凹面状を成し、導光部32は、この反射基部31の先端から発光筒体20の先端方向に向かって筒状に延長された部位である。そして、この導光部32にて反射させた光を発光筒体20の先端方向に集光するように構成している。 【図1】 スティックライトの正面図。 ・・・ 【図3】 発光筒体20の断面図。 ・・・ 【図6】 光源部10の光を反射させて発光筒体20の先端方向に集光する反射鏡30。 ・・・ 【図7】 光源部10の光を反射させて発光筒体20の先端方向に集光する反射鏡30。 ・・・ 【図8】 光源部10の光を反射させて発光筒体20の先端方向に集光する反射鏡30。 ・・・』 よって、甲第2号証に記載された技術事項(以下『技術事項2b』という)は、次の通りである。 光源部の光を反射させ、発光筒体の先端方向に集光し、かつ、反射鏡内部においても三原色を混合する反射鏡又は導光部を備える (iii)相違点3は当業者が容易に想到し得た事項であること 前述の通り、技術事項2bは『光源部の光を反射させ、集光し、発光筒体の先端方向を照らす』ものであるところ、この技術事項2bを本件特許発明1の用語で表現すると『各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、カバーを照らす』と表現できる。 そして、技術事項2bは『スティックライト(ペンライトの別名)』に係る技術であり、引用発明1の『ペンライトとして携帯可能なLED照明装置』と技術分野が同一である。このため、引用発明1における発光色補助手段として、ペンライトに関する技術事項2bを採用することに格別な困難性は存在しない。 特に、引用発明1では『樹脂により凹レンズまたは凸レンズを形成する』旨の示唆があるところ(記載事項6参照)、このような引用発明1において、光源部の光を反射させ、集光し、発光筒体の先端方向を照らす技術事項2bを採用することはとりわけ容易であるといわざるを得ない。」(以下「主張6-1」という。) (6-2)口頭陳述要領書第11ページ下から5行?末行 「被請求人は、甲第2号証の反射鏡は、発光筒体の内側に取り付けられるものの、甲1発明は、かかる発光筒体を有することがなく、本件特許発明1の発明特定事項は、当業者が容易に想到したものではないと主張する。 しかしながら、本件特許発明1では、『発光色補助手段は、光源部の近くに設ける』ものである。すなわち、発光色補助手段が、光源の近くに設けられれば良い。」(以下「主張6-2」という。) 3 請求人の提出した証拠方法 請求人は、証拠方法として、審判請求書に添付して以下の甲第1?4号証を提出している。 甲第1号証 特開2005-235779号公報 甲第2号証 登録実用新案第3175039号公報 甲第3号証 登録実用新案第3139518号公報 甲第4号証 特開2003-187609号公報 第4 被請求人の主張と証拠方法 1 被請求人が主張する答弁の趣旨 被請求人の主張の趣旨は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、請求人が主張する無効理由(1)、(2)は理由がない、というものである。 2 無効理由に係る主張の要点 (1)構成要件A.について 審判事件答弁書第6ページ第17行?下から2行 「【0034】(『光を透過するカバー』)及び【0077】(『光透過カバー20a』)の記載は、『実施形態1』として挙げられた『公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置』(【0077】、図3(b))に係るものであり、それらの『光を透過するカバー』は、白熱電球のガラス球に相当する部材である。これは、『実施形態4』の『ペンライト』とは無関係であり、これに適用されるものではない。」(以下「主張A」という。) (2)構成要件D.?G.について 審判事件答弁書第8ページ第6行?第20行 「この例のLED照明光源(95)が用いられた『携帯可能なLED照明装置』は、実施形態1のLED照明装置と同じ機能を有するとはいえない。段落【0224】及び図25に示される『携帯可能なLED照明装置』は、実施形態1の照明装置と、用途(携帯用)・機能(一時的照明)が異なる。またそのため、電源として乾電池・充電池が用いられている。電力量が限定され供給も不安定な乾電池等の『携帯可能なLED照明装置』において、多数のLEDベアチップの全てを点灯させ、個別に制御して相関色温度を制御するのであれば、実施形態1とは別の技術が必要である。甲第1号証にはこの点の記載がなく、『携帯可能なLED照明装置』は多数のLEDベアチップを個別に制御して相関色温度を制御するものではない。 甲第1号証において、青色、緑色、黄色、および赤色LEDをコントロールするLED点灯回路の構成は、『実施形態3』において記載されている。しかし、これは段落【0192】?【0195】及び図16の記載から明らかであるとおり、家庭用電源等電力が安定して供給される照明装置(実施形態1)のための回路である。」(以下「主張B」という。) (3)構成要件H.について 口頭陳述要領書第7ページ第17行?下から3行 「通常のLEDのモールド手段(樹脂)も一定のレンズ作用を有し、かかる通常のLEDも隣り合って設置されれば混光する。段落【0116】の記載は、隣り合って設置されるLEDベアチップ2、2の間隔を狭くできることがかかる混光にも有利であると述べられているに過ぎず、甲第1号証には、『カード型LED照明光源の各LEDから発せられる光を混光する樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズ』(審判請求書第11頁最終の2行)は記載されていない。」(以下「主張C」という。) 3 被請求人の提出した証拠方法 被請求には、証拠方法として、答弁書に添付して以下の乙第1?第2号証を提出している。 乙第1号証 特開平10-6246号公報 乙第2号証 特開2000-76902号公報 第5 当審の判断 1 甲各号証に記載された事項及び発明 (1)甲第1号証に記載された事項及び発明 ア 甲第1号証に記載された事項 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で加筆した。以下同様である。 (1a)「【0001】 本発明は、LED照明装置およびカード型LED照明光源に関する。より詳細には、複数のLEDが実装されたカード型LED照明光源を用いるLED照明装置と、このLED照明装置に好適に用いられるカード型LED照明光源とに関している。」 (1b)「【0002】 照明器具や看板の光源として、従来から白熱電球、蛍光ランプ、高圧放電ランプなどが使用されている。これらの光源に変わる新しい照明光源として、LED照明光源の研究が進められている。このLED照明光源は、上記の光源と比べて寿命が長いという優れた利点があり、次世代の照明光源としての期待は大きい。しかし、1個のLED素子では、光束が小さいため、白熱電球、蛍光ランプと同程度の光束を得るためには、複数のLED素子を配置してLED照明光源を構成する必要がある。 【0003】 以下、図面を参照しながら、従来のLED照明光源を説明する。 ・・・ 【0005】 このLED照明光源は、図1(a)および(b)に示すように、基板21を備えており、その基板21の上に複数のLEDベアチップ22が実装されている。本明細書において、『LEDベアチップ』とは、基板21に実装する前の段階において、LEDが樹脂などによってモールドされていないものを意味するものとする。また、実装前の段階でLEDがモールドされており、発光部などが露出していない状態にあるLEDを『LED素子』と呼んで区別することにする。図1(a)に示す基板21の上には、LEDベアチップ22から出た光を透過する孔23aが開けられ板23が設けられている。一方、図1(b)に示す基板21の上には、LEDベアチップ22から出た光を透過する層状の樹脂24が形成されており、LEDベアチップ22は樹脂24で覆われている。 ・・・ 【0008】 LEDベアチップ22におけるn型半導体層32の電極32aとp型半導体層34の電極34aとの間に順方向のバイアス電圧を印加すると、電子および正孔が半導体層内に注入され、再結合する。この再結合により、活性層33で光が発生し、活性層33から光が出射される。LED照明光源では、基板上に実装された複数のLEDベアチップ22から出射された光を照明光として利用する。」 (1c)「【0009】 しかしながら、上記構成のLED照明光源では、発光に伴ってLEDベアチップ22が多量の熱を発生する。発生した熱は、素子基板31を介して基板21から放散することが意図されている。しかし、このようなLED照明装置の実用化にあたっては、以下のような解決すべき課題が残っている。 ・・・ 【0015】 以下、図1(a)および(b)や図2(a)および(b)を参照しながら、従来のLED照明光源の問題を説明する。まず、LEDの連続した点灯により、集積された多数のLED基板の中央部が熱くなり、LED基板の周辺部との温度差が大きくなるという問題がある。例えば、図1(a)および図2(a)に示す構成は、LEDのドットマトリクスディスプレイに採用されている。LEDディスプレイでは、板23が各LEDの発光と非発光の部分のコントラストを上げるように機能する。ディスプレイの場合、全てのLEDが常に大出力で点灯状態になることはなく、発熱は大きな問題にならないが、照明装置として使用する場合には、全LEDが長時間点灯状態を維持するため、発熱の問題が顕在化する。 【0016】 上記従来の構成例では、基板21および板23の材料に樹脂が用いられ、一体化される。このため、基板21および板23の各熱膨張率は略等しいが、通常の樹脂材料の熱伝導率は低く、熱がこもりやすくなるので、大出力で常時点灯される照明装置には適していない。」 (1d)「【0021】 本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、これらのすべての課題(高密度化、放熱性、光利用効率)を同時に解決できるLED照明光源およびLED照明装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0022】 本発明のLED照明光源は、素子基板上に発光部を有するLEDベアチップが放熱基板上に設けられているLED照明光源であって、前記LEDベアチップの前記発光部は、前記放熱基板に配置され、前記LEDベアチップの前記素子基板の光出射表面は、辺縁部が中央部に比べて低背である傾斜面状として形成している。 ・・・ 【0034】 好ましい実施形態では、前記コネクタに接続された状態の前記カード型LED照明光源から出た光を透過するカバーを備えている。このカバーは、光の反射、屈折、拡散を行うように種々の光学的特性を備えていてもよい。 ・・・ 【0040】 本発明のカード型LED照明光源は、金属ベース基板と、前記金属ベース基板の片面に実装された複数のLEDベアチップとを備えたカード型LED照明光源であって、コネクタおよび点灯回路を備えた照明装置に着脱可能に支持され、かつ、前記金属ベース基板のうち前記LEDベアチップが実装されていない基板裏面が前記照明装置の一部に熱的に接触し、前記金属ベース基板のうち前記LEDベアチップが実装されている前記基板片面に給電端子が設けられている。」 (1e)「【0057】 本発明のLED照明装置は、着脱可能なカード型LED照明光源に電気的に接続されるコネクタと、このコネクタを介してカード型LED照明光源と電気的に接続される点灯回路とを備えており、カード型LED照明光源を装着することにより、照明光を放射することができる。カード型LED照明光源は、後に詳しく説明するように、複数のLEDが放熱性に優れた基板の片面に実装された構成を有している。 【0058】 従来のLED照明光源について説明したように、多数のLED素子を基板上に高密度で実装し、かつ、各LED素子に大きな電流を流した場合、LEDの発熱量が過大なレベルに達し、LEDの寿命が短縮されるという問題があり、このことがLED照明装置の実用化を阻んでいた。 【0059】 本発明では、照明装置の光源部分を着脱可能なカード状構造物によって構成し、各LEDで発生した熱をスムーズに放熱させる効果を高めるとともに、寿命の尽きた光源だけを新しい光源と取替え可能とすることにより、LED照明装置の光源以外の構造体を長期間使用できるようにしている。 ・・・ 【0065】 後述するように、本発明のカード型LED光源およびLED照明装置を用い、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動することによって照明を行う場合は、各色のLEDについて2つの電極(計10個の電極)を設けることが好ましい。 ・・・ 【0069】 以下、図面を参照しながら、本発明によるLED照明装置の実施形態を最初に説明する。」 (1f)「【0070】 (実施形態1) 図3(a)は、本発明によるLED照明装置の一部を示す斜視図であり、着脱可能な複数のカード型LED照明光源10が嵌め込まれるヒートシンク19を示している。 ・・・ 【0076】 次に、図3(b)を参照する。 【0077】 図3(b)に示すLED照明装置は、公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置であり、カード型LED照明光源を着脱可能に支持するアダプタ20と、装着された状態のカード型LED照明光源を覆う光透過カバー20aとを備えている。アダプタ20の内部には不図示の点灯回路が設けられている。アダプタ20の下部には、外部から内部の点灯回路に電気エネルギーを供給するための給電ソケット(スクリューソケット)が設けられている。この給電ソケットの形状およびサイズは、通常の白熱電球に設けられた給電ソケットの形状およびサイズと等しい。このため、図3(b)のLED照明装置は、白熱電球がはめ込まれる既存の電気器具にそのまま装着されて使用され得る。なお、スクリュー型ソケットに代えて、ピン型ソケットを採用してもよい。 【0078】 図3(b)に示されているLED照明装置のアダプタ20には、カード型LED照明光源10を挿入するためのスロットが設けられている。スロットの奥には、不図示のコネクタが配置されており、このコネクタを介してカード型LED照明光源10と点灯回路との電気的接続が行われる。なお、図示されている例では、アダプタ20にスロットが設けられ、このスロットを介してカード型LED照明光源10の着脱が行われるが、着脱の形式はこれに限定されない。スロットを設けないタイプの実施形態については、後に説明する。 上述のように、図3(b)のカード型LED照明光源10は、コネクタに対して簡単に抜き差しが行える機構を有しているため、照明器具との間で容易に取り外し交換が可能となる。このようにカード型LED照明光源10の取り外しが容易なため、以下に述べる利点がある。 ・・・ 【0080】 第3に、カード型LED照明光源10に実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用または相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとすることができる。このようなカード型LED照明光源10から適切なものを選択すれば、対応するLED照明装置に装着すれば、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御することができる。 【0081】 更に、多発光色(2種以上の光色)のLEDをカード型LED照明光源10に実装することにより、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる。この場合、2種の光色を用いた2波長タイプのときには演色性は低いが高効率な光源が実現可能であり、相関色温度が低いときには赤と青緑(緑)発光の組合せ、相関色温度が高いときには青と黄(橙)発光の組合せを採用することが望ましい。なお、青と赤との発光のLEDの組合せに青で励起されこの中間の波長に発光ピークのある蛍光体(例えば、YAG蛍光体など)を加えた場合は、高効率かつ平均演色評価数が80以上の光源を実現できる。更に、3種の光色を用いた3波長タイプの場合は青と青緑(緑)と赤発光の組合せ、4種の光色を用いた4波長タイプの場合は青と青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組合せが望ましく、特に4波長タイプのときには平均演色評価数が90を超える高演色な光源を実現できる。なお、実装されるLEDベアチップが単色または紫外線を放射する場合や、LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによって白色発光する場合にも本発明を適用できる。また、蛍光体や燐光材を基板に含有させてもよい。更に、青発光のLEDと青色光で励起される蛍光体や燐光材と赤発光LEDを組み合わせ、高効率・高演色を同時に満足させることもできる。」 (1g)「【0088】 (実施形態2) 次に、本発明によるカード型LED照明光源の実施形態を説明する。 【0089】 図4(a)および(b)は、本実施形態におけるカード型LED照明光源の構成を示している。本実施形態のカード型LED照明光源は、図3の照明装置に対して好適に用いられる。 【0090】 本実施形態のカード型LED照明光源では、図4(a)に示すように、放熱基板1の片面に複数のLEDベアチップ2が実装されている。図の例では、LEDベアチップ2が行および列からなるマトリクス状に配列されているが、本発明はこれに限定されず、LEDベアチップ2の配列パターンは任意である。 ・・・ 【0107】 LEDベアチップ2で発生した光の進行方向を制御する反射面3aを各LEDベアチップ2を取り囲む位置に有し、各LEDベアチップ2の設置位置には孔3bが開いている金属(アルミニウム)製の光学反射板3が、放熱基板1に設けられている。そして、この孔3bには、LEDベアチップ2をモールドするように樹脂4(エポキシ、レジン、シリコーン、またはこれらの組み合せ)が充填されている。この充填された樹脂4は、レンズとして機能する。 ・・・ 【0116】 本発明のカード型LED照明光源では、発光部15を放熱基板1側にして各LEDベアチップ2を設けているので、図1に示す従来例に見られるような給電用のワイヤを設ける必要がなく、ワイヤボンディングに要する領域も不要となるので、隣り合って設置されるLEDベアチップ2、2の間隔を狭くでき、LEDベアチップ2の高集積化を図ることができる。なお、この点は発光色の異なる多数のLEDベアチップ2(またはベアチップ)を使用しての混光にも有利である。 ・・・ 【0125】 上述した例では、GaN系半導体層/サファイア素子基板構成で青色光を発するLEDベアチップ2を用いた青色光のカード型LED照明光源について説明したが、他の赤色光を発するLEDベアチップ、緑色光を発するLEDベアチップまたは黄色光を発するLEDベアチップを用いるカード型LED照明光源であっても、本発明を同様に適用できることは勿論である。また、これらの4種のLED素子を混在配置させ、それらの発色光を配光制御して白色光や可変色光を提供する白色カード型LED照明光源でも、本発明が適用可能であることは勿論である。」 (1h)「【0136】 (実施形態3) 次に、本発明によるカード型LED照明光源の他の実施形態を説明する。 【0137】 まず、図12を参照しながら、本実施形態のカード型LED照明光源を説明する。 【0138】 本実施形態のカード型LED照明光源は、図12に示すように、金属板50と、多層配線基板51と、金属製の光学反射板52とを備えている。金属板50および多層配線基板51は、全体として1つの「カード型LED照明光源」を構成している。 ・・・ 【0144】 光学反射板52の孔にLED封止樹脂を充填し、樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズを形成することも可能であるし、また、樹脂で孔部分を埋めることによって平坦化することも可能である。しかし、光学反射板52の面積は多層配線基板51の面積より小さいため、光学反射板52の全体を樹脂でモールドすることも可能である。光学反射板52を樹脂で完全に覆えば、封止性が向上する。 ・・・ 【0178】 なお、本実施形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、および黄色(Y)の光を発する4種類のLEDベアチップをそれぞれ16個づつ、1つの基板上に配列している。基板サイズは、例えば、長辺28.5mm×短辺23.5mm×厚さ1.3mmであり、64個のLEDが配列された矩形領域のサイズは、例えば、20mm×20mm×厚さ1mmである。この例において、LEDが配置される領域(反射板が存在する領域)が約2cm角のサイズを有する理由は、低ワットの小型電球の中で一般的な小丸電球やミニクリプトン電球のバルブサイズと同等の発光部面積を与えることにより、これら既存の低ワット電球と代替可能とするためである。なお、小丸電球によれば、約5から10Wの電力で約20から50lmの全光束が得られ、ミニクリプトン電球によれば、約22から38Wの電力で、約250から500lmの全光束が得られる。 【0179】 本発明者の実験によれば、白色LEDを用いた実施形態において、自然空冷で室温が25℃の場合、約100?300lmの光束が得られ、小型電球と同等の発光部サイズで同等の光量が得られた。また、カード型LED照明光源をビーム電球相当の筐体に組みこみ、ビーム型のダイクロイックハロゲン電球相当の径の中に収める場合、反射板が設けられた光出射領域(発光領域)の中心を電球の光軸中心と一致させようとすれば、前記発光部中心から略四角形のカードの長辺の端面(給電電極側)までの距離は、以下のようになる。 【0180】 径35mmの場合: 約13mm。 【0181】 径40mmの場合: 約15mm。 【0182】 径50mmの場合: 約23mm。 ・・・ 【0187】 以上説明した観点から、カード型LED照明光源における光出射領域の中心(発光部中心)から基板端面(給電電極側の端面)までの距離を約16.5mm、上記発光部中心から基板端面(給電電極側とは反対の端面)までの距離を約12mmとする試作品を作製した。給電電極と反対側のスペース(幅)を充分な大きさに設定することにより、反射板(光出射領域)の外側(基板の余白部)において、下層配線層とのビア接続が可能となる。この場合、本部分を部分単層とすることで、ビアを用いなくとも上下層のワイヤリングなどによって導通をとることも可能である。また逆に、給電電極側を部分単層とすることも可能である。更に、基板上の一部のみにおいて、更なる部分多層化を行い、配線のジャンパの自由度を高めることも可能である。この場合、上記余白部は有効なスペースとなる。 【0188】 本実施形態において、給電電極は、コネクタ電極との接触についての機械的誤差や、ビアの製造誤差を考慮し、略四角形の形状を持つように設計し、幅0.8mm、長さ2.5mm、給電電極間の中心と中心の距離1.25mmに設定している。カード型LED照明光源の基板上において、できるだけ多くの独立した回路を形成するには、給電電極の数は多い方が好ましい。本実施形態の構成例では、16個の給電電極を設けることが可能である。 【0189】 定電流駆動用に、同数のアノード側電極およびカソード側電極を設ける場合、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、および白の各々に給電電極に割り当てた上で、6個(3経路)の予備端子を設けることが可能となる。 ・・・ 【0191】 1枚のカード型LED照明光源に設けた64個のLEDベアチップの相互接続状態を表す等価回路を図15に示す。図15において、R(+)は、赤色光を出すLEDベアチップのアノード側を意味し、R(-)は、赤色光を出すLEDベアチップのカソード側を意味している。他の色(Y、G、B)についても、同様である。 【0192】 図16は、LED点灯回路の構成例を示すブロック図である。図示されている構成例では、カード型LED照明光源の点灯回路70が整流/平滑回路71、電圧降下回路72、および定電流回路73を備えている。整流/平滑回路71は、AC100Vの電源に接続され、交流を直流化する機能を有する公知の回路である。なお、電源はAC100Vに限られず、DC電源を用いても良い。DC電源を用いる場合、平滑回路と降圧回路の組み合わせた整流/平滑回路71を用いる代わりに、電圧変換回路(降圧・昇圧回路)を用いれば良い。 【0193】 電圧降下回路72は、直流化された電圧をLEDの発光に適した電圧(例えば18V)に低下させる。定電流回路73は、青色、緑色、黄色、および赤色のためのLEDコントロール定電流回路から構成されている。LEDコントロール定電流回路は、カード型LED照明光源75における各色のLED群76に供給する電流を一定値に調節する機能を有している。定電流回路73と各LED群76との間の電気的接続は、カード型LED照明光源75を照明装置のコネクタにはめ込むことによって達成される。具体的には、カード型LED照明光源75の基板上に形成された給電電極が、コネクタ内の対応する給電電極と接触することにより、電気的に導通する。 【0194】 このような点灯回路70は、回路要素の一部として電解コンデンサを含んでいる。電解コンデンサの温度は約100℃程度で寿命が著しく短くなるため、電解コンデンサの近傍における温度は100℃を充分に下回る必要がある。本実施形態によれば、カード型LED照明光源75で発生した熱がカード型LED照明光源75の金属板を介して照明装置内の放熱部材を通じて放熱手段から放熱されるため、点灯回路の電解コンデンサの近傍温度は80℃程度以下に維持され、点灯回路の長寿命化も果たされる。 【0195】 本実施形態では、青色、緑(青緑)色、黄(橙)色、および赤色の各々のLED群76について定電流駆動を行うため、別々にグランド電位を与えている。このため、本実施形態におけるカード型LED照明光源75の給電電極数は8個である。8個の給電電極のうちの半分はアノード電極として機能し、他の半分はカソード電極として機能する。 ・・・ 【0214】 本実施形態では、1つの基板上に異なる波長の光を発する4種類のLEDベアチップを配列しているが、本発明はこれに限定されない。発する光の色(波長帯域)は、1?3種類でも5種類以上であってもよい。また、各々が複数の光を発するLEDベアチップや、蛍光体を添加することで白色光を発するLEDベアチップを用いてもよい。なお、白色光を放射するLEDベアチップを用いない限り、一般的には、白色発光のためにLEDベアチップの周囲を蛍光体で覆う必要がある。この場合、基板と反射板とによって形成される空間内に蛍光体を封入すれば、LEDによる蛍光体励起を実現できる。このようにする代わりに、蛍光体を分散させたシートを反射板の上面に張りつけてもよい。また、前記蛍光体を分散させたシート自体を更に透明な樹脂材料でカード型LED光源と一体に形成しても良い。」 (1i)「【0215】 (実施形態4) 以下、図20から図31を参照しながら、本発明によるLED照明装置の種々の実施形態を説明する。 【0216】 まず、図20を参照する。図20は、電球型のLED照明装置を示している。このLED照明装置は、基本的には、図3に示すLED照明装置と同様の構成を有しているが、カード型LED照明光源を照明装置に組み込む方式が異なっている。図20のLED照明装置は、照明装置本体96に光透過性カバー97が組み合わされて使用されるが、カード型LED照明光源95の取り外しは、光透過性カバー97を本体96から一時的に外した状態で行う。本体96の上面には、カード型LED照明光源96が嵌め込まれる受容部98が設けられており、本体96は、受容部98に嵌め込まれたカード型LED照明光源96を上面から押さえる固定蓋99を備えている。固定蓋99は、その一端の近傍を回動軸として開閉するように支持されており、カード型LED照明光源95上の給電電極95aと接触するコネクタ電極99aを有している。このコネクタ電極99aは、本体96内の点灯回路(不図示)と接続されている。固定蓋99aおよび受容部98は、その組合せにより、1つの『コネクタ』として機能する。 【0217】 固定蓋99は、受容部98に収められたカード型LED照明光源95の光出射領域を開放しつつ、給電電極95aやその他の部分を押さえる構造を有している。固定蓋99を閉めた状態において、カード型LED照明光源95の基板裏面は、受容部98の底面と熱的に接触する。受容部98の底面は、熱伝導性の優れた材料(例えばアルミニウムなどの金属材料)から形成されていることが好ましい。この熱伝導性に優れた材料は、ヒートシンクとして機能し、カード型LED照明光源95で発生した熱を放散し、過度の昇温を抑えることができる。 【0218】 好ましい実施形態では、光透過性カバー97の取り外しや固定蓋99の開閉は、特別の道具を用いることなく、人の手や指によって簡単に行うことができるように構成されている。このため、カード型LED照明光源95の取り替え(着脱)は容易に行える。なお、光透過性カバー97は、光拡散性を有していてもよい。なお、光透過性カバー97に代えて、着色材、蛍光材、リン光材から作製した他のカバー97aを用いても良い。また、レンチキュラーレンズ97bや光拡散カバー97cを採用してもよい。あるいは、複レンズや反射材、または、上記した各種の光学部材を複合させた機能を有するカバーを採用してもよい。 ・・・ 【0224】 図25は、懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置を示している。この照明装置には、カード型LED照明光源95を着脱するためのスロット100が設けられている。ただし、カード型LED照明光源95の着脱は、スロットを設けずに行う構成を採用しても良い。図25のLED照明装置は、乾電池や充電池によってカード型LED照明光源を動作させることができ、持ち運び可能な構成を有している。 ・・・ 【0232】 以上、図20から図31を参照しながら本発明によるLED照明装置の種々の実施形態を説明してきたが、本発明の実施形態は、これらに限定されず、多様な形態をとり得る。 ・・・ 【0235】 以上説明してきたように、本発明によるLED照明装置は、カード型LED照明光源を簡単に着脱できる部材として用いることにより、照明装置としての寿命が延び、既存の照明装置と置き換えられ得るようになる。このようなLED照明装置には、図12に示す構成のカード型LED照明光源が好適に使用されるが、本発明のLED照明装置に用いるカード型LED照明光源は、前述した実施形態に制限されるわけではない。 【0236】 このように、本発明のLED照明装置に着脱するカード型LED照明光源としては、種々の構成を有するものを採用することが可能であり、図面を参照して説明したカード型LED照明光源の実施形態に限定されない。」 (1j)甲第1号証には以下の図が示されている。 イ 甲第1号証に記載された発明 上記記載事項及び図示内容によれば、以下の事項が認められる。 (ア)段落【0224】の「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」という記載(記載事項(1i))及び図25の図示内容(記載事項(1j))を参照すると、当該「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」の筒状になっている部分は、携帯する際に把持されることが明らかである。 (イ)図25の図示内容(記載事項(1j))を参照すると、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」の筒状になっている部分に「ON」及び「OFF」という記載がされている。技術常識を踏まえると、「ON」及び「OFF」は、LED照明装置の光源を発光させるか否かを選択できる操作部分であることを意味するから、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」が、その光源である「カード型LED照明光源95」が発光するか否かを制御する制御手段をも有することが明らかである。 そうすると、図25の図示内容(記載事項(1j))から、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」が、「カード型LED照明光源95」の発光を制御する制御手段を有することが看取できる。 (ウ)段落【0224】によれば「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」には、「カード型LED照明光源95を着脱するためのスロット100が設けられ」ている(記載事項(1i))ところ、段落【0235】の「このようなLED照明装置には、図12に示す構成のカード型LED照明光源が好適に使用される」という記載(記載事項(1i))を踏まえて、段落【0138】の「本実施形態のカード型LED照明光源は、図12に示すように、金属板50と、多層配線基板51と、金属製の光学反射板52とを備えている」という記載(記載事項(1h))及び図12の図示内容(記載事項(1j))を併せて参照すると、「カード型LED照明光源95」が金属板50、多層配線基板51及び光反射板52を備えること、その多層配線基板51の片面に複数のLEDベアチップ53が実装されていることが明らかである。 また、段落【0144】の「光学反射板52の孔にLED封止樹脂を充填し、樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズを形成することも可能である」という記載(記載事項(1h))を併せて参照すると、「複数のLEDベアチップ53」の各LEDベアチップ53をモールドするようにLED封止樹脂が充填されており、この充填されたLED封止樹脂は、レンズとして機能することが明らかである。 (エ) 上記認定事項(ア)?(ウ)、上記記載事項(1a)?(1i)及び(1j)(特に図25)から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 [甲1発明] 「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置であって、 カード型LED照明光源95を着脱するためのスロット100が設けられ、 乾電池や充電池によってカード型LED照明光源95を動作させることができ、 上記LED照明装置の筒状になっている部分は、携帯する際に把持され、 上記カード型LED照明光源95の発光を制御する制御手段を有し、 上記カード型LED照明光源95の多層配線基板51の片面に複数のLEDベアチップ53が実装され、 上記LEDベアチップ53をモールドするようにLED封止樹脂が充填され、この充填されたLED封止樹脂は、レンズとして機能する 懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置。」 (2)甲第2号証に記載された事項 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 (2a)「【0001】 本考案は、RGBフルカラーLEDを使用したスティックライトに係り、他のスティックライトと同調させて使用することが極めて容易で、しかも、先端部分まで効率良く発光させることができるスティックライトに関する。」 (2b)「【0002】 赤色LED、緑色LED及び青色LEDを利用したスティックライトは特許文献1に記載されている。このスティックライトによると、所望の色が発光されるように各LEDを個別に制御することで、スティックライトを任意の色に発光させるものである。そして、7色(赤、黄、緑、青緑、青、紫、白)を予め定められた順序で関係付けておき、スイッチを操作したときこの順序で7色の色の内の1色が選択されるように構成している。具体的には、第1のスイッチを1度押すたびに、赤→黄→緑→青緑→青→紫→白(以下この繰り返し)の順で色が変化するものである。 【0003】 また、このスティックライトには、第2のスイッチが設けられており、スイッチを押すたびに、連続点灯モード→点滅モード→変色モード(以下この繰り返し)の順でモードが変化するものである。 ・・・ 【0008】 更に、LEDを利用してスティックライトを構成した場合、LEDから離れるほど光量が減少するので、スティック状の先端部分が暗くなり易くなるといった不都合もあった。この場合、レンズ等の集光部品を利用して遠くまで照射することは可能であるが、部品点数が増加して構造が複雑になり、重量等も増加するので、振り回して使用することが多いスティックライトに集光部品を利用することは困難であった。そこで、従来では、LEDの周囲に反射鏡を設け、周囲の光を集光することで、できるだけ効率良く照射しようとしている。 【0009】 一方、赤・青・緑のLEDが一つのパッケージに封印されたRGBフルカラーLEDが提供されている。このようなRGBフルカラーLEDは、多彩な色彩に変化させるのに好適なLEDになっている。ところが、砲弾形のRGBフルカラーLEDのごとく、安価なフルカラーLEDを使用して各種の色を調整する場合、LEDの先端方向で色が交じり合って色彩が調整されるが、LED素子内での混合や拡散ができないので、LEDの周囲には、各LEDの色が原色のまま照射されることになる。このため、LEDの周囲に反射鏡を設けていると、この原色の光が反射して調整した色彩を妨げる不都合が生じる。この結果、混合と拡散機能を持った高価なフルカラーLEDを使用せざるを得なかった。」 (2c)「【0010】 そこで本考案は、上述の課題を解消するために案出されたもので、他のスティックライトと同調させて使用することが極めて容易になり、しかも、スティック状の先端部分まで効率良く発光させることができ、安価な砲弾形のRGBフルカラーLEDを使用しても各種の色彩を反射鏡内で調整することが可能なスティックライトの提供を目的とするものである。 ・・・ 【0013】 第3の手段において、前記発光筒体20は、内部側面に凹凸形状の乱反射面21が形成されると共に、前記発光筒体20を構成する材質の内部に光を拡散せしめる拡散粒子22が混合され、乱反射面21と拡散粒子22とで前記光源部10の光が前記発光筒体20の先端方向まで拡散するように構成している。 【0014】 第4の手段は、前記反射鏡30の内側面全体に断面V字形状の溝部33が形成され、前記光源部10の側面から発光する光を該溝部33で乱反射させて反射鏡30内部で三原色を混合するように構成したものである。 【0015】 第5の手段において、反射鏡30は、前記光源部10を囲む凹面状の反射基部31と、該反射基部31の先端から前記発光筒体20の延長方向に沿って筒状に延長された導光部32とを備え、該導光部32にて反射させた光を前記発光筒体20の先端方向に集光するように構成している。」 (2d)「【0022】 本考案によると、他のスティックライトと同調させて使用することが極めて容易になり、しかも、スティック状の先端部分まで効率良く発光させることができ、安価な砲弾形のRGBフルカラーLEDを使用しても各種の色彩を反射鏡内で調整することが可能なスティックライトを提供することに成功した。 【0023】 以下、本考案の実施例を説明する。本考案は、例えば、コンサート会場等の雰囲気を盛り上げる道具などとして使用するスティックライトであり、このスティックライトは、コンサートライト、ペンライト、チアライトなどと称することもある。 【0024】 本考案の主な構成は、光源部10、発光筒体20、反射鏡30、収納筒体40にて構成されている(図4参照)。光源部10は、赤・青・緑のLEDが一つのパッケージに封印された砲弾形のRGBフルカラーLEDを使用する。このRGBフルカラーLEDは、3つのLEDの明るさを変えることで多彩な色を飛揚時できるものである。図示例では、R、G、Bの各ドライバを備えたフルカラーLEDを制御部42が制御している(図5参照)。この制御部42は、発光色のほか、発光モードなどの各種制御をするもので、マイクロプロセッサが使用されている。 【0025】 発光筒体20は、光源部10の光が照射する方向に延長された筒状の部材で、光源部10の光で発光する。この発光筒体20の材質は、アクリル樹脂等のプラスチックが使用されている。更に、発光筒体20の内部側面に凹凸形状の乱反射面21を形成すると共に、前記発光筒体20を構成する材質の内部に光を拡散せしめる拡散粒子22が混合している(図3参照)。拡散粒子22の材質は、光を拡散させる性質のものであればどのようなものでも良く、他のプラスチックや金属材、ガラス材など任意の拡散粒子22を選択することができる。このような構成により、光源部10の光が乱反射面21と拡散粒子22で乱反射しながら発光筒体20の先端方向まで拡散するので、発光筒体20の先端部近くまで発光させることができる。 【0026】 反射鏡30は、発光筒体20の内側で光源部10を囲む部材である(図4参照)。この反射鏡30は、光源部10の光を反射させ、発光筒体20の先端方向に集光するように配置している。反射鏡30の他の実施例として、内側面全体に断面V字形状の溝部33を形成したものがある(図6、図7参照)。この溝部33は、光源部10の側面から発光する光を乱反射させることで、反射鏡30内部でも三原色を混合するように構成したものである。特に、砲弾形のRGBフルカラーLEDのように、LED側面の光を反射鏡30で集光する場合でも、反射鏡30内で各種の色彩を調整することができる。 【0027】 更に、反射鏡30の他の実施例として、反射基部31と導光部32とを備えた反射鏡30がある(図8参照)。反射基部31は、光源部10を囲む凹面状を成し、導光部32は、この反射基部31の先端から発光筒体20の先端方向に向かって筒状に延長された部位である。そして、この導光部32にて反射させた光を発光筒体20の先端方向に集光するように構成している。 【0028】 収納筒体40は、発光筒体20の反対方向に延長され、電池41や制御部42を収納している(図4参照)。この収納筒体40には、制御部42をコントロールするロータリースイッチ50を設けている(図1参照)。そして、制御された各種発光色及び発光手段を該ロータリースイッチ50の表示部で選択するように構成したものである。このロータリースイッチ50は、ダイヤル盤51と表示部52とで構成されている。 【0029】 ダイヤル盤51は、制御部42で設定された各色を指定する番号が円周方向に表示されている(図2参照)。一方、表示部52は、このダイヤル盤51に表示された番号が一つだけ選択表示される部位である。図示例では、円形の窓状に開けた表示部52から一つの番号のみが表示されている。この表示部52の表示で各種発光色をワンタッチで選択するもので、選択窓43に表示された数字が示す発光色で発光筒体20が光るものである。尚、図中符号44は、電源スイッチ44である。 【0030】 次に、ロータリースイッチ50の具体的な使用例を示す。例えば、ダイヤル盤51に表示した番号の1?12までは、レッド、ホワイト、ロイヤル・ブルー、グリーン、ピンク、イエロー、パープル、オレンジ、シー・ブルー、サフラン、アクア・グリーン、ローズ・ピンクの各色が各番号に設定されている。更に、ダイヤル盤51の数字13?16は、ブルー・グラディエーション、レッド・グラディエーション、グリーン・グラディエーション、オールカラー・グラディエーションが、各番号に設定されている。そして、表示部52に表示した1?16の番号に予め設定されている色彩で発光筒体20が発光するものである。」 (2e)甲第2号証には以下の図が示されている。 (3)甲第3号証に記載された事項 甲第3号証には、以下の事項が記載されている。 (3a)「【請求項1】 少なくとも第1の制御信号の出力に使用される第1の制御信号出力端および第2の制御信号の出力に使用される第2の制御信号出力端を有する信号制御回路と、 その入力端が前記第1の制御信号出力端に電気的に接続される第1の隔離回路と、 その入力端が前記第1の隔離回路の出力端に電気的に接続される第1の電流駆動回路と、 その陽極が前記第1の電流駆動回路の出力端に電気的に接続される少なくとも一つの第1のLEDと、 前記第1のLEDの陰極とアースとの間に直列接続され、前記第1の電流駆動回路の入力端に電気信号をフィードバックする第1の保護制御回路と、 その入力端が前記第2の制御信号出力端に電気的に接続される第2の隔離回路と、 その入力端が前記第2の隔離回路の出力端に電気的に接続される第2の電流駆動回路と、 その陽極が前記第2の電流駆動回路の出力端に電気的に接続される少なくとも一つの第2のLEDと、 前記第2のLEDの陰極とアースとの間に直列接続され、前記第2の電流駆動回路の入力端に電気信号をフィードバックする第2の保護制御回路と、を備えることを特徴とする色温度を調整できる発光装置。 ・・・ 【請求項11】 前記第1のLEDは、黄色LEDであり、前記第2のLEDは、青色LEDであることを特徴とする請求項1記載の色温度を調整できる発光装置。 【請求項12】 前記第1のLEDは、白色LEDであり、前記第2のLEDは、有色LEDであることを特徴とする請求項1記載の色温度を調整できる発光装置。」 (3b)「【0001】 本考案は、色温度を調節できる発光装置およびその制御回路の構造に関し、特にLEDの色温度を調節できる発光装置およびその制御回路に応用される構造に関する。」 (3c)「【0002】 LED技術の弛まぬ成長および進歩に伴って、その応用範囲も例えばディスプレイのバックライトモジュールまたは照明器具など、徐々に日常生活内に広がってきている。照明器具に応用される場合、各種の需要に対応するために、LEDの色温度を正確に調整することは非常に重要である。 【0003】 赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを有するLED装置を例とすると、従来技術による色温度を調整できる発光装置では、複数の制御モジュールを利用して赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDに導通される電流を別々に調整して赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDの光強度を調整し、混合後の光を必要な色温度に調整する。 【0004】 しかし、この種の色温度を調整できる発光装置の制御モジュールは導通する電流の強度調整が正確でなく、電流の変動が発生しやすいので、LEDを目標の色温度に調整するのが難しいだけでなく、LEDのちらつきが発生しやすい。また、一つの制御回路で一色のLEDしか制御できないので製造コストが大幅に高くなる。 【0005】 その他の色温度を調整できる発光装置として、白色LEDに赤色LEDまたは黄色LEDを組合せ、赤色LEDまたは黄色LEDが放出する光によって白色LEDの色温度を調整するものがあるが、その調整可能な色温度の範囲は例えば2500Kから5000Kまでと狭く、各種状況に広く応用することができない。」 (3d)「【0006】 本考案の目的は、信号制御回路が複数のLEDを制御することによって異なる色のLEDの光が混光された色温度を目標の色温度に到達させ、信号制御回路が電流駆動回路を正確に制御してLEDの駆動に使用される特定の大きさの電流信号を出力し、LEDに目標の光強度を正確に生成させることによって発光装置の色温度を簡単に制御することができる発光装置およびその制御回路の構造を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上述の目的を解決するために、本考案の色温度を調整できる発光装置は、少なくとも第1の制御信号の出力に使用される第1の制御信号出力端および第2の制御信号の出力に使用される第2の制御信号出力端を有する信号制御回路と、その入力端が第1の制御信号出力端に電気的に接続される第1の隔離回路と、その入力端が第1の隔離回路の出力端に電気的に接続される第1の電流駆動回路と、その陽極が第1の電流駆動回路の出力端に電気的に接続される少なくとも一つの第1のLEDと、第1のLEDの陰極とアースとの間に直列接続され、第1の電流駆動回路の入力端に電気信号をフィードバックする第1の保護制御回路と、その入力端が第2の制御信号出力端に電気的に接続される第2の隔離回路と、その入力端が第2の隔離回路の出力端に電気的に接続される第2の電流駆動回路と、その陽極が第2の電流駆動回路の出力端に電気的に接続される少なくとも一つの第2のLEDと、第2のLEDの陰極とアースとの間に直列接続され、第2の電流駆動回路の入力端に電気信号をフィードバックする第2の保護制御回路とを備える。」 (3e)「【0011】 本考案の目的、特徴および効果を示す実施例を図に沿って詳細に説明する。 [第1の実施例] 図1は、本考案の色温度を調整できる発光装置100の実施例を示す。図2は本考案の色温度を調整できる発光装置100’の実施例を示す。 【0012】 図1に示すように、色温度を調整できる発光装置100は、信号制御回路101、第1の隔離回路(isolation circuit)102、第1の電流駆動回路103、少なくとも一つの第1のLED104、第1の保護制御回路105、第2の隔離回路(isolation circuit)106、第2の電流駆動回路107、少なくとも一つの第2のLED108および第2の保護制御回路109を備える。 【0013】 信号制御回路101は、PWM(Pulse Width Modulation)回路とすることができ、第1の制御信号Ctrl1の出力に使用される第1の制御信号出力端および第2の制御信号Ctrl2の出力に使用される第2の制御信号出力端を有する。PWM回路の特徴はプログラム化できる制御信号を出力することにあるので、第1の制御信号Ctrl1および第2の制御信号Ctrl2をプログラム制御することができ、第1の電流駆動回路103および第2の電流駆動回路107を正確に制御することができる。 【0014】 第1の隔離回路102は、その入力端が信号制御回路101の第1の制御信号出力端に電気的に接続され、負のフィードバック信号を隔離し、負のフィードバック信号が信号制御回路101が出力する第1の制御信号Ctrl1を干渉するのを防止し、第1の電流駆動回路103が受信した第1の制御信号Ctrl1を誤判断して誤った第1の電流信号を出力するのを防止する。 【0015】 第1の隔離回路102は、第1のLEDD1および第1の抵抗R1を備え、第1のLEDD1の陽極は第1の制御信号出力端に電気的に接続され、第1の抵抗R1の一端は第1のLEDD1の陰極と接続され、他端は第1の電流駆動回路103の入力端に電気的に接続される。 【0016】 第1の電流駆動回路103は、その入力端が第1の隔離回路102の出力端に電気的に接続され、第1の電流駆動回路103は第1の制御信号Ctrl1および第1の保護制御回路が生成する負のフィードバック信号を受信し、第1の制御信号Ctrl1の制御に基づいて第1の電流信号を生成する。第1の電流信号が生成する電流の大きさは0.35アンペアから0.7アンペアの間とすることができ、負のフィードバック信号は第1の電流駆動回路103が出力する第1の電流信号が高電流を生成して第1のLED104が負荷できなくなるのを防止するのに使用される。 【0017】 第1のLED104は、その陽極が第1の電流駆動回路103の出力端に電気的に接続され、第1の電流信号を受信して駆動される。第1のLED104は第1の電流信号に基づいて様々な光強度を生成することができる。例えば、第1の制御信号Ctrl1を設定して第1の電流駆動回路103に特定の第1の電流信号を出力させ、第1のLED104が放出する光強度を調整することができる。 【0018】 第1の保護制御回路105は、第1のLED104の陰極とアースとの間に直列接続され、第1の電流駆動回路103の入力端に電気信号をフィードバックする。第1の保護制御回路105は第1のLED104を保護するのに使用され、負のフィードバック信号を第1の電流駆動回路103に提供し、高電流によって第1のLED104が破壊されるのを防止する。 【0019】 第1の保護制御回路105は、第2の抵抗R2および第3の抵抗R3を備え、第2の抵抗R2の一端は第1の電流駆動回路103の入力端に電気的に接続され、他端は第1のLED104の陰極に電気的に接続される。第3の抵抗R3の一端も第1のLED104の陰極と接続され、他端はアースに電気的に接続され、必要に応じて第2の抵抗R2および第3の抵抗R3の抵抗値を調整することができる。 【0020】 また、第1の電流駆動回路103は、ポジティブエッジトリガ駆動およびネガティブエッジトリガ駆動の二種に分けることができ、信号制御回路101が出力する第1の制御信号Ctrl1を適当な電位の制御信号に変換するために、本実施例では更に第1のパルス信号制御回路110を備えることができる。図2に示すように、第1のパルス信号制御回路110の入力端は第1の制御信号出力端に電気的に接続され、その出力端は第1の隔離回路102の入力端に電気的に接続され、本来低電位の第1の制御信号Ctrl1を高電位の第1の制御信号Ctrl1に変換することができる。 【0021】 第1のパルス信号制御回路110は、第4の抵抗R4、第1のトランジスタT1および第5の抵抗R5を備える。第4の抵抗R4の一端は第1の制御信号出力端に電気的に接続され、他端は第1のトランジスタT1のベース端子に電気的に接続される。第1のトランジスタT1はNPNトランジスタであり、そのエミッタ端子はアースに電気的に接続され、そのコレクタ端子は第1の隔離回路102の入力端に電気的に接続される。第5の抵抗R5の一端は第1のトランジスタT1のコレクタ端子に電気的に接続され、他端は第1の制御信号出力端に電気的に接続される。 【0022】 第1の電流駆動回路103が出力する電流信号がノイズを帯びて第1のLED104の発光がちらつくのを防止するために、本実施例では第1のノイズフィルタ回路111を備えることができる。第1のノイズフィルタ回路111は第1のインダクタンスL1とすることができ、第1の電流駆動回路103の出力端と第1のLED104の陽極との間に直列接続され、第1の電流信号のノイズをフィルタリングし、第1の電流信号を安定的に出力して第1のLED104を駆動し、第1のLED104にちらつき現象が発生するのを防止する。 【0023】 信号制御回路101は、第1の制御信号出力端および第2の制御信号出力端を有するので、第1の制御信号Ctrl1および第2の制御信号Ctrl2を同時に出力し、第1のLED104および第2のLED108をそれぞれ制御することができる。すでに如何にして信号制御回路101が第1のLED104の光強度を制御するかを述べており、第2のLED108の制御も同様の制御原理に基づくので更なる説明は行わず、各素子間の接続関係のみを以下に示す。 【0024】 第2の隔離回路106は、その入力端が信号制御回路101の第2の制御信号出力端に電気的に接続され、第2の隔離回路106は、第2のLEDD2および第6の抵抗R6を備えることができ、第2のLEDD2の陽極は第2の制御信号出力端に電気的に接続され、第6の抵抗R6の一端は第2のLEDD2の陰極に電気的に接続され、他端は第2の電流駆動回路107の入力端に電気的に接続される。 【0025】 第2の電流駆動回路107は、その入力端が第2の隔離回路106の出力端に電気的に接続される。第2の電流駆動回路107は第2の制御信号Ctrl2および第2の保護制御回路109が生成する負のフィードバック信号を受信し、第2の制御信号Ctrl2の制御に基づいて第2の電流信号を生成する。第2の電流信号が生成する電流の大きさは0.35アンペアから0.7アンペアの間とすることができる。 【0026】 第2のLED108は、その陽極が第2の電流駆動回路107の出力端に電気的に接続され、第2の電流信号を受信して駆動される。第2のLED108は第2の電流信号に基づいて様々な光強度を生成することができる。例えば、第2の制御信号Ctrl2を設定して第2の電流駆動回路107に特定の第2の電流信号を出力させ、第2のLED108が放出する光強度を調整することができる。 【0027】 第2の保護制御回路109は、第2のLED108の陰極とアースとの間に直列接続され、第2の電流駆動回路107の入力端に電気信号をフィードバックする。第2の保護制御回路109は、第7の抵抗R7および第8の抵抗R8を備え、第7の抵抗R7の一端は第2の電流駆動回路107の入力端に電気的に接続され、他端は第2のLED108の陰極に電気的に接続される。第8の抵抗R8の一端も第2のLED108の陰極と接続され、他端はアースに電気的に接続され、必要に応じて第7の抵抗R7および第8の抵抗R8の抵抗値を調整することができる。 【0028】 また、同様に、第2の電流駆動回路107もポジティブエッジトリガ駆動およびネガティブエッジトリガ駆動の二種に分けることができ、信号制御回路101が出力する第2の制御信号Ctrl2を適当な電位の制御信号に変換するために、本実施例では更に第2のパルス信号制御回路112を備えることができる。図2に示すように、第2のパルス信号制御回路112の入力端は第2の制御信号出力端に電気的に接続され、その出力端は第2の隔離回路106の入力端に電気的に接続され、本来低電位の第2の制御信号Ctrl2を高電位の第2の制御信号Ctrl2に変換することができる。 【0029】 第2のパルス信号制御回路112は、第9の抵抗R9、第2のトランジスタT2および第10の抵抗R10を備えることができる。第9の抵抗R9の一端は第2の制御信号出力端に電気的に接続され、他端は第2のトランジスタT2のベース端子に電気的に接続される。第2のトランジスタT2はNPNトランジスタであり、そのエミッタ端子はアースに電気的に接続され、そのコレクタ端子は第2の隔離回路106の入力端に電気的に接続される。第10の抵抗R10の一端は第2のトランジスタT2のコレクタ端子に電気的に接続され、他端は第2の制御信号出力端に電気的に接続される。 【0030】 第2の電流駆動回路107が出力する電流信号がノイズを帯びて第2のLED108の発光がちらつくのを防止するために、本実施例では第2のノイズフィルタ回路113を備えることができる。第2のノイズフィルタ回路113は第2のインダクタンスL2とすることができ、第2の電流駆動回路107の出力端と第2のLED108の陽極との間に直列接続され、第2の電流信号のノイズをフィルタリングし、第2の電流信号を安定的に出力して第2のLED108を駆動し、第2のLED108にちらつき現象が発生するのを防止する。 【0031】 本実施例は信号制御回路101によって第1の電流駆動回路103および第2の電流駆動回路107を正確に制御し、第1のLED104および第2のLED108の光強度をそれぞれ正確に制御して混光された後の色温度を調整することができる。本実施例の第1のLED104および第2のLED108は、緑色LEDに赤色LEDを組合せるか、黄色LEDに青色LEDを組合せるか、または白色LEDに有色LEDを組合せる構造にすることができる。各種の異なるLEDの組合わせを利用して様々な色温度の光線を生成することができ、本実施例が調整可能な色温度の範囲は1500Kから20000Kの間であり、使用者の必要に応じて各種の様々な状況に応用することができる。 【0032】 例を挙げると、第1のLED104が緑色LEDで、第2のLED108が赤色LEDの場合、数値が80%の第1の制御信号Ctrl1および数値が29%の第2の制御信号Ctrl2によって第1の電流駆動回路103および第2の電流駆動回路107が出力する第1の電流信号および第2の電流信号が生成する電流出力値をどちらも0.37アンペアにすることができ、第1のLED104および第2のLED108の光は混光されて1500Kの色温度を生成することができる。」 (3f)「【0033】 [第2の実施例] 図3は、本考案の色温度を調整できる発光装置200の第2の実施例を示す。図4は本考案の色温度を調整できる発光装置200’の実施例を示す。 【0034】 図3に示すように、第1の実施例の応用範囲をさらに広げるために、本実施例では色温度を調整できる発光装置200が提供され、信号制御回路101、第1の隔離回路102、第1の電流駆動回路103、少なくとも一つの第1のLED104、第1の保護制御回路105、第2の隔離回路106、第2の電流駆動回路107、少なくとも一つの第2のLED108、第2の保護制御回路109、第3の隔離回路114、第3の電流駆動回路115、少なくとも一つの第3のLED116および第3の保護制御回路117を備える。 【0035】 本実施例と第1の実施例との差異は信号制御回路101が更に第3の制御信号Ctrl3の出力に使用される第3の制御信号出力端を備える点にある。従って、本実施例では第1のLED104、第2のLED108および第3のLED116を同時に制御できる。第1のLED104および第2のLED108の制御原理は第1の実施例の部分で説明しており、第3のLED116の制御原理は第1のLED104および第2のLED108の制御原理と同一であるので、本実施例の説明では第3のLED116の発光を制御する各素子間の関係のみを説明し、素子の制御原理などの重複する説明は行わない。 【0036】 信号制御回路101は、第1の制御信号Ctrl1の出力に使用される第1の制御信号出力端、第2の制御信号Ctrl2の出力に使用される第2の制御信号出力端および第3の制御信号Ctrl3の出力に使用される第3の制御信号出力端を有する。信号制御回路101は、PWM(Pulse Width Modulation)回路とすることができる。 【0037】 第3の隔離回路(isolation circuit)114は、その入力端が信号制御回路101の第3の制御信号出力端に電気的に接続される。第3の隔離回路114は、第3のLEDD3および第11の抵抗R11を備えることができ、第3のLEDD3の陽極は第3の制御信号出力端に電気的に接続され、第11の抵抗R11の一端は第3のLEDD3の陰極と接続され、他端は第3の電流駆動回路115の入力端に電気的に接続される。 【0038】 第3の電流駆動回路115は、その入力端が第3の隔離回路114の出力端に電気的に接続される。第3の電流駆動回路115は第3の制御信号Ctrl3および第3の保護制御回路117が生成する負のフィードバック信号を受信し、第3の制御信号Ctrl3の制御に基づいて第3の電流信号を生成する。第3の電流信号が生成する電流の大きさは0.35アンペアから0.7アンペアの間とすることができる。 【0039】 第3のLED116は、その陽極が第3の電流駆動回路115の出力端に電気的に接続され、第3の電流信号を受信して駆動される。第3のLED116は第3の電流信号に基づいて様々な光強度を生成することができる。例えば、第3の制御信号Ctrl3を設定して第3の電流駆動回路115に特定の第3の電流信号を出力させ、第3のLED116が放出する光強度を調整することができる。 【0040】 第3の保護制御回路117は、第3のLED116の陰極とアースとの間に直列接続され、第3の電流駆動回路115の入力端に電気信号をフィードバックする。第3の保護制御回路117は、第12の抵抗R12および第13の抵抗R13を備えることができる。第12の抵抗R12の一端は第3の電流駆動回路115の入力端に電気的に接続され、他端は第3のLED116の陰極に電気的に接続される。第13の抵抗R13の一端も第3のLED116の陰極と接続され、他端はアースに電気的に接続され、必要に応じて第12の抵抗R12および第13の抵抗R13の抵抗値を調整することができる。 【0041】 また、第3の電流駆動回路115は、ポジティブエッジトリガ駆動およびネガティブエッジトリガ駆動の二種に分けることができ、信号制御回路101が出力する第3の制御信号Ctrl3を適当な電位の制御信号に変換するために本実施例では更に第3のパルス信号制御回路118を備えることができる。図4に示すように、第3のパルス信号制御回路118の入力端は第3の制御信号出力端に電気的に接続され、その出力端は第3の隔離回路114の入力端に電気的に接続され、本来低電位の第3の制御信号Ctrl3を高電位の第3の制御信号Ctrl3に変換することができる。 【0042】 第3のパルス信号制御回路118は、第14の抵抗R14、第3のトランジスタT3および第15の抵抗R15を備えることができる。第14の抵抗R14の一端は第3の制御信号出力端に電気的に接続され、他端は第3のトランジスタT3のベース端子に電気的に接続される。第3のトランジスタT3はNPNトランジスタであり、そのエミッタ端子はアースに電気的に接続され、そのコレクタ端子は第3の隔離回路114の入力端に電気的に接続される。第15の抵抗R15の一端は第3のトランジスタT3のコレクタ端子に電気的に接続され、他端は第3の制御信号出力端に電気的に接続される。 【0043】 第3の電流駆動回路115が出力する電流信号がノイズを帯びて第3のLED116の発光がちらつくのを防止するために、本実施例では第3のノイズフィルタ回路119を備えることができる。第3のノイズフィルタ回路119は第3のインダクタンスL3とすることができ、第3の電流駆動回路115の出力端と第3のLED116の陽極との間に直列接続され、第3の電流信号のノイズをフィルタリングし、第3の電流信号を安定的に出力して第3のLED116を駆動し、第3のLED116にちらつき現象が発生するのを防止する。 【0044】 本実施例の第1のLED104、第2のLED108および第3のLED116は、緑色LED,赤色LEDおよび青色LEDを組合せるか、黄色LED、青色LEDおよびその他の有色LEDを組合せるか、或いは白色LEDにその他の有色LEDを組合せる構造にすることができ、LEDは使用者の必要に応じて任意に選択して組合せることができる。 【0045】 例を挙げると、第1のLED104が緑色LEDで、第2のLED108が赤色LEDで、第3のLED116が青色LEDの場合、数値が63%の第1の制御信号Ctrl1、数値が41%の第2の制御信号Ctrl2および数値が37%の第3の制御信号Ctrl3によって各電流駆動回路が出力する電流信号が生成する電流出力値を何れもも0.48アンペアにすることができ、第1のLED104、第2のLED108および第3のLED116の光は混光されて20000Kの色温度を生成することができる。」 (3g)甲第3号証には以下の図が示されている。 (4)甲第4号証に記載された事項 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。 (4a)「【0019】 【発明の実施の形態】 以下、図面に示すとおり、この発明を詳細に説明する。図1、および図2、の断面図は、4ボルトから、20ボルトまでの、サシ込口金での、電球口金部分の、電極の極性の違い、に注目して頂きたい。口金中央底部の突起が、図1、では、マイナス端子であるが、図2、の同じ部分は、プラス端子になっている。そして、白色発光ダイオードだけを、他の色の発光ダイオードと変える事で、単一色カラー電球、単一色カラー自己点滅型電球、2色、又は、3色、同時点灯電球とする事ができる。 【0020】 図3は、この4ボルトから、20ボルトまでの、サシ込み口金電球の、上面の平面図。図4は、同じく、電球底部の平面図である。図21は、真横から見た、平面図である。図15は、同じ電球内部の概略回路図である。これは、エジソンネジ込口金や、ウェッジベース口金と、共用の概略図でもある。以上が一番小さい麦電球である。 【発明の効果】 【0021】 自動車等のメーターパネル内の照明灯や、単3、単4、単5乾電池、ボタン電池等の小電流の電球を使用する小型マグライト、キーホルダーライト等に適する電球であり、直流電圧2,8ボルトから4,5ボルト間の懐中電灯や、4ボルトから20ボルト、8ボルトから40ボルト、12ボルトから60ボルトのように、倍数を、必要に応じて、発光ダイオードと、定電流ダイオードを、必要本数入れて使用する事が出来る。又、単一色カラー電球や、単一色カラー自己点滅型電球や、2色、又は、3色、同時点灯電球とする事が、出来る。 ・・・ 【0040】 又、図35、図38、図41、図42でも同じく、鉛直配光曲線での、90度から上の角度には、光が行かず、非常に効率の良い、電球に仕上がっています。 【図面の簡単な説明】 ・・・ 【図27】 この発明の、交流型白熱電球の常夜灯、非常灯付き省消費電力半永久電球の横から見た断面図である。 ・・・ 【図46】 この発明の、交流型電球の、電球発光部カバーで、(イ)の単一凸レンズ付き透明カバーである。 【図47】 図46の、横からの断面図である。」 (4b)甲第4号証には以下の図が示されている。 2 対比・判断 (1)本件特許発明1について (1-1)対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「LED」、「カード型LED照明光源95」及び「乾電池」は、その意味、機能または構造からみて、本件特許発明1の「発光ダイオード」、「光源部」及び「乾電池」にそれぞれ相当する。 イ 甲1発明の「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」の「筒状になっている部分」が「携帯する際に把持され」ることは、本件特許発明1が「発光色を照らすカバーで覆われた発光部と、把持部とを有」することと、「発光部と、把持部とを有」する限度で一致する。 ウ 甲1発明の「カード型LED照明光源95を着脱するためのスロット100が設けられ、乾電池や充電池によってカード型LED照明光源95を動作させることができ」るものであって、「上記カード型LED照明光源95の多層配線基板51の片面に複数のLEDベアチップ53が実装され」ていること及び「上記カード型LED照明光源95の発光を制御する制御手段を有」することは、本件特許発明1の「前記把持部は、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、黄色発光ダイオード及び白色発光ダイオードを備える光源部と、前記光源部の各発光ダイオードの発光を個別に制御する制御手段を有」することと、「複数の発光ダイオードを備える光源部と、前記光源部の各発光ダイオードの発光を制御する制御手段を有」する限度で一致する。 エ 甲1発明の「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」が可視光を得られるように構成されていることは明らかであるから、白色等、何らかの発光色が得られているといえる。そうすると、甲1発明の「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」が「上記カード型LED照明光源95の発光を制御する制御手段を有」することは、本件特許発明1の「前記制御手段により前記各発光ダイオードを単独で又は複数発光させることで特定の発光色が得られるように構成し、前記特定の発光色は複数得られ、前記複数得られる特定の発光色には、少なくとも、前記白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色、又は、前記黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ」ることと、「前記制御手段により前記各発光ダイオードを発光させることで発光色が得られるように構成」することの限度で一致する。 オ 甲1発明の「乾電池や充電池によってカード型LED照明光源95を動作させることができ」ることは、本件特許発明1の「乾電池又はボタン電池を電源とする」ことに相当する。 カ 「ペンライト」の字義は、「ペン型の小型懐中電灯」を意味すると解される(株式会社岩波書店・広辞苑第六版)。 そうすると、甲1発明の「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」は、本件特許発明1の「多色ペンライト」と(「ペン型」であるという意味において)「ペンライト」の限度で一致する。 以上より、本件特許発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「発光部と、把持部とを有し、 複数の発光ダイオードを備える光源部と、 前記光源部の各発光ダイオードの発光を制御する制御手段を有し、 前記制御手段により前記各発光ダイオードを発光させることで発光色が得られるように構成し、 乾電池又はボタン電池を電源とする ペンライト。」 <相違点1> 「発光部」に関し、 本件特許発明1では、「発光色を照らすカバーで覆われ」ているのに対して、 甲1発明では、「発光色を照らすカバー」を有するか不明な点。 <相違点2> 「把持部」に関し、 本件特許発明1では、「光源部」及び「制御手段」を有するのに対して、 甲1発明では、「光源部」及び「制御手段」を有しない点。 <相違点3> 「光源部」、「制御手段」及び「ペンライト」に関し、 本件特許発明1では、「赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、黄色発光ダイオード及び白色発光ダイオードを備え」、発光ダイオードを「単独で又は複数発光させ」ることで特定の発光色が得られるように構成しており、「前記特定の発光色は複数得られ、前記複数得られる特定の発光色には、少なくとも、前記白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色、又は、前記黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ」る「多色」ペンライトであるのに対して、 甲1発明では、発光ダイオードの発光色が特定されておらず、また「単独で又は複数発光させ」て「前記特定の発光色は複数得」られるものか不明な点。 <相違点4> 本件特許発明1では、「前記各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、これにより得られた発光色で前記カバーを照らすための発光色補助手段を前記光源部の近くに設けるように構成し」ているのに対して、 甲1発明では、発光色補助手段を有しない点。 (1-2)判断 ア 相違点の認定について 以下、請求人の主張する相違点と異なる相違点1、相違点3、相違点4について検討する。 なお、以下では、本件特許発明1の構成を、分説記号を用いて示すこともある。 (ア)相違点1について a 相違点1に係る本件特許発明1の構成は、「発光色を照らすカバーで覆われた発光部」を有するというものである。 本件特許発明1の「発光色を照らすカバーで覆われた発光部」について、本件特許の明細書の段落【0050】の「ペンライトは、発光部が棒状であってもそれ以外の形状であっても、光源部からの光を発光部(カバー)4の側面や上部の全体に行き渡らせるようにする必要がある。・・・発光部4はカバー内側に所定の空間を持ち、カバーの側面や上部はある程度の面積を有しており、発光色はこれら全体に亘って得られる必要がある。しかしながら、発光ダイオードからの発光は光源から距離が離れるに従い暗くなるばかりか、複数の発光ダイオードの発光で発光色を得る場合(例えば赤色、黄色、白色の各発光ダイオードの発光で薄オレンジ色の発光色を得る場合)は、各発光ダイオードの発光がばらけ、混色による発光色が上記の全体に亘って得られないことが考えられる。」という記載及び段落【0052】の「発光色を、光源近くだけでなく、発光部(カバー)4の上部まで十分に照らす手段としては、例えば光源部近くにそのためのレンズを設けることが考えられる。・・・混色により得られた発光色を、部分的にではなく、発光部(カバー)4の全体に亘り得られるようにする必要がある。これらの点に対処するものとして、本発明においては、発光ダイオードからの光を集光し、また混色する場合は混合して(所望の)発光色を得、得られた発光色を発光部(カバー)の側面・上部の全体にまんべんなく行き渡らせるようにする発光色補助手段を、光源部2の近くに設けることができる。」という記載(いずれも記載事項a.)を参照すると、本件特許発明1の「発光色を照らすカバー」の意味は、要するに、カバー全体にわたって発光色が得られることを意味するものと解される。 ここで、甲第1号証の段落【0224】(記載事項(1i))及び図25の図示内容(記載事項(1j))を参照しても、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」である甲1発明の「発光部」が「カバーで覆われ」ていると理解することはできない。 さらに、甲第1号証の段落【0077】の「図3(b)に示すLED照明装置は、公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置であり、カード型LED照明光源を着脱可能に支持するアダプタ20と、装着された状態のカード型LED照明光源を覆う光透過カバー20aとを備えている。」という記載(記載事項(1f))及び図3(b)の図示内容(記載事項(1j))並びに段落【0216】の「図20は、電球型のLED照明装置を示している。このLED照明装置は、基本的には、図3に示すLED照明装置と同様の構成を有しているが、カード型LED照明光源を照明装置に組み込む方式が異なっている。図20のLED照明装置は、照明装置本体96に光透過性カバー97が組み合わされて使用される」という記載(記載事項(1i))及び図20の図示内容(記載事項(1j))を参照すると、甲第1号証には、「カード型LED照明光源を覆う光透過カバー20a」、「照明装置本体96に」「組み合わされて使用される」「光透過性カバー97」が記載されている(以下「技術的事項1-1」という。)が、技術的事項1-1における「光透過カバー20a」及び「光透過性カバー97」は、「公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置」あるいは「電球型のLED照明装置」に設けられたものと理解できるから、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」である甲1発明において「光透過カバー20a」又は「光透過性カバー97」を有すると理解することはできない。 b さらにまた、甲第1号証の段落【0224】(記載事項(1i))及び図25の図示内容(記載事項(1j))等を参照すると、甲1発明の「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」に関し特定の用途や光学的な構成は記載されていないので、甲1発明は、「懐中電灯」及び「ペン型の小型懐中電灯」である「ペンライト」の一般的な用途、すなわち、光を集めて前方を照らすこと(投光)に用いられると理解することが合理的である。 ここで、上記相違点1に係る本件特許発明1の構成の「発光色を照らすカバーで覆われた発光部」、すなわち、カバー全体にわたって発光色が得られる構成は、光を分散・拡散させてしまうことから、当該「カバー」は上記「光を集めて前方を照らすこと(投光)」の機能を阻害することが技術常識に照らし明らかといえる。そうすると、仮に甲1発明が「光透過カバー20a」又は「光透過性カバー97」を有するとしても、その構成が「発光色を照らすカバーで覆われた発光部」であるとはいえない。 よって、相違点1は実質的な相違点である。 (イ)相違点3について 相違点3に係る本件特許発明1の構成は、「赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、黄色発光ダイオード及び白色発光ダイオードを備える光源部と、前記光源部の各発光ダイオードの発光を個別に制御する制御手段を有し、前記制御手段により前記各発光ダイオードを単独で又は複数発光させることで特定の発光色が得られるように構成し、前記特定の発光色は複数得られ、前記複数得られる特定の発光色には、少なくとも、前記白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色、又は、前記黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ」る「多色」ペンライトというものである。 甲第1号証の段落【0080】?【0081】の「カード型LED照明光源10に実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用または相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとすることができる。このようなカード型LED照明光源10から適切なものを選択すれば、対応するLED照明装置に装着すれば、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御することができる。・・・多発光色(2種以上の光色)のLEDをカード型LED照明光源10に実装することにより、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる。この場合、2種の光色を用いた2波長タイプのときには演色性は低いが高効率な光源が実現可能であり、相関色温度が低いときには赤と青緑(緑)発光の組合せ、相関色温度が高いときには青と黄(橙)発光の組合せを採用することが望ましい。なお、青と赤との発光のLEDの組合せに青で励起されこの中間の波長に発光ピークのある蛍光体(例えば、YAG蛍光体など)を加えた場合は、高効率かつ平均演色評価数が80以上の光源を実現できる。更に、3種の光色を用いた3波長タイプの場合は青と青緑(緑)と赤発光の組合せ、4種の光色を用いた4波長タイプの場合は青と青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組合せが望ましく、特に4波長タイプのときには平均演色評価数が90を超える高演色な光源を実現できる。なお、実装されるLEDベアチップが単色または紫外線を放射する場合や、LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによって白色発光する場合にも本発明を適用できる。また、蛍光体や燐光材を基板に含有させてもよい。更に、青発光のLEDと青色光で励起される蛍光体や燐光材と赤発光LEDを組み合わせ、高効率・高演色を同時に満足させることもできる。」という記載(記載事項(1f))を参照すると、甲第1号証には、カード型LED照明光源に実装されるLEDを、青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとし、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御すること(以下「技術的事項1-2」という。)が記載されている。 しかしながら、甲1発明は、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」であって、上記「第5 1(1)イ(イ)」で述べたとおり、甲第1号証の図25(記載事項(1j))では、筒状になっている部分に「ON」及び「OFF」という記載がされており、また、上記「(ア)b」で述べたとおり、「懐中電灯」及び「ペン型の小型懐中電灯」である「ペンライト」の一般的な用途、すなわち、光を集めて前方を照らすこと(投光)に用いられると理解できることからすると、そのような甲1発明において、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御することが想定されているとはいえないし、「LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御する」ことが技術常識であるともいえない。そうすると、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」であって、光を集めて前方を照らすこと(投光)に用いられる甲1発明が、技術的事項1-2のカード型LED照明光源に実装されるLEDを、青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとし、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御する構成を備えると理解することはできない。 よって、相違点3は実質的な相違点である。 (ウ)相違点4について 相違点4に係る本件特許発明1の構成は、「前記各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、これにより得られた発光色で前記カバーを照らすための発光色補助手段を前記光源部の近くに設け」るというものである。 ここで、本件特許発明1の「発光色補助手段」は、「各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色する」のであるから、「発光ダイオード」とは別個に設けられていることが明らかである。 甲1発明は「カード型LED照明光源95の多層配線基板51の片面に複数のLEDベアチップ53が実装され、上記LEDベアチップ53をモールドするようにLED封止樹脂が充填され、この充填されたLED封止樹脂は、レンズとして機能する」ものであるところ、甲1発明の「LED封止樹脂」は「カード型LED照明光源」(本件特許発明1の「光源部」に相当。)における「LED」(本件特許発明1の「発光ダイオード」に相当。)の一部をなすものであって、「LED」が光を発するための構成であるといえる。そうすると、「LED封止樹脂」は、「LED」と別個に設けられたものでもないから、「各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色する」ものではない。 さらに、上記(ア)で述べたとおり、そもそも甲1発明が「発光色を照らすカバー」を備えると理解することはできないのであるから、甲1発明の「LED封止樹脂」は、「前記各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、これにより得られた発光色で前記カバーを照らすため」のものではないといえる。 よって、相違点4は実質的な相違点である。 (エ)相違点の認定についてのまとめ 以上によれば、本件特許発明1と甲1発明とは、請求人の主張する相違点とは異なる相違点1、3、4においても実質的に相違している。 したがって、無効理由(1)はその前提において失当であり成り立たない。 イ 相違点の容易想到性について 以下、事案に鑑み、相違点1、3、4に係る本件特許発明1の構成が、当業者が容易に想到し得たものであるかどうかについて更に検討する。 (ア)相違点1について a 相違点1に係る本件特許発明1の構成は、「発光色を照らすカバーで覆われた発光部」を有するというものである。 上記「ア(ア)a」で述べた技術的事項1-1における「光透過カバー20a」及び「光透過性カバー97」は、「公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置」あるいは「電球型のLED照明装置」に設けられたものであって、甲第1号証に記載されたLED照明装置の他の態様においては、こうした構成を備えていないから、その意味は、「公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置」あるいは「電球型のLED照明装置」に特有の、白熱電球における、いわゆるガラス球部分に対応するものであると理解できる。 そうすると、(「公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置」あるいは「電球型のLED照明装置」とは異なる)「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」である甲1発明において、白熱電球におけるガラス球部分に対応する部材を設けるという課題は想定できないから、甲1発明において、技術的事項1-1の「光透過カバー20a」又は「光透過性カバー97」を直ちに採用する動機付けはないといえる。 さらに、甲第1号証の段落【0034】の「このカバーは、光の反射、屈折、拡散を行うように種々の光学的特性を備えていてもよい。」(記載事項(1d))と記載されているところ、仮に、当該記載をも踏まえて甲1発明に上記技術的事項1-1を適用し、甲1発明において、拡散を行う光学的特性を備えた「光透過カバー20a」又は「光透過性カバー97」を有する構成とすれば、上記相違点1に係る本件特許発明1の「発光色を照らすカバーで覆われた発光部」という構成に至る可能性もあるといえるが、上記「ア(ア)b」で述べたとおり、甲1発明は、光を集めて前方を照らすこと(投光)に用いられると理解でき、そのようなカバーは光を集めて前方を照らすこと(投光)を阻害することが明らかであるから、甲1発明において、拡散を行う光学的特性を備えた「光透過カバー20a」又は「光透過性カバー97」を採用することには阻害要因があるといえる。 b 甲第2号証の段落【0023】?【0025】の「本考案は、例えば、コンサート会場等の雰囲気を盛り上げる道具などとして使用するスティックライトであり、このスティックライトは、コンサートライト、ペンライト、チアライトなどと称することもある。・・・本考案の主な構成は、光源部10、発光筒体20、反射鏡30、収納筒体40にて構成されている・・・光源部10は、赤・青・緑のLEDが一つのパッケージに封印された砲弾形のRGBフルカラーLEDを使用する。・・・発光筒体20は、光源部10の光が照射する方向に延長された筒状の部材で、光源部10の光で発光する。」という記載(記載事項(2d))を参照すると、甲第2号証には、コンサート会場等の雰囲気を盛り上げる道具などとして使用するコンサートライト、ペンライト、チアライトなどと称することもあるスティックライトに関し、光源部10の光で発光する発光筒体20を設けることが記載されている(以下「技術的事項2-1」という。)。 しかしながら、甲第1号証には、コンサート会場等の雰囲気を盛り上げる道具の態様は記載されておらず、上記「ア(ア)b」で述べたとおり、甲1発明は、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」であって、光を集めて前方を照らすこと(投光)に用いられると理解できるのであるから、甲1発明において、技術的事項2-1の光源部10の光で発光する「発光筒体20」を設けるという課題は想定できない。そうすると、甲1発明において、技術的事項2の「発光筒体20」を採用する動機付けはなく、むしろ阻害要因を有するものといえる。 c さらに、甲第4号証の段落【0040】の「【図27】 この発明の、交流型白熱電球の常夜灯、非常灯付き省消費電力半永久電球の横から見た断面図である。」という記載(記載事項(4a))及び図27の図示内容(記載事項(4b))等、他の証拠(甲第3?第4号証)を参照しても、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」において「発光色を照らすカバーで覆われた発光部」の構成を備える技術的事項が記載ないし示唆されているとはいえないし、当該技術的事項が技術常識であるという根拠も存在しない。 d よって、甲1発明において、相違点1に係る本件特許発明1の構成を採用することは、甲1発明及び甲第1?4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易になし得たとはいえない。 (イ)相違点3について a 相違点3に係る本件特許発明1の構成は、「赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、黄色発光ダイオード及び白色発光ダイオードを備える光源部と、前記光源部の各発光ダイオードの発光を個別に制御する制御手段を有し、前記制御手段により前記各発光ダイオードを単独で又は複数発光させることで特定の発光色が得られるように構成し、前記特定の発光色は複数得られ、前記複数得られる特定の発光色には、少なくとも、前記白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色、又は、前記黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ」る「多色」ペンライトというものである。 上記「ア(イ)」で述べた技術的事項1-2に関し、甲第1号証の段落【0178】の「本実施形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、および黄色(Y)の光を発する4種類のLEDベアチップをそれぞれ16個づつ、1つの基板上に配列している。」という記載、段落【0192】?【0193】の「図16は、LED点灯回路の構成例を示すブロック図である。図示されている構成例では、カード型LED照明光源の点灯回路70が整流/平滑回路71、電圧降下回路72、および定電流回路73を備えている。整流/平滑回路71は、AC100Vの電源に接続され、交流を直流化する機能を有する公知の回路である。なお、電源はAC100Vに限られず、DC電源を用いても良い。DC電源を用いる場合、平滑回路と降圧回路の組み合わせた整流/平滑回路71を用いる代わりに、電圧変換回路(降圧・昇圧回路)を用いれば良い。・・・電圧降下回路72は、直流化された電圧をLEDの発光に適した電圧(例えば18V)に低下させる。定電流回路73は、青色、緑色、黄色、および赤色のためのLEDコントロール定電流回路から構成されている。LEDコントロール定電流回路は、カード型LED照明光源75における各色のLED群76に供給する電流を一定値に調節する機能を有している。」という記載(いずれも記載事項(1h))及び図16の図示内容(記載事項(1j))を参照すると、甲第1号証には、技術的事項1-2に係る具体的な回路として、AC100Vの電源又はDC電源に接続し、整流/平滑回路71又は電圧変換回路(降圧・昇圧回路)を介してLEDの発光に適した電圧(例えば18V)としたもの(以下「技術的事項1-3」という。)が記載されている。 甲1発明は「乾電池や充電池によってカード型LED照明光源95を動作させる」ものであるところ、「乾電池や充電池」1個あたりの電圧が概ね1.2?1.5Vであるという技術常識を踏まえると、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」である甲1発明において、上記技術的事項1-3の回路を伴う技術的事項1-2の構成を採用する動機付けはなく、むしろ阻害要因を有するものといえる。 さらに、仮に、甲1発明において、技術的事項1-2の、カード型LED照明光源に実装されるLEDを、青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとし、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御する構成を採用しても、当該構成は、白色の光色のLEDを有しないから、上記相違点3に係る本件特許発明1の構成には至らない。 なお、甲第1号証の段落【0065】の「後述するように、本発明のカード型LED光源およびLED照明装置を用い、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動することによって照明を行う場合は、各色のLEDについて2つの電極(計10個の電極)を設けることが好ましい。」という記載(記載事項(1e))及び段落【0189】の「定電流駆動用に、同数のアノード側電極およびカソード側電極を設ける場合、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、および白の各々に給電電極に割り当てた上で、6個(3経路)の予備端子を設けることが可能となる。」(記載事項(1h))という記載を参照しても、段落【0065】における「後述するように」という記載をうける記載が段落【0189】の「定電流駆動用に、同数のアノード側電極およびカソード側電極を設ける場合、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、および白の各々に給電電極に割り当てた上で、6個(3経路)の予備端子を設けることが可能となる。」(記載事項(1h))しかなく、その記載も、段落【0189】の前後の段落、すなわち段落【0178】の「本実施形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、および黄色(Y)の光を発する4種類のLEDベアチップをそれぞれ16個づつ、1つの基板上に配列している。」という記載、段落【0191】の「1枚のカード型LED照明光源に設けた64個のLEDベアチップの相互接続状態を表す等価回路を図15に示す。図15において、R(+)は、赤色光を出すLEDベアチップのアノード側を意味し、R(-)は、赤色光を出すLEDベアチップのカソード側を意味している。他の色(Y、G、B)についても、同様である。」という記載(いずれも記載事項(1h))における、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、および黄色(Y)の光を発する4種類のLEDベアチップを有する旨の記載と整合しないことからすると、甲第1号証のこれらの記載は具体性を欠くものであって、ひとまとりの技術として、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動することが記載されていると認定するに足りない。 b 甲第2号証の段落【0023】?【0025】の「本考案は、例えば、コンサート会場等の雰囲気を盛り上げる道具などとして使用するスティックライトであり、このスティックライトは、コンサートライト、ペンライト、チアライトなどと称することもある。・・・本考案の主な構成は、光源部10、発光筒体20、反射鏡30、収納筒体40にて構成されている・・・光源部10は、赤・青・緑のLEDが一つのパッケージに封印された砲弾形のRGBフルカラーLEDを使用する。・・・発光筒体20は、光源部10の光が照射する方向に延長された筒状の部材で、光源部10の光で発光する。」という記載及び段落【0030】の「ダイヤル盤51に表示した番号の1?12までは、レッド、ホワイト、ロイヤル・ブルー、グリーン、ピンク、イエロー、パープル、オレンジ、シー・ブルー、サフラン、アクア・グリーン、ローズ・ピンクの各色が各番号に設定されている。更に、ダイヤル盤51の数字13?16は、ブルー・グラディエーション、レッド・グラディエーション、グリーン・グラディエーション、オールカラー・グラディエーションが、各番号に設定されている。そして、表示部52に表示した1?16の番号に予め設定されている色彩で発光筒体20が発光する」という記載(いずれも記載事項(2d))を参照すると、甲第2号証には、コンサート会場等の雰囲気を盛り上げる道具などとして使用するコンサートライト、ペンライト、チアライトなどと称することもあるスティックライトに関し、RGBフルカラーLEDによって、予め設定されている、レッド、ホワイト、ロイヤル・ブルー、グリーン、ピンク、イエロー、パープル、オレンジ、シー・ブルー、サフラン、アクア・グリーン、ローズ・ピンクの色彩で発光筒体20を発光させることが記載されている(以下「技術的事項2-2」という。)。 しかしながら、上記「ア(ア)b」で述べたとおり、甲1発明は、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」であって、光を集めて前方を照らすこと(投光)に用いられると理解でき、甲第1号証には、コンサート会場等の雰囲気を盛り上げる道具の態様や色彩で発光する発光筒体20は記載されていないところ、甲1発明において、技術的事項2-2の予め設定されている、レッド、ホワイト、ロイヤル・ブルー、グリーン、ピンク、イエロー、パープル、オレンジ、シー・ブルー、サフラン、アクア・グリーン、ローズ・ピンクの色彩で発光させるという課題は想定できないから、甲1発明において、技術的事項2-2を採用する動機付けはないといえる。 さらに、仮に、甲1発明において、技術的事項2-2の、RGBフルカラーLEDによって、予め設定されている、レッド、ホワイト、ロイヤル・ブルー、グリーン、ピンク、イエロー、パープル、オレンジ、シー・ブルー、サフラン、アクア・グリーン、ローズ・ピンクの色彩で発光筒体20を発光させる構成を採用しても、当該構成には、少なくとも白色発光ダイオードが含まれておらず、光源部が「赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、黄色発光ダイオード及び白色発光ダイオードを備え」、「前記複数得られる特定の発光色には、少なくとも、前記白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色、又は、前記黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ」るものではないから、上記相違点3に係る本件特許発明1の構成には至らない。 c さらに、他の証拠(甲第3?第4号証)には、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」において「赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、青色発光ダイオード、黄色発光ダイオード及び白色発光ダイオードを備える光源部と、前記光源部の各発光ダイオードの発光を個別に制御する制御手段を有し、前記制御手段により前記各発光ダイオードを単独で又は複数発光させることで特定の発光色が得られるように構成し、前記特定の発光色は複数得られ、前記複数得られる特定の発光色には、少なくとも、前記白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色、又は、前記黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色が含まれ」る構成を備える技術的事項が記載ないし示唆されているとはいえないし、当該技術的事項が技術常識であるという根拠も存在しない。 d よって、甲1発明において、相違点3に係る本件特許発明1の構成を採用することは、甲1発明及び甲第1?4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易になし得たとはいえない。 (ウ)相違点4について a 相違点4に係る本件特許発明1の構成は、「前記各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、これにより得られた発光色で前記カバーを照らすための発光色補助手段を前記光源部の近くに設け」るというものである。 甲第2号証の段落【0024】?【0027】の「本考案の主な構成は、光源部10、発光筒体20、反射鏡30、収納筒体40にて構成されている・・・光源部10は、赤・青・緑のLEDが一つのパッケージに封印された砲弾形のRGBフルカラーLEDを使用する。・・・発光筒体20は、光源部10の光が照射する方向に延長された筒状の部材で、光源部10の光で発光する。・・・更に、発光筒体20の内部側面に凹凸形状の乱反射面21を形成すると共に、前記発光筒体20を構成する材質の内部に光を拡散せしめる拡散粒子22が混合している(図3参照)。拡散粒子22の材質は、光を拡散させる性質のものであればどのようなものでも良く、他のプラスチックや金属材、ガラス材など任意の拡散粒子22を選択することができる。・・・反射鏡30は、発光筒体20の内側で光源部10を囲む部材である(図4参照)。この反射鏡30は、光源部10の光を反射させ、発光筒体20の先端方向に集光するように配置している。反射鏡30の他の実施例として、内側面全体に断面V字形状の溝部33を形成したものがある(図6、図7参照)。この溝部33は、光源部10の側面から発光する光を乱反射させることで、反射鏡30内部でも三原色を混合するように構成したものである。特に、砲弾形のRGBフルカラーLEDのように、LED側面の光を反射鏡30で集光する場合でも、反射鏡30内で各種の色彩を調整することができる。・・・反射鏡30の他の実施例として、反射基部31と導光部32とを備えた反射鏡30がある・・・この導光部32にて反射させた光を発光筒体20の先端方向に集光するように構成している。」という記載(記載事項(2d))及び図4、6?7の図示内容(記載事項(2e))を参照すると、甲第2号証には、砲弾形のRGBフルカラーLEDの光を反射させ、反射筒体20の先端に集光するように配置し、内側面全体に断面V字形状の溝部33を形成し、光源部10の側面から発光する光を乱反射させることで、内部でも三原色を混合するように構成した「反射鏡30」が記載されている。 甲第2号証に記載された「反射鏡30」は、ベアチップが密集して配置されている砲弾形のRGBフルカラーLEDの光を反射させることを前提としたものであるから、ベアチップが分散して配置されている「カード型LED照明光源95」を用いている甲1発明において、上記反射鏡30を採用する動機付けはないといえる。 さらに、上記「ア(ア)」で述べたとおり、そもそも甲1発明は「発光色を照らすカバー」を有しないから、仮に、甲1発明において「反射鏡30」を採用しても、「前記カバーを照らすため」のものとはならず、上記相違点4に係る本件特許発明1の構成には至らない。 b さらにまた、他の証拠(甲第3?第4号証)には、「前記各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、これにより得られた発光色で前記カバーを照らすための発光色補助手段を前記光源部の近くに設け」る構成を備える技術的事項が記載ないし示唆されているとはいえないし、当該技術的事項が技術常識であるという根拠も存在しない。 c よって、甲1発明において、相違点4に係る本件特許発明1の構成を採用することは、甲1発明及び甲第1?4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易になし得たとはいえない。 ウ 請求人の主張について (ア)主張1-1?1-3について 請求人は、甲第1号証の段落【0034】及び【0077】等の記載を根拠に、光が透過可能な光透過カバーで覆われたカード型LED照明光源と、筒状部材とを有する構成を認定でき、当該「光透過カバー」は、本件特許発明1の「発光色を照らすカバー」に相当するから、甲第1号証に記載された発明は、本件特許発明1の構成要件A.に相当する構成を有する旨主張する。 しかしながら、上記「ア(ア)a」で述べたとおり、甲第1号証に記載されている「光透過カバー20a」及び「光透過性カバー97」(技術的事項1-1)は、「公知の白熱電球と置き換え可能な照明装置」あるいは「電球型のLED照明装置」に設けられたものと理解できるから、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」である甲1発明においても技術的事項1-1の「光透過カバー20a」又は「光透過性カバー97」を有すると認定することはできない。 さらに、上記「ア(ア)a」で述べたとおり、本件特許発明1の「発光色を照らすカバー」の意味は、要するに、カバー全体にわたって発光色が得られることを意味するものと解され、また、上記「ア(ア)b」で述べたとおり、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」である甲1発明は、「懐中電灯」及び「ペン型の小型懐中電灯」である「ペンライト」の一般的な用途、すなわち、光を集めて前方を照らすこと(投光)に用いられると理解できる。そうすると、仮に甲1発明が、技術的事項1-1の「光透過カバー20a」及び「光透過性カバー97」を有するとしても、拡散を行う光学的特性を備えた「光透過カバー20a」又は「光透過性カバー97」が光を集めて前方を照らすこと(投光)を阻害することは明らかであるところ、甲第1号証の段落【0034】の「このカバーは、光の反射、屈折、拡散を行うように種々の光学的特性を備えていてもよい。」という記載(記載事項(1d))にかかわらず、「光透過カバー20a」又は「光透過性カバー97」が拡散を行う光学的特性を備えることは想定できないから、その構成が「発光色を照らすカバー」に相当するとはいえない。 (イ)主張2-1?2-2、4-1について 請求人は、甲第1号証の段落【0065】の「後述するように、本発明のカード型LED光源およびLED照明装置を用い、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動することによって照明を行う場合は、各色のLEDについて2つの電極(計10個の電極)を設けることが好ましい。」という記載(記載事項(1e))及び段落【0080】の「カード型LED照明光源10に実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用または相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとすることができる。このようなカード型LED照明光源10から適切なものを選択すれば、対応するLED照明装置に装着すれば、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御することができる」という記載(記載事項(1f))等を根拠に、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを備えるカード型LED照明光源が認定でき、甲第1号証に記載された発明は、本件特許発明1の構成要件C.に相当する及び構成要件J.に相当する構成を有する旨主張する。 しかしながら、甲第1号証の段落【0065】における「後述するように」という記載をうける記載が段落【0189】の「定電流駆動用に、同数のアノード側電極およびカソード側電極を設ける場合、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、および白の各々に給電電極に割り当てた上で、6個(3経路)の予備端子を設けることが可能となる。」(記載事項(1h))しかなく、その記載も、段落【0189】の前後の段落、すなわち段落【0178】の「本実施形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、および黄色(Y)の光を発する4種類のLEDベアチップをそれぞれ16個づつ、1つの基板上に配列している。」という記載、段落【0191】の「1枚のカード型LED照明光源に設けた64個のLEDベアチップの相互接続状態を表す等価回路を図15に示す。図15において、R(+)は、赤色光を出すLEDベアチップのアノード側を意味し、R(-)は、赤色光を出すLEDベアチップのカソード側を意味している。他の色(Y、G、B)についても、同様である。」という記載(いずれも記載事項(1h))における、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、および黄色(Y)の光を発する4種類のLEDベアチップを有する旨の記載と整合しないものであるから、具体性を欠き、また、段落【0080】に、白の光色を有することは記載されていない。 そうすると、甲第1号証の上記記載を根拠としても、甲第1号証に、ひとまとりの技術として、青、緑(青緑)、黄(橙)、赤、白のLEDを個別に駆動することが記載されていると認定するに足りない。 なお、甲第1号証の段落【0081】の「更に、多発光色(2種以上の光色)のLEDをカード型LED照明光源10に実装することにより、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる。この場合、2種の光色を用いた2波長タイプのときには演色性は低いが高効率な光源が実現可能であり、相関色温度が低いときには赤と青緑(緑)発光の組合せ、相関色温度が高いときには青と黄(橙)発光の組合せを採用することが望ましい。なお、青と赤との発光のLEDの組合せに青で励起されこの中間の波長に発光ピークのある蛍光体(例えば、YAG蛍光体など)を加えた場合は、高効率かつ平均演色評価数が80以上の光源を実現できる。更に、3種の光色を用いた3波長タイプの場合は青と青緑(緑)と赤発光の組合せ、4種の光色を用いた4波長タイプの場合は青と青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組合せが望ましく、特に4波長タイプのときには平均演色評価数が90を超える高演色な光源を実現できる。なお、実装されるLEDベアチップが単色または紫外線を放射する場合や、LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによって白色発光する場合にも本発明を適用できる。また、蛍光体や燐光材を基板に含有させてもよい。更に、青発光のLEDと青色光で励起される蛍光体や燐光材と赤発光LEDを組み合わせ、高効率・高演色を同時に満足させることもできる。」という記載(記載事項(1f))における「実装されるLEDベアチップが単色または紫外線を放射する場合や、LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによって白色発光する場合にも本発明を適用できる。」との記載は、同段落【0081】の「2種の光色を用いた2波長タイプのときには」という記載、「3種の光色を用いた3波長タイプの場合は」という記載及び「4種の光色を用いた4波長タイプの場合は」という記載に並列したものであるから、「4種の光色を用いた4波長タイプの場合」である「青と青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組合せ」にさらに「LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによ」る「白色発光」をも加えた組合せを意味すると理解することはできない。 (ウ)主張2-3?2-5について 請求人は、甲第1号証の段落【0078】の「コネクタを介してカード型LED照明光源10と点灯回路との電気的接続が行われる」という記載、段落【0080】?【0081】の「カード型LED照明光源10に実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用または相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとすることができる。このようなカード型LED照明光源10から適切なものを選択すれば、対応するLED照明装置に装着すれば、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御することができる。・・・更に、多発光色(2種以上の光色)のLEDをカード型LED照明光源10に実装することにより、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる。この場合、2種の光色を用いた2波長タイプのときには演色性は低いが高効率な光源が実現可能であり、相関色温度が低いときには赤と青緑(緑)発光の組合せ、相関色温度が高いときには青と黄(橙)発光の組合せを採用することが望ましい。なお、青と赤との発光のLEDの組合せに青で励起されこの中間の波長に発光ピークのある蛍光体(例えば、YAG蛍光体など)を加えた場合は、高効率かつ平均演色評価数が80以上の光源を実現できる。更に、3種の光色を用いた3波長タイプの場合は青と青緑(緑)と赤発光の組合せ、4種の光色を用いた4波長タイプの場合は青と青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組合せが望ましく、特に4波長タイプのときには平均演色評価数が90を超える高演色な光源を実現できる。なお、実装されるLEDベアチップが単色または紫外線を放射する場合や、LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによって白色発光する場合にも本発明を適用できる。また、蛍光体や燐光材を基板に含有させてもよい。更に、青発光のLEDと青色光で励起される蛍光体や燐光材と赤発光LEDを組み合わせ、高効率・高演色を同時に満足させることもできる。」という記載(いずれも記載事項(1f))等を根拠に、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」において、カード型LED照明光源における発光光色の切り替えや制御をする(すなわち、発光を個別に制御する)点灯回路を備えている構成が認定でき、段落【0216】の「図20は、電球型のLED照明装置を示している。このLED照明装置は、基本的には、図3に示すLED照明装置と同様の構成を有しているが、カード型LED照明光源を照明装置に組み込む方式が異なっている。」という記載(記載事項(1i))等を根拠に、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」が上記点灯回路を備えていると認定できる旨主張する。 しかしながら、上記「ア(イ)」で述べたとおり、甲第1号証に技術的事項1-2が記載されているとしても、甲1発明において、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御することが想定されているとはいえないし、「LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御する」ことが技術常識であるともいえない。そうすると、甲1発明が、カード型LED照明光源に実装されるLEDを、青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとし、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御する構成を備えると認定することはできない。 さらに、請求人は「電力の供給方法が異なる場合であっても、同様の方法で制御することもできる」とする根拠を具体的に示していないから、かかる主張を直ちに採用することはできないし、上記「イ(イ)b」で述べたとおり、甲第1号証に技術的事項1-3が記載されているとしても、甲1発明は「乾電池や充電池によってカード型LED照明光源95を動作させる」ものであるから、「乾電池や充電池」1個あたりの電圧が概ね1.2?1.5Vであるという技術常識を踏まえると、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」である甲1発明において、技術的事項1-3の上記回路を備えていると認定することはできない。 (エ)主張2-8について 請求人は、甲第1号証の段落【0080】?【0081】の「第3に、カード型LED照明光源10に実装されるLEDを、相関色温度が低い光色用または相関色温度が高い光色用や青、赤、緑、黄など個別の光色を有するものとすることができる。このようなカード型LED照明光源10から適切なものを選択すれば、対応するLED照明装置に装着すれば、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御することができる。・・・多発光色(2種以上の光色)のLEDをカード型LED照明光源10に実装することにより、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで、1枚のカード型のカード型LED照明光源10によって発光光色を制御できる。この場合、2種の光色を用いた2波長タイプのときには演色性は低いが高効率な光源が実現可能であり、相関色温度が低いときには赤と青緑(緑)発光の組合せ、相関色温度が高いときには青と黄(橙)発光の組合せを採用することが望ましい。なお、青と赤との発光のLEDの組合せに青で励起されこの中間の波長に発光ピークのある蛍光体(例えば、YAG蛍光体など)を加えた場合は、高効率かつ平均演色評価数が80以上の光源を実現できる。更に、3種の光色を用いた3波長タイプの場合は青と青緑(緑)と赤発光の組合せ、4種の光色を用いた4波長タイプの場合は青と青緑(緑)と黄(橙)と赤発光の組合せが望ましく、特に4波長タイプのときには平均演色評価数が90を超える高演色な光源を実現できる。なお、実装されるLEDベアチップが単色または紫外線を放射する場合や、LEDベアチップで蛍光体や燐光材を励起することによって白色発光する場合にも本発明を適用できる。また、蛍光体や燐光材を基板に含有させてもよい。更に、青発光のLEDと青色光で励起される蛍光体や燐光材と赤発光LEDを組み合わせ、高効率・高演色を同時に満足させることもできる。」という記載(記載事項(1f))等を根拠に、カード型LED照明光源における発光光色の切り替えや制御をする(すなわち、発光を個別に制御する)点灯回路を備え、「黄色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色」と「白色発光ダイオードから発せられる光とそれ以外の発光ダイオードから発せられる光とを混合して得られる発光色」で発光している構成が認定でき、段落【0216】の「図20は、電球型のLED照明装置を示している。このLED照明装置は、基本的には、図3に示すLED照明装置と同様の構成を有しているが、カード型LED照明光源を照明装置に組み込む方式が異なっている。」という記載(記載事項(1i))等を根拠に、「懐中電灯やペンライトとして携帯可能なLED照明装置」が上記点灯回路を備えていると理解できる旨主張するが、これについては、上記(イ)、(ウ)で述べたとおりである。 (オ)主張3-1?3-4について 請求人は、甲第1号証の段落【0040】の「本発明のカード型LED照明光源は、金属ベース基板と、前記金属ベース基板の片面に実装された複数のLEDベアチップとを備えたカード型LED照明光源」という記載(記載事項(1d))、段落【0090】の「カード型LED照明光源では、図4(a)に示すように、放熱基板1の片面に複数のLEDベアチップ2が実装されている。」という記載、段落【0107】の「LEDベアチップ2で発生した光の進行方向を制御する反射面3aを各LEDベアチップ2を取り囲む位置に有し、各LEDベアチップ2の設置位置には孔3bが開いている金属(アルミニウム)製の光学反射板3が、放熱基板1に設けられている。・・・この孔3bには、LEDベアチップ2をモールドするように樹脂4(エポキシ、レジン、シリコーン、またはこれらの組み合せ)が充填されている。この充填された樹脂4は、レンズとして機能する。」という記載及び段落【0116】の「図1に示す従来例に見られるような給電用のワイヤを設ける必要がなく、ワイヤボンディングに要する領域も不要となるので、隣り合って設置されるLEDベアチップ2、2の間隔を狭くでき、LEDベアチップ2の高集積化を図ることができる。・・・この点は発光色の異なる多数のLEDベアチップ2(またはベアチップ)を使用しての混光にも有利である」という記載(いずれも記載事項(1g))並びに段落【0144】の「光学反射板52の孔にLED封止樹脂を充填し、樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズを形成することも可能であるし、また、樹脂で孔部分を埋めることによって平坦化することも可能である。しかし、光学反射板52の面積は多層配線基板51の面積より小さいため、光学反射板52の全体を樹脂でモールドすることも可能である」という記載(記載事項(1h))等を根拠に、カード型LED照明光源の各LEDから発せられる光を混光する樹脂からなる凹レンズまたは凸レンズが、カード型LED照明光源の設置位置に形成された孔に設けられる構成を認定できる旨主張するが、上記「ウ(ア)」で述べたとおり、本件特許発明1における「発光色補助手段」は、「各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色する」のであるから、「発光ダイオード」とは別個に設けられていることが明らかである。 上記「ア(ウ)」で述べたとおり、甲1発明は「カード型LED照明光源95の多層配線基板51の片面に複数のLEDベアチップ53が実装され、上記LEDベアチップ53をモールドするようにLED封止樹脂が充填され、この充填されたLED封止樹脂は、レンズとして機能する」ものであるところ、甲1発明の「LED封止樹脂」は「カード型LED照明光源」(本件特許発明1の「光源部」に相当。)における「LED」(本件特許発明1の「発光ダイオード」に相当。)の一部をなすものであって、「LED」が光を発するための構成であるといえる。そうすると、「LED封止樹脂」は、「LED」と別個に設けられたものでもなく、「各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色する」ものではない。 また、甲第1号証の段落【0040】及び【0107】の上記記載によれば、甲第1号証には、カード型LED照明光源95の放熱基板1の片面に複数のLEDベアチップ2が実装され、上記LEDベアチップ2をモールドするように樹脂4が充填され、この充填された樹脂4は、レンズとして機能すること(以下「技術的事項1-4」という。)が記載されているといえるが、技術的事項1-4の「樹脂4」は「カード型LED照明光源」(本件特許発明1の「光源部」に相当。)における「LED」(本件特許発明1の「発光ダイオード」に相当。)の一部をなすことは、甲1発明の「LED封止樹脂」と同様であって、「樹脂4」も「LED」が光を発するための構成であるといえる。そうすると、「樹脂4」も、「LED」と別個に設けられたものでもなく、「各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色する」ものではない。 さらに、上記「ア(ア)」で述べたとおり、そもそも甲1発明が「発光色を照らすカバー」を備えると理解することはできないのであるから、甲1発明の「LED封止樹脂」及び「樹脂4」は、「前記各発光ダイオードから発せられる光を集光、混色し、これにより得られた発光色で前記カバーを照らすため」のものではないといえる。 (カ)主張5-1について 請求人は、甲第3号証の請求項11、請求項12,段落【0031】、【0044】の記載等を根拠に、甲第3号証には、白色LEDに、その他有色LEDを組み合わせて色温度を調整するという技術的事項が記載されており、当該技術的事項は「発光装置、照明器具」に係る技術であり、甲第1号証に記載された「ペンライトとして携帯可能なLED照明装置」と技術分野が同一であるところ、当該「ペンライトとして携帯可能なLED照明装置」における制御方法(具体的には色温度の調整方法)として、照明装置に関する上記技術的事項を採用することに格別な困難性は存在しない旨主張するが、上記「ア(イ)」で述べたとおり、甲1発明において、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御することが想定されているとはいえないし、甲1発明において「LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御する」ことが技術常識であるともいえない。 そうすると、LED照明装置の発光光色を切り替えや制御したり、相関色温度が低い光色から相関色温度が高い光色まで発光光色を制御する構成を備えない甲1発明において、白色LEDに、その他有色LEDを組み合わせて色温度を調整するという、甲第3号証に記載された上記技術的事項を適用する動機付けはないといえる。 (キ)主張6-1?6-2について 請求人は、甲第2号証の段落【0001】、【0025】?【0027】の記載等を根拠に、甲第2号証には、光源部の光を反射させ、発光筒体の先端方向に集光し、かつ反射鏡内部においても三原色を混合する反射鏡又は導光部を備えるという技術的事項が記載されており、当該技術的事項は「スティックライト」に係る技術であり、甲第1号証に記載された「ペンライトとして携帯可能なLED照明装置」と技術分野が同一であるところ、当該「ペンライトとして携帯可能なLED照明装置」における発光補助手段として、ペンライトに関する技術的事項である、甲第2号証に記載された上記技術的事項を採用することに格別な困難性は存在しない旨主張する。 しかしながら、上記(オ)で述べたとおり、甲1発明の「LED封止樹脂」及び技術的事項1-4の「樹脂4」は本件特許発明1における「発光色補助手段」とは異なる。 さらに、上記「ウ(ウ)a」で述べたとおり、甲第2号証に記載された「反射鏡30」は、ベアチップが密集して配置されている砲弾形のRGBフルカラーLEDの光を反射させることを前提としたものであるから、ベアチップが分散して配置されている「カード型LED照明光源95」を用いている甲1発明において、上記反射鏡30を採用する動機付けはないといえる。 さらにまた、上記「ア(ア)」で述べたとおり、そもそも甲1発明は「発光色を照らすカバー」を有しないものであるところ、仮に、甲1発明において、甲第2号証に記載された上記技術的事項の「反射鏡30」を採用しても、「前記カバーを照らすため」のものとはならないから、上記相違点4に係る本件特許発明1の構成には至らない。 オ 小括 したがって、無効理由(1)はその前提において失当であり成り立たないから、無効理由(1)は理由がない。 仮に、相違点の容易想到性を検討しても、上記の相違点1、3?4に係る本件特許発明1の構成は、当業者が容易になし得たとはいえないので、本件特許発明1は、甲1発明及び甲第1?4号証に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2は本件特許発明1に他の発明特定事項を直列的に付加しているものであるところ、上記(1)アに示したと同様に、無効理由(2)はその前提において失当であり成り立たないから、無効理由(2)は理由がない。 仮に、相違点の容易想到性を検討しても、上記(1)ア?オに示したとおり、本件特許発明1が当業者にとって容易に発明をすることができたものとはいえないのであるから、同様に、本件特許発明1に他の発明特定事項を直列的に付加している本件特許発明2は、甲1発明及び甲第1?4号証に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)まとめ 以上のとおりであって、無効理由(1)、(2)はその前提において失当であり成り立たないから、無効理由(1)、(2)は理由がない。 仮に、相違点の容易想到性を検討しても、本件特許の請求項1?2に係る発明(本件特許発明1?2)は、甲第1号証に記載された発明(甲1発明)及び甲第1?4号証に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきであるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許発明1?2に係る特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 |
審理終結日 | 2018-07-17 |
結審通知日 | 2018-07-19 |
審決日 | 2018-07-31 |
出願番号 | 特願2014-12552(P2014-12552) |
審決分類 |
P
1
113・
121-
Y
(F21L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 杉浦 貴之 |
特許庁審判長 |
和田 雄二 |
特許庁審判官 |
島田 信一 中田 善邦 |
登録日 | 2014-09-05 |
登録番号 | 特許第5608827号(P5608827) |
発明の名称 | 多色ペンライト |
復代理人 | 横山 裕英 |
代理人 | 白坂 一 |
代理人 | 飯田 和彦 |
復代理人 | 市川 奈月 |
代理人 | 飯田 伸行 |