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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60R |
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管理番号 | 1354586 |
審判番号 | 不服2018-16073 |
総通号数 | 238 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-12-04 |
確定日 | 2019-09-17 |
事件の表示 | 特願2016-213941号「制御システム及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月30日出願公開、特開2017-61314号、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成24年1月10日に出願した特願2012-1774号(以下「原出願」という。)の一部を平成28年11月1日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年11月 1日 :上申書の提出 平成29年 7月26日付け:拒絶理由通知書 同年 9月26日 :意見書、手続補正書の提出 平成30年 2月23日付け:(最後)拒絶理由通知書 同年 4月23日 :意見書の提出 同年 8月30日付け:拒絶査定 同年12月 4日 :審判請求書の提出 第2.原査定の概要 原査定(平成30年8月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1?3に係る発明は、その出願(原出願)前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない 1.特開2004-42684号公報 2.特開平4-273016号公報 3.特開2010-116086号公報 第3.本願発明 本願の請求項1?3に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」?「本願発明3」という。)は、平成29年9月26日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 複数のメーター表示領域を備える画面を複数備え、当該複数の画面から一つの画面を選択して、取得したデータに基づくメーター表示をする制御を行う制御システムであって、 前記一つの画面上には複数のメーター表示領域を備え、 当該一つの画面上の少なくともいずれか1のメーター表示領域について、ユーザによって選択された種類のメーター表示し、 前記複数のメーター表示領域を備える複数の画面のうち少なくとも2つの画面において前記複数のメーター表示領域の大きさ及び配置が同一のフォーマットとし、 前記複数の画面を切り替えて表示する機能を備えること を特徴とする制御システム。 【請求項2】 前記複数の画面を所定のパターンで切り替えて表示すること を特徴とする請求項1に記載の制御システム。 【請求項3】 請求項1または2に記載の制御システムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。」 第4.引用文献、引用発明等 1.引用文献1について ア.原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。以下同様。 「【請求項1】 車両情報が表示されるとともに、その表示仕様がカスタマイズ可能に構成される表示装置が備えられる車両用表示装置において、 上記表示装置のカスタマイズ表示仕様が記憶される表示仕様記憶手段の中からユーザーが選択したカスタマイズ表示仕様を車両の走行状態に応じて設定することが可能に構成される表示仕様設定手段と、 該表示仕様設定手段により設定されたカスタマイズ表示仕様が当該車両の走行状態に適さないと判断される場合、設定されたカスタマイズ表示仕様を補正する表示仕様補正手段と、 車両の走行状態を検出する車両走行状態検出手段と、 上記表示仕様補正手段により補正されたカスタマイズ表示仕様を、上記車両走行状態検出手段により検出された車両の走行状態に応じて上記表示装置に表示させる表示制御手段とが備えられていることを特徴とする車両用表示装置。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、車両用表示装置に関し、特に、ユーザーによるカスタマイズが可能な車両用表示装置に関するものである。」 「【0004】 本発明は、以上のような問題に勘案してなされたもので、その目的は、車両走行中における安全性確保を確保しつつ車両用表示装置における表示仕様のカスタマイズ自由度を拡大することができる車両用表示装置を提供することにある。」 「【0016】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 図1は実施形態1?3に関する全体構成図であり、1は車両、2は情報センター等に配置され、各車両毎に予め設定されている表示装置の標準表示仕様と、各ユーザーによってカスタマイズされた表示装置のカスタマイズ表示仕様とが記憶されている表示仕様記憶装置、3はユーザー等が所有するコンピュータであって、表示装置の表示仕様をカスタマイズ可能に構成される外部装置であり、車両1、表示仕様記憶装置2及び外部装置3の間は、例えば、電話回線や電波通信手段等によって情報の送受信が可能に構成されている。 【0017】 図2は実施形態1?3に関する制御ブロック図であり、車両1には、エンジン回転数、車速、燃料、水温等車両情報をデジタル表示するとともに、ユーザーにより情報等を入力することが可能とされる表示装置1aと、ユーザーが任意に選択した表示仕様が設定される表示仕様設定手段1bと、その表示仕様設定手段1bにより設定された表示仕様が各車両の走行状態の表示仕様として適していないと判断された時は、走行状態に適した表示仕様に補正する表示仕様補正手段1cと、その表示仕様補正手段1cにより補正された表示仕様を車両走行状態検出手段1dにより検出された車両の走行状態に応じて上記表示装置1aに表示させる表示制御手段1eとが備えられている。 また、表示仕様記憶装置2には、情報センターが入手した標準表示仕様が各車両毎に記憶される標準表示仕様記憶手段2aと、各ユーザーによってカスタマイズされたカスタマイズ表示仕様が記憶されるカスタマイズ表示仕様記憶手段2bと、ユーザーにより選択された標準表示仕様若しくはカスタマイズ表示仕様を車両1の表示仕様設定手段1bにインストールするインストール実行手段2cとが備えられている。 また、外部装置3には、ユーザーによる車両特定のための特定情報の入力が可能とされる入力手段3aと、その入力手段3aに入力された特定情報に基づいて標準表示仕様記憶手段2aから該当する車両の表示装置1aの標準表示仕様を入手或いはカスタマイズ表示仕様記憶手段2bからカスタマイズ表示仕様を入手するための表示仕様入手手段3bと、その表示仕様入手手段3bから入手された標準表示仕様を基にユーザーがカスタマイズすることが可能なカスタマイズ手段3cと、そのカスタマイズ手段3cによりカスタマイズされたカスタマイズ表示仕様をカスタマイズ表示仕様記憶手段2bに記憶する記憶手段3dとが備えられている。 【0018】 次に、ユーザーによる表示仕様の設定及び設定された表示仕様の補正の詳細について、図3に基づき説明する。 図3のステップS1において、車両1における表示装置1aの表示画面上において、車両を特定する特定情報、例えば、車体番号や車種等車両を特定する特定情報を入力する。 続く、ステップS2では、走行時と非走行時とで共通のカスタマイズ表示仕様を設定するか否か判断する。 ステップS2でYESと判断された時、つまり、ユーザーが走行時と非走行時とでカスタマイズ表示仕様を共通化すると選択した場合、ステップS3に進み、カスタマイズ表示仕様記憶手段2bに記憶されているカスタマイズ表示仕様の中から共通の表示仕様を表示装置1aに表示せさる。 続く、ステップS4では表示されたカスタマイズ表示仕様の中からユーザーが好むカスタマイズ表示仕様を選択し、ステップS5では選択されたカスタマイズ表示仕様を表示仕様設定手段1bにインストールする。 また、ステップS2でNOと判断された時は、ステップS6に進み、非走行時専用のカスタマイズ表示仕様を設定するか否か判断する。 ステップS6でYESと判断された時、つまり、ユーザーが非走行時におけるカスタマイズ表示仕様を専用的に設定したいと選択した場合、ステップS7に進み、カスタマイズ表示仕様記憶手段2bに記憶されているカスタマイズ表示仕様の中から非走行時に適合するカスタマイズ表示仕様を表示させる。 続く、ステップS8では、表示されたカスタマイズ表示仕様の中からユーザーが好む表示仕様を選択し、ステップS9では選択されたカスタマイズ表示仕様を表示仕様設定手段1bにインストールする。 例えば、図4に示すように、非走行時では表示の必要性が低いスピードメータと、タコメータとを非表示とし、その代わりユーザーが好む他の情報としてナビゲーションの地図情報、eメール情報を表示させ、かつ時計と水温計との表示の大きさが大きくされた表示仕様を選択する。 ステップS10では、走行時専用のカスタマイズ表示仕様を設定するか否か判断する。 ステップS10でYESと判断された時は、ステップS11に進み、NOと判断された時は、ステップS12で標準表示仕様記憶手段2aに記憶された標準表示仕様を表示仕様設定手段1bにインストールする。 ステップS11では、走行時における表示仕様を車速に応じて更に使い分けるか否か判断する。 ステップS11でYESと判断された時は、ステップS13に進み、まず切換車速をユーザーの好みに応じて設定する。 続く、ステップS14、S15では、低速用及び高速用のカスタマイズ表示仕様を各々選択する。 ステップS16では、ステップS14、S15で設定された低速用のカスタマイズ表示仕様と高速用のカスタマイズ表示仕様との整合性がとれているか否か確認する。 具体的には、低速用のカスタマイズ表示仕様と高速用のカスタマイズ表示仕様とを比較し、表示項目の配置、表示形態(アナログ表示かデジタル表示かの切換え)、スピードメータ等各種メータのゼロ位置、各種メータの目盛間隔及び各種メータ単位の内、いずれかが異なっていないかを判断する。 例えば、低速用のカスタマイズ表示仕様が図5に示されるような表示仕様として選択され、高速用のカスタマイズ表示仕様が図6に示されるような表示仕様として選択された場合、スピードメータと水温計との配置、スピードメータの表示形態とが異なっており、この場合は、整合がとれていないと判断される。 これに対して、低速用のカスタマイズ表示仕様が図7に示されるような表示仕様が選択された場合、図6に示される高速用のカスタマイズ表示仕様に対し、スピードメータの表示の大きさが異なるだけで、その他については表示仕様が同じであるため、整合がとれていると判断される。 そして、ステップS16でYESと判断された時は、ステップS17に進み、ステップS14、S15で設定されたカスタマイズ表示仕様を表示仕様設定手段1bにインストールする。 また、ステップS16でNOと判断された時は、ステップS18に進み、後述するカスタマイズ表示仕様の補正を行う。 また、ステップS11でNOと判断された時は、つまり、ユーザーが車速に応じてカスタマイズ表示仕様を使い分けないことを選択した場合、ステップS19に進み、カスタマイズ表示仕様記憶手段2bに記憶されているカスタマイズ表示仕様の中から走行時に適合するカスタマイズ表示仕様を表示させる。 続く、ステップS20では、表示されたカスタマイズ表示仕様の中からユーザーが好む表示仕様を選択し、ステップS21では選択されたカスタマイズ表示仕様を表示仕様設定手段1bにインストールする。 また、上記ステップS6でNOと判断された時、ステップS22に進み、走行時専用のカスタマイズ表示仕様を設定するか否か判断する。 ステップS22でYESと判断された時は、上述のようにステップS11以降の処理に基づきカスタマイズ表示仕様を設定し、NOと判断された時は、ステップS23で標準表示仕様記憶手段2aに記憶された標準表示仕様を設定する。」 「【0019】 次に、図3におけるステップS18、つまり、カスタマイズ表示仕様の補正の詳細について、図8に基づいて説明する。 図8のステップS30では、不整合箇所を表示する。 例えば、上述したように、低速用のカスタマイズ表示仕様が図5に示されるような表示仕様として選択され、高速用のカスタマイズ表示仕様が図6に示されるような表示仕様として選択された場合、スピードメータと水温計との配置、スピードメータの表示形態とが異なっており、この相違点について表示する。 続く、ステップS31では、不整合となったカスタマイズ表示仕様の内、低速用のカスタマイズ表示仕様を採用するか否か判断する。 ステップS31でYESと判断された時、つまり、低速用のカスタマイズ表示仕様を優先的に採用することをユーザーが選択した時、ステップS32に進み、高速用のカスタマイズ表示仕様を低速用のカスタマイズ表示仕様に整合するよう補正する。 ここでは、高速用のカスタマイズ表示仕様におけるスピードメータと水温計の配置と、スピードメータの表示形態とが低速用のカスタマイズ表示仕様と一致するよう補正する。 続く、ステップS33では、ステップS14で設定された低速用のカスタマイズ表示仕様と、ステップS32で補正された高速用のカスタマイズ表示仕様とを表示仕様設定手段1bにインストールする。 また、ステップS31でNOと判断された時は、ステップS34に進み、不整合となったカスタマイズ仕様の内、高速用のカスタマイズ表示仕様を採用するか否か判断する。 ステップS34でYESと判断された時、つまり、高速用のカスタマイズ表示仕様を優先的に採用することをユーザーが選択した時、ステップS35に進み、低速用のカスタマイズ表示仕様を高速用のカスタマイズ表示仕様に整合するよう補正する。 ここでは、低速用のカスタマイズ表示仕様におけるスピードメータと水温計の配置と、スピードメータの表示形態とが高速用のカスタマイズ表示仕様と一致するよう補正する。 続く、ステップS36では、ステップS15で設定された高速用のカスタマイズ表示仕様と、ステップS35で補正された低速用のカスタマイズ表示仕様とを表示仕様設定手段1bにインストールする。 また、ステップS34でNOと判断された時、ステップS14の前Aに戻り、再設定可能とする。」 「【0020】 次に、設定された表示仕様を車両の走行状態に応じて表示する詳細について、図9に基づいて説明する。 図9のステップS40において、車両の走行状態を読込む。例えば、車速、エンジン回転数、エンジンのスロットル弁開度、変速機の変速位置、ブレーキ信号等を読込む。 続く、ステップS41では、車両が非走行状態であるか否か判断する。例えば、車速が0、ブレーキが踏まれている等車両の停車状態を示す信号に基づいて判断する。 ステップS41でYESと判断された時、ステップS42に進み、非走行時用のカスタマイズ表示仕様が設定されているか否か判断する。 ステップS42でYESと判断された時は、ステップS43に進み、非走行用のカスタマイズ表示仕様を読込み、設定し、ステップS44において表示手段1aに出力し、表示させる。例えば、図4に示すようなカスタマイズ表示仕様を表示させる。 また、ステップS42でNOと判断された時、ステップS45に進み、標準表示仕様が設定を読込み、設定する。 また、ステップS41でNOと判断された時、ステップS46に進み、走行時用のカスタマイズ表示仕様が設定されているか否か判断する。 ステップS46でYESと判断された時、ステップS47に進み、車速に応じたカスタマイズ表示仕様が設定されているか否か判断する。 ステップS47でYESと判断された時は、ステップS48で車速が高速か否か判断し、YESと判断された時は、ステップS49で高速用のカスタマイズ表示仕様を読込み、設定する。例えば、図6に示すようなカスタマイズ表示仕様を表示させる。 ステップS48でNOと判断された時は、ステップS50で低速用のカスタマイズ表示仕様を読込み、設定する。例えば、図7に示すようなカスタマイズ表示仕様を表示させる。 また、ステップS47でNOと判断された時は、ステップS51に進み、車速に変わりなく共通に設定されたカスタマイズ表示仕様を読込み、設定する。例えば、図6に示すようなカスタマイズ表示仕様を表示させる。 また、上記ステップS46でNOと判断された時は、ステップS52に進み、標準表示仕様を読込み、設定する。 【0021】 以上のように、本実施形態によれば、ユーザーによって設定されたカスタマイズ表示仕様が設定された当該車速に適さない場合、カスタマイズ表示仕様が補正されるため、車両の安全性を確保しつつカスタマイズ自由度を拡大することができる。 また、安全性への影響が小さい車両が非走行状態の時は、カスタマイズ表示仕様の表示規制が緩和される、例えば、図4に示すように、表示項目の内非表示項目を設定したり、表示装置1aにおける本来の表示項目以外のユーザーが好む情報を表示することができ、表示仕様のカスマイズ自由度を拡大することができる。 また、安全性への影響が小さい車速が低い時は、カスタマイズ表示仕様の表示規制が緩和される、例えば、図7に示すように、スピードメータの表示を小さくすることができ、表示仕様のカスマタイズ自由度を拡大することができる。 また、車速が低い時と車速が高い時とで各々カスタマイズ表示仕様を設定する際、その各カスタマイズ表示仕様間における視認性に影響を与える表示項目の整合性がとられる、例えば、低速用カスタマイズ仕様が図5に選択され、高速用カスタマイズ仕様が図6に選択された時、スピードメータと水温計との配置及びスピードメータの表示形態が相違するが、低速用カスタマイズ仕様が図5から図7に示されるように図6の高速用カスタマイズ表示仕様と整合がとれるように補正されるため、車速変化に対して表示仕様が大きく変化し、ユーザーによる視認性が低下するのを抑制することができる。」 「【図面の簡単な説明】 【図1】実施形態に関わる全体構成図。 【図2】実施形態に関わる制御ブロック図。 【図3】実施形態に関わる表示仕様設定処理を示すフローチャート。 【図4】実施形態に関わる非走行時の表示仕様画面を示す図。 【図5】実施形態に関わる低速時の表示仕様画面を示す図。 【図6】実施形態に関わる高速時の表示仕様画面を示す図。 【図7】実施形態に関わる低速時の表示仕様画面を示す図。」 以下の【図4】?【図7】が示されている。 イ.請求項1の「車両の走行状態に応じて上記表示装置に表示させる表示制御手段」に関し、上記ア.の記載事項から次のことが認定できる。 (ア)段落【0018】の「図4に示すように、・・・非走行時ではナビゲーションの地図情報、eメール情報を表示させ、かつ時計と水温計との表示の大きさが大きくされた表示仕様を選択する。」との記載及び段落【0020】の「ステップS42でYESと判断された時は、ステップS43に進み、非走行用のカスタマイズ表示仕様を読込み、設定し、ステップS44において表示手段1aに出力し、表示させる。例えば、図4に示すようなカスタマイズ表示仕様を表示させる。」との記載、並びに「【図4】実施形態に関わる非走行時の表示仕様画面を示す図」から、非走行用のカスタマイズ表示仕様画面として、ナビゲーションの地図情報、eメール情報、時計及び水温計を表示すること。 (イ)段落【0020】の「ステップS47でYESと判断された時は、ステップS48で車速が高速か否か判断し、YESと判断された時は、ステップS49で高速用のカスタマイズ表示仕様を読込み、設定する。例えば、図6に示すようなカスタマイズ表示仕様を表示させる。」との記載及び「【図6】実施形態に関わる高速時の表示仕様画面を示す図。」から、高速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、大きいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示すること。 (ウ)段落【0018】の「低速用のカスタマイズ表示仕様が図5に示されるような表示仕様として選択され、高速用のカスタマイズ表示仕様が図6に示されるような表示仕様として選択された場合、スピードメータと水温計との配置、スピードメータの表示形態とが異なっており、この場合は、整合がとれていないと判断される」との記載、段落【0019】の「高速用のカスタマイズ表示仕様を優先的に採用することをユーザーが選択した時、ステップS35に進み、低速用のカスタマイズ表示仕様を高速用のカスタマイズ表示仕様に整合するよう補正する。」との記載、及び段落【0021】の「低速用カスタマイズ仕様が図5に選択され、高速用カスタマイズ仕様が図6に選択された時、スピードメータと水温計との配置及びスピードメータの表示形態が相違するが、低速用カスタマイズ仕様が図5から図7に示されるように図6の高速用カスタマイズ表示仕様と整合がとれるように補正されるため、車速変化に対して表示仕様が大きく変化し、ユーザーによる視認性が低下するのを抑制することができる。」との記載、並びに「【図7】実施形態に関わる低速時の表示仕様画面を示す図。」から、低速用のカスタマイズ表示仕様画面と高速用のカスタマイズ表示仕様画面との間で、スピードメータと水温計との配置、スピードメータの表示形態とが異なっていた場合であって、高速用のカスタマイズ表示仕様画面を優先的に採用することをユーザーが選択した時、低速用のカスタマイズ表示仕様画面を高速用のカスタマイズ表示仕様画面に整合するよう補正し、低速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、小さいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示すること。 したがって、上記ア.の記載事項、上記イ.の認定事項並びに【図4】?【図7】の図示内容から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「車両情報が表示されるとともに、その表示仕様がカスタマイズ可能に構成される表示装置が備えられる車両用表示装置において、 上記表示装置のカスタマイズ表示仕様が記憶される表示仕様記憶手段の中からユーザーが選択したカスタマイズ表示仕様を車両の走行状態に応じて設定することが可能に構成される表示仕様設定手段と、 該表示仕様設定手段により設定されたカスタマイズ表示仕様が当該車両の走行状態に適さないと判断される場合、設定されたカスタマイズ表示仕様を補正する表示仕様補正手段と、 車両の走行状態を検出する車両走行状態検出手段と、 上記表示仕様補正手段により補正されたカスタマイズ表示仕様を、上記車両走行状態検出手段により検出された車両の走行状態に応じて上記表示装置に表示させる表示制御手段とが備えられ、 上記表示制御手段は、非走行用のカスタマイズ表示仕様画面として、ナビゲーションの地図情報、eメール情報、時計及び水温計を表示し、 高速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、大きいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示し、 低速用のカスタマイズ表示仕様画面と高速用のカスタマイズ表示仕様画面との間で、スピードメータと水温計との配置、スピードメータの表示形態とが異なっていた場合であって、高速用のカスタマイズ表示仕様画面を優先的に採用することをユーザーが選択した時、低速用のカスタマイズ表示仕様画面を高速用のカスタマイズ表示仕様画面に整合するよう補正し、低速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、小さいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示する車両用表示装置。」 第5.対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア.後者の「車両情報が表示されるとともに、その表示仕様がカスタマイズ可能に構成される表示装置が備えられる車両用表示装置」は、「高速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、大きいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示し、」「低速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、小さいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示する」ものであるところ、後者の「水温計」、「スピードメータ」、「エンジン回転数」の表示は、前者の「複数のメーター表示領域」に相当し、後者の「高速用のカスタマイズ表示仕様画面」及び「低速用のカスタマイズ表示仕様画面」は、前者の「複数の画面」に相当する。 イ.後者の「車両の走行状態を検出する車両走行状態検出手段と、上記表示仕様補正手段により補正されたカスタマイズ表示仕様を、上記車両走行状態検出手段により検出された車両の走行状態に応じて上記表示装置に表示させる表示制御手段とが備えられ、」「上記表示制御手段は、非走行用のカスタマイズ表示仕様画面として、ナビゲーションの地図情報、eメール情報、時計及び水温計を表示し、高速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、大きいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示し、」「低速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、小さいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示する」との構成は、上記ア.を踏まえると、前者の「当該複数の画面から一つの画面を選択して、取得したデータに基づくメーター表示をする制御を行う」構成に相当する。 ウ.上記ア.及びイ.から、後者の「車両情報が表示されるとともに、その表示仕様がカスタマイズ可能に構成される表示装置が備えられる車両用表示装置」は、前者の「複数のメーター表示領域を備える画面を複数備え、当該複数の画面から一つの画面を選択して、取得したデータに基づくメーター表示をする制御を行う制御システム」に相当する。 エ.後者の「高速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、大きいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示し、」「低速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、小さいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示する」との構成は、上記ア.を踏まえると、前者の「前記一つの画面上には複数のメーター表示領域を備え」との構成に相当する。 オ.後者の「車両情報が表示されるとともに、その表示仕様がカスタマイズ可能に構成される表示装置が備えられる車両用表示装置」は、「上記表示装置のカスタマイズ表示仕様が記憶される表示仕様記憶手段の中からユーザーが選択したカスタマイズ表示仕様を車両の走行状態に応じて設定することが可能に構成される表示仕様設定手段」を備えるものであるから、前者の「当該一つの画面上の少なくともいずれか1のメーター表示領域について、ユーザによって選択された種類のメーター表示し」との構成を充足している。 カ.上記ア.及びイ.を踏まえると、後者の「上記表示制御手段は、非走行用のカスタマイズ表示仕様画面として、ナビゲーションの地図情報、eメール情報、時計及び水温計を表示し、高速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、大きいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示し、」「低速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、小さいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示する」との構成は、前者の「前記複数の画面を切り替えて表示する機能を備える」との構成に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「複数のメーター表示領域を備える画面を複数備え、当該複数の画面から一つの画面を選択して、取得したデータに基づくメーター表示をする制御を行う制御システムであって、 前記一つの画面上には複数のメーター表示領域を備え、 当該一つの画面上の少なくともいずれか1のメーター表示領域について、ユーザによって選択された種類のメーター表示し、 前記複数の画面を切り替えて表示する機能を備える 制御システム。」 (相違点) 本願発明1は、「前記複数のメーター表示領域を備える複数の画面のうち少なくとも2つの画面において前記複数のメーター表示領域の大きさ及び配置が同一のフォーマットと」する構成であるのに対し、 引用発明は、「非走行用のカスタマイズ表示仕様画面として、ナビゲーションの地図情報、eメール情報、時計及び水温計を表示し、高速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、大きいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示し、」「低速用のカスタマイズ表示仕様画面として、画面左から小さいサイズの水温計、小さいサイズのスピードメータ、及び小さいサイズのエンジン回転数を表示する」点。 (2)相違点についての判断 上記相違点について検討する。 ア.引用発明の「高速用のカスタマイズ表示仕様画面」と「低速用のカスタマイズ表示仕様画面」は、「水温計」、「スピードメータ」、及び「エンジン回転数」の配置については同一といえるが、「スピードメータ」の大きさが異なるため、上記相違点に係る本願発明1の「前記複数のメーター表示領域を備える複数の画面のうち少なくとも2つの画面において前記複数のメーター表示領域の大きさ及び配置が同一のフォーマット」であることを満たしていない。 同様に、引用発明の「非走行用のカスタマイズ表示仕様画面」の「ナビゲーションの地図情報、eメール情報、時計及び水温計」の表示は、【図4】に示されているとおりであるから、引用発明の「高速用のカスタマイズ表示仕様画面」及び「低速用のカスタマイズ表示仕様画面」のいずれにおける比較においても、表示対象の大きさ及び配置が異なるものであるから、上記相違点に係る本願発明1の「前記複数のメーター表示領域を備える複数の画面のうち少なくとも2つの画面において前記複数のメーター表示領域の大きさ及び配置が同一のフォーマット」であることを満たしていない。 また、引用文献1の全体を通してみても、複数のメーター表示(水温計、スピードメータ、及びエンジン回転数等)を備える複数のカスタマイズ表示仕様画面のうち少なくとも2つの画面において前記複数のメーター表示の大きさ及び配置が同一のフォーマットとすることは開示されていない。 また、引用発明は、「車両走行中における安全性確保を確保しつつ車両用表示装置における表示仕様のカスタマイズ自由度を拡大することができる車両用表示装置を提供すること」(段落【0004】)を課題とするものであり、前述したように、「スピードメータ」を「高速用のカスタマイズ表示仕様画面」と「低速用のカスタマイズ表示仕様画面」とで大きさを異ならせるものであるから、複数のメーター表示の大きさ及び配置を同一のフォーマットとする動機付けは存在しないといえる。 イ.原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、特に段落【0001】及び段落【0007】の記載、並びに【図4】?【図7】から、「自動車等の車両に用いられる情報表示装置において、手操作入力手段により表示画像の画面表示位置および表示画像の大きさの少なくとも何れか一方に関するデータが入力されることにより、その入力データに応じて表示器の画面に表示される各種車両情報の表示画像の表示位置、大きさが設定、変更できること。」(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されており、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、特に請求項1及び段落【0033】の記載、並びに【図7】(a)?(e)から、「自車周辺を撮像し、その撮像データを出力する撮像手段と、自車周辺の物体を検出する物体検出手段と、少なくとも前記撮像データと自車の走行状態に関する情報とをディスプレイに表示可能な表示手段と、前記物体検出手段により前記撮像データ内に物体が検出されたとき、ディスプレイに表示される撮像データの画像サイズが拡大するように前記表示手段を制御する制御手段と、を含む車載用表示装置において、画面中央の表示領域に走行速度等を示すデジタル数値表示を表示すること。」(以下「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されているが、上記相違点に係る本願発明1の「前記複数のメーター表示領域を備える複数の画面のうち少なくとも2つの画面において前記複数のメーター表示領域の大きさ及び配置が同一のフォーマット」にすることは記載も示唆もされていない。 ウ.上記ア.及びイ.で検討したように、引用発明には、上記相違点に係る本願発明1の構成とする動機付けはなく、また、引用文献2及び3には、上記相違点に係る本願発明1の構成は開示されていないから、 引用発明に引用文献2、3に記載された事項を適用しても、上記相違点1に係る本願発明1の構成に至るものではない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2、3について 本願発明2、3は、本願発明1の構成を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6.むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-09-02 |
出願番号 | 特願2016-213941(P2016-213941) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B60R)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 菅 和幸 |
特許庁審判長 |
氏原 康宏 |
特許庁審判官 |
島田 信一 中村 泰二郎 |
発明の名称 | 制御システム及びプログラム |