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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1354750
審判番号 不服2018-15941  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-30 
確定日 2019-09-24 
事件の表示 特願2014-549584「呼吸治療装置と一体化される気道インピーダンス測定」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月 4日国際公開、WO2013/098714、平成27年 3月26日国内公表、特表2015-509012、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)12月18日(パリ条約による優先権主張 2011年12月30日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年12月6日付けで拒絶理由が通知され、平成29年6月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月22日付けで拒絶理由が通知され、平成30年5月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月31日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされた。これに対して、同年11月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の要旨は、次のとおりである。
本願の請求項1?15に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載されている周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特表2002-519121号公報
2.特表2009-502265号公報(周知技術を示す文献)
3.特開平6-343623号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願の請求項1?15に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明15」という。)は、平成30年5月23日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1は以下のとおりである。

「 【請求項1】
呼吸治療装置と一体化される、気道インピーダンスを測定するシステムであって、
それぞれ吸気及び呼気中に前記呼吸治療装置を用いてガスが対象の気道へ向かう及び気道から離れる流路を提供する導管であり、前記対象の気道に向かう吸気ガスを伝える第1分岐と、前記対象の気道から離れ周辺の環境へ呼気ガスを伝える第2分岐とを含む、前記導管と、
前記対象による呼気ガスが前記第2分岐を介して伝えられるように、前記導管によって形成される前記流路を通るガスフローに作用する、前記導管の前記第2分岐内に配置される第1弁と、
吸気ガスが前記第1分岐によって連通され、呼気ガスが前記第1分岐によって連通されるのを妨げられるように、前記導管の前記第1分岐内に配置される第2弁であり、一方向弁を有する第2弁と、
前記流路を通る前記ガスフローが前記第1弁によって作用される若しくは作用されない間の、前記導管によって形成される前記流路内のガスの一つ以上の特性と関連する情報を伝える信号を提供する、前記導管内に配置される一つ以上のセンサと、
一つ以上のコンピュータプログラムモジュールを実行する一つ以上のプロセッサとを有し、
前記一つ以上のコンピュータプログラムモジュールが、前記流路を通るガスフローが前記第1弁によって作用される若しくは作用されない一つ以上の呼気中に前記一つ以上のセンサによって提供される前記信号に基づいて前記対象の気道のインピーダンスメトリックを決定する気道インピーダンスモニタリングモジュールを有する、
システム。」

なお、本願発明2?15の概要は以下のとおりである。
本願発明2?5は、本願発明1を引用し、さらに減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明1に対応する作動方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明7?10は、本願発明6を引用し、さらに減縮した発明である。
本願発明11は、本願発明1と同じシステムの発明であり、本願発明1の「導管」を「流体連通手段」に、「第1分岐」を「第1分岐手段」に、「第2分岐」を「第2分岐手段」に、「第1弁」を「第1弁手段」に、「第2弁」を「第2弁手段」に、「一方向弁」を「一方向弁手段」に、「一つ以上のセンサ」を「検出手段」に、「一つ以上のプロセッサ」を「処理手段」に、各々置きかえただけの発明である。
本願発明12?15は、本願発明11を引用し、さらに減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様。)。

(引1ア)「【請求項1】 呼吸補助システム(6,8,10,12;10,12,14,16;10,12,48,50;10,12,52,54,56;10,12,58,60,62)であって、生体(2)の呼吸を容易化、支持及び/または制御するため、前記生体(2)へ連結されるよう構成された装置(6;14;48;52,54;58,60,62)を有する呼吸補助システムにおいて、
生体(2)からの神経電気信号(神経インパルス)をピックアップするよう構成されたセンサ装置(18)を有し、
記録された神経電気信号から呼吸に関連する信号を識別するための分析器(20,22)を有し、
該分析器(20,22)に接続された信号発生器(24)を有し、
前記信号発生器(24)は、識別された信号に関連して制御信号を発生させ、かつ装置(6;14;48;52,54;58,60,62)に送信するものである
ことを特徴とする呼吸補助システム。
・・・
【請求項3】 装置(6)は、信号発生器(24)により送信された制御信号に応じて、呼吸ガス流を発生させることにより、吸気フェーズをトリガするよう構成された人工呼吸器である
請求項1または2記載の呼吸補助システム。
・・・
【請求項8】 生体による自発呼吸を検出するよう構成された呼吸センサ(28,34,36,38,40,42,44,46)を有し、
前記呼吸センサ(28,34,36,38,40,42,44,46)は、自発呼吸が感知されると、検出信号を発生させる
請求項1から7までのうちいずれか1項記載の呼吸補助システム。
【請求項9】 呼吸センサ(28,34,36,38,40,42,44,46)は、自発呼吸の規模を検出するよう構成され、
検出信号には自発呼吸の規模についての情報が含まれ、
装置(6;14;48;52,54;58,60,62)は、自発呼吸の規模にしたがって、吸気フェーズをトリガするよう構成されている
請求項8記載の呼吸補助システム。」

(引1イ)「【0017】
肺運動も胸部(及び肺)のインピーダンスを測定することにより測定することができる。肺運動も呼吸努力の指標となる。
【0018】
呼吸に関与する筋系の直接的測定も呼吸努力に関連する情報を提供する。
【0019】
これらすべての手順に共通していることは、これら手順のいずれもが、患者の真の呼吸必要性についての精確な生理学的描像を提供することができないということである。
・・・
【0034】
患者の神経系の呼吸関連部分を感知するための呼吸検出器により、吸気努力はできるだけ早い段階で検出され、呼吸補助を供給する装置を制御するために使用されることができる。」

(引1ウ)「【0039】
図1は、本発明の呼吸補助システムの第1の実施例を示す。
【0040】
図2は、本発明の呼吸検出器及び人工呼吸器の1つの実施例を示す。」

(引1エ)「【0045】
図1は、簡易寝台4上の患者2を示す。患者2は、人工呼吸器6から呼吸補助を受けるために、管系8により人工呼吸器6に接続されている。原則的に人工呼吸器6は公知の人工呼吸器でよい。例えば、スウェーデンのSiemens-Elma AB社のサーボベンチレータ300または他の何らかの公知の人工呼吸器(在宅介護用の呼吸補助装置、CPAPマシン、蘇生用器機等を含む)または麻酔機であってよい。原則的に呼吸補助は、十分な自発呼吸をするのが困難または不可能であるというリスクを有する患者に与えられる従来の呼吸補助であれば、いかなるものから成っていてもよい。
【0046】
呼吸検出器10は、人工呼吸器6に接続されており、信号ライン12を介して患者2の横隔神経に接続されている。ここで信号ライン12は、経皮的に横隔神経に接続されるか、または皮膚の表面から間接的に横隔神経に接続されることができる。呼吸のための神経電気信号は、延髄の呼吸中枢で発生され、横隔神経に沿って(特に)横隔膜へ搬送される。これら信号は信号ライン12によりピックアップされ、呼吸検出器10へ送られる。
【0047】
呼吸検出器10は、呼吸に関連する関連信号を抽出する。識別は公知の信号処理方法を使用して行われることができる。呼吸に関する信号、またはこの場合には横隔膜の機能に関する信号は、通常インパルスの列として到達する。その際、呼吸検出器10は制御信号を発生させ、この制御信号は検出された呼吸信号にしたがって人工呼吸器6に送られる。神経インパルスのさらに高度な分析は、さらに高度な方法により、特にパターン認識システム及び人工神経網(ANN)を含む方法により行うことができる。」

(引1オ)「【0051】
呼吸センサは、より高い自発呼吸能力を有する患者と並行して使用することができるので、呼吸検出器10からの制御信号は阻止されることもできる。これは図2に示されている。そこでは人工呼吸器6及び呼吸検出器10がより詳細に示されている。
【0052】
呼吸検出器10は、神経電気信号を感知するための電極18を介して患者2に接続されている。感知された信号は信号処理ユニット20に送られ、何らかの適切な方式でフィルタリング及び増幅される。そして処理された信号は信号識別のため分析器22に送られる。適切な信号分析により、患者2がいつ自発呼吸を望んでいるのか、及び患者がどの程度の呼吸を望んでいるのかを確定することができる。呼吸信号は主に呼吸筋系(横隔神経が感知されているので、この実施例では特に横隔膜)へのインパルス列から成る。
【0053】
呼吸信号の存在に関する情報は信号発生器24へ送られ、信号発生器は、識別された呼吸信号に依存して制御信号を発生させる。この制御信号は制御ライン26を介して人工呼吸器6内の制御ユニット28へ送られる。
【0054】
制御ユニット28は、医師によってセットされたパラメータと人工呼吸器6により測定されたパラメータとにしたがって、人工呼吸器6を制御する。
【0055】
呼吸ガスは弁ユニット30内で、正しい組合せ、圧力及び流量で混合される。異なる複数のガスは、第1のガスコネクタ32A及び第2のガスコネクタ32Bを介して公知の方法で接続される。
【0056】
圧力及び流量は、システムの種々異なる部分において、第1の流量計34,第1の圧力計36、第2の流量計38,第2の圧力計40、第3の流量計42,及び第3の圧力計44により測定される。圧力及び/または流量が測定されると、呼吸の開始は、圧力及び/または流量の変化として感知される。制御ユニット28に加えて、1つまたはそれ以上の前記計器が呼吸センサを構成する。これら計器は、それゆえ、圧力及び流量の測定がシステム内の1つまたは複数の部位で可能であることを説明するために示されているに過ぎない。
【0057】
患者2が空気を吸い込むことにより呼吸を開始するとき、制御装置28への制御信号の影響が低減、遅延または阻止される。呼吸検出器10が呼吸信号を感知した後の所定の期間内に、十分強い自発呼吸があるということは、患者2は自発呼吸の間には、呼吸ガスの供給以外の呼吸補助を必要としないということを意味する。このような状況では、人工呼吸器6は通常の人工呼吸器6として動作することができ、所定のパターンまたは患者2の自発呼吸の強度にしたがって患者2を支持することができる。
【0058】
原則的に呼吸検出器10は、いつ患者2が呼気を望むかを感知でき、そして呼気(呼息)の開始を許可するよう人工呼吸器6に信号を送ることができる。これにより、患者2は、呼気フェーズを活性化するのに十分な圧力を肺内に能動的に発生させるという不都合を免れる。呼気の間、呼気バルブ46を調節し、患者2にとって適切な終末呼気陽圧(PEEP)を維持することができる。」

(引1カ)図1には以下の図面が記載されている。


(引1キ)図2には以下の図面が記載されている。


イ 引用文献1に記載された発明

(ア)上記ア(引1キ)の図2から、管系8は、2つの分岐を有し、前記管系8の一方の分岐の端に弁ユニット30が接続され、前記管系8の他方の分岐の端は、外気に開放され、その端付近に呼気バルブ46を備えている点が見て取れる。

(イ)上記ア(引1キ)の図2から、管系8は、弁ユニット30に接続されている分岐に第1の流量計34及び第1の圧力計36を、患者2と分岐点との間に第2の流量計38及び第2の圧力計40を、呼気バルブ46を備える分岐に第3の流量計42及び第3の圧力計44を備えている点が見て取れる。

(ウ)上記(引1オ)の【0052】?【0054】によれば、制御ユニット28は、呼吸検出器10からの制御信号及び呼吸センサからの出力信号にしたがって、人工呼吸器6を制御するものであることが理解できる。

(エ)上記(ア)?(ウ)を踏まえ上記ア(引1ア)?(引1キ)の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「患者2の神経電気信号からの呼吸努力に関する制御信号を発生させる呼吸検出器10と、前記制御信号に応じて呼吸ガス流を発生させる人工呼吸器6とを備えた呼吸補助システムであって、
前記人工呼吸器6から呼吸補助を受けるために、前記患者2に接続され、2つの分岐を有する管系8と、
前記管系8の一方の分岐の端に接続され、前記混合ガスが混合される弁ユニット30と、
前記管系8の他方の分岐の端は、外気に開放され、その端付近に備えた終末呼気陽圧(PEEP)を維持するよう調節する呼気バルブ46と、
前記弁ユニット30に接続されている分岐に備えた第1の流量計34及び第1の圧力計36、患者2と分岐点との間に備えた第2の流量計38及び第2の圧力計40、呼気バルブ46を備える分岐に備えた第3の流量計42及び第3の圧力計44により、自発呼吸の規模を検出するよう構成される呼吸センサと、
前記制御信号及び前記呼吸センサからの出力信号にしたがって、前記人工呼吸器6を制御する制御ユニット28と、
を有し、
前記人工呼吸器6は、前記制御信号及び前記出力信号にしたがって、吸気フェーズをトリガするよう構成されている、
呼吸補助システム。」

なお、上記(引1イ)の【0017】には、「肺運動も胸部(及び肺)のインピーダンスを測定することにより測定することができる。肺運動も呼吸努力の指標となる。」と記載されているが、【0017】などの記載を受けて【0019】に「これらすべての手順に共通していることは、これら手順のいずれもが、患者の真の呼吸必要性についての精確な生理学的描像を提供することができないということである。」と記載されているように、呼吸努力の指標としてのインピーダンス測定は、患者の真の呼吸必要性を正確に判断できないという問題点が述べられているものと理解でき、この問題点を解決するために、【0034】に「患者の神経系の呼吸関連部分を感知するための呼吸検出器により、吸気努力はできるだけ早い段階で検出され、」と記載されていることを踏まえ、「患者2の神経電気信号からの呼吸努力に関する制御信号」を「人工呼吸器6」の「制御」に用いたものを引用発明と認定したことから、上記(引1イ)の【0017】の記載を引用発明の認定に用いることはできない。

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0057】
非再呼吸連続ガス供給回路は、Fisher(US 6354292)によって教示された。再呼吸連続ガス供給回路はFisher(US 6622725、US 6612308)によって教示された。図1Bは非再呼吸連続ガス供給回路の原理を図示する。呼気の間、呼気の一方向弁(30)が開き、ガスが大気中に放出される。その間、ソースガスはソースガスポート(32)に入り、ソースガスリザーバー(33)に貯蔵される。図1Aは、呼気をリザーブガスとして使用する相同的な回路を図示する。この回路により、呼気の間、呼気ガスは呼気ガスリザーバー(28)内に導かれ、リザーブガスとして働くようになる。吸気の間、一方向吸気弁(31)が開き、ソースガスポート(32)およびソースガスリザーバー(33)からソースガスが吸気される。これらの回路両方において、VEがソースガス流量を超過した場合、VEとソースガス流量との差は、再呼吸回路中の交叉弁(29)を通して、または非再呼吸回路中の要求弁(demand valve)(35)を介したリザーブガスで補われる。ソースガスおよびリザーブガスは連続的に吸気される。吸気の開始において、ガスはフレッシュガス流の入口およびフレッシュガスリザーバーから吸気される。非再呼吸回路中のリザーブガスは、呼気ガスと同様の特性を持ったガスからなる。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0017】
【実施例】図1と図2に図示される装置は、被検者の気道に直列に適用される改善された呼気流速計であり、この呼気流速計は二つの異なる所定の抵抗エレメントをその被検者の気道に直列にplace して正確な測定を行ない、その測定から肺機能情報を計算することができるものである。
【0018】上記呼気流速計は、入口部12、中央部14及び出口部16とを有する呼気流速計本体10を有する。入口部12、中央部14及び出口部16は、それぞれ一般的には環状であり、各々が円形中央開口を有し、その結果、呼気流速計本体10が全体として一つの中心部管状コンジット18を規定している。呼気流速計本体10の入口部12及び出口部16は、それぞれ、上記呼気流速計にパイプ或いはホースを接続するための管状端部20及び22を有している。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。

ア 引用発明の「人工呼吸器6」は、「呼吸補助」するものであるから、本願発明1の「呼吸治療装置」に相当する。また、引用発明の「自発呼吸の規模を検出する」ことと、本願発明1の「気道インピーダンスを測定する」こととは、「呼吸に関する量を測定する」点で共通する。
よって、引用発明の「自発呼吸の規模を検出する」「人工呼吸器6」「を備えた呼吸補助システム」と、本願発明1の「呼吸治療装置と一体化される、気道インピーダンスを測定するシステム」とは、「呼吸治療装置と一体化される、呼吸に関する量を測定するシステム」の点で共通する。

イ 引用発明の「前記人工呼吸器6から呼吸補助を受けるために、前記患者2に接続され、2つの分岐を有する管系8」は、本願発明1の「それぞれ吸気及び呼気中に前記呼吸治療装置を用いてガスが対象の気道へ向かう及び気道から離れる流路を提供する導管」に相当する。また、引用発明の「弁ユニット30」と「接続され」る「管系8の一方の分岐」は、本願発明1の「前記対象の気道に向かう吸気ガスを伝える第1分岐」に相当し、引用発明の「外気に開放され」る「管系8の他方の分岐」は、本願発明1の「前記対象の気道から離れ周辺の環境へ呼気ガスを伝える第2分岐」に相当する。
よって、引用発明の「前記人工呼吸器6から呼吸補助を受けるために、前記患者2に接続され、2つの分岐を有する管系8」であり、「弁ユニット30」と「接続され」る「管系8の一方の分岐」と、「周辺の環境に開放され」る「管系8の他方の分岐」とを「有する管系8」は、本願発明1の「それぞれ吸気及び呼気中に前記呼吸治療装置を用いてガスが対象の気道へ向かう及び気道から離れる流路を提供する導管であり、前記対象の気道に向かう吸気ガスを伝える第1分岐と、前記対象の気道から離れ周辺の環境へ呼気ガスを伝える第2分岐とを含む、前記導管」に相当する。

ウ 引用発明の「前記管系8の他方の分岐の」「端付近に備えた終末呼気陽圧(PEEP)を維持するよう調節する呼気バルブ46」は、本願発明1の「前記対象による呼気ガスが前記第2分岐を介して伝えられるように、前記導管によって形成される前記流路を通るガスフローに作用する、前記導管の前記第2分岐内に配置される第1弁」に相当する。

エ 引用発明の「前記管系8の一方の分岐の端に接続され、前記混合ガスが混合される弁ユニット30」と、本願発明1の「吸気ガスが前記第1分岐によって連通され、呼気ガスが前記第1分岐によって連通されるのを妨げられるように、前記導管の前記第1分岐内に配置される第2弁であり、一方向弁を有する第2弁」とは、「吸気ガスが前記第1分岐によって連通され、前記導管の前記第1分岐に配置される第2弁」の点で共通する。

オ 上記ウを踏まえると、引用発明の「前記弁ユニット30に接続されている分岐に備えた第1の流量計34及び第1の圧力計36、患者2と分岐点との間に備えた第2の流量計38及び第2の圧力計40、呼気バルブ46を備える分岐に備えた第3の流量計42及び第3の圧力計44により、自発呼吸の規模を検出するよう構成される呼吸センサ」は、本願発明1の「前記流路を通る前記ガスフローが前記第1弁によって作用される若しくは作用されない間の、前記導管によって形成される前記流路内のガスの一つ以上の特性と関連する情報を伝える信号を提供する、前記導管内に配置される一つ以上のセンサ」に相当する。

カ 引用発明の「前記制御信号及び前記呼吸センサからの出力信号にしたがって、前記人工呼吸器6を制御する制御ユニット28」は、「前記制御信号及び前記呼吸センサからの出力信号」を処理するためのコンピュータプログラムモジュールを有していることが明らかであるから、本願発明1の「一つ以上のコンピュータプログラムモジュールを実行する一つ以上のプロセッサ」に相当する。

キ 引用発明の「制御ユニット28」は、「前記呼吸センサからの出力信号」、すなわち「自発呼吸の規模」をモニタリングしており、そのためのモニタリングモジュールを有していることが明らかであるから、上記ア及びカを踏まえると、引用発明は、本願発明1の「前記一つ以上のコンピュータプログラムモジュールが、前記流路を通るガスフローが前記第1弁によって作用される若しくは作用されない一つ以上の呼気中に前記一つ以上のセンサによって提供される前記信号に基づいて前記対象の気道のインピーダンスメトリックを決定する気道インピーダンスモニタリングモジュールを有する」ことと、「前記一つ以上のコンピュータプログラムモジュールが、前記流路を通るガスフローが前記第1弁によって作用される若しくは作用されない一つ以上の呼気中に前記一つ以上のセンサによって提供される前記信号に基づいて前記対象の呼吸に関する量を決定するモニタリングモジュールを有する」ことで共通する。

ク 上記ア?キより、本願発明1と引用発明は、次の点で一致し、次の2点で相違する。

(一致点)
「呼吸治療装置と一体化される、呼吸に関する量を測定するシステムであって、
それぞれ吸気及び呼気中に前記呼吸治療装置を用いてガスが対象の気道へ向かう及び気道から離れる流路を提供する導管であり、前記対象の気道に向かう吸気ガスを伝える第1分岐と、前記対象の気道から離れ周辺の環境へ呼気ガスを伝える第2分岐とを含む、前記導管と、
前記対象による呼気ガスが前記第2分岐を介して伝えられるように、前記導管によって形成される前記流路を通るガスフローに作用する、前記導管の前記第2分岐内に配置される第1弁と、
吸気ガスが前記第1分岐によって連通され、前記導管の前記第1分岐に配置される第2弁と、
前記流路を通る前記ガスフローが前記第1弁によって作用される若しくは作用されない間の、前記導管によって形成される前記流路内のガスの一つ以上の特性と関連する情報を伝える信号を提供する、前記導管内に配置される一つ以上のセンサと、
一つ以上のコンピュータプログラムモジュールを実行する一つ以上のプロセッサとを有し、
前記一つ以上のコンピュータプログラムモジュールが、前記流路を通るガスフローが前記第1弁によって作用される若しくは作用されない一つ以上の呼気中に前記一つ以上のセンサによって提供される前記信号に基づいて前記対象の呼吸に関する量を決定するモニタリングモジュールを有する、
システム。」

(相違点1)
呼吸治療装置と一体化されるシステムが測定(決定)する呼吸に関する量が、本願発明1は、「気道インピーダンス(気道のインピーダンスメトリック)」であるに対し、引用発明は、「自発呼吸の規模」である点。

(相違点2)
第2弁が、本願発明1は、「呼気ガスが前記第1分岐によって連通されるのを妨げられるように、」「第1分岐内に配置される」「一方向弁」であるのに対して、引用発明は、「一方の分岐の端に接続され、前記混合ガスが混合される弁ユニット30」である点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。

上記相違点1に係る本願発明1の構成、すなわち、呼吸治療装置と一体化されるシステムが、気道インピーダンスを測定することは、引用文献1?3のいずれにも記載も示唆もされていない。
そして、測定圧力や測定流量などのセンサ信号に基づいて患者の気道インピーダンスを測定することが、仮に周知技術であったとしても、引用発明は、測定圧力や測定流量から「自発呼吸の規模」を検出し、「自発呼吸の規模」にしたがって人工呼吸器6を制御するものであるから、わざわざ、測定圧力や測定流量から「気道インピーダンス」を検出する理由は見当たらない。
すると、本願発明1は、上記相違点2について検討するまでもなく、引用発明、及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2?15について

(1)本願発明2?5は、本願発明1を引用し、さらに減縮した発明であるから、本願発明1と同様に、引用発明、及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本願発明6は、本願発明1に対応する作動方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから、本願発明1と同様に、引用発明、及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本願発明7?10は、本願発明6を引用し、さらに減縮した発明であるから、本願発明1と同様に、引用発明、及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)本願発明11は、本願発明1と同じシステムの発明であり、本願発明1の「導管」を「流体連通手段」に、「第1分岐」を「第1分岐手段」に、「第2分岐」を「第2分岐手段」に、「第1弁」を「第1弁手段」に、「第2弁」を「第2弁手段」に、「一方向弁」を「一方向弁手段」に、「一つ以上のセンサ」を「検出手段」に、「一つ以上のプロセッサ」を「処理手段」に、各々置きかえただけの発明であるから、本願発明1と同様に、引用発明、及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(5)本願発明12?15は、本願発明11を引用し、さらに減縮した発明であるから、本願発明1と同様に、引用発明、及び引用文献1?3に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-10 
出願番号 特願2014-549584(P2014-549584)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 荒井 隆一高松 大  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
渡戸 正義
発明の名称 呼吸治療装置と一体化される気道インピーダンス測定  
代理人 笛田 秀仙  
代理人 矢ヶ部 喜行  
代理人 五十嵐 貴裕  
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