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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1354754
審判番号 不服2018-849  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-22 
確定日 2019-09-24 
事件の表示 特願2013-134318「電子装置、および、表示制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月19日出願公開、特開2015- 11409、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年6月26日の出願であって、平成29年1月19日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年3月24日付けで手続補正がされ、平成29年6月30日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年8月29日付けで手続補正がされ、平成29年10月13日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成30年1月22日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年11月16日付けで拒絶理由通知(以下、当該拒絶理由を「当審拒絶理由1」という。)がされ、平成31年1月18日付けで手続補正がされ、平成31年3月8日付けで拒絶理由通知(以下、当該拒絶理由を「当審拒絶理由2」という。)がされ、平成31年4月22日付けで手続補正がされ、令和元年6月24日付けで拒絶理由通知(以下、当該拒絶理由を「当審拒絶理由3」という。)がされ、令和元年8月8日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年10月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-2、5-8に係る発明は、以下の引用文献A-Cに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特表2004-519033号公報
B.特表2013-508812号公報
C.特表2010-503121号公報

第3 当審拒絶理由1の概要
当審拒絶理由1の概要は次のとおりである。

本願請求項1-2、5-7に係る発明は、以下の引用文献1-2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2000-249568号公報
2.特開2012-168943号公報

第4 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和元年8月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表示領域を含む表示部と、
複数の情報を記憶する記憶部と、
前記複数の情報を所定の規則に基づき表示領域に表示させる表示制御部と、
前記表示領域に表示された前記複数の情報をスクロールさせるスクロール操作を受け付ける操作部と、
前記操作部により、前記表示領域上で所定速度以上のスクロール操作を受け付けたか否かを判断する判断部と、を備え、
前記判断部はさらに、所定速度以上のスクロール操作を受け付けたと判断すると、当該スクロール操作の速度に基づくスクロールの停止位置に表示される情報を含む、前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると判断し、
前記表示制御部はさらに、前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、前記停止位置に表示される前記情報を含む、前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると同時にスクロールを停止させることを特徴とする電子装置。」

また、本願発明2-6の概要は以下のとおりである。

本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明1に対応する、カテゴリ表現が異なる「電子装置の表示制御方法」の発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
当審拒絶理由1に引用された引用文献1(特開2000-249568号公報)には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下、同様。)。

(1) 段落【0004】
「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決するものであって、スクロール操作および選択入力を簡便、迅速に行えるようにするものである。」

(2) 段落【0007】
「【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るナビゲーション装置の実施の形態を示す図であり、経路案内に関する情報を入出力する入出力装置1、自車両の現在位置に関する情報を検出する現在位置検出装置2、経路の算出に必要なナビゲーション用データおよび案内に必要な表示案内データ等が記憶されている情報記憶装置3、経路探索処理や経路案内に必要な表示案内処理を行うと共にシステム全体の制御を行う中央処理装置4から構成したものである。まず、それぞれの構成について説明する。」

(3) 段落【0009】
「【0009】入出力装置1は、目的地を入力したり、運転者が必要な時に案内情報を音声および/または画面により出力できるように、運転者の意志によりナビゲーション処理を中央処理装置4に指示すると共に、処理後のデータなどをプリント出力する機能を備えている。その機能を実現するための手段として、入力部には、目的地を電話番号や地図上の座標などにて入力したり、経路案内をリクエストしたりするジョグダイヤル11を有する。ジョグダイヤル11は、ダイヤルと中心部にエンターキーとを有し、回転操作することにより、画面中のカーソルや強調表示した選択位置を移動させ、エンター操作する(押す)ことにより、選択位置を決定するものであり、単独であるいは有線又は光等を用いた無線のリモコンとして他のキースイッチと組み合わせて使用してもよい。勿論、入力部として、ジョイスティックや平面をスライドするスライドバーやスライドパット、あるいはタッチスイッチ等の入力装置を用いてもよい。また、出力部には、入力データを画面表示したり、運転者のリクエストに応じ自動的に経路案内を画面で表示するディスプレイ12、中央処理装置4で処理したデータや情報記憶装置3に格納されたデータをプリント出力するプリンタ13および経路案内を音声で出力するスピーカ16などを備えている。」

(4) 段落【0011】
「【0011】ディスプレイ12は、カラーCRTやカラー液晶表示器により構成されており、中央処理装置4が処理する地図データや案内データに基づく経路設定画面、区間図画面、交差点図画面などナビゲーションに必要なすべての画面をカラー表示出力すると共に、本画面に経路案内の設定および経路案内中の案内や画面の切り換え操作を行うためのパレットが表示される。特に、通過交差点名などの通過交差点情報は、随時、区間図画面にポップアップでカラー表示される。」

(5) 段落【0014】-【0015】
「【0014】情報記憶装置3は、ナビゲーション用のプログラム及びデータを記憶した外部記憶装置で、例えばCD-ROMやDVD-ROM等の光学的な記録媒体、フロッピィディスクやMO等の磁気的な記録媒体である。プログラムは、地図描画部、経路探索部、経路案内部、現在位置計算部、目的地設定操作制御部等からなりナビゲーションの信号出力処理を行うアプリケーション部及びOS部等で構成され、ここに、経路探索などの処理を行うためのプログラムや経路案内に必要な表示出力制御、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラム及びそれに必要なデータ、さらには経路案内及び地図表示に必要な表示情報データが格納されている。また、データは、経路案内に必要な地図データ(道路地図、住宅地図、建造物形状地図等)、交差点データ、ノードデータ、道路データ、写真データ、登録地点データ、目的地点データ、案内道路データ、詳細目的地データ、目的地読みデータ、電話番号データ、住所データ、その他のデータのファイルからなりナビゲーション装置に必要なすべてのデータが記憶されている。
【0015】中央処理装置4は、種々の演算処理を実行するCPU40、重要な情報(例えば経路探索や経路案内を実行するプログラムや条件設定を行うデータ、各種パラメータのデータなど)を不揮発的に記憶するための書き換え可能なROM(書き換え可能な不揮発性記憶手段)であるフラッシュメモリ41(例えば電気的に消去可能なEEPROM:Electrically Erasable and Programable ROM)、フラッシュメモリ41のプログラムチェック、更新処理を行うためのプログラム(プログラム読み込み手段)さらにはフラッシュメモリ41及びRAM43のデータチェックを行いこれらに記憶された情報を相互に書き換え可能に制御するためのプログラムを格納した不揮発性記憶手段であるROM42、運転者の操作により任意の地点の情報を登録するメモリ地点、学習機能により蓄積される頻度情報、各種検出手段の誤差修正情報などの個人別に記憶される情報を、一時的(揮発的)に格納するとともに、ACCがOFFされても格納した情報を保持することができる読み書き自在な揮発性記憶手段であるRAM43(例えば、一時的に記憶した情報を電気的に保持できるSRAM:Static RAM)、ディスプレイへの画面表示に使用する画像データが記憶された画像メモリ44、CPU40からの表示出力制御信号に基づいて画像メモリ44から画像データを取り出し、画像処理を施してディスプレイに出力する画像プロセッサ45、CPUからの音声出力制御信号に基づいて情報記憶装置3から読み出した音声、フレーズ、1つにまとまった文章、音等を合成してアナログ信号に変換してスピーカ16に出力する音声プロセッサ46、通信による入出力データのやり取りを行う通信インタフェース47および現在位置検出装置2のセンサ信号を取り込むためのセンサ入力インタフェース48、内部ダイアグ情報に日付や時間を記入するための時計49などを備えている。この中央処理装置4において、現在位置検出装置2の各センサにより取得されたデータをセンサ入力インタフェース48より取り込むと、そのデータに基づきCPU40は、一定時間毎に現在位置座標を算出し、一時的にRAM43に書き込む。この現在位置座標は、各種データの検出誤差を考慮してマップマッチング処理を行ったものである。また、各種センサによる出力値は、常に補正が行われる。ここで、経路案内は運転者が画面表示、音声出力のいずれでも選択できるように構成されている。」

(6) 段落【0018】-【0024】
「【0018】上記ナビゲーション装置において、本発明は、上記現在位置取得や目的地設定、経路探索などの処理で入力操作を行う場合に、ジョグダイヤルを用いて50音入力を簡便にしかも見やすい画面で行うようにするものであり、以下、その入力処理及び入力画面について説明する。図3はジョグダイヤルを操作して50音入力する処理の流れを説明するための図である。
【0019】50音入力モードが選択されると、図3に示すようにまず、50音入力パレットを表示し(ステップS21)、ジョグダイヤルの回転操作を移動指令として認識し(ステップS22)、その回転操作の速度が標準速度を上回るか否かを判定する(ステップS23)。ジョグダイヤルの回転操作の速度が標準速度を上回る場合には、回転操作に応じて表示文字を順方向であれば「あ」→「か」→「さ」→……→「ん」→「あ」→……に従って、反対方向であればその反対に1行ずつジャンプスクロールし(ステップS24)、速度が標準速度を上回らない場合には回転操作に応じて表示文字を順方向であれば「あ」→「い」→……→「お」→「か」→……に従って、反対方向であればその反対に1文字ずつスクロールする(ステップS25)。そして、文字の入力決定の指示がなされたか否かを判定し(ステップS26)、文字の入力決定の指示がなされるまでステップS22からの処理を繰り返し行って、文字の入力決定の指示がなされると、入力された文字を文字入力エリアに表示する(ステップS27)。次に、入力完了の指示がなされたか否かを判定し(ステップS28)、入力完了の指示がなされるまでステップS22からの処理を繰り返し行って、入力完了の指示がなされると、入力された文字列に基づき検索を開始する(ステップS29)。
【0020】上記のように本発明では、ジョグダイヤルの回転操作で文字をスクロールして文字を選択し50音入力を行う場合、文字を早く選択できるようにするために、ジョグダイヤルの回転速度に応じて通常スクロールと通常スクロールを間引きしたジャンプスクロールの2段階のスクロールモードによる文字表示方法を採用し、入力できる文字は、その前後の文字と共に表示して、これらの文字と区別するために強調表示する。すなわち、ジョグダイヤルの回転操作として、例えば入力したい文字が現在入力できる文字から離れた位置にある場合には、回転速度が速くなるので行の頭ごとに間引きし、入力したい文字が現在入力できる文字に近い位置にある場合には、回転速度が遅くなるので間引きせずに、順番に文字を表示する。しかも、50音の配列順は全文字を画面中に表示しなくても誰でも熟知しているので、前後の行、文字に限定して表示して入力できる文字のみを強調表示することにより、視認性の高いレイアウトの画面にすることができる。
【0021】図4は50音入力パレットの表示例を示す図、図5は50音入力により検索される全リストおよび通常リストスクロールによる表示範囲の変化の例を示す図、図6は通常リストスクロールの場合の表示変化の例を示す図、図7は50音入力により検索される全リストおよびジャンプスクロールによる表示範囲の変化の例を示す図、図8はジャンプリストスクロールの場合の表示変化の例を示す図である。
【0022】本発明のジョグダイヤルの回転操作により行うスクロールでは、50音入力を行い、さらにその入力に基づきリストを表示して選択するような場合にも同様に適用可能である。50音入力パレットの表示例を示したのが図4であり、50音入力パレットにより入力された名称の検索リストをスクロールする例を示したのが図5乃至図8である。図4に示す50音入力パレットは、縦に入力できる文字とその前後の文字による文字列を表示した例であり、「か」が入力できる文字、「え」、「お」、「き」、「く」が入力できる文字の前後の文字を示している。このような50音入力パレットでは、ジョグダイヤルの回転操作の速度が標準速度を上回る場合には、上記ステップS24のように回転操作に応じて表示文字を順方向であれば「あ」→「か」→「さ」→……→「ん」→「あ」→……に従って、反対方向であればその反対に1行ずつジャンプスクロールし、速度が標準速度を上回らない場合には、上記ステップS25のように回転操作に応じて表示文字を順方向であれば「あ」→「い」→……→「お」→「か」→……に従って、反対方向であればその反対に1文字ずつスクロールする。
【0023】次に、50音入力により例えば「ろふと」を入力し検索を実行した場合、図5に示す27項目が表示すべき項目として検索され、一方、リストを表示する画面には、表示領域に制約があるため、の5項目を図6に示すように表示するものとする。この場合の画面のリストには、図6(A)に示すように「ろふと ……世田谷区」、「呂太 ……弘前市」、「魯風人 ……平塚市」、「魯風人 ……田原市」、「魯風人 ……田原市」の5項目を表示している。この画面からのジョグダイヤルによるスクロールでは、回転操作を低速度で行うと、スクロール画面に表示する項目が順に図5の、、に示す5項目に切り換わるので、図6(B)、(C)、(D)に示すように順に1項目ずつ移動するようにして通常リストスクロールを行う。
【0024】これに対して、図7に示す○Aの5項目を図8(A)に示すように表示しているとき、ジョグダイヤルの回転操作を高速で行うと、スクロール画面に表示する5項目が順に図7の○B、○C、○Dに示す5項目毎にジャンプして切り換わるジャンプスクロールを行うので、図8(B)、(C)、(D)に示す頁めくりのように切り換わる。同様に、リストが例えば都道府県別、ジャンル別にリストされいてるときには、都道府県毎、ジャンル毎にジャンプして切り換わる。」

よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「カラーCRTやカラー液晶表示器により構成されており、中央処理装置4が処理する地図データや案内データに基づく経路設定画面、区間図画面、交差点図画面などナビゲーションに必要なすべての画面をカラー表示出力する、ディスプレイ12と、
経路探索などの処理を行うためのプログラムや経路案内に必要な表示出力制御、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラム及びそれに必要なデータ、さらには経路案内及び地図表示に必要な表示情報データが格納されている、情報記憶装置3と、
CPU40からの表示出力制御信号に基づいて画像メモリ44から画像データを取り出し、画像処理を施してディスプレイに出力する画像プロセッサ45と、
目的地を電話番号や地図上の座標などにて入力したり、経路案内をリクエストしたりするジョグダイヤル11を有し、
ジョグダイヤルの回転操作を移動指令として認識し、その回転操作の速度が標準速度を上回るか否かを判定し、
リストが例えば都道府県別、ジャンル別にリストされているときに、ジョグダイヤルの回転操作を高速で行うと、都道府県毎、ジャンル毎にジャンプして切り換わるナビゲーション装置。」

2.引用文献2について
当審拒絶理由1に引用された引用文献2(特開2012-168943号公報)には、図面(特に、図37)とともに、段落【0309】-【0319】に、以下の記載がある。

「【0309】
[電話帳のスクロール処理]
次に、電話帳をスクロール制御する際に、該電話帳に登録されているユーザが属するグループの変わり目で、該スクロール制御を所定時間、停止するようにした例を説明する。
【0310】
図37のフローチャートに、この電話帳のスクロール制御の流れを示す。制御部15は、操作者により電話帳の表示指定操作がなされると、メモリ14に記憶されている電話帳管理プログラムに基づいて、電話帳に登録されている電話帳データを表示部5に表示制御する。そして、制御部15は、この電話帳データを表示部5に表示制御したタイミングで、当該電話帳データのスクロール操作の有無を監視し、該スクロール操作を検出すると、上記電話帳管理プログラムに基づいて、この図37のフローチャートに示す処理を開始する。
【0311】
なお、この例では、上述の「ドラッグ操作」,「フリック操作」、及び「長押し操作」のうち、いずれかの操作を検出すると、制御部15は、電話帳データのスクロール処理を行うようになっている。
【0312】
制御部15は、操作者により、このようなスクロール操作がなされると、ステップS81において、電話帳データのスクロール処理を開始し、処理をステップS82に進める。
【0313】
ステップS82では、制御部15が、操作者によるスクロール操作が継続してなされているか否かを判別する。そして、制御部15は、スクロール操作が継続してなされていないものと判別した場合には、処理をステップS87に進め、上述した電話帳データのスクロール処理を停止して、そのままこの図37のフローチャートに示す処理を終了する。
【0314】
これに対して、上記ステップS82において、スクロール操作が継続してなされているものと判別した場合、制御部15は処理をステップS83に進め、電話帳データをスクロール制御することで、所定のグループに属するユーザに対応する電話帳データを表示するに至ったか否かを判別する。
【0315】
具体的には、名前がAndyであるユーザと、名前がAnnieであるユーザは、共に、名前の頭文字が「A」のグループに属するように、該各ユーザ情報が電話帳に登録されている。同様に、名前がBillyであるユーザと、名前がBryanであるユーザは、共に、名前の頭文字が「B」のグループに属するように、該各ユーザ情報が電話帳に登録されている。そして、各ユーザは、該各ユーザの名前の頭文字により、「A」のグループ?「Z」のグループのいずれかのグループに属するように、それぞれ電話帳に登録されている。
【0316】
制御部15は、ステップS81で電話帳データのスクロール処理を開始すると、予め定められている所定のグループの電話帳データを表示部5に表示するに至ったか否かを判別する。そして、制御部15は、上記所定のグループの電話帳データを表示部5に表示するに至ったものと判別するまでの間、処理をステップS81に戻し、上述の電話帳データのスクロール処理を継続して実行する。
【0317】
これに対して、上記所定のグループの電話帳データを表示部5に表示するに至ったものと判別すると、制御部15は、処理をステップS84に進め、電話帳データのスクロール処理を停止制御して、処理をステップS85に進める。ステップS85では、制御部15
が、タイマ10から取得する計時情報に基づいて、電話帳データのスクロール処理を停止してから、例えば200msec等の所定時間が経過したか否かを判別し、この所定時間が経過したものと判別した際に処理をステップS86に進める。
【0318】
ステップS86では、制御部15が、表示部5の操作状況を監視することで、操作者により、継続して上記スクロール操作がなされているか否かを判別する。そして、制御部15は、操作者により、継続して上記スクロール操作がなされていないものと判別した場合、処理をステップS87に進め、電話帳データのスクロール処理を停止して、そのまま、この図37のフローチャートに示す処理を終了する。
【0319】
これに対して、上記ステップS86において、操作者により継続して上記スクロール操作がなされているものと判別した場合、制御部15は、処理をステップS88に進め、電話帳データのスクロール処理を再開して、処理をステップS83に戻す。そして、ステップS83において、再度、上記電話帳データのスクロール処理を行うことで、所定のグループの電話帳データを表示部5に表示するに至ったか否かを判別し、該所定のグループの電話帳データを表示部5に表示するに至ったものと判別した際に、上記電話帳データのスクロール処理を停止する動作を繰り返し実行する。以下、当該携帯電話機の電話帳データのスクロール処理を具体例を用いて説明する。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明における「カラーCRTやカラー液晶表示器により構成されており、中央処理装置4が処理する地図データや案内データに基づく経路設定画面、区間図画面、交差点図画面などナビゲーションに必要なすべての画面をカラー表示出力する、ディスプレイ12」は、ナビゲーションに必要な画面を表示するものであるから、本願発明1の「表示領域を含む表示部」に相当する。

イ 引用発明における「経路探索などの処理を行うためのプログラムや経路案内に必要な表示出力制御、音声案内に必要な音声出力制御を行うためのプログラム及びそれに必要なデータ、さらには経路案内及び地図表示に必要な表示情報データが格納されている、情報記憶装置3」は、本願発明1における「複数の情報を記憶する記憶部」に相当する。

ウ 引用発明における「CPU40からの表示出力制御信号に基づいて画像メモリ44から画像データを取り出し、画像処理を施してディスプレイに出力する画像プロセッサ45」は、ディスプレイに「都道府県別、ジャンル別にリストされている」リストを表示させるものであるから、本願発明1における「前記複数の情報を所定の規則に基づき表示領域に表示させる表示制御部」に相当する。

エ 引用発明における「目的地を電話番号や地図上の座標などにて入力したり、経路案内をリクエストしたりするジョグダイヤル11」は、ジョグダイヤルの操作によってリストをスクロールさせるものであるから、本願発明1における「前記表示領域に表示された前記複数の情報をスクロールさせるスクロール操作を受け付ける操作部」に相当する。

オ 引用発明において「ジョグダイヤルの回転操作を移動指令として認識し、その回転操作の速度が標準速度を上回るか否かを判定」することは、回転操作の速度が標準速度を上回るか否かを判定するために、その判定を行うための判断部を備えていなければならないことは明らかであるから、本願発明1において「前記操作部により、前記表示領域上で所定速度以上のスクロール操作を受け付けたか否かを判断する判断部」を備えることと、「前記操作部により、」「所定速度以上のスクロール操作を受け付けたか否かを判断する判断部」を備える点で共通する。

カ 引用発明において「リストが例えば都道府県別、ジャンル別にリストされているときに、ジョグダイヤルの回転操作を高速で行うと、都道府県毎、ジャンル毎にジャンプして切り換わる」ことは、ジョグダイヤルの回転操作を高速で行った際に、都道府県別、ジャンル別のリストを切り換えていくと、切り換えるたびに、リストの先頭位置には各都道府県、ジャンルの先頭の情報が表示されることになり、リストの先頭位置に各都道府県、ジャンルの先頭の情報を表示させるために、その表示をさせると判断するための判断部を備えていなければならないことは明らかであるから、本願発明1において「前記判断部はさらに、所定速度以上のスクロール操作を受け付けたと判断すると、当該スクロール操作の速度に基づくスクロールの停止位置に表示される情報を含む、前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると判断し、前記表示制御部はさらに、前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、前記停止位置に表示される前記情報を含む、前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させる」ことと、「前記判断部はさらに、所定速度以上のスクロール操作を受け付けたと判断すると、」「前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると判断し、前記表示制御部はさらに、前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、」「前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させる」点で共通する。

キ 引用発明の「ナビゲーション装置」は、本願発明1の「電子装置」に相当する。

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりであるといえる。

[一致点]
「表示領域を含む表示部と、
複数の情報を記憶する記憶部と、
前記複数の情報を所定の規則に基づき表示領域に表示させる表示制御部と、
前記表示領域に表示された前記複数の情報をスクロールさせるスクロール操作を受け付ける操作部と、
前記操作部により、所定速度以上のスクロール操作を受け付けたか否かを判断する判断部と、を備え、
前記判断部はさらに、所定速度以上のスクロール操作を受け付けたと判断すると、前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると判断し、
前記表示制御部はさらに、前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させる電子装置。」

[相違点1]
本願発明1は、「前記操作部により、前記表示領域上で所定速度以上のスクロール操作を受け付けたか否かを判断する判断部」を備えるものであるのに対して、引用発明は、「前記操作部により、」「所定速度以上のスクロール操作を受け付けたか否かを判断する判断部」を備えるものとはいえるものの、ジョグダイヤルによる操作であるため、「前記表示領域上で」のスクロール操作を行うものではない点。

[相違点2]
本願発明1では、「判断部」が、「所定速度以上のスクロール操作を受け付けたと判断すると、当該スクロール操作の速度に基づくスクロールの停止位置に表示される情報を含む、前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると判断し、」「表示制御部」が、「前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、前記停止位置に表示される前記情報を含む、前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させる」のに対して、引用発明では、「判断部」が、「所定速度以上のスクロール操作を受け付けたと判断すると、」「前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると判断し、」「表示制御部」が、「前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、」「前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させ」てはいるものの、「当該スクロール操作の速度に基づくスクロールの停止位置に表示される情報」が、表示させる情報に含まれることが特定されていない点。

[相違点3]
本願発明1では、「前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると同時にスクロールを停止させる」のに対して、引用発明では、「前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させ」てはいるものの、「同時にスクロールを停止させる」ことが特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。

引用発明では、「前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合」に、「当該スクロール操作の速度に基づ」き「スクロールの停止位置」を判断しておらず、引用発明は、本願発明1の上記相違点2に係る、「前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、」「当該スクロール操作の速度に基づくスクロールの停止位置に表示される情報を含む、前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させる」との判断、及び、その表示をさせる構成(以下、単に「本願発明1の上記相違点2に係る構成」という。)を備えるものではない。
また、引用文献1-2のいずれにも、本願発明1の上記相違点2に係る構成は記載されておらず、示唆されているともいえない。

なお、原査定における引用文献B(特に、段落【0039】を参照。)には、フリックジェスチャーの速度に基づいて、スクロールされるべきリスト要素の数を計算することが記載されているものの、仮に、この技術が周知技術であったとしても、本願発明1の上記相違点2に係る構成が、周知技術であったとはいえない。

そして、本願発明1は、本願発明1の上記相違点2に係る構成によって、本願明細書の段落【0056】に記載されるように、「ユーザは所望のアドレス情報を容易に探すことができる」との効果を有するものである。

したがって、本願発明1の上記相違点2に係る構成は、引用発明、引用文献1-2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、本願発明1は、上記相違点1、3を検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献1-2に記載された技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-6について
上記「第4」のとおり、本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明6は、本願発明1に対応する、カテゴリ表現が異なる「電子装置の表示制御方法」の発明であって、本願発明1の上記相違点2に係る構成と実質的に同一の構成を備えるものである。

よって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-6も、当業者であっても、引用発明、引用文献1-2に記載された技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和元年8月8日付けの手続補正で補正された請求項1-6は、上記「第6」のとおり、本願発明1の上記相違点2に係る構成を備えるものであり、当該構成は、原査定における引用文献A-Cには記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-6は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに記載された発明に基づいて、容易に発明できたものではない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由(特許法第36条第6項第2号)について
1.当審拒絶理由2について
当審では、請求項1と、請求項1を引用する請求項3とで、判断部が、表示領域の所定の位置に表示させると判断する情報に齟齬が生じることとなり、請求項1を引用する請求項3の「判断部」が「表示領域の所定の位置に表示させると判断する」「情報」が何であるか、明確に把握することができず、また、請求項3を直接又は間接的に引用する請求項4-6についても、同様の理由により、発明特定事項を明確に把握することができないとの拒絶の理由を通知しているが、平成31年4月22日付けの補正において、請求項1の「前記判断部はさらに、所定速度以上のスクロール操作を受け付けたと判断すると、当該スクロール操作の開始位置と当該スクロール操作の速度に基づく停止位置に表示される情報との間に含まれる所定の規則に基づき定められる情報の区分のうち、前記開始位置から最も離れて並べられた区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると判断し、」との記載を、「前記判断部はさらに、所定速度以上のスクロール操作を受け付けたと判断すると、当該スクロール操作の速度に基づくスクロールの停止位置に表示される情報を含む、前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させると判断し、」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2.当審拒絶理由3について
当審では、請求項1に係る電子装置において、「前記開始位置」が何の開始位置であるのか、及び、判断部が、「当該スクロール操作の速度に基づくスクロールの停止位置に表示される情報を含む、前記所定の規則に基づき定められる情報の区分の先頭に示される情報」を表示させると判断することが、どのような技術的意味を有するのか、不明りょうであるとの拒絶の理由を通知しているが、令和元年8月8日付けの補正において、請求項1の「前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、前記開始位置から最も離れて並べられた前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させる」との記載を、「前記判断部により、前記所定速度以上のスクロール操作が受け付けられたと判断された場合、前記停止位置に表示される前記情報を含む、前記区分の先頭に示される前記情報を、前記表示領域の所定の位置に表示させる」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-10 
出願番号 特願2013-134318(P2013-134318)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 梶尾 誠哉
白井 亮
発明の名称 電子装置、および、表示制御方法  
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