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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G05B
管理番号 1354762
審判番号 不服2018-15596  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-26 
確定日 2019-09-20 
事件の表示 特願2014-89544「制御装置、駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月17日出願公開、特開2014-216023、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年4月23日(パリ条約による優先権主張2013年4月24日、独国)の出願であって、平成29年12月18日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年2月21日に手続補正書及び意見書が提出され、平成30年7月20日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成30年11月26日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1-11に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2010-244311号公報
2.特開2000-112581号公報(周知技術を示す文献)


第3 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成30年2月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
演算ユニット(2)と、
前記演算ユニット(2)への電圧供給及びシステム状態の制御のための装置と、
を備えた制御装置(1)であって、
前記装置は電圧調整モジュール(7)を有し、前記電圧調整モジュール(7)は、前記演算ユニット(2)への電圧供給のために、一方では、エネルギー貯蔵器(6)と接続され又は接続可能であり、他方では、前記演算ユニット(2)と接続される、前記制御装置(1)において、
前記装置は、前記電圧調整モジュール(7)による前記電圧供給及び前記演算ユニット(2)の前記システム状態を監視する安全装置(15)であって、前記制御装置(1)の少なくとも1つのユニットを停止及び/又は作動させるよう構成された前記安全装置(15)を有し、
前記安全装置(15)は、前記電圧調整モジュール(7)に依存せずに、前記エネルギー貯蔵器(6)に接続され又は接続可能であることを特徴とする、制御装置(1)。
【請求項2】
前記安全装置(15)は、集積回路として構成されることを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記集積回路は、更なる別の演算ユニットを有することを特徴とする、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記安全装置(15)は、リセットパス(11)を通じて前記演算ユニット(2)と接続されることを特徴とする、請求項1?3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記安全装置(15)と接続され、前記安全装置(15)により動かされる前記少なくとも1つのユニットとして設けられる、電気的接続線を形成し又は解消するための少なくとも1つの開閉装置(5)を備えることを特徴とする、請求項1?4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記電気的接続線は、電圧供給線及び/又は信号線である、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御装置(1)により動かされるアクチュエータ(4)であって、前記安全装置(15)と接続され、前記安全装置(15)により停止可能な前記アクチュエータ(4)のための少なくとも1つの制御ユニットを備えることを特徴とする、請求項1?6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記電圧調整モジュール(7)は、エネルギー貯蔵器(6)と接続され又は接続可能であることを特徴とする、請求項1?7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記安全装置(5)及び/又は前記電圧調整モジュール(7)と接続された起動装置(14)を備えることを特徴とする、請求項1?8のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御装置は、トランスミッション制御装置である、請求項1?9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
演算ユニット(2)への電圧供給及びシステム状態制御のための装置を備えた請求項1?10のいずれか1項に記載の制御装置(1)を駆動する方法であって、
前記装置は、電圧調整モジュール(7)を用いて前記演算ユニット(2)に作動電圧を供給し、前記作動電圧の供給のためにエネルギー貯蔵器(6)と接続される、前記方法において、
前記装置には、前記電圧調整モジュール(7)による前記電圧供給及び前記演算ユニット(2)の前記システム状態を監視し、エラー状態が発生した際には前記制御装置(1)の少なくとも1つのユニットを停止する安全装置(15)が割り当てられ、
前記安全装置(15)は、前記電圧調整モジュール(7)に依存せずに、前記エネルギー貯蔵器(6)に接続され又は接続可能であることを特徴とする、方法。」


第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は理解の便のため当審で付与した。
「【実施例1】
【0018】
図1は、本発明における第1の実施例を示している。
【0019】
車載に搭載される電子制御装置は、イグニッションスイッチ3がオン操作され、イグニッションスイッチ情報4より、駆動回路5はメインリレー7を駆動するために、駆動信号6をハイ出力し、メインリレー7を駆動し、リレー接点をオンさせ、バッテリ電圧2を電圧生成部8に供給し、各デバイスに電圧を供給する。
【0020】
電圧供給され、半導体集積回路9では、電圧監視部17でパワーオンを検出し、サブマイクロコンピュータ11や半導体集積回路9にパワーオンリセット制御を行う。リセット生成部15は、電圧監視部17の情報を基に、メインマイクロコンピュータ10にパワーオンリセット制御を行う。
【0021】
起動したメインマイクロコンピュータ10は、外部から入力された情報を不揮発性メモリに書き込まれているプログラムに従って内部演算処理部19(CPU)で演算処理をし、演算処理結果を基にシリアル通信信号線26a,26bを介して半導体集積回路9とシリアル通信する。
【0022】
また、メインマイクロコンピュータ10は、イグニッションスイッチ情報4によりイグニッションスイッチ3の状態を把握することができ、ソフトウェア処理中に、イグニッションスイッチ3の操作により、電圧生成停止により異常終了を防ぐために、メインマイクロコンピュータ10からレギュレータ制御信号31をハイ出力し、メインリレー7をコントロール制御することが可能になり、イグニッションスイッチ3の操作がオフされた場合、ソフトウェアは終了処理を行い、レギュレータ制御信号31をロウ出力し、駆動回路5は、駆動信号6をロウ出力し、メインリレー7の駆動解除を行い、リレー接点をオフさせ、バッテリ電圧2の供給を停止し、電圧生成部8を停止させる。
【0023】
メインマイクロコンピュータ10とサブマイクロコンピュータ11は、相互のフェイルセーフを監視するフェイルセーフ監視部21,24を備えており、両マイクロコンピュータ同士で通信することによってフェイルセーフを相互監視する。どちらかのマイクロコンピュータがもう一方のマイクロコンピュータに異常発生と判定している際、フェイルセーフリレー制御信号線22,25を介してフェイルセーフリレーを遮断することによって車載用電子制御装置から特定機能の出力動作をマスクする。
【0024】
サブマイクロコンピュータ11は、相互監視により、メインマイクロコンピュータ10に異常と判断した場合、半導体集積回路9へ制御レジスタ初期化信号29を出力する。
【0025】
半導体集積回路9は、メインマイクロコンピュータ10とシリアル通信することによってメインマイクロコンピュータ10からの情報を制御レジスタ13にラッチし、ラッチした情報を基に対応した駆動部12a,12b,…を制御することによって車載用電子制御装置の出力を制御する。また、メインマイクロコンピュータ10から出力制御されるウォッチドッグタイマクリアパルス28が入力される時間間隔を計測するウォッチドッグタイマ16を備えており、ウォッチドッグタイマ16にウォッチドッグタイマクリアパルス28が一定時間入力されずに設定された時間に達した場合、メインマイクロコンピュータ10に対してメインマイクロコンピュータ初期化信号27を出力制御することによってメインマイクロコンピュータ10を初期化させ、再起動を行う。
【0026】
更に、半導体集積回路9は、相互監視により、サブマイクロコンピュータ11がメインマイクロコンピュータ10に異常発生と判断し、メインマイクロコンピュータ10から制御された制御レジスタ13を初期化するために、サブマイクロコンピュータ11から出力された制御レジスタ初期化信号29によって、制御レジスタ13へ初期化制御を行う。また、リセット生成部15は、異常状態に陥ったメインマイクロコンピュータ10を正常復帰させるために、メインマイクロコンピュータ10に対しても初期化を行い、正常動作に復帰させる手法を用いることにより、特殊なルーチン状態や、不明な制御状態の継続,各種機能回路の異常状態,異常制御による機能破壊、更に、異常情報を他の電子制御装置に通知して異常処理を引き起こす原因から防ぐことが可能となり、より高いフェイルセーフ機能を有する車載用電子制御装置を提供することが可能となる。
【0027】
図2は、第1の実施例におけるタイミングチャートを示している。
【0028】
時間t1で、メインマイクロコンピュータ10に異常が発生し、ウォッチドッグタイマクリアパルス28は正常に処理されているが、特殊なルーチンに陥り、メインマイクロコンピュータ10とサブマイクロコンピュータ11間の相互通信によって、サブマイクロコンピュータ11がメインマイクロコンピュータ10を異常と判定した時間t4で、サブマイクロコンピュータ11は制御レジスタ初期化信号29を出力制御する。制御レジスタ初期化信号29と同期してメインマイクロコンピュータ初期化信号27も制御されるため、メインマイクロコンピュータ10と制御レジスタ13が同時に初期化されるため、メインマイクロコンピュータ10が初期化処理状態にある間、制御レジスタ13は異常情報を保持せずに済む。
【0029】
時間t3でメインマイクロコンピュータ10が正常に復帰すると、時間t5でサブマイクロコンピュータ11は、メインマイクロコンピュータ10が正常状態にあると判定し、フェイルセーフリレー制御信号線25を解除することによってフェイルセーフリレーをオンし、以降、車載用電子制御装置は正常動作をすることになる。」





図1から、電圧生成部8は、バッテリ1とバッテリ電圧2を介して接続可能となっていることが見てとれる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「メインマイクロコンピュータ10と、
半導体集積回路9と、
を備えた電子制御装置であって、
前記電子制御装置は電圧生成部8を有し、前記電圧生成部8は、各デバイスへの電圧供給のために、一方では、バッテリ電圧2を介してバッテリ1と接続され、他方では、各デバイスと接続される、前記電子制御装置において、
前記電子制御装置は、前記メインマイクロコンピュータ10の状態を監視するサブマイクロコンピュータ11のフェイルセーフ監視部24を有し、前記電子制御装置のサブマイクロコンピュータ11のフェイルセーフ監視部24がメインマイクロコンピュータ10に異常発生と判定している際、フェイルセーフリレー制御信号線22,25を介してフェイルセーフリレーを遮断することによって車載用電子制御装置から特定機能の出力動作をマスクし、メインマイクロコンピュータ10が正常状態にあると判定した場合は、フェイルセーフリレー制御信号線25を解除することによってフェイルセーフリレーをオンする電子制御装置。」

2.引用文献2について
周知技術を示す文献として引用された上記引用文献2の段落【0001】、【0011】-【0013】及び第1図の記載からみて、当該引用文献2には、制御装置において、状態監視を行う安全装置の電源を、他の装置の電源とは異なる電源とするという技術的事項が記載されていると認められる。


第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明における「メインマイクロコンピュータ10」は、本願発明1における「演算ユニット」に相当する。同様に、「電子制御装置」は「制御装置」に、「半導体集積回路9」は「システム状態の制御のための装置」に、「電圧生成部8」は「電圧調整モジュール」に、「バッテリ1」は「エネルギー貯蔵器」に、「サブマイクロコンピュータ11の監視部24」は「安全装置」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「前記電子制御装置は、前記メインマイクロコンピュータ10の状態を監視するサブマイクロコンピュータ11のフェイルセーフ監視部24であって、前記電子制御装置のサブマイクロコンピュータ11がメインマイクロコンピュータ10に異常発生と判定している際、フェイルセーフリレー制御信号線22,25を介してフェイルセーフリレーを遮断することによって車載用電子制御装置から特定機能の出力動作をマスクし、メインマイクロコンピュータ10が正常状態にあると判定した場合は、フェイルセーフリレー制御信号線25を解除することによってフェイルセーフリレーをオンする」ことと、本願発明1の「前記装置は、前記電圧調整モジュール(7)による前記電圧供給及び前記演算ユニット(2)の前記システム状態を監視する安全装置(15)であって、前記制御装置(1)の少なくとも1つのユニットを停止及び/又は作動させるよう構成された前記安全装置(15)を有」することとを対比すると、両者は「前記装置は、前記演算ユニットの前記システム状態を監視する安全装置であって、前記制御装置の少なくとも1つのユニットを停止及び/又は作動させるよう構成された前記安全装置を有」することに限って一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「演算ユニットと、
システム状態の制御のための装置と、
を備えた制御装置であって、
前記装置は電圧調整モジュールを有し、前記電圧調整モジュールは、一方では、エネルギー貯蔵器と接続され又は接続可能である前記制御装置において、
前記装置は、前記演算ユニットの前記システム状態を監視する安全装置であって、前記制御装置の少なくとも1つのユニットを停止及び/又は作動させるよう構成された前記安全装置を有する、制御装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1では、「安全装置」が、「前記電圧調整モジュールによる前記電圧供給及び前記演算ユニットの前記システム状態を監視する」のに対し、引用発明では、「サブマイクロコンピュータ11のフェイルセーフ監視部24」が、「メインマイクロコンピュータ10の状態を監視する」ものの、電圧生成部8による電圧供給を監視していることについて記載されていない点。

(相違点2)本願発明1では、「前記安全装置(15)は、前記電圧調整モジュール(7)に依存せずに、前記エネルギー貯蔵器(6)に接続され又は接続可能である」のに対し、引用発明では、「サブマイクロコンピュータ11のフェイルセーフ監視部24」が電圧生成部8に依存せずに、バッテリ電圧2に接続されていることについて記載されていない点。

(相違点3)本願発明1では、「前記演算ユニットへの電圧供給」「のための装置」を有し、「電圧調整モジュール」が、「前記演算ユニットと接続される」のに対し、引用発明では、「電圧生成部8」が、「各デバイスへ電圧供給」を行うものの、メインマイクロコンピュータ10と接続されていたり、電圧供給を行っていることについて記載されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、引用発明及び引用文献2には、「安全装置」が、「前記電圧調整モジュールによる前記電圧供給及び前記演算ユニットの前記システム状態を監視する」という事項が記載されていない。そして、当該事項が電子制御装置の分野において一般的に周知技術とまでは言うことができない。
なお、引用文献1において、電圧監視部17がパワーオンの検出をする旨の記載はあるものの、これは半導体集積回路9に設けられるものであって、サブマイクロコンピュータ11の監視部24に設けられるものではなく、この電圧監視部17をサブマイクロコンピュータ11の監視部24に置く合理的な理由はない。
したがって、上記相違点2及び3について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2ないし11について
本願発明2ないし11は、本願発明1の特定事項の全てを含むものであって、上記相違点1ないし3と同じ相違点を有するものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-11は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-10 
出願番号 特願2014-89544(P2014-89544)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G05B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤島 孝太郎田村 耕作  
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 小川 悟史
栗田 雅弘
発明の名称 制御装置、駆動方法  
代理人 中西 基晴  
代理人 小野 新次郎  
代理人 鳥居 健一  
代理人 松尾 淳一  
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