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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65D
管理番号 1354890
審判番号 不服2018-16740  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-14 
確定日 2019-09-25 
事件の表示 特願2017-91036「改良されたクロージャー」拒絶査定不服審判事件〔平成29年8月31日出願公開、特開2017-149485、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年6月14日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-515978号の一部を、平成29年5月1日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、次のとおりである。
平成30年2月8日付け :拒絶理由通知
平成30年5月11日 :意見書及び手続補正書提出
平成30年8月6日付け :拒絶査定
平成30年12月14日 :本件審判請求

第2 原査定の概要
上記平成30年8月6日付け拒絶査定の理由の概要は次のとおり。
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明において、引用文献2に記載された「スペースリブ31」と「リブ延長部31a」とが繋がって延びている構造を適用して、「薄肉リブ20」と「滑り止め用ローレット15」とが繋がった構造とすることで、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願の特許請求の範囲の請求項2及び3に係る各発明は、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2005-112390号公報
2.米国特許出願公開第2009/0301986号明細書
3.特表2011-505302号公報

第3 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」?「本願発明3」という。)は、上記平成30年5月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3にそれぞれ記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
上壁部分、および該上壁部分から垂れ下がる環状スカート部分を有する一体クロージャーキャップを備えた関連する容器用のプラスチッククロージャーであって:
該環状スカート部分が、関連する容器の雄ねじ形成部に係合するための少なくとも1つの雌ねじ形成部を有し、該クロージャーキャップの該上壁部分が中央部および中央部を囲む環状の外側部分を含み、
該環状の外側部分には該中央部につながる少なくとも1つの上り階段を含む複数の階段状区域が周囲方向に間隔を空けて設けられ、これら各階段状区域の間には、クロージャーの剛性および耐衝撃性を強化するために、該上壁部分の周囲から該階段状区域を越えて該中央部へ延びる複数の強化用ナールが周囲方向に間隔を空けて設けられており、
前記の環状スカート部分が、該スカート部分の外面に複数の周囲方向に間隔を空けて垂直に延びる把握用のナールを規定し、前記強化用のナールが該把握用のナールから上方向でかつ内側に延びている、
該プラスチッククロージャー。
【請求項2】
前記の各強化用のナールが、前記上壁部分の該中央部に向かう方向で内側に先細る楔型形状を有する、請求項1に記載のクロージャー。
【請求項3】
前記のクロージャーキャップの前記スカート部分が、該スカート部分の内面に沿って軸方向に延びる複数の周囲方向に間隔を空けたガス通気溝を規定する、請求項1に記載のクロージャー。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された本願優先日前に頒布された刊行物である特開2005-112390号公報には、次の記載がある。

「【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
落下衝撃によりキャップと容器口部との間の密封性が損なわれるのを抑制するという目的を、最良の形態として以下の各実施例に具体的に示すように、キャップの外面側で天板部からスカート部に移行するコーナー部分の付近に、スカート部の上端部から天板部の頂面の領域にまで入り込むように衝撃吸収部を形成するということで実現した。
【実施例1】
【0012】
本実施例のキャップは、例えば、高密度ポリエチレンやポリプロピレン等の比較的剛性の高い合成樹脂を材料として射出成形や圧縮成形により一体成形される合成樹脂製のキャップであって、図1に示すように、キャップ1には、天板部11の周縁から下方に垂下するスカート部12の内面側に雌ネジ13が形成されており、スカート部12の下端に、不正使用防止(ピルファープルーフ)の機能を果たすために、破断可能な弱化部を介して離脱可能なようにピルファープルーフバンド14が一体的に設けられている。
【0013】
また、キャップ1のスカート部12の外面には、滑り止め用のローレット15が形成されており、キャップ1の天板部11の内面(下面)には、容器口部(図示せず)との間の密封性を確保するための密封部として、図3に示すように、容器口部の内面に当接する環状プラグ16が一体的に垂設されていると共に、容器口部の上端外縁部分に当接する環状小突起17とアウターリング18が、環状プラグ16と同心円状に一体的に形成されている。
【0014】
そして、そのようなキャップ1の外面側で、天板部11からスカート部12に移行するコーナー部分の付近に、スカート部12の上端部から天板部11の頂面の領域にまで入り込むように、衝撃吸収部として、天板部11の半径方向に沿って延びる多数の薄肉リブ20が放射状に一体成形されている。
【0015】
そのようにキャップ1のコーナー部分から天板部11の頂面の周辺部分にかけて薄肉リブ20による衝撃吸収部が形成されていることにより、当該部分が接地面に衝突するように容器が落下されても、落下衝撃により薄肉リブ20が変形して衝撃を吸収することで、天板部11の内面に形成された密封部まで衝撃が伝わり難いため、衝撃により密封部が変形して密封性が損なわれるのを抑制することができる。なお、衝撃吸収部として薄肉リブ20をキャップ1の本体部分に一体成形していることで、生産効率良く衝撃吸収部を形成することができる。
【0016】
衝撃吸収部として形成されている薄肉リブ20については、キャップ1の本体部分(天板部11やスカート部12)に一体成形されて、スカート部12の上端部から天板部11の頂面の周辺部にまで入り込み、上端面が天板部11の頂面と同一面となるように、天板部11の半径方向に沿って延びているものであるが、具体的には、例えば、図2に示すように、キャップ1の天板部11の頂面の周辺部で円周方向に沿って等間隔で放射状に30個形成しており、図3に示すようなキャップ軸方向での高さHが0.9mm、キャップ外周縁からの半径方向の長さLが2.4mmで、図4に示すようなキャップ周方向での幅Wが0.4mmとなるようにしている。
【0017】
この薄肉リブ20の具体的な形状や数については、容器の内容量やキャップの大きさ等によって適宜変更されるが、例えば、300?500mlの内容量を有する飲料容器においては、キャップ周方向の幅は、0.2mm?1.0mmが適当であり、キャップ軸方向の高さは、衝撃を吸収する上で、0.5mm?2.0mmであることが好ましく、また、衝撃吸収部の上端面を天板部の頂面から多少突出するように形成しても良いが、突出させ過ぎると、材料を余分に使用する上、美感を損ない、さらに、キャップの成形や搬送に支障をきたす虞があるため、衝撃吸収部の上端面の高さは、天板部頂面と同程度の高さから、天板部頂面からの2.0mm程度突出した高さまでの範囲であることが好ましい。
【0018】
また、薄肉リブ20が延びる方向については、半径方向以外にも、円周方向やそれ以外の方向であっても良いが、本実施例のように薄肉リブ10を天板部11の半径方向に延ばしていることで、容器を中心軸線が垂直方向から傾いた角度で落とした場合に、その容器の傾いた角度の傾きの程度に関係なく、落下衝撃を効果的に吸収することができ、また、金型でキャップを成形する際にも、金型内の薄肉リブを成形する部分での溶融樹脂の流れ性を良くして、キャップの成形性を良好なものにすることができる。」
「【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のキャップの一実施例(実施例1)について右半分を断面にして示す部分断面側面図。
【図2】図1に示したキャップの上面図。
【図3】図1に示したキャップにおける衝撃吸収部(薄肉リブ)の付近を部分的に拡大して示す断面図。
【図4】図1に示したキャップにおける衝撃吸収部(薄肉リブ)の付近を部分的に拡大して示す上面図。
・・・
【0031】
1 キャップ
11 天板部
12 スカート部
16 環状プラグ(密封部)
17 環状小突起(密封部)
18 アウターリング(密封部)
20 薄肉リブ(衝撃吸収部)
21 合成樹脂材(衝撃吸収部)」

「【図1】?【図4】



【図1】には、スカート部12が、天板部11の周囲から下方へ垂れ下がって、天板11の下方の空間を周方向に囲んでいることの図示があるから、スカート部12は、環状であるといえる。
また、【図1】より天板部11の周辺部には、複数の中央部よりも低い段差部が、間隔を空けて設けられていることが看取できる。
引用文献1に記載されたキャップは、雌ネジ13によって、容器に取り付けられるから、当該容器はどのようなものであっても良いわけではなく、当該雌ネジ13と螺合できる雄ネジを備えたものであるという、何らかの関連がある容器であるから、引用文献1に記載された「容器」は、雌ネジ13ト係合可能な雄ネジを備えたキャップと関連する容器であるといえる。
【図1】?【図4】の図示及び段落【0015】の記載から、天板部11は、薄肉リブ20による衝撃吸収部が形成されている環状の周辺部と、当該周辺部により囲まれている中央部を有するものであるといえる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「天板部11、及び該天板部11から垂れ下がる環状のスカート部12を有する一体成形されたキャップを備えた容器用の合成樹脂製のキャップであって、
該環状のスカート部12が、関連する容器の雄ネジに係合するための少なくとも1つの雌ネジ13を有し、該キャップの該天板部11が中央部及び中央部を囲む環状の周辺部を含み、
該環状部分の外側部分には該中央部につながる少なくとも1つの中央部よりも低い段差部が周囲方向に間隔を空けて設けられ、これら各階段状区域の間には、キャップの耐衝撃性を強化するために、該天板部分11の周囲から該階段状区域を越えて該中央部へ延びる複数の薄肉リブ20が周囲方向に間隔を空けて設けられており、
該前記環状のスカート部12が、該スカート部12の外面に複数の周囲方向に間隔を空けて垂直に延びる滑り止め用のローレット15を規定する、
該合成樹脂製のキャップ。」

2.引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された本願優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2009/0301986号明細書には、以下の事項が記載されている。なお、訳文は当審で付した仮訳である。

「[0044] In this embodiment, the outer peripheral portion 6 is a cylindrical fillet segment defined by the outer periphery of the top wall 2 . As shown in FIG. 3 , the outer peripheral portion 6 has radial cross-section that provides a substantially orthogonal bend leading to the upper end of the side wall 3 . The outer peripheral portion 6 has a plurality of equispaced rib extensions 31a provided on its outer surface. The spacing, width and depth of the rib extensions 31a at the axially facing terminal edge of the bend are substantially the same as the spacing, width and depth of the ribs 31 which protrude from the side wall 3 . The width and depth of the rib extensions 31a both decrease toward the radially facing terminal edge of the bend to merge with the thickness of the fillet segment.」
(この実施形態では、外周部6は、上壁2の外周によって規定される円筒形の隅セグメントであり、図3に示すように、外周部6は、側壁3の上端にほぼ直角方向の湾曲部を提供する半径方向断面を有している外周部6は、その外表面に設けられて等間隔に配置されたリブ延出部31aを有している。曲部の軸方向に向いた端縁のリブ延長部31aの間隔、幅、およびブ延長部31aの深さは、側壁3から突出するリブ31の幅および深さと実質的に同じであるリブの延長部31aの幅および深さは、曲げ部の半径方向に向いた端縁に向かって減少させ、フィレット部の厚さと同化している。)

「[0050] The side wall 3 is connected to, and integrally formed with, the outer peripheral portion 6 of the top wall 2 along the axially facing terminal edge of the outer peripheral portion 6 such that the rib extensions 31a coincide with the ribs 31 so as to provide an uninterrupted extension thereof. The outer peripheral portion 6 provides a smooth transition between the top wall 2 and the side wall 3 . The tamper evidence band 4 is frangibly connected to the bottom of the side wall 3 by the bridging elements 41 , which are integrally formed therewith.」
(側壁3は、延長部31aはリブ31とが一致するように接続されており、一体形成され、外周部6の軸方向に向いた端縁に沿って頂壁2の外周部6がその中断されない延長を提供することができる。外周部6は、頂壁2と側壁3との間の滑らかな移行を提供する。不正開封証拠バンド4は、ブリッジ要素41と一体に形成されていることにより、側壁3の底部に接続している。)

「FIGURE 1


FIGURE 3



第5 対比・検討
1.本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明との対比
引用発明の「天板部11」、「環状のスカート部12」、「一体成形されたキャップ」及び「合成樹脂製のキャップ」は、本願発明1の「上壁部分」、「環状スカート部分」、「一体クロージャー」及び「プラスチッククロージャー」に、それぞれ相当する。
引用発明の「雄ネジ」、「雌ネジ13」、「中央部」及び「周辺部」は、本願発明の「雄ねじ形成部」、「雌ネジ形成部」、「中央部」及び「外側部分」に、それぞれ相当する。
引用発明の「段差部」は、本願発明1の「上り階段」を含む「階段状区域」に、それぞれ相当する。
引用発明の「薄肉リブ20」及び「滑り止め用のローレット15」は、本願発明1の「強化用ナール」及び「把握用ナール」に、それぞれ相当する。
さらに、段落【0015】の記載から、薄肉リブ20は、耐衝撃性を強化するためのものであるといえる。そして天板11に薄肉リブ20を設けることで、キャップの剛性が強化されることは技術常識である。

そうすると、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致し、かつ、相違する。

<一致点>
「上壁部分、および該上壁部分から垂れ下がる環状スカート部分を有する一体クロージャーキャップを備えた関連する容器用のプラスチッククロージャーであって:
該環状スカート部分が、関連する容器の雄ねじ形成部に係合するための少なくとも1つの雌ねじ形成部を有し、該クロージャーキャップの該上壁部分が中央部および中央部を囲む環状の外側部分を含み、
該環状の外側部分には該中央部につながる少なくとも1つ中央部よりも低い段差部が周囲方向に間隔を空けて設けられ、これら各階段状区域の間には、クロージャーの剛性および耐衝撃性を強化するために、該上壁部分の周囲から該階段状区域を越えて該中央部へ延びる複数の強化用ナールが周囲方向に間隔を空けて設けられており、
前記の環状スカート部分が、該スカート部分の外面に複数の周囲方向に間隔を空けて垂直に延びる把握用のナールを規定している、
該プラスチッククロージャー。」

<相違点>
本願発明の「強化用ナール」は、「把握用ナールから上方向でかつ内側に延びている」ものであるのに対し、引用発明の「薄肉リブ20」は、「滑り止め用ローレット15」から上方へかつ内側に延びているものではない点。

(2)<相違点>についての検討
ア.本願発明は、「強化用ナール」を、「把握用ナールから上方向でかつ内側に延びている」ように配置することにより、「クロージャーの剛性及び衝撃耐性を望ましく強化する。」(本願明細書の段落【0014】)ものである。

イ.一方、引用発明の「ローレット15」は、「キャップ1のスカート部12の外面」に設けたものであって、「滑り止め用」(引用文献1の段落【0013】)である。
また、引用発明の「薄肉リブ20」は、上記第4の1.に摘記したように、「キャップ1のコーナー部分から天板部11の頂面の周辺部分にかけて薄肉リブ20による衝撃吸収部が形成されていることにより、当該部分が接地面に衝突するように容器が落下されても、落下衝撃により薄肉リブ20が変形して衝撃を吸収することで、天板部11の内面に形成された密封部まで衝撃が伝わり難いため、衝撃により密封部が変形して密封性が損なわれるのを抑制することができる。なお、衝撃吸収部として薄肉リブ20をキャップ1の本体部分に一体成形していることで、生産効率良く衝撃吸収部を形成することができる。」(段落【0015】)という作用を奏するものであって、「この薄肉リブ20の具体的な形状や数については、容器の内容量やキャップの大きさ等によって適宜変更されるが、例えば、300?500mlの内容量を有する飲料容器においては、キャップ周方向の幅は、0.2mm?1.0mmが適当であり、キャップ軸方向の高さは、衝撃を吸収する上で、0.5mm?2.0mmであることが好ましく、また、衝撃吸収部の上端面を天板部の頂面から多少突出するように形成しても良いが、突出させ過ぎると、材料を余分に使用する上、美感を損ない、さらに、キャップの成形や搬送に支障をきたす虞があるため、衝撃吸収部の上端面の高さは、天板部頂面と同程度の高さから、天板部頂面からの2.0mm程度突出した高さまでの範囲であることが好ましい。」(段落【0017】)ものである。
そして、【図2】の上面図を見ると、「ローレット15」及び「薄肉リブ20」の個数やキャップ1の半径方向の長さが相違することが看取できる。さらに、【図3】の断面図を見ると、「ローレット15」及び「薄肉リブ20」のキャップの面からの高さが異なることが看取できる。

ウ.ここで、引用文献2を見ると、上記第4の2.に摘記したように、「側壁3の上端にほぼ直角方向の湾曲部を提供する半径方向断面を有している外周部6」には、「リブ延出部31a」が設けられ、「延長部31aはリブ31とが一致するように接続されており、一体形成され、外周部6の軸方向に向いた端縁に沿って頂壁2の外周部6がその中断されない延長を提供することができる。外周部6は、頂壁2と側壁3との間の滑らかな移行を提供する」ように、機能するものである。そして、「リブ延長部31aの深さは、側壁3から突出するリブ31の幅および深さと実質的に同じである」(段落[0044])。しかし、引用文献2には、「リブ延長部31a」が剛性や衝撃耐性を強化させることを意図するものとは記載されていないし、むしろ、リブ31とリブ延長部31aの幅と深さを実質的に同じとし、「外周部6は、頂壁2と側壁3との間の滑らかな移行を提供する。」と記載されていることからすると、リブ延長部31aは、外周部6を人が持ちやすいようにリブ31から延長されたものと理解するのが相当である。
そうすると、引用文献2には、リブ延長部31aが記載されているものの、それが、キャップの剛性及び衝撃耐性を向上させるために設けられるものではないから、引用発明のものに、剛性及び衝撃耐性を強化させるために、引用文献2のものを採用しようとする動機付けはない。
仮に、引用発明のキャップの把持性を向上させるために、引用文献2のリブ31とリブ延長部31aの構成を採用するとしても、引用文献2のものは、リブ31を上方向に延長するものだから、引用発明に適用した場合には、ローレット15を上方向に延長することとなる。しかし、その延長した部分と天板部11の周辺部分の薄肉リブ20とは形状も個数も異なるから、個々のローレット15から上方向に延長し、さらに内側に延ばしたものは、間隔を空けて設けられる補強用の薄肉リブ20とは異なるものとなるから、引用発明に引用文献2のものを適用することには阻害事由が存在するといえる。

エ.本件発明1は、上記<相違点>に係る構成を備えたことにより、「上壁部分12の剛性-対-重量比を最大にするように望ましく作用し、最小重量で頂上荷重下の関連する容器との密閉を保護するために必要な上昇した剛性を提供」(本願明細書段落【0032】)し、「所定の開封トルクのために消費者の手に掛かる力を最小にすることにより、クロージャーの人間工学の質も高める」(本願明細書段落【0033】)という格別な作用効果を奏する。

オ.以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明、並びに、引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

2.本願発明2及び3について
上記1.に示したとおり、本願発明1は、引用発明及び引用文献2及び3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そうすると、本願発明1の特定事項の全てを引用し、さらに構成上限定された発明である本願発明2及び3も、引用発明並びに引用文献2及び3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 まとめ
以上のとおり、本願は原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-11 
出願番号 特願2017-91036(P2017-91036)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮崎 基樹  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 横溝 顕範
久保 克彦
発明の名称 改良されたクロージャー  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  
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