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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B23K
審判 全部申し立て 2項進歩性  B23K
管理番号 1354915
異議申立番号 異議2018-700972  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-30 
確定日 2019-07-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6335308号発明「アルミニウム複合材料のフラックスフリー接合」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6335308号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-15について訂正することを認める。 特許第6335308号の請求項1ないし2、4ないし8、11ないし12に係る特許を維持する。 特許第6335308号の請求項3、9、10及び13ないし15に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6335308号の請求項1-15に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)12月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年12月13日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成30年5月11日にその特許権の設定登録がされ、平成30年5月30日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年11月30日に特許異議申立人株式会社UACJ(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、平成31年2月6付け(平成31年2月8日発送)で取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和元年5月9日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、特許異議申立人は、令和元年6月18日に意見書を提出した。

2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のア-チのとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「- H_(2)SO_(4)、HCl、HF又はH_(3)PO_(4)の群からの少なくとも1種類の鉱酸若しくはギ酸とフッ化物、シトラート、オキサラート又はホスファートの群からの少なくとも1種類の錯形成剤、又は
- HF20ppmから3重量%若しくはH_(3)PO_(4) 0.1%から20重量%の群由来の錯化鉱酸
を含有する酸洗浄水溶液」
とあるのを、
「- 0.1%から20重量%のH_(2)SO_(4)、20ppmから1000ppmのHF及び少なくとも1種類の界面活性剤
を含有する酸洗浄水溶液」
に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2-7も同様に訂正する。)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に
「請求項1?3の何れか一項に記載」
とあるのを、
「請求項1又は2に記載」
に訂正する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に
「請求項1?4の何れか一項に記載」
とあるのを、
「請求項1、2又は4の何れか一項に記載」
に訂正する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に
「請求項1?5の何れか一項に記載」
とあるのを、
「請求項1、2、4又は5の何れか一項に記載」
に訂正する。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に
「請求項1?6の何れか一項に記載」
とあるのを、
「請求項1、2、4、5又は6の何れか一項に記載」
に訂正する。

キ 訂正事項7
明細書の段落【0011】に
「- 少なくとも1種類の鉱酸若しくは短鎖カルボン酸の群の少なくとも1種類の酸と少なくとも1種類の錯形成剤、又は
- 少なくとも1種類の錯化鉱酸。」
とあるのを、
「- 0.1%から20重量%のH_(2)SO_(4)、20ppmから1000ppmのHF及び少なくとも1種類の界面活性剤。」
に訂正する。

ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に
「前記アルミニウム複合材料が、H_(2)SO_(4)、HCl、HF又はH_(3)PO_(4)の群からの少なくとも1種類の鉱酸若しくはギ酸とフッ化物、シトラート、オキサラート又はホスファートの群からの少なくとも1種類の錯形成剤又はHF20ppmから3重量%若しくはH_(3)PO_(4) 0.1%から20重量%の群由来の錯化鉱酸を含む洗浄水溶液で洗浄される」
とあるのを、
「前記アルミニウム複合材料が、0.1%から20重量%のH_(2)SO_(4)、20ppmから1000ppmのHF及び少なくとも1種類の界面活性剤を含む洗浄水溶液で洗浄される」
に訂正する。

ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項8に
「請求項1?7の何れか一項に記載」
とあるのを、
「請求項1、2、4、5、6又は7の何れか一項に記載」
に訂正する。

コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

シ 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項11に
「請求項8?10の何れか一項に記載」
とあるのを、
「請求項8に記載」
に訂正する。

ス 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項12に
「請求項8?11の何れか一項に記載」
とあるのを、
「請求項8又は11に記載」
に訂正する。

セ 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項13を削除する。

ソ 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項14を削除する。

タ 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項15を削除する。

本件訂正請求は、一群の請求項〔1-15〕に対して請求されたものである。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1-15〕について請求されたものである。

なお、訂正請求書には訂正事項17が記載されているが、訂正事項7と同一の内容であるので、改めて列挙はしない。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
訂正事項1は、「酸洗浄水溶液」の含有成分を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、限定された成分は、明細書の段落【0012】、【0027】、【0034】に記載されており、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 訂正事項2、10、11及び14-16
訂正事項2は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 訂正事項3-6、9、12及び13
訂正事項3-6は、引用先を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 訂正事項7
訂正事項7は上記訂正事項1及び後述の訂正事項8に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

オ 訂正事項8
訂正事項8は、訂正事項1と同様の訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-15〕について訂正することを認める。

3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1-15に係る発明(以下「本件発明1-15」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-15に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、前記アルミニウムコア合金の片側又は両側に形成されたアルミニウムろう付け合金からなる少なくとも1個の外側ろう付け層とからなる、熱接合法におけるアルミニウム複合材料の使用であって、前記アルミニウムろう付け層が酸洗浄面を有し、前記アルミニウム複合材料がフラックスフリー熱接合法に使用され、前記接合法が保護性ガスの存在下で実施される使用であって、
前記アルミニウムろう付け層の前記洗浄面が、
- 0.1%から20重量%のH_(2)SO_(4)、20ppmから1000ppmのHF及び少なくとも1種類の界面活性剤
を含有する酸洗浄水溶液で洗浄されたことを特徴とし、
前記洗浄における材料の除去が0.05g/m^(2)から6g/m^(2)である、
使用。
【請求項2】
前記アルミニウム複合材料がフラックスフリーCABろう付け法に使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
アルミニウムコア合金としてタイプAA1xxx、AA2xxx、AA3xxx、AA5xxx又はAA6xxxのアルミニウム合金が用意され、前記アルミニウムコア合金のMg含有量が各場合において最高1.0重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
前記アルミニウムろう付け合金が重量%単位の以下の組成、すなわち、
6.5%≦Si≦15%、
Fe≦1%、
Cu≦0.3%、
Mg≦2.0%、
Mn≦0.15%、
Zn≦0.15%、
Ti≦0.30%、
残りのAl、及び個々に最高0.05%の量、合計して最高0.15%の不可避不純物、
を有することを特徴とする、請求項1、2又は4の何れか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記アルミニウム複合材料が、前記洗浄前に軽く焼きなまし、再焼きなまし、又は固溶化焼きなましされたことを特徴とする、請求項1、2、4又は5の何れか一項に記載の使用。
【請求項7】
少なくとも1個のアルミニウムろう付け合金層の平均厚さが少なくとも10μmであることを特徴とする、請求項1、2、4、5又は6の何れか一項に記載の使用。
【請求項8】
少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、前記アルミニウムコア合金の片側又は両側に形成されたアルミニウムろう付け合金からなる少なくとも1個の外側ろう付け層とからなる、特に請求項1、2、4、5、6又は7の何れか一項に記載の使用のための、帯状アルミニウム複合材料を製造する方法であって、帯状アルミニウム複合材料が圧延接合又は同時鋳造とそれに
続く圧延によって製造され、前記帯状アルミニウム複合材料の前記アルミニウムろう付け層が次いで酸洗浄溶液で洗浄される方法において、
前記アルミニウム複合材料が、0.1%から20重量%のH_(2)SO_(4)、20ppmから1000ppmのHF及び少なくとも1種類の界面活性剤を含む洗浄水溶液で洗浄されることを特徴とし、前記洗浄における材料の除去が0.05g/m^(2)から6g/m^(2)である、
方法。
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】
前記洗浄溶液中の前記帯状アルミニウム複合材料の滞留時間が1から20秒、好ましくは2から8秒であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記洗浄溶液の温度が40℃から80℃であることを特徴とする、請求項8又は11に記載の方法。
【請求項13】(削除)
【請求項14】(削除)
【請求項15】(削除)」

4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1-15に係る特許に対して、当審が平成31年2月6付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
ア 請求項1-15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到することができたものである。よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
イ 請求項3-15に係る特許は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)甲号証の記載
甲第1号証(特開平7-164139号公報)には、段落【0001】、【0005】、【0007】、【0010】及び【0012】-【0015】の記載からすると、次の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。
「アルミニウム合金A3003と、前記アルミニウム合金A3003の両側に形成された、Al-10%Siからなる外側ろう付け層とからなる、ブレージング用アルミニウムクラッド材を用いたろう付け方法であって、前記外側ろう付け層が弗化水素水溶液による処理面を有し、前記ブレージング用アルミニウムクラッド材がフラックスを使用しないろう付け方法に使用され、前記ろう付けは窒素雰囲気ろう付けである、ろう付け方法であって、
前記外側ろう付け層の前記処理面が、
5.0%のH_(2)SO_(4)と1.0%のHFを含有する、弗化水素水溶液で、40℃の温度で1分間処理されるものである、ろう付け方法。」

(3)当審の判断
ア 特許法第29条第2項について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、本件発明1が「20ppmから1000ppmのHF」及び「界面活性剤」を含有するのに対して、甲1発明は「1.0%のHF」を含有する点で少なくとも相違する。
ここで、甲第1号証の請求項2には「0.01%?40%の濃度の弗化水素」と記載されている。そうすると、20ppmから1000ppmは、%に換算すると0.002%?0.1%となり、数値上は0.01%?0.1%の範囲で重複する。
しかしながら、甲第1号証には、0.01%?0.1%の範囲で実施した実施例は存在せず、HFだけをみても0.5%?2%の実施例しか存在しない。
してみると、甲第1号証の「0.01%?40%」という記載に接した当業者が、実施例を無視して、あえて下限値近傍の「0.01%?0.1%」を選択して実施するという動機付けがあったものとは認められない。
国際公開第2013/164466号、甲第5号証(特公昭53-28245号公報)には、界面活性剤を添加する旨が記載されている。そして、甲第5号証においてはH_(2)SO_(4)やHFの濃度についても記載されている。しかしながら、界面活性剤を用いればHFの濃度を少なくすることができるという技術思想が示されているわけでもなく、甲第5号証の技術をろう付けに用いることが技術常識とまではいえないので、やはり、甲1発明において、HFの濃度を低くする動機付けがあったものとは認められない。
したがって、界面活性剤の添加の容易性について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 特許法第36条第6項第1号について
請求項3に記載された事項が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨を通知したが、訂正により、請求項3が削除されたため、当該取消理由は解消した。

ウ 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、本件発明1と甲1発明とは、数値範囲が重複するから、相違点ではない旨主張しているが、上記アのとおりであり、例えば、先行文献に0-100%との記載があるからといって、後願の数値限定が全て排除できるものではないことは明らかであるから、特許異議申立人のかかる主張は、採用することができない。
また、特許異議申立人は、界面活性剤の添加について主張しているが、上記アのとおり界面活性剤を添加することで、容易性を否定しているわけではない。

さらに、特許異議申立人は、記載要件違反として「界面活性剤」及び「洗浄における材料の除去」の量について言及しているが、どちらも明細書に記載されており、技術常識を勘案すると明らかに発明として成り立たない範囲が含まれているともいうことはできない。すなわち、例えば酸洗浄水溶液の濃度が変化すれば除去量が変化することは、技術常識として理解できるところ、6g/m^(2)が、技術常識から外れていることの説明がなされているわけでもないので、特許異議申立人のかかる主張は、採用することができない。

5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、サポート要件違反及び明確性要件違反を主張しているので、順次検討する。
(1)請求項1、2、7、8、11、12
訂正前の請求項1及び8の記載は、不明瞭ともいえなくもない記載は存在したものの、訂正により、特許異議申立人が主張する、サポート要件違反及び明確性要件違反は解消した。

(2)請求項3、9、10、13-15
訂正により削除されたので、サポート要件違反及び明確性要件違反はない。

(3)請求項4、5
請求項の記載を実施例のみに限定しなければならない理由はないので、実施例以外の態様が含まれることをもってサポート要件違反とすることはできない。

(4)請求項6
「軽く」という文言が記載されているからといって技術的に理解することができないとまではいうことはできない。

したがって、特許異議申立人の主張は、採用することができない。

6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし2、4ないし8、11ないし12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし2、4ないし8、11ないし12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項3、9、10及び13ないし15に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項3、9、10及び13ないし15に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アルミニウム複合材料のフラックスフリー接合
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、アルミニウムコア合金の片側又は両側に形成されたアルミニウムろう付け合金からなる少なくとも1個の外側ろう付け層とからなるアルミニウム複合材料の使用に関し、アルミニウムろう付け層は洗浄面を有し、アルミニウム複合材料はフラックスフリー熱接合法に使用され、接合法は保護性ガスの存在下で実施される。本発明は、少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、アルミニウムコア合金の片側又は両側に形成されたアルミニウムろう付け合金からなる少なくとも1個の外側ろう付け層とからなる帯状アルミニウム複合材料を製造する方法にも関し、帯状アルミニウム複合材料は、圧延接合又は同時鋳造とそれに続く圧延によって製造され、アルミニウムろう付け層は、次いで、酸性洗浄水溶液で洗浄される。最後に、本発明は、アルミニウム合金からなる構造部品の熱接合法にも関し、アルミニウム複合材料は、少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、アルミニウムコア合金の片側又は両側に形成されたアルミニウムろう付け合金からなる少なくとも1個の外側ろう付け層を含む。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、アルミニウムコア合金の片側又は両側に配置された少なくとも1個のアルミニウムろう付け層とからなるアルミニウム複合材料が、ろう付け構築物の製造に使用される。ろう付け構築物は、例えば熱交換器の場合のように、複数のろう付け点を有することが多い。この目的のために、種々のろう付け法が、ろう付け金属構造部品に使用される。最も一般的な方法の一つは、いわゆる「制御雰囲気ろう付け(CAB:controlled Atmosphere Brazing)法」であり、アルミニウム構造部品は、概して、フラックスを用いてろう付けされ、ろう付けプロセス中に不活性ガス雰囲気、例えば、窒素雰囲気に曝される。別の熱接合法もフラックスを使用し、やはり保護性ガスの存在下でアルミニウムろう付け材料を軟化させる。しかし、腐食性又は非腐食性フラックスの使用は、欠点、例えば、高プラントコスト、及びフラックス残渣と例えば熱交換器における冷却剤添加との相互作用に関する技術的問題がある。さらに、フラックスの使用は、環境影響の回避及び労働安全性面に関しても問題になる。最後に、CAB法においては、マグネシウムは不活性ガス雰囲気下のろう付け性に悪影響を及ぼすので、Mg含有コア合金の使用が問題になる。さらに、ろう付けされた構造部品は、変色による影響を受ける場合もある。特許文献1から、さらに、アルミニウムろう付け層が第1のアルミニウムろう付け層及び第2のアルミニウムろう付け層からなるCAB法によるフラックスフリーろう付け法が知られている。第2のアルミニウムろう付け層は、5重量%?20重量%ケイ素に加えて0.01重量%?3重量%マグネシウムも含むAl-Siアルミニウム合金からなる。一方、第1のアルミニウムろう付け合金は、2重量%?14重量%ケイ素及び0.4重量%未満のマグネシウムを含む。しかし、アルミニウムろう付け層の二層構造は、二層アルミニウムろう付け層の製造に必要なコストが高くなるので不満足である。
【0003】
さらに、例えば純アルミニウムのクラッディングが外側にある、現行の二層構造の重大な欠点は、その使用がフラックスに合わない可能性があることである。例えば、炉の雰囲気が一時的に悪化し、雰囲気中の酸素分圧又は含水量が高すぎたために、ろう付けが不十分になると、例えばフラックスの使用によって、補うことができない。
【0004】
しばしば使用される第2の方法は真空ろう付けであり、ろう付けされる構造部品は、極低圧、例えば、約10^(-5)mbar以下の雰囲気でろう付けされる。真空ろう付けは、フラックスなしでも実施することができるが、通常は、ろう付けの結果をより良好にするために、ある量のマグネシウムをアルミニウムろう付け材料に添加する。Mg含有ろう付け材料の使用は、更なる負の効果を伴い、例えば、日常の頻繁な炉の清掃が必要になる。真空ろう付けは、さらに、装置要件の点で極めて複雑であり、したがってコストがかさむ。特許文献2、3及び4から、真空ろう付け法における、又はCAB法におけるフラックスと一緒の、アルカリ洗浄アルミニウム複合材料の使用が知られている。
【0005】
一方、特許文献5は、アルミニウムコア合金とアルミニウムろう付け合金層からなるアルミニウム複合材料が、硝酸とフッ化水素酸の混合物を含む酸性洗浄溶液で洗浄され、次いで真空ろう付けによってろう付けされる方法を記載している。この米国特許明細書は、従来のろう付け法についても述べているが、これらは、概して、減圧下で実施されない限り、フラックスの使用を特徴とする。さらに、フラックスを用いたろう付けのためのアルミニウムろう付け合金が特許文献6に開示されている。
【0006】
本出願人の特許文献7は、実際に、フラックスフリー熱接合法における酸洗浄アルミニウム複合材料の使用の原理を開示している。しかし、更なる詳細は開示されていない。
【0007】
特許文献8には、アルミニウム構造部品がアルカリ又は酸溶液で洗浄され、次いでフラックスフリーろう付けによって接合される方法も開示されている。
【0008】
特許文献9は、酸性洗浄後に成形オイルで被覆された指定Mg、Bi及びBe含有量のアルミニウムろう付け合金に関する。成形オイルを除去後、次いで、合金を不活性ガス雰囲気中でフラックスフリーろう付けすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2010/000666(A1)号
【特許文献2】特開平4-100696号
【特許文献3】特開平4-100674号
【特許文献4】特開平5-154693号
【特許文献5】米国特許第5,102,033号明細書
【特許文献6】国際公開第98/45082号
【特許文献7】国際公開第2013/164466(A1)号
【特許文献8】米国特許第3,779,839号
【特許文献9】特開平11-285817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この背景に対して、本発明の目的は、コストの更なる削減及び環境影響の低減をもたらす、熱接合法におけるアルミニウムろう付け層を有するアルミニウム複合材料の使用を提案することである。さらに、アルミニウム複合材料を製造する方法、熱接合法、及び熱接合構築物も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の教示によれば、上記目的は、以下を含有する酸洗浄水溶液を用いてアルミニウムろう付け層の洗浄面が洗浄されたアルミニウム複合材料の使用によって達成される。
- 0.1重量%から20重量%のH_(2)SO_(4)、20ppmから1000ppmのHF及び少なくとも1種類の界面活性剤。
ここで、洗浄における材料の除去が0.05g/m^(2)から6g/m^(2)、好ましくは0.1g/m^(2)から1g/m^(2)、特に好ましくは0.2g/m^(2)から0.4g/m^(2)であり、アルミニウム複合材料がフラックスフリー熱接合法に使用され、接合法が保護性ガスの存在下で実施される。
【0012】
好ましくは、鉱酸として、例えば、0.1%?20重量%の量のH_(2)SO_(4)、0.1%?20重量%の量のH_(3)PO_(4)、0.1%?10重量%の量のHCl、及び更に20ppm?3%の量のHF、又は鉱酸の組合せが使用される。錯化鉱酸としては、好ましくは20ppmから3重量%、20ppmから1000ppm又は20ppmから600ppm、特に好ましくは300ppmから600ppm又は300ppmから480ppmの量のHF、並びに0.1%?20重量%の量のH_(3)PO_(4)が使用される。特に好ましい組合せは、0.5%?2重量%の量のH_(2)SO_(4)、並びに20ppmから480ppmの量のHFからなる。
【0013】
ギ酸が、好ましくは、短鎖カルボン酸として使用される。錯形成剤としては、例えば、フッ化物が20ppmから3重量%、好ましくは20ppm?1000ppm又は20ppm?600ppm、特に好ましくは300ppm?600ppm又は300ppm?480ppmの量で使用される。実験では、特に、最高300ppm?600ppm、好ましくは300ppm?480ppmの濃度のフッ化物の使用が、工業的環境において迅速に表面処理するために十分であることが示された。
【0014】
これまで知られていたこととは反対に、今回、少なくとも1種類の鉱酸若しくは短鎖カルボン酸の群の少なくとも1種類の酸を錯形成剤と組み合わせて用いて、又は錯化鉱酸を用いて、アルミニウムろう付け層を洗浄することによって、アルミニウムろう付け層の表面一貫性(独:Oberflaechenbeschaffenheit,英:surface consistency)を得ることができ、保護性ガスの存在下での熱接合プロセスにおいて、これは、フラックスを必要とせずに優れたろう付け性又は熱接合性を有することが見いだされた。ここで重要なことが、0.05g/m^(2)から6g/m^(2)、好ましくは0.1g/m^(2)から1g/m^(2)、特に好ましくは0.2g/m^(2)から0.4g/m^(2)の量の材料の除去と、洗浄溶液による錯体形成との組合せである限り、結果は驚くべきものである。鉱酸は、洗浄中の材料の対応する除去をもたらし、これは、保護性ガス又は不活性ガス雰囲気下のフラックスフリー熱接合用表面を調製するのに必要である。錯形成剤と併せた材料の除去は、アルミニウムろう付け層の特定の表面構造をもたらし、フラックスを使用せずに、保護性ガス下でその後のろう付けを可能にすると考えられる。材料の除去が例えば0.05g/m^(2)未満であると、ろう付け結果は不十分なものにしかならない。6g/m^(2)を超える材料の除去は、ろう付け性に影響せず、製造時の材料損失が不必要に多くなる。これは、さらに、材料の除去を1g/m^(2)又は0.4g/m^(2)に削減することによって、減少させることができる。少なくとも0.05g/m^(2)の材料の除去によって、ろう付け性が確実に改善され、帯状加工によって良好なろう付け結果が得られる。材料の除去が最高0.4g/m^(2)であると、ろう付け性のプロセス信頼性が高くなり、材料の除去の不必要な増加がなくなる。
【0015】
これらの結果は、錯化鉱酸単独でも、例えば、20ppmから3重量%の量のHF、又は0.1重量%から20重量%の量のH_(3)PO_(4)などでも、材料の除去を適切に調節して得ることができる。この場合、好ましくは20ppmから1000ppm又は20ppmから600ppm、特に好ましくは300ppmから600ppm又は300ppmから480ppmのHFが使用される。表面清浄度に関する高い要求のためにこれまで減圧下でしかろう付けできなかった構造部品を、将来、フラックスフリーでより費用効果の高いCAB法でも接合できることも今回のこの発明によって可能である。
【0016】
例えば、アルミニウム複合材料を、好ましくは、フラックスフリーCAB法に使用することができる。CAB法は、ろう付け相手の加熱プロセスが、制御された不活性ガス雰囲気下で、特に主として酸素及び大気水分を排除して、実施されることを特徴とする。
【0017】
使用する鉱酸の有効性は、一実施形態によれば、さらに、アルミニウムろう付け層の表面を洗浄前又は洗浄中に脱脂すると更に高くなり得る。
【0018】
アルミニウム複合材料の使用の更なる一展開によれば、アルミニウム複合材料の表面を鉱酸と錯形成剤としてのフッ化物で前もって洗浄した。フッ化物は、保護性ガス下でのフラックスフリーろう付け又は熱接合に関して特に良好な結果を達成可能にすることが見いだされた。これは、とりわけ、中心原子としてのアルミニウムと組み合わせたフッ化物が、極めて高い錯生成定数を有し、したがって合金成分を溶液中に直接運ぶことに起因する。
【0019】
アルミニウムろう付けプロセスにおける表面が適切に酸洗浄されたアルミニウム複合材料の使用は、例えば、アルミニウムコア合金として、タイプAA1xxx、AA2xxx、AA3xxx、AA5xxx又はAA6xxxのアルミニウム合金が用意され、該アルミニウムコア合金のMg含有量が各場合において最高1.0重量%であると、更に改善される。保護性ガス下の熱接合に今回使用することができるアルミニウムコア合金のために、特にMg含有アルミニウムコア合金のためにも、ろう付け構築物の使用領域の範囲がかなり広くなった。特に、例えば、Mg含有量が最高1.0重量%の合金タイプAA5xxx、AA6xxxなど、ろう付けが困難であるMg含有アルミニウム合金も、別の一実施形態によれば、保護性ガス下でのフラックスフリー熱接合法で接合することができる。
【0020】
本発明の更なる一展開によれば、アルミニウムろう付け合金は、重量%単位の以下の組成、すなわち、
6.5%≦Si≦15%、
Fe≦1%、
Cu≦0.3%、
Mg≦2.0%、
Mn≦0.15%、
Zn≦0.15%、
Ti≦0.30%、
残りのAl、及び個々に最高0.05%、合計して最高0.15%の不可避不純物、
を有する。
【0021】
アルミニウムろう付け合金として、好ましくは、例えば、タイプAA4343、AA4045又はAA4047のアルミニウムろう付け合金を使用する。上記仕様を満たすすべてのアルミニウムろう付け合金に共通しているのは、それらがアルミニウムコア合金よりも融点が低く、その結果、ろう付けされる構造部品をアルミニウムコア合金の固相線温度よりも低い温度に加熱すると、アルミニウムろう付け層が液体又は少なくとも部分的に液体になることである。しかし、アルミニウムコア合金は溶融しない。アルミニウムろう付け合金のSi含有量は、好ましくは7.5重量%から13重量%、特に好ましくは8.5重量%から13重量%、又は10重量%から13重量%である。
【0022】
後続の使用におけるアルミニウム複合材料の機械的性質を確保するために、更なる一展開によれば、これらを洗浄前又は後に固溶化焼きなまし、軽く焼きなまし、又は再焼きなましする。
【0023】
経済的に大規模に製造することができるアルミニウム複合材料は、アルミニウム複合材料を同時鋳造又は圧延接合によって製造する場合に提供することができる。同時鋳造又は圧延接合の代替として、アルミニウムろう付け層を溶射によって塗布することも可能である。しかし、最初に言及される変形形態は、アルミニウム複合材料の製造に大きな工業規模で現在使用されている方法であり、鋳造材料は、種々のアルミニウム合金層間のそのかなりの濃度勾配のために、圧延接合材料の離散的な層組成物とは異なる。圧延接合においては、層間でわずかな拡散過程しか起こらない。
【0024】
好ましくは、少なくとも1個のアルミニウムろう付け合金層の平均厚さが少なくとも10μmであることを特徴とするアルミニウム複合材料を使用する。構造部品の形状が適切であると、平均厚さが少なくとも10μmであるアルミニウムろう付け合金層は、特に信頼でき、良好なろう付け結果が得られ、通常、ろう付け接合部の強度が十分であることが見いだされた。それぞれのろう付け層の厚さは、複合材料の全厚の好ましくは5%から25%、好ましくは10%から20%である。
【0025】
さらに、表面処理においては、例えば、成形助剤の塗布などの更なるプロセスステップを同時に組み合わせる可能性があり、したがってアルミニウム複合材料を使用すると更なるプロセスステップが削減される。
【0026】
本発明の第2の教示によれば、上記目的は、アルミニウム複合材料が、少なくとも1種類の鉱酸若しくは短鎖カルボン酸の群の少なくとも1種類の酸と少なくとも1種類の錯形成剤又は少なくとも1種類の錯化鉱酸を含む酸洗浄水溶液(独:waessrigen Beizloesung,英:aqueous picking solution)で洗浄されることを特徴とし、洗浄における材料の除去が0.05g/m^(2)から6g/m^(2)、好ましくは0.1g/m^(2)から1g/m^(2)、特に好ましくは0.2g/m^(2)から0.4g/m^(2)である、帯状アルミニウム複合材料、特に本発明に従って使用されるアルミニウム複合材料を製造する方法によって達成される。
【0027】
アルミニウム複合材料は、例えば、H_(2)SO_(4)、HCl、HF又はH_(3)PO_(4)の群からの少なくとも1種類の鉱酸と錯形成剤を含む洗浄溶液で洗浄することができる。鉱酸としては、0.1から20重量%の量のH_(2)SO_(4)、0.1から20重量%の量のH_(3)PO_(4)、0.1%から10重量%の量のHCl、又は20ppmから3%、好ましくは20ppmから1000ppm若しくは20ppmから600ppm、特に好ましくは300ppmから600ppm若しくは300ppmから480ppmの量のHF、又は上記鉱酸の組合せを使用することができる。あるいは、錯形成鉱酸としては、20ppmから3%、好ましくは20ppmから1000ppm若しくは20ppmから600ppm、特に好ましくは300ppmから600ppm若しくは300ppmから480ppmの量のHF、さらに0.1%から20重量%の量のH_(3)PO_(4)を使用することができ、又は少なくとも1種類の錯形成剤と一緒に、短鎖カルボン酸の群由来の少なくとも1種類の酸、例えば、ギ酸を含む。プロセスにおいては、良好なろう付け結果を得るための要点は、0.05g/m^(2)から6g/m^(2)、好ましくは0.1g/m^(2)から1g/m^(2)、特に好ましくは0.2g/m^(2)から0.4g/m^(2)の材料の十分な除去と、洗浄溶液による錯体形成との組合せであることが見いだされた。
【0028】
既に述べたように、それは、特に、後続の熱接合中に、特にフラックスを使用せず、熱接合が保護性ガス下で実施される場合も、ろう付け相手の極めて良好な濡れ性が得られるように、アルミニウムろう付け合金層の表面を調整することができる鉱酸と錯形成剤、例えば、キレート化化合物の組合せである。鉱酸の濃度は、通常、4未満のpH値、好ましくは0から3のpH値を生じるべきである。
【0029】
好ましくは、アルミニウム複合材料を洗浄中又は洗浄前に脱脂媒体で脱脂する。このようにして、錯形成剤と併せた鉱酸の有効性を更に高めることができる。
【0030】
別の一実施形態によれば、フッ化物、シトラート、オキサラート又はホスファートを錯形成剤として使用する。錯形成剤の濃度は、好ましくは20ppmから3重量%フッ化物、好ましくは20ppmから1000ppm又は20ppmから600ppm、特に好ましくは300ppmから600ppm又は300ppmから480ppm、0.001%から10重量%シトラート、特に好ましくは0.5%から5重量%シトラート、0.001%から5重量%オキサラート、さらに0.005%から40重量%ホスファートである。原則的には、錯形成テルペンも使用することができる。良好なろう付け結果を得るために、別のキレート化化合物及び錯形成化合物、例えば、錯滴定に使用される典型的な薬剤を使用することもできるが、通常は、経済的及び生態学的理由により許容されない。
【0031】
特に、錯化鉱酸HFは、フルオロアルミナートの錯生成定数が高いため、後で説明するように、極めて低濃度で既にろう付け結果に対する効果が大きく、短い洗浄処理でも既に保護性ガス下でのフラックスフリーろう付けにおいて良好なろう付け結果をもたらす。
【0032】
上記方法の別の一実施形態によれば、洗浄溶液中の鉱酸の濃度は、以下の範囲である。
H_(2)SO_(4):0.1%から20重量%、
H_(3)PO_(4):0.1%から20重量%、
HCl:0.1%から10重量%、
HF:20ppmから3重量%。
【0033】
その技術的可能性にかかわらず、より高い濃度は、経済的又は生態学的理由により許容されない。さらに、上記濃度の鉱酸H_(2)SO_(4)とHFの組合せは、ろう付け結果が特に良好であることが見いだされた。特に好ましい組合せは、0.5から2重量%の量のH_(2)SO_(4)と、好ましくは20ppmから1000ppm又は20ppmから600ppm、特に好ましくは300ppmから600ppm又は300ppmから480ppmの量のHFからなる。
【0034】
場合によっては、アルミニウム複合材料の表面を脱脂し、同時に洗浄溶液の洗浄作用の均一性及び速度を高めるために、少なくとも1種類の界面活性剤を洗浄水溶液に添加する。
【0035】
上記濃度の鉱酸は、pH値を低下させることによって、アルミニウムろう付け合金層の表面が攻撃されるようにする。錯形成剤は、上記鉱酸濃度において、溶解した合金成分が高度に水溶性であり、その程度まで反応部位から確実に除去されるようにする。場合によっては存在する界面活性剤のために、存在し得る有機コーティングが表面から除去され、アルミニウム帯板表面が脱脂される。この結果、洗浄作用が有機表面コーティングによって局所的に阻害されず、したがって極めて高い均一性で起こる。
【0036】
上記方法の更なる一展開によれば、洗浄溶液は更にHNO_(3)を含む。HFの有効性は、硝酸HNO_(3)及び別の鉱酸との組合せによって更に高めることができ、より少量のHFを使用してろう付け結果を改善することができる。HNO_(3)の濃度は、好ましくは0.1重量%から20重量%である。
【0037】
洗浄溶液中の帯状アルミニウム複合材料の滞留時間は、1から20秒、好ましくは2から8秒であり、例えばアルミニウム帯板全体を表面処理することができる、経済的に実現可能な表面処理ステップを実施することができる。
【0038】
洗浄溶液の温度が40℃から85℃である場合、このようにして試薬の反応性が更に増加するので、処理時間を更に短縮することができる。温度が85℃を超えると、加工速度が大きく増加しない追加の対策が必要になる。したがって、好ましい温度範囲は50℃から60℃である。
【0039】
本発明の第3の教示によれば、上記目的は、アルミニウム複合材料の本発明による使用におけるアルミニウム合金の構造部品の熱接合法であって、アルミニウム複合材料が、少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、アルミニウムコア合金の片側又は両側に形成されたアルミニウムろう付け合金からなる少なくとも1個の外側ろう付け層とを含み、アルミニウムろう付け層が、本発明による方法によって洗浄された表面を有し、アルミニウム複合材料がフラックスフリー熱接合法で接合され、接合法が保護性ガスの存在下で行われる、方法によって達成される。保護性ガス、例えば窒素の使用のために、液体ろう付け材料表面の酸化膜の形成が防止される。酸化膜は、融点がかなり高く、その結果、ろう付けプロセスが妨げられる。表面が鉱酸と錯形成剤の混合物又は錯化鉱酸で洗浄された酸洗浄面を有するアルミニウム複合材料の本発明による使用における保護性ガスを用いた熱接合においては、フラックスを使用しなくても高品位のろう付け結果が得られることが見いだされた。これは、特に単層構造のアルミニウムろう付け層を用いては、これまで不可能であった。
【0040】
したがって、少なくとも第1及び第2の熱接合部品を含む、上記方法によって製造された熱接合構築物も特に有利であり、該部品の少なくとも1個は、アルミニウムろう付け層を有するアルミニウム複合材料を含み、アルミニウム複合材料の少なくとも1個のアルミニウムろう付け層は、本発明による方法によって洗浄された表面を有し、保護性ガスの存在下でフラックスなしで生成された熱接合域は、第1の部品と第2の部品の間にある。フラックスを用いない保護性ガス下の熱接合の特に有利な点は、ろう付け後にフラックス残渣が構造部品の表面に残らないことである。特に、使用フラックスの残渣の存在が問題になる用途では、フラックスを使用しないことが望ましい。さらに、従来のCABプロセスにおいては構造部品表面にフラックスを塗布する必要があり、フラックス塗布場所において全表面が確実にフラックスに接触可能であるように注意しなければならないので、構造部品の形状が制限される。これは、形状の複雑さを大きく制限する。これは、フラックスフリープロセスではもはや当てはまらない。さらに、フラックスのコスト及びフラックス塗布後の乾燥ステップの運転費を全般的に回避することができる。
【0041】
好ましくは、熱接合法の更なる一展開によれば、本発明によるアルミニウム複合材料の使用によって製造された少なくとも1個のシート又はチューブをフラックスフリーCABろう付け法で接合する。既に述べたように、CABろう付け法は、特に経済的な方法であり、ろう付け接合部位は、アルミニウムろう付け材料が溶融する前に保護性ガスで完全に覆われる。特に多数のろう付け部位を有する熱交換器又は他の構造部品のろう付けにおけるアルミニウム複合材料の使用においては特に利点があり、本発明に従って使用されるアルミニウム複合材料の濡れ性によって、ろう付けによる接合溶接部のフラックスフリー製造におけるプロセス信頼性がかなり向上することが有利である。
【0042】
本発明を図面と併せて例示的実施形態を用いて以下により詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】アルミニウム複合材料のろう付け性を判定するためのろう付け実験形状の斜視図である。
【図2】ろう付け実験形状の側面図である。
【図3】アルミニウム複合材料の本発明による使用を含むろう付けされた例示的一実施形態の写真である。
【図4】a)及びb)はMg含有アルミニウムコア合金を用いたろう付け構築物の例示的一実施形態の光学顕微鏡法横断面図である。
【図5】帯状アルミニウム複合材料の製造方法の例示的一実施形態の模式的断面図である。
【図6】熱交換器の形の本発明によるろう付け構築物の例示的一実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
アルミニウム複合材料の本発明による使用の利点を調べるために、図1の斜視図に示したように、特定のろう付け実験配置で多数の実験を実施した。原則的には、ろう付け実験配置は、合計3個の部品、すなわちシート1、角度シート(独:Winkelblech,英:angle sheet)2及び角度シート2用支持シート3からなる。角度シート2は、その閉端2aがシート1上に配置された支持シート3上に置かれている。他方、両アーム端2bはシート1上にあり、図2の側面図に示したように、角度シート2のアーム端2bの支点から支持シート3上の閉端2aの支点まで変化する間隙が形成されている。ろう付け接合部クリアランス又は間隙4は、角度シートの角度端2bから閉端2aまで次第に大きくなる。ろう付け接合部クリアランス4が大きくなるので、シート1のアルミニウム複合材料のろう付け性が、異なる表面処理でどの程度変化するか評価することができる。特に、ろう付け結果においては、用意したろう付け間隙の濡れを、(1)極めて良好から(6)不満足まで評価し、それに関連して、ろう付けネックの出現と一緒に間隙の充填能力が特に関係した。ろう付け接合部クリアランスのほぼ完全な濡れ及び広範なろう付けネックを示した実験を極めて良好(1)と評価した。構造部品がろう付けされない実験を不満足(6)と評価した。
【0045】
シート1は、本例示的実施形態においては、圧延接合アルミニウムろう付け合金層を含むそれぞれの試験アルミニウム複合材料からなる。角度小片2のアームの長さは、各場合において50mmであり、角度シートの開口角度は35度であった。支持シート3の厚さは1mmであり、角度シートの閉端からアーム端までの高さの差は1mmである。角度シート2の厚さは一定に維持され、各場合において0.6mmであった。角度シート2及び支持シート3は、アルミニウムろう付け層がない。
【0046】
一般に、ろう付け能力は、ろう付け可能な材料の使用のほかに、常に、構造部品の設計、例えば、形状、間隙サイズなど、更に炉雰囲気にも依存する。ここで、雰囲気の酸素分圧及び含水量がある役割を果たす。示したろう付け結果は、窒素気流下のバッチ炉で実施された。これらのろう付け結果は、トンネル炉を用いた工業生産運転でも得られた。
【0047】
L1で示されたろう付け実験においては、2枚の異なる圧延接合シートを調べた。第1のシートVは、タイプAA3005のアルミニウムコア合金層、並びに片面にめっきされたタイプAA4045のアルミニウムろう付け合金層、及び反対側にめっきされたタイプAA1050のアルミニウム合金の外側アルミニウム合金層を有する。シートVの全厚は1.5mmであり、めっきアルミニウム合金層の厚さは、アルミニウムろう付け合金層が平均112μm、反対側のタイプAA1050の圧延接合アルミニウム合金層が平均82μmであった。
【0048】
第2の検査材料Rも同様にタイプAA3005のアルミニウム合金からなるコアからなり、その両側にタイプAA4045のアルミニウムろう付け合金層が圧延接合された。シートRの全厚は0.5mmであり、アルミニウムろう付け合金層の厚さは平均して各場合において57μm、全厚の約11.5%である。
【0049】
次いで、シートを以下の6種類の洗浄溶液で処理した。室内実験配置のための処理時間は10秒から300秒であった。洗浄水溶液組成物を以下のように調製した。
番号1:0.73重量%H_(2)SO_(4)、HF:300から400ppm、界面活性剤
番号4:HNO_(3) 13重量%、HCl:12.5重量%、HF:2.2重量%
番号6:HNO_(3) 25重量%
番号7:H_(3)PO_(4) 10重量%
番号8:クエン酸10重量%
番号9:H_(3)PO_(4) 5重量%、クエン酸:5重量%
【0050】
表1に示した実験をそれぞれシートV及びシートRを用いて実施し、ろう付け接合部クリアランス4の湿れ長さ及びろう付けネックの幅に対応するろう付け結果を評価した。ろう付けに関して、図1に示した実験配置に対応する試料をバッチ炉でろう付け温度595℃から610℃で6分間加熱し、フラックスなしでろう付けした。
【0051】
驚くべきことに、表2からわかるように、良好なろう付け結果を得るのに2つの条件を満たさなければならないことが判明した。まず第一に、ある洗浄除去がなされなければならず、したがって表2からわかるように、洗浄除去のない又はほぼない試料L1-5及びL1-6又はL1-11からL1-14は、ろう付け結果が極めて悪かった。しかし、ろう付け能力は、単に洗浄除去に基づいて予測することはできず、例えば、作用時間が短く、洗浄除去の少ない試料L1-3及びL1-4でもL1-1及びL1-2に比べてろう付け結果が良好である。
【0052】
しかし、鉱酸と錯形成剤の組合せ、例えば、番号1、4、9などを使用すると、ろう付け結果に有意差が見られる。さらに、ろう付け結果によれば、フルオロアルミナート自体の錯生成定数が高いため、鉱酸と併せた極少量の錯形成剤HFでも、フラックスのないCAB法において極めて良好なろう付け結果を得るのに十分である。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
HFだけでなくH_(3)PO_(4)及びクエン酸も、ろう付け結果からすぐにわかるように、アルミニウムに対して錯形成性を有する。H_(3)PO_(4)は、スコア2及び3の良好?満足なろう付け結果であった。反応時間120及び300秒の5%リン酸と5%クエン酸の組合せは、既に良好なろう付け結果を示した。さらに、表2からわかるように、0.01g/m^(2)又は0.03g/m^(2)の材料の除去は、良好なろう付け結果を得るには不十分であることが判明した。少なくとも0.05g/m^(2)の材料が除去された実験、例えば、0.54g/m^(2)のL1-4によれば、少なくとも0.05g/m^(2)の材料が対応して除去され、錯形成剤を使用すれば、極めて良好なろう付け結果を得ることができる。
【0056】
アルミニウムに対するシュウ酸の錯形成性のために、シュウ酸と鉱酸の組合せが同様に良好なろう付け結果を生じると考えられる。
【0057】
さらに、表2の実験結果からわかるように、アルミニウムろう付け合金の層厚が51μm及び112μmの場合、ろう付け結果に関して差は見られない。したがって、これから、構造部品の設計及び炉雰囲気の品質に応じて、25μm及び30μmを超えるろう付け層厚さで極めて良好なろう付け結果が得られると考えられる。
【0058】
図3においては、洗浄溶液、番号4で処理した例示的実施形態L1-4は、極めて良好なろう付け結果が得られたことを示している。見てわかるとおり、角度シート2と角度シート1の間のろう付け接合部クリアランス4のほぼ全体が濡れた。
【0059】
図4a)及び図4b)は、タイプAA3005のアルミニウムコア合金材料と、各場合において両側に付与されたタイプAA4045のアルミニウムろう付け合金とからなる、CAB法でフラックスフリーろう付けされた更なる一例示的実施形態の横断面の光学顕微鏡画像である。図4b)からわかるように、本例示的実施形態においては、アルミニウム材料自体がろう付けされた。図4a)においては、Mg含有コアにもかかわらず、コア合金のMg含有量は0.3重量%であり、重なり接合部(独:Ueberlappstosses,英:overlap joint)の領域にろう付けされた継ぎ目が極めてきれいに形成されているのが極めて明瞭に見られる。Mg含有アルミニウムコア合金は、これまで、CAB法においてはフラックスフリー形式では困難を伴ってしかろう付けできなかった。
【0060】
同様の極めて良好な結果は、例えば、コア合金層としてタイプAA6063のアルミニウム合金を用い、平均厚さ約100μmのタイプAA4045の片面アルミニウムろう付け合金層がクラッディングとしてコア合金層に施された場合にも得られた。さらに、アルミニウムろう付け合金クラッディングを有するタイプAA6063のアルミニウム合金は、フラックスフリーCAB法において本発明による方法で洗浄されたアルミニウムろう付け合金層と一緒に使用した場合に、極めて良好なろう付け結果を示した。
【0061】
さらに、洗浄溶液AからDを使用した更なる実験を実施した。これらの更なる実験では、目的は、HF含有量がろう付け結果に及ぼす影響の程度、及び洗浄による除去の程度が重要な因子であるかどうかを調べることであった。
【0062】
【表3】

【0063】
アルミニウム複合材料として、タイプAA3005のコア合金のアルミニウムコアと、両側にクラッディングとして施された平均厚さ約57μm、全厚の約11.5%のアルミニウム合金AA4045のアルミニウムろう付け合金層とを含む、厚さ0.5mmのタイプRのシートを使用した。
【0064】
一方、洗浄溶液Aは、単に硫酸及び界面活性剤を含み、錯形成剤、例えばHFは、洗浄溶液中に存在しなかった。他の洗浄溶液B、C及びDは、それぞれフッ化物を含み、含有量は450ppmから1000ppmに増加した。洗浄溶液Dは、1000ppmの量のHFしか含まなかった。
【0065】
図1の実験配置に対応して配置されたろう付け実験は、ドラム炉におけるものであった。結果としてろう付けされた継ぎ目の長さに基づいて不満足(6)から極めて良好(1)としてろう付け結果を表中にあるように前もって評価した。
【0066】
【表4】

【0067】
表4は、本発明による材料を用いたろう付け実験L2-2からL2-4が優れたろう付け結果を示し、洗浄時間が延びると、結果が良好から極めて良好に更に改善されたことを明瞭に示している。硫酸及び界面活性剤のみで処理したアルミニウム合金複合材料は、洗浄時間、すなわち洗浄による材料の除去とは無関係に、フラックスを使用せず、保護性ガス下で、窒素気流を用いてバッチ炉においてろう付けすると、ろう付け能力を示さなかった。6分間のろう付け実験におけるろう付け温度は、595℃から607℃の範囲であった。
【0068】
本例のように硫酸なしで、鉱酸のない場合とある場合のHFなどの錯形成剤の使用の差が明瞭に示された。洗浄溶液B及びCにおける鉱酸と錯形成剤の組合せは、極めて良好な結果を示し、450ppmから1000ppmの量に対応する結果はわずかしか異ならなかった。
【0069】
HFは、アルミニウムに対して酸と同時に錯形成剤としても作用するので、HFしか含まない洗浄溶液Dでも極めて良好なろう付け結果を得ることができるが、洗浄時間に左右されることが明白である。
【0070】
しかし、製造環境におけるHFの取扱いは厳格な安全対策を必要とするので、原則的には、洗浄溶液中のHFの量は、できるだけ低く維持すべきである。鉱酸との組合せは、したがって、HF濃度を最小化することができ、その結果、好ましくは20ppmから1000ppm又は20ppmから600ppm、特に好ましくは300ppmから600ppm又は300ppmから480ppmのHFを使用する。
【0071】
洗浄による材料の最小除去を求めるために、タイプRのシートに洗浄溶液を噴霧し、接触時間を変えた。材料の除去を測定後、ろう付け実験を実施し、ろう付け結果を上記のように評価した。結果を表5に示す。300ppmフッ化物及び0.73重量%硫酸を含有する水溶液を洗浄溶液として使用した。
【0072】
【表5】

【0073】
材料の除去が0.05g/m^(2)未満であると、ろう付け結果がかなり悪化することが明らかである。観察された最良のろう付け結果は、材料の除去が約0.3g/m^(2)から始まるものであった。
【0074】
図5は、帯状アルミニウム複合材料を製造する方法の例示的一実施形態を示す。製造ステップAにおいては、アルミニウム複合材料を異なる溶融物の同時鋳造又は圧延接合によって製造する。次いで、例えば、最終厚さまでの冷間圧延Bを実施することができ、冷間圧延中に、少なくとも1回の中間焼きなましを実施することができる。続いて、アルミニウム複合材料を、例えば、プロセスステップCにおいて軽く焼きなましする。プロセスステップDにおいては、少なくともアルミニウムろう付け合金層を表面処理する。次いで、プロセスステップDを帯状アルミニウム複合材料について説明する。
【0075】
コイル5に巻かれたアルミニウム複合材料を、場合によっては、脱脂ステップ6に供する。続いて、アルミニウム複合材料は、洗浄ステップ7を通過し、例えば、鉱酸のほかに錯形成剤も含む酸洗浄水溶液を含む浴を通過し、アルミニウムろう付け合金表面の材料の除去が起こる。好ましくは、浴は、10%から40%濃度の硫酸水溶液、場合によっては少なくとも1種類の界面活性剤及びHF含有量20ppmから600ppm、好ましくは300ppmから600ppm又は300ppmから480ppmからなる。
【0076】
水洗及び乾燥ステップ8の後、表面処理アルミニウム複合材料をコイル9に巻く。しかし、記述した表面処理ステップDは、連続炉を使用する限り、非細片材料(独:nicht bandfoermig,英:non-strip material)でも実施することができ、又は製造プロセスの出口、すなわち冷間圧延若しくは例えば軽い焼きなましの出口で直接実施することもできる。
【0077】
図6は、熱交換器10の形の本発明に従って熱接合された構築物の例示的一実施形態の平面図である。
【0078】
交換器10のフィン11は、通常、被覆されていないアルミニウム合金細片(独:blankem Aluminiumlegierungsband,英:blank aluminium alloy strip)、又は両側がアルミニウムろう付け材料で被覆されたアルミニウム合金細片からなる。フィン11は、蛇行パターンで管12にろう付け(独:geloetet,英:brazed)屈曲され(独:gebogen,英:bent)、多数のろう付け接合部が必要である。したがって、本発明によるアルミニウム複合材料を使用することが特に有利である。というのは、CAB法における特に良好なろう付け結果がフラックスを使用しなくても得られるからである。フラックス残渣がないことは、フラックスを用いてろう付けされた熱交換器に比べて、熱交換器の操作に正の効果がある。
【0079】
実験結果は、特に、洗浄が鉱酸と錯形成剤の組合せを用いて行われたアルミニウムろう付け合金層の酸洗浄面を有するアルミニウム複合材料の使用によって、保護性ガス下で実施されるフラックスフリー熱接合法、例えば、CABろう付け法において、そのろう付け能力に関連して極めて良好な諸性質が付与されることを示した。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、前記アルミニウムコア合金の片側又は両側に形成されたアルミニウムろう付け合金からなる少なくとも1個の外側ろう付け層とからなる、熱接合法におけるアルミニウム複合材料の使用であって、前記アルミニウムろう付け層が酸洗浄面を有し、前記アルミニウム複合材料がフラックスフリー熱接合法に使用され、前記接合法が保護性ガスの存在下で実施される使用であって、
前記アルミニウムろう付け層の前記洗浄面が、
- 0.1重量%から20重量%のH_(2)SO_(4)、20ppmから1000ppmのHF及び少なくとも1種類の界面活性剤
を含有する酸洗浄水溶液で洗浄されたことを特徴とし、
前記洗浄における材料の除去が0.05g/m^(2)から6g/m^(2)である、
使用。
【請求項2】
前記アルミニウム複合材料がフラックスフリーCABろう付け法に使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
アルミニウムコア合金としてタイプAA1xxx、AA2xxx、AA3xxx、AA5xxx又はAA6xxxのアルミニウム合金が用意され、前記アルミニウムコア合金のMg含有量が各場合において最高1.0重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
前記アルミニウムろう付け合金が重量%単位の以下の組成、すなわち、
6.5%≦Si≦15%、
Fe≦1%、
Cu≦0.3%、
Mg≦2.0%、
Mn≦0.15%、
Zn≦0.15%、
Ti≦0.30%、
残りのAl、及び個々に最高0.05%の量、合計して最高0.15%の不可避不純物、
を有することを特徴とする、請求項1、2又は4の何れか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記アルミニウム複合材料が、前記洗浄前に軽く焼きなまし、再焼きなまし、又は固溶化焼きなましされたことを特徴とする、請求項1、2、4又は5の何れか一項に記載の使用。
【請求項7】
少なくとも1個のアルミニウムろう付け合金層の平均厚さが少なくとも10μmであることを特徴とする、請求項1、2、4、5又は6の何れか一項に記載の使用。
【請求項8】
少なくとも1種類のアルミニウムコア合金と、前記アルミニウムコア合金の片側又は両側に形成されたアルミニウムろう付け合金からなる少なくとも1個の外側ろう付け層とからなる、特に請求項1、2、4、5、6又は7の何れか一項に記載の使用のための、帯状アルミニウム複合材料を製造する方法であって、帯状アルミニウム複合材料が圧延接合又は同時鋳造とそれに続く圧延によって製造され、前記帯状アルミニウム複合材料の前記アルミニウムろう付け層が次いで酸洗浄溶液で洗浄される方法において、
前記アルミニウム複合材料が、0.1重量%から20重量%のH_(2)SO_(4)、20ppmから1000ppmのHF及び少なくとも1種類の界面活性剤を含む洗浄水溶液で洗浄されることを特徴とし、前記洗浄における材料の除去が0.05g/m^(2)から6g/m^(2)である、
方法。
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】
前記洗浄溶液中の前記帯状アルミニウム複合材料の滞留時間が1から20秒、好ましくは2から8秒であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記洗浄溶液の温度が40℃から80℃であることを特徴とする、請求項8又は11に記載の方法。
【請求項13】(削除)
【請求項14】(削除)
【請求項15】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-06-28 
出願番号 特願2016-539157(P2016-539157)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B23K)
P 1 651・ 121- YAA (B23K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 竹下 和志  
特許庁審判長 栗田 雅弘
特許庁審判官 小川 悟史
平岩 正一
登録日 2018-05-11 
登録番号 特許第6335308号(P6335308)
権利者 ハイドロ アルミニウム ロールド プロダクツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
発明の名称 アルミニウム複合材料のフラックスフリー接合  
代理人 越川 隆夫  
代理人 越川 隆夫  
代理人 特許業務法人あいち国際特許事務所  
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