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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D04B
審判 全部申し立て 2項進歩性  D04B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  D04B
管理番号 1354933
異議申立番号 異議2019-700002  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-07 
確定日 2019-08-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6360532号発明「ビジネスシャツ用編地」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6360532号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕についての訂正を認める。 特許第6360532号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第6360532号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成28年9月16日を出願日とする特許出願であって、平成30年6月29日に特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:同年7月18日)がされたものであって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年1月7日:特許異議申立人櫻井芳晴(以下「申立人」と
いう。)による本件特許の請求項1?5に係る特許
に対する特許異議の申立て
平成31年3月25日付け:取消理由通知
令和元年5月17日:特許権者による意見書の提出及び訂正請求
(当該訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)
令和元年6月21日:申立人による意見書(以下「申立人意見書」という)
の提出


第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである。(訂正箇所に下線を付す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「【請求項1】
編地基本組織がニットループ数に対するウエルト数の比率を0.80?1.10とした柄組織からなるシングル編地であり、コース密度が40?100個/2.54cm、ウェール密度が30?80個/2.54cmであり、且つタテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。」
とあるのを、
「【請求項1】
柄組織からなるシングル編地であって、一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数の比率が0.80?1.10であり、コース密度が40?100個/2.54cm、ウェール密度が30?80個/2.54cmであり、且つタテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?5も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0009】に、
「【0009】
即ち、本発明は以下の(1)?(5)の構成を有するものである。
(1)編地基本組織がニットループ数に対するウエルト数の比率を0.80?1.10とした柄組織からなるシングル編地であり、コース密度が40?100個/2.54cm、ウェール密度が30?80個/2.54cmであり、且つタテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。
(2)単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むことを特徴とする(1)に記載のビジネスシャツ用編地。
(3)地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部が白色金属酸化物を0?0.5重量%含むポリエステル繊維からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載のビジネスシャツ用編地。
(4)地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部がカチオン染料可染性ポリエステル繊維からなることを特徴とする(1)?(3)のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地。
(5)(1)?(4)のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地を身頃に使用していることを特徴とするビジネスシャツ。」
とあるのを、
「【0009】
即ち、本発明は以下の(1)?(5)の構成を有するものである。
(1)柄組織からなるシングル編地であって、一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数の比率が0.80?1.10であり、コース密度が40?100個/2.54cm、ウェール密度が30?80個/2.54cmであり、且つタテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。
(2)単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むことを特徴とする(1)に記載のビジネスシャツ用編地。
(3)地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部が白色金属酸化物を0?0.5重量%含むポリエステル繊維からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載のビジネスシャツ用編地。
(4)地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部がカチオン染料可染性ポリエステル繊維からなることを特徴とする(1)?(3)のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地。
(5)(1)?(4)のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地を身頃に使用していることを特徴とするビジネスシャツ。」
に訂正する。

2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係るシングル編地が、「柄組織からなるシングル編地であって、一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数の比率が0.80?1.10」であることを明確にするためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書」という。)には、段落【0018】に「目的の柄を形成する例として、組織図でニット-ウエルトの編構造とウエルト比率を示す。図1にビザルカノコ(ウエルト/ニットループ比率=0.8)、図2に千鳥柄(ウエルト/ニットループ比率=0.9)、図3にチェック柄(ウエルト/ニットループ比率=0.26)、図4にドット柄(ウエルト/ニットループ比率=0.89)及び図5にタテストライプ柄(ウエルト/ニットループ比率=1.00)を示す。」と記載され、【図1】?【図5】に、一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数の比率が記載されていることから、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内においてするものである。
よって、新規事項を追加するものではなく、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の明細書の記載において、各請求項の発明特定事項を記載した箇所である段落【0009】の記載を、本件訂正後の請求項のものに整合させるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。そして、新規事項を追加するものではなく、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。さらに、訂正事項1に係る請求項1?5の全てについて訂正が請求されるものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。

(3)一群の請求項について
本件訂正は、訂正前の請求項1と、請求項1を直接あるいは間接に引用する請求項2?5について、訂正することを求めるものであるから、特許法第120条の5第4項に規定された一群の請求項毎に請求されるものである。

3.小括
上記2.(1)?(3)に示したとおり、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、本件訂正後の請求項[1?5]についての訂正を認める。


第3.本件特許発明
上記のとおり、本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1?5は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された、次のとおりのものである。(訂正特許請求の範囲の請求項1?5に係る発明を、以下「本件訂正発明1」等という。また、本件訂正発明1?5をまとめて「本件訂正発明」ということもある。)

「【請求項1】
柄組織からなるシングル編地であって、一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数の比率が0.80?1.10であり、コース密度が40?100個/2.54cm、ウェール密度が30?80個/2.54cmであり、且つタテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。
【請求項2】
単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のビジネスシャツ用編地。
【請求項3】
地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部が白色金属酸化物を0?0.5重量%含むポリエステル繊維からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のビジネスシャツ用編地。
【請求項4】
地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部がカチオン染料可染性ポリエステル繊維からなることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地。
【請求項5】
請求項1?4のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地を身頃に使用していることを特徴とするビジネスシャツ。」


第4.取消理由の概要
本件特許の請求項1?5に係る特許に対して、当審が特許権者に通知した平成31年3月25日付けの取消理由の要旨は、次のとおりである。

本件発明1は、引用発明1、並びに引用文献2及び3に記載された事項に基いて、本件発明2は、引用発明1、及び引用文献2?4に記載された事項に基いて、本件発明3?5は、引用発明1、並びに引用文献2?4に記載された事項、及び引用文献5に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

< 刊 行 物 一 覧 >
1.特開2013-104158号公報(甲第1号証)
2.特開2001-303403号公報(甲第2号証)
3.特願2016-99791号に係る特許第5994036号が平成28年8月26日に特許権の設定登録されたことにより閲覧可能となった出願書類(記載内容を特許第5994036号公報で参照する)(当審で提示する証拠)
4.特開2015-193940号公報(甲第3号証)
5.特開2006-328590号公報(甲第5号証)


第5.刊行物の記載
1.特開2013-104158号公報(甲第1号証)(以下「引用例1」という)
引用例1には、以下の記載がある。
(1)「【請求項1】
1インチ当たりのコースの数が50以上150以下であり、編成時にウエルトが含まれるシングル丸編地であって、
シンカーループ面において、ウエルトにより編目間で橋渡し状となる部分の間隔が1編目以上8編目以下である橋渡し部を有し、
目付が100g/m^(2)以上200g/m^(2)以下であり、肌面の吸水速度が3秒以下であり、表面と肌面の吸水拡散面積比が3倍以上であり、かつ拡散性残留水分率が10%以下になるまでの時間が45分以内であること
を特徴とするシングル丸編地。」

(2)「【請求項9】
請求項1?8のいずれか一項に記載のシングル丸編地を用いて縫製したことを特徴とするワイシャツ。」

(3)「【0006】
その一方で、上述したシングル丸編地は、形態安定性に乏しく、ボリューム感が無く、透けやすかった。また、上述したシングル丸編地は、生地の表裏が同一糸種で構成されるため、吸水した水分が生地の表裏で拡散されてしまい、発汗時のべとつき感が高かった。さらに、上述したシングル丸編地は、ハリコシが不足しているため仕立て映えが悪かった。このため、上述したシングル丸編地を、ビジネスシャツやドレスシャツ、カジュアルシャツなどのワイシャツ用の素材として適用することができなかった。」

(4)「【0031】
シングル丸編地1は、1インチ(2.54cm)当たりのコースの数が50以上150以下であることが好ましく、55以上145以下であればより好ましい。1インチ当たりのコースの数が50未満であると、生地が薄くなり、透け感が強くなる他、伸びがなくなる。また、1インチ当たりのコースが150より大きいと、目が詰まりすぎてふかつき感が強くなったり、通気性が低下したりする。
【0032】
シングル丸編地1は、1インチ当たりのウエルが40以上80以下であることが好ましく、45以上75以下であればより好ましい。1インチ当たりのウエルが40以下であると、コースの場合と同様、生地が薄くなり、透け感が強くなる。また、1インチ当たりのウエルが80より大きいと、目が詰まりすぎ、シャツ地に適さないふかつき感が強くなる。」

(5)「【0051】
図3は、以上の構成を有するシングル丸編地1を用いて縫製したワイシャツの構成を示す図である。同図に示すワイシャツ100は、二重編目構造を有するとともに裏糸12の橋渡し形状による空間Aが形成されたシングル丸編地1を用いて縫製されているため、通気性や吸汗速乾性に優れており、薄地で軽量であるとともに、防透け性やハリコシ感がアップしており仕立て映え性にも優れている。したがって、ワイシャツ100は、クールビズ用として好適である。
【0052】
なお、本実施の形態1に係るワイシャツには、図3に示すような形状を有するもの以外にも、例えばドレスシャツやカジュアルシャツなども含まれる。この点は、本発明の全ての実施の形態に共通する事項である。」

(6)「【0061】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係るシングル丸編地の要部の構成を示す編地断面モデル図である。図7は、図6の編地に対応する編方図である。図6および図7に示すシングル丸編地3は、編成時にウェルトが含まれるシングル丸編地であり、表糸31および裏糸32の2種類の構成糸からなる。
【0062】
表糸31は、ニットにより表編目b、c、d、f、g、hを形成し、ウエルトにより表編目a、eでは編目を形成しない。
裏糸32は、ニットにより表編目a、eを形成し、ウエルトにより表編目b、c、d、f、g、hでは編目を形成しない。
【0063】
このような構成を有するシングル丸編地3は、シンカーループ面において、ウェルトにより表編目b、c、d、f、g、hの裏側の編目間を橋渡し状に3編目ずつ飛ばした橋渡し部321を有する。これにより、表編目b、c、d、f、g、hの内側と橋渡し部321との間には、空間Cが形成される。
【0064】
シングル丸編地3が満たすべき各種条件は、実施の形態1に係るシングル丸編地1が満たすべき各種条件(実施の形態1を参照)と同様である。」

(7)「【0069】
(1)ウエル、コース
ウエル、コースは、JISL1096の編物の密度の測定方法に準じて行う。すなわち、試料を平らな台の上に置き、不自然なしわや張力を除いた後、異なる5ヶ所について、1インチ(2.54cm)当たりのウエルとコースの数を数え、それぞれ平均値を算出する。」

(8)【図7】






(9)上記(1)及び(2)によると、引用例1に記載されたシングル丸編地は、ワイシャツ用である。さらに上記(3)によると、従来のシングル丸編み地は、ハリコシが不足しているため仕立て映えが悪くビジネスシャツやドレスシャツ、カジュアルシャツなどのワイシャツ用の素材として適用することができなかったのに対して、上記(5)によると、引用例1に記載されたシングル丸編地は、ハリコシ感がアップしており仕立て映え性にも優れているためクールビズ用として好適なためワイシャツ用の素材として適用することができるものであるのだから、ワイシャツ用には、ビジネスシャツが含まれる。

(10)上記(6)に記載された実施の形態3の編方図である上記(8)の【図7】によると、シングル丸編地編地3は、ニットループ数が8、ウエルト数が8であるから、ニットループ数に対するウエルト数の比率は1.0である。

(11)上記(6)に記載された実施の形態3の各種条件は、上記(6)の段落【0064】によると実施の形態1と同様であるから、実施の形態1の条件について上記(4)をみると、1インチ当たりのコースの数が50以上150以下であり、1インチ当たりのウエルが40以上80以下である。ここで、ウエルについて「数」と記載されていないが、上記(7)によると「1インチ(2.54cm)当たりのウエルとコースの数を数え」と記載されているから、ウエルの数字は、コースと同様に「数」である。

上記(1)?(11)を総合すると、引用例1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「ニットループ数に対するウエルト数の比率が1.0であり、1インチ当たりのコースの数が50以上150以下、1インチ当たりのウエルの数が40以上80以下である、ビジネスシャツ用のシングル丸編地3。」

2.特開2001-303403号公報(甲第2号証)(以下「引用例2」という)
引用例2には、以下の記載がある。
(1)「【請求項1】 タテ及びヨコ方向の目付当りの曲げ剛性(B/M)が1.7×10^(-4)以上、伸長率(EMT)が10%以上、曲げ戻り性(2HB)が0.060gfcm/cm以下であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。
【請求項2】 目付量が150g/m^(2)以下で、ウェール密度が30ウェール/インチ以上であることを特徴とする請求項1記載のビジネスシャツ用編地。
【請求項3】タテ及びヨコ方向の目付当りの曲げ剛性(B/M)が2.0×10^(-4)以上、伸長率(EMT)が12?50%、曲げ戻り性(2HB)が0.050gfcm/cm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のビジネスシャツ用編地。」

(2)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸水速乾性、肌離れ性、ストレッチ性および通気性に優れるという編地の特徴を生かしつつ、織製品に匹敵する張りや腰を有し、快適で優れた着用感と、外観とを有するとともに動き易いビジネスシャツ用編地を提供することにある。」

(3)「【0021】編機の針床における編針の密度(ゲージ)が、1インチ(2.54cm)当り30以上でかつ針床が1列の、いわゆるハイゲージシングルニット編機が採用される。かかる編機を採用することにより、上記目付量およびウェール密度の布帛を適正に編製し得るようになる。」

(4)「【0023】編組織は、特に限定されるものではないが、編地の張り腰を向上させるにはタックを用いてシャンブレ-柄、ドビ-柄(ドビスタ-柄)組織、異色染め効果を出すには交編によるジャガ-ド柄、更にはウエルト・タック編を混在させたコ-ド調柄組織が推奨される。」

(5)上記(3)によると、ハイゲージシングルニット編機によって編製されているから、ビジネスシャツ用編地は、シングル編地である。

(6)上記(4)によると、ビジネスシャツ用編地は、柄組織である。

上記(1)?(6)から、引用例2には次の事項(以下「引用事項2」という。)が記載されている。
「柄組織からなるシングル編地であって、ウェール密度が30ウェール/インチ以上、且つタテ及びヨコの伸長率(EMT)が12?50%である、ビジネスシャツ用編地。」

3.特願2016-99791号に係る特許第5994036号が平成28年8月26日に特許権の設定登録されたことにより閲覧可能となった出願書類(記載内容を特許第5994036号公報で参照する)(以下「引用例3」という)
引用例3には、以下の記載がある。
(1)「【請求項1】
目付が80?180g/m^(2)であり、コース密度が40?100個/2.54cmであるシングル丸編地からなり、丸編地がヨコボーダー柄を有し、繊度50?180dtexの糸条を用いたウエルト天竺組織が全体面積の50%以上を構成し、タテ方向の伸長率(EMT)が15?40%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が10?25%であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。
・・・(中略)・・・
【請求項3】
ヨコボーダー柄を形成する組織が天竺組織又はカノコ組織であることを特徴とする請求項1又は2に記載のビジネスシャツ用編地。」

(2)「【0001】
本発明は、ハリ、コシがありながらストレッチ(伸縮)性、通気性、および透け防止に優れたビジネスシャツ用編地に関するものである。」

(3)「【0015】
また、本発明の編地では、タテ方向の伸長率(EMT)が15?40%であることが必要であり、好ましくは16?28%、さらに好ましくは17?25%である。タテ方向(シャツのヨコ方向)の伸長率(EMT)がこの範囲内であると、編地の柔軟性がシャツに活かされて着用快適性が得られる。タテ方向の伸長率(EMT)が上記範囲未満の場合は、着用時の快適性が無くなる。また、タテ方向の伸長率(EMT)が上記範囲を超えると、伸長した後の回復が悪くなりやすくなる。」

上記(1)?(3)から、引用例3には次の事項(以下「引用事項3」という。)が記載されている。
「ヨコボーダー柄を形成する天竺組織又はカノコ組織からなるシングル丸編地であって、コース密度が40?100個/2.54cmであり、タテ方向の伸長率(EMT)が17?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が10?25%である、ビジネスシャツ用編地。」


第6.当審の判断
1.本件訂正発明1について
(1)対比
本件訂正発明1と引用発明1を対比すると、引用発明1の「シングル丸編地3」は、本件訂正発明1の「シングル編地」に相当し、以下同様に「1インチ当たりのコースの数」は「コース密度」に、「1インチ当たりのウエルの数」は「ウェール密度」に、「ビジネスシャツ用のシングル丸編地」は「ビジネスシャツ用編地」にそれぞれ相当する。

ここで、本件訂正発明1の各数値範囲は「?」で表記されており、上限値、下限値を含む範囲であるのか否かについて訂正特許請求の範囲には記載されていないが、訂正特許明細書の段落【0014】には「タテ方向の伸長率(EMT)が上記範囲を超えると、生地のハリ、コシ感の低下につながるとともに製品の保形性が低下する。タテ方向の伸長率(EMT)が上記範囲未満の場合は、ビジネスシャツの着用に必要な適度な伸度を得ることができず、本発明の目的を達成することが困難となる。」、段落【0019】には「上記範囲未満又は上記範囲を超えると、経緯の伸長率が適正範囲から外れやすく、特にタテ方向の伸長率が高くなり易くなる。」等の記載がある。
そうすると、訂正特許明細書の記載を参酌すれば、本件訂正発明1における各数値範囲の「?」は、上限値、下限値を含む「○○以上、○○以下」を意味することが明らかである。
よって、引用発明1における数値範囲の「以上」、「以下」は、本件発明1の「?」に相当する。

そして、ニットループ数に対するウエルト数の比率について、引用発明1の「1.0」は、本件訂正発明1の「0.80?1.10」の範囲内であり、コース密度について、引用発明1の下限値の「50以上」は、本件訂正発明1の「40?100」の範囲内であり、ウェール密度について、引用発明1の「40以上80以下」は、上限値、下限値共に、本件訂正発明1の「30?80」の範囲内である。

よって、本件訂正発明1と引用発明1は以下の点で一致する。
「ニットループ数に対するウエルト数の比率を1.0としたシングル編地であり、ウェール密度が40?80個/2.54cmであるビジネスシャツ用編地」

そして、本件訂正発明1と引用発明1は、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件訂正発明1は、「柄組織からなるシングル編地」であって、「一つの柄組織を形成する編地基本組織における全ての」ニットループ数に対する「全ての」ウエルト数の比率が「0.80?1.10」であるのに対して、引用発明1は、ニットループ数に対するウエルト数の比率が1.0である構成を備えているものの、一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数であるのか否か不明である点。

<相違点2>
本件訂正発明1は、コース密度が40?「100」であるのに対して、引用発明1は、コース密度が50以上「150」以下である点。

<相違点3>
本件訂正発明1は、「タテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%」としているのに対して、引用発明1は、伸長率についてタテ、ヨコ共に明記されていない点。

(2)判断
ア.<相違点1>に関して、引用例1の記載をみると、ニットループ数に対するウエルト数の比率が本件訂正発明1の「0.80?1.10」という数値範囲内であるものは、段落【0061】?【0066】、【図6】?【図7】に記載された実施の形態3の1.0のみであって、ニットループ数に対するウエルト数の比率を特定の数値範囲とする旨の記載も示唆もない。
また、引用例1は、<相違点3>に関して、タテ方向の伸長率(EMT)、及びヨコ方向の伸長率(EMT)に関する記載も示唆もない。

イ.一方、本件訂正発明1は、タテ方向及びヨコ方向の伸長率を実現するために、ニットループ数に対するウエルト数の比率を特定している(段落【0017】)ものであるから、「一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数の比率が0.80?1.10」(以下「発明特定事項A」という)であることと、「タテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%」(以下「発明特定事項C」という)であることは、相互に関連するものである。
さらに、ニットループ数に対するウエルト数の比率を特定の範囲としたときの、コース密度とウェール密度の比率を特定の範囲とすることで、経緯の伸長率を適正範囲とする(段落【0019】)ものであるから、発明特定事項Aと、「コース密度が40?100個/2.54cm、ウェール密度が30?80個/2.54cm」(以下「発明特定事項B」という)であることと、発明特定事項Cは、相互に関連するものである。

ウ.そして、本件訂正発明1は、発明特定事項A?Cが相まって「伸縮性を抑えてビジネスシャツに適度なハリ、コシを発現する」(段落【0017】)、「適度なタテヨコのループ密度に調整することで、上記の編組織とあいまって編地でありながら、適度なハリ・コシを与えることが可能となる。」(段落【0019】)という顕著な効果を発揮するものである。

エ.すなわち、発明特定事項A?Cは、それぞれ別個独立にその数値範囲が設定、調整されるものではなく、相互に関連する一体不可分なものとして、それぞれの数値範囲が設定、調整されるものである。

オ.一方、引用例1?3には、ニットループ数に対するウエルト数の比率と、コース密度及びウェール密度と、タテ方向の伸長率(EMT)及びヨコ方向の伸長率(EMT)それぞれの数値範囲を一体不可分なものとして設定、調整するという技術思想はないし、また、引用例1?3には、そのような技術思想についての記載も示唆もないから、引用発明1において、<相違点1>?<相違点3>に係る構成とするための動機付けがない。

カ.よって、本件訂正発明1は、引用発明1、及び引用事項2、3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

キ.申立人は、「実施の形態3の編方図で編成されるシングル編地もまた、これ単独で衣料品となるもの」(申立人意見書3ページ下から1行?4ページ1行)、「引用文献1の図6及び図7記載のシングル丸編地が、本件発明1の実施例である本件図面の図5の編方図で編成される編地と同様にタテストライプ柄を形成する」(申立人意見書6ページ7?9行)、「特許権者の主張、すなわち、引用文献1記載の実施の形態3で開示されているシングル丸編地は、分厚いものであるとか、伸度の大きいものであるといった主張は、引用文献1記載の実施の形態3の解釈を誤ってなされたもの」(申立人意見書4ページ下から8?5行)と主張する。
しかしながら、上記申立人の主張によっても、ニットループ数に対するウエルト数の比率と、コース密度及びウェール密度と、タテ方向の伸長率(EMT)及びヨコ方向の伸長率(EMT)それぞれの数値範囲を一体不可分なものとして設定、調整するという技術思想が、引用例1?3に記載、ないし示唆されているとは認められない。

2.本件訂正発明2?5について
本件訂正発明2?5は、本件訂正発明1の構成要件を全て含むものであるから、本件訂正発明1と同様に、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえない。

3.小括
以上のとおり、本件訂正発明1?5は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえないから、訂正特許請求の範囲の請求項1?5に係る特許は、特許法113条2号に該当せず、取り消すことはできない。


第7.取消理由としなかった異議申立理由について
1.上記取消理由として採用しなかった異議申立理由について、念のために検討すると、以下のとおりである。
(1)異議申立理由1(特許法第29条第1項第3号)
本件発明1及び5は、引用例1に記載された発明、すなわち引用発明1であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1及び5に係る特許は特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)異議申立理由3(特許法第36条第6項第2号)
本件発明1?5は、特許請求の範囲の記載が、以下のア.及びイ.の点で不明確であるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。よって、本件発明に係る特許は、特許法第113条第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

ア.本件特許請求の範囲に記載されている「ビジネスシャツ」という用語が、本件発明の詳細な説明中で定義されておらず、不明確である。

イ.本件請求項3及び4に記載されている「地部」及び「柄部」という用語が、本件発明の詳細な説明中で定義されておらず、不明確である。

(3)異議申立理由4(特許法第36条第6項第1号)
本件発明2は、以下の点で特許請求の範囲の記載について、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものではないため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。よって、本件発明に係る特許は、特許法第113条第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

本件発明2の「単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むこと」にかかるポリエステル長繊維を用いた例は、本件発明の詳細な説明の実施例では、単糸繊度が10デシテックスのものが一例しか記載されておらず、総繊度についても110デシテックスのものと56デシテックスのものが二例しか記載されておらず、重量割合についても約8.3重量%のものと約18.2重量%のものが二例しか記載されていない。
したがって、一例又は二例の極めて少ない例に基づいて、単糸繊度を3?12dtexに拡張し、総繊度を30?120dtexに拡張し、その重量割合を3?25重量%に拡張することは、本件発明の詳細な説明に開示された発明の範囲を逸脱している。

2.異議申立理由1(特許法第29条第1項第3号)についての判断
(1)本件訂正発明1について
本件訂正発明1と引用発明1を対比すると、その一致点、相違点は、上記第6.1.(1)で述べたとおりである。
そして、<相違点1>?<相違点3>は、上記第6.1.(2)で述べたとおり、一体不可分なものであるから、<相違点1>?<相違点3>からなる相違点は、形式的な相違点ではなく、実質的な相違点である。
よって、本件訂正発明1は、引用発明1であるとはいえないから、本件訂正発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

(2)本件訂正発明5について
本件訂正発明5は、本件訂正発明1の構成要件を全て含むものであるから、本件訂正発明1と同様に、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。

(3)小括
以上のとおり、本件訂正発明1及び5は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件訂正特許請求の範囲の請求項1及び5に係る特許は、特許法113条2号に該当せず、取り消すことはできない。

3.異議申立理由3(特許法第36条第6項第2号)についての判断
(1)「ビジネスシャツ」について
ア.訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された用語「ビジネスシャツ」について、服飾に関する一般常識も勘案すれば、「ビジネス」の場で着用されるシャツであり、礼を失することのない程度にフォーマルなシャツであることは、当業者ならずとも容易に理解できるものであるから、不明確であるとはいえない。

イ.さらに、訂正特許明細書を参酌すると、「ビジネスシャツ」について段落【0002】には、「従来のワイシャツ、ドレスシャツ、カジュアルシャツ、ブラウス等のように、主にビジネスシーンで着用されるシャツ」と記載されており、ビジネスシーンで着用されるシャツであることが明らかであるとともに、ワイシャツ、ドレスシャツ、カジュアルシャツ、ブラウス等が例示されている。

ウ.段落【0012】には、「ここでいうビジネスシャツとは、一般のビジネスシーンでも違和感のないシャツであり、例えば会社間の面談においても失礼のないレベルに許容される装いのシャツをいう。シャツの形態としては、例えば衿や前立てがある仕様のものが含まれる。」と記載されており、「ビジネスシャツ」に求められる外観の要件と例が記載されている。

エ.段落【0033】には、「本発明の編地に使用されるビジネスシャツは、ビジネスシーンで使用できる衿付のシャツである。例えば、カッターシャツ、ドレスシャツ、ドレスブラウス、ボタンダウンシャツ、ダンガリーシャツ等が挙げられる。前立ては必ずしもある必要はないが、前立てがある仕様である方がよりフォーマルとなりビジネスシーンに使用しやすい。また、ビジネスシーン用途のみに限定するものではない。」と記載されており、「ビジネスシャツ」に求められる形状の要件と例が記載されている。

オ.してみると、訂正特許明細書には、「ビジネスシャツ」についての定義、外観・形状の要件が記載されているし、例示もされているから、「ビジネスシャツ」がどのようなものであるのかは、当業者が十分に理解できる程度に記載されているといえる。

カ.申立人は、広辞苑(第六版)による「ビジネススーツ」、「ビジネス」に関する解説を根拠として、「ビジネス」は実質的に意味のない用語であるから「ビジネスシャツ」という用語が不明確であると主張している。(特許異議申立書22ページ下から6行?23ページ7行)
しかしながら、上記したように服飾に関する一般常識を勘案すれば、訂正特許請求の範囲の請求項1?5の用語「ビジネスシャツ」がどのようなものか不明確であるとはいえないし、特許明細書にも、上記したように「ビジネスシャツ」についての定義、外観・形状の要件や例が記載されているから、「ビジネスシャツ」、「ビジネス」なる用語が意味するところは、当業者が十分に理解できるものである。
よって、申立人の主張は採用できない。

(2)「地部」、「柄部」について
ア.訂正特許請求の範囲の請求項3の記載によると、「白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維」からなる部分が「地部」であり、「白色金属酸化物を0?0.5重量%含むポリエステル繊維」からなる部分が「柄部」とされ、それぞれの組成により区別できるから、いずれが「地部」でいずれが「柄部」であるのか明確でないとまではいえない。

イ.訂正特許請求の範囲の請求項4の記載も同様に、「白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維」からなる部分が「地部」であり、「カチオン染料可染性ポリエステル繊維」からなる部分が「柄部」とされ、それぞれ組成と性質により区別されているから、いずれが「地部」でいずれが「柄部」であるのか明確でないとまではいえない。

ウ.してみると、訂正特許請求の範囲の請求項3、4には、「柄部」と「地部」がどのようなものであるのかについて、当業者が十分に理解できる程度に記載されているといえる。

エ.申立人は、広辞苑(第六版)による「チェック」、「ドット」、「ストライプ」に関する解説を根拠としつつ、様々な模様において、いずれが「地部」であり、いずれが「柄部」であるのか不明確であると主張している。(特許異議申立書23ページ下から11行?24ページ14行)
しかしながら、上記したように訂正特許請求の範囲の請求項3、4の記載自体から「地部」、「柄部」は明確である。
よって、申立人の主張は採用できない。

(3)小括
よって、本件訂正発明は、訂正特許請求の範囲の記載が不明確であるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえないから、本件発明に係る特許は、特許法第113条第4号の規定に該当せず、取り消すことはできない。

4.異議申立理由4(特許法第36条第6項第1号)についての判断
(1)本件訂正発明が解決すべき課題
訂正特許明細書の記載によれば、本件訂正発明の課題について、次の記載がある。
ビジネスシャツ用の布帛が従来は織物であったところ、通気性、柔軟性、伸縮性に劣ることから、編地で作ることを試みた(訂正特許明細書段落【0002】?【0003】)が、編地をビジネスシャツ用とするには、毛羽の全くないフィラメントと、表面毛羽が多い紡績糸を交編する必要や、短繊維とフィラメントからなる長短複合紡績糸を用いなければならず、表糸と裏糸からなる組織の場合、編地が分厚くなってしまう問題や、天竺編目が多いため、編地の伸度が大きくなって保形性が低下しやすい問題(訂正特許明細書段落【0003】?【0005】)などがあった。
そのため、本件訂正発明は、編物でありながらタテ方向の伸度が制限されており、ビジネスシャツとして適度な伸度と柔らかさ、通気性、保形性を兼ね備えた編地を提供するとともに、薄地編物でありながら透け感が少ないビジネスシャツ用編地を提供すること(訂正特許明細書段落【0007】)を課題とするものである。

そして、訂正特許明細書には、「単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むこと」(段落【0009】)という記載があり、さらに、「本発明では、保形性やハリ、コシをより高めるために、前述の方策に加えて、単糸繊度が3?12dtexの太い繊維を混用することが有効である。より好ましくは5?10dtexである。」、「太い繊維は3?25重量%の割合で編地に混用することが好ましい。」、「この長繊維の総繊度は30?120dtexであることが好ましい。より好ましくは30?115dtexである。」と単糸繊度、総繊度、長繊維含有割合が記載されるとともに、「この太い繊維は非常に曲げ硬いので25重量%を超えると、風合いが硬くなりすぎてゴアゴア感が出て不快になりやすくなる。3重量%未満では、ハリコシを高める効果が少なくなる。」、「上記範囲未満では、ハリ、コシを高める効果が少なく、上記範囲を超えると、風合いが硬くなりすぎるおそれがある。」(段落【0024】)という記載がある。

そうすると、以上の記載から、「単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むこと」は、保形性やハリ、コシをより高めるという上記本件訂正発明の課題を解決することが理解できる。
すなわち、「単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含む」訂正特許発明は、ビジネスシャツとしての適度な伸度と柔らかさという本件訂正発明の課題を解決することが理解できる。
したがって、訂正特許請求の範囲の請求項2に係る発明は、訂正特許明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえない。

(3)申立人の主張
申立人は、実施例として単糸繊度が10デシテックスのものが一例、総繊度についても110デシテックスのものと56デシテックスのものが二例、重量割合について約8.3重量%のものと約18.2重量%のものが二例しか記載されていないから、一例又は二例の極めて少ない例に基づいて、単糸繊度を3?12dtexに、総繊度を30?120dtexに、重量割合を3?25重量%に拡張することは、本件発明の詳細な説明に開示された発明の範囲を逸脱していると主張している。(特許異議申立書24ページ下から5行?26ページ2行)
しかしながら、上記に示したように、訂正特許請求の範囲の請求項2に係る発明は、本件訂正発明の課題を解決するものであるから、訂正特許明細書の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)をみたすものである。
そして、訂正特許明細書は、上記したように訂正特許請求の範囲の請求項2の「単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むこと」という構成によって、本件訂正発明の課題を解決することが理解できるように記載されている。
よって、申立人の主張は採用できない。

(4)小括
したがって、訂正特許請求の範囲の請求項2は、訂正特許明細書の記載から本件訂正発明の課題を解決することが理解できるものであるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないということはできない。


第8.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件訂正発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに本件訂正発明1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ビジネスシャツ用編地
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハリ、コシがありながらストレッチ(伸縮)性、通気性、および透け防止に優れたビジネスシャツ用編地に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のワイシャツ、ドレスシャツ、カジュアルシャツ、ブラウス等のように、主にビジネスシーンで着用されるシャツは、糸を経方向に真っ直ぐに配列させたものに、緯糸を経糸に直交させて織り上げる織物が用いられている。この理由として、織物は、織目が緻密で、ハリがあり、かつ、コシが強いことから、シルエット性に優れていることが挙げられる。しかし、経糸と緯糸が緻密に交差して互いに強く拘束しているために通気性が悪く、柔軟性・伸縮性に劣ることが着用時の快適性を阻害する要因になっている。例えば、夏場の通勤途中や外勤、更にはハードな動きを伴う動作を行ったとき等では、発汗した汗が容易に外部に放散されず蒸れたりべたついたりしやすくなったり、また柔軟性がないため、織物が肌に張り付きやすくなって快適性が劣りやすいという問題がある。
【0003】
かかる問題を解決するために、本出願人は、ビジネスシャツ用の布帛を編地で作ることを試みて、紡績糸とフィラメントとの交編編地であり、タテ及びヨコ方向の目付当りの曲げ剛性(B/M)が1.7×10^(-4)以上、伸長率(EMT)が10%以上、曲げ戻り性(2HB)が0.060gfcm/cm以下であるビジネスシャツ用編地を提案した(特許文献1参照)。この方法では、適度なハリ、コシがあり、吸水速乾性、肌離れ性に優れたビジネスシャツ用編地を提供することができるが、毛羽の全くないフィラメントと、表面毛羽が多い紡績糸を交編する必要があり、表面の凹凸感のある目面になってしまう問題があった。
【0004】
また、本出願人は、目付量が155g/m^(2)以下90g/m^(2)以上で、かつウエール密度が30ウエール/2.54cm以上であるシングルニットの編地からなる布帛により形成され、該布帛が、紡績糸とフィラメント糸からなる30/1番手以下の細番手の複合糸によって編製された編物を提案した(特許文献2参照)。しかしながら、この方法においても短繊維とフィラメントからなる長短複合紡績糸を用いる必要があった。
【0005】
また、編組織の工夫による試みとして、表糸と裏糸から構成されたシングル丸編地が提案されている(特許文献3参照)。この編地は、シンカーループ面において、ウエルトにより編目間で橋渡し状となる部分の間隔が1編目以上8編目以下である橋渡し部を有することを特徴とする。しかしながら、この方法によると、表糸と裏糸からなる組織のため、編地が分厚くなってしまう問題があった。また、天竺編目が多いため、編地の伸度が大きくなって保形性が低下しやすい問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-303403号公報
【特許文献2】特開2001-303301号公報
【特許文献3】特開2013-104158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、編物でありながらタテ方向の伸度が制限されており、ビジネスシャツとして適度な伸度と柔らかさ、通気性、保形性を兼ね備えた編地を提供することにある。さらに、本発明の目的は、薄地編物でありながら透け感が少ないビジネスシャツ用編地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために、ビジネスシャツに供する目的から薄い編地とするために鋭意検討を進めてきた結果、シングル編地を採用して編地の基本組織に占める全ニットループ数と全ウエルト数の比率を特定の範囲とした編み柄組織とし、かつ、コース密度、ウェール密度、タテ方向及びヨコ方向の伸長率(EMT)を適切に設定することにより、編地の持つ柔軟性を保持しながら、編地タテ方向の伸度が低下して、高い保形性と適度なハリ、コシを持ち、透け難いビジネスシャツ用編地を提供することができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
即ち、本発明は以下の(1)?(5)の構成を有するものである。
(1)柄組織からなるシングル編地であって、一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数の比率が0.80?1.10であり、コース密度が40?100個/2.54cm、ウェール密度が30?80個/2.54cmであり、且つタテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。
(2)単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むことを特徴とする(1)に記載のビジネスシャツ用編地。
(3)地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部が白色金属酸化物を0?0.5重量%含むポリエステル繊維からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載のビジネスシャツ用編地。
(4)地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部がカチオン染料可染性ポリエステル繊維からなることを特徴とする(1)?(3)のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地。
(5)(1)?(4)のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地を身頃に使用していることを特徴とするビジネスシャツ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば透け防止性に優れた酸化チタン微粒子含有のフルダルポリエステル仮撚加工糸を使用して、ビジネスシャツとして重要なタテ方向の保形性と優れた透け防止性、及び編柄の審美性を有しながら、織物には無い柔軟性、高通気性を有するビジネスシャツ用編地を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1で使用したビザルカノコの編組織図を示す。
【図2】図2は、実施例2で使用した千鳥格子の編組織図を示す。
【図3】図3は、実施例3で使用したチェックの編組織図を示す。
【図4】図4は、実施例4で使用したドット柄の編組織図を示す。
【図5】図5は、実施例5で使用したストライプの編組織図を示す。
【図6】図6は、比較例1で使用した天竺の編組織図を示す。
【図7】図7は、比較例2で使用したカノコの編組織図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
従来から、編地は、通気性が良く柔軟性が高いことに特徴があり、特に丸編地は、経緯の伸度が大き過ぎて着用したときのシルエットが綺麗にならず、保形性が低くなり易い性質がある。本発明者は、ビジネスシャツに用いる柄物の編地において、経緯の伸長率、特にタテ方向の伸長率を特定の範囲に調整できる特定の編構造を採用することによってビジネスシャツのシルエットや保形性、着用快適性を満足するビジネスシャツに好適な編地を見出した。ここでいうビジネスシャツとは、一般のビジネスシーンでも違和感のないシャツであり、例えば会社間の面談においても失礼のないレベルに許容される装いのシャツをいう。シャツの形態としては、例えば衿や前立てがある仕様のものが含まれる。
【0013】
編地では、身体を大きく動かしたときの皮膚の伸縮性や関節の曲げ伸ばしに追随することが着用快適性に大きく影響する。従来から編地が好んで用いられるポロシャツやスポーツシャツでは、経緯の伸度が高いと身体の動きに追随しやすく快適になる。しかし、織物が従来使われているビジネスシャツでは、逆に経緯の伸度、特にタテ方向の伸度を少なくすることが、ドレスシャツのハリ、コシ感、シルエット、保形性を得るために重要である。本発明者は、着用試験にてビジネスシャツに用いる編地の最適な経緯伸度領域を検証した結果、タテ方向の伸長率(EMT)と、ヨコ方向の伸長率(EMT)を比較的低伸度の範囲にすることが必要であることが判った。
【0014】
具体的には、本発明の編地では、タテ方向の伸長率(EMT)は、3?25%、好ましくは5?20%、さらに好ましくは8?18%である。タテ方向の伸長率(EMT)が上記範囲を超えると、生地のハリ、コシ感の低下につながるとともに製品の保形性が低下する。タテ方向の伸長率(EMT)が上記範囲未満の場合は、ビジネスシャツの着用に必要な適度な伸度を得ることができず、本発明の目的を達成することが困難となる。
【0015】
また、本発明の編地では、ヨコ方向の伸長率(EMT)は、8?40%、好ましくは10?30%、さらに好ましくは11?25%である。ヨコ方向の伸長率(EMT)がこの範囲内であると、編地の柔軟性がシャツに活かされて着用快適性が得られる。ヨコ方向の伸長率(EMT)が上記範囲未満の場合は、着用時の快適性が無くなる。また、ヨコ方向の伸長率(EMT)が上記範囲を超えると、伸長した後の回復が悪くなりやすくなる。
【0016】
さらに、本発明の編地では、タテ方向とヨコ方向の伸長率(EMT)の平均値は、丸編としては非常に低い9?25%であることが好ましく、より好ましくは9.5?23%、さらに好ましくは10?22%である。伸長率(EMT)の平均値が上記範囲を超えると、編地が伸び縮みして、肌着のような柔らかな風合いとなり、保形性が低下しやすい。
【0017】
織物のビジネスシャツ地では、織柄物が多用されており、本発明の編地でもセミジャガード編機又はシングル編機を使って織柄を再現するが、このとき前述のタテ方向及びヨコ方向の伸長率を実現するために、編地を構成する基本組織においてニットループ数に対するウエルト数の比率を0.20?1.10とすることが必要である。好ましくは0.25?1.05であり、更に好ましくは0.25?1.00である。編地基本組織においてニットループに対してウエルトを特定の割合で構成することで、伸縮性を抑えてビジネスシャツに適度なハリ、コシを発現することが可能である。
【0018】
本発明の編地の編組織としては、例えば、チェック柄、千鳥柄、ダイヤ柄、ドット、タテストライプ柄、水玉、その他の幾何学模様にすることができる。実際の柄を形成する際にニットループとウエルトを上記比率にしたうえで、目的の柄を形成する例として、組織図でニット-ウエルトの編構造とウエルト比率を示す。図1にビザルカノコ(ウエルト/ニットループ比率=0.8)、図2に千鳥柄(ウエルト/ニットループ比率=0.9)、図3にチェック柄(ウエルト/ニットループ比率=0.26)、図4にドット柄(ウエルト/ニットループ比率=0.89)及び図5にタテストライプ柄(ウエルト/ニットループ比率=1.00)を示す。
【0019】
本発明では、編地の密度設計も重要である。適度なタテヨコのループ密度に調整することで、上記の編組織とあいまって編地でありながら、適度なハリ・コシを与えることが可能となる。本発明の編地は、ハイゲージのシングル編機で編成して高密度に仕上げられる。本発明の編地では、染色加工上がりのウエール密度は、30?80個/2.54cmである。好ましくは35?70個/2.54cm、より好ましくは40?65個/2.54cmである。ウエール密度が上記範囲より低いと、柔軟性が高くなりすぎてハリ、コシが得られにくくなり、上記範囲より高いと、使っている糸が細いため生地が薄くなりすぎたり、ヨコ方向のストレッチが小さくなり過ぎて着用感が悪くなりうる。また、染色加工上がりの編地コース密度は40?100個/2.54cmである。好ましくは45?85個/2.54cm、より好ましくは50?80個/2.54cmである。コース密度が上記範囲より低いと、柔軟性が高くなりすぎてハリ、コシが得られにくくなり、上記範囲より高いと、生地が硬くなり、また通気性が低くなり蒸れ感が高まりやすい。本発明の編地は、前述のウエルト/ニットループ比率の範囲としたとき、編地のウェール密度に対するコース密度の比率は0.90?2.0とするのが好ましい。より好ましくは0.95?1.8である。上記範囲未満又は上記範囲を超えると、経緯の伸長率が適正範囲から外れやすく、特にタテ方向の伸長率が高くなり易くなる。
【0020】
本発明の編地は、従来の編地に比べて経緯の伸度を低く抑えるために、100ウエール(W)当りの糸長を制限して編み込むことが好ましい。編地を構成している全ての糸の平均糸長として、100?170mm/100Wとするのが好ましい。編柄を作るときのウエルトの比率と編地を構成する糸長を適正な範囲とすることで、保形性とハリコシを編地に付与することができる。より好ましくは105?150mm/100Wである。平均糸長が上記範囲未満では、安定的に生産するのが難しくなり、編み欠点が発生し易くなる。また、上記範囲を超えると、編地の伸度が高くなって本発明の効果が得られにくくなりやすい。
【0021】
本発明の編地は、比較的ハイゲージの丸編機を用いることにより高密度に編み立てることができる。本発明で使う編機としては、針床における編針の密度(ゲージ)が、1インチ(2.54cm)あたり26以上でかつ針床が1列の、いわゆるハイゲージシングルニット編機が採用される。好ましい編機ゲージは28?55本/2.54cmである。より好ましい編機ゲージは32?46本/2.54cmである。編機ゲージが上記範囲を超えると、より細い糸を用いる必要があり、透け感が出やすくなり、上記範囲より少なくても透け感が出やすくなり、風合いも柔らかくなりすぎる傾向がある。
【0022】
本発明の編地を構成する糸条は、フィラメント、又は少なくともポリエステルフィラメントを含んだ複合糸を用いることが好ましい。ポリエステルフィラメントを用いることで編地の柔軟性と保形性をより向上させることができる。ポリエステルフィラメントには、フラットヤーン(生糸)や、仮撚加工糸、エアー交絡糸等の糸加工された糸を用いることができる。編地の風合いの柔らかさや透け防止の観点から仮撚加工糸がより好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリ乳酸繊維等の生分解性繊維を用いることができる。特に好ましくはポリエステル系繊維である。これらの糸条は、編物中に80%以上含まればよい。尚、本発明の編地の糸条を構成する単繊維の断面形状は、限定されるものではなく、丸形、三角形、八葉形、扁平形、Y字形などに代表される様々な異形断面糸を使用することができる。
【0023】
糸条の繊度は、好ましくは30?180dtex、より好ましくは50?110dtexである。上記範囲内で繊度の違う糸同士を交編しても構わない。使用する糸条の繊維繊度が上述の範囲より細い場合は、編地の透け感が大きくなるとともに、ハリ、コシが弱くなり、上述の範囲より太い場合は、厚ぼったい編地となり、いずれの場合もビジネスシャツとして望ましくないものになりうる。
【0024】
本発明では、保形性やハリ、コシをより高めるために、前述の方策に加えて、単糸繊度が3?12dtexの太い繊維を混用することが有効である。より好ましくは5?10dtexである。混用の手段としては、交編したり、他の糸と混繊、混紡して編み込んでもよい。太い繊維は3?25重量%の割合で編地に混用することが好ましい。この太い繊維は非常に曲げ硬いので25重量%を超えると、風合いが硬くなりすぎてゴアゴア感が出て不快になりやすくなる。3重量%未満では、ハリコシを高める効果が少なくなる。この単繊維繊度が太い繊維は、長繊維であれば仮撚加工やエアー加工、撚糸等されていてもよいが、生糸を用いるのがより好ましい。この長繊維の総繊度は30?120dtexであることが好ましい。より好ましくは30?115dtexである。上記範囲未満では、ハリ、コシを高める効果が少なく、上記範囲を超えると、風合いが硬くなりすぎるおそれがある。
【0025】
本発明の編地の主たる糸条には酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛等の白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含んだフルダルのポリエステルフィラメントを用いることが好ましい。本発明の編地は、薄地であり、透け感を防止するために有効である。このフルダル糸の混用率は30?100%が好ましい。混用率が少ないと、透け感が強まって下着や肌が見えやすくなり見栄えが悪くなる。本発明の編地は柄物なので、柄部を異色染めにしたり、柄部に白色微粒子の含有量が低い繊維や異形繊維を使用して、光沢感や透け感の違いで柄部を強調することができる。このため使用する柄に応じて上記混用率の範囲で適宜フルダル糸を使用することが好ましい。
【0026】
本発明の編地の主たる糸条に仮撚糸又は撚糸を用いる場合は、S撚とZ撚の両方を用いることが好ましい。SZ糸を交編してもよいし、SZ糸を合撚したり引き揃えて編み込んでもよい。S,Z撚糸を混用することで保形性がより向上する。また、本発明は薄地高密度の編地を意図しているため、染色加工中に斜行が起こり易くなるが、主たる糸条をSZ交編で用いることで斜行を軽減する利点もある。
【0027】
本発明の編地では、地部又は柄部に白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含んだフルダル糸を用いて、その反対の柄部又は地部にカチオン染料可染性ポリエステル繊維を用いると,編立て後の染色加工で柄部又は地部を先染め調の異色染めにして、柄を強調したり、柄を作ることができる。また、上記の反対の柄部又は地部に白色金属酸化物を0?0.5重量%含んだポリエステルフィラメントを用いると、編地を単一色で染めても、或いは染めなくても、それぞれの糸で光沢や光の透過性が違うために、綺麗に柄が浮き立たせることができる。但し、この場合は透け感が強くならないために白色金属酸化物を0?0.5重量%含んだポリエステルフィラメントは1?50重量%の範囲で用いるのが好ましい。より好ましくは10?40重量%である。
【0028】
ビジネスシャツには薄地織物が好ましく使用されてきたこともあり、本発明の編地もビジネスシャツとして使用するために軽くて薄いものが要求される。そのため、本発明ではシングル編地を用いている。本発明の編地の目付は、80?180g/m^(2)が好ましく、より好ましくは90?160g/m^(2)、さらに好ましくは95?155g/m^(2)である。目付が上記範囲を超えると、厚み寸法が大きくなりすぎて厚ぼったくなり、ビジネスシャツの要件である薄さおよび軽さを達成することができない可能性がある。また、目付が上記範囲未満であると、ハリ、コシが弱くなり、ビジネスシャツとしての適正なシルエットを生み出すことができない可能性がある。本発明の編地の厚みは、0.2?0.8mmとするのが好ましい。より好ましくは0.3?0.6mmであり、さらに好ましくは0.3?0.5mmである。上記範囲より薄い編地では、透け感が強くなりすぎる傾向になり、上記範囲を超えると、肉感が付き過ぎてカジュアルシャツの外観や着用感になりやすく、ビジネスシャツに使い難くなる。
【0029】
本発明の編地を染色加工する場合、一般的なポリエステルフィラメント編地の加工方法で行えばよいが、タテ方向の伸度を抑えて、タテヨコ伸度バランスを調整するために、ヨコ方向に比べてタテ方向は若干引っ張り気味にして、編地ニットループを縦長にするように仕上げるのが好ましい。また、本発明の編地には、所定の吸水加工や各種の機能加工を施してもよい。このような特化加工を施された編地を使用すると、吸水速乾性や快適性が一層改善されたビジネスシャツを得ることができる。また、仕上げ加工でアクリル樹脂やウレタン樹脂、メラミン樹脂等の硬仕上加工を行うことでハリ、コシをより高めることもできる。
【0030】
本発明の編地の力学特性は、KES(Kawabata’s Evaluation System for Fabrics)に従ったものである。本発明の編地の伸長率(EMT)は、KES-FB1で測定される。伸長率(EMT)の測定は、20cm×20cmの試料を間隔5cmのチャックに把持し、4.00×10^(-3)/secの歪み速度で最大荷重250gf/cmまで引っ張って行なう。本発明の編地は、比較的伸度が低く、ビジネスシャツに最適である。縦方向の伸長率(EMT)は3?25%、横方向の伸長率(EMT)は8?40%と適正な値を示す。EMTの縦横の平均値は、好ましくは9?25%である。本発明の編地は、ハリ、コシがあることが特徴であるが、その代用メジャーとしてKES-FB2で測定できる。B値及び2HB値の縦横平均値は0.010?0.020N・cm/cmの範囲であり、編物でありながら織物に近い数値範囲をとることができる。
【0031】
本発明の編地は、透け感を抑えながらも60cc/cm^(2)・sec以上の通気性を達成することができる。この数値は、従来のビジネスシャツに使用されている一般的にいうブロード織物の通気性が20cc/cm^(2)・sec程度であることを考えると、高い値である。
【0032】
本発明の編地は、透け難いので、ビジネスシャツに、特にその身頃に好適に用いることができる。本発明の編地は、丸編地でありながら、透け防止度は70以上である。更に柄部を淡色に染めることで、柄が目立ち視覚的にシャツの内側を見えにくくする効果も得られる。
【0033】
本発明の編地に使用されるビジネスシャツは、ビジネスシーンで使用できる衿付のシャツである。例えば、カッターシャツ、ドレスシャツ、ドレスブラウス、ボタンダウンシャツ、ダンガリーシャツ等が挙げられる。前立ては必ずしもある必要はないが、前立てがある仕様である方がよりフォーマルとなりビジネスシーンに使用しやすい。また、ビジネスシーン用途のみに限定するものではない。
【実施例】
【0034】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各性能評価は、以下の方法により行った。
【0035】
(編地密度)
JIS-L1096 8.6.2 編物の密度に準拠して、編地のコース密度(個/2.54cm)、ウェール密度(個/2.54cm)を測定した。目視で測定する際、ウエール方向(又はコース方向)に組織図上で最もニットループが多いところを選んで、そのニットループ数を測定して密度とした。
【0036】
(編地の目付)
JIS-L1096 8.3.2A法の標準状態における単位面積当たりの質量に準拠して編地の目付を測定した。
【0037】
(編地の厚み)
JIS-L1096 8.4A法の厚さに準拠して編地の厚みを測定した。なお、測定条件における一定圧力は、23.5kPaに設定した。
【0038】
(通気度)
JIS-L-1096 8.26.1に規定されている通気度(フラジール形法 A法)に準拠して編地の通気度を測定した。
【0039】
(力学特性)
編地の力学特性は、KES(Kawabata’s Evaluation System for Fabrics)に従った。編地の伸長率(EMT)は、カトーテック社製KES-FB1で測定された。伸長率(EMT)の測定は、20cm×20cmの試料を間隔5cmのチャックに把持し、4.00×10^(-3)/secの歪み速度で最大荷重250gf/cmまで引っ張って行った。伸びにくい生地はEMT値が低くなる。曲げ特性は、カトーテック株式会社製KES-FB2を用いて、各サンプルの所定領域の1cm幅を試料として1cm間隔のチャック間に固定し、最大曲率+2.5cm^(-1)まで表側に曲げ、次に、最大曲率-2.5cm^(-1)まで裏側に曲げた後に元に戻すことによって測定した。曲げ剛性(B)[N・cm^(2)/cm]は、表側に曲げはじめて曲率に対する曲げモーメントの傾きがほぼ一定になったときの傾きから算出した。また、曲げ回復性(2HB)[N・cm/cm]は、そのヒステリシス幅から求めた。B値が大きい程曲げ硬く、ハリが高い傾向がある。2HB値が大きい程曲げ戻り性が悪く、コシが少ない傾向を示す。
【0040】
(ハリ及びコシの官能評価)
手で生地を触ったときのハリ・コシの風合い評価として、綿ブロードを「ハリ・コシ」の最高ランク5とし、最低ランクを1として、5段階評価を行った。判定は、風合の熟練者1名にて行った。
【0041】
(透け感)
一般財団法人ボーケン品質評価機構のボーケン規格BQE A038透け防止性試験を用いて評価した。試験片の肌側に白色板を重ね、外側面の可視光線(380nm?780nm)の反射率(RS-white)を測定する。同様に黒色板を重ね、反射率(Rs-black)を測定し、透け防止度を算出する。透け防止度が74以上であればドレスシャツとして透け感を気にせず使用できる。 透け防止度=Rs-black/Rs-white×100
【0042】
(編地のW&W性)
アパレル製品等品質性能対策協議会法に従ってドレスシャツの形態安定性(W&W性)を評価した。判定は、AATCC 124-1984に規定する判定標準立体レプリカを用いて行った。判定は、5級(良好)?1級(不良)で表示した。
【0043】
(製品の保形性)
JIS-L1060:2012の編物のプリーツ性試験方法を用いて、洗濯後のプリーツの形状の立体感にて保形性の代用評価とした。洗濯前のプリーツ形状、及び洗濯操作、乾燥操作を5回繰り返した後のプリーツ形状を判定基準によって等級を判定した。プリーツ判定用標準は、AATCC TestMethod 88Cに規定する5段階の判定標準立体レプリカを用いた。判定は、5級(良好)?1級(不良)で表示した。
【0044】
(ドレスシャツを着用したときの上半身の動きやすさ)
生地を首回り41と裄丈84の長袖ドレスシャツに縫製した後、中肉中背の30才男性が着用して、両手を横に拡げて、背骨を軸に両手/両肩を水平に回旋したときの動きやすさ(動きに対する生地の抵抗)を感覚値として、動きやすい:○>△>×:動きにくいの順で三段階評価を行った。
【0045】
(実施例1)
30インチ,28ゲージのシングル丸編機(福原精機製作所製 VXC-3FA)を用いて図1に示す完全組織F1からF10からなる90給糸のビザルカノコ柄の生機を製編した。その際、給糸口F4,5,F9,10に酸化チタン微粒子を1.5重量%練りこんだ丸断面糸である110dtex(T),48filament(f)のポリエチレンテレフタレート仮撚糸を用いた。次に給糸口F2,3,F7,8には、高圧カチオン可染ポリエステルの丸断面糸である84T36fの仮撚加工糸を用いた。そして、給糸口F1、6には酸化チタン微粒子を0.4重量%含有した扁平横断面(経緯比1:5)のセミダル糸である56T36fの生糸を用いた。各フィーダーの糸長は、F2,3,4,7,8,9は155mm/100W、F5,10の糸長は205mm/100W、そしてF1,6の糸長は108mm/100Wとした。F1?10の平均糸長は125mm/100Wであった。
【0046】
出来上がった生機を開反し、下記の処方で精練、染色を行なった。精練処方:日阪製作所製液流染色機NSタイプを用いて里田加工 ノニゾールN 1g/l、日華化学 ネオクリスタル CG1000 0.5g/l、ソーダ灰0.5g/l、浴比1:15、95℃×30分。
染色処方:日阪製作所製液流染色機NSタイプ、浴比1:15 130℃×45分で酢酸0.2g/l pH=4、明成化学 ディスパーN 700 0.5g/l、日華化学 ネオクリスタル GC1000 0.5g/l、高松油脂 SR1800 1.5%owf、分散型カチオン染料Kayacryl Ligt Blue4GSL-ED 1.0%omf染色後、遠心脱水、乾燥(120℃×3分)を行ない、以下の条件で仕上げ剤を付与して乾燥した。仕上げ剤のピックアップ率は90%であった。
サンスタット ES-11(三洋化成工業製 帯電防止剤)1% ows(on the weight of solution)
その後、最終セットをピンテンター160℃×2分の条件で行ない、性量調整し、最終生地を得た。仕上げでは縦に若干引っ張って仕上げた。仕上がった編地の密度はコース数71個/2.54cm、ウェール数43個/2.54cmであった。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
【0047】
(実施例2)
30インチ,36ゲージのセミジャガード丸編機(福原精機製作所製 JSIII)を用いて図2に示す完全組織F1からF14からなる千鳥格子柄の生機を製編した。その際、給糸口F1,3,5,7,9,11,13に酸化チタン微粒子を1.5重量%練りこんだ丸断面糸である110T,48fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸(Z撚)を用いた。次に給糸口F2,4,6,8,10,12、14には、酸化チタン微粒子を0.1重量%練りこんだ丸断面糸である84T,36fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸(Z撚)を用いた。F1?14の完全組織を構成する糸の平均糸長は135mm/100Wであった。
【0048】
出来上がった生機に対し、染料を用いずにオフホワイトで仕上げる以外は、実施例1と同様に染色加工を行った。仕上がった編地の密度はコース数69個/2.54cm、ウェール数51個/2.54cmであった。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
【0049】
(参考例3)
実施例2と同じ編機を用いて図3に示す完全組織F1からF40からなるチェック柄の生機を製編した。使用した糸は酸化チタン微粒子を1.5重量%練りこんだ丸断面糸である110T,48fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸を用いた。その際、給糸口奇数番号のフィーダーにはS撚、偶数番号のフィーダーにはZ撚の仮撚糸を使用した。F1からF19までの奇数Fの平均糸長は135mm/100Wであり、F21からF39までの奇数Fの平均糸長は110mm/100Wであった。F2?F40までの偶数Fの平均糸長は165mm/100Wであった。完全組織を構成する全糸の平均糸長は144mm/100Wであった。
【0050】
出来上がった生機に対し、実施例1と同様の染色加工を行い、密度はコース数76個/2.54cm、ウェール数61個/2.54cmの仕上編地を得た。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
【0051】
(実施例4)
実施例2と同じ編機を用いて図4に示す完全組織F1からF12からなる異色染めでドット柄になる生機を製編した。その際、給糸口F2?6,F8?11に地部となる糸として、酸化チタン微粒子を1.5重量%練りこんだ丸断面糸である110T48fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸を用いた。また、給糸口F1,7のドット柄部となる糸に丸断面のカチオン染料可染ポリエステル110T36fの仮撚加工糸を用い、F12に単糸繊度が太いフルダル丸断面のポリエステル長繊維の生糸110T12f(10dpf)を用いた。F1,F7の平均糸長は108mm/100Wであり、その他の糸110T48f仮撚糸の平均糸長は146mm/100Wであった。完全組織に用いる糸全ての平均糸長は146mm/100Wであった。
【0052】
出来上がった生機に対し、実施例1と同様の染色加工を行い、最終編地を得た。出来上がった編地の密度はコース数57個/2.54cm、ウェール数48個/2.54cmであった。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
【0053】
(実施例5)
30インチ,46ゲージのシングル丸編機(福原精機製作所製 VXC-3SD)を用いて図5に示す完全組織F1からF4からなるウエルトニットをベースとした異色染めで縦ストライプ柄になる生機を製編した。その際、給糸口F3,4に地部となる糸として、酸化チタン微粒子を1.5重量%練りこんだ丸断面糸である84T48fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸をF3にZ撚,F4にS撚で用いた。また、給糸口F2には表面でドット柄部となるカチオン染料可染性の丸断面糸の84T36fの仮撚加工糸(Z撚)を用い、F1には単糸繊度が太いフルダル丸断面のポリエステル長繊維の生糸56T6f(10dpf)を用いた。各フィーダーの糸長として、F1の平均糸長は112mm/100Wであり、F2?4の平均糸長は120mm/100Wであった。F1?4の完全組織を構成する糸の平均糸長は118mm/100Wであった。
【0054】
出来上がった生機に対し、実施例1と同様の染色加工を行い、最終編地を得た。出来上がった編地の密度はコース数64個/2.54cm、ウェール数32個/2.54cmであった。詳細な構成と評価結果を表1に示す。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
【0055】
(比較例1)
実施例1と同様の編機を用いて図6に示す天竺の生機を製編した。使用した糸は、酸化チタン微粒子を0.4重量%練りこんだ丸断面糸である84T48fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸(Z撚)を用いた。各フィーダーの平均糸長は220mm/100Wであった。
【0056】
出来上がった生機に対し、実施例2と同様に加工を行って仕上編地を得た。出来上がった編地の密度はコース数48個/2.54cm、ウェール数70個/2.54cmであった。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
【0057】
(比較例2)
実施例1と同様の編機を用いて図7に示す表カノコの生機を製編した。使用した糸は、酸化チタン微粒子を1.5重量%練りこんだ丸断面糸である84T48fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸をS仮撚とZ仮撚の糸を交互に編成した。完全組織を構成する糸全ての平均糸長は187mm/100Wであった。
【0058】
出来上がった生機に対し、実施例1と同様の染色加工を行い、最終編地を得た。出来上がった編地の密度はコース数60個/2.54cm、ウェール数51個/2.54cmであった。出来上がった仕上編地の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
【0059】
(比較例3)
オーストラリア綿(マイクロネアー:4.0?4.6、平均繊維長:1.12?1.21インチ、強度:30?34g/tex)と、ポリエステル短繊維(繊度1.5dtex、繊維長38mm)を各50重量%の割合で混綿して、一般的な紡績の前紡工程(混綿-梳綿-練条-粗紡)を経て120ゲレン/15ydロービングを作成、豊田紡織株式会社製リング紡績装置RX-240(リンクコーナー)により、撚係数k=3.7でトータルドラフト38.4、ブレーキドラフト1.40で40Ne(英式綿番手)の紡績糸を製造した。経糸及び緯糸にこの紡績糸を用い、経密度127本/2.54cm、緯密度70本/2.54cmの平織物を製織し、通常の方法により、毛焼、糊抜き、連続精練・漂白、シルケットを行い、更に分散染料と反応染料にて連続精練染色してサックス色に染めたのち、テンターにて柔軟剤を付与して仕上げた。仕上密度は経129本/2.54cm、緯72本/2.54cmであった。出来上がった仕上織物の詳細な構成と評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、通常の織地布帛からなるビジネスシャツに匹敵するハリ、コシなどの風合いを確保しつつ、透け難く、通気性に優れたビジネスシャツ用編地を提供することが可能であり、当業界における寄与が大である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄組織からなるシングル編地であって、一つの柄組織を形成する編地基本組織における全てのニットループ数に対する全てのウエルト数の比率が0.80?1.10であり、コース密度が40?100個/2.54cm、ウェール密度が30?80個/2.54cmであり、且つタテ方向の伸長率(EMT)が3?25%、ヨコ方向の伸長率(EMT)が8?40%であることを特徴とするビジネスシャツ用編地。
【請求項2】
単糸繊度が3?12dtex、総繊度が30?120dtexであるポリエステル長繊維を3?25重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のビジネスシャツ用編地。
【請求項3】
地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部が白色金属酸化物を0?0.5重量%含むポリエステル繊維からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のビジネスシャツ用編地。
【請求項4】
地部が白色金属酸化物を0.6?5.0重量%含むポリエステル繊維からなり、柄部がカチオン染料可染性ポリエステル繊維からなることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地。
【請求項5】
請求項1?4のいずれかに記載のビジネスシャツ用編地を身頃に使用していることを特徴とするビジネスシャツ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-07-23 
出願番号 特願2016-181926(P2016-181926)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (D04B)
P 1 651・ 537- YAA (D04B)
P 1 651・ 113- YAA (D04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 長谷川 大輔  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 横溝 顕範
高山 芳之
登録日 2018-06-29 
登録番号 特許第6360532号(P6360532)
権利者 東洋紡STC株式会社
発明の名称 ビジネスシャツ用編地  
代理人 浅野 典子  
代理人 奥村 茂樹  
代理人 風早 信昭  
代理人 風早 信昭  
代理人 浅野 典子  
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